説明

気相成長装置、及びガス吐出装置

【課題】本発明は、ガスの流速、濃度を、被処理基板面内或いは基板間の膜厚の変動に対して、領域ごとに制御を行うことが可能な気相成長装置を提供する。
【解決手段】側壁面のガス導入口20・21から原料ガスが導入されるガス室201・211と、成長室11とを備え、ガス室201・211の内部には、当該内部を積層方向に複数に区画し且つガスが通過可能な開口261’・262’が形成された1つ以上の仕切り板261・262と、各仕切り板に対して、一端が当該仕切り板の開口261’・262’を含む底面に取り付けられ且つ他端がガス室201・211の最下流層の端部まで延伸されて、ガスの流れを積層方向に垂直な方向に分割する隔壁27とが設けられ、隔壁27により分割された最下流層の領域ごとに、ガス整流室212・272及び当該ガス整流室を経たガスを成長室11に吐出するガス吐出口が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板(被処理基板)上に、例えば半導体薄膜を堆積させる気相成長装置等に関するものであり、特に、複数のガスを必要とする有機金属気相成長装置(MOCVD)での原料ガスを供給する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置は、有機金属やその他のガスを用いて結晶成長を行う装置であって、工業的に素子を量産する場合には一般にMOCVD装置が使用されている。例えば、発光ダイオード及び半導体レーザの製造においては、トリメチルガリウム(TMG)またはトリメチルアルミニウム(TMA)などの第3族有機金属ガスと、アンモニア(NH)、ホスフィン(PH)またはアルシン(AsH)などの第5族水素化合物ガスと、を成膜に寄与する原料ガスとして成長室に導入して、基板上に化合物半導体結晶を成長させるMOCVD装置が用いられている。
【0003】
MOCVD法は、MOCVD装置を用いて、上記の原料ガスを窒素などの不活性ガス、または水素ガスとともにMOCVD装置の成長室内に導入して加熱し、所定の基板上で気相反応させることにより、その基板上に化合物半導体結晶を成長させる方法である。MOCVD法を用いた化合物半導体結晶の製造では、成長させる化合物半導体結晶の品質を向上させるとともに、コストを抑えて、歩留まりを高め、生産能力を上げることが要求されている。
【0004】
まず、化合物半導体結晶の品質向上について説明すると、原料ガスの均一化が有効な手段として従来より用いられてきた。
【0005】
例えば、特許文献1では、反応ガスを均等な流速分布で基板上に供給し、基板上で気相反応させる方法が示されている。基板設置位置に対して上方の中央部にガス導入口を設け、ガス導入口からシャワープレートへつながる拡開する外壁を設けることにより、シャワープレートのガス吐出孔での反応ガスの速度差を緩和でき、基板上での反応ガスの流速分布、反応ガス濃度の均一化を実現している。
【0006】
また、特許文献2では、同種のガスに対し複数のガス導入部を有し、個々のガス導入部に設けられた流量調節部にて流量を制御することで、基板表面への反応ガスの流速の均一供給を可能にしている。
【0007】
さらに、特許文献3では、成長室の上部の周辺部に配置した環状のガス流路に均等に配置したガス導入孔より成長室に反応ガスを吐出させ、また、成長室周囲に環状のガス排出部を設置し、ガス排出部に均等配置した排気孔を介して排ガスを排出することで、基板表面への反応ガスの流速の均一供給を可能にしている。
【0008】
次に、歩留まりの向上について説明する。MOCVD装置では、成膜が行われる成長室内は減圧して使用する場合が多いことから、シャワーヘッド内の圧力は成長室内に比べると格段に高く、シャワーヘッド内で気相反応が生じることで、反応生成物がシャワーヘッドのガス吐出孔を塞ぎ、成長室内に反応ガスを供給することができなくなることがある。
【0009】
これに対して、例えば特許文献4では、図12に示すように、2種類の供給ガス(第1ガス及び第2ガス)に対応してそれぞれに第1ガス室81、第2ガス室82を設け、これらのガス室(81、82)からそれぞれの反応ガスをシャワープレートのガス吐出孔83を通して、分離した状態で成長室へ供給する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−72196号公報(公開日:2005年3月17日)
【特許文献2】特開2000−294538号公報(公開日:2000年10月20日)
【特許文献3】特開平3−203227号公報(公開日:1991年9月4日)
【特許文献4】特開2000−144432号公報(公開日:2000年5月26日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述したように化合物半導体結晶の製造では、コストを抑えて、歩留まりを高め、生産能力を上げることが近年要求されているため、ウェハの大型化への対応、及び複数枚のウェハを同時に処理するためにMOCVD装置の大型化が必要となってきている。このような装置の大型化に伴い、反応ガス、または不活性ガスを大面積で流速分布を均一に供給することが特に大きな課題となっている。
【0012】
例えば、特許文献1に記載の発明は、ガス導入口の設置位置、及び拡開する外壁を設けることで、基板上に反応ガスを均一に処理するものであるが、処理すべき基板が大型化する伴い、特に基板中央部と端部とで、反応ガスの流速分布、及び反応ガス濃度の制御が困難になる。
【0013】
また、特許文献2に記載の発明は、複数の領域に区切られたガス室の各々に同種のガスを供給するに際し、これら領域ごとにガス供給手段を設けることにより均一化を図るものであるが、ガス導入部の近傍と端部との不均一は避けられない。特に、近年の装置の大型化に伴い、領域内でのガス導入部近傍と端部との差が問題となってくることは明らかであるが、この問題に対処するために領域をより多数に分割すると、ガス供給手段がより多数必要となり装置が複雑化・大型化する。
【0014】
さらに、特許文献3に記載の発明も、成長室内における中央部(環状のガス流路の中心付近に対応する成長室内の領域)でガス流速が遅く、端部で速くなり、反応ガスが均一に供給されていない。これは、反応ガスがノズル部材(環状のガス流路の内壁)に衝突し落下するように成長室内に供給されるため、上記中央部に反応ガスが届き難いためと考えられる。
【0015】
また、他の課題として、例えば、第3〜第5族半導体など複数種のガスを必要とするCVD法においては、上記何れの従来技術においても均一なガスの供給を歩留まりよく行うことが困難であるという点も挙げられる。
【0016】
特に、特許文献1に記載の発明は、そもそも構造上、第3〜第5族半導体など2種以上のガス供給が必要な半導体を形成することは困難である。2種以上のガスを同じ領域に供給するためには、ガス供給手段を上下に分けてガスを供給する必要があるが、ガス導入口を基板に対して中央に位置させるという制約から、そのような構成が取れないからである。
【0017】
また、特許文献4は、例えば、第1ガスと第2ガスとを上下2系統に分けて供給する装置に関するが、反応ガスを均一に供給する手段が記載されていない。
【0018】
しかし、上層のガス室から供給される第1ガスの均一化を図ることができたとしても、下層にある第2ガスは、第1ガスを供給するノズルが第2ガス室82内にあるため、その流れが妨げられるので、第1ガス及び第2ガスの双方を均一に供給することは困難である。
