説明

流体ディスペンサー

バレル(408)、カプラー(428)、バレル(408)と組み合わせられたピストン(454)、及びピストン(454)の下方区域における流体の流れに対して内径を封鎖する封鎖面を含んだ自動生物学的反応システムのための方法及び装置に有用な流体ディスペンサー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的反応システムに関し、特に自動生物学的反応システムに関連して使用される改良されたディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
免疫染色及び自然位DNA解析は組織学的診断及び組織形態学の研究に有用なツールである。免疫染色は、抗体と組織標本の抗原決定基との特定結合親和性、及びある種の罹患細胞組織にのみに存在する特有の抗原決定基と特に結合する抗体の有効性の増加に関連する。免疫染色は、罹患状況のある種の形態学的指標を選ぶことにより強調するために、ガラススライド上に乗せられた組織切片について行われる一連の処理段階を必要とする。典型的な段階は、非特定結合を減らすための組織切片の前処理、抗体の処理と培養、2次抗体処理と培養で標識の付けられたエンチーム、抗体と結合するエンチームを有する組織切片の蛍光団又は発色団強調領域を作るためのエンチームとの基質反応、逆染色、及び同等を含む。これら段階の各は、前段階からの未処理の試薬を除去するための複数の清浄段階により分離される。培養は高温、通常は約40℃で行われ、組織は脱水しないように継続的に保護されねばならない。自然位DNA解析は、細胞又は組織標本内の特有のヌクレオチド連鎖によるプローブの特定結合親和性に関連し、そして同様に、種々の試薬及び必要な処理温度を伴う一連の処理段階を含む。
【0003】
自動生物学的反応システムは、生物学的反応装置及び生物学的反応装置において使用される試薬及びその他の流体のためのディスペンサーを含む。ベンタナ・メディカル・システムズ・インクに譲渡され、参考文献としてここに組み入れられたコペランド(Copeland)ほかの特許文献1に明らかにされるように、生物学的反応装置はコンピューター制御とすることができる。しかしコンピューター制御は、生物学的反応装置に専用でかつ常駐のものに限定される。更に、コンピューター制御に関連して使用されるメモリは、一連番号、製品コード(試薬形式)、パッケージの大きさ(250回試験)、及び同等を含んだ試薬関連データを含む。
【0004】
生物学的反応システムにおける要求の一つは試験における一貫性である。特に、生物学的反応システムは、自動生物学的反応装置において各スライドに一貫した試験をするためにスライド上に所定量の流体を適用しなければならない。このため、生物学的反応システムの重要な焦点は、スライド上に所定量の流体を一貫しかつ効率的に適用することである。更に、ベンタナ・メディカル・システムズ・インクに譲渡され、参考文献としてここに組み入れられたクラウザク(Krawzak)ほかによる特許文献2「液体ディスペンサー」において明らかにされたように、試薬は流体ディスペンサーを使用して正確な量をスライド上に分配しなければならない。生物学的発明され装置に関連して使用される流体ディスペンサーは製造が容易で、信頼でき更に大きさが小型であるべきである。
【特許文献1】米国特許第5,595,707号 明細書
【特許文献2】米国特許第5,232,664号 明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、上方部分と下方部分とを含む受容室を有するバレル;受容室と実質的に一線に配置された分配室を有するカプラー;バレルの下方部分と組み合わせられかつ受容室と分配室との間に置かれたピストンであって、外径及び流体が内部を通過する内径
を有する前記ピストン;ピストンの下方区域における流体の流れに対して内径をシールするためのシール面;及びシール面の上方で内径から外径に至る半径方向流路を備え、バレルがカプラーに運動可能に組み合わせられる流体ディスペンサーである。
【0006】
本発明の別の態様は、上方部分と下方部分とを含んだ受容室を有するバレルであって、下方部分が内径、外径、及び流路を有するピストンを含んでいる前記バレル;受容室と実質的に一線に配置された分配室を有するカプラーであって、バレルがカプラーと運動可能に組み合わせられている前記カプラー;平らな底面を有するショルダーに取り付けられたステムを有するプラグであって、ステムは複数の軸方向リッジ(ridge)を更に含み、各軸方向リッジは半径方向リッジを更に含み、ピストンの内径とステムの軸方向リッジとの組み合わせが複数の軸方向流路を形成するようにプラグステムがピストンの流路内に圧入されている前記カプラー;及びカプラーの分配室に隣接して置かれた行程終端のシールであって、流体の通過する穴、頂部の封鎖面、及び少なくも1個の外側シールリングを含む前記行程終端シールを備えた流体ディスペンサーである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の好ましい実施例が図面を参照しここに説明される。
【0008】
本発明の自動免疫染色システムは、免疫組織化学の全段階を、その複雑さ又は要求されるそれらの順序、時間と温度、及び環境に関係なく実行する。載置された組織切片を示すバーコードを有する特製のスライドが、回転台上の特別の支持具内に置かれ、予めプログラムされた一連の反応を受け、そして回転台から取り出され、検査のための待機状態となる。本発明の装置の以下の説明を明確にするために、限定するものではないが、装置は免疫組織化学の方法の用語で説明されるであろう。
【0009】
図1は、ホストデバイス32及び1個の遠隔のデバイス166を有する自動生物学的反応システムの前右の等角図である。遠隔デバイス166は、染色用モジュール167、バルク流体モジュール230、及びホストコンピューター33、モニター34、キーボード35とマウス37を備えたホストデバイス32を備える。図2は、自動生物学的反応システムの部分である染色モジュールの前右の等角図である。液体及び空気の供給管及び関係構成要素を連結している電線は、本技術においてよく知られる通常のものであり、図を分かり易くするために図面から省かれている。
【0010】
装置は、上方部分2、中間部分4、及び下方部分6を持つ。上方部分2においては、試薬流体ディスペンサー12を支持する試薬トレイ10が、試薬回転台8上のその中心軸7回りに回転できるように取り付けられる。試薬回転台8及びスライド回転台24は、好ましい実施例においては円形であるが、システム内のその他の構成要素との統合を許す適宜の形とすることができる。スライド処理サイクル中に導かれる免疫組織化学反応に要求され、図5−16に関連して説明される試薬流体ディスペンサー12は、試薬トレイ10により支持されかつ支持流体ディスペンサーの受容器具11内に取り付けられる。これら受容器具11は、試薬流体ディスペンサー12内に取り付けられる。受容器具11は試薬流体ディスペンサー12を受け入れるような形状にされる。受容器具11は、回転台の軸線7と同心の円形パターンに等間隔に置かれることが好ましい。設けられる受容器具11の数は、1サイクル又は一連のサイクルに必要な種々の試薬流体ディスペンサー12の数を受け入れるに十分であるべきである。25個の流体ディスペンサー受容器11が示されるが、この数をより少なく又は多くすることができ、また試薬トレイ10の直径は、より多数の試薬流体ディスペンサー11を受け入れ得るように大きくすることができ。試薬回転台8は、ステップモーター14駆動のベルト16により回転され、試薬により処理されるスライド上方の空気シリンダー式の試薬給送アクチュエーターの下方の試薬給送位置に選定された試薬流体ディスペンサー12を回転させる。
【0011】
中間部分4は渦流混合板を備え、これに、6個の混合ブロックの内の4個が取り付けられ、残りの2個の混合ブロックは下方部分に取り付けられる。下方部分6は支持板22を備え、この上にスライド回転台24が回転可能に取り付けられる。スライド回転台24は、スライド支持具26を支持する。加熱された空気が、抵抗加熱用素子及び送風機により装置に供給される。加熱された空気は、図3に示されるように装置内で再循環する。支持板22は、自動生物学的反応デバイス上の遠隔デバイスマイクロコントローラー36、電力供給24並びに流体及び空気弁62も支持する。続いて説明されるように遠隔デバイスのマイクロコントローラー印刷回路板36は、一般にプロセッサーでありかつ標準コンピューターにより置換することができる。遠隔デバイスのマイクロコントローラーの印刷回路板36は、RS−485線を介してホストデバイス32と接続する。下方部分6は支持板40を備え、この上に電源供給具42及び緩衝剤ヒーター44のようなアクセサリーを支持する。
【0012】
下方部分6において、スライド回転台24の駆動スプロケットと組み合っている駆動ベルト25と組み合っているステップモーター48がスライド回転台24を回転させる。環状の廃液溜めがシュラウドを囲み、かつ板22の底部上に支持される。廃棄試薬及びリンス流体が廃液溜め内に集められ、そして排液溜め底部の出口管(図示せず)を経て排液管に通過させられる。
【0013】
リンス剤及びリキッドカバースリップ(Liquid Coverslip、商標)(スライド上の水溶液の蒸発を防ぐために使用される軽油物質)を噴霧したブロック60が通常の電磁弁62を通して流体と共に供給される。緩衝剤ヒーター44上に取り付けられた緩衝剤ヒーター温度センサー66が、緩衝剤ヒーター44に供給される熱エネルギーを管理する。支持板22に取り付けられたスライド温度看視センサー68が、環状のヒーター素子27に供給されるエネルギーを制御することにより、装置内の空気の温度を制御する。電源42がステップモーター14、48、及び制御システムに電力を提供する。図4は、自動生物学的反応システム150に含まれるバルク流体モジュールシステム230の左前の等角図である。バルク流体モジュール230は、空気圧縮機232、圧力逃がし弁(prv)238、冷却管231、水の凝縮器と濾過器234、空気圧調整器236、洗浄緩衝剤を収容している容器246、及びリキッドカバースリップ(商標)を収容している容器244を備える。空気圧縮機232は圧縮空気を提供し、この空気は圧力逃がし弁(prv)238により1.76kg/cm(25psi)に調整される。空気は、圧縮機232から冷却管を通り凝縮器及び濾過器234に入る。空気は、凝縮器及び濾過器234から圧力調整器236に通過する。圧力調整器236が圧力を0.91kg/cm(13psi)に調整する。0.91kg/cm(13psi)に維持された空気が洗浄緩衝剤容器246及びリキッドカバースリップ(商標)容器244及び染色モジュール167に供給される(図2参照)。圧縮空気から凝縮した水は凝縮器と濾過器とを通り更に圧力逃がし弁を通ってバルクモジュールを出る。洗浄緩衝剤及びリキッドカバースリップ(商標)が染色モジュールに供給される。
【0014】
図5及び6は、試薬回転台8内に入れられた試薬トレイ内に流体ディスペンサー400を取り付ける方法を示す。まず、試薬トレイ10に形成された丸いU字形の溝442内に足440が差し込まれる。別の実施例においては、足は、長方形の溝の中に差し込まれる。ばね部材448の溝444が試薬トレイ10の周囲の縁446と組み合う。図11は、試薬トレイ10に取り付けられた後の流体ディスペンサー400の断面図を示し、特に足440が溝442内に適合する方法を示し、更に流体ディスペンサー400を定位置に保持するためのばね部材448の撓みを示している。流体ディスペンサー400を外すには、溝444が縁446を妨げないようにばね部材448を内向きに僅かに曲げ、そして足440を溝442から引き抜く。
