説明

時刻により表示が変化する表示装置を用いた位置通知システム

【課題】カメラ付き携帯端末を使った、簡便、正確でかつ不正行為が困難な位置通知システムを提供すること。
【解決手段】
位置を通知したい場所に表示装置を設置し、位置管理サーバーから表示装置の個体識別情報、時刻情報、及びそれらのMACを送信し、表示装置においてバーコード等に変換して表示する。そのバーコード等をカメラ付き携帯電話で読み取って文字コードに変換して位置管理サーバーに返信し、位置管理サーバーにおいては、送られた個体識別情報、時刻情報に基づいてMACを再計算し、送られたMACと照合して改竄の有無をチェックする。改竄されていない場合は、その個体識別情報と対応する位置情報(経度・緯度、住所、座席番号等)を携帯電話に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、このシステムの利用者が現在いる位置に設置された表示装置に表示された画像から、利用者の所持するカメラ付き(コード読み取り機能を有することを意味する。)携帯端末によってコードに変換して読み取り、それを位置管理サーバーに送信し、位置管理サーバーにて認証を行うことにより、現在位置情報を利用者の携帯端末に通知するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(全地球測位システム)を利用して現在位置とその時刻を取得し、取得したデータに対して認証を行うシステムが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、このシステムを利用できるためには、利用者が所持している携帯端末がGPS機能を搭載している必要があるため、一般的に普及している携帯電話を使用することができない。また、地下や建物内部では、GPS衛星の電波が遮断されるため、基地局情報を使用して位置を検出せざるを得ず、このため、位置精度が低いという問題もある。
【0003】
また、非接触ICカードやICタグを使うシステム(特許文献3参照)、あるいは、バーコードを使用するシステムも知られているが、普及している携帯端末では非接触ICカードやICタグを読めないため、専用の読取装置が必要となる。またバーコードや二次元コードはカメラ付き携帯端末で読める簡便さがあるが、バーコードや二次元コード自体はコピーできるため、その場所から移動した後も同じ通知が行われやすいという問題がある。
このため、普及しているカメラ付き携帯端末(携帯電話のみならず、PDAやノート型パソコンでもよい。)を利用した位置通知システムであって、不正行為が困難で簡便なシステムの提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−287327号公報
【特許文献2】特開2004−080777号公報
【特許文献3】特開2006−276971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述のような事情に鑑み為されたものであり、カメラ付き携帯端末を使った、簡便、正確でかつ不正行為が困難な位置通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、位置管理サーバーと、表示装置とが通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続されるとともに、携帯電話網を介して前記通信ネットワークに接続された利用者の携帯端末を含み、前記表示装置が設置された場所の位置情報を前記位置管理サーバーから前記利用者の前記携帯端末に通知する、表示装置を用いた位置通知システムに関し、本発明の上記目的は、前記位置管理サーバーが、前記表示装置の位置情報、個体識別情報、及び配信先アドレスが関連付けられて格納されている第1の記憶手段と、時刻を発生する時計と、前記個体識別情報及び前記時刻から所定のアルゴリズムによって認証情報を生成する認証手段と、前記表示装置の個体識別情報、前記時刻、前記位置管理サーバーのアドレス、及び前記認証情報から、前記表示装置に配信する配信データを生成するとともに、前記時刻から所定時間経過後の新たな時刻に基づいて前記配信データを更新する配信データ生成手段と、前記配信データのうち、少なくとも前記表示装置の個体識別情報、及び前記時刻を記憶する第2の記憶手段と、前記通信ネットワークを介して外部との通信を行う送受信手段と、を備え、