【0019】
上記の問題に鑑みて、本発明の目的は、基板に対する原料ガスのより均一な供給を可能とし、成長膜厚や組成比を向上させ、高品位の膜質の成長を行うことができる気相成長装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明に係る気相成長装置は、側壁面の原料ガス導入口から原料ガスが導入される原料ガス室と、成長室とを備え、上記原料ガス室から上記成長室に原料ガスを供給して、上記成長室内の被処理基板に気相成長を行う気相成長装置であって、上記原料ガス室の内部には、当該内部を積層方向に複数に区画し且つ原料ガスが通過可能な開口が形成された1つ以上の仕切り板と、各仕切り板に対して、一端が当該仕切り板の上記開口を含む底面に取り付けられ且つ他端が原料ガス室の最下流層の端部まで延伸されて、原料ガスの流れを上記積層方向に垂直な方向に分割する隔壁とが設けられ、上記隔壁により分割された上記最下流層の領域ごとに、原料ガス整流室及び当該原料ガス整流室を経た原料ガスを上記成長室に吐出する原料ガス吐出口が設けられていることを特徴とする。
【0021】
ここで、原料ガスは、ガス室の側壁面のガス導入口から入ってから、整流室の底部にある原料ガス吐出口に流れ、原料ガスの流れ方向において、仕切り板により原料ガス室が積層方向に複数の空間に区画される。上記構成において、原料ガス室の最下流層は、原料ガス吐出口に一番近づいている空間であり、原料ガス室の最下流層の端部とは、原料ガス室の積層方向における最下層の区画の底部である。
【0022】
上記構成によれば、上記原料ガス室の内部を複数の領域に分割でき、ガス流れ方向の最下流層における、隔壁により分割された領域ごとで、各ガス吐出口の直前に設けられた原料ガス整流室を通してガスを吐出するので、各ガス吐出口からの原料ガス量を均等し、ガス流速を均一化することができる。これにより、安定した膜厚・膜質を得ることができる。
【0023】
なお、仕切り板に形成される上記開口は、複数の小孔であってもよい。複数の小孔を設ける場合、小孔一つあたりの開口面積は特に限定されるものではないが0.19mm〜38.4mmの範囲内であることが好ましく、7.1mm〜38.4mmの範囲内であることがより好ましい。
【0024】
また、上記隔壁は筒状に形成されることが好ましく、円筒状に形成されることがより好ましい。
【0025】
また、上記気相成長装置において、上記隔壁は、着脱可能に設置されていることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、原料ガス室を分割する隔壁及び仕切り板を互いに独立して交換することができこれにより、ガス吐出領域の分割数及び隔壁の数や形状を変更できる。つまり、搭載基板のサイズ変更や基板配置の変更時においても、ヘッド本体を交換する必要がなく、コストの低減や作業時間の短縮ができる。
【0027】
また、上記気相成長装置において、上記隔壁により分割された領域ごとに原料ガス導入量調節部が設けられ、当該原料ガス導入量調節部により、上記領域ごとから上記成長室に供給される原料ガスの導入量を制御することが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、原料ガス導入量調節部により、原料ガス供給源から原料ガス室の各領域に供給される原料ガスの導入量(流速及び濃度など)を自由に制御することができる。つまり、被処理基板での成長状況によって、各領域への原料ガスの流速及び濃度を制御して、安定した膜厚・膜質を得ることができる。
【0029】
また、上記気相成長装置において、上記原料ガス整流室は、上記原料ガス室の下流に位置し、当該原料ガス室と同数以上設けられていることが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、成長室内を複数の領域に分割した場合、それに対応して原料ガス室の領域毎に原料ガスを整流することができる。
【0031】
また、上記気相成長装置において、上記隔壁により分割される上記原料ガス室の上記最下流層は、上記被処理基板に対して内周から外周への周方向で複数領域に分割されることが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、成長室に設置されたサセプタの回転に対応して、均一な原料ガスを供給することができる。
【0033】
また、上記気相成長装置において、上記原料ガス室には、その内壁面と所定の間隔をおいて開口付壁が設置されていることが好ましい。
【0034】
上記構成によれば、原料ガス供給源から供給された原料ガスを、開口付壁に形成された開口を通じて原料ガス室の奥に供給するので、ガスの均一化を図ることができる。
【0035】
さらに、上記気相成長装置において、上記原料ガス室の内壁面及び上記開口付壁は環状になって、両者の間に環状流路が形成され、当該環状流路に対して複数の上記原料ガス導入口が均等に形成されていることが好ましい。
【0036】
上記構成によれば、ガス導入口により、原料ガスを、環状の原料ガス室の外周から、水平方向に均等に原料ガス室の奥まで供給することができる。
また、上記気相成長装置は、上記原料ガス整流室の下流に設置され上記原料ガスが供給されるガス混合部と、当該ガス混合部に上記原料ガスとは異なる種類のガスを吐出する吐出手段とをさらに備えることが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、複数種のガスをガス混合部で充分に混合してから成長室へ供給し、基板上に均一に製膜することができる。
【0038】
なお、上記吐出手段におけるガス混合部側の端部(ガスの供給管)は、ガス混合部に供給される原料ガスの流れ方向に沿った形状に形成されることが好ましい。これによれば、吐出手段の存在により、原料ガスの流れが乱される虞を抑制可能となる。また、ガス混合部に供されるガス(原料ガス、及び原料ガスとは異なる種類のガス)の流れが同方向に揃うため、ガスの流れがより乱れにくくなる。
【0039】
また、上記気相成長装置において、上記内周領域と外周領域において、上記ガス混合部から吐出されるガスの流速分布の差が、5%以内に制御されることが好ましい。
【0040】
例えば気相成長装置をLEDの製造に用いる場合、当該LEDの発光バラツキを抑えるために、基板上に製膜される膜の膜厚分布が3%以内であることが望ましい。上記構成によれば、ガス混合部へ供給されるガスの流速分布を5%以内に制御して、基板上に製膜される膜の膜厚分布を3%以内に制御できるようにする。
【0041】
また、上記気相成長装置において、上記仕切り板に形成された開口が、上記原料ガス整流室を経たガスを通過させる開口より狭いことが好ましい。
【0042】
上記構成によれば、原料ガスをガス混合部に均一に供給することができる。
【0043】
さらに、上記気相成長装置において、上記ガス混合部を外部から冷却する水冷部をさらに備えることが好ましい。
【0044】
上記構成によれば、ガス混合部及び原料ガス室の降温が必要な箇所を冷却することができる。
【0045】
また、本発明に係るガス吐出装置は、側壁面のガス導入口からガスが導入されるガス室を備えるガス吐出装置であって、上記ガス室の内部には、当該内部を積層方向に複数に区画し且つガスが通過可能な開口が形成された1つ以上の仕切り板と、各仕切り板に対して、一端が当該仕切り板の上記開口を含む底面に取り付けられ且つ他端がガス室の最下流層の端部まで延伸されて、ガスの流れを上記積層方向に垂直な方向に分割する隔壁とが設けられ、上記隔壁により分割された上記最下流層の領域ごとに、ガス整流室及び当該ガス整流室を経たガスを吐出するガス吐出口が設けられていることを特徴とする。