【0015】
図7Aを参照すれば、伸長位置にある充填済み流体ディスペンサー400の断面立面図が示される。図7Bは、伸長位置にある使用者充填可能な流体ディスペンサー400の断面立面図を示す。充填済みディスペンサーと使用者充填可能なディスペンサーとの間の相違は、スナップキャップ404をフリップキャップ402に置き換えたことである。流体ディスペンサー400は、流体を貯蔵する受容室410、及び分配室412を有し、受容室410は分配室412の上方にある。受容室410は分配室と実質的に一直線上にあり、そして好ましい実施例においては分配室412と同軸である。
【0016】
従来の液体ディスペンサーは横並びに配列され、このため受容室は分配室の側方にあった。この構成では、受容室は小さく、従って少量の流体を保持した。本発明においては、受容室を大きくしこれによりより多くの流体を保持することができる。例えば、従来のディスペンサーにおいては、受容室は約27.5mlの流体を保持でき、一方、本発明においては受容室は約34.0mlの流体を保持できる。通常、1個のディスペンサーは250回発射(即ち、流体を250回分配)を提供すると見積もられる。従来のディスペンサーで250回の発射を提供するためには、種々の試薬の種類に応じて種々の形式のカプラーを作らねばならなかった。これは、一部は、受容室の限定された容量のためであり、また流体の濃度のためである(ある種の流体は、その流体の粘度に基づいて異なる量を分配する)。本発明における受容室の容量増加のため、ディスペンサーは、流体の粘度とは無関係に250回の分配を提供でき、このため種々のカプラーは不要である。
【0017】
更に、分配室412の側方にある受容室410を備えた従来の流体ディスペンサーは、受容室410と分配室412とを連結する連結用部分又は水平方向部分が必要である。水平部分の有り得る詰まりの問題に加えて、従来の設計は製造がより困難であった。特に、横並び設計では、水平方向又は連結用部品の成型工程が、連結用部品を全ての側面が受容室410,分配室412、及びボール室432とノズル430と正確に相互作用するように注意深く管理された。続いて説明されるように、ボール室432はボール426を備え、このボールは、流体ディスペンサー400の運動の一部分の間、ボール室432の上方部分に着座する。従来の設計では、カプラーは、T字形の室、即ち2個の垂直部品と接している水平室を介して形成された。これら部品の交点には、ボールの座の区域が形成された。このカプラーに製造に当たっては、T字形部品の整合性が変化し、このため、ときにはボールの座の区域を適正に作ることが困難であった。本発明においては、流体ディスペンサー400は、受容室410と分配室412との間の水平方向の連結用部分は不要である。受容室410は分配室412の頂部にあり、更に、好ましい実施例においては、受容室410は分配室412と同軸である。流れは実質的に直線状又は垂直であるため、T字形部品は除かれる。更に、ボールの座の区域が逆止め弁のボールインサート424と置き換えられこのインサートは別の小さい成型部品であり、従って製造の観点から従来設計よりも良く管理することができる。
【0018】
好ましい実施例においては、受容室410の形状は図7A及び7Bに示されるようである。受容室の形状は受容室410と分配室412との間の連結用手段を通して流体を排出する漏斗状又はその他の形とすることができる。好ましい実施例における受容室410と分配室412との間の連結用手段は、圧力差を検知する手段を有するダックビル逆止め弁416のような弁である。ダックビル逆止め弁は、オハイオ州イエロースプリングスのバーネイ・ラボラトリイズ(Vernay Laboratories)で製造される部品番号X6597−Eである。別の実施例においては、連結用手段は、一方向(受容室410から部品室412へ)で流体を輸送し、かつ圧力差に基づいて流体を通過させる適宜のデバイスである。これは、図15−16に説明されるようなアンブレラ弁又はカップ状逆止め弁792の使用を含む。
【0019】
流体は、キャップ上に下向きの力を加えることにより、圧縮ばね418の力に逆らって分配室412から押し出される。これにより、図7Cに示されるように、バレル408がストッパー420に達するまでバレルが強制されて下向きに動かされる。ストッパーはバレル408が更に下方に動くことを防止する。図5及び6において説明されたように試薬トレイ10に流体ディスペンサー400が取り付けられたとき、ディスペンサー円筒伸長用空気管路により、或いは何かの別の手段により、バレル408を下向きに押すようにキャップ404に下向きの力が加えられる。ピストンとして作用するバレルの下方部分を含んだバレル408の下降運動が、流体を分配室412から噴出させる。
【0020】
ばね418が伸びると、バレル408は上方に動き、ボール426は同様に上向きに動く。図8Aを参照すれば、ボール室432及びノズル430の詳細図が示される。ノズル430の内側に、縁がボール室432の出口内に突き出るようにボール室432と食い違いの穴を有するカプラー428が形成される。ボール室432はボール426を収容し、このボールはボール室432の円筒面に対して緩く適合し、かつ最高位置と最低位置との間を自由に動くことができる。ボール426は、最高位置においてボール逆止め弁インサート424と出合い、これによりノズル430から分配室412への方向の流体の流れを阻止する。最低位置においては、ボール426はノズル430の内側の縁により制限され、ノズル430内に落ちることが防止される。しかし、これは、流体がボール室432からノズル430に流れることは防がない。
【0021】
基本的に上述の構造を使用し、流体ディスペンサー400の作動及び特有の性質を説明することとする。分配行程の始めには、流体ディスペンサー400は図7A及び7Bに示された位置にある。流体を分配すべきとき、キャップ402に対して下向きの力が加えられる。これが圧縮ばね418の力に打ち勝ってバレル408を、これがストッパー420の頂部に達するまで下向きに押し、これにより約100μlに等しい量の所定体積の液体を分配する。これは、バレル408の下降分から「サックバック(suck back)」(これは、ボールが流れを遮断する前のバレル408の上昇行程においてボールを通過して移動した流体の量である)を差し引いた部分の流体の量に等しい。流体は、分配室412からボール室432内に流れる。ボール室432を通過する下向きの流れは、ボール426をその最低位置に強制し縁434に当てるがこの方向の流れを阻止することはなく、そして計測された量の流体がノズル430から噴出される。
【0022】
バレル408がその最低位置に到達したとき、分配円筒後退用空気管路用の弁248Bを作動させるマイクロコントローラー36によりキャップ402上の下向きの力が解除され、そして圧縮バネ418が引き継いでバレル408及びキャップ402を上向きの方向に強制する。流体は分配室412内に吸われ始める。これは「サックバック」として前述された。
【0023】
ここで、ボール室432におけるボール逆止め弁インサート424及びボール426の相互作用が説明される。ボール426はボール室432内で自由に動き、このため、これがボール逆止め弁インサート424のその着座位置に達するまでは、ノズル430からの流体の流れに本質的に抵抗を与えない。分配作業が完了すると、流体の流れがボール426を縁434に当たるその最低位置に強制する。バレル408の上向きの運動が流体を分配室412内に戻し始めると、ボール室432内の流体の流れがボール426をボール逆止め弁インサート424に達するまで上方に引っ張り、ボールは分配室412に向かう更なる流体の流れを遮断する。しかし、ボール426がボール逆止め弁インサート424に達するまでは、ノズル430からの流体の流れに実質的に抵抗せず、このため、受容室410から分配室412への流体の流れを生ずるに十分な、ダックビル逆止め弁416を横切る圧力差は作らない。
【0024】
ボール426がその最低位置からその最高位置に動いている間にノズルから分配室412に向かって流れる(サックバックする)流体の体積は、分配サイクルの終わりにおいて先端の残る懸滴の体積に等しい体積であるように予め選定される。そこで、この滴はノズル430内の効果的に吸い戻され、先端に内部メニスカクを形成する。
【0025】
ボール46がボール逆止め弁インサート424に達すると、ボールはノズル430から分配室412内への更なる流れを遮断する。これにより直ちにダックビル逆止め弁416を横切る圧力差が作られ、流体を受容室410から分配室412内に流れさせる。分配室412において作られた吸引力がボール426をボール逆止め弁インサート424に対する確りした着座を保ち、ノズル430からの更なる流れを防止する。図7A及び7Bに示されるように、圧縮ばね418がバレル408を上向きに押したとき、流体ディスペンサー400は、別の分配サイクルに対する準備状態にある。圧力差が平衡したときは、液体より僅かに密度の大きい材料から作られたボール426は、これが再び縁434と接触するまでボール室432を通って落下する。
【0026】
図8B及び8Cを参照すれば、ボール逆止め弁インサート424及びボール426が外された本発明の別の実施例の流体ディスペンサー400の下方部分のそれぞれ正面及び側面の断面が示される。ノズル430の縁から懸滴を引き込むために、バレル408の端部上のピストン454はこれに連結された延長片456を持つ。この方法で、バレル408が上向きに持ち上げられたとき、延長片456も同様に上向きに動き、ノズル430の縁にある滴を引き込む。特に、図8Bは、下方位置にあるバレルを示す。
【0027】
ピストン454の底部に延長片を取り付けるための穴806がある。別の実施例においては、ピストン454は1個の穴806を持つ。Oリング810が、ピストンに踏まれたとき、延長片ときつく適合し、このためOリング810は延長片と一緒に動く。Oリング810は(円錐状に形成された)面取り部808と同一面上にないため分配室内の流体はOリング810の後ろ側を回って流下しノズル430を通って出ることができる。図9A及び9Bに示されるように、第2のOリング814がコードシールの代わりをする。
【0028】
上昇行程において、Oリング810は、Oリング810が面取り部808に着座するまでピストン454に取り付けられた延長片454と共に移動する。この方法で、延長片454は、ピストン延長部として作用する。面取り部808はOリングインサート812内に収容され、ピストンの運動中固定される。Oリングインサート812はカプラー428に連結される。Oリング810が面取り部808内に座った(流れが遮断された)とき、分配室412内に真空が生じ、これが、逆止め弁482を通して流体を分配室412内に分配する圧力差を作る。同様に、上昇行程により流体は延長片454と共に移動し、そしてディスペンサーの先端端部の滴は表面張力により流体と共に移動する。従って、懸滴はノズル430内に引き込まれる。更に、バレル408が上方位置にあるときは、Oリング810が面取り部808内に座っているため、流体は穴806を通って移動しない。この実施例においては、ボール及びボール逆止め弁インサートは不要である。
【0029】