前記表示装置は、前記位置管理サーバーから前記通信ネットワークを介して前記配信先アドレスに送られた前記配信データを受信する通信部と、前記受信した配信データをバーコード又は二次元コード(以下、「バーコード等」という。)に変換する変換手段と、前記変換されたバーコード等を表示する表示部と、を備え、
前記携帯端末は、前記表示装置の表示部に表示されたバーコード等を撮影するためのカメラと前記撮影されたバーコード等を文字コードに変換する手段とを含むコード読取手段を備えるとともに、
前記位置管理サーバーは、前記表示装置に表示されたバーコード等から前記携帯端末の前記コード読取手段によって読み取られ、前記携帯端末から送信された前記個体識別情報、前記時刻、及び前記認証情報を受信し、前記認証手段で再計算した認証情報と受信した前記認証情報とを照合し、両者の認証情報が一致すれば、前記第2の記憶手段に記憶されている前記個体識別情報及び時刻を、前記受信した個体識別情報及び時刻と照合し、一致するものがあれば、その一致した前記個体識別情報に対応する前記位置情報を前記第1の記憶手段から取得して位置通知成功と為し、前記認証情報が一致しなかった場合若しくは前記第2の記憶手段内に一致する個体識別情報及び時刻が存在しなかった場合は位置通知失敗として、それぞれ前記送受信手段によって前記携帯端末に通知する受信データ照合手段を、さらに備えたことを特徴とする表示装置を用いた位置通知システムによって達成される。
【0007】
また、本発明の上記目的は、前記第2の記憶手段にはさらに前記認証情報が記憶され、前記受信データ照合手段は、前記携帯端末から送られた前記個体識別情報および時刻から前記認証手段で認証情報を再計算する代わりに、送られた前記個体識別情報をキーとして前記第2の記憶手段内を検索し、前記個体識別情報に対応する前記認証情報を取り出して前記携帯端末から送られてきた前記認証情報とを比較し、両者が一致した場合は、前記第1の記憶手段から前記個体識別情報に対応する前記位置情報を取得して位置通知成功と為し、両者が一致しなかった場合若しくは前記個体識別情報が前記第2の記憶手段の中に存在しなかった場合は位置通知失敗として、それぞれ前記送受信手段によって前記携帯端末に通知することを特徴とする前記の表示装置を用いた位置通知システムによっても達成される。
【0008】
さらに、本発明は、位置管理サーバーと、表示装置と、携帯電話網を介して前記位置管理サーバーに接続された利用者の携帯端末とを含み、前記表示装置が設置された場所の位置情報を前記位置管理サーバーから前記利用者の前記携帯端末に通知する、表示装置を用いた位置通知システムに関し、本発明の上記目的は、前記位置管理サーバーが、前記表示装置の位置情報、個体識別情報が関連付けられて格納されている記憶手段と、時刻を発生する時計と、所定のアルゴリズムによって認証情報を生成する認証手段と、前記携帯電話網を介して前記携帯端末との通信を行う送受信手段と、を備え、
前記表示装置は、前記表示装置の個体識別情報及び前記位置管理サーバーのアドレスを記憶する記憶手段と、時刻を発生する時計と、前記個体識別情報及び前記時刻から前記所定のアルゴリズムと同一のアルゴリズムによって認証情報を生成する認証手段と、前記個体識別情報、前記時刻、前記位置管理サーバーのアドレス、及び前記認証情報を含むデータをバーコード等に変換する変換手段と、前記変換されたバーコード等を表示する表示部と、を備え、
前記携帯端末は、前記表示装置の表示部に表示されたバーコード等を撮影するためのカメラと前記撮影されたバーコード等を文字コードに変換する手段とを含むコード読取手段を備えるとともに、
前記位置管理サーバーは、前記表示装置に表示されたバーコード等から前記携帯端末の前記コード読取手段によって読み取られ、前記携帯端末から送信された前記個体識別情報、前記時刻、及び前記認証情報を受信し、受信した前記個体識別情報、前記時刻に基づいて前記位置管理サーバーの前記認証手段で再計算した認証情報と、受信した前記認証情報とを照合し、両者の認証情報が一致し、かつ、前記位置管理サーバーが受信した時の時刻と、前記携帯端末から送信された前記時刻との時間差が所定時間以下であることを条件として、前記個体識別情報に対応する前記位置情報を前記記憶手段から取得して位置通知成功と為し、一方、前記認証情報が一致しなかった場合若しくは前記時間差が所定時間を超えている場合は、位置通知失敗として、それぞれ前記送受信手段によって前記携帯端末に通知する受信データ照合手段を、さらに備えたことを特徴とする表示装置を用いた位置通知システムによって簡便に達成できる。
【発明の効果】
【0009】
