説明

流体噴射装置とその印刷方法

【課題】印刷する画像データの変更を伴うことなく、高精度の重ね合わせ印刷を実現できる流体噴射装置を提供する。
【解決手段】所定の光の照射を受けて硬化する材料を含む流体を複数の噴射ヘッド42から帯状の記録媒体Wに向けて噴射する第1工程と、記録媒体に向けて所定の光を照射する第2工程とを有する。第1工程及び第2工程を繰り返して記録媒体上に第1印刷データと、第1印刷データに重ね合わされる第2印刷データとを形成する。記録媒体に生じた伸縮に対応させて、複数の噴射ヘッドの位置を調整する調整工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置とその印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、普通紙を代表とする様々な記録媒体に対して印刷可能な記録装置として、インクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、記録ヘッドの記録媒体に対向する面に設けられた吐出口(以下、ノズル)から色材であるインクを直接記録媒体に対して吐出して、記録媒体上に着弾、浸透若しくは定着させることで記録媒体上に画像を形成する記録装置であり、工程の単純さ、印刷時における静粛性及び印字、印画品質の点で非常に優れた特徴がある。
【0003】
近年、インクジェット記録装置を用いて、樹脂や金属等のインク吸収性を有さない種々の材料を記録媒体として画像記録を行う場合があり、このような記録媒体に対してインクを定着させるために、光硬化型インクが用いられていることが多い。通常、この光硬化型インクを用いたインクジェット記録装置には、インクを硬化させるための紫外線照射装置が配設されており、記録媒体に画像を記録する際は、インクを記録媒体に着弾させた直後に、インクの硬化が可能な一定の照射時間及び照射回数の条件下で、紫外線照射装置に具備された光源から紫外線を照射してインクを硬化定着させている。
【0004】
一方、上記の記録装置では、印刷動作と間欠的な紙送りとを行うことにより、ロール状に巻回した連続紙等の記録媒体に対して連続印刷を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、連続紙の送り経路には連続紙を水平に吸着セットする吸着テーブルが配設されており、印刷動作では吸着テーブル(セット面)に吸着セットされた部分の連続紙に対して印刷を行うと共に、紙送りでは描画済み部分を吸着テーブルから送り出すようになっている。
【0005】
この種の記録媒体では、光硬化型インクに対して紫外線を照射した場合には、記録媒体に熱が加わって、記録媒体が伸縮(膨張)してしまい、例えば複数回のスキャン(走査)で画像を形成する場合には、先に印刷した画像と、後に印刷した画像との重ね合わせに誤差が生じて、色ずれや像の歪みが生じてしまう。
そこで、特許文献1〜3には、熱等により記録媒体が伸縮した場合でも、高精度に画像を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−190780号公報
【特許文献2】特開2000−290882号公報
【特許文献3】特開平7−137238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
上記の技術では、画像データを拡大したものに変更する等、印刷条件を変更する必要が生じ、生産効率を低下させる虞がある。また、画像データの履歴を保存する場合、連続的に印刷が行われる記録媒体を用いると、膨大な量のデータ保存が必要になってしまう。
また、上述した記録媒体の伸縮は、熱以外にも湿度や張力等の変動によっても生じるため、その場合の対策も必要になる。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、印刷する画像データの変更を伴うことなく、高精度の重ね合わせ印刷を実現できる流体噴射装置とその印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の流体噴射装置の印刷方法は、所定の光の照射を受けて硬化する材料を含む流体を複数の噴射ヘッドから帯状の記録媒体に向けて噴射する第1工程と、前記記録媒体に向けて前記所定の光を照射する第2工程とを有し、前記第1工程及び前記第2工程を繰り返して前記記録媒体上に第1印刷データと、該第1印刷データに重ね合わされる第2印刷データとを形成する流体噴射装置の印刷方法であって、前記記録媒体に生じた伸縮に対応させて、前記複数の噴射ヘッドの位置を調整する調整工程を有することを特徴とするものである。
【0010】
従って、本発明の流体噴射装置の印刷方法では、記録媒体に伸縮が生じた場合でも、その伸縮に対応させて噴射ヘッドの位置を調整するため、記録媒体の伸縮に応じた位置に機能液を噴射して印刷データを形成することができる。そのため、本発明では、第1印刷データ及び第2印刷データを形成するための印刷条件を変更することなく、高精度の重ね合わせ印刷を実現できる。
【0011】
上記の流体噴射装置の印刷方法における前記調整工程としては、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、前記複数の噴射ヘッドを支持する支持部材の温度を調整する手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、調整された温度に応じて支持部材が伸縮するため、記録媒体と支持部材との伸縮を同一とすることにより、記録媒体の伸縮が解放されたときの大きさを所定の大きさとすることができる。
【0012】
