説明

欠陥検査方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】基板の欠陥検査を短時間で適切に行う。
【解決手段】ウェハを移動させながら、ウェハの各測定領域に対して異なる照度の照明を照らし(ステップS1)、各測定領域を撮像する(ステップS2)。撮像された各測定領域の画像に色むらが検出されない場合には、次のステップS3に進む。一方、色むらが検出される場合には、ウェハを回転させて色むらのない画像を取得する(ステップS2−1)。色むらのない各測定領域の画像からRGB表色系の基準輝度を求め(ステップS3)、各基準輝度と照度との関係をグラフ化する(ステップS4)。RGB表色系のいずれかの基準輝度が予め定められた所定の輝度に達する照度を、最適照度と設定する(ステップS5)。最適照度の照明が照らされたウェハを撮像し、ウェハの欠陥を検査する(ステップS6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明が照らされた基板を撮像して、当該基板の欠陥を検査する方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造におけるフォトリソグラフィー処理では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウェハ上に所定のレジストのパターンが形成される。
【0003】
そして、一連のフォトリソグラフィー処理が行われたウェハは、検査装置によって、ウェハ表面に所定のレジスト膜が形成されているか否か、あるいは適切な露光処理が行われているかどうかについて、さらには傷、異物の付着があるかどうか等を検査する、いわゆるマクロ欠陥検査が行われている。
【0004】
このようなマクロ欠陥検査は、ウェハを載置している載置台を移動させながら、当該載置台上のウェハに照明を照らして、例えばCCDラインセンサの撮像装置によってウェハの画像を取り込み、この画像を画像処理して欠陥の有無を判定するようにしている。(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−240519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ウェハの画像の輝度が明るすぎたり、あるいは暗すぎたりすると、ウェハの欠陥を判定できない場合がある。したがって、欠陥検査を適切に行うためには、ウェハの画像の輝度が、当該画像を画像処理してウェハの欠陥を判定するのに適切な輝度になっている必要がある。このような輝度の画像を取得するためには、最適な照度の照明をウェハに照らす必要がある。
【0007】
しかしながら、この最適照度を設定する際には、通常、ウェハを移動させながら、照明を照らしてウェハを撮像して画像を取得するという作業が、異なる照度で繰り返し行われる。そして、各照度で撮像したウェハの画像を比較し、画像の輝度のバランスを確認して最適照度が設定される。このように最適照度を設定する場合、何度もウェハを移動させて撮像する必要があるため、欠陥検査を行うのに時間がかかっていた。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板の欠陥検査を短時間で適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、照明が照らされた基板を撮像して、当該基板の欠陥を検査する方法であって、前記照明の最適照度を設定する照度調節工程と、前記最適照度の照明で照らされた基板を撮像する欠陥検査工程と、を有し、前記照度調節工程は、基板を移動させながら、当該基板表面上の複数の測定領域に対して異なる照度の照明を照らし、前記各測定領域を撮像する第一の工程と、前記撮像された各測定領域の画像の輝度をヒストグラム化し、当該ヒストグラムの最大輝度側からの積分値が所定の値になる基準輝度を求める第二の工程と、前記各基準輝度と照度との相関関係を算出し、当該相関関係に基づいて、所定の輝度と一致する基準輝度の照度を前記欠陥検査工程における最適照度と設定する第三の工程と、を有することを特徴としている。
【0010】
なお、所定の輝度とは、予め設定された輝度であって、例えば欠陥のない基準基板を撮像して取得される画像の輝度から所定の範囲内の輝度である。例えば基準基板の画像の輝度が210である場合、所定の輝度は210±20に設定される。このように基準基板と同程度の輝度の画像を取得できると、基準基板と検査対象となる基板を適切に比較することができ、基板の欠陥を適切に判定することができる。また、基板の画像が所定の輝度になると、例えば画像が明るすぎたり、あるいは暗すぎたりして欠陥が判定され難くなることもない。
【0011】
