説明

洗浄組成物で有用な変成リグニンバイオポリマー

アニオン性、カチオン性、及び/又はアルコキシ置換基を含有する新規な変成リグニンポリマーが開示される。更に、この新規な置換リグニンポリマーを含む新しい洗浄組成物が開示される。変成リグニンポリマー及び洗浄組成物を形成する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な消費者商品への成分として有用な変成リグニンバイオポリマーに関する。ユニークな構造を有する変成リグニンバイオポリマーが提示される。加えて、本発明のバイオポリマーは、布地ケア製品、及び表面の洗浄が必要とされる他の洗浄製品又は用途で利益をもたらし得る。
【背景技術】
【0002】
リグニンは全ての維菅束植物の成分であり、ほとんどが細胞構造間で見出されるものの、細胞内及び細胞壁中にも見出される。リグニンは、植物中の液体の輸送を調節するように機能し(一部では細胞壁を補強し、崩壊から守ることにより、一部では液体の流れを規制することにより)、植物が日光を求めて高くかつ完全に成長するのを可能にする。
【0003】
リグニンは、複雑な、フェニルプロパンをベースとする構造を有する、非晶質の三次元ポリマーである。天然の未処理の形態では、リグニンの分子構造はリグニン源によって様々であり、非常に複雑でありかつ異なることから、その分子構造が完全に記述されたことはない。
【0004】
天然に見出されるほとんど全てのリグニンを構成する3つの共通のモノマーがある。これらの共通のモノマーは、スキーム1に示すように、p−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、及びシナピルアルコールである。これらのモノマーは、シキミ酸の経路により植物中で生合成される。p−クマリルアルコールは、草木及び牧草型のリグニンの成分である。コニフェリルアルコールは、針葉樹中に見出される主要なリグニンモノマーであり、コニフェリル及びシナピルアルコールは、両方とも広葉樹リグニンの主要な構成要素である。
【化1】

【0005】
洗浄力の改善は、洗剤メーカーにとっての恒久的な目標である。多くの界面活性剤をベースとする製品は、多数の有効な界面活性剤、合成ポリマー、及びこれらの組み合わせを使用しているにもかかわらず、特に低い水温で使用される場合、汚れた物体を未だに完全には洗浄できない。
【0006】
布地、特に衣類は、疎水性の汚れ(グリース、オイル)から親水性の汚れ(粘土)に至る、様々な異物により汚される可能性がある。これらの異物の除去に必要な洗浄力は、存在する汚れの量と、異物が布地繊維に接触した程度に大きく依存する。例えば、草染みは、通常、草との直接の摩擦的な接触を含むことから、深く浸透した汚れを生じる。多くの洗浄配合物は、これらの汚れの解膠及び除去を助けるために、酵素の組み合わせを使用する。あるいは、粘土質土壌による汚れは、粘土それ自身が帯びる電荷が高いために、異なる形の汚れ除去問題を提供する。この高い表面電荷密度は、従来の界面活性剤及び酵素による、感知できる程度の粘土の解膠及び分散に抵抗する。これらの汚れに対しては、解膠性ポリマー及びビルダーが汚れの除去を助ける。最終的に、草染み及び屋外での土汚れ(粘土)を除去する技術は、グリース除去を有効に促進しないので、グリース及びオイルなどの疎水性汚れは、通常、別の汚れ除去問題を伴う。これらの疎水性の汚れに対しては、除去のために界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせが一般に好まれる。
【0007】
汚れの除去に加えて、有効な洗浄のためには、汚れ又はしみ物質が、一度表面から除去されたならば、洗浄処理工程時に表面上に再付着しないということも重要である。すなわち、汚れ又はしみ物質が、一度表面から除去されたならば、洗浄製品は汚れ又はしみ物質の清浄表面への再付着を防止し、そして代わりにそれらを洗浄工程から除去するべきである。
【0008】
限定するものではないが、洗剤組成物を洗浄溶液に溶解するときに発生する泡の速度及び体積、洗浄サイクル中の泡の保持、及びすすぎサイクルにおける泡のすすぎの容易さを含む、洗剤組成物の起泡特性は、消費者に非常に高く評価される。このような消費者には、起泡は、洗剤が「機能している」重要な合図として、及び洗浄目的の達成を活発に推進するものとしてみなされる。したがって、大量の泡が急速に発生し、洗浄サイクル中に泡がよく保持されることが、極めて好まれる。他方、洗浄サイクル中の大量の泡により、典型的には、泡がすすぎ槽溶液に持ち越され、洗濯された物品を充分すすぐためには追加の時間、エネルギー及び水が必要とされる。したがって、すすぎ溶液中で泡が急速に崩壊することは、洗剤組成物の起泡特性の別の好ましい態様である。
【0009】
一般に、洗濯の用途において、現行の汚れ放出ポリマー(「SRP」)は、グリース、オイル又は類似の疎水性の汚れが拡がり、付着した膜を形成し、そのために水洗い洗濯のプロセスでは容易に除去されない、ポリエステル又は他の合成繊維布地上で有効である。多数の従来の汚れ放出ポリマーは、「混紡」布地、すなわち、木綿と合成材料の混合物を含む布地には劇的な効果を及ぼさず;木綿物品には僅かな効果を及ぼすか、又は全く効果を及ぼさない。天然の再生可能な資源からのポリマーを含めて、木綿布地などの布地表面を有効に変成して、多くの種類の親水性及び疎水性の汚れを布地から除去する助けとなることができる、汚れ放出ポリマーを含有する洗濯洗剤又は布地ケア組成物に対して長年必要性が感じられてきた。
【0010】
この理由及び他の理由のために、有効な洗浄組成物は、通常、様々な汚れの除去を助ける多数の技術から構成される。残念ながら、コスト及び配合の制約から、上記の洗浄技術のそれぞれを有効に組み込んで、洗浄プロセス時の目標の汚れ及びしみを全て完全に除去する、洗浄配合物を見出すことはまれである。
【0011】
例えば、皿洗い洗剤などの硬質表面クリーナー、シャンプー及びセッケンが挙げられる健康、美容、及びパーソナルケア分野で使用されるものなどの他の洗剤製品も、改善された洗浄/起泡/汚れ放出特性を有する製品から利益を享受し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
布地、硬質表面及び他の汚れた表面上の親水性及び疎水性の汚れ又はしみ物質にこれらの効果を実証する、ポリマーなどの改善された材料を含有する洗浄組成物に対する必要性が、当分野では長年感じられてきた。加えて、活性ポリマーの有効性が増大するにしたがって、他の洗浄技術に対する負担が減少しつつあり、これらの他の材料の使用量を減らして組成物を配合し、費用効果のより大きい材料を使用し、及び/又は改善された洗浄を活用して、消費者を大いに後押しすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示は、洗浄組成物の中に組み込まれ得る、新規な変成リグニンポリマーに関する。1つの実施形態によれば、本開示は、置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含むランダム置換リグニン骨格を含む、変成リグニンポリマーを提供する。ランダム置換リグニン骨格上のヒドロキシル基の少なくとも2つ以上がR置換基により置換されたものである。それぞれのR置換基は、独立して、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基R、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるR置換基型であり、但し、前記ランダム置換リグニン骨格は、少なくとも2つの異なるR置換基型を含む。例えば、リグニン骨格は、R及びR置換基型;R及びR置換基型;R及びR置換基型;又はR、R及びR置換基型を含み得る。
【0014】
別の実施形態によれば、本開示は、式I:
【化2】

により表される構造を有するランダム置換リグニン骨格を含む変成リグニンポリマーを提供する。ランダム置換リグニン骨格は、p−クマリルアルコールの置換及び非置換残基、コニフェリルアルコールの置換及び非置換残基、シナピルアルコールの置換及び非置換残基、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される、置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含む。ランダム置換リグニン骨格上のヒドロキシル基の少なくとも2つ以上は、R置換基により置換されたものであり、「p」は1〜3の整数である。それぞれのR置換基は、独立して、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基R、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるR置換基であり、但し、前記ランダム置換リグニン骨格は、少なくとも2つの異なるR置換基型を含む。それぞれのR基は、独立して、式II:
【化3】

に示す構造を有し、式中、それぞれのRは、孤立電子対、H、CH、及び直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルからなる群から選択され、ただし、R基の少なくとも2つは、孤立電子対でなく、Rは、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖、あるいは直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であり、Lは、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、並びにRはH又はC〜Cアルキルであり、yは0又は1の値を有し、並びにzは0又は1の値を有する。それぞれのR基は、式III:
【化4】

に示す構造を独立して有し、式中、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、スクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性基であり;L’は、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、式中、RはH又はC〜Cアルキルであり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の整数である。それぞれのR基は、式IV:
【化5】

