説明

水晶デバイス、及びその製造方法

【課題】 製造コストを低減させ且つ正確な周波数で発振する水晶デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】水晶デバイスの製造方法は、電極と枠体とを含む水晶フレームを複数有する水晶ウエハを用意する工程と、ベースを複数有するベースウエハを用意する工程と、開口部を含む第1リッドを複数有する第1リッドウエハを用意する工程と、開口部を封止する第2リッドウエハを用意する工程と、水晶ウエハ、ベースウエハおよび第1リッドウエハを接合する第1接合工程と、第1接合工程後に水晶振動片の振動周波数を測定しこの測定結果に基づいて第1リッドの開口部を介して電極の厚みを調整する調整工程と、調整工程後に、第2リッドウエハを第1リッドウエハに接合する第2接合工程と、個々の水晶デバイスに分割する工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にリッドおよびベースに水晶材を使用した表面実装型の水晶デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ATカットなどの厚みすべりの水晶振動片は、一般に、製品として求められる公称周波数よりも高い振動周波数になるように水晶振動片へ励振電極が形成された後、振動周波数を測定しながら励振電極に調整金属膜を付加して周波数を下げて調整される。一つ一つの水晶振動片が周波数調整された後、水晶振動片を収納するパッケージに固定される。一方、調整した水晶振動片をパッケージに固定すると、パッケージとの間に形成される静電容量等によって振動周波数が大きくずれるという問題があった。
【0003】
このため特許文献1に開示された水晶デバイスは、水晶振動片をパッケージに固定した後、リッドに形成された開口を介して電極が付加されて振動周波数が下げられている。そして、リッドに形成された開口をシールド板で覆って封止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−284971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された水晶デバイスは、一個ずつリッドに形成された開口をシールド板で覆わなくてはならない。このため製造コストが上昇してしまう問題があった。
【0006】
本発明は、製造コストを低減させ且つ正確な振動周波数を有する水晶デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点の水晶デバイスの製造方法は、水晶振動片を有する水晶デバイスであり、水晶振動片の表裏面に形成される電極と、水晶振動片を囲むようにして形成された枠体とを含む水晶フレームを複数有する水晶ウエハを用意する工程と、枠体の一方の面に接合するベースを複数有するベースウエハを用意する工程と、枠体の他方の面に接合し、接合した際に電極に重なる位置に形成された開口部を含む第1リッドを複数有する第1リッドウエハを用意する工程と、第1リッドウエハと同じ大きさのウエハであり、第1リッドウエハに接合し開口部を封止する第2リッドウエハを用意する工程と、水晶ウエハ、ベースウエハおよび第1リッドウエハを接合する第1接合工程と、第1接合工程後に水晶振動片の振動周波数を測定し、この測定結果に基づいて第1リッドの開口部を介して電極の厚みを調整する調整工程と、調整工程後に、第2リッドウエハを第1リッドウエハに接合する第2接合工程と、水晶ウエハ、ベースウエハ、第1リッドウエハおよび第2リッドウエハが接合した状態で、個々の水晶デバイスに分割する工程と、を備えている。
【0008】
第2の観点の水晶デバイスの周波数の調整工程は、第1の観点に記載の水晶デバイスの製造方法において、電極にスパッタにより調整金属膜を付加して厚くして振動周波数を下げ、又は逆スパッタにより電極を削って振動周波数を上げることができる。
【0009】
第3の観点の水晶デバイスの製造方法は、第2の観点に記載の水晶デバイスの製造方法において、電極の厚みをスパッタにより厚くした際の第2接合工程が、第2リッドウエハ側の第1リッドウエハに付加した調整金属膜を使って第2リッドウエハを第1リッドウエハに接合することができる。
【0010】
第4の観点の水晶デバイスの製造方法は、第2の観点に記載の水晶デバイスの製造方法において、第1リッドウエハおよび第2リッドウエハが水晶材からなり、逆スパッタが行われた際に、第2接合工程は、第2リッドウエハと第1リッドウエハとをシロキサン結合により接合する方法である。
【0011】
第5の観点の水晶デバイスの製造方法は、第1の観点ないし第4の観点のいずれか一項に記載の水晶デバイスの製造方法において、水晶フレームの枠体の外側に相当する位置に複数の水晶貫通穴が形成されており、ベースの枠体の外側に相当する位置に複数のベース貫通穴が形成されており、第1接合工程と調整工程との間に、水晶貫通穴、ベースウエハおよび貫通穴に導電金属膜を付けて外部電極を形成する外部電極形成工程を備える
【0012】
第6の観点の水晶デバイスの製造方法は、第1の観点ないし第5の観点のいずれか一項に記載の水晶デバイスの製造方法において、水晶振動片の電極が表裏面に形成され厚みすべり振動モードの厚みすべり水晶振動片を含み、第1リッドの開口部が水晶振動片の電極の形状と同じ形状を有する。
【0013】
第7の観点の水晶デバイスの製造方法は、第1の観点ないし第5の観点のいずれか一項に記載の水晶デバイスの製造方法において、水晶振動片の先端に電極が形成された一対の振動腕を有する音叉型水晶振動片を含み、第1リッドの開口部が先端に形成された電極の面積と同じ面積を有する。
