説明

液晶表示装置

【課題】低コストで高い画像品質を実現する。
【解決手段】液晶パネル2には、赤CFR、緑CFG、青CFBの色レジスト層と遮光層(ブラックマトリクス)50とが積層されている。各サブピクセル4Sは、遮光層50で区画されており、このサブピクセル4Sは、3行2列で1画素4Pixを形成している。赤CFR、緑CFG、青CFBの各色レジストは、サブピクセル4Sの行毎に塗り分けられており、個々の色レジストは、X軸方向にストライプ状の形状となっている。各サブピクセル4Sの列に設けられる3本のデータ線D1、D2、D3は、1本が遮光層50の下に配置され、それ以外の2本は遮光層50の開口部を斜めに分断するように等間隔に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、三次元映像を表示する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、三次元映像、所謂、3D映像が表示可能なディスプレイの需要が急速に高まっている。三次元映像を表示させる方法は、過去から多くの研究がなされており、現在も活発に研究・開発がされている。その中で、現在最も有力視されている方法の一つに、両眼視差を用いる方法がある。
【0003】
この両眼視差を用いた三次元表示装置は、大きく2つの方式に分類される。一つは専用のメガネを用いて左右の目に異なる画像を映し出す方式(以下、メガネ方式と称す)であり、もう一つは、専用のメガネを用いずに三次元表示装置から出射される左右異なる画像の光を空間的に分離して映し出す方式(以下、「裸眼方式」と称する。)である。
【0004】
前者のメガネ方式は、比較的大きな画面を複数の観察者が同時に見るのに適した方式であり、映画館やテレビなどに用いられている。後者の裸眼方式は、比較的小さな画面を一人の観察者が見るのに適した方式である。特に裸眼方式は、専用のメガネを用いるという煩わしさがなく、手軽に三次元映像を見ることが可能であることから、携帯端末、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、ノート型コンピュータのディスプレイへの適用が期待されている。
【0005】
裸眼方式の三次元映像が表示可能な液晶表示装置の一例として、特許文献1が開示する構成がある。特許文献1は、図42に示すように、X軸方向及びY軸方向に3×3の画素がマトリクス状に配置されており、一つの画素が6個のサブピクセルRR、RL、GR、GL、BR、BLから構成される液晶表示装置を開示している。特許文献1が開示する液晶表示装置は、この6個のサブピクセルから構成される1画素で、カラー画像を構成するR、G、Bの光を左右の目用に2つ映し出している。なお、サブピクセルRRは、右目用の赤の画像を表示するサブピクセルであり、RLは、左目用の赤の画像を表示するサブピクセルである。同様にGR、GL、BR、BLはそれぞれ右目用の緑、左目用の緑、右目用の青、左目用の青の画像を表示するサブピクセルである。
【0006】
このようなサブピクセルは、図43に示すような回路から構成される。個々のサブピクセルは、スイッチング素子である画素薄膜トランジスタTFT、液晶容量Clc、蓄積容量Cstを有している。画素薄膜トランジスタTFTのゲート端子は、X軸方向に整列したサブピクセルの行に共通のゲート線Gnに接続されており、画素薄膜トランジスタTFTのドレイン端子はY軸方向に整列したサブピクセルの列に共通のデータ線Dmに接続されている。画素薄膜トランジスタTFTのソース端子は、液晶容量Clc及び蓄積容量Cstに接続されている。
【0007】
特許文献1が開示する液晶表示装置は、図44に示すように、ピッチPpでX軸方向及びY軸方向に配置された画素列の上に、ピッチPlのシリンドリカルレンズがX軸方向にアレイ状に並べられて構成されている。観察者は、Z軸方向から液晶表示装置を観察する。サブピクセルRRから出射された右目用の赤の光は、図45に示すように、シリンドリカルレンズ3aにより空間上のZRに放射され、左目用の赤の光も同様にシリンドリカルレンズ3aにより空間上のZLに放射される。ここで、観察者の右目8Rが領域ZRに、左目8Lが領域ZLに入るようにすると、観察者は右目8Rで右目用の画像のみを見ることができ、左目8Lで左目用の画像のみを見ることができる。このため、観察者は、液晶整表示装置に表示された画像を三次元の映像として認識することができる。
【0008】
特許文献1が開示するような液晶表示装置は、1つの優れた特性を有している。それは、観察者が左右(X軸方向)に顔を振っても色が分離して見えることが無いという特性である。シリンドリカルレンズ3aは、レンズの延在方向(Y軸方向)と直角の方向(X軸方向)にのみレンズ効果を持ち、延在方向(Y軸方向)にはレンズ効果を持たない。ここで、特許文献1が開示するような液晶表示装置は、X軸方向に同一の色のサブピクセルを配列しているため、3原色であるR、G、Bの光がレンズによりそれぞれ異なる方向に出射することが無く、色割れのない高画質な三次元映像を表示することが可能となっている。このため、観察者が左右に顔を振っても色が分離して見えることが無い。
【0009】
しかしながら、特許文献1が開示するような液晶表示装置には、いくつかの問題点がある。それは、各サブピクセルへ映像信号を書き込む時間が短くなり、信号の書き込み不足が生じやすい点、モアレが発生する点、そしてデータ線を駆動する回路の規模が大きくなるという点である。
【0010】
まず、信号の書き込み不足が生じやすくなる理由について説明する。特許文献1が開示するような液晶表示装置は、図46に示すように動作する。フレーム期間Tvは、液晶表示装置に1画面分の信号を書き込む期間であり、水平期間Thは、液晶表示装置のサブピクセル1行分の信号を書き込む期間である。一つの水平期間Thでは、任意の1つのゲート線に画素薄膜トランジスタTFTがON状態となる信号を印加する。これと同時に全てのデータ線に映像信号を書き込むことによって、画素薄膜トランジスタTFTを介してデータ線の映像信号が液晶容量Clc及び蓄積容量Cstに書き込まれる。この動作を全てのゲート線に対して行うことにより1画面分の映像信号を書き込むことができる。
【0011】
ここで、特許文献1が開示する液晶表示装置では、3×3の解像度を有しており、さらに1画素をX軸方向に2つ、Y軸方向に3つの6サブピクセルに分割している。そのため、1フレーム期間を少なくとも3の3倍である9の水平期間に分割する必要がある。つまり、実際のY軸方向の画素数の3倍の水平期間の数が必要になるのである。例えば、VGA(640×480画素)の解像度の場合、水平期間Thの数は1440となり、通常(二次元表示)のFHD(1920×1080)解像度の水平期間の数である1080よりも大きくなる。従って、書き込み不足が生じ易くなる。
【0012】
次に、モアレの発生について説明する。特許文献1が開示するような液晶表示装置は、図47に示すように光を出射する。特許文献1が開示する液晶表示装置では、各サブピクセルを区画し、光を透過させない領域(以下、遮光部と表記する)52がサブピクセルの周囲にX軸方向及びY軸方向に存在する。液晶パネル2の遮光部52は、シリンドリカルレンズ3aを介して領域Zdとして観察者側に投影される。この領域Zdは、液晶パネル2から光が照射されないために観察者には黒く視認される。この黒く視認される領域が断続的に現れ、モアレとして認識されるのである。
【0013】
最後に、データ線駆動回路の規模が大きくなる理由について説明する。特許文献1が開示するような液晶表示装置のデータ線を駆動する回路(データドライバ)は、一般的に、図48に示すような回路で構成される。このデータドライバは、2組のメモリであるMR1〜MRm、MG1〜MGm、MB1〜MBmとM´R1〜M´Rm、M´G1〜M´Gm、M´B1〜M´Bmと、選択回路SL1〜SLm、DAC(デジタルアナログコンバータ)DA1〜DAm、アンプAM1〜AMmで構成されている。2組のメモリは、それぞれ1画素行分の映像信号を記憶できる容量を有しており、選択回路、DAC、アンプはそれぞれ、少なくとも1つのサブピクセル行分に含まれるサブピクセルの個数分が設けられている。このデータドライバでは、信号源から信号配線SR、SG、SBに供給される赤、緑、青のデジタル化された映像信号を内部に一時的に記憶し、アナログ信号に変換した後に、サブピクセルの行単位で順次液晶表示装置のデータ線に供給している。
【0014】
このようなデータドライバは、図49に示すように動作する。SR、SG、SBは、信号源から供給される映像信号のタイミングを示しており、MR1〜MBmは、第1の組のメモリの保持内容の変化を示している。また、M´R1〜M´Bmは、第2の組のメモリの保持内容の変化を示しており、DA1〜DAmは、DACの出力の変化を示している。信号源から供給される映像信号は、赤、緑、青の1画素分のデータを単位として順次供給されるのが一般的である。しかしながら、特許文献1が開示するような液晶表示装置では、赤、緑、青の同色のサブピクセルが行方向にストライプ状に配置されており、それぞれ異なるゲート線で駆動されているため、データドライバの中で映像信号を出力するタイミングを調整し、期間Th´nを3分割した期間ThRn、ThGn、ThBnのそれぞれで、サブピクセルの1行分を単位として順次出力している。ここでは、期間ThRnに赤のサブピクセルの行分の信号を出力し、期間ThGn、ThBnでは、それぞれ緑のサブピクセルの行分の信号、青のサブピクセルの行分の信号を出力している。
【0015】
なお、タイミングチャート上の各信号に中に記載された記号は、信号源から供給された映像信号がどの様に保持、転送され、DAC回路を経由して出力されるかを表すために記載したもので、例えば期間Th´nに信号配線SRに供給される信号R1は、まず第1のメモリの組のMR1に保持され、期間Th´nで全ての映像信号が第1のメモリの組に保持された後に、第2の組のメモリM´R1に転送されている。そのため、期間Th´nの後半にR1の記号がM´R1に記載されている。
【0016】
次に、期間Th´n+1の開始時に、第2の組のメモリM´R1に保持された信号が選択回路SL1を介してDACのDA1に転送され出力されるため、信号DA1の期間Th´n+1の開始時にR1の記号が記載されている。その他の記号も同様の規則で記載されている。このタイミングチャートから明らかなように、赤、緑、青の色毎に1サブピクセル行単位で順次映像信号が液晶表示装置に供給されるため、例えば期間Th´nに第1の組のメモリMG1に保持された信号G1が、DACを介して液晶表示装置に出力される前に、次の画素行の信号G´1がデータドライバに供給されてしまう。そのため、メモリに保持した信号を出力する前に新たな信号が書き込まれることが無いように、2組のメモリが必要となる。さらに、第2の組に保持された信号をDAC回路へ切替えて出力するための選択回路も必要となる。
【0017】
ここで、回路の規模について考察する。このデータドライバでは、DACとアンプの数は、1サブピクセル行に含まれるサブピクセルの数分で良い。これは画素の数に色の種類の数と右左2つの画像の数である2を掛けた数よりも少ない。
【0018】
しかしながら、1組分のメモリ及び選択回路が追加で必要となる。ここで、このデータドライバを半導体素子の中に作りこむとして、各回路を作りこむ為に必要な回路面積について考える。DAC及びアンプの回路面積は、要求される周波数特性に依存する。つまり、同じ回路構成でも3倍の速度で動作させる場合は、回路を構成する個々の素子のサイズを大きくしなければならない。実際には、各回路の出力部の素子サイズを大きくするのであるが、回路の数が減少しても駆動周波数がその分だけ速くなれば、結果として回路面積はそれほど大きく減少しない。また、複雑な動作を行うには、その動作を制御するための制御回路の規模も大きくなる。従って、このデータドライバの回路規模は大きくなり、コストが高くなる。
【0019】
上述の書き込み不足が生じやすくなるという課題を解決する方法の一つとして、特許文献2が開示する方法がある。特許文献2が開示する液晶表示装置は、図50に示すように、X軸方向及びY軸方向に4×4の画素を有し、ゲート線は2画素行で共通となっており、データ線は画素行毎に2本ずつ配置されている。特許文献2が開示する液晶表示装置は、図51に示すように動作する。特許文献2が開示する液晶表示装置は、4つの画素行を有しているが、画素行は2本ずつ同一の信号で駆動される。そのため、フレーム期間内で必要となる水平期間Thの数は2である。よって、1つの水平期間Thを長く確保することができ、画素への信号の書き込み不足を解消することが可能となる。
【0020】
もう一つの課題であるモアレを低減する方法として、特許文献3が開示する方法がある。特許文献3が開示するサブピクセルは、図52に示すように構成される。既に説明したとおり、モアレは、シリンドリカルレンズの延在方向(Y軸方向)に沿った遮光部に依存している。より具体的には、各画素のY軸方向の遮光部の幅と開口部の幅の比率で決まる。この比率がX軸方向の位置で変化すると、シリンドリカルレンズを介して観察者が液晶表示装置を見た際に、液晶表示装置を見る角度によって輝度が変化して見えるのである。そのため、モアレを解消するには、遮光部の幅と開口部の幅の比率をX軸方向の位置に依存せず一定にすればよい。特許文献3が開示するサブピクセルは、Y軸方向に延在する遮光部をX軸に対して角度θ傾けている。この斜め遮光部の幅をeとすると、この遮光部のY軸方向の幅dは以下の式で表すことができる。
[数1]
d=e/cosθ
【0021】
斜め遮光部が存在する部分の開口部の幅は、幅b、cの合計となり、開口部を決める辺Etと辺Ebが平行であれば、その合計値はX軸方向の位置に依らず一定となる。一方、斜め遮光部が存在しない部分では、開口部を決める辺Et´が辺Ebと平行であれば、幅fを幅dと等しくすることで、開口部の幅aは、X軸方向の位置に依らず一定であり、且つ、幅b、cの合計と等しくなる。尚、辺El、El´、Erは共に平行である。
【0022】
Y軸方向の遮光部の幅と開口部の幅の比率がX軸方向の位置に依らず一定となる別の方法として、特許文献4が開示する方法がある。特許文献4が開示するサブピクセルは、図53に示すように、開口部の形状を平行四辺形にし、X軸方向に隣り合うサブピクセルと必ず重なり合う形状で構成されている。開口部が平行四辺形であることから、辺EtとEbは平行であり、辺ElとErも平行である。従って、X軸方向の開口部の幅aと、幅b、cとの合計値は、X軸方向の位置に依らず常に等しくなる。上述のように、モアレを低減するための方法には、様々な手法がある(例えば、特許文献5、6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2006−030512号公報
【特許文献2】特開昭64−025196号公報
【特許文献3】特開平10−186294号公報
【特許文献4】特開2008−092361号公報
【特許文献5】特開2008−249887号公報
