説明

樹脂製容器の製造装置および方法

【課題】樹脂製容器の製造効率を高めることができる製造装置および方法を提供する。
【解決手段】成形シートBを成形する成形機2と、成形シートBを切断し個別の容器Cとする切断装置7と、容器Cを移送し他の容器Cに積み重ねる移送装置8とを備えた樹脂製容器の製造装置1。切断装置7および移送装置8をそれぞれ複数備え、成形シートBを複数の経路L1、L2で切断、移送できる。成形機2と切断装置7との間に、成形シートBを2つの複数の経路L1、L2に振り分ける振分け機構6が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートに複数の収容部を形成した成形シートを切断して個別の容器とする製造装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、納豆容器などに用いられる樹脂製容器は、例えば次の方法により製造されている。樹脂シートに複数の収容部を形成した成形シートを切断して個別の容器とし、これら容器を所定の数積み重ねて梱包する(例えば、特許文献1を参照)。
図22は、従来の樹脂製容器の製造装置の一例を示すもので、この製造装置121は、樹脂シートAに収容部を形成し成形シートBとする成形機122と、成形シートBを個別の容器Cに切断する切断装置123と、容器Cを移送する移送装置124とを備えている。
成形機122で作製された成形シートBは、切断装置123に送られ、個別の容器Cに切断される。容器Cは、移送装置124により所定の数となるまで積み重ねられ、梱包部129で梱包材に収納されて梱包製品Dとなる。
【特許文献1】特開2005−96065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の製造装置は、製造効率の点が低く、より製造効率の高い装置が要望されていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、樹脂製容器の製造効率を高めることができる製造装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の樹脂製容器の製造装置は、樹脂シートに収容部を形成した成形シートを成形する成形機と、前記成形シートを切断し個別の容器とする切断装置と、前記容器を移送し他の容器に積み重ねる移送装置とを備えた樹脂製容器の製造装置であって、前記切断装置および移送装置をそれぞれ複数備え、前記成形シートを複数の経路で切断、移送でき、前記成形機と前記切断装置との間に、前記成形シートを前記複数の経路に順次振り分ける振分け機構が設けられていることを特徴とする。
本発明の樹脂製容器の製造装置は、前記成形機の下流側に、前記成形シートに孔を形成する孔開け装置が設けられ、この孔開け装置が、前記成形シートが載置される受け台と、前記成形シートに孔を形成する針が設けられた孔開けユニットを昇降させる針昇降機構とを備え、前記孔開けユニットは、前記針昇降機構によって昇降されるベース部材と、このベース部材に下向きに突設された前記針と、ベース部材に昇降可能に取り付けて前記ベース部材の下側に前記針を囲繞するように配置された枠体と、前記枠体を下方に付勢するためのスプリングとを備え、前記受け台上の成形シートに前記針を突き刺したときに、前記枠体が前記スプリングによって前記樹脂シートに弾性付勢される構成とすることができる。
前記切断装置は、張架された加熱線と、前記加熱線を成形シートに対して相対移動させることにより前記成形シートを切断する移動機構と、前記加熱線を張架した状態で支持する支持機構とを備え、前記加熱線が、厚みより幅が大きい帯状に形成され、前記移動機構が、前記相対移動により前記成形シートが前記加熱線の幅方向の一端側から他端側に向けて前記加熱線を横切ることによって成形シートが切断されるようにされ、前記支持機構は、前記加熱線の少なくとも一端部を保持する保持部と、この保持部の姿勢を保つ姿勢維持機構とを備え、この姿勢維持機構が、前記保持部から延出する複数のシャフトと、前記シャフトを支持する固定体とを有することが好ましい。
前記移送装置は、容器を保持する容器保持部と、前記容器保持部を積み重ね位置まで移動させる移動機構とを備え、前記容器保持部が、前記容器を保持する可動保持部材と、前記可動保持部材を昇降させる昇降機構とを有し、前記可動保持部材は、前記容器を前記積み重ね位置で下降させることによって、前記容器の収容部を前記他の容器の収容部に嵌合させるようにされた構成が好ましい。
