説明

液滴吐出ヘッドの制御方法、描画方法及び液滴吐出装置

【課題】吐出量を精度良く制御できる液滴吐出ヘッドの制御方法、描画方法及び液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】液滴吐出ヘッド14のキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズル31から機能液を基板7に吐出する液滴吐出装置に関する。液滴吐出ヘッド14と基板7とを相対移動するキャリッジ12及びステージ4を備えている。さらに、ノズル31から吐出される機能液を受けるフラッシングユニット18とを備えている。また、液滴吐出ヘッド14は、キャビティを加圧する圧電素子を備えている。液滴吐出ヘッド14が、フラッシングユニット18と対向する場所から、基板7と対向する場所に移動する間、圧電素子は、ノズル31から機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出ヘッドの制御方法、描画方法及び液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに対して液滴を吐出する装置として、インクジェット式の液滴吐出装置が知られている。液滴吐出装置は、基板等のワークを載置してワークを一方向に移動させるテーブルと、テーブルの上方位置において、テーブルの移動方向と直交する方向にガイドレールに沿って移動するキャリッジとを備えている。キャリッジはインクジェットヘッド(以下、液滴吐出ヘッドと称す)を配置し、ワークに対して液滴を吐出して、塗布していた。
【0003】
ワークに対して、液滴を吐出して塗布する機能液は、各種の材料が用いられている。機能液は、温度により粘度の変わる物が多く、粘度が変わることにより流体抵抗が変化する。流体抵抗が変わることにより、液滴吐出ヘッド内の流路を流れる機能液の流速が変化する。機能液の流速が変化することにより、1ドットあたりの吐出量が変動し、所望の量の機能液を塗布することが困難であった。
【0004】
この課題を解決するために、特許文献1において、1ドットあたりの吐出量を制御する方法が開示されている。これによれば、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧する圧電素子を駆動する駆動波形と、駆動電圧と、吐出する液体の温度を制御するものであった。また、液体の温度を制御するために、液滴吐出ヘッド、供給パイプ、タンクにヒータを設置していた。
【0005】
【特許文献1】特開2003−26679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧するとき、圧電素子の動作に加えられるエネルギの一部は、熱に変換し、液滴吐出ヘッドの温度を上昇させる要因となっていた。また、圧電素子が駆動されていないとき、圧電素子は発熱せず、液滴吐出ヘッドは放熱するため、温度が変動する要因となっていた。液滴吐出ヘッド、供給パイプ、タンクにヒータを用いて加熱する方法は、装置を暖め、短い時間で液温を所定の温度にするのに有効であった。一方、液滴吐出ヘッドの動作による温度変動を、ヒータ加熱で一定の温度にするには、液温の変動に追従した制御をなし得ない場合があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、吐出量を精度良く制御できる液滴吐出ヘッドの制御方法、描画方法及び液滴吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出装置であって、液滴吐出ヘッドとワークとを相対移動するテーブルと、ノズルから吐出される機能液を受けるフラッシングユニットとを備え、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットと対向する場所から、ワークと対向する場所に移動する間、加圧手段は、ノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする。
【0009】
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出装置は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを有する液滴吐出ヘッドを備えている。また、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。液滴吐出装置は、テーブルを備え、液滴吐出ヘッドとワークとを相対移動することにより、ワークの所望の場所に機能液を吐出して塗布する。
【0010】
液滴吐出装置は、フラッシングユニットを備え、ノズルからフラッシングユニットに機能液を吐出する。液滴吐出装置は、機能液を吐出することにより、液滴吐出ヘッド内の機能液を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッドは、機能液と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0011】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0012】
液滴吐出ヘッドがフラッシングユニットに吐出するとき、液滴吐出ヘッドでは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0013】
液滴吐出ヘッドをフラッシングユニットからワークに移動するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。一方、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。その結果、液滴吐出ヘッドがフラッシングユニットからワークに移動するとき、加圧手段を動作する方が、温度変動が少ない為、吐出量を精度良く制御することができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出装置であって、液滴吐出ヘッドとワークとを相対移動するテーブルを備え、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、液滴吐出ヘッドが、ワークに機能液を間歇吐出する場合で、液滴吐出ヘッドが、ワークに機能液を吐出しないとき、加圧手段は、ノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする。
【0015】
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出装置は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを有する液滴吐出ヘッドを備えている。また、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。液滴吐出装置は、テーブルを備え、液滴吐出ヘッドとワークとを相対移動することにより、ワークの所望の場所に機能液を吐出して塗布する。
【0016】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0017】
液滴吐出ヘッドがワークに吐出するとき、液滴吐出ヘッドでは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0018】
液滴吐出ヘッドが、ワークに機能液を吐出し、吐出を一旦停止して、ワークに機能液を吐出する別の場所に移動するときや、ワークに機能液を吐出した後で、機能液を吐出せずに待機するときなど、機能液の吐出と吐出の停止を繰り返す間歇吐出を行うことがある。吐出を停止しているときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドが放熱して温度が下がる。一方、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度が下がり難くなる。その結果、液滴吐出ヘッドがワークに吐出する場所から別の吐出する場所に移動するとき、加圧手段を動作する方が、温度変動が少ない為、吐出量を精度良く制御することができる。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出装置であって、液滴吐出ヘッドとワークとを相対移動するテーブルと、ノズルから吐出される機能液を受けるフラッシングユニットとを備え、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、液滴吐出ヘッドが、ワークと対向する場所から、フラッシングユニットと対向する場所に移動する間、加圧手段は、ノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする。
【0020】
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出装置は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを有する液滴吐出ヘッドを備えている。また、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。液滴吐出装置は、テーブルを備え、液滴吐出ヘッドとワークとを相対移動することにより、ワークの所望の場所に機能液を吐出して塗布する。
【0021】
液滴吐出装置は、フラッシングユニットを備え、ノズルからフラッシングユニットに機能液を吐出する。液滴吐出装置は、機能液を吐出することにより、液滴吐出ヘッド内の機能液を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッドは、機能液と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0022】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0023】
液滴吐出ヘッドがワークに吐出するとき、液滴吐出ヘッドでは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0024】
液滴吐出ヘッドをワークと対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに到達するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がっている場合には、加圧手段を動作する等により、液滴吐出ヘッドを所定の温度に加熱する必要がある。
【0025】
