水晶振動片及び水晶デバイス
【課題】 機械的振動により発生した電荷をより多く励振電極の下に集中でき、インピーダンスを小さくすることができる水晶振動片を提供する。
【解決手段】 水晶振動片(10)は、外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さ(d1)から第1厚さよりも厚い第2厚さ(d2)へ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面(CX)を少なくとも一面に有し、外周部から中央部にかけて第1断面に垂直な第2断面が第1厚さから第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面(CX)を少なくとも一面に有し、外周部の少なくとも一部に断面が直線状で且つ第1厚さの平面フリンジ部(FG)を有する。
【解決手段】 水晶振動片(10)は、外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さ(d1)から第1厚さよりも厚い第2厚さ(d2)へ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面(CX)を少なくとも一面に有し、外周部から中央部にかけて第1断面に垂直な第2断面が第1厚さから第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面(CX)を少なくとも一面に有し、外周部の少なくとも一部に断面が直線状で且つ第1厚さの平面フリンジ部(FG)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚みすべり振動する水晶振動片に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の情報機器や、携帯電話、又は移動体通信機器や圧電ジャイロセンサー等において、水晶振動片を備える水晶振動子や水晶発振器等の水晶デバイスが広く使用されている。例えば、特許文献1では、均一の厚さを有するATカットされた水晶材からなる振動部の両面に励振電極が形成された水晶振動片及びその水晶振動片を備える水晶デバイスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−214941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示された構成によれば、振動エネルギーを励振電極の下により多く集中することができないので、厚み滑り水晶振動片の振動エネルギーを閉じ込めることが困難である。したがって、インピーダンスが大きくなる。
【0005】
そこで、本発明は、機械的振動により発生した電荷をより多く励振電極の下に集中でき、インピーダンスを小さくすることができる水晶振動片及び水晶デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の水晶振動片は、外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さから第1厚さよりも厚い第2厚さへ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面を少なくとも一面に有し、外周部から中央部にかけて第1断面に垂直な第2断面が第1厚さから第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面を少なくとも一面に有し、外周部の少なくとも一部に断面が直線状で且つ第1厚さの平面フリンジ部を有する。
【0007】
第2観点の水晶振動片において、中央部には前記第2厚さの平面部を有する。
【0008】
第3観点の水晶振動片は、外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さから第1厚さよりも厚い第2厚さへ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面を少なくとも一面に有し、外周部から中央部にかけて第1断面に垂直な第2断面が第1厚さから第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面を少なくとも一面に有し、中央部には第2厚さの平面部を有する。
【0009】
第4観点の水晶振動片において、第1の曲率と第2の曲率とは同じである。
【0010】
第5観点の水晶振動片において、水晶振動片は結晶方向のX軸を中心として回転したX軸、Y’軸及びZ’軸から規定されたATカットの水晶振動片であり、Y’軸方向が水晶振動片の厚さ方向であり、第1断面がXY’断面で、第2断面がY’Z’断面である。
【0011】
第6観点の水晶振動片において、外周部はY’軸方向から見て四角形状であり、中央部はY’軸方向から見て円形状である。
【0012】
第7観点の水晶振動片において、外周部はY’軸方向から見て円形状であり、中央部はY’軸方向から見て円形状である。
【0013】
第8観点の水晶振動片において、中央部はY’軸方向から見て四角形状であり、該コンベックス面には中央部の4つの角から伸びた稜線が形成されている。
【0014】
第9観点の水晶振動片において、コンベックス面は表裏面に形成されている。
【0015】
第10観点の水晶振動片において、外周部の端部は曲面状に面取りされている。
【0016】
第11観点の水晶振動片は、外周部を囲む枠体と、外周部の少なくとも一部と枠体とを連結する連結部と、を備える。
【0017】
第12観点の水晶デバイスは、表面実装型である。第1観点から第10観点のいずれか一項の水晶振動片は、水晶振動片の中央部に形成された励振電極と励振電極から引き出された引出電極とを有し、水晶振動片を収納する凹み部を有し凹み部の底面に引出電極と導通する接続電極を有するベース部と、ベース部に接合し水晶振動片を封止するリッド部と、を備える。
【0018】
第13観点の水晶デバイスは、表面実装型である。第11観点の水晶振動片は、水晶振動片の中央部に形成された励振電極と、枠体に形成された励振電極と導通する引出電極とを有し、枠体の一方の面に接合し引出電極と導通する接続電極を有するベース部と、枠体の他方の面に接合するリッド部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、機械的振動により発生した電荷をより多く励振電極の下に集中でき、インピーダンスを小さくすることができる水晶振動片及び水晶デバイスが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の水晶デバイス100の分解斜視図である。
【図2】(a)は、図1のA−A断面図である。 (b)は、図1のB−B断面図である。 (c)は、水晶振動片10の平面図である。
【図3】水晶デバイス100の製造方法を示したフローチャートである。
【図4】水晶ウエハ10Wの平面図である。
【図5】リッドウエハ11Wの平面図である。
【図6】ベースウエハ12Wの平面図である。
【図7】(a)は、第1実施形態の変形例の水晶振動片10Aの平面図である。 (b)は、(a)のC−C断面図である。 (c)は、(a)のD−D断面図である。 (d)は、(a)のC−C断面における水晶振動片10Aから変形された水晶振動片10Bの断面図である。
【図8】第2実施形態の水晶デバイス200の分解斜視図である。
【図9】(a)は、図8のE−E断面図である。 (b)は、図8のF−F断面図である。 (c)は、水晶振動片20の平面図である。
【図10】(a)は、第2実施形態の変形例の水晶振動片20Aの平面図である。 (b)は、(a)のG−G断面図である。 (c)は、(a)のH−H断面図である。 (d)は、(a)のG−G断面における水晶振動片20Aから変形された水晶振動片20Bの断面図である。
【図11】(a)は、第3実施形態の水晶振動片30Aの平面図である。 (b)は、第3実施形態の水晶振動片30Bの平面図である。 (c)は、(a)又は(b)のJ−J断面図である。 (d)は、(a)又は(b)のJ−J断面における水晶振動片30A又は30Bから変形された水晶振動片30Cの断面図である。 (e)は、(a)又は(b)のJ−J断面における水晶振動片30A又は30Bから変形された水晶振動片30Dの断面図である。
【図12】(a)は、第4実施形態の水晶振動片40Aの平面図である。 (b)は、第4実施形態の水晶振動片40Bの平面図である。 (c)は、(a)又は(b)のK−K断面図である。 (d)は、(a)又は(b)のK−K断面における水晶振動片40A又は40Bから変形された水晶振動片40Cの断面図である。 (e)は、(a)又は(b)のK−K断面における水晶振動片40A又は40Bから変形された水晶振動片40Dの断面図である。
【図13】(a)は、第5実施形態の水晶振動片50Aの平面図である。 (b)は、(a)のL−L断面図である。 (c)は、(a)のL−L断面における水晶振動片50Aから変形された水晶振動片50Bの断面図である。 (d)は、(a)のL−L断面における水晶振動片50Aから変形された水晶振動片50Cの断面図である。
【図14】(a)は、第6実施形態の水晶振動片60Aの平面図である。 (b)は、(a)のM−M断面図である。 (c)は、(a)のM−M断面における水晶振動片60Aから変形された水晶振動片60Bの断面図である。 (d)は、(a)のM−M断面における水晶振動片60Aから変形された水晶振動片60Cの断面図である。
【図15】(a)は、第7実施形態の水晶振動片70Aの平面図である。 (b)は、(a)のN−N断面図である。 (c)は、(a)のN−N断面における水晶振動片70Aから変形された水晶振動片70Bの断面図である。 (d)は、(a)のN−N断面における水晶振動片70Aから変形された水晶振動片70Cの断面図である。
【図16】(a)は、第8実施形態の水晶振動片80Aの平面図である。 (b)は、(a)のP−P断面図である。 (c)は、(a)のR−R断面図である。 (d)は、(a)のP−P断面における水晶振動片80Aから変形された水晶振動片80Bの断面図である。 (e)は、(a)のR−R断面における水晶振動片80Aから変形された水晶振動片80Bの断面図である
【図17】第9実施形態の水晶デバイス900の分解斜視図である。
【図18】(a)は、図17のS−S断面図である。 (b)は、図17のT−T断面図である。
【図19】水晶ウエハ90Wの平面図である。
【図20】ベースウエハ92Wの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、ATカットの水晶振動片が使われている。つまり、ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。このため、ATカットの水晶振動片のX軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、本実施形態では圧電発振器の長手方向をX軸方向、圧電発振器の高さ方向をY’軸方向、X軸方向及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0022】
(第1実施形態)
<水晶デバイス100の全体構成>
水晶デバイス100は、表面実装型でありプリント基板等に実装されて使用される。水晶デバイス100の全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は水晶デバイス100の分解斜視図で、図2(a)は図1のA−A断面図で、図2(b)は図1のB−B断面図で、図2(c)は水晶振動片10の平面図である。
【0023】
図1及び図2に示されたように、水晶デバイス100はリッド凹部111を有するリッド部11と、リッド部11に接合されベース凹部121を有するベース部12と、ベース部12に載置される水晶振動片10とを備える。
【0024】
水晶振動片10は、Y’軸方向から見ると四角形となり、+X軸側に励振電極102a、102bが形成されたコンベックス面CXを有している。ここで、図1示されたようにコンベックス面CXはY’軸方向から見ると四角形である。また、図2(a)に示されたようにXY’断面から見ると、コンベックス面CXはY’軸方向の両側でコンベックス状となっている。同様に、図2(b)に示されたようにY’Z’断面から見てもコンベックス面CXはY’軸方向の両側でコンベックス状となっている。つまり、コンベックス面CXの中央部のY’軸方向の第2高さd2はその周辺のY’軸方向の第1厚さd1より厚く形成されている。さらに、コンベックス面CXがY’軸方向から見ると四角形であるため、コンベックス面CXには稜線ELが形成される。また、図2(c)に示されたように水晶振動片10においてA1−A1断面のコンベックス面CX1の曲率とB−B断面のコンベックス面CX2の曲率とは等しい。すなわち、XY’断面のコンベックス面CXの曲率とY’Z’断面のコンベックス面CXの曲率とは同じである。なお、ここでいうコンベックス面CXの曲率が同じとは、水晶のエッチングの異方性がX、Y’Z’方向でほぼ等しいとの前提で説明している。
【0025】
図1及び図2(a)に示されたように、水晶振動片10はコンベックス面CXの−X軸側に励振電極102a、102bから引き出された引出電極103a、103bが形成された平面フリンジFGをさらに有している。ここで、平面フリンジFGのY’軸方向の厚さはコンベックス面CXの周辺の第1厚さd1と同じである。
【0026】
なお、励振電極102a、102bはコンベックス面CXの中央部に形成され、Y’軸方向から見ると四角形となっている。引出電極103aは、+Y’軸側に形成された励振電極102aから引き出されて平面フリンジFG(−Y’軸側)の−Z’軸側の隅まで伸びて形成される。引出電極103bは、−Y’軸側に形成された励振電極102bから引き出されて平面フリンジFG(+Y’軸側)の+Z’軸側の隅まで伸びて形成される。
【0027】
ここで、励振電極102a、102b及び引出電極103a、103bは例えば下地としてのクロム(Cr)層が用いられ、クロム層の上面に金(Au)層が用いられる。また、クロム層の厚さは例えば0.05μm〜0.1μmで、金層の厚さは例えば0.2μm〜2μmである。
【0028】