【0014】
第8の観点の水晶デバイスは、表裏面に電極が形成された水晶振動片および該水晶振動片を囲む枠体を含む水晶フレームと、一方の面に枠体の一面を固定するベース容器と、一方の面に枠体の他面を固定し、水晶振動片を覆う覆い部と前記電極に重なる位置に形成された開口部とを有する第1リッドと、開口部を介しての電極上と覆い部上とに調整金属膜を積層させた後、覆い部と開口部とを合わせた大きさで、覆い部上の調整金属膜と接合するともに開口部を封止する第2リッドと、を備える。
【0015】
第9の観点の水晶デバイスは、第8の観点に記載の水晶デバイスにおいて、第2リッドが第1リッドと接合する面に開口部を囲むように形成された第1接合金属膜を有し、覆い部上に形成された調整金属膜と第1接合金属膜とが接合する。
【0016】
第10の観点の水晶デバイスは、第8の観点に記載の水晶デバイスにおいて、第2リッドが金属イオンを含むガラス板からなり、覆い部上に形成された調整金属膜と第2リッドのガラス板とが接合する。
【0017】
第11の観点の水晶デバイスは、表裏面に電極が形成された水晶振動片および該水晶振動片を囲む枠体を含む水晶フレームと、一方の面に枠体の一面を固定するベース容器と、一方の面に枠体の他面を固定し、水晶振動片を覆う覆い部と電極に重なる位置に形成された開口部とを有する第1リッドと、開口部を介して電極を薄くなるように電極の表面を削った後、覆い部と開口部とを合わせた大きさで、覆い部と接合するともに開口部を封止する第2リッドと、を備える。
【0018】
第12の観点の水晶デバイスは、第11の観点に記載の水晶デバイスにおいて、第1リッドと第2リッドとがともに水晶板からなり、覆い部と第2リッドとがシロキサン結合する。
【0019】
第13の観点の水晶デバイスは、第11の観点に記載の水晶デバイスにおいて、第2リッドが第1リッドと接合する面に開口部を囲むように形成された第1接合金属膜を有し、覆い部の第2リッド側には、水晶振動片に予め形成されていた電極よりも厚く形成された第2接合金属膜を有し、第2接合金属膜と第1接合金属膜とが接合する。
【0020】
第14の観点の水晶デバイスは、第8の観点ないし第13の観点のいずれか一項に記載の水晶デバイスにおいて、水晶振動片の電極が表裏面に形成され厚みすべり振動モードの厚みすべり水晶振動片を含み、開口部が水晶振動片の電極の面積とほぼ同じ面積を有する。
【0021】
第15の観点の水晶デバイスは、第8の観点ないし第13の観点のいずれか一項に記載の水晶デバイスにおいて、水晶振動片の先端に電極が形成された一対の振動腕を有する音叉型水晶振動片を含み、開口部が水晶振動片の先端に形成された電極の面積とほぼ同じ面積を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、正確な周波数で発振する水晶デバイスの製造をウエハ単位で行うことにより、製造コストを低減させ且つ均一な性能を有する水晶デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】水晶振動子90aの1個を示した分解斜視図である。
【図2】図1の水晶振動子90aのA−A断面図である。
【図3】水晶振動子90aの製造に係わるフローチャートである。
【図4】(a)は、ベースウエハ200の上面図である。 (b)は、ベースウエハ200に形成した複数のベース20を拡大した図である。
【図5】(a)は、ATカット水晶ウエハ100の上面図である。 (b)は、ATカット水晶ウエハ100に形成した複数のATカット水晶フレーム10を拡大した図である。
【図6】第1リッドウエハ300の上面図である。
【図7】第2リッドウエハ400aの上面図である。
【図8】水晶振動子90bの製造に係わるフローチャートである。
【図9】水晶振動子90bにおける周波数調整工程の終了後の断面図である。
【図10】水晶振動子90cにおける周波数調整工程の終了後の断面図である。
【図11】水晶振動子90dの1個を示した分解斜視図である。
【図12】水晶振動子90dにおける周波数調整工程の終了後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
<水晶振動子90aの全体構成>
第1実施形態では、厚みすべり振動する水晶片の一例として表面実装(SMD)型のATカット水晶フレーム10を有する水晶振動子90aについて説明する。図1に示される水晶振動子90aは、ウエハに形成される数百から数千の水晶振動子90aの1個を示した分解斜視図である。また図2は図1のA−A断面図を示している。なお、図2に示された1個の水晶振動子90aは周波数調整工程が終了した後の断面図である。
【0025】
以下は図1及び図2を用いて水晶振動子90aの全体構成を説明する。第1実施形態の水晶振動子90aは、ベース20、ATカット水晶フレーム10、第1リッド30a及び第2リッド40aで構成されている。
【0026】
ベース20は水晶材料などの圧電材料を用いて形成する。ベース20は上面(ATカット水晶フレーム10側)には、次に説明するATカット水晶振動部11の外形より大きな凹部21が形成され、下面(実装面側)に外部電極24が形成されている。ベース20の角部にはベース貫通穴BH(図4(b)を参照)を形成した際の貫通部22が形成されている。貫通部22の側面は、ベース20の外部電極24を形成する際に接続電極25を形成させ、外部電極24とATカット水晶フレーム10の励振電極15とが電気的に接続するように形成されている。
【0027】
