説明

洗米装置

【課題】複数の清掃箇所があっても清掃を忘れることを防止する。
【解決手段】清掃が必要な清掃箇所が複数定められた洗米装置3において、各清掃箇所に対して清掃を促す清掃表示を行うための運転回数をそれぞれ設定する清掃表示設定部85と、実運転数が清掃表示設定部85により設定された運転回数になったときに当該運転回数に対応する清掃箇所に対して清掃表示を行う清掃表示指令部86とを備えている。各清掃箇所に対応してカウントされた実運転数を零にリセットする第1リセット部87と、実運転数が第1リセット部87によりリセットされたときに、運転を許可する運転許可部89とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、清掃が必要な清掃箇所が定められた洗米装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、業務用の炊飯機には、米を洗米する洗米槽を備えた洗米装置が具備されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に示すような炊飯機の洗米装置には、洗米槽の下部に当該洗米槽からの排水を受ける排水ジャケットが設けられており、この排水ジャケットには、排水を外部に流すための排水ボックスが接続されたものとなっている。
このような洗米装置では、洗米槽で米を洗米したときの排水は、排水ジャケットを介して排水ボックスへと流され、排水ボックスから外部へと排水するようになっている。洗米装置において、繰り返し米の洗浄を行うと、例えば、洗米タンク内や排水ジャケット内が米ぬか等により汚れるため、これら洗米タンクや排水ジャケットを清掃箇所と定め、これらの清掃箇所を作業員が手作業により洗浄していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−36524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示したような洗米装置では、洗米タンクや排水ジャケットの清掃箇所を作業員が手作業により洗浄していたが、洗米タンクや排水ジャケットの清掃を忘れずに定期的に行うのは、実質的に困難であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、複数の清掃箇所があっても清掃を忘れることを防止することができる洗米装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、清掃が必要な清掃箇所が複数定められた洗米装置において、各清掃箇所に対して清掃を促す清掃表示を行うための運転回数をそれぞれ設定する清掃表示設定部と、実運転数が前記清掃表示設定部により設定された運転回数になったときに当該運転回数に対応する清掃箇所に対して清掃表示を行う清掃表示指令部とを備えている点にある。
各清掃箇所に対応してカウントされた実運転数を零にリセットする第1リセット部と、前記実運転数が前記第1リセット部によりリセットされたときに、運転を許可する運転許可部とを備えていることが好ましい。
【0006】
前記清掃表示指令部により清掃表示が行われた時点で、1の清掃箇所における実運転数と、前記1の清掃箇所とは異なる他の清掃箇所について他の清掃箇所に対応する実運転数との差か所定値以下であるときは、他の清掃箇所に対応する実運転数を零にリセットする第2リセット部を備えていることが好ましい。
米を洗米する洗米タンクと、この洗米タンク内からの排水を受ける排水ジャケットとを備え、前記1の清掃箇所が洗米タンクとされ、他の清掃箇所が排水ジャケットに設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の清掃箇所があっても清掃を忘れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の洗米装置を具備した炊飯機の全体図である。
【図2】洗米装置の断面図である。
【図3】制御部における入出力のブロック図である。
【図4】清掃箇所及び清掃表示の説明図であって、(a)清掃箇所が洗米タンクである場合を示し、(b)清掃箇所が排水ジャケットである場合を示し、(c)清掃箇所が排水ホースである場合を示し、(d)清掃箇所が給水コシ網である場合を示し、(e)清掃箇所がフィルターである場合を示している。
【図5】表示装置の操作部の説明図である。
【図6】表示部の画面の一例を示す図である。
【図7】運転回数を設定する方法を説明する図であって、(a)運転回数が洗米タンクである場合を示し、(b)運転回数が排水ジャケットである場合を示し、(c)運転回数が排水ホースである場合を示し、(d)運転回数が給水コシ網である場合を示し、(e)運転回数がフィルターである場合を示している。