【特許文献6】特開2005−208567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、上述した特許文献2が開示する方法と特許文献3又は4が開示する方法を組み合わせて、画素への信号の書き込み不足を解消し、モアレの発生を防ごうとすると新たな課題が発生する。それは開口率の低下である。
【0025】
例えば、図52に示すように、斜め遮光部のY軸方向の幅dは、遮光部の幅eと角度θで決まるが、書き込み不足を低減させる目的で、複数のサブピクセルの行を同時に駆動させようとすると、各サブピクセルの列に設けるデータ線の数も増やさなければならない。例えば、2つのサブピクセルの行を同時に駆動させるには、サブピクセルの列毎に設ける必要があるデータ線の数も2となり、遮光部の幅eは2倍以上になる。これに伴い、斜め遮光部のY軸方向の幅dも大きくなり、斜め遮光部が無い部分において、開口部の幅を調整する幅fも大きくなる。よって、開口率が大幅に低下する。
【0026】
ここで幅dは、角度θを小さくする(0に近づける)ことで小さくすることができるが、その場合、別の問題が生じる。本来隣接するサブピクセルには、異なる画像が表示されている。それは既に説明してきた左右2つの画像を表示させる場合であっても、多視点と呼ばれる観察者が見る角度に応じて異なる画像が視認できる表示装置であっても同様である。モアレ対策として、レンズの延在方向の遮光部を斜めにした場合(角度θを0に近づけた場合)、X軸方向に隣り合うサブピクセルと重なり合う部分が増えることになる。この重なり合う部分では、観察者は隣のサブピクセルの光も同時に見ることになる。
【0027】
つまり、観察者は、右目で右目用の画像に加えて左目用の画像も同時に見ることになる。この混合率を3Dクロストークと呼ぶこともあり、これが高いと観察者は画像を三次元映像として認識しにくくなり、結果として画質が大幅に劣化する。さらに、特許文献3、4、5、6に記載された画素形状でも、モアレが発生する場合がある。それは、TFT基板とCF基板の重ね合わせがずれた場合と、プロセスの加工精度により、開口部のコーナー部の出来栄えにぼけが生じた場合である。各サブピクセルの開口部は、TFT基板及びCF基板の遮光体の層の重なりで規定される。仮に、TFT基板とCF基板の重ね合わせにずれが生じたとすると、遮光部の幅と開口部の幅の比率をX軸方向の位置に依存せず一定にするというモアレを解消する条件を満たさなくなる。
【0028】
また、開口部を、例えばCF基板の遮光部であるBM(ブラックマトリクス)だけで規定した場合、遮光部のパターン形成時の加工精度に応じて、図54に示すように、開口部のコーナーの出来栄えにぼけが生ずる。すなわち、点線で示す開口部外形の設計値に対して、実線で示す実際の開口部外形は、加工精度によりぼけが生じたため一致しない。このぼけは、開口部が鋭角となるコーナーでより顕著に発生する。このぼけによるモアレを、実際に試作した液晶表示装置で評価した結果、ぼけの領域は数μm程度であったにもかかわらず、決して無視できないレベルであることが判った。上述で説明したことと同様のことは、開口部の規定をBM以外の単一の遮光層で規定した場合でも発生する。
【0029】
従って、上述で説明した方法では、液晶表示装置の製造プロセス上の加工精度に応じてモアレが悪化することになる。さらに、この2つの方法を組み合わせても、液晶表示装置を駆動する回路のコストが高くなることを解消することはできない。
【0030】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、低コストで高い画像品質を実現することができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る液晶表示装置は、
右眼用の画像と左眼用の画像を表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルと、第1の方向にアレイ状に配置され、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記画素から出射された光を前記第1の方向に振り分ける光学手段と、を備え、
前記画素は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを有し、
前記サブピクセルは、それぞれ前記第1の方向に延在するゲート線と前記第2の方向に延在するデータ線によって駆動され、前記第1の方向に隣接する前記サブピクセルと同一の色の光を透過する色レジストが配置され、
前記サブピクセルには光を透過する開口部と光を透過しない遮光部とが配置され、前記サブピクセル内での前記第2の方向における前記開口部と前記遮光部との比率が前記第1の方向の位置によらずほぼ一定であり、
前記データ線は前記サブピクセルの列毎にn(nは3以上の整数)本配置されており、n−1本の前記データ線は前記サブピクセルを等間隔で分断するように配置され、
前記画素が有する複数の前記サブピクセルは、それぞれ同一の前記ゲート線によって駆動される、
ことを特徴とする。
【0032】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る液晶表示装置は、
右眼用の画像と左眼用の画像とを表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルと、第1の方向にアレイ状に配置されるとともに、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記画素から出射された光を前記第1の方向に振り分ける光学手段と、を備え、
前記画素は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを有し、
前記サブピクセルは、それぞれ前記第1の方向に延在するゲート線と前記第2の方向に延在するデータ線とによって駆動され、前記サブピクセルには、前記第1の方向に隣接する前記サブピクセルと同一の色の光を透過する色レジストが配置され、
前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向における所定の位置において、前記光学手段が振り分ける光の前記第1の方向における幅は、前記所定の位置の観察者の両眼間の第1の方向の幅の2倍以上である、
ことを特徴とする。
【0033】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る液晶表示装置は、
右眼用の画像と左眼用の画像とを表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルと、第1の方向にアレイ状に配置されるとともに、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記画素から出射された光を前記第1の方向に振り分ける光学手段と、を備え、
前記画素は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを有し、
前記サブピクセルには、
前記第1の方向に延在し、光を透過しない複数の第1遮光部と、前記第1の方向に対し角度θ傾き、光を透過しない複数の第2遮光部とが配置されており、
前記複数の第1遮光部の各々は、前記第2方向の長さが一定であり、前記複数の第2遮光部のX軸方向の幅は等しく、
前記サブピクセルの開口部は、前記複数の第1遮光部により、前記第2方向に分断されるとともに、前記複数の第2遮光部により、前記第1方向にm個に均等に分断され、
前記複数の第2方向に分断された開口部の前記第2方向の開口の長さの総和をh、前記サブピクセルの前記第1方向のピッチをPxとしたときに、
m×h/tanθ=Px
の関係が成立する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、低コストで高い画像品質を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の構造を示す立体図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の画素のレイアウトを示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置のサブピクセルのレイアウトを示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置のサブピクセルのレイアウトを示す平面図である。
【図7】(A)は本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置から出力される光の軌跡を説明するための図、(B)はサブピクセルのレイアウトを示す平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置に適用可能なデータドライバの一例を示す回路図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置に適用可能なデータドライバの動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の画素レイアウトを示す平面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の画素部の断面を示す断面図である。
【図12A】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、P−Si膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図12B】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、ゲート金属膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図12C】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、第1コンタクトパターニング完了時点を示す平面図である。
【図12D】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、配線金属膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図12E】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、第2コンタクトパターニング完了時点を示す平面図である。
【図12F】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、透明導電膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置のCF基板のレイアウトを示す平面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置の画素レイアウトを示す平面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置の画素部の断面を示す断面図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の画素レイアウトを示す平面図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の画素部の断面を示す断面図である。
【図18A】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、ゲート金属膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図18B】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、a−Si膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図18C】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、配線金属膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図18D】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、コンタクトパターニング完了時点を示す平面図である。
【図18E】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、透明導電膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の画素電極である透明導電膜のレイアウトを示す平面図である。
【図20A】本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置のサブピクセルのレイアウトを示す平面図であり、CF基板の遮光層のレイアウトを示す平面図である。
【図20B】本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置のサブピクセルのレイアウトを示す平面図であり、TFT基板の遮光物のレイアウトを示す平面図である。
【図21A】本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置でCF基板とTFT基板の重ねずれが無い状態のサブピクセルのレイアウトを示す平面図である。
【図21B】本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置のサブピクセルの開口部のコーナー部分を拡大した拡大図である。
【図22】本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置でCF基板とTFT基板がX軸方向に重ねずれが生じた際のサブピクセルのレイアウトを示す平面図である。
【図23】本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置でCF基板とTFT基板がY軸方向に重ねずれが生じた際のサブピクセルのレイアウトを示す平面図である。
【図24】本発明の第6実施形態に係る液晶表示装置のサブピクセルのレイアウトを示す平面図であり、CF基板の遮光層のレイアウトを示す平面図である。
【図25】本発明の第6実施形態に係る液晶表示装置でCF基板とTFT基板との重ねずれが無い状態のサブピクセルのレイアウトを示す平面図である。
【図26】本発明の第7実施形態に係る液晶表示装置のサブピクセルのレイアウトを示す平面図であり、CF基板の遮光層のレイアウトを示す平面図である。
【図27】本発明の第7実施形態に係る液晶表示装置のサブピクセルのレイアウトを示す平面図であり、TFT基板の遮光物のレイアウトを示す平面図である。
【図28】本発明の第7実施形態に係る液晶表示装置でCF基板とTFT基板との重ねずれが無い状態のサブピクセルのレイアウトを示す平面図である。
