説明

液処理方法、その液処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体及び液処理装置

【課題】下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された基板からレジスト膜を除去する際に、下地膜を除去することなくレジスト膜を除去できる液処理方法及び液処理装置を提供する。
【解決手段】基板を処理液により処理する液処理方法において、硫酸と硝酸とを所定の比率で混合してなる、120℃以上の温度の処理液を、下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された基板に供給することによって、基板からレジスト膜を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理液により処理する液処理方法、その液処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体及び液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、半導体ウェハやガラス基板等の各種の基板に処理液を供給して処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとしては、例えば、基板に形成したレジスト膜を除去する洗浄処理等を挙げることができる。
【0003】
上記したような洗浄処理等のプロセスを基板に対して行う液処理装置としては、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の液処理装置、及び、複数の基板を一括して処理するバッチ式の液処理装置が用いられている。
【0004】
例えば、基板上にMOS構造を形成するときに、半導体層の上にゲート絶縁膜を成膜し、形成されたゲート絶縁膜上にゲート電極を形成し、ゲート電極をマスクとしてゲート絶縁膜を通して半導体層にイオン注入することがある。このとき、イオン注入の不要な部分を被覆するように、予め基板上の一部にレジスト膜を形成しておく。レジスト膜を形成した後、基板にイオン注入を行う。そして、液処理装置を用いて基板を処理することによって、基板からレジスト膜を除去する。
【0005】
基板からレジスト膜を除去するための液処理装置として、硫酸と過酸化水素水とを混合した硫酸過酸化水素水混合液を処理液とし、処理液を基板に供給することによってレジスト膜を除去する、いわゆるSPM洗浄を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す例では、170℃以上の硫酸1に対し0.1〜0.35の流量の過酸化水素水を混合した硫酸過酸化水素水混合液を、基板の表面に供給することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−16497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した液処理装置における液処理方法においては、次のような問題がある。
【0008】
ゲート絶縁膜が形成された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された基板に硫酸過酸化水素水混合液(以下「硫酸過水」という。)を供給することによってレジスト膜を除去するとき、レジスト膜のみならずゲート絶縁膜がエッチングされて除去され、ゲート絶縁膜の膜厚が減少することがある。
【0009】
ゲート絶縁膜の膜厚が減少することを防止するためには、硫酸過水の濃度を薄くするか、過酸化水素水に対する硫酸の混合比を少なくすることによって、硫酸過水がゲート絶縁膜をエッチングするエッチング速度を低下させることが考えられる。しかし、ゲート絶縁膜のエッチング速度が低下するとともに、レジスト膜をも除去できなくなる。特に、イオン注入されたレジスト膜は、硫酸過水により除去されにくい。
【0010】
また、上記した課題は、ゲート絶縁膜が形成された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された基板からレジスト膜を除去する際に限られない。上記した課題は、各種の下地膜が形成された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された基板からレジスト膜を除去する際に共通する課題である。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された基板からレジスト膜を除去する際に、下地膜を除去することなくレジスト膜を除去できる液処理方法及び液処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の一実施例によれば、基板を処理液により処理する液処理方法において、硫酸と硝酸とを所定の比率で混合してなる、120℃以上の温度の処理液を、下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された前記基板に供給することによって、前記基板から前記レジスト膜を除去する、液処理方法が提供される。
【0014】
また、本発明の他の一実施例によれば、基板を処理液により処理する液処理方法において、下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された前記基板を基板保持部により保持し、混合部により硫酸と硝酸とを所定の比率で混合し、混合された硫酸と硝酸とを処理液として供給部により前記基板に供給することによって、前記基板から前記レジスト膜を除去するとともに、処理液の温度が120℃以上になるように、加熱部により加熱する、液処理方法が提供される。
【0015】
また、本発明の他の一実施例によれば、基板を処理液により処理する液処理装置において、基板を保持する基板保持部と、硫酸と硝酸とを混合する混合部と、前記混合部により混合された硫酸と硝酸とを処理液として基板に供給する供給部と、処理液を所定の温度に調整するための加熱部と、前記基板保持部と前記混合部と前記供給部と前記加熱部とを制御する制御部とを有し、前記制御部は、下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された前記基板を前記基板保持部により保持し、前記混合部により硫酸と硝酸とを所定の比率で混合し、混合された硫酸と硝酸とを処理液として前記供給部により前記基板に供給するように、制御するとともに、処理液の温度が120℃以上になるように、前記加熱部を制御するものである、液処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された基板からレジスト膜を除去する際に、下地膜を除去することなくレジスト膜を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る液処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る液処理方法の各工程におけるウェハの状態を示す断面図である。
【図3】レジスト膜を除去する際の下地膜の膜厚の減少分を、比較例1(SPM洗浄)と、実施例2(混酸洗浄)とで比較して示すグラフである。
【図4】実施例3(混酸洗浄)における、レジスト膜を除去する際の下地膜のエッチング速度を、各種の下地膜及び処理液の温度について、比較して示すグラフである。
【図5】第1の実施の形態の第1の変形例に係る液処理装置の概略構成を示す図である。
【図6】第1の実施の形態の第2の変形例に係る液処理装置の概略構成を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る液処理装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