また発明者らが調べたところ、基準輝度を求める際のヒストグラムの所定の積分値は、ヒストグラム全体の積分値の3%が適切であることが分かった。すなわち基準輝度は、ヒストグラムの最大輝度側からの積分値が全体の積分値の3%となる輝度に決定される。
【0012】
本発明によれば、照明の最適照度を設定する際に、基板上に複数の測定領域を設定し、基板を移動させながら複数の測定領域に対して異なる照度の照明を照らして、各測定領域を撮像しているので、1回の基板の移動で各測定領域の画像を取得することができる。したがって、従来のように何度も基板を移動させる必要がなく、最適照度の設定に要する時間を短縮することができ、欠陥検査を短時間で行うことができる。また、各測定領域の画像の基準輝度を求めて、それぞれの基準輝度と照度との相関関係に基づいて、所定の輝度と一致する基準輝度の照度を最適照度と設定しているので、各測定領域の画像を取得した後、自動で最適照度を設定することができる。これによって、従来のように各照度で撮像したウェハの画像を直接比較する必要がなく、欠陥検査をさらに短時間で行うことができる。さらに、最適照度の照明が照らされた基板を撮像して、基板の画像を取得しているので、上述した所定の輝度の基板の画像を取得することができ、当該基板の画像から欠陥を適切に判定して検査することができる。
【0013】
前記第一の工程において、前記撮像された各測定領域の画像に色むらが生じた場合、前記色むらが消滅する位置まで基板を回転させ、前記各測定領域を撮像してもよい。
【0014】
前記第二の工程において、前記第二の工程において、前記各測定領域の画像のRGB表色系の基準輝度をそれぞれ求め、前記第三の工程において、前記所定の輝度と一致する前記RGB表色系の基準輝度が複数ある場合には、その中で最も小さいRGB表色系のいずれかの照度を前記欠陥検査工程における最適照度と設定してもよい。
【0015】
前記第三の工程における前記相関関係は、前記各基準輝度を線形補完して算出してもよい。
【0016】
前記測定領域は、基板全体を複数に分割した領域であり、前記第一の工程において、基板を移動させながら、前記各測定領域に対して異なる照度の照明を照らして、基板を含む範囲を撮像し、前記撮像した画像を2値化して、基板部分の画像を取得し、前記基板部分の画像から前記各測定領域の画像に分割してもよい。
【0017】
前記基板部分の画像は、前記基板外側部分の画像のグレーレベルの相違に基づいて、前記各測定領域の画像に分割してもよい。
【0018】
別な観点による本発明によれば、前記欠陥検査方法を欠陥検査装置によって実行させるために、当該欠陥検査装置を制御する制御装置のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0019】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1回の基板の移動によって異なる照度の画像を取得して、当該画像から自動で最適照度を設定することができ、基板の欠陥検査を短時間で適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる欠陥検査方法を実施するための欠陥検査装置を搭載した塗布現像処理システム1の構成の概略を示す平面図であり、図2は、塗布現像処理システム1の正面図であり、図3は、塗布現像処理システム1の背面図である。
【0022】
塗布現像処理システム1は、図1に示すように例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部から塗布現像処理システム1に対して搬入出したり、カセットCに対してウェハWを搬入出したりするカセットステーション2と、フォトリソグラフィー工程の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理装置を多段に配置している処理ステーション3と、この処理ステーション3に隣接して設けられている露光装置(図示せず)との間でウェハWの受け渡しをするインターフェイスステーション4とを一体に接続した構成を有している。
【0023】
カセットステーション2には、カセット載置台5が設けられ、当該カセット載置台5は、複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。カセットステーション2には、搬送路6上をX方向に向かって移動可能なウェハ搬送体7が設けられている。ウェハ搬送体7は、カセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり、X方向に配列された各カセットC内のウェハWに対して選択的にアクセス可能である。
【0024】
ウェハ搬送体7は、Z軸周りのθ方向に回転可能であり、後述する処理ステーション3側の第3の処理装置群G3に属する温度調節装置60やウェハWの受け渡しを行うためのトランジション装置61に対してもアクセス可能である。