【図8】清掃表示に関する制御部の動作を示すフローチャートである。
【図9】制御部の変形例を示すブロック図である。
【図10】変形例における制御部の動作を示すフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の洗米装置を図面に基づいて説明する。
図1は、洗米装置を備えた炊飯機を示している。
図1〜図3に示すように、この炊飯機1は、米を貯米する貯米庫2と、洗米装置3と、洗米装置3で洗米された米を炊飯する炊飯器4と、これら炊飯器4、貯米庫2、洗米装置3を支持する装置フレーム5とを備えたものである。
貯米庫2は、略箱型に形成されたケース6と、このケース6内に設けられた漏斗状の貯米タンク7とを有している。ケース6の前後壁又は左右側壁には、内部に連通する吸気口17(フィルター)が設けられている。例えば、吸気口17は複数の孔から形成されたものである。
【0010】
この貯米タンク7の下部には、計量駆動装置8により横軸回りに回転駆動される計量部9が設けられており、計量部9を所定回数回転することで貯米タンク7内の米を計量して洗米装置3へ送るように構成されている。この計量部9では、1回転毎に米を所定量の量を計量するもので、この実施形態では、計量部9を1回転する毎に0.75kg分の米を計量するものとなっている。1回の運転毎における計量部9の回転数、即ち、米の計量値(升又はkg)は制御部16へ入力されるようになっている。
ケース6の上部は、蓋体10により開閉自在とされていて、この蓋体10を開いて貯米タンク7内に米を補給可能となっている。ケース6の前面には、各種設定を行う表示装置11が設けられている。
【0011】
洗米装置3は、米を洗米する洗米槽12と、この洗米槽12の下部に設けられた排水ジャケット13と、排水ジャケット13に連通する排水ボックス14と、洗米槽12に給水を行う給水部15と、CPU等から構成された制御部16とを備えている。
洗米槽12は、米が投入される洗米タンク20と、この洗米タンク20内の米を攪拌する攪拌部材21とを備えている。洗米タンク20は、貯米庫2(ケース6)の下端に着脱自在に設けられると共に、貯米庫2内に設けられた計量部9により計量された米が上端から投入される構造となっている。洗米タンク20の下端には開口部22が形成されている。この洗米タンク20は、貯米庫2(ケース6)の下部側に設けられたフック部材23との係止を解除することにより取り外しができるようになっている。
【0012】
排水ジャケット13は、洗米槽12の下部、即ち、開口部22を覆うように洗米タンク20の下部に着脱自在に設けられて、洗米タンク20からの排水等を受けるものとなっている。即ち、この排水ジャケット13は、洗米タンク20に設けられたフック部材39において当該排水ジャケット13への係止を解除することにより洗米タンク20から取り外しができるようになっている。この排水ジャケット13は、筒状に形成された外周壁25と、この外周壁25の下部から径内方向に突出する底壁26とを備えている。
底壁26には、洗米タンク20の開口部22からの米等を炊飯器4へと通す排米口27が設けられている。この排米口27に円錐状の排米弁28が挿入されている。この排米弁28は、上下を向く上下軸29の下端に昇降自在に設けられ、上下軸29の上端側に設けられた昇降装置30の昇降により排米口27を開閉するようになっている。排米口27が開放状態(排米弁開位置)であるか、排米口27が閉鎖状態(排米弁閉位置)であるかはセンサにより検知され、排米弁開位置の信号や排米弁閉位置の信号は制御部16に入力されるようになっている。
【0013】
また、底壁26には、側壁部分に複数の孔が形成された筒状の漏斗部材(じょうご部材)31が載置されている。排水ジャケット13の外周壁25の一方には、排水ジャケット13内の液体を排水ボックス14側に流すための排水口32が形成されている。
排水ボックス14は、箱型に形成されたもので、例えば、排水ボックス14の前面側は着脱自在な蓋37となっており、この蓋37を取り外すことにより、排水ボックス14内の洗浄(掃除)が行えるようになっている。排水ボックス14には、排水ジャケット13の排水口32と対向する側に入水口33が形成されている。そして、入水口33にパイプ(配管)34の一端が接続されて、排水ジャケット13の排水口32にパイプ34の他端が接続されることにより、排水ボックス14と排水ジャケット13とは連通している。
【0014】
排水ボックス14には、排水ジャケット13から排水ボックス14へと至る連通路(例えば、パイプ34内)を開閉するための開閉部材35が設けられている。具体的には、開閉部材35は、入水口33を開放又は閉鎖するもので、排水ボックス14内に揺動自在に支持されたリンク部材36に連結していて、リンク部材36の揺動動作により開閉部材35は入水口33を閉鎖する閉鎖姿勢になると共に、入水口33を開放する開放姿勢になる。