図9A及び9Bを参照すれば、それぞれ充填済み流体ディスペンサー及び使用者充填可能な流体ディスペンサー400の断面分解図が示される。充填済み流体ディスペンサーと使用者充填可能な流体ディスペンサーとの間の差は、(1)図9A及び9Bに示されるようなスナップキャップ404;(2)使用者充填可能な流体ディスペンサーにおける透明なバレル408;及び(3)使用者充填可能な流体ディスペンサーにおける蒸発リング405の欠如を含む。充填孔を通して流体を受容器内に充填し、続いてシステムを閉鎖するためにスナップキャップ404を使って閉鎖することができる。充填済み流体ディスペンサーについては、スナップキャップ404は、充填後、充填孔の上に永久的に取り付けられる。充填孔及びスナップキャップ404は、確りした封鎖とするために、図11に示されるようにルアー取付具設計を使用して適合させられる。使用者充填可能な流体ディスペンサー400は、活ヒンジ設計及び充填孔とフリップキャップ402との間のルアースリップ設計を利用する。キャップ406は、前述のようにバレル408に超音波溶接される。キャップ406は、続いて図11を参照し説明される通気口460も持つ。ダックビル逆止め弁インサート414がダックビル逆止め弁416を定位置に保持し、かつ流体が分配室412から受容室410へ、又は受容室410から分配室412へのいずれにおいても滴ることのないように封鎖を作る。更に、ダックビル逆止め弁インサート414は、組み立てを容易にするために、図12Bに示されるようにダックビルを保持する突起、又はニップルを持つ。逆止め弁として働くダックビル逆止め弁416が、ダックビル逆止め弁インサート414に嵌め込まれる。ダックビル逆止め弁416は、0.042から0.211kg/cm(0.6から3.0psi)の間の高いクラッキング圧力を有する一方向弁である。このクラッキング圧力は受容室410内の流体のヘッド圧力より大きいため、これは受容室410内の流体を保持するように作用する。また、ダックビルは、バレル408の上昇行程の際、受容室410から分配室412に流体を通過させ、一方、バレル408の下降行程中の流体の通過を防ぐ。ダックビル逆止め弁416及びダックビル逆止め弁インサート414は、図12Aに示されるようにバレル408の下方部分に座らせられる。
【0030】
ばね418は、バレル408の運動に基づいて伸縮する圧縮ばねである。前述のように、ストッパー420が、バレル408の下降行程を停止させる。ストッパーは、流体ディスペンサー400の運動中、コードシール422を定位置に保持し、ポリプロピレンから作られる。ストッパー420は、バレル408の運動に基づいて力が変化する圧縮ばね418により定位置に保持される。定位置に保持されるストッパー420は、一方では、図12Cに示されるようにレッジ(ledge)420Aを介してコードシール422をストッパー420A上で定位置に保つ。コードシール422により、流体ディスペンサー400は常に閉鎖システムであることが保証され、これにより流体ディスペンサー400は準備状態を保つ。コードシール422は、フッ素ゴムであるヴィトン(商標、VitonTM)で作られ、イリノイ州ハノーバー・パークのルツ・セールス(Lutz Sales)より部品番号QS−008−2799で頒布される。ボール逆止め弁インサート424は、カプラー428とは別の部品であってカプラー428の内部に着座し、図12Aに示されるように、カプラー428の室内の溝により更にレッジ428A上に座ることにより定位置に嵌め込まれる。ボール逆止め弁インサート424は内側にボールの座424Aを有し、バレル408の上昇行程の際、これにボール426が組み合う。従来の流体ディスペンサーはボール用のボール逆止め弁インサートとカプラーとを統合する。しかし、これの機能を統合しているカプラーの製造は、12時、3時、及び6時の位置にある3個のピンを集めなければならずかつボール逆止め弁インサートを歪めてはいけないため困難であった。このため、カプラー428からボール逆止め弁インサート424を分離することにより処理が単純化される。ボール426と組み合うボール逆止め弁インサート424の内部空洞432は容易に製造することができる。ボール426は(ガラスの1種である)ホウケイ酸から作られる。別の実施例においては、ゴムで作られたボール426を使うことができる。ある例では、ゴムボールがプラスチック製のボール逆止め弁インサート424内によく座ることができる。試薬とゴムボールとの化学的相互作用を提供しない。
【0031】
流体ディスペンサー400の組立と充填とは、本発明に基づき簡単である。ダックビル逆止め弁416及びダックビル逆止め弁インサート414がバレル408の下方部分内に置かれる。キャップ406がバレルに溶接される、ボール426が置かれ、ボール逆止め弁インサート424が嵌め込まれ、そしてコードシール422がカプラー428内に挿入される。ストッパー420及びばね418がカプラー428内に挿入され、そしてカプラー428がバレル408に嵌め込まれる。バレル408が試薬で満たされ、そして流体分配器400が始動準備状態にされる。ディスペンサー頂部にキャップ404が置かれ、ノズルキャップ458がカプラー428のノズル430の出力上に置かれる、
更に、本発明は、容易な製造及び流体ディスペンサー400における試薬の充填を許す。従来の流体ディスペンサーは、多くの部品の接合及びディスペンサー充填後の超音波溶接を必要とし、このためあるレベルの熟練と訓練とが必要であった。対比して、本発明の流体ディスペンサーは、部品の嵌め込み及びキャップ406への通気口の溶接とバレル408へのキャップ406の超音波溶接しか必要でない。更に、本発明においては、流体ディスペンサー内への試薬の充填が容易である。従来の流体ディスペンサーにおいては、流体ディスペンサーは、ピストン、ピストン案内、キャップ、及びノズルキャップを除いて組み立てられる。受容室が試薬で満たされる。次いで、受容室内にピストンとピストン案内とが置かれ、そしてピストン頂部の上の残りの流体が空にされる。最後に、キャップが超音波溶接され又はバレル408の頂部にねじ止めされる。本発明においては、受容室410内にピストンが無いため、ピストンの上方の区域を空にする必要がない。代わりに、まず、キャップ406がバレル408に超音波溶接され、次いで受容室410に試薬が加えられる。この方法で、ディスペンサーの充填におけるステップ数が少ない。更に、本発明においては、製造に敏感な幾つかの部品がより小さく、このため製造が容易である。好ましい実施例においては、使用される材料はポリプロピレンである。これらの条件下で、より小さい部品はより高レベルの寸法安定性を持つ。このため、ボール逆止め弁インサート424(これは、本発明においては、カプラー428から分離した部品である)のような小さい構成部品はより堅実に処理することができる。
【0032】
図10A及び10Bを参照すれば、それぞれ充填済み流体ディスペンサー400及び使用者充填可能な流体ディスペンサー400の側面図が示される。両形式のディスペンサーは、上述のように、バーコード読み取り機276により読み取られるバーコードラベルを持つ。使用者が流体ディスペンサー400を試薬で満たすことができるように、スナップキャップ404はフリップキャップ402に置換される。フリップキャップはスナップキャップから二つの方法で変化する:(1)フリップキャップはキャップへの取付具を持つ;そして(2)フリップキャップはフリップキャップ402を突っ張って開くためのサムパッドとして作用する突起402Aを持つ。従来の流体ディスペンサーにおいては、注入器を使用待機状態にするために流体ディスペンサーを逆さにする必要があった。使用者は、まず、手作業で移し替え用注入器を満たし、エピンドルフ(epindorf)注入器を押し、そしてこの注入器を満たすことを要求される。次いで、使用者は、この注入器をカプラー内に通過させ、そして流体を強制して注入器から受容室と分配室との間の連結部分を通す。次いで、使用者は、流体が少しの気泡もなくノズルから出るまで、カプラーを上下が逆転した状態に保ちつつプランジャーを少なくも6回から8回押さねばならない。本発明においては、フリップキャップを開き、受容室を満たし、そしてフリップキャップを閉じる。使用者は、流体ディスペンサー400を使用準備状態にするために、図14Aに示されるように、流体ディスペンサーの上下を回すことなく典型的な注入器459を使用する。注入器は、ニュージャージー州フランクリン・レイクスのビー・デー・コープ(B−D Corp.)により製造されたサイズ20cc、部品番号BC301032とすることができる。注入器459は、制限具459A及びOリング459Bを持つ。制限具459Aは、約0.127mm(0.005インチ)の内径を持つ。注入器459はカプラー428のノズル430の内側に置かれ、そして受容室410及び分配室412から流体を引くために注入器のプランジャーが伸長される。流体ディスペンサー400を、より早く準備完了状態にするために、バレル408は押し下げられ、そして注入器のプランジャーが伸長されると同時に解放される。この方法では、試薬のかなりの損失がある。従来の流体ディスペンサーにおいては、プランジャーの6−8回の圧送が試薬を廃棄する。本発明の流体ディスペンサー400においては、試薬は注入器459内に吸い込まれる。注入器459は清浄であるため、その内容物は、試薬のいかなる損失もなしに、フリップキャップ402を通って受容室410内に戻されここに置かれる。
【0033】
図14Bを参照すれば、制限具459A(及び注入器ラベル788)及びカプラーのノズル内で使用するOリング459Bを有する注入器459の分解図が示される。Oリング459Bは、内部にV字形の切り込み部のない制限具459Aの側方に置かれる。側方の下がったOリング495を有する制限具459Aが、図14Bに示されるように保持用固定具790内に置かれる。次いで、注入器459は、組立のために制限具459A上に押される。制限具459Aは、ウイスコンシン州ラシーヌのエアロジック(Airlogic)製造、部品番号F−2815−050(青緑色)で、制限具459Aについては、25.4mm(1インチ)のオリフィスを持つ。Oリング459Bは、ケンタッキー州レキシントンのパーカー社(Parker Co.)製、部品番号2−003である。制限具459Aは注入器459のノズル内によく適合し、このため注入器459は、カプラーに座らせるためのOリング459Bを必要としない。流体ディスペンサー400のカプラー428の成型を行う際の有り得る差のため、制限具459がカプラー428に対してきつく適合するようにOリング459Bが使用される。
【0034】
始動準備状態が良好であるかを検査するために、使用者は、ディスペンサーを上下に振り、ディスペンサーを叩き、次いで空気がボールの座を通過するように円筒部をゆっくりと下げて捕捉されていた空気を追い出す。次いで、使用者はカプラーの右側を挙げて円筒部を解除することができる。ほぼ1滴の廃棄で良好な始動準備状態にすることができる。
【0035】
図10Cを参照すれば、キャップに隣接して蒸発リング405を有する充填済みの流体ディスペンサーの分解図が示される。続いて、通気口、蒸発リング405、及びキャップの相互作用が図11A−Hを参照し説明される。バーコード読み取り機276により読み取るためにディスペンサー上にバーコードラベル786が置かれる。ディスペンサーラベル786もディスペンサー上に置かれる。
【0036】
