説明

析出板製造装置および析出板製造方法

【課題】 冷却体表面に凝固析出して生成される析出板の自壊による破片を適正処理し、析出板の生産に対して悪影響を及ぼすことを防止する。
【解決手段】 溶解炉24でシリコンを加熱して溶湯23にし、析出板生成の原板である冷却体25を、浸漬手段26によって溶湯中へ浸漬し溶湯中から引上げてシリコンを冷却体の表面に凝固析出させてシート状シリコン27を製造する。このシート状シリコンの製造に際し、冷却体が溶湯上方位置から離反する方向へ搬送される搬送経路途中に設けられる落下物受容手段28が、冷却体から離脱して落下するシート状シリコンを受容し、落下物再投入手段29が、落下物受容手段によって受容されたシート状シリコンを、溶解炉の坩堝32内へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、析出板製造装置および析出板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に対する負荷を軽減するべく、化石燃料を用いる火力発電以外の、風力発電、波力発電などの発電方法が種々試みられている。なかでも最も注目され、実用化の先端に位置付けられているのが太陽電池による発電であり、この太陽電池には、その素材として多結晶シリコンが用いられている。
【0003】
太陽電池に用いられる多結晶シリコンを製造する従来の代表的な技術として、不活性ガス雰囲気中でリン(P)またはボロン(B)等のドーパントを添加した高純度シリコンを坩堝中で加熱溶融させ、この融液を鋳型に流し込んで冷却し、多結晶インゴットを得る鋳造方法がある(特許文献1参照)。
【0004】
太陽電池に使用されるシート状のシリコンは、上記のようにして得られる多結晶インゴットを、バンドソー等で小さなブロックに切断し、さらにワイヤソーまたは内周刃法などでスライスすることによって製造される。
【0005】
このような製造方法は、多結晶シリコンインゴットを得るための鋳造工程に加え、シート状シリコンの外形ブロックサイズに切断する工程と、高いコストを要するシート厚さにスライスするスライシング工程が必要なこと、またこのスライシング工程でワイヤまたは内周刃の厚み分以上の材料ロスを生じること等、太陽電池の製造コスト低減を図るうえで大きな障害になっている。
【0006】
このような問題を解決する従来技術に、スライシング工程を省略し、溶融シリコンに冷却体を浸漬させ、冷却体のシート生成面にシリコンを付着、凝固析出させるシート状のシリコンを製造する方法が提案されている(たとえば、特許文献2〜4参照)。
【0007】
図12は従来のシート状シリコン製造に用いられる析出板製造装置1の構成を簡略化して示す図であり、図13は析出板製造装置1におけるシート状シリコン製造の概要を説明する図である。以下図12および図13を参照し、溶融シリコンに冷却体を浸漬させ、冷却体のシート生成面にシリコンを付着、凝固析出させるシート状のシリコン製造方法を説明する。
【0008】
本背景技術では、析出板製造装置を用い、特にシート状シリコンを製造する例について説明を行うけれども、本発明の背景技術がシート状シリコンの製造のみに限定されるものではなく、たとえば、シリコン以外のシート状半導体または金属板の製造においても利用可能である。
【0009】
析出板製造装置1は、チャンバ2によって形成される処理空間3内に溶解炉4が配置される。溶解炉4には坩堝5が備えられ、坩堝5内にはシリコンを加熱溶解した溶湯6が収容される。また、処理空間3内には、冷却体7を溶湯6に浸漬させる浸漬手段8が設けられる。
【0010】
浸漬手段8は、不図示の搬送装置によって、チャンバ2の1側壁に形成される冷却体搬入口9を通して処理空間3内に搬入された冷却体7を保持することができる。浸漬手段8は、保持する冷却体7を、矢符12で示される方向、すなわち冷却体搬入口9付近から坩堝5に収容される溶湯6の上方位置まで搬送し、溶湯6に浸漬させ、冷却体7の表面にシリコンを凝固析出させる。その後、浸漬手段8は、冷却体7と冷却体7の表面に生成されたシート状シリコン11を、溶湯6から引上げ、さらに溶湯6の上方位置から離反させる矢符13で示す方向、すなわち冷却体搬入口9が形成される1側壁に対向する側壁に形成される冷却体搬出口10へ向けて搬送し、冷却体搬出口10を通して不図示の搬送装置へ受渡す。制御装置14は、析出板製造装置1の各部の動作を制御する。
【0011】
以上の一連のシート状シリコン製造の動作を複数回繰返すと、溶解炉4に備わる坩堝5に収容される溶湯6が減少し、シート状シリコン11の製造に支障が出る。その場合、一旦シート状シリコン11の製造を停止し、図示しないシリコンの溶解材料追加装置によって、析出板製造装置1の外部から追加のシリコンを、坩堝5内へ導入して溶解し、減少分の溶湯を補充する。
【0012】
このような従来技術で用いられる方法では、冷却体7が、溶解したシリコンの溶湯6内に浸漬され、その後溶湯6外に引上げられるので、冷却体7の表面に析出したシート状シリコン11は、析出およびその後の冷却過程における急激な温度変化により大きな内部応力を内包することが避けられない。
【0013】