【0005】
本発明の樹脂製容器の製造方法は、樹脂シートに収容部を形成した成形シートを成形する成形工程と、前記成形シートを切断し個別の容器とする切断工程と、前記容器を移送し、他の容器に積み重ねる移送工程とを含む樹脂製容器の製造方法であって、前記成形シートを前記複数の経路に順次振り分け、各経路において前記切断工程および移送工程を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造装置によれば、切断装置および移送装置をそれぞれ複数備え、成形シートを複数の経路で切断、移送できるので、製造効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る樹脂製容器の製造装置の一実施形態を説明する。
図1および図2は、本発明に係る樹脂製容器の製造装置の第1の実施形態である製造装置1の全体構成を示す図である。
製造装置1は、樹脂シートAに収容部を形成した成形シートBを成形する成形機2と、成形シートBの蓋体に相当する部分に孔を形成する孔開け装置3と、成形シートBを反転させる反転機4と、成形シートBに付着した金属を探知する金属検出機5と、成形シートBを2つの経路L1、L2のいずれかに振り分ける振分け機構6と、成形シートBを個別の容器Cに切断する切断装置7と、容器Cを移送する移送装置8と、梱包部9とを備えている。
【0008】
成形機2は、樹脂シートロール11から供給される樹脂シートAを雌雄一対の成形型で挟み加熱して、収容部が形成された所定長さの成形シートBを得る(以下、成形工程という)。
図3および図4に示すように、成形シートBは、二つ折り構造の樹脂製容器92となる部分が、縦横に多数整列されたものである。
樹脂製容器92は、凹形部分である収容部94aを有する容器本体94と、この容器本体94から連続する板状に形成された蓋体95とを有する。蓋体95は、蓋体95と容器本体94との境界位置を折り線96とする折り曲げによって、容器本体94上を覆うようにして、容器本体94に閉じ合わせることができる。蓋体95には、孔93(小孔)が複数形成されている。
【0009】
成形シートBは、孔開け装置3に導入される。
図5および図6に示すように、孔開け装置3は、成形シートBの蓋体95に孔93を形成するものであって、成形シートBが載置される受け台20と、針31を昇降させる針昇降機構30とを備えている。
針昇降機構30は、孔開けユニット32が縦横に多数配列設置された昇降台33と、この昇降台33を昇降させる昇降機34とを備えている。
【0010】
孔開けユニット32は、ベース部材35と、このベース部材35に下向きに突設された複数本の針31と、針31を囲むように配置された枠体36と、枠体36を下方に付勢するスプリング37と、ベース部材35から下方に突設されて枠体36の昇降を案内する案内バー38と、成形シートBにおける樹脂製容器92の折り線96の位置に切り込ませる切り込みブレード39aを固定したブレード固定台39とを備えている。
【0011】
枠体36は、四角枠状、より具体的には角筒状に形成されており、ベース部材35の下側にて上下方向に延在する案内バー38に案内されることで、ベース部材35に対して昇降する。
枠体36は、スプリング37によって、ベース部材35に対して下方へ付勢されている。
【0012】
受け台20は、受け台本体21と、この受け台本体21の天板部21aの上に取り付けられた針受け板22、23(孔開き受け板)とを備えている。
受け台本体21は、天板部21aと側壁部21bとを備えている。天板部21aは、孔開き受け板22、23が取り付けられる2つの台板部(第1台板部21f、第2台板部21g)を備えている。
2つの台板部21f、21gは上下方向の位置がずらされており、各台板部21f、21gに取り付けられた孔開き受け板22、23上のシート載置面24、25も、上下方向の位置がずらされている。
成形シートBは、蓋体95をシート載置面24(第1載置面)に載置し、容器本体94をシート載置面25(第2載置面)に載置することで、位置決めされる。
【0013】
針受け板22には、孔開けユニット32の針31が挿脱される複数の逃げ孔22aを上下に貫通させて形成してある。逃げ孔22aは、受け台本体21に形成された開口部21iを介して内部空間21cと連通している。