ベース部12は、ガラス又は圧電材料より構成され、表面(+Y’側の面)にベース凹部121の周囲に形成された第2端面M2を有している。ベース部12の実装面M3のX軸方向の両側には、外部電極125a、125bがそれぞれ形成されている。ベース部12の四隅には、貫通孔BH(図6を参照)を形成した際の4つのキャスタレーション122a、122bがそれぞれ形成されている。具体的には、+X軸側に側面電極123aが形成されている一対のキャスタレーション122aが配置され、−X軸側に側面電極123bが形成されている一対のキャスタレーション122bが配置されている。ここで、一対の側面電極123aが外部電極125aに導電され、一対の側面電極123bが外部電極125bに導電されている。
【0029】
第2端面M2には、側面電極123aから第2端面M2の−X軸方向の−Z’軸側まで伸びた接続電極124aと、側面電極123bから第2端面M2の−X軸方向の+Z’軸側まで伸びた接続電極124bとが形成されている。
【0030】
なお、水晶振動片10がベース部12に載置される際、水晶振動片10の引出電極103aがベース部12の接続電極124aに接続され、水晶振動片10の引出電極103bがベース部12の接続電極124bに接続される。これにより、ベース部12の外部電極125aが側面電極123a、接続電極124a及び引出電極103aを介して水晶振動片10の励振電極102aに導電される。同様に、ベース部12の外部電極125bが側面電極123b、接続電極124b及び引出電極103bを介して水晶振動片10の励振電極102bに導電される。その結果、外部電極125a、125bに交番電圧(正負を交番する電位)が印加されると、水晶振動片10は厚みすべり振動する。
【0031】
水晶デバイス100は、ベース部12に接合されて水晶振動片10を封止するリッド部11をさらに有している。リッド部11は、ガラス又は圧電材料より構成され、表面(−Y’側の面)にリッド凹部111の周囲に形成された第1端面M1を有している。また、リッド部11は第1端面M1に形成された非導電性封止材によりベース部12に接合される。
【0032】
非導電性封止材としては、例えば低融点ガラスLGが用いられる。低融点ガラスLGは、350℃〜410℃で溶融する鉛フリーのバナジウム系ガラスを含む。バナジウム系ガラスはバインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。また、このバナジウム系ガラスは接着時の気密性と耐水性・耐湿性などの信頼性が高い。さらに、バナジウム系ガラスはガラス構造を制御することにより熱膨張係数も柔軟に制御できる。非導電性封止材として、低融点ガラスの替わりにポリイミド樹脂を用いてもよい。
【0033】
さらに、リッド部11の第1端面M1とベース部12の第2端面M2とが接合されてリッド凹部111及びベース凹部121により水晶振動片10を封止したキャビティCTが形成される。また、キャビティCTは不活性ガスで満たされたり又は真空状態に気密されたりする。
【0034】
第1実施形態では、図2(c)のA1−A1断面のコンベックス面CX1の曲率とB−B断面のコンベックス面CX2の曲率とは等しいと説明したが、コンベックス面CX1とコンベックス面CX2とが異なる曲率を有してもよい。また、以下の第2実施形態から第9実施形態及びそれらの変形例でも同じである。
【0035】
<水晶デバイス100の製造方法>
図3は、水晶デバイス100の製造方法を示したフローチャートである。図3において、水晶振動片10の製造ステップS10と、リッド部11の製造ステップS11と、ベース部12の製造ステップS12とは並行して製造することができる。また、図4は複数の水晶振動片10を同時に製造できる水晶ウエハ10Wの平面図で、図5は複数のリッド部11を同時に製造できるリッドウエハ11Wの平面図で、図6は複数のベース部12を同時に製造できるベースウエハ12Wの平面図である。
【0036】
ステップS10では、水晶振動片10が製造される。ステップS10はステップS101〜S103を含んでいる。
ステップS101において、図4に示されたように、均一の水晶ウエハ10Wにエッチング又は機械加工により複数の水晶振動片10の外形が形成される。すなわち、コンベックス面CX及び平面フリンジFGにより形成された水晶振動片10の外形が形成される。つまり、Y’軸方向の両面がコンベックス面CXとなり、平面フリンジFGを有している水晶振動片10の外形が形成される。ここで、各水晶振動片10は平面フリンジFGに連結された接続部104により水晶ウエハ10Wに連結されている。なお、コンベックス面CXがY’軸方向から見ると四角形であるため、コンベックス面CXには稜線ELが形成される。
【0037】
ステップS102において、まずスパッタリングまたは真空蒸着によって水晶ウエハ10Wの両面及び側面にクロム層及び金層が順に形成される。そして、金属層の全面にフォトレジストが均一に塗布される。その後、露光装置(図示しない)を用いて、フォトマスクに描かれた励振電極、引出電極のパターンが水晶ウエハ10Wに露光される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされる。これにより、図4に示されたように水晶ウエハ10W両面及び側面には励振電極102a、102b及び引出電極103a、103bが形成される。
【0038】
ステップS103において、水晶振動片10が個々に切断される。切断工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて図4に示された一点鎖線のカットラインCLに沿って切断する。
【0039】
ステップS11では、リッド部11が製造される。ステップS11はステップS111及びS112を含んでいる。
ステップS111において、リッド部11の外形が形成される。図5に示されたように、均一厚さの水晶平板のリッドウエハ11Wにリッド凹部111が数百から数千個形成される。リッドウエハ11Wには、エッチング又は機械加工によりリッド凹部111が形成され、リッド凹部111の周囲には第1端面M1が形成される。
【0040】
ステップS112において、図5に示されたように、スクリーン印刷でリッドウエハ11Wの第1接合面M1に低融点ガラスLGが形成される。その後、低融点ガラスLGを仮硬化することで、低融点ガラスLG膜がリッドウエハ11Wの第1接合面M1に形成される。このとき、低融点ガラスLGは後述するベースウエハ12Wの貫通孔BHに対応する箇所112に形成されないことが好ましい。
【0041】
ステップS12では、ベース部12が製造される。ステップS12はステップS121及びS122を含んでいる。
ステップS121において、図6に示されたように、均一厚さの水晶平板のベースウエハ12Wにベース凹部121が数百から数千個形成される。ベースウエハ12Wには、エッチング又は機械加工によりベース凹部121が形成され、ベース凹部121の周囲には第2端面M2が形成される。同時に、各ベース部12の四隅にはベースウエハ12Wを貫通した円形の貫通孔BHがそれぞれ形成される。ここで、円形の貫通孔BHが1/4に分割されると1つのキャスタレーション122a、122b(図1を参照)になる。
【0042】
ステップS122において、スパッタリングまたは真空蒸着によってベースウエハ12Wの両面にクロム(Cr)層を下地としてその表面に金(Au)層が形成される。その後、エッチングされることで、図6に示されたように第2端面M2に接続電極124a、124bが形成され、実装面M3に外部電極125a、125bが形成される。同時に貫通孔BHの全面には側面電極123a、123bが形成される(図1を参照)。
【0043】
ステップS13では、ステップS10で製造された個々の水晶振動片10が導電性接着剤13(図2を参照)でウエハ12Wに形成されたベース部12の第2端面M2にそれぞれ載置される。このとき、水晶振動片10の引出電極103a、103bとベース部12の第2端面M2に形成された接続電極124a、124bとの位置が合うように水晶振動片10がベース部12の第2端面M2に載置される。ベースウエハ12Wには数百から数千個の水晶振動片10が載置される。
【0044】
ステップS14では、低融点ガラスLGを加熱させリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが加圧される。これによりリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが接着剤である低融点ガラスLGにより接合される。
【0045】
ステップS15では、接合されたリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが個々の水晶デバイス100に切断される。切断工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて図4〜図6に示された一点鎖線のスクライブラインSLに沿って水晶デバイス100を単位として個片化する。これにより、数百から数千の水晶デバイス100が製造される。
【0046】
以下の第2実施形態〜第8実施形態及び変形例1、変形例2における水晶デバイスの製造方法は第1実施形態の図3で説明された製造方法と同じであるので、説明を省略する。
【0047】
(変形例1)
変形例1では、第1実施形態の水晶振動片10から変形された水晶振動片10A、10Bについて、図7を参照しながら説明する。図7において、(a)は第1実施形態の変形例の水晶振動片10Aの平面図で、(b)は(a)のC−C断面図で、(c)は(a)のD−D断面図で、(d)は(a)のC−C断面における水晶振動片10Aから変形された水晶振動片10Bの断面図である。
【0048】
図7(a)に示されたように、+Y’軸側から見ると、水晶振動片10Aは第1実施形態の水晶振動片10と同一の構成となっている。但し、図7(b)及び図7(c)に示されたように、水晶振動片10AはXY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片10Aがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片10Aの+Y’軸側はコンベックス面CXで、−Y’軸側は平面状となっている。したがって、+Y’軸側に形成された励振電極102Aaはコンベックス状で、−Y’軸側に形成された励振電極102Abは平面状となっている。
【0049】
図7(d)に示された水晶振動片10Bは、水晶振動片10Aから変形されたものである。図7(d)に示されたように、水晶振動片10Bは平面フリンジFGの−X軸側の端部TSが面取りされている。したがって、引出電極103Ba、103Bbも端部TSで曲線状に形成される。このような構成によれば、水晶振動片10Bが振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。図7(d)に示された端部TSの面取りは第1実施形態で説明された水晶振動片10にも適用される。
【0050】
(第2実施形態)
水晶デバイス200の全体構成について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は水晶デバイス200の分解斜視図で、図9(a)は図8のE−E断面図で、図9(b)は図8のF−F断面図で、図9(c)は水晶振動片20の平面図である。なお、第1実施形態と同じ構成要件については同一の符号を付して説明する。
【0051】
図8及び図9に示されたように、水晶デバイス200はリッド部11と、リッド部11に接合されるベース部22と、ベース部22に載置される水晶振動片20とを備える。
【0052】
水晶振動片20は、中央にY’軸方向から見ると角丸長方形となり、角丸長方形の励振電極202a、202bが形成された角丸長方形の平面部PN及びその平面部PNの外周に形成されたコンベックス面CXを有している(図9(c)を参照)。また、コンベックス面CXの周辺にはY’軸方向から見ると四角形の平面フリンジFGが形成されている。
【0053】
図9(a)に示されたようにXY’断面から見ると、平面部PNと平面フリンジFGとはコンベックス面CXにより連結されている。また平面部PNは平面フリンジFGのY’軸方向の両側に形成され、平面部PN同士の距離d2は平面フリンジFGの厚さd1より大きく形成されている。同様に、図9(b)に示されたようにY’Z’断面から見ても平面部PNと平面フリンジFGとはコンベックス面CXにより連結されている。さらに、XY’断面のコンベックス面CXの曲率とY’Z’断面のコンベックス面CXの曲率とは同じである。
【0054】
また、水晶振動片20は平面フリンジFGのX軸方向の両側の端部TSが面取りされている。このような構成によれば、水晶振動片20が振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。
【0055】
図8及び図9(a)に示されたように、水晶振動片20は+Y’軸側の励振電極202aから引き出されコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの(−Y’軸側)の−X軸側の隅(−Z’軸側)まで伸びて形成される引出電極203aを有している。同様に、水晶振動片20は−Y’軸側の励振電極202bから引き出されコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの(+Y’軸側)の+X軸側の隅(+Z’軸側)まで伸びて形成される引出電極203bを有している。
【0056】
ベース部22は、ガラス又は圧電材料より構成され、表面(+Y’側の面)にベース凹部121の周囲に形成された第2端面M2を有している。ベース部22の実装面M3のX軸方向の両側には、外部電極125a、125bがそれぞれ形成されている。ベース部22の四隅には4つのキャスタレーション122a、122bが形成され、キャスタレーション122a、122bには側面電極123a、123bが形成されている。
【0057】
第2端面M2には、側面電極123aから第2端面M2の−X軸方向の−Z’軸側まで伸びた接続電極224aと、側面電極123bから第2端面M2の+X軸方向の+Z’軸側まで伸びた接続電極224bとが形成されている。
