有機薄膜トランジスタ
本発明は、有機物層を有する有機トランジスタが提供される。本発明の前記有機物層は、下記式1で表される化合物のうち少なくともいずれか1種を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機トランジスタに使われることができる新規な有機物質に関する。より詳しくは、有機薄膜トランジスタにおける半導体層と電極との間のオーム性電気的接触を高めることのできる有機化合物、前記有機化合物を含む有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタにおける前記化合物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜状の電界効果トランジスタ(field−effect transistor;FET)は、マイクロ電子工学分野において基礎となる構造体である。この種のFETは、3本の電極(つまり、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極)、絶縁層及び半導体層を有する。FETは、前記半導体層が前記2本の電極、つまり、ソース電極とドレイン電極との間の導電性チャンネルである場合にキャパシタとしての働きをする。前記チャンネルにおける電荷キャリアの濃度は、ゲート電極を介して印加される電圧によって調節され、その結果、ソース電極とドレイン電極との間の電気電荷の流れは、前記ゲート電極を介して印加される電圧によって調節可能となる。
【0003】
近年、有機半導体の物質を用いるFETに高い関心が寄せられている。FETにおいて有機半導体の物質を用いる場合、スクリーン印刷、インクジェット印刷またはマイクロ接触印刷などの印刷方法により電子素子を製造することができる。また、これらの物質を用いる場合には、従来の通常の無機半導体の物質を用いるときに比べて、極めて低い基板温度条件下で、且つ、真空がほとんど不要になる状態でも工程を行うことができる。このため、FETを含めて有機半導体の物質を用いる電子素子は、無機半導体性の物質を用いる場合に比べてその製造条件が極めて柔軟であり、しかもコストダウンが図れる。
【0004】
1980年代以降には、微細分子、高分子及びオリゴマーなどの有機物質をFETにおける有機半導体性の物質として用いることを目指して研究が進んでいた。この分野における研究の結果、FETにおける電荷キャリアの移動性の観点からは、有機FETのパフォーマンスが10−5cm2/Vsから1cm2/Vsへと高まっている( J.M.Shaw,P.F.Seidler,IBM J.Res.& Dev.. Vol.45, 3(2001))。 有機トランジスタのパフォーマンスは、現在のところ、無定形シリコントランジスタのそれに匹敵するほどであり、その結果、このような有機トランジスタは、電子紙、スマートカードまたはディスプレイ装置へまで適用可能である。
【0005】
半導体性有機物質を用いて製造できる主たる電子素子としては、有機発光ダイオード、有機太陽電池及び有機トランジスタが挙げられる。この種の素子において、前記半導体性有機物質と電極との間の電気的な接続は、前記素子のパフォーマンスを高める上で極めて重要である。例えば、有機発光ダイオードのパフォーマンスを高めるために、半導体層と電極との間に正孔注入層や電子注入層などの電荷キャリア注入層が導入される。たとえ、有機トランジスタの動作方式が前記有機発光ダイオードの作動方式とは異なるとしても、有機トランジスタにおける前記半導体層とソース及びドレイン電極間の電気的な接続は、前記有機トランジスタのパフォーマンスにかなり影響する。
【0006】
一方、有機トランジスタのパフォーマンスは、ソース/ドレイン物質によるということが報告されている(Y.Y. Lin et al. Materials Research Society Symposium Proceedings (1996),413 (Electrical. Optical. and Magnetic Properties of Organic Solid State Materials III), 413−418. CODEN: MRSPDH ISSN: 0272−9172)。これらの報告によれば、比較的に低い仕事関数を有する金属(例えば、Al)は有機トランジスタの電極としてかなり低いパフォーマンスを示すのに対し、高い仕事関数を有する金属(例えば、P d,Pt,およびAu)は優れたパフォーマンスを示す。このため、ほとんどの有機トランジスタにおいては、金などの高い仕事関数を有する金属がソース/ドレイン電極として使われている。しかしながら、このように高い仕事関数を有する金属は貴金属に相当するために高価であり、且つ、工業的な方法によっては工程が行い難いため、有機トランジスタにおけるこれらの適用及びその構造が制限的である。
【発明の開示】
【0007】
そこで、本発明者らは、有機トランジスタにおける前記半導体層とソースまたはドレイン電極との間の電気的な接続を高めることのできる方法に取り組んできた。
【0008】
また、有機トランジスタのソース電極やドレイン電極用材料として、安価な物質を使用可能にする方法にも取り組んできた。つまり、前記有機トランジスタのソース電極やドレイン電極用材料として、仕事関数が比較的に低くても安価な物質が使えるように研究を進めてきた。
【発明の具体的な開示】
【0009】
本発明は、半導体層とソース電極及びドレイン電極のうち何れか1種との間にて安定した界面を形成することで、前記半導体層と前記電極との間のオーム性電気的な接続が容易に行えると共に、有機トランジスタのパフォーマンスが高められる有機物質を含む有機トランジスタを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記半導体性層とソース電極及びドレイン電極のうちいずれか1種との間に有機物層を導入することにより、前記ソース電極若しくはドレイン電極の材料として各種多様な導電性物質が使える有機トランジスタを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、下記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機物層を有する有機トランジスタを提供する。
【化1】
【0012】
さらに、本発明は、半導体層とソース電極及びドレイン電極のうち少なくとも何れか1種との間に挟み込まれた有機物層を含む有機トランジスタであって、前記有機物層は、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機トランジスタを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、半導体層とソース/ドレイン電極との間の電気的な接続を高めるために、前記半導体層と前記ソース電極及びドレイン電極のうちいずれか1種との間に有機物層を挟み込む段階を含む有機トランジスタの製造方法であって、前記有機物層は、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む製造方法を提供する。
【0014】
以下、本発明について詳述する。
【0015】
以下では、本発明を説明するに当たり、最も適切であると考えられる好適な実施の形態だけを中心に説明している。しかし、通常、本発明の範囲を逸脱しない範囲内であれば、本発明に対する様々でかつ自明な変形が可能となることは言うまでもない。
【0016】
本発明は、下記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機物層が半導体層とソース電極及びドレイン電極のうち少なくとも何れか1種との間に挟み込まれている有機トランジスタを提供する。
【化2】
【0017】
前記式1において、前記R1−R6は、それぞれ独立的に、水素、ハロゲン、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO2)、スルフォニル(−SO2R)、スルホキシド(SOR)、スルホンアミド(−SO2NR)、スルフォネート(−SO3R)、トリフルオロメチル(−CF3)、エステル(CO−OR)、アミド(−CO−NHR又は−CO−NRR’)、置換または未置換の直鎖状若しくは枝状C1−C12のアルコキシ、置換または未置換の直鎖状若しくは枝状C1−C12のアルキル、置換または未置換の芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物、置換または未置換のアリール、置換または未置換のモノ−又はジ−アリールアミン及び置換または未置換のアルキル−置換または未置換のアリールアミンからなる群より選ばれる。