【0025】
カセットステーション2に隣接する処理ステーション3は、複数の処理装置が多段に配置された、例えば5つの処理装置群G1〜G5を備えている。処理ステーション3のX方向負方向(図1中の下方向)側には、カセットステーション2側から第1の処理装置群G1、第2の処理装置群G2が順に配置されている。処理ステーション3のX方向正方向(図1中の上方向)側には、カセットステーション2側から第3の処理装置群G3、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5が順に配置されている。第3の処理装置群G3と第4の処理装置群G4の間には、第1の搬送装置A1が設けられており、第1の搬送装置A1の内部には、ウェハWを支持して搬送する第1の搬送アーム10が設けられている。第1の搬送アーム10は、第1の処理装置群G1、第3の処理装置群G3及び第4の処理装置群G4内の各処理装置に選択的にアクセスしてウェハWを搬送することができる。第4の処理装置群G4と第5の処理装置群G5の間には、第2の搬送装置A2が設けられており、第2の搬送装置A2の内部には、ウェハWを支持して搬送する第2の搬送アーム11が設けられている。第2の搬送アーム11は、第2の処理装置群G2、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5内の各処理装置に選択的にアクセスしてウェハWを搬送することができる。
【0026】
図2に示すように第1の処理装置群G1には、ウェハWに所定の液体を供給して処理を行う液処理装置、例えばウェハWにレジスト液を塗布するレジスト塗布装置20、21、22、露光処理時の光の反射を防止する反射防止膜を形成するボトムコーティング装置23、24が下から順に5段に重ねられている。第2の処理装置群G2には、液処理装置、例えばウェハWに現像液を供給して現像処理する現像処理装置30〜34が下から順に5段に重ねられている。また、第1の処理装置群G1及び第2の処理装置群G2の最下段には、各処理装置群G1、G2内の液処理装置に各種処理液を供給するためのケミカル室40、41がそれぞれ設けられている。
【0027】
図3に示すように第3の処理装置群G3には、温度調節装置60、トランジション装置61、精度の高い温度管理下でウェハWを温度調節する高精度温度調節装置62〜64及び欠陥検査装置110、110が下から順に7段に重ねられている。なお、欠陥検査装置110の構成については後述する。
【0028】
第4の処理装置群G4には、例えば高精度温度調節装置70、レジスト塗布処理後のウェハWを加熱処理するプリベーキング装置71〜74及び現像処理後のウェハWを加熱処理するポストベーキング装置75〜79が下から順に10段に重ねられている。
【0029】
第5の処理装置群G5には、ウェハWを熱処理する複数の熱処理装置、例えば高精度温度調節装置80〜83、露光後のウェハWを加熱処理するポストエクスポージャーベーキング装置84〜89が下から順に10段に重ねられている。
【0030】
図1に示すように第1の搬送装置A1のX方向正方向側には、複数の処理装置が配置されており、例えば図3に示すようにウェハWを疎水化処理するためのアドヒージョン装置90、91、ウェハWを加熱する加熱装置92、93が下から順に4段に重ねられている。図1に示すように第2の搬送装置A2のX方向正方向側には、例えばウェハWのエッジ部のみを選択的に露光する周辺露光装置94が配置されている。
【0031】
インターフェイスステーション4には、例えば図1に示すようにX方向に向けて延伸する搬送路100上を移動するウェハ搬送体101と、バッファカセット102が設けられている。ウェハ搬送体101は、Z方向に移動可能でかつθ方向にも回転可能であり、インターフェイスステーション4に隣接した露光装置(図示せず)と、バッファカセット102及び第5の処理装置群G5に対してアクセスしてウェハWを搬送できる。
【0032】
次に、上述した欠陥検査装置110の構成について説明する。図4は、欠陥検査装置110の構成の概略を示す縦断面図であり、図5は、欠陥検査装置110の構成の概略を示す横断面図である。
【0033】
欠陥検査装置110は、図5に示すようにケーシング111を有している。ケーシング111の一端側(図5中のX方向負方向側)であって、ケーシング111の短手方向に対向する両側面には、ウェハWを搬入出させる搬入出口112がそれぞれ形成されている。搬入出口112には、開閉シャッタ113がそれぞれ設けられている。
【0034】