【0046】
また、上記構成によれば、上記ガス室の内部を複数の領域に分割でき、ガス流れ方向の最下流層における、隔壁により分割された領域ごとで、各ガス吐出口の直前に設けられたガス整流室を通してガスを吐出するので、各ガス吐出口からのガス量を均等し、ガス流速を均一化することができる。即ち、各ガス吐出口から実質的に均等にガス吐出が可能なガス吐出装置を提供することができる。
【0047】
このように、本発明に係るガス吐出装置は、上記気相成長装置だけではなく、ガスを利用して所定の処理を行う装置において、ガスの均等な吐出が必要な装置であればすべて適用できる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、基板の口径サイズ、基板の搭載位置あるいは搭載枚数に関係なく、所望の範囲に原料ガスを均一に吐出することができる。また、隔壁にて区切られた領域ごとに原料ガスの均一化、及び流量制御を行うことが可能となっているため、装置の持つプロセスウインドウを大幅に向上させることができ、より高度な成長技術を得ることができる。
【0049】
また、ガスの流速、濃度を、被処理基板面内、或いは基板間の膜厚の変動に対して領域ごとに制御することが可能であるため、結晶性に優れた品質の高い結晶成長を実現して、安定した膜厚・膜質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係るシャワーヘッドの内部構造を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る気相成長装置の構成を示す概略図である。
【図3】図1に示したシャワーヘッドの上面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るシャワーヘッド内の開口付壁の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るシャワーヘッドの内部で仕切り板及び隔壁のみを示した模式図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るシャワーヘッドの内部における外周ゾーンを拡大して示した図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るシャワーヘッドの内部でのガス流れを示した図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るシャワーヘッドの内部における内周ゾーンと外周ゾーンとの流量を同じく調整した場合のシミュレーション結果である。
【図9】本発明の実施の形態に係るシャワーヘッドの内部における内周ゾーンの流速分布を示した模式図であり、(a)は上側ガス室でのガス流速分布を示した図であり、(b)は内周ゾーンでの整流室の内部の流速分布を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るシャワーヘッドの内部における内周ゾーンの流量が外周ゾーンの流量より少なくなるように調整した場合のシミュレーション結果である。
【図11】本発明の実施の形態に係るシャワーヘッドの内部における内周ゾーンの流量が外周ゾーンの流量より多くなるように調整した場合のシミュレーション結果である。
【図12】従来技術におけるシャワーヘッドの内部構成を示す平面図である。
【図13】従来技術における気相成長装置のガス室での反応ガスの流速分布を示すシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0052】
図2は、本発明の実施の形態に係る気相成長装置の構成を示す概略図である。特に、図面では、2種類(第1ガス、第2ガス)の原料ガスを用いたMOCVD装置の構成例が示している。
【0053】
このMOCVD装置は、中空部である成長室11を有する反応炉1と、底面にシャワープレート23を持つシャワーヘッド2と、シャワーヘッド2に原料ガス(反応ガス)を供給するガス供給装置3と、シャワーヘッド2の水冷部24に冷却水を供給する水冷装置4と、成長室11からのガス排出部に接続されたパージライン5と、パージライン5を通って導入される排ガスを処理する排ガス処理装置6とを備えている。
【0054】
反応炉1は、原料ガスを供給して基板の被処理面に結晶を成長させるための容器であり、その内部には、回転軸12、回転軸12を取り囲むようにして設置された被覆板(ヒータカバー)13、回転軸12の一端に備え付けられた支持台14、支持台14上に設置されたヒータ15、ヒータ15上に設置されたサセプタ16などが設けられている。なお、成長室11の外周におけるガス流れ方向の下流位置には、排ガスを排出するためのガス排出部(符号なし)が形成されている。
【0055】
シャワーヘッド2は、反応炉1詳しくは成長室11の上方に設置されて、シャワーヘッド2の原料ガスの流れ方向の下流に位置しているシャワープレート23から、成長室11に原料ガスを提供する。また、シャワープレート23上の部分に、シャワーヘッド2の内部の温度を下げる水冷部24を設置する。
【0056】
なお、本実施形態のMOCVD装置は、原料ガスをシャワーヘッド2の側面から導入する構成を有している。このため、上部空間に制限がなくなることによりシャワーヘッド2の上部にさまざまな機構や空間を設けることが可能となる。
【0057】
シャワーヘッド2において、シャワープレート23は反応炉1内のサセプタ16と向かい合うようにして設置され、基板(被処理基板)7はシャワープレート23と向かい合うようにサセプタ16上に設置され、シャワーヘッド2から原料ガスが供給されると、所望の膜が基板7上に製膜される。また、反応炉1における回転軸12は、図示しないアクチュエータなどによって回転自在とされており、回転軸12の回転によりサセプタ16(基板7)の上面が、対向するシャワープレート23と平行な状態を保ちながら回転する。気相成長方法により基板7上に製膜する技術は、公知のことであるので、その説明は省略する。
【0058】
さらに、シャワーヘッド2の内部には、図1,5に示すように、複数の積層方向に区画する仕切り板26(上側仕切り板261、下側仕切り板262)と、積層垂直方向にガスの流れを分割する隔壁27とが設けられている。仕切り板26により、シャワーヘッド2の内部空間には、第1ガスの上側ガス室201及び下側ガス室211が形成され、隔壁27により、シャワーヘッド2のガス室が内周ゾーンAと外周ゾーンBに分けられる。もちろん、本実施の形態では、二つの仕切り板及び一つの隔壁を設置した例を説明するが、本発明において、シャワーヘッド2に設置される仕切り板の数に対しては、必要に応じて適宜設定でき、特に限定がない。なお、シャワーヘッド2の詳細な内部構造については、後述する。
【0059】
次に、本実施の形態に係るMOCVD装置のガス供給装置3について説明する。このMOCVD装置は2種類の原料ガスが供給される。仕切り板26(261、262)により区画された積層構造に応じて、第1ガスの供給源として、第1ガス上側供給源30と第1ガス下側供給源31とに分けて設置し、第2ガスの供給源として第2ガス供給源32を設置している。
【0060】