シート状シリコンのサイズがある値以上の場合、冷却体表面に析出したシート状シリコン内部に発生した大きな応力は、シート状シリコンを破壊してしまう場合がある。一方、シート状シリコンのサイズが比較的小さい場合、内部応力の発生は大きな問題とはならない。一般的には、シート状シリコンのサイズが、一辺100mm以下の矩形であれば、内部応力による破壊はほとんど発生しない。
【0014】
しかしながら、近年、太陽電池用シート状シリコンのサイズは大きくなる傾向にあり、たとえば、現在生産されている多結晶太陽電池に使用されるシート状シリコンは、大きなものでは、一辺が150mm程度の矩形である。このような大きいサイズのシート状シリコンを、前述のように冷却体をシリコン溶湯に浸漬して製造する場合、内部応力によるシート状シリコンの破壊が比較的高い確率で発生する。
【0015】
図14および図15は、シート状シリコンが内部応力によって破壊した状態を示す図である。内部応力によって破壊したシート状シリコン11の破片11a,11bは、冷却体7から離脱して落下し、シリコンを溶解する溶解炉4の周辺に堆積する。破壊し堆積したシート状シリコン11の破片11a,11bが多くなると、冷却体7または凝固析出によって冷却体7表面に生成されたシート状シリコン11に接触し、シート状シリコン製造を阻害する要因となる。
【0016】
このような問題を解決する方法として、破壊して堆積したシート状シリコンの破片11a,11bが、シート状シリコン製造を阻害する要因となる前に、堆積したシート状シリコンの破片11a,11bを、析出板製造装置1の外部に排出してしまうことが考えられる。しかしながら、シート状シリコンの製造において、チャンバ2内部の処理空間3は、通常密閉された不活性ガス雰囲気に保たれているので、処理空間3内の不活性ガス雰囲気の環境を維持しつつ、堆積したシート状シリコンの破片11a,11bを析出板製造装置1の外部に排出するためには、専用のロードロック室とゲートバルブとを設けることが必要である。この、専用のロードロック室は、一種の真空チャンバーであり、これを付設することによる装置価格の大幅な上昇と、装置設置面積の増加という問題を招来する。
【0017】
また、このような凝固析出したシート状シリコンの自壊を防ぐことを目的として、冷却体をシート状シリコンに発生する内部応力が分散するような形状にしたり、仮にシート状シリコンが自壊しても目的とする製品が得られるように、製品寸法よりも外側部分にあらかじめ壊れやすい部分を設けておくなどの方法が考えられているけれども、完全に自壊を防ぐことは困難であり、やはり発生するシート状シリコンの破片の適正な処理が、重要な解決課題である。
【0018】
【特許文献1】特開平6−64913号公報
【特許文献2】特開平10−29895号公報
【特許文献3】特開2002−175996号公報
【特許文献4】特開2003−59849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、冷却体表面に凝固析出して生成される析出板の自壊による破片を適正処理し、析出板の生産に対して悪影響を及ぼすことを防止できる析出板製造装置および析出板製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、溶解対象物を加熱して溶湯にし、該溶湯を収容する溶解炉と、析出板生成の原板である冷却体を、溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬手段とを備え、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造装置であって、
冷却体が溶湯上方位置から離反する方向へ搬送される搬送経路途中に設けられ、冷却体から離脱して落下する落下物を受容する落下物受容手段と、
落下物受容手段によって受容される落下物を溶解炉内へ移動させる落下物再投入手段とを含むことを特徴とする析出板製造装置である。
【0021】
また本発明は、落下物受容手段は、
落下物を受容する受容面が、溶解炉に収容される溶湯の液面よりも高い位置になるように設けられることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、落下物受容手段は、落下物を受容する受容面の少なくとも一部が、カーボンまたは石英から成ることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、落下物再投入手段は、
落下物受容手段の落下物受容面が溶解炉へ近づくにつれて下方に傾斜するように、落下物受容手段を傾動させる傾動手段を含むことを特徴とする。
【0024】
また本発明は、落下物再投入手段は、
落下物受容手段の落下物受容面に対して平行に、かつ落下物受容面をまたぐように設けられる払落し部材と、
落下物受容面に対して平行に、かつ溶解炉に対して近接離反するように払落し部材を移動させる移動手段とを含むことを特徴とする。
【0025】
また本発明は、落下物再投入手段は、振動フィーダーであることを特徴とする。
また本発明は、受容される落下物を加熱する加熱手段をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
また本発明は、溶解炉が高周波誘導コイルを備える高周波誘導加熱炉であり、
落下物受容手段が、高周波誘導コイルが形成する磁束によって発熱する発熱体を備え、
