説明

減衰力可変ダンパの制御装置

【課題】 ダンパの微少ストローク時においても適正な減衰力を安定して発生させることができる減衰力可変ダンパの制御装置を提供する。
【解決手段】 ダンパ4のストローク速度Ssの絶対値が所定の判定閾値Ssth以下で、ステップS5の判定がNoとなった場合、ダンパ制御装置50は、ステップS11で目標減衰力を設定し、ステップS12で目標減衰力の方向とダンパ4のストローク方向とが同一であるとみなした上で、ステップS8で目標減衰力とダンパ4のストローク速度とに基づき駆動電流マップから目標電流Itgtを検索し、ステップS9で各ダンパ4のMLVコイル40に駆動電流を出力する。例えば、目標減衰力の方向が伸び側であった場合、ストローク方向が伸び側の場合はもちろんであるが、ストローク方向が縮み側であっても、ストローク方向が伸び側の場合と同一の目標電流Itgtを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減衰力可変ダンパの制御装置に係り、詳しくはダンパの微少ストローク時においても適正な減衰力を安定して発生させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用サスペンションを構成する筒型ダンパとして、操縦安定性と乗り心地とを高い次元で両立させるべく、自動車の運動状態に応じて減衰力を可変制御する減衰力可変型のものが種々開発されている。減衰力可変ダンパとしては、オリフィス面積を変化させるロータリバルブをピストンに設け、このロータリバルブをアクチュエータによって回転駆動する機械式のものが主流であったが、構成の簡素化や応答性の向上等を実現すべく、作動油に磁気粘性流体(Magneto-Rheological Fluid:以下、MRFと記す)を用い、ピストンに設けられた磁気流体バルブ(Magnetizable Liquid Valve:以下、MLVと記す)によってMRFの粘度を制御するもの(以下、MRF式減衰力可ダンパと記す)が出現している(特許文献1参照)。
【0003】
MRF式減衰力可ダンパの制御にあたっては、ダンパ制御装置が、車体の横加速度や前後加速度等に基づき各車輪ごとに目標減衰力を設定し、この目標減衰力とダンパのストローク速度とからMLVに供給する駆動電流の目標値(目標電流)を設定するようにしている。一般に、車両の走行時には、横加速度センサや前後加速度センサの出力に微少なノイズが混入し、このノイズによって目標減衰力の設定値が過大あるいは過小となることが避けられない。そして、定速直進走行時等には、横加速度や前後加速度の絶対量が小さいためにノイズの影響が大きくなり、適正な目標減衰力(すなわち、目標電流)が得られなくなって乗り心地や操縦安定性が低下する虞がある。そこで、特許文献1では、ストローク速度が0の近傍において、目標減衰力に対する目標電流を小さく設定することにより、減衰力の増減を緩和する方法を提案している。
【特許文献1】特開2006−273223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の方法を採用しても、車輪が上下に微振動する高速走行時等には、ダンパのストローク方向が伸び側と縮み側との間でごく短い周期で変化するため、MLVの駆動電流がハンチングして安定した減衰力が得られなくなる問題があった。これは、ダンパ制御装置で設定された目標減衰力の方向とダンパのストローク方向とが異なった場合、目標減衰力の方向と逆の方向に減衰力を発生させられないことから、MLVに供給する駆動電流が0となることによる。すなわち、目標減衰力から設定される目標電流の値が比較的大きい場合、ストローク方向が伸び側と縮み側との間で変化すると、図24に示すように目標電流がその値と0との間でハンチングしてしまい、適正な減衰力が得られなくなってしまうのである。また、このハンチングは、MLVに駆動電流を出力するドライバ等にも大きな負担を与えることになるため、ダンパ制御装置の耐久性の面からも好ましくなかった。
【0005】
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、ダンパの微少ストローク時においても適正な減衰力を安定して発生させることができる減衰力可変ダンパの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、車体の懸架に供される減衰力可変ダンパの減衰力を制御する制御装置であって、前記車体の運動状態に基づき、伸び側または縮み側に目標減衰力を設定する目標減衰力設定手段と、前記目標減衰力設定手段の設定結果と前記減衰力可変式ダンパのストローク速度とに基づき、前記減衰力可変式ダンパの制御量を設定する制御量設定手段とを備え、前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記目標減衰力の方向と前記減衰力可変ダンパのストローク方向とが同一とみなすことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置において、前記目標減衰力設定手段が複数存在し、前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