説明

永久磁石同期モータの制御装置

【課題】モータを駆動しつつモータ定数を迅速に同定し、電流検出手段のオフセット値を同定して除去可能とする。
【解決手段】モータの速度及びd,q軸電圧を入力としてd,q軸推定電流を演算する電流シミュレータ9と、d軸検出電流が零となるようにモータを定速制御し、d,q軸推定電流及びd,q軸検出電流から磁束鎖交数の偏差が零となるようにシミュレータ9の自己インダクタンスノミナル値を調整して自己インダクタンスを同定し、d軸検出電流が所定値となるようにモータを制御し、d,q軸推定電流及びd,q軸検出電流から磁束鎖交数の偏差が零となるようにシミュレータ9の電機子抵抗ノミナル値を調整して電機子抵抗を同定し、d,q軸推定電流及びd,q軸検出電流から磁束鎖交数を同定し、d軸推定電流と検出電流との偏差、及び、q軸推定電流と検出電流との偏差から、電流検出手段のオフセット値を同定する同定手段10と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石同期モータの制御装置に関し、特に、モータの自己インダクタンスや電機子抵抗等のモータ定数の同定技術、及び、電流検出手段のオフセット調整技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
同期モータは、回転子の位置に応じて適切に電流を検出して制御することにより、制御性及び効率を向上させることができる。この場合、自己インダクタンスや電機子抵抗、磁束鎖交数のようなモータ定数が必要である。
一般に、同期モータのモータ定数には設計値が使用されるが、実際値と設計値との間には誤差がある。こうした誤差は、トルク制御精度や応答性に大きく影響する。このモータ定数は温度変化等によって変動するため、モータ駆動中にも逐次同定しながら制御に用いるモータ定数を調整することが望ましい。
【0003】
また、モータの電流を検出する場合、電気的絶縁を必要とする電流センサが利用されており、その場合の検出素子としては、ギャップを有するコアを介して発生する磁界の強さを電圧に変換し、電流検出信号としてホール素子により取り出すものが一般的である。
しかし、ホール素子には、部品較差や個体差等に伴う固有のオフセットが存在し、このオフセットは、更に感度のバラツキや温度変化等の環境的な要因によって変化する特性を有している。
【0004】
ここで、同期電動機のモータ定数を測定する方法としては、特許文献1に示すような方法が知られている。
この特許文献1に係る従来技術では、回転子を停止状態に設定し、q軸電流指令、d軸電流指令を第1のq軸電流指令値、第1のd軸電流指令値に設定し、所定の大きさのd軸電流ステップ指令を制御装置に与える。このステップ指令に対するd軸電流検出値の偏差に対応して生成されるd軸電圧指令値から電動機の一次抵抗による電圧降下分の電圧を減算して得られる電圧値を、予め定められた第1の積分時間にわたり積分して積分値vdsumを生成し、積分開始時点のd軸電流検出値に対する積分終了時のd軸電流検出値の変化量Δiを生成する。
同様の計算をq軸についても実行して積分値vqsumとΔiとを生成することにより、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの比:K=(vqsum/vdsum)・(Δi/Δi)を算出する。そして、既知であるd軸インダクタンスLを用いて、q軸インダクタンスLをL=KLによって算出することにより、同定を終了する。
【0005】
一方、永久磁石同期モータの駆動中に、モータ定数を測定しつつ電流検出器のオフセットを調節する方法として、非特許文献1に示すような方法がある。
非特許文献1に記載された従来技術では、モータの電気的特性を模擬する電流シミュレータを構成し、このシミュレータにて用いる電気パラメータ(モータ定数としての電機子抵抗、自己インダクタンス)のノミナル値R,Lと真値R,Lとの誤差率α,βをそれぞれ定義する。そして、d軸電流を0に制御した状態で、電流シミュレータのd軸推定電流i^の値が0になるようにノミナル値Lを調整し、検出器のオフセット分として現れる電流リプル分を除去したq軸推定電流i^とq軸検出電流iqsenseとの電流比から誤差率αを求め、求めた誤差率αから電機子抵抗Rを同定する。更に、求めた電機子抵抗値Rをノミナル値Rとして電流シミュレータのパラメータを調節した場合の電流比から誤差率βを求め、求めた誤差率βから自己インダクタンス値Lを同定する。
