説明

案内装置

【課題】公共交通機関で移動する際に景観の良好な座席の案内が可能な案内装置を提供する。
【解決手段】最適経路に公共交通機関を利用する経路が含まれると判定した場合には、その公共交通機関を利用する経路において、左右何れの方向の視界が良好であるかを判定する(ステップS53)。案内情報決定部は、路線に対応するリンクにおける視界情報に含まれる視界レベル情報や視界連続情報を参照するとともに、路線における左右何れの方向の視界が良好であるかを判定する。そして、左右何れかの座席がより景色のよい地点を楽しむことができると判定された場合には、左右何れかの座席につくべきメッセージを決定する(ステップS54)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共交通機関を利用する際の案内を行う案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムが普及しており、運転手は現在位置や目的地を設定することにより、所望の目的地までの最適な経路を探索することができる。また、カーナビゲーションシステムを発展させた歩行者用ナビゲーションシステムに関する技術も提案されている。こうした歩行者用ナビゲーションシステムの中においては、徒歩のみで目的地まで移動する場合の経路を探索するのみならず、例えば、徒歩や公共の交通機関などといった複数種類の移動手段を利用する経路から構成される経路探索を行い案内するナビゲーション装置が提案されている。
【0003】
公共の交通機関で移動する際、利用者は運転を行わないため、移動中は車窓からの景色を楽しむ機会があるものの、同じ移動経路においても、座席位置が右か左かによって車窓から見える景色は全く異なる。こうした事情を考慮して、観光案内において、地図情報とともに案内すべき観光地等の種々の条件下での見え方を予め入力しておき、その時点での季節・時刻・気候条件又は乗客の座席位置に応じて案内情報を加工する。そして、目標物の方向や見え方を詳細に案内するという技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−278748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、車窓からの景色を楽しむためのサポートとして、座席の左右の位置に応じた内容の観光案内を受けることができるが、これは着席した位置に応じた内容の案内を行うのみである。そのため、移動経路における景色の良い座席位置の選択を事前に行うことはできず、着席した座席位置からの景色が良好でないことは実際に移動を始めてから判明するという問題が生じる。
また、観光案内の地点が、座席の左右いずれの位置にあるかを観光案内地点の座標値と移動経路とから算出するのみであるため、移動経路から観光案内の地点を視認できるか否かは運任せであった。
【0006】
本発明は、こうした問題を解決するためになされた発明である。その目的は、公共交通機関で移動する際に景観の良好な座席の案内が可能な案内装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の案内装置は、公共交通機関の路線をリンク及びノードで表現したネットワークデータと、前記路線における左右水平方向の視界に関する視界情報とが記憶されているネットワークデータ記憶部と、前記視界情報に基づいて経路の案内に関する案内情報を決定する案内情報決定部と、前記案内情報に基づいて視界に関する案内処理を実行する案内部とを備えたことを特徴とする。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の案内装置によれば、左右水平方向の視界距離のデータをリンクの属性情報として予め記憶しておき、このデータを用いて視界距離に応じた視界情報の案内を行うことができる。したがって、本発明の案内装置を用いることで、公共交通機関で移動する際に視界が広く、景観の良好な経路や座席を予め確認することが可能となり、経路や路線の選択、観光、座席予約等の補助ツールとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の案内装置の構成図。
【図2】地図情報と路線のネットワークデータとの対応関係を説明する図。
【図3】視界情報について説明する図。
【図4】案内装置を用いた案内処理のフローチャート。
【図5】経路探索処理のフローチャート。
【図6】経路案内処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施例における案内装置は、クライアントとしての携帯端末11とサーバ12とを備えたクライアント−サーバシステムで構成されている。携帯端末11とサーバ12とは、所定の地点に配置されている無線基地局13及び公衆通信回線としてのインターネット14を介して通信可能に接続されている。
【0011】
まず、携帯端末11について説明する。
携帯端末11は、位置測位部としてのGPS15と、案内部16と、表示部としてのディスプレイ17と、端末送受信部18と、端末制御部19とを備える。
