説明

毛髪洗浄剤組成物

【課題】デオドラント効果が長時間持続し、フケ、かゆみ防止効果に優れ、かつすすぎ時のきしみがなく使用感に優れた毛髪洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)陰イオン界面活性剤、
(B)ヒドロキシピリドン誘導体、
(C)水膨潤性化合物、
(D)カチオン化セルロース及びカチオン化グァーガムから選ばれる1種又は2種以上のカチオン化ポリマー、
(E)多価アルコール
を含有する組成物であって、25℃におけるpHが3.0〜5.5である毛髪洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デオドラント効果及びその持続効果、ならびにフケ、かゆみ防止効果に優れ、かつ使用感に優れた毛髪洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、フケ防止の目的でシャンプーやリンス等の毛髪化粧料にフケ防止効果を有する成分を配合することが知られている。例えば、ピリチオン系化合物、1−ヒドロキシ−2−ピリドン、及びコロイドイオウを有効成分として配合したフケ防止効果に優れた毛髪化粧料(特許文献1:特開昭63−165308号公報参照)、イオウ、ピロクトンオラミン、アクリル酸ポリマー、ポリビニルアルコール、セルロース系高分子、及びキサンタンガムを含有する毛髪化粧料(特許文献2:特開2001−261529号公報参照)等が提案されている。さらにピロクトンオラミンに加え、水膨潤性粘土鉱物を配合することで殺菌効果の持続性を図る皮膚化粧料での試みも行われている(特許文献3:特開平10−265408号公報参照)。
【0003】
しかしながら、上記の水膨潤性粘土鉱物とピロクトンオラミンの併用技術を頭皮に応用した場合には、その持続効果は十分ではなく、またすすぎ時のきしみのなさや髪のなめらかさ等の使用感も良好ではなかった。以上のことから、デオドラント効果が持続し、フケ・かゆみ防止効果が高く、かつ良好な使用感を有する毛髪洗浄剤組成物の開発が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−165308号公報
【特許文献2】特開2001−261529号公報
【特許文献3】特開平10−265408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、デオドラント効果が長時間持続し、フケ、かゆみ防止効果に優れ、かつすすぎ時のきしみがなく使用感に優れた毛髪洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)陰イオン界面活性剤からなる毛髪洗浄剤基剤に、(B)ヒドロキシピリドン誘導体と、(C)水膨潤性化合物と、(D)カチオン化セルロース及びカチオン化グァーガムから選ばれる1種又は2種以上のカチオン化ポリマーと、(E)多価アルコールとを配合し、さらに組成物の25℃におけるpHを3.0〜5.5に調整することで、デオドラント効果の持続性を高め、フケ、かゆみ防止効果に優れ、かつすすぎ時のきしみがなく、髪のなめらかさ等の使用感が良好な毛髪洗浄剤組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は
(A)陰イオン界面活性剤、
(B)ヒドロキシピリドン誘導体、
(C)水膨潤性化合物、
(D)カチオン化セルロース及びカチオン化グァーガムから選ばれる1種又は2種以上のカチオン化ポリマー、
(E)多価アルコール
を含有する組成物であって、25℃におけるpHが3.0〜5.5である毛髪洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、デオドラント効果が長時間持続し、フケ、かゆみ防止効果に優れ、かつすすぎ時のきしみがなく使用感に優れた毛髪洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の(A)成分は陰イオン界面活性剤であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸型、りん酸型が挙げられるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩等のスルホン酸型、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸型が好ましい。この中でも、スルホン酸型ではα−オレフィンスルホン酸塩が、硫酸型ではアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
【0010】
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜18のアルキル基のものが好ましく、特に炭素数14のテトラデセンスルホン酸塩が好ましい。アルキル硫酸エステル塩では、炭素数10〜18のアルキル基のものが好ましく、特に炭素数12〜14が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩では、アルキル基の炭素数10〜18のものが好ましく、特に炭素数12〜14が好ましい。またアルキレン部分は、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンが好ましく、特にポリオキシエチレンが好ましい。またそのエチレン総平均付加モル数の範囲は2〜4が好ましい。これらの対イオンとしては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0011】