孔開き受け板23には、孔開き受け板23を上下方向に貫通する複数の透孔23a(以下、吸引孔とも言う)が開口されている。吸引孔23aは、受け台本体21に形成された開口部21jを介して内部空間21cと連通している。
受け台本体21の内部空間21cは、図示せぬ配管を介して、集塵用のバキューム装置と接続できる。前記配管は、受け台本体21に設けられた接続口21kに接続することができる。
受け台20では、バキューム装置の吸引力が、内部空間21cを介して、各孔開き受け板22,23の孔(逃げ孔22a、吸引孔23a)に作用するため、成形シートBをシート載置面24、25に位置決めできる。
【0014】
成形シートBに孔93を形成するには、次の方法をとることができる。
成形シートBの蓋体95をシート載置面24(第1載置面)に載置し、容器本体94をシート載置面25(第2載置面)に載置する。
図7に示すように、昇降台33を下降させ、昇降台33に取り付けられている孔開けユニット3の針31を、受け台20の蓋体95に突き刺し、孔93を形成する。
この際、蓋体95は、孔開けユニット32の枠体36によって、受け台20の針受け板22に押さえ付けられた状態となるため、枠体36の内側に位置する部分の蓋体95は、受け台20から浮き上がることがない。
したがって、成形シートBの受け台20からの浮き上がり部分に起因する、孔93の形成精度の低下などの不都合を解消でき、孔93の形成精度の安定確保を実現できる。
また、バキューム装置の吸引力を各孔開き受け板22,23の孔(逃げ孔22a、吸引孔23a)から成形シートBに作用させて、成形シートBの受け台20からの上方への浮き上がりの発生を抑えることができる。したがって、孔93の形成精度をより高めることができる。
【0015】
孔開けユニット32の枠体36が蓋体95を針受け板22に押さえ付けた状態となると、枠体36はそれ以上の下降が規制されるが、昇降台33の下降が進行していくことで、スプリング37が押し縮められて、枠体36による成形シートBの押さえ付けが一層しっかりとなされる。
このため、成形シートBに、水平方向の引っ張り力等の外力が作用したとしても、位置ずれを防ぎ、孔93の形成精度の安定確保に有効に寄与する。
【0016】
また、針31によって蓋体95に孔93が形成されると、針受け板22の逃げ孔22aから、バキューム装置4の吸引力が作用することとなる。これにより、針31の突き刺しにより成形シートBから発生した細粒状(あるいは粉状)のスクラップの飛散を防止できる。また、スクラップを、針受け板22の逃げ孔22aから吸引して回収することができる。
【0017】
図1および図2に示すように、成形シートBは、反転機4により収容部94aの開口が下向きとなるよう反転される。これによって、成形シートB上(例えば収容部94a内)のゴミ等の異物は落下し、除去される。
【0018】
次いで、成形シートBは、金属検出機5の下方を通過する。
金属検出機5としては、例えば、成形シートBに付着した金属異物を励磁する励磁コイルを有する磁化装置と、この磁化装置により励磁された金属異物を検出する検出ヘッドを備えたものが使用できる。検出ヘッドは、例えば励磁コイル(送信コイル)と、一対の検出コイル(受信コイル)を有する。
この例の金属検出機5は、成形シートBが励磁コイルと検出コイルとの間を通る際、励磁コイルによる励振磁界が製品内の混入金属により鎖交磁束を変化させ、その変化により検出コイルの各々に起電力が生じて電流が流れ、その各々の電流の差により製品に混入した金属を検出できる。
【0019】
製造装置1では、孔開け装置3において異物を吸引し、反転機4によって異物を落下させて除去し、さらに金属検出機5によって金属異物を検出する。このため、異物の検出、除去に関しては、厳重な対策をとることができる。
【0020】
図1に示すように、成形シートBは、振分け機構6によって、第1の経路L1、第2の経路L2のうちいずれか一方に振り分けられる。成形シートBは経路L1、L2に交互に導くのが好ましい。
図示例では、第1の経路L1は、振分け機構6の一方側に接続されており、第2の経路L2は振分け機構6の他方側に接続されている。振分け機構6によって第1の経路L1に振り分けられる成形シートBは、振分け前の経路L0の搬送方向に対しほぼ垂直な方向(図1では上方)に搬送されて第1の経路L1に導入される。第2の経路L2に振り分けられる成形シートBは、これとは反対の方向(図1では下方)に搬送されて第2の経路L2に導入される。
