検出装置
【課題】合焦精度の低下を軽減する。
【解決手段】ラインピクセルにより受光される光量データが飽和したとき、ラインピクセルの略中央のピクセルである合焦ピクセルを過ぎたときの前後2ピークのピークピクセルを決定し(S11)、決定したピークピクセルにおけるZ軸カウンタ値を取得し(S12)、取得したZ軸カウンタ値を直線補間して、合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値を推定し(S13)、推定された合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値に基づいて、対象物2の面位置を検出する(S14)ので、受光される光量が飽和したときでも、合焦精度の低下を軽減することができる。本発明は、例えば、対象物の断面形状を測定する測定装置に用いられる位置検出装置に適用することができる。
【解決手段】ラインピクセルにより受光される光量データが飽和したとき、ラインピクセルの略中央のピクセルである合焦ピクセルを過ぎたときの前後2ピークのピークピクセルを決定し(S11)、決定したピークピクセルにおけるZ軸カウンタ値を取得し(S12)、取得したZ軸カウンタ値を直線補間して、合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値を推定し(S13)、推定された合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値に基づいて、対象物2の面位置を検出する(S14)ので、受光される光量が飽和したときでも、合焦精度の低下を軽減することができる。本発明は、例えば、対象物の断面形状を測定する測定装置に用いられる位置検出装置に適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象物の表面を走査しながら、垂直方向の変位位置をサンプリングすることにより、対象物の表面の断面形状を検出する測定装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この種の測定装置においては、対象物に光を照明すると、対象物の表面と光学系との相対的距離の変化により光の受光位置が偏位するので、これを受光素子で受光して、電気的に信号処理を行うことにより、合焦位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−72311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
合焦位置の検出を行う場合、非合焦位置から合焦位置に近づくにつれて、受光素子の受光面に集光される単位面積当たりの光量が大きくなるため、合焦位置近傍では光束の集光に伴い単位面積当たりの光量が過大となって飽和する場合がある。特に、合焦位置の検出にラインセンサを用いる場合、ラインセンサは、1受光素子の面積が小さいため、その影響は顕著なものとなる。
【0006】
飽和光量になると、そのデータは無効となるため、このような無効データが合焦位置で発生した場合には、合焦精度に影響が及ぶこととなる。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、受光素子で受光される光量が飽和したときに得られるデータが、合焦精度に及ぼす影響を軽減するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の検出装置は、対象物を照明する照明手段と、前記対象物からの反射光を集光して、前記対象物の光点像を結像させる結像光学系と、前記結像光学系により集光された前記対象物の光点像の合焦状態を検出する光検出手段と、前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記対象物の面位置を検出する位置検出手段とを備え、前記位置検出手段は、前記光検出手段により検出される前記光点像の光量が飽和した場合、前記光検出手段による検出結果を補間することにより、前記対象物の面位置を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、合焦精度の低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した面位置検出装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】センサユニットの構成を示す図である。
【図3】ラインセンサで検出される光量データの例を示す図である。
【図4】受光される光量が飽和した場合におけるデータ処理について説明するフローチャートである。
【図5】レーザスポットの受光位置と光量プロファイルとの関係を示す図である。
【図6】ピークピクセルの演算方法の例を示す図である。
【図7】直線補間による合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値の推定方法を示す図である。
【図8】レーザ光の光量と、ラインセンサ上における合焦ピクセルからのずれ量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明を適用した面位置検出装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【0013】
面位置検出装置1は、センサユニット11、対物レンズ12、撮像装置13、対象物2を載置するステージ14、センサユニット11の移動量を検出するエンコーダ15、及び制御部16を有している。センサユニット11、対物レンズ12、及び撮像装置13は、不図示の駆動機構を介して支柱17に取り付けられており、エンコーダ15で検出した移動量から対象物2との相対位置を求めることができる。
【0014】
図2は、センサユニット11の構成を示す図である。センサユニット11は、レーザ照明部21、遮蔽板22、ナイフエッジ23、光学レンズ24、ダイクロイックミラー25、及びラインセンサ26から構成される。また、図2において、図1と対応する箇所には同一の符号を付してあり、対物レンズ12、撮像装置13、及び制御部16は、図1の構成に対応している。
【0015】
レーザ照明部21から出射されたレーザ光は、遮蔽板22により円形の光束の半分(図中左半分の領域)が遮蔽され、その半円状の断面を持つ光束からなるレーザ光が、ナイフエッジ23のミラー面により光学レンズ24側に反射される。光学レンズ24側に反射されたレーザ光は、光学レンズ24を通り、ダイクロイックミラー25により対物レンズ12側に反射される。そして、対物レンズ12側に反射されたレーザ光(半円状の断面を持つ光束)が、対物レンズ12の瞳面の半分の領域(図中右半分の領域)を通り、対象物2の表面に照射される。これにより、対物レンズ12を通ったレーザ光は、対物レンズ12の合焦位置に光点像を形成(集光)する。