また、上記の流体噴射装置の印刷方法における前記調整工程としては、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、互いに接近する方向に付勢されて接続された前記複数の噴射ヘッドを付勢力に抗して離間させる手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、記録媒体の伸縮に応じた位置に間隔をあけて複数の噴射ヘッドを配置できるため、記録媒体の伸縮が解放されたときの大きさを所定の大きさとすることができる。
【0013】
さらに、上記の流体噴射装置の印刷方法においては、前記噴射ヘッドは、前記材料を噴射する複数のノズルが前記記録媒体の伸縮方向と交差する方向に沿ってノズル面に配列されたノズル列を有し、前記調整工程としては、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、前記噴射ヘッドを前記ノズル面内で回転させる手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、隣り合うノズルの、記録媒体の伸縮方向のピッチが噴射ヘッドの回転角に応じて変化するため、回転角を調整し、記録媒体の伸縮量と同一量で上記ノズルの伸縮方向ピッチを変化させることにより、見かけ上、記録媒体の伸縮方向についてはノズルの位置を記録媒体の伸縮に追従させることができ、記録媒体の伸縮が解放されたときの大きさを所定の大きさとすることができる。
【0014】
また、上記の流体噴射装置の印刷方法においては、前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報と、前記記録媒体の伸縮との相関関係を示す第1情報と、前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報の時間経過に伴う変化を示す第2情報とを保持しておき、前記付与工程では、経過時間と前記第1情報及び第2情報とに応じて、前記噴射ヘッドの位置を調整する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、時間経過に応じて変動する記録媒体に伸縮を生じさせる情報と、前記記録媒体の伸縮との相関関係とから、記録媒体の伸縮を別途計測することなく、時間経過に応じた記録媒体の伸縮を得ることができる。
【0015】
上記の流体噴射装置の印刷方法における前記時間経過としては、前記所定の光が前記記録媒体に照射される時間の経過とすることができる。
これにより、本発明では、前記所定の光が前記記録媒体に照射されることで生じる温度変化で記録媒体が伸縮した場合でも、記録媒体の伸縮を別途計測することなく、時間経過に応じた記録媒体の伸縮量を得ることができる。
【0016】
また、上記の流体噴射装置の印刷方法においては、前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報を計測する計測工程を有し、前記調整工程では、前記計測工程における計測結果に応じて、前記噴射ヘッドの位置を調整する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、印刷処理の間に記録媒体に伸縮を生じさせる情報に変動があった場合でも、その変動を計測した結果に応じた大きさで噴射ヘッドの位置を調整するため、常に記録媒体の大きさの変動を抑制して高精度の重ね合わせ印刷を実現できる。
【0017】
上記の流体噴射装置の印刷方法においては、前記計測工程を、前記第1印刷データを形成する前と、前記第2印刷データを形成する前とのそれぞれで行うことが好ましい。
これにより、本発明では、第1印刷データ及び第2印刷データを形成する際に、記録媒体に伸縮が生じていない状況で機能液を噴射することが可能になり、高精度の重ね合わせ印刷を実現できる。
【0018】
一方、本発明の流体噴射装置は、所定の光の照射を受けて硬化する材料を含む流体を帯状の記録媒体に向けて噴射する複数の噴射ヘッドと、前記記録媒体に向けて前記所定の光を照射する照射装置とを備え、前記記録媒体上に噴射して前記所定の光の照射により硬化した前記流体により形成した第1印刷データに対して、前記記録媒体上に噴射した前記流体により形成した第2印刷データを重ね合わせる流体噴射装置であって、前記記録媒体に生じた伸縮に対応させて、前記複数の噴射ヘッドの位置を調整する調整装置を備えることを特徴とするものである。
【0019】
従って、本発明の流体噴射装置では、記録媒体に伸縮が生じた場合でも、その伸縮に対応させて噴射ヘッドの位置を調整するため、記録媒体の伸縮に応じた位置に機能液を噴射して印刷データを形成することができる。そのため、本発明では、第1印刷データ及び第2印刷データを形成するための印刷条件を変更することなく、高精度の重ね合わせ印刷を実現できる。
【0020】
上記の流体噴射装置における前記調整装置としては、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、前記複数の噴射ヘッドを支持する支持部材の温度を調整する温度調整装置を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、調整された温度に応じて支持部材が伸縮するため、記録媒体と支持部材との伸縮を同一とすることにより、記録媒体の伸縮が解放されたときの大きさを所定の大きさとすることができる。
【0021】