落下物を加熱する加熱手段が、高周波誘導コイルと発熱体とを含んで構成されることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、溶解対象物を溶解炉で加熱して溶湯にし、析出板生成の原板である冷却体を、溶解炉に収容される溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送することによって、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造方法であって、
冷却体が溶湯上方位置から離反する方向へ搬送される途中で冷却体から離脱して落下する落下物を受容する工程と、
受容された落下物を溶解炉内へ移動させる工程とを含むことを特徴とする析出板製造方法である。
【0028】
また本発明は、溶解対象物を溶解炉に収容される溶湯中へ追加投入する工程をさらに含み、
溶解対象物を溶解炉に収容される溶湯中へ追加投入する工程は、
受容される落下物を溶解炉内へ移動させる工程と同じ機会に実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、析出板製造装置は、冷却体から落下する落下物を受容する落下物受容手段と、落下物受容手段によって受容される落下物を溶解炉内へ移動させる落下物再投入手段とを含んで構成される。このことによって、冷却体の表面に凝固析出して生成された析出板が自壊して冷却体から離脱落下した場合、該落下物を受止めて溶解炉内に移動させることが可能となり、析出板の破片が溶解炉周辺に堆積することを防止し、破片の堆積が析出板の生産に対して悪影響を及ぼすことを最小限にとどめることができる。
【0030】
また本発明によれば、落下物受容手段は、落下物を受容する受容面が、溶解炉に収容される溶湯の液面よりも高い位置になるように設けられるので、受容した落下物を溶解炉内へ移動させる際、移動の駆動力として重力を利用することができ、落下物を溶解炉内へ移動させる落下物再投入手段の構成を簡易にすることができる。
【0031】
また本発明によれば、落下物受容手段は、落下物を受容する受容面の少なくとも一部が、カーボンまたは石英から成るので、受容した落下物に対する重金属等の不純物混入を避けることができ、製造される析出板の品質を高品位に保つことができる。
【0032】
また本発明によれば、落下物再投入手段は、落下物受容手段の落下物受容面が溶解炉へ近づくにつれて下方に傾斜するように、落下物受容手段を傾動させる傾動手段を含んで構成されるので、傾動手段を駆動させるという簡単な動作で落下物を溶解炉内に移動させることができる。
【0033】
また本発明によれば、落下物再投入手段は、落下物受容手段の落下物受容面に対して平行に、かつ落下物受容面をまたぐように設けられる払落し部材と、落下物受容面に対して平行に、かつ溶解炉に対して近接離反するように払落し部材を移動させる移動手段とを含んで構成されるので、落下物を溶解炉内に確実に移動させることができる。
【0034】
また本発明によれば、落下物再投入手段が、振動フィーダーであり、このことによって、落下物を溶解炉内へ移動させる手段の可動部品が可動する範囲を小さくすることができるので、コンパクト化される。
【0035】
また本発明によれば、受容される落下物を加熱する加熱手段をさらに含んで構成されるので、落下物を受容して溶解炉内へ移動させる前に、落下物の温度を上昇させておくことができる。このことによって、落下物が溶解炉内に投入されたときの溶解時間を短縮することができる。
【0036】
また本発明によれば、落下物を加熱する加熱手段が、溶解炉の高周波誘導コイルと、落下物受容手段に備えられて高周波誘導コイルが形成する磁束によって発熱する発熱体とを含んで構成されるので、落下物加熱用に別途加熱装置および電源を設ける必要がなく、装置構成を簡略化することができる。
【0037】
また本発明によれば、冷却体の表面に凝固析出して生成された析出板が自壊して冷却体から離脱落下した場合、該落下物を受止め溶解炉内に移動させて析出板の破片が溶解炉周辺に堆積することを防止し、破片の堆積が析出板の生産に対して悪影響を及ぼすことを最小限にとどめることができる析出板製造方法が提供される。
【0038】
また本発明は、溶解対象物を溶解炉に収容される溶湯中へ追加投入する工程が、受容される落下物を溶解炉内へ移動させる工程と同じ機会に実行されるので、落下物の溶解時間を見かけ上考慮する必要がなく、効率の良い析出板の生産を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1は本発明の実施の一形態である析出板製造装置20の構成を簡略化して示す図であり、図2は図1に示す析出板製造装置20による析出板製造の概要を示す図である。
【0040】
析出板製造装置20は、溶解対象物を溶解炉で加熱して溶湯にし、析出板生成の原板である冷却体を、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引上げて、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造することに用いられる。本実施の形態では、溶解対象物としてシリコンを用い、冷却体の表面上にシリコンを凝固析出させて析出板であるシート状シリコンを製造する場合について例示する。