ATカット水晶フレーム10はATカットされた水晶材料で形成されている。ATカット水晶フレーム10はATカット水晶振動部11と、ATカット水晶振動部11を囲む枠部12とで構成されている。ATカット水晶振動部11と枠部12との間には、上下を貫通するU字型の間隙部13が形成され、間隙部13が形成されていない部分がATカット水晶振動部11と枠部12との接続部14となっている。ATカット水晶振動部11の上面(第1リッド30a側)と下面(ベース20側)とには励振電極15が形成され、枠部12の両面には励振電極15と導電された引出電極16が形成されている。第1実施形態に係るATカット水晶フレーム10はATカット水晶振動部11の外周に間隙部13を形成しているが、間隙部13は形成しなくてもよい。また、ATカット水晶振動部11はメサ型または逆メサ型であってもよい。
【0028】
ATカット水晶フレーム10の角部には、水晶貫通穴CH(図5(b)を参照)を形成した際の貫通部17が形成され、貫通部17の側面には接続電極25が形成されている。また、ATカット水晶フレーム10の貫通部17及びベース20の貫通部22における導電電極25を経由して外部電極24とATカット水晶フレーム10の引出電極16とが電気的に接続されている。
【0029】
したがって、外部電極24に交番電圧(正負を交番する電位)を印加した時に、ATカット水晶振動部11は、励振電極15に交番電圧が印加すされることによって所定の周波数で厚みすべり振動する。また、ATカット水晶フレーム10はATカット水晶振動部11の厚さにより基本周波数が決定されるが、励振電極15の厚みによって周波数が変わる。このため、ATカット水晶フレーム10は励振電極15の厚みを変化させることで周波数の微調整を行うことができ、所望の周波数が得られる。例えば、水晶振動子90aの周波数は励振電極15の厚みを薄くさせると高くなり、励振電極15の厚みを厚くさせると低くなる。
【0030】
第1実施形態の水晶振動子90aはATカット水晶フレーム10の励振電極15を厚めに形成し、所望の周波数より低めで発振するように設計され、周波数調整工程で逆スパッタの手法をとることにより、励振電極15を薄くさせて所望の周波数に合致させる。
【0031】
第1リッド30aは水晶材料で矩形形状に形成されている。また、第1リッド30aにはATカット水晶振動部11の励振電極15の大きさに相当する形状の開口部31が形成され、ATカット水晶フレーム10側にはATカット水晶振動部11より大きな外形の凹部32がさらに形成されている。第1リッド30aにおける開口部31以外の領域は第2リッド40aとの接合領域33となる。
【0032】
第1実施形態の第2リッド40aは水晶材料で矩形形状に形成されている。第1リッド30aと接合領域33で接合されて開口部31を封止する。
【0033】
<水晶振動子90aの製造工程>
図3は、水晶振動子90aの製造に係わるフローチャートである。
ステップS11は、ベースウエハ200を形成する工程である。ベースウエハ200は水晶材料で均一平板に形成される。
ステップS111では公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術などとにより複数のベース貫通穴BHが形成される。
ステップS112では、同様にしてベースウエハ200に凹部21が形成される。なお、ATカット水晶振動部11が枠部12より薄い逆メサ型であれば、このステップS112は必ずしも必要でない。
【0034】
図4(a)および図4(b)は、ステップS11により形成されたベースウエハ200の上面図であり、図4(b)はベースウエハ200に形成した複数個のベース20を拡大した図である。
【0035】
図4(a)に示されるベースウエハ200は、例えば、円形の水晶材料で均一平板に形成され、ベースウエハ200の周縁部の一部には、水晶の結晶方向を特定するオリエンテーションフラットOFが形成されている。ベースウエハ200には、数百から数千のベース20が形成される。ベースウエハ200は後述する分割工程においてカットラインCLで分割されて1個のベース20の外形形状が形成される。
【0036】
図4(b)に示されるように、ベースウエハ200には円形のベース貫通穴BHが複数形成されている。ベース貫通穴BHはベース20の矩形の角部に形成され、角部がベース貫通穴BHの中心として形成されるため、1個のベース貫通穴BHに対して4個のベース20の貫通部22を形成することができる。ベース貫通穴BHは公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて形成する。なお、ベース貫通穴BHの位置、形状及び数量はこの限りでない。
【0037】
再び図3に戻ってフローチャートを説明する。ステップS12は、ATカット水晶ウエハ100の形成工程である。ATカット水晶ウエハ100に形成するATカット水晶フレーム10の発振周波数を所望の周波数より低めに設計しておく。
ステップS121では、ATカット水晶ウエハ100に複数のU字型の間隙部13が形成される。
ステップS122では、複数のATカット水晶フレーム10の角部に水晶貫通穴CHが形成される。ここでも、間隙部13及び水晶貫通穴CHは公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術などとにより形成される。
ステップS123では、ATカット水晶ウエハ100に、スパッタ法などの手法でATカット水晶フレーム10に励振電極15及び引出電極16が同時に形成される。この場合のATカット水晶フレーム10の励振電極15は、周波数調整段階で逆スパッタにより励振電極15の厚みを薄くする処理を想定しているため、想定する周波数調整を行うことができる十分な厚みをもつ励振電極15を形成しておく。このため第1リッドウエハ300側の励振電極15が厚く形成される。
