説明

未加硫タイヤへの描線方法及び装置

【課題】掠れやムラを生じさせず、所期の標識線を描くことができ、トレッド部をリボン製法で構成した場合でも、ゴムストリップの巻回層間の隙間に塗料が染み込んでしまうことがなく、製品タイヤの品質を高度に確保することができる、未加硫タイヤへの描線方法を提供する。
【解決手段】本発明の未加硫タイヤへの描線方法は、成型ドラムの回転軸と平行な軸を中心に回転可能且つ変位可能であり、温度制御可能なステッチングローラを有するステッチング手段を用いてタイヤのトレッド部の描線位置を平滑にした後、変位可能な描線手段を用いて、描線位置に標識線を描くことを特徴とする。また、本発明の未加硫タイヤへの描線装置は、上記ステッチング手段と上記描線装置とを具えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫タイヤへの描線方法及び装置、詳細には、成型ドラムの外周面上に配置された、未加硫タイヤのトレッド部の外周面に塗料を塗布して、該トレッド部の周方向に延びる標識線を描く描線方法及び装置、なかでも、トレッド部の外周面に、リボン製法等に起因する凹凸が発生した場合であっても、掠れやムラを生じさせることなく、所期した通りの標識線を描くことができる未加硫タイヤへの描線方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製品タイヤの種類やサイズを識別しやすくすることを目的として、未加硫タイヤのトレッド部にあたる部材の外周面に塗料を塗布し、タイヤの種類やサイズに応じて異ならせた種々の色彩及び太さの標識線を1本または複数本配してから加硫を行うことによって、加硫後の視認による識別を容易化する手法がある。
【0003】
これに関して、例えば、特許文献1では、「制御装置を介して駆動制御されるモーターにより作動されるポンプにより塗布ローラにペイントを供給することを特徴とする移動中の長尺帯状部材に標識線を施すための標識線塗布装置。」が記載されており、これによれば、「塗布ローラの溝に供給されるペイントをポンプにより積極的に送りだすようにしたので、常に一定した量のペイントを塗布ローラの溝に供給することができ、従って、正確で鮮明な標識線を形成することができる。トレッド材等長尺帯状部材の移動速度或いはペイントの粘度等の変化に応じて自動的にポンプにより送りだされるペイント量を調整することができるので、常に一定した正確で鮮明な標識線を形成することができる。」とする。
【0004】
しかしながら、上記装置を用いて標識線を施す場合、長尺帯状部材の長手方向両端部で掠れや塗料過多によるムラが生じてしまうおそれがある。
【0005】
また近年では、未加硫タイヤの成型方法として、圧延された細かいリボン状のゴムストリップを、成型ドラムの外周側で複数回巻き回すことによって所要のタイヤ構成部材を形成する、いわゆるリボン製法が広く実施されつつあるものの、この製法では、予め用意された長尺帯状部材を用いることがないため、特許文献1に記載された装置は、このリボン製法に適用させることができない。
【0006】
さらに、成型ドラム上の未加硫タイヤのトレッド部の外周面上で塗布ローラを回転させることによって塗料を塗布する描線方法等もあるが、上記リボン製法では、リボン状のゴムストリップの積層巻回によってトレッド部の外周面に凹凸が生じてしまうため、塗布ローラを用いた通常の描線方法等では、該凹凸によって標識線の掠れやムラが生じてしまい、精密な標識線を描くことができない。
【0007】
加えて、このようなリボン製法によって構成された未加硫タイヤでは、積層されたリボン状のゴムストリップの巻回層間に隙間が存在するため、例えば、インクジェットプリンタを用いて塗料をトレッドの表面に吹き付けるインク噴霧法や、塗料を表面に垂らすインク滴下法によって標識線を施す場合、その隙間に塗料が染み込んでしまい、加硫後の製品タイヤの外観を損ねてしまうというおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−154680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、トレッド部の外周面に凹凸がある場合でも、掠れやムラを生じさせることなく、所期した通りの標識線を描くことができるとともに、未加硫タイヤのトレッド部をリボン製法で構成した場合でも、ゴムストリップの巻回層間の隙間に塗料が染み込んでしまうことがなく、製品タイヤの品質を高度に確保することができる、未加硫タイヤへの描線方法及び描線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明の未加硫タイヤへの描線方法は、成型ドラムの外周面上に配置された、未加硫タイヤのトレッド部の外周面に塗料を塗布することによって、該未加硫タイヤの周方向に延びる標識線を描く未加硫タイヤへの描線方法であって、