また、上記の流体噴射装置における前記調整装置としては、前記複数の噴射ヘッドを互いに接近する方向に付勢して接続する付勢部材と、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて前記複数の噴射ヘッドを前記付勢部材の付勢力に抗して離間させる離間装置とを有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、記録媒体の伸縮に応じた位置に間隔をあけて複数の噴射ヘッドを配置できるため、記録媒体の伸縮が解放されたときの大きさを所定の大きさとすることができる。
【0022】
さらに、上記の流体噴射装置においては、前記噴射ヘッドが、前記材料を噴射する複数のノズルが前記記録媒体の伸縮方向と交差する方向に沿ってノズル面に配列されたノズル列を有し、前記調整装置が、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、前記噴射ヘッドを前記ノズル面内で回転させる回転装置を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、隣り合うノズルの、記録媒体の伸縮方向のピッチが噴射ヘッドの回転角に応じて変化するため、回転角を調整し、記録媒体の伸縮量と同一量で上記ノズルの伸縮方向ピッチを変化させることにより、見かけ上、記録媒体の伸縮方向についてはノズルの位置を記録媒体の伸縮に追従させることができ、記録媒体の伸縮が解放されたときの大きさを所定の大きさとすることができる。
【0023】
上記の流体噴射装置においては、前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報と、前記記録媒体の伸縮との相関関係を示す第1情報と、前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報の時間経過に伴う変化を示す第2情報とを保持する保持装置を有し、前記付与装置は、経過時間と前記第1情報及び第2情報とに応じて、前記噴射ヘッドの位置を調整する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、時間経過に応じて変動する記録媒体に伸縮を生じさせる情報と、前記記録媒体の伸縮との相関関係とから、記録媒体の伸縮を別途計測することなく、時間経過に応じた記録媒体の伸縮を得ることができる。
【0024】
また、上記の流体噴射装置における前記時間経過としては、前記所定の光が前記記録媒体に照射される時間の経過とすることができる。
これにより、本発明では、前記所定の光が前記記録媒体に照射されることで生じる温度変化で記録媒体が伸縮した場合でも、記録媒体の伸縮を別途計測することなく、時間経過に応じた記録媒体の伸縮量を得ることができる。
【0025】
また、上記の流体噴射装置においては、前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報を計測する計測装置を有し、前記調整装置は、前記計測装置の計測結果に応じて、前記噴射ヘッドの位置を調整する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、印刷処理の間に記録媒体に伸縮を生じさせる情報に変動があった場合でも、その変動を計測した結果に応じた大きさで噴射ヘッドの位置を調整するため、常に記録媒体の大きさの変動を抑制して高精度の重ね合わせ印刷を実現できる。
【0026】
また、上記の流体噴射装置においては、前記計測装置による計測は、前記第1印刷データを形成する前と、前記第2印刷データを形成する前とのそれぞれで行われる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1印刷データ及び第2印刷データを形成する際に、記録媒体に伸縮が生じていない状況で機能液を噴射することが可能になり、高精度の重ね合わせ印刷を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る流体噴射装置の平面模式図である。
【図2】キャリッジにヘッドユニットが搭載された側面図である。
【図3】機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図4】ワークの繰出し動作を説明した図である。
【図5】特性情報と伸び率との関係を示す図である。
【図6】別形態の調整装置を示す図である。
【図7】別形態の調整装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の流体噴射装置とその印刷方法の実施の形態を、図1ないし図7を参照して説明する。
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0029】
図1に示すように、インクジェットプリンタ(流体噴射装置)301は、帯状のワーク(記録媒体)W上に機能液滴(流体、インク)による描画・印刷を行う描画装置302と、ロール状に巻回された長尺のワークWを繰出す繰出し装置303と、繰出されたワークWを所定の送り経路に沿って送るための送り装置304と、ワークWを巻き取る巻取り装置305と、を備えている。
【0030】
すなわち、このプリンタ301は、ロール・ツー・ロール方式で処理を行うものであり、先ず、繰出し装置303により繰出されたワークWを、送り装置304が送り経路に沿って描画装置302に送ってゆく。そして、描画装置302によりワークWに描画処理を行った後、送り装置304により描画装置302からワークWの処理済みの部分を送り出すと共に、送り出された処理済みのワークWを巻取り装置305で順次巻き取るようになっている。なお、図示省略したがプリンタ301には、各装置を統括制御する制御装置(調整装置)306が設けられており、上記一連の動作は、制御装置306による制御に基づいて行われる。
