説明

流体供給用ポンプの運転方法

【課題】 可変速運転を行なうポンプと定速度運転を行なうポンプとを組み合せて流体を供給する際に、ポンプ寿命を低下させず、しかも吐出圧の変動もなく流体を供給する。
【解決手段】 可変速制御装置6,6Aにより回転数の変更が可能なポンプ3,4と、定速度運転を行なうポンプ2とを組み合せて流体16を供給するに際し、前記双方のポンプを常時運転させておき、ポンプ2のみで必要量を供給可能な時には、ポンプ3,4の回転数を最小回転数にするとともに遮断弁10A,10Bを閉じ且つ遮断弁11A,11Bを開けて、ポンプ3,4から供給される流体を逃げ水用配管9から排出し、一方、ポンプ2のみでは必要量を供給できない時には、ポンプ3,4の回転数を定格回転数に上昇させるとともに遮断弁11A,11Bを閉じ、ポンプ3,4からの吐出圧が所定の値以上になったなら遮断弁10A,10Bを開けて流体を供給用配管8に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造機の二次冷却帯で鋳片に噴霧されて鋳片を冷却する冷却水などの流体を供給するためのポンプの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造機の二次冷却設備は、鋳型直下の上流側から連続鋳造機々端の下流側にかけて幾つかのゾーンに分かれており、各ゾーンの冷却水量は、鋳片引き抜き速度、鋳片幅、及び鋳造する鋼種に基づいて設定される冷却水量になるように、各ゾーン毎に流量調節弁によって制御されている。この冷却水を供給するためのポンプは、1台では大きな容量の電動機が必要であり経済的ではないために、通常、容量を下げた複数台のポンプが設置されている。
【0003】
二次冷却設備全体で必要な冷却水量は、鋳片引き抜き速度、鋳片幅、及び鋳造する鋼種の条件によっては大幅な差が生じ、必要冷却水の最大流量と最小流量との差は大きくなる。従って、必要な冷却水量に応じて供給流量を変更する必要があり、従来、以下の3つの方法によって流量調整が行われていた。
【0004】
1つ目の方法は、ポンプの運転台数を切り替える方法である。即ち、複数台のポンプのうちで常時運転させるポンプの台数を、最小流量時に必要な冷却水量を供給できるだけの台数とし、冷却水量の必要量の増加に伴って必要冷却水の増加分を補うように、運転するポンプの台数を増加させる方法である(例えば、特許文献1参照)。この場合、必要冷却水量が低下した場合には、不要なポンプは停止する。
【0005】
2つ目の方法は、必要冷却水量に応じてポンプの回転数を変更する方法である。即ち、ポンプを駆動する電動機に可変速制御装置を取り付け、冷却水の必要量に応じて電動機の回転数を可変速制御する方法である(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
3つ目の方法は、可変速制御装置によって可変速運転を行なうポンプと、商用電源によって定速度運転を行なうポンプとを組み合せ、可変速運転を行なうポンプを常時運転させて必要冷却水量の増減に応じて回転数を変更することで必要冷却水量の増減に対応し、必要冷却水量が可変速運転を行なうポンプの能力以上となったときに、定速度運転を行なうポンプを起動させて必要冷却水量の不足分を定速度運転のポンプで補う方法である(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特公昭54−17441号公報
【特許文献2】特開昭57−7276号公報
【特許文献3】特開昭63−94096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術には以下のような問題点がある。
【0008】
1つ目の、ポンプの運転台数を切り替える方法では、設備コストが安価な反面、冷却水量に応じてポンプが起動・停止するため、起動時に吐出圧が急激に上昇し、二次冷却設備の冷却水流量が安定しないという問題がある。また、ポンプ起動時の負荷が高いため、起動回数の増加に伴ってポンプの寿命が急激に低下するという問題もある。
【0009】
2つ目の、ポンプの回転数を変更する方法では、冷却水量が少ないときには回転数を下げて運転を継続するので、起動回数が削減されることでポンプの寿命は低下せず、また、吐出圧の急激な上昇もなく応答性も良いといった利点はあるが、複数台のポンプ全てに可変速制御装置を設置しなければならず、設備コストの高いことが問題である。
【0010】