始めに、図1を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る液処理装置について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る液処理装置の概略構成を示す図である。
【0020】
本実施の形態に係る液処理装置は、本発明に係る液処理装置を、1枚の被処理基板(以下「基板」又は「ウェハW」という。)を枚葉処理する枚葉式の液処理装置に適用した例である。
【0021】
液処理装置10は、ウェハ保持部20、排液カップ30、供給ノズル40、切替機構50、第1の供給源51、第2の供給源52、貯留タンク60、循環機構70、制御部80を有する。
【0022】
ウェハ保持部20は、回転プレート21、回転軸22、回転モータ23を有する。ウェハ保持部20は、ウェハWを回転可能に保持する。
【0023】
回転プレート21には、ウェハWの外縁を保持する保持部材24が設けられており、保持部材24によってウェハWを保持する。回転軸22は、回転プレート21の下方に固定されており、図示しない例えばプーリ又はベルト等の駆動力伝達機構を介し、回転モータ23に連結されている。回転軸22は、回転モータ23により回転駆動される。
【0024】
なお、ウェハ保持部20は、本発明における基板保持部に相当する。
【0025】
排液カップ30は、ウェハ保持部20の周囲を囲繞するように設けられている。排液カップ30の底部には排液管31が接続されている。排液管31には図示しない排液切替部が接続されており、処理液の種類に応じて分別可能となっている。
【0026】
供給ノズル40は、ウェハWに処理液を供給する。供給ノズル40は、ノズルアーム41に保持されている。ノズルアーム41は駆動機構42により移動駆動される。供給ノズル40は、駆動機構42によりノズルアーム41を移動させることにより、ウェハWの上方の処理液供給位置と退避位置との間で移動可能となっている。このようにして、供給ノズル40によりウェハWに処理液が供給されるようになっている。
【0027】
なお、供給ノズル40は、本発明における供給部に相当する。
【0028】
切替機構50は、第1の供給源51と第2の供給源52とを切替可能に供給ノズル40に接続するものである。
【0029】
第1の供給源51は、硫酸を供給する。第2の供給源52は硝酸を供給する。第1の供給源51は、第1の供給流路53を介して切替機構50と接続されている。第2の供給源52は、第2の供給流路54を介して切替機構50と接続されている。切替機構50は、第3の供給流路55を介して供給ノズル40と接続されている。
【0030】
なお、硫酸として、例えば96wt%の硫酸を用いることができる。また、硝酸として、例えば61wt%の硝酸を用いることができる。
【0031】
切替機構50は、バルブV1、V2、V3、V4を有する。バルブV1は、第1の供給流路53上に設けられている。バルブV2は、第2の供給流路54上に設けられている。バルブV1、V2は、独立して開閉可能に設けられている。バルブV3は、第1の供給流路53上であってバルブV1の上流側に設けられている。バルブV4は、第2の供給流路54上であってバルブV2の上流側に設けられている。バルブV3、V4は、独立して開度が調整可能に設けられている。
【0032】
バルブV1、V2の開閉を独立して切り替え、バルブV3、V4の開度を独立して調整することによって、切替機構50は、第1の供給源51により供給される硫酸と、第2の供給源52により供給される硝酸とを、所定の比率で混合することができる。硫酸と硝酸とを混合する所定の比率を、例えば体積比で2:1〜50:1とすることができる。
【0033】
なお、切替機構50は、本発明における混合部に相当する。また、バルブV3、V4に代え、LFC、MFC等の各種の流量コントローラを用いることができる。
【0034】
貯留タンク60は、第1の供給源51と切替機構50との間の第1の供給流路53上に設けられている。貯留タンク60は、第1の供給源51により供給される硫酸を貯留するためのものである。また、第1の供給源51と貯留タンク60との間の第1の供給流路53上には、バルブV5が設けられている。バルブV5は、開閉可能に設けられている。
【0035】
循環機構70は、供給口71、流出口72、循環流路73、ポンプ74、ヒータ75及びフィルタ76を備えている。供給口71は、例えば貯留タンク60の上部に設けられている。流出口72は、例えば貯留タンク60の底部に設けられている。循環流路73は、貯留タンク60の流出口72と供給口71とを接続する流路である。循環流路73の途中には、例えば流出口72側から順に、ポンプ74、ヒータ75及びフィルタ76が介設されている。ポンプ74は、貯留タンク60から硫酸を送り出して供給口71へ送液する送液部である。ヒータ75は、供給口71へ送液する硫酸を所定の温度に加熱する、処理液を所定の温度に調整するための加熱部である。所定の温度を、例えば120〜250℃とすることができる。フィルタ76は、貯留タンク60から送り出された処理液を清浄化する浄化部である。
【0036】
循環機構70は、硫酸をポンプ74により貯留タンク60の流出口72から送り出し、送り出した硫酸をヒータ75により加熱し、加熱した硫酸をフィルタ76により清浄化し、清浄化した硫酸をポンプ74により供給口71に送液する。そして、送液した硫酸を供給口71により再び貯留タンク60に供給することによって、硫酸を循環させる。
【0037】
循環機構70は、ポンプ74により、例えば10L/minの所定流量(循環流量)で、硫酸を貯留タンク60の流出口72から送り出して供給口71へ送液できる。
【0038】
なお、切替機構50と供給ノズル40との間の第3の供給流路55上には、図示しない切替機構を介して図示しない純水供給源が接続されていてもよい。あるいは、供給ノズル40と異なる図示しない純水供給ノズルを設け、純水供給ノズルに図示しない純水供給源が接続されていてもよい。これにより、液処理装置10において、処理液による処理の後に、純水によるリンス処理を行うことができる。
【0039】
また、供給ノズル40と異なる第2の供給ノズルを設け、排液管31と第2の供給ノズルとを接続する図示しない回収機構を設けてもよい。回収機構は、処理液を図示しないポンプにより排液管31から回収し、回収した処理液を図示しないフィルタにより清浄化し、清浄化した処理液を図示しないポンプにより第2の供給ノズルに送液して再びウェハWに供給するようにしてもよい。
【0040】
制御部80は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ81を有している。プロセスコントローラ81は、工程管理者が液処理装置10の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードを有している。また、制御部80は、液処理装置10の各部分の可動状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース82が接続されている。プロセスコントローラ81には、液処理装置10で実行される各種処理をプロセスコントローラ81の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて液処理装置10の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部83が接続されている。レシピは記憶部83の中の記憶媒体(記録媒体)に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0041】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース82からの指示等にて任意のレシピを記憶部83から呼び出してプロセスコントローラ81に実行させることで、プロセスコントローラ81の制御下で、液処理装置10での所望の処理が行われる。
【0042】