ケーシング111内には、図4に示すようにウェハWを載置する載置台120が設けられている。この載置台120は、モータなどの回転駆動部121によって、回転、停止が自在であり、ウェハWの位置を調節するアライメント機能を有している。ケーシング111の底面には、ケーシング111内の一端側(図4中のX方向負方向側)から他端側(図4中のX方向正方向側)まで延伸するガイドレール122が設けられている。載置台120と回転駆動部121は、ガイドレール122上に設けられ、例えばパルスモータなどの駆動装置123によってガイドレール122に沿って移動できる。この駆動装置123の駆動、停止、駆動の速度などは、制御装置140から出力される信号によって制御される。また、信号によって駆動された駆動装置123からは、そのときのエンコーダ信号が制御装置140に出力される。
【0035】
ケーシング111内の一端側であって、ウェハWをケーシング111に搬入出する位置P1(図4中の実線で示す位置)には、ウェハWを一時的に支持するバッファアーム124が設けられている。バッファアーム124は、図6に示すように先端にウェハWの支持部124aを有している。支持部124aは、例えば3/4円環状に形成されている。支持部124aの3/4円環状の径は、載置台120の径よりも大きく、支持部124aの内側に載置台120を収容できる。支持部124aの3/4円環状の切り欠き部分は、ケーシング111内の他端側(図6中のX方向正方向側)に形成されており、載置台120は、支持部124aと干渉せずに他端側に移動できる。支持部124a上には、複数の支持ピン124bが設けられ、ウェハWは、この支持ピン124b上に支持される。バッファアーム124の基部124cは、例えばシリンダなどの昇降駆動部125に取り付けられており、バッファアーム124は、載置台120の上下に昇降できる。
【0036】
図4に示すようにケーシング111の他端側であって、ウェハWのノッチ部の位置を調整するアライメント位置P2(図4中の点線で示す位置)には、載置台120上のウェハWのノッチ部の位置を検出するセンサ126が設けられている。センサ126によってノッチ部の位置を検出しながら、回転駆動部121によって載置台120を回転させて、ウェハWのノッチ部の位置を調節することができる。
【0037】
ケーシング111内の他端側(図4のX方向正方向側)の側面には、撮像装置130が設けられている。撮像装置130には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。ケーシング111の上部中央付近には、ハーフミラー131が設けられている。ハーフミラー131は、撮像装置130と対向する位置に設けられ、鉛直方向から45度傾斜して設けられている。ハーフミラー131の上方には、照度を変更することができる照明装置132が設けられ、ハーフミラー131と照明装置132は、ケーシング111の上面に固定されている。また、撮像装置130、ハーフミラー131及び照明装置132は、載置台120に載置されたウェハWの上方にそれぞれ設けられている。そして、照明装置132からの照明は、ハーフミラー131を通過して下方に向けて照らされる。したがって、この照射領域にある物体の反射光は、ハーフミラー131で反射して、撮像装置130に取り込まれる。すなわち、撮像装置130は、照射領域にある物体を撮像することができる。
【0038】
これら照明装置132と撮像装置130は、制御装置140によって制御される。制御装置140から照明装置132に対して出力される信号によって、照明装置132の照明の照度、照射時間等が制御される。また、制御装置140から撮像装置130に対して出力される信号によって、撮像装置130による撮像、撮像タイミング、画像取り込み時間等が制御される。そして撮像した画像は、制御装置140に出力され、当該制御装置140において、必要な画像処理が施される。
【0039】
上述した制御装置140は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、欠陥検査装置110内のウェハWの欠陥検査を制御するプログラムが格納されている。これに加えて、プログラム格納部には、上述した各種処理装置や搬送体などの駆動系の動作を制御して、後述する塗布現像処理システム1の所定の作用、すなわちウェハWへのレジスト液の塗布、現像、加熱処理、ウェハWの受け渡し、各ユニットの制御などを実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばハードディスク(HD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置140にインストールされたものであってもよい。
【0040】
次に、以上のように構成された欠陥検査装置110で行われるウェハWの欠陥の検査について、塗布現像処理システム1全体で行われるウェハ処理のプロセスと共に説明する。
【0041】
