説明

機能ブロック、機能デバイス、及び該機能ブロックの製造方法

【課題】ボンディングワイヤを用いずに、機能ブロックの回路面を実装基板に対して立てて配線できる機能ブロック、該機能ブロックを実装した機能デバイス、及び、該機能ブロックの製造方法の提供。
【解決手段】基板1の一面1aに、機能素子F及び該機能素子Fに電気的に接続された第一の回路2が配された機能ブロック10であって、一面1aに配された導体6からなる凸部3が設けられ、且つ凸部3は第一の開口部11及び第二の開口部12を有する樹脂層4により覆われており、導体6と第一の回路11とが第一の開口部11を通して電気的に接続されていることを特徴とする機能ブロック10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能ブロック、機能デバイス、及び該機能ブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯用情報機器、電子交換機などの電子機器の小型化が求められており、これらの電子機器に用いられる電子部品においても、小型化、薄型化、軽量化、及び高機能化が強く要求されている。
【0003】
電子機器に搭載されるセンサモジュールにおいても例外ではなく、例えば、電子機器の姿勢を検出する姿勢検出装置として、特許文献1に記載のものが知られている。
この姿勢検出装置は、2軸の磁束を検出できる磁気センサと、2軸の加速度センサを用いた傾斜センサと、演算回路とで構成されている。この磁気センサは、センサ表面に平行な方向の地磁気成分を検知することが可能である。しかし、この磁気センサのみでは、姿勢検出装置が傾斜した場合に方位測定の誤差が大きくなってしまう。このため、姿勢検出装置の傾斜を傾斜センサを用いて検知して、方位測定における誤差を演算回路よって補正することが行われている。
【0004】
また、2軸の磁気センサであると、地磁気の伏角の影響を受けて方位測定の誤差が生じる問題がある。このため、垂直方向の磁界を検出するための磁気センサを加えた3軸の磁気センサが開示されている(特許文献2参照)。
【0005】
ここで、実装基板に対する垂直方向の磁界を検出する3軸目の磁気センサは、実装基板に対する平面方向の磁界を検出する1軸目及び2軸目の磁気センサと同様の磁気センサを物理的に実装基板に対して垂直に立てて設置する必要がある。垂直に立てられた磁気センサの回路と実装基板の回路とを電気的に接続させる方法として、金ワイヤからなるボンディングワイヤで配線して実装することが従来行われている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3576728号公報
【特許文献2】特許第3781056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前記従来のボンディングワイヤを用いた実装方法(図10)では、磁気センサや加速度センサ(傾斜センサ)等の機能ブロックから出力される電気信号が、実装基板側に配された信号処理用IC等のチップ部品に伝送される際に劣化してしまう問題がある。より詳細には、ボンディングワイヤによる前記接続は電気的にみてインダクタンス成分を多く含んでおり、ボンディングワイヤが長くなると該インダクタンスが大きくなる傾向があるため、機能ブロックから出力されるアナログ信号の波形の劣化が生じ易いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ボンディングワイヤを用いずに、機能ブロックの回路面を実装基板に対して立てて配線できる機能ブロック、該機能ブロックを実装した機能デバイス、及び該機能ブロックの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の機能ブロックは、基板の一面に、機能素子及び該機能素子に電気的に接続された第一の回路が配された機能ブロックであって、前記一面に配された導体からなる凸部が設けられ、且つ前記凸部は第一の開口部及び第二の開口部を有する樹脂層により覆われており、前記導体と前記第一の回路とが前記第一の開口部を通して電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の機能ブロックは、請求項1において、前記導体の内部に、樹脂ポストが設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の機能ブロックは、請求項1又は2において、前記基板の縦断面に沿って前記凸部の一断面を見たとき、前記凸部はL字状をなしていることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の機能ブロックは、請求項1〜3のいずれか一項において、前記第二の開口部は、前記凸部において、前記基板の一面と対向しない面に形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の機能ブロックは、請求項1〜4のいずれか一項において、前記機能素子は、磁気センサ又は加速度センサであることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の機能ブロックは、請求項1〜5のいずれか一項において、前記第二の開口部により露呈された前記導体の領域に、バンプが配されていることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の機能デバイスは、請求項6に記載の機能ブロックと、第二の回路を備えた実装基板とからなる機能デバイスであって、前記機能ブロックと前記第二の回路とが前記バンプを介して電気的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項8に記載の機能ブロックの製造方法は、基板の一面に、機能素子及び該機能素子に電気的に接続された第一の回路が配され、前記一面に配された導体からなる凸部が設けられ、且つ前記凸部は第一の開口部及び第二の開口部を有する樹脂層により覆われており、前記第一の開口部を通して前記導体と前記第一の回路とが電気的に接続されている機能ブロックの製造方法であって、前記機能素子及び前記第一の回路が一面に配された前記基板を用いて、前記第一の回路上の少なくとも一部に、前記第一の開口部を有する第一の樹脂層を形成する工程Aと、前記第一の樹脂層上に、前記第一の開口部を通して前記第一の回路に導通する第一の導体を形成する工程Bと、前記第一の導体に導通する第二の導体を形成する工程Cと、前記第一の導体及び前記第二の導体を第二の樹脂層によって被覆して前記第二の開口部を形成する工程Dと、を少なくとも有することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項9に記載の機能ブロックの製造方法は、基板の一面に、機能素子及び該機能素子に電気的に接続された第一の回路が配され、前記一面に配された導体からなる凸部が設けられ、且つ前記凸部は第一の開口部及び第二の開口部を有する樹脂層により覆われており、前記第一の開口部を通して前記導体と前記第一の回路とが電気的に接続されている機能ブロックの製造方法であって、前記機能素子及び前記第一の回路が一面に配された前記基板を用いて、前記第一の回路上の少なくとも一部に、前記第一の開口部を有する第一の樹脂層を形成する工程Hと、前記第一の樹脂層上に樹脂ポストを形成する工程Iと、前記第一の樹脂層及び前記樹脂ポスト上に、前記第一の開口部を通して前記第一の回路に導通する導体を形成する工程Jと、前記導体を第二の樹脂層によって被覆して前記第二の開口部を形成する工程Kと、を少なくとも有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の機能ブロック及び機能デバイスによれば、機能ブロックを構成する回路面を実装基板に対して立てて、ボンディングワイヤよりも信頼性の高い方法で電気的に接続できる。さらに、前記機能ブロックと前記実装基板側に配された信号処理用IC等のチップ部品とを、短い距離の配線で電気的に接続できる。このため、前記機能ブロックから出力されるアナログ信号の波形の劣化を低減できる。
また、本発明の機能ブロックの製造方法によれば、機能ブロックを構成する回路のレイアウトに左右されずに、機能ブロックを構成する回路面の任意の位置に、任意の形状で、前記凸部を設けられるため、実装基板における該機能ブロックの設置部の形状に合わせた前記凸部を成形でき、実装が容易な機能ブロックを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明にかかる機能ブロック及び該機能ブロックを実装した機能デバイスの一例を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明にかかる機能ブロックの別の一例を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる機能ブロック及び該機能ブロックを実装した機能デバイスの別の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第一態様を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第一態様を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第一態様を示す断面図である。