さらに詳しくは、開閉部材35は、入水口33を閉鎖可能な開閉部40と、先端側に開閉部40が連結されると共に左右方向移動自在に支持された軸部41とを備えており、この軸部41の基端側にへの字状(屈曲した)のリンク部材36が連結されている。リンク部材36の屈曲部側は揺動自在に枢支されて、リンク部材36の基端側に、上下動によりリンク部材36を揺動させる連動部材42が連結されている。この連動部材42は、油圧シリンダや駆動モータ等の開閉駆動装置45により上下動するものとなっている。
【0015】
したがって、開閉駆動装置45の停止した状態では、連動部材42が下方へと移動して、リンク部材36の先端部が左側に移動するため、開閉部40が軸部41を介して左側に移動して開放姿勢(入水口33が開放される)となる。なお、軸部41は、スプリングなどの付勢部材46により右側に付勢(連動部材42は上方に向けて付勢されている)しているため、連動部材42を下へ向けて移動させないときは、開閉部40は入水口33を開放した状態である。
一方、開閉駆動装置45の駆動させることにより連動部材42を上方へと移動させると、リンク部材36の先端部が右側に移動することによって、開閉部40が軸部41を介して右側に移動して閉鎖姿勢(入水口33が閉鎖する)となる。 排水ボックス14内の排水は、当該排水ボックス14に形成された排水口47から外部へ排出されるようになっている。なお、排水口47には、排水を外部へと導く排水ホース(図示省略)が着脱自在に接続されている。また、排水ボックス14の上部と洗米タンク20との間には、オーバフロー管38が接続されていて、洗米タンク20からオーバフローした排水等がオーバフロー管38を介して排水ボックス14内へ流入するようになっている。
【0016】
攪拌部材21は、上下軸芯回りに回転して米を攪拌するもので、攪拌駆動装置50により軸心廻りに回転駆動するものとなっている。
給水部15は、洗米タンク20の上部側に設けられた給水ノズル51と、水道水蛇口等の給水源を給水ノズル51に供給するための給水路(配管)52と、給水路52に設けられた第1開閉弁(電磁開閉バルブ)53と、給水路52に設けられた流量センサ54と、手動により給水路52を開閉する第2開閉弁(蛇口)55とを備えている。また、第2開閉弁55より給水ノズル51側には、着脱自在なストレーナ(給水コシ網)56が設けられている。
【0017】
したがって、蛇口55を手動にて開放させた状態で制御部16からの指令信号により第1開閉弁53を開くことによって、給水ノズル51から水が供給され、給水ノズル51から給水された水量は流量センサ54によって検出されて、検出された水量は制御部16へと出力されるようになっている。
炊飯器4は、上端開口状の内釜60と、この内釜60が上方から挿脱自在に挿入されて収納される外釜61と、内釜60の上端開口を開閉自在に閉塞する蓋体62と、内釜60の下方に配置されていて該内釜60を加熱するガスコンロ、IHヒータ等の加熱手段等とを有している。この炊飯器4は、装置フレーム5に略水平方向一方向に設けられた載置台63に載置されていて、載置台63を介して引き出し自在とされている。
【0018】
貯米庫2及び洗米装置3は上述したような構成であるが、少なくとも洗米装置3は定期的に清掃を行わなければならず、定期的に清掃を行わなければならない清掃箇所(清掃が必要な所)が複数定められている。
図4は、洗米装置3の清掃箇所と、貯米庫2における清掃箇所を示したものである。
図4(a)に示すように、洗米タンク20には米を洗米したときに米ぬかなどの付着物が内部に付くため、当該洗米タンク20を清掃箇所としている。清掃にあたっては、フック部材23の係止を解除することにより洗米タンク20を取り外して内部の水洗い等を行う。なお、この実施形態では、洗米タンク20を取り外すに際して、当該洗米タンク20の高さ等の関係から洗米タンク20の下部の排水ジャケット13を先に取り外さなければ、洗米タンク20が取り外しできないようになっている。つまり、洗米タンク20を取り外す際は、必ず排水ジャケット13も取り外すことになり、洗米タンク20を清掃する際には、必然的に排水ジャケット13も清掃することになる。
【0019】
図4(b)に示すように、排水ジャケット13には洗米タンク20と同様に米ぬかなどの付着物が内部に付くため、当該排水ジャケット13を清掃箇所としている。清掃にあたっては、フック部材39の係止を解除することにより取り外して内部の水洗い等を行う。特に、排水ジャケット13の清掃を行う際に、排水ジャケット13内に配置した漏斗部材31も取り出して清掃することが好ましい。