次に、本実施の形態に係る液処理方法について説明する。本実施の形態に係る液処理方法は、下地膜が成膜されたウェハW上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入されたウェハWからレジスト膜を除去するものである。
【0043】
図2は、本実施の形態に係る液処理方法の各工程におけるウェハの状態を示す断面図である。
【0044】
予め、下地膜が成膜された基板を準備する。ここでは、一例として、表面にMOS(Metal Oxide Semiconductor)構造が形成されたウェハWを準備する。
【0045】
まず、表面に半導体層91を有するウェハWを準備する。半導体層91の上にゲート絶縁膜92を成膜し、成膜されたゲート絶縁膜92上にゲート電極93を形成する。ゲート電極93は、ゲート絶縁膜92上に電極膜を成膜し、例えばフォトリソグラフィー技術によりレジストパターンを形成し、形成したレジストパターンをマスクとして電極膜をエッチングすることによって、形成することができる。その後、ゲート電極93の側面を覆うように絶縁膜を形成し、形成した絶縁膜をウェハWに垂直な方向に異方性エッチングを行うことによって、ゲート電極93の側面を被覆する側壁部94を形成することができる。
【0046】
半導体層91がシリコン(Si)よりなるときは、ゲート絶縁膜92として、例えば熱酸化により形成されるシリコン酸化膜(SiO膜)、又は、例えばシリコン酸化膜をプラズマ窒化して形成されるシリコン酸窒化膜(SiON膜)を用いることができる。また、側壁部94として、例えば原子層堆積法(Atomic Layer Deposition;ALD)により成膜されたシリコン窒化膜(SiN膜)、又は、シリコン酸化膜(SiO膜)を用いることができる。
【0047】
次いで、図2(a)に示す工程では、ゲート絶縁膜92が成膜されたウェハW上にレジスト膜95を形成する。図2(b)に示すイオン注入を行う前に、イオン注入の不要な部分を被覆するように、ウェハW上の一部にレジスト膜95を形成する。
【0048】
次いで、図2(b)に示す工程では、レジスト膜95が形成された状態で、例えば砒素(As)等のイオン注入を行う。レジスト膜95が形成されていない部分では、ゲート電極93及び側壁部94をマスクとして、ゲート絶縁膜92を介して半導体層91にイオン注入される。一方、レジスト膜95が形成されている部分では、半導体層91にはイオン注入されず、レジスト膜95にイオン注入され、レジスト膜95の表面に硬化層96が形成される。
【0049】
ウェハWにイオン注入される注入量(ドーズ量)としては、1014ions/cm以上が好ましく、1015ions/cm以上がより好ましい。ドーズ量が1014ions/cmを超える場合、レジスト膜95の表面に形成される硬化層96は相対的に厚く、硬くなる。そのため、硫酸過水によってはゲート絶縁膜92及び側壁部94を除去することなくレジスト膜95を除去できないものの、硫酸と硝酸とを混合した処理液によればゲート絶縁膜92及び側壁部94を除去することなくレジスト膜95を除去できる。
【0050】
次いで、図2(c)に示す工程では、イオン注入されたウェハWからレジスト膜95を除去する。
【0051】
ウェハ保持部20の保持部材24によりウェハWを保持し、回転モータ23により回転軸22及び回転プレート21を回転させることによって、保持部材24に保持されているウェハWを回転させる。そして、駆動機構42により供給ノズル40を処理液供給位置に移動させ、供給ノズル40によりウェハWに処理液を供給する。
【0052】
制御部80は、ウェハWに供給される処理液の温度が120℃以上になるように、ヒータ75により硫酸を加熱する。例えば図示しない温度センサを供給ノズル40の近傍に設置し、供給ノズル40により供給される処理液の温度を、温度センサにより測定する。そして、温度センサにより測定される温度が120℃以上になるように、制御部80がヒータ75に投入する電力を調整する。
【0053】
硫酸が循環流路73を流れる際にヒータ75により加熱されることによって、貯留タンク60に貯留されている硫酸が120℃以上の所定の温度に保持される。例えば、第2の供給源52により供給される硝酸を加熱しないときは、貯留タンク60に貯留されている硫酸は、供給ノズル40により供給される処理液の温度の設定温度よりも高い温度に保持してもよい。
【0054】
なお、制御部80は、バルブV5の開閉を制御することによって、第1の供給源51により貯留タンク60に追加供給される硫酸の供給量を調整することができ、貯留タンク60に貯留されている硫酸の量(貯留量)を一定に保持するように、制御してもよい。
【0055】
制御部80は、バルブV1を開き、バルブV3の開度を調整することによって、硫酸を、貯留タンク60から第1の流量F1で供給する。硫酸は、供給ノズル40により供給される処理液の温度が120℃以上になるような温度で、貯留タンク60に貯留されている。また、制御部80は、バルブV2を開き、バルブV4の開度を調整することによって、硝酸を、第2の供給源52により第2の流量F2で供給する。このとき、第1の流量F1と第2の流量F2との比率が所定の比率になるようにバルブV3、V4の開度を調整する。その結果、切替機構50により所定の比率で混合された硫酸と硝酸とを、120℃以上の温度の処理液として、供給ノズル40によりウェハWに供給することができる。
【0056】
図2(c)に示すように、処理液をウェハWに供給することによって、ウェハWからレジスト膜95が除去される。このとき、ゲート絶縁膜92及び側壁部94を除去することなくレジスト膜95を除去できる。
【0057】
制御部80は、切替機構50により、硫酸と硝酸とを2:1〜50:1の体積比で混合することが好ましい。すなわち、前述した第1の流量F1と第2の流量F2とが2:1〜50:1の比率になるように混合することが好ましい。硫酸と硝酸とを2:1の体積比で混合するときよりも硝酸の混合比率が大きい場合、硝酸が発煙しやすくなり、取扱いが困難になるおそれがある。また、硫酸と硝酸とを50:1の体積比で混合するときよりも硝酸の混合比率が小さい場合、レジスト膜95を除去できなくなるおそれがある。
【0058】
制御部80は、供給される処理液の温度が120〜250℃になるように、ヒータ75を制御することが好ましい。処理液の温度が120℃未満である場合、レジスト膜95を除去できなくなるおそれがある。また、処理液の温度が250℃を超える場合、液処理装置10の各部材の耐熱性を容易に確保できないおそれがある。
【0059】
制御部80は、切替機構50により、硫酸と硝酸とを処理液として2分程度の時間(処理時間)の間、供給することが好ましい。処理時間が2分程度必要なことは、表1を用いて後述する。
【0060】
その後、図示しない純水供給源により供給ノズル40を介して、又は、図示しない純水供給源により純水供給ノズルを介して、ウェハWに純水を供給して純水リンスを行い、その後、スピンドライ若しくは必要に応じてN乾燥を行って洗浄処理を終了する。
【0061】
ここで、硫酸と硝酸との混合比率、処理液の温度及び処理時間を変えて液処理を行い、レジスト膜が除去可能か否かの試験を実施例1として行った。その結果を表1に示す。表1に示す試験は、レジスト膜の厚さを0.5μmとして行った。
【0062】
【表1】

表1は、硫酸と硝酸との混合比率、処理液の温度、処理時間、レジスト膜の除去状況を示す。また、レジスト膜の除去状況における○、△、×は、それぞれ、除去可能、一部残留、除去不能を示す。
【0063】
表1に示す結果より、硫酸と硝酸との混合比率が体積比で2:1〜50:1であり、処理液の温度が120℃以上であるときは、2分以上処理を行うことによって、レジスト膜が除去可能である。特に、処理液の温度が高温(200℃以上)になるほど、剥離性能が高くなる傾向がある。また、硫酸と硝酸との混合比率が体積比で4:1〜10:1であるときは、更にレジスト膜が容易に除去可能である。従って、処理液として、硫酸と硝酸との混合比率が体積比で2:1〜50:1であることが好ましく、4:1〜10:1であることがより好ましい。また、液処理装置の各部材の耐熱性を容易に確保できる点も含め、供給される処理液の温度は120〜250℃が好ましい。また、処理時間は2分以上であることが好ましい。
