歩行ロボット
【課題】従来から行われるアクチュエータによる能動的歩行だけではなく受動的歩行を積極的に行うことで、歩行ロボットの歩行に要するエネルギーを低減し、効率的な歩行の実現を図る。
【解決手段】歩行ロボットにおいて、その歩行と連動して、所定の閉空間内で制御用空気の動きを制御することで、該歩行ロボットの歩行をアシストする空気回路部を備える。そして、空気回路部は、歩行ロボットの歩行時において脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際に、該脚を構成する各リンク部材の各関節部を介して行われる相対位置変化によって、制御用空気を介して該歩行のエネルギーの一部を回収する歩行エネルギー回収部と、歩行ロボットの歩行時において、脚が遊脚状態から立脚状態へ移行する際に、歩行エネルギー回収部によって回収された歩行エネルギーを開放し、該脚の立脚状態への移行をアシストする歩行アシスト部と、を有する。
【解決手段】歩行ロボットにおいて、その歩行と連動して、所定の閉空間内で制御用空気の動きを制御することで、該歩行ロボットの歩行をアシストする空気回路部を備える。そして、空気回路部は、歩行ロボットの歩行時において脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際に、該脚を構成する各リンク部材の各関節部を介して行われる相対位置変化によって、制御用空気を介して該歩行のエネルギーの一部を回収する歩行エネルギー回収部と、歩行ロボットの歩行時において、脚が遊脚状態から立脚状態へ移行する際に、歩行エネルギー回収部によって回収された歩行エネルギーを開放し、該脚の立脚状態への移行をアシストする歩行アシスト部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行用の脚を有し、該脚により歩行運動が可能な歩行ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行ロボットの開発が盛んであるが、その中でもいわゆる位置エネルギーなどのポテンシャルエネルギーを利用した受動的歩行が注目されている。受動的歩行とは、歩行ロボットの力学的特徴であるポテンシャルエネルギーから運動エネルギーへの遷移を生かした歩行であり、例えば、重力場のみを用いた傾斜面の歩行が該当する。
【0003】
受動的歩行は、歩行ロボットの物理量によってその歩容が決まるという意味で自然で効率的な歩行である。このように力学的に自然な歩行をロボットによって実現することで、エネルギー効率のよい歩行ロボットを開発することが可能となる。尚、受動的歩行を行う歩行ロボットに関する技術が、例えば非特許文献1に開示されている。当該技術では、足首が自由関節である二足歩行ロボットにおける歩行軌道の安定性について述べられている。
【非特許文献1】日本ロボット学会誌,vol22,No.2,200−206頁,2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歩行ロボットの歩行を考慮する際、人間の歩行を十分に検討するのが好ましい。ここで、人間が歩行する場合、その筋力だけではなく外力を利用して歩行を行っている。これにより、人間はより少ないエネルギーで効率的な歩行を実現している。一方、従来の多くの二足歩行ロボットは、その歩行において全ての関節をアクチュエータで駆動するいわば能動的歩行であり、そのため人間の歩行と比べてエネルギー消費が多くなる。また、従来のように受動的歩行に関する技術はあるが、それはあくまでもポテンシャルエネルギーを運動エネルギーに変換するものであり、それが適用できる状況は限定されざるを得ない。
【0005】
本発明では、上記した問題に鑑み、従来から行われるアクチュエータによる能動的歩行だけではなく受動的歩行を積極的に行うことで、歩行ロボットの歩行に要するエネルギーを低減し、効率的な歩行の実現を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記の課題を解決するために、本発明では、歩行ロボットに歩行ロボットの歩行に連動して制御用空気の流れを発生させるとともに、該制御用空気を効率的に利用することで、歩行ロボットの歩行のサイクルの一部を制御用空気による受動的駆動とし、効率的な歩行の実現を可能とした。より詳細には、本発明に係る歩行ロボットは、複数のリンク部材と該リンク部材の各々を連結する関節部とで構成される脚を有し、該脚が立脚状態と遊脚状態を繰り返すことで床面上の歩行を行う歩行ロボットであって、前記歩行ロボットの歩行と連動して、所定の閉空間内で制御用空気の動きを制御することで、該歩行ロボットの歩行をアシストする空気回路部を備える。そして、前記空気回路部は、前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際に、該脚を構成する各リンク部材の各関節部を介して行われる相対位置変化によって、制御用空気を介して該歩行のエネルギーの一部を回収する歩行エネルギー回収部と、前記歩行ロボットの歩行時において、前記脚が遊脚状態から立脚状態へ移行する際に、前記歩行エネルギー回収部によって回収された歩行エネルギーを開放し、該脚の立脚状態への移行をアシストする歩行アシスト部と、を有する。
【0007】
上記歩行ロボットの脚は、リンク部材と関節部とで構成され、これらは基本的にはアクチュエータから供給される駆動力によって駆動され、歩行ロボットの能動的歩行が可能となる。ここで、この歩行ロボットは歩行が可能である限りその脚の数は限定されない。但し、歩行時の歩行ロボットの安定性の観点からは脚の数が多いほど好ましいが、脚の数が多くなるに従い、脚同士の干渉や脚数の増加による歩行ロボット重量の増加、消費エネルギーの増加が懸念されるため、実施の形態に応じて歩行ロボットの脚数は決定すればよい。
【0008】
ここで、本発明に係る歩行ロボットには、空気回路部が備えられている。この空気回路部は、歩行ロボットの歩行と連動してその内部に封入されている制御用空気の流れを制御することで、歩行ロボットの歩行を部分的にアシストすることが可能となる。即ち、空気回路部が有する歩行エネルギー回収部が、歩行ロボットの脚がアクチュエータによって立脚状態(脚が床面に接地している状態)から遊脚状態(脚が床面から離れてしまっている状態)に至るときに、各リンク部材の相対位置変化の運動エネルギーを、制御用空気を介して回収する。そして、その回収されたエネルギーを、歩行アシスト部が、その後の該脚が遊脚状態から立脚状態に至る期間の該脚の駆動に利用する。
【0009】
その結果、歩行ロボットの歩行時の脚のサイクルにおいて、全ての時間でアクチュエータを駆動することなく、脚を駆動することが可能となり、以て歩行時に要するエネルギーを低減し、効率的な歩行を実現できる。尚、歩行アシスト部によって開放される歩行エネルギーが効率的に利用されるべく、脚を構成するリンク部材、関節部内の摩擦力や、重量を適宜調整するのが好ましい。
【0010】
ここで、上記歩行ロボットの脚のより具体的な構成について、該脚は、前記床面に接する接地リンク部材と、前記接地リンク部材に足首関節部を介して接続される第一脚リンク部材と、前記第一脚リンク部材に膝関節部を介して接続される第二脚リンク部材と、を有するようにしてもよい。もちろん、歩行ロボットは、その脚において上記以外のリンク部材および関節部を有しても構わない。そしてこのような場合、前記歩行エネルギー回収部は、前記足首関節部と前記膝関節部を介した前記設置リンク部材、前記第一脚リンク部材、前記第二脚リンク部材の相対位置変化によって、前記制御用空気を圧縮し、貯留することで、前記歩行エネルギーの一部を回収し、一方で、前記歩行アシスト部は、前記圧縮され且つ蓄積された制御用空気を開放し、前記設置リンク部材、前記第一脚リンク部材、前記第二脚リンク部材のうち少なくとも何れかに、前記脚が立脚状態に移行するための歩行エネルギーを与える。これにより、歩行ロボットの歩行時に要するエネルギーを低減し、効率的な歩行を実現できる。
【0011】
また、上記歩行ロボットにおいて、前記空気回路部は、前記歩行ロボットの歩行に連動して、前記足首関節部を介して前記接地リンク部材と前記第一脚リンク部材との相対位置変化によって、制御用空気の圧縮、膨張を行う第一ピストン部と、前記歩行ロボットの歩行に連動して、前記膝関節部を介して前記第二リンク部材と前記第一脚リンク部材との相対位置変化によって、制御用空気の圧縮、膨張を行う第二ピストン部と、前記制御用空気を貯留するタンク部と、を有する構成としてもよい。前記歩行エネルギー回収部は、前記第一ピストン部及び前記第二ピストン部のうち少なくとも何れかによって圧縮された制御用空気を前記タンク部に貯留し、前記歩行アシスト部は、前記タンク部に貯留された制御用空気を前記第一ピストン部及び前記第二ピストン部に開放する。
【0012】
即ち、脚を上下に構成する第一リンク部材と第二リンク部材のそれぞれに連動する第一ピストン部と第二ピストン部による制御用空気の圧縮および該制御用空気による各ピストン部の駆動を利用することで、上述のように歩行ロボットの歩行時の脚のサイクルにおい
て、全ての時間でアクチュエータを駆動することなく、脚を駆動することが可能となる。
【0013】
また、上記の歩行ロボットにおいて、前記歩行エネルギー回収部は、少なくとも前記接地リンク部材の一部が床面から離れ始めてから完全に離れ終わるまでの遊脚移行工程において、前記第一ピストン部によって送り出された制御用空気の圧縮圧が前記第二ピストン部内に作用するように構成されてもよい。このようにすることで、上記遊脚移行工程において脚の上側に位置する第二ピストン部内には制御用空気が比較的多く残るため、その内部圧力が減少し難くなる。その結果、歩行ロボットの歩行時において、歩行ロボットの上体をしっかりと支えることが可能となり、以て状態が急激に沈み込むなど歩行時の姿勢が不安定になることを防止することが可能となる。
【0014】
また、上述までの歩行ロボットにおいて、前記接地リンク部材は、前記足首関節部を介して前記第一リンク部材と接続される脚底リンク部材と、前記脚底リンク部材に爪先関節部を介して接続される爪先リンク部材と、を有してもよい。そして、この場合、前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際には、前記脚底リンク部材、前記爪先リンク部材の順に床面からの離脱が行われ、更に、前記爪先リンク部材が前記爪先関節部を介して前記脚底リンク部材に対して相対位置変化を行った場合の前記第一ピストンにおける制御用空気の圧縮率は、該脚底リンク部材が前記足首関節部を介して前記第一リンク部材に対して相対位置変化を行った場合の該第一ピストンにおける制御用空気の圧縮率よりも高く設定される。
【0015】
この接地リンク部材が構成されることで、歩行ロボットの脚が床面を蹴り出し、床面との接触が無くなるその直前において、より多くの制御用空気をタンク部に送り込むことが可能となる。その結果、回収された制御用空気による歩行動作のアシストもより効率的に行われ、歩行ロボットの歩行に要するエネルギー減少に大きく貢献し得る。
【0016】
そして、上記歩行ロボットにおいては、前記爪先リンク部材は、前記第一リンク部材に対して弾性部材を介して接続されていてもよく、その場合、前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が床面から離れて遊脚状態に至ったとき、前記爪先リンク部材は、前記弾性部材の弾性力により、該脚が立脚状態であって該爪先リンク部材及び前記脚底リンク部材が床面に接地している状態である初期状態の位置に戻されるように構成される。このように弾性部材を適切に配置することで、空気回路部による歩行へのアシストに加えて、弾性部材によるアシストによって、歩行ロボットの更なる効率的な歩行が実現される。
【0017】
ここで、上述までの歩行ロボットにおいて、前記第一ピストン部と前記第二ピストン部は、一のピストン筐体を共有する形態で、且つ該第一ピストン部が前記接地リンク部材側に位置し、該第二ピストン部が前記第二リンク部材側に位置するように、前記空気回路部に設けられるようにしてもよい。このように各ピストン部を構成することで、歩行ロボットの脚の動きをより確実に各ピストン部に伝えることができる。