【図29】本発明の第7実施形態に係る液晶表示装置でCF基板とTFT基板との重ねずれが無い状態のサブピクセルのレイアウトを示す平面図である。
【図30】本発明の第7実施形態に係る液晶表示装置でCF基板とTFT基板との重ねずれが無い状態のサブピクセルのレイアウトであり、開口部をY軸方向に分断するX軸方向に平行な遮光物を削除した状態を示した平面図である。
【図31】本発明の第8実施形態に係る液晶表示装置の画素レイアウトを示す平面図である。
【図32】本発明の第8実施形態に係る液晶表示装置の画素部の断面を示す断面図である。
【図33A】本発明の第8実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、P−Si膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図33B】本発明の第8実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、ゲート金属膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図33C】本発明の第8実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、第1コンタクトパターニング完了時点を示す平面図である。
【図33D】本発明の第8実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、配線金属膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図33E】本発明の第8実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、第2コンタクトパターニング完了時点を示す平面図である。
【図33F】本発明の第8実施形態に係る液晶表示装置の製造プロセスを説明するための図であり、透明導電膜のパターニング完了時点を示す平面図である。
【図34】本発明の第9実施形態に係る液晶表示装置の画素レイアウトを示す平面図である。
【図35】本発明の第9実施形態に係る液晶表示装置の画素レイアウトを示す平面図であり、開口部をY軸方向に分断し、X軸方向に平行な遮光体を削除した状態を示した平面図である。
【図36】本発明の第10実施形態に係る液晶表示装置から出力される光の軌跡を説明するための図である。
【図37】本発明の第10実施形態に係る液晶表示装置の画素レイアウトを示す平面図である。
【図38】本発明の第10実施形態に係る液晶表示装置の別の画素レイアウトを示す平面図である。
【図39】本発明の第10実施形態に係る液晶表示装置の別の画素レイアウトを示す平面図であり、開口部をY軸方向に分断し、X軸方向に平行な遮光体を削除した状態を示す平面図である。
【図40】本発明の第11実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す回路図である。
【図41】本発明の第11実施形態に係る液晶表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図42】従来の液晶表示装置の構成を示す回路図である。
【図43】従来の液晶表示装置のサブピクセルの構成を示す回路図である。
【図44】従来の液晶表示装置の構造を示す立体図である。
【図45】従来の液晶表示装置から出力される光の軌跡を説明するための図である。
【図46】従来の液晶表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図47】従来の液晶表示装置から出力される光の軌跡を説明するための図である。
【図48】従来の液晶表示装置に適用可能なデータドライバの一例を示す回路図である。
【図49】従来の液晶表示装置に適用可能なデータドライバの動作を示すタイミングチャートである。
【図50】従来の液晶表示装置の構成を示す回路図である。
【図51】従来の液晶表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図52】従来の液晶表示装置の画素レイアウトを示す平面図である。
【図53】従来の液晶表示装置の画素レイアウトを示す平面図である。
【図54】従来の液晶表示装置のサブピクセルの開口部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置について、図面を参照して説明する。なお、各図面における各構成要素の大きさや縮尺は、図の視認性を確保するために適宜変更して記載している。また、各図面におけるハッチングは、各構成要素を区別するためのものであり、切断面等を意味するものではない。
【0037】
[第1実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Aは、左眼用の画像と右眼用の画像を表示可能であり、観察者の左右の目にそれぞれ異なる画像を表示することで、観察者に三次元映像を視認させることができる液晶表示装置である。
【0038】
図1に示すように、液晶表示装置1Aは、シリンドリカルレンズをアレイ状に形成したレンズアレイシート3を液晶パネル2の上に配置して構成されている。また、液晶パネル2のレンズ面とは逆の面には、バックライト15が配置されている。
【0039】
レンズアレイシート3を構成する個々のシリンドリカルレンズ3aは、レンズの延在方向がY軸方向となっており、X軸方向に沿ってアレイ状に配置されている。シリンドリカルレンズ3aは、Y軸方向にはレンズ効果を持たず、X軸方向にのみレンズ効果を持つ。すなわり、シリンドリカルレンズ3aは、液晶パネル2上に配置される各画素から出射した光をX軸方向に振り分ける光学手段として動作する。
【0040】
液晶パネル2は、TFT基板21とCF基板22に液晶層20を挟んだ構造であり、TFT基板21とCF基板22の液晶層20と接する面とは逆の面には、偏光板等の光学フィルムが貼り付けられている。
【0041】
また、液晶パネル2には、右眼用の画像と左眼用の画像を表示する画素がX軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配置されている。シリンドリカルレンズの焦点距離は、液晶パネル2のCF基板22と液晶層20との界面近傍に設定されている。
【0042】
液晶パネル2は、例えば、図2に示すような回路で構成されている。液晶パネル2は、X軸方向及びY軸方向に3×3の画素数を有しており、それぞれの画素4Pixは、6個のサブピクセル4Sで構成され、マトリクス状に配置されている。また、サブピクセル4Sは、各画素4Pix内でX軸方向及びY軸方向に2×3のマトリクス状に配置されており、Y軸方向に沿って配列された3個のサブピクセル4Sが1つの組となり、右目又は左目用のカラー映像を表示する。
【0043】
個々のサブピクセル4Sは、画素薄膜トランジスタTFT、液晶容量Clc、蓄積容量Cstから構成されている。X軸方向に配列されたサブピクセル4Sの行には、1本のゲート線G(ゲート線G1、G2・・・の総称、以下同様)が配置されている。同一行の全てのサブピクセル4Sの画素薄膜トランジスタTFTは、ゲート線Gに接続されている。Y軸方向に配列されたサブピクセル4Sの列には、3本のデータ線D(データ線D1、D2・・・の総称、以下同様)が配置され、同一列の全てのサブピクセル4Sの画素薄膜トランジスタTFTは、この3本のデータ線Dの何れかに接続されている。
【0044】
また、同一の画素4Pixに属し、3つのサブピクセル4Sに接続される3本のゲート線は、液晶パネル2内で接続され、同一のゲート信号で駆動する。各サブピクセル4Sを構成する画素薄膜トランジスタTFTのゲート端子は、ゲート線Gに接続され、ドレイン端子はデータ線Dに接続され、ソース端子は、液晶容量Clc、蓄積容量Cstに接続されている。
【0045】
蓄積容量Cstの一方の端子は、共通端子STに接続されているが、サブピクセル4Sの行毎に異なる配線に接続しても良く、サブピクセル4Sの列毎に異なる配線に接続しても良い。また、液晶容量Clcを形成する一方の電極は、CF基板22上の共通電極としているが、TFT基板21上に共通電極を設けても良い。これら結線の方法は、液晶のモードや駆動方式により任意に選択することができる。
【0046】
液晶パネル2のCF基板22は、図3に示すようなレイアウトであり、赤CFR、緑CFG、青CFBの色レジスト層と遮光層(ブラックマトリクス)50とが積層されている。各サブピクセル4Sは、遮光層50で区画されており、このサブピクセル4Sは、3行2列で1画素4Pixを形成している。赤CFR、緑CFG、青CFBの各色レジストは、サブピクセル4Sの行毎に塗り分けられており、個々の色レジストは、X軸方向にストライプ状の形状となっている。各サブピクセル4Sの列に設けられる3本のデータ線D1、D2、D3は、1本が遮光層50の下に配置され、それ以外の2本は遮光層50の開口部を斜めに分断するように等間隔に配置されている。
【0047】
サブピクセル4Sは、詳細には、図4に示すように、CF基板22上に配置された遮光層50により区画化されており、開口部の形状は平行四辺形である。そのため、開口部を規定する辺Etと辺Ebは平行である。サブピクセル4Sの行毎に3本配置されるデータ線D1、D2、D3は、それぞれ開口部を規定する辺Ebに対してθの角度で斜めに配置されており、データ線D1上の遮光層50の幅e1と、データ線D2、D3の幅e2、e3は等しい。また、データ線D1上の遮光層50の中心線L1と辺Etとの交点をP1、データ線D2の中心線L2と辺Ebとの交点をP2としたとき、P1とP2のX軸座標は等しくなっている。同様に、データ線D2の中心線L2と辺Etとの交点をP3、データ線D3の中心線L3と辺Ebとの交点をP4とすると、P3、P4のX座標は等しく、中心線L3と辺Etとの交点P5とし、隣接するサブピクセル4Sとの境界である遮光層50の中心線L4と辺Ebとの交点をP6とすると、P5、P6のX座標も等しくなっている。
【0048】
すなわち、交点P1、P2を結ぶ線分、交点P3、P4を結ぶ線分、及び交点P5、P6を結ぶ線分は、Y軸方向に平行である。従って、サブピクセル4SのY軸方向に対して傾斜している傾斜辺の傾斜角度と、データ線Dの傾斜角度は等しく、サブピクセル4Sの傾斜辺とデータ線Dとは平行である。また、隣接する遮光層50及び各データ線Dの中心線間の距離W1、W2、W3はそれぞれ等しい。
【0049】
次に、本実施形態に係る液晶表示装置1Aの動作について説明する。液晶表示装置1Aは、X軸方向及びY軸方向に3×3の画素数を有し、画素行を構成する3つのサブピクセル4Sの行は、同一のゲート線Gで駆動される。従って、液晶表示装置1Aに1画面分の信号を書き込むフレーム周期Tvは、図5に示すように、少なくとも3つの水平期間Thに分けられる。ある水平期間Th内に、任意の1つのゲート信号を画素薄膜トランジスタTFTがON状態となる電位にすることで、3つのサブピクセル4Sの行の画素薄膜トランジスタTFTがON状態となり、その間に9本のデータ線D1〜D9に映像信号を印加することで、画素薄膜トランジスタTFTを介して液晶容量Clc及び蓄積容量Cstに映像信号が書き込まれる。この動作を全てのゲート信号Gに対して行うことで1画面分の映像信号を書き込むことができる。
【0050】
液晶表示装置1Aは、3つのサブピクセル4Sの行に同時に映像信号を書き込むことができるため、従来技術のようにフレーム期間Tvをサブピクセルの行の数と同じ9つの水平期間に分ける方法に比べ、1水平期間Thを約3倍に設定することが可能となる。従って、各サブピクセル4Sに映像信号を書き込む時間に余裕ができ、書き込み不足が生じにくくなる。
【0051】
次に、本実施形態に係るサブピクセル4Sにおける開口部の幅について説明する。図6に示すように、サブピクセル4Sの辺Etとデータ線D2との交点をP7、P9とし、辺Ebとデータ線D3との交点をP8、P10とすると、交点P7、P8を通る仮想線Cl1と、交点P9、P10を通る仮想線Cl2は、Y軸に平行な線となる。これは、辺Etと辺Ebが平行であり、データ線D2、D3も平行であり、それぞれのデータ線Dは等間隔で配置され、同一の幅であることによる。
【0052】
なお、交点P9は交点P7よりも+X側に位置し、交点P10は交点P8よりも+X側に位置している。仮想線Cl1、Cl2はY軸に平行であることから、交点P7、P8のX軸座標、交点P9、P10のX軸座標はそれぞれ等しい。
【0053】
このとき、サブピクセル4Sにおいて、仮想線Cl1、Cl2に囲まれる領域は、遮光部として機能するデータ線D2、D3が共に横断する領域である。データ線D2、D3は平行であるため、この領域における開口部のY軸方向の幅Y12は、以下の数式で表すことができる。
[数2]
Y12=h−e2/cosθ
【0054】
また、サブピクセル4Sの辺Etとデータ線D3の−X側の交点と、辺Ebの+X側の端点とを通る仮想線CL3は、Y軸に平行な線となる。これも上述と同様に、サブピクセル4Sの傾斜辺とデータ線D3とが平行であることによる。このとき、サブピクセル4Sにおいて、仮想線Cl2、Cl3に囲まれる領域は、遮光部として機能するデータ線D3のみが横断する領域である。この領域における開口部のY軸方向の幅Y23は、以下の数式で表すことができる。
[数3]
Y23=h−e3/cosθ
【0055】
ここで、各データ線Dの幅e1、e2、e3は等しいため、サブピクセル4Sの開口部のY軸方向の幅は、Y軸に平行な仮想線のX軸座標に依らず常に等しくなる。すなわち、各サブピクセル4Sにおいて、開口部のY軸方向の幅と遮光部のY軸方向の幅の比率はX軸方向の位置に依らず一定である。
【0056】
従って、本実施形態に係る液晶表示装置1Aは、開口部と遮光部の比率がX軸方向で一定であるため、モアレを低減することができ、表示品質を向上することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る液晶表示装置1Aは、各サブピクセル4Sの列に3本のデータ線Dを配置しているにも係わらず、開口率が大幅に低減することが無い。以下、その理由について説明する。サブピクセル4SのX軸方向のピッチをPxとする。本実施形態に係る液晶表示装置1Aでは、開口部のY軸方向の幅は上述の数式3で表すことができる。従って、サブピクセル4Sの開口部の面積Sは、以下の数式で表される。
[数4]
S=(h−e3/cosθ)×Px
【0058】
一方、従来例である図52の画素での開口部の面積SCについて考える。画素のX軸方向のピッチをPxとすると、開口部の面積SCは以下の式で表される。
[数5]
SC=a×Px
【0059】
ここで、図6に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置1Aのサブピクセル4Sにおける幅hの寸法は、図52の幅aと幅fの合計に等しい。また、幅fは幅dと等しい値であり、幅dは上述の数式1で表されることから、画素のX軸方向のピッチをPxとすると、SCは以下の式で表される。