【0058】
なお、水晶振動片20がベース部22に載置される際、水晶振動片20の引出電極203aがベース部22の接続電極224aに接続され、水晶振動片20の引出電極203bがベース部22の接続電極224bに接続される。これにより、外部電極125a、125bに交番電圧(正負を交番する電位)が印加されると、水晶振動片20は厚みすべり振動する。
【0059】
第2実施形態では、Y’軸方向の両側に平面部PN及びコンベックス面CXを有している水晶振動片20について説明したが、第1実子形態と同様に平面部PNを有していない構成でもよい。すなわち、Y’軸方向の両側にコンベックス面CXのみを有している構成でもよい。また、変形例1の図7(b)に示されたように片方がコンベックス面CX又は平面部PNを有するコンベックス面CXで片方が平面状であるプラノコンベックス構成でもよいし、平面フリンジFGのX軸方向の両側の端部TSが面取りされていない構成でもよい。さらに、第2実施形態ではコンベックス面CX及び平面部PNが角丸長方形であるが、楕円形となってよい。
【0060】
(変形例2)
変形例2では、第2実施形態の水晶振動片20から変形された水晶振動片20A、20Bについて、図10を参照しながら説明する。図10において、(a)は第2実施形態の変形例の水晶振動片20Aの平面図で、(b)は(a)のE−E断面図で、(c)は(a)のF−F断面図で、(d)は(a)のE−E断面における水晶振動片20Aから変形された水晶振動片20Bの断面図である。
【0061】
図10(a)に示されたように、水晶振動片20Aは+Y’軸側から見ると四角形である平面部PN、コンベックス面CX及び平面フリンジFGから構成される。但し、図10(b)及び図10(c)に示されたように、水晶振動片20AはXY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片20Aがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片20Aの+Y’軸側はコンベックス面CXで、−Y’軸側は平面状となっている。したがって、+Y’軸側に形成された励振電極202Aaはコンベックス状で、−Y’軸側に形成された励振電極202Abは平面状となっている。
【0062】
図10(d)に示された水晶振動片20Bは、水晶振動片20Aから変形されたものである。図10(d)に示されたように、水晶振動片20Bは平面フリンジFGの−X軸側の端部TSが面取りされている。このような構成によれば、水晶振動片20Bが振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。
【0063】
変形例2では、片方のみがコンベックス面CXであるプラノコンベックス形状の水晶振動片について説明したが、第2実施形態と同様にY’軸方向の両側にコンベックス面CXを有する形状でもよい。また、変形例2ではコンベックス面CXに平面部PNが形成されているが、第1実施形態と同様に平面部PNが形成されていないコンベックス面CXでもよい。
【0064】
(第3実施形態)
第3実施形態では、円形のコンベックス面CXを有する水晶振動片30A〜30Dについて、図11を参照しながら説明する。図11において、(a)は水晶振動片30Aの平面図で、(b)は水晶振動片30Bの平面図で、(c)は(a)又は(b)のJ−J断面図で、(d)は(a)又は(b)のJ−J断面における水晶振動片30A又は30Bから変形された水晶振動片30Cの断面図で、(e)は(a)又は(b)のJ−J断面における水晶振動片30A又は30Bから変形された水晶振動片30Dの断面図である。
【0065】
図11(a)に示されたように、水晶振動片30Aの+X軸側にはY’軸方向から見ると円形であるコンベックス面CXを有し、コンベックス面CXの−X軸側にはY’軸方向から見ると四角形である平面フリンジFGを有している。ここで、コンベックス面CXは水晶振動片30AのY’軸方向の両側に形成され、XY’断面(図11(c)を参照)及びY’Z’断面(図2(b)を参照)から見てもコンベックス状となっている。また、図11(c)に示されたようにコンベックス面CXに形成された励振電極302Aa、302AbもY’軸方向から見ると円形となっている。
【0066】
なお、+Y’軸側のコンベックス面CXに形成された励振電極302Aaから引き出される引出電極303Aaはコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの底面(−Y’軸側)の−Z’軸側まで伸びて形成される。また、−Y’軸側のコンベックス面CXに形成された励振電極302Abから引き出される引出電極303Abはコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの上面(+Y’軸側)の+Z’軸側まで伸びて形成される。
【0067】
図11(b)に示された水晶振動片30Bは、Y’軸方向から見ると円形であるコンベックス面CXと、そのコンベックス面CXの周辺に形成された四角形の平面フリンジFGとを有している。コンベックス面CXは水晶振動片30BのY’軸方向の両側に形成され、XY’断面及びY’Z’断面から見てもコンベックス状となっている。
【0068】
図11(d)に示された水晶振動片30CはY’軸方向から見ると、図11(a)又は図11(b)と同じ形状であるが、XY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片30Cがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片30Cの+Y’軸側はコンベックス面CXで、−Y’軸側は平面状となっている。したがって、+Y’軸側に形成された励振電極302Caはコンベックス状で、−Y’軸側に形成された励振電極302Cbは平面状となっている。
【0069】
図11(e)に示された水晶振動片30Dは水晶振動片30A又は30Bから変形されたものである。水晶振動片30Dは平面フリンジFGの−X軸側の端部TSが面取りされている。このような構成によれば、水晶振動片30Dが振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。図示しないが、水晶振動片30Cの平面フリンジFGの端部TSが面取りされてもよい。
【0070】
(第4実施形態)
第4実施形態では、円形のコンベックス面CXの中央に平面部PNが形成された水晶振動片40A〜40Dについて、図12を参照しながら説明する。図12において、(a)は水晶振動片40Aの平面図で、(b)は水晶振動片40Bの平面図で、(c)は(a)又は(b)のK−K断面図で、(d)は(a)又は(b)のK−K断面における水晶振動片40A又は40Bから変形された水晶振動片40Cの断面図で、(e)は(a)又は(b)のK−K断面における水晶振動片40A又は40Bから変形された水晶振動片40Dの断面図である。
【0071】
図12(a)〜(e)に示された水晶振動片40A〜40Dは第3実施形態の30A〜30Dに比べると、コンベックス面CXの中央に円形の平面部PNが形成され、平面部PNに励振電極402Aa、402Ab、402Ba、402Bb、402Caが形成される点が異なる。
【0072】
(第5実施形態)
第5実施形態では、円形のコンベックス面CXを有する水晶振動片50A〜50Cについて、図13を参照しながら説明する。図13において、(a)は第5実施形態の水晶振動片50Aの平面図で、(b)は(a)のL−L断面図で、(c)は(a)のL−L断面における水晶振動片50Aから変形された水晶振動片50Bの断面図で、(d)は(a)のL−L断面における水晶振動片50Aから変形された水晶振動片50Cの断面図である。
【0073】
図13(a)に示されたように、水晶振動片50Aの中央にはY’軸方向から見ると円形であるコンベックス面CXを有し、コンベックス面CXの周辺にはY’軸方向から見ると四角形である平面フリンジFGを有している。また、コンベックス面CXに形成された励振電極502Aa、502AbはY’軸方向から見ると円形となっている。図13(b)に示されたように、コンベックス面CXは水晶振動片50AのY’軸方向の両側に形成され、XY’断面及びY’Z’断面から見てもコンベックス状となっている。
【0074】
なお、+Y’軸側のコンベックス面CXに形成された励振電極502Aaから引き出される引出電極503Aaはコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの底面(−Y’軸側)の−X軸側(−Z’軸側)まで伸びて形成される。また、−Y’軸側のコンベックス面CXに形成された励振電極502Abから引き出される引出電極503Abはコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの上面(+Y’軸側)の+X軸側(+Z’軸側)まで伸びて形成される。
【0075】
図13(c)に示された水晶振動片50BはY’軸方向から見ると、図13(a)と同じ形状であるが、XY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片50Bがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片50Bの+Y’軸側はコンベックス面CXで、−Y’軸側は平面状となっている。したがって、+Y’軸側に形成された励振電極502Baはコンベックス状で、−Y’軸側に形成された励振電極502Bbは平面状となっている。
【0076】
図13(d)に示された水晶振動片50Cは水晶振動片50Aから変形されたものである。水晶振動片50Cは平面フリンジFGのX軸方向の両側の端部TSが面取りされている。このような構成によれば、水晶振動片50Cが振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。図示しないが、水晶振動片50Bの平面フリンジFGの端部TSが面取りされてもよい。
【0077】
(第6実施形態)
第6実施形態では、円形のコンベックス面CXを有する水晶振動片60A〜60Cについて、図14を参照しながら説明する。図14において、(a)は第6実施形態の水晶振動片60Aの平面図で、(b)は(a)のL−L断面図で、(c)は(a)のM−M断面における水晶振動片60Aから変形された水晶振動片60Bの断面図で、(d)は(a)のM−M断面における水晶振動片60Aから変形された水晶振動片60Cの断面図である。
【0078】
図14(a)〜(d)に示された水晶振動片60A〜60Cは第5実施形態の50A〜50Cに比べると、コンベックス面CXの中央に円形の平面部PNが形成され、平面部PNに励振電極602Aa、602Ab、602Baが形成される点が異なる。
【0079】
(第7実施形態)
第7実施形態では、円形のコンベックス面CX及び円形の平面フリンジFGを有する水晶振動片70A〜70Cについて、図15を参照しながら説明する。図15において、(a)は第5実施形態の水晶振動片70Aの平面図で、(b)は(a)のN−N断面図で、(c)は(a)のN−N断面における水晶振動片70Aから変形された水晶振動片70Bの断面図で、(d)は(a)のN−N断面における水晶振動片70Aから変形された水晶振動片70Cの断面図である。
【0080】
図15(a)〜(d)に示された水晶振動片70A〜70Cは第5実施形態の50A〜50Cに比べると、コンベックス面CXの周辺にY’軸方向から見ると円形である平面フリンジFGを有する点が異なる。
【0081】
第7実施形態では円形の平面フリンジFGが用いられるので、水晶振動片70Aにおける励振電極702Aa、702Abに接続された引出電極703Aa、703Abの形状が第5実施形態と比べると変更される。同様に、水晶振動片70Bにおける励振電極702Ba、702Bbに接続された引出電極703Ba、703Bb、及び水晶振動片70Cにおける励振電極702Aa、702Abに接続された引出電極703Ca、703Cbの形状が第5実施形態と比べると変更される。ここで、具体的な説明を省略する。
【0082】
(第8実施形態)
第8実施形態では、四角形のコンベックス面CX及び平面部PNを有し、平面フリンジを有していない水晶振動片80A、80Bについて、図16を参照しながら説明する。図16において、(a)は第8実施形態の水晶振動片80Aの平面図で、(b)は(a)のP−P断面図で、(c)は(a)のR−R断面図で、(d)は(a)のP−P断面における水晶振動片80Aから変形された水晶振動片80Bの断面図で、(e)は(a)のR−R断面における水晶振動片80Aから変形された水晶振動片80Bの断面図である。
【0083】
図16(a)に示されたように、水晶振動片80AはY’軸方向から見ると四角形であるコンベックス面CXを有し、コンベックス面CXの中央には励振電極802Aa、802Abが形成された平面部PNを有している。図16(b)及び(c)に示されたように、コンベックス面CXは水晶振動片80AのY’軸方向の両側に形成され、XY’断面及びY’Z’断面から見てもコンベックス状となっている。さらに、すなわち、XY’断面のコンベックス面CXの曲率とY’Z’断面のコンベックス面CXの曲率とは同じである。
【0084】
なお、+Y’軸側の平面部PNに形成された励振電極802Aaから引き出される引出電極803Aaは+Y’軸側のコンベックス面CXを経由して−Y’軸側のコンベックス面CXの−X軸側(−Z’軸側)まで伸びて形成される。また、−Y’軸側の平面部PNに形成された励振電極802Abから引き出される引出電極803Abは−Y’軸側のコンベックス面CXを経由して+Y’軸側のコンベックス面CXの+X軸側(+Z’軸側)まで伸びて形成される。
【0085】
図16(d)及び(e)に示された水晶振動片80BはY’軸方向から見ると、図16(a)と同じ形状であるが、XY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片80Bがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片80Bの+Y’軸側はコンベックス面CXを有し、−Y’軸側は平面状となっている。
【0086】
第8実施形態では、コンベックス面CX及び平面部PNが四角形となっているが、第2実施形態と同様に角丸長方形でもよいし、第3〜第7実施形態と同様に円形でもよい。さらに、図示しない楕円形となってもよい。
【0087】
(第9実施形態)
<第9水晶デバイス900の全体構成>
第9水晶デバイス900の全体構成について、図17及び図18を参照しながら説明する。
図17は第9実施形態の水晶デバイス900の分解斜視図で、図18(a)は図17のS−S断面図で、図18(b)は図17のT−T断面図である。
【0088】
図17に示されたように、第9水晶デバイス900は、リッド凹部911を有する矩形のリッド部91と、ベース凹部921を有するベース部92と、リッド部91及びベース部92に挟まれる矩形の水晶振動片90とを備える。
【0089】
水晶振動片90はATカットされた水晶材料で形成され、+Y’側の表面Meと−Y’側の裏面Miとを有している。水晶振動片90は矩形の水晶振動部901と水晶振動部901を囲む枠体905とで構成されている。また、水晶振動部901と枠体905との間には、表面Meから裏面Miまで貫通する貫通開口部908が形成される。貫通開口部908が形成されていない部分が水晶振動部901と枠体905との連結部904a、904bとなっている。さらに、水晶振動片90のX軸方向の両側には、貫通孔CH(図19を参照)を形成した際の一対のキャスタレーション906a、906bが形成されている。
【0090】
水晶振動部901は、Y’軸方向から見ると四角形となり励振電極902a、902bが形成された平面部PN及びその平面部PNの外周に形成されるコンベックス面CXを有している。水晶振動部901は、図18(a)に示されたようにXY’断面から見ると、コンベックス面CXがX軸方向の両側でコンベックス状となり、図18(b)に示されたようにY’Z’断面から見てもコンベックス面CXがZ’軸方向の両側でコンベックス状となっている。また、図17示されたように平面部PNとコンベックス面CXとはY’軸方向から見ると四角形となっているため、コンベックス面CXには四角形の平面部PNの角部と四角形のコンベックス面CXの角部とを連結する稜線ELが形成される。
【0091】
表面Me及び裏面Miの平面部PNには励振電極902a、902bが形成され、連結部904a、904b及び枠体905には励振電極902a、902bから引き出された引出電極903a、903bが形成されている。また、キャスタレーション906a、906bには引出電極903a、903bとそれぞれ導電された側面電極907a、907bが形成されている。なお、表面Meの引出電極903aに導電された側面電極907aは枠体905の裏面Miまで伸びて接続パッド907Mが形成されることが好ましい。同様に、裏面Miの引出電極903bに導電された側面電極907bは枠体905の表面Meまで伸びて接続パッド907Mが形成されてもよい。
【0092】
第9水晶デバイス900は、水晶振動片90の裏面Miに接合されるガラス又は水晶材料である水晶からなるベース部92をさらに備えている。ベース部92はガラス又は水晶材料で形成され、その表面(+Y’側の面)にベース凹部921の周囲に形成された第2接続面M2を有している。ベース部92のX軸方向の両側には、貫通孔BH(図20を参照)を形成した際のキャスタレーション922a、922bが形成されている。ベース部92において、実装面M3のX軸方向の両側には一対の外部電極925a、925bがそれぞれ形成されている。また、キャスタレーション922a、922bには側面電極923a、923bが形成されている。ここで、側面電極923a、923bの一端は外部電極925a、925bに導電され、他端はベース部92の第2接続面M2にまで伸びて接続パッド923Mが形成されて水晶振動片90の接続パッド907M又は引出電極903bに導電される。
【0093】
つまり、ベース部92の一対の外部電極925a、925bと水晶振動片90の一対の励振電極902a、902bとがそれぞれ導電される。これにより、外部電極925a、925bに交番電圧(正負を交番する電位)が印加されると、水晶振動片90は厚みすべり振動する。
【0094】
第9水晶デバイス900は、水晶振動片90の表面Meに接合されるガラス又は水晶材料である水晶からなるリッド部91をさらに備えている。リッド部91はリッド凹部911の周囲に形成された第1接続面M1を有している。
【0095】
図18に示されたように、リッド部91、水晶振動片90の枠体905及びベース部92が低融点ガラスLGにより接合されて水晶振動部901を収納するキャビティCTが形成される。キャビティCTは窒素ガスで満たされたり又は真空状態にされたりする。
【0096】
第9実施形態において、水晶振動片は平面部が形成されていない水晶振動部を有してもよいし、平面部が円形である水晶振動部を有してもよいし、Y’軸方向で片方のみにコンベックス面を有してもよい。
【0097】
<水晶デバイス900の製造方法>
水晶デバイス900の製造方法にについて、第1実施形態の図3を参照しながら説明する。また、図19は水晶ウエハ90Wの平面図で、図20はベースウエハ92Wの平面図である。さらに、第9実施形態では、枠体905付きの水晶振動片90が用いられるので、水晶振動片をベース部に載置する図3のステップS13が要らない。
【0098】
ステップS10では、水晶振動片90が製造される。第9実施形態においてステップS10はステップS101及びS102を含んでいる。
ステップS101において、図19に示されたように、均一の水晶ウエハ90Wにエッチング又は機械加工により複数の水晶振動片90の外形が形成される。すなわち、水晶ウエハ90Wを貫通した貫通開口部908及び貫通孔BHが形成される。また、水晶振動部901に平面部PN及びコンベックス面CXが形成される。
【0099】
ステップS102において、スパッタリングまたは真空蒸着によって、図19に示されたように水晶ウエハ90W両面及び側面には励振電極902a、902b及び引出電極903a、903bが形成される。図示しないが、同時に貫通孔BHに側面電極907a、907bが形成される。
【0100】
ステップS11では、リッド部91が製造される。ステップS11はステップS111及びS112を含んでいる。
ステップS111において、リッド部91の外形が形成される。均一厚さの水晶平板のリッドウエハ(図5を参照)にリッド凹部911及びリッド凹部911を囲む第1端面M1が形成される。
【0101】
ステップS112において、スクリーン印刷でリッドウエハ(図5を参照)の第1接合面M1に低融点ガラスLGが形成される。ここで、低融点ガラスLGは後述するベースウエハ92Wの貫通孔BHに対応する箇所に形成されないことが好ましい(図5及び図17を参照)。
【0102】
ステップS12では、ベース部92が製造される。ステップS12はステップS121及びS122を含んでいる。
ステップS121において、図20に示されたように、均一厚さの水晶平板のベースウエハ92Wにベース凹部921が数百から数千個形成される。ベースウエハ92Wには、エッチング又は機械加工によりベース凹部921が形成され、ベース凹部921の周囲には第2端面M2が形成される。同時に、各ベース部92のX軸方向の両側にはベースウエハ92Wを貫通した貫通孔BHがそれぞれ形成される。ここで、貫通孔BHが半分に分割されると1つのキャスタレーション922a、922b(図17を参照)になる。
【0103】
ステップS122において、スパッタリングまたは真空蒸着によってベースウエハ92Wの実装面M3に外部電極925a、925bが形成され、貫通孔BHには側面電極923a、923bが形成される(図17を参照)。
【0104】
ステップS14では、低融点ガラスLGを加熱させリッドウエハ(図5をを参照)と水晶ウエハ90Wとベースウエハ92Wとが接着剤である低融点ガラスLGにより接合される。
【0105】
ステップS15では、接合されたリッドウエハ(図5をを参照)と水晶ウエハ90Wとベースウエハ92Wとが個々の水晶デバイス900に切断される。切断工程では、図17及び図18に示された一点鎖線のスクライブラインSLに沿って水晶デバイス900を単位として個片化する。これにより、数百から数千の水晶デバイス900が製造される。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0107】
また、本明細書では低融点ガラスによりベースウエハと、水晶ウエハと、リッドウエハとなどが接合されているが、低融点ガラスの代わりにポリイミド樹脂を用いられてもよい。ポリイミド樹脂が用いられる場合においては、スクリーン印刷でもよいし、感光性のポリイミド樹脂を全面に塗布した後に露光することもできる。
【0108】
また、本明細書では平面フリンジ部の端部がR面取りされているが、C面取りされてもよい。
【0109】
また、本明細書ではATカットの水晶振動片について説明したが、BTカットの水晶振動片などにも適用される。
【0110】
さらに、本明細書では水晶振動片が使用されたが、水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料を利用することができる。さらに圧電デバイスとして、発振回路を組み込んだICなどをパッケージ内に配置させた圧電発振器にも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0111】
10〜90、10A、10B、20A、20B、30A〜30D、40A〜40D、50A〜50C、60A〜60C、70A〜70C、80A、80B、90 … 水晶振動片
10W、90W … 水晶ウエハ
11、91 … リッド部、 11W … リッドウエハ
12、22、92 … ベース部、 12W、92W … ベースウエハ
13 … 導電性接着剤
100、200、900 … 水晶デバイス
102〜902 … 励振電極
103〜903 … 引出電極
104 … 接続部
111、911 … リッド凹部
121、921 … ベース凹部
122a、122b、906a、906b、922a、922b … キャスタレーション
123a、123b、907a、907b、923a、923b … 側面電極
124a、124b … 接続電極
125a、125b、925a、925b … 外部電極
901 … 水晶振動部
904a、904b … 連結部
905 … 枠体
907M、923M … 接続パッド
908 … 貫通開口部
BH、CH … 貫通孔
CT … キャビティ
CX、CX1、CX2 … コンベックス面
EL … 稜線
FG … 平面フリンジ
LG … 低融点ガラス
M1 … 第1端面、 M2 … 第2端面、 M3 … 実装面
PN … 平面部
SL … スクライブライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚みすべり振動する水晶振動片に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の情報機器や、携帯電話、又は移動体通信機器や圧電ジャイロセンサー等において、水晶振動片を備える水晶振動子や水晶発振器等の水晶デバイスが広く使用されている。例えば、特許文献1では、均一の厚さを有するATカットされた水晶材からなる振動部の両面に励振電極が形成された水晶振動片及びその水晶振動片を備える水晶デバイスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−214941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示された構成によれば、振動エネルギーを励振電極の下により多く集中することができないので、厚み滑り水晶振動片の振動エネルギーを閉じ込めることが困難である。したがって、インピーダンスが大きくなる。
【0005】
そこで、本発明は、機械的振動により発生した電荷をより多く励振電極の下に集中でき、インピーダンスを小さくすることができる水晶振動片及び水晶デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の水晶振動片は、外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さから第1厚さよりも厚い第2厚さへ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面を少なくとも一面に有し、外周部から中央部にかけて第1断面に垂直な第2断面が第1厚さから第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面を少なくとも一面に有し、外周部の少なくとも一部に断面が直線状で且つ第1厚さの平面フリンジ部を有する。
【0007】
第2観点の水晶振動片において、中央部には前記第2厚さの平面部を有する。
【0008】
第3観点の水晶振動片は、外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さから第1厚さよりも厚い第2厚さへ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面を少なくとも一面に有し、外周部から中央部にかけて第1断面に垂直な第2断面が第1厚さから第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面を少なくとも一面に有し、中央部には第2厚さの平面部を有する。
【0009】
第4観点の水晶振動片において、第1の曲率と第2の曲率とは同じである。
【0010】
第5観点の水晶振動片において、水晶振動片は結晶方向のX軸を中心として回転したX軸、Y’軸及びZ’軸から規定されたATカットの水晶振動片であり、Y’軸方向が水晶振動片の厚さ方向であり、第1断面がXY’断面で、第2断面がY’Z’断面である。
【0011】
第6観点の水晶振動片において、外周部はY’軸方向から見て四角形状であり、中央部はY’軸方向から見て円形状である。
【0012】
第7観点の水晶振動片において、外周部はY’軸方向から見て円形状であり、中央部はY’軸方向から見て円形状である。
【0013】