【0018】
また、上述までの歩行ロボットにおいて、前記歩行ロボットの胴体部に対して、前記第二リンク部材を可動状態で接続する腰関節部を、更に備えてもよい。そして、その場合、前記腰関節部は、前記胴体部側に設けられた二つの回転軸と、前記第二リンク部材側に設けられた二つの回転軸とを、二つのリンク部材で、且つ該二つのリンク部材が交差するように連結することで構成される4リンク機構部と、太陽ギア、遊星ギア、内歯車で構成される遊星歯車機構であって、前記胴体部側に設けられた二つの回転軸のうち一の回転軸に、該太陽ギアが接続される遊星歯車機構部と、前記太陽ギアを駆動するアクチュエータと、前記遊星歯車機構部の遊星ギア、もしくは該遊星ギアに接続されるキャリアと、前記胴体部とを弾性的に連結する胴体側弾性部材と、を有する構成としてもよい。
【0019】
このように4リンク機構部を設けることで、歩行ロボットの上体部(上記腰関節部よりも上側の部分)を安定的に支持することができ、歩行時の姿勢の乱れを防止することができる。更に、遊星歯車機構のキャリアに胴体側弾性部材を設置することにより、腰関節部を中心として歩行ロボットの姿勢を戻す場合に、当該胴体側弾性部材からの弾性力によるアシストを得ることで、歩行ロボットの歩行に要するエネルギーを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
従来から行われるアクチュエータによる能動的歩行だけではなく受動的歩行を積極的に行うことで、歩行ロボットの歩行に要するエネルギーを低減し、効率的な歩行の実現を図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る歩行ロボット1の実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、図1には歩行ロボット1の機構を概略的に示す。尚、図1においては、歩行ロボット1の腰部を含む下半身部分を示しており、腕部等を含む上半身部分の記載は省略しているが、この点は本発明に係る歩行ロボット1の構成を図1に示す構成に限定する意図を示すものではない。
【0022】
歩行ロボット1の構造を概略的に説明すると、歩行ロボット1は、胴体部2に対して二本の脚3が取り付けられることで、二足歩行を可能とする歩行ロボットである。そして、この各脚3は、胴体部2に近い順に腰部5、膝部4、足首部6から構成されており、各構成部には、それらを構成するためのリンク部材や関節部が含まれ、これらが互いに連結されることで、複数のリンク部材と関節部から構成される歩行ロボット1の脚3が形成されることになる。更に、図2及び図3に、一本の脚3の詳細な構造を示す。図2は、脚3を背面側から見た場合の構造図であり、図3は脚3を側面側から見た場合の構造図である。ここで、脚3においては、膝部4の背面側であって足首部6の上方に、空気回路部100が設けられている。以下、各構成部の詳細な説明を行う。
【0023】
先ず、図4及び図5に基づいて、膝部4を説明する。尚、図4は、図2に示す状態の膝部4の拡大図であり、図5は、図3に示す状態の膝部4の拡大図である。膝部4における膝関節部は、遊星歯車機構17を中心に構成されている。この遊星歯車機構17は、太陽ギア、遊星ギア、内歯車で構成される一般の遊星歯車機構であり、太陽ギアを中心としてその周りに複数の遊星ギアが配置され、更にそれら遊星ギアが内歯車のギアと噛み合った構成となっている。ここで、複数の遊星ギアは、その両側で二つのキャリア20によって一連に連結された状態となっている。この遊星歯車機構17の太陽ギアに、第一膝上フレーム14と第二膝上フレーム15に回転可能に軸支されたギアシャフト12が連結されており、更にこのギアシャフト12上に平歯車22と、該ギアシャフト12の先端部分(第二膝上フレーム15の外側)に後述するシリンダ108を取り付けるためのシリンダ取り付け軸32が設けられている。
【0024】
更に、上記平歯車22と噛み合う平歯車19が設けられたギアシャフト11が、第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15及び矢倉13によって回転可能に軸支されている。更に、ギアシャフト11には、上記平歯車22と同一の平歯車33が、上記矢倉13と干渉しないように設けられている。また、平歯車33は、図示しない平歯車であってモータ23の出力軸に取り付けられたモータ出力軸歯車と噛み合っている。以上の構成により、モータ23の出力は、ギアシャフト11、12及びこれらに設けられた各平歯車によって遊星歯車機構17の太陽ギアに入力されることになり、且つモータ出力軸歯車と平歯車33との噛み合いにより、そして平歯車19、22の噛み合いによりモータ23の出力は比較的大きく減速されている。
【0025】
また、モータ23の上方には、第一膝上フレーム14と第二膝上フレーム15とを繋ぐように、バネ固定軸21が設けられている。そして、このバネ固定軸21と上記遊星歯車機構17との間には、バネ34が、該遊星歯車機構17で生じた変位に応じて弾性力を発生させ、それにより該遊星歯車機構17を含んで構成される膝部4が所定の状態に復元しようとするのをアシストできるように連結されている。
【0026】
次に、膝部4の下部分は主に図4中コの字型をした膝下フレーム16によって形成されている。そして、上記第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15で構成される膝部4の上部分と、この膝下フレーム16とは、二本のリンクシャフト29によって連結されている。各リンクシャフト29は、その一端においてロッドエンドベアリング24を介して、膝下フレーム16の側面板部にボルト26で連結されている。従って、リンクシャフト29は、膝下フレーム16の側面板部に対して回転可能状態となっている。更に、各リンクシャフト29の他端においても、ロッドエンドベアリング24を介して、第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15のそれぞれにボルト30で連結されている。従って、リンクシャフト29は、第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15に対しても回転可能状態となっている。
【0027】
また、膝下フレーム16の上部には左右の側面板部を連結するようにリンクシャフト31が設けられている。そして、リンクシャフト31の中央部分において二つのロッドエンドベアリング28が、該リンクシャフト31に対して回転可能状態となるように設けられ、更に各ロッドエンド28と遊星歯車機構17が有するキャリア20とを連結する連結ネジ27が設けられている。
【0028】
以上より、膝部4においては、その上部分と下部分とは二本のリンクシャフト29と連結ネジ27とで連結されている。ここで、二本のリンクシャフト29のそれぞれは平行であり、また二本の連結ネジ27も平行であるが、リンクシャフト29と連結ネジ27とは平行ではない。従って、膝部4における上部分と下部分は、自由度が1の4リンク機構で連結されていることになる。尚、膝部4において上部分と下部分とが直接的に接触し破損しないように、緩衝材としてのポリウレタン樹脂製のゲル25が、上部分(第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15)側と、下部分(膝下フレーム16)側に設けられている。
【0029】
次に、図6〜図8に基づいて、腰部5を説明する。尚、図6は、図2に示す状態の腰部5の拡大図であり、図7は、図3に示す状態の腰部5の拡大図である。腰部4における腰関節部は、遊星歯車機構41を中心に構成されている。この遊星歯車機構41は、太陽ギア、遊星ギア、内歯車で構成される一般の遊星歯車機構であり、太陽ギアを中心としてその周りに複数の遊星ギアが配置され、更にそれら遊星ギアが内歯車のギアと噛み合った構成となっている。ここで、複数の遊星ギアは、その両側で二つのキャリア42によって一連に連結された状態となっている。この遊星歯車機構41の太陽ギアに、第一フレーム49と第二フレーム62に回転可能に軸支された回転軸46が連結されている。更に、該回転軸46はベアリング48によって第二フレーム62に固定され、後述するタイミングプーリ56の入力軸に連結される。また、回転軸46に対して平行にシャフト47が、第一フレーム49と第二フレーム62の間に設置されている。
【0030】
ここで、第一フレーム49と第二フレーム62の間にモータ51が設置され、その第一フレーム49側にはエンコーダ52が取り付けられ、その出力側となる第二フレーム62側には、該モータ51の出力を受ける金属カラー54が取り付けられる。そして、この金属カラー54と、タイミングプーリ55、56が第二フレーム62上に設けられており、三者はタイミングベルト57によってモータ51のトルクを伝達可能に結び付けられてい
る。尚、タイミングプーリ56の直径はタイミングプーリ55及び金属カラー54の直径より大きいため、モータ51のトルクは減速されて遊星歯車機構41の太陽ギアに入力されることになる。
【0031】
ここで、腰部5は、図2及び図3に示すように膝部4の上部分を構成する第一膝上フレーム14と第二膝上フレーム15に、二本のシャフト43と二本のシャフト63からなる4リンク機構によって接続されている。ここで、この4リンク機構と膝部4とを接続するために、膝部4の第一膝上フレーム14と第二膝上フレーム15との間に二本のシャフト45a、45b(図6においてはシャフト45bは、シャフト45aの裏に隠れた状態である。)が設けられている。そして、シャフト63は、その一端において、シャフト47に対してロッドエンドベアリング64を介して接続され、その他端においてはシャフト45bに対してロッドエンドベアリング64を介して接続される。従って、シャフト63は、シャフト47及びシャフト45bに対して回転可能状態となっている。また、シャフト43は、その一端において、遊星歯車機構41の遊星ギアを連結する二つのキャリア42のそれぞれに対してロッドエンドベアリング44を介して接続され、その他端においてはシャフト45aに対してロッドエンドベアリング44を介して接続される。従って、シャフト43は、キャリア42及びシャフト45aに対して回転可能状態となっている。そして、これら二本のシャフト43は互いに平行であり、また二本のシャフト63は互いに平行であるが、シャフト43とシャフト63は互いに平行ではなく図7に示すように交差した状態で配置され、以て膝部4と腰部5の間に4リンク機構が形成される。また、シャフト45a上には平歯車60が設置されており、該平歯車60は第二膝上フレームに設けられた平歯車61と噛み合っている。この平歯車61には図示されないロータリダンパが接続されており、それにより腰部5を構成する遊星歯車機構41等に対してダンピング効果を与えている。
【0032】
また、第一フレーム49及び第二フレーム62の間に固定軸59が設置されており、該固定軸59は胴体部2の構成要素に対して回転可能となるようにベアリング等で支持されている。更に、固定軸59上に平歯車58が設置されており、胴体部2に設けられたモータからのトルクの供給を受ける。その結果、床面に設置した脚3に対して、歩行ロボット1の胴体部2を傾倒させることが可能となる。
【0033】
ここで、膝部4及び腰部5の間に設けられる上記4リンク機構の構成を把握しやすいように、その斜視図を図8に示す。図8においては、膝部4を構成する第一膝上フレーム14等は図示されてはいないが、シャフト43及びシャフト63が交差状態に配置されているのが分かる。ここで、第一フレーム49及び第二フレーム62の間に、該固定軸59に平行にシャフト53が設置され、更にこのシャフト53に一端が接続され、他端が遊星歯車機構41のキャリア42に接続される弾性部材のバネ65が設置されている。
【0034】
次に、図9及び図10に基づいて、足首部6を説明する。尚、図9は、足首部6の上面図であって、図10は、足首部6の側面図である。足首部6の床面接地部分は、主に踵フレーム71と爪先フレーム72とで構成され、踵フレーム71は歩行ロボット1の背面側に位置し、爪先フレーム72は該歩行ロボット1の正面側に位置する。そして、図9に示すように踵フレーム71の上方中央部に窪みが形成され、且つ爪先フレーム72の下方中央部が、該窪みに嵌り込む凸部が形成され、該窪みと該凸部とが嵌りこんだ状態で両者が相対回転移動可能なように、回転軸85が両者の間に設けられている。