力と、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力とからその絶対値が大きい方に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置において、前記目標減衰力設定手段が複数存在し、前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力と、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力とからその絶対値が小さい方に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置において、前記目標減衰力設定手段が複数存在し、前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値と、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値との平均値に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置において、前記目標減衰力設定手段が複数存在し、前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲に縮み側から移行した場合、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値に基づいて前記制御量を設定し、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲に伸び側から移行した場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置において、前記目標減衰力設定手段が複数存在し、前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲に縮み側から移行した場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値に基づいて前記制御量を設定し、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲に伸び側から移行した場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載された減衰力可変ダンパの制御装置において、前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記目標減衰力に対する制御量を小さく設定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項8の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載された減衰力可変ダンパの制御装置において、前記減衰力可変ダンパの振動周波数を検出する振動周波数検出手段を更に備え、前記制御量設定手段は、前記振動周波数検出手段の検出結果が前記車体の共振周波数を超えた場合、前記判定範囲を狭くするとともに、当該判定範囲内での前記目標減衰力に対する制御量を小さく設定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項9の発明は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された減衰力可変ダンパの制御装置において、前記車体のロール動とピッチ動との少なくとも一方を予測する車体挙動変化予測手段を更に備え、前記制御量設定手段は、前記車体挙動変化予測手段によって前記車体のロール動とピッチ動との少なくとも一方が予測された場合、前記判定範囲を広くするとともに、当該判定範囲内での前記目標減衰力に対する制御量を大きくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、高速走行時等に車輪が上下に微振動してダンパのストローク方向がごく短い周期で変化しても、制御量のハンチングが起こらないようになり、適正な減衰力を安定して発生させることができる。また、請求項2の発明によれば、ダンパが微少にストロークする状態では、目標減衰力の値が比較的高く設定されて車両の姿勢変化が抑制される。また、請求項3の発明によれば、ダンパが微少にストロークする状態では、目標減衰力の値が比較的低く設定されて乗り心地が向上する。また、請求項4の発明によれば、ダンパが微少にストロークする状態では、目標減衰力の値が均されて車両の姿勢変化の抑制と乗り心地の向上とが両立する。また、請求項5の発明によれば、ストローク速度の符号変化が見込まれる状況においては、目標減衰力の符号を早く変化させることが可能となり、駆動電流の立ち上がり遅れ等に起因する制御応答性の低下が抑制される。また、請求項6の発明によれば、車体の運動状態を検出するセンサにノイズが混入しても、そのノイズが乗り心地や操縦安定性に及ぼす影響を抑制することができる。