3つ目の、可変速運転を行なうポンプと定速度運転を行なうポンプとを組み合せる方法では、複数台のポンプ全てに可変速制御装置を設置する必要はなく設備コストからは有利であるが、定速度運転のポンプを起動させたときに吐出圧が急激に上昇し、二次冷却設備の冷却水流量が安定しないという問題がある。また、定速度運転を行なうポンプは起動・停止を繰り返して行なう必要があり、前述した1つ目の方法と同様に、定速度運転を行なうポンプの寿命が低下するという問題もある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、設備費が比較的に安価な、可変速運転を行なうポンプと定速度運転を行なうポンプとを組み合せた方法で連続鋳造機の二次冷却水などの流体を供給するに際し、ポンプの寿命を低下させることもなく、しかも吐出圧の変動もなく、流体を安定して供給することのできる、流体供給用ポンプの運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための第1の発明に係る流体供給用ポンプの運転方法は、可変速制御装置によって回転数の変更が可能なポンプと、定速度運転を行なうポンプとを組み合せて流体を供給するに際し、前記双方のポンプを常時運転させておき、定速度運転を行なうポンプのみで流体の必要量を供給可能なときには、回転数の変更が可能なポンプの回転数を最小回転数にするとともに回転数の変更が可能なポンプと供給用配管との間の遮断弁を閉じ且つ当該ポンプと逃げ水用配管との間の遮断弁を開けて、回転数の変更が可能なポンプから供給される流体を逃げ水用配管から排出し、一方、定速度運転を行なうポンプのみでは流体の必要量を供給できないときには、回転数の変更が可能なポンプの回転数を定格回転数に上昇させるとともに回転数の変更が可能なポンプと逃げ水用配管との間の遮断弁を閉じ、回転数の変更が可能なポンプからの吐出圧が所定の値以上になったなら、回転数の変更が可能なポンプと供給用配管との間の遮断弁を開けて、回転数の変更が可能なポンプから供給される流体と定速度運転を行なうポンプから供給される流体とを、併せて供給用配管に供給することを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明に係る流体供給用ポンプの運転方法は、第1の発明において、前記流体は、連続鋳造機の二次冷却用の冷却水であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、供給すべき流体の量が少ないときでも、回転数の変更が可能なポンプは回転数を下げて運転を継続しているので、ポンプの起動回数が削減され、起動・停止に起因するポンプの寿命低下の問題が解消される。また、回転数の変更が可能なポンプから供給する際には、このポンプの回転数を上げて吐出圧を徐々に所定値まで上昇させ、所定値になった状態で供給するので、従来の起動・停止を繰り返す方法のときに発生していた圧力急上昇の問題が解決される。また、常時運転するポンプには可変速制御装置が不用であるので、設備コストを必要最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を連続鋳造機の二次冷却水供給用ポンプの運転方法に適用した場合を例として、添付図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明を実施する際に用いた連続鋳造機の二次冷却設備を示す概略図である。
【0016】
図1において、ポンプ2は、定速度運転を行なうポンプであり、電源5に接続し、電源5から供給される一定の電力によって定速度運転を実施する。ポンプ3及びポンプ4は、回転数の変更が可能なポンプであって電源5に接続しているが、ポンプ3は、電源5とポンプ3との間に配置された可変速制御装置6によって供給電力が調整され、これにより回転数が変更され、ポンプ4は、電源5とポンプ4との間に配置された可変速制御装置6Aによって供給電力が調整され、これにより回転数が変更される。可変速制御装置6及び可変速制御装置6Aは、ライン制御装置7から送られる信号によってその回転数が制御されている。
【0017】
ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4の吸引側は、冷却水16を貯留するための貯水槽1につながる入側配管17と接続している。一方、ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4の吐出側は、それぞれ2つに分岐し、1つは、冷却水を二次冷却水として供給するための供給用配管8に接続し、他の1つは、逃げ水用配管9に接続している。逃げ水用配管9の排出側は貯水槽1に開口している。
【0018】
ポンプ2と供給用配管8との間には吐出側遮断弁10が設置され、ポンプ3と供給用配管8との間には吐出側遮断弁10Aが設置され、ポンプ4と供給用配管8との間には吐出側遮断弁10Bが設置されている。また、ポンプ2と逃げ水用配管9との間には逃げ水用遮断弁11が設置され、ポンプ3と逃げ水用配管9との間には逃げ水用遮断弁11Aが設置され、ポンプ4と逃げ水用配管9との間には逃げ水用遮断弁11Bが設置されている。吐出側遮断弁10、吐出側遮断弁10A、吐出側遮断弁10Bを開とし、逃げ水用遮断弁11、逃げ水用遮断弁11A、逃げ水用遮断弁11Bを閉とすることで、ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4から吐出される冷却水16は、二次冷却水として供給用配管8に供給され、逆に、吐出側遮断弁10,10A,10Bを閉とし、逃げ水用遮断弁11,11A,11Bを開とすることで、ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4から吐出される冷却水16は、逃げ水用配管9を経由して貯水槽1に循環するようになっている。吐出側遮断弁10,10A,10B及び逃げ水用遮断弁11,11A,11Bの開閉は個別に制御されるようになっており、ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4から吐出される冷却水16の流出先はそれぞれ個別に制御されるようになっている。
【0019】
尚、図1では、冷却水16を供給するためのポンプは3基であるが、ポンプの設置数が2基以上であって少なくともその内の1基が定速度運転を行い、少なくともその内の1基が回転数を変更するならば、ポンプの設置数は幾つであっても構わない。但し、本発明では二次冷却水の必要最小量は定速度運転を行なうポンプが供給するので、定速度運転を行なうポンプの吐出流量が二次冷却水の最小必要量を確保するように、定速度運転を行なうポンプの吐出能力及び設置数を決める必要がある。
【0020】
供給用配管8の流出側は、二次冷却帯の各ゾーンを構成する枝管8Aに分岐し、分岐した各ゾーンの枝管8Aには、遮断弁12、流量計13、流量調節弁14がそれぞれ設置され、その先は更に細かく分岐し、細かく分岐した先端にはスプレーノズル15が設置されている。二次冷却水としてスプレーノズル15から噴霧される水量は、各ゾーンの流量調節弁14によって制御されている。この場合、例えばポンプ2が定速度運転をしている場合でも、各流量調整弁14により設定される合計流量は、ポンプ2の吐出流量の範囲内における任意の値に調整されていて、各流量調節弁14が設定するだけの流量の冷却水16がスプレーノズル15から噴霧されるようになっている。そして、スプレーノズル15から噴霧された冷却水16は集められ、戻り用水路(図示せず)を通って貯水槽1に循環するようになっている。
【0021】
このような構成の二次冷却設備において、以下のようにして本発明方法を実施する。ここでは、ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4の全てのポンプを停止した状態から運転する場合について説明する。
【0022】
吐出側遮断弁10、吐出側遮断弁10A及び吐出側遮断弁10Bを閉じ、且つ、逃げ水用遮断弁11、逃げ水用遮断弁11A及び逃げ水用遮断弁11Bを開けた状態として、連続鋳造機の鋳造を開始する前に、ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4を順次起動する。
【0023】
ポンプ2は、電源5から供給される一定電力によってポンプの回転数は直ちに所定値まで上昇し、これによりポンプ2からの吐出流量も所定値まで上昇する。ポンプ2の回転数が所定値になったなら、各流量調節弁14の開度をおよそ最小流量値とし且つ各遮断弁12を開けた状態として吐出側遮断弁10を開とする。吐出側遮断弁10を開放したことでポンプ2から吐出される冷却水16の一部が供給用配管8に流入し、枝管8Aを通ってスプレーノズル15から噴霧される。供給用配管8からスプレーノズル15に至るまでの各配管内に冷却水16が流入することで、仮にこれらの配管内に空気が浸入していたとしても、冷却水16によって排出される。スプレーノズル15からの冷却水16の噴霧が確認されたなら、逃げ水用遮断弁11を閉としてポンプ2から吐出される冷却水16を全て供給用配管8に流入させる。尚、吐出側遮断弁10及び各遮断弁12を開とし、逃げ水用遮断弁11を閉とした状態として、ポンプ2を起動させてもよいが、圧力を高められた冷却水16が一気に供給用配管8に流入すると、流量調節弁14の破損や供給用配管8或いは枝管8Aの破損が発生することもあり、これを防止するためには上記のように操作することが好ましい。