[数6]
SC=(h−e/cosθ)×Px
【0060】
ここで、上述の数式4における幅e3と数式6における幅eは、共にデータ線D1本の幅であるから、幅e3と幅eは等しくすることができ、その場合、開口部の面積Sと面積SCは等しくなる。つまり、本実施形態に係る液晶表示装置1Aでは、各サブピクセル4Sの列に3本のデータ線Dを配置しても、開口部が減少する事がない。従って、開口率が低下することが無いのである。
【0061】
尚、図4及び図6で説明したサブピクセル4Sの特徴は、以下のように記述することもできる。サブピクセル4SのX軸方向のピッチをPxとし、開口部を規定するX軸に平行な2本の線EtとEbとの間隔をhとした場合、X軸に対し、角度θ傾き、互いに幅の等しい遮光層50またはデータ線で開口部が分断される場合、その分断数をnとすると、以下の式が成り立つ。本実施形態に係る液晶表示装置1Aでは、n=3の例を示している。
[数7]
n×h/tanθ=Px
【0062】
次に、隣接するサブピクセル4Sが重なり合う領域について説明する。図7(A)に示すように、液晶パネル2を出射した光は、レンズアレイシート3を形成する個々のシリンドリカルレンズ3aを通して観察者側に投影される。具体的には、液晶パネル2上の点k1から出射された光は、観察者側の点k1´へ投影される。同様に点k2〜k7から出射された光は、点k2´〜k7´へ投影される。
【0063】
ここで、点k1、k2間では、図7(B)に示すように、サブピクセル4SR2と−X側に隣接するサブピクセル4SL1とがY軸方向に重なり合っている。点k1では、全体の開口の幅に対するサブピクセル4SL1の開口部の比率が等しく50%である。3Dクロストークの値はこの比率に依存し、点k1から点k2に近づくに従い減少し、点k2において0%となる。点k2と点k3の間の区間では、隣接するサブピクセル4SとY軸方向で重なっておらず、3Dクロストークは0%である。点k3と点k4の間の区間では、サブピクセル4SR2は、+X側に隣接するサブピクセル4SL2とY軸方向で重なる。従って、点k3から点k4に向かうにつれ、3Dクロストークは増加し、点k4においてその値が100%となる。
【0064】
ここでは便宜的に、3Dクロストークの値が開口部の幅のみで決まるとして具体的な数値を記載したが、実際は液晶のコントラスト、TFT基板21、CF基板22、偏光板、レンズアレイシート3等での光の散乱などの影響を受けるため、3Dクロストークが完全に0%になることは無いが、本発明者の評価ではその他の要因による影響は数%以下であった。
【0065】
従って、本実施形態に係る液晶表示装置1Aでは、3Dクロストークの値が主に開口の幅で決まると言える。このように、本実施形態に係る液晶表示装置1Aのレイアウトでは、隣接するサブピクセルとY軸方向に重ならない区間を大きく取ることができ、3Dクロストークを低減することができる。例えば、観察者が、右目を点k2´、k3´の間に、左目を点k5´、k6´の間に位置させることで、3Dクロストークの無い画像を観察することが可能となる。当然、3Dクロストークが少ないほど、観察者は画像を3Dとして認識しやすい。
【0066】
なお、従来例(図53参照)として示した、各サブピクセルがX軸方向に隣接するサブピクセルとY軸方向に常に重なるレイアウトでは、クロストークが0%となる領域が殆ど存在しないことになる。
【0067】
次に、データ線Dを駆動するデータドライバ61について説明する。本実施形態に係る液晶表示装置1Aに適用可能なデータドライバ61は、図8に示すように、1組のメモリMR1〜MR6、MG1〜MG6、MB1〜MB6、1組のDAC(デジタルアナログコンバータ)DR1〜DR6、DG1〜DG6、DB1〜DB6、1組のアンプAR1〜AR6、AG1〜AG6、AB1〜AB6、で構成されている。1組のメモリ、DAC、アンプの数は何れも、液晶パネル2のドレイン線の数だけ必要である。
【0068】
データドライバ61は、外部から順次供給される赤、緑、青の色に対応したデジタル化された映像信号SR、SG、SBを各メモリに保持していく。1画素行分の映像信号を全てのメモリに保持した後、保持された映像信号は一斉に各DACに転送され、その出力が各アンプを介して液晶パネル2のデータ線D1〜D18に供給される。
【0069】
このような構成のデータドライバ61は、図9に示すように動作する。SR、SG、SBは、信号源から供給される映像信号のタイミングを示しており、MR1〜MB1は各メモリに保持されたデータの変化を示しており、DR1〜DB6は、DAC回路が出力するデータの変化を示している。まず、液晶パネル2の1画素行分の映像信号が供給される1水平期間Thnに映像信号R1〜R6、G1〜G6、B1〜B6が順次メモリに保持される。1画素行分の全ての映像信号が各メモリに保持された後に、Taのタイミングで各映像信号は各DACへ一斉に転送される。そして、次の水平期間(Thn+1)の殆どの時間において各アンプを介して液晶表示装置1Aに供給され続ける。
【0070】
このように、本実施形態に係る液晶表示装置1Aに適用可能なデータドライバ61は、1画素行分の映像信号を一斉に各データ線Dへ書き込む動作をすれば良い。これは、液晶パネル2が、赤を表示させるサブピクセルの行、緑を表示させるサブピクセルの行、青を表示させるサブピクセルの行に、一斉に信号を書き込むことができるからである。よって、使用するメモリは1組で十分であり、DACへ入力する映像信号を切替える選択回路も必要としない。また、DAC、アンプ共に、1水平期間内に映像信号をデータ線Dに書き込めばよいため、要求される動作周波数を低くすることができる。結果として、DAC、アンプを半導体素子の中に作りこむ際に必要となる回路面積を小さくすることが可能となり、低コスト化が実現できる。
【0071】
上述の説明は、以下のようにまとめることができる。本実施形態に係る液晶表示装置1Aでは、色レジストの数と、同時に信号が書き込まれるサブピクセルの数とが一致している。従って、外部から供給される1画素行分の赤、緑、青の映像信号を一斉に液晶パネル2へ書き込むことができる。よって、映像信号を保持するメモリを1画素行分のみ用意するだけで良いため、データドライバの回路規模を小さくし、低コスト化が可能となる。
【0072】
上述では、右目、左目用の画像をそれぞれX軸方向及びY軸方向に3×3の解像度で表示する液晶表示装置の例を示したが、必要に応じて解像度を変えても良い。また、上述の例では左右の目用に2つの画像を表示する構成を示したが、左右の目にそれぞれm、合計2mの画像を表示する構成にしても良い。その場合、画素4Pixを構成するサブピクセル4Sの数を3行2m列に分割することで実現できる。ここで重要な点は、色レジストをX軸方向(シリンドリカルレンズ3aの延在方向に直角となる方向)にストライプ状に形成し、表示させる映像の数を増やす際に増加するサブピクセル4SをY軸方向に配列させた行を増やして実現することである。
【0073】
また、カラー表示を実現する方法として、赤、緑、青の光の3原色に対応した色レジストを用いる例を示したが、4色以上の色レジストを用いても良い。色レジストの数をnとした場合、画素4Pixを構成するサブピクセル4Sの行数をnとし、このn行のサブピクセルの行が同時にON状態となるタイミングで駆動させる。
【0074】
ところで、液晶表示装置では、液晶にDC成分が印加されないように、共通電極に対する画素4Pixの印加電圧の極性をフレーム単位あるいは複数のフレーム単位で変化するように駆動される。そしてその極性は、Y軸方向、またはX軸方向に隣接するサブピクセル4Sで異なるように設定されるのが一般的である。
【0075】
本実施形態に係る液晶表示装置1Aにおいて、色レジストの数を奇数として、Y軸方向に隣接するサブピクセル4Sに書き込まれる電圧の共通電極に対する極性が異なるように設定した場合、共通電極に対し、正の電圧が書き込まれるサブピクセル4Sの数と、負の電圧が書き込まれるサブピクセル4Sの数が一致しなくなる。よって、サブピクセル4Sに映像信号を書き込むと、共通電極の電位も変動する。この電位の変動は、共通電極の時定数に応じて収束するが、必ずしも1水平期間内に収束しきれない場合がある。その場合、共通電極に対して正の電圧が書き込まれるサブピクセル4Sの数と、負の電圧が書き込まれるサブピクセル4Sの数が一致していないと、水平期間毎に共通電極の電位変動の値が異なり、観察者にフリッカとして視認されたり、横スジ状に視認されたりする。
【0076】
これに対し、色レジストの数を偶数とすれば、共通電極に対して正の電圧が書き込まれるサブピクセル4Sの数と、負の電圧が書き込まれるサブピクセル4Sの数が常に等しくなり、フリッカや横スジ感を低減することが可能となる。Y軸方向に隣接するサブピクセル4Sに書き込まれる映像信号の共通電極電位に対する極性が異なる設定は、液晶をゲート線反転駆動する際に用いる設定であり、ゲート線反転駆動では、X軸方向に隣接するサブピクセル4Sに書き込まれる映像信号の共通電極電位に対する極性が等しくなり、隣接するサブピクセル4S間でX軸方向の電界が発生しにくくなる。これは、X軸方向に隣接するサブピクセル4S間の遮光部の幅を狭くできることを意味し、本実施形態に係る液晶表示装置1Aのように、この幅を狭くした方が高画質化できるので特に有効となる。すなわち、本実施形態に係る液晶表示装置1Aは、特に色レジストの数が偶数の場合、フリッカや横スジ感を低減することが可能となる。
【0077】
[第2実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Bは、図10に示すように、画素4Pixが3行2列のサブピクセル4Sで構成される。個々のサブピクセル4Sの開口部は、平行四辺形状であり、3本の幅の等しいデータ線D1、D2、D3の内、1本のデータ線D1がサブピクセル4Sの境界部に隣接するように配置され、残りの2本のデータ線D2、D3は、開口部を均等に分割するように配置されている。
【0078】
また、X軸方向に配置されたサブピクセル4Sの行には、ゲート線Gと平行に蓄積容量線CSが配置されている。ここで、各データ線Dの幅、データ線Dとゲート線Gの傾き、データ線Dの間隔は、上述の第1実施形態説明した関係と同様である。
【0079】
液晶表示装置1Bは、図11に示すように、P−Si(ポリシリコン)TFTプロセスで作製されたものであり、ガラス基板70上に下地膜71、P−Si膜72P、ゲート絶縁膜73、ゲート金属膜74、第1層間膜751、配線金属膜76、第2層間膜752、透明導電膜77を積層した構造である。
【0080】
次に、上述のような液晶表示装置1Bの製造プロセスについて説明する。まず、ガラス基板70上に下地膜71を成膜した後に、P−Si膜72Pの元となるプリカーサー用のa−Si(アモルファスシリコン)膜を成膜する。
【0081】
その後、エキシマレーザー等でa−Si膜を再結晶化し、P−Si膜72Pへ変質させ、図12Aに示すような形状へパターニングする。
【0082】
ここで、下地膜71には、SiO、SiN、またそれら積層膜を採用することができる。P−Si膜72Pをパターニングした後に、必要に応じて画素薄膜トランジスタTFTのソース、ドレイン領域及び蓄積容量Cstが形成される部分に不純物を注入する。
【0083】
その後、ゲート絶縁膜73を成膜し、その上にゲート金属膜74を積層した後に、図12Bに示すように、ゲート金属膜74をパターニングする。ゲート金属膜74には、Cr、Al、WSi、高濃度に不純物を添加されたポリシリコン等を採用することができる。これによりP−Si膜72Pとゲート線Gが交差する部分に画素薄膜トランジスタTFTが形成され、P−Si膜72Pと蓄積容量線CSが重なる部分に蓄積容量Cstが形成される。
【0084】
ゲート金属膜74の上に第1層間膜751を成膜した後に、図12Cに示すように、第1コンタクトCONT1が形成される。第1層間膜751には、SiO、SiN、それら積層膜を採用することができる。第1コンタクトCONT1は、第1層間膜751及びゲート絶縁膜73を貫通しており、第1層間膜751上に成膜される配線金属膜76とP−Si膜72Pを電気的に接続している。
【0085】
配線金属膜76は、図12Dに示すようにパターニングされる。配線金属膜76には、Al、Cr等を採用することができ、抵抗値が小さく、P−Si膜72Pとのオーミック性を考慮して選択することができる。
【0086】
この上層に第2層間膜752を成膜した後に、図12Eに示すように、第2コンタクトCONT2が形成される。第2コンタクトCONT2は、透明導電膜77がP−Si膜72Pに電気的に接続するためのコンタクトホールであり、第1層間膜751、第2層間膜752、ゲート絶縁膜73を貫通している。第2層間膜752には、SiO、SiN、有機平坦化膜、それらの積層膜などを採用することができ、特に有機平坦化膜を採用した場合、透明導電膜77の下地が平坦になり、液晶分子の配向性が向上するという利点がある。
【0087】
最後に、図12Fに示すように、画素電極4Eとなる透明導電膜77をパターニングする。透明導電膜77には、ITO等を採用することができる。
【0088】
本実施形態に係る液晶表示装置1Bは、図3に示すようなCF基板22の遮光層50のパターンを採用することもできるが、図13に示すようなパターンとしても良い。すなわち、サブピクセル4Sの開口部を斜めに分断するデータ線D上にも、遮光層50を配置しても良い。データ線D上に配置される遮光層50は、データ線Dと平行に配置され、個々の遮光層50の幅eb1〜eb3はそれぞれ等しい。
【0089】
なお、本実施形態に係る液晶表示装置1Bの上述以外の構成及び動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置1Aと同様である。
【0090】
本実施形態に係る液晶表示装置1Bでは、第1実施形態で得られる効果、すなわち、「書き込み不足が生じにくい」、「開口率の低下を防ぐ」、「モアレの発生を抑える」、「データドライバ61の回路規模を小さくし、低コスト化が実現できる」という効果を得ることができる。
【0091】
ところで、従来技術(図52参照)では、上述したように、モアレの発生を抑えるためには、データ線Dを配置するために必要となる遮光部のY軸方向(シリンドリカルレンズの延在方向)の幅dに相当する分fだけ、開口部を縮小している。通常、この部分に蓄積容量Cstを形成することで、開口率の低下を抑えることができる。
【0092】
本実施形態に係る液晶表示装置1Bのレイアウトでは、蓄積容量Cstをデータ線Dの下に形成している。そのため、開口部の幅を調整する必要も無く、2本のデータ線Dが開口部を斜めに分断するように配置しても、開口率が大きく低下することは無い。従って、本実施形態に係る液晶表示装置1Bは、開口率の低減を防ぎ、十分な蓄積容量Cstを配置することが可能となる。十分な大きさの蓄積容量Cstが配置できることで、フリッカの低減や、コントラストの向上の効果を得ることが可能となる。
【0093】