【0035】
また、踵フレーム71上に、二つの踝フレーム73が平行に立設されており、その略中央部には貫通孔88が設けられている。この貫通孔88は、膝部4を構成する膝下フレーム16に設けられた貫通孔と合わせて、踵フレーム73と膝下フレーム16とが相対的に回転可能な状態となるように、ベアリングによって支持された回転軸を介して連結される
。これにより、足首部6が膝部4に対して回転可能な状態となる。
【0036】
ここで、図10に示すように、踝フレーム73には踵フレーム71から斜め上方に延びる貫通孔であるスライド孔部89が設けられている。また、爪先フレーム72の上面中央であって、上記凸部の近くに二つの軸指示部74が設けられている。そして、爪先連結部77が、その一端に回転自在に設けられたシャフト75が、二つのスライド孔部89に沿ってスライド可能な状態で、且つその他端に回転自在に設けられたシャフト76が、二つの軸指示部74によって回転可能に支持された状態で、踝フレーム73を介して踵フレーム71と爪先フレーム72とを連結する。従って、踵フレーム71と爪先フレーム72のシャフト85を中心とした回転に従って、物理的な拘束条件によりシャフト75がスライド孔部89内をスライドすることになる。
【0037】
また、足首部6には、7台の圧力センサ83が設けられている。具体的には、踵フレーム71の四隅と、爪先フレーム72の踵フレーム71寄りの二隅と、中央先端部の一箇所の合計7箇所に圧力センサが配置されている。これらの圧力センサ83は、全て同じタイプのセンサであり、床面に接する面から若干量飛び出た接触端子82がセンサ本体を押し込むことで、歩行ロボット1の歩行時に発生する各場所での圧力を検知することができる。更に、爪先フレーム72と膝部4の膝下フレーム16との間に図示しない圧縮バネが設けられており、爪先フレーム72が踵フレームに対して背屈した状態となると、当該圧縮バネは圧縮された状態となる。
【0038】
次に、空気回路部100について、図11〜図13に基づいて説明する。尚、図11は、空気回路部100の詳細構造を側面方向から見た図であり、図12は該空気回路部100の背面図である。また、空気回路部100の主たる構成要素は、図11、12において点線で示すように所定の筐体の内部に隠された状態となっているため、本発明の理解を図るために図13には、空気回路部100の概略構成がブロック図で示されている。
【0039】
ここで、この空気回路部100は、歩行ロボット1の歩行時における脚3の動きを制御するために、閉空間内に閉じ込められた制御用空気を利用する回路である。そこで、空気回路部100には、歩行ロボット1の脚3の動きに連動して制御用空気を送り出す、いわば制御用空気の供給源として機能するエアシリンダ108が備えられている。このエアシリンダ108は、いわゆるデュアルストロークシリンダであって、一本の円筒状のシェルをその中央部で分割して、独立した二つのシリンダ131、133を形成するとともに、各シリンダに対応してその内部の制御用空気を圧縮・膨張させるピストン130、132をそれぞれ有している。そして、ピストン130の端部は、上記足首部6の爪先連結部77に固定され、またピストン132の端部は、上記膝部4のシリンダ取付け軸32に固定される。この結果、エアシリンダ108の各ピストン130、132の動きは、歩行ロボット1の脚3、特に膝部4と足首部6の動きに連動することになる。尚、図13では、簡便化のために、エアシリンダ108の記載は省略化し、二つのピストンの記載は割愛した。
【0040】
また、本実施例では上述の通りデュアルストロークシリンダを用いたが、これに代えて二本の通常のシリンダを互いに逆向きに並べて連結することで形成される複合型のシリンダも利用可能である。即ち、歩行ロボット1の歩行時における制御用空気の供給が上記デュアルストロークシリンダと同様に行われるように構成されるシリンダであれば、空気回路部100への搭載は可能である。
【0041】
ここで、空気回路部100の本体部、即ちエアシリンダ108から制御用空気が供給される構造部の一部は、通しボルト116で位置決めされた第一本体部112、第二本体部107、第三本体部115で構成される。これらの本体部は、アクリル樹脂製であって、
それら自体の製造によって制御用空気が流れる流路や、該制御用空気を制御するための様々な制御機器を収容する空間が既に形成されている。従って、これらの本体部に所定の制御機器を収容させ、且つ通しボルトで所定の位置に配置させると、空気回路部100が形成されることになる。尚、通しボルト116に対して、固定装置111を介してエアシリンダ108が取り付けられる。
【0042】
ここで、第二本体部107と第三本体部115は互いに隣接させて通しボルト116に取り付け、更に隣接した状態の第二本体部107と第三本体部115との間に電磁弁105が配置される。電磁弁105は、図示しない制御装置からの信号に従って、各本体部の内部に形成されている制御用空気の流路の流れを切り替える三方弁である。また、第二本体部107には絞り弁117が設けられている。更に、第一本体部112の上部には、アクリル樹脂製のタンク114が設けられる。タンク114は、制御用空気を一時的に貯留することが可能なタンクであり、その内部にピストン103と、該ピストン103をタンク蓋101の内壁に弾性的に接続する圧縮バネ102が備えられている。従って、エアシリンダ108から本体部側に供給された制御用空気は、タンク114に一時的貯留され、それが再び圧縮バネ102及びピストン103の作用によりピストン108側に還流されることで、制御用空気の循環が行われることになる。
【0043】
このように構成される空気回路部100における、制御用空気の流路およびそこに組み込まれる制御機器の詳細な構成について図13に基づいて説明する。尚、図13は、上述の通り概略構成であり、図11および図12に示す実際の空気回路部の構成と等価的な空気回路部をブロック図で示したものである。従って、制御機器等の配置が図11、12に示す配置と異なっていることに留意すべきであり、また空気回路部100の一部の構成要素の記載は省略されている。
【0044】
ここで、エアシリンダ108の足首部6側のシリンダ131から供給される制御用空気は流路120に流れ込む。尚、流路120には絞り弁117が設置されている。一方で膝部4側のシリンダ133から供給される制御用空気は流路121に流れ込む。ここで、流路121は二つに分岐し、一方が流路122となる。そして、分岐後の流路121上にはチェック弁110aが設けられ、流れ絞り弁117後の流路120と合流し、流路123となり、三方弁である電磁弁105の第一の入力口に接続される。また、流路122にはチェック弁110bが設置され、電磁弁105の第二の入力口に接続される。尚、チェック弁110aは、流路121においてエアシリンダ108へ向かう方向に制御用空気が流れることを許容し、チェック弁110bは、流路122において電磁弁105へ向かう方向に制御用空気が流れることを許容する。
【0045】
また、電磁弁105の第三の入力口には流路124が接続され、電磁弁105とタンク114とを接続する。尚、流路124には、そこを流れる制御用空気の速度を制御する速度制御弁109が設けられている。このように流路122、123、124が接続される電磁弁105では、制御信号によりON状態となると流路124が流路123と連通し、OFF状態になると流路124が流路122と連通する。
【0046】
ここで、空気回路部100による制御用空気の流れ、特にタンク114へ該制御用空気を貯留する場合の流れについて図14Aに基づいて説明するとともに、該タンク114に貯留された制御用空気が排出される場合の流れについて図14Bに基づいて説明する。尚、図14A、図14Bに基づく説明の際には、説明の簡便化のために歩行ロボット1の脚の動きとの相関は割愛し、後に改めて詳細に説明する。
【0047】
図14Aに示す状態では、電磁弁105はOFF状態となっている。このとき歩行ロボット1の膝部4は屈曲状態となり、それによりエアシリンダ108のシリンダ131、1
33から圧送される制御用空気の流れは、図14A中の白抜き矢印で示される。具体的には、シリンダ131からの制御用空気は、流路120を流れた後、チェック弁110aを経て流路121に流れ込み、更にチェック弁110bを経て流路122に流れる。一方で、シリンダ133からの制御用空気は流路121を流れた後、チェック弁110bを経て流路122に合流する。これらの制御用空気は、その後電磁弁105、速度制御弁109を経て、流路124からタンク114に至る。そして、タンク114に制御用空気が流れ込むことで、その内部の圧縮バネ102が圧縮される。
【0048】
次に、図14Bに示す状態では、電磁弁105はON状態となっている。このとき歩行ロボット1の膝部は制御用空気によって伸展状態となり、それによりタンク114内に貯留されていた制御用空気がエアシリンダ108側に還流され、その流れは図14Bちゅうの白抜き矢印で示される。具体的には、制御用空気はタンク114から流路124を経て電磁弁105に至り、その後流路123から、分岐して流路120、121のそれぞれを経て、シリンダ131、133内に制御用空気が流れ込む。このとき、各シリンダ内に適切な量の制御用空気が流れ込むように絞り弁117の開度が調整される。
【0049】
このように、空気回路部100では、脚3が動くことで制御用空気をタンク114に貯留し、その後その制御用空気によって脚部を動かすという一定のサイクルを形成することが可能となり、この結果歩行ロボット1の歩行時の脚3の動きをアシストすることが可能となる。そこで、図15A〜図15Gに基づいて、脚3の動き、特に膝部4と足首部6の動きと、空気回路部100における制御用空気の流れについて説明する。尚、各図において上側に歩行ロボット1の歩行時の脚3の状態を示し、そこではエアピストン108に作用する圧縮又は膨張の力を点線の矢印で描写し、核関節部の動きを実線の矢印で描写している。また、各図の下側に空気回路部100における制御用空気の流れを示し、そこでは制御用空気の流れを実線の矢印で描写している。
【0050】
先ず、図15Aに示す状態では、歩行ロボット1の歩行は開始されておらず、脚3は床面に対して垂直に立っている状態である。従って、空気回路部100内には制御用空気の流れは原則、生じていない。ここで、膝部4に設けられたモータ23、腰部5に設けられたモータ51が駆動することにより、歩行ロボット1が歩行するためのエネルギーが供給され、膝部4の屈曲および足首部6の背屈が始まることになる。
【0051】
先ず、図15Aに示す状態から足首部6が背屈することで、歩行ロボット1の重心が前方に移動する。その結果、踝フレーム73と膝下フレーム16との間に相対的な回転運動が生じるとともに、踵フレーム71と爪先フレーム72との間にも相対的な回転運動が生じる。この段階では、前者の回転運動のほうが後者の回転運動より支配的であるため、シャフト75のスライド孔部89内のスライド量は比較的小さい。しかし、シャフト75のスライドと膝部4の屈曲動作により、エアシリンダ108に対してはピストン130、132を押し込もうとする力が作用する。ここで、ピストン130によってシリンダ131から押し出された制御用空気がチェック弁110aを経てシリンダ133側に加圧作用を及ぼすため、一方でピストン132によってシリンダ133から押し出されようとする制御用空気はチェック弁110aによってシリンダ131側に至ることはできないため、該シリンダ133内の制御用空気が外に押し出されにくくなる。その結果、流路122、124を経てタンク114に流入する制御用空気は、シリンダ131側の制御用空気が大半となる。それと同時に、シリンダ133内の制御用空気はほぼ維持されるため、結果的に歩行ロボット1の膝部4が急激に屈曲してしまうことを防止でき、歩行ロボット1の姿勢安定及び姿勢維持のために消費されるエネルギーの軽減が図られる。
【0052】
更に、図15Bに示す状態から膝部4、足首部6の屈曲、背屈が進み、脚3が床面から離れようとする蹴り出し状態が、図15Cに示される。このときは、爪先フレーム72が