(A)成分は、本発明の毛髪洗浄剤組成物の主基剤となるものであり、毛髪洗浄剤組成物全量に対して、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%配合される。5質量%未満では洗浄力、起泡力が不充分となる場合があり、40質量%を超えると組成物の粘度が著しく増加して容器からの排出性が悪くなったり、溶液安定性が悪化する場合がある。
【0012】
本発明の(B)成分はヒドロキシピリドン誘導体であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ヒドロキシピリドン誘導体としては、例えば、ピロクトンオラミン[別名:1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)−ピリドンモノエタノールアミン塩](商品名「オクトピロックス」、クラリアント社製、以下同様)、1−ヒドロキシ−4−メチル−ピリドン、1−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−イソブチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ノニル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−6−ウンデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ウンデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4,6−ジウンデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−6−トリデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−3,4,5−トリメチル−6−トリデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4,6−ジトリデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ペンタデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ヘプタデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ノナデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリコシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロプロピル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−6−シクロペンチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロペンチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロオクチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ベンジル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−フェニル−2−ピリドン等が挙げられるが、濃度対効果の面からピロクトンオラミンが好ましい。
【0013】
(B)成分の配合量は、効果の観点から、毛髪洗浄剤組成物全量に対して0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜3質量%、さらに好ましくは0.03〜2質量%である。
【0014】
本発明の(C)成分は水膨潤性化合物であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。水膨潤性化合物としては、水膨潤性粘土鉱物、カラギーナン、アルギン酸及びその塩が挙げられる。
【0015】
水膨潤性粘土鉱物としては、天然物、天然物の精製品、天然の膨潤性を改質したもの、合成品等が挙げられ、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、天然又は合成されたモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、ヘクトライト、スチブンサイト等のスメクタイト族の粘土鉱物や、バーミキュライト、膨潤性合成フッ素雲母(Na型、Li型合成マイカ)等が挙げられる。また、上記粘土鉱物のイオン交換反応を行い、膨潤性を向上させた高金属イオン置換粘土鉱物を用いてもよい。
【0016】
これらは層間に水分子を水和して取り込む交換性の陽イオンを含有しており、膨潤性、吸着性、結合性、懸濁性、増粘性等の性質を有し、他の粘土鉱物とは異なった性質を示す。前記の中では、スメクタイト族、スメクタイト族のモンモリロナイトを主成分とするベントナイト等が、毛髪洗浄剤組成物中で分散性の点から望ましい。これら上記水膨潤性粘土鉱物として、ポーラゲル(アメリカンコロイド社製)、ラポナイト(日本シリカ工業製)、ベンゲル(豊順鉱業製)、ルーセンタイト(コープケミカル製)、クニピア(クニミネ工業製)、ベンクレー(水澤化学工業製)、ビーガム(バンダービルト社製)等の商品名で市販されているものを使用することができる。
【0017】