図4(c)に示すように、排水ホースには様々な排水が流れ米ぬか等の付着物が内部に付くため、排水ホースを清掃箇所としている。清掃にあたっては、排水ボックス14に装着した排水ホースを取り外して内部の水洗い等を行う。排水ホースを取り外して清掃を行う際に、排水ボックス14の蓋37を取り外して排水ボックス14内も清掃することが好ましい。
【0020】
図4(d)に示すように、給水コシ網56にも給水するための水が流れ微細なゴミなどが付着することがあることから、給水コシ網56を清掃箇所としている。清掃にあたっては、配管52に装着した給水コシ網56を取り外して水洗い等を行う。図4(e)に示すように、吸気口17(フィルター)には埃などが付着することから吸気口17を清掃箇所としている。清掃にあたっては、吸気口17の埃などを落とす。
以上のように、洗米タンク20、排水ジャケット13、排水ホース、給水コシ網56、吸気口17(フィルター)が清掃箇所として定められているが、本発明では、これらの清掃箇所を清掃するタイミングを表示装置11によって表示するものとなっている。また、図4に示すように、表示部70には炊飯機1(洗米装置3)を表す図が表示されるようになっており、当該図上に清掃箇所が表示されるようになっている。
【0021】
以下、表示装置11について説明する。
図5に示すように、表示装置11は、表示部70と、炊飯機1の各種設定や選択等を行う操作部71と、制御部16とを備えている。この表示装置11では、表示部70に表示された設定項目を操作部71で選択したり、設定項目の設定内容を操作部71により操作して内容の変更等をすることによって、炊飯機1における各種設定を行うことができるようになっている。
表示装置11の操作部71は、設定キー72と、スタートキー73と、予約キー74と、取消キー75と、上キー76、下キー77、左キー78、右キー79と、補助機能キー80とを備えている。これらの各キーは、ケース6の前面に設けられていて、表示部70の周囲に配置されている。表示装置11の表示部70は、液晶パネルから構成されていてケース6の前面に設けられている。
【0022】
図6に示すように、表示部70は、主に、炊飯の状態を示す初期画面Aと、各種設定を行うメニューセット画面Bと、このメニューセット画面Bとは異なっていて補助機能を表示する補助機能画面Cとを表示する。
炊飯機1の電源を入れると、表示部70には、初期画面(運転中画面)Aが表示されるようになっており、初期画面Aで設定キー72を押すと、メニューセット画面Bに画面が切り替わる。また、初期画面Aで補助機能キー80を押すと、補助機能画面Cに画面が切り替わる。メニューセット画面Bにてスタートキー73を押すと炊飯機1での炊飯を開始することができる。
【0023】
図6に示すように、初期画面Aでは、炊飯の工程が示されるようになっており、米を計量部9により計量中である計量工程A1、米を洗米槽12(洗米タンク20)内で洗米中である洗米工程A2、洗米槽12(洗米タンク20)内で洗米後に米のザル上げを行うザル上げ工程A3、洗米槽12(洗米タンク20)に所定の水を計算して水加減水を給水する水加減工程A4、洗米槽12(洗米タンク20)内の米及び水加減水を炊飯器4に投入する排米工程A5、炊飯器4内でお米を浸している浸し工程A6、炊飯器4にて炊飯を行っている炊飯工程A7、お米を炊飯器4内で蒸らすむらし工程A8、米の炊きあがりを示す炊きあがりA9を表示するもので、カーソル等の点滅によってどの工程であるか分かるようになっている。
【0024】
また、図6に示すように、メニューセット画面Bでは、炊飯量M1、水加減水M2、モードM3、ザル上げM4、むらしM5の各種項目がそれぞれ表示されると共に、各種項目(炊飯量の設定、水加減水量の設定、自動、準備、洗米等の設定、ザル上げ時間の設定、むらし時間の設定)が行えるようになっている。メニューセット画面Bに表示された各種項目は、上キー76、下キー77、左キー78、右キー79等の各種キーにより設定できるようになっている。
制御部16は、表示装置11を制御したり、洗米槽12の動作を制御するものである。なお、この実施形態では、制御部16は、洗米装置3の制御を行うものであるが、炊飯器4の制御を行うものであっても炊飯機1全体の制御を行うものであってもよい。詳しくは、制御部16は、各種指令信号によって、計量部9を回転させる計量駆動装置8、排米弁28を昇降させる昇降装置30、給水部15の開閉弁53、攪拌部材21を回転させる攪拌駆動装置50、連動部材42を下方へ移動させる開閉駆動装置45(開閉部材35の開閉)、表示装置11等を制御する。
【0025】
また、制御部16は、炊飯機1の運転回数が所定回数に達したときに表示装置11(表示部70)に対して清掃箇所の清掃を促す制御を行うことができるものである。詳しくは、この制御部16は、清掃表示設定部85と、清掃表示指令部86と、第1リセット部87と、第2リセット部88と、運転許可部89とを備えている。