に示す構造を独立して有し、式中、eは0又は1の値を有し、fは0〜8の整数であり、gは0〜50の整数であり;L’’は、−O−、−C(O)O−、−NR11−、−C(O)NR11−、及び−NR11C(O)NR11−からなる群から選択される連結基であり、式中、R11はH又はCアルキルであり、それぞれのRはエチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物であり、並びにR10は水素、C〜C20アルキル、ヒドロキシ、−OR及び−ORからなる群から選択される末端基である。
【0015】
本開示の更なる実施形態は、ランダム置換リグニン骨格を有する変成リグニンポリマーを含む洗浄組成物をもたらす。ランダム置換リグニン骨格は置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含み、ここで、ランダム置換リグニン骨格上のヒドロキシル基の少なくとも2つ以上はR置換基により置換されたものである。それぞれのR置換基は、独立して、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基R、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるR置換基型であり、但し、前記ランダム置換リグニン骨格は少なくとも2つの異なるR置換基型を含む。
【0016】
本開示のなお更なる実施形態は、変成リグニンポリマーを洗浄組成物に添加することを含む洗浄組成物を製造する方法を提供する。これらの実施形態によれば、変成リグニンポリマー組成物は、本明細書で説明されているランダム置換リグニン骨格を有する変成リグニンポリマーなど、本明細書で記載され、開示されている変成リグニンポリマー組成物のいずれであってもよい。本明細書に記載の変成リグニンポリマーを含む有効量の洗浄組成物と基材を接触させることを含む、基材を処理する方法も開示されている。基材の例としては、布地及びテキスタイル、硬質及び軟質表面、皿、毛髪、及び皮膚が挙げられるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の様々な実施形態は、次の図と一緒に考慮されると更によく理解され得る。
【図1】非変成リグニンポリマーを例示する構造。
【図2】非変成リグニンポリマーを例示する構造。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
定義
本明細書で使用するとき、用語「リグニン」は、木材及び他の植物源由来のオリゴマー及びポリマー構造体を包含し、植物の細胞壁に不可欠な要素である。リグニンは、典型的には、紙製品の製造の前に除去され、植物材料の加工を伴う他の工業の副産物である。リグニンの分子構造は複雑かつランダムであり、見かけ上ランダムで及び非組織化の形式で重合した、置換フェニルプロパンモノマーを主に含む。例えば、図1及び2を参照のこと。リグニン構造は、例えば、植物源及び単離方法に依存して、少なくとも一部が変化し得る。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「リグニン骨格」は、リグニンモノマー単位中の炭素に由来し得る、リグニンポリマーの炭素骨格を包含する。リグニン骨格は、ポリマー構造中でモノマー単位を一緒に結合する、隣接のモノマー単位の炭素の間のエーテル結合を更に包含する。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「窒素含有置換基」は、リグニン骨格上の置換基に関して使用される場合、四級アンモニウムカチオン性置換基と、及びプロトン化後に例えば、少なくとも温和な酸性条件下で、あるいは溶液のpKaがアミンのpKaより小さい条件下でアンモニウムカチオン性置換基を形成し得る、アミン置換基(すなわち、一級、二級、及び三級アミン置換基)との両方を含む。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「洗浄組成物」には、限定するものではないが、洗濯洗浄組成物、洗濯セッケン製品、布地ケア組成物、硬質表面洗浄組成物、皿洗浄組成物、ホームケア洗浄組成物、並びに健康及び美容分野で使用されるパーソナルケア洗浄組成物を含む。洗浄組成物としては、顆粒、粉末、液体(重質液体洗剤(「HDL」)を含む)、ゲル、ペースト、棒形及び/又はフレーク形洗浄剤、洗濯洗剤洗浄剤、洗濯ソーク又はスプレー処理剤及び前処理剤、布地処理組成物、皿洗い用洗剤及びセッケン、シャンプー、手洗い用組成物、ボディウオッシュ及びセッケン、並びに他の類似の洗浄組成物が挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「布地処理組成物」は、特記しない限り、布地柔軟化組成物、布地増強組成物、布地フレッシュニング組成物、及びこれらの組み合わせを包含する。このような組成物は洗い又はすすぎ時添加型の組成物であってもよいが、そうである必要性はない。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「パーソナルケア組成物」は、シャンプー、手洗い組成物、ボディウオッシュ組成物、脱毛組成物、浴用セッケン、棒セッケン、バスビーズ、化粧品、ビューティーバー、及びローションを包含する。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」は、本開示の組成物の調製時に共に使用される様々な成分を意味する。したがって、用語「から本質的になる」及び「からなる」は用語「含む」に包含される。
【0024】
本明細書で使用するとき、「the」、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求の範囲又は明細書で使用される場合、クレームされているもの又は記載されているものの1つ以上を意味するように理解される。
【0025】
本明細書で使用するとき、「包含する(include)」、「包含する(includes)」及び「包含している(including)」という言葉は、非限定的であるように意味される。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「複数」は1つ以上を意味する。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「残基」、「モノマー残基」及び「モノマーの残基」は、ポリマーの構造を参照しながら使用される場合、モノマー単位が重合反応によりポリマー鎖に組み込まれた後に残存するモノマー単位の化学構造を意味する。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「布地」、「テキスタイル」、及び「布」は、非特定的に使用され、限定するものではないが、木綿、ウール、ポリエステル、ナイロン、絹などの、様々な布地又はテキスタイルの混紡を含む、天然繊維、人工繊維及び合成繊維が挙げられる任意の種類の材料を指し得る。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「分散剤」及び「分散剤ポリマー」は、組成物が分散及び再付着防止利益をもたらし、洗浄済み表面上に付着する懸濁した汚れ又はしみ物質の量を最少化することにより、改善された色及び白色度の利益をもたらすことを意味する。例えば、非限定的であるが、分散剤は、溶液中の汚れ粒子上に付着し、例えば立体構造の安定化又はイオン性の安定化の1つ以上による、懸濁中の汚れ粒子の安定化によって、洗浄済み表面上への汚れ又はしみ物質の凝集及び再付着を防止又は最少化する。例えば、本開示に限定したことではないが、分散剤は、除去された粘土粒子のアニオン性表面に結合し、粒子の安定化された懸濁液を形成し、洗浄工程時に除去されるまで粒子を溶液中に保持して、粒子が洗浄済み表面上に再付着しないようにすることができる。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「起泡増強」又は「泡安定化性」は、起泡増強及び安定化性組成物を含有しない組成物の泡又は気泡と比較して、洗浄組成物により生成する泡又は気泡のレベルを増大させ、及び/又は泡又は気泡の泡を安定化することにより、泡又は気泡が持続する時間を増大させる、ポリマー及び組成物を含む。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「汚れ放出」は、組成物又はポリマーがテキスタイル繊維表面などの汚された物体の表面からの汚れの放出を助けることを意味する。これには、組成物又はポリマーがテキスタイル繊維表面の少なくとも一部に結合し又は被覆することで、被処理布地表面と接触している汚れ、しみ又はグリース/オイル組成物の結合親和性又は結合強度を少なくとも部分的に減少させることにより、洗浄工程時の布地表面からの汚れ、しみ又はグリース/オイルの除去を助ける変成が含まれる場合がある。加えて、汚れ放出には、テキスタイル繊維の中に吸収された汚れの放出を包む。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「ランダム置換」は、ランダム置換ポリマー中のモノマー残基上の置換基が非繰り返し型すなわちランダムな形式で生じるということ意味する。すなわち、ポリマー上の全置換基がパターンを持たないように、置換モノマー残基上の置換基は、ポリマー中の第2の置換モノマー残基上の置換基と同一であっても又は異なってもよい(すなわち、モノマー残基上の異なる原子上での置換(同一であっても又は異なってもよい))。更に、置換モノマー残基は、ポリマー内でランダム(すなわち、ポリマー内の置換及び非置換のモノマー残基についてパターンがない)に生じる。
【0033】
本明細書で使用するとき、リグニンポリマー上の置換基の「置換基重量パーセント」は、置換基により誘導体化されているそれぞれのモノマー単位上の置換基の数の平均的な尺度である。例えば、リグニンポリマーにおいてはそれぞれのフェニルプロピル単位は、3つ(又はそれ以上の)までの置換に利用可能な潜在的なヒドロキシル基又はメトキシ基を有し得る。しかしながら、それぞれのモノマー残基に対して、置換可能なヒドロキシル基又はメトキシ基の数は、例えば、リグニン源、モノマー残基(すなわち、p−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール又はシナピルアルコール)源、リグニン形成時の誘導体化の量又は単離方法、並びにモノマー残基内でのポリマー結合及び交差結合の位置によって様々であり得る。このように、置換基重量パーセントは、全ての特定の置換基の重量をポリマー(置換基+骨格)の全重量で割り100を掛けたもの(すなわち、(R重量/ポリマー重量)×100)を表す。本明細書に記載の変成リグニンポリマーの置換基重量パーセントを求める多くの方法がある。使用される方法は、バイオポリマーの置換基の種類に依存する。例えば、プロトン核磁気共鳴分光法(「HNMR」)又は当分野で周知である他の分析方法を用いて、置換基重量パーセントを求めることができる。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「平均分子量」は、ポリマー組成物中のポリマー鎖の平均分子量を指す。平均分子量は、重量平均分子量(「M」)又は数平均分子量(「M」)のいずれかとして計算され得る。重量平均分子量は、式:
=(Σ)/(Σ
(式中、Nは分子量Mを有する分子の数)を用いて計算され得る。数平均分子量は、式:
=(Σ)/(Σ)を用いて計算され得る。
【0035】
ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)、サイズ排除クロマトグラフィー、又は他の分析方法によって重量及び数平均分子量を測定し得る。
【0036】
特記しない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販品に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0037】
百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、重量で計算される。
【0038】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値制限は、それより小さいあらゆる数値制限を、そのようなより小さい数値制限が本明細書に明確に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載される最小数値制限は、それより大きいあらゆる数値制限を、そのようなより大きい数値制限が本明細書に明確に記載されたものとして含む。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる数値制限は、それより狭いあらゆる数値制限を、そのようなより狭い数値制限が本明細書に明確に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。
【0039】
変成リグニンポリマー組成物
本開示は、変成リグニンポリマー組成物を提供する。変成リグニンポリマーは、洗浄組成物中で成分として使用され得、限定するものではないが、洗浄及び分散利益、汚れ放出利益、及び起泡増強利益などのしかるべき利益を提供し得る。更に、洗浄組成物を形成し、基材を処理する方法も記載する。
【0040】
通常、リグニンは木材由来の複雑なオリゴマー又はポリマーであり、植物の細胞壁に不可欠な要素である。リグニンは、パルプ工業では主に副産物とされ、紙製品の製造の前に除去されなければならない。リグニンは、植物材料の加工を伴う他の工業の副産物としても生産される。リグニンは大量に生成され、比較的安価であるので、消費者組成物及び製品での原料としての使用は特に興味を生じさせる。
【0041】
リグニンの分子構造は複雑かつランダムであり、見かけ上ランダムで及び非組織的な形式で重合し、かつ複数のヒドロキシル基及びメトキシル置換基を有する、置換フェニルプロパンモノマーを主に含む。図1及び2は2つのリグニン構造の例示的な図示を提供する。リグニンポリマー構造は、3つの一級モノマー、モノリグノール:p−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、及びシナピルアルコールの間のラジカルカップリング反応から生じると考えられる。このリグニン化過程は、規則的な繰り返し単位のシーケンスが延長しない多分散ポリマーを生じ、組成物は、p−ヒドロキシフェニル、グアイアシル、及びシリンギル単位が相対的に多いことと、及びポリマー中の単位間結合の分布により一般に特徴づけられる(図1及び2を参照)。リグニンは、植物種ごと、更には同一植物中又は植物細胞それ自身内の組織ごとに異なるので、リグニンポリマー構造中のこれらのモノリグノール単位の分布は、少なくとも部分的に、リグニン源に依存する。更に、リグニン構造は、リグニン源材料からのリグニンの単離時に用いられる物理的及び化学的操作によって異なり得る。
【0042】
様々な工業的単離方法がリグニン源材料からリグニンを抽出するのに使用されてきた。単離時に生成するリグニンとしては、リグニンスルホネート、クラフトリグニン、ソーダリグニン、オルガノソルブリグニン、爆砕リグニン、針葉樹リグニン、広葉樹リグニン、セルロース系草木質リグニン、トウモロコシ茎葉リグニン、及び本開示の変成リグニン組成物の製造のために好適に変成され得る他のリグニン、が挙げられる。
【0043】
本開示の変成リグニンポリマーは、窒素含有置換基、アニオン性置換基、及びアルコキシ置換基から選択される少なくとも2つの置換基を含むように変成されたものである。窒素含有置換基としては、少なくとも1つの四級アンモニウムカチオンを有するか、又は温和な酸性条件下でプロトン化されて、アンモニウムカチオンを形成し得る、少なくとも1つのアミン窒素(すなわち、一級、二級又は三級アミン)を有する、置換基が挙げられる。これらの実施形態によれば、変成リグニンポリマーは、アニオン性置換基と窒素含有置換基の両方を含むリグニン骨格;アニオン性置換基とアルコキシ置換基の両方を含むリグニン骨格;窒素含有置換基とアルコキシ置換基の両方を含むリグニン骨格;及びアニオン性置換基、窒素含有置換基、及びアルコキシ置換基を含むリグニン骨格などの置換パターンを含む。リグニン骨格は、骨格上のヒドロキシ基の2つ以上をアニオン性置換基、窒素含有置換基、及び/又はアルコキシ置換基の少なくとも2つにより誘導体化することで変成され得る。この誘導体化は、ヒドロキシ基の水素を置換基により置換して、リグニン骨格と置換基との間にエーテル結合を形成することを含む(すなわち、Rが置換基であり、Bがリグニン骨格である、構造R−O−B)。他の実施形態では、リグニンポリマー骨格上のメトキシ置換基を反応させて、アニオン性置換基、窒素含有置換基、及び/又はアルコキシ置換基を形成してもよい(すなわち、メトキシ基のメチルを置換基により置換する)。別法としては、リグニン骨格を、アニオン性置換基、窒素含有置換基、又はアルコキシ置換基をリグニン構造中の1つ以上のフェニル環の炭素に結合させるような芳香族置換型反応により変成してもよい(すなわち、ヒドロキシ、メトキシ又は芳香族水素を置換基により置換する)。リグニン構造をアニオン性置換基、窒素含置換基、及びアルコキシ置換基の2つ以上により誘導体化することで、リグニン構造(ヒドロキシ基、メトキシ基、又は芳香族炭素などの)を変成するための、当業者には既知の他の化学的方法も想到される。
【0044】
特定の実施形態によれば、本開示は、変成リグニンポリマーを提供する。変成リグニンポリマーは、置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含むランダム置換リグニン骨格を含み得、ランダム置換リグニン骨格上のヒドロキシル基、メトキシ基、又は芳香族炭素の少なくとも2つ以上は、R置換基により置換されたものである。それぞれのR置換基は、独立して、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基R、及びこれらの任意の組み合わせを含むR置換基型から選択され得、但し、前記ランダム置換リグニン骨格は、少なくとも2つの異なるR置換基型を含む。本明細書で述べられているように、ランダム置換リグニン骨格は、アニオン性置換基R及び窒素含有置換基Rの両方;アニオン性置換基R及びアルコキシ置換基Rの両方;窒素含有置換基R1及びアルコキシ置換基Rの両方;並びにアニオン性置換基R、窒素含有置換基R、及びアルコキシ置換基Rの3つ全部を含んだ、置換パターンを有し得る。
【0045】
本開示の他の実施形態は、式I:
【化6】