【0038】
図5(a)および図5(b)は、ステップS12により形成されたATカット水晶ウエハ100の上面図であり、図5(b)はATカット水晶ウエハ100に形成した複数のATカット水晶フレーム10を拡大した図である。
【0039】
図5(a)に示されるように、ATカット水晶ウエハ100は水晶材料で均一平板に形成される。水晶の結晶方向を特定するオリエンテーションフラットOFが形成されている。また、ATカット水晶ウエハ100には、数百から数千のATカット水晶フレーム10が形成される。また、個々のATカット水晶フレーム10の外形形状は後述する分割工程の際のカットラインCLで示された形状で形成される。
【0040】
図5(b)に示されるように、ATカット水晶ウエハ100には数百から数千のU字型の間隙部13が形成され、同時に水晶貫通穴CHが形成される。水晶貫通穴CHの位置はベースウエハ200のベース貫通穴BHと対応する位置で形成される。
【0041】
ATカット水晶ウエハ100において、励振電極15及び引出電極16は、下地層としてCr(クロム)層を成膜し、次にAu(金)層をCr層の上層に成膜する。これはAuが水晶ウエハに対して密着性が低いため、下地層として水晶ウエハと密着性が良いCr層を成膜し、次にCr層と密着性がよいAu層を積層することで導電性の良い励振電極15及び引出電極16を形成することができる。特にAu層の厚みを厚くすることで発振周波数を所望の周波数より低くすることが好ましい。
【0042】
再び図3に戻ってフローチャートを説明する。ステップS13は、第1リッドウエハ300の形成工程である。
ステップS131では、第1リッド30aが複数形成された第1リッドウエハ300に公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術などとにより複数の開口部31が形成される。ここで、開口部31はATカット水晶フレーム10の励振電極15に相当する大きさに形成されている。
ステップS132では、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とにより第1リッドウエハ300に凹部32が形成される。なお、ATカット水晶振動部11が枠部12より薄い逆メサ型であれば、このステップS132は必ずしも必要でない。
【0043】
図6は、ステップS13により形成された第1リッドウエハ300の上面図である。第1リッドウエハ300は水晶材料で均一平板に形成されている。また、個々の第1リッド30aの外形形状は後述する分割工程の際のカットラインCLで示された形状で形成される。また、水晶の結晶方向を特定するオリエンテーションフラットOFが形成されている。
【0044】
再び図3に戻ってフローチャートを説明する。ステップS14においては、第2リッドウエハ400aが水晶材料で均一平板に所望の厚さに形成される。
ステップS11〜S14は、並行して作業が行われてもよい。
【0045】
図7は、ステップS14により形成された第2リッドウエハ400aの上面図である。第2リッドウエハ400aは、個々の第2リッド40aの外形形状を後述する分割工程の際のカットラインCLで示された形状で形成する。水晶の結晶方向を特定するオリエンテーションフラットOFが形成されている。
【0046】
再び図3に戻ってフローチャートを説明する。
ステップS15では、第1接合工程が行われる。すなわち、ステップS11、ステップS12及びステップS13で形成されたベースウエハ200、ATカット水晶ウエハ100及び第1リッドウエハ300の順に重ね合わせて接合される。重ね合わせはオリエンテーションフラットOFを基準として行われ、精密な位置合せが行われる。また、第1接合工程の正確な位置あわせにより、ベースウエハ200のベース貫通穴BHと、ATカット水晶ウエハ100の水晶貫通穴CHとは、連続する貫通穴を形成することができる。ここで、いずれのウエハも水晶材料で形成しているためシロキサン結合で接合される。
【0047】
なお、シロキサン結合は水晶材料同士の接合面を清浄な状態にしてその面同士を貼り合わせ、その後例えば200°C前後の加熱と加圧とを行うことによって接合する接合方法である。
【0048】
ステップS16では、マスクを使ったスパッタ法などの手法により貫通穴の導電電極25及び外部電極24が同時に形成される。ステップS15で接合されたベースウエハ200の下面に外部電極24が形成され、ATカット水晶ウエハ100とベースウエハ200とに形成した連続する水晶貫通穴CHとベース貫通穴BHとに導電電極25が形成される。また、連続する水晶貫通穴CHの壁面とベース貫通穴BHの壁面とに導電電極25を形成することで、ベースウエハ200に形成された外部電極24とATカット水晶ウエハ100の励振電極15とで接触不良や断線等の電極不良をなくすことができる。
【0049】
ステップS17においては、周波数調整工程が実行される。周波数調整工程ではウエハ内の全てのATカット水晶フレーム10に対して、開口部31を介して逆スパッタにて周波数調整が行われる。
【0050】
周波数調整工程では、第1接合工程と全ての電極の形成とが終了された状態で、個々のATカット水晶フレーム10に対して電圧を印加して周波数を調整する。例えば、周波数調整工程では真空雰囲気の中でベースウエハ200の外部電極24に交番電圧を印加する。そして、個々のATカット水晶フレーム10を振動させ、その周波数を測定し、その測定結果から逆スパッタにより励振電極15の厚みを薄くさせる。