【0016】
対象物2の表面で反射したレーザ反射光は、対物レンズ12の瞳面の半分の領域(図中左半分の領域)を通り、ダイクロイックミラー25により光学レンズ24側に反射される。光学レンズ24側に反射されたレーザ反射光(半円状の断面を持つ光束)は、光学レンズ24を通り、さらにナイフエッジ23の下側を通って、ラインセンサ26の受光面に入射する。ラインセンサ26に入射したレーザ反射光は、受光面上に光点像を形成し、ラインセンサ26により検出される。
【0017】
ラインセンサ26は、例えば、フォトダイオード等の複数個の受光素子から構成され、各受光素子は、受光量に応じた受光信号を出力する。なお、以下の説明では、ラインセンサ26を構成する複数個の受光素子を総称してラインピクセルと称し、そのラインピクセルのうちの1個の受光素子を1ピクセルと称する。また、ラインピクセルのうち、合焦位置での対象物2の光点像が結像されるピクセルを合焦ピクセルと称する。
【0018】
図2に示すように、対象物2の表面の高さh1,h2,h3の位置に応じて、ラインセンサ26を構成するラインピクセル上に形成される光点像の位置が異なる。ここで、図中実線の光束で示すように、対象物2の表面の高さh2の位置が、ラインセンサ26を構成するラインピクセルのうちの合焦ピクセルに、光点像が結像される合焦位置である。また、その上下の位置となる高さh1,h3では、図中破線の光束で示すように、光点像はそれぞれ合焦ピクセルから外れた位置に、ぼやけた像として結像される。
【0019】
図3は、図2の高さh1,h2,h3の位置に応じて、ラインセンサ26を構成するラインピクセル上に形成される光点像の位置を図示している。図3では、図中左側に、長方形の各マス目を1ピクセルとするラインピクセルが模式的に図示され、図中右側には、図中左側のラインピクセルと、そのラインピクセルのうちの所定のピクセルにより受光される光量(光量データ)との関係を示す波形が図示されている。この光量データは、ラインセンサ26を構成するラインピクセルの各ピクセルにより検出された受光信号に対応するデータである。なお、図中右側の水平方向の軸はラインピクセルの各ピクセルの位置を示しており、その軸の略中心が合焦ピクセルの位置となり、図中左方向又は右方向にいくほど、合焦ピクセルから離れた位置のピクセルとなることを意味する。また、垂直方向の軸は、ラインピクセルの各ピクセルにより受光される光量データを示し、図中上方向にいくほど、光量データが大きくなることを意味する。
【0020】
図3の左側に示すように、対象物2の表面の高さh2に応じた合焦時の光点像(図中左側のラインピクセル上のレーザスポットS2)は、その径が小面積で、かつ高密度となるため、図中右側の波形で示すように、合焦ピクセルとその近傍のピクセルでは、1ピクセル当たりの受光量が大きくなる。一方、高さh1,h3に応じた非合焦時の光点像(図中左側のラインピクセル上のレーザスポットS1,S3)は、その径が大面積で、かつ低密度となるため、1ピクセル当たりの受光量は非常に小さなものとなる。
【0021】
このような光点像の光量が、ラインセンサ26を構成するラインピクセルの各ピクセルにより受光され、受光量に応じた受光信号が、制御部16に供給される。
【0022】
図1に戻り、制御部16は、ラインセンサプリアンプ26から供給される受光信号に基づいて、合焦位置が検出されたときのセンサユニット11の高さ位置(Z軸方向位置)を、エンコーダ15から読み取って、対象物2の表面の位置(面位置)を検出する。これにより、対象物2の高さや断面曲線、表面形状を測定することができる。
【0023】
また、制御部16は、測定された高さ位置を目標値として、合焦機構(センサユニット11や対物レンズ12、ステージ14等)の位置決め駆動を行うことにより、合焦動作を制御する。これにより、対象物2に対してオートフォーカス(AF:Autofocus)が行われる。
【0024】
より具体的には、図2のセンサユニット11は、ナイフエッジ方式を採用しているため、ナイフエッジ23を経た光点像をラインセンサ26で受けている。ナイフエッジ23を経た光点像の位置は、対象物2に対する合焦位置が変化すると、これに対応してラインピクセル上の基準位置(合焦ピクセルの位置)からの距離が変化する。そこで、例えば、制御部16は、結像光学系の焦点が対象物2に合う光点像の位置と基準位置とが一致するように合焦機構を制御する、あるいはその停止位置として高さ位置を測定する。
【0025】
なお、対象物2の表面で反射したレーザ反射光は、ダイクロイックミラー25を透過して、撮像装置13側にも導かれる。撮像装置13では、観察光学系(不図示)により、ダイクロイックミラー25を透過したレーザ反射光が撮像素子(不図示)に結像され、撮像素子に結像した対象物2の像に対応する観察画像が取得される。この観察画像は、制御部16により、モニタ(不図示)に表示される。
【0026】
以上のようにして、センサユニット11は構成される。
【0027】
ところで、図3の合焦時の光点像(図中左側のラインピクセル上のレーザスポットS2)が、ラインピクセルにより受光されるとき、合焦ピクセルとその近傍のピクセルでは、単位面積当たりの光量が過大となって、受光される光量が飽和(サチュレーション)する場合がある。飽和光量になった場合、そのデータは無効となるが、制御部16では、そのデータを無効データとせずに、有効データとして取得できるようにする。
【0028】
そこで、次に、図4のフローチャートを参照しながら、受光される光量が飽和した場合に、制御部16により行われるデータ処理の詳細について説明する。したがって、ラインピクセルにより受光される光量が過大となって、受光される光量が飽和したとき、図4のフローチャートに示す処理が行われる。
【0029】
また、面位置検出装置1による位置検出処理の開始前の調整段階において、センサユニット11における合焦ピクセルが設定されているものとする。例えば、ステージ14に載置した所定の標準サンプルに合焦したときのピクセルを合焦ピクセルとすることで、ラインピクセルの略中央のピクセルである256ピクセル(PIX256)が合焦ピクセルとして設定される。
【0030】
ステップS11において、制御部16は、ラインピクセル上の光点像が合焦ピクセルを過ぎたときの前後2ピークのピクセル(以下、ピークピクセルという)を決定する。
【0031】
ここで、図5及び図6を参照して、ピークピクセルの決定方法の詳細について説明する。