また、請求項7の発明によれば、例えば、ストローク速度が0の近傍において、目標減衰力に対する制御量が比較的小さく設定され、目標減衰力に含まれるノイズに対する制御量を抑えることができるために乗り心地が向上する。また、請求項8の発明によれば、ストローク速度の符号が変化した直後における減衰力のオーバシュートやアンダシュートが効果的に抑制される。また、請求項9の発明によれば、車体が実際にロール動やピッチ動を起こす前にダンパの減衰力が増大することになり、車体の挙動変化が効果的に抑制されるようになるとともに、操舵や加減速に対して速やかに横加速度や前後加速度を発生させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を4輪乗用車に適用したいくつかの実施形態を詳細に説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る4輪自動車の概略構成図であり、図2は第1実施形態に係るダンパの縦断面図であり、図3は第1実施形態に係るダンパ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
≪実施形態の構成≫
<自動車の概略構成>
先ず、図1を参照して、実施形態に係る自動車の概略構成について説明する。説明にあたり、4本の車輪やそれらに対して配置された部材、すなわち、タイヤやサスペンション等については、それぞれ数字の符号に前後左右を示す添字を付して、例えば、車輪3fl(左前)、車輪3fr(右前)、車輪3rl(左後)、車輪3rr(右後)と記すとともに、総称する場合には、例えば、車輪3と記す。
【0019】
図1に示すように、自動車(車両)Vはタイヤ2が装着された4つの車輪3を備えており、これら各車輪3がサスペンションアームや、スプリング、MRF式減衰力可ダンパ(以下、単にダンパと記す)4等からなるサスペンション5によって車体1に懸架されている。自動車Vには、サスペンションシステムの制御主体であるECU(Electronic Control Unit)7や、EPS(Electric Power Steering:電動パワーステアリング)8が設置されている。また、自動車Vには、横加速度を検出する横Gセンサ10、前後加速度を検出する前後Gセンサ11等が車体1の適所に配置される他、ダンパ4の変位を検出するストロークセンサ12と、ホイールハウス付近の上下加速度を検出する上下Gセンサ13とが各車輪3ごとに備えられている。
【0020】
ECU7は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバ等から構成されており、通信回線(本実施形態では、CAN(Controller Area Network))を介して各車輪のダンパ4や各センサ10〜13と接続されている。
【0021】
<ダンパの構造>
図2に示すように、本実施形態のダンパ4は、モノチューブ式(ド・カルボン式)であり、MRFが充填された円筒状のシリンダチューブ21と、このシリンダチューブ21に対して軸方向に摺動するピストンロッド22と、ピストンロッド22の先端に装着されてシリンダチューブ21内を上部油室24と下部油室25とに区画するピストン26と、シリンダチューブ21の下部に高圧ガス室27を画成するフリーピストン28と、ピストンロッド22等への塵埃の付着を防ぐカバー29と、フルバウンド時における緩衝を行うバンプストップ30とを主要構成要素としている。
【0022】
シリンダチューブ21は、下端のアイピース21aに嵌挿されたボルト31を介して、車輪側部材であるトレーリングアーム35の上面に連結されている。また、ピストンロッド22は、上下一対のブッシュ36とナット37とを介して、その上端のスタッド22aが車体側部材であるダンパベース(ホイールハウス上部)38に連結されている。
【0023】
図3に示すように、ピストン26には、上部油室24と下部油室25とを連通する環状連通路39と、環状連通路39の内側に配設されたMLVコイル40とが設けられている。ECU7からMLVコイル40に電流が供給されると、環状連通路39を流通するMRFに磁界が印可されて強磁性微粒子が鎖状のクラスタを形成し、環状連通路39内を通過するMRFの見かけ上の粘度が上昇する。
【0024】
<ダンパ制御装置の概略構成>
ECU7には、図3にその概略構成を示すダンパ制御装置50が内装されている。ダンパ制御装置50は、上述した各センサ10〜13等が接続する入力インタフェース51と、センサ10,11,13等から入力した検出信号に基づき各ダンパ4の目標減衰力を設定する減衰力設定部52と、ストロークセンサ12の検出結果に基づいて減衰力設定部52から入力した3つの目標減衰力のうち1つを選択する目標減衰力選択部53と、目標減衰力選択部53で選択された目標減衰力とストロークセンサ12の検出結果とに応じて各ダンパ4(MLVコイル40)への駆動電流を生成する駆動電流生成部54と、駆動電流生成部54が生成した駆動電流を各ダンパ4に出力する出力インタフェース55とから構成されている。なお、減衰力設定部52には、スカイフック制御に供されるスカイフック制御部(目標減衰力設定手段)56や、ロール制御に供されるロール制御部(目標減衰力設定手段)57、ピッチ制御に供されるピッチ制御部(目標減衰力設定手段)58等が収容されている。
