溶融流動性材料および表面シーリング方法
【課題】産業界では、目に見える用途および目に見えない用途に使用でき、ストリップまたはテープとして扱えるユーザーフレンドリーで塗装可能な溶融性シーラント材料が求められている。
【解決手段】本発明は、熱硬化性層を含むシート材料を基材に接触させ、シート材料を高温に加熱することにより基材に形態的または保護的特性を与える方法を提供する。
【解決手段】本発明は、熱硬化性層を含むシート材料を基材に接触させ、シート材料を高温に加熱することにより基材に形態的または保護的特性を与える方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融流動性シート材料を使用して表面に保護的および美的特性を提供するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界には、表面に保護的および/または美的特性を提供することが望ましく、場合によっては必要な多数の用途がある。このような用途としては、車体への塗装可能シーラーの使用が挙げられる。歴史的には、構造物中の空隙を満たし、汚れ、水分、およびその他の物質を排除するためのシーラーとして、多様な材料が使われてきた。
【0003】
シーラーは、用途の要求に応じ液体または固体として提供される。米国特許番号第4,900,771号(Geraceら)が述べるように、自動車産業では金属の継目をシールするため数十年間にわたりペースト様プラスチゾルが使用されている。これらの材料は、加熱時に可塑剤中で膨潤するPVC(ポリ塩化ビニル)粒子を有することで機能し、固体材料に融着する。可塑剤のレベルが高いので、塗料はPVCベースのシーラーには概して接着不良を起こす。さらにPVCシーラーはリサイクルできず、焼却するとHClを放出する。この理由のために、これらはヨーロッパでは使用されていない。
【0004】
ホットメルトシーラントおよび接着剤は、一般に加熱により迅速に溶融し、次に冷却により堅固な結合を形成する固体熱可塑性材料である。典型的な種類のホットメルト接着剤組成物はポリオレフィンを用いるが、当技術分野ではポリオレフィンは塗装が困難であり、鋼およびアルミニウムなどの無孔性金属表面に対する付着性が不良であることが知られている。
【0005】
使用に際して作業者は、液体シーラーのビードをコーキングを塗布するように接合部継目に塗布し、材料を刷毛で撫でつけたり均したりして比較的均一なフィルムにしなくてはならない。液体シーラーの塗布には熟練を要し、結果的に継目がシール不良を起こすことが多い。液体シーラーは見かけが不均一であるので、目に見える箇所での用途には使用できない。
【0006】
最近、ロープまたはテープなど、取扱適性が迅速な装着に役立ち、材料塗布後の巧妙な処理の必用性をなくする、よりユーザーフレンドリーなシーラーシステムに向かう傾向がある。PVCベースのシーラント材料のテープおよびロープは、ニッチマーケットでの用途を見出し始めた。その他の材料もまた、ストリップまたはテープとして提供されている。
【0007】
米国特許番号第3,659,896号(Smithら)では、車体にフロントガラスを接着してシーリングするための液体ポリスルフィドポリマーベースの半硬化した硬化性ポリマーシーリングストリップ組成物について述べている。シーリングストリップは、ガラスおよび金属の双方に対して付着性を有するので、フロントガラスは即座に室温でシールされ、周囲条件で水分に曝されることでシーラント材料の硬化が進む。
【0008】
米国特許番号第4,490,424号(Gerace)では、テープがプラスチック樹脂の被覆に入ったホットメルト接着剤のコアを含むホットメルト接着剤およびシーラントテープについて述べている。プラスチック樹脂は、液体および固体のどちらの状態にあるホットメルト接着剤コアとも相溶性である。
【0009】
産業界では、目に見える用途および目に見えない用途に使用でき、ストリップまたはテープとして扱えるユーザーフレンドリーで塗装可能な溶融性シーラント材料が求められている。
【0010】
熱硬化性感圧性接着剤は既知であり、自動車および家庭電化製品の組み立てを含めた多数の産業で実用性がある。このような接着剤については、米国特許番号第5,086,088号(Kitanoら)で述べられている。これらの接着剤は感圧性、すなわち結合温度で粘着性であり、概して接着剤層が剥離ライナー上に提供される感圧性接着剤転写テープの形態で使用される。転写テープには、接着剤層強化のために不織布ウェブをさらに含めることができる。使用の際、転写テープは、一方の表面をもう一方の表面に周囲温度で結合する。次に表面は、接着剤が熱硬化状態に硬化するのに十分な温度に加熱される。