【図7】本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第二態様を示す断面図である。
【図8】本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第二態様を示す断面図である。
【図9】本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第二態様を示す断面図である。
【図10】従来のボンディングワイヤを用いた機能ブロックの実装方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<機能ブロック、及び機能デバイスの実施形態例>
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1(a)は、本発明にかかる機能ブロックの一例である機能ブロック10、及び該機能ブロック10を実装した機能デバイス30の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線に沿う断面図である。
【0015】
機能ブロック10は、基板1の一面1aに、機能素子F及び該機能素子Fに電気的に接続された第一の回路2が配された機能ブロック10であって、一面1aに配された導体6からなる凸部3が設けられ、且つ凸部3は第一の開口部11及び第二の開口部12を有する樹脂層4により覆われており、第一の開口部11を通して導体6と第一の回路2とが電気的に接続されている。
【0016】
凸部3が基板1の一面1aに設けられる位置としては、機能素子F及び第一の回路2の基板1の一面1aにおける配置に応じて適宜定めらる。凸部3は、図1に示すように、基板1の一面1aの端側(エッジ側)に設けられることが好ましい。凸部3が端側に設けられることにより、基板1の一面1aを実装基板21の実装面に対して略垂直に実装すると、該凸部3が機能ブロック10を支えて、機能ブロック10の倒れを防止しうる。
【0017】
凸部3は、基板1の一面1aから突き出る形状であればよく、機能ブロック10を実装する機能デバイス30を構成する実装基板21の設置面に合わせて適宜成形される。図1(b)の断面図では、凸部3は基板1の一面1aから突き出たL字状をなしている。
凸部3がL字状であると、凸部3の一部は一面1aから略垂直に突き出た突起領域3aをなす。この場合、突起領域3aの突き出す高さ(長さ)及び突起3aの一面1aにおける位置にもよるが、基板1の一面1aを、機能ブロック10を実装する機能デバイス30の実装基板21の設置面に対して略垂直に立てたときに、該突起領域3aが機能ブロック10の支えとして機能しうる。
【0018】
図1に示すように、凸部3の突起領域3aにおいて、基板1の一面1aと対向しない面には、導体6を覆う樹脂層4が開口した第二の開口部12が形成されている。第二の開口部12にはバンプ7が配されており、該バンプ7を介して導体6と実装基板21に配された第二の回路22が電気的に接続されている。
【0019】
凸部3において、第二の開口部12を形成する位置は特に制限されないが、図1に示すように、基板1の一面1aに対して略垂直であり、且つ実装基板21に対向する面に第二の開口部12を形成することが好ましい。
この場合、前述のように、機能ブロック10を実装基板21に立てて設置すると、凸部3が機能ブロック10を支えることができ、さらに凸部3の第二の開口部12を通して、凸部3をなす導体6と実装基板21に配された第二の回路22とを、例えばバンプ7を介して電気的に接続することができる。
【0020】
導体6からなる凸部3を被覆する樹脂層4が有する第一の開口部11の形状は、該第一の開口部11を通して、基板1の一面1aに配された第一の回路2と導体6とが電気的に接続できる形状であれば特に制限されない。
【0021】