前記成型ドラムの回転軸と平行な軸を中心に回転可能で、該成型ドラムの軸線方向、並びに該成型ドラムに対し接近及び離反する方向に変位可能であるとともに、温度制御可能なステッチングローラを有するステッチング手段を用い、該ステッチングローラを、前記未加硫タイヤの、少なくとも前記標識線の描線位置に押し当てて転動させることによって、該描線位置を平滑にした後、前記成型ドラムの軸線方向、並びに該成型ドラムに対し接近及び離反する方向に変位可能な描線手段を用いて、該描線位置に塗料を塗布し、標識線を描くことを特徴とする。
【0011】
ここで、上記「描線手段」としては、塗布ローラを転動させて塗料を塗布する、いわゆるローラタイプの描線手段の他に、インクジェットプリンタや、インク滴下式の描線手段等も含むものとする。
【0012】
請求項1に記載したところにおいて、好ましくは、未加硫タイヤの、少なくともトレッド部が、リボン状としたゴムストリップを複数回巻き回してなるリボン製法によって成型されており、該トレッド部の外周面に標識線を描く。
【0013】
請求項1または2に記載したところにおいて、好ましくは、夫々独立して変位可能な複数の前記ステッチング手段を用いて、前記未加硫タイヤのトレッド部の複数個所の描線位置を同時に平滑にする。
【0014】
請求項1〜3のいずれかに記載したところにおいて、好ましくは、夫々独立して変位可能な複数の前記描線手段を用いて、前記未加硫タイヤのトレッド部の複数個所の描線位置に同時に標識線を描く。
【0015】
請求項4に記載したところにおいて、好ましくは、夫々の描線手段で、色彩の異なる夫々の標識線を描く。
【0016】
請求項1〜5に記載したところにおいて、好ましくは、前記描線手段が、描線の際に塗料を一時的に溜めるための塗料皿と、該塗料皿内へ、導管を介して塗料を加圧下で供給する塗料タンクと、該塗料皿内の塗料残量を検出して、塗料皿への塗料の供給を制御するためのセンサとを具えるものであり、
前記未加硫タイヤのトレッド部に塗料を塗布した後、前記塗料皿内に残存した塗料を、負圧吸引によって前記塗料タンク内に戻す。
【0017】
また、本発明の未加硫タイヤへの描線装置は、成型ドラムの外周面上に配置された、未加硫タイヤのトレッド部の外周面に塗料を塗布することによって、該未加硫タイヤの周方向に延びる標識線を描く未加硫タイヤへの描線装置であって、
前記成型ドラムの回転軸と平行な軸を中心に回転可能で、該成型ドラムの軸線方向、並びに該成型ドラムに対し接近及び離反する方向に変位可能であるとともに、温度制御可能なステッチングローラを有し、該ステッチングローラを、前記未加硫タイヤの、少なくとも前記標識線の描線位置に押し当てて転動させることによって、該描線位置を平滑にするステッチング手段と、前記成型ドラムの軸線方向、並びに該成型ドラムに対し接近及び離反する方向に変位可能な描線手段とを具えることを特徴とする。
【0018】
ここで、「描線装置」とは、塗料を塗布することによって対象物の所定の箇所に線を描くことができる装置を言うものとする。
【0019】
請求項7に記載したところにおいて、好ましくは、前記描線手段が、描線の際に塗料を一時的に溜めるための塗料皿と、該塗料皿内へ、導管を介して塗料を加圧下で供給する塗料タンクと、該塗料皿内の塗料残量を検出して、塗料皿への塗料の供給を制御するためのセンサとを具えるものであり、
前記未加硫タイヤのトレッド部に塗料を塗布した後、前記塗料皿内に残存した塗料を、負圧吸引によって前記塗料タンク内に戻すことが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の未加硫タイヤへの描線方法では、ステッチングローラによって描線位置を平滑にし、トレッド部の外周面の凹凸を無くしてから、該描線位置に標識線を描くため、凹凸に起因する標識線の掠れやムラを防止し、所期した通りの精密な標識線を描くことができる。
【0021】
また、少なくともトレッド部がリボン製法によって成型された未加硫タイヤに対して、この描線方法を適用した場合、ステッチングローラが、ゴムストリップによる外周面の凹凸を均し、巻回層間の隙間を埋めて塗料の染み込みを防止するため、加硫後の製品タイヤの優れた品質を確保することができる。
【0022】
さらに、本発明の未加硫タイヤへの描線方法において、夫々独立して変位可能な複数のステッチング手段を用いて、複数個所の描線位置を同時に平滑にし、より好ましくは、夫々独立して変位可能な複数の描線手段を用いて、複数個所の描線位置に同時に標識線を描くことによって、作業時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0023】