清掃表示設定部85は、各清掃箇所に対して清掃を促す清掃表示を行うための運転回数をそれぞれ設定するものである。即ち、清掃表示設定部85は、炊飯機1の運転(洗米装置3の運転)が何回行われたときに清掃表示を行うかを、清掃箇所毎に設定するものである。
【0026】
詳しくは、図7に示すように、清掃表示設定部85は、炊飯機1の電源をOFFにしている状態にて、上キー76、下キー77、スタートキー73を同時に押して炊飯機1の電源を入れると作動し、当該清掃表示設定部85により、設定モード画面(設定機能モードによる画面)Dが表示される。そして、清掃表示設定部85により設定モード画面Dにて各清掃箇所の運転回数を設定する
図7(a)に示すように、操作部71の操作により設定機能モードDにて洗米タンク20を示す画面に移行して、左キー78又は右キー79を押すことにより、洗米タンク20に対する運転回数を設定することができる。同様に、図7(b)に示すように、操作部71の操作により設定機能モードDにて排水ジャケット13を示す画面に移行して、左キー78又は右キー79を押すことにより、排水ジャケット13に対する運転回数を設定することができる。
【0027】
図7(c)に示すように、操作部71の操作により設定機能モードDにて排水ホースを示す画面に移行して、左キー78又は右キー79を押すことにより、排水ホースに対する運転回数を設定することができる。同様に、図7(d)に示すように、操作部71の操作により設定機能モードDにて給水コシ網56を示す画面に移行して、左キー78又は右キー79を押すことにより、給水コシ網56に対する運転回数を設定することができる。また、図7(e)に示すように、操作部71の操作により設定機能モードDにて吸気口17(フィルター)を示す画面に移行して、左キー78又は右キー79を押すことにより、吸気口17(フィルター)に対する運転回数を設定することができる。
【0028】
以上のように、清掃表示設定部85によって、複数の清掃箇所における運転回数をそれぞれ個別に設定することができる。
清掃表示指令部86は、洗米装置3(炊飯機1)における実際の運転回数(実運転数)が、清掃表示設定部85により設定された運転回数と一致したときに、当該運転回数に対応する清掃箇所に対して清掃表示を行うものである。
例えば、図4(a)に示すように、洗米タンク20の運転回数を設定した後から実際に行われた運転をカウントして、その実運転数が清掃表示設定部85にて設定した洗米タンク20の運転回数(70回)に達したとき、清掃表示指令部86は、洗米タンク20の清掃を行う時期が来たことを表示部70に表示にする。 また、図4(c)に示すように、排水ホースの運転回数を設定した後から実際に行われた運転をカウントして、その実運転数が排水ホースの運転回数(100回)に達したとき、清掃表示指令部86は、排水ホースの清掃を行う時期が来たことを表示部70に表示にする。このように、各清掃箇所に対応して定められた運転回数が、実運転数になったときに、それぞれの清掃箇所について清掃を促す表示をする。なお、清掃表示指令部86による清掃表示は、例えば、炊飯機1の電源を入れたときや各清掃箇所に対応して定められた運転回数が実運転数になって運転が終了した時点(次の運転を開始前)になされる。
【0029】
第1リセット部87は、各清掃箇所に対応してカウントされた実運転数をそれぞれ零にリセットするものである。即ち、実運転数が清掃表示設定部85により設定された運転回数と一致したときに清掃箇所についての清掃表示が行われるが、この清掃表示がなされた際に、第1リセット部87は、例えば、取消キー75を押すことによって清掃表示をした清掃箇所についての実運転数を零とする。
運転許可部89は、実運転数が第1リセット部87によりリセットされたときに、運転を許可するものである。例えば、表示部70に清掃表示がなされた状態で取消キー75を押すと実運転数が零にリセットされるが、運転許可部89は、このリセットが行われてから運転を許可する。
【0030】
図8は、清掃表示における制御部16の動作を示したものである。
以下の説明においては、各清掃箇所について清掃表示するための運転回数がそれぞれ設定されているものとし、各清掃箇所について運転回数を設定した時点から実運転数がそれぞれカウントされるものとする。
まず、制御部16は、清掃表示指令部86により設定した各清掃箇所において実運転数が運転回数に達した清掃箇所があるか否かを判定する(S1)。各清掃箇所において実運転数が運転回数に達した清掃箇所がある場合は、清掃表示指令部86により運転回数に達した清掃箇所について清掃表示を促す清掃表示を運転終了後に行う(S2)。例えば、洗米タンク20の実運転数が70回になったとき、その運転が終了すると、表示部70に洗米タンク20の清掃時期が来たことを示す表示をする。このとき、運転許可部89により取消キー75の入力は受け付ける一方でそれ以外のキーについては入力は受け付けないようにし、取消キー75が押されない限り、表示部70の処理又は洗米装置3の処理が進まないようにする。
