説明

流体制御装置

【課題】 コストを減少するとともに、スペースの減少も可能とした流体制御装置を提供する。
【解決手段】 流体制御装置1は、流体制御部2と流体導入部3とを有している。流体導入部3は、3つに分けられており、入口側に配置されてそれぞれ2×N/2個の開閉弁23からなる第1および第2入口側遮断開放部5,6と、4×M個の開閉弁23からなり、第1および第2入口側遮断開放部5,6と流体制御部2との間に配置された流体制御部側遮断開放部7とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体製造装置等に使用される流体制御装置に関し、特に、複数の流体制御機器が集積化されて形成される流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置で使用される流体制御装置においては、複数の流体制御機器が直列状に配されてパイプや継手を介さずに接続されることによって形成された複数のラインをベース部材上に並列状に設置するという集積化が進んでいる(特許文献1および特許文献2)。
【0003】
特許文献1の流体制御装置においては、図7に示すように、1つの流量制御器(21)を基本構成要素として1列のプロセスガス制御ライン(流体制御ライン)が構成され、複数(流量制御器(21)の数と同じ)のプロセスガス制御ラインL1〜L16が並列に配置されることで、流体制御装置が構成されている。流体制御ラインL1〜L16にさらに並列に追加されているラインPは、パージガスラインである。
【0004】
図7において、各プロセスガス制御ラインL1〜L16は、入口側から、フィルタ(24)、入口側の2つの開閉弁(23)、流量制御器(マスフローコントローラ)(21)および出口側の開閉弁(25)を有しており、各プロセスガス制御ラインL1〜L16に共通の出口部分にも、開閉弁(26)が設けられている。
【0005】
このような流体制御装置においては、全てのプロセスガス制御ラインL1〜L16に常に流体(ガス)が流されているわけではなく、2〜3ラインを使用して、異なる種類や異なる流量のガスが順次切り換えられ、流量調整器(21)によってその流量が調整されて、下流側のチャンバーへと送られる。流量調整器(21)として使用されるマスフローコントローラは、流量センサおよびコントロール弁などを内蔵したもので、高価でかつ頻繁なメンテナンスが必要であり、全体のコストを増加させる要因となっている。一方、半導体製造装置で使用される流体制御装置では、流体種類が増加する傾向にあり、それに伴って、スペースおよびコストが増加するという問題がある。
【0006】
また、特許文献2の流体制御装置においては、1つの流量制御器を基本構成要素として入口および出口を1つずつ有する1列の流体制御ラインがM列配置された流体制御部と、複数の開閉弁によって入口数がN(>M)で出口数がMとなるように構成された流体導入部とを有し、流体導入部のM個の出口と流体制御部のM個の入口とがそれぞれ1:1で接続されている。
【0007】
この特許文献2のものを図7に示した従来の流体制御装置に対応させると、図6に示すように、M個(図示は8個)の流量制御器(21)を基本構成要素とする流体制御ラインL1〜L8がM列配置された流体制御部(2)と、複数の開閉弁(23)によって入口数がN(図示は16個)で出口数がMとなるように構成された流体導入部(3)とを有しているものとなる。
【0008】
同図において、各流体制御ラインL1〜L8は、プロセスガスを制御するラインであり、これらに並列となるように、1列のパージガスラインPが設けられている。
【0009】
流量制御器(21)としては、マスフローコントローラが使用されている。マスフローコントローラ(21)は、流量調整可能範囲が比較的狭いため、同じ種類の流体であってもその流量調整範囲が異なる場合には別のマスフローコントローラ(21)が使用されており、M列の流体制御ラインL1〜L8によって、M種類のプロセスガス(同じプロセスガスで流量が異なるものを含む)の流量を調整することができる。
【0010】
流体導入部(3)は、N×M個の開閉弁(23)からなり、流体導入部(3)のM個の出口と流体制御部(2)のM個の入口とは、それぞれ1:1に対応するように接続されている。
【0011】
流体導入部(3)のN個の各入口には、フィルタ(24)および手動弁(27)がそれぞれ設けられている。M列の各流体制御ラインL1〜L8には、それぞれ2つの出口側開閉弁(25)が設けられている。また、流体制御部(2)の出口側には、各流体制御ラインL1〜L8に共通の圧力スイッチ(28)、フィルタ(24)および開閉弁(26)が設けられている。