また、上記のように複数の描線手段を用いる場合には、夫々の描線手段で、色彩の異なる夫々の標識線を描くことにより、色彩の組み合わせ等によってタイヤを種々に識別することが容易化する。
【0024】
加えて、本発明の未加硫タイヤへの描線方法において、センサで塗料残量を検出して、タンクからの塗料の供給を制御する場合は、常に適量の塗料を供給して塗料のオーバーフロー等を防止することができ、また、未加硫タイヤのトレッド部に塗料を塗布した後、残存した余剰塗料を負圧吸引によって塗料タンクに戻す場合には、塗料の乾燥を防止し、この乾燥による塗布ローラ等の動作不良を防止することができる。
【0025】
本発明の未加硫タイヤへの描線装置を用いることにより、上記方法をより容易に行うことができる。その際、この描線装置に、例えば、複数のステッチング手段及び複数の描線手段を設ければ、サイクルタイムの短縮を得ることができる。
【0026】
また、本発明の未加硫タイヤへの描線装置において、描線手段が、描線の際に塗料を一時的に溜めるための塗料皿と、塗料皿内へ、導管を介して塗料を加圧下で供給する塗料タンクと、塗料皿内の塗料残量を検出して、塗料皿への塗料の供給を制御するためのセンサとを具えるものであり、未加硫タイヤのトレッド部に塗料を塗布した後、塗料皿内に残存した塗料を、負圧吸引によって前記塗料タンク内に戻すことが可能なものである場合、描線終了後に塗料皿に残存した塗料を塗料タンクに戻すことにより、塗料の乾燥を防止し、この乾燥による塗布ローラ等の動作不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の未加硫タイヤへの描線方法において、描線位置を平滑にする際の、成型ドラム、未加硫タイヤ及びステッチング手段を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の未加硫タイヤへの描線方法において、塗料を塗布する際の、成型ドラム、未加硫タイヤ並びに、複数の描線手段を具えた描線ユニットを模式的に示す斜視図である。
【図3】図2の描線ユニットのひとつを拡大して模式的に示す斜視図である。
【図4】描線手段、該描線手段に接続された塗料タンク及び、該塗料タンクに接続された空気圧制御手段の配設例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1では、成型ドラムDの外周面上に配置された未加硫タイヤ1のトレッド部2の外周面上に押し当てられて転動する、相互に高さの異なる2つのステッチング手段5a及び5bが示されている。
【0029】
夫々のステッチング手段5a及び5bは、レール20a及び20b上で成形ドラムDの軸線方向に変位可能であり、また、アーム21a及び21bによって該成型ドラムDに対し接近及び離反する方向に変位可能なステッチングローラ4a及び4bを、夫々有する。
【0030】
ステッチングローラ4a及び4bは、夫々温度制御可能であり、所定の温度に加熱した状態で、未加硫タイヤ1の標識線の描線位置6a及び6b上を転動させることによって、該描線位置6a及び6bを平滑にする、いわゆるステッチング処理を行う。
【0031】
このステッチング処理によって、未加硫タイヤ1のトレッド部2の外周面上の凹凸を均し、さらに、該未加硫タイヤ1がリボン製法によって構成されている場合は、リボン状のゴムストリップの巻回層間の隙間が十分に埋められるため、所望の標識線を容易に描くことができるようになる。
【0032】
尚、図示例では、これらのステッチング手段5a及び5bは、夫々独立に変位可能であって、未加硫タイヤ1のトレッド部2の複数(図示例では2箇所)の描線位置6a及び6bを同時に平滑にすることができる。
【0033】
図2には、上記ステッチング手段5a及び5bによって平滑にされた描線位置6a及び6b上に、塗料を塗布して標識線3a及び3bを夫々描くための、描線手段7a〜7cを具える描線ユニット18a、及び描線手段7d〜7fを具える描線ユニット18bの夫々を示す。
【0034】
尚、夫々の描線ユニット18a及び18bは、相互に高さを変えて配置されており、ともに成型ドラムDの回転軸Aの軸線方向に、夫々独立に変位可能である。
【0035】
描線ユニット18aは、図3に一方の描線ユニット18aについて拡大して示すように、成形ドラムDの軸線方向に変位可能なテーブル23と、該テーブル23上に、成形ドラムDの軸線と直交する方向に延在させて配設した3本の小レール22a〜22cと、これら小レール22a〜22c上で、前記成型ドラムDに対して接近及び離反する方向に夫々独立に変位可能な3つの描線手段7a〜7cによって構成されている。