導体6からなる凸部3を被覆する樹脂層4が有する第二の開口部12の形状は、該第二の開口部12を通して、実装基板21の設置面(実装面)に配された第二の回路22と導体6とが電気的に接続できる形状であれば特に制限されない。
前述のようにバンプ7を介して第二の回路22と導体6とを電気的に接続する場合、第二の開口部12の形状は、バンプ7を十分に配しうる程度に導体6を露呈する形状であることが好ましい。
【0022】
凸部3を構成する導体6中には、図2に示すように、樹脂からなる樹脂ポスト9が設けられていても良い。導体6は樹脂ポスト9及び樹脂層4a(4)上に形成され、樹脂層4b(4)によって被覆されている。樹脂からなる樹脂ポスト9は任意の形状に成形し易いため、凸部3の形状を任意の形状にすることができる。また、樹脂ポスト9を設けた場合、導体6の厚みを減らせるため、導体6の電気抵抗を減少させることができ、凸部3を軽量化することができる。
【0023】
凸部3を構成する導体6としては、導電性物質であって成形性の良い金属が好適に用いられる。なかでも、低抵抗率である銅が好ましい。
導体6を被覆する樹脂層4としては、絶縁性、耐熱性、成形性の良い樹脂が好適に用いられる。例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールが好ましい。
【0024】
基板1の材質としては、例えばガラス、サファイア、プラスチック、セラミックス等の絶縁体や、シリコン(Si)等の半導体が挙げられる。図1に示す機能ブロック10の基板1は、ウエハーサイズのセラミックス製基板から個片化(ダイシング)されたセラミックス基板を用いた例である。
【0025】
基板1の一面1aに配された第一の回路2は、例えば金属めっき膜で形成される。図1では第一の回路2の少なくとも一部が、基板1の厚み方向に見て、樹脂層4に被覆された導体6からなる凸部3と重なる位置にある。このように、第一の回路2の少なくとも一部の上に凸部3を設けることにより、凸部3をなす導体6を介して、第一の回路2と第二の回路22とを電気的に接続することができ、機能ブロック10上の機能素子Fの出力信号を、実装基板21に配された第二の回路22に低損失で伝送することができる。
【0026】
機能素子Fとしては、磁気センサ又は加速度センサが好適なものとして例示できる。機能素子Fが磁気センサである場合、該磁気センサの磁気感知部は基板1の一面1aと平行に設けられる。これにより前記磁気センサは基板1の一面1aと略平行の磁界を検出する。ここで、前記磁気感知部を基板1の一面1aと平行に設ける際に、該磁気感知部の向きを適宜調整することによって、基板1の一面1aに平行な磁界のうち、特定の方向を向く磁界を検出することができる。
【0027】
したがって、例えば機能ブロック10を実装基板21に実装する際、基板1の一面1aを実装基板21の実装面に対して略垂直に実装することにより、前記磁気感知部を有する磁気センサである機能素子Fが配された機能ブロック10を、実装基板21に対して略垂直方向(z軸方向)の磁界を感知する磁気センサユニットU1とすることができる(図3参照)。
【0028】
図3は、磁気センサユニットU1(機能ブロック10)を実装した磁気デバイス30A(機能デバイス30)の斜視図である。磁気センサユニットU1は、凸部3によって実装基板21の第二の回路22(不図示)に電気的に接続されている。また、x軸方向の磁界を感知する磁気センサユニットU2、及びy軸方向の磁界を感知する磁気センサユニットU3は、はんだバンプ7bを介して第二の回路22(不図示)上に載置され電気的に接続されている。また、信号処理用IC23やその他のチップ部品24も第二の回路22(不図示)に電気的に接続されて実装されている。
【0029】
ここで、磁気センサユニットU1〜U3における磁気感知部が配された基板面に着目する。磁気センサユニット2及び3の前記基板面は、実装基板21の実装面と対向する面であるため、従来公知の実装方法であるバンプを介した電気的接続により実装できる。しかし、磁気センサユニットU1の前記基板面(基板1の一面1a)は、実装基板21の実装面に対して略垂直な面であるため、凸部3及びバンプ7によって第二の回路22に電気的に接続されている。凸部3及びバンプ7による電気的接続であるため、従来のボンディングワイヤによる接続と比べて、断線が少なく信頼性が高い。さらに、ボンディングワイヤによる接続に比べて、凸部3及びバンプ7による接続の方が短い配線距離で接続できるため、磁気センサユニットU1から出力されるアナログ信号の波形の劣化を低減して、信号処理用IC23へ伝送することができる。