図11Aを参照すれば、流体ディスペンサー400のキャップ406及び通気口460の断面図が示される。通気口はキャップの頂部に隣接した要素であり、そして通気区域464、通気材料466、及び裏当て468を備える。通気口460は空気が受容室410に出入りする(即ち、受容室が「呼吸」する)ことを許すための手段として使用される。通気口460は、受容室内が一定圧力であること及び受容室410内の圧力が大気圧と平衡することを許す。受容室410内の一定圧力を維持するために及び/又は受容室410内の圧力を等しくするために通気口を構成する数種の方法がある。好ましい実施例においては、続く図面においてより完全に説明されるように、通気区域は、疎水性材料で構成された通気材料により構成され、1.778mm(0.070インチ)である。実験により、開口の寸法のため、受容室内の流体は通気区域を通り蒸発していたことが確認された。蒸発を減らす(即ち、受容室を「呼吸」なしにする)ために、図10C及び11Aに示されるように、蒸発リング405が、スナップキャップ404とキャップ406との間に形成された隙間に挿入された。この蒸発リング405は、通気区域を横切る空気の流量を制限し、これにより受容室からの流体の蒸発量を減らす。
【0037】
別の実施例においては、通気区域が約0.254mm(0.010インチ)に減らされ、これにより受容室410からの蒸発量を減らす。しかし、減らされた通気区域を有する流体ディスペンサーの製作は、対応して減らされた通気材料の区域のため、より困難である。更に別の実施例においては、通気区域464は適宜の区域とすることができる。更に、通気材料をより堅い座料で作り、これにより通気材料を通過する空気の流量を減らしそして通気区域464を通る蒸発物の量を減らす。好ましい実施例においては、通気材料はメッシュサイズが1μmである。0.25μmのようにメッシュサイズを減らすと、通気区域464を通る蒸発物の量が更に減少する。別の実施例においては、通気区域を適宜の区域とし、通気域にわたりテープが置かれる。テープはピンホールを有し、これにより通気区域を効果的に減らし、蒸発物の量を減らす。
【0038】
図11Aに示されるように、キャップ406及びスナップキャップ404(又は使用者充填可能な流体ディスペンサー用のフリップキャップ402)は、充填穴を封鎖するために互いに組み合うキャップ406とスナップキャップ404の部分が円錐形であるようなルアー取り付け設計である。スナップキャップ404の円錐形部分の下方部分にリング又はリップ462があり、これはスナップキャップ404を定位置に嵌めるために使用される。この方法で、スナップキャップ404はこれが固定するまでキャップ406内に押し下げられる。スナップキャップ404は湾曲部分472を有し、この部分はキャップの湾曲部分と当たりこれによりスナップキャップ404をその点で停止させる。スナップキャップ404は、キャップ406と組み合って通気域に隣接した空気空間474を形成する。この空気空間474はリングを形成し、このためキャップに対するスナップキャップの方向にかかわらず中空部分は通気域464(これは、約1.778mm(0.070インチ)又はそれ以下である)に隣接する。更に、スナップキャップ404の外径はキャップ406の内径より僅かに小さく、このため空気空間474に隣接してディスペンサーの外側に小さい空気間隙476が形成される。空気空間474は通気口460から外側雰囲気への経路として働き、同時にディスペンサーの外側と通気口460との間のバッファーとして働く。別の実施例においては、空気間隙476は、図11Cに示されるように、キャップの側部のノッチに関連して使用することができる。このノッチは、より大量の空気流量が要求されるときに、空気間隙476内により多くの空気が入ることを許す。更に、空気間隙476をノッチに置き換えて、空気空間474内への空気が流れる唯一の経路がノッチを通るようにすることができる。
【0039】
通気口460は疎水性の通気口であり、空気が通気口を通って流れることは許すが、受容室410内で捕捉された流体は保持する。通気口は、通気口をキャップに取り付けるための裏当てを有するテフロン材料のようなフィルター材料466で構成される。通気開口又は区域464は、前述のように、約1.778mm(0.070インチ)である。受容室410内の圧力は、受容室410内の試薬の量が変化しても一定であり、空気は受容室410内に流れることができる。更に、ある種の試薬は気体の副産物を作る(ガス放出と呼ばれる)。試薬がガス放出した場合は、疎水性の通気口460はガスが通気口460を通過することを許し、これにより受容室410内における圧力上昇を避けている。この方法で、受容室410内の流体に圧力を加えるためにピストンを必要とする従来の流体ディスペンサーを不要とすることができる。従来設計のピストンは幾つかの欠点を持つ。第1に、(プロテインのような)ある種の試薬は受容室に粘り着くことがあり、このためピストンが受容室内に流体と共に動くことを妨げる。加えて、ピストンとバレルとの間の相互作用は潤滑剤に関係する。ある種の試薬は部分的に界面活性剤よりなり、そして界面活性剤はピストンとバレルとの間の潤滑を妨げる。いずれの効果も流体ディスペンサーの性能に干渉し、流体の不調和な分配を与える。更に、ガス放出がピストンと相互作用して受容室410からの流出を増加させるか又はピストンと受容室410の主要部分との間に圧縮性気泡を作る。
【0040】
また、ある種の試薬はコードシール22と相互作用してコードシール422を破損させる。この相互作用を最小にするために、コードシール422はフッ素で被覆される。フッ素はコードシール422の外層と反応し、これによりある種の試薬との反応を止めさせる。
【0041】
加えて、図10C及び11Aに示されるように、空気空間474の内側に蒸発リング405がある。蒸発リング405は、ホワイトマーク(Whitemark)製造の低密度ポリプロピレン材料(販売者部品番号105060)より作られ、厚さ3.175mm(1/9インチ)である。前述のように、リングは障壁として作用し、空気が通気口を通過することをより困難にする。この方法で、リングは(空気の)抵抗体として作用し、これにより蒸発量を減らすと同時に受容室410の呼吸を許す。リングは独立気泡発泡体であり、かつ本来安価である。リングは、空気が通気区域464を横切ることを禁止するように作用する適宜の材料又は発泡材料で構成することができる。流体ディスペンサーの製造中、リングはキャップ406とスナップキャップ404との間に差し込まれる。リングは通気区域464に当たり、これにより通気区域464を横切る空気の流れを禁止する。更に、発泡体より構成されたリングは空気部分474を満たすように圧縮される。
【0042】
図11Aを参照すれば、キャップ406の内側上方部分に突起470があり、これは通気用材料の部品を整列させるために使用される。このため、通気口460は、キャップ406の上方部分の頂部に中心が置かれる。図11Bを参照すれば、通気口460を下から見た図が示される。通気口460は、通気口460用のプラットフォーム468を備え、これは星形に設計され、通気口460を平坦に保持する。空気が通気口460を通過しているとき、特にガス放出の際は、通気口460は撓む傾向を有し、これが通気口のテフロンを破壊する可能性がある。通気口460の撓みを最小にするために、プラットフォーム468が通気口に隣接する。このため、通気口の表面積は比較的大きくし得るが、ガス放出中、通気口460を安定させるための格子を持つ。プラットフォーム466は、成型が容易であるために星形とされるが、プラットフォームの形状は通気口を支持し又は安定化させる適宜の形とするこができる。
【0043】
別の実施例においては、図11Cに示されるように、通気口は、受容室410に空気が出入することを許す別の手段として2方向弁478又は2方向ダックビル(或いは2個の弁又は2個のダックビル)に代えることができる。2方向弁478は、2方向弁478を配置するために2方向弁インサート480を持つ。2方向弁478は疎水性の層も有し、この層は、空気が2方向弁478を通過することを許すと同時に受容室410内部に捕捉された流体を保持する。一つの方向(空気が受容室410の流入する方向)においては、2方向弁478は、流体が分配されるときの受容室410内の圧力を平衡させるために、低いクラックキング圧力を持つ。第2の方向(空気が受容室410から流出する方向)においては、2方向ダックビル478は、ガス放出による圧力を緩和するために高いクラッキング圧力を持つ。2方向ダックビル478は空気が通過して流れることを許すと同時に受容室410内部に捕捉された流体を保持する。従って、2方向ダックビル478は、受容室410への空気の出入を許しかつ圧力の平衡化を許す。特に、2方向ダックビル478は、2個の1方向ダックビルと比較して制御の観点から精巧なものでなくてよい。
【0044】
2方向ダックビル478は、より精巧なものが要求されるときは、図11Dに示されるように2個の1方向ダックビルで置き換えることができる。更に、バレルの底部の別の1方向ダックビルと共に2個の1方向ダックビルを統合したときは、システムは3個のダックビルのシステムとなる。この構成においては、大気に解放するダックビルは小さいクラッキング圧力を有し、受容室への空気の流入を許すダックビルは高いクラッキング圧力を有し、そしてバレル416下部のダックビルは中間のクラッキング圧力を持つ。受容器内の圧力上昇がクラッキング圧力の低いダックビルにより軽減されるように、バレル内のダックビル逆止め弁416は、空気を大気に解放するダックビルより高いクラッキング圧力のものとすべきである。
【0045】
前述のように、受容室410からの流体の流出により生ずる圧力差が流体の分配を困難にする。更に、ある場合には、ガス放出は流体ディスペンサー400の作動を妨げない。このため、通気口460は、1方向弁又はダックビル弁インサート484を有するダックビル482(オハイオ州イエロウスプリングスのバーニィ(Vernay)製、部品番号VL−857−101)で置き換えることができる。(空気が受容室410に流入する)一つの方向においては、1方向ダックビル482は、受容室410からの流体の流出による圧力を軽減するために低いクラッキング圧力を持つ。この実施例においては、空気は受
容室内にのみ流れるため、通気口材料は不必要である。
【0046】
更なる実施例においては、図11Eに示されるように通気開口464は、(図11Aに示されたような約1.778mm(0.070インチ)から)約0.254mm(0.010インチ)に減らすことができる。充填済み流体ディスペンサー用のスナップキャップ404、又は使用者充填可能な流体ディスペンサー用のフリップキャップ402は、スナップキャップ404又はフリップキャップ402がキャップ406と組み合う場所にシール488を備えるように変更することもできる。この変更された実施例は、スナップキャップ404(又はリップキャップ402)とキャップ406との間の間隙476を持たず、代わりにシール488を備える。空気の流れが受容室410に出入するために、スナップキャップ404とキャップ406との間に形成された空気領域474に隣接してスナップキャップ404の頂部に、ピンホール又は第2の通気口のような開口がある。
【0047】
一実施例においては、通気は機械式の弁の使用により達成することができる。一態様においては、機械式の弁は、少なくも2個の部品、強制用部材及びステムを備える。強制用部材はステムに連結され又は取り付けられる。別の実施例においては、強制用部材とステムとが一体に形成される。強制用部材及びステムは、同じ材料から作ることができ、或いは強制用部材とステムとは別の材料から作ることができる。
【0048】