により表される構造を有するランダム置換リグニン骨格を含む変成リグニンポリマーを提供し、変成リグニンポリマーは、p−クマリルアルコールの置換及び非置換残基、コニフェリルアルコールの置換及び非置換残基、シナピルアルコールの置換及び非置換残基、置換及び非置換残基の誘導体、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含む。置換モノマーの残基は、−(R)置換基を含んでもよく、式中、pは1〜3の整数である。すなわち、置換リグニンモノマーの少なくとも1つの、及び特定の実施形態では複数の残基は、置換モノマー残基に結合した1、2、又は3個の置換基Rを有する、置換モノマー残基であってもよい。特定の実施形態では、ランダム置換リグニン骨格のヒドロキシル、メトキシ、又は芳香族炭素の少なくとも2つ以上がR置換基により置換されてもよい。それぞれのR置換基は、独立して、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基R、及びこれらの任意の組み合わせを含む、R置換基型から選択され得、但し、ランダム置換リグニン骨格は少なくとも2つの異なるR置換基型を含む。変成リグニンポリマーの特定の実施形態は、疎水性置換基を更に含み得る。窒素含有置換基、アニオン性置換基、アルコキシ置換基、及び疎水性置換基についての構造の例を本明細書で示す。
【0046】
本明細書中の様々な実施形態に記載されている変成リグニンポリマーを製造するための変成に好適なリグニンとしては、リグニンスルホネート、クラフトリグニン、ソーダリグニン、オルガノソルブリグニン、針葉樹リグニン、広葉樹リグニン、セルロース系草木質リグニン、トウモロコシ茎葉リグニン、爆砕リグニン及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で述べられているように、リグニンポリマー構造は、少なくとも部分的に、リグニン源及び/又は単離方法に依存する。しかしながら、リグニンポリマー構造は、源又は単離方法に拘らず、反応することで本開示の組成物の所望の置換パターンを形成する、少なくともヒドロキシル、メトキシル、及び/又は芳香族炭素を複数含む。このように、いかなる源からのリグニンも本明細書で使用され得る。リグニンは、リグニン骨格を2つ以上の種類の本明細書で開示されている置換基によりランダム置換するように直接的に誘導体化され得る。
【0047】
特定の実施形態によれば、変成リグニンポリマーは、2,000ダルトン〜300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有してもよい。他の実施形態では、変成リグニンポリマーは、5,000ダルトン〜300,000ダルトン又は2,000ダルトン〜100,000ダルトン、又は更には3,000ダルトン〜50,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有してもよい。本開示の変成リグニンポリマーの重量平均分子量は、リグニン骨格の分子量、重合度、及び複雑性、並びにリグニン骨格に付加されている様々な置換基の置換重量パーセント及び重量に依存する。例えば、特定の実施形態では、リグニン骨格は、大量の置換基を有すると共に比較的低い分子量を有してもよい。別法としては、他の実施形態では、リグニン骨格は、小量の置換基を有すると共に比較的高い分子量を有してもよい。これらの実施形態は両方とも、ほぼ同一の全体の重量平均分子量を有し得、本明細書で述べられている所望の洗浄利益を示し得る。
【0048】
様々な実施形態によれば、リグニンは、単離後直接に変成され得る。例えば、リグニンは、リグニンフェノールを作製するためのリグニン構造の分解などの、いかなる中間処理も無く変成され得る。リグニンフェノールは、リグニンを過酷な加水分解条件下で処理した場合に生じる、1,500ダルトン未満の分子量を有する分解生成物である。しかしながら、本開示の発明者らは、限定する意図はないが、少なくとも2,000ダルトンから300,000ダルトンまでの範囲の重量平均分子量を有する変成リグニンポリマーが所望の利益、例えば所望の洗浄利益をもたらすと考えている。更には、単離の直後に、いかなる中間処理又は分解工程も無くリグニンを直接変成し、追加の中間処理又は変換を行わずに所望の物質を製造することは工業的及び経済的に利点である。
【0049】
本明細書で述べられているように、特定の実施形態では、変成されるリグニンの分子量にしたがって、置換基数(置換重量パーセントにより測定した)を変えることが望ましい場合がある。例えば、本発明者らは、リグニン骨格が高い置換基パーセント(すなわち、10%〜90%の範囲の置換重量パーセント)を有する場合には、低分子量リグニン出発材料(すなわち、2,000ダルトン〜10,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するリグニン)により形成される製品が、洗浄組成物中で良好な特性を示すということを見出した。あるいは、リグニン骨格が低い置換基パーセント(すなわち、0.01%〜10%の範囲の置換重量パーセント)を有する場合には、高分子量リグニン出発材料(すなわち、25,000ダルトン〜150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するリグニン)により形成される製品を含む実施形態は、洗浄組成物中で良好な特性を示す。低分子量リグニンが高い置換重量パーセントを有するか又は高分子量リグニンが低い置換重量パーセントを有する場合、リグニン分子量と置換重量パーセントとの間のこの関連は、少なくとも部分的に、変成リグニンポリマーを含む洗浄組成物が有するより好ましい吸着性、解膠性、分散性、乳化性、及び/又は低下した表面張力による場合がある。
【0050】
特定の実施形態によれば、変成リグニンポリマーを形成するランダム置換リグニン骨格は、置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含む。本明細書で述べられているように、ランダム置換リグニン骨格は、p−クマリルアルコールの置換及び非置換残基、コニフェリルアルコールの置換及び非置換残基、シナピルアルコールの置換及び非置換残基、これらの置換及び非置換残基の誘導体、及びこれらの混合物から選択される置換及び非置換リグニンモノマー残基を含む。当業者ならば理解するように、リグニン骨格は、異なる量の置換及び非置換モノマー残基をそれぞれ含有するであろうし、リグニン源及び単離方法によって他の成分を含み得る。更に、それぞれのモノマー残基上の置換パターンは、ポリマー構造中のモノマー残基の間のポリマー骨格構造及び/又はランダム架橋パターンの構造及び立体配置に少なくとも部分的に依存し、ポリマー構造内で、他の類似の残基とは異なる場合がある。特定の実施形態によれば、それぞれのR置換基は、リグニン骨格上の酸素でリグニン骨格に結合し得る。例えば、R置換基は、リグニン骨格上のヒドロキシル置換基を有する部位で、又はリグニン骨格上のメトキシル置換を有する部位で、リグニン骨格に結合し得る。他の実施形態では、R置換基は、芳香族炭素原子(すなわち、フェニル環中の炭素原子)でリグニン骨格に直接に結合し得る。
【0051】
本明細書で述べられているように、本開示の変成リグニンポリマーは、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの1つ以上の窒素含有置換基Rを含み得る。特定の実施形態では、窒素含有置換基Rは、0.01%〜30%の、更に2%〜10%の範囲の置換重量パーセントを有し得る。変成リグニンポリマーの特定の実施形態は、複数の窒素含有置換基Rを含有する。特定の実施形態によれば、それぞれの窒素含有置換基Rは、式II:
【化7】

に示す構造を独立して有し得る。これらの実施形態によれば、式IIを参照すると、それぞれのRは、孤立電子対、H、CH、あるいは直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルから選択される、置換基である。R窒素含有置換基の特定の実施形態によれば、式IIのR基の2つ以上が孤立電子対であってはならない。すなわち、これらの実施形態では、1つのR基は、式II中での窒素含有末端基が中性又は塩基性条件下でアミン基(すなわち、一級、二級、又は三級アミン基)であるように、孤立電子対であってもよい。この実施形態によるアミン基は、温和な酸性条件又は特定のpKa条件下でプロトン化されて、カチオン帯電したアンモニウムイオンを提供し得るということを当業者ならば理解するであろう。Rの窒素含有置換基の他の実施形態によれば、式II中のR基は孤立電子対でなく、式II中の窒素含有末端基は正帯電した第四級アンモニウムカチオンである。式IIをなお参照すると、Rは、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖、あるいは直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であってもよい。様々な実施形態では、基Lは、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−NR−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、及び−NRC(=O)NR−から選択される連結基であり、式中、RはH、又はC〜Cアルキルである。様々な実施形態によれば、yは0又は1の値を有してもよく、及びzは0又は1の値を有してもよい。
【0052】
本明細書で述べられているように、本開示の変成リグニンポリマーは、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントの1つ以上のアニオン性置換基Rを含み得る。特定の実施形態では、アニオン性置換基Rは、1%〜90%の、又は1%〜40%の、又は更に4%〜30%の範囲の置換重量パーセントを有し得る。変成リグニンポリマーの特定の実施形態は、複数のアニオン性置換基Rを含有する。特定の実施形態によれば、それぞれのアニオン性置換基Rは、独立して、式III:
【化8】

に示す構造を有し得る。これらの実施形態によれば、それぞれのRは、カルボキシレート(−COO)、カルボキシメチル(−CHCOO)、サクシネート(−OOCCHCHCOO)、サルフェート(−OS(O)O)、スルホネート(−S(O)O)、アリールスルホネート(−Ar−S(O)O(式中、Arはアリール環である)、ホスフェート(−OPO(OR’)又は−OPO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ホスホネート(−PO(OR’)又は−PO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ジカルボキシレート(−Y(COO(式中、Yはアルキル又はアリールである)、又はポリカルボキシレート(−Y(COO(式中、Yはアルキル又はアリールであり、tは2よりも大きい)から選択される、アニオン性置換基であってもよい。様々な実施形態では、基L’は、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−NR−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、及び−NRC(=O)NR−からなる群から選択される連結基であり、式中、RはH又はC〜Cアルキルである。様々な実施形態によれば、aは0又は1の値を有してもよく、bは0〜18の値を有する整数である。
【0053】
本明細書で述べられているように、本開示の変成リグニンポリマーは、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントの1つ以上のアルコキシ置換基Rを含み得る。特定の実施形態では、アルコキシ置換基Rは、5%〜90%の、更に10%〜80%の置換重量パーセントを有し得る。変成リグニンポリマーの特定の実施形態は、複数のアルコキシ置換基Rを含有する。特定の実施形態によれば、それぞれのアルコキシ置換基Rは、独立して、式IV:
【化9】