【0051】
第1実施形態では個々のATカット水晶フレーム10が低めの周波数に振動するように設計してあるため、ATカット水晶フレーム10の上面の励振電極15に逆スパッタを行うことで周波数を上昇させ、所望の周波数に調整する。周波数調整工程ではウエハ内の全てのATカット水晶フレーム10に対して周波数調整が行われる。なお、第1リッドウエハ300は逆スパッタを行う際のマスクとして使用するとともに、開口部31以外の接合領域33が清浄化され第2リッドウエハ400aとのシロキサン結合に適した状態にさせることができる。
【0052】
ステップS18においては、第2接合工程を行い水晶振動子90aの封止が行われる。封止は、周波数調整済みのATカット水晶フレーム10の品質を保持するため、真空雰囲気でステップS14により形成された第2リッドウエハ400aを接合する。第1実施形態では第2リッドウエハ400aを水晶材料で形成しているため第1リッドウエハ300と第2リッドウエハ400aとの接合面を清浄にしてシロキサン結合にて接合される。ここでも、オリエンテーションフラットOFを基準位置として第2リッドウエハ400aを正確な位置で重ね合わされ、シロキサン結合する。
【0053】
ステップS19においては、水晶振動子90aを単位として分割工程が行われる。分割工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて水晶振動子90aを単位として個片化する。これにより、数百から数千の正確な周波数に調整された水晶振動子90aが製造される。
【0054】
ベースウエハ200、ATカット水晶ウエハ100及び第1リッドウエハ300が接合された後、ステップS17で周波数調整されている。このため、ステップS18およびステップS19を経ても、水晶振動子90aの周波数の変動はほとんどない。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態で製造される水晶振動子90bにおいて、第2リッドウエハ400bは均一平板で構成され、第1実施形態で説明された第2リッドウエハ400aと同じ形状であり材質が異なっている。第2リッドウエハ400bは、パイレックス(登録商標)ガラス、ホウ珪酸ガラス及びソーダガラスなどを材料としており、これらはナトリウムイオンなどの金属イオンを含有するガラス部材である。以下は、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の構成について同じ符号を用いる。
【0056】
図8は水晶振動子90bの製造に係わるフローチャートである。水晶振動子90bの製造方法は、第1実施形態で示されたステップS123、ステップS14、ステップS17及びステップS18で材料および方法が異なる。このため、第2実施形態のステップT11からステップT19内、対応されるステップT123、ステップT14、ステップT17及びステップT18についてのみ説明する。
【0057】
ステップT123において、第2実施形態では水晶振動子90bを作成するために、ATカット水晶ウエハ100に形成するATカット水晶フレーム10の発振周波数を所望の周波数より高めに設計しておく。すなわち周波数調整段階でスパッタにより励振電極15の厚みを厚くする処理を想定しているため、薄い励振電極15を形成しておく。Cr層とAu層とが積層される際には、Au層の厚みを薄くすることで発振周波数を所望の周波数より高めにする。
【0058】
ステップT14において、第2実施形態では金属イオンを含有するガラス部材の第2リッドウエハ400bを使用して所望の厚さに形成する。
【0059】
ステップT17では、周波数調整工程が実行される。周波数調整工程ではウエハ内の全てのATカット水晶フレーム10に対して開口部31を介してスパッタにて周波数調整が行われる。周波数調整工程において、第1リッド30aがマスクの役割をする。このため、周波数調整工程でATカット水晶フレーム10の励振電極15に調整金属膜35を形成し、同時に第1リッドウエハ300の開口部31以外の接合領域33にも調整金属膜35が形成される
【0060】
図9は1個の水晶振動子90bにおける周波数調整工程の終了後の断面図である。個々のATカット水晶フレーム10が所望の周波数より高めの周波数に振動するように設計してあるため、水晶振動子90bの周波数調整工程においてスパッタを行う。これにより、図9に示されたATカット水晶フレーム10の上面の励振電極15に調整金属膜35を形成することで周波数を下降させ、所望の周波数に調整する。周波数調整工程ではウエハ内の全てのATカット水晶フレーム10に対して周波数調整が行われる。
【0061】
調整金属膜35はCr層にAu層を重ねた金属膜、Au層のみ又はアルミニュウム層で形成される。なお、周波数調整工程では周波数調整が不必要の場合、又は周波数調整量が僅かで少量の金属膜しか必要としない場合は、第1リッドウエハ300に十分な金属膜を形成することができない。後述の第2接合工程のために、あらかじめ第1リッドウエハ300の上面に金属膜を形成しておいても良い。また、周波数調整工程においてスパッタによりAu層のみを形成するために、あらかじめ第1リッドウエハ300の上面には下地のCr層を形成しておいてもよい。
【0062】
ステップT18では、第2接合工程を行い水晶振動子90bの封止が行われる。封止は周波数調整済みのATカット水晶フレーム10の品質を保持するため、真空雰囲気において第2リッドウエハ400bを接合する。また、ステップT17の周波数調整工程が終了した後の水晶振動子90bは、第1リッド30aの上面の接合領域33及び上面側の励振電極15に調整金属膜35が形成されている。この状態で第2接合工程が行われ、第1リッド30aの接合領域33の調整金属膜35と金属イオンが含有されたガラス部材で形成された第2リッド40bの下面とを陽極接合により接合する。