【0025】
≪第1実施形態の作用≫
自動車が走行を開始すると、ダンパ制御装置50は、所定の処理インターバル(例えば、10ms)をもって、図4のフローチャートにその手順を示す減衰力制御を実行する。減衰力制御を開始すると、ダンパ制御装置50は、図4のステップS1で、横Gセンサ10、前後Gセンサ11、および上下Gセンサ13から得られた車体1の加速度や、車速センサ(図示せず)から入力した車体速度、操舵角センサ(図示せず)から入力した操舵速度等に基づき自動車Vの運動状態を判定する。次に、ダンパ制御装置50は、自動車Vの運動状態に基づき、ステップS2で各ダンパ4のスカイフック制御目標値Dshを算出し、ステップS3で各ダンパ4のロール制御目標値Drを算出し、ステップS4で各ダンパ4のピッチ制御目標値Dpを算出する。
【0026】
次に、ダンパ制御装置50は、ステップS5で各ダンパ4のストローク速度Ssの絶対値が所定の判定閾値Ssthを超えているか否か(ストローク速度Ssが0を含む判定範囲内にないか否か)をそれぞれ判定する。そして、ステップS5の判定がYesであった場合、ダンパ制御装置50は、ステップS6でストローク速度Ssが正の値であるか否かを判定し、この判定がYesであった場合(すなわち、ダンパ4が伸び側に作動している場合)、ステップS7で3つの制御目標値Dsh,Dr,Dpのうち値が最も大きいもの(最大値)を目標減衰力Dtgtに設定する。なお、この際に最大値が負の値であった場合、ダンパ制御装置50は、目標減衰力Dtgtを0に設定する。しかる後、ダンパ制御装置50は、ステップS8で図5の駆動電流マップから目標電流Itgtを検索した後、ステップS9で各ダンパ4のMLVコイル40に駆動電流を出力する。
【0027】
また、ダンパ制御装置50は、ステップS6の判定がNoであった場合(すなわち、ダンパ4が縮み側に作動している場合)、ステップS10で3つの制御目標値Dsh,Dr,Dpのうち値が最も小さいもの(最小値)を目標減衰力Dtgtに設定する。なお、この際に最小値が正の値であった場合、ダンパ制御装置50は、目標減衰力Dtgtを0に設定する。しかる後、ダンパ制御装置50は、ステップS8で図5の駆動電流マップから目標電流Itgtを検索した後、ステップS9で各ダンパ4のMLVコイル40に駆動電流を出力する。
【0028】
一方、各ダンパ4のストローク速度Ssの絶対値が所定の判定閾値Ssth以下で(すなわち、ストローク速度Ssが0を含む判定範囲内にあり)、ステップS5の判定がNoとなった場合、ダンパ制御装置50は、ステップS11で図6のフローチャートにその手順を示す目標減衰力設定処理を実行する。ダンパ制御装置50は、目標減衰力設定処理を開始すると、図6のステップS21で3つの制御目標値Dsh,Dr,Dpの絶対値|Dsh|,|Dr|,|Dp|をそれぞれ算出した後、ステップS22で、図7に示すように、ストローク速度が伸び側にある場合に選択される制御目標値(以下、伸び側目標値と記す:本実施形態ではスカイフック制御目標値Dsh)と、ストローク速度が縮み側にある場合に選択される制御目標値(以下、縮み側目標値と記す:本実施形態ではピッチ制御目標値Dp)とからその絶対値が大きい制御目標値(図7では、スカイフック制御目標値Dsh)を目標減衰力Dtgtとして採用する。これにより、ストローク速度Ssが0の近傍において目標減衰力Dtgtが比較的高く設定され、車両の姿勢変化が抑制されることになる。
【0029】
次に、ダンパ制御装置50は、図4のステップS12で目標減衰力Dtgtの方向とダンパ4のストローク方向とが同一であるとみなし、ステップS8で目標減衰力Dtgtとストローク速度Ssとに基づき駆動電流マップから目標電流Itgtを検索し、ステップS5で各ダンパ4のMLVコイル40に駆動電流を出力する。例えば、目標減衰力の方向が伸び側であった場合、図8(図5中のVIII部拡大図)の上方に示すように、ストローク方向が伸び側の場合はもちろんであるが、ストローク方向が縮み側であっても、ストローク方向が伸び側の場合と同一の目標電流Itgtを設定する。これにより、本実施形態では、図9に示すように目標減衰力が伸び側であった場合には、図10に示すように、ストローク方向が伸び側と縮み側との間でごく短い周期で変化しても所期の目標電流Itgtが得られ、ダンパ4が適正な減衰力を安定して発生するようになる。なお、図8の下方に示したように、目標減衰力の方向が縮み側の場合においても、伸び側と同様の処理が行われる。
【0030】
[第2実施形態]
第2実施形態は、ダンパの構造やダンパ制御装置の構成を始め、減衰力制御の手順についても、上述した第1実施形態と同様であるが、目標減衰力設定処理の手順が異なっている。すなわち、第2実施形態では、図4のステップS5の判定がNoとなった場合、ダンパ制御装置50は、ステップS11で図11のフローチャートに示す手順で目標減衰力設定処理を実行する。ダンパ制御装置50は、目標減衰力設定処理を開始すると、図11のステップS31で3つの制御目標値Dsh,Dr,Dpの絶対値|Dsh|,|Dr|,|Dp|をそれぞれ算出した後、ステップS32で、図12に示すように、伸び側目標値(本実施形態ではスカイフック制御目標値Dsh)と、縮み側目標値(本実施形態ではピッチ制御目標値Dp)とからその絶対値が最も小さい制御目標値(図12では、ピッチ制御目標値Dp)を目標減衰力Dtgtとして採用する。これにより、本実施形態では、ストローク速度Ssが0の近傍において目標減衰力Dtgtが比較的小さく設定され、乗り心地が向上することになる。