【0032】
図5には、ラインセンサ26を構成するラインピクセル上に形成される光点像(レーザスポットS)の受光位置と、光量プロファイルとの関係を図示している。なお、光量プロファイルは、ラインピクセルのピクセルの位置と、各ピクセルで受光される光量(光量データ)との対応関係を示す2次曲線であり、以下、プロファイル波形Pとも称する。
【0033】
図5の上側には、6個のラインピクセルを図示しているが、これは、センサユニット11をZ軸方向(高い位置から低い位置)に移動させたときの、ラインピクセル上に形成される光点像(レーザスポットS)の様子を、時系列(図中左から右に向かう方向)に示すものである。また、図5の下側の波形は、図5の上側の6個のラインピクセルに対応したプロファイル波形Pを示している。
【0034】
6個のラインピクセルに対して引かれた水平方向の点線は、ラインピクセルのうちの合焦位置での対象物2の像が結像する位置であって、上述した調整段階で設定された合焦ピクセルに一致するものである。例えば、6個のラインピクセルのそれぞれにおいて、点線により示される位置がPIX256に対応している。
【0035】
センサユニット11が最も高い位置にあるとき、図中左から1つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS1は、合焦ピクセルから離れた位置のピクセルに集光しているが、その径は大面積で、かつ低密度となる。そのため、対応するプロファイル波形P1に示すように、その波形はなだらかな曲線となり、受光位置のピクセルにより受光される光量は少なくなる。
【0036】
続いて、センサユニット11がZ軸方向に下がると、図中左から2つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS2は、レーザスポットS1よりも合焦ピクセルに近づいた位置のピクセルに集光し、その径は、レーザスポットS1よりも小さい面積で、かつ高密度となる。そのため、対応するプロファイル波形P2に示すように、それらのピクセルで受光される光量データは、プロファイル波形P1よりも大きなピークの現われた波形となる。
【0037】
Z軸方向にさらに、センサユニット11が下がると、図中左から3つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS3は、レーザスポットS2よりもさらに合焦ピクセルに近づいた位置のピクセルに集光し、その径は、レーザスポットS2よりも小さい面積で、かつ高密度となる。そして、センサユニット11がさらに下がると、図中左から4つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS4は、レーザスポットS3と合焦ピクセルを挟んで互いに所定の距離だけ離れた位置のピクセルに集光し、その径は、後述するレーザスポットS5よりも小さい面積で、かつ高密度となる。
【0038】
このとき、合焦ピクセルの近傍のピクセルに集光される高密度のレーザスポットS3,S4によって、それらのピクセルの単位面積当たりの光量が過大となって飽和することがあるのは先に述べた通りである。そして、飽和光量となった場合には、そのデータが無効データになり、図5の下側に示すような、光量プロファイル(プロファイル波形P3,P4)が得られないことになる。
【0039】
ここで、図6を参照して、飽和による無効データを、有効データとして取得し、光量プロファイルを再現する方法について説明する。
【0040】
なお、図6A,図6Bにおいて、水平方向と垂直方向の軸は、図3の右側の水平方向と垂直方向の軸と同様とされる。
【0041】
図6Aに示すように、光量データが飽和した場合の波形は、飽和光量以上の光量データが受光されることはないため、飽和すると一定レベルとなり、ピークの現われない波形となる。この場合、例えば、図6Aの波形上の飽和直前の2点のデータと、飽和直後の1点のデータの合計3点のデータを用いて、所定の補間式により近似曲線を演算することで、図6Bの波形が得られる。なお、近似曲線を求めるための補間式としては、例えばニュートン補間や最小二乗法などの公知の補間式を用いることができる。また、補間式に与える点は、飽和直前直後の3点に限らず、飽和直前直後の点であれば、任意の点を与えることができる。
【0042】
これにより、合焦ピクセルの近傍のピクセルにおいて、レーザスポットS3,S4が集光され、ピクセルの単位面積当たりの光量が過大となって飽和した場合でも、無効データからプロファイル波形P3,P4が再現されることになる。すなわち、合焦ピクセルの近傍のピクセルから光量データを得る必要があるのに、合焦ピクセル近傍では、図6Aに示すような無効データが得られる確率が高くなので、そのような無効データを近似曲線により補間することで、図6Bに示すような、有効データが取得される。
【0043】
図5に戻り、その後、Z軸方向にさらに、センサユニット11が下がると、図中左から5つ目と6つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS5,S6は、合焦ピクセルから徐々に離れた位置に集光され、対応するプロファイル波形P5,P6に示すように、その波形は、徐々になだらかな曲線となり、受光位置のピクセルにより受光される光量は少なくなる。
【0044】
以上のようにして、ラインピクセル上に形成される光点像(レーザスポットS)に応じたプロファイル波形Pが得られるが、制御部16は、それらのプロファイル波形Pに基づいて、ラインピクセル上の光点像が合焦ピクセルを過ぎたときの前後2ピークのピークピクセル、すなわち、合焦ピクセルを跨いだピークピクセルを決定する。
【0045】
つまり、図6Aに示すように、合焦ピクセル近傍で光量が飽和した場合、近似曲線を演算してプロファイル波形を再現するが、その波形は、図6Bに示すように、ピークの現われた波形となるため、その曲線における光量データの最大値を演算することができる。そして、ラインピクセルのうちの、光量データの最大値を得るピクセルが、ピークピクセルとして決定される。
【0046】
例えば、合焦ピクセルとして、ラインピクセルの略中央のピクセルであるPIX256が設定されている場合、合焦ピクセルを跨ぐピークピクセルとして、プロファイル波形P3の光量データの最大値を得るピークピクセルである253ピクセル(PIX253)と、プロファイル波形P4の光量データの最大値を得るピークピクセルである258ピクセル(PIX258)が決定される。
【0047】