【0021】
振分け機構6としては、種々の機構が採用できるが、その一例を図8〜図12を参照して説明する。
図8および図9に示すように、ここに例示する振分け機構6は、互いに間隔をおいて設けられた複数のひも状ベルトコンベア41と、成形シートBの移動を規制するストッパ42と、昇降自在な複数のローラコンベア43とを有する。
ストッパ42は、図示せぬシリンダにより昇降自在とし、上昇時にのみ成形シートBの移動を規制する構成できる。
ローラコンベア43は、図示せぬシリンダにより昇降自在とし、上昇により成形シートBを下方から持ち上げることができるように構成することができる。
【0022】
図10に示すように、ベルトコンベア41で搬送される成形シートBは、ストッパ42により停止する。
図11に示すように、図示せぬセンサが成形シートBの存在を検知し、検知信号を受けた制御部からの駆動信号によりローラコンベア43が上昇して成形シートBを持ち上げ、ローラコンベア43に支持された状態とする。
図12に示すように、ローラコンベア43の駆動により、成形シートBを経路L1、L2のいずれか一方に移動させる。成形シートBは、経路L1、L2に交互に移動させるのが好ましい。
製造装置1によれば、成形シートBを2つの経路L1、L2で切断、移送できる。このため、時間のかかる工程である切断、移送を2系列で行うことができ、製造効率を高めることができる。
【0023】
図1および図13に示すように、経路L1、L2に移動した成形シートBは、切断装置7に導入され、切断されて個別の容器Cとなる(以下、切断工程という)。
図13および図14に示すように、切断装置7は、成形シートBを個別の容器Cごとに切断するものであって、成形シートBを導入するベルトコンベア51と、成形シートBを載置するテーブル53と、テーブル53を上死点と下死点との間で上下動させる移動機構54と、縦横に固定状態で張架された加熱線55と、加熱線55を張架した状態で支持する支持機構56とを備えている。
テーブル53は、成形シート1の収容部94aに嵌合する凸部が形成された位置決め型であり、容器C同士の境界に沿って設けられた加熱線通過用のスリット53aを有する。
移動機構54は、テーブル53を上下動させることによって、成形シートBを、加熱線55を横切るように移動させることができる。
【0024】
加熱線55は、テーブル53の上死点と下死点の間に、固定された状態で張架されている。
図16に示すように、加熱線55は、厚みよりも幅が大きい帯状に形成されている。厚みT1に対する幅W1の比(W1/T1)は、1.5〜100が好ましく、2.5〜25がさらに好ましい。
加熱線55は、幅方向の一端側(エッジ面55d)が下、幅方向他端側(面55dとは逆側のエッジ面55e)が上となる向きで張架される。符号55cは加熱線55の断面S1の長辺に相当する側面である。
【0025】
加熱線55の厚みT1は、0.1〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.8mmが好適である。
加熱線55の幅W1は、1.5〜10mm、好ましくは2.0〜5.0mmが好適である。
加熱線55を構成する材料としては、例えば、ニクロム(Ni−Cr合金)、ステンレス鋼が好ましい。特に、安価に得られる点で、ニクロムを採用することが好ましい。
図14に示すように、縦方向の加熱線55aと、これに直交する横方向の加熱線55bとは、若干高さを違えて張架してもよい。
【0026】
図13に示すように、加熱線55aのうち、成形シートBの端縁部に近い位置にあるもの、すなわち成形シートBの周縁部を切断する加熱線55fは、他の加熱線55aより低い位置に設けるのが好ましい。同様に、加熱線55bのうち、成形シートBの端縁部に近い位置にある加熱線55gは、他の加熱線55bより低い位置に設けるのが好ましい。
端縁部に近い加熱線55f、55gを低い位置に設けるのは、成形シートBの周縁部を早期に切り落とすことによって、この周縁部が大きな断片となり、スクラップの飛散や容器Cへの混入などの問題が起こりにくくなるためである。
【0027】
支持機構56は、加熱線55の一端部を支持する保持部57と、保持部57の姿勢を保つ姿勢維持機構58とを備えている。