第8観点の水晶振動片において、中央部はY’軸方向から見て四角形状であり、該コンベックス面には中央部の4つの角から伸びた稜線が形成されている。
【0014】
第9観点の水晶振動片において、コンベックス面は表裏面に形成されている。
【0015】
第10観点の水晶振動片において、外周部の端部は曲面状に面取りされている。
【0016】
第11観点の水晶振動片は、外周部を囲む枠体と、外周部の少なくとも一部と枠体とを連結する連結部と、を備える。
【0017】
第12観点の水晶デバイスは、表面実装型である。第1観点から第10観点のいずれか一項の水晶振動片は、水晶振動片の中央部に形成された励振電極と励振電極から引き出された引出電極とを有し、水晶振動片を収納する凹み部を有し凹み部の底面に引出電極と導通する接続電極を有するベース部と、ベース部に接合し水晶振動片を封止するリッド部と、を備える。
【0018】
第13観点の水晶デバイスは、表面実装型である。第11観点の水晶振動片は、水晶振動片の中央部に形成された励振電極と、枠体に形成された励振電極と導通する引出電極とを有し、枠体の一方の面に接合し引出電極と導通する接続電極を有するベース部と、枠体の他方の面に接合するリッド部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、機械的振動により発生した電荷をより多く励振電極の下に集中でき、インピーダンスを小さくすることができる水晶振動片及び水晶デバイスが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の水晶デバイス100の分解斜視図である。
【図2】(a)は、図1のA−A断面図である。 (b)は、図1のB−B断面図である。 (c)は、水晶振動片10の平面図である。
【図3】水晶デバイス100の製造方法を示したフローチャートである。
【図4】水晶ウエハ10Wの平面図である。
【図5】リッドウエハ11Wの平面図である。
【図6】ベースウエハ12Wの平面図である。
【図7】(a)は、第1実施形態の変形例の水晶振動片10Aの平面図である。 (b)は、(a)のC−C断面図である。 (c)は、(a)のD−D断面図である。 (d)は、(a)のC−C断面における水晶振動片10Aから変形された水晶振動片10Bの断面図である。
【図8】第2実施形態の水晶デバイス200の分解斜視図である。
【図9】(a)は、図8のE−E断面図である。 (b)は、図8のF−F断面図である。 (c)は、水晶振動片20の平面図である。
【図10】(a)は、第2実施形態の変形例の水晶振動片20Aの平面図である。 (b)は、(a)のG−G断面図である。 (c)は、(a)のH−H断面図である。 (d)は、(a)のG−G断面における水晶振動片20Aから変形された水晶振動片20Bの断面図である。
【図11】(a)は、第3実施形態の水晶振動片30Aの平面図である。 (b)は、第3実施形態の水晶振動片30Bの平面図である。 (c)は、(a)又は(b)のJ−J断面図である。 (d)は、(a)又は(b)のJ−J断面における水晶振動片30A又は30Bから変形された水晶振動片30Cの断面図である。 (e)は、(a)又は(b)のJ−J断面における水晶振動片30A又は30Bから変形された水晶振動片30Dの断面図である。
【図12】(a)は、第4実施形態の水晶振動片40Aの平面図である。 (b)は、第4実施形態の水晶振動片40Bの平面図である。 (c)は、(a)又は(b)のK−K断面図である。 (d)は、(a)又は(b)のK−K断面における水晶振動片40A又は40Bから変形された水晶振動片40Cの断面図である。 (e)は、(a)又は(b)のK−K断面における水晶振動片40A又は40Bから変形された水晶振動片40Dの断面図である。
【図13】(a)は、第5実施形態の水晶振動片50Aの平面図である。 (b)は、(a)のL−L断面図である。 (c)は、(a)のL−L断面における水晶振動片50Aから変形された水晶振動片50Bの断面図である。 (d)は、(a)のL−L断面における水晶振動片50Aから変形された水晶振動片50Cの断面図である。
【図14】(a)は、第6実施形態の水晶振動片60Aの平面図である。 (b)は、(a)のM−M断面図である。 (c)は、(a)のM−M断面における水晶振動片60Aから変形された水晶振動片60Bの断面図である。 (d)は、(a)のM−M断面における水晶振動片60Aから変形された水晶振動片60Cの断面図である。
【図15】(a)は、第7実施形態の水晶振動片70Aの平面図である。 (b)は、(a)のN−N断面図である。 (c)は、(a)のN−N断面における水晶振動片70Aから変形された水晶振動片70Bの断面図である。 (d)は、(a)のN−N断面における水晶振動片70Aから変形された水晶振動片70Cの断面図である。
【図16】(a)は、第8実施形態の水晶振動片80Aの平面図である。 (b)は、(a)のP−P断面図である。 (c)は、(a)のR−R断面図である。 (d)は、(a)のP−P断面における水晶振動片80Aから変形された水晶振動片80Bの断面図である。 (e)は、(a)のR−R断面における水晶振動片80Aから変形された水晶振動片80Bの断面図である
【図17】第9実施形態の水晶デバイス900の分解斜視図である。
【図18】(a)は、図17のS−S断面図である。 (b)は、図17のT−T断面図である。
【図19】水晶ウエハ90Wの平面図である。
【図20】ベースウエハ92Wの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、ATカットの水晶振動片が使われている。つまり、ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。このため、ATカットの水晶振動片のX軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、本実施形態では圧電発振器の長手方向をX軸方向、圧電発振器の高さ方向をY’軸方向、X軸方向及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0022】
(第1実施形態)
<水晶デバイス100の全体構成>
水晶デバイス100は、表面実装型でありプリント基板等に実装されて使用される。水晶デバイス100の全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は水晶デバイス100の分解斜視図で、図2(a)は図1のA−A断面図で、図2(b)は図1のB−B断面図で、図2(c)は水晶振動片10の平面図である。
【0023】
図1及び図2に示されたように、水晶デバイス100はリッド凹部111を有するリッド部11と、リッド部11に接合されベース凹部121を有するベース部12と、ベース部12に載置される水晶振動片10とを備える。
【0024】
水晶振動片10は、Y’軸方向から見ると四角形となり、+X軸側に励振電極102a、102bが形成されたコンベックス面CXを有している。ここで、図1示されたようにコンベックス面CXはY’軸方向から見ると四角形である。また、図2(a)に示されたようにXY’断面から見ると、コンベックス面CXはY’軸方向の両側でコンベックス状となっている。同様に、図2(b)に示されたようにY’Z’断面から見てもコンベックス面CXはY’軸方向の両側でコンベックス状となっている。つまり、コンベックス面CXの中央部のY’軸方向の第2高さd2はその周辺のY’軸方向の第1厚さd1より厚く形成されている。さらに、コンベックス面CXがY’軸方向から見ると四角形であるため、コンベックス面CXには稜線ELが形成される。また、図2(c)に示されたように水晶振動片10においてA1−A1断面のコンベックス面CX1の曲率とB−B断面のコンベックス面CX2の曲率とは等しい。すなわち、XY’断面のコンベックス面CXの曲率とY’Z’断面のコンベックス面CXの曲率とは同じである。なお、ここでいうコンベックス面CXの曲率が同じとは、水晶のエッチングの異方性がX、Y’Z’方向でほぼ等しいとの前提で説明している。
【0025】
図1及び図2(a)に示されたように、水晶振動片10はコンベックス面CXの−X軸側に励振電極102a、102bから引き出された引出電極103a、103bが形成された平面フリンジFGをさらに有している。ここで、平面フリンジFGのY’軸方向の厚さはコンベックス面CXの周辺の第1厚さd1と同じである。
【0026】
なお、励振電極102a、102bはコンベックス面CXの中央部に形成され、Y’軸方向から見ると四角形となっている。引出電極103aは、+Y’軸側に形成された励振電極102aから引き出されて平面フリンジFG(−Y’軸側)の−Z’軸側の隅まで伸びて形成される。引出電極103bは、−Y’軸側に形成された励振電極102bから引き出されて平面フリンジFG(+Y’軸側)の+Z’軸側の隅まで伸びて形成される。
【0027】
ここで、励振電極102a、102b及び引出電極103a、103bは例えば下地としてのクロム(Cr)層が用いられ、クロム層の上面に金(Au)層が用いられる。また、クロム層の厚さは例えば0.05μm〜0.1μmで、金層の厚さは例えば0.2μm〜2μmである。
【0028】
ベース部12は、ガラス又は圧電材料より構成され、表面(+Y’側の面)にベース凹部121の周囲に形成された第2端面M2を有している。ベース部12の実装面M3のX軸方向の両側には、外部電極125a、125bがそれぞれ形成されている。ベース部12の四隅には、貫通孔BH(図6を参照)を形成した際の4つのキャスタレーション122a、122bがそれぞれ形成されている。具体的には、+X軸側に側面電極123aが形成されている一対のキャスタレーション122aが配置され、−X軸側に側面電極123bが形成されている一対のキャスタレーション122bが配置されている。ここで、一対の側面電極123aが外部電極125aに導電され、一対の側面電極123bが外部電極125bに導電されている。
【0029】
第2端面M2には、側面電極123aから第2端面M2の−X軸方向の−Z’軸側まで伸びた接続電極124aと、側面電極123bから第2端面M2の−X軸方向の+Z’軸側まで伸びた接続電極124bとが形成されている。
【0030】
なお、水晶振動片10がベース部12に載置される際、水晶振動片10の引出電極103aがベース部12の接続電極124aに接続され、水晶振動片10の引出電極103bがベース部12の接続電極124bに接続される。これにより、ベース部12の外部電極125aが側面電極123a、接続電極124a及び引出電極103aを介して水晶振動片10の励振電極102aに導電される。同様に、ベース部12の外部電極125bが側面電極123b、接続電極124b及び引出電極103bを介して水晶振動片10の励振電極102bに導電される。その結果、外部電極125a、125bに交番電圧(正負を交番する電位)が印加されると、水晶振動片10は厚みすべり振動する。
【0031】
水晶デバイス100は、ベース部12に接合されて水晶振動片10を封止するリッド部11をさらに有している。リッド部11は、ガラス又は圧電材料より構成され、表面(−Y’側の面)にリッド凹部111の周囲に形成された第1端面M1を有している。また、リッド部11は第1端面M1に形成された非導電性封止材によりベース部12に接合される。
【0032】
非導電性封止材としては、例えば低融点ガラスLGが用いられる。低融点ガラスLGは、350℃〜410℃で溶融する鉛フリーのバナジウム系ガラスを含む。バナジウム系ガラスはバインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。また、このバナジウム系ガラスは接着時の気密性と耐水性・耐湿性などの信頼性が高い。さらに、バナジウム系ガラスはガラス構造を制御することにより熱膨張係数も柔軟に制御できる。非導電性封止材として、低融点ガラスの替わりにポリイミド樹脂を用いてもよい。
【0033】
さらに、リッド部11の第1端面M1とベース部12の第2端面M2とが接合されてリッド凹部111及びベース凹部121により水晶振動片10を封止したキャビティCTが形成される。また、キャビティCTは不活性ガスで満たされたり又は真空状態に気密されたりする。
【0034】
第1実施形態では、図2(c)のA1−A1断面のコンベックス面CX1の曲率とB−B断面のコンベックス面CX2の曲率とは等しいと説明したが、コンベックス面CX1とコンベックス面CX2とが異なる曲率を有してもよい。また、以下の第2実施形態から第9実施形態及びそれらの変形例でも同じである。
【0035】
<水晶デバイス100の製造方法>
図3は、水晶デバイス100の製造方法を示したフローチャートである。図3において、水晶振動片10の製造ステップS10と、リッド部11の製造ステップS11と、ベース部12の製造ステップS12とは並行して製造することができる。また、図4は複数の水晶振動片10を同時に製造できる水晶ウエハ10Wの平面図で、図5は複数のリッド部11を同時に製造できるリッドウエハ11Wの平面図で、図6は複数のベース部12を同時に製造できるベースウエハ12Wの平面図である。
【0036】
ステップS10では、水晶振動片10が製造される。ステップS10はステップS101〜S103を含んでいる。
ステップS101において、図4に示されたように、均一の水晶ウエハ10Wにエッチング又は機械加工により複数の水晶振動片10の外形が形成される。すなわち、コンベックス面CX及び平面フリンジFGにより形成された水晶振動片10の外形が形成される。つまり、Y’軸方向の両面がコンベックス面CXとなり、平面フリンジFGを有している水晶振動片10の外形が形成される。ここで、各水晶振動片10は平面フリンジFGに連結された接続部104により水晶ウエハ10Wに連結されている。なお、コンベックス面CXがY’軸方向から見ると四角形であるため、コンベックス面CXには稜線ELが形成される。
【0037】
ステップS102において、まずスパッタリングまたは真空蒸着によって水晶ウエハ10Wの両面及び側面にクロム層及び金層が順に形成される。そして、金属層の全面にフォトレジストが均一に塗布される。その後、露光装置(図示しない)を用いて、フォトマスクに描かれた励振電極、引出電極のパターンが水晶ウエハ10Wに露光される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされる。これにより、図4に示されたように水晶ウエハ10W両面及び側面には励振電極102a、102b及び引出電極103a、103bが形成される。