【0031】
[第3実施形態]
第3実施形態も、上述した第1実施形態に対し、目標減衰力設定処理の手順が異なっている。すなわち、第3実施形態では、図4のステップS5の判定がNoとなった場合、ダンパ制御装置50は、ステップS11で図13のフローチャートに示す手順で目標減衰力設定処理を実行する。ダンパ制御装置50は、目標減衰力設定処理を開始すると、図13のステップS41で3つの制御目標値Dsh,Dr,Dpの絶対値|Dsh|,|Dr|,|Dp|をそれぞれ算出した後、ステップS42で、図14に示すように、伸び側目標値の絶対値(本実施形態ではスカイフック制御目標値Dsh)と、縮み側目標値(本実施形態ではピッチ制御目標値Dp)の絶対値との単純平均値を目標減衰力Dtgtとして採用する。これにより、本実施形態では、ストローク速度Ssが0の近傍において、目標減衰力Dtgtが各制御目標値Dsh,Dr,Dpを均したものとなるため、車両の姿勢変化の抑制と乗り心地の向上とが両立することになる。なお、本実施形態の場合、ステップS42では伸び側目標値の絶対値と縮み側目標値の絶対値との単純平均値を目標減衰力Dtgtとして採用したが、伸び側目標値の絶対値と縮み側目標値の絶対値とにそれぞれ所定の重み付け係数を設定し、それらの加重平均値を目標減衰力Dtgtとして採用するようにしてもよい。
【0032】
[第4実施形態]
第4実施形態も、上述した第1実施形態に対し、目標減衰力設定処理の手順が異なっている。すなわち、第4実施形態では、図4のステップS5の判定がNoとなった場合、ダンパ制御装置50は、ステップS11で図15のフローチャートに示す手順で目標減衰力設定処理を実行する。ダンパ制御装置50は、目標減衰力設定処理を開始すると、図15のステップS51でストローク速度Ssが縮み側から判定範囲に移行したか否かを判定する。ダンパ制御装置50は、ステップS51の判定がYesであれば、ステップS52でストローク速度Ssの時間変化量(微分値Ss’)が所定の判定閾値Ss’th以上であるかを判定する。そして、ステップS52の判定もYesであれば、ダンパ制御装置50は、ストローク速度Ssが負から正に変化すると見越し、ステップS53で、図16中に実線の矢印で示すように、伸び側目標値(本実施形態ではスカイフック制御目標値Dsh)と、縮み側目標値(本実施形態ではピッチ制御目標値Dp)とからその絶対値が大きい制御目標値(本実施形態ではスカイフック制御目標値Dsh)を目標減衰力Dtgtとして採用する。また、ステップS52の判定がNoであれば、ダンパ制御装置50は、ストローク速度Ssが負から正に変化する可能性が少ないとし、ステップS54で、図16中に破線の矢印で示すように、伸び側目標値と、縮み側目標値とからその絶対値が小さい制御目標値(本実施形態ではピッチ制御目標値Dp)を目標減衰力Dtgtとして採用する。
【0033】
一方、ストローク速度Ssが伸び側から判定範囲に移行し、ステップS51の判定がNoになった場合、ダンパ制御装置50は、ステップS55でストローク速度Ssの時間変化量(微分値Ss’)が所定の判定閾値Ss’th以上であるかを判定する。そして、ステップS55の判定がYesであれば、ダンパ制御装置50は、ストローク速度Ssが正から負に変化すると見越し、ステップS54で、図17中に実線の矢印で示すように、伸び側目標値と、縮み側目標値とからその絶対値が小さい制御目標値(本実施形態ではピッチ制御目標値Dp)を目標減衰力Dtgtとして採用する。また、ステップS55の判定がNoであれば、ダンパ制御装置50は、ストローク速度Ssが正から負に変化する可能性が少ないとし、ステップS53で、図17中に破線の矢印で示すように、伸び側目標値と、縮み側目標値とからその絶対値が大きい制御目標値(本実施形態ではスカイフック制御目標値Dsh)を目標減衰力Dtgtとして採用する。
【0034】
本実施形態では、このような処理を行うことにより、駆動電流の立ち上がり遅れ等に起因する制御応答性の低下が効果的に抑制され、操縦安定性や乗り心地の向上等が実現される。
【0035】
[第5実施形態]
第5実施形態も、上述した第1実施形態に対し、目標減衰力設定処理の手順が異なっている。すなわち、第5実施形態では、図4のステップS5の判定がNoとなった場合、ダンパ制御装置50は、ステップS11で図18のフローチャートに示す手順で目標減衰力設定処理を実行する。ダンパ制御装置50は、目標減衰力設定処理を開始すると、図18のステップS61でストローク速度Ssが縮み側から判定範囲に移行したか否かを判定する。そして、ステップS61の判定がYesであれば、ダンパ制御装置50は、ステップS62で図19中に実線の矢印で示すように、伸び側目標値と、縮み側目標値とからその絶対値が小さい制御目標値(本実施形態ではピッチ制御目標値Dp)を目標減衰力Dtgtとして採用する。また、ステップS61の判定がNoであれば、ダンパ制御装置50は、ステップS63で図19中に破線の矢印で示すように、伸び側目標値と、縮み側目標値とからその絶対値が大きい制御目標値(本実施形態ではスカイフック制御目標値Dsh)を目標減衰力Dtgtとして採用する。これにより、本実施形態では、ストローク速度Ssが0の近傍において、ストロークセンサ12の検出信号にノイズが混入しても、目標減衰力Dtgtが小刻みに急変する(すなわち、ハンチング様に変化する)ことが無くなり、乗り心地の向上等が実現される。