保持部57は、矩形板状の保持部本体61と、保持部本体61の保持凹部61aに配置された2枚の接続板62とを備えている。接続板62は、加熱線55の一端部を挟み込むことができる。
【0028】
姿勢維持機構58は、保持部57から延出する複数のシャフト64と、シャフト64を支持する固定体65とを有する。シャフト64は間隔をおいて設けられているため、保持部57に傾きが生じるのを防ぐことができる。
固定体65は、矩形板状に形成され、シャフト64が挿通する挿通孔66が形成されている。挿通孔66は、シャフト64の数に応じて複数形成されている。
挿通孔66は、シャフト64が前後方向に進退自在に挿通できるように形成されている。挿通孔16内には、挿通孔16の両端部に、ベアリング67が設けられており、これによってシャフト64が容易に進退できる。
シャフト64が進退自在であるため、温度変化によって加熱線55が伸縮した場合でも、その長さに応じて保持部57の移動が可能であり、加熱線55にたるみが生じるのを防ぐことができる。
【0029】
固定体65は、その姿勢(傾き)が変化することがないように、直接、または接続部材(図示略)を介して、切断装置7のフレームなどの被固定部(図示略)に固定されている。
符号68は、固定体65の後方に相当する位置のシャフト64に取り付けられたストッパであり、保持部57の前後方向の移動範囲を規定するものである。
【0030】
加熱線55の他端部には、接続部材69を介してテンションシリンダ70(張力付与部)が接続されており、テンションシリンダ70によって加熱線55に所望の張力を与えることができるようになっている。
【0031】
加熱線55を加熱する方法は特に限定されないが、加熱線55の両端部を電源に接続して加熱線55に通電することによって加熱線55を発熱させることが好ましい。
【0032】
次に、切断装置7を用いて成形シート1を切断する方法について説明する。
図13および図14に示すように、成形シートBは、ベルトコンベア51によって切断装置7に導入される。成形シートBは、ストッパ52によって移動を規制される。
テーブル53を上昇させると、成形シートBは、加熱線55の幅方向の一端側(ここでは加熱線55の下側)から他端側(ここでは加熱線55の上側)に向けて加熱線55を横切るようにして移動し、加熱線55によって熱切断され、容器Cが得られる。
【0033】
図15に示すように、保持部57から延出する2本のシャフト64は固定体65に支持されているので、保持部57の姿勢(傾き)は固定体65に対して変化しない。
このため、加熱線55に、切断時に成形シートBによって厚み方向の力が加えられても、図17に仮想線で示すような傾きが生じるのを抑制できる。
従って、設定した切断寸法に対してずれが少なく、精度の高い切断が可能となる。
【0034】
図13に示すように、切断装置7は、テーブル53によって成形シートBを上昇させて切断するので、ベルトコンベア51を回転させるローラの回転軸51aは、テーブル53の移動軌跡の外に設ける必要がある。このため、ベルトコンベア51は、テーブル53より駆動方向D1の広い範囲にわたって配設される。
上述のように、加熱線55a、55bのうち、成形シートBの端縁部に近い位置にある加熱線55f、55gが低い位置に設けられるため、切り落とされた周縁部は、大きなスクラップとなり、ベルトコンベア51上に載る。
ベルトコンベア51の駆動方向D1側の周縁部52aは、ベルトコンベア51の駆動に従って排除されるが、駆動方向D1とは逆の側の周縁部52bは、ベルトコンベア51上でシャフト59などに引っかかった状態となってしまう。
このため、成形シートBの切断後、ベルトコンベア51の駆動方向を逆転させ、一時的に駆動方向D1とは逆の方向に駆動させるのが好ましい。
これによって、周縁部52bは、図13におけるベルトコンベア51の左方に落下する。
【0035】
切断装置7により切断されて個別の容器Cとなった成形シートBは、移送装置8によって移送され、所定枚数となるまで積み重ねられる(以下、移送工程という)。
以下、移送装置8の構成を説明する。
図18に示すように、移送装置8は、容器Cを保持する容器保持部71と、容器保持部71を移動させる移動機構72と、移動機構72を支持する架台73と、容器Cを除電する除電装置74とを備えている。