【0018】
前記置換基において、R及びR’は、例えば、置換または未置換のC1−C60アルキル、置換または未置換のアリール、置換または未置換の5−7原子のヘテロ環化合物である。前記置換されたC1−C60のアルキル、アリール及びヘテロ環化合物は、選択的に、1以上のアミン、アミド、エーテル及びエステル基に置換可能である。一方、前記R1−R6は、それぞれ独立的に、置換または未置換の電子吸引基から選ばれたことであることができるのに、これは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって公知である。
【0019】
前記アリール基は、フェニル、バイフェニル、テルフェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、テトラセニル、ペンタセニル、ペリレリル及びコロネニル基を含み、これらは単独または多重的に置換または未置換されたものである。
【0020】
前記式1で表される化合物の非制限的な例として、下記式2aないし2gで表される化合物が挙げられる。
【化3−1】
【化3−2】
【0021】
以下、添付した図面に基づき、本発明について詳述する。
【0022】
図1に示すように、有機トランジスタは、ソース電極15、ドレイン電極11及びゲート電極16と呼ばれる3本の端子を有する電子素子である。斯かる有機トランジスタについては、多数の様々な構造が存在する。本発明を用いる幾つかの例が図2ないし図4に示してある。図1を参照すれば、基板13の上にゲート電極16がパターニングされ、その上に絶縁層12が形成される。次いで、前記絶縁層12の上に半導体(p型若しくはn型)層14が形成された後、前記半導体層14と絶縁層12の上にソース/ドレイン電極が形成される。
【0023】
本発明の一例によれば、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機物層17は、半導体層14とソース電極及びドレイン電極との間(図2)、半導体層14とソース電極15との間(図3)、または半導体層14とドレイン電極11との間(図4)に挟み込まれる。ゲート電極16に電圧を印加することにより、電荷キャリアが半導体層14に形成される。例えば、負のゲート電圧を用いることにより、正電荷キャリア(正孔)がp型半導体層に形成可能となり、正のゲート電圧を用いることにより、電荷キャリア(電子)がn型半導体層に形成可能となる。半導体層における電荷キャリアの密度はゲート電圧により調節されることができるので、その結果、ソース電極とドレイン電極との間の電流の流れはゲート電極への印加電圧により調節可能となる。
【0024】
また、図面には示していないが、他の具現例によれば、本発明による有機トランジスタは、基板13に配置されたゲート電極16、前記ゲート電極16と基板13の上に配置された絶縁層12、前記絶縁層12の上に配置されたソース電極15とドレイン電極11、前記絶縁層12の上に配置された半導体層14及び半導体層14とソース電極15及びドレイン電極11間、半導体層14とソース電極15間、または半導体層14とドレイン電極11間に挟み込まれた有機物層17を含む。
【0025】
他の具現例によれば、本発明による有機トランジスタは、基板13に配置されたソース電極15とドレイン電極11、前記基板13及び前記ソース電極15とドレイン電極11の上に配置された半導体層14、前記半導体層14の上に配置された絶縁層12、前記絶縁層12に配置されたゲート電極16及び半導体層14とソース電極15及びドレイン電極11間、半導体層14とソース電極15間、または、半導体層14とドレイン電極11間に挟み込まれた有機物層17を含む。
【0026】
本発明のさらに他の具現例によれば、本発明による有機トランジスタは、基板13に配置された半導体層14、前記半導体層14に配置されたソース電極15とドレイン電極11、前記半導体層14及び前記ソース電極15とドレイン電極11の上に配置された絶縁層12、前記絶縁層12に配置されたゲート電極16及び半導体層14とソース電極15及びドレイン電極11間、半導体層14とソース電極15間、または、半導体層14とドレイン電極11間に挟み込まれた有機物層17を含む。
【0027】
以下、有機トランジスタに使われる夫々の構成要素及び本発明の効果について詳述する。
【0028】
基板
有機トランジスタのための熱力学的及び機械的な要求事項を満足するガラス、半導体ウェーハ、金属酸化物、セラミックス物質及びプラスチックなどが使用可能である。例えば、ガラスまたはプラスチックが基板13として使われる。
【0029】
ゲート電極
導電性物質がゲート電極16として使用でき、このような導電性物質の非制限的な例としては、炭素、アルミニウム、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、銀、金、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、錫、鉛、金属類似物及び前記金属の合金;p型またはn型ドープシリコン;酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物及び錫類似酸化物または錫酸化物インジウム系複合化合物;ZnO:Al,SnO2:Sbなどの酸化物と金属の混合物;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン]、ポリピロール及びポリアニリンなどの導電性高分子を含む。
【0030】
絶縁層
絶縁層12に使用可能な絶縁物質の非制限的な例としては、シリコン酸化物、またはシリコン窒化物などのシリコン化合物;及びポリイミド、ポリ(2−ビニールピリジン)、ポリ(4−ビニールフェノール)、またはポリメチルメタクリレートなどのプラスチック絶縁体を含む。
【0031】
半導体層
半導体層14として使用可能なものとしては、2通りがあるが 、例えば、p型及びn型有機半導体物質が挙げられる。P型有機半導体の物質においては正孔が電荷キャリアであり、n型有機半導体の物質においては電子が電荷キャリアである。P型有機半導体性の物質の非制限的な例としては、ペンタセン、アントラジチオフェン、ベンゾチオフェン、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン、チオフェンオリゴマーの下位単位混合物、酸素機能基が結合されたチオフェンオリゴマーなどがある(H. E. Katz et al., Acc. Chem. Res. 34, 359(2001))。N型有機半導体の物質としては、例えば、フルオロ化メタルフタロシアニン(Z. Bao, J. Am. Chem. Soc. 120, 207(1998))、ペルフルオロアリン−変形されたポリチオフェン(A. Facchetti, Angew. Chem. Int. Ed. 42, 3900(2003))などが挙げられる。
【0032】
有機物層
有機物層17は、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む。有機物層17を導入することにより、半導体層14とソース電極15/ドレイン電極11間、ソース電極15間またはドレイン電極11間のオーム接触性が高まる。このため、有機トランジスタにおける駆動電圧及び電荷キャリアの移動性は、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機物層17により高められる。
【0033】
ソース/ドレイン電極
導電性物質がソース/ドレイン電極として使用できるが、このような導電性物質の非制限的な例としては、炭素、アルミニウム、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、銀、金、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、錫、鉛、ネオジウム、白金、金属類似物及び前記金属の合金;p型またはn型ドープシリコン;酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物及び錫類似酸化物または錫酸化物インジウム系複合化合物;ZnO:Al,SnO2:Sbなどの酸化物と金属の混合物;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン]、ポリピロール及びポリアニリンなどの導電性高分子が挙げられる。