カメラ付きの携帯端末であれば正確な位置の通知が可能であり、表示装置が表示するデータにはMAC(メッセージ認証コード)が付加されているため改竄は困難で、また表示は定期的に更新されて変化するため、その期間を超えて同じ通知を繰り返す不正行為を防止できる。なお、「正確な位置」とは具体的には「表示装置のサイズ」であるので数センチ程度まで可能である
また表示装置は表示部と通信部のみで構成できるのでICカードリーダーまたはICタグリーダーを使う場合よりも安価で小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る位置通知システムの構成を示すブロック図である。
【図2】位置管理サーバーの構成を示すブロック図である。
【図3】位置管理サーバーにおける第1の記憶手段に格納されるデータの構成例を示す図である。
【図4】位置管理サーバーにおける第2の記憶手段に格納される配信データの構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る位置通知システムの実施例1の処理の流れを示すフローチャートの一例を示すものである。
【図6】本発明に係る位置通知システムの実施例2の処理の流れを示すフローチャートの一例を示すものである。
【図7】本発明に係る位置通知システムの変形例1の処理の流れを示すフローチャートの一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、カメラ(コード読み取り機能)付き携帯端末、表示装置および位置管理サーバー(以下、単に「サーバー」という。)で構成される位置通知システムである。すなわち、ある場所に存在する特定の表示装置に対して、サーバーから当該表示装置の個体識別情報、時刻データ及びサーバーのアドレス(例えばURL)を配信し、表示装置において画像(バーコード等)に変換して表示する。このときサーバーには、配信データが一時記憶されるようになっている。
ここで、利用者が自己の携帯するカメラ付き携帯端末を用いてそのバーコード等を読み取って文字データに変換し、サーバーのURLにそのデータを返信する。そのデータを受信したサーバーは、一時記憶されているデータの中に当該受信したデータに含まれている表示装置の個体識別情報があるか否かをチェックし、あれば位置通知に成功したことを利用者の携帯端末に表示し、なければ失敗のメッセージを表示するというものである。
なお、携帯端末側における時刻データ改竄等の不正を防止するために、サーバーから配信するデータの中に、個体識別情報と時刻データとに基づいて生成した認証情報(例えば、メッセージ認証コード。以下、「MAC」という。)を予め含めておき、携帯端末からサーバーに受信データを返信する際に一緒に返信し、サーバー内で個体識別情報と時刻データからMACを再計算し、返信されたMACと比較して改竄の有無を判定するようにすれば、さらにセキュリティ性は高まる。なお、MACアルゴリズムは他の暗号プリミティブから構築でき、ハッシュ関数を使う方式(HMAC)、ブロック暗号アルゴリズムを使う方式(OMAC、CBC−MAC、PMAC)などがある。
【0012】
以下、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1は、本発明に係る位置通知システムの構成を示すブロック図であり、サーバー100と表示装置300とが、通信ネットワーク(例えばインターネット)200を介して相互に通信可能に接続されているとともに、カメラ付き携帯端末400が基地アンテナ及び基地局を含む携帯電話網201を介してインターネット200に接続されており、結果的に携帯端末400はサーバー100と相互に通信可能になっている。
カメラ付き携帯端末400としては、カメラが付いていてバーコードが読み取り可能な携帯電話またはPDA(Personal Digital Assistant)またはノート型パソコンなどが利用可能である。
表示装置300は、サーバー100からデータを受信する通信部(通信ネットワークの種類に応じたインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、無線LAN等が考えられる。)302と表示部301(例えば液晶パネル)で構成される。表示装置300は、サーバー100から受信したデータを文字またはバーコードまたは二次元コードとして表示部301へ表示する。表示装置300は、携帯端末400を利用したい任意の場所にあらかじめ設置されているものとする。
【0013】