ステップS12において、制御部16は、決定したピークピクセルにおけるZ軸カウンタ値を取得する。このZ軸カウンタ値は、Z軸方向の座標位置であって、上述したセンサユニット11をZ軸方向に移動させたとき、その移動量がエンコーダ15により検出され、制御部16又は外部装置(不図示)等に保持されている。例えば、合焦ピクセルを跨いだピークピクセルとして、PIX253とPIX258が決定された場合、Z軸カウンタ値として、PIX253ではZ1=200、PIX258ではZ2=100がそれぞれ取得される。
【0048】
ステップS13において、制御部16は、取得したZ軸カウンタ値を直線補間することにより、合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値を推定する。
【0049】
例えば、図7に示すように、合焦ピクセルがPIX256に設定され、その合焦ピクセルを跨いだピークピクセルがPIX253,PIX258であると決定された場合、それらのピクセル間隔の比は、(PIX253−PIX256):(PIX256−PIX258)=3:2となる。また、それらのピークピクセルのZ軸カウンタ値の差Zdeffは、Zdeff=Z1−Z2=200−100=100となる。そして、ピクセル間隔の比を用いて、合焦ピクセル(PIX256)と、一方のピークピクセル(PIX253)のZ軸カウンタ値の差Z3は、Z3=Zdeff×3/5=100×3/5=60となる。
【0050】
これにより、合焦ピクセル(PIX256)のZ軸カウンタ値(Zfocus)は、Zfocus=Z1−Z3=200−60=140となる。すなわち、ピークピクセル(PIX253,PIX258)が合焦ピクセル(PIX256)を跨いだときに、内挿処理を行うことで、合焦ピクセル(PIX256)におけるZ軸カウンタ値として、Zfocus=140が推定される。
【0051】
ステップS14において、制御部16は、推定された合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値に基づいて、対象物2の表面の位置(面位置)を検出する。これにより、対象物2の高さや断面曲線、表面形状を測定することができる。また、例えば、制御部16は、合焦ピクセル(PIX256)におけるZ軸カウンタ値として、Zfocus=140が推定された場合、Zfocus=140の位置を目標値として合焦機構(センサユニット11等)の位置決め駆動を行うことにより、合焦動作が行われる。
【0052】
以上のように、合焦ピクセルとその近傍のピクセルにより受光される光量データが飽和した場合、飽和直前直後のデータを用いて、補間式により近似曲線を算出することで、飽和した光量データ値以上の光量プロファイルを再現することができる。そして、この再現された光量プロファイルから、ラインピクセル上の光点像が合焦ピクセルを過ぎたときの前後2ピークのピークピクセルが決定され、さらに、決定された2つのピークピクセルのZ軸カウンタ値から、合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値が推定され、そのZ軸カウンタ値を用いた合焦動作などが行われる。これにより、受光される光量が飽和した場合でも、そのデータを無効データとせずに、有効データとして取得することで、無効データが合焦位置で発生した場合であっても、その影響により、合焦精度が低下することを軽減することができる。
【0053】
例えば、面位置検出装置1においては、レーザ照明部21から出射されるレーザ光の光量そのものを制御することで、受光される光量が飽和しないようにすることができる。図8は、レーザ光の光量と、ラインセンサ上における合焦ピクセルからのずれ量との関係を示す図である。図8において、水平方向の軸は、ラインピクセルにおける合焦ピクセルからのずれ量を示し、図中右方向にいくほど、合焦ピクセルから離れていることを意味する。また、垂直方向の軸は、レーザ光量のゲインを示し、図中上方向にいくほど、ゲインが大きくなることを意味する。
【0054】
図8に示すように、対象物の表面の反射率を一定としたときの非合焦位置から合焦位置に近づくまでに、単位時間当たりに光量変化率が最も大きいところで、4倍程度となる。そのため、ラインセンサ26を構成するラインピクセルが飽和しないように、レーザ照明部21からのレーザ光の光量を制御する必要がある。また、仮に、このとき、表面の反射率が0.5%から100%に変化した場合、4×200倍=800倍になる。このように、合焦位置近傍では、レーザ光の光量を急激に落とす必要があるため、光量の制御だけでは、飽和を抑制できない場合がある。このような、受光される光量が飽和した場合でも、本実施の形態では、そのデータを無効データとせずに、有効データとして取得することができるので、光量の制御を速い応答精度により行うことができなくても、合焦精度が低下することはない。
【0055】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 面位置検出装置, 11 センサユニット, 12 対物レンズ, 13 撮像装置, 14 ステージ, 15 エンコーダ, 16 制御部, 17 支柱, 21 レーザ照明部, 22 遮蔽板, 23 ナイフエッジ, 24 光学レンズ, 25 ダイクロイックミラー, 26 ラインセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象物の表面を走査しながら、垂直方向の変位位置をサンプリングすることにより、対象物の表面の断面形状を検出する測定装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この種の測定装置においては、対象物に光を照明すると、対象物の表面と光学系との相対的距離の変化により光の受光位置が偏位するので、これを受光素子で受光して、電気的に信号処理を行うことにより、合焦位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−72311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
合焦位置の検出を行う場合、非合焦位置から合焦位置に近づくにつれて、受光素子の受光面に集光される単位面積当たりの光量が大きくなるため、合焦位置近傍では光束の集光に伴い単位面積当たりの光量が過大となって飽和する場合がある。特に、合焦位置の検出にラインセンサを用いる場合、ラインセンサは、1受光素子の面積が小さいため、その影響は顕著なものとなる。
【0006】