尚、図示しない他方の描線ユニット18bもまた、上記一方の描線ユニット18aと同様の構成である。
【0036】
図2に示すところでは、描線ユニット18aからは描線手段7cが未加硫タイヤ1側に突出し、描線ユニット18bからは描線手段7eが突出しており、夫々描線位置6b及び6a上に、標識線3b及び3aを同時に描いている。
【0037】
このように、本発明の未加硫タイヤへの描線方法では、例えば、上下方向に複数列の構成とし、独立変位可能な複数の描線ユニットを用いて、各ユニットから1つずつの描線手段を突出させることにより、異なる描線位置に同時に複数本の標識線を塗布することができる。
【0038】
さらに、その際、夫々の描線手段で、色彩の異なる夫々の標識線を同時に描くこともでき、これによって、多数の彩色パターンでタイヤを区別することが可能である。
尚、例えば、図2の例によれば、異色2ラインを同時に描くことが可能である。
【0039】
本発明の、未加硫タイヤへの描線方法に用いて好適なる描線手段7等を概略的に例示する図4において、描線手段7は、描線の際に塗料11を一時的に溜めるための塗料皿8と、該塗料皿8内へ、導管13を介して塗料を供給する塗料タンク12と、該塗料皿8内の塗料残量を検出して、塗料皿8への塗料11の供給を制御するための信号を出力するセンサ9とを具えるものである。
【0040】
ここで、塗料タンク12は、さらに他の導管14を介して切替弁15に接続されており、該切替弁15の作用の下で、塗料タンク12内の塗料を加圧または減圧することにより、塗料皿8への塗料11の供給が制御される。
【0041】
尚、図示の描線手段7では、塗料皿8内の塗料11は、掻揚げローラ16によって掻き揚げられ、さらに該掻揚げローラ16に接触する塗布ローラ17を介して、成形ドラムDの外周面上に配置された未加硫タイヤ1のトレッド部に塗布される。
【0042】
このような描線手段7を、本発明の未加硫タイヤへの描線方法に適用すれば、未加硫タイヤ1への描線が終了した後、塗料皿8内に残存した余剰の塗料11を、切替弁15の作用下で負圧吸引して塗料タンク12内に戻すことが可能である。
【実施例】
【0043】
図1に示す構成に従って、夫々独立して変位可能な2つのステッチング手段5a及び5bを具えたステッチング専用の装置を製造した。これにより、標識線を描くための、2箇所の描線位置6a,6bを同時にステッチングすることが可能になった。
【0044】
次に、図2に示す構成に従って、夫々独立して変位可能な6つの描線手段7a〜7fを具えた描線専用の装置を製造した。これにより、6色の標識線を描くことが可能になり、また、同時に別色2色の標識線を、指定の位置へ塗布することが可能になった。
【0045】
ここで、上記描線専用の装置に具えた6つの描線手段7a〜7fは、夫々、図4に示す構成に従って製造した。尚、図4に示す描線装置7では、塗料タンク12内の塗料は、エア圧送によって導管13を経由して塗料皿8に供給される。また、塗料皿8内の塗料11の液面が所定の高さまで上昇してセンサ9の先端部に接触すると、該センサ9が反応し、切替弁15が切り替わることによって、塗料11の圧送が停止される。
【0046】
製造されたこれらの装置を用いて、本発明の未加硫タイヤへの描線方法を実施した。
以下に、その工程の流れについて説明する。
【0047】
(1)まず、図1に示すところに従って、未加硫タイヤ1を成形ドラムDの外周面上に配置して回転させ、上記のステッチング専用の装置を用い、異なる軸線上に配置したステッチング手段5a及び5bを未加硫タイヤ1の所定の描線位置6a及び6bに当てた後、該未加硫タイヤ1を転動させることによって、タイヤ全周に渡ってステッチング処理を施し、描線位置6a及び6bを平滑にした。
【0048】
(2)次に、図2に示すところに従って、上記の描線専用の装置を用い、ステッチング処理を施した上記描線位置6a及び6b上に、描線手段7a〜7fのいずれか2つ(図示例では、7c及び7e)の塗布ローラ17を当てた後、該未加硫タイヤ1を転動させ、タイヤ全周に渡って塗料を塗布し、描線位置6a及び6b上に標識線3a及び3bを描いた。
【0049】
(3)未加硫タイヤ1への所定の描線が完了した後、塗料皿8内に残存した塗料11が乾燥してしまうのを防止するため、切替弁15を吸引に切り替えて、塗料皿8内の残存塗料11を、エア吸引により塗料タンク12内に逆流させて回収する動作を行った。
【0050】
尚、以上に示した実施例は、本発明の未加硫タイヤへの描線方法の一態様について例示的に示したものであり、本発明を限定するものではない。即ち、本発明の未加硫タイヤへの描線方法は、上記に例示した実施例の工程以外の種々の態様にて、実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