カラギーナン、アルギン酸及びその塩は化学合成等で製造したものを使用してもよいし、天然物から抽出したものを用いてもよい。具体的には、カラギーナン、アルギン酸及びその塩は、海藻から抽出することができる。それぞれの原料となる海藻から、水、親水性有機溶媒、含水親水性有機溶媒、その他の有機溶媒等によって抽出することができる。抽出に用いる溶媒は、カラギーナン、アルギン酸及びその塩が安定に溶解し、毛髪化粧料にも相溶性のあるものであれば特に限定されないが、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール等が好ましい。海藻からの抽出物を用いる場合には、1種又は2種以上の上記カラギーナン、アルギン酸及びその塩を含有する抽出物を用いてもよい。抽出液を用いる場合の抽出液中の上記カラギーナン、アルギン酸及びその塩の濃度は限定されない。原料となる海藻としては、主に、カラギーナンはキリンサイ属、ツノマタ属、スギノリ属に代表される紅藻類、アルギン酸及びアルギン酸塩はコンブやワカメ等コンブ属やダービリア属に代表される褐藻類が用いられる。
【0018】
(C)成分の配合量は、毛髪洗浄剤組成物全量に対して0.01〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜1質量%である。この配合量範囲でより効果が得られ、3質量%を超えると製品粘度が高くなり、容器からの排出性が悪くなったり、保存安定性が悪くなったりする場合がある。
【0019】
本発明の(D)成分はカチオン化セルロース及びカチオン化グァーガムから選ばれる1種又は2種以上のカチオン化ポリマーである。
【0020】
カチオン化セルロースはセルロースにカチオン性官能基を付加したものである。本発明においては、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースであるポリクオタニウム−10が好ましい。
【0021】
カチオン化セルロースのカチオン化度は、0.1meq/g〜3.0meq/gの範囲が好ましく、0.5meq/g〜1.7meq/gがより好ましい。カチオン化度が0.1meq/g未満だと、泡をすすいだ時の指通りが悪くなる場合があり、かつ乾燥後の髪がパサついた感触になる場合がある。一方、カチオン化度が3.0meq/gを超えると、洗浄剤組成物の保存安定性に劣る場合がある。
【0022】
カチオン化セルロースの分子量は、10万〜300万の範囲が好ましく、30万〜200万がより好ましい。10万未満だと泡をすすいだ時の指通りが悪くなる場合があり、かつ乾燥後の髪がパサついた感触になる場合がある。一方、300万を超えると洗浄剤組成物の保存安定性に劣ると共に、洗浄剤組成物中への溶解が困難になる場合がある。
【0023】
具体的な例としては、レオガードLP、GP、MGP、KGP、XE−511K(商品名、ライオン(株)製)、UCARE LR−30M、JR−400、JR−30M(商品名、ダウケミカル日本(株)製)、カチナールHC−100(商品名、東邦化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0024】
カチオン化グァーガムはグァーガムにカチオン性官能基を付加したものである。カチオン基の付加の程度によって、カチオン化グァーガムのカチオン度が異なる。カチオン化度は、0.1meq/g〜3.0meq/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.5meq/g〜3.0meq/gであり、さらに好ましくは1.0meq/g〜2.4meq/gである。カチオン化度が0.1meq/g未満だと、泡をすすいだ時の指通りが悪くなる場合があり、かつ乾燥後の髪がパサついた感触になる場合がある。一方、カチオン化度が3.0meq/gを超えると、洗浄剤組成物の保存安定性に劣る場合がある。
【0025】
カチオン化グァーガムの分子量は、10万〜300万の範囲が好ましく、20万〜200万がより好ましい。10万未満だと泡をすすいだ時の指通りが悪くなる場合があり、かつ乾燥後の髪がパサついた感触になる場合がある。一方、300万を超えると洗浄剤組成物の保存安定性に劣ると共に、洗浄剤組成物中への溶解が困難になる場合がある。
具体的な例としては、ラポールガムCG−M、CG−M7、CG−M8M(商品名、大日本製薬(株)製)、N−Hance3000(商品名、ハーキュレス・ジャパン製)、JAGUAR C−13S、C−14S、C−17、EXCEL(商品名、ローディア製)等が挙げられる。
【0026】
カチオン化セルロース及びカチオン化グァーガムは、水分を蒸発させて粉末や顆粒状にした原料も使用できるし、水等の溶媒で液体化した原料も使用することができる。
【0027】
(D)成分のカチオン化ポリマーのカチオン度は、化学構造が明瞭であれば簡単に計算することができるが、モノマー比率等の構造が不明な場合であっても、ケルダール法等のN含量の測定値から計算することができる。なお本発明で用いたカチオン度はケルダール法である化粧品原料基準の一般試験法の窒素定量法第2法で測定した値を基に算出している。なお、カチオン度の単位であるmeq/gとは試料1g当たりのNカチオン基のミリ当量数を示す。
【0028】
(D)成分の分子量は、一般的なGPCカラムを用いた液体クロマトグラフィーで、分子量既知のポリマーと比較する方法によって測定することができる。本発明で示したカチオン化ポリマーの分子量はGPC−MALLSを用いて測定した値であり、ポリマーの純分濃度が約1,000ppmの移動相で希釈した試料溶液を、TSK−GELαカラム(東ソー(株)製)を用い、0.5moL/Lの過塩素酸ナトリウム溶液を移動相として、約633nmの波長を多角度光散乱検出器により測定する。標準品としては分子量既知のポリエチレングリコールを用いる。