【0064】
硫酸と硝酸とを混合し、120℃以上の温度に保持されている処理液によりレジスト膜を除去する際に、ゲート絶縁膜及び側壁部を除去することなくレジスト膜を除去できる作用効果としては、一例として、以下のように考えられる。
【0065】
以下では、硫酸と硝酸とを混合した酸を混酸と称し、混酸による洗浄を混酸洗浄と称する。また、硫酸過水による洗浄をSPM洗浄と称する。そして、混酸洗浄とSPM洗浄とを比較して説明する。
【0066】
SPM洗浄では、硫酸と過酸化水素水とを混合させる際に、式(1)に示す反応
SO+H→HSO+HO (1)
が起こり、カロ酸(HSO)が生成される。また、式(1)により生成されたカロ酸(HSO)は、式(2)に示す反応
SO→HSO+OH (2)
によりOHラジカル(OH)を生成する。このOHラジカル(OH)は、式(3)に示す反応
SiO+4OH+4H→Si(OH)+2HO (3)
によりシリコン酸化膜(SiO)と反応し、シリコン酸化膜(SiO)をエッチングする。このように、SPM洗浄では、レジスト膜を除去する際に、ゲート絶縁膜等の下地膜及び側壁部がエッチングされると考えられる。
【0067】
一方、混酸洗浄では、硫酸と硝酸とを混合させる際に、式(4)に示す反応
2HSO+HNO→NO+2HSO+H (4)
が起こり、ニトロニウムイオン(NO)が生成される。
【0068】
一例として、ニトロニウムイオン(NO)は、強力な求電子剤として作用し、レジスト膜及び硬化層のR−H結合(Rは各種の官能基、Hは水素原子)をニトロ化し、下記構造式(5)
【0069】
【化1】

に示す芳香族ニトロ化合物を生成させる。生成した芳香族ニトロ化合物は、硝酸と反応し、下記構造式(6)
【0070】
【化2】

に示すカルバニオンを生成させる。このとき、硝酸は、塩基として芳香族ニトロ化合物と反応する。生成したカルバニオンは、硫酸と反応し、下記構造式(7)
【0071】
【化3】

に示すケトンと、アルデヒドとを生成させる。このとき、硫酸は、酸としてカルバニオンと反応する。また、アルデヒドは水溶性であるが、式(7)に示すケトンは、水に不溶性である。そして、式(7)に示すケトンは、硫酸により更に酸化されてカルボン酸となり、水溶性となる。上記の反応によって、ウェハWからレジスト膜を除去することができると考えられる。また、120℃以上の温度で反応速度が十分高くなると考えられる。
【0072】
あるいは、一例として、ニトロニウムイオン(NO)は、酸化剤として作用し、レジスト膜及び硬化層を酸化させてC−C一重結合、C=C二重結合等の炭素原子同士の結合を切断することによって、ウェハWからレジスト膜を分解除去することができると考えられる。また、120℃以上の温度で反応速度が十分高くなると考えられる。
【0073】
一方、ニトロニウムイオン(NO)を含め、式(4)で発生した各生成物は、OHラジカル(OH)に比べ、例えばシリコン酸化膜(SiO膜)と反応しにくいと考えられる。
【0074】
従って、120℃以上の温度に保持されている混酸をウェハWに供給することによって、下地膜及び側壁部を除去することなくレジスト膜を除去できると考えられる。
【0075】
なお、硫酸と硝酸とを混合した混酸に代え、ニトロニウムイオン(NO)を発生できる各種の酸を含む処理液を用いた場合にも、本実施の形態と同様の効果が得られる。
【0076】
図3は、レジスト膜を除去する際の下地膜の膜厚tの減少分を、比較例1(SPM洗浄)と、実施例2(混酸洗浄)とで比較して示すグラフである。レジスト膜を除去する際の下地膜の膜厚の減少分は、レジスト膜を除去する前後における下地膜の膜厚t1、t2を測定し、t2−t1を計算することによって求めた。
【0077】
比較例1における硫酸と過酸化水素水との混合比率は、流量比で10:1又は6:1とした。また、実施例2における硫酸と硝酸との混合比率は、流量比で10:1又は6:1とした。また、処理液の温度を170℃とし、処理時間を2分とした。また、比較例1、実施例2とも、下地膜として原子層堆積法(ALD法)によるSiN(ALD−SiN)、原子層堆積法(ALD法)によるSiO(ALD−SiO)が形成されているウェハWを用いた。
【0078】
図3に示すように、下地膜がALD−SiN、ALD−SiOのいずれであるときも、また、混合比率が10:1、6:1のいずれであるときも、同条件同士では、実施例2における下地膜の膜厚の減少分は、比較例1における下地膜の膜厚の減少分以下である。従って、混合した硫酸と硝酸とを処理液としてウェハWに供給することによって、下地膜及び側壁部を除去することなくレジスト膜を除去できることが分かる。
【0079】
図4は、実施例3(混酸洗浄)における、レジスト膜を除去する際の下地膜のエッチング速度を、各種の下地膜及び処理液の温度について、比較して示すグラフである。図4では、一部の条件について、比較例2(SPM洗浄)と比較して示す。
【0080】
実施例3における硫酸と硝酸との混合比率は、流量比(実際の実施条件では、概ね体積比とすることができる)で7:1とした。また、比較例2における硫酸と過酸化水素水との混合比率は、流量比で4:1とした。また、処理液の温度を150℃、170℃、200℃、220℃、250℃のいずれかの温度とした。また、実施例3では、下地膜として、ALD−SiN、ALD−SiO、熱酸化によるSiO(Th−SiO)及びジクロルシランガスによるSiN(DCS−SiN)のいずれかが形成されているウェハWを用いた。また、下地膜がALD−SiNであって、処理液の温度が150℃、200℃、250℃のときについては、比較例2(SPM洗浄)も行った。
【0081】
下地膜がALD−SiNである場合には、図4に示すように、実施例3(混酸洗浄)における下地膜のエッチング速度は、比較例2(SPM洗浄)におけるエッチング速度よりも少ない。図4には、下地膜がALD−SiNである場合についてのみ比較例2(SPM洗浄)の結果を示しているが、下地膜がALD−SiO、Th−SiO及びDCS−SiNのいずれかである場合でも、同様である。したがって、混酸洗浄によれば、レジスト膜を除去する際の下地膜のエッチング速度を、SPM洗浄によりレジスト膜を除去する際の下地膜のエッチング速度よりも小さくすることができる。
【0082】
また、レジスト膜の剥離性能を高めるためには、処理液の温度を高温にする必要がある。しかし、図4に示すように、いずれの下地膜についても、処理液の温度が高温になるほど、下地膜のエッチング速度が増加する。その結果、例えば、下地膜がALD−SiNである場合において、レジスト膜を剥離可能な条件である250℃の温度の混酸により5分間洗浄するときは、膜厚が8.5Å減少する。
【0083】
したがって、ウェハWにイオン注入される注入量(ドーズ量)が1014〜1015ions/cmと比較的低いため、イオンの注入深度が浅く、かつ、シリコンロスが懸念されるLDD工程などでは、120〜200℃の温度で処理することが好ましい。また、ウェハWにイオン注入される注入量(ドーズ量)が1015ions/cm以上と高く、イオンの注入深度が深いSD工程などでは、200〜250℃の温度で処理することが好ましい。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次に、図5を参照し、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る液処理装置の概略構成について説明する。
【0084】
本変形例に係る液処理装置は、硫酸と硝酸とを混合した状態で加熱する点で、第1の実施の形態に係る液処理装置と相違する。
【0085】
図5は、本変形例に係る液処理装置の概略構成を示す図である。