また、第1ガス上側供給源30、第1ガス下側供給源31には、第1ガスをシャワーヘッド2の第1ガス導入口(第1ガス上側導入口20、第1ガス下側導入口21;図1を参照)に導入するために、それぞれ第1ガス配管(第1ガス上側配管301、第1ガス下側配管311)が接続されている。さらに、第1ガス上側供給源30及び第1ガス下側供給源31には、供給するガスの量を調節できる手段として、それぞれ第1上側マスフローコントローラ(原料ガス導入量調節部)302、第1下側マスフローコントローラ(原料ガス導入量調節部)312が設置されている。ここで、第1ガス上側供給源30及び第1ガス下側供給源31は、2系統の第1ガス上側配管301、第1ガス下側配管311を介して、それぞれシャワーヘッド2の第1ガス上側導入口20及び第1ガス下側導入口21第1ガス導入口に接続されている。
【0061】
同様に、第2ガス供給源32には、第2ガスをシャワーヘッド2の第2ガス導入口22(図1を参照)に導入するために、第2ガス配管321が接続されており、第2ガス供給源32から供給するガスの量を調節できる手段として、第2マスフローコントローラ322が接続されている。ここで、第2ガス供給源32は、第2ガス配管321を介して、シャワーヘッド2の第2ガス導入口22に接続されている。
【0062】
なお、マスフローコントローラ(302、312、322)は図示しない制御部によりシャワーヘッド2のガス導入口(20、21、22)へのガス導入量を制御する。
【0063】
さらに、このMOCVD装置は、水冷系配管40を介して、シャワーヘッド2の水冷部24に、冷却水を供給する水冷装置4と、成長室11の内部のガスを外部に排出するためのガス排気部に接続されるパージライン5と、パージライン5に接続される排ガス処理装置6とを有している。これにより、成長室11の内部に導入されたガスはガス排気部によって成長室11の外部に排気され、排気されたガスはパージライン5を通って排ガス処理装置6に導入され、排ガス処理装置6において無害化される。
【0064】
引き続いて、図面を参照して、シャワーヘッド2の詳細構造について具体的に説明する。
【0065】
図1は、シャワーヘッド2の内部構造を示す構成図であり、図3は、本実施の形態に係るシャワーヘッド2の上面を示す概略平面図であり、図3のa−a線断面図が図1となっている。また、図4は、シャワーヘッド2内の開口付壁25の構成を示す斜視図であり、図5は、仕切り板26及び隔壁27の構造及び設置位置を模式的に示す図であり、図6は、シャワーヘッド2の外周ゾーンBを拡大して示す図である。また、図7は、図1に示したシャワーヘッド2の内部でのガスの流れを示す図である。なお、分りやすくするため、図3では、図1よりも第2ガスパイプ220の本数を減らした様子が示されている。
【0066】
本実施の形態の係るシャワーヘッド2は、図3に示す通り環状であり、第1ガスはシャワーヘッド2の外周面にある4カ所の第1ガス導入口(20・21)から供給される。すなわち、図1に示すように、シャワーヘッド2は、その上流の外周部に、第1ガス上側供給源30と接続する第1ガス上側導入口20と、第1ガス下側供給源31と接続する第1ガス下側導入口21とが形成されている。ここで、第1ガス上側導入口20及び第1ガス下側導入口21は、シャワーヘッド2の外周面から内部に延伸して形成されている。本実施の形態において、4対の第1ガス導入口(20・21)は、ガス供給の均一性を保つため、環状に形成されたシャワーヘッド2の直交する直径の両端にそれぞれ形成されている。また、第1ガス導入口(20、21)、それぞれの導入口に対応する第1ガスパイプ(第1ガス上側パイプ200、第1ガス下側パイプ210)が貫通されており、当該第1ガスパイプ(200、210)は、一端がそれぞれ対応する第1ガス配管(301、311)と接続し、他の一端がシャワーヘッド2の内部まで延伸されている。
【0067】
同様に、シャワーヘッド2は、その頂部に、第2ガス供給源32と接続する第2ガス導入口22が形成されている。当該第2ガス導入口22は、第2ガスの進入方向がシャワーヘッド2へ供給される第1ガスの進入方向と垂直になるように、シャワーヘッド2上の反応炉1に対向している面の反対側の面から内部に延伸して形成されており、第2ガスパイプ220は、一端が第2ガス配管321と接続し、他の一端がシャワーヘッド2の下半部に位置しているガス混合部まで延伸されている。
【0068】
以下、説明を理解しやすくするため、第1ガスパイプ(200、210)の第1ガス配管(301、311)と接続する端部をそれぞれ第1ガス上側導入口20及び第1ガス下側導入口21とし、第2ガスパイプ220の第2ガス配管321と接続する端部を第2ガス導入口22とする。なお、第1ガスパイプ(200、210)及び/或いは第2ガスパイプ220を設置せずに、第1ガス配管(301、311)及び/或いは第2ガス配管321を直接所定の位置まで延伸して設置することも可能である。
【0069】
また、シャワーヘッド2の内部には、内壁面と所定の位置を離れて、開口付壁25が設置され、図4に示すように、開口付壁25には複数の開口250、251が形成されている。第1ガスパイプ(200、210)を経たガスは開口付壁25の開口250、251を通って、第1ガスの上側ガス室201及び下側ガス室211に供給される。なお、第1ガスの具体的な流れについては後述する。
【0070】
また、上記のように、シャワーヘッド2には、図5に示すように、その内部を複数の積層方向に区画する仕切り板26(261、262)と、積層方向に対して垂直な方向にガスの流れを分割する隔壁27とが設けられている。
【0071】
詳しくは、まず、二つの仕切り板26(261、262)を設置して、シャワーヘッド2のガス室を積層方向に垂直な方向に区画する。上側仕切り板261は、第1ガス導入口(20、21)から供給される第1ガスが上下に分けられるように、第1ガス上側導入口20と第1ガス下側導入口21との間の位置に設けられている。ここで、上側仕切り板261の上に形成される空間を第1ガスの上側ガス室201とする。また、円筒状の隔壁27を設置し、図1に示すように、上側仕切り板261の下に形成された空間が、シャワーヘッド2の中央部を含む内周ゾーンAと内周ゾーンAを囲むように形成された外周ゾーンBに分けられるように、一端が上側仕切り板261の底面にそれと垂直に設置され、他の一端が最下層のガス室の底部まで延伸して設置されている。このとき、隔壁27の設置位置に対応して、下側仕切り板262の中心部を隔壁27が貫通可能に開口させる。
【0072】
ここで、下側仕切り板262を設置することで、上側仕切り板261の下の空間がさらに第1ガスの下側ガス室211と当該下側ガス室211の下側における外周整流室212とに区画される。また、上側仕切り板261の底面と隔壁27の内周面とにより囲まれた空間を内周整流室272とする。ここで、外周整流室212及び内周整流室272は、それぞれ対応する原料ガス室の同数以上設けることもできる。例えば、各ゾーンでの一つの原料ガス室の下に一つ以上の整流室を設けることができ、二つ以上の整流室を設けるときは、各整流室を径の異なるドーナツ状かつ同心状に配置することができる。
【0073】
なお、シャワーヘッド2の内壁面と開口付壁25との間に形成された空間をガス流路とし、上下側の仕切り板(261、262)に対応して、第1ガスの上側ガス流路201’、第1ガスの下側ガス流路211’とする。
【0074】