その後、上記同定値R,Lを電流シミュレータの電気パラメータとして、d軸電流,q軸電流及びモータの電気角θreに基づき電流検出器のオフセット値Δi^,Δi^を算出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−352800号公報(段落[0044]〜[0056]、図1,図2等)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】佐沢,川后,植中,大石,「電流シミュレータを用いた永久磁石モータの電流検出誤差とパラメータ変動の推定手法」,電気学会産業応用部門論文誌D、130巻8号,1000頁〜1007頁,2010年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されている従来技術では、既知であるd軸インダクタンスを用い、かつ、回転子を停止状態に設定したうえで交流のq軸電流指令を電流コントローラに入力しているため、モータ定数の同定を通常の駆動中に行う、いわゆるオンライン同定が困難であり、また、電流検出器のオフセットが同定値に影響したりトルクリプルを発生させる等の問題がある。
これに対し、非特許文献1に開示されている従来技術によれば、d−q軸にて電流一定の区間を設ければ、電機子抵抗R及び自己インダクタンスLの同定、並びに電流検出器のオフセット調整をオンラインにて行うことが可能であるが、モータ定数の一つである磁束鎖交数φを同定できないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、モータを駆動しつつd軸,q軸に関する各種のモータ定数を迅速に同定し、同時に電流検出手段のオフセット成分を同定してこれを調整可能とした永久磁石同期モータの制御装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、永久磁石同期モータの電流指令と検出電流との偏差に応じた電圧指令を演算する電流制御手段と、前記電圧指令に従って生成した交流電圧を前記モータに供給する電力変換器と、前記検出電流としての相電流をd−q回転座標上のd軸電流及びq軸電流に変換する電流検出手段と、を備えた永久磁石同期モータの制御装置において、
前記モータの回転速度及びd−q回転座標上のd軸,q軸電圧を入力として前記モータの状態方程式からd軸,q軸推定電流を演算する電流シミュレータと、
前記モータのd軸検出電流が零となるように前記モータを一定速度に制御した状態で、前記d軸,q軸推定電流及びd軸,q軸検出電流を用い、前記モータと前記電流シミュレータとの磁束鎖交数の偏差が零となるように前記電流シミュレータの自己インダクタンスノミナル値を調整して前記モータの自己インダクタンスを同定する機能、前記モータのd軸検出電流を所定値に制御した状態で、前記d軸,q軸推定電流及びd軸,q軸検出電流を用い、前記モータと前記電流シミュレータとの磁束鎖交数の偏差が零となるように前記電流シミュレータの電機子抵抗ノミナル値を調整して前記モータの電機子抵抗を同定する機能、前記d軸,q軸推定電流及びd軸,q軸検出電流を用いて前記モータの磁束鎖交数を同定する機能、及び、前記d軸推定電流とd軸検出電流との偏差並びに前記q軸推定電流とq軸検出電流との偏差から、前記電流検出手段のオフセット値を同定する機能、を有する同定手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、d軸電流を零に制御した状態で電流シミュレータの出力であるd軸,q軸推定電流とd軸,q軸検出電流とから磁束鎖交数の誤差を求めて同期モータの自己インダクタンスを同定する。また、電流シミュレータの自己インダクダンスを同定した値にし、d軸電流を任意の値に制御した状態でd軸,q軸推定電流とd軸,q軸検出電流とから磁束鎖交数の誤差を求めて電機子抵抗を同定する。そして、電流シミュレータの自己インダクタンス及び電機子抵抗を同定した値にして、磁束鎖交数の誤差を求めることにより磁束鎖交数を同定する。これにより、同期モータを駆動しながらすべてのモータ定数を同定することができる。