【0086】
液処理装置10aは、ウェハ保持部20、排液カップ30、供給ノズル40、切替機構50a、第1の供給源51、第2の供給源52、貯留タンク60a、循環機構70、制御部80を有する。また、切替機構50a、第1の供給源51、第2の供給源52、貯留タンク60a以外の部分については、第1の実施の形態に係る液処理装置10と同様であり、説明を省略する。
【0087】
切替機構50aは、第1の供給源51と第2の供給源52とを切替可能に供給ノズル40に接続するものである。
【0088】
第1の供給源51は、硫酸を供給する。第2の供給源52は硝酸を供給する。第1の供給源51は、第1の供給流路53を介して切替機構50aと接続されている。第2の供給源52は、第2の供給流路54を介して切替機構50aと接続されている。切替機構50aは、第3の供給流路55を介して供給ノズル40と接続されている。
【0089】
切替機構50aは、バルブV1、V2、V3、V4を有する。バルブV1は、第1の供給流路53上に設けられている。バルブV2は、第2の供給流路54上に設けられている。バルブV1、V2は、独立して開閉可能に設けられている。バルブV3は、第1の供給流路53上であってバルブV1の上流側に設けられている。バルブV4は、第2の供給流路54上であってバルブV2の上流側に設けられている。バルブV3、V4は、独立して開度が調整可能に設けられている。
【0090】
バルブV1、V2の開閉を独立して切り替え、バルブV3、V4の開度を独立して調整することによって、切替機構50aは、第1の供給源51により供給される硫酸と、第2の供給源52により供給される硝酸とを、所定の比率で混合することができる。硫酸と硝酸とを混合する所定の比率を、例えば体積比で2:1〜50:1とすることができる。
【0091】
なお、バルブV3、V4に代え、LFC、MFC等の各種の流量コントローラを用いることができる。また、バルブV3、V4を設けず、バルブV1、V2を間欠的に開閉制御することによって、硫酸と硝酸との混合比率を調整してもよい。
【0092】
貯留タンク60aは、切替機構50aと供給ノズル40との間の第3の供給流路55上に設けられている。貯留タンク60aは、切替機構50aにより混合された硫酸と硝酸とよりなる処理液を貯留するためのものである。
【0093】
なお、切替機構50a及び貯留タンク60aは、本発明における混合部に相当する。
【0094】
循環機構70は、供給口71、流出口72、循環流路73、ポンプ74、ヒータ75及びフィルタ76を備えている。供給口71は、例えば貯留タンク60aの上部に設けられている。流出口72は、例えば貯留タンク60aの底部に設けられている。循環流路73は、貯留タンク60aの流出口72と供給口71とを接続する流路である。循環流路73の途中には、例えば流出口72側から順に、ポンプ74、ヒータ75及びフィルタ76が介設されている。ポンプ74は、貯留タンク60aから処理液を送り出して供給口71へ送液する送液部である。ヒータ75は、供給口71へ送液する処理液を所定の温度に加熱する、処理液を所定の温度に調整するための加熱部である。所定の温度を、例えば120〜250℃とすることができる。フィルタ76は、貯留タンク60aから送り出された処理液を清浄化する浄化部である。
【0095】
循環機構70は、処理液をポンプ74により貯留タンク60aの流出口72から送り出し、送り出した処理液をヒータ75により加熱し、加熱した処理液をフィルタ76により清浄化し、清浄化した処理液をポンプ74により供給口71に送液する。そして、送液した処理液を供給口71により再び貯留タンク60aに供給することによって、処理液を循環させる。
【0096】
循環機構70は、ポンプ74により、例えば10L/minの所定流量(循環流量)で、処理液を貯留タンク60aの流出口72から送り出して供給口71へ送液できる。
【0097】
貯留タンク60aと供給ノズル40との間の第3の供給流路55上には、バルブV5、V6が設けられている。バルブV5は、開閉可能に設けられている。バルブV6は、バルブV5の下流側に設けられており、開度が調整可能に設けられている。
【0098】
また、バルブV6と供給ノズル40との間の第3の供給流路55上には、図示しない切替機構を介して図示しない純水供給源が接続されていてもよい。あるいは、供給ノズル40と異なる図示しない純水供給ノズルを設け、純水供給ノズルに図示しない純水供給源が接続されていてもよい。これにより、液処理装置10aにおいて、処理液による処理の後に、純水によるリンス処理を行うことができる。
【0099】
また、排液管31と貯留タンク60aとを接続する図示しない回収機構を設けてもよい。回収機構は、処理液を図示しないポンプにより排液管31から回収し、回収した処理液を図示しないフィルタにより清浄化し、清浄化した処理液を図示しないポンプにより貯留タンク60aに戻すようにしてもよい。
【0100】
本変形例に係る液処理方法も、下地膜が成膜されたウェハW上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入されたウェハWからレジスト膜を除去するものであり、図2を用いて説明することができる。
【0101】
予め、下地膜が成膜されたウェハWを準備し、図2(a)及び図2(b)に示す工程を行うことは、第1の実施の形態と同様である。
【0102】
次いで、図2(c)に示す工程では、イオン注入されたウェハWからレジスト膜95を除去する。
【0103】
ウェハ保持部20の保持部材24によりウェハWを保持し、回転モータ23により回転軸22及び回転プレート21を回転させることによって、保持部材24に保持されているウェハWを回転させる。そして、駆動機構42により供給ノズル40を処理液供給位置に移動させ、供給ノズル40によりウェハWに処理液を供給する。
【0104】
制御部80は、バルブV1〜V4の開閉又は開度を制御することによって、第1の供給源51、第2の供給源52によりそれぞれ貯留タンク60aに供給される、硫酸、硝酸の量を調整することができる。例えば、硫酸を、第1の供給源51により第1の流量F1で供給し、硝酸を、第2の供給源52により第2の流量F2で供給する。これにより、所定の比率で混合された硫酸と硝酸とを、貯留タンク60aに貯留することができる。
【0105】
制御部80は、ウェハWに供給される処理液の温度が120℃以上になるように、ヒータ75により処理液を加熱する。例えば図示しない温度センサを供給ノズル40の近傍に設置し、供給ノズル40により供給される処理液の温度を、温度センサにより測定する。そして、温度センサにより測定される温度が120℃以上になるように、制御部80がヒータ75に投入する電力を調整する。これにより、貯留タンク60aに貯留されている処理液が120℃以上の所定の温度に保持される。貯留タンク60aに貯留されている処理液は、例えば供給ノズル40により供給される処理液の温度の設定温度よりも高い温度に保持してもよい。
【0106】
制御部80は、バルブV5を開き、バルブV6の開度を調整することによって、処理液を、貯留タンク60aから第3の流量F3で供給ノズル40に供給する。これにより、切替機構50aにより所定の比率で混合された硫酸と硝酸とを、120℃以上の温度の処理液として、供給ノズル40によりウェハWに供給することができる。
【0107】
図2(c)に示すように、処理液をウェハWに供給することによって、ウェハWからレジスト膜95が除去される。このとき、第1の実施の形態と同様に、ゲート絶縁膜92及び側壁部94を除去することなくレジスト膜95を除去できる。
【0108】
制御部80は、第1の実施の形態と同様に、切替機構50aにより、硫酸と硝酸とを2:1〜50:1の体積比で混合することが好ましく、4:1〜10:1の体積比で混合することがより好ましい。すなわち、前述した第1の流量F1と第2の流量F2とが2:1〜50:1の比率になるように混合することが好ましく、4:1〜10:1の比率になるように混合することがより好ましい。