【0041】
析出板製造装置20は、大略、チャンバ21と、チャンバ21が形成する内部空間である処理空間22内に設けられ、溶解対象物であるシリコンを加熱して溶湯23にし、該溶湯23を収容する溶解炉24と、シート状シリコン生成の原板である冷却体25を、溶湯23の上方位置へ搬送し、溶湯23中へ浸漬し、溶湯23中から引上げて溶湯23の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬手段26と、冷却体25が溶湯上方位置から離反する方向へ搬送される搬送経路途中に設けられ、冷却体25から離脱して落下する落下物であるシート状シリコン27の破片を受容する落下物受容手段28と、落下物受容手段28によって受容されるシート状シリコン27の破片を溶解炉24内へ移動させる落下物再投入手段29とを含む構成である。
【0042】
チャンバ21は、外観が大略直方体形状を有し、内部が中空の構造体である。チャンバ21は、たとえば鋼製の躯体に図示を省くけれどもアルミナ(Al)などの断熱材が内張りされて、断熱かつ耐火構造を備える。このチャンバ21には、不図示の真空排気手段と不活性ガス供給手段とが付設され、これらによって、チャンバ21の処理空間22を真空雰囲気または不活性ガス雰囲気に保つことができる。
【0043】
またチャンバ21の一方の側壁21aには、チャンバ21の外部にある不図示の搬送装置と、処理空間22内にある浸漬手段26との間で、冷却体25を受渡しするための冷却体搬入口31が形成される。この冷却体搬入口31には、不図示の開閉自在の扉が設けられ、扉の外方にはさらに副室チャンバが設けられる。この副室チャンバは、チャンバ21と同様に雰囲気調整が可能に構成され、冷却体搬入口31と反対側には開閉自在の扉が設けられる。したがって、搬送装置でチャンバ21まで搬送された冷却体25は、まず大気開放された副室チャンバ内へ搬入され、副室チャンバ内を雰囲気調整した後、さらに副室チャンバ内に備わる搬送手段によって冷却体搬入口31を通して浸漬手段26へ渡される。
【0044】
チャンバ21の前記一方の側壁21aに対向する他方の側壁21bには、チャンバ21の外部にある不図示のもう一つの搬送装置と、処理空間22内にある浸漬手段26との間で、冷却体25を受渡しするための冷却体搬出口32が形成される。この冷却体搬出口32にも、開閉自在の扉とその外方に副室チャンバが設けられ、冷却体搬入口31の場合と同様にして、浸漬手段26ともう一つの搬送手段との間でシート状シリコン27を有する冷却体25が受渡しされる。
【0045】
本実施の形態では、溶解炉24は、高周波誘導溶解炉であり、溶解対象物であるシリコンが投入され溶解されてその溶湯23が収容される坩堝32と、坩堝32のまわりに巻きまわされる高周波誘導コイル33と、坩堝32と高周波誘導コイル33とを収容する炉体容器35と、不図示の高周波電源とを含む。
【0046】
坩堝32は、たとえばグラファイト製の有底円筒状容器である。炉体容器35は、たとえば耐火煉瓦から成り、坩堝32とほぼ相似形の有底円筒状容器である。炉体容器35と坩堝32および高周波誘導コイル33との間は、図では空隙であるけれども、実際にはここに断熱性および絶縁性の耐火物などが充填される。溶解炉24は、処理空間22内であって、チャンバ21の底板21c上に設置される。溶解炉24は、高周波電源から高周波誘導コイル33に高周波電流を流すことによって、グラファイト製の坩堝32および坩堝32内のシリコンに誘導電流が発生し、自ら発熱することを利用する装置である。
【0047】
浸漬手段26は、冷却板25を保持する保持ヘッド36と、保持ヘッド36が装着されて鉛直方向に延びて設けられる垂直アーム37と、垂直アーム37を鉛直方向に移動させる鉛直駆動部38と、垂直アーム37および保持ヘッド36を水平方向に移動させる水平駆動部39と、鉛直駆動部38および水平駆動部39が搭載される台車部40と、台車部40が案内されて水平方向に走行する軌道部材41とを含む。
【0048】
軌道部材41は、たとえば金属製の細長い部材であり、処理空間22内において前記一方の側壁21aと他方の側壁21bとの両者に隣接する側壁に装着され、坩堝32の上方空間を、冷却板搬入口31から冷却板搬出口32に向って延びるように設けられる。
【0049】
水平駆動部39は、軌道部材41に形成されるたとえば溝状の軌道に案内されて台車部40を水平方向へ進退自在に移動させる。
【0050】
鉛直駆動部38は、垂直アーム37と垂直アーム37に装着される保持ヘッド36とを鉛直方向、すなわち坩堝32の上方に位置するときには、坩堝32に収容される溶湯23に近接離反するように移動させることができる。
【0051】
垂直アーム37に装着される保持ヘッド36は、ハンドリング機構を有し、ハンドリング機構の動作により冷却板25を把持し、また解放することができる。
【0052】