このように、本実施の形態では、上側仕切り板261の下に形成された空間に隔壁27を設置した構成を用いたが、隔壁27による各ゾーンへのガスの供給が可能である構成であれば、積層方向に区画された各層を隔壁27にて分割することも可能である。
【0075】
ここで、仕切り板26の構成について詳細に説明する。
【0076】
例えば、仕切り板26は、ガス室を積層方向に区画できる平板であればよい。また、第2ガスパイプ220が通過するための貫通孔を形成する。
【0077】
本実施の形態において、第1ガスの上側ガス室201における第1ガスの実質的に全部を内周整流室272に流すことがより好ましいので、上側仕切り板261において、第2ガスパイプ220が通過する部分と、内周整流室272の上部に対応する部分以外は、開口を形成しないことが好ましい。
【0078】
つまり、内周整流室272の上部に対応する上側仕切り板261の部分に形成される開口としては、第1ガスが通過可能であれば特に限定されない。または、第2ガスパイプ220を通過させるための貫通孔を、第2ガスパイプ220の外径より大きく形成してなる隙間261’(図6を参照)によって、第1ガスを通過させる。また、上記のように、下側仕切り板262には、ほぼ内周整流室272の外径の大きさに該当する開口を形成する。
【0079】
なお、第1ガスの上側ガス室201から内周整流室272へのガス流量をより多く流す場合は、上側仕切り板261のように、第2ガスパイプ220を通過させる貫通孔の以外に、第1ガスの下側ガス室211から外周整流室212にガスを通過させる孔(ガス通過孔)をさらに形成してもよい。この場合、ガスの均等な通過を実現するため、第2ガスパイプ220と当該第2ガスパイプ220を通過させる貫通孔との間の隙間261’(図6を参照)と、上記ガス通過孔とが同等の面積になるよう形成することが好ましい場合がある。
【0080】
また、シャワーヘッド2の下半部にはガス混合部がある。ガス混合部は、外周整流室212及び内周整流室272からの第1ガスが流れ込む第3ガスパイプ28を備え、第3ガスパイプ28内のガス流れ方向の上部には、第2ガスを供給する第2ガスパイプ220が挿入されているので、第1ガスと第2ガスとは、第3ガスパイプ28内のガス流れ方向の下部におけるガス混合ゾーン280で混合される。ここで、第3ガスパイプ28は、第2ガスパイプ220と一対一に対応して設置され、図3に示すように格子状に配置されている。図面では、一部の第3ガスパイプ28のみが示されている。
【0081】
なお、シャワーヘッド2のガス流れ方向の最終端において、第3ガスパイプ28の数及び設置位置に合わせて形成された構成をシャワープレート23と見なしてもよい。
【0082】
また、図1の外周ゾーンBの一部を拡大して示した図6のように、第2ガスパイプ220は、上側ガス室201、下側ガス室211、内周整流室272、外周整流室212を貫通している。また、第2ガスパイプ220は上側仕切り板261及び下側仕切り板262も貫通している。各仕切り板を貫通させるため、第2ガスパイプ58よりもわずかに大きな貫通孔が仕切り板に形成され、上側仕切り板261には隙間261’、下側仕切り板262には隙間262’が形成されている。ここで、各仕切り板上の貫通孔は、第2ガスパイプ220に対応して格子状に配置され、周方向0度を基準に水平及び垂直に配列されているため、周方向45度のピッチは、周方向0度のピッチよりルート2倍となっている(図3を参照)。
【0083】
本実施の形態では、外径φ2.5mmの第2ガスパイプ220を貫通させるために、各仕切り板に内径φ3mmの貫通孔を開き、さらに当該第2ガスパイプ220の中心と貫通孔の中心とを一致させている。このため各仕切り板と第2ガスパイプ220との間には0.25mmの隙間がある。各仕切り板の貫通孔は、上側ガス室201と内周整流室272を仕切る仕切り板261に設けられた貫通孔の隙間261’及び下側ガス室211と外周整流室212を仕切る仕切り板262に設けられた貫通孔の隙間262’が、第2ガスパイプ220と第3ガスパイプ28との間の隙間より狭いことが望ましい。この構成を取ることにより、第1ガスが均等にガス混合ゾーン280へ供給できる。
【0084】
なお、ガス混合部のガス混合ゾーン280の周辺には水冷部24が設けられている。水冷部24は、冷却水流入口241、冷却水流出口242と、冷却水を流すための冷却水流路240とにより構成されている。つまり、水冷装置4からの冷却水は、水冷系配管41を介して冷却水流入口241から水冷部24の内部に入り、冷却水流路240を経て冷却水流出口242から外に排出される。第1ガス及び第2ガスが混合される時の温度を下げるためには、第3ガスパイプの外周の少なくとも一部が囲まれるように冷却水流路240を形成するのが好ましい。
【0085】
以上のように、シャワーヘッド2は側面から第1ガスが供給され、上面から第2ガスが供給されるようになっている。また、シャワーヘッド2の内部は内周ゾーンAと外周ゾーンBに分かれており、内周ゾーンA、外周ゾーンBには各々独立した供給手段から第1ガスが供給され、独立して第1ガスの供給量が制御できるようになっている。これは、上述したように第1ガスであるTMGなどの第3族ガスの供給量は半導体の膜厚とリニアな関係があるため、製膜ゾーン内の中央部である内周ゾーンと端部である外周ゾーンとで分けて制御することにより、形成される半導体の膜厚をエリアで制御するためである。このようにすれば、第3族・第5族のガスを両方制御する必要がなく第3族だけ制御すれば半導体の膜厚を制御することができるため装置の複雑化・大型化をさけることができ効果的である。
【0086】
次に、シャワーヘッド2の内部でガス室、ガス整流室を構成する仕切り板及び隔壁の設置方式について説明する。
【0087】
本発明に適応される仕切り板26(261、262)及び隔壁27については、上側ガス室201、内周整流室272、下側ガス室211、外周整流室212が、それぞれ独立構造となっている。特に、図5に示す隔壁27の端部Cの以外においては、溶接や削りだしなどの加工方法にて原料ガスの流入等は無い。
【0088】
しかし、端部Cに関しては、封止用の部材を別途設ける場合を除き、完全な封止構造を形成しない。これは、下側ガス室211において、隔壁27の端部Cから第2ガスが内周整流室272に漏れることを防止するためだけではなく、仕切り板26及び隔壁27が、容易にシャワーヘッド2の本体から取り外しを行える構成としているためでもある。仕切り板26及び隔壁27が、容易に分解取り外しを行えることにより、例えば内部の仕切り板26や隔壁27部分を取り替えるだけで、ガス室や整流室の分割領域、各ガス室の高さ等を自由に変更することが可能となる。
【0089】
例えば、従来の構造では溶接による一体構造など、内部の分解には非常に困難を要するものであったが、本発明のシャワーヘッドの2内部構造はその課題を解決することができる。更には上記したように、端部C、上側ガス流路外周部201”、下側ガス流路外周部211”についても、例えば必要に応じてゴム体等の弾性体、あるいはバネ様の形状を持った封止ができる構成部材を配置することにより、端部C、上側ガス流路外周部201”、下側ガス流路外周部211”の各部を確実に封止可能である。本実施の形成においては、ゴム体のOリングを配置できる構成とし、端部C、その他の部分についても完全に独立構造としている。
【0090】