【0031】
表示部70に清掃箇所における清掃表示を行っている状態で、取消キー75が押されたか否かを判定する(S3)。取消キー75が押されなければ、待機状態なり、取消キー75が押されると(S3、Yes)、次の処理に進む。取消キー75が押されると、第1リセット部87により清掃表示を行っていた清掃箇所に対応する実運転数を零にする(S4)。例えば、洗米タンク20の清掃表示を行っているとし、処理S2時点での洗米タンク20の実運転数が70回であるときは、取消キー75が押された時点で、洗米タンク20に対応する実運転数を0回とする。
【0032】
次に、上述した清掃箇所(1の清掃箇所)以外に、実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所があるか否かを判定する(S5)。実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所が無い場合は(S5、No)、表示部70の表示をメニューセット画面B又は初期画面Aにして、運転許可部89により運転を許可する(S6)。
実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所が有る場合は(S5、Yes)、前の清掃表示に引き続き、清掃表示指令部86により運転回数に達した他の清掃箇所について清掃表示を行う(S7)。例えば、排水ホースの実運転数が70回であるとき、洗米タンク20の清掃表示を消した後に表示部70に排水ホースの清掃表示を行う。洗米タンク20のときと同様に、運転許可部89により取消キー75の入力は受け付ける一方でそれ以外のキーについては入力は受け付けないようにし、取消キー75が押されない限り、表示部70の処理又は洗米装置3の処理が進まないようにする。
【0033】
表示部70に他の清掃箇所における清掃表示を行っている状態で、取消キー75が押されたか否かを判定する(S8)。取消キー75が押されなければ、待機状態なり、取消キー75が押されると(S8、Yes)、次の処理に進む。取消キー75が押されると、第1リセット部87により清掃表示を行っていた他の清掃箇所に対応する実運転数を零にする(S9)。例えば、排水ホースの清掃表示を行っているとし、処理S5時点での排水ホースの実運転数が70回であるときは、取消キー75が押された時点で、排水ホースに対応する実運転数を0回とする。
【0034】
次に、実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所があるか否かを判定する(S10)。実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所が無い場合は(S10、No)、表示部70の表示をメニューセット画面B又は初期画面Aにして、運転許可部89により運転を許可する(S11)。実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所が有る場合は(S11、Yes)、当該処理に清掃箇所が有るとされた清掃箇所についての清掃表示をS7にて行う。
図9は、清掃表示における制御部16の変形例を示したものである。
【0035】
図9の制御部16は、第2リセット部88を備えている。この第2リセット部88は、清掃表示がなされた時点にて、表示した1の清掃箇所の実運転数と、この1の清掃箇所とは異なる他の清掃箇所の実運転数との差が所定値(例えば、5回)以下であるときは、他の清掃箇所に対応する実運転数も零にリセットするものである。例えば、洗米タンク20における実運転数が70回であって、排水ジャケット13における実運転数が75回であるとする。ここで、洗米タンク20の実運転数が70となり、洗米タンク20の清掃表示がなされると、当該洗米タンク20の実運転数(70回)との差が予め規定している所定値(5回)である排水ジャケット13の実運転数も第2リセット部88により零とされる。
【0036】
この実施形態では、上述したように、排水ジャケット13を取り外さなければ、洗米タンク20を取り外すことができず、洗米タンク20の清掃時には必然的に排水ジャケット13も清掃することになる。そのため、第2リセット部88は、このように同時に清掃される清掃箇所がある場合、1(一方)の清掃箇所(例えば、洗米タンク20)と、他(他方)の清掃箇所(例えば、排水ジャケット13)との互いの実運転数が所定値以下であるときは、両者の実運転数を零にするものとしている。なお、第2リセット部88は、1の清掃箇所の実運転数と、他の清掃箇所の実運転数との差が所定値以下であるときは、他の清掃箇所に対応する実運転数も零にリセットするものであるが、1の清掃箇所と他の清掃箇所とは、洗米タンク20と排水ジャケット13との関係のように清掃時に同時に取り外すといった関連性を有するものであることが好ましく、当該第2リセット部88は、1の清掃箇所の清掃時に必然的に同時に取り外すと他の清掃箇所に対して、その実運転数を零にリセットするものであることが好ましい。