したがって、浸漬手段26は、以下の動作をすることができる。浸漬手段26は、水平駆動部39の動作によって、垂直アーム37と保持ヘッド36とが、台車部40とともに冷却板搬入口31近傍まで移動し、冷却板搬入口31を通して冷却板25を受取って保持ヘッド36で保持し、再び水平駆動部39の動作によって、図2中矢符42で示す方向である冷却板搬入口31から坩堝32上方位置へ向って移動する。さらに浸漬手段26は、鉛直駆動部38の動作によって、垂直アーム37を下降させて保持ヘッド36に保持される冷却板25を坩堝32に収容される溶湯23中へ浸漬し、シリコンを冷却板25の表面に凝固析出させた後、再度鉛直駆動部38の動作によって垂直アーム37を上昇させて冷却板25を溶湯23から引上げ、図2中矢符43で示す方向である坩堝32上方位置から冷却板搬出口32へ向って移動し、冷却板搬出口32を通して冷却板25を引渡す。
【0053】
落下物受容手段28は、カーボンまたは石英から成る平面形状が矩形の台板状部材である。なお、落下物受容手段28は、落下物を受容する部分のみがカーボンまたは石英から成るように形成されてもよい。このように落下物を受容する部分が、カーボンまたは石英で形成されることによって、落下したシート状シリコン27の破片に対する重金属等の不純物混入を避けることができるので、製造される析出板の品質を高品位に保つことができる。
【0054】
前述のように落下物受容手段28は、冷却体25が溶湯上方位置から離反する方向へ搬送される搬送経路途中、すなわち冷却体搬出口32寄りの坩堝32の縁近傍から冷却体搬出口32付近まで水平方向に延びて設けられる。また落下物受容手段28は、落下物を受容する受容面28aが、坩堝32に収容される溶湯23の液面よりも高くなるように配置され、坩堝32の縁近傍側が、チャンバ21またはチャンバ21に設けられる支持体に角変位自在に支持され、冷却体搬出口32寄りの端部付近の下部に軸受44が設けられる。
【0055】
落下物受容手段28の受容面28aが、溶湯23液面よりも高い位置に配置されることによって、落下物受容手段28に堆積したシート状シリコン27の破片を、坩堝32内へ落下させる際、シート状シリコン27の破片を、溶湯23の液面よりも高い位置まで持上げる必要がないので、装置構成を単純化できる利点を有する。
【0056】
本実施の形態では、落下物再投入手段29は、落下物受容手段28の落下物受容面28aが溶解炉24へ近づくにつれて下方に傾斜するように、落下物受容手段28を傾動させる傾動手段である。傾動手段29は、たとえば直動装置29aと不図示の電動機とで構成される。直動装置29aは、ロッド先端に設けられるピンが、落下物受容手段28に設けられる軸受44に支持され、ロッドを退縮させた状態で、落下物受容手段28の受容面28aが水平になるように位置決めされてチャンバ21に装着される。このことによって、傾動手段29は、直動装置29aのロッドを伸長させたとき、落下物受容手段28を前述のように傾斜させることができる。
【0057】
析出板製造装置20には、さらに制御装置45が備えられる。制御装置45は、たとえば中央処理装置(CPU)を備える処理回路であり、溶解炉24の電源、浸漬手段26の各駆動部、落下物再投入手段である傾動手段29などに電気的に接続され、制御装置45のメモリ部に予めストアされる装置全体の動作制御プログラムに従って、析出板製造に係る装置の全体動作を制御する。
【0058】
図3は析出板製造装置20に備わる落下物受容手段28の落下物受容の状態を示す図であり、図4は析出板製造装置20に備わる落下物再投入手段29の落下物再投入の状態を示す図である。
【0059】
以下図3および図4を参照し、冷却板25の表面で凝固析出後、熱履歴によって発生する内部応力によって自壊したシート状シリコン27から成る落下物の受容と再投入について説明する。
【0060】
溶湯23中へ浸漬された冷却体25を、シリコンの凝固析出によってシート状シリコン27が生成された後に溶湯中から引上げ、図2中矢符43で示す溶湯23の上方位置から離反する方向へ搬送する途上において、シート状シリコン27に生じる内部応力によって、シート状シリコン27が自壊することがある。シート状シリコン27が自壊すると、シート状シリコン27の冷却体25に対する付着力が低下し、シート状シリコン27が破片となり、冷却体25から離脱して落下する。析出板製造装置20では、図2中矢符43で示す搬送経路の下方に落下物受容手段28が設けられるので、落下するシート状シリコン27の破片が、落下物受容手段28で受容され、その受容面28a上に堆積する。
【0061】
落下物受容手段28に堆積したシート状シリコン27の破片は、坩堝32内の溶湯23の量が減少して補充の必要が生じたとき、または堆積量が一定量に達したとき、シート状シリコンの製造を一旦停止し、落下物再投入手段である傾動手段29を動作させて落下物受容手段28を傾斜させることによって、重力が作用し、坩堝32に落下して再度溶解される。
【0062】
坩堝32内への溶湯23の補充とシート状シリコン27の破片の再投入は、たとえば次のようにして実行することができる。溶湯23の液面高さ検出器を設け、液面高さ検出器による検出値を、シリコンを補充しなければならない液面高さの限界値として予め定めてメモリにストアしてある値と制御装置が比較し、検出値が該限界値以下になったとき、制御装置45がシート状シリコンの製造動作を停止し、傾動手段29を動作させるとともに、不図示のシリコン補充装置を動作させる制御指令を出力することによって可能である。
【0063】