飽和光量になると、そのデータは無効となるため、このような無効データが合焦位置で発生した場合には、合焦精度に影響が及ぶこととなる。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、受光素子で受光される光量が飽和したときに得られるデータが、合焦精度に及ぼす影響を軽減するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の検出装置は、対象物を照明する照明手段と、前記対象物からの反射光を集光して、前記対象物の光点像を結像させる結像光学系と、前記結像光学系により集光された前記対象物の光点像の合焦状態を検出する光検出手段と、前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記対象物の面位置を検出する位置検出手段とを備え、前記位置検出手段は、前記光検出手段により検出される前記光点像の光量が飽和した場合、前記光検出手段による検出結果を補間することにより、前記対象物の面位置を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、合焦精度の低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した面位置検出装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】センサユニットの構成を示す図である。
【図3】ラインセンサで検出される光量データの例を示す図である。
【図4】受光される光量が飽和した場合におけるデータ処理について説明するフローチャートである。
【図5】レーザスポットの受光位置と光量プロファイルとの関係を示す図である。
【図6】ピークピクセルの演算方法の例を示す図である。
【図7】直線補間による合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値の推定方法を示す図である。
【図8】レーザ光の光量と、ラインセンサ上における合焦ピクセルからのずれ量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明を適用した面位置検出装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【0013】
面位置検出装置1は、センサユニット11、対物レンズ12、撮像装置13、対象物2を載置するステージ14、センサユニット11の移動量を検出するエンコーダ15、及び制御部16を有している。センサユニット11、対物レンズ12、及び撮像装置13は、不図示の駆動機構を介して支柱17に取り付けられており、エンコーダ15で検出した移動量から対象物2との相対位置を求めることができる。
【0014】
図2は、センサユニット11の構成を示す図である。センサユニット11は、レーザ照明部21、遮蔽板22、ナイフエッジ23、光学レンズ24、ダイクロイックミラー25、及びラインセンサ26から構成される。また、図2において、図1と対応する箇所には同一の符号を付してあり、対物レンズ12、撮像装置13、及び制御部16は、図1の構成に対応している。
【0015】
レーザ照明部21から出射されたレーザ光は、遮蔽板22により円形の光束の半分(図中左半分の領域)が遮蔽され、その半円状の断面を持つ光束からなるレーザ光が、ナイフエッジ23のミラー面により光学レンズ24側に反射される。光学レンズ24側に反射されたレーザ光は、光学レンズ24を通り、ダイクロイックミラー25により対物レンズ12側に反射される。そして、対物レンズ12側に反射されたレーザ光(半円状の断面を持つ光束)が、対物レンズ12の瞳面の半分の領域(図中右半分の領域)を通り、対象物2の表面に照射される。これにより、対物レンズ12を通ったレーザ光は、対物レンズ12の合焦位置に光点像を形成(集光)する。
【0016】
対象物2の表面で反射したレーザ反射光は、対物レンズ12の瞳面の半分の領域(図中左半分の領域)を通り、ダイクロイックミラー25により光学レンズ24側に反射される。光学レンズ24側に反射されたレーザ反射光(半円状の断面を持つ光束)は、光学レンズ24を通り、さらにナイフエッジ23の下側を通って、ラインセンサ26の受光面に入射する。ラインセンサ26に入射したレーザ反射光は、受光面上に光点像を形成し、ラインセンサ26により検出される。
【0017】
ラインセンサ26は、例えば、フォトダイオード等の複数個の受光素子から構成され、各受光素子は、受光量に応じた受光信号を出力する。なお、以下の説明では、ラインセンサ26を構成する複数個の受光素子を総称してラインピクセルと称し、そのラインピクセルのうちの1個の受光素子を1ピクセルと称する。また、ラインピクセルのうち、合焦位置での対象物2の光点像が結像されるピクセルを合焦ピクセルと称する。
【0018】
図2に示すように、対象物2の表面の高さh1,h2,h3の位置に応じて、ラインセンサ26を構成するラインピクセル上に形成される光点像の位置が異なる。ここで、図中実線の光束で示すように、対象物2の表面の高さh2の位置が、ラインセンサ26を構成するラインピクセルのうちの合焦ピクセルに、光点像が結像される合焦位置である。また、その上下の位置となる高さh1,h3では、図中破線の光束で示すように、光点像はそれぞれ合焦ピクセルから外れた位置に、ぼやけた像として結像される。
【0019】
図3は、図2の高さh1,h2,h3の位置に応じて、ラインセンサ26を構成するラインピクセル上に形成される光点像の位置を図示している。図3では、図中左側に、長方形の各マス目を1ピクセルとするラインピクセルが模式的に図示され、図中右側には、図中左側のラインピクセルと、そのラインピクセルのうちの所定のピクセルにより受光される光量(光量データ)との関係を示す波形が図示されている。この光量データは、ラインセンサ26を構成するラインピクセルの各ピクセルにより検出された受光信号に対応するデータである。なお、図中右側の水平方向の軸はラインピクセルの各ピクセルの位置を示しており、その軸の略中心が合焦ピクセルの位置となり、図中左方向又は右方向にいくほど、合焦ピクセルから離れた位置のピクセルとなることを意味する。また、垂直方向の軸は、ラインピクセルの各ピクセルにより受光される光量データを示し、図中上方向にいくほど、光量データが大きくなることを意味する。
【0020】
図3の左側に示すように、対象物2の表面の高さh2に応じた合焦時の光点像(図中左側のラインピクセル上のレーザスポットS2)は、その径が小面積で、かつ高密度となるため、図中右側の波形で示すように、合焦ピクセルとその近傍のピクセルでは、1ピクセル当たりの受光量が大きくなる。一方、高さh1,h3に応じた非合焦時の光点像(図中左側のラインピクセル上のレーザスポットS1,S3)は、その径が大面積で、かつ低密度となるため、1ピクセル当たりの受光量は非常に小さなものとなる。