に示す構造を有し得る。これらの実施形態によれば、それぞれのRは、エチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物から選択される、基であってもよい。特定の実施形態では、(OR)の構造は、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基、ポリブチレンオキシド基又はこれらの混合物であってもよい。特定の実施形態では、Rは、構造−CH(R12)CH−を有してもよく、式中、それぞれのR12は、水素、メチル又はエチルから独立して選択される(すなわち、それぞれポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及びポリブチレンオキシド)。構造「OR」は、酸素がRとR10との間にある構造、及び酸素がRと(CHとの間にある構造を含む。それぞれのR10基は、水素、C〜C20アルキル(分岐又は非分岐、及び飽和又は不飽和であってよい)、ヒドロキシ、−OR、又は−OR(式中、R及びR10は本明細書に記載の通りである)から選択される、末端基であってもよい。様々な実施形態では、基L’’は、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−NR11−、−C(=O)NR11−、−NR11C(=O)−、及び−NR11C(=O)NR11−から選択される連結基であり、式中、R11はH、又はC〜Cアルキルである。様々な実施形態によれば、eは0又は1の値を有してもよく、fは0〜8の値を有する整数であり、及びgは0〜50の値を有する整数である。
【0054】
他の実施形態によれば、変成リグニンポリマーは、リグニン骨格上の酸素置換基又は炭素原子で、例えばヒドロキシル置換基又はメトキシ置換基の酸素で又は芳香族炭素原子でリグニン骨格に結合する、1つ以上の疎水性置換基R13を更に含み得る。これらの実施形態によるリグニン骨格上の疎水性置換基R13は、0.1%〜50%の範囲の置換重量パーセントを有し得る。他の実施形態では、疎水性置換基は、1%〜30%の、更に5%〜20%の範囲の置換重量パーセントを有し得る。それぞれの疎水性置換基R13は、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキル、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルアリール、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル、あるいは疎水性ポリマーグラフトから選択される構造を独立して有し得る。疎水性置換基R13は、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和のC〜C18アルキルエーテルも含み得る。1つ以上の疎水性置換基の付加は、限定するものではないが、布地ケア系などの水性系中のポリマーの界面張力の低減、改善された分散性及び改善された付着特性などの、変成リグニンポリマーのしかるべき所望の特性を改善し得る。
【0055】
洗浄組成物
特定の実施形態によれば、本開示の変成リグニンポリマーは、限定するものではないが、布地ケア組成物、皿洗浄用組成物、ホームケア組成物又はパーソナルケア組成物などの洗浄組成物の中に組み込まれてもよい。洗浄組成物の例としては、液体洗濯洗剤、固形洗濯洗剤、洗濯セッケン製品、洗濯スプレー処理製品、洗濯前処理製品、皿手洗い用洗剤、自動皿洗い用洗剤、ビューティケア洗剤、硬質表面洗浄洗剤、カーペット洗浄洗剤、シャンプー、及び家事用洗浄洗剤が挙げられるが、これらに限定されない。本開示に好適な布地ケア組成物の例としては、液体洗濯洗剤、重質液体洗濯洗剤、固形洗濯洗剤、洗濯物漬けおき製品、洗濯スプレー処理製品、洗濯前処理製品、洗濯ソーク製品、重質液体洗剤、及びすすぎ添加物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な皿洗浄組成物の例としては、自動皿洗い機洗剤、皿手洗い用洗剤、液体皿洗い用セッケン、及び固形顆粒皿洗い用セッケンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なホームケア組成物の例としては、敷物又はカーペット洗浄組成物、硬質表面洗浄洗剤、床洗浄組成物、窓洗浄組成物、トイレット及びバスルーム洗浄組成物、家事用洗浄洗剤、及び車洗浄用洗剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適なパーソナルケア組成物の例としては、ビューティケア洗剤、ビューティーバー、棒セッケン、バスビーズ、浴用セッケン、手洗い組成物、ボディウオッシュ及びセッケン、シャンプー、コンディショナー、化粧品、脱毛組成物、及びオーラルケア組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本開示のしかるべき実施形態は、限定するものではないが、本明細書に記載のものなどの洗浄組成物を提供する。この洗浄組成物は、本明細書に記載の変成リグニン構造のいずれかなどのランダム置換リグニン骨格を有する、変成リグニンポリマーを含み得る。例えば、この置換リグニン骨格は、ランダム置換リグニン骨格上の少なくとも2つ以上のヒドロキシル、メトキシ、及び/又は芳香族炭素がR置換基により置換された、置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含み得る。ランダム置換リグニン骨格上のR置換基(又はR置換基型)に対する説明及び構造を本明細書で示す。様々な実施形態によれば、ランダム置換リグニン骨格は、少なくとも2つの異なるR置換基型を含む。
【0057】
様々な実施形態では、本明細書に記載の洗浄組成物は、少なくとも1つ以上の補助剤を更に含んでもよい。例えば、好適な添加物としては、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、処理助剤、並びに顔料が挙げられるが、これらに限定されない。しかるべき補助剤が本明細書で詳細に記載されている。洗浄組成物は、限定するものではないが、布地ケア組成物、液体洗濯洗剤、固形洗濯洗剤、洗濯セッケン製品、洗濯スプレー処理製品、洗濯前処理製品、皿手洗い用洗剤、自動皿洗い用洗剤、ビューティケア洗剤、硬質表面洗浄洗剤、カーペット洗浄洗剤、シャンプー、及び家事用洗浄洗剤を含む、本明細書で列挙されている、いかなる洗浄組成物製品であってもよい。
【0058】
本明細書に記載の変成リグニンポリマーを含む洗浄組成物の様々な実施形態は、変成リグニンポリマーを含まない洗浄組成物と比較して、改善された洗浄特性及び利益を示し得る。例えば、特定の実施形態によれば、変成リグニンポリマーを含む洗浄組成物は、変成リグニンポリマーを含まない洗浄組成物と比較して、改善された分散特性及び再付着防止特性及び利益、改善された起泡増強及び安定化特性及び利益、並びに改善された汚れ放出特性及び利益の1つ以上を示し得る。
【0059】
限定するものではないが、布地又は硬質表面などの基材を洗浄する場合、洗浄組成物は、基材上のいかなるオイル、グリース汚れ、汚れ、又は他の汚れ物質も有効に可溶化しなければならない。すなわち、組成物は、基材の表面からのオイル、グリース汚れ、汚れ、又は他の汚れ物質を洗浄組成物を含む溶液の中に分散しなければならない。更に、洗浄組成物を含む溶液の中に可溶化又は分散されたならば、有効な洗浄組成物は、可溶化されたオイル、グリース汚れ、汚れ、又は他の汚れ物質が、基材の表面上にあるいは特定の実施形態では、洗浄環境におけるいかなる他の表面上にも再付着しないようにしなければならない。これらの実施形態によれば、可溶化又は分散されたオイル、グリース汚れ、汚れ、又は他の汚れ物質は、例えば、排液をすすぎ及び/又は洗いで流すことにより処理され得る。本開示の変成リグニンポリマーを含む洗浄組成物の様々な実施形態は、変成リグニンポリマーを含まない洗浄組成物に比べて、改善された汚れ分散及び再付着防止の利益を示し得る。
【0060】
更に、基材を洗浄する場合、このような消費者には、起泡は、洗剤が「機能」し、及び洗浄目的の達成を活発に推進するものである重要な合図としてみなされる。したがって、大量の泡が急速に発生し、洗浄サイクル中に泡がよく保持されることが、非常に好まれる。他方、洗浄サイクル中の大量の泡により、典型的には、泡がすすぎ槽溶液に持ち越され、洗濯又は洗浄された物品を充分すすぐのに追加の時間、エネルギー及び水が必要とされる。したがって、すすぎ溶液中で泡が急速に崩壊することが、洗浄/洗剤組成物の起泡特性の別の好ましい態様である。しかしながら、広く用いられている当該技術分野の高起泡性洗剤は、典型的には、15%超の界面活性剤及び10%超のビルダーのような、高濃度の界面活性剤及びビルダーを含む。最近、このような原料の過剰な使用が与える影響並びに環境に及ぼすそれらの影響が、かかる原料が、再生不能な天然資源を使い果たすものであり、かつ最終的には河川及び湖などの自然環境に投棄され得るものであることから、関心を集めている。更に、石油化学系の材料の使用を最小にし、かつ再生可能であり生物分解性である材料の使用を増加させることで、環境に対する洗剤化学品の影響を改善することについての必要性が存在する。このように、洗浄工程時に発生する起泡を増強し及び/又は安定化する組成物は、審美的なレベル及び経済的なレベルの両方で望ましいこともある。本開示の変成リグニンポリマーを含む洗浄組成物の様々な実施形態は、変成リグニンポリマーを含まない洗浄組成物に比べて、望ましい起泡特性、すなわち、改善された泡形成及び泡安定化をもたらし得る。
【0061】
加えて、表面、例えば布地繊維表面の洗浄は、改善された汚れ放出性により利益がもたらされ得る。これは、布地表面への汚れ、しみ又はグリース/オイル組成物の結合親和性又は結合強度を少なくとも部分的に減少させて、洗浄工程時の被処理布地表面からの汚れ、しみ又はグリース/オイルの除去を助けるための組成物又はポリマーによるテキスタイル繊維表面の変成、結合又は少なくとも一部の被覆を含み得る。洗浄組成物の改善された汚れ放出性によって、界面活性剤、解膠性ポリマー及びビルダーなどの他の洗浄要素の添加を少なくすることが可能となり、経済的な節約が得られる。特定の実施形態によれば、本明細書に記載の変成リグニンポリマーは、変成リグニンポリマーを含む洗浄組成物で処理したテキスタイル繊維の表面に堆積し、結合し又は少なくとも一部を被覆し得る、有効な汚れ放出ポリマーとして作用し得、被処理布地表面への汚れ、しみ又はグリース/オイル組成物の結合親和性又は結合強度を少なくとも部分的に減少させて、洗浄工程時及び洗浄工程以降の布地表面からの汚れ、しみ又はグリース/オイルの除去を助ける。このように、本明細書中の様々な実施形態の変成リグニンポリマーを含む洗浄組成物は、変成リグニンポリマーを含まない洗浄組成物と比べて、改善された汚れ放出特性及び利益を示し得る。
【0062】
本開示の更に他の実施形態は、本明細書に記載のものなどの洗浄組成物を製造するための方法を提供する。これらの実施形態によれば、洗浄組成物を製造するための方法は、変成リグニンポリマーを洗浄組成物に添加することを含む。この方法のこれらの実施形態によれば、変成リグニンポリマーは、本明細書に記載の様々な実施形態によるランダム置換リグニン骨格を有するいかなる変成リグニンポリマーであってもよい。例えば、ランダム置換リグニン骨格は、本明細書で示す置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含み得る。これらの実施形態によれば、ランダム置換リグニン骨格上のヒドロキシル基、メトキシ基又は芳香族炭素原子の少なくとも2つ以上は、本明細書で詳述されているように、R置換基により置換されたものであり、ただし、ランダム置換リグニン骨格は、少なくとも2つの異なるR置換基型を含む。例えば、それぞれのR置換基は、独立して、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基R、及び0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基Rからなる群から選択されるR置換基型である。
【0063】
特定の実施形態によれば、この方法は、少なくとも1つ以上の補助剤を洗浄組成物に添加することを更に含み得る。例えば、好適な補助剤としては、本明細書に記載のように、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、処理助剤、及び顔料が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0064】
他の実施形態では、この方法は、限定するものではないが、リグニンスルホネート、クラフトリグニン、ソーダリグニン、オルガノソルブリグニン、針葉樹リグニン、広葉樹リグニン、爆砕リグニン、セルロース系草木質リグニン、トウモロコシ茎葉リグニン、及びこれらの任意の組み合わせなどのリグニンポリマーを変成することを更に含み得る。リグニンポリマーの変成には、本明細書に記載のように、リグニンポリマー骨格上の少なくとも2つのヒドロキシル基を、少なくとも2つのR置換基により置換することを含み得る。他の実施形態では、リグニンポリマーの変成は、リグニンポリマー骨格上のヒドロキシ、メトキシ又は芳香族炭素の少なくとも2つを、少なくとも2つのR置換基により置換することを含み得る。
【0065】
本開示のなお更なる実施形態は、基材を本明細書で述べられている様々な実施形態による変成リグニンポリマーを含む有効量の洗浄組成物と接触させることを含む、基材を処理する方法を提供する。好適な基材としては、布地及びテキスタイル、硬質及び軟質表面、皿、毛髪、皮膚、及び歯が挙げられる。
【0066】
布地の好適な例としては、木綿、竹布地、羊毛布地及び動物の毛皮由来の他の布地、絹、リネン、及び麻布地などの天然布地、並びにポリエステル布地、ナイロン布地、アセテート布地、レーヨン布地、アクリル布地、及びオレフィン布地などの人工及び合成布地、並びに様々な天然繊維、人工繊維及び/又は合成繊維の混紡が挙げられるが、これらに限定されない。布地ケア組成物の例としては、洗濯洗剤洗浄剤、洗濯物漬けおき処理剤又はスプレー処理剤、布地処理組成物、液体洗濯洗剤、固形洗濯洗剤、洗濯セッケン製品、洗濯スプレー処理製品、重質液体洗剤、及びすすぎ添加物が挙げられるが、これらに限定されない。布地を接触させることは、洗浄サイクル又はすすぎサイクル時などの洗浄工程時の前処理又は接触としてであってもよい。
【0067】
組成物が布地ケア組成物である洗浄組成物の態様では、布地ケア組成物は、液体の洗濯洗剤組成物の形態をとってもよい。1つの態様では、このような組成物は重質液体(HDL)組成物であってもよい。このような組成物は、所望のレベルの1つ以上の洗浄特性を提供するのに充分な量の、典型的には全組成物の重量に基づいて、約5重量%〜約90重量%の、約5重量%〜約70重量%の、又は更には約5重量%〜約40重量%の界面活性剤と、その洗剤組成物を含有する溶液中で洗浄される布地に対して汚れ及び/又は染み除去効果を提供する本開示の変成リグニンポリマーとを、含んでもよい。典型的には、洗剤は、その洗浄溶液の約0.0001重量%〜約0.05重量%、又は更には約0.001重量%〜約0.01重量%のレベルで洗浄溶液中で使用される。
【0068】
洗浄組成物は、水性の非界面活性液体キャリアを更に含んでもよい。一般に、本明細書の組成物中に使用される水性非界面活性液体キャリアの量は、組成物成分の可溶化、懸濁又は分散に有効である。例えば、組成物は、約5重量%〜約90重量%、約10重量%〜約70重量%、又は更には約20重量%〜約70重量%の水性非界面活性液体キャリアを含んでよい。
【0069】
最もコスト効率のよい種類の水性非界面活性液体キャリアは水であり得る。したがって、水性非界面活性液体キャリアは一般的に、ほとんどの場合、全てではないにしても水であり得る。アルカノール、ジオール、他のポリオール、エーテル、アミン等のような他の種類の水混和性の液体が、共溶媒又は安定剤として洗剤組成物に従来から添加されてきたが、本開示のある実施形態では、このような水混和性の液体の利用は、組成物コストを抑えるために最低限であってよい。したがって特定の実施形態では、本明細書の液体洗剤製品の水性液体キャリア成分は、一般に、組成物の約5重量%〜約90重量%の、又は更には約20重量%〜約70重量%の範囲の濃度で存在する水を含む。
【0070】
本明細書における洗浄組成物は、本明細書で述べられているように、界面活性剤、変成リグニンポリマー、及び特定の任意の補助剤の水溶液、又は均一分散液若しくは懸濁液の形態をとってもよく、それらの成分のあるものは、通常、液体アルコールエトキシレート非イオン性材料、水性液体キャリア、及びいずれかの他の通常の液体の成分などの通常液体の成分と組み合わされた固形の形状であってもよい。そのような溶液、分散液、若しくは懸濁液は許容できるように相安定であり、及び典型的に約100〜600cpsの、より好ましくは約150〜400cpsの範囲の粘度を有する。本開示の目的で、粘度は、#21スピンドルを使用したブルックフィールドLVDV−II+の粘度計で測定され得る。
【0071】
好適な界面活性剤はアニオン性、非イオン性、カチオン性、双極性、及び/又は両性界面活性剤であってよい。1つの実施形態では、洗浄組成物は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む。
【0072】
好適なアニオン性界面活性剤は、液体又は固形洗剤製品などの洗浄組成物で典型的に使用される従来のアニオン性界面活性剤型のいずれであってもよい。このような界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸類及びそれらの塩類、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料類が挙げられる。代表的なアニオン性界面活性剤は、C10〜C16のアルキルベンゼンスルホン酸、好ましくは、C11〜C14のアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。1つの態様では、アルキル基は直鎖である。このような直鎖アルキルベンゼンスルホネートは「LAS」として公知である。そのような界面活性剤及びそれらの調製は、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載されている。特に好ましいものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜14の直鎖線状のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びカリウムである。ナトリウムC11〜C14、例えばC12 LASは、このような界面活性剤の具体的な例である。
【0073】
他の代表的な種類のアニオン性界面活性剤にはエトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤が含まれる。アルキルエーテルサルフェート、又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても知られているこのような材料は、式:R’−O−(CO)−SOMに従うものであり、式中、R’は、C〜C20のアルキル基であり、nは約1〜20であり、及びMは塩を形成するカチオンである。具体的な実施形態において、R’はC10〜C18アルキルであり、nは約1〜15であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又はアルカノールアンモニウムである。より具体的な実施形態においては、R’はC12〜C16であり、nは約1〜6であり、及びMはナトリウムである。
【0074】
アルキルエーテルサルフェートは一般に、様々なR’鎖長及び様々なエトキシル化度を含む混合物の形態で使用される。このような混合物は、しばしば、いくつかの非エトキシル化アルキルサルフェート材料、すなわち、上記エトキシル化アルキルサルフェートの式(式中、n=0である)の界面活性剤も必然的に包含するであろう。非エトキシル化アルキルサルフェート類もまた本開示の洗浄組成物に別個に添加してもよく、かつ存在してもよい任意のアニオン性界面活性剤成分として又はその中で使用してもよい。非アルコキシル化、例えば非エトキシル化、アルキルエーテルサルフェート界面活性剤の具体例は、C〜C20の高級脂肪族アルコールの硫酸化により製造されるものである。従来の一級アルキルサルフェート界面活性剤は、R’’が典型的に直鎖又は分岐鎖であってよい、線状C〜C20ヒドロカルビル基であり、Mが水溶性化カチオンである、一般式R’’OSOを有する。特定の実施形態では、R’’はC10〜C15アルキルであり、Mはアルカリ金属であり、特に、R’’はC12〜C14であり、Mはナトリウムである。
【0075】
本明細書で有用な特定のアニオン性界面活性剤の、具体的な非限定的な例としては、a)C11〜C18アルキルベンゼンスルホンスルホネート類(LAS);b)C10〜C20の一級の分岐鎖及びランダムアルキルサルフェート類(AS);c)式(V)及び(VI)
【化10】