一方、液滴吐出ヘッドをワークと対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動するときに、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。従って、フラッシングユニットに到達するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下り難いため、加熱するために、液滴を吐出する必要がなく、洗浄のための吐出だけで良い。従って、生産性良く液滴吐出ヘッドを、所定の温度に保持することができる。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出装置であって、液滴吐出ヘッドとワークとを相対移動するテーブルと、ノズルから吐出される機能液を受けるフラッシングユニットとを備え、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに機能液を吐出し、吐出を停止し、再度吐出する場合に、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに機能液を吐出しないとき、加圧手段は、ノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする。
【0027】
この液滴吐出装置によれば、液滴吐出装置は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを有する液滴吐出ヘッドを備えている。また、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。液滴吐出装置は、テーブルを備え、液滴吐出ヘッドとワークとを相対移動することにより、ワークの所望の場所に機能液を吐出して塗布する。
【0028】
液滴吐出装置は、フラッシングユニットを備え、ノズルからフラッシングユニットに機能液を吐出する。液滴吐出装置は、機能液を吐出することにより、液滴吐出ヘッド内の機能液を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッドは、機能液と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0029】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0030】
液滴吐出ヘッドがフラッシングユニットに吐出するとき、液滴吐出ヘッドでは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0031】
液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに機能液を吐出せずに、待機するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットにて待機するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がっている場合には、加圧手段を動作する等により、液滴吐出ヘッドを所定の温度に加熱する必要がある。
【0032】
一方、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに機能液を吐出せずに、待機するときに、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。従って、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットにて待機するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下り難いため、加熱するために、液滴を吐出する必要がない。待機した後にフラッシングするときは、洗浄する目的のためだけにフラッシングを行えばよい。従って、生産性良く液滴吐出ヘッドを、所定の温度に保持することができる。
【0033】
上記課題を解決するために、本発明の描画方法は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画方法であって、ノズルから機能液をフラッシングユニットに吐出するフラッシング工程と、液滴吐出ヘッドをフラッシングユニットと対向する場所からワークと対向する場所に移動させる第1ヘッド移動工程と、ノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画工程とを有し、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、第1ヘッド移動工程において、加圧手段は、ノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする。
【0034】
この描画方法によれば、描画方法は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを備えている液滴吐出ヘッドを用いる。また、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。また、この描画方法は、フラッシング工程と第1ヘッド移動工程と描画工程とを有している。描画工程において、機能液をワークに吐出して描画する。
【0035】
フラッシング工程において、ノズルからフラッシングユニットに機能液を吐出する。液滴吐出ヘッドは、機能液を吐出することにより、液滴吐出ヘッド内の機能液を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッドは、機能液と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0036】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0037】
液滴吐出ヘッドがフラッシングユニットに吐出するとき、液滴吐出ヘッドは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0038】
第1ヘッド移動工程において、液滴吐出ヘッドをフラッシングユニットと対向する場所からワークと対向する場所に移動するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。一方、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。その結果、液滴吐出ヘッドがフラッシングユニットと対向する場所からワークと対向する場所に移動するとき、加圧手段を動作する方が、温度変動が少ない為、吐出量を精度良く制御することができる。
【0039】
上記課題を解決するために、本発明の描画方法は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画方法であって、ノズルから機能液をワークに吐出する吐出工程と、機能液を吐出せずに、ワークと液滴吐出ヘッドとを相対移動する吐出場所移動工程とを有し、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、吐出場所移動工程において、加圧手段は、ノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする。
【0040】
この描画方法によれば、描画方法は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを備えている液滴吐出ヘッドを用いる。また、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。この描画方法は、吐出工程と吐出場所移動工程とを有し、吐出工程において、機能液をワークに吐出して描画する。
【0041】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0042】
液滴吐出ヘッドがワークに吐出するとき、液滴吐出ヘッドは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0043】
吐出場所移動工程において、液滴吐出ヘッドが、ワークに機能液を吐出する場所から、ワークに機能液を吐出する別の場所に移動するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。一方、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。その結果、液滴吐出ヘッドがワークに吐出する場所から別の吐出する場所に移動するとき、加圧手段を動作する方が、温度変動が少ない為、吐出量を精度良く制御することができる。
【0044】
上記課題を解決するために、本発明の描画方法は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画方法であって、ノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画工程と、ノズルから機能液をフラッシングユニットに吐出するフラッシング工程と、描画工程とフラッシング工程との間において、液滴吐出ヘッドをワークと対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動させる第2ヘッド移動工程とを有し、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、第2ヘッド移動工程において、加圧手段は、ノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする。
【0045】
この描画方法によれば、描画方法は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを備えている液滴吐出ヘッドを用いる。また、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。この描画方法は、描画工程と第2ヘッド移動工程とフラッシング工程とを有している。描画工程において、機能液をワークに吐出して描画する。
【0046】
フラッシング工程において、ノズルからフラッシングユニットに機能液を吐出する。液滴吐出ヘッドは、機能液を吐出することにより、液滴吐出ヘッド内の機能液を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッドは、機能液と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0047】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0048】
描画工程において、液滴吐出ヘッドがワークに吐出するとき、液滴吐出ヘッドは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0049】