尚、上述した製造プロセスについては、上述の説明に限定されるものではなく、例えば、透明導電膜77とP−Si膜72Pとのコンタクトを、配線金属膜76を介して電気的に実現しても良い。また、必要に応じて画素薄膜トランジスタTFTにLDD構造を採用することも可能であり、マルチゲート化しても良く、ゲート金属、配線金属に複数の金属膜を積層した膜を用いても良い。尚、画素薄膜トランジスタTFTの特性向上を目的として実施される水素化、活性化等の製造プロセスについては、本実施形態に係る液晶表示装置1Bの特徴とは直接的に関係が無いため、説明を省いている。
【0094】
[第3実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Cは、図14に示すように、サブピクセル4S内に複数の画素電極4Eが配置されて構成されている。第2実施形態に係る液晶表示装置1Bでは、画素電極4Eである透明導電膜77がサブピクセル4S単位で分離していたのに対し、本実施形態に係る液晶表示装置1Cでは、画素電極4Eは、サブピクセル4S内で3つに分離されている。
【0095】
サブピクセル4Sは、図15に示すように、データ線D上で透明導電膜77にスペースを設け分断している。分断された個々の画素電極4Eは、それぞれ第2コンタクトCONT2を介して、P−Si膜72Pに電気的に接続されている。この画素電極4EとP−Si膜72Pとの接続は、配線金属膜76を介して電気的に接続しても良い。液晶表示装置1Cは、CF基板22のレイアウトとしては、図3で示したパターンの他に、図13で示したパターンも採用することができる。
【0096】
なお、本実施形態に係る液晶表示装置1Cの上述以外の構成及び動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置1Aと同様である。
【0097】
本実施形態に係る液晶表示装置1Cでは、第1実施形態で得られる効果、及び第2実施形態で得られる効果を得ることができる。
【0098】
ところで、データ線Dと画素電極4E及び蓄積容量Cstとの容量結合に起因して、Y軸方向に帯を引いたような画像が表示されることがある。この現象は、一般的に「縦クロストーク」と呼ばれている。この縦クロストークは、データ線Dと画素電極4E、蓄積容量Cstとの容量結合により、データ線Dの電圧変動に応じて画素4Pixに保持された電圧が変動することで生ずる。
【0099】
本実施形態の液晶表示装置1Cでは、データ線D上の透明電極(画素電極4E)にスリットが設けられている。従って、容量結合の値を小さくすることができ、縦クロストークを低減することができる。
【0100】
[第4実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Dは、図16に示すように、個々のサブピクセル4Sの開口部が平行四辺形であり、3本の幅の等しいデータ線D1、D2、D3の内1本が隣接するサブピクセル4Sの境界部に配置され、残りの2本は開口部を均等に分割するように配置されている。なお、画素4Pixは、3行2列のサブピクセル4Sで構成されている。また、液晶表示装置1Dは、a−Si−TFTプロセスで作製できる構造である。
【0101】
また、X軸方向に配置されたサブピクセル4Sの行には、ゲート線Gと平行に蓄積容量線CSが配置されている。ここで、各データ線Dの幅、データ線Dとゲート線Gの傾き、データ線Dの間隔は、上述の第1実施形態で説明した関係と同様である。
【0102】
液晶表示装置1DのTFT基板21は、図16及び図17に示すように、ガラス基板70上に、ゲート金属膜74、ゲート絶縁膜73、a−Si膜72a、配線金属膜76、層間膜75、透明導電膜77を積層した構造を有している。
【0103】
次に、TFT基板21の作製プロセスについて説明する。まず、ガラス基板70上にゲート金属膜74を成膜し、図18Aに示すように、パターニングする。ゲート金属膜74としては、Cr、Alなどを採用することができる。
【0104】
次に、ゲート絶縁膜73を成膜し、a−Si膜72aを成膜する。ゲート絶縁膜73には、SiO及びSiN、それらの積層膜を採用することができる。その後a−Si膜72aを成膜し、図18Bに示すようにパターニングする。このa−Si膜72aとゲート金属膜74と重なる部分が画素薄膜トランジスタTFTとなる。なお、蓄積容量Cstは、点線で示す領域に形成される。
【0105】
続いて、配線金属膜76が成膜され、図18Cに示すようにパターニングされる。配線金属膜76には、Cr、Alなどを採用することができる。また、この配線金属膜76をマスクにして、画素薄膜トランジスタTFTのバックチャネル部をエッチングする場合もある。
【0106】
次に、層間膜75が成膜され、図18Dに示すように、層間膜75を貫通するようにコンタクトCONTが形成される。層間膜75には、SiO、SiN、有機平坦化膜及びこれらの積層膜を採用することができる。
【0107】
最後に、画素電極4Eとなる透明導電膜77を成膜し、図18Eに示すようにパターニングする。図18Aに示すように、蓄積容量線CSは、ゲート線Gに平行して配置した部分から分岐し、データ線Dに平行に延在している。さらに、図17及び図18Eに示すように、画素電極4Eである透明導電膜77は、データ線D近傍でスリットが設けられ、データ線Dである配線金属膜76と重なる部分が少なくなるように配置されている。
【0108】
このため、図19に示すように、画素電極4Eである透明導電膜77は、上述のスリットを設けたため、切り欠きが入ったような形状となっている。また、個々のサブピクセル4Sを構成する蓄積容量Cstは、図18Bに示すように、画素電極4Eと蓄積容量配線であるゲート金属との重なり部分で形成される。本実施形態では、データ線Dに隣接して蓄積容量Cstが形成されるため、大きな容量値を確保することが可能となる。なお、CF基板22のレイアウトとしては、図13で示したパターンを採用することができる。
【0109】
なお、製造プロセスについては上述の説明に限定されるものではない。サブピクセル4Sの列毎に複数配置されるデータ線Dが、サブピクセル4Sの開口部をどの様に分断して配置されるかが重要であり、それが実現できる範囲において製造プロセスは変更することが可能である。
【0110】
なお、本実施形態に係る液晶表示装置1Dの上述以外の構成及び動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置1Aと同様である。
【0111】
本実施形態に係る液晶表示装置1Dでは、第1〜第3実施形態で得られる効果を得ることができる。
【0112】
また、本実施形態に係る液晶表示装置1Dはa−Si−TFTプロセスで製造可能である。a−Si−TFTプロセスは、5回程度の露光プロセスで製造可能であるのに対し、P−Si−TFTプロセスでは7回〜12回程度の露光プロセスが必要となる。製造コストは、プロセスの長さに依存するため、a−Si−TFTプロセスで製造可能な本実施形態に係る液晶表示装置1Dは、P−Si−TFTプロセスでの製造に比べて低コストで製造できる。
【0113】
さらに、液晶表示装置1Dでは、画素電極4Eである透明導電膜77とデータ線Dとの重なり部分が少ない。画素電極4Eとデータ線Dとの容量結合の大きさは縦クロストークに依存し、容量結合が小さいほど縦クロストークも小さくなる。従って、本実施形態に係る液晶表示装置1Dは、低コストで、縦クロストークを小さくすることができる。
【0114】
[第5実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Eは、図20Aに示すようなCF基板22の遮光層50のレイアウトで構成され、図20Bに示すようなTFT基板21の遮光物51のレイアウトで構成される。なお、遮光物51とは、TFT基板21を構成する光を殆ど透過しない膜の積層による遮光部分であり、光を殆ど透過しない膜とは、第2実施形態で示した製造プロセスによれば、P−Si膜72P、ゲート金属膜74、配線金属膜76が相当する。また、液晶表示装置1Eは、液晶パネルの回路構成に図2で示した回路を採用することができる。
【0115】
図20Aに示すように、CF基板22の遮光層50は、1サブピクセル4S毎に3つの開口部を有しており、各開口部は、開口部の上辺(+Y側の辺)及び下辺(−Y側の辺)を規定する2本の平行な線Ect、Ecbと、線Ect、Ecbとに対して角度θで交わり、幅ecを持つ遮光層50のパターンで区画化されている。
【0116】
この線Ect、Ecbに対して角度θの傾きを持つ遮光層50の中心線を、それぞれLc1〜Lc3とすると、隣接する中心線の間隔は等しくWcとなる。また、線Ect、Ecbの間隔はhcである。そして、中心線Lc1〜Lc3と線Ect、Ecbとの交点Pc1、Pc2のX軸座標は等しく、交点Pc3、Pc4、交点Pc5、Pc6のX軸座標もそれぞれ等しい。
【0117】
一方、図20Bに示すように、TFT基板21の遮光物51は、1サブピクセル4S毎に3つの開口部を有しており、各開口部は、開口部の上辺(+Y側の辺)及び下辺(−Y側の辺)を規定する2本の平行な線Ett、Etbと、線Ett、Etbに対して角度θで交わり、幅etを持つ遮光物51のパターンで区画化されている。この線Ett、Etbに対して角度θの傾きを持つ遮光物51のパターンの中心線をそれぞれLt1〜Lt3とすると、隣接する中心線の間隔は等しくWtとなっており、線Ett、Etbの間隔はhtである。そして、中心線Lt1〜Lt3と線Ett、Etbとの交点Pt1、Pt2のX軸座標は等しく、交点Pt3、Pt4、交点Pt5、Pt6のX座標もそれぞれ等しい。
【0118】
ここで、幅etを幅ecよりdpだけ大きく、幅Wcは幅Wtと等しく設定する。また、htはhcに対してdlの2倍(2dl)だけ異なった値とする。このdpは、TFT基板21あるいはCF基板22の製造プロセス上の加工精度deの2倍より大きな値に設定し、dlは、液晶パネル2の製造プロセスにおけるTFT基板21とCF基板22の重ね合わせ精度に応じて設定し、重ね合わせのY軸方向の精度よりもdlを大きく設定する。
【0119】
なお、本実施形態に係る液晶表示装置1Eの上述以外の構成及び動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置1Aと同様である。
【0120】
本実施形態に係る液晶表示装置1Eでは、第1〜第4実施形態で得られる効果を得ることができる。
【0121】
上述のTFT基板21とCF基板22が重ね合わせのずれなく配置された際の1サブピクセル4S分のレイアウトは、図21Aに示すようなレイアウトとなる。ここで、重ね合わせにずれがない状態とは、CF基板22の線Ect、Ecbに平行な遮光層50の中心線Lcg1、Lcg2が、TFT基板21の線Ett、Etbに平行な遮光物51の中心線Ltg1、Ltg2と重なり、CF基板22のLc1〜Lc3がそれぞれ、TFT基板21のLt1〜Lt3に重なった状態をいう。図21Aの例では、CF基板22において開口部の上辺と下辺を規定する線間の距離hcよりも、TFT基板21において開口部の上辺と下辺を規定する線間の距離htの方を長く設定したため、両者を重ね合わせた際の開口部の上辺と下辺を規定する線間の距離はhcとなる。
【0122】
ここで、Y軸に平行な線で開口部を切り取った際の、開口部のY軸方向の幅について考える。第1実施形態で説明した通り、開口部のY軸方向の幅は、Y軸に平行な線をどの様に設定しても、hc−et/cosθとなる。従って、各サブピクセル4SのY軸方向(データ線Dの延在方向)の開口部の幅と遮光部の幅の比率がX軸方向(ゲート線Gの延在方向)の位置に依らず一定である。
【0123】
ここで、開口部のコーナーが鋭角となる部分(角度θを持つコーナー)に注目する。角度θのコーナー部は、実際には、図21Bに示すような構造となっている。点線で示すように、CF基板22の遮光層50の設計パターンは鋭角であるが、加工精度の影響でdeだけぼけが生じた状態となる。サブピクセル4Sの開口部は、CF基板22の遮光層50とTFT基板21の遮光物51で規定されるが、本実施形態に係る液晶表示装置1Eは、CF基板22の遮光層50の幅がTFT基板21の遮光物51の幅よりもdeの2倍以上細くなっていることから、開口部のコーナー部分がCF基板22の遮光層50とTFT基板21の遮光物51の交差により形成されことになる。
【0124】
従って、本実施形態に係る液晶表示装置1Eは、遮光層50のパターンに加工精度に応じて生じたぼけが存在しても、開口部の形状が変わることが無く、Y軸方向の開口部と遮光部の比率がX軸方向に依らず一定となる。よって、液晶表示装置1Eは、TFT基板21あるいはCF22基板の加工精度の影響で実際のパターンが設計寸法と異なった場合でも、モアレを低減することができる。さらに、TFT基板21とCF基板22の重ね合わせにずれが生じた場合でも、モアレを低減することが可能である。
【0125】
上述の例では、開口部のコーナーを規定する遮光体として、CF基板22の遮光層50とTFT基板21の遮光物51とで規定する例を示したが、これに限られず、TFT基板21内の複数の遮光体だけで規定しても良い。具体的にはゲート金属膜74と、配線金属膜76とを採用することができる。
【0126】
次に、CF基板22とTFT基板21とがX軸方向にのみ位置ずれして重ね合わされた場合を考える。CF基板22がTFT基板21に対して−X側に位置ずれして重ね合わせられた場合、レイアウトは、図22に示すようになる。CF基板22が−X側に位置ずれした影響で、斜めに配置された遮光層50と遮光物51とで光が遮られる領域が増え、その幅がeとなる。また、その領域の中心線をL1〜L3とすると、中心線L1と線Ectの交点P1のX軸座標と中心線L2と線Ecbの交点P2のX軸座標は等しく、同様に交点P3、P4のX軸座標、交点P5、P6のX軸座標も等しい。
【0127】
これは、中心線L1〜L3が互いに平行で、且つ、線Lc1〜Lc3、Lt1〜Lt3とも平行であり、重ね合わせ後の開口部のY軸方向の幅がhcであることから、中心線L1〜L3の線EctとEcbの間の長さをLとすると、以下の関係式が成り立つためである。
[数8]
L×cosθ=Wc=Wt
[数9]
L×sinθ=hc
【0128】
従って、重ね合わせにずれが生じていない場合と同様に、この開口部をY軸に平行な線で切り取った場合の開口部のY軸方向の幅は、X軸方向の位置に依らずhc−e/cosθで一定となり、モアレが発生しない。
【0129】
次に、CF基板22がTFT基板21にY軸方向にのみ位置ずれして重ね合わせられた場合を考える。CF基板22がTFT基板21に対して+Y側にdyの長さ分、位置ずれして重ねられた場合、サブピクセルのレイアウトは、図23に示すようになる。なお、dyはdlよりも小さいものとする。CF基板22の開口部の上辺と下辺を規定する線間の距離hcは、TFT基板21の開口部の上辺と下辺とを規定する線間の距離htよりも、2dlの長さ分小さく設定されているため、dyがdlよりも小さい場合は、重ね合わせた状態での開口部の上辺と下辺とを規定する線間の距離はhcで一定である。
【0130】