【0021】
このような光点像の光量が、ラインセンサ26を構成するラインピクセルの各ピクセルにより受光され、受光量に応じた受光信号が、制御部16に供給される。
【0022】
図1に戻り、制御部16は、ラインセンサプリアンプ26から供給される受光信号に基づいて、合焦位置が検出されたときのセンサユニット11の高さ位置(Z軸方向位置)を、エンコーダ15から読み取って、対象物2の表面の位置(面位置)を検出する。これにより、対象物2の高さや断面曲線、表面形状を測定することができる。
【0023】
また、制御部16は、測定された高さ位置を目標値として、合焦機構(センサユニット11や対物レンズ12、ステージ14等)の位置決め駆動を行うことにより、合焦動作を制御する。これにより、対象物2に対してオートフォーカス(AF:Autofocus)が行われる。
【0024】
より具体的には、図2のセンサユニット11は、ナイフエッジ方式を採用しているため、ナイフエッジ23を経た光点像をラインセンサ26で受けている。ナイフエッジ23を経た光点像の位置は、対象物2に対する合焦位置が変化すると、これに対応してラインピクセル上の基準位置(合焦ピクセルの位置)からの距離が変化する。そこで、例えば、制御部16は、結像光学系の焦点が対象物2に合う光点像の位置と基準位置とが一致するように合焦機構を制御する、あるいはその停止位置として高さ位置を測定する。
【0025】
なお、対象物2の表面で反射したレーザ反射光は、ダイクロイックミラー25を透過して、撮像装置13側にも導かれる。撮像装置13では、観察光学系(不図示)により、ダイクロイックミラー25を透過したレーザ反射光が撮像素子(不図示)に結像され、撮像素子に結像した対象物2の像に対応する観察画像が取得される。この観察画像は、制御部16により、モニタ(不図示)に表示される。
【0026】
以上のようにして、センサユニット11は構成される。
【0027】
ところで、図3の合焦時の光点像(図中左側のラインピクセル上のレーザスポットS2)が、ラインピクセルにより受光されるとき、合焦ピクセルとその近傍のピクセルでは、単位面積当たりの光量が過大となって、受光される光量が飽和(サチュレーション)する場合がある。飽和光量になった場合、そのデータは無効となるが、制御部16では、そのデータを無効データとせずに、有効データとして取得できるようにする。
【0028】
そこで、次に、図4のフローチャートを参照しながら、受光される光量が飽和した場合に、制御部16により行われるデータ処理の詳細について説明する。したがって、ラインピクセルにより受光される光量が過大となって、受光される光量が飽和したとき、図4のフローチャートに示す処理が行われる。
【0029】
また、面位置検出装置1による位置検出処理の開始前の調整段階において、センサユニット11における合焦ピクセルが設定されているものとする。例えば、ステージ14に載置した所定の標準サンプルに合焦したときのピクセルを合焦ピクセルとすることで、ラインピクセルの略中央のピクセルである256ピクセル(PIX256)が合焦ピクセルとして設定される。
【0030】
ステップS11において、制御部16は、ラインピクセル上の光点像が合焦ピクセルを過ぎたときの前後2ピークのピクセル(以下、ピークピクセルという)を決定する。
【0031】
ここで、図5及び図6を参照して、ピークピクセルの決定方法の詳細について説明する。
【0032】
図5には、ラインセンサ26を構成するラインピクセル上に形成される光点像(レーザスポットS)の受光位置と、光量プロファイルとの関係を図示している。なお、光量プロファイルは、ラインピクセルのピクセルの位置と、各ピクセルで受光される光量(光量データ)との対応関係を示す2次曲線であり、以下、プロファイル波形Pとも称する。
【0033】
図5の上側には、6個のラインピクセルを図示しているが、これは、センサユニット11をZ軸方向(高い位置から低い位置)に移動させたときの、ラインピクセル上に形成される光点像(レーザスポットS)の様子を、時系列(図中左から右に向かう方向)に示すものである。また、図5の下側の波形は、図5の上側の6個のラインピクセルに対応したプロファイル波形Pを示している。
【0034】
6個のラインピクセルに対して引かれた水平方向の点線は、ラインピクセルのうちの合焦位置での対象物2の像が結像する位置であって、上述した調整段階で設定された合焦ピクセルに一致するものである。例えば、6個のラインピクセルのそれぞれにおいて、点線により示される位置がPIX256に対応している。
【0035】
センサユニット11が最も高い位置にあるとき、図中左から1つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS1は、合焦ピクセルから離れた位置のピクセルに集光しているが、その径は大面積で、かつ低密度となる。そのため、対応するプロファイル波形P1に示すように、その波形はなだらかな曲線となり、受光位置のピクセルにより受光される光量は少なくなる。
【0036】
続いて、センサユニット11がZ軸方向に下がると、図中左から2つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS2は、レーザスポットS1よりも合焦ピクセルに近づいた位置のピクセルに集光し、その径は、レーザスポットS1よりも小さい面積で、かつ高密度となる。そのため、対応するプロファイル波形P2に示すように、それらのピクセルで受光される光量データは、プロファイル波形P1よりも大きなピークの現われた波形となる。
【0037】
Z軸方向にさらに、センサユニット11が下がると、図中左から3つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS3は、レーザスポットS2よりもさらに合焦ピクセルに近づいた位置のピクセルに集光し、その径は、レーザスポットS2よりも小さい面積で、かつ高密度となる。そして、センサユニット11がさらに下がると、図中左から4つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS4は、レーザスポットS3と合焦ピクセルを挟んで互いに所定の距離だけ離れた位置のピクセルに集光し、その径は、後述するレーザスポットS5よりも小さい面積で、かつ高密度となる。
【0038】
このとき、合焦ピクセルの近傍のピクセルに集光される高密度のレーザスポットS3,S4によって、それらのピクセルの単位面積当たりの光量が過大となって飽和することがあるのは先に述べた通りである。そして、飽和光量となった場合には、そのデータが無効データになり、図5の下側に示すような、光量プロファイル(プロファイル波形P3,P4)が得られないことになる。