一実施例においては、機械式の弁は、一つの位置においては流体ディスペンサーの穴を封鎖し、別の位置においては穴を封鎖しないように作動する。一実施例においては、運転中、弁の強制用部材が、外部の機械的な力なしにステムを強制して、ステムの少なくも一部分が流体ディスペンサーの穴を封鎖するようにさせる。強制用部材の少なくも一部分に機械的な力を加えることにより、強制油部材に連結され又はこれと一体化されたステムが動き、これにより流体ディスペンサーの穴の封鎖を解除する。続いて、強制用部材は、ステムが穴を封鎖しないように外力なしで再びステムを強制する。強制用部材の少なくも一部分に機械的な力を加えることによりステムを動かし、このためステムの少なくも一部分が流体ディスペンサーの穴を封鎖する。別の実施例においては、強制用部材は、機械的な力を加えることにより穴の少なくも一部分の封鎖を解除するように、外部の機械的な力なしで流体ディスペンサーの穴を封鎖する。
【0049】
弾性的な機械式の弁(及び一実施例においてはアンブレラ弁)を使用して流体ディスペンサーの受容室を封鎖することができる。しかし、アンブレラ弁を使用する実施例においては、アンブレラ弁は、本技術熟練者に知られるような通常の方法では使用されない。アンブレラ弁は、通常は、一方向においては流れに対して封鎖し、他の方向においては圧力により解放される圧力作動式の逆止め弁として使用される。アンブレラ弁の正常な使用方法においては、アンブレラの外側フランジが、撓んだアンブレラのばね力により平坦な封鎖面に押し付けられる。アンブレラ弁の上の流体圧力は、フランジをその組み合っている座を更に封鎖しようとするだけである。弁は、アンブレラをその組み合っている面から離すように押す下側の圧力により開かれ、流体はフランジとその組み合っている封鎖面との間を通過することができる。
【0050】
本発明の一態様は、ステム上の張出し部分を、ステムが通過する穴の端部の鋭いコーナーに押し付けて封鎖点として使用することにより圧力作動式の弁の代わりにアンブレラ弁とは別に機械式の弁を作る。フランジは、その組み合い面にスロットを付加することにより封鎖しない。張出しをその座に対して押し付けて封鎖する円板バネとしてフランジ付きのヘッドが使用される。これは、アンブレラの中心がディスペンサーアクチュエーターにより下向きに撓ませられたときに開かれる。アクチュエーターの中心の下向きの運動又はその一部分がステム及びその張出し部分を下向きに押し、封鎖区域を開き、これにより弁を開いて受容器を通気させる。機械式通気口が故障した場合も液体が漏れ出すことを防ぐ追加の安全性を提供するために撥油性(oliophobic)の通気口を加えることができる。
【0051】
これは、流体ディスペンサー内の圧力を変更する方法及び装置を提供する。これは、更に、流体ディスペンサーの受容室内における真空の形成を防ぎ、同時にディスペンサー内に収容された流体を押し出すことができ、更に同時に送出サイクル中のガス放出による受容器内の圧力上昇を防ぐ方法及び装置を提供する。更に、この方法及び装置は、流体ディスペンサーの機械式の弁の下方に置くことのできるインサート通気口を通り受容器から流体が出ることを防止できる。加えて、この方法及び装置は、蒸発した試薬が受容室から出ることを防ぐことができる。最後に、従来使用されていた通気口と周囲との間の回り道又は発泡体の使用を無くすことができる。
【0052】
図11Fを参照すれば、本発明の一実施例により作動するように配列された弁1000の組立体が示される。弁は、図11Fに示されたようなアンブレラ形又は機械式弁の作動と矛盾しないその他の種々の適宜の形式のような種々の形式を採ることができる。機械式弁の作動と矛盾しないその他の形式には、限定するものではないが、ばね機構、又は弾性体機構が含まれる。弁1000は、一体品又は一連の部品のいずれかである2部分のあるステムを持つことができる。ステムの上方部分1002は弁1000のヘッド1008に連結される。ヘッド1008は図11Fに示されるようなフランジ付きヘッドとすることができる。別の形式は平面又は非円形のヘッドを備えることができる。
【0053】
ステムの上方部分1002は、張出し1006によりステムの下方部分1004と連結される。ステムの下方部分1004は、張出し1006の下方に伸びる。ステムの上方部分1002及びステムの下方部分1004は、同じ寸法、形状、又は長さでなくてもよい。好ましい実施例においては、弁1000のステムの上方部分1002及び下方部分1004の少なくも一部分が円筒形である。弁1000は、各構成要素が相互連結された弾性材料で全部が作られる。別の実施例においては、張出し1006又はヘッド1008の少なくも一方が弾性材料で構成される。
【0054】
一実施例においては、弁1000のヘッド1008は、ばねとして作用することができる。ヘッド1008は、弁1000のステムに力を加える目的で撓みそして復元することができる。ヘッド1008は曲面で構成することができる。別の実施例においては、ヘッド1008はアンブレラ形にすることができる。ヘッド1008の下側は、ヘッド100の撓みを許すために開口空間より構成することができる。ステム1002の上端でヘッド1008の下側に環状部分1009が伸び、これはヘッド1000の動きに対するストッパーとして作用する。ヘッド1008は、ヘッド1008の上を下向きに押すことにより撓ませることができる。好ましい実施例においては、ヘッド1008はヘッド1008の中央部分を下に押すことにより撓ませることができる。更に、ヘッド1008は、ヘッドの一番上の部分を下に押すことにより撓ませるることができる。本技術熟練者は、ヘッド1008の適宜の部分に力を加えることにより、ヘッド1008を押し下げ得ることを認めるであろう。ヘッド1008の下側の外周部分1010は、面と接触するために実質的に平らである。
【0055】
弁1000の張出し1006は球状のものとすることができる。その他の形は、長円形又は楕円形を含むことができる。一実施例においては、張出し1006、ステムの上方部分1002、及びステムの下方部分1004は、一体品とすることができる。別の実施例においては、張出し1006は、ステムの上方部分1002及び下方部分1004に連結された弁1000の別の部品とすることができる。一実施例においては、張出し1006は、ステムの上方部分1002より大きい直径を持つことができる。別の実施例においては、張出し1006は、ステムの下方部分1004より大きい直径を持つことができる。
ステムの下方部分1004の少なくも一部分は、張出し1006から離れるに従って小さくなる直径を持つことができる。これは、ステムの下方部分1004の少なくも一部分が円錐状の形を持つため弁1000を穴の中又は小さい区域の中に容易に位置決めすることを許す。
【0056】
図11Gを参照すれば、本発明の一実施例により作動するように配列された流体ディスペンサーのキヤップ2000が示される。キヤップ2000は流体ディスペンサーの頂部又は側面に取り付けることができる。キヤップ2000はキヤップ2000を流体ディスペンサーと封鎖し得る封鎖面2016を持つことができる。キヤップはプラスチック材料又は別の固体材料から構成することができる。封鎖面2016はリッジ2017を有し、これは流体ディスペンサー内にきつく適合する。キヤップ2000には穴2004がある。穴2004はキヤップ2000上に適宜の位置に置くことができる。好ましい実施例においては、穴2004はキヤップ2000の中心に置かれる。穴2004の底部のコーナー2010は、好ましくは小さい半径(例えば、0.051mm(0.002インチ)を有し、このため底部のコーナー2010は鋭い。
【0057】
キヤップ2000は、弁1000のヘッド1008と適合する面2002を持つ。面2002は、前述のように内部に変形させられる機械式弁1000のヘッド1008のための領域を提供するために、穴2004より僅かに高くすることができる。面2002は、弁1000のヘッド1008の下をガス及び/又は蒸気が常に通過できるように、表面2002を通る空気用の切取り2008、割れ目、又は通路のような切取りを持つ。この切取りは空気用の割れ目又はトレンチとして作用する。更に、切取りは、空気が通過するに十分な適宜の形状及び適宜の大きさのものでよい。切取りは、弁1000がキヤップ2000内に挿入された場合も常に空気が通過し得るように位置決めされる。弁1000が押し下げられ又は開口したとき、空気は穴2004を通り、続いて割れ目又は切取りを通るだけである。
【0058】
小さい保護リッジ2006が面2002及び弁1000のヘッド1008を囲む。保護リッジ2006はキヤップ2000の面2002より高くされる。保護リッジ2006は、置かれる弁1000のヘッド1008のための外周を提供する。保護リッジ2006は弁設置用の安全なハウジブを提供するために弁1000の外側の縁1005の厚さに等しい量だけ高くされる。切取り2008は空気の通過を許すように保護リッジ2006を通過することができる。
【0059】
後で説明されるであろうように、内側の丸い壁2012及び外側の丸い壁2014がインサート通気口4000に適合する。内側丸壁2012及び外側丸壁2014はキヤップ2000の穴2004の下方に伸びる。内側丸壁2012及び外側丸壁2014は薄く、かつインサート通気口4000のハウジブの厚さと実質的に等しい距離だけ離される。外側丸壁2012は、キヤップ2000の保護リッジ2006の下方に直接伸びる。内側丸壁2012及び外側丸壁2014は、機械式弁1000のステムの長さと実質的に等しい高さを持つ。外側丸壁2014及び内側丸壁2012は、流体ディスペンサーのキヤップ2000と同じ材料から作ることができる。或いは、外側丸壁2014及び内側丸壁2012は、キヤップ2000と異なる材料から作ることができる。
【0060】
一実施例においては、キヤップ2000は、キヤップ2000の各側に固定用部材2018を備える。好ましい実施例においては、キヤップ2000に2個の固定用部材2018が置かれるが、適宜の希望数の固定用部材2018を置き得ることを本技術熟練者は認めるであろう。固定用部材2018は、互いに直接交差するように置くことができる。固定用部材2018は、キヤップ2000を流体ディスペンサーの定位置に保持することができる。固定用部材2018は、キヤップ2000を流体ディスペンサー内に滑り込ませそして定位置に嵌め込むが滑り出ないような形状にすることができる。固定用部材2018は、キヤップ2000を流体ディスペンサー内に滑り込ませることができるように平滑な表面を持つ。固定用部材2018は流体ディスペンサー内へのキヤップ2000の定置の際にディスペンサーのリッジ上に固定することができる。
【0061】
図11Hを参照すれば、本発明の一実施例により作動するように配列されたキヤップ2000が弁1000と共に示される。弁1000のステムの張出し1006は、穴2004の底部のコーナー2010と適合する。張出し1006は穴2004の底部のコーナー2010に押し付けられ、弁1000のヘッド1008のばね力により穴2004に対する封鎖を形成する。弁1000のヘッド1008からの力は、ステムの上方部分1002により張出し1006に伝達される。ステムの上方部分1002はキヤップ2000の穴2004を通過する。穴2004はステムの直径よりも僅かに大きく、このため、張出し1006が穴2004に押し付けられ封鎖しなければ蒸気又はガスは穴2004を通過することができる。張出し1006は穴2004より僅かに大きく、従って張出し1006は穴2004の底部のコーナーに封鎖することができる。
【0062】