符号86は、容器Cが積み重ねられる可動台である。可動台86は、容器Cが積み重ねられる台部87と、台部87を昇降可能に支持する可動支持部88とを有し、台部87上の容器Cを、積み重ね可能な高さ位置に配置することができる。
【0036】
図20に示すように、容器保持部71は、切断装置7によって個別に切断された容器Cを保持する可動保持部材75と、可動保持部材75を収容可能なカバー部材76と、可動保持部材75を昇降させる昇降機構80とを有する。
可動保持部材75は、上板部77と、その周縁から延出する側板部78と、側板部78の下縁に形成された下板部79とを備えた、中空の箱状に形成されている。
下板部79は、容器Cを保持する保持口部79aが形成されている。
【0037】
カバー部材76は、上板部76aと、その周縁から延出する側板部76bとを備えている。カバー部材76は、図示せぬ吸引管路によりブロア83に接続されており、内部を陰圧にできる。カバー部材76内が陰圧になると、上板部77に形成された開口部(図示略)を通して可動保持部材75内も陰圧となる。
昇降機構80は、可動保持部材75の上板部77に連結されたシャフト81と、シャフト81を上下させるシリンダ82とを備えている。
【0038】
図18に示すように、移動機構72は、移動レール84と、ベルトコンベア85とを有し、容器保持位置P1で容器Cを保持した容器保持部71を、ベルトコンベア85によって移動レール84に沿って容器積み重ね位置P2まで移動させることができる。
【0039】
図19に示すように、除電装置74は、棒状のホルダ74a内に複数のプラス放電針74bと複数のマイナス放電針74cとが長さ方向に間隔をおいて設けられた電極部74dと、電極部74dに接続されたケーブル74e、74fとを備えている。
プラス放電針74bおよびマイナス放電針74cは、ケーブル74e、74fによりそれぞれ直流電源(図示略)に接続されており、それぞれプラスおよびマイナスの高電圧が印加されることで、放電針74b、74c間でコロナ放電を起こし、プラスおよびマイナスのイオンを生成させる。
【0040】
次に、移送装置8の動作について説明する。
図18に示すように、容器保持部71は、あらかじめ可動保持部材75を上昇位置においた状態で容器保持位置P1にセットしておく。
切断装置7によって個別の容器Cに切断された成形シートBは、テーブル53によって上昇し、容器Cの収容部94aが可動保持部材75の保持口部79aに入り込む。ブロア83による吸引によって可動保持部材75内を陰圧とすると、容器Cは吸引され、可動保持部材75に保持される(図20を参照)。
容器Cを保持した容器保持部71は、ベルトコンベア85によって、移動レール84に沿って容器積み重ね位置P2に移動する。
【0041】
図20に示すように、昇降機構80のシリンダ82の駆動によって可動保持部材75を下降させると、可動保持部材75に保持された容器C(以下、容器C2ということがある)は、可動台86上の他の容器C(以下、C3ということがある)に押しつけられる。容器C2の収容部94aは、容器C3の収容部94aに嵌合して係止する。すなわち、容器C2の収容部94aが容器C3の収容部94a内に嵌り込むようにして係止する。これによって、容器C2は、容器C3に積み重ねられる。
【0042】
この際、除電装置74においてプラス放電針74bおよびマイナス放電針74cにそれぞれプラスおよびマイナスの高電圧が印加されることで、放電針4b、4c間で放電を起こし、プラスおよびマイナスのイオンを生成させることができる。
容器Cは帯電していることがあるが、除電装置74により生成したイオンによって除電される。
この積み重ね動作の際には、ブロア83による吸引を停止するのが好ましい。
【0043】
図1、図2、図18に示すように、可動台86に所定の数の容器Cが積み重ねられた時点で、容器Cは製品コンベア89により梱包部9に送られる。梱包部9では、所定枚数積み重ねられた容器Cを、段ボールなどの適当な梱包材に収納、梱包して梱包製品Dとする。
容器Cを積み重ねる動作を終えた可動保持部材75は上昇し、容器保持部71はベルトコンベア85により容器保持位置P1に戻る。
【0044】
成形シートを積み重ねた後に切断する製造装置とは異なり、成形シートBを切断して個別の容器Cとした後に積み重ねる工程を採用した製造装置21は、個々の容器Cが軽量であるため、積み重ねの際に容器Cの帯電の影響を受けやすい。