【0029】
(D)成分の配合量は、毛髪洗浄剤組成物全量に対して0.01〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜1質量%である。この配合量範囲でより効果が得られ、3質量%を超えると製品粘度が高くなり、容器からの排出性が悪くなったり、保存安定性が悪くなったりする場合がある。
【0030】
本発明の(E)成分は多価アルコールであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。多価アルコールとしては、例えば、ヘキシレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。この中でも、ポリエチレングリコールが好ましく、分子量としては190〜630のものが好ましい。平均分子量が630を超えるものは使用後の地肌のべたつきのなさや仕上がり感が十分でない場合がある。
【0031】
なお、平均分子量は化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量を示し、ポリエチレングリコール200(平均分子量190〜210)、ポリエチレングリコール300(平均分子量280〜320)、ポリエチレングリコール400(平均分子量380〜420)及びポリエチレングリコール600(平均分子量570〜630)が該当する。商品よっては、例えばポリエチレングリコール#200等のように、ポリエチレングリコールと数値の間に#がつく場合がある。
【0032】
(E)成分の多価アルコールは、頭皮を柔軟化させることで、有効成分の頭皮への滞留性を高めるために配合される。(E)成分の配合量は、毛髪洗浄剤組成物全量に対して0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。この配合量範囲でより効果が得られ、30質量%を超えると保存安定性が悪くなる場合がある。
【0033】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の25℃でのpHは3.0〜5.5である。この範囲外ではすすぎ時のなめらかさやきしみのなさが得られなくなると共に、デオドラント効果の持続性も低下する。加えてpHが3.0未満だと安定性が悪くなり、5.5を超えると防腐力が弱くなるため、より多くの防腐剤の配合が必要となる。この範囲にpHを調整するためには、有機酸又は無機酸を配合した後、必要に応じて、アルカリを加えることで調整できる。本発明の毛髪洗浄剤組成物には有機酸又は無機酸の1種又は2種以上を配合するとよい。
【0034】
有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸等が挙げられる。具体的には、酢酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。無機酸としてはリン酸等が挙げられる。アルカリとしては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0035】
毛髪洗浄剤組成物の25℃でのpHは、化粧品原料基準(第2版)の一般試験法に定められた方法を用い、組成物中に直接pHメーターの電極を差し込み、安定した後のpH値を読むことで測定することができる。
【0036】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の主基材である界面活性剤としては、上記(A)陰イオン界面活性剤の他に、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤も用いることができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0037】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0038】
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルジメチルカルボキシメチルアンモニウムベタイン、アルキルカルボキシメチルイミダゾリウムベタイン、N−(N'−アシルアミノアルキル)−N−ヒドロキシアルキルアミノカルボン酸塩等が挙げられる。
【0039】
本発明の毛髪洗浄剤組成物には、さらに仕上がり性能を向上させるために、シリコーン化合物を配合することもできる。シリコーン化合物としては、その種類が特に制限されるものではなく、通常シャンプー組成物に使用されているものを用いることが可能である。例えば、ジメチルポリシロキサン(高重合ジメチルポリシロキサン、シリコーンゴムを含む)、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーン、べタイン変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、シリコーングラフトポリマー、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーンが特に好適に使用される。また、上記シリコーン化合物としては、上記シリコーン化合物を界面活性剤により乳化し、エマルション化したものも使用することができる。なお、このようなエマルションは、乳化剤や乳化方法に特に制限はなく、種々使用することができる。
【0040】