【0063】
陽極接合は、金属と金属イオンを含有するガラス部材とを接合する技術である。例えば、真空中あるいは不活性ガス中で加熱しながら加圧し、金属を陽極とし、金属イオンを含有するガラス部材の接合面に対向する面に陰極を配置し、これらの間に電界を印加する。これにより、ガラスに含まれているナトリウムなどの金属イオンが陰極側に移動する。この結果、接合界面においてガラス部材に接触している金属が酸化され、両者が接合した状態が得られる。
【0064】
(第3実施形態)
第3実施形態で製造される水晶振動子90cにおいて、第2リッドウエハ400cは第1実施形態で説明された第2リッドウエハ400aと同じ形状である。第2リッドウエハ400cは均一平板で構成され、材質は限定することなく金属膜の形成が可能な材質であればよいため、水晶材料、ガラス部材、セラミックなどを用いることができる。
【0065】
水晶振動子90cの製造方法においても、図9で示された第2実施形態のフローチャートとほぼ同様であり、ステップT14及びステップT18の材料および接合方法が異なるだけであるため、図9を用いて異なるステップについてのみ説明する。
【0066】
ステップT14においては、例えば、水晶材料で形成した第2リッドウエハ400cが所望の厚さに形成される。また、図10に示されたように第2リッドウエハ400cの下面には第1リッドウエハ300と接合するための第1接合金属膜45が形成される。図10は1個の水晶振動子90cにおける周波数調整工程の終了後の断面図である。
【0067】
第2リッドウエハ400cに形成する第1接合金属膜45はスパッタ法などにより、第2リッドウエハ400cの下面側の全面、または第1リッドウエハ300の接合領域33に対応する領域のみに、下地のクロム層にAu層またはCu層を重ねて形成される。
【0068】
また、第2実施形態と同様に周波数調整工程では周波数調整が不必要の場合、又は周波数調整量が僅かで少量の金属膜しか必要としない場合は、第1リッドウエハ300に十分な金属膜を形成することができない。後述の第2接合工程のために、あらかじめ第1リッドウエハ300の上面に金属膜を形成しておいても良い。また、周波数調整工程においてスパッタによりAu層またはCu層のみを形成するために、あらかじめ第1リッドウエハ300の上面には下地のCr層を形成しておいてもよい。
【0069】
ステップT18では、第2接合工程を行い水晶振動子90cの封止が行われる。封止は周波数調整済みのATカット水晶フレーム10の品質を保持するため、真空雰囲気において第2リッドウエハ400cを接合する。第3実施形態では第2リッドウエハ400cの第1接合金属膜45と、第1リッドウエハ300の接合領域33の調整金属膜35とを公知の加熱加圧装置で接合される。
【0070】
なお、加熱加圧装置はウエハに形成した金属を溶かしてウエハ同士を貼り合わせる装置である。加熱加圧装置は、位置合せの終了したウエハ同士を加熱し加圧し接合する。例えば、加熱加圧装置は、ヒーターによりウエハを所定温度まで加熱し、且つ加圧アクチュエータにより所定の圧力を所定の時間加えることで、ウエハに形成したCu層またはAu層などの金属同士を接合することができる。
【0071】
なお、第2実施形態及び第3実施形態では、ステップT123においてATカット水晶フレーム10の周波数を所望の周波数より高めに設計して、ステップT17でスパッタを行うことで周波数を下げている。
【0072】
しかし、第1実施形態と同様にATカット水晶フレーム10の周波数を所望の周波数より低めに設計して、逆スパッタにより周波数を上げることも可能である。この場合は、ステップT123において、ATカット水晶ウエハ100に形成するATカット水晶フレーム10の発振周波数を所望の周波数より低めに設計しておく。この場合のATカット水晶フレーム10の周波数調整は、周波数調整段階でATカット水晶フレーム10の上面に形成する励振電極15の厚みを逆スパッタにより薄くする処理を想定しているため、想定する周波数調整が行うことができる十分な厚みをもつ励振電極15を形成しておく。このため第1リッドウエハ300側の励振電極15が厚くなるよう設計される。
【0073】
また、図10に示されたようにステップT13の第1リッドウエハ300の形成時に、第1リッドウエハ300の上面に第2接合金属膜65を形成しておく。第2接合金属膜55もステップT123と同様に、周波数調整工程で逆スパッタにより薄くなるため、想定される周波数調整が行うことができる十分な厚みをもつ第2接合金属膜55を形成しておく。
【0074】
また、ステップT17の周波数調整工程においては、第1実施形態と同様に逆スパッタにて周波数を調整する。このため、ATカット水晶フレーム10の励振電極15及び第1リッドウエハ300の第2接合金属膜55が十分な厚さで形成しておくことで、ステップT18の逆スパッタによる周波数調整工程及びステップS18での第2接合工程を行うことができる。第2接合工程は第2リッドウエハ400の接合面の材質により陽極接合、または加熱加圧装置を用いての接合を行うことができる。
【0075】
(第4実施形態)