【0039】
ここで、図6を参照して、飽和による無効データを、有効データとして取得し、光量プロファイルを再現する方法について説明する。
【0040】
なお、図6A,図6Bにおいて、水平方向と垂直方向の軸は、図3の右側の水平方向と垂直方向の軸と同様とされる。
【0041】
図6Aに示すように、光量データが飽和した場合の波形は、飽和光量以上の光量データが受光されることはないため、飽和すると一定レベルとなり、ピークの現われない波形となる。この場合、例えば、図6Aの波形上の飽和直前の2点のデータと、飽和直後の1点のデータの合計3点のデータを用いて、所定の補間式により近似曲線を演算することで、図6Bの波形が得られる。なお、近似曲線を求めるための補間式としては、例えばニュートン補間や最小二乗法などの公知の補間式を用いることができる。また、補間式に与える点は、飽和直前直後の3点に限らず、飽和直前直後の点であれば、任意の点を与えることができる。
【0042】
これにより、合焦ピクセルの近傍のピクセルにおいて、レーザスポットS3,S4が集光され、ピクセルの単位面積当たりの光量が過大となって飽和した場合でも、無効データからプロファイル波形P3,P4が再現されることになる。すなわち、合焦ピクセルの近傍のピクセルから光量データを得る必要があるのに、合焦ピクセル近傍では、図6Aに示すような無効データが得られる確率が高くなので、そのような無効データを近似曲線により補間することで、図6Bに示すような、有効データが取得される。
【0043】
図5に戻り、その後、Z軸方向にさらに、センサユニット11が下がると、図中左から5つ目と6つ目のラインピクセルに示すように、レーザスポットS5,S6は、合焦ピクセルから徐々に離れた位置に集光され、対応するプロファイル波形P5,P6に示すように、その波形は、徐々になだらかな曲線となり、受光位置のピクセルにより受光される光量は少なくなる。
【0044】
以上のようにして、ラインピクセル上に形成される光点像(レーザスポットS)に応じたプロファイル波形Pが得られるが、制御部16は、それらのプロファイル波形Pに基づいて、ラインピクセル上の光点像が合焦ピクセルを過ぎたときの前後2ピークのピークピクセル、すなわち、合焦ピクセルを跨いだピークピクセルを決定する。
【0045】
つまり、図6Aに示すように、合焦ピクセル近傍で光量が飽和した場合、近似曲線を演算してプロファイル波形を再現するが、その波形は、図6Bに示すように、ピークの現われた波形となるため、その曲線における光量データの最大値を演算することができる。そして、ラインピクセルのうちの、光量データの最大値を得るピクセルが、ピークピクセルとして決定される。
【0046】
例えば、合焦ピクセルとして、ラインピクセルの略中央のピクセルであるPIX256が設定されている場合、合焦ピクセルを跨ぐピークピクセルとして、プロファイル波形P3の光量データの最大値を得るピークピクセルである253ピクセル(PIX253)と、プロファイル波形P4の光量データの最大値を得るピークピクセルである258ピクセル(PIX258)が決定される。
【0047】
ステップS12において、制御部16は、決定したピークピクセルにおけるZ軸カウンタ値を取得する。このZ軸カウンタ値は、Z軸方向の座標位置であって、上述したセンサユニット11をZ軸方向に移動させたとき、その移動量がエンコーダ15により検出され、制御部16又は外部装置(不図示)等に保持されている。例えば、合焦ピクセルを跨いだピークピクセルとして、PIX253とPIX258が決定された場合、Z軸カウンタ値として、PIX253ではZ1=200、PIX258ではZ2=100がそれぞれ取得される。
【0048】
ステップS13において、制御部16は、取得したZ軸カウンタ値を直線補間することにより、合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値を推定する。
【0049】
例えば、図7に示すように、合焦ピクセルがPIX256に設定され、その合焦ピクセルを跨いだピークピクセルがPIX253,PIX258であると決定された場合、それらのピクセル間隔の比は、(PIX253−PIX256):(PIX256−PIX258)=3:2となる。また、それらのピークピクセルのZ軸カウンタ値の差Zdeffは、Zdeff=Z1−Z2=200−100=100となる。そして、ピクセル間隔の比を用いて、合焦ピクセル(PIX256)と、一方のピークピクセル(PIX253)のZ軸カウンタ値の差Z3は、Z3=Zdeff×3/5=100×3/5=60となる。
【0050】
これにより、合焦ピクセル(PIX256)のZ軸カウンタ値(Zfocus)は、Zfocus=Z1−Z3=200−60=140となる。すなわち、ピークピクセル(PIX253,PIX258)が合焦ピクセル(PIX256)を跨いだときに、内挿処理を行うことで、合焦ピクセル(PIX256)におけるZ軸カウンタ値として、Zfocus=140が推定される。
【0051】
ステップS14において、制御部16は、推定された合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値に基づいて、対象物2の表面の位置(面位置)を検出する。これにより、対象物2の高さや断面曲線、表面形状を測定することができる。また、例えば、制御部16は、合焦ピクセル(PIX256)におけるZ軸カウンタ値として、Zfocus=140が推定された場合、Zfocus=140の位置を目標値として合焦機構(センサユニット11等)の位置決め駆動を行うことにより、合焦動作が行われる。
【0052】
以上のように、合焦ピクセルとその近傍のピクセルにより受光される光量データが飽和した場合、飽和直前直後のデータを用いて、補間式により近似曲線を算出することで、飽和した光量データ値以上の光量プロファイルを再現することができる。そして、この再現された光量プロファイルから、ラインピクセル上の光点像が合焦ピクセルを過ぎたときの前後2ピークのピークピクセルが決定され、さらに、決定された2つのピークピクセルのZ軸カウンタ値から、合焦ピクセルにおけるZ軸カウンタ値が推定され、そのZ軸カウンタ値を用いた合焦動作などが行われる。これにより、受光される光量が飽和した場合でも、そのデータを無効データとせずに、有効データとして取得することで、無効データが合焦位置で発生した場合であっても、その影響により、合焦精度が低下することを軽減することができる。
【0053】