【0031】
描画装置302は、機台311と、機台311上の全域に広く載置され、記録ヘッド(噴射ヘッド)42を有する描画手段12と、描画手段12に添設するように機台311上に載置したヘッド保守手段331と、を備えている。
【0032】
描画手段12は、送り装置304によって導入されたワークWをセットするセットテーブル316と、複数の記録ヘッド42を搭載したヘッドユニット322と、ヘッドユニット322を垂設して支持するキャリッジ(支持部材)321と、キャリッジ321を介し、機台311上においてヘッドユニット322をX軸方向およびY軸方向に移動させるX・Y移動機構312と、キャリッジ321の温度を調整する温度調整装置30(図2参照)とを有している。 なお、ここでは、ワークWの搬送方向(ワークWの長手方向)をX軸方向とし、X軸方向と直交し、かつ水平な方向をY軸方向とし、これらX軸方向及びY軸方向と直交する鉛直方向をZ軸方向として説明を行うものとする。
【0033】
X・Y移動機構312は、機台311上の描画スペースに配設され、描画スペース内においてワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル313と、機台に立設された一対の支柱318を介してX軸テーブル313を直交に跨いで配設され、キャリッジ321を介してヘッドユニット322をY軸方向に移動させるY軸テーブル314と、を有している。
【0034】
X軸テーブル313は、X軸方向の駆動系であるX軸モータ(図示省略)駆動のX軸スライダ315に、セットテーブル316をX軸方向に移動自在に搭載して構成されている。同様に、Y軸テーブル314は、Y軸方向の駆動系であるY軸モータ(図示省略)駆動のY軸スライダ317を有し、これにキャリッジ321をY軸方向に移動自在に搭載して構成されている。
【0035】
温度調整装置30は、例えばペルチェ素子を有しており、ペルチェ素子への通電を切り替えることによりキャリッジ321の温度を調整する。温度調整装置30の駆動(すなわちペルチェ素子への通電)は、調整装置としての制御装置306によって制御される。
【0036】
図2に示すように、ヘッドユニット322には、ワークWに対向させて、記録ヘッド42、紫外線照射部(照射装置)20、環境計測装置(計測装置)21が設けられている。記録ヘッド42は、図3に示すように、記録ヘッド42は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針52を有する機能液導入部51と、機能液導入部51に連なる2連のヘッド基板53と、機能液導入部51の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体54と、を備えている。接続針52は、図外の機能液タンクに接続され、機能液導入部51に機能液を供給する。ヘッド本体54は、キャビティ55(ピエゾ圧電素子)と、多数の噴射ノズル58が開口したノズル面57を有するノズルプレート56と、で構成されている。記録ヘッド42を吐出駆動すると、(ピエゾ圧電素子に電圧が印加され)キャビティ55のポンプ作用により、噴射ノズル58から機能液滴が噴射される。また、記録ヘッド42は、図示しないヘッドプレート介してヘッドユニット322に複数保持されており、各ノズル列がX軸方向に連続(一部が重複)するように配置され、全記録ヘッド42のノズル列により1描画ラインが形成されている。1描画ラインの長さは、上記したワークWの実描画領域のX軸方向の幅長に対応している。
なお、図2における記録ヘッド42は、簡略的に図示されている。
【0037】
紫外線照射部20は、制御装置306の制御によりワークに向けて紫外線(所定の光)を照射するものであり、記録ヘッド42を挟んだY軸方向両側に設けられている。
環境計測装置21は、記録ヘッド42及びワークWの周辺環境状態を計測するものであり、ここでは温度センサで構成されており、−Y側に位置する紫外線照射部20の−Y側に配置されている。環境計測装置21による環境計測処理は制御装置306により制御され、計測結果は制御装置306に出力されて処理される。
これら、記録ヘッド42、紫外線照射部20及び環境計測装置21は、キャリッジ321に保持されて一体的にY軸方向に移動する。
【0038】
上記の描画手段12による描画処理は、X軸テーブル313の駆動によるワークWのX軸方向への移動およびこれに同期した機能液滴吐出ヘッド323の吐出駆動から成る主走査と、ヘッドユニット322のY軸方向への移動である副走査と、を交互に繰り返すことにより、1タクト分の描画動作が行われる。
【0039】
ヘッド保守手段331のフラッシングユニット332は、セットテーブル316に支持されている。他方、ヘッド保守手段331の吸引ユニット333、ワイピングユニット334、および吐出不良検査ユニット335は、描画スペースおよびワークWの送り経路からY軸方向に外れた位置に配設されたユニット移動テーブル336により、X軸方向に移動可能に支持されている。上記のY軸テーブル314は、描画スペースからY軸方向に外れた位置までヘッドユニット322を移動可能に構成されており、ユニット移動テーブル336とY軸テーブル314が交差する領域が記録ヘッド42に保守を行う保守スペースとなっている。そして、保守スペースに臨んだヘッドユニット322に対し、吸引ユニット333、ワイピングユニット334、および吐出不良検査ユニット335を用いて保守を行う場合には、ユニット移動テーブル336を駆動して、各ユニットを保守スペース(ヘッドユニット322)に適宜臨ませるようになっている。
【0040】