第4実施形態で製造される水晶振動子90dは、第1実施形態ないし第3実施形態で示されたATカット水晶フレーム10でなく音叉型水晶振動フレーム50を使用している。図11に示される水晶振動子90dは、ウエハに形成される何百から何千の水晶振動子90dの1個を示した分解斜視図である。また図12は図11のB−B断面図を示している。第4実施形態の水晶振動子90dは、ベース20、音叉型水晶振動フレーム50、第1リッド30b、第2リッド40aで構成されている。
【0076】
音叉型水晶振動フレーム50は圧電材料で形成されている。音叉型水晶振動フレーム50は音叉型水晶振動部51と、音叉型水晶振動部51を囲む枠部52とで構成されている。
【0077】
音叉型水晶振動部51は、一対の振動腕53と、振動腕53の表裏両面には溝部54とが形成されている。音叉型水晶振動部51は支持腕55により枠部52と接続されている。
【0078】
振動腕53の先端付近では幅広に形成されており、ハンマー型の形状をしている。また、振動腕53のハンマー型の部分には錘電極56が形成して錘の役目と周波数調整の役目とをさせている。錘の役目としては振動腕53に電圧をかけた際に振動しやすくさせ、また安定した振動をすることができる。なお、錘電極56には交番電圧が印加されても印加されなくてもよい金属膜である。
【0079】
外形と溝部54とを形成した音叉型水晶振動フレーム50は次に錘電極56、励振電極57及び引出電極58を同時に形成する。励振電極57は音叉型水晶振動部51の振動腕53及び溝部54に形成され、引出電極58は枠部52の両面に形成されている。
【0080】
また、第1リッド30bは音叉型水晶振動フレーム50の2箇所の錘電極56に対応する位置に開口部34が2箇所に形成してある。
【0081】
第4実施形態の周波数調整工程は、第1実施形態ないし第3実施形態で示された同様な方法で行うことができる。すなわち、第1リッド30bに形成した2箇所の開口部34を介してスパッタにより錘電極56を厚くさせて水晶振動子90dの発振周波数を下げる方法が行われる。また、第1リッド30bに形成した2箇所の開口部34を介して逆スパッタにより錘電極56を薄くさせることで水晶振動子90dの発振周波数を上げる方法も行われる。さらに、逆スパッタする場合には十分な厚みの錘電極56の形成が必要となる。
【0082】
以上に示した実施形態において、ベースウエハ200または第1リッドウエハ300を水晶材料以外の材料で形成しても良い。その場合の第1接合工程の接合方法が異なり、別の接合方法で接合される。また、第4実施形態は円形の水晶単結晶ウエハを用いているが、矩形の水晶単結晶ウエハを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上、本発明の最適な実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。本明細書では水晶振動子を説明してきたが、発振回路が形成されたICを搭載する水晶発振器についても本発明を適用できる。
【0084】
例えば、本発明ではATカットの水晶振動片を一例として説明したが、これに限らずBTカットの水晶振動片、SCカットの水晶振動片などでも本発明と同じ効果が得られる。また、励振電極の形状は本発明の実施例に示された角丸長方形に限らず、様々に変形することができて六角形などの多角形で隅部を丸くした矩形でもよい。また、励振電極及び引出電極を構成する材料も本発明の実施形態に示された金属に限らず、アルミニウム(Al)などの金属でもよいし、金(Au)の含量が1〜40wt.%の金(Au)銀(Ag)合金でもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 … ATカット水晶フレーム
11 … ATカット水晶振動部
12、52 … 枠部
13 … 間隙部
14、55 … 接続部
15、57 … 励振電極
16、58 … 引出電極
17、22 … 貫通部
20 … ベース
21、32 … 凹部
24 … 外部電極
30a、30b … 第1リッド
31 … 開口部
33 … 接合領域
35 … 調整金属膜
40a、40b、40c … 第2リッド
45 … 第1接合金属膜
50 … 音叉型水晶振動フレーム
51 … 音叉型水晶振動部
53 … 振動腕
54 … 溝部
56 … 錘電極
65 … 第2接合金属膜
90a、90b、90c、90d … 水晶振動子
100 … ATカット水晶ウエハ
200 … ベースウエハ
300 … 第1リッドウエハ
400a、400b、400c … 第2リッドウエハ
A、B … 分割線
BH … ベース貫通穴
CH … 水晶貫通穴
CL … カットライン
OF … オリエンテーションフラット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動片を有する水晶デバイスの製造方法において、
前記水晶振動片の表裏面に形成される電極と、前記水晶振動片を囲むようにして形成された枠体とを含む水晶フレームを複数有する水晶ウエハを用意する工程と、
前記枠体の一方の面に接合するベースを複数有するベースウエハを用意する工程と、
前記枠体の他方の面に接合し、接合した際に前記金属膜に重なる位置に形成された開口部を含む第1リッドを複数有する第1リッドウエハを用意する工程と、
前記第1リッドウエハと同じ大きさのウエハであり、前記第1リッドウエハに接合し前記開口部を封止する第2リッドウエハを用意する工程と、
前記水晶ウエハ、前記ベースウエハおよび前記第1リッドウエハを接合する第1接合工程と、
前記第1接合工程後に前記水晶振動片の振動周波数を測定し、この測定結果に基づいて前記開口部を介して前記電極の厚みを調整する調整工程と、
前記調整工程後に、前記第2リッドウエハを前記第1リッドウエハに接合する第2接合工程と、