一方、斜めに配置された遮光層50と遮光物51とで光が遮られる領域の幅は、CF基板22がTFT基板21に対してY軸方向に位置ずれした影響で増え、その幅がeとなる。しかし、その領域の中心線をL1〜L3とすると、中心線L1と線Ectとの交点P1のX軸座標と中心線L2と線Ecbとの交点P2のX軸座標は等しく、同様に交点P3、P4のX軸座標、交点P5、P6のX軸座標も等しくなる。
【0131】
これは、中心線L1〜L3が互いに平行であり、且つ、線Lc1〜Lc3、Lt1〜Lt3とも平行であり、重ね合わせ後の開口部の上辺と下辺とを規定する線間の距離がhcであることから、中心線L1〜L3の線Ect、Ecbの間の長さをLとすると、上述の数式7、8が成り立つからである。従って、重ね合わせにずれが生じていない場合と同様に、この開口部をY軸に平行な線で切り取った場合のY軸方向の幅は、X軸方向の位置に依らずhc−e/cosθで一定となり、モアレが発生しない。
【0132】
ここまで、CF基板22とTFT基板21がX軸方向、Y軸方向それぞれに単独で重ねずれが生じた場合について説明してきたが、X軸方向、Y軸方向同時に重ね合わせのずれが生じた場合でも同様の効果が得られる。ただし、回転方向に重ね合わせのずれが生じた場合は、開口部のY軸方向の幅が、X軸方向の位置によって変化するため、モアレを完全に抑制することはできなくなる。しかしながら、液晶パネル2の製造プロセスでは、CF基板22とTFT基板21の重ね合わせのずれは、X軸方向、Y軸方向ともに数μm以下に制御されているため、回転方向の影響は殆ど無視できるレベルである。例えば、表示エリアが対角10インチ(縦150mm、横200mm)で、重ね合わせのずれが5μmであったとすると、当該ずれの回転角度は0.0014度程度であり、その影響は無視できるレベルである。
【0133】
上述のように、CF基板22とTFT基板21の重ね合わせにずれが生じた場合、遮光層50あるいは遮光物51のパターンに加工精度の影響によるぼけが加わると、若干のモアレが生ずる場合がある。しかしながら、本実施形態に係る液晶表示装置1Eは、上述で説明した構造を採用しない場合に比べ、モアレの程度を大幅に低減することができる。それは、図22、図23に示すように、開口部のコーナーの少なくとも半分は、遮光層50と遮光物51との重なりでその形状が規定されるためである。
【0134】
なお、以上では、重ね合わせ後の開口部の上辺と下辺とを規定する線間の距離hcをTFT基板21の開口部の上辺と下辺とを規定する線間の距離htよりも小さく設定した例で説明したが、これに限られず、幅hcが幅htよりも大きくても良い。その際は、重ね合わせ後の開口部のY軸方向の幅がht−e/cosθとなるだけである。重要なことは、製造プロセスにおけるCF基板22とTFT基板21の重ね合わせのY軸方向の精度に比べて、hcとhtの差の半分の値であるdlを大きく設定することである。
【0135】
[第6実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Fは、図24に示すようなCF基板22の遮光層50のレイアウトで構成され、図20Bに示すようなTFT基板21の遮光物51のレイアウトで構成される。なお、遮光物51とは、TFT基板21を構成する光を殆ど透過しない膜の積層による遮光部分であり、光を殆ど透過しない膜とは、第2実施形態で示した製造プロセスによれば、P−Si膜72P、ゲート金属膜74、配線金属膜76が相当する。また、液晶表示装置1Eには、液晶パネルの回路構成に図2で示した回路を採用することができる。
【0136】
図24に示すように、CF基板22の遮光層50は、X軸に平行なストライプ状の形状のみで構成される。光が透過する開口部のY軸方向の幅hcは、図20BにおけるTFT基板21の開口部のY軸方向の幅htに対して、dlの2倍(2dl)だけ異なる長さの値とする。ここで、dlは、液晶パネル2の製造プロセスにおけるTFT基板21とCF基板22の重ね合わせ精度に応じて設定し、重ね合わせのY軸方向の精度よりも高い精度に設定する。
【0137】
なお、本実施形態に係る液晶表示装置1Fの上述以外の構成及び動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置1Aと同様である。
【0138】
また、本実施形態に係る液晶表示装置1Fによれば、第1〜第5実施形態で得られる効果を得ることができる。
【0139】
上述のTFT基板21とCF基板22が重ね合わせのずれなしで配置された際の1サブピクセル4S分のレイアウトは、図25に示すようなレイアウトとなる。ここで、重ね合わせのずれが無い状態とは、CF基板22の線Ect、Ecbに平行な遮光層50の中心線Lcg1、Lcg2が、TFT基板21の線Ett、Etbに平行な遮光物51の中心線Ltg1、Ltg2と重なった状態のことをいう。図25の例では、CF基板22の開口部の上辺(+Y軸方向)と下辺(−Y軸方向)とを規定する線間の距離hcよりも、TFT基板21の開口部の上辺と下辺とを規定する線間の距離htの方を長く設定したため、両者を重ね合わせた際の開口部の上辺と下辺とを規定する線間の距離はhcとなる。
【0140】
ここで、Y軸に平行な線で開口部を切り取った際の、開口部のY軸方向の幅について考える。第1実施形態で説明した通り、開口部のY軸方向の幅は、Y軸に平行な線をどの様に設定した場合でも、hc−et/cosθとなる。従って、各サブピクセル4SのY軸方向(データ線Dの延在方向)の開口部の幅と遮光部の幅との比率はX軸方向(ゲート線Gの延在方向)の位置に依らず一定となる。
【0141】
ここで、開口部のコーナーが鋭角となる部分(角度θを持つコーナー)に注目する。本実施形態では、CF基板22の遮光部に斜めの遮光部が存在しない。そのため角度θのコーナー部は必ず、CF基板22の遮光部の直線部分とTFT基板21の遮光部の直線部分との交差で規定されている。従って、加工精度に応じてコーナー部分にぼけが生ずることが無く、モアレが悪化することがない。
【0142】
次に、CF基板22とTFT基板21がX軸方向にのみ位置ずれして重ね合わされた場合を考える。本実施形態のCF基板22では、遮光部に斜め部分が存在しない。そのため、X軸方向にCF基板22とTFT基板21とが位置ずれして重ね合わされても、開口部の形状は全く変わらない。従って、CF基板22とTFT基板21のX軸方向の重ね合わせにずれが生じても、モアレが悪化することがない。
【0143】
次に、CF基板22をTFT基板21にY軸方向にのみ位置ずれして重ね合わせた場合を考える。CF基板22とTFT基板21のY軸方向の位置ズレ量dyが、CF基板22の開口部の上辺と下辺を規定する線間の距離hcと、TFT基板21の開口部の上辺と下辺を規定する線間の距離htとの差分よりも小さい場合、開口部の形状は全く変わらない。従って、Y軸方向の位置ずれ量dyがhcとhtの差分の範囲内であれば、位置ずれが生じてもモアレが悪化する事が無い。
【0144】
次に、CF基板22をTFT基板21にX軸方向、Y軸方向に同時に位置ずれして重ね合わせた場合を考える。この場合、第5実施形態で説明した理由により、モアレの悪化を十分小さくすることが可能である。
【0145】
上述のように第6実施形態では、第5実施形態により得られる効果が得られると共に、CF基板22およびTFT基板21製造時のパターンに、加工精度の影響をより小さくすることが可能となる。
【0146】
なお、CF基板22の開口部のY軸方向の幅hcを、TFT基板21の開口部の上辺と下辺とを規定する線間の距離htよりも小さく設定した例で説明してきたが、これに限られず、hcがhtよりも大きくても良い。重要なのは、製造プロセスにおけるCF基板22とTFT基板21の重ね合わせのY軸方向の精度と比べ、hcとhtの差の半分の値であるdlを大きく設定することである。
【0147】
[第7実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Gは、そのサブピクセル4Sが、図26に示すようなCF基板22の遮光層50のレイアウトと、図27に示すようなTFT基板21の遮光物51とで構成される。なお、遮光物51とは、TFT基板21を構成する光を殆ど透過しない膜の積層による遮光部分であり、光を殆ど透過しない膜とは、第2実施形態で示した製造プロセスによれば、P−Si膜72P、ゲート金属膜74、配線金属膜76が相当する。また、液晶表示装置1Fでは、液晶パネルの回路構成に図2で示した回路を採用することができる。
【0148】
CF基板22の遮光層50のレイアウトは、X軸方向にストライプ状の形状であり、Y軸方向にecy1の幅を持っている。遮光層50の中心線Lcg1、Lcg2及び、サブピクセル4Sの開口部を規定する遮光層50の端部を示す直線Ect、Ecbは平行である。また、図26中のPyは、サブピクセル4SのY軸方向のピッチを示している。
【0149】
TFT基板21の遮光物のレイアウトは、X軸方向に平行にストライプ状に形成され、Y軸方にety1の幅を持った遮光物511、513によりサブピクセル4SのY軸方向の開口部の大きさが規定されている。そして、遮光物512により開口部がY軸方向に2つに分断されている。さらにX軸に対しθの傾きを持った遮光物5111、5114と、5121、5124とによりサブピクセル4SのX軸方向の開口部の大きさが規定され、Y軸方向に2つに分断された個々の開口部が、さらに遮光物5112、5113と、5122、5123とによりX軸方向に3つに分断されている。遮光物5111〜5114と、5121〜5124の幅は全て等しくetである。遮光物5111の中心線と5121の中心線とを結んだ線をLt1、遮光物5112の中心線と5122の中心線とを結んだ線をLt2、遮光物5113の中心線と5123の中心線とを結んだ線をLt3、遮光物5114の中心線と5124の中心線とを結んだ線をLt4とすると、Lt1とLt2、Lt2とLt3、Lt3とLt4の間隔は全て等しくWtである。Y軸に平行な遮光物512の端部を示した線をEtb1、Ett2とすると、Lt1がEtb1及びEtt2と交わる交点のX軸方向の位置は等しい。同様にLt2がEtb1及びEtt2と交わる交点のX軸方向の位置、Lt3がEtb1及びEtt2と交わる交点のX軸方向の位置、Lt4がEtb1及びEtt2と交わる交点のX軸方向の位置も全て等しい。尚、図27におけるPx、Pyは、それぞれ、サブピクセル4SのX軸方向のピッチ及びY軸方向のピッチを示している。
【0150】
図28は、図26で示したCF基板22と図27で示したTFT基板21を重ね合わせた際の平面図を示している。重ね合わせる際に、CF基板22の遮光層50の中心線Lcg1、Lcg2と、TFT基板21の遮光部のLtg1、Ltg2とが重なるようしており、ecy1>ety1としている。このため、サブピクセル4SのY軸方向に2つに分断された個々の開口部のY軸方向の高さはEct、Etb1及びEtt2、Ecbで規定され、それぞれh1、h2となる。なお、ここでは、ecy1をety1よりも2dlだけ大きく設定する。ここで、dlは、CF基板22とTFT基板21とを重ね合わせる際のY軸方向の精度よりも大きな値とする。
【0151】
なお、本実施形態に係る液晶表示装置1Gの上述以外の構成及び動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置1Aと同様である。
【0152】
また、本実施形態に係る液晶表示装置1Gでは、第6実施形態で得られる効果を得ることができる。
【0153】
ここで、図29に示すように、遮光物5111、5121の中心線Lt1とEt1との交点をP1、遮光物5112、5122の中心線Lt2とEb2及びEt1との交点をP2、P3、遮光物5113、5123の中心線Lt3とEb2及びEt1との交点をP4、P5、遮光物5114、5124の中心線Lt4とEb2との交点をP6とする。前述のようにモアレは開口部のY軸方向の高さがX軸方向の位置で異なる場合に生ずるため、Y軸方向に一定の幅を有する遮光物512はモアレの発生には影響しない。そのため、図30に示す遮光物512を除外した平面図を参照して、遮光物5111、5121の中心線Lt1は直線になる。その理由は、遮光物5111がEtb1に対し角度θの傾きを有し、遮光物5121がEcbに対し角度θの傾きを有し、Ect、Ecb、Ett1、Etb1、Ett2、Etb2が共に平行であるからである。同様の理由で中心線Lt2、Lt3、Lt4も直線となる。さらにLt1とLt2、Lt2とLt3、Lt3とLt4の各間隔も全て等しくWtとなる。これは第6実施形態に係る液晶表示装置1Fで、モアレが発生しなくなる理由を説明したサブピクセル4Sの平面図(図25)と同じである。従って、本実施形態に係る液晶表示装置1Gでもモアレが発生しない。
【0154】
本実施形態では、CF基板22の遮光層50の幅ecy1と、それに重なるTFT基板21の遮光物510、512の幅ety1とで、ecy1の方が2dlだけ長い。ここでdlをCF基板22とTFT基板21を重ね合わせる際のY軸方向の精度よりも大きな値としているので、重ね合わせのずれが生じても、開口部のY軸方向の高さを規定するのは、CF基板22の遮光層50の端部Ect、EcbとTFT基板21の遮光物512の端部Etb1、Ett2であることには変わることがなく、開口部のY軸方向の高さも変わらない。従って、本実施形態に係る液晶表示装置1Gでは、CF基板22とTFT基板21の重ね合わせにずれが生じても、モアレが悪化することがない。
【0155】
[第8実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Hは、第7実施形態に係る液晶表示装置におけるCF基板22と、図31に示すTFT基板21とを組み合わせた構成である。図31はTFT基板21における、3行2列のサブピクセル4Sで構成される画素4Pixを示したものである。個々のサブピクセル4Sの開口部は、3本の幅の等しいデータ線D1、D2、D3の内、1本のデータ線D1がサブピクセル4Sの境界部に隣接するように配置されている。また、残りの2本のデータ線D2、D3は、開口部をX軸方向に均等に分割するように配置されており、ゲート線Gと平行な蓄積容量線CSがY軸方向に開口部を分割するように配置されている。
【0156】
ここで、各データ線Dの幅、データ線Dとゲート線Gの傾き、データ線Dの間隔は、上述の第7実施形態で説明した関係と同様である。
【0157】
液晶表示装置1Hは、図32に示すように、P−Si(ポリシリコン)TFTプロセスで作製されたものであり、ガラス基板70上に下地膜71、P−Si膜72P、ゲート絶縁膜73、ゲート金属膜74、第1層間膜751、配線金属膜76、第2層間膜752、透明導電膜77を積層した構造であり、その製造プロセスは第2実施形態で説明したものと同様である。
【0158】
図33AはP−Si膜72Pをパターニングした後の形状を示しており、図33Bは、ゲート金属膜をパターニングした後の形状を示している。図33Bの符号Gはゲート線を示しており、このゲート線GとP−Si膜72Pがゲート絶縁膜73を介して重なる部分がTFTとなる。符号CSは蓄積容量線を示し、ゲート線Gと平行に配置されると共に、データ線D1、D2、D3が配置される部分へ枝分かれした形状になっている。この蓄積容量線CSがP−Si膜72Pにゲート絶縁膜73を介して重なる部分が蓄積容量Cstとなる。