D 成型ドラム
1 未加硫タイヤ
2 トレッド部
3a,3b 標識線
4a,4b ステッチングローラ
5a,5b ステッチング手段
6a,6b 描線位置
7a〜7f 描線手段
8 塗料皿
9 センサ
11 塗料
12 塗料タンク
13 導管
14 導管
15 切替弁
16 掻揚げローラ
17 塗布ローラ
18a,18b 描線ユニット
19 ケース
20a,20b レール
21a,21b アーム
22a〜22c 小レール
23 テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型ドラムの外周面上に配置された、未加硫タイヤのトレッド部の外周面に塗料を塗布することによって、該未加硫タイヤの周方向に延びる標識線を描く未加硫タイヤへの描線方法であって、
前記成型ドラムの回転軸と平行な軸を中心に回転可能で、該成型ドラムの軸線方向、並びに該成型ドラムに対し接近及び離反する方向に変位可能であるとともに、温度制御可能なステッチングローラを有するステッチング手段を用い、該ステッチングローラを、前記未加硫タイヤの、少なくとも前記標識線の描線位置に押し当てて転動させることによって、該描線位置を平滑にした後、前記成型ドラムの軸線方向、並びに該成型ドラムに対し接近及び離反する方向に変位可能な描線手段を用いて、該描線位置に塗料を塗布し、標識線を描くことを特徴とする未加硫タイヤへの描線方法。
【請求項2】
未加硫タイヤの、少なくともトレッド部が、リボン状としたゴムストリップを複数回巻き回してなるリボン製法によって成型されており、該トレッド部の外周面に標識線を描くことを特徴とする請求項1に記載の未加硫タイヤへの描線方法。
【請求項3】
夫々独立して変位可能な複数の前記ステッチング手段を用いて、前記未加硫タイヤのトレッド部の複数個所の描線位置を同時に平滑にすることを特徴とする請求項1または2に記載の未加硫タイヤへの描線方法。
【請求項4】
夫々独立して変位可能な複数の前記描線手段を用いて、前記未加硫タイヤのトレッド部の複数個所の描線位置に同時に標識線を描くことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の未加硫タイヤへの描線方法。
【請求項5】
夫々の描線手段で、色彩の異なる夫々の標識線を描くことを特徴とする請求項4に記載の未加硫タイヤへの描線方法。
【請求項6】
前記描線手段が、描線の際に塗料を一時的に溜めるための塗料皿と、該塗料皿内へ、導管を介して塗料を加圧下で供給する塗料タンクと、該塗料皿内の塗料残量を検出して、塗料皿への塗料の供給を制御するためのセンサとを具えるものであり、
前記未加硫タイヤのトレッド部に塗料を塗布した後、前記塗料皿内に残存した塗料を、負圧吸引によって前記塗料タンク内に戻すことを特徴とする請求項1〜5に記載の未加硫タイヤへの描線方法。
【請求項7】
成型ドラムの外周面上に配置された、未加硫タイヤのトレッド部の外周面に塗料を塗布することによって、該未加硫タイヤの周方向に延びる標識線を描く未加硫タイヤへの描線装置であって、
前記成型ドラムの回転軸と平行な軸を中心に回転可能で、該成型ドラムの軸線方向、並びに該成型ドラムに対し接近及び離反する方向に変位可能であるとともに、温度制御可能なステッチングローラを有し、該ステッチングローラを、前記未加硫タイヤの、少なくとも前記標識線の描線位置に押し当てて転動させることによって、該描線位置を平滑にするステッチング手段と、前記成型ドラムの軸線方向、並びに該成型ドラムに対し接近及び離反する方向に変位可能な描線手段とを具えることを特徴とする未加硫タイヤへの描線装置。
【請求項8】
前記描線手段が、描線の際に塗料を一時的に溜めるための塗料皿と、該塗料皿内へ、導管を介して塗料を加圧下で供給する塗料タンクと、該塗料皿内の塗料残量を検出して、塗料皿への塗料の供給を制御するためのセンサとを具えるものであり、
前記未加硫タイヤのトレッド部に塗料を塗布した後、前記塗料皿内に残存した塗料を、負圧吸引によって前記塗料タンク内に戻すことが可能である、請求項7に記載の未加硫タイヤへの描線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−201143(P2011−201143A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70808(P2010−70808)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】