第2ヘッド移動工程において、液滴吐出ヘッドをワークと対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットと対向する場所に到達するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がっている場合には、加圧手段を動作する等により、液滴吐出ヘッドを所定の温度に加熱する必要がある。
【0050】
一方、液滴吐出ヘッドをワークと対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動するときに、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。従って、フラッシングユニットと対向する場所に到達するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がり難く、加熱するために、液滴を吐出する必要がなく、洗浄のための吐出だけで良い。従って、生産性良く液滴吐出ヘッドを、所定の温度に保持することができる。
【0051】
上記課題を解決するために、本発明の描画方法は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画方法であって、ノズルから機能液をフラッシングユニットに吐出するダミー吐出工程と、ノズルから機能液のフラッシングユニットへの吐出を停止するダミー吐出停止工程とを有し、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、ダミー吐出工程、ダミー吐出停止工程、ダミー吐出工程の順に行うとき、ダミー吐出停止工程において、加圧手段は、ノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする。
【0052】
この描画方法によれば、描画方法は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを備えている液滴吐出ヘッドを用いる。また、液滴吐出ヘッドは、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液をワークに吐出して描画する。また、この描画方法は、ダミー吐出工程とダミー吐出停止工程とを有している。
【0053】
ダミー吐出工程において、ノズルからフラッシングユニットに機能液を吐出する。液滴吐出ヘッドは、機能液を吐出することにより、液滴吐出ヘッド内の機能液を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッドは、機能液と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0054】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0055】
液滴吐出ヘッドがフラッシングユニットに吐出するとき、液滴吐出ヘッドは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0056】
ダミー吐出停止工程において、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに機能液を吐出せずに、待機するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットにて待機するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がっている場合には、加圧手段を動作する等により、液滴吐出ヘッドを所定の温度に加熱する必要がある。
【0057】
一方、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに機能液を吐出せずに、待機するときに、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。従って、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットにて待機するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がらず、加熱するために、液滴を吐出する必要がない。待機した後にフラッシングするときは、洗浄する目的のためだけにフラッシングを行えばよい。従って、生産性良く液滴吐出ヘッドを、所定の温度に保持することができる。
【0058】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出ヘッドの制御方法は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出ヘッドの制御方法であって、ノズルから機能液をフラッシングユニットに吐出するフラッシング工程と、液滴吐出ヘッドをフラッシングユニットと対向する場所からワークと対向する場所に移動させる第1ヘッド移動工程と、ノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画工程とを有し、液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、キャビティを加圧する加圧手段を備え、第1ヘッド移動工程において、ヘッド駆動回路は、加圧手段がノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させる駆動信号を加圧手段に送信して制御することを特徴とする。
【0059】
この液滴吐出ヘッドの制御方法によれば、液滴吐出ヘッドの制御方法は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを備えている液滴吐出ヘッドとヘッド駆動回路とを用いる。また、液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。また、液滴吐出ヘッドの制御方法は、フラッシング工程と第1ヘッド移動工程と描画工程とを有し、描画工程において、液滴吐出ヘッドのノズルから機能液を吐出して描画する。
【0060】
フラッシング工程において、ノズルからフラッシングユニットに機能液を吐出する。液滴吐出ヘッドは、機能液を吐出することにより、液滴吐出ヘッド内の機能液を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッドは、機能液と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0061】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0062】
液滴吐出ヘッドがフラッシングユニットに吐出するとき、液滴吐出ヘッドは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0063】
第1ヘッド移動工程において、液滴吐出ヘッドは、フラッシングユニットと対向する場所からワークと対向する場所に移動する。このとき、ヘッド駆動回路は、加圧手段がノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させる駆動信号を加圧手段に送信して制御する。
【0064】
液滴吐出ヘッドをフラッシングユニットと対向する場所からワークと対向する場所に移動するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。一方、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。その結果、液滴吐出ヘッドがフラッシングユニットと対向する場所からワークと対向する場所に移動するとき、加圧手段を動作する方が、温度変動が少ない為、吐出量を精度良く制御することができる。
【0065】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出ヘッドの制御方法は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出ヘッドの制御方法であって、ノズルから機能液をワークに吐出する吐出工程と、機能液を吐出せずに、ワークと液滴吐出ヘッドとを相対移動する吐出場所移動工程とを有し、液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、キャビティを加圧する加圧手段を備え、吐出場所移動工程において、ヘッド駆動回路は、加圧手段がノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させる駆動信号を加圧手段に送信して制御することを特徴とする。
【0066】
この液滴吐出ヘッドの制御方法によれば、液滴吐出ヘッドの制御方法は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを備えている液滴吐出ヘッドとヘッド駆動回路とを用いる。また、液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。この液滴吐出ヘッドの制御方法は、吐出工程と吐出場所移動工程とを有し、吐出工程において、機能液をワークに吐出して描画する。
【0067】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0068】
液滴吐出ヘッドがワークに吐出するとき、液滴吐出ヘッドは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0069】
吐出場所移動工程において、液滴吐出ヘッドは、ワークに機能液を吐出する場所から、ワークに機能液を吐出する別の場所に移動する。このとき、ヘッド駆動回路は、加圧手段がノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させる駆動信号を加圧手段に送信して制御する。
【0070】
液滴吐出ヘッドが、ワークに機能液を吐出する場所から、ワークに機能液を吐出する別の場所に移動するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。一方、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。その結果、液滴吐出ヘッドがワークに吐出する場所から別の吐出する場所に移動するとき、加圧手段を動作する方が、温度変動が少ない為、吐出量を精度良く制御することができる。