【0024】
ポンプ3及びポンプ4は、可変速制御装置6及び可変速制御装置6Aの制御により、最小回転数で運転を開始する。この状態においては、ポンプ2の回転数に比べてポンプ3及びポンプ4の回転数は少ないので、ポンプ3及びポンプ4からの吐出圧はポンプ2からの吐出圧よりも低くなる。吐出側遮断弁10A,10Bを閉じた状態であるので、ポンプ2からの吐出流がポンプ3及びポンプ4に逆流することはない。また、逃げ水用遮断弁11A,11Bを開放しているので、ポンプ3及びポンプ4からの吐出流は逃げ水用配管9に流入し、ポンプ3及びポンプ4は異常過熱することがない。尚、吐出側の遮断弁を閉じた状態でポンプの運転を継続した場合には、ポンプが異常過熱するが、本発明においてはこの異常過熱が防止される。
【0025】
連続鋳造機の鋳造に当たり、鋳片幅、鋳片引き抜き速度、鋳造する鋼種がライン制御装置7に入力され、ライン制御装置7は入力されたデータに基づき必要冷却水量を演算する。演算により求めた必要冷却水量と、ポンプ2、ポンプ3、ポンプ4の吐出流量とを対比して、ポンプ3及びポンプ4の運転の必要性を決定し、その信号を可変速制御装置6及び可変速制御装置6Aに入力する。可変速制御装置6及び可変速制御装置6Aはライン制御装置7からの信号に基づいてポンプ3及びポンプ4の回転数を制御する。但し、本発明においてはポンプ2を常時運転しており、ポンプ2の吐出圧は常に或る一定の値であるので、ポンプ3及びポンプ4からの吐出流を二次冷却水として使用する場合には、ポンプ3及びポンプ4からの吐出圧をポンプ2の吐出圧と同等にする必要がある。従って、可変速制御装置6及び可変速制御装置6Aによるポンプ3及びポンプ4の回転数制御は、最小回転数と定格回転数の2種類になる。定格回転数の場合にポンプ2の吐出圧と同等になるように設定されている。
【0026】
ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4の運転方法を図2に基づき具体的に説明する。図2は、ポンプ2,3,4から構成される3台のポンプで冷却水を供給する場合の必要流量と各ポンプの回転数との関係を示す図である。ここで、図2に示す1台目のポンプはポンプ2を指し、2台目のポンプはポンプ3を指し、3台目のポンプはポンプ4を指しており、ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4の吐出流量はほぼ同一であるとしている。
【0027】
図2に示すように、1台のポンプ即ちポンプ2のみでは0〜Q1 の範囲の必要流量を供給可能であり、2台のポンプ即ちポンプ2とポンプ3とではQ1 〜Q2 の範囲の必要流量を供給可能であり、3台のポンプ即ちポンプ2とポンプ3とポンプ4ではQ2 〜Q3 の範囲の必要流量を供給可能である。
【0028】
必要流量が0〜Q1 の範囲の場合には、所定の回転数で回転し続けるポンプ2からの吐出流のみを供給用配管8に流入させ、スプレーノズル15から噴霧される冷却水量の調整は各流量調節弁14の開度調整によって実施する。この場合、ポンプ3及びポンプ4は最小回転数で運転し、その吐出流を逃げ水用配管9に排出させる。
【0029】
このようにして運転していたときに、Q2 〜Q3 の範囲の必要流量を供給する必要が生じた場合には、経過時間t1 の直前にポンプ3の回転数を最小回転数から定格回転数に向かって徐々に上昇させると同時に逃げ水用遮断弁11Aを閉じ、そして、ポンプ3からの吐出圧がポンプ2からの吐出圧と同等になった時点(経過時間t1 )で、吐出側遮断弁10Aを開けてポンプ3からの吐出流を供給用配管8に流入させる。更に、経過時間t2 の直前にポンプ4の回転数を最小回転数から定格回転数に向かって徐々に上昇させると同時に逃げ水用遮断弁11Bを閉じ、そして、ポンプ4からの吐出圧がポンプ2からの吐出圧と同等になった時点(経過時間t2 )で、吐出側遮断弁10Bを開けてポンプ4からの吐出流を供給用配管8に流入させる。ポンプ2、ポンプ3及びポンプ4からの吐出量の和はQ2 〜Q3 の範囲の必要流量を補うことができ、スプレーノズル15から噴霧される冷却水16の総和は、このQ2 〜Q3 の範囲内の任意の流量に各流量調節弁14によって制御される。