先ず、ウェハ搬送体7によって、カセット載置台5上のカセットC内からウェハWが一枚取り出され、第3の処理装置群G3の温度調節装置60に搬送される。温度調節装置60に搬送されたウェハWは、所定温度に温度調節され、その後第1の搬送アーム10によってボトムコーティング装置23に搬送され、反射防止膜が形成される。反射防止膜が形成されたウェハWは、第1の搬送アーム10によって加熱装置92、高精度温度調節装置70に順次搬送され、各装置で所定の処理が施される。その後ウェハWは、レジスト塗布装置20に搬送される。
【0042】
レジスト塗布装置20においてウェハW上にレジスト膜が形成されると、ウェハWは第1の搬送アーム10によってプリベーキング装置71に搬送され、続いて第2の搬送アーム11によって周辺露光装置94、高精度温調装置83に順次搬送されて、各装置において所定の処理が施される。その後、インターフェイスステーション4のウェハ搬送体101によって露光装置(図示せず)に搬送され、ウェハW上のレジスト膜に所定のパターンが露光される。露光処理の終了したウェハWは、ウェハ搬送体101によってポストエクスポージャーベーキング装置84に搬送され、所定の処理が施される。
【0043】
ポストエクスポージャーベーキング装置84における熱処理が終了すると、ウェハWは第2の搬送アーム11によって高精度温度調節装置81に搬送されて温度調節され、その後現像処理装置30に搬送され、ウェハW上に現像処理が施され、レジスト膜にパターンが形成される。その後ウェハWは、第2の搬送アーム11によってポストベーキング装置75に搬送され、加熱処理が施された後、高精度温度調節装置63に搬送され温度調節される。そしてウェハWは、第1の搬送アーム10によって欠陥検査装置110に搬送され、ウェハWの欠陥検査が行われる。この欠陥検査の詳細については後述する。その後ウェハWは、第1の搬送アーム10によってトランジション装置61に搬送され、ウェハ搬送体7によってカセットCに戻されて一連のフォトリソグラフィー工程が終了する。
【0044】
次に、欠陥検査装置110におけるウェハWの欠陥の検査方法について説明する。図7は、欠陥検査の各工程における欠陥装置110の様子を示す説明図であり、図8は、欠陥検査の各工程のフローチャートを示している。
【0045】
第1の搬送アーム10によってケーシング111内に搬送されたウェハWは、図7(a)に示すように載置台120上に載置される。このとき、載置台120は、予めケーシング111内の他端側のウェハ搬入出位置P1に待機している。
【0046】
ここで、次にウェハWの欠陥検査を行う際の照明装置132の最適照度を設定するため、図9に示すようにウェハW上に例えば5つの測定領域151〜155を予め設定しておく。この測定領域151〜155は、載置台120上のウェハWの移動方向に沿って並ぶように設定される。なお、本実施の形態において、測定領域を5つに設定したのは、各測定領域の面積を確保しつつ、最適照度を設定するのに十分な数の画像を取得するためであり、これに限定されるわけではない。
【0047】
そして、図7(b)に示すように載置台120をアライメント位置P2側に所定速度で移動させながら、ウェハWがハーフミラー131の下を通過する際に、照明装置132からウェハWの各測定領域151〜155に対して異なる照度の照明を照らす。すなわち、ウェハWに照らされる照明は、図9に示した測定領域151〜155をそれぞれ含む照射領域151a〜155aごとに異なる照度で照らされる(図8のステップS1)。このとき、照明装置132から照らされる照明の照射時間は、制御装置140によって駆動装置132のエンコーダ信号に基づいて制御される。なお、本実施の形態において、ウェハWの測定領域151〜155に照らされる照明の照度は、それぞれBF58、BF68、BF78、BF88、BF98であり、ウェハWの移動にしたがって、照らされる照明は明るくなっている。
【0048】
このようにウェハWの測定領域151〜155に対して異なる照度の照明を照らしながら、撮像装置130では、それぞれの測定領域151〜155が撮像される(図8のステップS2)。
【0049】
撮像装置130で撮像された測定領域151〜155の画像は、制御装置140に出力される。このとき、図7(c)に示すように駆動装置123によって載置台120をアライメント位置P2まで移動させ停止させておく。そして、制御装置140に出力された各測定領域151〜155の画像において、色むらが検出されなかった場合には、後述するステップS3に進む。なお、この色むらは、例えば広角型の撮像装置130を用いて撮像すること等に起因して発生する。
【0050】