【0030】
以上では機能素子Fが磁気センサである場合を説明したが、機能素子Fが加速度センサである場合も同様である。すなわち、前記磁気センサを加速度センサと読み換えて、前記磁気感知部を加速度感知部と読み換えて、前記磁気センサユニットを加速度センサユニットと読み換えて、前記磁界を加速度と読み換えることによって、磁気デバイス30Aの説明が加速度デバイスの説明となる。
【0031】
<機能ブロックの製造方法の第一実施態様>
本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第一実施態様を図面を示して説明する。
第一実施態様である機能ブロックの製造方法は、基板1の一面1aに、機能素子F及び該機能素子Fに電気的に接続された第一の回路2が配され、一面1aに配された導体6からなる凸部3が設けられ、且つ凸部3は第一の開口部11及び第二の開口部12を有する樹脂層4により覆われており、第一の開口部11を通して導体6と第一の回路2とが電気的に接続されている機能ブロック10の製造方法であって、少なくとも下記の工程A〜Dを有する。
【0032】
工程Aでは、機能素子F及び第一の回路2が一面1aに配された基板1を用いて、第一の回路2上の少なくとも一部に、第一の開口部11を有する第一の樹脂層4a(4)を形成する。
工程Bでは、第一の樹脂層4a上に、第一の開口部11を通して第一の回路2に導通する第一の導体6a(6)を形成する。
工程Cでは、第一の導体6a(6)に導通する第二の導体6b(6)を形成する。
工程Dでは、第一の導体6a及び第二の導体6bを第二の樹脂層4b(4)によって被覆して第二の開口部12を形成する。
【0033】
前記工程Aでは、図4(a)に示すように、ウエハサイズの基板1における一面1aの所定の区画(S1−S2間)に、機能素子F(不図示)及び該機能素子Fに電気的に接続された第一の回路2が予め配された基板1を用いる。第一の回路2の上に第一のフォトレジストからなる樹脂(不図示)を形成して適宜パターニングすることによって、図4(b)に示すように、第一の回路2上の少なくとも一部に、第一の開口部11を有する樹脂層4aを形成する。
【0034】
図4(a)において、点線S1及び点線S2は、前記ウエハサイズの基板1に形成される複数の機能ブロック10同士が隣接する境界を示す線である。この線に沿って、後でダイシング(個片化)して、各機能ブロックを切り出す。
なお、図4(a)では、S1−S2間の長さを便宜上短く描いているが、この長さは機能ブロック10の大きさに応じて適宜調整される。
【0035】
前記工程Bでは、図4(c)に示すように、第一の樹脂層4a上に、第二のフォトレジスト5a(5)を任意の形状で形成して、シード層を設けた後(不図示)、電解めっき法により第一の導体6aを形成する(図5(a))。このとき、第一の導体6aは、第一の開口部11を通して第一の回路2に導通される。第一の導体6aを形成した後、第二のフォトレジスト5aを除去する。
【0036】
前記シード層は、後段でめっきするための下準備であり、クロム、ニッケル、銅、チタン、タングステン等の金属からなる薄膜(厚さ0.01〜1μm程度)である。該薄膜は、一種の金属からなる薄膜であっても良く、合金であっても良い。また、該薄膜は1層であっても良いが、2層以上の多層構造を持つことが望ましい。
2層以上の多層構造とした場合、例えば2層のうち下層として、第一の樹脂層4aに密着性の良いクロムを使用し、上層として、後段で形成する第一の導体6aに密着性の良い銅を使用することにより、第一の樹脂層4aに対して密着性の良い第一の導体6aを形成することができる。
【0037】
前記工程Cでは、図5(b)に示すように、基板1の一面1a、第一の導体6a及び第一の樹脂層4aの上に第三のフォトレジスト5b(5)を任意の形状で形成して、シード層を設けた後、電解めっき法により、第一の導体6a上に第二の導体6bを形成する。このとき、該第二の導体6bを、任意の形状で基板1の一面1aから突き出るように形成することができる(図5(c))。すなわち、基板1の一縦断面において、基板1の一面1aからL字状に突き出た形状とすることができる。
【0038】
また、第二の導体6bは第一の導体6aに導通されているので、第一の導体6a及び第二の導体6bは一体の導体6としてみなすことができる。第二の導体6bを形成した後、第三のフォトレジスト5bを除去する。