また堆積量が一定量に達した場合の坩堝32内へのシート状シリコン27の破片の再投入は、たとえば次のようにして実行することができる。落下物受容手段28に重量検出器を設け、重量検出器による検出値を、再投入動作をしなければならない臨界値として予め定めてメモリにストアしてある値と制御装置が比較し、検出値が該臨界値以上になったとき、制御装置45がシート状シリコンの製造動作を停止し、傾動手段29を動作させる制御指令を出力することによって可能である。
【0064】
このように、析出板製造装置20では、シート状シリコン27の自壊した破片が処理されるので、シート状シリコン27の自壊した破片の過剰な堆積により浸漬手段26および冷却体25の動作に支障をきたさないようにすることができる。
【0065】
また、上述のように、坩堝32内にシリコンを補充する際にシート状シリコン27の破片を再投入するようにすると、設計にもよるけれども、通常シリコンの補充頻度の方が、シート状シリコンの破片処理頻度よりも多いので、シート状シリコン27の破片の処理だけのために、シート状シリコン製造を停止する必要がなくなり、効率良くシート状シリコン27を製造することが可能になる。
【0066】
図5は本発明の実施の第2形態である析出板製造装置50の構成を簡略化して示す図であり、図6は析出板製造装置50に備わる落下物受容手段51の落下物受容の状態を示す図であり、図7は析出板製造装置50に備わる落下物再投入手段52の落下物再投入の状態を示す図である。
【0067】
本実施の形態の析出板製造装置50は、実施の第1形態の析出板製造装置20に類似し対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。析出板製造装置50は、落下物受容手段51と落下物再投入手段52とに特徴を有する。
【0068】
落下物受容手段51は、実施の第1形態の落下物受容手段28に類似し、素材および台板状の形状を同じくし、坩堝32内の溶湯23の液面よりも高い位置に配置されることも同じである。ただし、本実施形態の落下物受容手段51は水平状態に固定して設けられ、移動することがない。
【0069】
落下物再投入手段52は、落下物受容手段51の落下物の受容面51aに対して平行に、かつ落下物受容面51aをまたぐように設けられる払落し部材53と、受容面51aに対して平行に、かつ溶解炉24に対して近接離反するように払落し部材53を移動させる移動手段54とを含む。
【0070】
払落し部材53は、角棒状部材であり、好ましくはシート状シリコン27の破片に対する汚染を防止するためにカーボンまたは石英で形成される。払落し部材53の長手方向両端部には、突起部が形成される。
【0071】
移動手段54は、案内部材54aと不図示の駆動部とを含む。移動手段54の案内部材54aは、たとえば金属製の細長い板状部材であり、その短手方向の中央部には、長手方向に延びて案内長孔55が形成される。この案内部材54aは、一対が、落下物受容手段51の延びる方向と平行に、かつ落下物受容手段51の幅方向の両縁部に対向するように設けられる。払落し部材53の長手方向両端部に形成される突起部が、案内部材54aの案内長孔55に摺動可能に係合される。不図示の駆動部は、たとえば直動装置と電動機とを含み、直動装置が、案内長孔55を挿通する払落し部材53の突起部に接続される。したがって、移動手段54の駆動部が可逆的に駆動することによって、払落し部材53は、案内部材54aに案内されて、受容面51aに平行に溶解炉24へ近接離反するように移動することができる。
【0072】
通常のシート状シリコン27の製造時には、払落し部材53は、溶解炉24から離反し、冷却体搬出口32寄りの位置に待機している。坩堝32内の溶湯23の量が減少して補充の必要が生じたとき、または堆積量が一定量に達したとき、シート状シリコンの製造が一旦停止され、払落し部材53は、落下物再投入手段52の移動手段54が動作することによって、溶解炉24に近づく方向である矢符56方向に移動されて、落下物受容手段51に堆積したシート状シリコン27の破片を、坩堝32中に再投入する。なお、シート状シリコン27の破片を坩堝32中へ再投入した後、移動手段54の逆方向の動作によって、払落し部材53が、再び溶解炉24から離反した冷却体搬出口32寄りの位置へ戻る。
【0073】
本実施の形態の析出板製造装置50では、落下物受容面51aに平行に直線移動する払落し部材53により、一層確実にシート状シリコン27の破片を坩堝32内へ再投入することができる。
【0074】
図8は本発明の実施の第3形態である析出板製造装置60の構成を簡略化して示す図であり、図9は析出板製造装置60に備わる落下物再投入手段61の落下物再投入の状態を示す図である。
【0075】
本実施の形態の析出板製造装置60は、実施の第2形態の析出板製造装置50に類似し対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。析出板製造装置60は、落下物受容手段61と落下物再投入手段62とに特徴を有する。
【0076】
落下物受容手段61は、実施の第2形態の落下物受容手段51に、素材および配置される位置ならびに水平状態に設けられる点を同じくするけれども、その形状が樋状に形成されることに特徴を有する。また落下物再投入手段62は、振動フィーダーで構成される。ここで、振動フィーダーとは、水平または傾斜した「樋状の構造物」に、機械的に上下運動の加わった振動を与え、搬送物を斜め前方に投出すようにして搬送物を移動する装置のことである。