【0012】
なお、流量制御器としては、マスフローコントローラの他に、圧力式のものも知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−206700号公報
【特許文献2】特開2000−323464号公報
【特許文献3】特許第3387849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の図6に示す流体制御装置によると、図7に示す流体制御装置に比べて、相対的にコストが高くメンテナンスが面倒な流量制御器(21)を含む流体制御ラインが16列(N列)から8列(M列)に減らされるという利点があるが、開閉弁(23)の数が大幅に増加するため、入口の数を多くしたい場合には、利点が十分に生かされないという問題がある。
【0015】
この発明の目的は、コストを減少するとともに、スペースの減少も可能とした流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明による流体制御装置は、1つの流量制御器を基本構成要素として入口および出口を1つずつ有する1列の流体制御ラインがM列配置された流体制御部と、複数の開閉弁によって入口数がN(>M)で出口数がMとなるように構成された流体導入部とを有し、流体導入部のM個の出口と流体制御部のM個の入口とがそれぞれ1:1で接続されている流体制御装置において、流体導入部は、複数の開閉弁からなり入口側に配置されて入口の総数がN個で出口の総数がK個である入口側遮断開放部と、複数の開閉弁からなり入口側遮断開放部と流体制御部との間に配置されて入口の総数がK個で出口の総数がM個である流体制御部側遮断開放部とに分けられるとともに、入口側遮断開放部は、それぞれ2以上の所要数の開閉弁を有する複数のグループに分けられていることを特徴とするものである。
【0017】
この流体制御装置は、入口数がN個、出口数がM個であり、M列の流体制御ライン(例えばL1〜L8)を使用してN種類の流体の流量を調整することができる。
【0018】
1列の流体制御ラインは、流量制御器単独または流量制御器に所要の流体制御機器が接続されることで形成される。ここで、流体制御機器は、流量制御器(マスフローコントローラまたは流体可変型流量制御装置)以外の流体制御装置構成要素を意味し、流体制御機器としては、開閉弁(流体通路の遮断・開放を行う弁)、減圧弁、圧力表示機、フィルタ、圧力スイッチなどが適宜使用される。流体制御装置に必要な流体制御機器は、流体導入部のN個の入口にそれぞれ設けられるものと、M列の流体制御ラインのそれぞれに設けられるものと、流体制御部の出口にM列の流体制御ラインに共通のものとして設けられるものとに分けられて、適宜な箇所に配置される。
【0019】
1つの流体制御ラインは、例えば、下段層となる複数のブロック状継手部材がおねじ部材によって可動レールに取り付けられ、隣り合う継手部材にまたがるように上段層となる複数の流体制御機器および流量制御器が上方からのねじ部材によって継手部材に取り付けられたものとされる。
【0020】
一般的には、入口の総数がN個で出口の総数がK個である入口側遮断開放部は、N×K個の開閉弁からなるものとされ、K個で出口の総数がM個である流体制御部側遮断開放部は、K×M個の開閉弁からなるものとされるが、入口側遮断開放部がそれぞれ2以上の所要数の開閉弁を有する複数(例えば2つまたは4つ)のグループに分けられていることで、入口側遮断開放部の開閉弁の総数が、2つのグループに分けられている場合には、N×K/2個に、4つのグループに分けられている場合には、N×K/4個に減少する。
【0021】
例えば、流体導入部は、それぞれN1×2個および(N−N1)×2個の開閉弁からなる第1および第2の入口側遮断開放部と、4×M個の開閉弁からなる流体制御部側遮断開放部とからなることがある。N1は、例えばN/2とされる。Nは入口数で、Mは出口数であり、この場合には、第1および第2入口側遮断開放部によって、入口数N個に対して出口数が4個(流体種類は、最大で各入口側遮断開放部に2種類ずつ計4種類に限定)とされ、流体制御部側遮断開放部によって4種類の流体がM個の出口のいずれかに分配される。このようにすることで、流体導入部を構成するのに必要な開閉弁の数を減少することができる。
【0022】