【0159】
図33Cは第1コンタクトCONT1のレイアウトを示しており、図33Dは配線金属膜76のパターニング後の形状を示している。第1コンタクトCONT1は、第1層間膜751を貫通しており、P−Si膜72Pを配線金属膜76に電気的に接続している。
【0160】
図33Eは第2コンタクトCONT2のレイアウトを示しており、図33Fは画素電極4Eとなる透明導電膜77をパターニングした後の形状を示している。第2コンタクトCONT2は第1層間膜751、第2層間膜752、ゲート絶縁膜73を貫通しており、P−Si膜72Pを透明導電膜77に電気的に接続している。
【0161】
下地膜71、P−Si膜72P、ゲート絶縁膜73、ゲート金属膜74、第1層間膜751、配線金属膜76、第2層間膜752、透明導電膜77に関しては、第2実施形態で説明した材料を用いることができる。また、P−Si膜72Pの再結晶化、不純物注入等のプロセスも第2実施形態で説明した方法を用いることができる。本実施形態に係る液晶表示装置1Hの動作は、第1実施形態に係る液晶表示装置1Aと同様である。
【0162】
本実施形態に係る液晶表示装置1Hによれば、第7実施形態で得られる効果が得られ、さらに液晶表示装置1Hを製造する際の歩留を改善できるという効果も得られる。
【0163】
本実施形態に係る液晶表示装置1HのTFT基板21において、遮光物51に該当するのはP−Si膜72P、ゲート金属膜74、配線金属膜76である。従って、TFT基板21の遮光物51の形状は、図33Dになる。これは、第7実施形態におけるTFT基板21の遮光物51の形状とほぼ同じである。異なるのは図27における遮光物511、513の形状であるが、そのY軸方向の幅ety1に対し、図36におけるゲート線G及びP−Si膜72Pの幅ety3をety1よりも小さい値に設定すれば同じと見なせる。従って、第7実施形態と同様な効果が得られる。
【0164】
本実施形態に係る液晶表示装置1Hでは、図33Bに示すように、TFT基板21においてゲート線Gと蓄積容量線CSとが長い距離で近接する部分が無い。一般に同一の金属層で形成された異なる信号を伝送する配線が、長い距離に亘り近接して配置されると、配線間で電気的にショートを発生させる確率が高くなる。これは、金属層をパターニングする前にゴミ等が付着し、エッチング時にゴミによりエッチング残りが生じるからである。本実施形態に係る液晶表示装置1Hでは、同一金属層で形成される異なる配線が長い距離で近接する部分が少ない。従って、液晶表示装置の製造時の歩留が向上するようになる。
【0165】
[第9実施形態]
図34は、本実施形態に係る液晶表示装置1Iにおけるサブピクセル4Sの開口部の形状を示したものである。これまで説明してきたように、開口部の形状はCF基板の遮光層とTFT基板の遮光部とで決定される。そこで、遮光層又は遮光物で構成され光を透過させない部分を、以下、「遮光体」と称する。
【0166】
図34に示した例では、遮光体9Y1〜9Yn+1がY軸に平行であり、遮光体9X11〜9Xnm+1がX軸に対し角度θの傾きを持っており、その幅は全てeで等しい。また、遮光体9X11、9X21〜9Xn1の中心線を結んだ線をL1とし、同様に遮光体9X12、9X22〜9Xn2の中心線を結んだ線をL2とする。さらに、同様の規則でL3〜Lm+1を定義し、L1〜Lm+1の間隔が全て等しくWとなるようにする。サブピクセル4SのY軸方向のピッチPyは、遮光体9Y1の中心線Ectと遮光体9Yn+1の中心線Ecbとで決定され、X軸方向のピッチPxは、L1とLm+1で決定される。L1〜Lm+1が、Y軸に平行な遮光体9Y2〜9Ynを横断する場合、遮光体9Y2〜9YnのY軸に平行な端部との交点のX軸方向の位置は、各々の遮光体について等しくなるようにする。具体的には、L1が遮光体9Y2を横断する場合、遮光体9Y2のY軸に平行な端部Eb1、Et2とL1との交点のX軸方向の位置が等しく、L1が遮光体9Y3を横断する場合、遮光体9Y3のY軸に平行な端部Eb2、Et3とL1との交点のX軸方向の位置を互いに等しくすることである。遮光体9Y2〜9YnのY軸方向の幅は各々異なっていても良く、Y軸方向に分断された各開口部のY軸方向の高さh1〜hnも各々異なっていても良い。
【0167】
上記説明したように、本実施形態に係る液晶表示装置1Iでは、サブピクセル4Sの開口部が、Y軸方向でn個、X軸方向でm個に分断されている。ここで、角度θと分断された開口部のY軸方向の高さh1〜hn及びX軸方向の画素ピッチPxには、以下の関係式が成立する。
[数10]
m×Σhi/tanθ=Px
ここで、Σhiとはh1〜hnの高さの総和である。
【0168】
液晶表示装置1Iにおける液晶パネルの回路構成は、図2で示した回路を採用することができる。さらに、TFT基板を製造するプロセスは第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態で説明したプロセスを適用することができ、第1実施形態で説明した駆動方法を適用することができる。
【0169】
本実施形態に係る液晶表示装置1Iによれば、第5実施形態で得られる効果が得られる。
【0170】
第7実施形態で説明したように、Y軸方向に一定の幅を有する遮光体9Y2〜9Ynはモアレの発生には影響しない。そのため、本実施形態に係る液晶表示装置1Iのモアレの影響を考察する場合、遮光体9Y2〜9Ynを削除した図面で考えることができる。図35は、図34における遮光体9Y2〜9Ynを削除したものである。図35から明らかなように、L1〜Lmは直線となる。その理由は、遮光体9X11〜9Xnm+1のX軸に対する傾斜角度が全て等しくθであるから、L1〜Lm+1のX軸の角度も全て等しくθとなるからである。さらに、L1〜Lm+1とEt1、Etnとの交点を図35のように定義した場合、P1とP2、P3とP4、P2m−1とP2mのX軸方向の位置が互いに等しくなる。以上説明した開口部の形状は、第1実施形態の図4における開口部の形状の関係と等しく、上述した[数7]で示される関係を満たしている。従って、第1実施形態で説明した理由により、モアレが発生しない。
【0171】
[第10実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Jは、図36に示すように、右目用の赤の画像を表示するサブピクセル4Sの開口部である領域RR、左目用の赤の画像を表示するサブピクセル4Sの開口部である領域RLを有している。領域RRから放射された右目用の赤の光は、シリンドリカルレンズ3aにより屈折し、角度δの広がりを持って観察者の右目8R方向に出射される。同様にRLから放射された左目用の赤の光は、シリンドリカルレンズ3aにより屈折し、角度δの広がりを持って観察者の左目8L方向に出射される。
【0172】
ここで、光の広がりの観察者の目の位置における幅をそれぞれZlr、Zllとした場合、この値を観察者の右目8Rと左目8Lの距離であるZeの2倍以上に設定する。Zlr、Zllの設定は、液晶パネル2とシリンドリカルレンズ3aまでの距離、シリンドリカルレンズ3aの屈折率、シリンドリカルレンズ3aの曲率半径によって設定することができる。このように設定するには、液晶パネル2とシリンドリカルレンズ3aの凸面までの距離をF1、シリンドリカルレンズ3aの凸面から観察者の目までの距離をF2、シリンドリカルレンズ3aの屈折率をn、曲率半径をr、サブピクセル4SのX軸方向の開口部の幅をLpとした場合、以下の関係式が成り立つように設定すれば良い。
[数11]
tanγ=Lp/F1
[数12]
tanδ=Ze/F2
[数13]
r=(n−1)×F1/n
【0173】
本実施形態に係る液晶表示装置1Jに適用可能な画素レイアウトは、第1〜第9実施形態で説明したレイアウトに加え、サブピクセル4Sの開口部が四角形や、六角形、台形のものを採用することができる。例えば、図37に示すように、サブピクセル4Sの開口部が四角形であるレイアウトを採用することができる。この場合、データ線Dに沿ったサブピクセル4Sの列毎に3本のデータ線D1、D2、D3がサブピクセル4Sの開口部を分割しないようにまとめて配置する。
【0174】
本実施形態に係る液晶表示装置に適用可能な別の画素レイアウト例として、図38に示したものも採用することができる。図38は、サブピクセル4Sの遮光体90により規定される開口部を示したものである。ここで遮光体とは、CF基板22の遮光層50及びTFT基板21の遮光物51の重なりで規定される光を透過しない部分のことをいう。このサブピクセル4Sの開口部は、図52で示した六角形の開口部を、X軸に平行でY軸方向に等しい幅dLを有する遮光物でY軸方向に分断した形状である。前記遮光物は図38中、線Eb1、Et2で端部が表された遮光物の部分である。このように開口部を分断すると、開口部のコーナーC1とC2のX軸方向の位置が等しく、コーナーC3とC4のX軸方法の位置も等しくなる。従って、図39に示すように、前記遮光物を削除した場合の開口部のレイアウトは、図52に示すレイアウトと等しい形状となる。
【0175】
なお、本実施形態に係る液晶表示装置1Jの上述以外の構成及び動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置1Aと同様である。
【0176】
既に説明したとおり、モアレとは、液晶パネル2の遮光層50がレンズを通して観察者側に投影され、それを観察者が黒い帯Zdとして視認することにより発生する。図36に示すように、液晶パネル2からの光が観察者に出射されるように設定すると、サブピクセル4Sの開口部に隣接する遮光部52に起因して発生する黒い帯Zdの間隔が、観察者の目の間隔Zeの2倍以上となるため、観察者が頭を大きく移動させない限り黒い帯Zdが見えない。従って、遮光部52による黒い帯Zdが観察者側に投影されても、観察者は主観的にモアレを意識しにくくなる。なお、上述した遮光部52とは、CF基板22の遮光層50及びTFT基板の遮光物51で規定される光を透過させない部分のことをいう。
【0177】
すなわち、本実施形態に係る液晶表示装置1Jは、サブピクセル4Sの開口部として、四角形や六角形、台形、図38で示したレイアウトなどが採用することができ、開口部のY軸方向の幅を、X軸座標に拘わらず一定にするというレイアウトの制約が無くなる為、開口部が最も広くなるようにレイアウトすることが可能となる。よって、開口率を高めることができる。
【0178】
本実施形態の液晶表示装置1Jにおいて、開口部のレイアウトとして図38に示したものを用いた場合、液晶表示装置の製造時の歩留を向上させる効果が得られる。
【0179】
本実施形態の液晶表示装置では、線EtとEt1との間の遮光物90の位置に、ゲート線Gを配置し、線Eb1とEt2との間の遮光物90の位置に蓄積容量線CSを配置することが可能である。この場合、ゲート線Gと蓄積容量線CSが、長い距離に亘り近接配置されることを避けることができる。従って、液晶表示装置を製造する過程で、ゴミ等の影響によりゲート線Gと蓄積容量線CSがショートする欠陥が発生しにくくなり、液晶表示装置の製造時の歩留を向上させることができる。
【0180】
[第11実施形態]
本実施形態に係る液晶表示装置1Kは、図40に示すように、第1実施形態に係る液晶表示装置1Aとは異なり、サブピクセル4Sの行毎に設けられたゲート線Gがそれぞれ異なるゲートドライバ62の出力端子によって駆動される。TFT基板21の画素レイアウトとしては、第2〜第10実施形態で示した何れかのレイアウトを採用することができる。
【0181】
液晶表示装置1Kは、9のサブピクセル4Sの行があるが、図41に示すように、液晶表示装置1Gに1画面分の映像信号を書き込む1フレーム期間Tvは、3つの水平期間Th1〜Th3に分割されている。そして、9本のゲート配線は、3本ずつの3グループ(G1〜G3、G4〜G6、G7〜G9)に分けられ、各グループのゲート線Gは同一の電圧波形で駆動される。
【0182】
なお、本実施形態に係る液晶表示装置1Kの上述以外の構成及び動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置1Aと同様である。
【0183】
本実施形態に係る液晶表示装置1Kでは、同一のタイミングで駆動される複数のゲート線Gがそれぞれ異なる駆動回路(ゲートドライバ62)で駆動されている。ゲート配線のインピーダンスは、ゲート線Gに接続される画素薄膜トランジスタTFTの数、ゲート線Gに重なるデータ線Dの本数などに依存するが、インピーダンスが大きいほど、画素薄膜トランジスタTFTをON状態へするのに要する時間が長くなる。
【0184】
本実施形態に係る液晶表示装置1Kでは、同一のタイミングで駆動されるゲート線Gであっても、異なる駆動回路で駆動していることから、駆動回路から見た負荷は小さくなり、高速に動作させることができる。言い換えれば、大面積化に伴いゲート線G1本当たりの抵抗値が大きくなっても駆動に要する時間を短くすることができる。さらに、高精細化に伴い1本のゲート線Gに接続される画素薄膜トランジスタTFTの数や、データ線Dと重なる面積が増えても、駆動に要する時間を短くすることができる。よって、本実施形態に係る液晶表示装置1Kは、大面積化、高精細化に対応することができる。
【0185】
上述の実施形態では、画素4Pixの開口部を平行四辺形とし、複数のデータ線Dの幅が等しいと表現してきたが、実際の製造プロセスでは若干の誤差が生じ得る。例えば、配線幅の例で見ると、設計値に対するプロセスの誤差は数%程度存在する。しかしながら、その範囲内で平行四辺形が変形したり、複数のデータ線Dの線幅に誤差が生じたりしても実用上は問題がない。さらに、製造プロセスを運用するために各社が独自に定めている設計ルールに従うと、開口部の形状が平行四辺形からずれる(変移する)ようになり、複数の配線幅を同一に設定できない場合がある。しかしながら、このずれ量(変移量)もプロセスにおける誤差と同様に数%程度であれば実用上は問題がない。
【0186】
なお、本発明は、本発明の広義の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0187】
上記実施形態の一部又は全ては、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0188】
(付記1)
右眼用の画像と左眼用の画像を表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルと、第1の方向にアレイ状に配置され、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記画素から出射された光を前記第1の方向に振り分ける光学手段と、を備え、
前記画素は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを有し、