【0077】
したがって、本実施形態の析出板製造装置60では、落下物受容手段61が樋状構造物に相当し、坩堝32内の溶湯23の量が減少して補充の必要が生じたとき、または堆積量が一定量に達したとき、シート状シリコンの製造を一旦停止し、落下物受容手段61に堆積したシート状シリコン27の破片が、振動フィーダー62の動作によって坩堝32内へ再投入される。
【0078】
このように、落下物再投入手段62に振動フィーダーを用いることによって、可動部品の可動距離を小さくできるので、落下物再投入手段62がコンパクト化される。
【0079】
図10は、本発明の実施の第4形態である析出板製造装置70の構成を簡略化して示す図である。本実施の形態の析出板製造装置70は、実施の第3形態の析出板製造装置60に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0080】
析出板製造装置70において注目すべきは、落下物受容手段71に受容されるシート状シリコン27の破片を加熱する加熱手段72が設けられることである。本実施の形態では、加熱手段72は、台板状の落下物受容手段71の内部に設けられるたとえば抵抗発熱体などから成るヒータと、ヒータに電力供給する不図示の加熱電源とを含む構成である。加熱手段72は、落下物受容手段71上に落下したシート状シリコン破片の堆積物を加熱し昇温することができる。
【0081】
落下物受容手段71上に堆積した少なくとも一部のシート状シリコン27の破片を、たとえば500℃以上の充分な温度に高めておくことによって、シート状シリコン27の破片を坩堝32内に落下させ、溶解する際の溶解所要時間を短くすることができる。その結果、シート状シリコン製造の停止時間を短くすることができるので、効率の良いシート状シリコン27の製造が可能となる。
【0082】
なお、本実施の形態では、加熱手段72が落下物受容手段71の内部に設けられる構成であるけれども、これに限定されることなく、シート状シリコン27の破片を昇温させることができる構成であれば、落下物受容手段71の外方に設けられる構成であっても良い。
【0083】
図11は、本発明の実施の第5形態である析出板製造装置80の構成を簡略化して示す図である。本実施の形態の析出板製造装置80は、実施の第4形態の析出板製造装置70に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0084】
析出板製造装置80において注目すべきは、落下物受容手段81がカーボンで形成され、落下物受容手段81の少なくとも一部が、高周波誘導コイル33が形成する磁束82の中に位置することである。このような析出板製造装置80では、カーボンで形成される落下物受容手段81は、高周波誘導コイル33が形成する交番磁界によって誘導電流が流れて発熱し昇温するので、落下物受容手段81上に堆積するシート状シリコン27の破片を加熱し昇温することができる。したがって、析出板製造装置80における落下物を加熱する加熱手段83は、高周波誘導コイル33と自ら発熱体になる落下物受容手段81とを含んで構成される。
【0085】
本実施形態の析出板製造装置80によれば、前述の実施の第4形態の析出板製造装置70と同様の効果を奏することができる。また本実施形態の析出板製造装置80によれば、落下物受容手段81に別途加熱手段の加熱源を付加する必要がなく、坩堝32の加熱に用いられる高周波誘導コイル33を加熱源として兼用できるので、簡単な構成で目的を達成することができる。
【0086】
なお本実施の形態では、落下物受容手段81がカーボンで形成されるけれども、これに限定されることなく、高周波誘導加熱の可能な導電性材料であれば良い。また、高周波誘導加熱が可能な導電性材料を、磁束82中であって、落下物受容手段81の近傍に配置したり、また落下物受容手段81の内部に設けることによっても同等の効果を得ることができる。
【0087】
以上に述べたように、本実施の形態では、析出板製造装置は、シート状シリコンの製造に用いられるけれども、これに限定されることなく、シート状の他の半導体、たとえばシート状ガリウム−ヒ素などの製造、またシート状金属の製造に用いられても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の一形態である析出板製造装置20の構成を簡略化して示す図である。
【図2】図1に示す析出板製造装置20による析出板製造の概要を示す図である。
【図3】析出板製造装置20に備わる落下物受容手段28の落下物受容の状態を示す図である。
【図4】析出板製造装置20に備わる落下物再投入手段29の落下物再投入の状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の第2形態である析出板製造装置50の構成を簡略化して示す図である。
【図6】析出板製造装置50に備わる落下物受容手段51の落下物受容の状態を示す図である。
【図7】析出板製造装置50に備わる落下物再投入手段52の落下物再投入の状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の第3形態である析出板製造装置60の構成を簡略化して示す図である。