【0109】
制御部80は、第1の実施の形態と同様に、供給される処理液の温度が120〜250℃になるように、ヒータ75を制御することが好ましい。
【0110】
制御部80は、第1の実施の形態と同様に、硫酸と硝酸とを処理液として2分程度の時間の間、供給することが好ましい。
【0111】
なお、制御部80は、バルブV1〜V4の開閉又は開度を制御することによって、第1の供給源51、第2の供給源52のいずれかにより硫酸又は硝酸を追加供給し、貯留タンク60aに貯留されている硫酸と硝酸との混合比率が所定の比率を保持するように、制御してもよい。
【0112】
その後、図示しない純水供給源により供給ノズル40を介して、又は、図示しない純水供給源により純水供給ノズルを介して、ウェハWに純水を供給して純水リンスを行い、その後、スピンドライ若しくは必要に応じてN乾燥を行って洗浄処理を終了する。
【0113】
本変形例でも、第1の実施の形態と同様に、硫酸と硝酸とを所定の比率で含み、120℃以上の温度に保持されている処理液をウェハWに供給することによって、レジスト膜を除去する。これにより、下地膜及び側壁部を除去することなくレジスト膜を除去できる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次に、図6を参照し、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係る液処理装置の概略構成について説明する。
【0114】
本変形例に係る液処理装置は、イオン強度測定部によりニトロニウムイオン(NO)の強度を測定する点で、第1の実施の形態の第1の変形例に係る液処理装置と相違する。
【0115】
図6は、本変形例に係る液処理装置の概略構成を示す図である。
【0116】
本変形例に係る液処理装置10bは、イオン強度測定部65を有するとともに、貯留タンク60bが石英により形成されている。また、イオン強度測定部65及び貯留タンク60b以外の部分については、第1の実施の形態の第1の変形例に係る液処理装置10aと同様であり、説明を省略する。
【0117】
イオン強度測定部65は、貯留タンク60bに外側から所定の波長の光を照射する発光部66と、発光部66から照射され、貯留タンク60bに貯留されている処理液を通過した光を受光する受光部67とを有する。発光部66は、貯留タンク60bの外部に設けられており、受光部67は、貯留タンク60bの外部であって、発光部66と反対側に設けられている。貯留タンク60bが石英により形成されているため、発光部66から照射された光は、貯留タンク60bに貯留されている処理液を通過して、受光部67に入射される。
【0118】
本変形例に係る液処理方法も、下地膜が成膜されたウェハW上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入されたウェハWからレジスト膜を除去するものであり、図2を用いて説明することができる。ただし、本変形例では、イオン強度測定部65によりNOのイオン強度を測定する。従って、NOのイオン強度を測定する点以外については、第1の実施の形態の第1の変形例に係る液処理方法と同様であり、説明を省略する。
【0119】
本変形例に係る液処理方法では、予め、貯留タンク60bに貯留されている処理液中のNOのイオン強度を変えた場合について、受光部67が受光した光の強度を測定し、NOのイオン強度と、受光部67が受光する光の強度との関係を示すデータよりなるテーブルを準備しておく。そして、実際の液処理の際に、受光部67が受光した光の強度と、準備したテーブルの値とに基づいて、貯留タンク60bに貯留されている処理液中のNOのイオン強度を測定することができる。
【0120】
ここで、イオン強度とは、NOの濃度及びNOの活性度の双方に基づいて定められたものであってもよく、又は、NOの濃度及びNOの活性度のいずれか一方に基づいて定められたものであってもよい。
【0121】
また、制御部80は、イオン強度測定部65により測定されたイオン強度に基づいて、ヒータ75の加熱量、第1の供給源51により貯留タンク60bに硫酸を補充する補充量、及び第2の供給源52により貯留タンク60bに硝酸を補充する補充量のうち、いずれか一つ以上を制御するようにしてもよい。
【0122】
例えば、硫酸と硝酸とを7:1の体積比で混合した処理液を加熱して50℃から250℃まで一様に温度を上昇させたとき、処理液は、150℃程度の温度で褐色に着色し始め、210〜230℃の温度で褐色に着色する度合いが最大となった。処理液は、褐色に着色しているときに、NOの濃度又はNOの活性度が高まっていると考えられる。また、処理液が褐色に着色すると、受光部67により受光する受光量は減少する。従って、例えば受光量が所定の上限値以下に減少するようにヒータ75の加熱量等を制御することによって、NOの濃度又はNOの活性度が所定の下限値以上に増加するように制御することができる。
【0123】
あるいは、同一の温度で処理液の加熱を所定時間継続した場合にも、処理液中のNOのイオン強度の増加に伴って、処理液の色が褐色に着色する度合いが増加する。例えば、200℃で所定時間(例えば10分間)加熱を継続し、褐色に着色する度合い、すなわちイオン強度を増加させた後に、処理液をウェハに供給することによって、200℃よりも高い温度で処理液を加熱した場合と略同等のレジスト剥離性能が得られる。その結果、装置の各部材の耐熱性確保のためのコストアップを抑制しつつ、レジスト剥離性能を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図7を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る液処理装置の概略構成について説明する。
【0124】
本実施の形態に係る液処理装置は、本発明に係る液処理装置を、複数枚のウェハWを一括してバッチ処理するバッチ式の液処理装置に適用した例である点で、第1の実施の形態に係る液処理装置と相違する。
【0125】
図7は、本実施の形態に係る液処理装置の概略構成を示す図である。
【0126】
液処理装置110は、処理槽120、循環機構130、ウェハガイド140、切替機構150、第1の供給源151、第2の供給源152及び制御部80を有する。また、制御部80については、第1の実施の形態に係る液処理装置10と同様であり、説明を省略する。
【0127】
処理槽120は、ウェハWを処理するための処理液を貯留するものであり、内槽121を有する。内槽121は、箱形の形状を有し、ウェハWを収納するのに十分な大きさを有する。内槽121には、処理液が貯留されるようになっている。
【0128】
内槽121の外側には、外槽122が設けられている。外槽122は、内槽121の開口部を取り囲むように装着されている。外槽122は、内槽121から溢れた処理液を受けるためのものである。
【0129】
内槽121及び外槽122は、耐食性及び耐薬品性に富む材質、例えば石英により形成されている。
【0130】
循環機構130は、供給口131、流出口132、循環流路133、ポンプ134、ヒータ135及びフィルタ136を備えている。供給口131は、例えば内槽121の底部に設けられている。流出口132は、例えば外槽122の底部に設けられている。循環流路133は、流出口132と供給口131とを接続する流路である。循環流路133の途中には、例えば流出口132側から順に、ポンプ134、ヒータ135及びフィルタ136が介設されている。ポンプ134は、外槽122から処理液を送り出して供給口131へ送液する送液部である。ヒータ135は、供給口131へ送液する処理液を所定の温度に加熱する、処理液を所定の温度に調整するための加熱部である。所定の温度を、例えば120〜250℃とすることができる。フィルタ136は、外槽122から送り出した処理液を清浄化する浄化部である。
【0131】