ここで、例えば、仕切り板26(261、262)及び隔壁27を、それぞれ独立して原料ガス室(上側ガス室201と下側ガス室211)に設置した場合は、必要に応じて、上記のように、仕切り板26と隔壁27との接続部分及び仕切り板26と原料ガス室の内壁との接続部分及び隔壁27と原料ガス室の内壁との接続部分に、上記のような封止部材を配置してガスの漏れなどを防止する。特に、上記端部Cと、その反対側の上側仕切り板261と隔壁27との接続部分にゴム体のOリングなどを配置して、下側ガス室211または外周整流室212内のガスが内周整流室272に入ることを防止する。この構成では、仕切り板26及び隔壁27が原料ガス室とそれぞれ独立して設置されたので、容易に分解取り外し及び内部の分解を行うことが可能である。
【0091】
または、例えば、仕切り板26(261、262)と隔壁27とを一体型に形成した場合は、上記端部Cにゴム体のOリングなどを配置して、外周整流室212内のガスが内周整流室272に入ることを防止する。この構成では、仕切り板26と隔壁27とが原料ガス室と一体構造になっていなので、容易に分解取り外しを行うことが可能である。
【0092】
このように、隔壁27及び仕切り板26の構造が互いに独立に交換可能である構成を取るため、基板7のサイズ変更や基板7の配置を変更する場合においても、原料ガス室の全体構造を交換する必要がなく、コスト的、また作業時間の大幅短縮が可能となる。
【0093】
もちろん、本発明は、本実施の形態において記載の構造に限定されず、仕切り板を用いて二つ以上の空間を形成するという過程で形状は限定されない。
【0094】
次に、図7に基づいて、シャワーヘッド2の内部での実際のガス流れについて説明する。
【0095】
上述したように、第1ガスは、第1ガス導入口(20、21)を通り、第1ガスパイプ(200、210)を経て、ガス流路(201’、211’)で分散され、図4に示す開口付壁25に設けられた複数の開口250、251を通って、第1ガス室(201、211)へ供給されるようになっている。
【0096】
より詳しくは、図7に示すように、まず外周ゾーンBにおいて、第1ガスは、第1ガス下側導入口21から流入され、下側ガス流路211’及び開口付壁25を通って下側ガス流路211’に供給され、その下にある外周整流室212で整流されて、第3ガスパイプ28よりガス混合ゾーン280へ供給されることとなる。
【0097】
このように、環状の開口付壁25は、壁面に設けられた複数の開口250、251から第1ガスを供給することにより、第1ガスの下側ガス室211へのガス供給の均一化に寄与する。このとき、第1ガス下側導入口21から近い部分に設けられた開口の間隔より、遠い部分(例えば図3のb−b線近傍)の開口の間隔を狭くすることにより、より均一化を図ることができる。また、下側ガス室211と外周整流室212を仕切る仕切り板262に設けられた貫通孔の隙間262’から外周整流室212へ原料ガスを流入させるることにより、供給された第1ガスがゆっくりと外周整流室212に充満され、ガス流量速度が流入側と反対側とで揃うことになり第1ガスが整流される。さらに、隙間262’が、第2ガスパイプ220と第3ガスパイプ28との間の隙間より狭いことにより、第1ガスが十分に整流され、均等に第3ガスパイプ28からガス混合ゾーン280へ供給されることになる。
【0098】
また、第2ガスは第2ガスパイプ220よりガス混合ゾーン280へ供給される。このようにガスを供給することにより、均一な反応ガスの供給が可能となる。例えば、第1ガスとしてTMA、第2ガスとしてアンモニアを用いた場合、ガス混合ゾーン280で窒化アルミニウムとなり、基板7(図2を参照)上に半導体として窒化アルミニウムを均一に製膜することができる。複数枚の基板を置いた場合であっても、各基板間で均一化が図れ、LEDの品質向上に寄与する。
【0099】
次に、内周ゾーンAにおいて、第1ガスは、第1ガス上側導入口20から流入され、上側ガス流路201’及び開口付壁25を通って上側ガス室201に供給され、内周ゾーンAの内周整流室272で整流されて、第3ガスパイプ28よりガス混合ゾーン280へ供給されることとなる。
【0100】
このように上側ガス室201と内周整流室272を仕切る仕切り板261に設けられた貫通孔の隙間261’から内周整流室272へ原料ガスを流入させることにより、供給された第1ガスがゆっくりと内周整流室272に充満され、ガス流量速度が流入側と反対側とで揃うことになり第1ガスが整流される。このとき、隙間261’が、第2ガスパイプ220と第3ガスパイプ28との間の隙間より狭いことにより、第1ガスが十分に整流され均等に第3ガスパイプ28からガス混合ゾーン280へ供給されることになる。同じく、第2ガスは第2ガスパイプ220よりガス混合ゾーン280へ供給される。このようにガスを供給することにより、外周ゾーンBと同様に均一な反応ガスの供給が可能となる。
【0101】
このとき、上側仕切り板261においては、第2ガスパイプ220を貫通させる貫通孔が存在する為、上側ガス室201と下側ガス室211との間はわずかに第1ガスが相互に混じることになる。しかし、各ガス室に送られるガスの量と比較すればわずかであり、また内周整流室272と外周整流室212は隔壁27により相互に干渉されることがなく、ガス混合ゾーン280、基板7に到達する際は、完全に内周ゾーンAと外周ゾーンBとが互いに独立に制御されるものとなっている。
【0102】
ここで、内周ゾーンAと外周ゾーンBとのガス流速分布の差が5%以内であることが好ましい。これは、LEDの発光バラツキを抑えるために、基板上に製膜される膜の膜厚分布が3%以内であることが望まれるが、それを確実に満たすためには、ガス混合ゾーン280へ供給されるガスの流速分布が5%以内であることが望まれるからである。このとき、第1ガスのコントロールが重要であることは上述した通りである。
【0103】
実際の第1ガスのシミュレーション結果を図8に示す。計算精度を向上させる為、周方向0度及び45度方向の2方向の結果を示している。周方向0度方向は、図3のa−a線方向であり、周方向45度は、周方向0度に対して45度のライン方向であるb−b線方向である。上述したように、ガスパイプ220、28は格子状に配置され、周方向0度を基準に水平・垂直に配列されているため、周方向45度のガスパイプ220、28のピッチは、周方向0度のピッチよりルート2倍となっている。なお、周方向45を選定したのはガス導入口からもっとも遠いからである。
【0104】
本実施の形態において、シミュレーションに用いるシャワーヘッド2の各部寸法は以下の通りである。まず、上側ガス流路201’の高さは5mm、上側ガス室201の高さは10mm、その下にある内周整流室272の高さを15mmと規定した。また内周ゾーンAの外径は直径150mmと規定している。
【0105】
一方、外周部分の設計上の各寸法を下側ガス流路211’の高さは5mm、下側ガス室211の高さは10mm、その下にある外周整流室212の高さを5mmと規定した。このときの外周ゾーンBの範囲は直径の内周150mmから外周580mmである。このガス室の大きさは、例えば4インチ基板を19枚搭載した場合の必要サイズである。
【0106】
このとき、原料ガスは第1ガス上側導入口20と第1ガス下側導入口21から同時に投入し、流量比はそれぞれ1:3とした。このときの総流量は400SLMで、成長室11の内部の圧力は400Torrとしている。
【0107】
本シミュレーションの結果、流速分布は、内周ゾーンAが0.31%のバラツキ、外周ゾーンBが4.87%のバラツキとなり、全体では4.85%のバラツキという結果になった。この結果は、上述した膜厚制御が可能な好ましいものである。