送り装置304は、繰出し機台351上に配設され、図4に示すように、繰出しリール352から繰出されたワークWをセットテーブル316に送り込む繰出し側送りローラ341と、巻取り機台361に配設され、セットテーブル316から処理済みのワークWを送り出す巻取り側送りローラ342と、繰出し側送りローラ341を正逆回転させる繰出し側送りモータ343と、巻取り側送りローラ342を正逆回転させる巻取り側送りモータ344と、を備えている。繰出し側送りモータ343および巻取り側送りモータ344は、エンコーダ付のサーボモータまたはステッピングモータで構成されており、その回転量からワークWの送り量が制御装置306で制御される。
【0041】
また、制御装置306は、送り装置304における、繰出し側送りモータ343および巻取り側送りモータ344の回転量を調整することにより、ワークWに加わる搬送方向(X方向)の力、すなわち張力を制御することが可能である。
【0042】
図4中の符号381は、ワークWの繰出し不足を検出する繰出し側第1限界センサであり、符号382は、ワークWに予め作り込まれたチップ部品等が破壊されない限界位置を検出する繰出し側第2限界センサである。これら両センサ381、382により、繰出し用限界センサが構成されている。
【0043】
繰出し装置303は、描画処理中に1タクト分のワークWを送り装置304(繰出し側送りローラ341)に繰出すようになっている。本実施形態のプリンタ301は、描画処理時にセットテーブル316をX軸方向に移動させる構成となっており、描画処理中にワークWを繰出しリール352から繰出すことにより、セットテーブル316の移動を許容する。
【0044】
巻取り装置305は、機台311の下流側に添設された巻取り機台361に設置されており、図外の巻取り支持フレームに回転自在に軸支され、送り装置304から送られてきた描画済みのワークWを巻き取る巻取りリール362と、巻取りリール362を正逆回転させる巻取りモータ363と、を備えている。そして、巻取りモータ363を正駆動して巻取りリール362を正回転させると、巻取り側送りローラ342からのワークWが巻取りリール362に巻き取られるようになっている。
【0045】
制御装置306は、上記描画装置302、繰出し装置303、送り装置304、巻取り装置305、記録ヘッド42、紫外線照射部20、撮像装置21等、プリンタ1を構成する各種機器の動作を統括的に制御する。また制御装置306は、ワークWへ描画する際のスキャン回数(走査回数)、各スキャン動作で流体を噴射する位置情報等の印刷データを保持しており、描画処理(流体噴射処理)を行う際には、印刷データに基づいて上記プリンタ1を構成する各種機器の動作を制御する。また、制御装置306は、後述するように、ワークWの伸び率(伸縮情報)を温度、湿度及び張力のそれぞれについて関連付けられて、記憶装置として記憶保持している。
【0046】
続いて、上記のプリンタ1における印刷動作について説明する。
ここでは、ワークW周辺の温度を計測し、計測した温度に応じて温度調整装置30の駆動を調整する場合について説明する。また、ここではワークWへのスキャン動作を二回行う場合の例を用いて説明する。
まず、ワークWの特性情報として、温度について、図5に示すように、伸び率との相関関係を求め、保持装置を兼ねる制御装置306に予め保持させておく。
【0047】
なお、図5に示す相関関係は、他の特性情報に関して複数の条件毎に求めることが好ましい。例えば、図5に示す温度と伸び率との相関関係は、ワークWが特定の湿度及び張力下にある場合の関係であり、他の湿度及び張力下にある場合は異なる関係となる可能性があるため、上記の相関関係は想定される条件毎に求めて保持することが好ましい。
【0048】
一回目のスキャン動作によりワークW上に機能液の液滴を噴射させる前には、X軸テーブル313の駆動によるワークWのX軸方向への移動及びセットテーブル316によるワークWの吸着を行った後に、制御装置306は、環境計測装置21により温度を計測させ、その計測結果を特性情報として取り込む(計測工程)。
【0049】
そして、制御装置306は、計測された温度に関する特性情報と、保持しているワークWの伸び率に関する相関関係(図5参照)とを用いて、想定されるワークWの伸び率E1を求める。印刷前の環境に対応するワークWの伸び率Eが得られたら、続いて、制御装置306は、ワークWの伸び方向に関して複数の記録ヘッド42の配置ピッチが上記伸び率E1と対応するように、温度調整装置30を介してキャリッジ321を加熱する。
【0050】
具体的には、ワークWの伸び方向に関する複数の記録ヘッド42の配置ピッチをL、キャリッジ321の線膨張係数をKとすると、ワークWにおける配置ピッチLの伸び量L’は、L’=L×Eとなる。そして、この伸び量L’をキャリッジ321で発生させるためには、Δt=E/K の温度変化が必要になる。そこで、制御装置306は、Δtの温度を出力させる電力を温度制御装置30(ペルチェ素子)に通電させる。
これにより、キャリッジ321は通電に応じて加熱(温度調整)され、ワークWの伸び量と同一の伸び量で伸縮し、記録ヘッド42はワークWの伸縮に対応する位置に、見かけ上移動することになる。
【0051】
キャリッジ321に対する温度調整、すなわち記録ヘッド42の位置調整が完了したら、キャリッジ321をY軸方向に移動させつつ、記録ヘッド42に噴射駆動して、上記第1印刷データに基づいて一回目のスキャン動作によりワークW上に機能液の液滴を噴射させる。
【0052】