更に、本発明によれば、d軸,q軸推定電流及びd軸,q軸検出電流からオフセット成分を推定し、電流検出手段のオフセット値を求めることも可能である。
すなわち、本発明によれば、同期モータの各種のモータ定数や電流検出手段のオフセット値を適切に調整することができ、同期モータのトルク脈動を抑えて高精度かつ高応答な電流制御系を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の構成を示すブロック図である。図1において、この実施形態に係る永久磁石同期モータ1の制御装置は、電力変換器2、電流検出手段3、2軸電流変換手段4、エンコーダ等の速度検出手段5、回転数制御手段6、d軸電流制御手段7、q軸電流制御手段8、及び、加減算手段11,12d,12q,13u,13vを備えると共に、電流シミュレータ9及び同定手段10を備えている。
【0014】
ここで、電力変換器2は、d軸電圧指令vref及びq軸電圧指令vrefに基づいて3相交流電圧を出力するPWMインバータ等によって構成されており、IGBT等のパワー半導体スイッチング素子を用いた3相スイッチング回路を備えている。
上記電力変換器2以外の各手段は、例えば、DSPやマイクロコンピュータの制御アプリケーションによって実現される。なお、DSPまたはマイクロコンピュータは、電流検出用のコアや、メモリ、A/D変換回路、通信ポート等の周辺装置を含んでいてもよい。勿論、電力変換器2以外の各手段の一部を、論理回路によって構成してもよい。
制御対象である永久磁石同期モータ1としては、特に、表面磁石同期モータ(SPM)を想定している。このSPMは、埋込磁石同期モータ(IPMSM)に比べて低トルクではあるが、低トルクリプルという利点を有するため、高精度かつ高性能な位置決め用途のサーボモータに広く用いられているものである。
【0015】
次に、図1に基づいて、同期モータ1の駆動時における動作の概要を説明する。
外部から与えられる目標回転速度ωrmrefと速度検出手段5により検出したモータ1の回転速度ωrmとの偏差を加減算手段11により求め、この偏差に基づき、速度制御手段6がq軸電流指令irefを生成する。
電流検出手段3では、u相及びv相の電流検出器によって得られた相電流i,i及びこれらから算出したw相電流iを、2軸電流変換手段4によりd−q座標上の検出電流isense,isenseに変換する。なお、図1では、電流検出器にオフセット値Δi,Δiが存在することを考慮し、加減算手段13u,13vにより相電流i,iにオフセット値Δi,Δiをそれぞれ加算した値を2軸電流変換手段4に入力するように表示してある。
【0016】
2軸電流変換手段4から出力される検出電流isense,isenseと、任意に設定したd軸電流指令iref及び速度制御手段6から出力されたq軸電流指令irefとの偏差を加減算手段12d,12qによりそれぞれ求め、これらの偏差に基づき、d軸電流制御手段7及びq軸電流制御手段8がd軸電圧指令vref、q軸電圧指令vrefをそれぞれ生成する。
d軸電圧指令vref及びq軸電圧指令vrefは電力変換器2に入力されており、この電力変換器2により生成された3相交流電圧が同期モータ1に供給される。
上述した一連の動作により、同期モータ1は、実際の回転速度ωrmが目標回転速度ωrmrefに追従するように制御される。なお、2軸電流変換手段4や、電力変換器2におけるd−q軸電圧成分から3相電圧への逆変換手段(図示せず)等の構成及び動作は、周知技術であるため説明を省略する。
【0017】
次に、d軸及びq軸電流を推定する電流シミュレータ9について説明する。
同期モータ1のd−q座標軸上の状態方程式に基づいて、電流シミュレータ9は数式1の演算を実行することで実現される。数式1において、i^及びi^はd軸推定電流及びq軸推定電流、v及びvはd軸電圧及びq軸電圧、Rはモータ1の電機子抵抗のノミナル値、Lは自己インダクタンスのノミナル値、φfnは磁束鎖交数のノミナル値、ωreは同期モータ1の電気角周波数である。
数式1から明らかなように、電流シミュレータ9は、v,v及びωreを入力とし、更に各ノミナル値R,L,φfnを用いてd軸推定電流i^及びq軸推定電流i^を出力する。なお、図1では、数式1のv,vとして電圧指令vref,vrefを用いており、また、数式1のωreは図1における実回転速度ωrmに相当する。
【0018】
【数1】