【0034】
また、ソース/ドレイン電極用物質は、電荷キャリアの注入バリアを減らし、有機物層とオーム接触を形成するための適宜な仕事関数を有する。半導体層14としてp型物質が使われる場合、ソース/ドレイン電極物質の仕事関数は、p型有機物質のHOMOエネルギー準位に対応、または極めて近接する必要がある。このため、パラジウム、白金及び金のように極めて大きな仕事関数を有する金属がソース/ドレイン電極として好適である。一方、半導体層14としてn型物質が使われる場合、ソース/ドレイン電極物質の仕事関数は、n型有機物質のLUMOエネルギー準位に対応、または極めて近接する必要がある。このため、アルミニウムなどのように小さな仕事関数を有する金属がソース/ドレイン電極として好適である。
【0035】
しかし、本発明によって、有機物層17を有する場合有機トランジスタのパフォーマンスは、ソース/ドレイン電極物質への種類にあまり影響を受けない。これにより、スクリーン印刷、リール・ツー・リール工程(J.A. Rogers et al., Adv. Mater. 11, 741 (1999))、マイクロ接触印刷などを含む各種の方法により有機トランジスタが製造可能である。このため、前記有機物層17を取り入れることで、有機トランジスタのパフォーマンスを落とすことなく、各種の電極物質をソース/ドレイン電極として使用することができる。
【0036】
例えば、前記式1で表される化合物を含む有機物層を用いることにより、図6の構造においてアルミニウムをソース/ドレイン電極として使用可能となる。図6から明らかなように、フォトリソグラフィ技術及びエッチング方法によりアルミニウムをパターニングしてソース電極15/ドレイン電極11の配列を容易に行える。また、スクリーン印刷が行える導電性インクの一つである銀ペーストをスクリーン印刷法によりソース/ドレイン電極にパターニングして用いることができる。
【0037】
本発明による有機トランジスタは半導体層とソース/ドレイン電極の間に化学式1に表される化合物の中少なくともいずれか1種を含む有機物層を取り入れることで前記半導体層とソース/ドレイン電極の間の電気的接触を高める。その結果, 前記有機トランジスタのソース電極やドレイン電極用材料として仕事関数が比較的低いとしても安価で加工性が優秀な物質を使用することができる。
【0038】
発明を実施するための最良の形態
<実施例1>
電界効果トランジスタは、図2及び図5に示すように、逆スタッガッドの構造に製造された。基板13としては、ITOガラスが使われた。ゲート電極16としては、ITO電極がパターニングされた。ゲート誘電体または絶縁層12は、2000rpmにてポリ−4−ビニールフェノール(PVP)溶液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)にて15重量%)をスピンコートし、200℃にて2時間硬化させて製造された。PVPゲート絶縁層の膜厚は、922nmであった。半導体層14は、前記PVP絶縁層12の上に形成された。ペンタセンがp型半導体物質として使われる。ペンタセン半導体層14は、1x10−6Torrの基本圧力条件下で0.5Å/sの速度にて蒸着された。前記ペンタセン層の膜厚は、100nmであった。有機物層17及び金(Au)からなるソース電極15/ドレイン電極11は、夫々、図2に示すように、シャドウマスクによってペンタセン膜の上に蒸着された。図2に示すように、金電極15,11を蒸着する前に、前記有機物層17を前記ペンタセン膜の上に蒸着した。前記式2aで表される化合物が有機物層17として使われた。有機物層17は、1x10−6Torrの基本圧力条件下で0.5Å/sの速度にて蒸着され、前記有機物層17の膜厚は、40nmであった。図5に示すように、前記有機FETのチャンネル長L及び幅Wは、前記有機トランジスタのパフォーマンスにかなり影響する。本発明の実施例によれば、図5における前記有機FETのチャンネル長と幅は、夫々2mmと50μmであった。
【0039】
幾つかののゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDS特性を示すグラフが図7に示してある。ペンタセントランジスタ(VDS=−50V)における、VGに対する前記(IDS)1/2の特性は、図11及び12に示してある。ドレイン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.16cm2/Vsとして計算される。
【0040】
<実施例2>
ソース/ドレイン電極として金(Au)の代わりにアルミニウム(Al)を使用した以外は、実施例1の方法と同様にして素子を製造した。
【0041】
幾つかのゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性を示すグラフが図8に示してある。ペンタセントランジスタ(VDS=−50V)における、VGに対する前記(IDS)1/2の特性は、図12に示してある。ドレイン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.18cm2/Vsとして計算される。
【0042】
<比較例1>
図1に示すように、有機物層17を形成しなかった以外は、比較例1の方法と同様にして素子を製造した。
【0043】
幾つかのゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性を示すグラフが図9に示してある。ペンタセントランジスタ(VDS=−50V)における、VGに対する前記(IDS)1/2の特性は、図11に示してある。ドレイン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.07cm2/Vsとして計算される。
【0044】
<比較例2>
ソース/ドレイン電極として金(Au)の代わりにアルミニウム(Al)を使用した以外は、比較例1の方法と同様にして素子を製造した。
【0045】
幾つかのゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性を示すグラフが図10に示してある。前記素子は、極めて低くて不安定なトランジスタ特性を示すということが分かる。
【0046】
同じゲートバイアス下で、ペンタセンと金電極との間に有機物層17が配置されたトランジスタの場合(図7)には、前記有機物層17なしトランジスタの場合(図9)と比較して、より高いソース−ドレイン電流値を有する。有機物層有りの場合とそうでない場合のペンタセントランジスタにおける、VGに対する前記(IDS)1/2の特性を示すグラフが図11に示してある。図11においては、有機トランジスタにおいて有機物層17を用いる場合、VGの範囲が0V〜-140Vとなり、素子のパフォーマンスが2倍以上高まったことが分かる。
【0047】
また、有機物層17を有する有機トランジスタは、ソース/ドレイン電極物質として金またはアルミニウムを用いたときに同等のパフォーマンスを示した(図7、図8及び図12参照)。図11及び図12は、リソグラフィ技術を用いて有機トランジスタの構造(レイアウト)を形成するに当たり、半導体層とソース及び/またはドレイン電極間に有機物層が挟み込まれる場合のメリットが明確に示されている。
【0048】
産業上の利用可能性
本発明による有機トランジスタは、半導体層とソース/ドレイン電極との間の電気的な接続に優れていることから、電機電子素子の構成部品として広く使用可能である。特に、本発明による有機トランジスタは、電子紙、スマートカードまたはディスプレイ装置へまで適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】有機トランジスタの断面の概略図である。
【図2】本発明の実施例による有機物層を有する有機トランジスタの夫々の断面の概略図である。
【図3】本発明の実施例による有機物層を有する有機トランジスタの夫々の断面の概略図である。