を有するC10〜C18二級(2,3)−アルキルサルフェート(式中、式(V)及び(VI)中のMは水素であるか、あるいは電荷の中性をもたらすカチオンであり、界面活性剤又は補助成分のいずれかと会合する全てのMユニットは、技術者により単離された形状にあるいは化合物が使用される系の相対的なpHに基づき水素原子又はカチオンのいずれかであり得、好ましいカチオンの非限定的な例は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びこれらの混合物であり、式V中のxは少なくとも約7の整数であり、好ましくは少なくとも約9であり、及び式VI中のyは少なくとも8の整数であり、好ましくは少なくとも約9である);d)C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)(好ましくは式V中のxは1〜30である);e)好ましくは1〜5個のエトキシ単位を含む、C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート;f)米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に述べられている中鎖分岐アルキルサルフェート;g)米国特許第6,008,181号及び同第6,020,303号に述べられているような中鎖分岐状アルキルアルコキシサルフェート;h)国際公開第99/05243号、国際公開第99/05242号、国際公開第99/05244号、国際公開第99/05082号、国際公開第99/05084号、国際公開第99/05241号、国際公開第99/07656、国際公開第00/23549号、及び国際公開第00/23548号に述べられている変成アルキルベンゼンスルホネート;i)メチルエステルスルホネート(MES);及びj)アルファ−オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0076】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用される従来の種類のいかなる非イオン性界面活性剤をも含むことができる。これらにはアルコキシル化脂肪族アルコール類及びアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書の液体洗剤製品での使用に好適なものは、通常液体である非イオン性界面活性剤である。本明細書での使用に適した非イオン性界面活性剤としてはアルコールアルコキシラート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシレートは、一般式:R(C2mO)OH(式中、RはC〜C16のアルキル基であり、mは2〜4であり、nは約2〜12の範囲である)に相当する材料である。好ましくは、Rはアルキル基であり、一級又は二級であってもよく、約9〜15個の炭素原子、より好ましくは約10〜14個の炭素原子を含む。1つの実施形態では、アルコキシル化脂肪族アルコールはまた、分子当り約2〜12個のエチレンオキシド部分、より好ましくは分子当り約3〜10個のエチレンオキシド部分を包含するエトキシル化された材料である。
【0077】
本明細書の液体洗剤組成物に有用なアルコキシル化脂肪族アルコール材料はしばしば約3〜17の範囲の親水性−親油性バランス(HLB)を有する。より好ましくは、この物質のHLBは、約6〜15、最も好ましくは約8〜15の範囲である。アルコキシル化脂肪族アルコール非イオン性界面活性剤は、Shell Chemical Companyにより商標名NEODOL(登録商標)で市販されている。
【0078】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の別の好適な種類は、アミンオキシド界面活性剤を含む。アミンオキシド類は、しばしば当該技術分野において「半極性」非イオン性物質と呼ばれる材料である。アミンオキシド類は、式R’’’(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’).qHOを有する。式中、R’’’は、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖であることができる、比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12〜C16の一級アルキルである。R’は、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される、短鎖部分である。x+y+zが0とは異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、及びBOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤類は、C12〜C14アルキルジメチルアミンオキシドにより例示されるものである。
【0079】
非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、a)NEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤などのC12〜C18アルキルエトキシレート;b)アルコキシレート単位がエチレンオキシとプロピレンオキシ単位の混合物である、C〜C12アルキルフェノールアルコキシレート;c)BASFから市販されているPLURONIC(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC12〜C18アルコール及びC〜C12アルキルフェノール縮合物;d)米国特許第6,150,322号で述べられているC14〜C22中鎖分岐のアルコール、BA;e)米国特許第6,153,577号;同第6,020,303号;及び同第6,093,856号で述べられ、xが1〜30である、C14〜C22中鎖分岐のアルキルアルコキシレート、BAE;f)米国特許第4,565,647号で述べられているアルキルポリサッカライド;特に、米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号で述べられているアルキルポリグリコシド;g)米国特許第5,332,528号;国際公開第92/06162号;国際公開第93/19146号;国際公開第93/19038号;及び国際公開第94/09099号で述べられているポリヒドロキシ脂肪酸アミド;及びh)米国特許第6,482,994号及び国際公開第01/42408号で述べられている、エーテル保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0080】
本明細書の洗濯洗剤組成物及び他の洗浄組成物中で、洗浄性界面活性剤成分は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤材料の組み合わせを含んでもよい。この場合、アニオン性と非イオン性との重量比は、典型的には10:90〜90:10、より典型的には30:70〜70:30の範囲である。
【0081】
カチオン性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、これらの非限定例としては四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、26個までの炭素原子を有することができる。更なる例としては、a)米国特許第6,136,769号で述べられているアルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;b)米国特許第6,004,922号で述べられているジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;c)国際公開第98/35002号;同第98/35003号;同第98/35004号;同第98/35005号;及び同第98/35006号で述べられているポリアミンカチオン性界面活性剤;d)米国特許第4,228,042号;同第4,239,660号;同第4,260,529号;及び同第6,022,844号で述べられているカチオン性エステル界面活性剤;及びe)米国特許第6,221,825号及び国際公開第00/47708号、で述べられているアミノ界面活性剤、特にアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0082】
双極性界面活性剤の非限定的な例としては、二級及び三級アミン類の誘導体、複素環式二級及び三級アミン類の誘導体、あるいは四級アンモニウム化合物や四級ホスホニウム化合物又は三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号、19欄38行〜22欄48行を参照のこと;双極性界面活性剤の例としては、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C〜C18(好ましくはC12〜C18)アミンオキシド並びにスルホ及びヒドロキシベタインを含むベタイン、例えば、アルキル基がC〜C18、好ましくはC10〜C14であり得るN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートが挙げられる。
【0083】
両性界面活性剤の非限定的な例としては、二級又は三級アミン類の脂肪族誘導体、あるいは複素環式二級及び三級アミン類の脂肪族誘導体が挙げられ、脂肪族基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。脂肪族置換基の1つは、少なくとも約8個の炭素原子、通常は約8〜約18個の炭素原子を含有し、そして少なくとも1つが、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する。両性界面活性剤の好適な例については、米国特許第3,929,678号、19欄18〜35行を参照のこと。
【0084】
本開示の別の他の態様では、本明細書で開示されている布地ケア組成物は、顆粒状洗濯洗剤組成物の形態であってもよい。このような組成物は、本開示の分散剤ポリマーを含んで、洗剤を含有する溶液中で洗浄される布地に汚れ及びしみ除去及び再付着防止、起泡増強及び/又は汚れ放出の利益をもたらす。典型的には、顆粒状洗濯洗剤組成物は、洗浄溶液の約0.0001重量%〜約0.05重量%の、更には約0.001重量%〜約0.01重量%のレベルで洗浄溶液中で使用される。
【0085】
本発明の顆粒状洗剤組成物は、いかなるの数の従来の洗剤成分を包含してもよい。例えば、洗剤組成物の界面活性剤系は、アニオン性、非イオン性、双極性、両性、及びカチオン性の部類及びこれらの適合性混合物を包含していてよい。顆粒組成物用の洗剤界面活性剤は、米国特許第3,664,961号及び同第3,919,678号で記載されている。カチオン界面活性剤としては、米国特許第4,222,905号及び同第4,239,659号に記載のものが挙げられる。
【0086】
界面活性剤系の非限定的な例としては、従来のC11〜C18アルキルベンゼンスルホネート類(「LAS」)及び一級、分岐鎖及びランダムC10〜C20アルキルサルフェート類(「AS」)、式CH(CH(CHOSO)CH及びCH(CH(CHOSO)CHCH(式中、x及び(y+1)は少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、及びMは水溶性化カチオン、特にナトリウムである)のC10〜C18二級(2,3)アルキルサルフェート類、オレイルサルフェートなどの不飽和サルフェート類、C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート類(「AES」;特にEO 1〜7エトキシサルフェート類)、C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート類(特にEO 1〜5エトキシカルボキシレート類)、C10〜C18グリセロールエーテル類、C10〜C18アルキルポリグリコシド類及びそれらの対応する硫酸化ポリグリコシド類、並びにC12〜C18 α−スルホン化脂肪酸エステル類が挙げられる。必要に応じて、従来の非イオン性及び両性界面活性剤類、いわゆる狭ピークのアルキルエトキシレート類を含む、C12〜C18アルキルエトキシレート類(「AE」)、及びC〜C12アルキルフェノールアルコキシラート類(特にエトキシレート類及び混合エトキシ/プロポキシ)、C12〜C18ベタイン類及びスルホベタイン類(「スルタイン類」)、C10〜C18アミンオキシド類等もまたこの界面活性剤系に包含可能である。C10〜C18 N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミドも使用可能である。国際公開第92/06154号を参照のこと。糖から誘導される他の界面活性剤としては、C10〜C18 N−(3−メトキシプロピル)グルカミドなどのN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。起泡性を低くするためには、N−プロピル〜N−ヘキシルC12〜C18グルカミドを使用することができる。C10〜C20の従来のセッケンを使用してもよい。高い起泡性を望む場合には、分岐鎖のC10〜C16セッケンを使用してもよい。アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の混合物が特に有用である。他の従来の有用な界面活性剤は、標準的な教科書に列挙されている。
【0087】
この洗浄組成物は、洗剤ビルダーを包含することができ、特定の実施形態では好ましくは包含する。ビルダー類は、一般に、様々な水溶性のアルカリ金属、アンモニウム又は置換アンモニウムホスフェート類、ポリホスフェート類、ホスホネート類、ポリホスホネート類、カーボネート類、シリケート類、ボレート類、ポリヒドロキシスルホネート類、ポリアセテート類、カルボキシレート類、及びポリカルボキシレート類から選択される。アルカリ金属、とりわけナトリウムの上記の塩類が好ましい。ホスフェート類、カーボネート類、シリケート類、C10〜C18脂肪酸類、ポリカルボキシレート類、及びこれらの混合物が本明細書での使用に好ましい。トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、モノ−及びジコハク酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、及びこれらの混合物がより好ましい。
【0088】
無機ホスフェートビルダーの具体的な例は、トリポリリン酸ナトリウム及びカリウム、ピロリン酸ナトリウム及びカリウム、約6〜21の重合度を有するポリマー型メタリン酸塩類、及びオルトリン酸塩類である。ポリホスホン酸塩ビルダーの例は、エチレンジホスホン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、エタン1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、及びエタン−1,1,2−トリホスホン酸のナトリウム塩及びカリウム塩である。他のリンビルダー化合物は、米国特許第3,159,581号;同第3,213,030号;同第3,422,021号;同第3,422,137号;同第3,400,176号;及び同第3,400,148号で述べられている。非リン系無機ビルダーの例は、炭酸ナトリウム及びカリウム、重炭酸ナトリウム及びカリウム、セスキ炭酸ナトリウム及びカリウム、テトラボレートデカハイドレート、及びSiOとアルカリ金属酸化物の重量比が約0.5〜約4.0、好ましくは約1.0〜約2.4のケイ酸類である。本明細書で有用な水溶性無リン有機ビルダーとしては、様々なアルカリ金属、アンモニウム、及び置換アンモニウムのポリアセテート類、カルボキシレート類、ポリカルボキシレート類、及びポリヒドロキシスルホネート類が挙げられる。ポリアセテートビルダー及びポリカルボキシレートビルダーの例には、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、オキシジコハク酸、メリト酸、ベンゼンポリカルボン酸、及びクエン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩がある。
【0089】
ポリマー型ポリカルボキシレートビルダーは、米国特許第3,308,067号で述べられている。このような材料としては、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、アコニット酸、シトラコン酸、及びメチレンマロン酸のような脂肪族カルボン酸のホモ−及びコポリマー類の水溶性塩類が挙げられる。これらの材料のいくつかは後述するように水溶性アニオン性ポリマーとして有用であるが、それは非セッケン型アニオン性界面活性剤と完全に混合される場合に限る。本明細書での使用に好適な他のポリカルボン酸塩は、米国特許第4,144,226号及び同第4,246,495号に記載のポリアセタールカルボキシレートである。
【0090】
Mがアルカリ金属であり、及びSiO:MOの重量比が約0.5〜約4.0である、式SiO・MOによって表される水溶性シリケート固体は、無水の重量基準で約2%〜約15%の濃度の本発明の洗剤顆粒において有用な塩類である。無水又は水和の粒子状シリケートも同様に使用可能である。
【0091】
いかなる数の追加の成分も本明細書に記載の様々な洗剤及び洗浄組成物に成分として包含可能である。これらの成分としては、他の洗浄性ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、起泡促進剤又は起泡抑制剤、色褪せ防止及び腐食防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ放出剤、殺菌剤、pH調整剤、非ビルダーアルカリ源、キレート化剤、スメクタイト粘土、酵素、酵素安定剤、及び香料が挙げられる。米国特許番号第3,936,537号を参照されたい。
【0092】
漂白剤及び活性化剤は、米国特許第4,412,934号及び同第4,483,781号に記載されている。キレート化剤は、また、米国特許第4,663,071号の17欄54行から18欄68行に記載されている。泡変性剤もまた任意の成分であり、米国特許第3,933,672号及び同第4,136,045号に記載されている。本明細書での使用に好適なスメクタイト粘土は、米国特許第4、762、645号、6欄3行から7欄24行に記載されている。本明細書での使用に好適な追加の洗剤ビルダーは、米国特許第3,936,537号、13欄54行から16欄16行、及び米国特許第4,663,071号で列挙されている。
【0093】
本開示のなお別の態様では、本明細書で開示されている布地ケア組成物は、すすぎ添加型布地コンディショニング組成物の形態をとってもよい。このような組成物は、布地柔軟化活性剤と、典型的にはすすぎ時添加型布地コンディショニング組成物の全重量を基準として約0.00001重量%(0.1ppm)〜約1重量%(10,000ppm)の、更には約0.0003重量%(3ppm)〜約0.03重量%(300ppm)の、本開示の分散剤ポリマーを含んで、しみを撥く利益をこの組成物により処理される布地にもたらし得る。別の具体的な実施形態では、組成物はすすぎ添加型の布地コンディショニング組成物である。典型的なすすぎ添加型コンディショニング組成物の例は、2004年10月8日出願の米国特許仮出願第60/687,582に見出される。
【0094】
補助剤材料
本開示の目的には必須でないが、以下に例示される補助剤の非限定的な一覧は、本洗濯組成物の様々な実施形態に使用するのに適しており、及び例えば、性能を補助若しくは向上させるために、洗浄されるべき基材の処理のために、又は香料、着色剤、染料などを用いる場合のように組成物の審美性を改善するために、本開示の特定の実施形態に組み込まれるのが望ましい場合がある。このような補助剤がいずれかの特定の実施形態に関して上記に列挙された構成成分に追加できることは理解される。このような補助剤の全量は、洗浄組成物の約0.1重量%〜約50重量%、又は更には約1重量%〜約30重量%の範囲であってよい。
【0095】
このような追加成分の明確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用されるべき作業の性質によって異なる。好適な補助物質としては、ポリマー、例えばカチオン性ポリマー、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒材料、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。下記開示に加えて、このような他の補助剤の好適な例及び使用量は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812号及び同第6,326,348号に見ることができる。
【0096】
上述のように、補助剤成分は、布地ケア組成物にとって必須ではない。したがって、この組成物の特定の実施形態は、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに/又は顔料の1種以上の補助剤を含有しない。しかしながら、1つ以上の補助剤が存在する場合、このような1つ以上の補助剤は、以下に詳述されるように存在することも可能である。
【0097】
界面活性剤−本開示による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、ここでは界面活性剤が非イオン性及び/又はアニオン性及び/又はカチオン性界面活性剤並びに/あるいは両性及び/又は双極性及び/又は半極性非イオン性界面活性剤から選択可能である。界面活性剤は、典型的には洗浄組成物の約0.1重量%から、約1重量%から、又は更には約5重量%から、洗浄組成物の約99.9重量%まで、約80重量%まで、約35重量%まで、又は更には約30重量%までの濃度で存在する。
【0098】
ビルダー−本開示の組成物は、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含むことができる。存在する場合、組成物は、典型的には、少なくとも約1重量%のビルダー、又は約5重量%又は10重量%から約80重量%まで、50重量%まで、又は更には30重量%までのかかるビルダーを含む。ビルダーとしては、ポリリン酸塩のアルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、並びにメリット酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びそれらの可溶性の塩のようなポリカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
キレート化剤−本明細書の組成物はまた、任意で1つ以上の銅、鉄、及び/又はマンガンキレート化剤を含有してもよい。使用される場合、キレート化剤は、一般に、本明細書の組成物の約0.1重量%〜約15重量%、又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%〜約15重量%を構成する。
【0100】
移染防止剤−本発明の組成物は、また、1種以上の移染防止剤を含んでよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は更には約1重量%までの濃度で存在する。
【0101】
分散剤−本発明の組成物は分散剤も含むことができる。好適な水溶性有機材料は、ホモポリマー又はコポリマーの酸又はそれらの塩であり、ポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシル基を含み得る。
【0102】
酵素−この組成物は、洗浄性能効果、及び/又は布地ケア効果を提供する1つ以上の洗浄性酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0103】
酵素安定剤−この組成物、例えば洗剤において使用するための酵素は、様々な技術によって安定化可能である本明細書に用いられる酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。
【0104】
触媒金属錯体−この組成物は、触媒金属錯体を包含してもよい。金属含有漂白触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンのカチオンのような、規定された漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムのカチオンのような、漂白触媒活性をほとんど又は全くもたない補助的な金属カチオン、並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して規定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤(sequestrate)、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性の塩類を含む触媒系である。このような触媒は米国特許第4,430,243号で開示されている。
【0105】
所望する場合、本明細書の組成物はマンガン化合物により触媒作用を受けることが可能である。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野で周知であり、例えば、マンガン系触媒は米国特許第5,576,282号に開示されている。
【0106】
本明細書において有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、既知の手順、例えば、米国特許第5,597,936号、及び同第5,595,967号において教示されているような手順によって容易に調製される。
【0107】
本明細書中の組成物は、また、マクロ多環状の剛直な配位子(「MRL」と省略される)の遷移金属錯体を適切に含んでもよい。限定するものではないが、実際的な事柄として、本明細書の組成物及び洗浄法を水性洗浄媒質において少なくとも1億分の1のオーダーの有益剤MRL種を提供するように調整して、約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10ppm、又は更には約0.1ppm〜約5ppmのMRLを洗浄溶液中に提供することができる。
【0108】
遷移金属漂白剤触媒中の好ましい遷移金属としては、マンガン、鉄、及びクロムが挙げられる。本明細書中の好ましいMRLは、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンのような、架橋されている特殊な種類の超剛直配位子である。
【0109】
好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、国際公開第00/32601号及び米国特許第6,225,464号で教示されているような手順によって容易に調製される。
【0110】
洗浄組成物の製造方法
限定するものではないが、本開示の布地ケア組成物などの洗浄組成物は、米国特許第5,879,584号;同第5,691,297号;同第5,574,005号;同第5,569,645号;同第5,565,422号;同第5,516,448号;同第5,489,392号;及び同第5,486,303号に非限定例が記載されている、配合者により選択される任意の方法により好適な形態で配合及び調製可能である。
【0111】
1つの態様では、本明細書に開示されている洗剤組成物は、成分をいずれかの好都合な順番で組み合わせることによって、及び得られた成分の組み合わせを混合、例えば攪拌により相安定な洗剤組成物を形成することによって、製造してよい。1つの態様では、液体成分、例えば非イオン性界面活性剤、非界面活性液体キャリア及び他の任意の液体成分の、少なくとも主要部分、又は更には実質的に全てを含有する、液体マトリクスを形成し、この液体構成成分を剪断攪拌に付することによりこの液体の組み合せを完全に混合する。例えば、機械攪拌器での高速攪拌が有用に使用される。剪断攪拌を維持する間に、任意のアニオン性界面活性剤及び固体成分の実質的に全てを添加することができる。混合物の攪拌を継続し、必要ならばその時点で増大して、液相中に不溶性固相粒子の溶液又は均一分散を形成する。固形形態の物質の一部又は全部をこの攪拌混合物に添加した後、包含される任意の酵素物質の粒子、例えば、酵素プリルを組み込む。上述した組成物調製手順の変形として、1つ以上の固形成分を1つ以上の液体成分の微量部分と予混合した粒子の溶液又はスラリーとして前記攪拌混合物に添加してもよい。全ての組成物成分を添加した後、混合物の攪拌は、必要な粘度及び相安定度特性を有する組成物を形成するために充分な時間継続される。しばしば、これには約30分〜60分間の攪拌を伴う。
【0112】
液体洗浄組成物を製造する別の態様では、最初に変成リグニンポリマーが、1つ以上の液体成分と組み合わされて変成リグニンポリマープレミックスを形成し、この変成リグニンポリマープレミックスが、実質的な部分、例えば、50重量%以上の、70重量%以上の、又は更には90重量%以上の洗浄組成物の成分の残部を含有する組成物配合物に添加される。例えば、上述の方法においては、変成リグニンポリマープレミックスと酵素成分は、両方とも成分添加の最終段階で添加される。別の態様では、汚れ放出ポリマーは、洗剤組成物に添加される前にカプセル封入され、カプセル封入された変成リグニンポリマーは構築された液体中に懸濁され、この懸濁液が洗浄組成物の成分の残部の実質的な部分を含有する組成物配合物に添加される。
【0113】
そのような固形形状で洗剤組成物を形成する様々な技術は当該技術分野において周知であり、本明細書で使用され得る。1つの態様では、布地ケア組成物などの洗浄組成物が顆粒状の粒子の形状である場合には、変成リグニンポリマーは、洗浄組成物の全部ではないが追加の成分を場合によっては含めて、粒子状の形で提供される。変成リグニンポリマー粒子状材料は、洗浄組成物の成分の残部を含有する1つ以上の追加の粒子状材料と組み合わされる。更に、洗浄組成物の全部ではないが追加の成分を場合によっては含む汚れ放出ポリマーは、カプセル化された形状で提供されることもあり、カプセル化された変成リグニンポリマー粒子状材料は、洗浄組成物の成分の実質的な残部を含有する粒子状材料と組み合わされる。
【0114】
布地ケア組成物の使用方法
本明細書で開示されている布地ケア組成物は、本明細書に記載されているものなどの布地の洗浄又は処理に使用され得る。典型的には布地の少なくとも一部分と、そのままの状態の又は液体(例えば、洗浄液)中に希釈された前述の実施形態の布地ケア組成物を接触させ、次いで場合により洗浄及び/又はすすぎを行ってもよい。1つの態様では、場合によっては布地を洗浄し及び/又はすすぎ、前述の実施形態の洗剤組成物と接触させ、次いで洗浄及び/又はすすぎを行う。本開示の目的について、「洗浄すること」としては、限定するものではないが擦ること及び機械的攪拌することが挙げられる。「布地」には洗濯又は処理できるほとんどあらゆる布地を含んでよい。
【0115】
本明細書で開示されている布地ケア組成物を使用して、布地の洗濯で使用される水性洗浄溶液を形成することができる。一般に、有効量のこのような組成物は、好ましくは従来の布地洗濯自動洗濯機内の水に添加されて、このような水性洗濯溶液を形成する。このように形成された水性洗浄溶液は、次に、好ましくは攪拌下で、洗濯される布地と接触する。本明細書に開示されている液体洗剤組成物のような布地ケア組成物の有効量が水に添加されて、約500〜約7,000ppm、又は更には約1,000〜約3,000ppmの布地ケア組成物を含む、水性洗濯溶液を形成してもよい。
【0116】
1つの態様では、布地ケア組成物は、洗濯添加剤として、前処理組成物として、及び/又は後処理組成物として使用されてもよい。
【0117】
様々な特定の実施形態が本明細書で詳細に記載されているが、本開示は、開示されている実施形態の様々な異なる組み合わせを有効範囲とするものであり、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。本開示の様々な実施形態は、以下の代表的な実施例と併せて読むとき、より良好に理解され得る。次の代表的な実施例は、例示の目的で挙げられるものであり、限定を目的としない。
【0118】
試験方法
平均分子量
本開示の変成リグニンポリマーなどのリグニン及びその誘導体の分子量は、多角度光散乱検出器(SEC/MALLS)付サイズ排除クロマトグラフィーにより求められる。0.8mL/分の0.1重量%LiBr入りDMSOと、Wyatt Technology DAWN EOS/rEX検出装置とを使用する、2本のWaters linear μstyrogelHTカラムを用いて、分析を行う。データ解析をWyatt Astraソフトウエアにより行う。DMSO中のリグニンスルホネートに対するdn/dcとして0.117の文献値を用いる(W.Q.Qean and DA.I.Goring、J.Appl.Polym.Sci.,14,1115(1970))。熱重量分析(TGA)を用いて、パーセント活性分を求める。
【実施例】
【0119】
実施例1−四級化リグニンスルホネートの合成
この実施例では、リグニンスルホネートを変成して、アニオン性及び四級アンモニウム窒素含有置換基を有する両性変成リグニンポリマーを製造する。
【表1】