循環機構130は、外槽122により受けた処理液をポンプ134により外槽122の流出口132から送り出し、送り出した硫酸をヒータ135により加熱し、加熱した処理液をフィルタ136により清浄化し、清浄化した処理液をポンプ134により供給口131に送液する。そして、送液した処理液を供給口131により再び内槽121に供給することによって、処理液を循環させる。
【0132】
循環機構130は、ポンプ134により、例えば10L/minの所定流量(循環流量)で、処理液を外槽122の流出口132から送り出して内槽121の供給口131へ送液できる。
【0133】
また、例えばフィルタ136と供給口131との間には、図示しない切替機構を介して図示しない純水供給源が接続されていてもよい。これにより、処理槽120において、処理液による処理の後に、純水によるリンス処理を行うことができる。
【0134】
ウェハガイド140は、内槽121内でウェハWを保持可能に設けられており、本発明における基板保持部に相当する。ウェハガイド140は、昇降機構141により、内槽121内の位置と内槽121の上方の位置との間で昇降駆動される。
【0135】
ウェハガイド140には、溝142が、等間隔で例えば50箇所形成されている。溝142は、ウェハWの周縁下部を保持するためのものである。ウェハガイド140は、各ウェハWの周縁部を、各溝142にそれぞれ挿入させることにより、例えば50枚のウェハWを等間隔で配列させた状態で保持できる構成となっている。
【0136】
本実施の形態では、内槽121に処理液を貯留した状態で、ウェハWを保持したウェハガイド140を昇降機構141により内槽121内の位置まで下降させ、ウェハWを処理液に浸漬させることによって、ウェハWに処理液を供給する。すなわち、内槽121は、本発明における供給部に相当する。
【0137】
切替機構150は、第1の供給源151と第2の供給源152とを切替可能に処理槽120に接続するものである。
【0138】
第1の供給源151は、硫酸を供給する。第2の供給源152は硝酸を供給する。第1の供給源151は、第1の供給流路153を介して切替機構150と接続されている。第2の供給源152は、第2の供給流路154を介して切替機構150と接続されている。切替機構150は、内槽121に流れ込むように設けられた供給口156に、第3の供給流路155を介して接続されている。また、切替機構150は、外槽122に流れ込むように設けられた供給口158に、第4の供給流路157を介して接続されている。
【0139】
切替機構150は、供給口156により、内槽121に処理液を直接供給することができ、例えば処理液を交換した後、処理液を調製する時間を短縮することができる。
【0140】
切替機構150は、バルブV1、V2、V3、V4を有する。バルブV1は、第1の供給流路153上に設けられている。バルブV2は、第2の供給流路154上に設けられている。バルブV1は、例えば三方弁を切り替えることによって、第1の供給流路153を、供給口156又は供給口158に切り替え可能に接続するように設けられている。バルブV2は、例えば三方弁を切り替えることによって、第2の供給流路154を、供給口156又は供給口158に切り替え可能に接続するように設けられている。バルブV1、V2は、独立して切り替え可能に設けられている。バルブV3は、第1の供給流路153上であってバルブV1の上流側に設けられている。バルブV4は、第2の供給流路154上であってバルブV2の上流側に設けられている。バルブV3、V4は、独立して開度が調整可能に設けられている。
【0141】
バルブV1、V2の開閉を独立して切り替え、バルブV3、V4の開度を独立して調整することによって、切替機構150は、第1の供給源151により供給される硫酸と、第2の供給源152により供給される硝酸とを、所定の比率で混合することができる。硫酸と硝酸とを混合する所定の比率を、例えば体積比で2:1〜50:1とすることができる。
【0142】
最初に内槽121に処理液を貯留するときは、第3の供給流路155を介して切替機構150と接続された供給口156から直接内槽121に処理液を供給してもよい。このときは、切替機構150及び内槽121が、本発明における混合部に相当する。
【0143】
また、既に内槽121に処理液が貯留されているときは、第4の供給流路157を介して切替機構150と接続された供給口158から外槽122に処理液を追加供給してもよい。このとき、切替機構150を切り替え、内槽121に貯留されている処理液における硫酸と硝酸の混合比が所定の混合比になるように、硫酸と硝酸とを共に追加供給してもよく、硫酸と硝酸とのいずれか一方のみを追加供給してもよい。供給口158から外槽122に追加供給された硫酸又は硝酸は、循環機構130を介して内槽121に供給され、内槽121に貯留されている処理液における硫酸と硝酸の混合比が所定の混合比に調整される。このときは、切替機構150、外槽122、循環機構130及び内槽121が、本発明における混合部に相当する。
【0144】
なお、バルブV3、V4に代え、LFC、MFC等の各種の流量コントローラを用いることができる。
【0145】
本実施の形態に係る液処理方法も、下地膜が成膜されたウェハW上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入されたウェハWからレジスト膜を除去するものであり、図2を用いて説明することができる。
【0146】
予め、下地膜が成膜されたウェハWを準備し、図2(a)及び図2(b)に示す工程を行うことは、第1の実施の形態と同様である。
【0147】
次いで、図2(c)に示す工程では、イオン注入されたウェハWからレジスト膜95を除去する。
【0148】
内槽121に処理液を貯留している状態で、ウェハガイド140によりウェハWを保持し、昇降機構141によりウェハガイド140を内槽121内の位置まで下降させ、ウェハWを処理液に浸漬させることによって、ウェハWに処理液を供給する。
【0149】
制御部80は、バルブV1〜V4の開閉又は開度を制御することによって、第1の供給源151、第2の供給源152によりそれぞれ処理槽120に供給される、硫酸、硝酸の量を調整することができる。例えば、硫酸を、第1の供給源151により第1の流量F1で供給し、硝酸を、第2の供給源152により第2の流量F2で供給する。これにより、所定の比率で混合された硫酸と硝酸とを、処理槽120に貯留することができる。
【0150】
制御部80は、ウェハWに供給される処理液の温度、すなわち内槽121に貯留されている処理液の温度が120℃以上になるように、ヒータ135により処理液を加熱する。例えば図示しない温度センサを内槽121の近傍に設置し、内槽121に貯留されている処理液の温度を、温度センサにより測定する。そして、温度センサにより測定される温度が120℃以上になるように、制御部80がヒータ135に投入する電力を調整する。これにより、内槽121に貯留されている処理液が120℃以上の所定の温度に保持される。
【0151】
図2(c)に示すように、処理液をウェハWに供給することによって、ウェハWからレジスト膜95が除去される。このとき、ゲート絶縁膜92及び側壁部94を除去することなくレジスト膜95を除去できる。
【0152】
制御部80は、第1の実施の形態と同様に、切替機構150により、硫酸と硝酸とを2:1〜50:1の体積比で混合することが好ましく、4:1〜10:1の体積比で混合することがより好ましい。すなわち、前述した第1の流量F1と第2の流量F2とが2:1〜50:1の比率になるように混合することが好ましく、4:1〜10:1の比率になるように混合することがより好ましい。
【0153】
制御部80は、第1の実施の形態と同様に、供給される処理液の温度が120〜250℃になるように、ヒータ135を制御することが好ましい。
【0154】
また、前述したように、制御部80は、バルブV1〜V4の開閉又は開度を制御することによって、第1の供給源151、第2の供給源152のいずれかにより硫酸又は硝酸を追加供給し、処理槽120に貯留されている硫酸と硝酸との混合比率が所定の比率を保持するように、制御してもよい。