【図4】本発明の実施例による有機物層を有する有機トランジスタの夫々の断面の概略図である。
【図5】本発明の実施例に従い製造された、図2における有機物層を有する有機トランジスタの上面の概略図である。
【図6】本発明の実施例による有機トランジスタの断面の概略図である。
【図7】各々実施例1、2または比較例1、2にて製造された有機薄膜トランジスタで特定ゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性グラフである。
【図8】各々実施例1、2または比較例1、2にて製造された有機薄膜トランジスタで特定ゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性グラフである。
【図9】各々実施例1、2または比較例1、2にて製造された有機薄膜トランジスタで特定ゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性グラフである。
【図10】各々実施例1、2または比較例1、2にて製造された有機薄膜トランジスタで特定ゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性グラフである。
【図11】ペンタセントランジスタにおける、VGに対する(IDS)1/2の特性グラフである。
【図12】ペンタセントランジスタにおける、VGに対する(IDS)1/2の特性グラフである。
【符号の説明】
【0050】
11:ドレイン電極 12:絶縁層
13:基板 14:半導体層
15:ソース電極 16:ゲート電極
17:有機物層 W:有機トランジスタチャンネルの幅
L:有機トランジスタチャンネルの長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機トランジスタに使われることができる新規な有機物質に関する。より詳しくは、有機薄膜トランジスタにおける半導体層と電極との間のオーム性電気的接触を高めることのできる有機化合物、前記有機化合物を含む有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタにおける前記化合物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜状の電界効果トランジスタ(field−effect transistor;FET)は、マイクロ電子工学分野において基礎となる構造体である。この種のFETは、3本の電極(つまり、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極)、絶縁層及び半導体層を有する。FETは、前記半導体層が前記2本の電極、つまり、ソース電極とドレイン電極との間の導電性チャンネルである場合にキャパシタとしての働きをする。前記チャンネルにおける電荷キャリアの濃度は、ゲート電極を介して印加される電圧によって調節され、その結果、ソース電極とドレイン電極との間の電気電荷の流れは、前記ゲート電極を介して印加される電圧によって調節可能となる。
【0003】
近年、有機半導体の物質を用いるFETに高い関心が寄せられている。FETにおいて有機半導体の物質を用いる場合、スクリーン印刷、インクジェット印刷またはマイクロ接触印刷などの印刷方法により電子素子を製造することができる。また、これらの物質を用いる場合には、従来の通常の無機半導体の物質を用いるときに比べて、極めて低い基板温度条件下で、且つ、真空がほとんど不要になる状態でも工程を行うことができる。このため、FETを含めて有機半導体の物質を用いる電子素子は、無機半導体性の物質を用いる場合に比べてその製造条件が極めて柔軟であり、しかもコストダウンが図れる。
【0004】
1980年代以降には、微細分子、高分子及びオリゴマーなどの有機物質をFETにおける有機半導体性の物質として用いることを目指して研究が進んでいた。この分野における研究の結果、FETにおける電荷キャリアの移動性の観点からは、有機FETのパフォーマンスが10−5cm2/Vsから1cm2/Vsへと高まっている( J.M.Shaw,P.F.Seidler,IBM J.Res.& Dev.. Vol.45, 3(2001))。 有機トランジスタのパフォーマンスは、現在のところ、無定形シリコントランジスタのそれに匹敵するほどであり、その結果、このような有機トランジスタは、電子紙、スマートカードまたはディスプレイ装置へまで適用可能である。
【0005】
半導体性有機物質を用いて製造できる主たる電子素子としては、有機発光ダイオード、有機太陽電池及び有機トランジスタが挙げられる。この種の素子において、前記半導体性有機物質と電極との間の電気的な接続は、前記素子のパフォーマンスを高める上で極めて重要である。例えば、有機発光ダイオードのパフォーマンスを高めるために、半導体層と電極との間に正孔注入層や電子注入層などの電荷キャリア注入層が導入される。たとえ、有機トランジスタの動作方式が前記有機発光ダイオードの作動方式とは異なるとしても、有機トランジスタにおける前記半導体層とソース及びドレイン電極間の電気的な接続は、前記有機トランジスタのパフォーマンスにかなり影響する。
【0006】
一方、有機トランジスタのパフォーマンスは、ソース/ドレイン物質によるということが報告されている(Y.Y. Lin et al. Materials Research Society Symposium Proceedings (1996),413 (Electrical. Optical. and Magnetic Properties of Organic Solid State Materials III), 413−418. CODEN: MRSPDH ISSN: 0272−9172)。これらの報告によれば、比較的に低い仕事関数を有する金属(例えば、Al)は有機トランジスタの電極としてかなり低いパフォーマンスを示すのに対し、高い仕事関数を有する金属(例えば、P d,Pt,およびAu)は優れたパフォーマンスを示す。このため、ほとんどの有機トランジスタにおいては、金などの高い仕事関数を有する金属がソース/ドレイン電極として使われている。しかしながら、このように高い仕事関数を有する金属は貴金属に相当するために高価であり、且つ、工業的な方法によっては工程が行い難いため、有機トランジスタにおけるこれらの適用及びその構造が制限的である。
【発明の開示】
【0007】
そこで、本発明者らは、有機トランジスタにおける前記半導体層とソースまたはドレイン電極との間の電気的な接続を高めることのできる方法に取り組んできた。
【0008】
また、有機トランジスタのソース電極やドレイン電極用材料として、安価な物質を使用可能にする方法にも取り組んできた。つまり、前記有機トランジスタのソース電極やドレイン電極用材料として、仕事関数が比較的に低くても安価な物質が使えるように研究を進めてきた。
【発明の具体的な開示】
【0009】
本発明は、半導体層とソース電極及びドレイン電極のうち何れか1種との間にて安定した界面を形成することで、前記半導体層と前記電極との間のオーム性電気的な接続が容易に行えると共に、有機トランジスタのパフォーマンスが高められる有機物質を含む有機トランジスタを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記半導体性層とソース電極及びドレイン電極のうちいずれか1種との間に有機物層を導入することにより、前記ソース電極若しくはドレイン電極の材料として各種多様な導電性物質が使える有機トランジスタを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、下記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機物層を有する有機トランジスタを提供する。
【化1】
【0012】
さらに、本発明は、半導体層とソース電極及びドレイン電極のうち少なくとも何れか1種との間に挟み込まれた有機物層を含む有機トランジスタであって、前記有機物層は、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機トランジスタを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、半導体層とソース/ドレイン電極との間の電気的な接続を高めるために、前記半導体層と前記ソース電極及びドレイン電極のうちいずれか1種との間に有機物層を挟み込む段階を含む有機トランジスタの製造方法であって、前記有機物層は、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む製造方法を提供する。