【0120】
2つのリグニン源(Borregaard/Lignotech and Tembec Inc.)からのリグニンスルホネートを変成して、四級アンモニウム置換基を導入する。QUAB(登録商標)151(QUAB Chemicals,Saddle Brook,NJから入手可能)をpH 11.5においてリグニンスルホネート(水中10重量%で)と55℃で5時間反応させる。塩基触媒を塩酸により中和し、粗反応混合物をエタノールの中に注ぎ込み、変成リグニンを沈殿させる。変成リグニンポリマーを濾過により集め、真空下において50℃で16時間乾燥する。収率は、典型的には、Borregaard/Lignotech DP524リグニンについては40%であり、Tembec ARBO A02リグニンについては75重量%である。これらのリグニンの四級化に対する結果を表1に示す。
【0121】
実施例2−アルコキシリグニンスルホネートの合成
この実施例では、リグニンスルホネートを変成して、アニオン性及びアルコキシ含有置換基を有する変成リグニンポリマーを製造する。
【0122】
1,2−エポキシブタンとTembec ARBO A02リグニンスルホネート(水中10重量%、Tembec Ind.,Quebec,Canadaから入手可能)をpH 11.5において55℃で6時間反応させることにより、2−ヒドロキシブチルリグニンを作製する。塩基触媒を塩酸により中和し、粗反応混合物をエタノールの中に注ぎ込み、変成リグニンを沈殿させる。2−ヒドロキシブチルリグニンを濾過により集め、真空下において50℃で16時間乾燥する。収率は72重量%である。得られる変成リグニンポリマーは3.7%のアルコキシ置換重量パーセント(NMRによる)を有する。アルコキシル化に対する結果を表2に示す。
【表2】