【0038】
ステップS103において、水晶振動片10が個々に切断される。切断工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて図4に示された一点鎖線のカットラインCLに沿って切断する。
【0039】
ステップS11では、リッド部11が製造される。ステップS11はステップS111及びS112を含んでいる。
ステップS111において、リッド部11の外形が形成される。図5に示されたように、均一厚さの水晶平板のリッドウエハ11Wにリッド凹部111が数百から数千個形成される。リッドウエハ11Wには、エッチング又は機械加工によりリッド凹部111が形成され、リッド凹部111の周囲には第1端面M1が形成される。
【0040】
ステップS112において、図5に示されたように、スクリーン印刷でリッドウエハ11Wの第1接合面M1に低融点ガラスLGが形成される。その後、低融点ガラスLGを仮硬化することで、低融点ガラスLG膜がリッドウエハ11Wの第1接合面M1に形成される。このとき、低融点ガラスLGは後述するベースウエハ12Wの貫通孔BHに対応する箇所112に形成されないことが好ましい。
【0041】
ステップS12では、ベース部12が製造される。ステップS12はステップS121及びS122を含んでいる。
ステップS121において、図6に示されたように、均一厚さの水晶平板のベースウエハ12Wにベース凹部121が数百から数千個形成される。ベースウエハ12Wには、エッチング又は機械加工によりベース凹部121が形成され、ベース凹部121の周囲には第2端面M2が形成される。同時に、各ベース部12の四隅にはベースウエハ12Wを貫通した円形の貫通孔BHがそれぞれ形成される。ここで、円形の貫通孔BHが1/4に分割されると1つのキャスタレーション122a、122b(図1を参照)になる。
【0042】
ステップS122において、スパッタリングまたは真空蒸着によってベースウエハ12Wの両面にクロム(Cr)層を下地としてその表面に金(Au)層が形成される。その後、エッチングされることで、図6に示されたように第2端面M2に接続電極124a、124bが形成され、実装面M3に外部電極125a、125bが形成される。同時に貫通孔BHの全面には側面電極123a、123bが形成される(図1を参照)。
【0043】
ステップS13では、ステップS10で製造された個々の水晶振動片10が導電性接着剤13(図2を参照)でウエハ12Wに形成されたベース部12の第2端面M2にそれぞれ載置される。このとき、水晶振動片10の引出電極103a、103bとベース部12の第2端面M2に形成された接続電極124a、124bとの位置が合うように水晶振動片10がベース部12の第2端面M2に載置される。ベースウエハ12Wには数百から数千個の水晶振動片10が載置される。
【0044】
ステップS14では、低融点ガラスLGを加熱させリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが加圧される。これによりリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが接着剤である低融点ガラスLGにより接合される。
【0045】
ステップS15では、接合されたリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが個々の水晶デバイス100に切断される。切断工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて図4〜図6に示された一点鎖線のスクライブラインSLに沿って水晶デバイス100を単位として個片化する。これにより、数百から数千の水晶デバイス100が製造される。
【0046】
以下の第2実施形態〜第8実施形態及び変形例1、変形例2における水晶デバイスの製造方法は第1実施形態の図3で説明された製造方法と同じであるので、説明を省略する。
【0047】
(変形例1)
変形例1では、第1実施形態の水晶振動片10から変形された水晶振動片10A、10Bについて、図7を参照しながら説明する。図7において、(a)は第1実施形態の変形例の水晶振動片10Aの平面図で、(b)は(a)のC−C断面図で、(c)は(a)のD−D断面図で、(d)は(a)のC−C断面における水晶振動片10Aから変形された水晶振動片10Bの断面図である。
【0048】
図7(a)に示されたように、+Y’軸側から見ると、水晶振動片10Aは第1実施形態の水晶振動片10と同一の構成となっている。但し、図7(b)及び図7(c)に示されたように、水晶振動片10AはXY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片10Aがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片10Aの+Y’軸側はコンベックス面CXで、−Y’軸側は平面状となっている。したがって、+Y’軸側に形成された励振電極102Aaはコンベックス状で、−Y’軸側に形成された励振電極102Abは平面状となっている。
【0049】
図7(d)に示された水晶振動片10Bは、水晶振動片10Aから変形されたものである。図7(d)に示されたように、水晶振動片10Bは平面フリンジFGの−X軸側の端部TSが面取りされている。したがって、引出電極103Ba、103Bbも端部TSで曲線状に形成される。このような構成によれば、水晶振動片10Bが振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。図7(d)に示された端部TSの面取りは第1実施形態で説明された水晶振動片10にも適用される。
【0050】
(第2実施形態)
水晶デバイス200の全体構成について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は水晶デバイス200の分解斜視図で、図9(a)は図8のE−E断面図で、図9(b)は図8のF−F断面図で、図9(c)は水晶振動片20の平面図である。なお、第1実施形態と同じ構成要件については同一の符号を付して説明する。
【0051】
図8及び図9に示されたように、水晶デバイス200はリッド部11と、リッド部11に接合されるベース部22と、ベース部22に載置される水晶振動片20とを備える。
【0052】
水晶振動片20は、中央にY’軸方向から見ると角丸長方形となり、角丸長方形の励振電極202a、202bが形成された角丸長方形の平面部PN及びその平面部PNの外周に形成されたコンベックス面CXを有している(図9(c)を参照)。また、コンベックス面CXの周辺にはY’軸方向から見ると四角形の平面フリンジFGが形成されている。
【0053】
図9(a)に示されたようにXY’断面から見ると、平面部PNと平面フリンジFGとはコンベックス面CXにより連結されている。また平面部PNは平面フリンジFGのY’軸方向の両側に形成され、平面部PN同士の距離d2は平面フリンジFGの厚さd1より大きく形成されている。同様に、図9(b)に示されたようにY’Z’断面から見ても平面部PNと平面フリンジFGとはコンベックス面CXにより連結されている。さらに、XY’断面のコンベックス面CXの曲率とY’Z’断面のコンベックス面CXの曲率とは同じである。
【0054】
また、水晶振動片20は平面フリンジFGのX軸方向の両側の端部TSが面取りされている。このような構成によれば、水晶振動片20が振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。
【0055】
図8及び図9(a)に示されたように、水晶振動片20は+Y’軸側の励振電極202aから引き出されコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの(−Y’軸側)の−X軸側の隅(−Z’軸側)まで伸びて形成される引出電極203aを有している。同様に、水晶振動片20は−Y’軸側の励振電極202bから引き出されコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの(+Y’軸側)の+X軸側の隅(+Z’軸側)まで伸びて形成される引出電極203bを有している。
【0056】
ベース部22は、ガラス又は圧電材料より構成され、表面(+Y’側の面)にベース凹部121の周囲に形成された第2端面M2を有している。ベース部22の実装面M3のX軸方向の両側には、外部電極125a、125bがそれぞれ形成されている。ベース部22の四隅には4つのキャスタレーション122a、122bが形成され、キャスタレーション122a、122bには側面電極123a、123bが形成されている。
【0057】
第2端面M2には、側面電極123aから第2端面M2の−X軸方向の−Z’軸側まで伸びた接続電極224aと、側面電極123bから第2端面M2の+X軸方向の+Z’軸側まで伸びた接続電極224bとが形成されている。
【0058】
なお、水晶振動片20がベース部22に載置される際、水晶振動片20の引出電極203aがベース部22の接続電極224aに接続され、水晶振動片20の引出電極203bがベース部22の接続電極224bに接続される。これにより、外部電極125a、125bに交番電圧(正負を交番する電位)が印加されると、水晶振動片20は厚みすべり振動する。
【0059】
第2実施形態では、Y’軸方向の両側に平面部PN及びコンベックス面CXを有している水晶振動片20について説明したが、第1実子形態と同様に平面部PNを有していない構成でもよい。すなわち、Y’軸方向の両側にコンベックス面CXのみを有している構成でもよい。また、変形例1の図7(b)に示されたように片方がコンベックス面CX又は平面部PNを有するコンベックス面CXで片方が平面状であるプラノコンベックス構成でもよいし、平面フリンジFGのX軸方向の両側の端部TSが面取りされていない構成でもよい。さらに、第2実施形態ではコンベックス面CX及び平面部PNが角丸長方形であるが、楕円形となってよい。
【0060】
(変形例2)
変形例2では、第2実施形態の水晶振動片20から変形された水晶振動片20A、20Bについて、図10を参照しながら説明する。図10において、(a)は第2実施形態の変形例の水晶振動片20Aの平面図で、(b)は(a)のE−E断面図で、(c)は(a)のF−F断面図で、(d)は(a)のE−E断面における水晶振動片20Aから変形された水晶振動片20Bの断面図である。
【0061】
図10(a)に示されたように、水晶振動片20Aは+Y’軸側から見ると四角形である平面部PN、コンベックス面CX及び平面フリンジFGから構成される。但し、図10(b)及び図10(c)に示されたように、水晶振動片20AはXY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片20Aがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片20Aの+Y’軸側はコンベックス面CXで、−Y’軸側は平面状となっている。したがって、+Y’軸側に形成された励振電極202Aaはコンベックス状で、−Y’軸側に形成された励振電極202Abは平面状となっている。
【0062】
図10(d)に示された水晶振動片20Bは、水晶振動片20Aから変形されたものである。図10(d)に示されたように、水晶振動片20Bは平面フリンジFGの−X軸側の端部TSが面取りされている。このような構成によれば、水晶振動片20Bが振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。
【0063】
変形例2では、片方のみがコンベックス面CXであるプラノコンベックス形状の水晶振動片について説明したが、第2実施形態と同様にY’軸方向の両側にコンベックス面CXを有する形状でもよい。また、変形例2ではコンベックス面CXに平面部PNが形成されているが、第1実施形態と同様に平面部PNが形成されていないコンベックス面CXでもよい。
【0064】
(第3実施形態)
第3実施形態では、円形のコンベックス面CXを有する水晶振動片30A〜30Dについて、図11を参照しながら説明する。図11において、(a)は水晶振動片30Aの平面図で、(b)は水晶振動片30Bの平面図で、(c)は(a)又は(b)のJ−J断面図で、(d)は(a)又は(b)のJ−J断面における水晶振動片30A又は30Bから変形された水晶振動片30Cの断面図で、(e)は(a)又は(b)のJ−J断面における水晶振動片30A又は30Bから変形された水晶振動片30Dの断面図である。
【0065】
図11(a)に示されたように、水晶振動片30Aの+X軸側にはY’軸方向から見ると円形であるコンベックス面CXを有し、コンベックス面CXの−X軸側にはY’軸方向から見ると四角形である平面フリンジFGを有している。ここで、コンベックス面CXは水晶振動片30AのY’軸方向の両側に形成され、XY’断面(図11(c)を参照)及びY’Z’断面(図2(b)を参照)から見てもコンベックス状となっている。また、図11(c)に示されたようにコンベックス面CXに形成された励振電極302Aa、302AbもY’軸方向から見ると円形となっている。
【0066】
なお、+Y’軸側のコンベックス面CXに形成された励振電極302Aaから引き出される引出電極303Aaはコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの底面(−Y’軸側)の−Z’軸側まで伸びて形成される。また、−Y’軸側のコンベックス面CXに形成された励振電極302Abから引き出される引出電極303Abはコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの上面(+Y’軸側)の+Z’軸側まで伸びて形成される。
【0067】