一実施例においては、張出し1006が穴2004の底部のコーナー2010に押し付けられると、張出し1006は、ガス、蒸気及び/又は液体が流体ディスペンサーの受容室から出ることを防止するシールを形成する。張出し1006はキャップ2000の穴2004を封鎖するために使用されるヘッド1008にような強制用部材により強制される。張出し1006は、張出し1006が穴2004の底部のコーナー2010に対して押し付けられると圧縮された状態になる。これは、張出し1006が弾性材料から構成されているために生ずる。受容室内の圧力が周囲大気より高い場合は、この圧力が張出し1006を前よりも更にきつく封鎖させる。図11Hに示されるように、流体ディスペンサーへのキャップ2000の封鎖を支援するために、Oリング3000が設けられる。Oリング3000は、キャップ2000を流体ディスペンサー内にきつく適合できるように弾性材料より構成することができる。Oリング3000はキャップ2000を流体ディスペンサー内に挿入する際に圧縮される。
【0063】
図11Hに示されるように、インサート通気口4000は、これを弁1000の下方に置くことができる。インサート通気口4000のハウジングは内側丸壁2012と外側丸壁2014との間に適合する。特に、インサート通気口4000のハウジングは、内側丸壁2012と外側丸壁2014との間を摺動でき、そして空気、蒸気、又は液体が通気口を通過しないように気密に適合する。インサート通気口4000は、流体ディスペンサー用のキャップ2000の形状と一致する適宜の形状、好ましくは円形とすることができる。インサート通気口4000は、弁1000の下方でかつインサート通気口4000と弁1000との間の開口空間を許すに十分な大きな距離に置かれる。インサート通気口4000は、追加の安全策としてインサート通気口4000の中心に撥油性の通気口4004を備えることもできる。
【0064】
図11Iを参照すれば、本発明の一実施例によるインサート通気口4000が示される。流体ディスペンサーのキャップ2000における使用に適していると見いだされたインサート通気口の例は、ダブリュー・エル・ゴア・アンド・アソシエーツにより作られ販売されたモデル番号D10である。ただし、本技術熟練者は、同様な特性を有するいかなるインサート通気口も適していることを認めるであろう。インサート通気口4000は、一方の端部に取り付けられた撥油性の通気口4004を持つことができる。撥油性の通気口4004は、液体が通過することを許さない。撥油性の通気口4004は、インサート通気口4000のハウジングの一方の端部に置くことができる。インサート通気口4000は、図11Hに示されるように、キャップ2000の内側丸壁2012及び外側丸壁2014に適合する。内側丸壁2012及び外側丸壁2014は、インサート通気口4000がキャップ2000内にきつく適合することを許す。インサート通気口4000は、流体ディスペンサーの通気に対する更なる安全具として、又は流体ディスペンサーのキャップ2000のための追加の液体障壁として作用することができる。インサート通気口4000は流体ディスペンサーの受容室内の圧力を変更するために空気が通過することは許すが、インサート通気口4000は液体の通過は許さず、これにより液体障壁を作る。
【0065】
図11Jを参照すれば、本発明の一実施例に従って作動するように配列されたキャップ2000内に挿入された弁1000の側面図が示される。流体ディスペンサーの頂部5000は流体ディスペンサーに関して水平方向に位置決めされる。別の実施例においては、キャップ2000は流体ディスペンサーに関して垂直方向に置くことができる。保護リッジ2006を有する面2002に弁1000の下の1個の切取り2008が示される。好ましい実施例においては、流体ディスペンサーの受容器に通気する空気用の流路として4個の切取りが設けられる。切取りは面2002に周りに等間隔に置かれる。インサート通気口4000は、キャップ2000の内側丸壁2012と外側丸壁2014との間に挿入される。インサート通気口4000の一方の端部に置かれた疎油性通気口4004が示される。疎油性通気口4004は、インサート通気口4000の外側及び内側のハウジング間に挿入された薄膜とすることができる。
【0066】
図11Jに示されるように、弁1000は、キャップ2000の面2002との適合を提供するためにキャップ2000内に適合される。キャップ2000の内側丸壁2012の内側の空間5002は、示されるように空気の通過を許すように開口される。インサート通気口4000は、弁1000に接触しないような距離において弁1000の下方に位置決めされる。インサート通気口4000の疎油性通気口4004と弁1000との間に、押し下げ用の空間又は小距離がある。疎油性通気口4004とステム1004の下方部分との間の利用可能な小距離は、張出し1006が空気の機械式弁1000の通過を許すために実質的に張出し1006を動かすことのできる大きさの距離である。
【0067】
流体ディスペンサー内の流体は、バレルの運動により分配される。バレルの一例が図7Aに示される。図11Kを参照すれば、流体ディスペンサーは、流体ディスペンサーのバレル上に下向きの力を加え得るプランジャー6000又はその他の手段により機械内に位置決めされる。バレルを押すと、プランジャー6000が流体ディスペンサーのキャップ2000と接触する。そこで、機械のプランジャー6000が図11Kに示されるように弁1000を機械式に開く。機械のプランジャー6000が流体ディスペンサーと接触すると、プランジャー6000は、まずキャップ2000内に挿入された弁1000のヘッド1008の頂部と接触する。ヘッド1008の適宜の部分を接触させることができる。一実施例においては、プランジャー6000は弁1000のヘッド1008の中心と接触し、ヘッド1008に機械的な力を加える。ヘッド1008に直角な方向の機械的な力がヘッドを下向きの押し下げる。弁1000のヘッド1008が押し下げられると、これが、図11Kに示されるように,ステム及びこれに組み合わせられた張出し1006を動かす。ヘッド1008の頂部が保護リッジ2006と同一面になるまで下向きに動かされ、そこでプランジャー6000が保護リッジ2006と接触する。
【0068】
一実施例においては、弁1000のヘッド1008は、ヘッド1008が弾性材料で作られるため、下方に撓むことができる。ヘッド1008は、プランジャー6000が保護リッジ2006に当たるまで下方に撓むことができる。ヘッド1008の環状部分1009と面2002との接触は、弁1000の下の空気の通過を妨げない。弁1000のヘッド1008は、キャップ2000の面2002の頂部に置かれるので、空気は切取りを通って弁1000の下を通過することができる。面2002上の切取りが弁1000の下の空気の通過を許す。弁1000が機械的に開かれると弁1000は面2002と接触するが、面2002内に切取りが作られ、空気は弁1000の下を通過することができる。
【0069】
ヘッド1008が撓むとヘッド1008が弁1000のステム部分に力を加える。弁1000の上方部分1002は、平面1008からの力を張出し1006上に伝え、これが張出し1006を穴2004から外すことができる。張出し1006が穴2004から外れると、弁1000は図11Kに示されるように開くであろう。穴2004は弁1000のステムより直径が小さいものであるため、ステムの上方部分1002と穴2004の外側区域との間に空間がある。空気はステムの上方部分1002と穴2004の外側区域との間の空間6004を通過し続いて切取りを通過できるため、受容器内の圧力は周囲の雰囲気と平衡することができる。
【0070】
キャップ2000の面2002上の切取りのため、張出し1006が穴2004から動かされたときの外部大気と受容室内のとの間に空気の自由流通のための通路ができる。空気は、受容室内と受容室外との間の圧力差のため、弁1000の下側の切取りを通過する。空気は、圧力の高い領域から圧力の低い領域に動くであろう。一実施例においては、流体ディスペンサー内の圧力は流体ディスペンサーの外側の圧力より高い。別の実施例においては、流体ディスペンサー内の圧力は流体ディスペンサーの外側の圧力より低い。空気は、流体ディスペンサーの内側の圧力が流体ディスペンサーの外側の圧力と等しくなるまで流体ディスペンサーから通過する。
【0071】
プランジャー6000が弁1000のヘッド1008の頂部から外されると、空気が弁1000の下を通過することを許さないように穴2004に対する張出し1006の封鎖が再び形成される。プランジャー6000が機械により外されると、ヘッド1008は撓みがなくなり、ヘッド1008は、弁1000のヘッド1008のばねに蓄えられた圧縮エネルギーによりゆっくりと元に戻り、そして弁1000のステムの上方部分1002及び下方部分1004を短い距離だけ引き上げる。ステムが上方に動かされると、張出し1006も同じく上方に動く。張出し1006はキャップ2000の穴2004に押し付けられ気密のシールを形成する。ステムが上に動くとステムの一部分が圧縮された状態になる。更に、張出し1006が穴2004に押し付けられ、張出し1006が同じく圧縮され、気密のシールが形成される。
【0072】
弾性ばね1000の使用により流体ディスペンサーの受容器を封鎖することができる。一実施例においては、弁に対する要求は弁が二つの目的の通気口を有することである。第1の目的は流体が排出されるときに真空が形成されることを防ぐために受容器内への空気の流入を許すことである。通気口の第2の目的は、受容器内の上昇する可能性のある内部圧力を、最初の分配以前に、大気圧と平衡することを許すことである。内圧は、それ自体では大きな問題ではない。しかし、内圧は、ディスペンサーを作動させたとき、この圧力が大量過ぎる液体を排出させるであろうため許容できない。弁1000は流体ディスペンサーを通気するに十分な方法を提供する。
【0073】
図12Aを参照すれば、流体ディスペンサー400のバレル408の下方部分、ダックビル逆止め弁416、ダックビル逆止め弁インサート414、コードシール422、ボール426、ボール逆止め弁インサート424、及びカプラー428の断面図が示される。バレル408は突起408Aを有し、これは、上昇行程の際のバレル408の位置を維持するためにカプラーと組み合う。さもなければ、ばねがバレル408を高く押し過ぎた場合に、コードシール422により提供される気密を破損し、これにより空気経路が作られ流体ディスペンサー400の使用待機状態が失われることがある。バレル408は、降下行程の際にストッパー420と組み合うフランジ408Bも持つ。バレル408は、ダックビル逆止め弁インサート414を挿入するポケット408Cも持つ。このポケットは、バレル408の底部のダックビル逆止め弁416又はダックビル逆止め弁インサート414との相互作用点に渦巻きが形成されないように漏斗として作用し、これにより廃棄を最小化する。バレル408は、その下方部分にピストン454を有し、これにより、ディスペンサー400内の液体が排出される。図12Aの下方部分に、カプラー428のノズル430と組み合うノズル先端458がある。流体を気密に封鎖するためにルアー取付具デザインを使用してノズルキャップ454とノズル430とが適合させられる。図12Bを参照すれば、流体ディスペンサーのバレル下方部分、ダックビル逆止め弁、及びダックビル逆止め弁インサートの断面図が示される。図12Cを参照すれば、流体ディスペンサーのコードシールの断面が示される。
【0074】
図12Aは、カプラー428の断面も示す。カプラー428は、ボール逆止め弁インサート424が嵌まり込む溝428Bを持つ。溝428Bは、ボール逆止め弁インサート424の壁及びカプラーの壁を通る流体の下向きの漏洩又は空気の上向きの漏洩を防ぐように作用する。カプラー428は突起428Cも有し、これはディスペンサーと試薬トレイ10との整列を確保する。例えば、ディスペンサーが整列していない場合は、ディスペンサーシリンダーはディスペンサーと正しく組み合うことができない。カプラーは安定用隆起428Dも有し、これは流体ディスペンサーの前後の揺れを減らす。