【0071】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出ヘッドの制御方法は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出ヘッドの制御方法であって、ノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画工程と、ノズルから機能液をフラッシングユニットに吐出するフラッシング工程と、描画工程とフラッシング工程との間において、液滴吐出ヘッドをワークと対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動させる第2ヘッド移動工程とを有し、液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、キャビティを加圧する加圧手段を備え、第2ヘッド移動工程において、ヘッド駆動回路は、加圧手段がノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させる駆動信号を加圧手段に送信して制御することを特徴とする。
【0072】
この液滴吐出ヘッドの制御方法によれば、液滴吐出ヘッドの制御方法は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを備えている液滴吐出ヘッドとヘッド駆動回路とを用いる。また、液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。この液滴吐出ヘッドの制御方法は、描画工程と第2ヘッド移動工程とフラッシング工程とを有し、描画工程において、機能液をワークに吐出して描画する。
【0073】
フラッシング工程において、ノズルからフラッシングユニットに機能液を吐出する。液滴吐出ヘッドは、機能液を吐出することにより、液滴吐出ヘッド内の機能液を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッドは、機能液と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0074】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0075】
描画工程において、液滴吐出ヘッドがワークに吐出するとき、液滴吐出ヘッドは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0076】
第2ヘッド移動工程において、液滴吐出ヘッドは、ワークと対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動する。このとき、ヘッド駆動回路は、加圧手段がノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させる駆動信号を加圧手段に送信して制御する。
【0077】
液滴吐出ヘッドをワークと対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに到達するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がっている場合には、加圧手段を動作する等により、液滴吐出ヘッドを所定の温度に加熱する必要がある。
【0078】
一方、液滴吐出ヘッドをワークと対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動するときに、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。従って、フラッシングユニットに到達するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がらず、加熱するために、液滴を吐出する必要がなく、洗浄のための吐出だけで良い。従って、生産性良く液滴吐出ヘッドを、所定の温度に保持することができる。
【0079】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出ヘッドの制御方法は、液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出ヘッドの制御方法であって、ノズルから機能液をフラッシングユニットに吐出するダミー吐出工程と、ノズルから機能液をフラッシングユニットへの吐出を停止するダミー吐出停止工程とを有し、液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、キャビティを加圧する加圧手段を備え、ダミー吐出工程、ダミー吐出停止工程、ダミー吐出工程の順に行うとき、ダミー吐出停止工程において、ヘッド駆動回路は、加圧手段がノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させる駆動信号を加圧手段に送信して制御することを特徴とする。
【0080】
この液滴吐出ヘッドの制御方法によれば、液滴吐出ヘッドの制御方法は、キャビティと、キャビティと連通するノズルとを備えている液滴吐出ヘッドとヘッド駆動回路とを用いる。また、液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、キャビティを加圧する加圧手段を備え、キャビティを加圧してノズルから機能液を吐出する。
【0081】
この液滴吐出ヘッドの制御方法は、ダミー吐出工程、ダミー吐出停止工程、ダミー吐出工程の順に行われ、ダミー吐出工程において、ノズルからフラッシングユニットに機能液を吐出する。液滴吐出ヘッドは、機能液を吐出することにより、液滴吐出ヘッド内の機能液を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッドは、機能液と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0082】
機能液は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド内で、機能液に圧力が加わり、ノズル等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズルから吐出される機能液の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0083】
ダミー吐出工程において、液滴吐出ヘッドがフラッシングユニットに吐出するとき、液滴吐出ヘッドは、加圧手段がキャビティを加圧するエネルギの一部が熱に変換され、液滴吐出ヘッドが加熱される。加圧手段が発生する熱量と、液滴吐出ヘッドが放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0084】
続いて、ダミー吐出停止工程において、液滴吐出ヘッドは、フラッシングユニットに機能液を吐出せずに、待機する。このとき、ヘッド駆動回路は、加圧手段がノズルから機能液が吐出しない程度に、キャビティ内の圧力を変動させる駆動信号を加圧手段に送信して制御する。
【0085】
液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに機能液を吐出せずに、待機するときに、加圧手段を動作しない場合には、液滴吐出ヘッドは、放熱して温度が下がる。液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットにて待機するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がっている場合には、ダミー吐出停止工程に続くダミー吐出工程において、加圧手段の動作により、液滴吐出ヘッドを所定の温度に加熱する必要がある。
【0086】
一方、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットに機能液を吐出せずに、待機するときに、機能液を吐出しない程度に加圧手段を動作する場合には、加圧手段による発熱に影響され、液滴吐出ヘッドの温度は下がり難くなる。従って、液滴吐出ヘッドが、フラッシングユニットにて待機するとき、液滴吐出ヘッドの温度が下がらず、加熱するために、液滴を吐出する必要がない。待機した後にフラッシングするときは、洗浄する目的のためだけにフラッシングを行えばよい。従って、生産性良く液滴吐出ヘッドを、所定の温度に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0087】
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(実施形態)
本実施形態では、本発明の特徴的な液滴吐出装置と、この液滴吐出装置を用いて液滴を吐出する場合の例について図1〜図11に従って説明する。
【0088】
(液滴吐出装置)
最初に、ワークに液滴を吐出して塗布する液滴吐出装置1について図1〜図5に従って説明する。液滴吐出装置に関しては様々な種類の装置があるが、インクジェット法を用いた装置が好ましい。インクジェット法は微小液滴の吐出が可能であるため、微細加工に適している。
【0089】
図1は、液滴吐出装置1の構成を示す概略斜視図である。液滴吐出装置1により、機能液が吐出され塗布される。
図1に示すように、液滴吐出装置1には、直方体形状に形成される基台2が備えられている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY方向とし、同Y方向と直交する方向をX方向とする。
【0090】
基台2の上面2aには、Y方向に延びる一対の案内レール3a,3bが同Y方向全幅にわたり凸設されている。その基台2の上側には、一対の案内レール3a,3bに対応する図示しない直動機構を備えた走査手段を構成するテーブル及びワーク移動テーブルとしてのステージ4が取付けられている。そのステージ4の直動機構は、例えば案内レール3a,3bに沿ってY方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するY軸モータ(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相対する駆動信号がY軸モータに入力されると、Y軸モータが正転又は逆転して、ステージ4が同ステップ数に相当する分だけ、Y軸方向に沿って所定の速度で往動又は、復動する(Y方向に走査する)ようになっている。
【0091】
さらに、基台2の上面2aには、案内レール3a,3bと平行に主走査位置検出装置5が配置され、ステージ4の位置が計測できるようになっている。
【0092】
そのステージ4の上面には、載置面6が形成され、その載置面6には、図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。そして、載置面6にワークとしての基板7を載置すると、基板チャック機構によって、その基板7が載置面6の所定位置に位置決め固定されるようになっている。
【0093】
基台2のX方向両側には、一対の支持台8a,8bが立設され、その一対の支持台8a,8bには、X方向に延びる案内部材9が架設されている。案内部材9は、その長手方向の幅がステージ4のX方向よりも長く形成され、その一端が支持台8a側に張り出すように配置されている。
【0094】