GPS15は、携帯端末11の現在位置を測位する。具体的には、携帯端末のGPSアンテナによって受信された、複数のGPS衛星から送信される電波信号に基づいて携帯端末11の現在位置(緯度及び経度)を測位する。このほかにも、現在位置は、DGPS(ディファレンシャルGPS)を利用した方法や、携帯端末11の無線基地局13の電波を利用した方法や、ジャイロセンサを利用若しくは併用した方法などによって測位してもよい。
【0012】
案内部16は、後述する視界レベル情報に基づいて、視界に関する案内処理を実行する。一例として、サーバ12による経路探索処理の結果、公共交通機関としての電車を移動手段として利用することになった場合において、鉄道沿線の進行方向右側に景色のよい地点が複数存在している場合について説明する。この場合、案内部16は、その電車に乗車した際に進行方向右側の座席を選択すれば、よい景色を楽しむことができることをユーザに報知する。報知するタイミングは、経路の案内を開始した場合や、駅に到着したとき、電車に乗車するときなど、電車を利用する前が望ましい。案内部16としては、音声を発するスピーカや、ディスプレイ17に文字を表示させる表示手段等があげられる。
【0013】
また、案内部16は、後述する視界連続情報及び電車の移動速度に関する情報を用いて算出された継続時間が所定時間だけ継続する場合には、その案内処理を実行する。ここでの所定時間については、予め任意の時間を設定することが可能である。
ディスプレイ17は、サーバ12から送信された地図データに基づく地図、案内経路に関するルート情報、案内メッセージ等の各種情報を表示する機能を有する。
端末送受信部18は、携帯端末11からサーバ12に各種データを送信するとともに、サーバ12から送信された各種データを受信する機能を有する。
端末制御部19は、携帯端末11が備える各部15〜18の動作を、メモリ等に記録されている所定のプログラムに基づいて制御する機能を有する。
【0014】
次に、サーバ12について説明する。
サーバ12は、ネットワークデータ記憶部及び速度情報記憶部としてのハードディスク20と、経路探索部21と、案内情報決定部22と、サーバ送受信部23と、サーバ制御部としてのCPU24とを備える。
ハードディスク20には、公共交通機関の路線をリンク及びノードで表現した路線ネットワークデータが記憶されている。例えば、図2に示すように、鉄道路線の路線ネットワークデータの場合、ディスプレイ17に表示される地図30を構成する駅31や分岐点32がノード33として表現される。そして、線路34がリンク35として表現される。つまり、路線ネットワークデータを構成するリンク35は、ノード33間を接続する線分として規定される。
【0015】
リンク35には、リンクコストなど各種の属性情報が対応付けられている。属性情報は、そのリンク35に対応する路線34の特徴を表す情報である。リンクコストは、一般的にはそのリンク35を通行する際にユーザにかかる負荷を表している。本実施例では、電車のリンクコストは、そのリンクが表す路線34の長さに応じて設定されている。なお、リンクコストは、そのリンク35を通行するために要する時間に応じて設定されるようにしてもよい。
そのほかにも、属性情報としては、リンク35を特定する固有のID番号、リンク35の長さを示すリンク長、リンク35の始端及び終端に存在するノード33の緯度・経度座標、リンク35における複数地点の緯度・経度座標、路線名称、路線種別、及び通行コスト等がある。また、後述する視界情報も、属性情報である。
【0016】
また、ノード33にも、属性情報が対応付けられている。ノード33の属性情報としては、ノード33を特定する固有のID番号、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンク35のリンクIDが記述される接続リンクID等がある。
このほかにも、ハードディスク20には、車両の走行する道路を表現した道路ネットワークデータや、歩行者用の歩道や地下通路、地下街等を表現した歩行者用ネットワークデータも記憶されている。これらの複数のネットワークデータを用いて、複数の移動手段によって目的地まで移動する場合の経路を探索することが可能となる。なお、これら複数のネットワークデータは、1つのまとまったネットワークとして構成されていてもよい。各種ネットワークデータは種々の構造を採ることができる。例えば、テーブル形式としてもよい。
【0017】
更に、ハードディスク20には、公共交通機関毎の、移動速度に関する速度情報が記憶されている。移動速度に関する速度情報は、公共交通機関の平均移動速度であってもよいし、所定の区間毎の平均移動速度であってもよい。また、時刻表データをハードディスク20に記憶しておき、その時刻表データから速度を算出するようにしてもよい。例えば、2つの駅間の距離と、当該2つの駅を移動するのに要する時間とから速度を算出することができる。
【0018】