図2はサーバー100の内部構成を示すブロック図である。サーバー100は、表示装置300の位置情報(例えば、経度・緯度、住所、施設内の座席番号等が考えられる。)、表示装置300の個体識別情報、表示装置300の配信先アドレス(IPアドレス又はURL)が格納されている第1の記憶手段101と、時刻を発生する時計(時刻発生手段)102と、表示装置300の個体識別情報、時計102から取得した時刻、サーバー100のURL、及び後述のMACから配信データを生成する配信データ生成手段103と、配信データの中の個体識別情報又は時刻の改竄を防ぐためのメッセージ認証コード(MAC)を生成する認証手段104と、配信データを一時的に記憶する第2の記憶手段105と、インターネット200を介して外部との通信を行う送受信手段106と、携帯電話400から返信されたデータを受信し、認証手段104で再計算したMACと受信したMACとを照合して改竄の有無を判断するとともに、第2の記憶手段105に記憶されている個体識別情報及び時刻を、受信した個体識別情報及び時刻と照合し、一致するものがあれば、その一致した個体識別情報に対応する位置情報を第1の記憶手段101から取得して位置通知成功と為し、MACが一致しなかった場合若しくは第2の記憶手段105内に一致する個体識別情報及び時刻がなかった場合は位置通知失敗として、送受信手段106によって携帯電話400に通知する受信データ照合手段107と、各手段101〜107を所定の制御プログラムによって制御する制御手段108(例えば、CPU)を備えている。
【0014】
図3はサーバー100における第1の記憶手段101に格納されるデータの構成例を示す図である。また、図4はサーバー100における第2の記憶手段105に格納される配信データの構成例を示す図である。メッセージ認証コードは、時刻データ及び個体識別情報に基づいて算出される。
【実施例1】
【0015】
図5は本発明に係る位置通知システムにおける処理の流れを示すフローチャートの一例を示すものである。図5を参照しつつ説明する。
サーバー100の認証手段104が、第1の記憶手段101に格納されている表示装置300の個体識別情報及び時刻に基づいてMACを計算し、配信データ生成手段103が個体識別情報、時刻、サーバー100のURL、及び算出されたMACから配信データを生成する(ステップS501)。
次に、送受信手段106が配信データを表示装置の配信先アドレスに送る(ステップS502)。配信先アドレスは、第1の記憶手段101に格納されている。配信と同時に配信データを第2の記憶手段105に一定時間記憶させる(ステップS503)。
一定時間とはサーバー100が配信データを生成してから表示装置の表示部が更新され利用者がカメラでそれを撮影して通知するまでの時間の合計である。たとえば数分〜10分程度である。一定時間だけ記憶させる目的は、表示装置からデータを取得した利用者が、そのデータを第三者の携帯電話400に転送し、受信した第三者がそれを利用して位置の認証を受ける時間的な余裕を持たせないよう、一定時間が経過したらそのデータを次のデータに更新してしまうことにある。
【0016】
配信データを受信した表示装置300においては、受信した配信データを所定の変換ソフトによってバーコードあるいは二次元コード(例えばQRコード)に変換し、表示部301に画像として表示する(ステップS504)。この表示は上述のように数分間隔で新しい情報に自動的に更新されるようになっている。
次に、その表示装置300の前にいる利用者が、自己の携帯する携帯電話400でバーコードあるいは二次元コード(以下、「バーコード等」という。)を読み取り、そのデータに含まれているサーバー100のURLにアクセスして、個体識別情報、時刻、MACを入力して送信する(ステップS505)。
【0017】
サーバー100の受信データ照合手段107は、携帯電話400からデータを受信すると、認証手段104に個体識別情報及び時刻データを渡して同じアルゴリズムによりMACを再計算させ、再計算したMACと携帯電話400から送られたMACとを比較して、一致するか否かをチェックする(ステップS506)。もし一致した場合は(ステップS507の“YES”)、データの改竄はなかったものと判断し次のステップS508に移行する。一致しなかった場合は(ステップS507の“NO”)、位置通知に失敗したことを携帯電話400の画面のブラウザに表示する(ステップS511)。
【0018】
ステップS508では、受信データ照合手段107が、携帯電話400から送信されたデータ(個体識別情報および時刻)が、第2の記憶手段105に記憶されているものと一致するか否かをチェックする。