【0155】
その後、図示しない純水供給源により循環流路133を介して内槽121に純水を貯留して純水リンスを行うか、又は、処理槽120と異なる純水を貯留している純水リンス槽を用いて純水リンスを行い、その後、必要に応じてN乾燥を行って洗浄処理を終了する。
【0156】
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、硫酸と硝酸とを所定の比率で含み、120℃以上の温度に保持されている処理液をウェハWに供給することによって、レジスト膜を除去する。これにより、下地膜及び側壁部を除去することなくレジスト膜を除去できる。
【0157】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0158】
例えば、処理される基板は、半導体基板以外の各種の基板であってもよい。また、基板に成膜される下地膜は、基板の表面を保護する保護膜、基板の表面に形成された導電膜など、各種の膜であってもよい。
【符号の説明】
【0159】
10、10a、10b 液処理装置
20 ウェハ保持部
40 供給ノズル
50 切替機構
60、60a、60b 貯留タンク
65 イオン強度測定部
66 発光部
67 受光部
70 循環機構
75 ヒータ
80 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理液により処理する液処理方法において、
硫酸と硝酸とを所定の比率で混合してなる、120℃以上の温度の処理液を、下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された前記基板に供給することによって、前記基板から前記レジスト膜を除去する、液処理方法。
【請求項2】
基板を処理液により処理する液処理方法において、
下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された前記基板を基板保持部により保持し、混合部により硫酸と硝酸とを所定の比率で混合し、混合された硫酸と硝酸とを処理液として供給部により前記基板に供給することによって、前記基板から前記レジスト膜を除去するとともに、処理液の温度が120℃以上になるように、加熱部により加熱する、液処理方法。
【請求項3】
処理液の温度が120℃以上になるように、前記加熱部により硫酸を加熱し、加熱された硫酸を前記混合部により硝酸と混合し、混合された硫酸と硝酸とを処理液として前記供給部により前記基板に供給することによって、前記基板から前記レジスト膜を除去する、請求項2に記載の液処理方法。
【請求項4】
処理液の温度が120℃以上になるように、混合された硫酸と硝酸とを前記加熱部により加熱し、加熱された硫酸と硝酸とを処理液として前記供給部により前記基板に供給することによって、前記基板から前記レジスト膜を除去する、請求項2に記載の液処理方法。
【請求項5】
前記混合部は、混合された硫酸と硝酸とを処理液として貯留する貯留タンクを含み、
発光部から前記貯留タンクに照射され、前記貯留タンクに貯留されている処理液を通過した光を受光部が受光した受光量に基づいて、前記貯留タンクに貯留されている処理液のニトロニウムイオンの強度を測定し、測定したニトロニウムイオンの強度に基づいて、前記加熱部の加熱量、前記貯留タンクに硫酸を補充する補充量、又は、前記貯留タンクに硝酸を補充する補充量を制御する、請求項4に記載の液処理方法。
【請求項6】
処理液の温度が120〜250℃になるように、前記加熱部により加熱する、請求項2から請求項5のいずれかに記載の液処理方法。
【請求項7】
硫酸と硝酸とを2:1〜50:1の体積比で混合する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の液処理方法。
【請求項8】
硫酸と硝酸とを4:1〜10:1の体積比で混合する、請求項7に記載の液処理方法。
【請求項9】
前記下地膜は、ゲート絶縁膜であるか、又は、ゲート電極の側面を被覆する側壁部である、請求項1から請求項8のいずれかに記載の液処理方法。
【請求項10】
コンピュータに請求項1から請求項9のいずれかに記載の液処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
基板を処理液により処理する液処理装置において、
基板を保持する基板保持部と、
硫酸と硝酸とを混合する混合部と、
前記混合部により混合された硫酸と硝酸とを処理液として基板に供給する供給部と、
処理液を所定の温度に調整するための加熱部と、
前記基板保持部と前記混合部と前記供給部と前記加熱部とを制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、下地膜が成膜された基板上にレジスト膜が形成された状態でイオン注入された前記基板を前記基板保持部により保持し、前記混合部により硫酸と硝酸とを所定の比率で混合し、混合された硫酸と硝酸とを処理液として前記供給部により前記基板に供給するように制御するとともに、処理液の温度が120℃以上になるように、前記加熱部を制御するものである、液処理装置。
【請求項12】
前記加熱部は、硫酸を加熱するものであり、
前記制御部は、処理液の温度が120℃以上になるように、前記加熱部により硫酸を加熱し、加熱された硫酸を前記混合部により硝酸と混合し、混合された硫酸と硝酸とを処理液として前記供給部により前記基板に供給するように、制御するものである、請求項11に記載の液処理装置。
【請求項13】
前記加熱部は、混合された硫酸と硝酸とを加熱するものであり、
前記制御部は、処理液の温度が120℃以上になるように、混合された硫酸と硝酸とを前記加熱部により加熱し、加熱された硫酸と硝酸とを処理液として前記供給部により前記基板に供給するように、制御するものである、請求項11に記載の液処理装置。
【請求項14】
前記混合部は、混合された硫酸と硝酸とを処理液として貯留する貯留タンクを含み、
前記貯留タンクに光を照射する発光部と、前記発光部から照射され、前記貯留タンクに貯留されている処理液を通過した光を受光する受光部とを含み、前記受光部が受光した受光量に基づいて、前記貯留タンクに貯留されている処理液のニトロニウムイオンの強度を測定するイオン強度測定部を有し、
前記制御部は、前記イオン強度測定部により測定されたニトロニウムイオンの強度に基づいて、前記加熱部の加熱量、前記貯留タンクに硫酸を補充する補充量、又は、前記貯留タンクに硝酸を補充する補充量を制御するものである、請求項13に記載の液処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、処理液の温度が120〜250℃になるように、前記加熱部を制御するものである、請求項11から請求項14のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記混合部により硫酸と硝酸とを2:1〜50:1の体積比で混合するものである、請求項11から請求項15のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記混合部により硫酸と硝酸とを4:1〜10:1の体積比で混合するものである、請求項16に記載の液処理装置。
【請求項18】
前記下地膜は、ゲート絶縁膜であるか、又は、ゲート電極の側面を被覆する側壁部である、請求項11から請求項17のいずれかに記載の液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−129496(P2012−129496A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180892(P2011−180892)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】