案内部材9の上側には、吐出する液体を供給可能に収容する収容タンク10が配設されている。一方、その案内部材9の下側には、X方向に延びる案内レール11がX方向全幅にわたり凸設されている。
【0095】
案内レール11に沿って移動可能に配置されるテーブルとしてのキャリッジ12は、略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ12の直動機構は、例えば案内レール11に沿ってX方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するX軸モータ(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をX軸モータに入力すると、X軸モータが正転又は逆転して、キャリッジ12が同ステップ数に相当する分だけX方向に沿って往動又は復動する(X方向に走査する)。案内部材9とキャリッジ12との間には、副走査位置検出装置13が配置され、キャリッジ12の位置が計測できるようになっている。そして、キャリッジ12の下面(ステージ4側の面)には、液滴吐出ヘッド14が凸設されている。
【0096】
基台2の片側の一方(図中X方向の逆方向)には、保守用基台15が配置されている。保守用基台15の上面15aには、Y方向に延びる一対の案内レール16a,16bが同Y方向全幅にわたり凸設されている。その保守用基台15の上側には、一対の案内レール16a,16bに対応する図示しない直動機構を備えた移動手段を構成する保守ステージ17が取付けられている。その保守ステージ17の直動機構は、例えばステージ4と同様の直動機構であり、Y方向に沿って往動又は、復動するようになっている。
【0097】
保守ステージ17の上には、フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20が、配置してある。フラッシングユニット18は、液滴吐出ヘッド14内の流路を洗浄するとき、液滴吐出ヘッド14から吐出する液滴を受ける装置である。液滴吐出ヘッド14内に固形物が混入した場合に、固形物を液滴吐出ヘッド14から排除するため、液滴吐出ヘッド14から液滴を吐出して洗浄する。この液滴を受ける機能をフラッシングユニット18が行う。本実施形態では、6個の受け皿が配置され、6個の液滴吐出ヘッド14からフラッシングユニット18に液滴を吐出できるようになっている。
【0098】
キャッピングユニット19は、液滴吐出ヘッド14に蓋をする装置である。液滴吐出ヘッド14から吐出する液滴は、揮発性を有する場合があり、液滴吐出ヘッド14に内在する機能液の溶媒がノズルから揮発すると、機能液の粘度が変わり、ノズルが目詰まりすることがある。キャッピングユニット19は、液滴吐出ヘッド14に蓋をすることで、ノズルが目詰まりすることを防止するようになっている。
【0099】
ワイピングユニット20は、液滴吐出ヘッド14のノズルが配置されているノズルプレートを拭く装置である。ノズルプレートは、液滴吐出ヘッド14において、基板7と対向する側の面に配置されている部材である。ノズルプレートに液滴が付着しているとき、ノズルプレートに付着している液滴と基板7とが接触して、基板7において、予定外の場所に液滴が付着してしまうことがある。ワイピングユニット20は、ノズルプレートを拭くことにより、基板7において、予定外の場所に液滴が付着してしまうことを防止している。
【0100】
保守ステージ17が、案内レール16a,16bに沿って移動することにより、液滴吐出ヘッド14と対向する場所に、フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20のいずれか一つの装置が配置されるようになっている。フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20、によりヘッドクリーニング部21を構成している。
【0101】
保守用基台15と基台2との間には、重量測定装置22が配置されている。重量測定装置22には、電子天秤が2台設置され、各電子天秤には、受け皿が配置されている。液滴が、液滴吐出ヘッド14から受け皿に吐出され、電子天秤が液滴の重量を測定するようになっている。受け皿は、スポンジ状の吸収体を備え、吐出される液滴が、跳ねて、受け皿の外に出ないようになっている。電子天秤は、液滴吐出ヘッド14が液滴を吐出する前後で、受け皿の重量を測定し、吐出前後の受け皿の重量の差分を測定している。
【0102】
キャリッジ12が、案内レール11に沿って、X方向に移動することにより、液滴吐出ヘッド14は、ヘッドクリーニング部21、重量測定装置22、基板7と対向する場所に移動し、液滴を吐出することができるようになっている。
【0103】
図2は、液滴吐出ヘッド14の構造を説明するための要部模式断面図である。
図2に示すように、液滴吐出ヘッド14は、ノズルプレート30を備え、ノズルプレート30には、ノズル31が形成されている。ノズルプレート30の上側であってノズル31と相対する位置には、ノズル31と連通するキャビティ32が形成されている。そして、液滴吐出ヘッド14のキャビティ32には、収容タンク10に貯留されている機能液33が供給される。
【0104】
キャビティ32の上側には、上下方向(Z方向)に振動して、キャビティ32内の容積を拡大縮小する振動板34と、上下方向に伸縮して振動板34を振動させる加圧手段としての圧電素子35が配設されている。圧電素子35が上下方向に伸縮して振動板34を振動し、振動板34がキャビティ32内の容積を拡大縮小してキャビティ32を加圧する。それにより、キャビティ32内の圧力が変動し、キャビティ32内に供給された機能液33は、ノズル31を通って吐出されるようになっている。
【0105】
そして、液滴吐出ヘッド14が圧電素子35を制御駆動するためのノズル駆動信号を受けると、圧電素子35が伸張して、振動板34がキャビティ32内の容積を縮小する。その結果、液滴吐出ヘッド14のノズル31からは、縮小した容積分の機能液33が微小液滴36として吐出される。
【0106】
図3は、液滴吐出装置1の電気制御ブロック図である。図3において、液滴吐出装置1はプロセッサとして各種の演算処理を行うCPU(演算処理装置)40と、各種情報を記憶するメモリ41とを有する。
【0107】
主走査駆動装置42、副走査駆動装置43、主走査位置検出装置5、副走査位置検出装置13、液滴吐出ヘッド14を駆動するヘッド駆動回路44は、入出力インターフェース45およびバス46を介してCPU40に接続されている。さらに、入力装置47、ディスプレイ48、図1に示す重量測定装置22を構成する電子天秤49、フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20も入出力インターフェース45およびバス46を介してCPU40に接続されている。同じく、ヘッドクリーニング部21において、1つのユニットを選択するクリーニング選択装置50も入出力インターフェース45およびバス46を介してCPU40に接続されている。
【0108】
主走査駆動装置42は、ステージ4の移動を制御する装置であり、副走査駆動装置43は、キャリッジ12の移動を制御する装置である。主走査位置検出装置5が、ステージ4の位置を認識し、主走査駆動装置42が、ステージ4の移動を制御することにより、ステージ4を所望の位置に移動及び停止することが可能になっている。同じく、副走査位置検出装置13が、キャリッジ12の位置を認識し、副走査駆動装置43が、キャリッジ12の移動を制御することにより、キャリッジ12を所望の位置に移動及び停止することが可能になっている。
【0109】
入力装置47は、液滴を吐出する各種加工条件を入力する装置であり、例えば、基板7に液滴を吐出する座標を図示しない外部装置から受信し、入力する装置である。ディスプレイ48は、加工条件や、作業状況を表示する装置であり、操作者は、ディスプレイ48に表示される情報を基に、入力装置47を用いて操作を行う。
【0110】
電子天秤49は、液滴吐出ヘッド14が吐出する液滴を受ける、受け皿の重量を測定する装置である。液滴が吐出される前後の受け皿の重量を測定して、測定値をCPU40に送信する。図1に示す重量測定装置22は、受け皿と電子天秤49などから構成される。
【0111】
クリーニング選択装置50は、ヘッドクリーニング部21であるフラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20から1つの装置を選択して、液滴吐出ヘッド14と対向する場所に移動する装置である。
【0112】
メモリ41は、RAM、ROM等といった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、液滴吐出装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト51を記憶する記憶領域や、基板7内における吐出位置の座標データである吐出位置データ52を記憶するための記憶領域が設定される。さらに、基板7を主走査方向(Y方向)へ移動する主走査移動量と、キャリッジ12を副走査方向(X方向)へ移動する副走査移動量とを記憶するための記憶領域や、CPU40のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
【0113】
CPU40は、メモリ41内に記憶されたプログラムソフト51に従って、基板7における表面の所定位置に機能液を液滴吐出するための制御を行うものである。具体的な機能実現部として、電子天秤49を用いた重量測定を実現するための演算を行う重量測定演算部53と、液滴吐出ヘッド14によって液滴を吐出するための演算を行う吐出演算部54を有する。
【0114】
吐出演算部54を詳しく分割すれば、液滴吐出ヘッド14を液滴吐出のための初期位置へセットするための吐出開始位置演算部55を有する。さらに、吐出演算部54は、基板7を主走査方向(Y方向)へ所定の速度で走査移動させるための制御を演算する主走査制御演算部56を有する。加えて、吐出演算部54は、液滴吐出ヘッド14を副走査方向(X方向)へ所定の副走査量で移動させるための制御を演算する副走査制御演算部57を有する。さらに、吐出演算部54は液滴吐出ヘッド14内の複数あるノズルのうちのいずれを作動させて機能液を吐出するかを制御するための演算を行うノズル吐出制御演算部58等といった各種の機能演算部を有する。
【0115】
図4は、液滴吐出ヘッド14を駆動する駆動波形を説明するための模式波形図である。
図4(a)は、液滴吐出ヘッド14が微小液滴36を吐出するときの駆動波形図であり、図4(b)は、液滴吐出ヘッド14が微小液滴36を吐出しないときの駆動波形図である。