踵フレーム71に対してより強く相対的に回転運動することになるため、シャフト75のスライド孔部89内のスライド量が、図15Bに示す状態よりも大きくなる。その結果、ピストン130による制御用空気の押し出し量が増加する。それに加えて、膝部4の屈曲が更に進行するため、ピストン132による制御用空気の押し出し量も、図15Bに示す状態より増加する。従って、図15Cに示す状態では、タンク114に制御用空気が貯留される時間割合が図15Bに示す状態のときより高くなり、効率的な制御用空気の貯留が行われることになる。また、図15Cに示す状態でも、シリンダ131からの制御用空気により加圧作用がシリンダ133側に作用するため、ここでも膝部4が急激に屈曲してしまうことを防止することができる。
【0053】
図15Cに示す状態の次には、脚3は図15Dに示す遊脚状態となる。この状態では、爪先フレーム72と膝下フレーム16との間に設けられた図示しない圧縮バネによって、爪先フレーム72が踵フレーム71に対して底屈し、該踵フレーム71と面一の状態へ移行するとともに、踝フレーム73と膝下フレーム16との間の相対位置関係は維持される。そのため、慣性力により膝部4の屈曲が更に進行して、タンク114への制御用空気の貯留が更に行われることになる。
【0054】
図15Dに示す遊脚状態後、膝部4の伸展が行われる状態(図15Eに示す状態)に至る。このタイミングで、電磁弁5をOFF状態からON状態へと切り替える。すると、タンク114に貯留されていた制御用空気が、圧縮バネ102からのアシストにもよってタンク114から排出される状態となる(図15Fに示す状態)。この状態では、図14Bに示すように制御用空気のシリンダ131、133への還流が行われる。その結果、ピストン130、132を介して、膝部4を伸展しようとする力が作用することになる。そして、最終的に図15Fに示す状態であって、脚3の状態および空気回路部100内の制御用空気の流れの状態は図15Aに示す状態と同じとなる。
【0055】
ここで、歩行ロボット1は二足歩行を行うロボットである。そして、各脚3の状態が180度の位相でずれた状態で、図15A〜図15Gの動作、即ち立脚状態から遊脚状態への移行、及び遊脚状態から立脚状態への移行が交互に行われる。そのため、立脚状態から遊脚状態へ移行する場合(図15Aから図15Dに至る場合)にタンク114に溜めた制御用空気による制動エネルギー(タンク114に制御用空気が貯留されることで結果的に脚3の動きに対して制動力を作用させた状態となるため、「制動」という言葉を使用する。)が、遊脚状態から立脚状態に至るための駆動エネルギーとして利用することが可能となる。図16に、この制動エネルギーと駆動エネルギーの相関を示す。脚3における内部摩擦等によって駆動エネルギーは制動エネルギーより小さくなるが、少なくとも膝部4を伸展し又足首部6を底屈させるためのエネルギーの大部分をこの駆動エネルギーで賄うことができるため、歩行ロボット1の歩行に要する駆動エネルギー全体を効果的に低減することができる。
【0056】
また、歩行ロボット1では、膝部4及び腰部5において4リンク機構を採用している。そのため、歩行時の歩行ロボット1の姿勢を安定的に維持することが可能となるため、これも歩行ロボット1の歩行に要する駆動エネルギー低減に寄与する。更に、膝部4に設けられたバネ34、腰部5に設けられたバネ65、爪先フレーム72と膝下フレーム16の間に設けられた圧縮バネから得られる復元力も、同様に歩行ロボット1の歩行に要する駆動エネルギーの低減に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る歩行ロボットの構成を示す正面図である。
【図2】図1に示す歩行ロボットの脚の全体構成を示す正面図である。
【図3】図1に示す歩行ロボットの脚の全体構成を示す側面図である。
【図4】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する膝部の正面図である。
【図5】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する膝部の側面図である。
【図6】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する腰部の正面図である。
【図7】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する腰部の側面図である。
【図8】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する腰部の斜視図である。
【図9】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する足首部の上面図である。
【図10】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する足首部の側面図である。
【図11】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する空気回路部の側面図である。
【図12】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する空気回路部の背面図である。
【図13】図11及び図12に示す空気回路部の構成を概略的に示した図である。
【図14A】本発明の実施例に係る歩行ロボットの脚を構成する空気回路部における、制御用空気の流れを示す第一の図である。
【図14B】本発明の実施例に係る歩行ロボットの脚を構成する空気回路部における、制御用空気の流れを示す第二の図である。
【図15A】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第一の図である。
【図15B】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第二の図である。
【図15C】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第三の図である。
【図15D】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第四の図である。
【図15E】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第五の図である。
【図15F】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第六の図である。
【図15G】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第七の図である。
【図16】本発明に係る歩行ロボットが図15A−図15Gに示す歩行サイクルを行ったときの、空気回路部における制動エネルギーと駆動エネルギーの相関を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1・・・・歩行ロボット
2・・・・胴体部
3・・・・脚
4・・・・膝部
5・・・・腰部
6・・・・足首部
100・・・・空気回路部
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行用の脚を有し、該脚により歩行運動が可能な歩行ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行ロボットの開発が盛んであるが、その中でもいわゆる位置エネルギーなどのポテンシャルエネルギーを利用した受動的歩行が注目されている。受動的歩行とは、歩行ロボットの力学的特徴であるポテンシャルエネルギーから運動エネルギーへの遷移を生かした歩行であり、例えば、重力場のみを用いた傾斜面の歩行が該当する。
【0003】
受動的歩行は、歩行ロボットの物理量によってその歩容が決まるという意味で自然で効率的な歩行である。このように力学的に自然な歩行をロボットによって実現することで、エネルギー効率のよい歩行ロボットを開発することが可能となる。尚、受動的歩行を行う歩行ロボットに関する技術が、例えば非特許文献1に開示されている。当該技術では、足首が自由関節である二足歩行ロボットにおける歩行軌道の安定性について述べられている。
【非特許文献1】日本ロボット学会誌,vol22,No.2,200−206頁,2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歩行ロボットの歩行を考慮する際、人間の歩行を十分に検討するのが好ましい。ここで、人間が歩行する場合、その筋力だけではなく外力を利用して歩行を行っている。これにより、人間はより少ないエネルギーで効率的な歩行を実現している。一方、従来の多くの二足歩行ロボットは、その歩行において全ての関節をアクチュエータで駆動するいわば能動的歩行であり、そのため人間の歩行と比べてエネルギー消費が多くなる。また、従来のように受動的歩行に関する技術はあるが、それはあくまでもポテンシャルエネルギーを運動エネルギーに変換するものであり、それが適用できる状況は限定されざるを得ない。
【0005】
本発明では、上記した問題に鑑み、従来から行われるアクチュエータによる能動的歩行だけではなく受動的歩行を積極的に行うことで、歩行ロボットの歩行に要するエネルギーを低減し、効率的な歩行の実現を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記の課題を解決するために、本発明では、歩行ロボットに歩行ロボットの歩行に連動して制御用空気の流れを発生させるとともに、該制御用空気を効率的に利用することで、歩行ロボットの歩行のサイクルの一部を制御用空気による受動的駆動とし、効率的な歩行の実現を可能とした。より詳細には、本発明に係る歩行ロボットは、複数のリンク部材と該リンク部材の各々を連結する関節部とで構成される脚を有し、該脚が立脚状態と遊脚状態を繰り返すことで床面上の歩行を行う歩行ロボットであって、前記歩行ロボットの歩行と連動して、所定の閉空間内で制御用空気の動きを制御することで、該歩行ロボットの歩行をアシストする空気回路部を備える。そして、前記空気回路部は、前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際に、該脚を構成する各リンク部材の各関節部を介して行われる相対位置変化によって、制御用空気を介して該歩行のエネルギーの一部を回収する歩行エネルギー回収部と、前記歩行ロボットの歩行時において、前記脚が遊脚状態から立脚状態へ移行する際に、前記歩行エネルギー回収部によって回収された歩行エネルギーを開放し、該脚の立脚状態への移行をアシストする歩行アシスト部と、を有する。
【0007】
上記歩行ロボットの脚は、リンク部材と関節部とで構成され、これらは基本的にはアクチュエータから供給される駆動力によって駆動され、歩行ロボットの能動的歩行が可能となる。ここで、この歩行ロボットは歩行が可能である限りその脚の数は限定されない。但し、歩行時の歩行ロボットの安定性の観点からは脚の数が多いほど好ましいが、脚の数が多くなるに従い、脚同士の干渉や脚数の増加による歩行ロボット重量の増加、消費エネルギーの増加が懸念されるため、実施の形態に応じて歩行ロボットの脚数は決定すればよい。
【0008】
ここで、本発明に係る歩行ロボットには、空気回路部が備えられている。この空気回路部は、歩行ロボットの歩行と連動してその内部に封入されている制御用空気の流れを制御することで、歩行ロボットの歩行を部分的にアシストすることが可能となる。即ち、空気回路部が有する歩行エネルギー回収部が、歩行ロボットの脚がアクチュエータによって立脚状態(脚が床面に接地している状態)から遊脚状態(脚が床面から離れてしまっている状態)に至るときに、各リンク部材の相対位置変化の運動エネルギーを、制御用空気を介して回収する。そして、その回収されたエネルギーを、歩行アシスト部が、その後の該脚が遊脚状態から立脚状態に至る期間の該脚の駆動に利用する。
【0009】
その結果、歩行ロボットの歩行時の脚のサイクルにおいて、全ての時間でアクチュエータを駆動することなく、脚を駆動することが可能となり、以て歩行時に要するエネルギーを低減し、効率的な歩行を実現できる。尚、歩行アシスト部によって開放される歩行エネルギーが効率的に利用されるべく、脚を構成するリンク部材、関節部内の摩擦力や、重量を適宜調整するのが好ましい。