【0014】
以下、本発明について詳述する。
【0015】
以下では、本発明を説明するに当たり、最も適切であると考えられる好適な実施の形態だけを中心に説明している。しかし、通常、本発明の範囲を逸脱しない範囲内であれば、本発明に対する様々でかつ自明な変形が可能となることは言うまでもない。
【0016】
本発明は、下記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機物層が半導体層とソース電極及びドレイン電極のうち少なくとも何れか1種との間に挟み込まれている有機トランジスタを提供する。
【化2】
【0017】
前記式1において、前記R1−R6は、それぞれ独立的に、水素、ハロゲン、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO2)、スルフォニル(−SO2R)、スルホキシド(SOR)、スルホンアミド(−SO2NR)、スルフォネート(−SO3R)、トリフルオロメチル(−CF3)、エステル(CO−OR)、アミド(−CO−NHR又は−CO−NRR’)、置換または未置換の直鎖状若しくは枝状C1−C12のアルコキシ、置換または未置換の直鎖状若しくは枝状C1−C12のアルキル、置換または未置換の芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物、置換または未置換のアリール、置換または未置換のモノ−又はジ−アリールアミン及び置換または未置換のアルキル−置換または未置換のアリールアミンからなる群より選ばれる。
【0018】
前記置換基において、R及びR’は、例えば、置換または未置換のC1−C60アルキル、置換または未置換のアリール、置換または未置換の5−7原子のヘテロ環化合物である。前記置換されたC1−C60のアルキル、アリール及びヘテロ環化合物は、選択的に、1以上のアミン、アミド、エーテル及びエステル基に置換可能である。一方、前記R1−R6は、それぞれ独立的に、置換または未置換の電子吸引基から選ばれたことであることができるのに、これは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって公知である。
【0019】
前記アリール基は、フェニル、バイフェニル、テルフェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、テトラセニル、ペンタセニル、ペリレリル及びコロネニル基を含み、これらは単独または多重的に置換または未置換されたものである。
【0020】
前記式1で表される化合物の非制限的な例として、下記式2aないし2gで表される化合物が挙げられる。
【化3−1】
【化3−2】
【0021】
以下、添付した図面に基づき、本発明について詳述する。
【0022】
図1に示すように、有機トランジスタは、ソース電極15、ドレイン電極11及びゲート電極16と呼ばれる3本の端子を有する電子素子である。斯かる有機トランジスタについては、多数の様々な構造が存在する。本発明を用いる幾つかの例が図2ないし図4に示してある。図1を参照すれば、基板13の上にゲート電極16がパターニングされ、その上に絶縁層12が形成される。次いで、前記絶縁層12の上に半導体(p型若しくはn型)層14が形成された後、前記半導体層14と絶縁層12の上にソース/ドレイン電極が形成される。
【0023】
本発明の一例によれば、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機物層17は、半導体層14とソース電極及びドレイン電極との間(図2)、半導体層14とソース電極15との間(図3)、または半導体層14とドレイン電極11との間(図4)に挟み込まれる。ゲート電極16に電圧を印加することにより、電荷キャリアが半導体層14に形成される。例えば、負のゲート電圧を用いることにより、正電荷キャリア(正孔)がp型半導体層に形成可能となり、正のゲート電圧を用いることにより、電荷キャリア(電子)がn型半導体層に形成可能となる。半導体層における電荷キャリアの密度はゲート電圧により調節されることができるので、その結果、ソース電極とドレイン電極との間の電流の流れはゲート電極への印加電圧により調節可能となる。
【0024】
また、図面には示していないが、他の具現例によれば、本発明による有機トランジスタは、基板13に配置されたゲート電極16、前記ゲート電極16と基板13の上に配置された絶縁層12、前記絶縁層12の上に配置されたソース電極15とドレイン電極11、前記絶縁層12の上に配置された半導体層14及び半導体層14とソース電極15及びドレイン電極11間、半導体層14とソース電極15間、または半導体層14とドレイン電極11間に挟み込まれた有機物層17を含む。
【0025】
他の具現例によれば、本発明による有機トランジスタは、基板13に配置されたソース電極15とドレイン電極11、前記基板13及び前記ソース電極15とドレイン電極11の上に配置された半導体層14、前記半導体層14の上に配置された絶縁層12、前記絶縁層12に配置されたゲート電極16及び半導体層14とソース電極15及びドレイン電極11間、半導体層14とソース電極15間、または、半導体層14とドレイン電極11間に挟み込まれた有機物層17を含む。
【0026】
本発明のさらに他の具現例によれば、本発明による有機トランジスタは、基板13に配置された半導体層14、前記半導体層14に配置されたソース電極15とドレイン電極11、前記半導体層14及び前記ソース電極15とドレイン電極11の上に配置された絶縁層12、前記絶縁層12に配置されたゲート電極16及び半導体層14とソース電極15及びドレイン電極11間、半導体層14とソース電極15間、または、半導体層14とドレイン電極11間に挟み込まれた有機物層17を含む。
【0027】
以下、有機トランジスタに使われる夫々の構成要素及び本発明の効果について詳述する。
【0028】
基板
有機トランジスタのための熱力学的及び機械的な要求事項を満足するガラス、半導体ウェーハ、金属酸化物、セラミックス物質及びプラスチックなどが使用可能である。例えば、ガラスまたはプラスチックが基板13として使われる。
【0029】
ゲート電極
導電性物質がゲート電極16として使用でき、このような導電性物質の非制限的な例としては、炭素、アルミニウム、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、銀、金、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、錫、鉛、金属類似物及び前記金属の合金;p型またはn型ドープシリコン;酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物及び錫類似酸化物または錫酸化物インジウム系複合化合物;ZnO:Al,SnO2:Sbなどの酸化物と金属の混合物;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン]、ポリピロール及びポリアニリンなどの導電性高分子を含む。
【0030】
絶縁層
絶縁層12に使用可能な絶縁物質の非制限的な例としては、シリコン酸化物、またはシリコン窒化物などのシリコン化合物;及びポリイミド、ポリ(2−ビニールピリジン)、ポリ(4−ビニールフェノール)、またはポリメチルメタクリレートなどのプラスチック絶縁体を含む。
【0031】
半導体層
半導体層14として使用可能なものとしては、2通りがあるが 、例えば、p型及びn型有機半導体物質が挙げられる。P型有機半導体の物質においては正孔が電荷キャリアであり、n型有機半導体の物質においては電子が電荷キャリアである。P型有機半導体性の物質の非制限的な例としては、ペンタセン、アントラジチオフェン、ベンゾチオフェン、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン、チオフェンオリゴマーの下位単位混合物、酸素機能基が結合されたチオフェンオリゴマーなどがある(H. E. Katz et al., Acc. Chem. Res. 34, 359(2001))。N型有機半導体の物質としては、例えば、フルオロ化メタルフタロシアニン(Z. Bao, J. Am. Chem. Soc. 120, 207(1998))、ペルフルオロアリン−変形されたポリチオフェン(A. Facchetti, Angew. Chem. Int. Ed. 42, 3900(2003))などが挙げられる。