図4(a)及び図4(b)において、図の横軸は時間60の経過を示し、縦軸は駆動電圧61の変化を示す。図4(a)は、液滴吐出ヘッド14から微小液滴36を連続吐出するときの吐出駆動波形62を3個分表示している。吐出駆動波形62は、略台形の波形形状をしており、吐出時の駆動電圧のピーク値である吐出電圧63は、所定の電圧に設定されている。また、吐出駆動波形62の間隔である吐出波形間隔64は、所定の間隔で略一定に形成されている。吐出電圧63及び、吐出波形間隔64は、圧電素子35や振動板34の動特性に合わせて設定する必要がある。従って、実際に吐出する予備試験を実施して、最適な吐出条件を導くことが望ましい。
【0116】
図4(b)は、液滴吐出ヘッド14から微小液滴36を吐出しないときの非吐出駆動波形65を3個分表示している。非吐出駆動波形65は、略台形の波形形状をしており、非吐出時の駆動電圧のピーク値である非吐出電圧66は、微小液滴36を吐出しない範囲で、圧電素子35を大きく振動させる方が良い。本実施形態において、例えば、非吐出電圧66は、吐出電圧63の約3分の1程度の電圧を採用している。また、非吐出駆動波形65の間隔である非吐出波形間隔67は、圧電素子35が振動する範囲で駆動して良い。非吐出波形間隔67は、本実施形態では、例えば、吐出波形間隔64と略同じ間隔で略一定に形成している。
【0117】
図5は、液滴吐出ヘッド14の温度変化を説明するための模式図である。図5において、図の横軸は時間60の経過を示し、縦軸は液滴吐出ヘッド温度68の変化を示す。実線は、液滴吐出ヘッド14から微小液滴36を吐出しないときに、圧電素子35を振動させない場合である非振動時温度変化線69である。破線は、液滴吐出ヘッド14から微小液滴36を吐出しないとき、圧電素子35を振動させて、ノズル31から機能液33が吐出しない程度に、キャビティ32内の圧力を変動させる場合の振動時温度変化線70である。
【0118】
横軸において、液滴吐出装置1が、ノズル31から機能液33を吐出しない非吐出時71と、ノズル31から機能液33を吐出する吐出時72を繰り返したとき、非振動時温度変化線69及び振動時温度変化線70は、液滴吐出ヘッド温度68が変化する様子を示している。
【0119】
非振動時温度変化線69において、液滴吐出ヘッド温度68が、非吐出時71に最低温度69aまで下がり、吐出時72に最高温度69bまで上昇する。最高温度69bと最低温度69aとの差は温度差69cとなる。同様に、振動時温度変化線70において、液滴吐出ヘッド温度68が、非吐出時71に最低温度70aまで下がり、吐出時72に最高温度70bまで上昇する。最高温度70bと最低温度70aとの差は温度差70cとなる。
【0120】
非振動時温度変化線69と振動時温度変化線70とを比較すると、最高温度69bと最高温度70bとは略同じ温度となる。一方、最低温度69aは、最高温度70bに比べて温度が下がる。非振動時温度変化線69においては、非吐出時71に圧電素子35を振動させないことから、液滴吐出ヘッド温度68が低下する。振動時温度変化線70においては、非吐出時71に圧電素子35を振動させていることから、圧電素子35の発熱による影響を受けて、液滴吐出ヘッド温度68が低下しにくくなっている。従って、温度差69cが、非振動時温度変化線69に比べて、振動時温度変化線70の方が、温度差70cが少なくなっている。
【0121】
(描画方法)
次に、上述した液滴吐出装置1を使って、基板7に描画する描画方法について図6〜図11にて説明する。図6は、基板7に描画する製造工程を示すフローチャートであり、図7〜図11は、液滴吐出装置1を使った描画方法を説明する図である。
【0122】
図6のフローチャートを用いて、基板への描画方法に相当する製造工程のステップを説明する。
図6において、ステップS1からステップS10まで、同一の液滴吐出装置1によって製造するステップである。ステップS1は、ダミー吐出工程に相当し、ノズルから機能液をフラッシングユニットに吐出する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、ダミー吐出停止工程に相当し、ノズルから機能液のフラッシングユニットへの吐出を停止する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、ダミー吐出工程に相当し、ステップS1と同様に、ノズル31から機能液をフラッシングユニットに吐出する工程である。ステップS1からステップS3を合わせてステップS21とする。ステップS21は、フラッシング工程である。
【0123】
次にステップS4に移行する。ステップS4は、第1ヘッド移動工程に相当し、液滴吐出ヘッドをフラッシングユニットと対向する場所から基板と対向する場所に移動する工程である。次にステップS5に移行する。
【0124】
ステップS5は、吐出工程に相当し、ノズルから機能液を基板に吐出する工程である。次にステップS6に移行する。ステップS6は、予定した領域総てに機能液を塗布したかを判断する工程に相当し、CPUが、機能液を塗布する予定の領域と、既に塗布した領域とを比較して、塗布する予定で、まだ塗布していない領域があるかを判断する工程である。塗布していない領域があるとき(NOのとき)、ステップS7に移行する。ステップS7は、吐出場所移動工程に相当し、機能液を吐出せずに、基板と液滴吐出ヘッドとを相対移動する。基板において、機能液を塗布する場所と対向する場所に液滴吐出ヘッドを移動する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS6において、塗布していない領域がないとき(YESのとき)、ステップS8に移行する。ステップS5からステップS7を合わせてステップS22とする。ステップS22は、描画工程である。
【0125】
ステップS8は、第2ヘッド移動工程に相当し、液滴吐出ヘッドを基板と対向する場所からフラッシングユニットと対向する場所に移動する工程である。次にステップS9に移行する。
【0126】
ステップS9は、ダミー吐出工程に相当し、ステップS1と同様に、ノズルから機能液をフラッシングユニットに吐出する工程である。次にステップS10に移行する。ステップS10は、ダミー吐出停止工程に相当し、ステップS2と同様に、ノズルから機能液のフラッシングユニットへの吐出を停止する工程である。ステップS9及びステップS10を合わせてステップS23とする。ステップS23は、フラッシング工程である。以上の工程により、基板に描画する製造工程を終了する。
【0127】
次に、図7〜図11を用いて、図6に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。
図7(a)は、ステップS1に対応する図である。図7(a)に示すように、ステージ4の載置面6に基板7が配置され、ステージ4は初期位置に移動されている。
【0128】
液滴吐出ヘッド14は、キャリッジ12に搭載され、X方向に移動可能となっており、液滴吐出ヘッド14は、ヘッドクリーニング部21と対向する場所に移動している。ヘッドクリーニング部21は、液滴吐出ヘッド14と対向する場所にフラッシングユニット18を移動する。つまり、液滴吐出ヘッド14とフラッシングユニット18とが対向し合う場所に位置している。
【0129】
図3に示すヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に吐出駆動波形62の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33の微小液滴36をノズル31からフラッシングユニット18に吐出する。液滴吐出ヘッド14は、図2に示す圧電素子35が振動して温度が上昇する。
【0130】
図7(b)は、ステップS2に対応する図である。図7(b)に示すように、液滴吐出ヘッド14は、フラッシングユニット18と対向する場所にて、機能液33を吐出せずに待機する。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33の吐出を停止する。ただし、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0131】
ステップS3は、図7(a)に示すステップS1と同様であり、詳細な説明を省略する。ステップS1で機能液33を吐出し、ステップS2で吐出を停止し、ステップS3で再度吐出する。このとき、ステップS2で液滴吐出ヘッド14の温度が下降しにくくなっていることから、ステップS3において、液滴吐出ヘッド14の温度は、短時間で上昇する。
【0132】
図8(a)及び図8(b)は、ステップS4に対応する図である。図8(a)に示すように、液滴吐出ヘッド14は、キャリッジ12に搭載され、キャリッジ12は、X方向に移動可能となっている。液滴吐出ヘッド14は、フラッシングユニット18と対向する場所から基板7と対向する場所へ移動する。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33を吐出せずに移動する。ただし、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0133】
図8(b)は、キャリッジ12が移動して液滴吐出ヘッド14が基板7と対向する場所に移動した図である。図8(b)に示すように、液滴吐出ヘッド14が目的とする場所に移動して、キャリッジ12が停止しているとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33を吐出せずに待機する。ただし、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0134】
図9(a)〜図9(c)は、ステップS5に対応する図である。図9(a)に示すように、液滴吐出ヘッド14は、基板7と対向する場所において、吐出開始するまでの間、待機している。ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33を吐出せずに待機する。ただし、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0135】
図9(b)に示すように、液滴吐出ヘッド14のノズル31から機能液33の微小液滴36を基板7に吐出する。液滴吐出装置1は、ノズル31から微小液滴36を吐出しつつ、基板7をY方向に移動することにより描画する。基板7には、機能液33が塗布され、描画される。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に吐出駆動波形62の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33の微小液滴36をノズル31からフラッシングユニット18に吐出する。液滴吐出ヘッド14は、圧電素子35が振動して温度が上昇する。
【0136】
図9(c)に示すように、ステージ4が移動して、液滴吐出ヘッド14が基板7に吐出する領域から外れるとき、液滴吐出ヘッド14は、ノズル31から機能液33の吐出を停止する。つまり、吐出と吐出停止を反復する間歇吐出を行うことになる。液滴吐出ヘッド14が吐出を停止するとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33を吐出しない状態となる。ただし、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0137】