【0010】
ここで、上記歩行ロボットの脚のより具体的な構成について、該脚は、前記床面に接する接地リンク部材と、前記接地リンク部材に足首関節部を介して接続される第一脚リンク部材と、前記第一脚リンク部材に膝関節部を介して接続される第二脚リンク部材と、を有するようにしてもよい。もちろん、歩行ロボットは、その脚において上記以外のリンク部材および関節部を有しても構わない。そしてこのような場合、前記歩行エネルギー回収部は、前記足首関節部と前記膝関節部を介した前記設置リンク部材、前記第一脚リンク部材、前記第二脚リンク部材の相対位置変化によって、前記制御用空気を圧縮し、貯留することで、前記歩行エネルギーの一部を回収し、一方で、前記歩行アシスト部は、前記圧縮され且つ蓄積された制御用空気を開放し、前記設置リンク部材、前記第一脚リンク部材、前記第二脚リンク部材のうち少なくとも何れかに、前記脚が立脚状態に移行するための歩行エネルギーを与える。これにより、歩行ロボットの歩行時に要するエネルギーを低減し、効率的な歩行を実現できる。
【0011】
また、上記歩行ロボットにおいて、前記空気回路部は、前記歩行ロボットの歩行に連動して、前記足首関節部を介して前記接地リンク部材と前記第一脚リンク部材との相対位置変化によって、制御用空気の圧縮、膨張を行う第一ピストン部と、前記歩行ロボットの歩行に連動して、前記膝関節部を介して前記第二リンク部材と前記第一脚リンク部材との相対位置変化によって、制御用空気の圧縮、膨張を行う第二ピストン部と、前記制御用空気を貯留するタンク部と、を有する構成としてもよい。前記歩行エネルギー回収部は、前記第一ピストン部及び前記第二ピストン部のうち少なくとも何れかによって圧縮された制御用空気を前記タンク部に貯留し、前記歩行アシスト部は、前記タンク部に貯留された制御用空気を前記第一ピストン部及び前記第二ピストン部に開放する。
【0012】
即ち、脚を上下に構成する第一リンク部材と第二リンク部材のそれぞれに連動する第一ピストン部と第二ピストン部による制御用空気の圧縮および該制御用空気による各ピストン部の駆動を利用することで、上述のように歩行ロボットの歩行時の脚のサイクルにおい
て、全ての時間でアクチュエータを駆動することなく、脚を駆動することが可能となる。
【0013】
また、上記の歩行ロボットにおいて、前記歩行エネルギー回収部は、少なくとも前記接地リンク部材の一部が床面から離れ始めてから完全に離れ終わるまでの遊脚移行工程において、前記第一ピストン部によって送り出された制御用空気の圧縮圧が前記第二ピストン部内に作用するように構成されてもよい。このようにすることで、上記遊脚移行工程において脚の上側に位置する第二ピストン部内には制御用空気が比較的多く残るため、その内部圧力が減少し難くなる。その結果、歩行ロボットの歩行時において、歩行ロボットの上体をしっかりと支えることが可能となり、以て状態が急激に沈み込むなど歩行時の姿勢が不安定になることを防止することが可能となる。
【0014】
また、上述までの歩行ロボットにおいて、前記接地リンク部材は、前記足首関節部を介して前記第一リンク部材と接続される脚底リンク部材と、前記脚底リンク部材に爪先関節部を介して接続される爪先リンク部材と、を有してもよい。そして、この場合、前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際には、前記脚底リンク部材、前記爪先リンク部材の順に床面からの離脱が行われ、更に、前記爪先リンク部材が前記爪先関節部を介して前記脚底リンク部材に対して相対位置変化を行った場合の前記第一ピストンにおける制御用空気の圧縮率は、該脚底リンク部材が前記足首関節部を介して前記第一リンク部材に対して相対位置変化を行った場合の該第一ピストンにおける制御用空気の圧縮率よりも高く設定される。
【0015】
この接地リンク部材が構成されることで、歩行ロボットの脚が床面を蹴り出し、床面との接触が無くなるその直前において、より多くの制御用空気をタンク部に送り込むことが可能となる。その結果、回収された制御用空気による歩行動作のアシストもより効率的に行われ、歩行ロボットの歩行に要するエネルギー減少に大きく貢献し得る。
【0016】
そして、上記歩行ロボットにおいては、前記爪先リンク部材は、前記第一リンク部材に対して弾性部材を介して接続されていてもよく、その場合、前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が床面から離れて遊脚状態に至ったとき、前記爪先リンク部材は、前記弾性部材の弾性力により、該脚が立脚状態であって該爪先リンク部材及び前記脚底リンク部材が床面に接地している状態である初期状態の位置に戻されるように構成される。このように弾性部材を適切に配置することで、空気回路部による歩行へのアシストに加えて、弾性部材によるアシストによって、歩行ロボットの更なる効率的な歩行が実現される。
【0017】
ここで、上述までの歩行ロボットにおいて、前記第一ピストン部と前記第二ピストン部は、一のピストン筐体を共有する形態で、且つ該第一ピストン部が前記接地リンク部材側に位置し、該第二ピストン部が前記第二リンク部材側に位置するように、前記空気回路部に設けられるようにしてもよい。このように各ピストン部を構成することで、歩行ロボットの脚の動きをより確実に各ピストン部に伝えることができる。
【0018】
また、上述までの歩行ロボットにおいて、前記歩行ロボットの胴体部に対して、前記第二リンク部材を可動状態で接続する腰関節部を、更に備えてもよい。そして、その場合、前記腰関節部は、前記胴体部側に設けられた二つの回転軸と、前記第二リンク部材側に設けられた二つの回転軸とを、二つのリンク部材で、且つ該二つのリンク部材が交差するように連結することで構成される4リンク機構部と、太陽ギア、遊星ギア、内歯車で構成される遊星歯車機構であって、前記胴体部側に設けられた二つの回転軸のうち一の回転軸に、該太陽ギアが接続される遊星歯車機構部と、前記太陽ギアを駆動するアクチュエータと、前記遊星歯車機構部の遊星ギア、もしくは該遊星ギアに接続されるキャリアと、前記胴体部とを弾性的に連結する胴体側弾性部材と、を有する構成としてもよい。
【0019】
このように4リンク機構部を設けることで、歩行ロボットの上体部(上記腰関節部よりも上側の部分)を安定的に支持することができ、歩行時の姿勢の乱れを防止することができる。更に、遊星歯車機構のキャリアに胴体側弾性部材を設置することにより、腰関節部を中心として歩行ロボットの姿勢を戻す場合に、当該胴体側弾性部材からの弾性力によるアシストを得ることで、歩行ロボットの歩行に要するエネルギーを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
従来から行われるアクチュエータによる能動的歩行だけではなく受動的歩行を積極的に行うことで、歩行ロボットの歩行に要するエネルギーを低減し、効率的な歩行の実現を図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る歩行ロボット1の実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、図1には歩行ロボット1の機構を概略的に示す。尚、図1においては、歩行ロボット1の腰部を含む下半身部分を示しており、腕部等を含む上半身部分の記載は省略しているが、この点は本発明に係る歩行ロボット1の構成を図1に示す構成に限定する意図を示すものではない。
【0022】
歩行ロボット1の構造を概略的に説明すると、歩行ロボット1は、胴体部2に対して二本の脚3が取り付けられることで、二足歩行を可能とする歩行ロボットである。そして、この各脚3は、胴体部2に近い順に腰部5、膝部4、足首部6から構成されており、各構成部には、それらを構成するためのリンク部材や関節部が含まれ、これらが互いに連結されることで、複数のリンク部材と関節部から構成される歩行ロボット1の脚3が形成されることになる。更に、図2及び図3に、一本の脚3の詳細な構造を示す。図2は、脚3を背面側から見た場合の構造図であり、図3は脚3を側面側から見た場合の構造図である。ここで、脚3においては、膝部4の背面側であって足首部6の上方に、空気回路部100が設けられている。以下、各構成部の詳細な説明を行う。
【0023】
先ず、図4及び図5に基づいて、膝部4を説明する。尚、図4は、図2に示す状態の膝部4の拡大図であり、図5は、図3に示す状態の膝部4の拡大図である。膝部4における膝関節部は、遊星歯車機構17を中心に構成されている。この遊星歯車機構17は、太陽ギア、遊星ギア、内歯車で構成される一般の遊星歯車機構であり、太陽ギアを中心としてその周りに複数の遊星ギアが配置され、更にそれら遊星ギアが内歯車のギアと噛み合った構成となっている。ここで、複数の遊星ギアは、その両側で二つのキャリア20によって一連に連結された状態となっている。この遊星歯車機構17の太陽ギアに、第一膝上フレーム14と第二膝上フレーム15に回転可能に軸支されたギアシャフト12が連結されており、更にこのギアシャフト12上に平歯車22と、該ギアシャフト12の先端部分(第二膝上フレーム15の外側)に後述するシリンダ108を取り付けるためのシリンダ取り付け軸32が設けられている。
【0024】
更に、上記平歯車22と噛み合う平歯車19が設けられたギアシャフト11が、第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15及び矢倉13によって回転可能に軸支されている。更に、ギアシャフト11には、上記平歯車22と同一の平歯車33が、上記矢倉13と干渉しないように設けられている。また、平歯車33は、図示しない平歯車であってモータ23の出力軸に取り付けられたモータ出力軸歯車と噛み合っている。以上の構成により、モータ23の出力は、ギアシャフト11、12及びこれらに設けられた各平歯車によって遊星歯車機構17の太陽ギアに入力されることになり、且つモータ出力軸歯車と平歯車33との噛み合いにより、そして平歯車19、22の噛み合いによりモータ23の出力は比較的大きく減速されている。
【0025】
また、モータ23の上方には、第一膝上フレーム14と第二膝上フレーム15とを繋ぐように、バネ固定軸21が設けられている。そして、このバネ固定軸21と上記遊星歯車機構17との間には、バネ34が、該遊星歯車機構17で生じた変位に応じて弾性力を発生させ、それにより該遊星歯車機構17を含んで構成される膝部4が所定の状態に復元しようとするのをアシストできるように連結されている。
【0026】
次に、膝部4の下部分は主に図4中コの字型をした膝下フレーム16によって形成されている。そして、上記第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15で構成される膝部4の上部分と、この膝下フレーム16とは、二本のリンクシャフト29によって連結されている。各リンクシャフト29は、その一端においてロッドエンドベアリング24を介して、膝下フレーム16の側面板部にボルト26で連結されている。従って、リンクシャフト29は、膝下フレーム16の側面板部に対して回転可能状態となっている。更に、各リンクシャフト29の他端においても、ロッドエンドベアリング24を介して、第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15のそれぞれにボルト30で連結されている。従って、リンクシャフト29は、第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15に対しても回転可能状態となっている。
【0027】
また、膝下フレーム16の上部には左右の側面板部を連結するようにリンクシャフト31が設けられている。そして、リンクシャフト31の中央部分において二つのロッドエンドベアリング28が、該リンクシャフト31に対して回転可能状態となるように設けられ、更に各ロッドエンド28と遊星歯車機構17が有するキャリア20とを連結する連結ネジ27が設けられている。
【0028】