一方、制御装置140に出力された各測定領域151〜155の画像において色むらが検出された場合には、センサ126によってウェハWのノッチ部の位置を検出しながら、撮像された画像に色むらが消滅する位置まで回転させる。本実施の形態においては、ウェハWを例えば90度回転させる(図8のステップS2−1)。そして、載置台120を再びウェハ搬入出位置P1まで移動させ、上述したステップS1及びS2と同じ方法で、ウェハWの各測定領域151〜155に対して異なる照度の照明を照らし、撮像装置130でウェハWを撮像して、色むらのない各測定領域151〜155の画像を取得する。
【0051】
このようにして、制御装置140に色むらのない各測定領域151〜155の画像が出力されると、制御装置140では、先ず、測定領域151〜155のそれぞれの画像の輝度のRGBヒストグラムを抽出し、R(Red)、G(Green)、B(Blue)ごとの基準輝度を求める(図8のステップS3)。
【0052】
ここで基準輝度を求める方法について、図10に基づいて説明する。図10は例えば測定領域151の画像におけるR(Red)についての輝度のヒストグラムである。基準輝度は、ヒストグラムの最大輝度側からの積分値(図10中の斜線部)が全体の積分値の3%となる輝度に設定される。そうすると図10に示すように、仮に画像全体に対して低頻度の明るい部分Mが存在していても、かかる部分Mを考慮せずに基準輝度を適切に求めることができる。このようにして、すべての測定領域151〜155の画像のRGB毎の基準輝度を算出する。
【0053】
そして、図11に示すようにRGB表色系のそれぞれの基準輝度について、各測定領域151〜155ごとにプロットしたグラフを作成する(図8のステップS4)。なお、図11に示すグラフの縦軸は基準輝度を示し、横軸は各測定領域151〜155の照度を示している。また、このグラフは、RGB表色系のそれぞれの基準輝度が線形補完されている。
【0054】
そして、RGB表色系のいずれかの基準輝度が予め定められた所定の輝度に達する照度を、照明装置132の最適照度と設定する。すなわち、RGB表色系のいずれかの基準輝度と所定の輝度が一致する照度のうち、最も小さい照度を最適照度と設定する(図8のステップS5)。所定の輝度は、例えば欠陥のない基準ウェハを撮像して取得される画像の輝度から所定の範囲内の輝度である。例えば基準ウェハの輝度が210である場合、所定の輝度は210±20の範囲内に設定される。本実施の形態においては、所定の輝度は210に設定され、図11のグラフより最適照度は72に設定される。なお、RGB表色系のいずれの基準輝度も所定の輝度に達しない場合には、照明装置132の最適照度は最大の照度である150に設定される。
【0055】
以上のように照明装置132の最適照度が設定されると、図7(d)に示すように載置台120を照明装置132側に移動させながら、ウェハWがハーフミラー131の下を通過する際に、照明装置132からウェハWに対して最適照度の照明を照らす。そして、撮像装置130によってウェハWの表面が撮像される。撮像された画像は制御装置140に出力され、制御装置140において画像処理が行われて、ウェハWの欠陥が検査される(図8のステップS6)。
【0056】
このようにウェハWの欠陥検査が終了し、図7(e)に示すように載置台120がウェハ搬入出位置P1まで移動した後、図7(f)に示すようにバッファアーム124を載置台120の上方まで上昇させる。そうすると、このバッファアーム124によって載置台120上のウェハWが支持され持ち上げられる。その後、ウェハWはバッファアーム124からウェハ搬送体7に受け渡され、当該ウェハ搬送体7によって搬入出口12から搬出される。
【0057】
以上の実施の形態によれば、照明装置132の最適照度を設定する際に、ウェハW上に複数の測定領域151〜155を設定し、ウェハWを移動させながら、照明装置132から各測定領域151〜155に対して異なる照度の照明を照らして、撮像装置130によって各測定領域151〜155を撮像しているので、1回のウェハWの移動で異なる照度の各測定領域151〜155の画像を取得することができる。したがって、従来のように何度もウェハWを移動させる必要がなく、最適照度の設定に要する時間を短縮することができ、ウェハWの欠陥検査を短時間で行うことができる。
【0058】
また、各測定領域151〜155の画像のRGB表色系の基準輝度をそれぞれ求め、RGB表色系の基準輝度を線形補完して各基準輝度と照度との相関関係を算出し、所定の輝度と一致する基準輝度の照度を最適照度と設定しているので、各測定領域151〜155の画像を取得した後、自動で最適照度を設定することができる。これによって、従来のように各照度で撮像したウェハWの画像を直接比較する必要がなく、ウェハWの欠陥検査をさらに短時間で行うことができる。
【0059】
また、最適照度を設定する際に取得した各測定領域151〜155の画像に色むらが検出された場合には、撮像された画像に色むらが消滅する位置まで、例えば90度ウェハWを回転させてウェハWの画像を再取得しているので、ウェハWの画像の精度がより高精度になり、ウェハWの欠陥をさらに高精度に検査することができる。