【0036】
[第6実施形態]
第6実施形態は、ダンパの構造やダンパ制御装置の構成を始め、減衰力制御の手順についても上述した第1〜第5実施形態と同様であるが、駆動電流マップのみが異なっている。すなわち、図20に示すように、第6実施形態の駆動電流マップでは、各ダンパ4のストローク速度Ssの絶対値が所定の判定閾値Ssth以内にある領域で、目標減衰力に対する目標電流Itgtを有意に小さく(判定閾値Ssthあるいは−Ssthでの目標減衰力に対する目標電流の値と同一に)している。これにより、横Gセンサ10や前後Gセンサ11等の検出信号にノイズが混入することによって目標減衰力が短い周期で増減しても、これによる目標電流Itgtの変化が少なくなり、定速直進走行時等における乗り心地や操縦安定性の低下が効果的に抑制される。なお、本実施形態では、ストローク速度の絶対値が所定の判定閾値Ssth以内にある領域では、目標減衰力に対する目標電流Itgtを小さくするために、目標電流Itgtを判定閾値Ssthあるいは−Ssthでの目標減衰力に対する目標電流の値と同一に設定したが、必ずしも同一に設定する必要はなく、更に低い値と関連付けてもよい。
【0037】
[第7実施形態]
第7実施形態は、ダンパの構造やダンパ制御装置の構成を始め、減衰力制御の手順についても上述した第1〜第6実施形態と同様であるが、ダンパの作動状態や自動車の挙動に応じて判定範囲と目標電流とを変更する点が異なっている。本実施形態は、ダンパ4がばね上共振周波数以上の振動周波数で共振する際における減衰力のオーバシュートやアンダシュートを防止することと、ロール動やピッチ動の発生が予測された場合に予め減衰力を高めて車両挙動の変化を抑制することとを目的としている。
【0038】
第7実施形態では、上述した減衰力制御と並行して、図21のフローチャートにその手順を示す共振/挙動変化対応制御を実行する。共振/挙動変化対応制御を開始すると、ダンパ制御装置50は、図21のステップS71でばね上共振周波数(例えば、1.3Hz)以上の振動周波数をもってダンパ4が振動しているか否か(すなわち、自動車Vが小さな凹凸のある路面を走行しているか否か)を判定する。
【0039】
本実施形態の場合、ダンパ4の振動周波数は、図22に示すように、ダンパ4のストローク速度Ssが0に近い正負の閾値(図22中に破線で示す)のどちらか一方を越えた時点から他方を越える時点までの経過時間t1を算出し、この経過時間t1を2倍した値の逆数として求められる。そして、ダンパ制御装置50は、ストローク速度Ssが最後に閾値を越えた時点からばね上共振周波数の半周期t2を経過してもダンパ4のストローク速度Ssが閾値を越えない場合、ダンパ4のばね上共振周波数以上での振動が収まった(路面の小さな凹凸が無くなった)と判定する。なお、この判定は、ストローク速度Ssの反転周期、車体1の上下加速度やその反転周期、車輪3の上下加速度やその反転周期、車体1の前後加速度の反転周期、車体1の横加速度の反転周期等に基づいて行ってもよい。
【0040】
ステップS71の判定がYesであれば、ダンパ制御装置50は、ステップS72で判定閾値Ssthを0に近づける(すなわち、判定範囲を縮小する)。次に、ダンパ制御装置50は、ステップS73で各ダンパ4のストローク速度Ssの絶対値が判定閾値Ssthを超えているか否か(ストローク速度Ssが0を含む判定範囲内にないか否か)をそれぞれ判定し、この判定がNoであれば、ステップS74で所定の縮小係数K1を乗じることによって目標電流Itgtを減少させる。
【0041】
図23は、ばね上共振時におけるストローク速度Ssの変化と実減衰力Drealの変化とを示すグラフである。同図から判るように、第1〜第6実施形態での実減衰力Dreal(図23中に破線で示す)は、ストローク速度Ssが0とみなす判定範囲では実際のストローク速度Ssの符号が変化している場合にも変化していないとみなすことと、判定範囲における目標電流Itgtが大きいこととにより、ストローク速度Ssの符号が変化した直後に大きくオーバシュートあるいはアンダシュートする。これは、例えば、ストローク速度Ssが縮み側から0とみなす判定範囲に移行した場合、判定範囲に入った時点から大きな目標電流Itgtが発生することから、通常の制御を行った場合に較べて過剰な減衰力が生起されることによる。ところが、本実施形態での実減衰力Dreal(図23中に実線で示す)では、判定範囲を狭くするとともに、判定範囲内での目標電流Itgtを減少させたことにより、上述したオーバシュートやアンダシュートがごく小さく抑えることができた。
【0042】