以上より、膝部4においては、その上部分と下部分とは二本のリンクシャフト29と連結ネジ27とで連結されている。ここで、二本のリンクシャフト29のそれぞれは平行であり、また二本の連結ネジ27も平行であるが、リンクシャフト29と連結ネジ27とは平行ではない。従って、膝部4における上部分と下部分は、自由度が1の4リンク機構で連結されていることになる。尚、膝部4において上部分と下部分とが直接的に接触し破損しないように、緩衝材としてのポリウレタン樹脂製のゲル25が、上部分(第一膝上フレーム14、第二膝上フレーム15)側と、下部分(膝下フレーム16)側に設けられている。
【0029】
次に、図6〜図8に基づいて、腰部5を説明する。尚、図6は、図2に示す状態の腰部5の拡大図であり、図7は、図3に示す状態の腰部5の拡大図である。腰部4における腰関節部は、遊星歯車機構41を中心に構成されている。この遊星歯車機構41は、太陽ギア、遊星ギア、内歯車で構成される一般の遊星歯車機構であり、太陽ギアを中心としてその周りに複数の遊星ギアが配置され、更にそれら遊星ギアが内歯車のギアと噛み合った構成となっている。ここで、複数の遊星ギアは、その両側で二つのキャリア42によって一連に連結された状態となっている。この遊星歯車機構41の太陽ギアに、第一フレーム49と第二フレーム62に回転可能に軸支された回転軸46が連結されている。更に、該回転軸46はベアリング48によって第二フレーム62に固定され、後述するタイミングプーリ56の入力軸に連結される。また、回転軸46に対して平行にシャフト47が、第一フレーム49と第二フレーム62の間に設置されている。
【0030】
ここで、第一フレーム49と第二フレーム62の間にモータ51が設置され、その第一フレーム49側にはエンコーダ52が取り付けられ、その出力側となる第二フレーム62側には、該モータ51の出力を受ける金属カラー54が取り付けられる。そして、この金属カラー54と、タイミングプーリ55、56が第二フレーム62上に設けられており、三者はタイミングベルト57によってモータ51のトルクを伝達可能に結び付けられてい
る。尚、タイミングプーリ56の直径はタイミングプーリ55及び金属カラー54の直径より大きいため、モータ51のトルクは減速されて遊星歯車機構41の太陽ギアに入力されることになる。
【0031】
ここで、腰部5は、図2及び図3に示すように膝部4の上部分を構成する第一膝上フレーム14と第二膝上フレーム15に、二本のシャフト43と二本のシャフト63からなる4リンク機構によって接続されている。ここで、この4リンク機構と膝部4とを接続するために、膝部4の第一膝上フレーム14と第二膝上フレーム15との間に二本のシャフト45a、45b(図6においてはシャフト45bは、シャフト45aの裏に隠れた状態である。)が設けられている。そして、シャフト63は、その一端において、シャフト47に対してロッドエンドベアリング64を介して接続され、その他端においてはシャフト45bに対してロッドエンドベアリング64を介して接続される。従って、シャフト63は、シャフト47及びシャフト45bに対して回転可能状態となっている。また、シャフト43は、その一端において、遊星歯車機構41の遊星ギアを連結する二つのキャリア42のそれぞれに対してロッドエンドベアリング44を介して接続され、その他端においてはシャフト45aに対してロッドエンドベアリング44を介して接続される。従って、シャフト43は、キャリア42及びシャフト45aに対して回転可能状態となっている。そして、これら二本のシャフト43は互いに平行であり、また二本のシャフト63は互いに平行であるが、シャフト43とシャフト63は互いに平行ではなく図7に示すように交差した状態で配置され、以て膝部4と腰部5の間に4リンク機構が形成される。また、シャフト45a上には平歯車60が設置されており、該平歯車60は第二膝上フレームに設けられた平歯車61と噛み合っている。この平歯車61には図示されないロータリダンパが接続されており、それにより腰部5を構成する遊星歯車機構41等に対してダンピング効果を与えている。
【0032】
また、第一フレーム49及び第二フレーム62の間に固定軸59が設置されており、該固定軸59は胴体部2の構成要素に対して回転可能となるようにベアリング等で支持されている。更に、固定軸59上に平歯車58が設置されており、胴体部2に設けられたモータからのトルクの供給を受ける。その結果、床面に設置した脚3に対して、歩行ロボット1の胴体部2を傾倒させることが可能となる。
【0033】
ここで、膝部4及び腰部5の間に設けられる上記4リンク機構の構成を把握しやすいように、その斜視図を図8に示す。図8においては、膝部4を構成する第一膝上フレーム14等は図示されてはいないが、シャフト43及びシャフト63が交差状態に配置されているのが分かる。ここで、第一フレーム49及び第二フレーム62の間に、該固定軸59に平行にシャフト53が設置され、更にこのシャフト53に一端が接続され、他端が遊星歯車機構41のキャリア42に接続される弾性部材のバネ65が設置されている。
【0034】
次に、図9及び図10に基づいて、足首部6を説明する。尚、図9は、足首部6の上面図であって、図10は、足首部6の側面図である。足首部6の床面接地部分は、主に踵フレーム71と爪先フレーム72とで構成され、踵フレーム71は歩行ロボット1の背面側に位置し、爪先フレーム72は該歩行ロボット1の正面側に位置する。そして、図9に示すように踵フレーム71の上方中央部に窪みが形成され、且つ爪先フレーム72の下方中央部が、該窪みに嵌り込む凸部が形成され、該窪みと該凸部とが嵌りこんだ状態で両者が相対回転移動可能なように、回転軸85が両者の間に設けられている。
【0035】
また、踵フレーム71上に、二つの踝フレーム73が平行に立設されており、その略中央部には貫通孔88が設けられている。この貫通孔88は、膝部4を構成する膝下フレーム16に設けられた貫通孔と合わせて、踵フレーム73と膝下フレーム16とが相対的に回転可能な状態となるように、ベアリングによって支持された回転軸を介して連結される
。これにより、足首部6が膝部4に対して回転可能な状態となる。
【0036】
ここで、図10に示すように、踝フレーム73には踵フレーム71から斜め上方に延びる貫通孔であるスライド孔部89が設けられている。また、爪先フレーム72の上面中央であって、上記凸部の近くに二つの軸指示部74が設けられている。そして、爪先連結部77が、その一端に回転自在に設けられたシャフト75が、二つのスライド孔部89に沿ってスライド可能な状態で、且つその他端に回転自在に設けられたシャフト76が、二つの軸指示部74によって回転可能に支持された状態で、踝フレーム73を介して踵フレーム71と爪先フレーム72とを連結する。従って、踵フレーム71と爪先フレーム72のシャフト85を中心とした回転に従って、物理的な拘束条件によりシャフト75がスライド孔部89内をスライドすることになる。
【0037】
また、足首部6には、7台の圧力センサ83が設けられている。具体的には、踵フレーム71の四隅と、爪先フレーム72の踵フレーム71寄りの二隅と、中央先端部の一箇所の合計7箇所に圧力センサが配置されている。これらの圧力センサ83は、全て同じタイプのセンサであり、床面に接する面から若干量飛び出た接触端子82がセンサ本体を押し込むことで、歩行ロボット1の歩行時に発生する各場所での圧力を検知することができる。更に、爪先フレーム72と膝部4の膝下フレーム16との間に図示しない圧縮バネが設けられており、爪先フレーム72が踵フレームに対して背屈した状態となると、当該圧縮バネは圧縮された状態となる。
【0038】
次に、空気回路部100について、図11〜図13に基づいて説明する。尚、図11は、空気回路部100の詳細構造を側面方向から見た図であり、図12は該空気回路部100の背面図である。また、空気回路部100の主たる構成要素は、図11、12において点線で示すように所定の筐体の内部に隠された状態となっているため、本発明の理解を図るために図13には、空気回路部100の概略構成がブロック図で示されている。
【0039】
ここで、この空気回路部100は、歩行ロボット1の歩行時における脚3の動きを制御するために、閉空間内に閉じ込められた制御用空気を利用する回路である。そこで、空気回路部100には、歩行ロボット1の脚3の動きに連動して制御用空気を送り出す、いわば制御用空気の供給源として機能するエアシリンダ108が備えられている。このエアシリンダ108は、いわゆるデュアルストロークシリンダであって、一本の円筒状のシェルをその中央部で分割して、独立した二つのシリンダ131、133を形成するとともに、各シリンダに対応してその内部の制御用空気を圧縮・膨張させるピストン130、132をそれぞれ有している。そして、ピストン130の端部は、上記足首部6の爪先連結部77に固定され、またピストン132の端部は、上記膝部4のシリンダ取付け軸32に固定される。この結果、エアシリンダ108の各ピストン130、132の動きは、歩行ロボット1の脚3、特に膝部4と足首部6の動きに連動することになる。尚、図13では、簡便化のために、エアシリンダ108の記載は省略化し、二つのピストンの記載は割愛した。
【0040】
また、本実施例では上述の通りデュアルストロークシリンダを用いたが、これに代えて二本の通常のシリンダを互いに逆向きに並べて連結することで形成される複合型のシリンダも利用可能である。即ち、歩行ロボット1の歩行時における制御用空気の供給が上記デュアルストロークシリンダと同様に行われるように構成されるシリンダであれば、空気回路部100への搭載は可能である。
【0041】
ここで、空気回路部100の本体部、即ちエアシリンダ108から制御用空気が供給される構造部の一部は、通しボルト116で位置決めされた第一本体部112、第二本体部107、第三本体部115で構成される。これらの本体部は、アクリル樹脂製であって、
それら自体の製造によって制御用空気が流れる流路や、該制御用空気を制御するための様々な制御機器を収容する空間が既に形成されている。従って、これらの本体部に所定の制御機器を収容させ、且つ通しボルトで所定の位置に配置させると、空気回路部100が形成されることになる。尚、通しボルト116に対して、固定装置111を介してエアシリンダ108が取り付けられる。
【0042】
ここで、第二本体部107と第三本体部115は互いに隣接させて通しボルト116に取り付け、更に隣接した状態の第二本体部107と第三本体部115との間に電磁弁105が配置される。電磁弁105は、図示しない制御装置からの信号に従って、各本体部の内部に形成されている制御用空気の流路の流れを切り替える三方弁である。また、第二本体部107には絞り弁117が設けられている。更に、第一本体部112の上部には、アクリル樹脂製のタンク114が設けられる。タンク114は、制御用空気を一時的に貯留することが可能なタンクであり、その内部にピストン103と、該ピストン103をタンク蓋101の内壁に弾性的に接続する圧縮バネ102が備えられている。従って、エアシリンダ108から本体部側に供給された制御用空気は、タンク114に一時的貯留され、それが再び圧縮バネ102及びピストン103の作用によりピストン108側に還流されることで、制御用空気の循環が行われることになる。
【0043】
このように構成される空気回路部100における、制御用空気の流路およびそこに組み込まれる制御機器の詳細な構成について図13に基づいて説明する。尚、図13は、上述の通り概略構成であり、図11および図12に示す実際の空気回路部の構成と等価的な空気回路部をブロック図で示したものである。従って、制御機器等の配置が図11、12に示す配置と異なっていることに留意すべきであり、また空気回路部100の一部の構成要素の記載は省略されている。
【0044】
ここで、エアシリンダ108の足首部6側のシリンダ131から供給される制御用空気は流路120に流れ込む。尚、流路120には絞り弁117が設置されている。一方で膝部4側のシリンダ133から供給される制御用空気は流路121に流れ込む。ここで、流路121は二つに分岐し、一方が流路122となる。そして、分岐後の流路121上にはチェック弁110aが設けられ、流れ絞り弁117後の流路120と合流し、流路123となり、三方弁である電磁弁105の第一の入力口に接続される。また、流路122にはチェック弁110bが設置され、電磁弁105の第二の入力口に接続される。尚、チェック弁110aは、流路121においてエアシリンダ108へ向かう方向に制御用空気が流れることを許容し、チェック弁110bは、流路122において電磁弁105へ向かう方向に制御用空気が流れることを許容する。