また、本発明の毛髪洗浄剤組成物には、前記成分の他、本発明の効果を損わない範囲で、通常の洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、可溶化剤として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類等、パール化剤としてエチレングリコ−ルジステアレート、エチレングリコ−ルモノステアレート、エチレングリコ−ルジベヘニレート等の長鎖脂肪酸グリコールエステル等、パール化剤の安定化剤として、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体等を、また、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤、クエン酸、EDTA、NTA等のキレート剤、香料、色素、防腐・防黴剤、pH調整剤等を、必要に応じて適宜・適量配合することができる。
【0041】
本発明の毛髪洗浄剤組成物に使用される香料、香料組成物は、特開2003−300811号公報の段落番号[0021]〜[0035]に記載された香料成分等、さらに同[0050]に記載された香料用溶剤等が挙げられる。
【0042】
前記香料用溶剤の使用量は、香料組成物中に0.1〜99質量%配合されるが、好ましくは、1〜50質量%配合される。また、香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、香料組成中に0.0001〜10質量%配合されるが、好ましくは、0.001〜5質量%配合される。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。
【0043】
香料組成物とは、前記の香料成分、溶剤及び香料安定化剤等からなる混合物である。本発明の毛髪洗浄剤組成物にはかかる香料組成物が、毛髪洗浄剤組成物全量に対して0.005〜40質量%配合されるが、好ましくは、0.01〜10質量%配合される。
【0044】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、通常の方法に従って、上記成分、及び水(残部)を混合撹拌することにより製造される。この際、(A)成分は予め水に希釈された濃度20〜70質量%の陰イオン界面活性剤水溶液を使用すると、容易に製造できる。(C)、(D)成分は予め水等に溶解又は分散させたり、プロピレングリコール等の貧溶媒に分散させたりして添加する方法が好適である。また、(B)、(E)成分は水に溶解又は分散させることにより、添加することができる。
【0045】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の粘度は、0.5〜8.0Pa・sが好ましく、より好ましくは1.5〜5.0Pa・sである。
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示し、表中の各成分の量は純分換算した数値(AI)である。
【0047】
[実施例1〜14、比較例1〜10]
表1〜5に示す組成の毛髪洗浄剤組成物を製造し、評価を行った。評価は、20〜50才の女性10名が1日1回、適量を7日間使用し、「すすぎ時のなめらかさ」、「すすぎ時のきしみのなさ」、「デオドラント効果の持続性」、「フケ防止効果」及び「かゆみ防止効果」の項目について、官能評価した。結果を下記基準に従って示す。なお、デオドラント効果の持続性は、洗髪後の翌日の夕方に評価した。
〈基準〉
◎:10名中8〜10名が良いと回答
○:10名中5〜7名が良いと回答
△:10名中3〜4名が良いと回答
×:10名中0〜2名が良いと回答
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
【表5】

【0053】
[実施例15]
以下に示す組成の毛髪洗浄剤組成物を調製した。
組成 %
POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.) 15
ピロクトンオラミン 0.3
ベントナイト 0.1
カチオン化セルロース(3) 0.2
カチオン化グァーガム(2) 0.1
ポリエチレングリコール300 0.5
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体 0.2
ラウリルジメチルアミンオキサイド 0.5
POE(20E.O.)硬化ヒマシ油 1
ステアリン酸モノグリセリド 0.5
POEステアリルエーテル 0.5
POEラウリン酸モノエタノールアミド 1.5
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 2
ヤシ油アルキルベタイン 1
アモジメチコン 0.15
(アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体)
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
植物抽出液 0.05
黄色203号 0.001
赤色106号 0.001
緑色3号 0.001
安息香酸ナトリウム 0.3
無水硫酸ナトリウム 0.3
香料B 0.3
クエン酸 適量(pH=4.5に調整)
精製水 バランス
合計 100.0
粘 度:2.5Pa・s
粒子径:透明系のため測れず。
【0054】
[実施例16]
以下に示す組成の毛髪洗浄剤組成物を調製した。
組成 %
POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.) 5
テトラデセンスルホン酸ナトリウム 10
ピロクトンオラミン 0.5
カラギーナン 0.05