この問題に対し、製造装置21では、可動保持部材75を下降させ、容器C2の収容部94aを容器C3の収容部94aに嵌合させることができるため、容器C2が帯電している場合でも、電気的反発力によって積み重ね動作が阻害されるのを防ぐことができる。従って、容器Cの積み重ねを確実に行うことができる。
【0045】
図1に示す製造装置1では、2つの経路L1、L2は、いずれも振分けの前の経路L0の延長上にはないため、成形シートBは、経路L1、L2のいずれに向かうものも、振分け機構6において進行方向を変更する必要があるが、次に示す第2の実施形態の製造装置では、一方の経路では進路変更が不要となる。
図21は、本発明に係る製造装置の第2の実施形態である製造装置101の全体構成を示す図である。製造装置101は、第1の経路L1が、振分け前の経路L0の延長上にある点で、図1に示す製造装置1と異なる。
【0046】
製造装置101で用いられる振分け機構10としては、図8および図9に示すものと同じ構成のものを使用できる。
振分け機構10では、第1の経路L1に送るべき成形シートBは、ストッパ42を下降させておくことで、ベルトコンベア41により、そのまま第1の経路L1に送る。
第2の経路L2に送るべき成形シートBは、ストッパ42により停止させ、ローラコンベア43の駆動により、経路L0に垂直な方向(図21における下方)に搬送し、第2の経路L2に導入する。
製造装置101では、成形シートBを第1の経路L1に搬送する際に進路変更が不要となり、ローラコンベア43を使用しなくてよくなる。このため、成形シートBの振分けにおけるトラブル発生数を少なくできる。
【0047】
本発明で用いられる成形シートは、発泡ポリスチレンなどの発泡樹脂材料で形成されたシート(発泡樹脂シート)が好適である。発泡ポリスチレン以外の発泡樹脂材料としては、例えば、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリウレタン等が挙げられる。非発泡の樹脂シートとしては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン製のものなどが挙げられる。
【0048】
なお、図示例は、成形シートの切断工程より後の工程を2つの経路で行う製造装置であるが、これに限らず、成形シートの切断工程より後の工程を3つ以上の経路で行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の樹脂製容器の製造装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す製造装置を側面から見た概略構成図である。
【図3】成形シートの一例を示す斜視図である。
【図4】図3に示す成形シートを切断して得られた容器を示す斜視図である。
【図5】図1に示す製造装置に用いられる孔開け装置の構造を示す正断面図である。
【図6】図5に示す孔開け装置の構造を示す正断面図である。
【図7】図5に示す孔開け装置の構造を示す正断面図である。
【図8】図1に示す製造装置に用いられる振分け機構を模式的に示す正面図である。
【図9】図1に示す製造装置に用いられる振分け機構を模式的に示す平面図である。
【図10】図8に示す振分け機構を示す正面図である。
【図11】図8に示す振分け機構を示す正面図である。
【図12】図8に示す振分け機構を示す平面図である。
【図13】図1に示す製造装置に用いられる切断装置の構造を模式的に示す正面図である。
【図14】図1に示す製造装置に用いられる切断装置の構造を模式的に示す斜視図である。
【図15】図14に示す切断装置の支持機構を示す正面図である。
【図16】図14に示す切断装置に使用される加熱線を模式的に示す斜視図である。
【図17】加熱線の傾きに関する説明図である。
【図18】本発明の製造装置の一実施形態に用いられる移送装置の全体構成を示す図である。
【図19】図18に示す移送装置に使用される除電装置を示す概略構成図である。
【図20】図18に示す移送装置の動作を説明する説明図である。
【図21】本発明の樹脂製容器の製造装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図22】従来の製造装置の一例の全体構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0050】