図11(b)に示された水晶振動片30Bは、Y’軸方向から見ると円形であるコンベックス面CXと、そのコンベックス面CXの周辺に形成された四角形の平面フリンジFGとを有している。コンベックス面CXは水晶振動片30BのY’軸方向の両側に形成され、XY’断面及びY’Z’断面から見てもコンベックス状となっている。
【0068】
図11(d)に示された水晶振動片30CはY’軸方向から見ると、図11(a)又は図11(b)と同じ形状であるが、XY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片30Cがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片30Cの+Y’軸側はコンベックス面CXで、−Y’軸側は平面状となっている。したがって、+Y’軸側に形成された励振電極302Caはコンベックス状で、−Y’軸側に形成された励振電極302Cbは平面状となっている。
【0069】
図11(e)に示された水晶振動片30Dは水晶振動片30A又は30Bから変形されたものである。水晶振動片30Dは平面フリンジFGの−X軸側の端部TSが面取りされている。このような構成によれば、水晶振動片30Dが振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。図示しないが、水晶振動片30Cの平面フリンジFGの端部TSが面取りされてもよい。
【0070】
(第4実施形態)
第4実施形態では、円形のコンベックス面CXの中央に平面部PNが形成された水晶振動片40A〜40Dについて、図12を参照しながら説明する。図12において、(a)は水晶振動片40Aの平面図で、(b)は水晶振動片40Bの平面図で、(c)は(a)又は(b)のK−K断面図で、(d)は(a)又は(b)のK−K断面における水晶振動片40A又は40Bから変形された水晶振動片40Cの断面図で、(e)は(a)又は(b)のK−K断面における水晶振動片40A又は40Bから変形された水晶振動片40Dの断面図である。
【0071】
図12(a)〜(e)に示された水晶振動片40A〜40Dは第3実施形態の30A〜30Dに比べると、コンベックス面CXの中央に円形の平面部PNが形成され、平面部PNに励振電極402Aa、402Ab、402Ba、402Bb、402Caが形成される点が異なる。
【0072】
(第5実施形態)
第5実施形態では、円形のコンベックス面CXを有する水晶振動片50A〜50Cについて、図13を参照しながら説明する。図13において、(a)は第5実施形態の水晶振動片50Aの平面図で、(b)は(a)のL−L断面図で、(c)は(a)のL−L断面における水晶振動片50Aから変形された水晶振動片50Bの断面図で、(d)は(a)のL−L断面における水晶振動片50Aから変形された水晶振動片50Cの断面図である。
【0073】
図13(a)に示されたように、水晶振動片50Aの中央にはY’軸方向から見ると円形であるコンベックス面CXを有し、コンベックス面CXの周辺にはY’軸方向から見ると四角形である平面フリンジFGを有している。また、コンベックス面CXに形成された励振電極502Aa、502AbはY’軸方向から見ると円形となっている。図13(b)に示されたように、コンベックス面CXは水晶振動片50AのY’軸方向の両側に形成され、XY’断面及びY’Z’断面から見てもコンベックス状となっている。
【0074】
なお、+Y’軸側のコンベックス面CXに形成された励振電極502Aaから引き出される引出電極503Aaはコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの底面(−Y’軸側)の−X軸側(−Z’軸側)まで伸びて形成される。また、−Y’軸側のコンベックス面CXに形成された励振電極502Abから引き出される引出電極503Abはコンベックス面CX及び平面フリンジFGを経由して平面フリンジFGの上面(+Y’軸側)の+X軸側(+Z’軸側)まで伸びて形成される。
【0075】
図13(c)に示された水晶振動片50BはY’軸方向から見ると、図13(a)と同じ形状であるが、XY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片50Bがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片50Bの+Y’軸側はコンベックス面CXで、−Y’軸側は平面状となっている。したがって、+Y’軸側に形成された励振電極502Baはコンベックス状で、−Y’軸側に形成された励振電極502Bbは平面状となっている。
【0076】
図13(d)に示された水晶振動片50Cは水晶振動片50Aから変形されたものである。水晶振動片50Cは平面フリンジFGのX軸方向の両側の端部TSが面取りされている。このような構成によれば、水晶振動片50Cが振動する際、反射波が生じにくくなり、振動特性により優れる水晶振動片が得られる。図示しないが、水晶振動片50Bの平面フリンジFGの端部TSが面取りされてもよい。
【0077】
(第6実施形態)
第6実施形態では、円形のコンベックス面CXを有する水晶振動片60A〜60Cについて、図14を参照しながら説明する。図14において、(a)は第6実施形態の水晶振動片60Aの平面図で、(b)は(a)のL−L断面図で、(c)は(a)のM−M断面における水晶振動片60Aから変形された水晶振動片60Bの断面図で、(d)は(a)のM−M断面における水晶振動片60Aから変形された水晶振動片60Cの断面図である。
【0078】
図14(a)〜(d)に示された水晶振動片60A〜60Cは第5実施形態の50A〜50Cに比べると、コンベックス面CXの中央に円形の平面部PNが形成され、平面部PNに励振電極602Aa、602Ab、602Baが形成される点が異なる。
【0079】
(第7実施形態)
第7実施形態では、円形のコンベックス面CX及び円形の平面フリンジFGを有する水晶振動片70A〜70Cについて、図15を参照しながら説明する。図15において、(a)は第5実施形態の水晶振動片70Aの平面図で、(b)は(a)のN−N断面図で、(c)は(a)のN−N断面における水晶振動片70Aから変形された水晶振動片70Bの断面図で、(d)は(a)のN−N断面における水晶振動片70Aから変形された水晶振動片70Cの断面図である。
【0080】
図15(a)〜(d)に示された水晶振動片70A〜70Cは第5実施形態の50A〜50Cに比べると、コンベックス面CXの周辺にY’軸方向から見ると円形である平面フリンジFGを有する点が異なる。
【0081】
第7実施形態では円形の平面フリンジFGが用いられるので、水晶振動片70Aにおける励振電極702Aa、702Abに接続された引出電極703Aa、703Abの形状が第5実施形態と比べると変更される。同様に、水晶振動片70Bにおける励振電極702Ba、702Bbに接続された引出電極703Ba、703Bb、及び水晶振動片70Cにおける励振電極702Aa、702Abに接続された引出電極703Ca、703Cbの形状が第5実施形態と比べると変更される。ここで、具体的な説明を省略する。
【0082】
(第8実施形態)
第8実施形態では、四角形のコンベックス面CX及び平面部PNを有し、平面フリンジを有していない水晶振動片80A、80Bについて、図16を参照しながら説明する。図16において、(a)は第8実施形態の水晶振動片80Aの平面図で、(b)は(a)のP−P断面図で、(c)は(a)のR−R断面図で、(d)は(a)のP−P断面における水晶振動片80Aから変形された水晶振動片80Bの断面図で、(e)は(a)のR−R断面における水晶振動片80Aから変形された水晶振動片80Bの断面図である。
【0083】
図16(a)に示されたように、水晶振動片80AはY’軸方向から見ると四角形であるコンベックス面CXを有し、コンベックス面CXの中央には励振電極802Aa、802Abが形成された平面部PNを有している。図16(b)及び(c)に示されたように、コンベックス面CXは水晶振動片80AのY’軸方向の両側に形成され、XY’断面及びY’Z’断面から見てもコンベックス状となっている。さらに、すなわち、XY’断面のコンベックス面CXの曲率とY’Z’断面のコンベックス面CXの曲率とは同じである。
【0084】
なお、+Y’軸側の平面部PNに形成された励振電極802Aaから引き出される引出電極803Aaは+Y’軸側のコンベックス面CXを経由して−Y’軸側のコンベックス面CXの−X軸側(−Z’軸側)まで伸びて形成される。また、−Y’軸側の平面部PNに形成された励振電極802Abから引き出される引出電極803Abは−Y’軸側のコンベックス面CXを経由して+Y’軸側のコンベックス面CXの+X軸側(+Z’軸側)まで伸びて形成される。
【0085】
図16(d)及び(e)に示された水晶振動片80BはY’軸方向から見ると、図16(a)と同じ形状であるが、XY’断面及びY’Z’断面において+Y’軸側の片面のみにコンベックス面CXを有している。すなわち、水晶振動片80Bがプラノコンベックスとなっている。つまり、水晶振動片80Bの+Y’軸側はコンベックス面CXを有し、−Y’軸側は平面状となっている。
【0086】
第8実施形態では、コンベックス面CX及び平面部PNが四角形となっているが、第2実施形態と同様に角丸長方形でもよいし、第3〜第7実施形態と同様に円形でもよい。さらに、図示しない楕円形となってもよい。
【0087】
(第9実施形態)
<第9水晶デバイス900の全体構成>
第9水晶デバイス900の全体構成について、図17及び図18を参照しながら説明する。
図17は第9実施形態の水晶デバイス900の分解斜視図で、図18(a)は図17のS−S断面図で、図18(b)は図17のT−T断面図である。
【0088】
図17に示されたように、第9水晶デバイス900は、リッド凹部911を有する矩形のリッド部91と、ベース凹部921を有するベース部92と、リッド部91及びベース部92に挟まれる矩形の水晶振動片90とを備える。
【0089】
水晶振動片90はATカットされた水晶材料で形成され、+Y’側の表面Meと−Y’側の裏面Miとを有している。水晶振動片90は矩形の水晶振動部901と水晶振動部901を囲む枠体905とで構成されている。また、水晶振動部901と枠体905との間には、表面Meから裏面Miまで貫通する貫通開口部908が形成される。貫通開口部908が形成されていない部分が水晶振動部901と枠体905との連結部904a、904bとなっている。さらに、水晶振動片90のX軸方向の両側には、貫通孔CH(図19を参照)を形成した際の一対のキャスタレーション906a、906bが形成されている。
【0090】
水晶振動部901は、Y’軸方向から見ると四角形となり励振電極902a、902bが形成された平面部PN及びその平面部PNの外周に形成されるコンベックス面CXを有している。水晶振動部901は、図18(a)に示されたようにXY’断面から見ると、コンベックス面CXがX軸方向の両側でコンベックス状となり、図18(b)に示されたようにY’Z’断面から見てもコンベックス面CXがZ’軸方向の両側でコンベックス状となっている。また、図17示されたように平面部PNとコンベックス面CXとはY’軸方向から見ると四角形となっているため、コンベックス面CXには四角形の平面部PNの角部と四角形のコンベックス面CXの角部とを連結する稜線ELが形成される。
【0091】
表面Me及び裏面Miの平面部PNには励振電極902a、902bが形成され、連結部904a、904b及び枠体905には励振電極902a、902bから引き出された引出電極903a、903bが形成されている。また、キャスタレーション906a、906bには引出電極903a、903bとそれぞれ導電された側面電極907a、907bが形成されている。なお、表面Meの引出電極903aに導電された側面電極907aは枠体905の裏面Miまで伸びて接続パッド907Mが形成されることが好ましい。同様に、裏面Miの引出電極903bに導電された側面電極907bは枠体905の表面Meまで伸びて接続パッド907Mが形成されてもよい。
【0092】
第9水晶デバイス900は、水晶振動片90の裏面Miに接合されるガラス又は水晶材料である水晶からなるベース部92をさらに備えている。ベース部92はガラス又は水晶材料で形成され、その表面(+Y’側の面)にベース凹部921の周囲に形成された第2接続面M2を有している。ベース部92のX軸方向の両側には、貫通孔BH(図20を参照)を形成した際のキャスタレーション922a、922bが形成されている。ベース部92において、実装面M3のX軸方向の両側には一対の外部電極925a、925bがそれぞれ形成されている。また、キャスタレーション922a、922bには側面電極923a、923bが形成されている。ここで、側面電極923a、923bの一端は外部電極925a、925bに導電され、他端はベース部92の第2接続面M2にまで伸びて接続パッド923Mが形成されて水晶振動片90の接続パッド907M又は引出電極903bに導電される。
【0093】
つまり、ベース部92の一対の外部電極925a、925bと水晶振動片90の一対の励振電極902a、902bとがそれぞれ導電される。これにより、外部電極925a、925bに交番電圧(正負を交番する電位)が印加されると、水晶振動片90は厚みすべり振動する。
【0094】
第9水晶デバイス900は、水晶振動片90の表面Meに接合されるガラス又は水晶材料である水晶からなるリッド部91をさらに備えている。リッド部91はリッド凹部911の周囲に形成された第1接続面M1を有している。
【0095】
図18に示されたように、リッド部91、水晶振動片90の枠体905及びベース部92が低融点ガラスLGにより接合されて水晶振動部901を収納するキャビティCTが形成される。キャビティCTは窒素ガスで満たされたり又は真空状態にされたりする。
【0096】
第9実施形態において、水晶振動片は平面部が形成されていない水晶振動部を有してもよいし、平面部が円形である水晶振動部を有してもよいし、Y’軸方向で片方のみにコンベックス面を有してもよい。
【0097】
<水晶デバイス900の製造方法>
水晶デバイス900の製造方法にについて、第1実施形態の図3を参照しながら説明する。また、図19は水晶ウエハ90Wの平面図で、図20はベースウエハ92Wの平面図である。さらに、第9実施形態では、枠体905付きの水晶振動片90が用いられるので、水晶振動片をベース部に載置する図3のステップS13が要らない。