もし、一致する個体識別情報および時刻の組み合わせがあれば(ステップS509の“YES”)、第1の記憶手段101から当該個体識別情報に対応する位置情報を取得し、位置通知成功のメッセージとともに利用者の携帯電話400の画面のブラウザに表示する(ステップS510)。本発明の実施例においては、上述のように利用者の携帯電話400の画面のブラウザに表示することを、「通知する。」と称している。しかし、これに限定されるものではなく、例えば電子メール等で利用者の携帯端末400に通知するようにしてもよい。
一致するものがなかった場合は(ステップS509の“NO”)、位置通知に失敗したことを携帯電話400の画面のブラウザに表示する(ステップS511)。この場合は所定時間内に返信しなかったことによるものである。
なお、本発明においては、携帯端末400とサーバー100間のセキュリティは暗号機能付きのブラウザを使うことで確保されているものとする。つまりサーバー100から見た位置通知データの送信元と携帯端末との同一性は問題としない。
【実施例2】
【0019】
図6は図5におけるステップS506からS509までの処理を別の方法(ステップS606〜S607)で置き換えたものであり、処理を簡略化したものである。すなわち、ここでは、携帯電話400から送られたデータ(個体識別情報および時刻)からMACを再計算する代わりに、送られた個体識別情報をキーとして第2の記憶手段105内を検索し、その個体識別情報に対応するMACと、送られてきたMACとを比較するのである(ステップS606)。もし、検索しても個体識別情報が見つからなければ、個体識別情報が改竄されていると判断できるし、MACが一致しなければ時刻が改竄されたか、あるいは所定時間を超過して情報が更新されたと判断できるからである。一方、一致する個体識別情報とMACが見つかった場合は、時刻は改竄されていないと判断できるので、ステップS608に移行して、第1の記憶手段101から当該個体識別情報に対応する位置情報を取得し、位置通知成功のメッセージとともに利用者の携帯電話400の画面のブラウザに表示する。
【変形例1】
【0020】
図7は、表示装置300に表示する配信データをサーバー100から送るのではなく、表示装置300内において自動発生させる場合を示すものである。すなわち、この変形例においては、表示装置300は通信ネットワーク200には接続されておらず、スタンドアロンとなっている。その代わりに、表示装置300は図示しない時計(時刻発生手段)とMACアルゴリズムを内蔵している。
まず、表示装置300内の図示しない記憶手段に記憶されている個体識別情報と時刻とから、MACアルゴリズムによってMACを計算する(ステップS701)。次に、個体識別情報、時刻データ、記憶手段に記憶されているサーバーのURL、及び計算されたMACから配信データを生成し(ステップS702)、バーコード等に変換して表示部301に表示する(ステップS703)。
【0021】
次に、その表示装置300の前にいる利用者が、自己の携帯する携帯電話400でバーコードバーコード等を読み取り、そのデータに含まれているサーバー100のURLにアクセスして、個体識別情報、時刻、MACを入力して送信する(ステップS704)。
サーバー100の受信データ照合手段107は、携帯電話400からデータを受信すると、認証手段104に個体識別情報及び時刻データを渡して同じMACアルゴリズムによりMACを計算させ、計算したMACと携帯電話400から送られたMACとを比較して、一致するか否かをチェックする(ステップS705)。もし一致した場合は(ステップS706の“YES”)、データの改竄はなかったものと判断し、次のステップS707に移行する。
一致しなかった場合は(ステップS706の“NO”)、個体識別情報又は時刻が改竄されたものとみなし、位置通知に失敗したことを携帯電話400の画面のブラウザに表示する(ステップS710)。
【0022】
ステップS707においては、サーバー100が携帯電話400からのデータを受信した時刻と、携帯電話400からの時刻データとの時間差(Δt)を計算する。実施例1及び2においては、配信データをサーバー100の第2の記憶手段105に一定時間記憶していたため、一定時間を超えて同じ通知を繰り返すような不正行為を防止することができたが、この例ではサーバー100側には配信データが記憶されていないため、利用者が携帯電話400でバーコード等を読み取ってから、データをサーバー100に送信するまでの時間を制限する必要があるからである。なお、表示装置300に内蔵されている時計とサーバー100に内蔵されている時計は別であるので、時刻は完全に一致はしないが、1分程度のずれは問題とはならない。