また、流体導入部は、N=N1+N2+N3+N4として、それぞれN1,N2,N3およびN4個の開閉弁からなる第1から第4までの入口側遮断開放部と、4×M個の開閉弁からなる流体制御部側遮断開放部とからなることがある。例えば、N1=N2=N3=N4=N/4とされる。Nは入口数で、Mは出口数であり、この場合には、第1から第4までの入口側遮断開放部によって、入口数N個に対して出口数が4個(流体種類は、最大で各入口側遮断開放部に1種類ずつ計4種類に限定)とされ、流体制御部側遮断開放部によって4種類の流体がM個の出口のいずれかに分配される。このようにすることで、流体導入部を構成するのに必要な開閉弁の数をより一層減少することができる。
【0023】
また、流体導入部は、それぞれN/4個の開閉弁からなる第1から第4までの入口側遮断開放部と、それぞれ2×M/2個の開閉弁からなる第1および第2の流体制御部側遮断開放部とからなることがある。Nは入口数で、Mは出口数であり、この場合には、第1から第4までの入口側遮断開放部によって、入口数N個に対して出口数が4個(流体種類は、最大で各入口側遮断開放部に1種類ずつ計4種類に限定)とされ、第1および第2の流体制御部側遮断開放部によって4種類の流体がM個の出口のいずれかに分配される。このようにすることで、流体制御部側遮断開放部の開閉弁を減らすことができ、流体導入部を構成するのに必要な開閉弁の数をより一層減少することができる。
【0024】
流量制御器としては、例えば、マスフローコントローラを使用することができ、マスフローコントローラは、入口通路および出口通路が形成された本体と、本体に取り付けられた流量センサおよびピエゾ圧電素子式コントロール弁とからなるものとされることがあり、また、開閉制御弁、圧力センサ、絞り部、流量センサおよび制御部からなるものとされることがある。
【0025】
流量制御器としては、圧力式のもの(圧力式流量制御装置)とされることがあり、このような流量制御器としては、例えば、オリフィスの上流側圧力を下流側圧力の約2倍以上に保持した状態で流体の流量制御を行なう圧力式のものであって、金属薄板に微小な孔を穿設して形成されかつ所要の流量特性を具備したオリフィスと、オリフィスの上流側に設けたコントロール弁と,コントロール弁とオリフィス間に設けた圧力検出器と、圧力検出器の検出圧力Pから流量QcをQc=K×P(但しKは定数)として演算するとともに、流量指令信号Qsと前記演算した流量信号Qcとの差を制御信号Qyとしてコントロール弁の駆動部へ出力する演算制御装置とから構成され、コントロール弁の開閉によりオリフィス上流側圧力を調整し、オリフィス下流側流量を制御するものがある。
【0026】
この圧力式流量制御器によると、1台の圧力式流量制御器によって複数種類の流体の流量を調整することが可能であり、したがって、M個の流量制御器を有するM列の流体制御ラインがm(<M)個の該圧力式流量制御器を有するM列の流体制御ラインで置き換え可能となる。このようにすることで、入口数および出口数を同じに保って、流体制御部で使用される流量制御器の数を減少することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明の流体制御装置によると、N個の入口数に対応して、M(<N)列の流体制御ラインが対応させられているので、コスト増加要因となる流量制御器を減少することができ、全体のコストを下げることができる。また、複数の開閉弁からなる流体導入部の開閉弁の数の増加が抑えられているので、より一層のコスト低減ができるとともに、全体としての設置スペースも減少する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、この発明による流体制御装置の第1実施形態を示すフロー図である。
【図2】図2は、この発明による流体制御装置の第2実施形態を示すフロー図である。
【図3】図3は、この発明による流体制御装置の第3実施形態を示すフロー図である。
【図4】図4は、この発明による流体制御装置の第4実施形態を示すフロー図である。
【図5】図5は、この発明による流体制御装置の第4実施形態で使用されている流量制御器を示すブロック図である。
【図6】図6は、この発明による流体制御装置の比較例となる従来の流体制御装置を示すフロー図である。
【図7】図7は、従来の流体制御装置の他の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、図6に示したものと同じ構成には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0030】
図1は、この発明の流体制御装置の第1実施形態を示している。
【0031】