【0032】
有機物層
有機物層17は、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む。有機物層17を導入することにより、半導体層14とソース電極15/ドレイン電極11間、ソース電極15間またはドレイン電極11間のオーム接触性が高まる。このため、有機トランジスタにおける駆動電圧及び電荷キャリアの移動性は、前記式1で表される化合物のうち少なくとも何れか1種を含む有機物層17により高められる。
【0033】
ソース/ドレイン電極
導電性物質がソース/ドレイン電極として使用できるが、このような導電性物質の非制限的な例としては、炭素、アルミニウム、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、銀、金、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、錫、鉛、ネオジウム、白金、金属類似物及び前記金属の合金;p型またはn型ドープシリコン;酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物及び錫類似酸化物または錫酸化物インジウム系複合化合物;ZnO:Al,SnO2:Sbなどの酸化物と金属の混合物;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン]、ポリピロール及びポリアニリンなどの導電性高分子が挙げられる。
【0034】
また、ソース/ドレイン電極用物質は、電荷キャリアの注入バリアを減らし、有機物層とオーム接触を形成するための適宜な仕事関数を有する。半導体層14としてp型物質が使われる場合、ソース/ドレイン電極物質の仕事関数は、p型有機物質のHOMOエネルギー準位に対応、または極めて近接する必要がある。このため、パラジウム、白金及び金のように極めて大きな仕事関数を有する金属がソース/ドレイン電極として好適である。一方、半導体層14としてn型物質が使われる場合、ソース/ドレイン電極物質の仕事関数は、n型有機物質のLUMOエネルギー準位に対応、または極めて近接する必要がある。このため、アルミニウムなどのように小さな仕事関数を有する金属がソース/ドレイン電極として好適である。
【0035】
しかし、本発明によって、有機物層17を有する場合有機トランジスタのパフォーマンスは、ソース/ドレイン電極物質への種類にあまり影響を受けない。これにより、スクリーン印刷、リール・ツー・リール工程(J.A. Rogers et al., Adv. Mater. 11, 741 (1999))、マイクロ接触印刷などを含む各種の方法により有機トランジスタが製造可能である。このため、前記有機物層17を取り入れることで、有機トランジスタのパフォーマンスを落とすことなく、各種の電極物質をソース/ドレイン電極として使用することができる。
【0036】
例えば、前記式1で表される化合物を含む有機物層を用いることにより、図6の構造においてアルミニウムをソース/ドレイン電極として使用可能となる。図6から明らかなように、フォトリソグラフィ技術及びエッチング方法によりアルミニウムをパターニングしてソース電極15/ドレイン電極11の配列を容易に行える。また、スクリーン印刷が行える導電性インクの一つである銀ペーストをスクリーン印刷法によりソース/ドレイン電極にパターニングして用いることができる。
【0037】
本発明による有機トランジスタは半導体層とソース/ドレイン電極の間に化学式1に表される化合物の中少なくともいずれか1種を含む有機物層を取り入れることで前記半導体層とソース/ドレイン電極の間の電気的接触を高める。その結果, 前記有機トランジスタのソース電極やドレイン電極用材料として仕事関数が比較的低いとしても安価で加工性が優秀な物質を使用することができる。
【0038】
発明を実施するための最良の形態
<実施例1>
電界効果トランジスタは、図2及び図5に示すように、逆スタッガッドの構造に製造された。基板13としては、ITOガラスが使われた。ゲート電極16としては、ITO電極がパターニングされた。ゲート誘電体または絶縁層12は、2000rpmにてポリ−4−ビニールフェノール(PVP)溶液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)にて15重量%)をスピンコートし、200℃にて2時間硬化させて製造された。PVPゲート絶縁層の膜厚は、922nmであった。半導体層14は、前記PVP絶縁層12の上に形成された。ペンタセンがp型半導体物質として使われる。ペンタセン半導体層14は、1x10−6Torrの基本圧力条件下で0.5Å/sの速度にて蒸着された。前記ペンタセン層の膜厚は、100nmであった。有機物層17及び金(Au)からなるソース電極15/ドレイン電極11は、夫々、図2に示すように、シャドウマスクによってペンタセン膜の上に蒸着された。図2に示すように、金電極15,11を蒸着する前に、前記有機物層17を前記ペンタセン膜の上に蒸着した。前記式2aで表される化合物が有機物層17として使われた。有機物層17は、1x10−6Torrの基本圧力条件下で0.5Å/sの速度にて蒸着され、前記有機物層17の膜厚は、40nmであった。図5に示すように、前記有機FETのチャンネル長L及び幅Wは、前記有機トランジスタのパフォーマンスにかなり影響する。本発明の実施例によれば、図5における前記有機FETのチャンネル長と幅は、夫々2mmと50μmであった。
【0039】
幾つかののゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDS特性を示すグラフが図7に示してある。ペンタセントランジスタ(VDS=−50V)における、VGに対する前記(IDS)1/2の特性は、図11及び12に示してある。ドレイン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.16cm2/Vsとして計算される。
【0040】
<実施例2>
ソース/ドレイン電極として金(Au)の代わりにアルミニウム(Al)を使用した以外は、実施例1の方法と同様にして素子を製造した。
【0041】
幾つかのゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性を示すグラフが図8に示してある。ペンタセントランジスタ(VDS=−50V)における、VGに対する前記(IDS)1/2の特性は、図12に示してある。ドレイン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.18cm2/Vsとして計算される。
【0042】
<比較例1>
図1に示すように、有機物層17を形成しなかった以外は、比較例1の方法と同様にして素子を製造した。
【0043】
幾つかのゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性を示すグラフが図9に示してある。ペンタセントランジスタ(VDS=−50V)における、VGに対する前記(IDS)1/2の特性は、図11に示してある。ドレイン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.07cm2/Vsとして計算される。
【0044】
<比較例2>
ソース/ドレイン電極として金(Au)の代わりにアルミニウム(Al)を使用した以外は、比較例1の方法と同様にして素子を製造した。
【0045】
幾つかのゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性を示すグラフが図10に示してある。前記素子は、極めて低くて不安定なトランジスタ特性を示すということが分かる。
【0046】