Δtが所定時間(例えば10分間)以下の場合は(ステップS708の“YES”)、第1の記憶手段101から当該個体識別情報に対応する位置情報を取得し、位置通知成功のメッセージとともに利用者の携帯電話400の画面のブラウザに表示する(ステップS709)。
Δtが所定時間を超えた場合は(ステップS708の“NO”)、位置通知に失敗したことを携帯電話400の画面のブラウザに表示する(ステップS710)。これは所定時間内に返信しなかったことを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明により、携帯端末の正確な位置(利用者が現在いる位置)をサーバーへ通知することを必要とする以下のようなサービスへの応用が可能となる。
(例1)劇場・球場など多数の座席がありそこへ飲食物等を配達するサービス
(例2)スタンプラリー等における行った場所の認証サービス
例1への応用について簡単に説明すると、本発明に係る位置通知システムを利用して位置通知に成功すると、飲食物等の配達サービスを行う業者の注文画面のURLが表示されるようにしておく。利用者がそれをクリックすると、注文画面が表示される。そこで、利用者は予め登録してあるユーザーID、商品名、数量、支払い方法等を入力すると、本人の現在位置情報と共にそれらの情報が業者に通知され、業者は本人が現在いる場所に商品を配達することが可能になる。この場合の本人確認であるが、注文番号等を業者のサーバーから利用者の携帯電話に自動返信するようにしておけばよい。
【符号の説明】
【0024】
100 位置管理サーバー
101 第1の記憶手段
102 時計
103 配信データ生成手段
104 認証手段
105 第2の記憶手段
106 送受信手段
107 受信データ照合手段
108 制御手段(CPU)
200 通信ネットワーク
201 携帯電話網
300 表示装置
301 表示部
302 通信部
400 携帯端末


【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置管理サーバーと、表示装置とが通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続されるとともに、携帯電話網を介して前記通信ネットワークに接続された利用者の携帯端末を含み、前記表示装置が設置された場所の位置情報を前記位置管理サーバーから前記利用者の前記携帯端末に通知する、表示装置を用いた位置通知システムであって、
前記位置管理サーバーは、
前記表示装置の位置情報、個体識別情報、及び配信先アドレスが関連付けられて格納されている第1の記憶手段と、
時刻を発生する時計と、
前記個体識別情報及び前記時刻から所定のアルゴリズムによって認証情報を生成する認証手段と、
前記表示装置の個体識別情報、前記時刻、前記位置管理サーバーのアドレス、及び前記認証情報から、前記表示装置に配信する配信データを生成するとともに、前記時刻から所定時間経過後の新たな時刻に基づいて前記配信データを更新する配信データ生成手段と、
前記配信データのうち、少なくとも前記表示装置の個体識別情報、及び前記時刻を記憶する第2の記憶手段と、
前記通信ネットワークを介して外部との通信を行う送受信手段と、を備え、
前記表示装置は、
前記位置管理サーバーから前記通信ネットワークを介して前記配信先アドレスに送られた前記配信データを受信する通信部と、
前記受信した配信データをバーコード又は二次元コード(以下、「バーコード等」という。)に変換する変換手段と、
前記変換されたバーコード等を表示する表示部と、を備え、
前記携帯端末は、
前記表示装置の表示部に表示されたバーコード等を撮影するためのカメラと前記撮影されたバーコード等を文字コードに変換する手段とを含むコード読取手段を備えるとともに、
前記位置管理サーバーは、
前記表示装置に表示されたバーコード等から前記携帯端末の前記コード読取手段によって読み取られ、前記携帯端末から送信された前記個体識別情報、前記時刻、及び前記認証情報を受信し、前記認証手段で再計算した認証情報と受信した前記認証情報とを照合し、両者の認証情報が一致すれば、前記第2の記憶手段に記憶されている前記個体識別情報及び時刻を、前記受信した個体識別情報及び時刻と照合し、一致するものがあれば、その一致した前記個体識別情報に対応する前記位置情報を前記第1の記憶手段から取得して位置通知成功と為し、前記認証情報が一致しなかった場合若しくは前記第2の記憶手段内に一致する個体識別情報及び時刻が存在しなかった場合は位置通知失敗として、それぞれ前記送受信手段によって前記携帯端末に通知する受信データ照合手段を、さらに備えたことを特徴とする表示装置を用いた位置通知システム。