導体6を構成する金属としては、特に制限されないが、低電気抵抗率の銅が望ましい。
【0039】
前記工程Dでは、導体6及び第一の樹脂層4a上に、第四のフォトレジストからなる樹脂(不図示)を形成し、適宜パターニングすることによって、図6(a)に示すように、導体6を第二の樹脂層4bによって被覆して第二の開口部12を形成することができる。このとき、第二の開口部12において導体6が露呈するように、該第二の開口部12の形状を、例えば円形状とする。
【0040】
前記第四のフォトレジストからなる樹脂を形成する方法としては、スピンコート法、スプレーコート法が挙げられる。スプレーコート法の方が、導体6からなる突起3を被覆する用途に適している。
【0041】
つづいて、第二の開口部12で露呈している導体6以外の領域に、第五のフォトレジスト5c(5)を形成して(図6(b))、はんだを載せない領域をマスキングした後、シード層を形成し、さらに電解めっき法によって、第二の開口部12において露呈する導体6の表面にはんだバンプ7(はんだめっき膜)を設ける(図6(c))。はんだバンプ7を設けた後、第五のフォトレジスト5cを除去する。
【0042】
はんだバンプ7の代わりに、ニッケルバンプ(ニッケルめっき膜)、金バンプ(金めっき膜)を、第二の開口部12において露呈する導体6の表面に形成してもよい。ニッケルバンプ又は金バンプを介して、当該機能ブロック10を実装基板21の第二の回路22に電気的に接続する方法として、ACF、超音波が適用される。ニッケルバンプ又は金バンプを介した電気的接続を用いることにより、はんだバンプを介した電気的接続の場合よりも狭いピッチでバンプ同士の距離を近づけて実装できる。
【0043】
以上の工程によって、基板1の一面1aの所望の位置に凸部3を形成した後、ウエハサイズの基板1を所定の区画(S1−S2間)ごとに、ダイシングブレードを用いて切削して、個片化(ダイシング)することによって、図1に示す機能ブロック10を製造することができる。
【0044】
<機能ブロックの製造方法の第二実施態様>
以下に、本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第二実施態様を図面を示して説明する。
第二実施態様である機能ブロックの製造方法は、基板1の一面1aに、機能素子F及び該機能素子Fに電気的に接続された第一の回路2が配され、一面1aに配された導体6からなる凸部3が設けられ、且つ凸部3は第一の開口部11及び第二の開口部12を有する樹脂層4により覆われており、第一の開口部11を通して導体6と第一の回路2とが電気的に接続されている機能ブロック10Aの製造方法であって、少なくとも下記の工程H〜Kを有する。
【0045】
工程Hでは、機能素子F及び第一の回路2が一面1aに配された基板1を用いて、第一の回路2上の少なくとも一部に、第一の開口部11を有する第一の樹脂層4a(4)を形成する。
工程Iでは、第一の樹脂層4a上に樹脂ポスト9を形成する。
工程Jでは、第一の樹脂層4a及び樹脂ポスト9上に、第一の開口部11を通して第一の回路2に導通する導体6を形成する。
工程Kでは、導体6を第二の樹脂層4b(4)によって被覆して第二の開口部12を形成する。
【0046】
前記工程Hでは、図7(a)に示すように、ウエハサイズの基板1における一面1aの所定の区画(S1−S2間)に、機能素子F(不図示)及び該機能素子Fに電気的に接続された第一の回路2が予め配された基板1を用いる。第一の回路2の上に第一のフォトレジストからなる樹脂(不図示)を形成して適宜パターニングすることによって、図7(b)に示すように、第一の回路2上の少なくとも一部に、第一の開口部11を有する第一の樹脂層4aを形成する。
【0047】
図7(a)において、点線S1及び点線S2は、前記ウエハサイズの基板1に形成される複数の機能ブロック10A同士が隣接する境界を示す線である。この線に沿って、後でダイシング(個片化)して、各機能ブロックを切り出す。
なお、図7(a)では、S1−S2間の長さを便宜上短く描いているが、この長さは機能ブロック10Aの大きさに応じて適宜調整される。
【0048】
前記工程Iでは、図7(c)に示すように、第一の樹脂層4a上に、第二のフォトレジスト8を形成して、パターニングすることにより樹脂ポスト9を設ける。このとき、樹脂ポスト9を、任意の形状で基板1の一面1aから突き出るように形成することができる(図8(a))。すなわち、基板1の一縦断面において、基板1の一面1aからL字状に突き出た形状とすることができる。