同じゲートバイアス下で、ペンタセンと金電極との間に有機物層17が配置されたトランジスタの場合(図7)には、前記有機物層17なしトランジスタの場合(図9)と比較して、より高いソース−ドレイン電流値を有する。有機物層有りの場合とそうでない場合のペンタセントランジスタにおける、VGに対する前記(IDS)1/2の特性を示すグラフが図11に示してある。図11においては、有機トランジスタにおいて有機物層17を用いる場合、VGの範囲が0V〜-140Vとなり、素子のパフォーマンスが2倍以上高まったことが分かる。
【0047】
また、有機物層17を有する有機トランジスタは、ソース/ドレイン電極物質として金またはアルミニウムを用いたときに同等のパフォーマンスを示した(図7、図8及び図12参照)。図11及び図12は、リソグラフィ技術を用いて有機トランジスタの構造(レイアウト)を形成するに当たり、半導体層とソース及び/またはドレイン電極間に有機物層が挟み込まれる場合のメリットが明確に示されている。
【0048】
産業上の利用可能性
本発明による有機トランジスタは、半導体層とソース/ドレイン電極との間の電気的な接続に優れていることから、電機電子素子の構成部品として広く使用可能である。特に、本発明による有機トランジスタは、電子紙、スマートカードまたはディスプレイ装置へまで適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】有機トランジスタの断面の概略図である。
【図2】本発明の実施例による有機物層を有する有機トランジスタの夫々の断面の概略図である。
【図3】本発明の実施例による有機物層を有する有機トランジスタの夫々の断面の概略図である。
【図4】本発明の実施例による有機物層を有する有機トランジスタの夫々の断面の概略図である。
【図5】本発明の実施例に従い製造された、図2における有機物層を有する有機トランジスタの上面の概略図である。
【図6】本発明の実施例による有機トランジスタの断面の概略図である。
【図7】各々実施例1、2または比較例1、2にて製造された有機薄膜トランジスタで特定ゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性グラフである。
【図8】各々実施例1、2または比較例1、2にて製造された有機薄膜トランジスタで特定ゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性グラフである。
【図9】各々実施例1、2または比較例1、2にて製造された有機薄膜トランジスタで特定ゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性グラフである。
【図10】各々実施例1、2または比較例1、2にて製造された有機薄膜トランジスタで特定ゲート電圧VGにおける、ドレイン−ソース電圧VDSに対するドレイン−ソース電流IDSの特性グラフである。
【図11】ペンタセントランジスタにおける、VGに対する(IDS)1/2の特性グラフである。
【図12】ペンタセントランジスタにおける、VGに対する(IDS)1/2の特性グラフである。
【符号の説明】
【0050】
11:ドレイン電極 12:絶縁層
13:基板 14:半導体層
15:ソース電極 16:ゲート電極
17:有機物層 W:有機トランジスタチャンネルの幅
L:有機トランジスタチャンネルの長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機トランジスタであって、
半導体層と、ソース電極及びドレイン電極の何れか一種との間に挟み込まれた有機物層とを備えてなり、
前記有機物層が、下記式1:
【化1】
で表されるうち少なくとも一種の化合物を包含する、有機トランジスタ。
【請求項2】
前記有機物層が、前記半導体層と前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間のいずれにも挟み込まれてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項3】
前記有機トランジスタが、
基板と、
前記基板に配置されたゲート電極と、
前記ゲート電極と基板の上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の上に配置された半導体層と、
前記半導体層と前記絶縁層の上に配置されたソース電極及びドレイン電極とをさらに備えてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項4】
前記有機トランジスタが、
基板と、
前記基板に配置されたゲート電極と、
前記ゲート電極と基板の上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の上に配置されたソース電極及びドレイン電極と、
前記絶縁層と前記ソース電極及びドレイン電極の上に配置された半導体層と、をさらに備えてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項5】
前記有機トランジスタが、
基板と、
前記基板の上に配置されたソース電極及びドレイン電極と、
前記基板と前記ソース電極及びドレイン電極の上に配置された半導体層と、
前記半導体層の上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層に配置されたゲート電極とをさらに備えてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項6】
前記有機トランジスタが、
基板と、
前記基板に配置された半導体層と、
前記半導体層に配置されたソース電極及びドレイン電極と、
前記半導体層と前記ソース電極及びドレイン電極の上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層に配置されたゲート電極とをさらに備えてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項7】
前記ソース電極またはドレイン電極が、アルミニウム、銀、金、ネオジウム、パラジウム、白金、またはこれらの合金である、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項8】
前記ソース電極またはドレイン電極が、アルミニウムまたは銀を含む複合物質である、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項9】
前記式1で表される化合物は、下記式2aないし2gのいずれか一種のものである、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【化2−1】
【化2−2】
【請求項10】
有機トランジスタの製造方法であって、
半導体層と、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一つの間に有機物層を挟み込む、前記半導体層と、前記ソース電極又はドレイン電極との間の電気的な接続を向上させることを含んでなり、
ここで、前記有機物層が、下記式1:
【化3】
で表される化合物の少なくとも一種を包含してなる、方法。
【請求項11】
前記有機物層が、前記半導体層と前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間にいずれも挟み込まれてなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基板にゲート電極を形成し、
前記ゲート電極と基板の上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層の上に半導体層を形成し、
前記半導体層と前記絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
基板にゲート電極を形成し、
前記ゲート電極と基板の上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極を形成し、
前記絶縁層と前記ソース電極及びドレイン電極の上に半導体層を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
基板の上にソース電極及びドレイン電極を形成し、
前記基板と前記ソース電極及びドレイン電極の上に半導体層を形成し、
前記半導体層の上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層にゲート電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