前記水晶ウエハ、前記ベースウエハ、前記第1リッドウエハおよび前記第2リッドウエハが接合した状態で、個々の前記水晶デバイスに分割する工程と、
を備えた水晶デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記調整工程は、前記電極にスパッタにより調整金属膜を付加して前記振動周波数を下げ、又は逆スパッタにより前記電極を削って前記振動周波数を上げる工程である請求項1に記載の水晶デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記電極の厚みをスパッタにより厚くした際に、前記第2接合工程は、前記第2リッドウエハ側の前記第1リッドウエハに付加した調整金属膜を使って前記第2リッドウエハを前記第1リッドウエハに接合する工程である請求項2に記載の水晶デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記第1リッドウエハおよび前記第2リッドウエハは水晶材からなり、
前記逆スパッタが行われた際に、前記第2接合工程は、前記第2リッドウエハと前記第1リッドウエハとをシロキサン結合により接合する請求項2に記載の水晶デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記水晶ウエハには前記枠体の外側に相当する位置に複数の水晶貫通穴が形成されており、
前記ベースウエハには前記水晶貫通穴と一致する位置に複数のベース貫通穴が形成されており、
前記第1接合工程と前記調整工程との間に、前記水晶貫通穴、前記ベースウエハおよび前記ベース貫通穴に導通金属膜を付けて外部電極を形成する外部電極形成工程を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水晶デバイスの製造する方法。
【請求項6】
前記水晶振動片は、前記電極が表裏面に形成され厚みすべり振動モードの厚みすべり水晶振動片を含み、
前記開口部は前記電極の形状と同じ形状を有する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水晶デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記水晶振動片は、先端に前記電極が形成された一対の振動腕を有する音叉型水晶振動片を含み、
前記開口部は前記先端に形成された電極の面積と同じ面積を有する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水晶デバイスの製造方法。
【請求項8】
表裏面に電極が形成された水晶振動片および該水晶振動片を囲む枠体を含む水晶フレームと、
一方の面に前記枠体の一面を固定するベース容器と、
一方の面に前記枠体の他面を固定し、前記水晶振動片を覆う覆い部と前記電極に重なる位置に形成された開口部とを有する第1リッドと、
前記開口部を介して前記電極上と前記覆い部上とに調整金属膜を積層させた後、前記覆い部と前記開口部とを合わせた大きさで、前記覆い部上の調整金属膜と接合するともに前記開口部を封止する第2リッドと、
を備える水晶デバイス。
【請求項9】
前記第2リッドは、前記第1リッドと接合する面に前記開口部を囲むように形成された第1接合金属膜を有し、
前記覆い部上に形成された調整金属膜と前記第1接合金属膜とが接合する請求項8に記載の水晶デバイス。
【請求項10】
前記第2リッドは金属イオンを含むガラス板からなり、
前記覆い部上に形成された調整金属膜と前記ガラス板とが接合する請求項8に記載の水晶デバイス。
【請求項11】
表裏面に電極が形成された水晶振動片および該水晶振動片を囲む枠体を含む水晶フレームと、
一方の面に前記枠体の一面を固定するベース容器と、
一方の面に前記枠体の他面を固定し、前記水晶振動片を覆う覆い部と前記金属膜に重なる位置に形成された開口部とを有する第1リッドと、
前記開口部を介して前記電極を薄くするように前記電極の表面を削った後、前記覆い部と前記開口部とを合わせた大きさで、前記覆い部と接合するともに前記開口部を封止する第2リッドと、
を備える水晶デバイス。
【請求項12】
前記第1リッドと前記第2リッドとはともに水晶板からなり、
前記覆い部と前記第2リッドとがシロキサン結合する請求項11に記載の水晶デバイス。
【請求項13】
前記第2リッドは、前記第1リッドと接合する面に前記開口部を囲むように形成された第1接合金属膜を有し、
前記覆い部の前記第2リッド側には、前記水晶振動片に予め形成されていた電極よりも厚く形成された第2接合金属膜を有し、
前記第2接合金属膜と前記第1接合金属膜とが接合する請求項11に記載の水晶デバイス。
【請求項14】
前記水晶振動片は、前記電極が表裏面に形成され厚みすべり振動モードの厚みすべり水晶振動片を含み、
前記開口部は前記電極の面積とほぼ同じ面積を有する請求項8から請求項13のいずれか一項に記載の水晶デバイス。
【請求項15】
前記水晶振動片は、先端に前記電極が形成された一対の振動腕を有する音叉型水晶振動片を含み、
前記開口部は前記先端に形成された電極の面積とほぼ同じ面積を有する請求項8から請求項13のいずれか一項に記載の水晶デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−216940(P2011−216940A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80195(P2010−80195)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】