【0060】
また、上述のように設定した最適照度の照明が照らされたウェハWを撮像して、ウェハWの画像を取得しているので、基準ウェハの画像の輝度と同程度の所定の輝度のウェハWの画像を取得することができる。そうすると、ウェハWの画像が適切な輝度になり、当該ウェハWの画像に基づいてウェハWの欠陥を適切に検査することができる。
【0061】
以上の実施の形態において、測定領域151〜155の画像を取得して照明装置132の最適照度を設定していたが、ウェハWを複数に分割した領域、すなわち図9に示した照射領域151a〜155aを測定領域として、図12に示すように他の測定領域161〜165の画像を取得して照明装置132の最適照度を設定してもよい。かかる場合の照明装置132の最適照度の設定方法について、図13に示した各工程のフローチャートに基づいて説明する。
【0062】
先ず、図8のステップS1と同じ方法で、照明装置132によって、ウェハWの他の測定領域161〜165に対して異なる照度の照明を照らす(図13のステップT1)。そして、撮像装置130によって各他の測定領域161〜165を含むウェハWの撮像する(図13のステップT2)。このとき、図12に示すようにウェハWの外側の領域170も同時に撮像される。領域170はウェハWよりも反射率が小さいため、領域170の画像の輝度はウェハWの画像の輝度に比べて小さくなる。
【0063】
制御装置140に出力された画像において、色むらが検出されなかった場合には、後述するステップT3に進む。一方、制御装置140に出力された画像において色むらが検出された場合には、図8のステップS2−1と同じ方法で、センサ126によってウェハWのノッチ部の位置の検出しながら、ウェハWを例えば90度回転させる(図13のステップT2−1)。そして、載置台120を再びウェハ搬入出位置P1まで移動させ、上述したステップT1及びT2と同じ方法で、ウェハWの各他の測定領域161〜165に対して異なる照度の照明を照らし、撮像装置130でウェハW及び領域170を撮像して、色むらのない画像を取得する。
【0064】
このようにして、制御装置140に色むらのない画像が出力されると、制御装置140では、先ずウェハWの画像の輝度と領域170の外側の輝度の閾値、例えば110を用いて、画像をウェハWと領域170に2値化する(図13のステップT3)。
【0065】
次に、撮像装置130でウェハW及び領域170を撮像して取得された画像に対して、領域170の2値化画像をマスクとして重ね、ウェハWの画像のみを抜き取る(図13のステップT4)。
【0066】
そして、ウェハWの画像を各照度に分割するため、すなわち他の測定領域161〜165の境界線を決定するため、領域170の画像のグレーレベルを求める。そして、領域170の画像のグレーレベルが相違する境界線に基づいて、ウェハWの画像の境界線を決定する。そうすると、各他の測定領域161〜165の画像を取得することができる(図13のステップT5)。なお、領域170の画像のグレーレベルを求める際、ノイズを避けるために、領域170の周縁部のグレーレベルを考慮しないことが好ましい。
【0067】
その後、図8のステップS3〜S5と同じ方法で、各他の測定領域161〜165の画像におけるRGBヒストグラムを抽出して、RGB表色系の基準輝度を求め(図13のステップT6)、それぞれの基準輝度と各他の測定領域161〜165との相関関係をグラフ化する(図13のステップT7)。そして、RGB表色系のいずれかの基準輝度が予め定められた所定の輝度に達する照度を、照明装置132の最適照度と設定する(図13のステップT8)。その後、図8のステップS6と同じ方法で、照明装置132の最適照度を用いてウェハWの欠陥検査が行われる(図13のステップT9)。なお、上述したステップT6において、各他の測定領域161〜165の画像のRGBヒストグラムを抽出する際、ノイズを避けるために、各他の測定領域161〜165の境界線付近のRGBヒストグラムを抽出しないのが好ましい。
【0068】
以上の実施の形態によっても、1回のウェハWの移動で異なる照度の各他の測定領域161〜165の画像を取得することができ、かつ当該各他の測定領域161〜165の画像に基づいて自動で最適照度を設定することができる。これによって、最適照度の設定に要する時間を短縮することができ、ウェハWの欠陥検査を短時間で行うことができる。
【0069】