【0019】
次いで、同定手段10について説明する。
同定手段10には、電流シミュレータ9の出力であるd軸推定電流i^、q軸推定電流i^、及び検出電流isense,isenseが入力されており、同定手段10はこれらの入力を用いてモータ定数であるR,L,φを同定すると共に、電流検出手段3の電流検出値に含まれるオフセット値Δi,Δiを同定する。
【0020】
ここで、同定手段10における同期モータ1のパラメータ同定の理論的な理由について、まず、電流検出手段3のオフセットと電流シミュレータ9との関係について説明する。
電流検出手段3による電流検出値にオフセットが加わった場合、電流制御系がオフセットによる電流リプルを抑制するように制御するため、電圧指令vref,vrefにはオフセットの影響が含まれる。従って、電流制御系を考慮した電流シミュレータ9は、数式2のようになる。この数式2において、i^’,i^’は電流制御系を考慮したd軸,q軸推定電流、Rは電機子抵抗値、Lは自己インダクタンス値、Δi,Δiはd軸,q軸推定電流と実際のd軸,q軸検出電流i,iとの偏差(Δi=i^’−i、Δi=i^’−i)である。なお、d軸,q軸電流i,iは、前述したisense,isenseに相当する。
【数2】

【0021】
同期モータの電気パラメータに対する電流シミュレータ9の電機子抵抗の変動率をγ、自己インダクタンスの変動率をγ、磁束鎖交数の誤差をΔφとして数式3のようにおくと、d軸推定電流i^’及びq軸推定電流i’は数式4となる。この数式4によれば、電流検出手段3のオフセットによる影響、つまり、Δi,Δiを含む項は、d軸推定電流i^’及びq軸推定電流i’のいずれについても、第2項、第3項のみにしか現れていない。
【0022】
【数3】

【数4】

【0023】
通常、電流検出手段のオフセットは直流成分が支配的であり、d−q軸上のΔi及びΔiには交流成分として現れる。従って、d軸推定電流i^’及びq軸推定電流i’のいずれについても、直流成分には数式4の第1項のみが現れるため、同期モータ1の電気パラメータの同定に当たっては、直流成分を用いることにより、電流検出手段のオフセットに対して互いに不感な同定方法を実現することができる。
【0024】
次に、モータの電気パラメータ同定の理論的な理由について説明する。
電気パラメータのうち、磁束鎖交数φfaのみが変動(すなわち、R=R、L=L)していると、d軸推定電流i^及びq軸推定電流i^は数式5によって表すことができ、これを磁束鎖交数の誤差Δφについてd軸側のΔφをΔφ、q軸側のΔφをΔφとして解くと、数式6のように表すことができる。
【数5】

【数6】

【0025】
本来、ΔφとΔφとは一致している必要があるため、数式7に表す両者の偏差Δφdiffが零となるように、R及びLを調整すればよいことになる。
【数7】

及びLの調整に関しては、数式7を同期モータの電気パラメータを用いて展開すると数式8のようになり、数式8におけるΔiを零とすると、γが1となるようにすればφdiffが零となる。
【数8】