【0108】
一例として、図9に上側ガス室201と内周整流室272の内部における平面流速分布のシミュレーション結果を示す。
【0109】
図9(a)は、第1ガス上側導入口20から第1ガスが供給された状態の上側ガス室201内部の流速分布を示す図である。状態をみると、第1ガス上側導入口20の近傍では、原料ガスが円環状リングから供給された流速分布が傾向として残っている(D部)。この状態で、基板に第1ガスを供給すると、ガス導入口に近い側のガス流量が多くなり、基板上に形成される膜厚が不均一となってしまう。
【0110】
一方、図9(b)に内周整流室272内部の流速分布が示されている。上側ガス室201から内周整流室272へ第1ガスが供給された状態の内周整流室272の内部流速分布をみると、上側ガス室201の上記D部の不均一分布が内周整流室272に入ることにより消えており、内部が均一な状態の流速分布であることがわかる。この状態でガス混合ゾーン280に第1ガスを供給することにより、基板7上には流速分布が均等な反応したガスが供給されることになる。これにより、内周ゾーンにおいて均一膜厚で且つ高品質な膜質を持つ膜を成長させることが可能となる。
【0111】
この効果は、外周ゾーンでのガスの流速分布にも同じ効果がある。
外周ゾーンでは、下側ガス室211から外周整流室212を経由させて成長室にガスを供給することで、内周整流室272を経由した場合と同じ効果が得られる。すなわち、下側ガス室211のガスが外周整流室212にはいることによりガス流速の不均一分布が消え、均一な状態の流速分布になる。これにより、外周ゾーンにおいても均一膜厚で且つ高品質な膜質を持つ膜を成長させることが可能となる。
【0112】
さらに、本発明では、上側ガス室201及び下側ガス室211に供給されるガスの量を独立して制御するので、それぞれに対応する内周ゾーンと外周ゾーンとが均一なガス流量を有するように簡単に制御できる。
【0113】
これに比べ、例えば、上記特許文献3のように、成長室周囲に環状のガス排出部を設置し、ガス排出部に均等配置した排気孔を介して原料ガスを排出する場合の成長室でのガス流量シミュレーション結果は、図13に示すとおりである。すなわち、図13に示すように、成長室の中心部から外周部に沿って原料ガスの流速が大きくなり、中心部と外周部とで均一な気相成長を実現することが困難である。
【0114】
一方、上記課題のところでも述べたが、基板の大口径化、基板の搭載枚数の増加に伴いMOCVD装置が大型化し、それに伴いシャワー孔領域も大きくなる傾向にある。シャワー方式のMOCVD装置においては、そのシャワー孔領域が大きくなるにつれ、例えば、内周ゾーンAに供給されたガスが全て気相反応するとは限らず、寄与しなかったガスが外周ゾーンBへ排気される際に外周ゾーンBで気相反応に寄与してしまい、膜厚分布に影響してしまうという懸念がある。これは特に大型装置になればなるほど傾向は顕著となる。
【0115】
これらの問題を回避するために、内周ゾーンAと外周ゾーンBで流速(流量)を制御し、基板全体からみて膜厚分布が均等になるように制御を行う。ガスの種類や条件によって、内周ゾーンAから外周ゾーンBに向かうもの(外周排気)、外周ゾーンBから内周ゾーンAに向かうもの(中心排気)があるが、本発明のシャワーヘッド2をMOCVD装置に搭載することにより、どのような構成のガスの流れでも均等に、且つ容易に流速分布を作り出すことが可能となる。
【0116】
以下、このような様々な条件によっても本発明が有効であることをシミュレーションによって示す。
【0117】
図10にガス流速の関係が、外周ゾーンBのガス流量が内周ゾーンAよりも多い場合のシミュレーション結果を示す。このときの流量条件は、第1ガス上側導入口20に100SLM、第1ガス下側導入口21に700SLMの流量とした。これは本実施の形態で構成される装置が備える排ガス処理装置(除害装置)6の処理能力が800SLMである為に、供給する原料ガスの総流量が800SLMを超えないよう比率分配で規定している。
【0118】
結果としては、第1ガス上側導入口20と第1ガス下側導入口21との流量を上記流量に調整することにより、各ゾーンでの流速分布バラツキはそれぞれ5%以内を達成することができた。
【0119】
図11は、図10とは逆に内周ゾーンAのガス流量が外周ゾーンBよりも多い場合のシミュレーション結果である。このときの流量条件は、第1ガス上側導入口20に800SLM、第1ガス下側導入口21に0SLMの流量と規定した。この時の流量に対する規定は上記と同等である。
【0120】
結果は、[内周ゾーンA<外周ゾーンB]の分布の実現も可能となった。
【0121】
流量投入量の規定については本発明に限定されるものではなく、排ガス処理装置(除害装置)6の能力や流すガス種においても限定されるものではない。
【0122】
これらの結果から、本発明におけるシャワーヘッド孔から吐出される制御可能な流速条件は[内周ゾーンA<外周ゾーンB]と、[内周ゾーンA=外周ゾーンB]と、[内周ゾーンA>外周ゾーンB]との、どのような分布も自由に作り出すことができ、且つ流速分布の均一性5%以下を達成することが可能となるため、非常に制御性の優れた、且つ流速分布の均一性が高いシャワーヘッド2の提供が可能となった。
【0123】
なお、上記実施形態の説明では、ガス室を上下側に2層形成した場合を説明したが、ガス室内部に積層方向に仕切り板を追加して3層以上形成する場合も上記と同じ効果が得られる。
【0124】
例えば、ガス室を3層(上側ガス室、中間ガス室、下側ガス室)形成した場合の仕切り板、隔壁の設置形式を説明すると下記の通りである。
【0125】
ガス室の内部を3層に分割するには、仕切り板により分割されるガス室の最下層に整流室を形成する場合は、3つの仕切り板を設置することもできるし、整流室をガス室の底部に単独に設置する場合は、2つの仕切り板を設置することもできる。
【0126】
上記実施形態と比べ、ガス室の内部が3層に分割される構成に対しては、円筒状の隔壁を1個追加することで、最下層のガス室を積層方向に垂直な方向に内周ゾーン、外周ゾーン及び内周ゾーンと外周ゾーン部との間に形成される中間周ゾーンに区画することができる。
【0127】
この場合、1つの円筒状の隔壁(1)は、上記実施形態における隔壁27と同じように設置すればよい。すなわち、一端を上側ガス室と中間ガス室とを仕切る仕切り板の底面にそれと垂直に設置し、他端を最下層のガス室の底部まで延伸して設置する。これにより、最下層のガス室は、内周ゾーン及び外周ゾーンに区画される。そして、他の1つの円筒状の隔壁(2)は、上記1つの隔壁(1)を囲むように同心状に設置し、一端を中間ガス室と下側ガス室とを仕切る仕切り板の底面にそれと垂直に設置し、他端を最下層のガス室の底部まで延伸して設置する。これにより、最下層のガス室において、上記外周ゾーンはさらに中間周ゾーン及び外周ゾーンに区画される。
【0128】
したがって、上記の構成により、上中下側のガス室へのガス流速をそれぞれ制御することで、内周ゾーン、中間周ゾーン及び外周ゾーンでのガス供給の均一化を図ることができる。
【0129】
もちろん、ガス室の内部を4層またはそれ以上に区画した場合も同様である。
【0130】