【0037】
図10は、変形例における制御部16の動作を示したものである。
まず、制御部16は、清掃表示指令部86により設定した各清掃箇所において実運転数が運転回数に達した清掃箇所があるか否かを判定する(S20)。各清掃箇所において実運転数が運転回数に達した清掃箇所がある場合は、清掃表示指令部86により運転回数に達した清掃箇所について清掃表示を促す清掃表示を運転終了後に行う(S21)。
表示部70に清掃箇所における清掃表示を行っている状態で、取消キー75が押されたか否かを判定する(S22)。取消キー75が押されなければ、待機状態なり、取消キー75が押されると(S22、Yes)、次の処理に進む。
【0038】
次に、清掃表示指令部86により清掃表示が行われた時点で、既に表示した清掃箇所における実運転数と、この清掃箇所とは異なる他の清掃箇所における実運転数との差が所定値以下であるものがあるか否かを判定する(S23)。既に表示した清掃箇所における実運転数と、他の清掃箇所における実運転数との差が所定値以下のものが無い場合(S23、No)、既に表示した清掃箇所における実運転数を第1リセット部87により零にする(S24)。ここで、リセットを行う1の清掃箇所と他の清掃箇所とは清掃時に同時に取り外すなどの関連性があるものが好ましい。
【0039】
既に表示した清掃箇所における実運転数と、他の清掃箇所における実運転数との差が所定値以下のものが有る場合(S23、No)、既に表示した清掃箇所における実運転数と、他の清掃箇所における実運転数(既に表示した清掃箇所に関連性のある他の清掃箇所の実運転数)との両方を第1リセット部87及び第2リセット部88により零にする(S25)。例えば、S25では、既に表示した清掃箇所が洗米タンク20又は排水ジャケット13である場合であって、両者の実運転数が所定値以下であるときは、洗米タンク20の実運転数と排水ジャケット13の実運転数との第2リセット部88によって零にする。
【0040】
なお、第2リセット部88にて他の清掃箇所における実運転数を零にリセットする際は、制御部16の制御によって表示部70にリセットを行う他の清掃箇所についての清掃表示をするのが好ましい。
既に表示した清掃箇所(1の清掃箇所)以外に、実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所があるか否かを判定する(S26)。実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所が無い場合は(S26、No)、表示部70の表示をメニューセット画面B又は初期画面Aにして、運転許可部89により運転を許可する(S27)。
【0041】
実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所が有る場合は(S26、Yes)、前の清掃表示に引き続き、清掃表示指令部86により運転回数に達した他の清掃箇所について清掃表示を行う(S28)。表示部70に他の清掃箇所における清掃表示を行っている状態で、取消キー75が押されたか否かを判定する(S29)。取消キー75が押されなければ、待機状態なり、取消キー75が押されると(S29、Yes)、次の処理に進む。
S28において既に表示した清掃箇所における実運転数と、この清掃箇所とは異なる他の清掃箇所における実運転数との差が所定値以下であるものがあるか否かを判定する(S30)。S28において既に表示した清掃箇所における実運転数と、他の清掃箇所における実運転数との差が所定値以下のものが無い場合(S30、No)、S28において既に表示した清掃箇所における実運転数を第1リセット部87により零にする(S31)。
【0042】
S28にて既に表示した清掃箇所における実運転数と、他の清掃箇所における実運転数との差が所定値以下のものが有る場合(S30、No)、S28にて既に表示した清掃箇所における実運転数と、他の清掃箇所における実運転数との両方を第1リセット部87及び第2リセット部88により零にする(S32)。
S21やS28にて既に表示した清掃箇所以外に、実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所があるか否かを判定する(S33)。実運転数が予め設定した運転回数に達した他の清掃箇所が無い場合は(S33、No)、表示部70の表示をメニューセット画面B又は初期画面Aにして、運転許可部89により運転を許可する(S34)。
【0043】