経路探索部21は、携帯端末11から経路探索要求に関する情報が送信されると、当該情報に基づいて経路を探索する。具体的には、現在地若しくは指定された出発地から目的地までの最適な推奨経路をネットワークデータを用いて探索する機能を有する。探索の際には、例えば周知のダイクストラ法を用いて最もコストの低い経路が探索される。
案内情報決定部22は、公共交通機関の移動速度に関する速度情報をハードディスク20から取得するとともに、当該速度情報及び視界連続情報を用いて経路内における所定の地点での視界の良い風景が継続する継続時間を算出する。そして、その継続時間に基づいて経路の案内に関する案内情報を決定する機能を有する。速度情報及び案内情報については後述する。
【0019】
サーバ送受信部23は、サーバ12から携帯端末11に地図データや経路案内データ等の各種データを送信するとともに、携帯端末11から送信された各種データを受信する機能を有する。
CPU24は、サーバ12が備える各部20〜23の動作をメモリ等に記録されている所定のプログラムに基づいて制御する機能を有する。
【0020】
次に、リンク35の属性情報である視界情報について説明する。
路線における左右水平方向の視界に関する視界情報は、ハードディスク20に記憶されている。視界情報には、視界レベル情報と視界連続情報とが含まれている。視界レベル情報は、路線における水平方向の視界距離に応じた視界レベルを表す。視界連続情報は、路線における同一視界レベルが進行方向に連続する距離に関する情報である。
【0021】
視界レベル情報は、人工建造物や崖、トンネルなど、視界を遮る障害物までの距離に応じて視界レベルが設定される。例えば、障害物までの距離が5m未満である区間においては視界レベル1、5m以上かつ100m以内の区間においては視界レベル2、100m以上の区間においては視界レベル3というように視界レベルが設定される。図3の例で、路線34を走行する電車36の進行方向右側における視界レベルについて説明すると、障害物である山37までの距離が50m未満である区間aにおいては、視界レベル2が設定される。また、視界を遮る地物等が存在しない区間bにおいては、視界レベル3が設定される。そして、トンネル38の区間cにおいては、視界レベル1が設定される。
【0022】
視界レベルは、路線の左右方向それぞれに設定される。なお、障害物までの距離は周知のレーザー測距装置で計測される。レーザー測距装置は、例えば、レーザー光の振幅(または偏向)変調を利用して水平方向に照射されたレーザー光の基準波形と、障害物に反射することで戻ってきた波形の位相のずれとを測定することによって距離を求める。
また、視界レベルは、路線34に対応するリンクの一方である基点(始点)から○○m〜○○mまでの区間がどの視界レベルに相当するといった情報として定義される。リンクの一方の基点から○○%〜○○%までの区間がどの視界レベルに相当すると定義してもよい。
【0023】
視界レベルは、ユーザが路線における障害物までの距離に関する情報に応じて、ユーザが設定することができるようにしてもよい。
視界レベルは、左右水平方向の距離のほかに、景色の良い風景を数値等で定量化した情報を採用してもよい。例えば、天然記念物や名勝地(橋梁、峡谷、海浜、山岳など)が見られるポイントの視界レベルを他の地点の視界レベルよりも高く設定するといったことが考えられる。
また、視界レベルには季節を考慮するようにしてもよい。例えば、春に桜がきれいな地域や、秋に紅葉がきれいな地域等は、その時期における視界レベルを高く設定することが考えられる。
【0024】
また、視界レベルには時間を考慮するようにしてもよい。例えば、夜に公共交通機関を利用する場合には、夜景の見える地点の視界レベルを高く設定することが考えられる。
経路の左右何れにも視界レベルの高い地点が存在する場合には、それぞれの区間に到達する前に案内するようにしてもよい。例えば、A駅からB駅までは右側を、B駅からC駅までは左側を、それぞれ推奨するようなメッセージが考えられる。
視界レベルは、ユーザの嗜好に応じて設定できるようにしてもよい。例えば、海よりも山が好みのユーザには、山の景色についての視界レベルを高く設定することができるようにしてもよい。
【0025】
視界連続情報は、図3に示す例において、区間a〜cの距離がそれぞれ300m、550m、150mである場合、それぞれの連続する距離を表す情報として記憶される。視界連続情報は、主に景色のよい地点を案内するために用いられる情報であるため、視界レベルの高い(視界のよい)地点についてのみ記憶するようにしてもよい。
【0026】
視界情報は、リンク35の属性情報としてではなく、路線ネットワークデータとは独立したデータとしてハードディスク20に記憶するようにしてもよい。この場合、視界情報は、どのリンク35と対応付けられているかが分かるような態様で、ハードディスク20に記憶されている。
【0027】
次に、本実施例における案内装置を用いて経路を案内する方法について説明する。