【0075】
更に、図13Aに示された別の実施例においては、図7A−ACと同様に、下端がピストン454として作動する下方部分を有するバレル408が示される。ピストン区域内のバレルの下方部分のピストン454の底部の貫通穴の代わりに、Oリング452と接触するピストン454の側面に穴450がある。この方法では、バレル408が下向きに押されたとき、穴450が露出し受容室から流体を分配する。バレルが上方位置に戻るとき、圧力差は、ダックビル逆止め弁482が開きそして分配室412を流体で充填させるような圧力差である。バレルの上昇行程においては大きい圧力差はないので、図13Aにおけるダックビル逆止め弁482はクラッキング圧力の低いダックビル逆止め弁である。更に、バレルが高い位置にあるときは、ピストンの端部454AはOリング452により閉鎖され、これにより穴450を除くバレル408の底部を封鎖する。
【0076】
図13Bに示された別の実施例を参照すれば、図13Aと同様に、下端がピストン454として作用する下方部分を有するバレル408が示される。ピストン454Aの下端の穴450を覆うためにOリング452を置く代わりに図9A及び9Bにおいて使用されたコードシールと同様なコードシール422が使用される。
【0077】
流体ディスペンサーの更に別の実施例が図13C−13Hに示される。図13C−13Iに示されたディスペンサーは、限定するのもではないが図13Hに詳細に示されるプラグ498、及び図13Jに示される行程終端のシール(ESS)499を含む幾つかの新規な特徴を備える。これら2種のディスペンサー部材は、受容器からの流体の漏洩を防ぐため及び受容器(及び液体のヘッドプレッシャ)が空になったときに一様な体積の流体を分配することを保証するために、一緒に及び隣接のディスペンサー部材とともに作動する。分配室412内の圧力流体が受容器410に入ることを防ぐ止めにダックビル416及びダックビル逆止め弁インサート414を使用する圧送システムについて、並びに底部のボール逆止め弁426及びその組み合っているハウジング/シート424についての上の図12A−12B及び図13A−13Bの説明が、図12A−12D及び図13A−13Bに示されたディスペンサーのその他の特徴と共に図13−13lのディスペンサーに等しく適用される。
【0078】
プラグ498は四つの異なった機能を実行することができる:(1)バレル/ピストン(408/454)が一番上の位置にあるとき、プラグ498はコードシール422の低い内側ローブ423とのシールを提供する;(2)プラグ498は、受容室410からピストン454Aの内部に至る流路を提供する;(3)コードシール422内へのプラグ498の上昇運動がノズル430の下端における懸滴の吸い込みを提供する;そして(4)バレル/ピストン(408/454)が一番下の位置にあるとき、プラグ498の底面がESS499の頂部と接触してポンプ室からの流れの抽出を防ぎまたノズル430からのすべての流出を停止させる。
【0079】
好ましい実施例においては、図13Bに示されるようにバレル408のピストン454部分の穴450が、図13D、13E及び13Hに示されるようにプラグのショルダー489Dとピストン454の下端との間に置かれた半径方向の流路498Aにより置き換えられる。半径方向流路498Aは、プラグ498のショルダー498D上に成型された半径方向のリッジ498Eの頂部と接触しているピストン454の下端により形成される。この好ましい実施例においては、半径方向のリッジ498Eの数は5個であり、その高さは0.381mm(0.015インチ)である。そこで、半径方向通路498Fも0.381mm(0.015インチ)の高さである。半径方向流路498Aは対応する軸方向流路498Fに連結され、この軸方向流路は、プラグ498の中央ステム498Bの外部に成型された軸方向リッジ498Cにより形成される。好ましい実施例においては、中央ステム498Bは約2.286mm(0.090インチ)の直径を有し、そして、軸方向リッジ498Cの外径は、ピストン454の内径454Aとちょうど圧力嵌めを形成する大きさである。この嵌め合いは、ピストン454からプラグ498を引き抜きコードシール422の内径(ID)をこすることのよる摩擦を防止するには十分であるが、ピストン454の外径(OD)を歪ませるほど大きくないようにすべきである。好ましい実施例においては、直径方向の締めしろは約0.203mm(0.008インチ)である。軸方向リッジ498Cの数は重要でなく、リッジの数が少なくなるとより大きい流れの区域を提供するがピストン454がより歪む。好ましい実施例においては、これら二つの効果を勘案して5個の軸方向リッジ498が選定される。
【0080】
プラグ498のショルダー498Dの外径は、ピストン454の外径と本質的に同じである。半径方向流路498Aは、ピストンの行程の最上部において、半径方向流路498Aがコードシール422の中心と一致し、これにより、分配室412及びノズル430を含んだ下の体積から受容室410を含んだ上の体積を確実に封鎖し、更にディスペンサーの外側への流体の漏洩も防ぐ弁を形成するように位置決めされる。
【0081】
プラグ498の第2の選択的な機能は、ピストン454が戻り行程にあるときに、受容室410から分配室412に至る流路498Aを提供することである。この流路498Aは、軸方向リッジ498Cと半径方向リッジ498Eとの間の区域により定められる。戻り行程においては、逆止め弁426は、ボールハウジング424の座424Aに対して封鎖するように上向きに引かれる。ボール426が着座した後、ピストン454が上向きに動き、液体が受容器410からダックビル弁416を経て引かれるため僅かな真空が形成される。この引かれた流体は、プラグ498とピストン408Aの内径との間の通路498Fを通って流れ続ける。この流れは、軸方向の空間498Aの底部がコードシール422の底部ローブ423を通過するまで継続する。この位置において、流体はこれ以上軸方向空間498Aを通って吸引されないが、ピストンは図13Eに示されるように軸方向空間498Aがコードシール422の中心に一致するまで上向きに動き続ける。この軸方向の動きは僅かに約0.508mm(0.020 インチ)に過ぎないが、分配室412内に僅かな部分真空を形成させる。バレル408がその最も高いストッパーに当たりその運動を止めたとき、分配室412内の真空はノズル430における流体の吸い戻しを提供しつつ、流体がボール逆止め弁426を通ってノズル430から漏れることにより解放される。
【0082】
典型的な分配用ノズルにおいては、ノズルから排出される滴の体積は、バレルの中の液体の高さに応じて変動する。バレル408は圧送行程においては下向きに動くため、液体もその中で下向きに動く。バレル408が液体で満たされると、下向きに動いている液柱
は、バレル408がほとんど空のときより大きい。バレル408がそのストッパーに当たると、これは極めて急激に停止する。バレル408内の液体は運動量を持っているが、圧力増加により停止させることができる。運動量は、その速度と質量との積であり、そして速度はバレル内の流体の量と無関係に同じであるが、質量は残存流体の高さに正比例する。バレル408がそのストッパーに当たったことによるこの圧力増加は小さいが、この圧力増加は、運動量が小さいとき(バレルがほぼ空のとき)より大きいときは、開かれた通路を通って液体を排出させるに十分である。
【0083】
プラグ498の第4の特徴は、運動量/圧力の効果を無くすために分配行程の一番下における行程終端のシール(ESS)499に関連した作動により生ずる。通常、流体はESS499の中央の穴499Dを通って通過する。ESSは外側封鎖リング499Bにより分配室412の内径412Aに対して封鎖されるため、流体はESSの外側を回って通過することはできない。ESS499は、上の面499Aが下方に変形することを許す下向きの空洞499Cを持つ。ESS499は、平らな上の面499Aを有し、この面はプラグ498の底部498Gと接触できる。ピストンがストッパー420に当たり穴499Dを封鎖しそして流体が分配室412から出ることを防止する位置の上方約0.330mm(0.013インチ)にあるとき、プラグ498の底部498Gは上のシール面499Aと接触する。部品の許容差のため、ESS499がプラグ398と当たる行程の一番下からの実際の距離は、0.152から0.508mm(0.006から0.20インチ)の間である。分配室412はESS499の頂部499A上へのプラグ498の底部498Gの接触によりその底部で封鎖されるため、ストッパー420に対するバレル408の衝撃により生ずる圧力パルスは、流体をノズル430から排出させることはない。
【0084】
図13C−13Iにおいて明らかにされたディスペンサーの実施例の別な特徴は、コードシール422がピストンストッパー420の内側フランジ420Aにより保持されることである。
【0085】
プラグ498は、適宜の硬質プラスチック材料から製造することができる。ポリプロピレンはプラグ498の製造に使用される一つの材料である。ESS499は、ESSの流路499Dをプラグのショルダー498Dで封鎖できる材料から作らねばならない。可鍛性弾性材又はゴム材料はかかる封鎖を許すであろう。更に、選ばれた材料は液相の試薬に対して不活性でなければならない。結果として、黒色ゴム又はEPDMが好ましいESS材料である。
【0086】
図15を参照すれば、カップ逆止め弁792を有する別の実施例の流体ディスペンサーの下方部分の断面図を示す。カップ逆止め弁792(即ち、カップ片792)の下方部分がバレル408のピストン454に当たり、これにより、液体が408の下方部分を通過することを禁止する。上方の環状レッジ800及び側壁802よりなるダックビル逆止め弁792の上方部分が、ダックビル逆止め弁インサート414及びピストン454の側面に当たる。カップ逆止め弁792は、圧力差に基づいて作動する図12Aに示されたようなダックビル逆止め弁416と同様に作動する。バレル408の下降行程中は、カップ逆止め弁792のカップ片794は剛直のままであり、このためピストン、及びカップ片が液体を分配室412から押し出す。バレル408の上昇行程中は、図8Aにおいて説明されたように、ボール室432内のボール434が逆止め弁ボールインサート424に対して座り、分配室内で真空を作る。この真空が分配室内及びバレル408の隣接したピストン区域内の圧力を作り、カップ逆止め弁792のカップ片794を内向きに曲げ、このためカップ片794はピストン454に当たらない。これが生ずると、受容室内の流体はカップ逆止弁792の周りを通過して分配室に入ることができる。カップ片794は、分配室と受容室との間で圧力が平衡するときまで内向きに曲げられる。そこで、分配室は、バレル408の上昇行程において流体を受け入れる。分配室で生じた真空による曲げ効果をより良くするために、カップ逆止め弁792のカップ片794はバレル408のピストン454内に低く座るべきである。この方法で、カップ下側の区域がより少なくなり、真空により生ずる吸引効果がより大きくなる。
【0087】
図16Aを参照すれば、カップ逆止め弁792の側面図が示される。カップ片794は、水平からほぼ71゜の角度で外向きに広がる。しかし、カップ片794は、カップ片794の撓みの要求に応じて外向き又は内向きに曲がることができる。更に、ダックビル逆止め弁インサート414及びピストン454の側面に当たるように上方レッジ800及び側壁802が形成される。この上方の片は、定位置に確保される形のものとすることができる。