また、領域170の画像に基づいて、ウェハWの画像を各他の測定領域161〜165の画像に分割しており、領域170の画像はウェハW上に形成されたレジストパターンの影響を受けないため、より精度の高い画像を取得することができる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、照明が照らされた基板を撮像して、当該基板の欠陥を検査する際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本実施の形態にかかる欠陥検査方法を実施するための欠陥検査装置を搭載した塗布現像処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】欠陥検査装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】欠陥検査装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図6】バッファアームの構成の概略を示す平面図である。
【図7】ウェハの欠陥検査の各工程における欠陥装置の様子を示す説明図である。
【図8】ウェハの欠陥検査の各工程のフローチャートである。
【図9】ウェハ上の測定領域を示した平面図である。
【図10】測定領域の画像の輝度のヒストグラムである。
【図11】各RGB表色系の基準輝度と照度(測定領域)との関係を示したグラフである。
【図12】ウェハ上の他の測定領域を示した平面図である。
【図13】他の実施の形態にかかるウェハの欠陥検査の各工程のフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1 塗布現像処理システム
110 欠陥検査装置
120 載置台
126 センサ
130 撮像装置
132 照明装置
140 制御装置
151〜155 測定領域
161〜165 他の測定領域
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明が照らされた基板を撮像して、当該基板の欠陥を検査する方法であって、
前記照明の最適照度を設定する照度調節工程と、
前記最適照度の照明で照らされた基板を撮像する欠陥検査工程と、を有し、
前記照度調節工程は、
基板を移動させながら、当該基板表面上の複数の測定領域に対して異なる照度の照明を照らし、前記各測定領域を撮像する第一の工程と、
前記撮像された各測定領域の画像の輝度をヒストグラム化し、当該ヒストグラムの最大輝度側からの積分値が所定の値になる基準輝度を求める第二の工程と、
前記各基準輝度と照度との相関関係を算出し、当該相関関係に基づいて、所定の輝度と一致する基準輝度の照度を前記欠陥検査工程における最適照度と設定する第三の工程と、を有することを特徴とする、欠陥検査方法。
【請求項2】
前記第一の工程において、前記撮像された各測定領域の画像に色むらが生じた場合、
前記色むらが消滅する位置まで基板を回転させ、前記各測定領域を撮像することを特徴とする、請求項1に記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
前記第二の工程において、前記各測定領域の画像のRGB表色系の基準輝度をそれぞれ求め、
前記第三の工程において、前記所定の輝度と一致する前記RGB表色系の基準輝度が複数ある場合には、その中で最も小さいRGB表色系のいずれかの照度を前記欠陥検査工程における最適照度と設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記第三の工程における前記相関関係は、前記各基準輝度を線形補完して算出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の欠陥検査方法。
【請求項5】
前記測定領域は、基板全体を複数に分割した領域であり、
前記第一の工程において、基板を移動させながら、前記各測定領域に対して異なる照度の照明を照らして、基板を含む範囲を撮像し、
前記撮像した画像を2値化して、基板部分の画像を取得し、
前記基板部分の画像から前記各測定領域の画像に分割することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の欠陥検査方法。
【請求項6】
前記基板部分の画像は、前記基板外側部分の画像のグレーレベルの相違に基づいて、前記各測定領域の画像に分割されることを特徴とする、請求項5に記載の欠陥検査方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の欠陥検査方法を欠陥検査装置によって実行させるために、当該欠陥検査装置を制御する制御装置のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−216515(P2009−216515A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60096(P2008−60096)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】