図4に示すように、まず、経路探索要求に関する要求情報が携帯端末11からサーバ12に端末送受信部18を介して送信される(ステップS41)。この要求情報には、出発地、目的地、経由地、探索条件、利用する移動手段の種別等の各種情報が含まれている。出発地は、GPS15によって測位された現在位置であってもよいし、ユーザによって入力された地点であってもよい。探索条件としては、出発時間や到着時間の指定、階段や屋根のある歩道を用いるか否か等の条件である。利用する移動手段は、例えば、ディスプレイ17に表示される「徒歩」、「自転車」、「自動車」、「電車」等の選択肢の中から、選択的に入力することができる。
【0028】
これらの各種要求情報をサーバ送受信部23によって受信すると(ステップS42)、CPU24は、要求情報に含まれる各種情報に基づいて経路探索処理を実行する(ステップS43)。経路探索処理の詳細については後述する。
次に、CPU24は、経路探索処理により算出された最適経路について、その経路の形状を表す形状データを、最適な経路情報として地図情報とともにサーバ送受信部を介して携帯端末11に送信する(ステップS44)。なお、経路情報は、対応する地図上に経路を重畳させた状態のラスタ形式の地図情報としてもよい。この地図情報及び経路情報は、端末送受信部18で受信される(ステップS45)。受信された地図情報、経路情報は、図示しないメモリに記憶される。
【0029】
また、CPU24は、最適経路に鉄道が含まれている場合には、当該鉄道の路線ネットワークデータを構成するリンクの属性情報である視界情報に基づいて作成された案内情報をサーバ送受信部23を介して携帯端末11に送信する(ステップS46)。この案内情報は、端末送受信部18で受信される(ステップS47)。受信された案内情報は、図示しないメモリに記憶される。
そして、端末制御部19は、受信した地図情報、経路情報、案内情報に基づいて、経路案内プログラムに従って経路案内処理を実行する(ステップS48)。経路案内処理については、後述する。
【0030】
次に、経路探索処理(図4:ステップS42)について説明する。
図5に示すように、CPU24は、携帯端末11から送信された経路探索要求に関する要求情報に含まれている出発地及び目的地に関する情報を抽出する。そして、出発地から目的地までの、設定された探索条件を満たす最適経路を周知のダイクストラ法などによって探索する(ステップS51)。なお、経由地が設定されている場合には経由地を含む経路が探索される。CPU24は、探索された最適経路に基づいて経路情報を作成する。
【0031】
次に、CPU24は、最適経路に公共交通機関を利用する経路が含まれるか否かを判定する(ステップS52)。例えば、最適経路に路線ネットワークデータに対応する経路が含まれている場合に、公共交通機関を利用する経路が含まれると判定することができる。
CPU24は、最適経路に公共交通機関を利用する経路が含まれないと判定した場合には、経路探索処理を終了する。その一方で、CPU24は、最適経路に公共交通機関を利用する経路が含まれると判定した場合には、その公共交通機関を利用する経路において、左右何れの方向の視界が良好であるかを判定する(ステップS53)。
【0032】
具体的には、案内情報決定部22は、路線に対応するすべてのリンクを参照するとともに、そのリンクに付与されている視界情報に含まれる視界レベル情報や視界連続情報を参照する。案内情報決定部22は、視界レベルが3であるポイントの数を路線の左右それぞれについてカウントしたり、視界レベルが3である区間における視界連続情報の距離をカウントしたりすることで、路線における左右何れの方向の視界が良好であるかを判定する。もちろん、視界レベル情報及び視界連続情報の両方の情報を用いて判定するようにしてもよい。
そして、左右何れかの座席がよりよい景色を楽しむことができると判定された場合には、案内情報決定部22は、左右何れかの座席につくべきメッセージ(案内情報)を決定する(ステップS54)。なお、案内情報は、ハードディスク20に予め記憶されているものが選択されて携帯端末11に送信される。
【0033】
なお、左右の視界の良好度合いが同じであるか或いは差がある一定の範囲内である場合には、左右どちらの座席に座っても同等の景色が楽しめることから、案内情報決定部22は、特に案内情報を決定しないか、或いは、「左右どちらの座席でも、良好な景色が楽しめます」といったメッセージを決定するようにしてもよい。
【0034】
また、案内情報決定部22は、案内情報を作成する際に、公共交通機関の移動速度に関する速度情報を用いてもよい。
具体的には、案内情報決定部22は、最適経路に電車を利用する路線が含まれる場合において、移動手段として選択された当該電車の移動速度に関する速度情報をハードディスク20から読み出す。そして、案内情報決定部22は、路線に対応するリンクの視界連続情報を速度情報で除することで、良好な視界を継続して見ることのできる継続時間を算出することができる。案内情報決定部22は、この継続時間が路線の左右方向でどちらが長いかによって、案内情報を決定する。
【0035】
次に、公共交通機関を利用する場合の経路案内処理(図4:ステップS48)について説明する。