この実施形態の流体導入部(3)は、3つに分けられており、入口側に配置されてそれぞれ2×N/2個の開閉弁(23)からなる第1および第2入口側遮断開放部(5)(6)と、4×M個の開閉弁(23)からなり、第1および第2入口側遮断開放部(5)(6)と流体制御部(2)との間に配置された流体制御部側遮断開放部(7)とからなる。
【0032】
第1および第2入口側遮断開放部(5)(6)は、N個の入口を2つの入口側遮断開放部に分けるもので、それぞれN/2個の入口と2個の出口とを有している。これにより、第1および第2入口側遮断開放部(5)(6)を合わせた出口数(流体制御部側遮断開放部(7)にとっては入口数)は、(2+2)個となり、この計4個の出口数に対応して、流体制御部側遮断開放部(7)を4×M個の開閉弁(23)によって構成することで、流体導入部(3)全体としては、M個の出口が得られ、流体導入部(3)のM個の出口と流体制御部(2)のM個の入口とが、それぞれ1:1に対応するように接続されている。
【0033】
図6に示したものでは、流体制御部(2)へは最大でM種類(8種類)の流体を同時に導入することができる。しかしながら、実用的には、流体制御部(2)へは最大で4種類の流体を同時に導入することができればよく、この条件下では、第1実施形態のようにすることで、開閉弁(23)の数の減少が可能となる。なお、この実施形態では、第1および第2入口側遮断開放部(5)(6)ともに出口数は2つであり、4種類の流体を同時に導入するに際しては、第1および第2入口側遮断開放部(5)(6)のいずれか一方に4種類とも導入することはできないので、第1および第2入口側遮断開放部(5)(6)にそれぞれ2種類ずつの流体が導入されることになる。
【0034】
こうして、第1実施形態のものによると、図6のものに比べて、開閉弁(23)の数がN×M個から(2N+4×M)個に減らされている。
【0035】
図2は、この発明の流体制御装置の第2実施形態を示している。
【0036】
この実施形態の流体導入部(3)は、5つに分けられており、入口側に配置されてそれぞれN/4個の開閉弁(23)からなる第1から第4までの入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)と、4×M個の開閉弁(23)からなり、第1から第4までの入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)と流体制御部(2)との間に配置された流体制御部側遮断開放部(7)とからなる。
【0037】
流体制御部側遮断開放部(7)は、第1実施形態のものと同じ構成とされている。第1実施形態との相違点は、第1実施形態における第1および第2入口側遮断開放部(5)(6)がそれぞれさらに分割されて4つの入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)に分けられている点にある。第2実施形態のものによると、第1から第4までの各入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)にそれぞれ1種類ずつの流体が導入されることで、第1実施形態と同様に、第1から第4までの入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)の総出口数(流体制御部側遮断開放部(7)にとっては入口数)は、(1+1+1+1)の4個となり、この計4個の出口数を4×M個の開閉弁(23)からなる流体制御部側遮断開放部(7)の各入口に対応させることで、流体導入部(3)全体としては、M個の出口が得られ、流体導入部(3)のM個の出口と流体制御部(2)のM個の入口とが、それぞれ1:1に対応するように接続されている。
【0038】
こうして、第2実施形態のものによると、第1実施形態のものに比べて、開閉弁(23)の数がN個さらに減らされている。
【0039】
図3は、この発明の流体制御装置の第3実施形態を示している。
【0040】
この実施形態の流体導入部(3)は、6つに分けられており、入口側に配置されてそれぞれN/4個の開閉弁(23)からなる第1から第4までの入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)と、それぞれ2×M/2個の開閉弁(23)からなり、第1から第4までの入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)と流体制御部(2)との間に配置された第1および第2の流体制御部側遮断開放部(12)(13)とからなる。
【0041】