前記サブピクセルは、それぞれ前記第1の方向に延在するゲート線と前記第2の方向に延在するデータ線によって駆動され、前記第1の方向に隣接する前記サブピクセルと同一の色の光を透過する色レジストが配置され、
前記サブピクセルには光を透過する開口部と光を透過しない遮光部とが配置され、前記サブピクセル内での前記第2の方向における前記開口部と前記遮光部との比率が前記第1の方向の位置によらずほぼ一定であり、
前記データ線は前記サブピクセルの列毎にn(nは3以上の整数)本配置されており、n−1本の前記データ線は前記サブピクセルを等間隔で分断するように配置され、
前記画素が有する複数の前記サブピクセルは、それぞれ同一の前記ゲート線によって駆動される、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【0189】
(付記2)
前記サブピクセルには、複数に分離された画素電極が配置される、
ことを特徴とする付記1に記載の液晶表示装置。
【0190】
(付記3)
前記液晶パネルは、薄膜トランジスタが配置されたTFT基板と、色レジストが配置されたCF基板と、前記TFT基板と前記CF基板との間に配置される液晶層と、から構成され、
前記サブピクセルは、前記TFT基板において、ほぼ平行四辺形とみなせる形状の開口部を有し、前記CF基板において、遮光層により区画されたほぼ平行四辺形とみなせる形状の開口部を有し、
前記TFT基板には、前記データ線に対応した位置に前記遮光層が配置され、
前記TFT基板の開口部の前記第2の方向の幅と前記CF基板の開口部の前記第2の方向の幅が異なる、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の液晶表示装置。
【0191】
(付記4)
前記データ線に対応した位置に配置される前記遮光層の幅は、前記データ線の幅と異なる、
ことを特徴とする付記3に記載の液晶表示装置。
【0192】
(付記5)
前記色レジストの色の数が4以上の偶数である、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【0193】
(付記6)
前記サブピクセルは少なくとも薄膜トランジスタと、画素電極と、蓄積容量と、を有しており、前記蓄積容量は、前記n本のデータ線の下層に形成される、
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【0194】
(付記7)
前記蓄積容量は、前記n本のデータ線に沿って配置され、且つ、実質的に前記データ線と交差せずに形成される、
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【0195】
(付記8)
前記データ線を駆動させるデータドライバをさらに備え、
前記データドライバは、前記画素が有する前記サブピクセルの数と同数のメモリと、前記画素が有する前記サブピクセルの数と同数のデジタルアナログコンバータと、前記画素が有する前記サブピクセルの数と同数のアンプと、を備え、
前記メモリは、デジタル化された映像信号を記憶し、前記デジタルアナログコンバータは、前記アンプを介して前記メモリから出力された前記映像信号を前記データ線に供給する、
ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【0196】
(付記9)
右眼用の画像と左眼用の画像とを表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルと、第1の方向にアレイ状に配置されるとともに、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記画素から出射された光を前記第1の方向に振り分ける光学手段と、を備え、
前記画素は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを有し、
前記サブピクセルは、それぞれ前記第1の方向に延在するゲート線と前記第2の方向に延在するデータ線とによって駆動され、前記サブピクセルには、前記第1の方向に隣接する前記サブピクセルと同一の色の光を透過する色レジストが配置され、
前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向における所定の位置において、前記光学手段が振り分ける光の前記第1の方向における幅は、前記所定の位置の観察者の両眼間の第1の方向の幅の2倍以上である、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【0197】
(付記10)
右眼用の画像と左眼用の画像とを表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルを備え、前記画素がマトリクス状に配置されたn本のゲート線及びm本のデータ線のうちそれぞれ少なくとも1本で駆動する複数のサブピクセルを有し、前記サブピクセルが薄膜トランジスタと液晶容量及び蓄積容量から構成される液晶表示装置を駆動させる方法であって、
1画面分の映像信号を書き込むフレーム周期をTとした場合のT/nの期間において、少なくとも1つの前記ゲート線に薄膜トランジスタをオン状態にさせるゲート信号を出力するステップと、
前記薄膜トランジスタがオン状態になった後、前記m本のデータ線に映像信号を印加し、液晶容量及び蓄積容量に映像信号を書き込むステップと、を備える、
ことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
【0198】
(付記11)
右眼用の画像と左眼用の画像とを表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルと、第1の方向にアレイ状に配置されるとともに、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記画素から出射された光を前記第1の方向に振り分ける光学手段と、を備え、
前記画素は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを有し、
前記サブピクセルには、
前記第1の方向に延在され、光を透過しない複数の第1遮光部と、前記第1の方向に対し角度θ傾き、光を透過しない複数の第2遮光部とが配置されており、
前記複数の第1遮光部の各々は、前記第2方向の長さが一定であり、前記複数の第2遮光部のX軸方向の幅は等しく、
前記サブピクセルの開口部は、前記複数の第1遮光部により、前記第2方向に分断されるとともに、前記複数の第2遮光部により、前記第1方向にm個に均等に分断され、
前記複数の第2方向に分断された開口部の前記第2方向の開口の長さの総和をh、前記サブピクセルの前記第1方向のピッチをPxとしたときに、
m×h/tanθ=Px
の関係が成立する、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【符号の説明】
【0199】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、1J、1K 液晶表示装置
15 バックライト
2 液晶パネル
20 液晶層
21 TFT基板
22 CF基板
3 レンズアレイシート
3a シリンドリカルレンズ
4Pix 画素
4S サブピクセル
4E 画素電極
50 遮光層(ブラックマトリクス)
51、511、512、513、5111、5112、5113、5114、5121、5122、5123、5124 遮光物
52 遮光部
61 データドライバ
62 ゲートドライバ
70 ガラス基板
71 下地膜
72P P−Si膜
72a a−Si膜
73 ゲート絶縁膜
74 ゲート金属膜
75 層間膜
751 第1層間膜
752 第2層間膜
76 配線金属膜
77 透明導電膜
8R 観察者の右眼
8L 観察者の左眼
9X11、9X12、9X13、9X14、9X15、9X1m、9X1m+1、9X21、9X22、9X23、9X24、9X25、9X2m、9X2m+1、9Xn1、9Xn2、9Xn3、9Xn4、9Xn5、9Xnm、9Xnm+1、9Y1、9Y2、9Y3、9Yn、9Yn+1 遮光体
G ゲート線
D データ線
CS 蓄積容量線
TFT 画素薄膜トランジスタ
Clc 液晶容量
Cst 蓄積容量
CFR 色レジスト
CFG 色レジスト
CFB 色レジスト
CONT コンタクト
CONT1 第1コンタクト
CONT2 第2コンタクト
C1、C2、C3、C4 開口部のコーナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右眼用の画像と左眼用の画像を表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルと、第1の方向にアレイ状に配置され、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記画素から出射された光を前記第1の方向に振り分ける光学手段と、を備え、
前記画素は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを有し、
前記サブピクセルは、それぞれ前記第1の方向に延在するゲート線と前記第2の方向に延在するデータ線によって駆動され、前記第1の方向に隣接する前記サブピクセルと同一の色の光を透過する色レジストが配置され、
前記サブピクセルには光を透過する開口部と光を透過しない遮光部とが配置され、前記サブピクセル内での前記第2の方向における前記開口部と前記遮光部との比率が前記第1の方向の位置によらずほぼ一定であり、
前記データ線は前記サブピクセルの列毎にn(nは3以上の整数)本配置されており、n−1本の前記データ線は前記サブピクセルを等間隔で分断するように配置され、
前記画素が有する複数の前記サブピクセルは、それぞれ同一の前記ゲート線によって駆動される、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記サブピクセルには、複数に分離された画素電極が配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶パネルは、薄膜トランジスタが配置されたTFT基板と、色レジストが配置されたCF基板と、前記TFT基板と前記CF基板との間に配置される液晶層と、から構成され、
前記サブピクセルは、前記TFT基板において、ほぼ平行四辺形とみなせる形状の開口部を有し、前記CF基板において、遮光層により区画されたほぼ平行四辺形とみなせる形状の開口部を有し、
前記TFT基板には、前記データ線に対応した位置に前記遮光層が配置され、
前記TFT基板の開口部の前記第2の方向の幅と前記CF基板の開口部の前記第2の方向の幅が異なる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記データ線に対応した位置に配置される前記遮光層の幅は、前記データ線の幅と異なる、
ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記色レジストの色の数が4以上の偶数である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記サブピクセルは少なくとも薄膜トランジスタと、画素電極と、蓄積容量と、を有しており、前記蓄積容量は、前記n本のデータ線の下層に形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記蓄積容量は、前記n本のデータ線に沿って配置され、且つ、実質的に前記データ線と交差せずに形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
右眼用の画像と左眼用の画像とを表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルと、第1の方向にアレイ状に配置されるとともに、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記画素から出射された光を前記第1の方向に振り分ける光学手段と、を備え、
前記画素は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを有し、
前記サブピクセルは、それぞれ前記第1の方向に延在するゲート線と前記第2の方向に延在するデータ線とによって駆動され、前記サブピクセルには、前記第1の方向に隣接する前記サブピクセルと同一の色の光を透過する色レジストが配置され、
前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向における所定の位置において、前記光学手段が振り分ける光の前記第1の方向における幅は、前記所定の位置の観察者の両眼間の第1の方向の幅の2倍以上である、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
右眼用の画像と左眼用の画像とを表示する画素がマトリクス状に複数配列された液晶パネルと、第1の方向にアレイ状に配置されるとともに、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在し、前記画素から出射された光を前記第1の方向に振り分ける光学手段と、を備え、
前記画素は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを有し、
前記サブピクセルには、
前記第1の方向に延在し、光を透過しない複数の第1遮光部と、前記第1の方向に対し角度θ傾き、光を透過しない複数の第2遮光部とが配置されており、
前記複数の第1遮光部の各々は、前記第2方向の長さが一定であり、前記複数の第2遮光部のX軸方向の幅は等しく、
前記サブピクセルの開口部は、前記複数の第1遮光部により、前記第2方向に分断されるとともに、前記複数の第2遮光部により、前記第1方向にm個に均等に分断され、
前記複数の第2方向に分断された開口部の前記第2方向の開口の長さの総和をh、前記サブピクセルの前記第1方向のピッチをPxとしたときに、
m×h/tanθ=Px
の関係が成立する、
ことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図33D】
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【図33E】
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【図33F】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【公開番号】特開2012−215830(P2012−215830A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14232(P2012−14232)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】