基板に半導体層を形成し、
前記半導体層にソース電極及びドレイン電極を形成し、
前記半導体層と前記ソース電極及びドレイン電極の上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層にゲート電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記式1で表される化合物は、下記式2aないし2gのいずれか一種である、請求項10に記載の方法。
【化4−1】
【化4−2】
【請求項17】
アルミニウム、銀、金、ネオジウム、パラジウム、白金及びこれらの合金の何れか一種を用いて、前記ソース電極及びドレイン電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
アルミニウムまたは銀を含む複合物質により、前記ソース電極及びドレイン電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
19.下記式1:
【化5】
で表される化合物の少なくとも一1種を包含してなる有機物層を含んでなる、有機トランジスタ。
【請求項1】
有機トランジスタであって、
半導体層と、ソース電極及びドレイン電極の何れか一種との間に挟み込まれた有機物層とを備えてなり、
前記有機物層が、下記式1:
【化1】
で表されるうち少なくとも一種の化合物を包含する、有機トランジスタ。
【請求項2】
前記有機物層が、前記半導体層と前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間のいずれにも挟み込まれてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項3】
前記有機トランジスタが、
基板と、
前記基板に配置されたゲート電極と、
前記ゲート電極と基板の上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の上に配置された半導体層と、
前記半導体層と前記絶縁層の上に配置されたソース電極及びドレイン電極とをさらに備えてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項4】
前記有機トランジスタが、
基板と、
前記基板に配置されたゲート電極と、
前記ゲート電極と基板の上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層の上に配置されたソース電極及びドレイン電極と、
前記絶縁層と前記ソース電極及びドレイン電極の上に配置された半導体層と、をさらに備えてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項5】
前記有機トランジスタが、
基板と、
前記基板の上に配置されたソース電極及びドレイン電極と、
前記基板と前記ソース電極及びドレイン電極の上に配置された半導体層と、
前記半導体層の上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層に配置されたゲート電極とをさらに備えてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項6】
前記有機トランジスタが、
基板と、
前記基板に配置された半導体層と、
前記半導体層に配置されたソース電極及びドレイン電極と、
前記半導体層と前記ソース電極及びドレイン電極の上に配置された絶縁層と、
前記絶縁層に配置されたゲート電極とをさらに備えてなる、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項7】
前記ソース電極またはドレイン電極が、アルミニウム、銀、金、ネオジウム、パラジウム、白金、またはこれらの合金である、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項8】
前記ソース電極またはドレイン電極が、アルミニウムまたは銀を含む複合物質である、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【請求項9】
前記式1で表される化合物は、下記式2aないし2gのいずれか一種のものである、請求項1に記載の有機トランジスタ。
【化2−1】
【化2−2】
【請求項10】
有機トランジスタの製造方法であって、
半導体層と、ソース電極及びドレイン電極の少なくとも一つの間に有機物層を挟み込む、前記半導体層と、前記ソース電極又はドレイン電極との間の電気的な接続を向上させることを含んでなり、
ここで、前記有機物層が、下記式1:
【化3】
で表される化合物の少なくとも一種を包含してなる、方法。
【請求項11】
前記有機物層が、前記半導体層と前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間にいずれも挟み込まれてなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基板にゲート電極を形成し、
前記ゲート電極と基板の上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層の上に半導体層を形成し、
前記半導体層と前記絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
基板にゲート電極を形成し、
前記ゲート電極と基板の上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層の上にソース電極及びドレイン電極を形成し、
前記絶縁層と前記ソース電極及びドレイン電極の上に半導体層を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
基板の上にソース電極及びドレイン電極を形成し、
前記基板と前記ソース電極及びドレイン電極の上に半導体層を形成し、
前記半導体層の上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層にゲート電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
基板に半導体層を形成し、
前記半導体層にソース電極及びドレイン電極を形成し、
前記半導体層と前記ソース電極及びドレイン電極の上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層にゲート電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記式1で表される化合物は、下記式2aないし2gのいずれか一種である、請求項10に記載の方法。
【化4−1】
【化4−2】
【請求項17】
アルミニウム、銀、金、ネオジウム、パラジウム、白金及びこれらの合金の何れか一種を用いて、前記ソース電極及びドレイン電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
アルミニウムまたは銀を含む複合物質により、前記ソース電極及びドレイン電極を形成することをさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
19.下記式1:
【化5】
で表される化合物の少なくとも一1種を包含してなる有機物層を含んでなる、有機トランジスタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−520075(P2007−520075A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550964(P2006−550964)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000449
【国際公開番号】WO2005/078805
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000449
【国際公開番号】WO2005/078805
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】
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