カチオン化セルロース(2) 0.2
ポリエチレングリコール600 1
POE(2E.O.)ラウリン酸モノエタノールアミド 5
POE(20E.O.)硬化ヒマシ油 1.5
エチレングリコールジステアレート 0.8
ラウリルジメチルアミンオキサイド 0.4
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体 0.2
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.1
プロピレングリコール 2
安息香酸ナトリウム 0.5
無水硫酸ナトリウム 0.5
香料C 1.0
クエン酸 適量(pH=5.2に調整)
精製水 バランス
合計 100.0
粘 度:2.0Pa・s
粒子径:0.2〜12μm
【0055】
[実施例17]
以下に示す毛髪洗浄剤組成物を調製した。
組成 %
POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.) 12
ピロクトンオラミン 0.5
カチオン化セルロース(1) 0.1
アルギン酸ナトリウム 0.1
ポリエチレングリコール400 1
ラウリルジメチルアミンオキサイド 3
POE(20)硬化ヒマシ油 1
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 3
ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド 2
ジメチコンエマルジョン 2
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.1
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体 0.3
グリセリン 0.5
ソルビトール 0.5
エチレングリコールジステアレート 1.5
ラフィノース 0.2
加水分解コムギたん白 1
ジグルコシル没食子酸 0.3
安息香酸ナトリウム 0.9
無水硫酸ナトリウム 0.3
緑色3号 0.0004
香料D 0.7
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
グリコール酸 適量(pH=4.0に調整)
精製水 バランス
合計 100.0
粘 度:4.5Pa・s
粒子径:0.1〜10μm
【0056】
実施例15〜17で調製した毛髪洗浄剤組成物は、いずれもデオドラント効果が長時間持続し、かつすすぎ時のきしみがなく使用感が優れていた。
また、実施例15〜17で調製したシャンプー組成物を下記の容器に充填し、50℃の恒温室にて1ヶ月間保存後、22〜27℃の環境下に3日間放置して、内容液全量をシャーレに移し、外観、においを評価した。評価は−5℃の恒温室にて1ヶ月間保存後、22〜27℃の環境下に3日間放置した標準品と比較して行った。その結果、いずれの保存容器においても、層分離や著しい変色、結晶物等の異物の発生、著しいにおいの変化は認められなかった。
【0057】
〈ボトル容器〉
(1)ボトル部:材質PP キャップ:材質PP
(2)ボトル部:材質HDPE キャップ:材質PP
(3)ボトル部:材質PET キャップ:材質PP
(4)ボトル部:材質PP/HDPE キャップ:材質PP
〈ポンプ容器〉
(5)ボトル部:材質PP ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(6)ボトル部:HDPE ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(7)ボトル部:PET ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(8)ボトル部:PP/HDPE ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
〈パウチ容器〉
(9)材質:アルミ蒸着ポリエチレンパウチ
PEはポリエチレン、PPはポリプロピレン、PETはポリエチレンテレフタレート、HDPEは高密度ポリエチレン、SUS304は約18%のCrと約8%のNiを含有する18−8系ステンレスを示す。
【0058】
使用原料一覧を下記表に示す。
【0059】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)陰イオン界面活性剤、
(B)ヒドロキシピリドン誘導体、
(C)水膨潤性化合物、
(D)カチオン化セルロース及びカチオン化グァーガムから選ばれる1種又は2種以上のカチオン化ポリマー、
(E)多価アルコール
を含有する組成物であって、25℃におけるpHが3.0〜5.5である毛髪洗浄剤組成物。
【請求項2】
(C)成分が水膨潤性粘土鉱物、カラギーナン、アルギン酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上の化合物である請求項1記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項3】
(E)成分がポリエチレングリコールである請求項1又は2記載の毛髪洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2007−297380(P2007−297380A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96123(P2007−96123)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】