【0049】
前記工程Jでは、第一の樹脂層4a及び基板1の一面1a上に第三のフォトレジスト5d(5)を任意の形状で形成して(図8(b))、シード層を設けた後、電解めっき法により、第一の樹脂層4a及び樹脂ポスト9上に導体6を形成する(図8(c))。このとき、導体6は、第一の開口部11を通して第一の回路2に導通される。導体6を形成した後、第三のフォトレジスト5dを除去する。
【0050】
前記シード層は、後段でめっきするための下準備であり、クロム、ニッケル、銅、チタン、タングステン等の金属からなる薄膜(厚さ0.01〜1μm程度)である。該薄膜は、一種の金属からなる薄膜であっても良く、合金であっても良い。また、該薄膜は1層であっても良いが、2層以上の多層構造を持つことが望ましい。
2層以上の多層構造とした場合、例えば2層のうち下層として、第一の樹脂層4aに密着性の良いクロムを使用し、上層として、後段で形成する第一の導体6aに密着性の良い銅を使用することにより、第一の樹脂層4a及び樹脂ポスト9に対して密着性の良い第一の導体6aを形成することができる。
【0051】
前記工程Kでは、導体6及び第一の樹脂層4a上に、第四のフォトレジストからなる樹脂(不図示)を形成し、適宜パターニングすることによって、図9(a)に示すように、導体6を第二の樹脂層4bによって被覆して第二の開口部12を形成することができる。このとき、第二の開口部12において導体6が露呈するように、該第二の開口部12の形状を、例えば円形状とする。導体6を構成する金属としては、特に制限されないが、低電気抵抗率の銅が望ましい。
【0052】
前記第四のフォトレジストからなる樹脂を形成する方法としては、スピンコート法、スプレーコート法が挙げられる。スプレーコート法の方が、導体6からなる突起3を被覆する用途に適している。
【0053】
つづいて、第二の開口部12で露呈している導体6以外の領域に、第五のフォトレジスト5e(5)を形成して(図9(b))、はんだを載せない領域をマスキングした後、シード層を形成し、さらに電解めっき法によって、第二の開口部12において露呈する導体6の表面にはんだバンプ7(はんだめっき膜)を設ける(図9(c))。はんだバンプ7を設けた後、第五のフォトレジスト5eを除去する。
【0054】
はんだバンプ7の代わりに、ニッケルバンプ(ニッケルめっき膜)、金バンプ(金めっき膜)を、第二の開口部12において露呈する導体6の表面に形成してもよい。ニッケルバンプ又は金バンプを介して、当該機能ブロック10を実装基板21の第二の回路22に電気的に接続する方法として、ACF、超音波が適用される。ニッケルバンプ又は金バンプを介した電気的接続を用いることにより、はんだバンプを介した電気的接続の場合よりも狭いピッチでバンプ同士の距離を近づけて実装できる。
【0055】
以上の工程によって、基板1の一面1aの所望の位置に凸部3を形成した後、ウエハサイズの基板1を所定の区画(S1−S2間)ごとに、ダイシングブレードを用いて切削して、個片化(ダイシング)することによって、図2に示す機能ブロック10Aを製造することができる。
【0056】
本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第二実施態様では、樹脂ポスト9を設けることによって、導体6を一回のめっき工程によって形成することができる。樹脂ポスト9はフォトリソグラフィによって比較的短時間で形成することができるので好ましい。
本発明にかかる機能ブロックの製造方法の第一実施態様では、導体6を二回のめっき工程によって形成するため、第二実施態様の樹脂ポスト9を形成する場合と比べて、凸部3を形成する手間と時間が多くなる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の機能ブロックは、特定のセンシング方向を有する磁気センサや加速度センサ等の機能素子を、実装基板に対して立てて配置する用途において、広範に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…基板、1a…基板の一面、2…第一の回路、3…凸部、4,4a,4b…樹脂層、5,5a,5b,5c,5d,5e…フォトレジスト、6,6a,6b…導体、7,7b…バンプ、8…フォトレジスト、9…樹脂ポスト、10,10A…機能ブロック、11…第一の開口部、12…第二の開口部、S1,S2…ダイシングライン、F…機能素子、U1,U2,U3…センサユニット、21…実装基板、22…第二の回路、23…信号処理用IC、24…チップ部品、30,30A…機能デバイス、100…機能ブロック、101…基板、101a…基板の一面、103…ボンディングワイヤ、121…実装基板、122…回路、300…機能デバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面に、機能素子及び該機能素子に電気的に接続された第一の回路が配された機能ブロックであって、