本発明によれば、各清掃箇所に対して清掃を促す清掃表示を行うための運転回数をそれぞれ設定する清掃表示設定部85と、実運転数が清掃表示設定部85により設定された運転回数になったときに当該運転回数に対応する清掃箇所に対して清掃表示を行う清掃表示指令部86とを備えている。これにより、洗米装置3の運転回数に応じて清掃が必要な箇所を自動的に知らせることができ、清掃箇所の清掃を忘れることを防止することができる。しかも、複数の清掃箇所において清掃表示を行うための運転回数が個別に決められるため、各清掃箇所の汚れ具合に応じた清掃表示を行うことができる。
【0044】
各清掃箇所に対応してカウントされた実運転数を零にリセットする第1リセット部87と、実運転数が第1リセット部87によりリセットされたときに、運転を許可する運転許可部89とを備えている。これにより、実運転数がリセットされなければ運転が開始できないため、リセット作業のときに、清掃箇所の清掃表示を確実に確認させることができる。
清掃表示指令部86により清掃表示が行われた時点で、1の清掃箇所における実運転数と、1の清掃箇所とは異なる他の清掃箇所について他の清掃箇所に対応する実運転数との差か所定値以下であるときは、他の清掃箇所に対応する実運転数を零にリセットする第2リセット部88を備えている。1(一方)の清掃箇所が洗米タンク20とされ、他(他方)の清掃箇所が排水ジャケット13に設定されている。これにより、排水ジャケット13を取り外さなければ、洗米タンク20を取り外すことができず、洗米タンク20の清掃時には必然的に排水ジャケット13も清掃することになることから、第2リセット部88によって、洗米タンク20と、排水ジャケット13との互いの実運転数が所定値以下であるときは、両者の実運転数を零にすることにより、連続的な清掃表示を省略することができる。例えば、洗米タンク20の実運転数が70回であり、排水ジャケット13の実運転数が71回であると、第2リセット部88がなければ、洗米タンク20の清掃表示の次の運転で、排水ジャケット13の清掃表示が行われることになり、せっかく清掃したのにも関わらず、清掃表示がなされるということがあるが、第2リセット部によって、このようなことを防止することができる。
【0045】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上記の実施形態では、炊飯機1に具備された洗米装置3を例示しているが、洗米装置3のみの装置であってもよいし、貯米庫2が備えられていない炊飯機1にも適用することができ、炊飯器4が備えられていないような装置に対しても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 炊飯機
2 貯米庫
3 洗米装置
16 制御部
85 清掃表示設定部
86 清掃表示指令部
87 第1リセット部
88 第2リセット部
89 運転許可部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃が必要な清掃箇所が複数定められた洗米装置において、
各清掃箇所に対して清掃を促す清掃表示を行うための運転回数をそれぞれ設定する清掃表示設定部と、実運転数が前記清掃表示設定部により設定された運転回数になったときに当該運転回数に対応する清掃箇所に対して清掃表示を行う清掃表示指令部とを備えていることを特徴とする洗米装置。
【請求項2】
各清掃箇所に対応してカウントされた実運転数を零にリセットする第1リセット部と、
前記実運転数が前記第1リセット部によりリセットされたときに、運転を許可する運転許可部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の洗米装置。
【請求項3】
前記清掃表示指令部により清掃表示が行われた時点で、1の清掃箇所における実運転数と、前記1の清掃箇所とは異なる他の清掃箇所について他の清掃箇所に対応する実運転数との差か所定値以下であるときは、他の清掃箇所に対応する実運転数を零にリセットする第2リセット部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の洗米装置。
【請求項4】
米を洗米する洗米タンクと、この洗米タンク内からの排水を受ける排水ジャケットとを備え、前記1の清掃箇所が洗米タンクとされ、他の清掃箇所が排水ジャケットに設定されていることを特徴とする請求項3に記載の洗米装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−19694(P2011−19694A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166730(P2009−166730)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】