上記のスキャン動作においては、制御装置306が保持する画像データの中、一回目のスキャン動作に対応する第1印刷データに基づき、機能液の着弾位置、キャリッジ321の移動速度(すなわち記録ヘッド42の移動速度)、記録ヘッド42からの機能液の噴射周波数等の印刷条件が選択されて実行される(第1工程)。
【0053】
機能液の噴射が行われたワークWに対しては、紫外線照射部20から紫外線が照射され、ワーク上の機能液を硬化させる(第2工程)。この紫外線照射処理は、記録ヘッド42の機能液噴射処理と同時に、記録ヘッド42よりも走査方向後方側に位置する紫外線照射部20によって紫外線照射を行ってもよいし、第1印刷データに基づく機能液の噴射が完了した後に行ってもよい。
【0054】
第1印刷データが形成されたら、第2印刷データを形成する前に、制御装置306は、再度、環境計測装置21により温度を計測させ、その計測結果を特性情報として取り込み、上記第1印刷データの形成前と同様に、第1印刷データの形成時の紫外線照射に伴う温度変化でワークWに生じた伸縮を計測させ、ワークWの伸縮量と同一の伸縮量が得られるようにキャリッジ321の温度を調整する。
【0055】
この後、上記第1印刷データ形成時と同様の手順で、第1印刷データが形成されたワークW上に機能液の噴射を行い、さらに紫外線照射処理を施すことにより第2印刷データを形成する。
【0056】
なお、第2印刷データの形成後に、第3印刷データまたは第3印刷データ以降を形成する場合には、この後、温度計測、計測した結果に応じたワークWの伸び率の算出、温度変化に伴う伸縮を相殺する張力調整処理、紫外線照射処理を順次繰り返して行う。
これにより、第1印刷データに第2印刷データが重ね合わされて印刷されたワークWを得ることができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では、ワークW上に各印刷データを形成する前にワークWに対する温度を計測し、予め求めた相関関係を基づいてワークWの伸び率を求め、ワークWの伸び量とキャリッジ321(記録ヘッド42の配置ピッチ)との位置変化とが同一となるように記録ヘッド42の位置を調整しているため、各印刷データにおける機能液の配置データを変更することなく、ワークWの伸びに応じた位置に各印刷データを構成する機能液を配置することができる。そのため、本実施形態では、各印刷データをそれぞれ所定の大きさ・位置に形成することができる。結果として、本実施形態では、第1印刷データと第2印刷データとを高精度に重ね合わせて形成することが可能になるとともに、印刷条件の変更に伴う生産効率低下や画像データの膨大な保存等の不都合を回避することができる。
【0058】
また、本実施では、キャリッジ321に記録ヘッド42、紫外線照射部20、環境計測装置21を搭載しているため、ワークWへの機能液噴射処理と紫外線照射処理とを同時に行うことができ、生産性の向上に寄与できるとともに、機能液をワークWに着弾させてから紫外線が照射されるまでの時間を一定にすることができ、複数の機能液の品質(状態)を一定化させることもできる。さらに、本実施形態では、機能液が噴射されるワークWの直近で温度を計測できるため、新たな環境変動が生じた場合でも、当該環境状態を迅速・且つ精度よく計測することができ、第1、第2印刷データのさらなる重ね合わせ精度の向上に寄与できる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、記録ヘッド42の位置を調整する装置として、キャリッジ321の温度調整を行う温度調整装置30を用いる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、ワークWの伸縮方向であるX方向に配列される記録ヘッド42に対して、互いに接近する方向に付勢する引張りバネ(付勢部材)31と、引張りバネ31の付勢力に抗して記録ヘッド42を互いに離間させる装置である駆動装置32とを有する調整装置を用いてもよい。
この構成では、計測されたワークWの伸び量に応じた位置に駆動装置32の駆動により記録ヘッド42を個別に移動させることが可能であり、上記実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0061】
さらに、図6に示した構成の他に、図7に示すように、ノズル面57に形成された複数のノズル58を有するノズル列がワークWの伸縮方向であるX方向と交差する方向に延在する記録ヘッド42をθZ方向(Z軸周りの回転方向)に回転させる回転装置33(図2参照)を調整装置として設ける構成としてもよい。
この構成では、ノズル58のピッチPNに対して、ワークWの伸縮方向のピッチPXは、ノズル列がX軸に対して交差する角度θに応じて、PX=PN×cosθとなるため、記録ヘッド42を回転させて角度θを調整することにより、X軸方向のピッチPXを任意の値に調整することが可能になる。
従って、本構成例では、回転装置33の駆動を調整することにより、計測されたワークWの伸び量に応じた位置にノズル58を位置決めすることができ、上記実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0062】
また、上記実施形態では、ワークWに対する特性情報として、温度を計測し、この計測結果に基づいてワークWの伸縮情報を得る構成としたが、これに限定されるものではなく、要求される印刷精度に応じて、温度・湿度・張力の少なくとも一つを計測してワークWの伸縮情報を得る構成としてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ワークWに対する特性情報として、温度、湿度及び張力を例示したが、これに限定されるものではなく、材質、厚さ、大きさ等、他の特性情報も併せて用いる構成としてもよい。