【0030】
0〜Q1 の範囲の必要流量に戻る場合には、経過時間t3 の時点でポンプ4の回転数を定格回転数から最小回転数に徐々に減少させると同時に吐出側遮断弁10Bを閉じ且つ逃げ水用遮断弁11Bを開とし、更に、経過時間t4 の時点でポンプ3の回転数を定格回転数から最小回転数に徐々に減少させると同時に吐出側遮断弁10Aを閉じ且つ逃げ水用遮断弁11Aを開とする。
【0031】
上記の説明では、ポンプ3及びポンプ4の運転を分かりやすくするために経過時間をずらして説明したが、実際の場合には、経過時間t1 と経過時間t2 とが同時であっても構わない。また、Q1 〜Q2 の範囲の必要流量を供給する場合には、ポンプ3の吐出流のみを上記の説明に沿って供給用配管8に流入させればよい。
【0032】
このようにして連続鋳造機の二次冷却用の冷却水を供給することで、ポンプ3及びポンプ4の起動回数が削減され、起動・停止に起因するポンプの寿命低下の問題が解消される。また、ポンプ3及びポンプ4の吐出流を二次冷却水として使用する際には吐出圧をポンプ2と同等にするので、供給用配管8からスプレーノズル15に至る間の冷却水16の圧力変動がなく、安定して供給することができる。また、必要最小限のポンプのみに可変速制御装置を設置すればよく、設備コストを抑制することができる。
【0033】
尚、本発明は上記説明の範囲に限るものではなく、様々な変化が可能である。例えば、上記説明ではポンプ2,3,4の吐出流量が同等であるが、吐出圧が同等であるならば、吐出流量は同等である必要はない。また、連続鋳造機の二次冷却水の例で説明したが、例えば圧縮空気を圧送するためのポンプの運転方法であっても、上記に沿って本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を実施する際に用いた連続鋳造機の二次冷却設備の概略図である。
【図2】3台のポンプで冷却水を供給する場合の必要流量と各ポンプの回転数との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 貯水槽
2 ポンプ
3 ポンプ
4 ポンプ
5 電源
6 可変速制御装置
7 ライン制御装置
8 供給用配管
9 逃げ水用配管
10 吐出側遮断弁
11 逃げ水用遮断弁
12 遮断弁
13 流量計
14 流量調節弁
15 スプレーノズル
16 冷却水
17 入側配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変速制御装置によって回転数の変更が可能なポンプと、定速度運転を行なうポンプとを組み合せて流体を供給するに際し、前記双方のポンプを常時運転させておき、定速度運転を行なうポンプのみで流体の必要量を供給可能なときには、回転数の変更が可能なポンプの回転数を最小回転数にするとともに回転数の変更が可能なポンプと供給用配管との間の遮断弁を閉じ且つ当該ポンプと逃げ水用配管との間の遮断弁を開けて、回転数の変更が可能なポンプから供給される流体を逃げ水用配管から排出し、一方、定速度運転を行なうポンプのみでは流体の必要量を供給できないときには、回転数の変更が可能なポンプの回転数を定格回転数に上昇させるとともに回転数の変更が可能なポンプと逃げ水用配管との間の遮断弁を閉じ、回転数の変更が可能なポンプからの吐出圧が所定の値以上になったなら、回転数の変更が可能なポンプと供給用配管との間の遮断弁を開けて、回転数の変更が可能なポンプから供給される流体と定速度運転を行なうポンプから供給される流体とを、併せて供給用配管に供給することを特徴とする、流体供給用ポンプの運転方法。
【請求項2】
前記流体は、連続鋳造機の二次冷却用の冷却水であることを特徴とする、請求項1に記載の流体供給用ポンプの運転方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−183496(P2006−183496A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375564(P2004−375564)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】