【請求項2】
前記第2の記憶手段にはさらに前記認証情報が記憶され、
前記受信データ照合手段は、前記携帯端末から送られた前記個体識別情報および時刻から前記認証手段で認証情報を再計算する代わりに、送られた前記個体識別情報をキーとして前記第2の記憶手段内を検索し、前記個体識別情報に対応する前記認証情報を取り出して前記携帯端末から送られてきた前記認証情報とを比較し、両者が一致した場合は、前記第1の記憶手段から前記個体識別情報に対応する前記位置情報を取得して位置通知成功と為し、両者が一致しなかった場合若しくは前記個体識別情報が前記第2の記憶手段の中に存在しなかった場合は位置通知失敗として、それぞれ前記送受信手段によって前記携帯端末に通知することを特徴とする請求項1に記載の表示装置を用いた位置通知システム。
【請求項3】
位置管理サーバーと、表示装置と、携帯電話網を介して前記位置管理サーバーに接続された利用者の携帯端末とを含み、前記表示装置が設置された場所の位置情報を前記位置管理サーバーから前記利用者の前記携帯端末に通知する、表示装置を用いた位置通知システムであって、
前記位置管理サーバーは、
前記表示装置の位置情報、個体識別情報が関連付けられて格納されている記憶手段と、
時刻を発生する時計と、
所定のアルゴリズムによって認証情報を生成する認証手段と、
前記携帯電話網を介して前記携帯端末との通信を行う送受信手段と、を備え、
前記表示装置は、
前記表示装置の個体識別情報及び前記位置管理サーバーのアドレスを記憶する記憶手段と、
時刻を発生する時計と、
前記個体識別情報及び前記時刻から前記所定のアルゴリズムと同一のアルゴリズムによって認証情報を生成する認証手段と、
前記個体識別情報、前記時刻、前記位置管理サーバーのアドレス、及び前記認証情報を含むデータをバーコード等に変換する変換手段と、
前記変換されたバーコード等を表示する表示部と、を備え、
前記携帯端末は、
前記表示装置の表示部に表示されたバーコード等を撮影するためのカメラと前記撮影されたバーコード等を文字コードに変換する手段とを含むコード読取手段を備えるとともに、
前記位置管理サーバーは、
前記表示装置に表示されたバーコード等から前記携帯端末の前記コード読取手段によって読み取られ、前記携帯端末から送信された前記個体識別情報、前記時刻、及び前記認証情報を受信し、受信した前記個体識別情報、前記時刻に基づいて前記位置管理サーバーの前記認証手段で再計算した認証情報と、受信した前記認証情報とを照合し、両者の認証情報が一致し、かつ、前記位置管理サーバーが受信した時の時刻と、前記携帯端末から送信された前記時刻との時間差が所定時間以下であることを条件として、前記個体識別情報に対応する前記位置情報を前記記憶手段から取得して位置通知成功と為し、一方、前記認証情報が一致しなかった場合若しくは前記時間差が所定時間を超えている場合は、位置通知失敗として、それぞれ前記送受信手段によって前記携帯端末に通知する受信データ照合手段を、さらに備えたことを特徴とする表示装置を用いた位置通知システム。
【請求項4】
前記携帯端末が、携帯電話、PDA又はノート型パソコンのいずれかである請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置を用いた位置通知システム。
【請求項5】
前記認証情報がメッセージ認証コードである請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置を用いた位置通知システム。
【請求項6】
前記位置情報が、経度・緯度、住所、又は施設内の座席番号のいずれかである請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置を用いた位置通知システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−35622(P2011−35622A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179401(P2009−179401)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(503382357)株式会社NTTデータ・ソルフィス (3)
【Fターム(参考)】