【0045】
また、電磁弁105の第三の入力口には流路124が接続され、電磁弁105とタンク114とを接続する。尚、流路124には、そこを流れる制御用空気の速度を制御する速度制御弁109が設けられている。このように流路122、123、124が接続される電磁弁105では、制御信号によりON状態となると流路124が流路123と連通し、OFF状態になると流路124が流路122と連通する。
【0046】
ここで、空気回路部100による制御用空気の流れ、特にタンク114へ該制御用空気を貯留する場合の流れについて図14Aに基づいて説明するとともに、該タンク114に貯留された制御用空気が排出される場合の流れについて図14Bに基づいて説明する。尚、図14A、図14Bに基づく説明の際には、説明の簡便化のために歩行ロボット1の脚の動きとの相関は割愛し、後に改めて詳細に説明する。
【0047】
図14Aに示す状態では、電磁弁105はOFF状態となっている。このとき歩行ロボット1の膝部4は屈曲状態となり、それによりエアシリンダ108のシリンダ131、1
33から圧送される制御用空気の流れは、図14A中の白抜き矢印で示される。具体的には、シリンダ131からの制御用空気は、流路120を流れた後、チェック弁110aを経て流路121に流れ込み、更にチェック弁110bを経て流路122に流れる。一方で、シリンダ133からの制御用空気は流路121を流れた後、チェック弁110bを経て流路122に合流する。これらの制御用空気は、その後電磁弁105、速度制御弁109を経て、流路124からタンク114に至る。そして、タンク114に制御用空気が流れ込むことで、その内部の圧縮バネ102が圧縮される。
【0048】
次に、図14Bに示す状態では、電磁弁105はON状態となっている。このとき歩行ロボット1の膝部は制御用空気によって伸展状態となり、それによりタンク114内に貯留されていた制御用空気がエアシリンダ108側に還流され、その流れは図14Bちゅうの白抜き矢印で示される。具体的には、制御用空気はタンク114から流路124を経て電磁弁105に至り、その後流路123から、分岐して流路120、121のそれぞれを経て、シリンダ131、133内に制御用空気が流れ込む。このとき、各シリンダ内に適切な量の制御用空気が流れ込むように絞り弁117の開度が調整される。
【0049】
このように、空気回路部100では、脚3が動くことで制御用空気をタンク114に貯留し、その後その制御用空気によって脚部を動かすという一定のサイクルを形成することが可能となり、この結果歩行ロボット1の歩行時の脚3の動きをアシストすることが可能となる。そこで、図15A〜図15Gに基づいて、脚3の動き、特に膝部4と足首部6の動きと、空気回路部100における制御用空気の流れについて説明する。尚、各図において上側に歩行ロボット1の歩行時の脚3の状態を示し、そこではエアピストン108に作用する圧縮又は膨張の力を点線の矢印で描写し、核関節部の動きを実線の矢印で描写している。また、各図の下側に空気回路部100における制御用空気の流れを示し、そこでは制御用空気の流れを実線の矢印で描写している。
【0050】
先ず、図15Aに示す状態では、歩行ロボット1の歩行は開始されておらず、脚3は床面に対して垂直に立っている状態である。従って、空気回路部100内には制御用空気の流れは原則、生じていない。ここで、膝部4に設けられたモータ23、腰部5に設けられたモータ51が駆動することにより、歩行ロボット1が歩行するためのエネルギーが供給され、膝部4の屈曲および足首部6の背屈が始まることになる。
【0051】
先ず、図15Aに示す状態から足首部6が背屈することで、歩行ロボット1の重心が前方に移動する。その結果、踝フレーム73と膝下フレーム16との間に相対的な回転運動が生じるとともに、踵フレーム71と爪先フレーム72との間にも相対的な回転運動が生じる。この段階では、前者の回転運動のほうが後者の回転運動より支配的であるため、シャフト75のスライド孔部89内のスライド量は比較的小さい。しかし、シャフト75のスライドと膝部4の屈曲動作により、エアシリンダ108に対してはピストン130、132を押し込もうとする力が作用する。ここで、ピストン130によってシリンダ131から押し出された制御用空気がチェック弁110aを経てシリンダ133側に加圧作用を及ぼすため、一方でピストン132によってシリンダ133から押し出されようとする制御用空気はチェック弁110aによってシリンダ131側に至ることはできないため、該シリンダ133内の制御用空気が外に押し出されにくくなる。その結果、流路122、124を経てタンク114に流入する制御用空気は、シリンダ131側の制御用空気が大半となる。それと同時に、シリンダ133内の制御用空気はほぼ維持されるため、結果的に歩行ロボット1の膝部4が急激に屈曲してしまうことを防止でき、歩行ロボット1の姿勢安定及び姿勢維持のために消費されるエネルギーの軽減が図られる。
【0052】
更に、図15Bに示す状態から膝部4、足首部6の屈曲、背屈が進み、脚3が床面から離れようとする蹴り出し状態が、図15Cに示される。このときは、爪先フレーム72が
踵フレーム71に対してより強く相対的に回転運動することになるため、シャフト75のスライド孔部89内のスライド量が、図15Bに示す状態よりも大きくなる。その結果、ピストン130による制御用空気の押し出し量が増加する。それに加えて、膝部4の屈曲が更に進行するため、ピストン132による制御用空気の押し出し量も、図15Bに示す状態より増加する。従って、図15Cに示す状態では、タンク114に制御用空気が貯留される時間割合が図15Bに示す状態のときより高くなり、効率的な制御用空気の貯留が行われることになる。また、図15Cに示す状態でも、シリンダ131からの制御用空気により加圧作用がシリンダ133側に作用するため、ここでも膝部4が急激に屈曲してしまうことを防止することができる。
【0053】
図15Cに示す状態の次には、脚3は図15Dに示す遊脚状態となる。この状態では、爪先フレーム72と膝下フレーム16との間に設けられた図示しない圧縮バネによって、爪先フレーム72が踵フレーム71に対して底屈し、該踵フレーム71と面一の状態へ移行するとともに、踝フレーム73と膝下フレーム16との間の相対位置関係は維持される。そのため、慣性力により膝部4の屈曲が更に進行して、タンク114への制御用空気の貯留が更に行われることになる。
【0054】
図15Dに示す遊脚状態後、膝部4の伸展が行われる状態(図15Eに示す状態)に至る。このタイミングで、電磁弁5をOFF状態からON状態へと切り替える。すると、タンク114に貯留されていた制御用空気が、圧縮バネ102からのアシストにもよってタンク114から排出される状態となる(図15Fに示す状態)。この状態では、図14Bに示すように制御用空気のシリンダ131、133への還流が行われる。その結果、ピストン130、132を介して、膝部4を伸展しようとする力が作用することになる。そして、最終的に図15Fに示す状態であって、脚3の状態および空気回路部100内の制御用空気の流れの状態は図15Aに示す状態と同じとなる。
【0055】
ここで、歩行ロボット1は二足歩行を行うロボットである。そして、各脚3の状態が180度の位相でずれた状態で、図15A〜図15Gの動作、即ち立脚状態から遊脚状態への移行、及び遊脚状態から立脚状態への移行が交互に行われる。そのため、立脚状態から遊脚状態へ移行する場合(図15Aから図15Dに至る場合)にタンク114に溜めた制御用空気による制動エネルギー(タンク114に制御用空気が貯留されることで結果的に脚3の動きに対して制動力を作用させた状態となるため、「制動」という言葉を使用する。)が、遊脚状態から立脚状態に至るための駆動エネルギーとして利用することが可能となる。図16に、この制動エネルギーと駆動エネルギーの相関を示す。脚3における内部摩擦等によって駆動エネルギーは制動エネルギーより小さくなるが、少なくとも膝部4を伸展し又足首部6を底屈させるためのエネルギーの大部分をこの駆動エネルギーで賄うことができるため、歩行ロボット1の歩行に要する駆動エネルギー全体を効果的に低減することができる。
【0056】
また、歩行ロボット1では、膝部4及び腰部5において4リンク機構を採用している。そのため、歩行時の歩行ロボット1の姿勢を安定的に維持することが可能となるため、これも歩行ロボット1の歩行に要する駆動エネルギー低減に寄与する。更に、膝部4に設けられたバネ34、腰部5に設けられたバネ65、爪先フレーム72と膝下フレーム16の間に設けられた圧縮バネから得られる復元力も、同様に歩行ロボット1の歩行に要する駆動エネルギーの低減に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る歩行ロボットの構成を示す正面図である。
【図2】図1に示す歩行ロボットの脚の全体構成を示す正面図である。
【図3】図1に示す歩行ロボットの脚の全体構成を示す側面図である。
【図4】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する膝部の正面図である。
【図5】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する膝部の側面図である。
【図6】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する腰部の正面図である。
【図7】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する腰部の側面図である。
【図8】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する腰部の斜視図である。
【図9】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する足首部の上面図である。
【図10】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する足首部の側面図である。
【図11】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する空気回路部の側面図である。
【図12】本発明に係る歩行ロボットの脚を構成する空気回路部の背面図である。
【図13】図11及び図12に示す空気回路部の構成を概略的に示した図である。
【図14A】本発明の実施例に係る歩行ロボットの脚を構成する空気回路部における、制御用空気の流れを示す第一の図である。
【図14B】本発明の実施例に係る歩行ロボットの脚を構成する空気回路部における、制御用空気の流れを示す第二の図である。
【図15A】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第一の図である。
【図15B】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第二の図である。
【図15C】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第三の図である。
【図15D】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第四の図である。
【図15E】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第五の図である。
【図15F】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第六の図である。
【図15G】本発明の実施例に係る歩行ロボットの歩行時の脚の動作状態と、空気回路部における制御用空気の流れとの相関を示す第七の図である。
【図16】本発明に係る歩行ロボットが図15A−図15Gに示す歩行サイクルを行ったときの、空気回路部における制動エネルギーと駆動エネルギーの相関を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1・・・・歩行ロボット