【0123】
実施例3−ポリプロピレングリコール変成リグニンスルホネートの合成
この実施例では、リグニンスルホネートを変成して、アニオン性及びポリプロピレングリコール含有置換基を有する変成リグニンポリマーを製造する。
【0124】
リグニンスルホネート(Tembec ARBO A02)をポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテルのグリシジルエーテルにより誘導体化して、ポリプロピレンオキシドモノブチルエーテル及びスルホネート変成リグニンを作製する。エピクロロヒドリンとポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル(NMRによるMn=469、Sigma−Aldrich,Milwaukee,WIにより入手可能、カタログNo.438103)とを反応させることにより、誘導体化剤を作製する。
【0125】
水素化ナトリウムをヘキサンにより3回洗浄し、窒素流により乾燥し、攪拌しながら無水DMSOに添加する。反応物を窒素のヘッド圧力下で一夜反応させ、ほとんど透明な反応物を形成する。Tembec ARBO 02(Tembec Ind.,Quebec,Canadaから入手可能)を乾燥し、ジムシル反応物に添加し、一晩反応させる。グリシジルポリプロピレンオキシドモノブチルエーテルを添加し、65時間反応させる。混合物を1N HClにより中和し、水に対して16時間透析する。製品を凍結乾燥し、真空オーブン中で16時間乾燥する。変成リグニンポリマーの収率は16.2グラム(54%)である。プロトンNMRスペクトロスコピーを行い、15重量%のポリプロピレンオキシド(PPO)置換基が示される。リグニンスルホネートのポリプロポキシル化に対する結果を表3に示す。
【表3】