経路案内処理が開始されると、端末制御部19は受信した地図情報、経路情報をメモリから読み出す(ステップS61)。次に、端末制御部19は、GPS15から現在位置情報を取得する(ステップS62)。現在位置情報は、地上座標空間上の座標データとして取得される。現在位置情報が取得されると、端末制御部19は、現在位置に応じた案内(右左折の指示等)や、情報(目的地までの距離や周辺にある地物等)の提供を実行する(ステップS63)。
【0036】
次に、端末制御部19は、駅に到着したか否かを判定する(ステップS64)。駅に到着したと判定された場合には、端末制御部19は、案内情報をメモリから読み出して案内部16からユーザに報知する(ステップS65)。例えば、端末制御部19は、案内部16によって、電車のどちらに座ればよい景色を楽しむことができるかについて案内させる。
一方、駅に到着していないと判定された場合には、端末制御部19は、目的地に到着したか否かを判定する(ステップS66)。目的地に到着したと判定された場合には、端末制御部19は、経路案内処理を終了する。一方、目的地に到着していないと判定された場合には、端末制御部19は、ステップS62に戻って一連の処理を継続する。
【0037】
本実施例の案内装置によれば、以下の効果が得られる。
・電車やバスなどの公共交通機関を利用して目的地まで移動する場合に、公共交通機関に乗車しているときに左右何れの景色が良いかを判断して報知するようにした。そのため、ユーザは移動に際して景色のよい風景を楽しむことができる。
・視界レベル情報や視界連続情報を用いて案内するため、視界が広い地点や、当該地点が連続して続く地点などの景色のよい場所を案内することができる。
・公共交通機関の移動速度を考慮して、良い景色が継続する継続時間を算出するようにした。そのため、例えば移動速度が速すぎて良い景色を楽しむことができない地点を除外して案内することも可能となる。
【0038】
(変形例)
・上記実施例では、クライアント−サーバシステムで説明したが、単体で機能を発揮するカーナビゲーション等の装置で実現してもよい。
・また、例えば、新幹線や特急電車等の座席予約のときに、景色のよい座席を報知するといったサービスを適用してもよい。
【0039】
案内情報を案内するタイミングは、駅や停留所に到着した場合に限られることはない。このほかにも例えば案内を開始した時点など、公共交通期間を利用するまでの何れかの時点であればよい。
経路探索結果を表示する際に案内情報を報知するようにすれば、座席予約の際にも視界が良好な座席がわかり、予約時の座席選択の判断材料とすることができる。
案内情報の報知としては、メッセージのほかにも、視界レベルに応じて路線の色を変更したり、地図上で路線を視界レベルに応じた色をつけて表示するようにしてもよい。視界のよい経路が視覚的にわかるため、旅行計画等に活用することができる。
【0040】
本発明は、案内装置に用いられる案内データのデータ構造であって、路線における左右水平方向の視界に関する視界情報を有している案内データのデータ構造としても表現することができる。
【符号の説明】
【0041】
16・・・案内部、20・・・ネットワークデータ記憶部及び速度情報記憶部としてのハードディスク、22・・・案内情報決定部、33・・・ノード、35・・・リンク。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共交通機関の路線をリンク及びノードで表現したネットワークデータと、前記路線における左右水平方向の視界に関する視界情報とが記憶されているネットワークデータ記憶部と、
前記視界情報に基づいて経路の案内に関する案内情報を決定する案内情報決定部と、
前記案内情報に基づいて視界に関する案内処理を実行する案内部と
を備えた案内装置。
【請求項2】
前記視界情報には、前記路線における水平方向の視界距離に応じたレベルを表す視界レベル情報が含まれており、
前記案内情報決定部は、前記視界レベル情報を用いて経路の案内に関する案内情報を決定する請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記視界情報には、前記視界レベル情報の路線の進行方向に連続している連続距離に関する視界連続情報が含まれており、
前記案内情報決定部は、前記視界連続情報を用いて経路の案内に関する案内情報を決定する請求項1又は請求項2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記案内情報決定部は、前記視界連続情報及び前記公共交通機関の移動速度に関する速度情報を用いて前記連続距離が継続する継続時間を算出し、該継続時間に基づいて経路の案内に関する案内情報を決定する請求項3に記載の案内装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−180100(P2011−180100A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47384(P2010−47384)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】