一方、ステップS71の判定がNoであった場合、ダンパ制御装置50は、ステップS75で、ロール動あるいはピッチ動が車体1に発生すると予測されるか否かを判定する。本実施形態では、横加速度の微分値の絶対値が所定の閾値(例えば、2m/S)を超える、あるいは、前後加速度の微分値の絶対値が所定の閾値(例えば、2m/S)を超える場合に、ロール動あるいはピッチ動が車体1に発生すると予測される。なお、この判定は、ヨーレイトと車速とから得られる横加速度相当量の微分値や、操舵角と車速とから得られる横加速度相当量の微分値に基づき行うようにしてもよい。
【0043】
ステップS75の判定がYesであれば、ダンパ制御装置50は、ステップS76で判定閾値Ssthを大きくする(すなわち、判定範囲を拡大する)。次に、ダンパ制御装置50は、ステップS77で各ダンパ4のストローク速度Ssの絶対値が判定閾値Ssthを超えているか否か(ストローク速度Ssが0を含む判定範囲内にないか否か)をそれぞれ判定し、この判定がNoであれば、ステップS78で所定の拡大係数K2を乗じることによって目標電流Itgtを増大させる。これにより、車体1が実際にロール動やピッチ動を起こす前にダンパ4の減衰力が増大することになり、車体1の挙動変化が効果的に抑制されるようになるとともに、操舵や加減速に対して速やかに横加速度や前後加速度を発生させることができるようになる。
【0044】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態は、本発明をMRF式減衰力可ダンパに適用し、制御量として駆動電流を用いたが、例えば、機械式の減衰力可変ダンパに適用し、制御量としてロータリバルブの作動量等を用いるようにしてもよい。また、上記実施形態では、ストローク速度の絶対値が所定の判定閾値以下であった場合に、目標減衰力の方向と減衰力可変ダンパのストローク方向とを同一とみなすようにしたが、伸び側と縮み側とで判定閾値を個別に設定するようにしてもよい。その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、自動車の具体的構成や制御の具体的手順等についても適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態に係る4輪自動車の概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係るダンパの縦断面図である。
【図3】第1実施形態に係るダンパ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る減衰力制御の手順を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係る駆動電流マップである。
【図6】第1実施形態に係る目標減衰力設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係るストローク速度と目標減衰力との関係を示すグラフである。
【図8】図5中のVIII部拡大図である。
【図9】第1実施形態の作用を示すグラフである。
【図10】第1実施形態の作用を示すグラフである。
【図11】第2実施形態に係る目標減衰力設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係るストローク速度と目標減衰力との関係を示すグラフである。
【図13】第3実施形態に係る目標減衰力設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】第3実施形態に係るストローク速度と目標減衰力との関係を示すグラフである。
【図15】第4実施形態に係る目標減衰力設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】第4実施形態に係るストローク速度と目標減衰力との関係を示すグラフである。
【図17】第4実施形態に係るストローク速度と目標減衰力との関係を示すグラフである。
【図18】第5実施形態に係る目標減衰力設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】第5実施形態に係るストローク速度と目標減衰力との関係を示すグラフである。
【図20】第6実施形態に係る駆動電流マップである。
【図21】第7実施形態に係る共振/挙動変化対応制御の手順を示すフローチャートである。
【図22】第7実施形態に係る走行時におけるストローク速度の変化を示すグラフである。
【図23】ばね上共振時におけるストローク速度の変化と実減衰力の変化とを示すグラフである。
【図24】従来技術の問題点を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
4 ダンパ
50 ダンパ制御装置
52 減衰力設定部
53 目標減衰力選択部
54 駆動電流生成部
56 スカイフック制御部(目標減衰力設定手段)
57 ロール制御部(目標減衰力設定手段)
58 ピッチ制御部(目標減衰力設定手段)
V 自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の懸架に供される減衰力可変ダンパの減衰力を制御する制御装置であって、