以上のように、側面部から原料ガスを導入する構造において、シャワー孔領域全範囲での、原料ガス流速分布・濃度分布の均一化、更には内周部・外周部といったそれぞれのゾーンでの原料ガス流速分布の均一化、また、それぞれのゾーン別に原料ガスの流速面内分布を均一化した状態で流速制御を可能とする構成を取ることにより、基板表面反応の制御性を向上させることが可能となるMOCVD装置を提供する。
【0131】
以下、本発明で用いるガス種について、第3〜第5族半導体を基に簡単に説明する。第1ガスの構成元素としては、たとえば、Ga(ガリウム)、Al(アルミニウム)またはIn(インジウム)などがあり、第1ガスとしては、例えば、トリメチルガリウム(TMG)またはトリメチルアルミニウム(TMA)などの第3族の有機金属ガスの1種類以上を用いることができる。また、第2ガスの構成元素としては、たとえば、N(窒素)、P(リン)またはAs(ヒ素)などがあり、第2ガスとしては、たとえば、アンモニア(NH3)、ホスフィン(PH)またはアルシン(AsH)などの第5族の水素化合物ガスの1種類以上を用いることができる。
【0132】
これらのガスを、それぞれ第1ガス供給源30・31、第2ガス供給源32から供給することにより、LEDなどに用いる第3〜第5族半導体を製膜することができる。ここで、第3〜第5族半導体の膜厚は第3族ガス、例えばTMA供給量の増加に伴って厚くなり、膜厚とTMA供給量にはリニアな関係があるため、第3族ガスの流速分布の均一化が特に重要である。
【0133】
また、本発明においては、MOCVD装置を構成する反応炉1、シャワーヘッド2及びその他の部材の形状が図2に示す形状に限定されないことは言うまでもない。
【0134】
また、本発明に係るガス吐出装置は、上記MOCVD装置だけではなく、ガスを利用して所定の処理を行う装置において、ガスの均等な吐出が必要な装置であればすべて適用できる。
【0135】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、複数種類のガスを必要とする気相成長装置のガス供給手段に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0137】
1 反応炉
11 成長室
12 回転軸
13 被覆板
14 支持台
15 ヒータ
16 サセプタ
2 シャワーヘッド
20 第1ガス上側導入口(第1ガス導入口)
21 第1ガス下側導入口(第1ガス導入口)
200 第1ガス上側パイプ(第1ガスパイプ)
210 第1ガス下側パイプ(第1ガスパイプ)
201 上側ガス室(原料ガス室)
201’ 上側ガス流路(第1ガス流路、環状流路)
211 下側ガス室(原料ガス室)
211’ 下側ガス流路(第1ガス流路、環状流路)
212 外周整流室(原料ガス整流室)
22 第2ガス導入口
220 第2ガスパイプ
23 シャワープレート
24 水冷部
240 冷却水流路
241 冷却水流入口
242 冷却水流出口
25 開口付壁
261 上側仕切り板(仕切り板)
262 下側仕切り板(仕切り板)
27 隔壁
272 内周整流室(原料ガス整流室)
28 第3ガスパイプ
280 ガス混合ゾーン
3 ガス供給装置
4 水冷装置
5 パージライン
6 排ガス処理装置
7 基板(被処理基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁面の原料ガス導入口から原料ガスが導入される原料ガス室と、成長室とを備え、上記原料ガス室から上記成長室に原料ガスを供給して、上記成長室内の被処理基板に気相成長を行う気相成長装置であって、
上記原料ガス室の内部には、当該内部を積層方向に複数に区画し且つ原料ガスが通過可能な開口が形成された1つ以上の仕切り板と、各仕切り板に対して、一端が当該仕切り板の上記開口を含む底面に取り付けられ且つ他端が原料ガス室の最下流層の端部まで延伸されて、原料ガスの流れを上記積層方向に垂直な方向に分割する隔壁とが設けられ、
上記隔壁により分割された上記最下流層の領域ごとに、原料ガス整流室及び当該原料ガス整流室を経た原料ガスを上記成長室に吐出する原料ガス吐出口が設けられていることを特徴とする気相成長装置。
【請求項2】
上記隔壁は、着脱可能に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
【請求項3】
上記隔壁により分割された領域ごとに原料ガス導入量調節部が設けられ、当該原料ガス導入量調節部により、上記領域ごとから上記成長室に供給される原料ガスの導入量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の気相成長装置。
【請求項4】
上記原料ガス整流室は、上記原料ガス室の下流に位置し、当該原料ガス室と同数以上設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の気相成長装置。
【請求項5】
上記隔壁により分割される上記原料ガス室の上記最下流層は、上記被処理基板に対して内周から外周への周方向で複数領域に分割されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の気相成長装置。
【請求項6】
上記原料ガス室には、その内壁面と所定の間隔をおいて開口付壁が設置されていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の気相成長装置。
【請求項7】
上記原料ガス室の内壁面及び上記開口付壁は環状になって、両者の間に環状流路が形成され、当該環状流路に対して複数の上記原料ガス導入口が均等に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の気相成長装置。
【請求項8】
上記原料ガス整流室の下流に設置され上記原料ガスが供給されるガス混合部と、当該ガス混合部に上記原料ガスとは異なる種類のガスを吐出する吐出手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の気相成長装置。
【請求項9】
上記内周領域と外周領域において、上記ガス混合部から吐出されるガスの流速分布の差が、5%以内に制御されることを特徴とする請求項8に記載の気相成長装置。
【請求項10】
上記仕切り板に形成された開口が、上記原料ガス整流室を経たガスを通過させる開口より狭いことを特徴とする請求項8または9に記載の気相成長装置。
【請求項11】
上記ガス混合部を外部から冷却する水冷部をさらに備えることを特徴とする請求項8から10の何れか一項に記載の気相成長装置。
【請求項12】
側壁面のガス導入口からガスが導入されるガス室を備えるガス吐出装置であって、
上記ガス室の内部には、当該内部を積層方向に複数に区画し且つガスが通過可能な開口が形成された1つ以上の仕切り板と、各仕切り板に対して、一端が当該仕切り板の上記開口を含む底面に取り付けられ且つ他端がガス室の最下流層の端部まで延伸されて、ガスの流れを上記積層方向に垂直な方向に分割する隔壁とが設けられ、
上記隔壁により分割された上記最下流層の領域ごとに、ガス整流室及び当該ガス整流室を経たガスを吐出するガス吐出口が設けられていることを特徴とするガス吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−9752(P2012−9752A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146312(P2010−146312)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】