【0088】
図16Bを参照すれば、カップ逆止め弁792の底視図が示される。底部796は、ピストン454の丸い側壁と当たるように円形である。カップ逆止め弁792の底部は、これが当たる面、この例においてはピストン454に押し付けられる適宜の形状とすることができる。
【0089】
図16Cを参照すれば、カップ逆止め弁792の平面図が示される。頂部798は、ダックビル逆止め弁インサート414の丸い側壁に当たるように丸くされる。カップ逆止め弁792の頂部は、これが当たる面、この例においてはダックビル逆止め弁414に押し付けられる適宜の形とすることができる。
【0090】
図16D及び16Eを参照すれば、それぞれ図16Cの切断線A−A及びB−Bにおけるカップ逆止め弁792の図を示す。カップ逆止め弁792カップ片794は曲がり易くするためにフォーク状にされる。カップ片794の厚さと形状とはカップ片に要求される曲がりに応じて変更することができる。更に、カップ逆止め弁792の上方部分をカップ片794に連結する連結片804は適宜の形状とすることができる。好ましい実施例においては、連結片804は、ピストン454を通る液体の流れと干渉しないように円筒状である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施例による自動生物学的反応システムの左前の等角図である。
【図2】図1に示されたシステムの右前の等角分解図である。
【図3】図1に示されたシステムの左前の等角分解図である。
【図4】図1に示された装置の右後の等角分解部分図である。
【図5−6】試薬トレイ上の流体ディスペンサーの取り付け及び試薬トレイを駆動回転台に組み合わせる方法を示す。
【図7A】伸長位置にある充填済み流体ディスペンサーの立面断面図である。
【図7B】伸長位置にある使用者充填可能な流体ディスペンサーの立面断面図である。
【図7C】圧縮位置にある充填済み流体ディスペンサーの立面断面図である。
【図8A】ボール室及びノズルの断面図である。
【図8B−8C】延長部を有するバレルの下方部分の正面及び側面の断面図である。
【図9A】充填済み流体ディスペンサーの立面断面分解図である。
【図9B】使用者充填可能な流体ディスペンサーの立面断面分解図である。
【図10A】充填済み流体ディスペンサーの側面図である。
【図10B】フリップ式頂部を有する使用者充填可能な流体ディスペンサーの側面図である。
【図10C】キャップに隣接した蒸発リングを有する充填済み流体ディスペンサーの分解図である。
【図11A】一実施例による充填済み流体ディスペンサーのキャップ及び通気口の断面図である。
【図11B】図11Aのキャップ及び通気口の下側の図である。
【図11C】2方向ダックビル弁を有する充填済み流体ディスペンサーのキャップ及び通気口の断面図である。
【図11D】1方向ダックビル弁を有する充填済み流体ディスペンサーのキャップ及び通気口の断面図である。
【図11E】別の実施例による充填済み流体ディスペンサーのキャップ及び通気口の断面図である。
【図11F】本発明の例示実施例に従って作動するように配置された弁の斜視図である。
【図11G】本発明の例示実施例に従って作動するように配置された流体ディスペンサーのキャップの斜視図である。
【図11H】図11Gのキャップ内に挿入された図11Fの弁の斜視図である。
【図11I】本発明の例示実施例に従って作動するように配置された図11Hに示されたような通気口の斜視図である。
【図11J】本発明の例示実施例に従って作動するように配置された流体ディスペンサー内に挿入される図11Hのキャップの側面図である。
【図11K】本発明の例示実施例に従って作動するように配置された図11Fの弁の作動の一方法の側面図である。
【図12A】流体ディスペンサーのバレルの下方部分、ダックビル逆止め弁、ダックビル逆止め弁インサート、コードシール、ボール、ボール逆止め弁インサート及びカプラーの断面図である。
【図12B】流体ディスペンサーのバレルの下方部分、ダックビル逆止め弁、ダックビル逆止め弁インサートの断面図である。
【図12C】流体ディスペンサーのコードシールの断面図である。
【図13A】別の実施例の流体ディスペンサーの下方部分の断面図である。
【図13B】別の実施例の流体ディスペンサーの下方部分の断面図である。
【図13C】本発明の流体ディスペンサーの別の実施例の分解斜視図である。
【図13D】図13Cに示された組み立てられた流体ディスペンサーの断面図である。
【図13E】分配室が休止位置にあるときのプラグ(498)を備えた分配機構の一部分の拡大図である。
【図13F】分配室がカプラー(428)内に完全に動かされたときの本発明のディスペンサーの側面断面図である。
【図13G】プラグ(498)及びESS(499)を有する図13Fのディスペンサーの分配機構の一部分の拡大図である。
【図13H】分配機構において有用なプラグ(498)の拡大斜視図である。
【図13I】本発明の分配機構に有用なESS(499)の平面図、側方斜視図、及び側面断面図である。
【図14A】カプラーのノズルに使用する制限具を有する注入器の断面図である。
【図14B】カプラーのノズルに使用する制限具及びOリングを有する注入器の分解図である。
【図15】別の実施例のカップ逆止め弁を有する流体ディスペンサーの下方部分の断面図である。
【図16A】カップ逆止め弁の側面図である。
【図16B】カップ逆止め弁の底視図である。
【図16C】カップ逆止め弁の平面図である。
【図16D】図16Cの断面A−Aにおけるカップ逆止め弁の図である。
【図16E】図16Cの断面B−Bにおけるカップ逆止め弁の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方部分と下方部分とを含んだ受容室を有するバレル;
受容室と実質的に一列に並んでいる分配室を有するカプラー;
バレルの下方部分と組み合わせられかつ受容室と分配室との間に置かれたピストンであって、外径及び流体が中を通過する内径を有する前記ピストン;
ピストンの下方区域において流体の流れに対して内径を封鎖する封鎖面;及び
封鎖面の上方で内径から外径に通過する半径方向流路
を備え、バレルがカプラーと運動可能に組み合わせられた流体ディスペンサー。
【請求項2】
前記封鎖面がプラグを備え、前記プラグはショルダーに取り付けられたステムを含み、ステムは少なくも1個の軸方向リッジを含み、プラグのステムはピストンの流路の内径とステムの軸方向リッジとの組み合わせが少なくも1個の半径方向流路を形成するようにプラグのステムが少なくも部分的にピストンの流路内に置かれる請求項1の流体ディスペンサー。
【請求項3】
プラグが、複数の軸方向リッジと複数の半径方向流路とを含む請求項2の流体ディスペンサー。
【請求項4】
各軸方向リッジが半径方向リッジを更に含む請求項3の流体ディスペンサー。
【請求項5】
プラグのショルダーが平坦な底面を有する請求項2の流体ディスペンサー。
【請求項6】
プラグがピストンの流路内に圧入される請求項2の流体ディスペンサー。
【請求項7】
ピストンの流路の端部が少なくも1個の半径方向リッジと接触するようにプラグがピストンの流路内に圧入される請求項6の流体ディスペンサー。
【請求項8】
カプラーの分配室に隣接して置かれた行程終端のシール499を更に含む請求項1の流体ディスペンサー。
【請求項9】
行程終端シールが、流路、頂部封鎖面、及び少なくも1個の外側封鎖リングを更に備える請求項8の流路ディスペンサー。
【請求項10】
行程終端シールが黒色ゴムより製造される請求項8の流路ディスペンサー。
【請求項11】
受容室が分配室と同軸である請求項1の流路ディスペンサー。
【請求項12】
受容室から分配室への流体の流れを許しかつ分配室から受容室への流体の流れを禁ずるように作動する逆止め弁を更に備え、逆止め弁が分配室とプラグとの間に置かれる請求項1のルディスペンサー。
【請求項13】
逆止め弁が分配室に隣接したダックビル逆止め弁であり、ダックビル逆止め弁は分配室及び受容室と同軸である請求項12の流体ディスペンサー。
【請求項14】
上方部分と下方部分とを含んだ受容室を有するバレルであって、下方部分が内径、外径、及び流路を有するピストンを含んでいる前記バレル;
受容室と実質的に一列に並んでいる分配室を有するカプラーであって、バレルがカプラーに運動可能に組み合わせられている前記カプラー;
平らな底面を有するショルダーに取り付けられたステムを有するプラグであって、ステ
ムは、各軸方向リッジが更に半径方向リッジを含んでいる複数の軸方向リッジを含み、ピストンの流路の内径とステムの軸方向リッジとの組み合わせが複数の半径方向流路を形成するようにプラグのステムがピストン流路内に圧入されている前記プラグ;及び
分配室に隣接して置かれた行程終端シールであって、流路、頂部封鎖面、及び少なくも1個の外側のシールリングを含んでいる前記行程終端シール
を備える流体ディスペンサー。
【請求項15】
ピストンの流路の終端が少なくも1個の半径方向リッジと接触するように、プラグがピストンの流路内に圧入される請求項14の流路ディスペンサー。
【請求項16】
受容室が分配室と同軸である請求項14の流路ディスペンサー。
【請求項17】
ボール逆止め弁インサート、ボールを更に備え、ボールはボール逆止め弁インサートと適合し、ボール逆止め弁インサートは分配室に隣接し、ボール逆止め弁インサートは分配室及び受容室と同軸である請求項14の流路ディスペンサー。
【請求項18】
バレルの下方部分がカプラーにより覆われ、更にストッパーを備え、ストッパーはバレルがカプラー内で動くときバレルの下降行程を停止させる請求項14の流体ディスペンサー。
【請求項19】
バレルの運動に基づいて伸縮するばねを更に備える請求項18の流体ディスペンサー。
【請求項20】
カプラーとバレルのピストンとの間に置かれたコードシールを含む請求項14の流体ディスペンサー。
【請求項21】
カプラーとバレルのピストンとの間に置かれた少なくも上方及び下方のOリングを含む請求項14の流体ディスペンサー。
【請求項22】
コードシールが下方内側ローブを含む請求項20の流体ディスペンサー。
【請求項23】
受容室とバレルのピストンとの間に置かれた逆止め弁を含む請求項14の流体ディスペンサー。
【請求項24】
逆止め弁がダックビル逆止め弁である請求項23の流体ディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11I】
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【図11J】
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【図11K】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図13I】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【公表番号】特表2007−517199(P2007−517199A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545699(P2006−545699)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/040190
【国際公開番号】WO2005/066640
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】