【図9】析出板製造装置60に備わる落下物再投入手段61の落下物再投入の状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の第4形態である析出板製造装置70の構成を簡略化して示す図である。
【図11】本発明の実施の第5形態である析出板製造装置80の構成を簡略化して示す図である。
【図12】従来のシート状シリコン製造に用いられる析出板製造装置1の構成を簡略化して示す図である。
【図13】析出板製造装置1におけるシート状シリコン製造の概要を説明する図である。
【図14】シート状シリコンが内部応力によって破壊した状態を示す図である。
【図15】シート状シリコンが内部応力によって破壊した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
20,50,60,70,80 析出板製造装置
21 チャンバ
23 溶湯
24 溶解炉
25 冷却体
26 浸漬手段
27 シート状シリコン
28,51,61,71,81 落下物受容手段
29,52,62 落下物再投入手段
32 坩堝
33 第1高周波誘導コイル
34 第2高周波誘導コイル
53 払落し部材
54 移動手段
72,83 加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解対象物を加熱して溶湯にし、該溶湯を収容する溶解炉と、析出板生成の原板である冷却体を、溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬手段とを備え、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造装置であって、
冷却体が溶湯上方位置から離反する方向へ搬送される搬送経路途中に設けられ、冷却体から離脱して落下する落下物を受容する落下物受容手段と、
落下物受容手段によって受容される落下物を溶解炉内へ移動させる落下物再投入手段とを含むことを特徴とする析出板製造装置。
【請求項2】
落下物受容手段は、
落下物を受容する受容面が、溶解炉に収容される溶湯の液面よりも高い位置になるように設けられることを特徴とする請求項1記載の析出板製造装置。
【請求項3】
落下物受容手段は、
落下物を受容する受容面の少なくとも一部が、カーボンまたは石英から成ることを特徴とする請求項1または2記載の析出板製造装置。
【請求項4】
落下物再投入手段は、
落下物受容手段の落下物受容面が溶解炉へ近づくにつれて下方に傾斜するように、落下物受容手段を傾動させる傾動手段を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の析出板製造装置。
【請求項5】
落下物再投入手段は、
落下物受容手段の落下物受容面に対して平行に、かつ落下物受容面をまたぐように設けられる払落し部材と、
落下物受容面に対して平行に、かつ溶解炉に対して近接離反するように払落し部材を移動させる移動手段とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の析出板製造装置。
【請求項6】
落下物再投入手段は、
振動フィーダーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の析出板製造装置。
【請求項7】
受容される落下物を加熱する加熱手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の析出板製造装置。
【請求項8】
溶解炉が高周波誘導コイルを備える高周波誘導加熱炉であり、
落下物受容手段が、高周波誘導コイルが形成する磁束によって発熱する発熱体を備え、
落下物を加熱する加熱手段が、高周波誘導コイルと発熱体とを含んで構成されることを特徴とする請求項7記載の析出板製造装置。
【請求項9】
溶解対象物を溶解炉で加熱して溶湯にし、析出板生成の原板である冷却体を、溶解炉に収容される溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送することによって、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造方法であって、
冷却体が溶湯上方位置から離反する方向へ搬送される途中で冷却体から離脱して落下する落下物を受容する工程と、
受容された落下物を溶解炉内へ移動させる工程とを含むことを特徴とする析出板製造方法。
【請求項10】
溶解対象物を溶解炉に収容される溶湯中へ追加投入する工程をさらに含み、
溶解対象物を溶解炉に収容される溶湯中へ追加投入する工程は、
受容される落下物を溶解炉内へ移動させる工程と同じ機会に実行されることを特徴とする請求項9記載の析出板製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−49439(P2006−49439A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225853(P2004−225853)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】