前記一面に配された導体からなる凸部が設けられ、且つ
前記凸部は第一の開口部及び第二の開口部を有する樹脂層により覆われており、
前記導体と前記第一の回路とが前記第一の開口部を通して電気的に接続されていることを特徴とする機能ブロック。
【請求項2】
前記導体の内部に、樹脂ポストが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の機能ブロック。
【請求項3】
前記基板の縦断面に沿って前記凸部の一断面を見たとき、
前記凸部はL字状をなしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の機能ブロック。
【請求項4】
前記第二の開口部は、前記凸部において、前記基板の一面と対向しない面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能ブロック。
【請求項5】
前記機能素子は、磁気センサ又は加速度センサであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の機能ブロック。
【請求項6】
前記第二の開口部により露呈された前記導体の領域に、バンプが配されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の機能ブロック。
【請求項7】
請求項6に記載の機能ブロックと、第二の回路を備えた実装基板とからなる機能デバイスであって、前記機能ブロックと前記第二の回路とが前記バンプを介して電気的に接続されていることを特徴とする機能デバイス。
【請求項8】
基板の一面に、機能素子及び該機能素子に電気的に接続された第一の回路が配され、前記一面に配された導体からなる凸部が設けられ、且つ前記凸部は第一の開口部及び第二の開口部を有する樹脂層により覆われており、前記第一の開口部を通して前記導体と前記第一の回路とが電気的に接続されている機能ブロックの製造方法であって、
前記機能素子及び前記第一の回路が一面に配された前記基板を用いて、
前記第一の回路上の少なくとも一部に、前記第一の開口部を有する第一の樹脂層を形成する工程Aと、
前記第一の樹脂層上に、前記第一の開口部を通して前記第一の回路に導通する第一の導体を形成する工程Bと、
前記第一の導体に導通する第二の導体を形成する工程Cと、
前記第一の導体及び前記第二の導体を第二の樹脂層によって被覆して前記第二の開口部を形成する工程Dと、
を少なくとも有することを特徴とする機能ブロックの製造方法。
【請求項9】
基板の一面に、機能素子及び該機能素子に電気的に接続された第一の回路が配され、前記一面に配された導体からなる凸部が設けられ、且つ前記凸部は第一の開口部及び第二の開口部を有する樹脂層により覆われており、前記第一の開口部を通して前記導体と前記第一の回路とが電気的に接続されている機能ブロックの製造方法であって、
前記機能素子及び前記第一の回路が一面に配された前記基板を用いて、
前記第一の回路上の少なくとも一部に、前記第一の開口部を有する第一の樹脂層を形成する工程Hと、
前記第一の樹脂層上に樹脂ポストを形成する工程Iと、
前記第一の樹脂層及び前記樹脂ポスト上に、前記第一の開口部を通して前記第一の回路に導通する導体を形成する工程Jと、
前記導体を第二の樹脂層によって被覆して前記第二の開口部を形成する工程Kと、
を少なくとも有することを特徴とする機能ブロックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−137689(P2011−137689A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297135(P2009−297135)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】