第1から第4までの入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)は、第2実施形態のものと同じ構成とされている。第3実施形態の第2実施形態との相違点は、第2実施形態における流体制御部側遮断開放部(7)がそれぞれ分割されて2つの流体制御部側遮断開放部(12)(13)とされている点にある。第1および第2の流体制御部側遮断開放部(12)(13)は、全体として、入口数が4個、出口数がM個であり、これは、第2実施形態と同じである。
【0042】
したがって、第3実施形態のものによると、第1から第4までの各入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)にそれぞれ1種類ずつの流体が導入されることで、第3実施形態と同様に、第1から第4までの入口側遮断開放部(8)(9)(10)(11)の総出口数(流体制御部側遮断開放部(12)(13)にとっては入口数)は、(1+1+1+1)の4個となり、この計4個の出口数を第1流体制御部側遮断開放部(12)の2個の入口および第2流体制御部側遮断開放部(13)の2個の入口にそれぞれ対応させることで、流体制御部側遮断開放部(12)(13)全体(流体導入部(3)全体)としては、M個の出口が得られ、流体導入部(3)のM個の出口と流体制御部(2)のM個の入口とが、それぞれ1:1に対応するように接続されている。
【0043】
こうして、第3実施形態のものによると、第2実施形態のものに比べて、流体制御部側遮断開放部(12)(13)の開閉弁(23)の数が半分(M/2個)に減らされている。
【0044】
図4は、この発明の流体制御装置の第4実施形態を示している。第4実施形態のものは、第3実施形態のものと流体制御部(2)(4)の構成が相違している。
【0045】
第4実施形態のものでは、流量制御器(22)が、マスフローコントローラ(21)に代えて、圧力式のものとされている。
【0046】
この流量制御器(21)は、図5に示すように、コントロール弁(31)、その駆動部(32)、圧力検出器(33)、オリフィス(34)、流体取出用継手(35)、流量演算回路(36)、流体種類選択回路(37)、流量設定回路(38)、比FF記憶部(39)、流量演算部(40)、流量表示部(41)および演算制御回路(42)からなる。
【0047】
流量演算回路(36)は、温度検出器(44)、増幅回路(43)(45)、A/D変換器(46)(47)、温度補正回路(48)および演算回路(49)からなる。また、演算制御回路(42)は比較回路(50)および増幅回路(51)からなる。
【0048】
コントロール弁(31)には、所謂ダイレクトタッチ型のメタルダイヤフラム弁が使用されており、また、その駆動部(32)には圧電素子型駆動装置が使用されている。なお、これらの駆動部としてはこの他に、磁歪素子型駆動装置やソレノイド型駆動装置、モータ型駆動装置、空気圧型駆動装置、熱膨張型駆動装置が用いられる。
【0049】
圧力検出器(33)には半導体歪型圧力センサーが使用されているが、圧力検出器としてはこの他に、金属箔歪型圧力センサーや静電容量型圧力センサー、磁気抵抗型圧力センサー等の使用も可能である。温度検出器(44)には熱電対型温度センサーが使用されているが、測温抵抗型温度センサー等の公知の各種温度センサーが使用できる。
【0050】
オリフィス(34)は、所要の流量特性を具備するように、金属薄板製ガスケットに切削加工によって微小な孔を穿設して形成されている。オリフィスとしてはこの他に、エッチング及び放電加工により金属膜に孔を形成したオリフィスを使用することができる。
【0051】
流体種類選択回路(37)は、流体を選択するもので、流量設定回路(38)はその流量設定信号Qe を演算制御回路(42)に指令する。比FF記憶部(39)はNガスに対する比FFを記憶したメモリーである。流量演算部(40)では比FFのデータを用いて、流通している流体種類の流量QをQ=比FF×Q(Q は相当Nガス流量)で演算し、この値を流量表示部(41)に表示する。
【0052】
この流量制御器(22)では、上流側圧力を下流側圧力の約2倍以上に保持しながら特定の流体に関し下流側の流量QcをQc=K×P(K:定数)で演算できるように設定し、この演算流量Qcと設定流量Qsとの差信号によりコントロール弁(31)が開閉制御される。
【0053】
ここで、流体種類毎にフローファクターFFは、次式で計算される。
【0054】
FF=(k/γ){2/(κ+1)}1/(κ−1)[κ/{(κ+1)R}1/2
γ:流体の標準状態に於ける密度、κ:流体の比熱比、R:流体定数、k:流体種類に依存しない比例定数。
【0055】