1、101…製造装置、2…成形機、3…孔開け装置、5…金属検出機、6、10…振分け機構、7…切断装置、8…移送装置、3…孔開け装置、20…受け台、30…針昇降機構、31…針、32…孔開けユニット、35…ベース部材、36…枠体、37…スプリング、54…移動機構、55…加熱線、56…支持機構、57…保持部、58…姿勢維持機構、64…シャフト、65…固定体、71…容器保持部、72…移動機構、75…可動保持部材、80…昇降機構、94a…収容部、A…樹脂シート、B…成形シート、C…容器、L1、L2…経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートに収容部を形成した成形シートを成形する成形機と、前記成形シートを切断し個別の容器とする切断装置と、前記容器を移送し他の容器に積み重ねる移送装置とを備えた樹脂製容器の製造装置であって、
前記切断装置および移送装置をそれぞれ複数備え、前記成形シートを複数の経路で切断、移送でき、
前記成形機と前記切断装置との間に、前記成形シートを前記複数の経路に順次振り分ける振分け機構が設けられていることを特徴とする樹脂製容器の製造装置。
【請求項2】
前記成形機の下流側に、前記成形シートに孔を形成する孔開け装置が設けられ、
この孔開け装置が、前記成形シートが載置される受け台と、前記成形シートに孔を形成する針が設けられた孔開けユニットを昇降させる針昇降機構とを備え、
前記孔開けユニットは、前記針昇降機構によって昇降されるベース部材と、このベース部材に下向きに突設された前記針と、ベース部材に昇降可能に取り付けて前記ベース部材の下側に前記針を囲繞するように配置された枠体と、前記枠体を下方に付勢するためのスプリングとを備え、
前記受け台上の成形シートに前記針を突き刺したときに、前記枠体が前記スプリングによって前記樹脂シートに弾性付勢されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製容器の製造装置。
【請求項3】
前記切断装置は、張架された加熱線と、前記加熱線を成形シートに対して相対移動させることにより前記成形シートを切断する移動機構と、前記加熱線を張架した状態で支持する支持機構とを備え、
前記加熱線が、厚みより幅が大きい帯状に形成され、
前記移動機構が、前記相対移動により前記成形シートが前記加熱線の幅方向の一端側から他端側に向けて前記加熱線を横切ることによって成形シートが切断されるようにされ、
前記支持機構は、前記加熱線の少なくとも一端部を保持する保持部と、この保持部の姿勢を保つ姿勢維持機構とを備え、
この姿勢維持機構が、前記保持部から延出する複数のシャフトと、前記シャフトを支持する固定体とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製容器の製造装置。
【請求項4】
前記移送装置が、容器を保持する容器保持部と、前記容器保持部を積み重ね位置まで移動させる移動機構とを備え、
前記容器保持部が、前記容器を保持する可動保持部材と、前記可動保持部材を昇降させる昇降機構とを有し、
前記可動保持部材は、前記容器を前記積み重ね位置で下降させることによって、前記容器の収容部を前記他の容器の収容部に嵌合させるようにされていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の樹脂製容器の製造装置。
【請求項5】
樹脂シートに収容部を形成した成形シートを成形する成形工程と、前記成形シートを切断し個別の容器とする切断工程と、前記容器を移送し、他の容器に積み重ねる移送工程とを含む樹脂製容器の製造方法であって、
前記成形シートを前記複数の経路に順次振り分け、各経路において前記切断工程および移送工程を行うことを特徴とする樹脂製容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−184288(P2008−184288A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19743(P2007−19743)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(592222444)ホクエイ化工株式会社 (11)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】