例えば、面位置検出装置1においては、レーザ照明部21から出射されるレーザ光の光量そのものを制御することで、受光される光量が飽和しないようにすることができる。図8は、レーザ光の光量と、ラインセンサ上における合焦ピクセルからのずれ量との関係を示す図である。図8において、水平方向の軸は、ラインピクセルにおける合焦ピクセルからのずれ量を示し、図中右方向にいくほど、合焦ピクセルから離れていることを意味する。また、垂直方向の軸は、レーザ光量のゲインを示し、図中上方向にいくほど、ゲインが大きくなることを意味する。
【0054】
図8に示すように、対象物の表面の反射率を一定としたときの非合焦位置から合焦位置に近づくまでに、単位時間当たりに光量変化率が最も大きいところで、4倍程度となる。そのため、ラインセンサ26を構成するラインピクセルが飽和しないように、レーザ照明部21からのレーザ光の光量を制御する必要がある。また、仮に、このとき、表面の反射率が0.5%から100%に変化した場合、4×200倍=800倍になる。このように、合焦位置近傍では、レーザ光の光量を急激に落とす必要があるため、光量の制御だけでは、飽和を抑制できない場合がある。このような、受光される光量が飽和した場合でも、本実施の形態では、そのデータを無効データとせずに、有効データとして取得することができるので、光量の制御を速い応答精度により行うことができなくても、合焦精度が低下することはない。
【0055】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 面位置検出装置, 11 センサユニット, 12 対物レンズ, 13 撮像装置, 14 ステージ, 15 エンコーダ, 16 制御部, 17 支柱, 21 レーザ照明部, 22 遮蔽板, 23 ナイフエッジ, 24 光学レンズ, 25 ダイクロイックミラー, 26 ラインセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を照明する照明手段と、
前記対象物からの反射光を集光して、前記対象物の光点像を結像させる結像光学系と、
前記結像光学系により集光された前記対象物の光点像の合焦状態を検出する光検出手段と、
前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記対象物の面位置を検出する位置検出手段と
を備え、
前記位置検出手段は、前記光検出手段により検出される前記光点像の光量が飽和した場合、前記光検出手段による検出結果を補間することにより、前記対象物の面位置を検出する
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記光検出手段は、ラインセンサであり、
前記位置検出手段は、前記ラインセンサを構成するラインピクセルのうち、あらかじめ設定された合焦ピクセルの近傍で前記反射光の光量のピークが検出されたピークピクセルで得られた前記対象物の面位置に対するZ軸方向の座標位置を補間して、前記合焦ピクセルにおけるZ軸方向の座標位置を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記ピークピクセルは、前記合焦ピクセルを跨いだ2つのピクセルであり、
前記位置検出手段は、2つのピークピクセルで得られたZ軸方向の座標位置を直線補間して、前記合焦ピクセルにおけるZ軸方向の座標位置を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記位置検出手段は、飽和直前直後の光量を補間して得られる、前記反射光の光量と、前記ラインピクセルの各ピクセルとの関係を示す波形から、光量が最大値となるピクセルを、ピークピクセルとして決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記結像光学系と前記対象物との相対位置を変更する移動手段をさらに備え、
前記Z軸方向の座標位置は、前記移動手段の移動により得られるZ軸方向の移動量である
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の検出装置。
【請求項1】
対象物を照明する照明手段と、
前記対象物からの反射光を集光して、前記対象物の光点像を結像させる結像光学系と、
前記結像光学系により集光された前記対象物の光点像の合焦状態を検出する光検出手段と、
前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記対象物の面位置を検出する位置検出手段と
を備え、
前記位置検出手段は、前記光検出手段により検出される前記光点像の光量が飽和した場合、前記光検出手段による検出結果を補間することにより、前記対象物の面位置を検出する
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記光検出手段は、ラインセンサであり、
前記位置検出手段は、前記ラインセンサを構成するラインピクセルのうち、あらかじめ設定された合焦ピクセルの近傍で前記反射光の光量のピークが検出されたピークピクセルで得られた前記対象物の面位置に対するZ軸方向の座標位置を補間して、前記合焦ピクセルにおけるZ軸方向の座標位置を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記ピークピクセルは、前記合焦ピクセルを跨いだ2つのピクセルであり、
前記位置検出手段は、2つのピークピクセルで得られたZ軸方向の座標位置を直線補間して、前記合焦ピクセルにおけるZ軸方向の座標位置を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記位置検出手段は、飽和直前直後の光量を補間して得られる、前記反射光の光量と、前記ラインピクセルの各ピクセルとの関係を示す波形から、光量が最大値となるピクセルを、ピークピクセルとして決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記結像光学系と前記対象物との相対位置を変更する移動手段をさらに備え、
前記Z軸方向の座標位置は、前記移動手段の移動により得られるZ軸方向の移動量である
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−117871(P2012−117871A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266355(P2010−266355)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]