前記車体の運動状態に基づき、伸び側または縮み側に目標減衰力を設定する目標減衰力設定手段と、
前記目標減衰力設定手段の設定結果と前記減衰力可変式ダンパのストローク速度とに基づき、前記減衰力可変式ダンパの制御量を設定する制御量設定手段と
を備え、
前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記目標減衰力の方向と前記減衰力可変ダンパのストローク方向とが同一とみなすことを特徴とする減衰力可変ダンパの制御装置。
【請求項2】
前記目標減衰力設定手段が複数存在し、
前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力と、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力とからその絶対値が大きい方に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。
【請求項3】
前記目標減衰力設定手段が複数存在し、
前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力と、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力とからその絶対値が小さい方に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。
【請求項4】
前記目標減衰力設定手段が複数存在し、
前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値と、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値との平均値に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。
【請求項5】
前記目標減衰力設定手段が複数存在し、
前記制御量設定手段は、
前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲に縮み側から移行した場合、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値に基づいて前記制御量を設定し、
前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲に伸び側から移行した場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。
【請求項6】
前記目標減衰力設定手段が複数存在し、
前記制御量設定手段は、
前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲に縮み側から移行した場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が縮み側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値に基づいて前記制御量を設定し、
前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲に伸び側から移行した場合、前記複数の目標減衰力設定手段によってそれぞれ設定された目標減衰力のうち、前記ストローク速度が伸び側にある場合に選択される目標減衰力の絶対値に基づいて前記制御量を設定することを特徴とする、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。
【請求項7】
前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が0を含む所定の判定範囲内にある場合、前記目標減衰力に対する制御量を小さく設定することを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。
【請求項8】
前記減衰力可変ダンパの振動周波数を検出する振動周波数検出手段を更に備え、
前記制御量設定手段は、前記振動周波数検出手段の検出結果が前記車体の共振周波数を超えた場合、前記判定範囲を狭くするとともに、当該判定範囲内での前記目標減衰力に対する制御量を小さく設定することを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。
【請求項9】
前記車体のロール動とピッチ動との少なくとも一方を予測する車体挙動変化予測手段を更に備え、
前記制御量設定手段は、前記車体挙動変化予測手段によって前記車体のロール動とピッチ動との少なくとも一方が予測された場合、前記判定範囲を広くするとともに、当該判定範囲内での前記目標減衰力に対する制御量を大きくすることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−260321(P2008−260321A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102546(P2007−102546)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】