【0064】
さらに、上記実施形態では環境計測装置21をキャリッジ321に搭載する構成としたが、これに限られるものではなく、キャリッジ321とは分離させた位置に配置する構成としてもよい。この場合、キャリッジ321を駆動する際のエネルギーを小さくすることができる。
【0065】
また、上記実施形態では、環境計測装置21を用いて温度を計測し、この計測結果に応じて記録ヘッド42の位置を調整するクローズド制御方式としたが、これに限られるものではなく、例えば制御装置306に温度とワークWの伸縮との相関関係を示す第1情報(図5参照)の他に、印刷処理の経過時間に伴う温度変化を示す第2情報とを保持させておき、印刷処理の経過時間に応じて第1情報及び第2情報を参照することで、ワークWの温度変化に伴う伸びを求め、この伸びに応じて記録ヘッド42の位置を調整するオープン制御方式としてもよい。
この場合における印刷処理に係る経過時間としては、温度変化への寄与率が大きい紫外線照射部20による紫外線照射処理の経過時間(累積時間)とすることが計測精度を高めるために好ましい。
【0066】
また、上記実施形態では、シリアル方式のプリンタ301に本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、例えばキャリッジに複数の流体噴射ヘッドを搭載し、その複数の流体噴射ヘッドの全吐出ノズルにより、ワークWのY方向の記録対象幅をカバーする幅広の記録ラインが構成された、いわゆるラインプリンタにも同様に適用することも可能である。
【0067】
また、上記実施形態では、機能液を硬化させるエネルギー光として紫外線を用いる構成を例示したが、これに限定されるものではなく、噴射に用いる流体の硬化特性に応じて、レーザ光を用いる等、適宜変更可能である。
【0068】
なお、上述した実施形態においては、流体噴射装置がインクジェットプリンターである場合を例にして説明したが、インクジェットプリンターに限られず、複写機及びファクシミリ等の装置であってもよい。
【0069】
また、上述の実施形態においては、流体噴射装置が、インク等の液体を流体として噴射する流体噴射装置である場合を例にして説明したが、本発明の流体噴射装置は、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に適用することができる。流体噴射装置が噴射可能な液体としては、機能材料の粒子が分散又は溶解されている液状体、ジェル状の流状体が含まれる。
【0070】
また、上述した実施形態において、流体噴射装置から噴射される液体としては、インクのみならず、特定の用途に対応する液体を適用可能である。流体噴射装置に、その特定の用途に対応する液体を噴射可能な噴射ヘッドを設け、その噴射ヘッドから特定の用途に対応する液体を噴射して、その液体を所定の物体に付着させることによって、所定のデバイスを製造可能である。例えば、本発明の流体噴射装置は、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、及び面発光ディスプレイ(FED)の製造等に用いられる電極材、色材等の材料を所定の分散媒(溶媒)に分散(溶解)した液体(液状体)を噴射する流体噴射装置に適用可能である。
【0071】
また、流体噴射装置としては、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。
【0072】
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ジェルを噴射する流体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
20…紫外線照射部(照射装置)、 21…環境計測装置(計測装置)、 30…温度調整装置(調整装置)、 31…引張りバネ(付勢部材)、 32駆動装置(離間装置)、 33…回転装置(調整装置)、 42…記録ヘッド(噴射ヘッド)、 57…ノズル面、 58…ノズル、 301…プリンタ(流体噴射装置)、 306…制御装置(調整装置)、 321…キャリッジ(支持部材)、 W…ワーク(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の光の照射を受けて硬化する材料を含む流体を複数の噴射ヘッドから帯状の記録媒体に向けて噴射する第1工程と、前記記録媒体に向けて前記所定の光を照射する第2工程とを有し、前記第1工程及び前記第2工程を繰り返して前記記録媒体上に第1印刷データと、該第1印刷データに重ね合わされる第2印刷データとを形成する流体噴射装置の印刷方法であって、
前記記録媒体に生じた伸縮に対応させて、前記複数の噴射ヘッドの位置を調整する調整工程を有することを特徴とする流体噴射装置の印刷方法。
【請求項2】
請求項1記載の流体噴射装置の印刷方法において、
前記調整工程では、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、前記複数の噴射ヘッドを支持する支持部材の温度を調整することを特徴とする流体噴射装置の印刷方法。
【請求項3】
請求項1記載の流体噴射装置の印刷方法において、
前記調整工程では、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、互いに接近する方向に付勢されて接続された前記複数の噴射ヘッドを付勢力に抗して離間させることを特徴とする流体噴射装置の印刷方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の流体噴射装置の印刷方法において、