【0026】
従って、同定手段10における電気パラメータの同定に関する動作としては、iを零に制御した状態で、電流シミュレータ9内の自己インダクタンスのノミナル値Lを変動させ、数式7のΔφdiffが零になるLの値を探すことによって自己インダクタンスを同定する。そして、電流シミュレータの自己インダクタンスLを同定した値にし、iを任意の値に制御して電機子抵抗のノミナル値Rを変動させ、数式7のΔφdiffが零になるRの値を探すことで電機子抵抗を同定する。最後に、電流シミュレータの電機子抵抗R及び自己インダクタンスLを同定した値にし、数式6により磁束鎖交数の誤差分であるΔφ,Δφを求め、磁束鎖交数φfaを同定する。
【0027】
以上説明した同期モータの電気パラメータの同定に関する全体的な動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、q軸電流iを一定に保つため、同期モータ1の回転速度を一定値に制御する(ステップS1)。次に、ステップS2では、d軸電流iを零に制御した状態で(S2a)、数式6〜8に示した如く偏差Δφdiffが零となるように、自己インダクタンスのノミナル値Lを調整する(S2b〜S2e)。そして、ステップS3では、調整した値を電流シミュレータの自己インダクタンスノミナル値とし、d軸電流iを任意の値に制御した状態で(S3a)、偏差Δφdiffが零となるように、電機子抵抗のノミナル値Rを調整する(S3b〜S3e)。ステップS4では、上記のようにして自己インダクタンス及び電機子抵抗を同定した後、数式6によりΔφを同定して磁束鎖交数φfnを調整する。
【0028】
次に、同定手段10おける電流検出手段3のオフセット同定について説明する。
先に同定した同期モータ1の電気パラメータをもって電流シミュレータ9のノミナル値とし、数式9に示すような電流シミュレータの出力、すなわち、d軸推定電流i^’、q軸推定電流i’とd軸検出電流i、q軸検出電流iとの偏差Δi^,Δi^がd−q軸のオフセット成分となることから、数式10により、これらの2軸電流を3相交流に変換してオフセット値Δi^,Δi^を求める。これらのオフセット値は、図1の電流検出手段3に示したように、相電流i,iの補正に用いられることになる。
【0029】
【数9】

【数10】

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る永久磁石同期モータの制御装置は、同定のために特殊な操作を行わなくても、通常の運転中にd軸電流及びq軸電流を所定値に制御する期間を与えるのみで、同期モータの全ての電気パラメータを同定し、更に電流検出手段のオフセットも調整することができる。従って、本発明はサーボシステム等の産業用の永久磁石同期モータを駆動する場合に利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:永久磁石同期モータ
2:電力変換器(PWMインバータ)
3:電流検出手段
4:2軸電流変換手段
5:速度検出手段(エンコーダ)
6:速度制御手段
7:d軸電流制御手段
8:q軸電流制御手段
9:電流シミュレータ
10:同定手段
11,12d,12q,13u,13v:加減算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石同期モータの電流指令と検出電流との偏差に応じた電圧指令を演算する電流制御手段と、前記電圧指令に従って生成した交流電圧を前記モータに供給する電力変換器と、前記検出電流としての相電流をd−q回転座標上のd軸電流及びq軸電流に変換する電流検出手段と、を備えた永久磁石同期モータの制御装置において、
前記モータの回転速度及びd−q回転座標上のd軸,q軸電圧を入力として前記モータの状態方程式からd軸,q軸推定電流を演算する電流シミュレータと、
前記モータのd軸検出電流が零となるように前記モータを一定速度に制御した状態で、前記d軸,q軸推定電流及びd軸,q軸検出電流を用い、前記モータと前記電流シミュレータとの磁束鎖交数の偏差が零となるように前記電流シミュレータの自己インダクタンスノミナル値を調整して前記モータの自己インダクタンスを同定する機能、前記モータのd軸検出電流を所定値に制御した状態で、前記d軸,q軸推定電流及びd軸,q軸検出電流を用い、前記モータと前記電流シミュレータとの磁束鎖交数の偏差が零となるように前記電流シミュレータの電機子抵抗ノミナル値を調整して前記モータの電機子抵抗を同定する機能、前記d軸,q軸推定電流及びd軸,q軸検出電流を用いて前記モータの磁束鎖交数を同定する機能、及び、前記d軸推定電流とd軸検出電流との偏差並びに前記q軸推定電流とq軸検出電流との偏差から、前記電流検出手段のオフセット値を同定する機能、を有する同定手段と、
を備えたことを特徴とする永久磁石同期モータの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−42631(P2013−42631A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179270(P2011−179270)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)研究集会名:電気学会 モータドライブ家電・民生合同研究会 (2)主催者名:社団法人電気学会 (3)開催日:平成23年3月4日
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】