そして、比FF記憶部(39)に記憶された流体種類Bの流体種類Aに対する比フローファクターを使用して、流量演算部(40)において、基準となる流体種類Aの演算流量がQaの場合に、同一オリフィス、同一上流側圧力および同一上流側温度の条件下で流体種類Bを流通させたとき、その演算流量QbがQb=比フローファクター×Qaとして算出される。
【0056】
これにより、1台の流量制御器(22)を複数の流体種類に対応させることができ、第4実施形態のものでは、これを使用することで、第3実施形態のものに比べて、M個の流量制御器(21)をm個(例えば半分)の流量制御器(22)とすることが可能となる。減らされる流量制御器(22)の数は、流体の種類や流量範囲によって適宜変更される。
【0057】
この第4実施形態の流体制御部(4)は、第1から第3までの実施形態の流体制御装置(1)にも適用可能であり、これにより、各実施形態から流量制御器(21)の数を減らすことができる。
【符号の説明】
【0058】
(1) 流体制御装置
(2)(4) 流体制御部
(3) 流体導入部
(5)(6) 第1および第2入口側遮断開放部
(7) 流体制御部側遮断開放部
(8)(9)(10)(11)第1〜第4入口側遮断開放部
(12)(13) 第1および第2流体制御部側遮断開放部
(21)(22) 流量制御器
(23) 開閉弁
(31) コントロール弁
(32) 駆動部
(33) 圧力検出器
(34) オリフィス
(42) 演算制御回路(演算制御装置)
L1〜L8 流体制御ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの流量制御器を基本構成要素として入口および出口を1つずつ有する1列の流体制御ラインがM列配置された流体制御部と、複数の開閉弁によって入口数がN(>M)で出口数がMとなるように構成された流体導入部とを有し、流体導入部のM個の出口と流体制御部のM個の入口とがそれぞれ1:1で接続されている流体制御装置において、
流体導入部は、複数の開閉弁からなり入口側に配置されて入口の総数がN個で出口の総数がK個である入口側遮断開放部と、複数の開閉弁からなり入口側遮断開放部と流体制御部との間に配置されて入口の総数がK個で出口の総数がM個である流体制御部側遮断開放部とに分けられるとともに、入口側遮断開放部は、それぞれ2以上の所要数の開閉弁を有する複数のグループに分けられていることを特徴とする流体制御装置。
【請求項2】
流体導入部は、それぞれN1×2個および(N−N1)×2個の開閉弁からなる第1および第2入口側遮断開放部と、4×M個の開閉弁からなる流体制御部側遮断開放部とからなる請求項1の流体制御装置。
【請求項3】
流体導入部は、N=N1+N2+N3+N4として、それぞれN1,N2,N3およびN4個の開閉弁からなる第1から第4までの入口側遮断開放部と、4×M個の開閉弁からなる流体制御部側遮断開放部とからなる請求項1の流体制御装置。
【請求項4】
流体導入部は、それぞれN/4個の開閉弁からなる第1から第4までの入口側遮断開放部と、それぞれ2×M/2個の開閉弁からなる第1および第2の流体制御部側遮断開放部とからなる請求項1の流体制御装置。
【請求項5】
流量制御器は、オリフィスの上流側圧力を下流側圧力の約2倍以上に保持した状態で流体の流量制御を行なう圧力式のものであって、金属薄板に微小な孔を穿設して形成されかつ所要の流量特性を具備したオリフィスと、オリフィスの上流側に設けたコントロール弁と,コントロール弁とオリフィス間に設けた圧力検出器と、圧力検出器の検出圧力Pから流量QcをQc=K×P(但しKは定数)として演算するとともに、流量指令信号Qsと前記演算した流量信号Qcとの差を制御信号Qyとしてコントロール弁の駆動部へ出力する演算制御装置とから構成され、コントロール弁の開閉によりオリフィス上流側圧力を調整し、オリフィス下流側流量を制御するものとされており、M個の流量制御器を有するM列の流体制御ラインがm(<M)個の該圧力式流量制御器を有するM列の流体制御ラインで置き換えられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかの流体制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−204899(P2010−204899A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49045(P2009−49045)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】