【0098】
ステップS10では、水晶振動片90が製造される。第9実施形態においてステップS10はステップS101及びS102を含んでいる。
ステップS101において、図19に示されたように、均一の水晶ウエハ90Wにエッチング又は機械加工により複数の水晶振動片90の外形が形成される。すなわち、水晶ウエハ90Wを貫通した貫通開口部908及び貫通孔BHが形成される。また、水晶振動部901に平面部PN及びコンベックス面CXが形成される。
【0099】
ステップS102において、スパッタリングまたは真空蒸着によって、図19に示されたように水晶ウエハ90W両面及び側面には励振電極902a、902b及び引出電極903a、903bが形成される。図示しないが、同時に貫通孔BHに側面電極907a、907bが形成される。
【0100】
ステップS11では、リッド部91が製造される。ステップS11はステップS111及びS112を含んでいる。
ステップS111において、リッド部91の外形が形成される。均一厚さの水晶平板のリッドウエハ(図5を参照)にリッド凹部911及びリッド凹部911を囲む第1端面M1が形成される。
【0101】
ステップS112において、スクリーン印刷でリッドウエハ(図5を参照)の第1接合面M1に低融点ガラスLGが形成される。ここで、低融点ガラスLGは後述するベースウエハ92Wの貫通孔BHに対応する箇所に形成されないことが好ましい(図5及び図17を参照)。
【0102】
ステップS12では、ベース部92が製造される。ステップS12はステップS121及びS122を含んでいる。
ステップS121において、図20に示されたように、均一厚さの水晶平板のベースウエハ92Wにベース凹部921が数百から数千個形成される。ベースウエハ92Wには、エッチング又は機械加工によりベース凹部921が形成され、ベース凹部921の周囲には第2端面M2が形成される。同時に、各ベース部92のX軸方向の両側にはベースウエハ92Wを貫通した貫通孔BHがそれぞれ形成される。ここで、貫通孔BHが半分に分割されると1つのキャスタレーション922a、922b(図17を参照)になる。
【0103】
ステップS122において、スパッタリングまたは真空蒸着によってベースウエハ92Wの実装面M3に外部電極925a、925bが形成され、貫通孔BHには側面電極923a、923bが形成される(図17を参照)。
【0104】
ステップS14では、低融点ガラスLGを加熱させリッドウエハ(図5をを参照)と水晶ウエハ90Wとベースウエハ92Wとが接着剤である低融点ガラスLGにより接合される。
【0105】
ステップS15では、接合されたリッドウエハ(図5をを参照)と水晶ウエハ90Wとベースウエハ92Wとが個々の水晶デバイス900に切断される。切断工程では、図17及び図18に示された一点鎖線のスクライブラインSLに沿って水晶デバイス900を単位として個片化する。これにより、数百から数千の水晶デバイス900が製造される。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0107】
また、本明細書では低融点ガラスによりベースウエハと、水晶ウエハと、リッドウエハとなどが接合されているが、低融点ガラスの代わりにポリイミド樹脂を用いられてもよい。ポリイミド樹脂が用いられる場合においては、スクリーン印刷でもよいし、感光性のポリイミド樹脂を全面に塗布した後に露光することもできる。
【0108】
また、本明細書では平面フリンジ部の端部がR面取りされているが、C面取りされてもよい。
【0109】
また、本明細書ではATカットの水晶振動片について説明したが、BTカットの水晶振動片などにも適用される。
【0110】
さらに、本明細書では水晶振動片が使用されたが、水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料を利用することができる。さらに圧電デバイスとして、発振回路を組み込んだICなどをパッケージ内に配置させた圧電発振器にも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0111】
10〜90、10A、10B、20A、20B、30A〜30D、40A〜40D、50A〜50C、60A〜60C、70A〜70C、80A、80B、90 … 水晶振動片
10W、90W … 水晶ウエハ
11、91 … リッド部、 11W … リッドウエハ
12、22、92 … ベース部、 12W、92W … ベースウエハ
13 … 導電性接着剤
100、200、900 … 水晶デバイス
102〜902 … 励振電極
103〜903 … 引出電極
104 … 接続部
111、911 … リッド凹部
121、921 … ベース凹部
122a、122b、906a、906b、922a、922b … キャスタレーション
123a、123b、907a、907b、923a、923b … 側面電極
124a、124b … 接続電極
125a、125b、925a、925b … 外部電極
901 … 水晶振動部
904a、904b … 連結部
905 … 枠体
907M、923M … 接続パッド
908 … 貫通開口部
BH、CH … 貫通孔
CT … キャビティ
CX、CX1、CX2 … コンベックス面
EL … 稜線
FG … 平面フリンジ
LG … 低融点ガラス
M1 … 第1端面、 M2 … 第2端面、 M3 … 実装面
PN … 平面部
SL … スクライブライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さから前記第1厚さよりも厚い第2厚さへ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面を少なくとも一面に有し、
前記外周部から前記中央部にかけて前記第1断面に垂直な第2断面が前記第1厚さから前記第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面を少なくとも一面に有し、
前記外周部の少なくとも一部に断面が直線状で且つ前記第1厚さの平面フリンジ部を有する水晶振動片。
【請求項2】
前記中央部には前記第2厚さの平面部を有する請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項3】
外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さから前記第1厚さよりも厚い第2厚さへ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面を少なくとも一面に有し、
前記外周部から前記中央部にかけて前記第1断面に垂直な第2断面が前記第1厚さから前記第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面を少なくとも一面に有し、
前記中央部には前記第2厚さの平面部を有する水晶振動片。
【請求項4】
前記第1の曲率と前記第2の曲率とは同じである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項5】
前記水晶振動片は結晶方向のX軸を中心として回転したX軸、Y’軸及びZ’軸から規定されたATカットの水晶振動片であり、
前記Y’軸方向が前記水晶振動片の厚さ方向であり、
前記第1断面がXY’断面で、前記第2断面がY’Z’断面である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項6】
前記外周部は四角形状であり、
前記中央部は円形状である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項7】
前記外周部は円形状であり、
前記中央部は円形状である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項8】
前記中央部は四角形状であり、該コンベックス面には前記中央部の4つの角から伸びた稜線が形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項9】
前記コンベックス面は表裏面に形成されている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項10】
前記外周部の端部は曲面状に面取りされている請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項11】
前記外周部を囲む枠体と、
前記外周部の少なくとも一部と前記枠体とを連結する連結部と、
を備えた請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項12】
表面実装型の水晶デバイスであって、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の水晶振動片は、前記水晶振動片の前記中央部に形成された励振電極と前記励振電極から引き出された引出電極とを有し、
前記水晶振動片を収納する凹み部を有し、前記凹み部の底面に前記引出電極と導通する接続電極を有するベース部と、
前記ベース部に接合し前記水晶振動片を封止するリッド部と、
を備える水晶デバイス。
【請求項13】
表面実装型の水晶デバイスであって、
請求項11に記載の水晶振動片は、前記水晶振動片の前記中央部に形成された励振電極と、前記枠体に形成された前記励振電極と導通する引出電極とを有し、
前記枠体の一方の面に接合し、前記引出電極と導通する接続電極を有するベース部と、
前記枠体の他方の面に接合するリッド部と、
を備えた水晶デバイス。
【請求項1】
外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さから前記第1厚さよりも厚い第2厚さへ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面を少なくとも一面に有し、
前記外周部から前記中央部にかけて前記第1断面に垂直な第2断面が前記第1厚さから前記第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面を少なくとも一面に有し、
前記外周部の少なくとも一部に断面が直線状で且つ前記第1厚さの平面フリンジ部を有する水晶振動片。
【請求項2】
前記中央部には前記第2厚さの平面部を有する請求項1に記載の水晶振動片。
【請求項3】
外周部から中央部にかけて第1断面が第1厚さから前記第1厚さよりも厚い第2厚さへ第1の曲率で曲線状に変化する第1コンベックス面を少なくとも一面に有し、
前記外周部から前記中央部にかけて前記第1断面に垂直な第2断面が前記第1厚さから前記第2厚さへ第2の曲率で曲線状に変化する第2コンベックス面を少なくとも一面に有し、
前記中央部には前記第2厚さの平面部を有する水晶振動片。
【請求項4】
前記第1の曲率と前記第2の曲率とは同じである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項5】
前記水晶振動片は結晶方向のX軸を中心として回転したX軸、Y’軸及びZ’軸から規定されたATカットの水晶振動片であり、
前記Y’軸方向が前記水晶振動片の厚さ方向であり、
前記第1断面がXY’断面で、前記第2断面がY’Z’断面である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項6】
前記外周部は四角形状であり、
前記中央部は円形状である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項7】
前記外周部は円形状であり、
前記中央部は円形状である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項8】
前記中央部は四角形状であり、該コンベックス面には前記中央部の4つの角から伸びた稜線が形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項9】
前記コンベックス面は表裏面に形成されている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項10】
前記外周部の端部は曲面状に面取りされている請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項11】
前記外周部を囲む枠体と、
前記外周部の少なくとも一部と前記枠体とを連結する連結部と、
を備えた請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の水晶振動片。
【請求項12】
表面実装型の水晶デバイスであって、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の水晶振動片は、前記水晶振動片の前記中央部に形成された励振電極と前記励振電極から引き出された引出電極とを有し、
前記水晶振動片を収納する凹み部を有し、前記凹み部の底面に前記引出電極と導通する接続電極を有するベース部と、
前記ベース部に接合し前記水晶振動片を封止するリッド部と、
を備える水晶デバイス。
【請求項13】
表面実装型の水晶デバイスであって、
請求項11に記載の水晶振動片は、前記水晶振動片の前記中央部に形成された励振電極と、前記枠体に形成された前記励振電極と導通する引出電極とを有し、
前記枠体の一方の面に接合し、前記引出電極と導通する接続電極を有するベース部と、
前記枠体の他方の面に接合するリッド部と、
を備えた水晶デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−199606(P2012−199606A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60519(P2011−60519)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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