【0126】
実施例4−粉末洗濯洗剤配合物
この実施例では、本開示の実施形態による変成リグニンポリマーを用いて、粉末洗濯洗剤に対する4つの試料配合物を調製する。この変成リグニンポリマーを1.0%〜3.0重量%の範囲の量で配合物に添加する。粉末洗剤配合物を表4に示す。
【表4】

窒素に結合したそれぞれの水素原子に対して24ユニットまでエトキシル化された、四級化ヘキサメチレンジアミン
ポリエチレングリコール及びポリビニルアセテートのクシ型ポリマー
アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、及びリパーゼを含む、既知の洗剤酵素から選択される酵素カクテル
100%への残部としては、例えば、蛍光増白剤、芳香剤、泡抑制剤、汚れ分散剤、汚れ剥離ポリマー、キレート化剤、漂白添加剤及び増強剤、移染防止剤、審美性増強剤(例えば、しみ)、追加の水、並びに例えばサルフェート、CaCO、タルク、シリケートなどを含む充填剤などの、少量成分を挙げることができる。
0.97重量%窒素まで四級化されたリグニンスルホネート
【0127】
実施例5−重質液体洗濯洗剤配合物
この実施例では、本開示の実施形態による変成リグニンポリマーを用いて、重質液体(HDL)洗濯洗剤用の3つの試料配合物を調製する。この変成リグニンポリマーを0.5重量%〜2.0重量%の範囲の量で配合物に添加する。このHDL洗濯洗剤配合物を表5に示す。
【表5】

0.97重量%窒素まで四級化されたリグニンスルホネート
ジエチレントリアミン五酢酸、ナトリウム塩
配合色の調整に使用される非着色性染料
Acusol OP 301
【0128】
実施例6−自動皿洗い機用洗剤配合物
この実施例では、本開示の実施形態による変成リグニンポリマーを用いて、自動皿洗い機用洗剤用の5つの試料配合物を調製する。この変成リグニンポリマーを0.05%〜15重量%の範囲の量で配合物に添加する。自動皿洗い機用洗剤配合物を表6に示す。
【表6】

Acusol、Alcosperse及び他の変成ポリアクリル酸ポリマーなどのアニオン性ポリマー
Olin CorporationからのSLF−18ポリタージェントなど
【0129】
実施例7−シャンプー配合物
この実施例では、本開示の実施形態による変成リグニンポリマーを用いて、シャンプー用の6つの試料配合物を調製する。この変成リグニンポリマーを0.05重量%〜15重量%の範囲の量でシャンプー配合物に添加する。このシャンプー配合物を表7に示す。
【表7】

UCareポリマーJR30M、MW=2.0MM、帯電密度=1.32meq/g、Dow Chemical
UCareポリマーKG30M、MW=2.0MM、帯電密度=1.96meq/g、Dow Chemical
Jaguar Excel,Rhodia.
UCareポリマーJP、MW=2.0MM、帯電密度=0.7meq/g、Dow Chemical
平均ほぼ3モルエトキシル化されたラウレス硫酸ナトリウム(29%活性分)、P&G
ラウレス硫酸ナトリウム(29%活性分)、P&G
Dow Corning 2−1865、内相粘度=44,000cps、30nm粒径ジメチコノールTEAドデシルベンゼンスルホネート&ラウレス23を主な界面活性剤として使用、25%活性分シリコーン
Dow Corning 2−1865、内相粘度=34,000cps、30nm粒径ジメチコノールTEAドデシルベンゼンスルホネート&ラウレス23を主な界面活性剤として使用、25%活性分
Dow Corning 2−1865、内相粘度=25,400cps、30nm粒径ジメチコノールTEAドデシルベンゼンスルホネート&ラウレス23を主な界面活性剤として使用、25%活性分シリコーン
10Miranol C2M濃NP、40%活性分、Rhodia
11Tegobetaine F−B、30%活性分、Goldschmidt Chemicals
12Promidium 2,Unichema
13塩化マグネシウム六水和物、Fisher Chemicals
14塩化ナトリウムUSP(食品グレード)、Morton
【0130】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0131】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において、本明細書の参照として組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照として組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0132】
本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変成リグニンポリマーであって、
置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含むランダム置換リグニン骨格を含み、前記ランダム置換リグニン骨格上のヒドロキシル基の少なくとも2つ以上が、R置換基により置換され、
ここで、それぞれのR置換基は、独立して、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基R、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるR置換基であり、ただし、前記ランダム置換リグニン骨格が少なくとも2つの異なるR置換基型を含む、変成リグニンポリマー。
【請求項2】
前記変成リグニンポリマーが2,000ダルトン〜300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項3】
前記変成リグニンポリマーが、ρ−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、シナピルアルコール、これらの誘導体、及びこれらの混合物の、置換及び非置換残基からなる群から選択される置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含む、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項4】
前記変成リグニンポリマーが、洗浄組成物、布地ケア組成物、皿洗浄組成物、ホームケア組成物、又はパーソナルケア組成物の中に組み込まれる、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項5】
前記それぞれのR置換基が、リグニン骨格上の酸素でリグニン骨格に結合する、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項6】
それぞれの窒素含有置換基Rが、独立して、式II:
【化1】

に示す構造を有し、式中、それぞれのRは、孤立電子対、H、CH、及び直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルからなる群から選択され、ただし、R基の少なくとも2つは、孤立電子対でなく、Rは、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖又は直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であり、Lは、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、並びにRはH又はC〜Cアルキルであり、yは0又は1の値を有し、並びにzは0又は1の値を有する、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項7】
それぞれのアニオン性置換基Rが、独立して、式III:
【化2】

に示す構造を有し、式中、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、スクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性基であり、L’は、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、式中、Rは、H又はC〜Cアルキルであり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の整数である、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項8】
それぞれのアルコキシ置換基Rが、独立して、式IV:
【化3】

に示される構造を有し、式中、eは0又は1の値を有し、fは0〜8の整数であり、gは0〜50の整数であり、L’’は、−O−、−C(O)O−、−NR11−、−C(O)NR11−、及び−NR11C(O)NR11−からなる群から選択される連結基であり、式中、R11はH又はC〜Cアルキルであり、それぞれのRはエチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物であり、並びにR10は水素、C〜C20アルキル、ヒドロキシ、−OR及び−ORからなる群から選択される末端基である、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項9】
が構造−CH(R12)CH−を有し、式中R12は水素、メチル、又はエチルである、請求項8に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項10】
酸素でリグニン骨格に結合する、0.1%〜50%の範囲の置換重量パーセントの1つ以上の疎水性置換基R13を更に含み、それぞれの疎水性置換基R13が、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキル、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルアリール、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル、あるいは疎水性ポリマーグラフトから選択される構造を独立して有する、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項11】
前記ランダム置換リグニン骨格が、リグニンスルホネート、クラフトリグニン、ソーダリグニン、オルガノソルブリグニン、針葉樹リグニン、広葉樹リグニン、セルロース系草木質リグニン、トウモロコシ茎葉リグニン、爆砕リグニン及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、リグニン由来である、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項12】
前記変成リグニンポリマーが変成リグニンフェノールでない、請求項1に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項13】
変成リグニンポリマーであって、
ρ−クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、シナピルアルコール、これらの誘導体、及びこれらの混合物の、置換及び非置換残基からなる群から選択される、置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含む構造
【化4】

を有するランダム置換リグニン骨格を含み、前記ランダム置換リグニン骨格上の前記ヒドロキシル基の少なくとも2つ以上がR置換基により置換され、
ここで、ρが1〜3の整数であり、それぞれのR置換基が、独立して;
0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基Rであって、ここで、それぞれのRは、独立して、式II:
【化5】

に示す構造を有し、式中、それぞれのRは、孤立電子対、H、CH、及び直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルからなる群から選択され、ただし、R基の少なくとも2つは、孤立電子対でなく、Rは、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖、あるいは直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であり、Lは、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、並びにRはH又はC〜Cアルキルであり、yは0又は1の値を有し、並びにzは0又は1の値を有する、R
0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基Rであって、ここで、それぞれのRは、独立して、式III:
【化6】

に示す構造を有し、式中、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、スクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性基であり、L’は、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、式中、RはH又はC〜Cアルキルであり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の整数である、R
0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基Rであって、ここで、それぞれのRは、独立して、式IV:
【化7】

に示す構造を有し、式中、eは0又は1の値を有し、fは0〜8の整数であり、gは0〜50の整数であり、L’’は、−O−、−C(O)O−、−NR11−、−C(O)NR11−、及び−NR11C(O)NR11−からなる群から選択される連結基であり、式中、R11はH又はC〜Cアルキルであり、それぞれのRはエチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物であり、並びにR10は水素、C〜C20アルキル、ヒドロキシ、−OR及び−ORからなる群から選択される末端基である、R;並びに
これらの任意の組み合わせ;からなる群から選択される、R置換基型であり、
ただし、前記ランダム置換リグニン骨格が少なくとも2つの異なるR置換基型を含む、変成リグニンポリマー。
【請求項14】
前記変成リグニンポリマーが2,000ダルトン〜300,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、請求項13に記載の変成リグニンポリマー。
【請求項15】
洗浄組成物であって、
置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含むランダム置換リグニン骨格を有する変成リグニンポリマーを含み、前記ランダム置換リグニン骨格上の前記ヒドロキシル基の少なくとも2つ以上がR置換基により置換され、
ここで、それぞれのR置換基が、独立して、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基R、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるR置換基型であり、ただし、前記ランダム置換リグニン骨格が少なくとも2つの異なるR置換基型を含む、洗浄組成物。
【請求項16】
漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び顔料からなる群から選択される少なくとも1つ以上の補助剤を更に含む、請求項15に記載の洗浄組成物。
【請求項17】
前記洗浄組成物が、液体洗濯洗剤、固体洗濯洗剤、洗濯セッケン製品、洗濯スプレー処理製品、洗濯前処理製品、皿手洗い用洗剤、自動皿洗い用洗剤、美容ケア洗剤、硬質表面洗浄洗剤、カーペット洗浄洗剤、シャンプー、及び家事用洗浄洗剤からなる群から選択される製品である、請求項15に記載の洗浄組成物。
【請求項18】
洗浄組成物を製造する方法であって、
変成リグニンポリマーを前記洗浄組成物に添加することを含み、
前記変成リグニンポリマーが置換リグニンモノマー残基及び非置換リグニンモノマー残基を含むランダム置換リグニン骨格を有し、
前記ランダム置換リグニン骨格上のヒドロキシル基の少なくとも2つ以上がR置換基により置換されたものであり、
ここで、それぞれのR置換基は、独立して、0%〜75%の範囲の置換重量パーセントの窒素含有置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアニオン性置換基R、0%〜90%の範囲の置換重量パーセントのアルコキシ置換基R、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるR置換基型であり、ただし、前記ランダム置換リグニン骨格は少なくとも2つの異なるR置換基型を含む、方法。
【請求項19】
漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに顔料からなる群から選択される少なくとも1つ以上の補助剤を前記洗浄組成物に添加することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
リグニンポリマー骨格上の少なくとも2つのヒドロキシル基を少なくとも2つのR置換基により置換することにより、リグニンポリマーを変成することを更に含む、請求項に18に記載の方法。
【請求項21】
前記布地を、請求項13に記載の変成リグニンポリマーを含む有効量の布地ケア組成物と接触させることを含む、布地を処理する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−503080(P2012−503080A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527971(P2011−527971)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/057376
【国際公開番号】WO2010/033743
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】