図3に示すように、ステップS6では、CPU40は、吐出位置データ52において、吐出していない場所を検索して、吐出していない場所の有無を判断する。吐出していない場所があるとき、ステップS7に移行し、次に、基板7に機能液33を塗布する場所と対向する場所へ液滴吐出ヘッド14が来るように、ステージ4とキャリッジ12を移動する。
【0138】
図10(a)及び図10(b)は、ステップS7に対応する図である。図10(a)に示すように、液滴吐出ヘッド14が、ノズル31から機能液33の吐出を停止した状態で、ステージ4を移動する。基板7において、液滴吐出ヘッド14が機能液33を吐出する予定の場所と、対向する場所に、液滴吐出装置1は液滴吐出ヘッド14を移動する。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33を吐出しない。ただし、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0139】
図10(b)に示すように、基板7において、液滴吐出ヘッド14が、ノズル31から機能液33の吐出する予定の場所と対向する場所に、液滴吐出ヘッド14が移動して、到着し、ステージ4は停止する。続いて、液滴吐出ヘッド14は、機能液33を吐出するまでの間、待機する。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33を吐出しない。ただし、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0140】
図11(a)及び図11(b)は、ステップS8に対応する図である。図11(a)に示すように、基板7への描画が終了したとき、液滴吐出ヘッド14は、移動を開始するまでの間、待機する。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33を吐出しない。ただし、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0141】
図11(b)に示すように、液滴吐出装置1は、キャリッジ12を移動して、液滴吐出ヘッド14を基板7と対向する場所からフラッシングユニット18と対向する場所に移動させる。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33を吐出しない。従って、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0142】
図7(a)は、ステップS9に対応する図である。図7(a)に示すように、液滴吐出ヘッド14が基板7と対向する場所からフラッシングユニット18と対向する場所に移動した後、ノズル31から機能液33をフラッシングユニット18に吐出する。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に吐出駆動波形62の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33の微小液滴36をノズル31からフラッシングユニット18に吐出する。液滴吐出ヘッド14は、圧電素子35が振動して温度が上昇する。
【0143】
図7(b)は、ステップS10に対応する図である。図7(b)に示すように、液滴吐出ヘッド14は、フラッシングユニット18と対向する場所にて、機能液33を吐出せずに待機する。このとき、ヘッド駆動回路44は、液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を出力する。液滴吐出ヘッド14は、駆動信号を受けて機能液33の吐出を停止する。ただし、液滴吐出ヘッド14は、機能液33が吐出しない程度に圧電素子35が振動しているため、温度が下降しにくくなっている。
【0144】
以上の工程により、液滴吐出ヘッド14はステップS21のフラッシング工程、ステップS4の第1ヘッド移動工程、ステップS22の描画工程、ステップS8の第2ヘッド移動工程、ステップS23のフラッシング工程を行い、基板7への描画が終了する。
【0145】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、液滴吐出装置1は、キャビティ32と、キャビティ32と連通するノズル31とを備えている。また、液滴吐出装置1は、キャビティ32を加圧する圧電素子35を備え、キャビティ32を加圧してノズル31から機能液33を吐出する。液滴吐出装置1は、ステージ4及びキャリッジ12を備え、液滴吐出ヘッド14と基板7とを相対移動することにより、基板7の所望の場所に機能液33を吐出して塗布する。
【0146】
液滴吐出装置1は、フラッシングユニット18を備え、ノズル31からフラッシングユニット18に機能液33を吐出する。液滴吐出装置1は、機能液33を吐出することにより、液滴吐出ヘッド14内の機能液33を入れ替えている。さらに、液滴吐出ヘッド14内の流路に固形物が存在するとき、液滴吐出ヘッド14は、機能液33と一緒に固形物を吐出することにより、流路を洗浄する。
【0147】
機能液33は、液の温度が変わると粘性が変わる為、液滴吐出ヘッド14内で、機能液33に圧力が加わり、ノズル31等の流路を通過するとき、流体抵抗が変化して、ノズル31から吐出される機能液33の吐出量が変化する。従って、温度変化が少ない状態にて吐出する方が、温度変化が大きい場合に比べて、吐出量を精度良く吐出することができる。
【0148】
ステップS21のフラッシング工程において、液滴吐出ヘッド14がフラッシングユニット18に吐出するとき、液滴吐出ヘッド14は、圧電素子35がキャビティ32を加圧するエネルギの一部が熱に変換し、液滴吐出ヘッド14が加熱される。圧電素子35が発生する熱量と、液滴吐出ヘッド14が放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0149】
ステップS4の第1ヘッド移動工程において、液滴吐出ヘッド14をフラッシングユニット18から基板7と対向する場所に移動するとき、圧電素子35を動作しない場合には、液滴吐出ヘッド14は、放熱して温度が下がる。一方、本実施形態では、ヘッド駆動回路44が液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を送信して、液滴吐出ヘッド14が、機能液33を吐出しない程度に圧電素子35を動作している。このとき、圧電素子35による発熱に影響され、液滴吐出ヘッド14の温度は下がり難くなる。その結果、液滴吐出ヘッド14がフラッシングユニット18から基板7に移動するとき、圧電素子35を動作する方が、液滴吐出ヘッド14の温度変動が少ない為、吐出量を精度良く制御することができる。
【0150】
(2)本実施形態によれば、ステップS7の吐出場所移動工程において、液滴吐出ヘッド14が、基板7に機能液33を吐出した後、吐出を一旦停止して、基板7に機能液33を吐出する別の場所に移動するときに、機能液33の吐出と吐出の停止を繰り返す間歇吐出を行うことがある。同じく、基板7に機能液33を吐出した後、機能液33を吐出せずに待機するときなど、機能液33の吐出と吐出の停止を繰り返す間歇吐出を行うことがある。吐出を停止しているときに、圧電素子35を動作しない場合には、液滴吐出ヘッド14が放熱して温度が下がる。
【0151】
一方、本実施形態では、ヘッド駆動回路44が液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を送信して、液滴吐出ヘッド14が、機能液33を吐出しない程度に圧電素子35を動作している。このとき、圧電素子35による発熱に影響され、液滴吐出ヘッド14の温度が下がり難くなる。その結果、液滴吐出ヘッド14が基板7に吐出する場所から別の吐出する場所に移動するとき、圧電素子35を動作する方が、液滴吐出ヘッド14の温度変動が少ない為、吐出量を精度良く制御することができる。
【0152】
(3)本実施形態によれば、ステップS8の第2ヘッド移動工程において、液滴吐出ヘッド14を基板7と対向する場所からフラッシングユニット18と対向する場所に移動するときに、圧電素子35を動作しない場合には、液滴吐出ヘッド14は、放熱して温度が下がる。そして、液滴吐出ヘッド14が、フラッシングユニット18に到達するとき、液滴吐出ヘッド14の温度が下がっている場合には、圧電素子35を動作する等により、液滴吐出ヘッド14を所定の温度に加熱する必要がある。
【0153】
一方、液滴吐出ヘッド14を基板7と対向する場所からフラッシングユニット18と対向する場所に移動するとき、本実施形態では、ヘッド駆動回路44が液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を送信して、液滴吐出ヘッド14が、機能液33を吐出しない程度に圧電素子35を動作している。このとき、圧電素子35による発熱に影響され、液滴吐出ヘッド14の温度は下がり難くなる。従って、フラッシングユニット18に到達するとき、液滴吐出ヘッド14の温度が下がらず、加熱するために、液滴を吐出する必要がない。到達した後にフラッシングするときは、洗浄する目的のためだけにフラッシングを行えばよい。従って、生産性良く液滴吐出ヘッド14を、所定の温度に保持することができる。
【0154】
(4)本実施形態によれば、ステップS9のダミー吐出工程において、液滴吐出ヘッド14がフラッシングユニット18に吐出するとき、液滴吐出ヘッド14は、圧電素子35がキャビティ32を加圧するエネルギの一部が熱に変換し、液滴吐出ヘッド14が加熱される。圧電素子35が発生する熱量と、液滴吐出ヘッド14が放熱する熱量との平衡がとれる温度で安定する。
【0155】
ダミー吐出停止工程において、液滴吐出ヘッド14が、フラッシングユニット18に機能液33を吐出せずに、待機するときに、圧電素子35を動作しない場合には、液滴吐出ヘッド14は、放熱して温度が下がる。液滴吐出ヘッド14が、フラッシングユニット18にて待機するとき、液滴吐出ヘッド14の温度が下がっている場合には、圧電素子35を動作する等により、液滴吐出ヘッド14を所定の温度に加熱する必要がある。
【0156】
一方、液滴吐出ヘッド14が、フラッシングユニット18に機能液33を吐出せずに、待機するときに、本実施形態では、ヘッド駆動回路44が液滴吐出ヘッド14に非吐出駆動波形65の駆動信号を送信して、液滴吐出ヘッド14が、機能液33を吐出しない程度に圧電素子35を動作している。このとき、圧電素子35による発熱に影響され、液滴吐出ヘッド14の温度は下がり難くなる。従って、液滴吐出ヘッド14が、フラッシングユニット18にて待機するとき、液滴吐出ヘッド14の温度が下がらず、加熱するために、微小液滴36を吐出する必要がない。待機した後にフラッシングするときは、洗浄する目的のためだけにフラッシングを行えばよい。従って、生産性良く液滴吐出ヘッド14を、所定の温度に保持することができる。