前記噴射ヘッドは、前記材料を噴射する複数のノズルが前記記録媒体の伸縮方向と交差する方向に沿ってノズル面に配列されたノズル列を有し、
前記調整工程では、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、前記噴射ヘッドを前記ノズル面内で回転させることを特徴とする流体噴射装置の印刷方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の流体噴射装置の印刷方法において、
前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報と、前記記録媒体の伸縮との相関関係を示す第1情報と、前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報の時間経過に伴う変化を示す第2情報とを保持しておき、
前記調整工程では、経過時間と前記第1情報及び第2情報とに応じて、前記噴射ヘッドの位置を調整することを特徴とする流体噴射装置の印刷方法。
【請求項6】
請求項5記載の流体噴射装置の印刷方法において、
前記時間経過は、前記所定の光が前記記録媒体に照射される時間の経過であることを特徴とする流体噴射装置の印刷方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の流体噴射装置の印刷方法において、
前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報を計測する計測工程を有し、
前記調整工程では、前記計測工程における計測結果に応じて、前記噴射ヘッドの位置を調整することを特徴とする流体噴射装置の印刷方法。
【請求項8】
請求項7記載の流体噴射装置の印刷方法において、
前記計測工程を、前記第1印刷データを形成する前と、前記第2印刷データを形成する前とのそれぞれで行うことを特徴とする流体噴射装置の印刷方法。
【請求項9】
所定の光の照射を受けて硬化する材料を含む流体を帯状の記録媒体に向けて噴射する複数の噴射ヘッドと、前記記録媒体に向けて前記所定の光を照射する照射装置とを備え、前記記録媒体上に噴射して前記所定の光の照射により硬化した前記流体により形成した第1印刷データに対して、前記記録媒体上に噴射した前記流体により形成した第2印刷データを重ね合わせる流体噴射装置であって、
前記記録媒体に生じた伸縮に対応させて、前記複数の噴射ヘッドの位置を調整する調整装置を備えることを特徴とする流体噴射装置。
【請求項10】
請求項9記載の流体噴射装置において、
前記調整装置は、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、前記複数の噴射ヘッドを支持する支持部材の温度を調整する温度調整装置を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項11】
請求項9記載の流体噴射装置において、
前記調整装置は、前記複数の噴射ヘッドを互いに接近する方向に付勢して接続する付勢部材と、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて前記複数の噴射ヘッドを前記付勢部材の付勢力に抗して離間させる離間装置とを有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一項に記載の流体噴射装置において、
前記噴射ヘッドは、前記材料を噴射する複数のノズルが前記記録媒体の伸縮方向と交差する方向に沿ってノズル面に配列されたノズル列を有し、
前記調整装置は、前記記録媒体に生じた伸縮に応じて、前記噴射ヘッドを前記ノズル面内で回転させる回転装置を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか一項に記載の流体噴射装置において、
前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報と、前記記録媒体の伸縮との相関関係を示す第1情報と、前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報の時間経過に伴う変化を示す第2情報とを保持する保持装置を有し、
前記調整装置は、経過時間と前記第1情報及び第2情報とに応じて、前記噴射ヘッドの位置を調整することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項14】
請求項13記載の流体噴射装置において、
前記時間経過は、前記所定の光が前記記録媒体に照射される時間の経過であることを特徴とする流体噴射装置。
【請求項15】
請求項9から12のいずれか一項に記載の流体噴射装置において、
前記記録媒体に伸縮を生じさせる情報を計測する計測装置を有し、
前記調整装置は、前記計測装置の計測結果に応じて、前記噴射ヘッドの位置を調整することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項16】
請求項15記載の流体噴射装置において、
前記計測装置による計測は、前記第1印刷データを形成する前と、前記第2印刷データを形成する前とのそれぞれで行われることを特徴とする流体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−161882(P2011−161882A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29847(P2010−29847)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】