2・・・・胴体部
3・・・・脚
4・・・・膝部
5・・・・腰部
6・・・・足首部
100・・・・空気回路部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンク部材と該リンク部材の各々を連結する関節部とで構成される脚を有し、該脚が立脚状態と遊脚状態を繰り返すことで床面上の歩行を行う歩行ロボットであって、
前記歩行ロボットの歩行と連動して、所定の閉空間内で制御用空気の動きを制御することで、該歩行ロボットの歩行をアシストする空気回路部を備え、
前記空気回路部は、
前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際に、該脚を構成する各リンク部材の各関節部を介して行われる相対位置変化によって、制御用空気を介して該歩行のエネルギーの一部を回収する歩行エネルギー回収部と、
前記歩行ロボットの歩行時において、前記脚が遊脚状態から立脚状態へ移行する際に、前記歩行エネルギー回収部によって回収された歩行エネルギーを開放し、該脚の立脚状態への移行をアシストする歩行アシスト部と、を有する、
歩行ロボット。
【請求項2】
前記脚は、
前記床面に接する接地リンク部材と、
前記接地リンク部材に足首関節部を介して接続される第一脚リンク部材と、
前記第一脚リンク部材に膝関節部を介して接続される第二脚リンク部材と、を有し、
前記歩行エネルギー回収部は、前記足首関節部と前記膝関節部を介した前記設置リンク部材、前記第一脚リンク部材、前記第二脚リンク部材の相対位置変化によって、前記制御用空気を圧縮し、貯留することで、前記歩行エネルギーの一部を回収し、
前記歩行アシスト部は、前記圧縮され且つ蓄積された制御用空気を開放し、前記設置リンク部材、前記第一脚リンク部材、前記第二脚リンク部材のうち少なくとも何れかに、前記脚が立脚状態に移行するための歩行エネルギーを与える、
請求項1に記載の歩行ロボット。
【請求項3】
前記空気回路部は、
前記歩行ロボットの歩行に連動して、前記足首関節部を介して前記接地リンク部材と前記第一脚リンク部材との相対位置変化によって、制御用空気の圧縮、膨張を行う第一ピストン部と、
前記歩行ロボットの歩行に連動して、前記膝関節部を介して前記第二リンク部材と前記第一脚リンク部材との相対位置変化によって、制御用空気の圧縮、膨張を行う第二ピストン部と、
前記制御用空気を貯留するタンク部と、を有し、
前記歩行エネルギー回収部は、前記第一ピストン部及び前記第二ピストン部のうち少なくとも何れかによって圧縮された制御用空気を前記タンク部に貯留し、
前記歩行アシスト部は、前記タンク部に貯留された制御用空気を前記第一ピストン部及び前記第二ピストン部に開放する、
請求項2に記載の歩行ロボット。
【請求項4】
前記歩行エネルギー回収部は、少なくとも前記接地リンク部材の一部が床面から離れ始めてから完全に離れ終わるまでの遊脚移行工程において、前記第一ピストン部によって送り出された制御用空気の圧縮圧が前記第二ピストン部内に作用するように構成される、
請求項3に記載の歩行ロボット。
【請求項5】
前記接地リンク部材は、
前記足首関節部を介して前記第一リンク部材と接続される脚底リンク部材と、
前記脚底リンク部材に爪先関節部を介して接続される爪先リンク部材と、を有し、
前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際には、
前記脚底リンク部材、前記爪先リンク部材の順に床面からの離脱が行われ、
前記爪先リンク部材が前記爪先関節部を介して前記脚底リンク部材に対して相対位置変化を行った場合の前記第一ピストンにおける制御用空気の圧縮率は、該脚底リンク部材が前記足首関節部を介して前記第一リンク部材に対して相対位置変化を行った場合の該第一ピストンにおける制御用空気の圧縮率よりも高く設定される、
請求項3又は請求項4に記載の歩行ロボット。
【請求項6】
前記爪先リンク部材は、前記第一リンク部材に対して弾性部材を介して接続され、
前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が床面から離れて遊脚状態に至ったとき、前記爪先リンク部材は、前記弾性部材の弾性力により、該脚が立脚状態であって該爪先リンク部材及び前記脚底リンク部材が床面に接地している状態である初期状態の位置に戻されるように構成される、
請求項5に記載の歩行ロボット。
【請求項7】
前記第一ピストン部と前記第二ピストン部は、一のピストン筐体を共有する形態で、且つ該第一ピストン部が前記接地リンク部材側に位置し、該第二ピストン部が前記第二リンク部材側に位置するように、前記空気回路部に設けられる、
請求項3から請求項6の何れかに記載の歩行ロボット。
【請求項8】
前記歩行ロボットの胴体部に対して、前記第二リンク部材を可動状態で接続する腰関節部を、更に備え、
前記腰関節部は、
前記胴体部側に設けられた二つの回転軸と、前記第二リンク部材側に設けられた二つの回転軸とを、二つのリンク部材で、且つ該二つのリンク部材が交差するように連結することで構成される4リンク機構部と、
太陽ギア、遊星ギア、内歯車で構成される遊星歯車機構であって、前記胴体部側に設けられた二つの回転軸のうち一の回転軸に、該太陽ギアが接続される遊星歯車機構部と、
前記太陽ギアを駆動するアクチュエータと、
前記遊星歯車機構部の遊星ギア、もしくは該遊星ギアに接続されるキャリアと、前記胴体部とを弾性的に連結する胴体側弾性部材と、
を有する、
請求項1から請求項7の何れかに記載の歩行ロボット。
【請求項1】
複数のリンク部材と該リンク部材の各々を連結する関節部とで構成される脚を有し、該脚が立脚状態と遊脚状態を繰り返すことで床面上の歩行を行う歩行ロボットであって、
前記歩行ロボットの歩行と連動して、所定の閉空間内で制御用空気の動きを制御することで、該歩行ロボットの歩行をアシストする空気回路部を備え、
前記空気回路部は、
前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際に、該脚を構成する各リンク部材の各関節部を介して行われる相対位置変化によって、制御用空気を介して該歩行のエネルギーの一部を回収する歩行エネルギー回収部と、
前記歩行ロボットの歩行時において、前記脚が遊脚状態から立脚状態へ移行する際に、前記歩行エネルギー回収部によって回収された歩行エネルギーを開放し、該脚の立脚状態への移行をアシストする歩行アシスト部と、を有する、
歩行ロボット。
【請求項2】
前記脚は、
前記床面に接する接地リンク部材と、
前記接地リンク部材に足首関節部を介して接続される第一脚リンク部材と、
前記第一脚リンク部材に膝関節部を介して接続される第二脚リンク部材と、を有し、
前記歩行エネルギー回収部は、前記足首関節部と前記膝関節部を介した前記設置リンク部材、前記第一脚リンク部材、前記第二脚リンク部材の相対位置変化によって、前記制御用空気を圧縮し、貯留することで、前記歩行エネルギーの一部を回収し、
前記歩行アシスト部は、前記圧縮され且つ蓄積された制御用空気を開放し、前記設置リンク部材、前記第一脚リンク部材、前記第二脚リンク部材のうち少なくとも何れかに、前記脚が立脚状態に移行するための歩行エネルギーを与える、
請求項1に記載の歩行ロボット。
【請求項3】
前記空気回路部は、
前記歩行ロボットの歩行に連動して、前記足首関節部を介して前記接地リンク部材と前記第一脚リンク部材との相対位置変化によって、制御用空気の圧縮、膨張を行う第一ピストン部と、
前記歩行ロボットの歩行に連動して、前記膝関節部を介して前記第二リンク部材と前記第一脚リンク部材との相対位置変化によって、制御用空気の圧縮、膨張を行う第二ピストン部と、
前記制御用空気を貯留するタンク部と、を有し、
前記歩行エネルギー回収部は、前記第一ピストン部及び前記第二ピストン部のうち少なくとも何れかによって圧縮された制御用空気を前記タンク部に貯留し、
前記歩行アシスト部は、前記タンク部に貯留された制御用空気を前記第一ピストン部及び前記第二ピストン部に開放する、
請求項2に記載の歩行ロボット。
【請求項4】
前記歩行エネルギー回収部は、少なくとも前記接地リンク部材の一部が床面から離れ始めてから完全に離れ終わるまでの遊脚移行工程において、前記第一ピストン部によって送り出された制御用空気の圧縮圧が前記第二ピストン部内に作用するように構成される、
請求項3に記載の歩行ロボット。
【請求項5】
前記接地リンク部材は、
前記足首関節部を介して前記第一リンク部材と接続される脚底リンク部材と、
前記脚底リンク部材に爪先関節部を介して接続される爪先リンク部材と、を有し、
前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が立脚状態から遊脚状態に移行する際には、
前記脚底リンク部材、前記爪先リンク部材の順に床面からの離脱が行われ、
前記爪先リンク部材が前記爪先関節部を介して前記脚底リンク部材に対して相対位置変化を行った場合の前記第一ピストンにおける制御用空気の圧縮率は、該脚底リンク部材が前記足首関節部を介して前記第一リンク部材に対して相対位置変化を行った場合の該第一ピストンにおける制御用空気の圧縮率よりも高く設定される、
請求項3又は請求項4に記載の歩行ロボット。
【請求項6】
前記爪先リンク部材は、前記第一リンク部材に対して弾性部材を介して接続され、
前記歩行ロボットの歩行時において前記脚が床面から離れて遊脚状態に至ったとき、前記爪先リンク部材は、前記弾性部材の弾性力により、該脚が立脚状態であって該爪先リンク部材及び前記脚底リンク部材が床面に接地している状態である初期状態の位置に戻されるように構成される、
請求項5に記載の歩行ロボット。
【請求項7】
前記第一ピストン部と前記第二ピストン部は、一のピストン筐体を共有する形態で、且つ該第一ピストン部が前記接地リンク部材側に位置し、該第二ピストン部が前記第二リンク部材側に位置するように、前記空気回路部に設けられる、
請求項3から請求項6の何れかに記載の歩行ロボット。
【請求項8】
前記歩行ロボットの胴体部に対して、前記第二リンク部材を可動状態で接続する腰関節部を、更に備え、
前記腰関節部は、
前記胴体部側に設けられた二つの回転軸と、前記第二リンク部材側に設けられた二つの回転軸とを、二つのリンク部材で、且つ該二つのリンク部材が交差するように連結することで構成される4リンク機構部と、
太陽ギア、遊星ギア、内歯車で構成される遊星歯車機構であって、前記胴体部側に設けられた二つの回転軸のうち一の回転軸に、該太陽ギアが接続される遊星歯車機構部と、
前記太陽ギアを駆動するアクチュエータと、
前記遊星歯車機構部の遊星ギア、もしくは該遊星ギアに接続されるキャリアと、前記胴体部とを弾性的に連結する胴体側弾性部材と、
を有する、
請求項1から請求項7の何れかに記載の歩行ロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図16】
【公開番号】特開2009−274142(P2009−274142A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124840(P2008−124840)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人計測自動制御学会 第8回(社)計測自動制御学会 システムインテグレーション部門 講演会 SI2007「能動/受動複合関節の新機構とそれを用いた二足歩行ロボット Tokai−Robo−Habilis2―自己エネルギー回収・利用機構と遊脚相の制御―」2007年12月20日発表
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人計測自動制御学会 第8回(社)計測自動制御学会 システムインテグレーション部門 講演会 SI2007「能動/受動複合関節の新機構とそれを用いた二足歩行ロボット Tokai−Robo−Habilis2―自己エネルギー回収・利用機構と遊脚相の制御―」2007年12月20日発表
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】
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