【0157】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良などを加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記実施形態では、キャビティ32を加圧する加圧手段に、圧電素子35を用いたが、他の方法でも良い。例えば、コイルと磁石とを用いて、加圧しても良い。他に、キャビティ32内にヒータ配線を配置して、機能液33に含む気体を膨張して加圧しても良い。いずれの場合にも、機能液33を吐出しないとき、機能液33を吐出しない程度に加圧手段を動作することにより、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図。
【図3】液滴吐出装置の電気制御ブロック図。
【図4】液滴吐出ヘッドを駆動する駆動波形を説明するための模式波形図。
【図5】液滴吐出ヘッドの温度変化を説明するための模式図。
【図6】基板に描画する製造工程を示すフローチャート。
【図7】描画方法を説明する図。
【図8】描画方法を説明する図。
【図9】描画方法を説明する図。
【図10】描画方法を説明する図。
【図11】描画方法を説明する図。
【符号の説明】
【0159】
1…液滴吐出装置、4…テーブルとしてのステージ、7…ワークとしての基板、12…テーブルとしてのキャリッジ、14…液滴吐出ヘッド、18…フラッシングユニット、31…ノズル、32…キャビティ、33…機能液、35…加圧手段としての圧電素子、44…ヘッド駆動回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドと前記ワークとを相対移動するテーブルと、
前記ノズルから吐出される前記機能液を受けるフラッシングユニットとを備え、
前記液滴吐出ヘッドは、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記液滴吐出ヘッドが、前記フラッシングユニットと対向する場所から、前記ワークと対向する場所に移動する間、前記加圧手段は、前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドと前記ワークとを相対移動するテーブルを備え、
前記液滴吐出ヘッドは、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記液滴吐出ヘッドが、前記ワークに前記機能液を間歇吐出する場合で、前記液滴吐出ヘッドが、前記ワークに前記機能液を吐出しないとき、前記加圧手段は、前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドと前記ワークとを相対移動するテーブルと、
前記ノズルから吐出される前記機能液を受けるフラッシングユニットとを備え、
前記液滴吐出ヘッドは、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記液滴吐出ヘッドが、前記ワークと対向する場所から、前記フラッシングユニットと対向する場所に移動する間、前記加圧手段は、前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドと前記ワークとを相対移動するテーブルと、
前記ノズルから吐出される前記機能液を受けるフラッシングユニットとを備え、
前記液滴吐出ヘッドは、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記液滴吐出ヘッドが、前記フラッシングユニットに前記機能液を吐出し、吐出を停止し、再度吐出する場合に、前記液滴吐出ヘッドが、前記フラッシングユニットに前記機能液を吐出しないとき、前記加圧手段は、前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画方法であって、
前記ノズルから前記機能液をフラッシングユニットに吐出するフラッシング工程と、
前記液滴吐出ヘッドを前記フラッシングユニットと対向する場所から前記ワークと対向する場所に移動させる第1ヘッド移動工程と、
前記ノズルから前記機能液を前記ワークに吐出して描画する描画工程とを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記第1ヘッド移動工程において、前記加圧手段は、前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする描画方法。
【請求項6】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画方法であって、
前記ノズルから前記機能液を前記ワークに吐出する吐出工程と、
前記機能液を吐出せずに、前記ワークと前記液滴吐出ヘッドとを相対移動する吐出場所移動工程とを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記吐出場所移動工程において、前記加圧手段は、前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする描画方法。
【請求項7】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画方法であって、
前記ノズルから前記機能液を前記ワークに吐出して描画する描画工程と、
前記ノズルから前記機能液をフラッシングユニットに吐出するフラッシング工程と、
描画工程とフラッシング工程との間において、
前記液滴吐出ヘッドを前記ワークと対向する場所から前記フラッシングユニットと対向する場所に移動させる第2ヘッド移動工程とを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記第2ヘッド移動工程において、前記加圧手段は、前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする描画方法。
【請求項8】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出して描画する描画方法であって、
前記ノズルから前記機能液をフラッシングユニットに吐出するダミー吐出工程と、
前記ノズルから前記機能液のフラッシングユニットへの吐出を停止するダミー吐出停止工程とを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記ダミー吐出工程、前記ダミー吐出停止工程、前記ダミー吐出工程の順に行うとき、
前記ダミー吐出停止工程において、前記加圧手段は、前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させることを特徴とする描画方法。
【請求項9】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出ヘッドの制御方法であって、
前記ノズルから前記機能液をフラッシングユニットに吐出するフラッシング工程と、
前記液滴吐出ヘッドを前記フラッシングユニットと対向する場所から前記ワークと対向する場所に移動させる第1ヘッド移動工程と、
前記ノズルから前記機能液を前記ワークに吐出して描画する描画工程とを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記第1ヘッド移動工程において、前記ヘッド駆動回路は、前記加圧手段が前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させる前記駆動信号を前記加圧手段に送信して制御することを特徴とする液滴吐出ヘッドの制御方法。
【請求項10】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出ヘッドの制御方法であって、
前記ノズルから前記機能液を前記ワークに吐出する吐出工程と、
前記機能液を吐出せずに、前記ワークと前記液滴吐出ヘッドとを相対移動する吐出場所移動工程とを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記吐出場所移動工程において、前記ヘッド駆動回路は、前記加圧手段が前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させる前記駆動信号を前記加圧手段に送信して制御することを特徴とする液滴吐出ヘッドの制御方法。
【請求項11】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出ヘッドの制御方法であって、
前記ノズルから前記機能液を前記ワークに吐出して描画する描画工程と、
前記ノズルから前記機能液をフラッシングユニットに吐出するフラッシング工程と、
描画工程とフラッシング工程との間において、
前記液滴吐出ヘッドを前記ワークと対向する場所から前記フラッシングユニットと対向する場所に移動させる第2ヘッド移動工程とを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記第2ヘッド移動工程において、前記ヘッド駆動回路は、前記加圧手段が前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させる前記駆動信号を前記加圧手段に送信して制御することを特徴とする液滴吐出ヘッドの制御方法。
【請求項12】
液滴吐出ヘッドのキャビティを加圧して、前記キャビティと連通するノズルから機能液をワークに吐出する液滴吐出ヘッドの制御方法であって、
前記ノズルから前記機能液をフラッシングユニットに吐出するダミー吐出工程と、
前記ノズルから前記機能液をフラッシングユニットへの吐出を停止するダミー吐出停止工程とを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、ヘッド駆動回路の駆動信号を受けて、前記キャビティを加圧する加圧手段を備え、
前記ダミー吐出工程、前記ダミー吐出停止工程、前記ダミー吐出工程の順に行うとき、
前記ダミー吐出停止工程において、前記ヘッド駆動回路は、前記加圧手段が前記ノズルから前記機能液が吐出しない程度に、前記キャビティ内の圧力を変動させる前記駆動信号を前記加圧手段に送信して制御することを特徴とする液滴吐出ヘッドの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−114105(P2008−114105A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297455(P2006−297455)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】