【0011】
用途によっては、非粘着性の表面を持ち、使用温度で接着状態に活性化できる熱硬化性感圧性接着剤テープを有することが望ましいこともある。
【0012】
このような用途の一つは、塗装前に車体にヒンジをボルト締めして、一時的にドアを車体に取り付ける自動車組立ラインのいくつかに見られる。車体中の長穴上にドアヒンジを並べてドアを自動車の上に配置し、次に1つ以上のワッシャーおよび対応するボルトでヒンジを車体に固定する。ドアは車体の塗装後に、内装品が装着できるようにヒンジから取り外される。ドアを再装着する際に、時間をかけて再度位置合わせすることなく正確に並ぶように、ヒンジ上の所定位置にワッシャーが固定されることが望ましい。
【0013】
日本国公開特許公報第64-67417号では、粘着性の熱硬化接着剤フィルムによってドアヒンジに固定されるワッシャーについて述べている。ワッシャーは、ヒンジをドアに結合するのに使用するボルトのための位置合せ部材の役目を果たす。フィルムは両側が粘着性であり、組立工場に見出されるほこりや油などで汚染されがちである。汚染した表面は、確実に適切な結合を得るためにきれいにしなくてはならない。またフィルムは、非常に薄い傾向があって取り扱いが難しく、フィルムがワッシャーおよびボルト止め表面に結合できるようにライナーを剥離することは、労働集約的操作になり組立ラインの自動化を妨げる。
【0014】
取り扱いをよりたやすくするために、支持材として不織布に熱硬化性接着剤をしみ込ませて接着剤の剛性を増大することも知られているが、これは経費を増大させるし、接着剤フィルムの上述のその他の欠点も回避できない。
【0015】
日本国公開特許公報第53-42280号では、熱融合材料で覆われた熱硬化材料のシートを有する複合シートについて述べている。熱融合材料は、作業者が熱硬化接着剤との直接的皮膚接触を避けられるように、熱硬化樹脂シートを覆うことを意図している。熱硬化材料および熱融合材料は相互に非反応性且つ相溶性であり、融合温度の最大差が50°Cである特徴を持つ。熱融合材料は硬化する前に溶融し、熱硬化材料と混合する。
【0016】
日本国公開特許公報JP H4-189885号は、アクリル酸コポリマーおよびエポキシ樹脂から製造される熱硬化性感圧性接着剤について述べている。接着剤組成物は、接着剤シートの強度を増大するためにプレプレグとして作用する不織布材料の片側または両側にコーティングできる。
【0017】
室温(約21°C)で本質的に不粘着性である熱硬化性感圧性接着剤テープを、テープの少なくとも一方の主要表面に有することが望ましいが、両方の主要表面をその他の基材との結合に適合させることもできる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の要約
本発明は、熱硬化性感圧性接着剤の層と、室温で本質的に不粘着性であるホットメルト接着剤の層とを含む接着剤複合材を提供する。ホットメルト接着剤の熱活性化温度は、約50°Cから熱硬化性接着剤を硬化させるために使用する温度の間であることが好ましい。
【0019】
また本発明は、周囲温度でワッシャーに結合する、ワッシャーに結合するためのそして加熱サイクル後にワッシャーを表面にさらに結合するための接着剤複合材と、複合材によって結合したワッシャーとを提供する。
【0020】
また本発明は、複合材をワッシャーに結合するための方法を提供する。
【0021】
さらに本発明は、ホットメルトシーリングテープおよびテープの使用法を提供する。
【0022】
本発明のさらに別の特性および利点については以下の説明で述べるが、一部は説明によって明らかにされ、あるいは発明の実施例から分かるであろう。本発明の目的とその他の利点は、この文書に記載する説明と請求項で特に指摘される方法と条項から理解され納得されるであろう。
【0023】
前述の概略的説明および次の詳細な説明の双方は、例示的且つ説明的であり、発明の請求範囲のさらなる説明を意図するものであると理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
発明の詳細な説明
本発明は、基材に保護的および/または美的に好ましい特性を提供するための溶融流動性シート材料の使用を含む。一般に本発明の方法は、溶融流動性シート材料を基材の上に置いてシート材料を加熱し、シート材料が基材に結合するようにそれを十分に軟化させることを含む。室温で基材の上に置いた時、溶融流動性シートは本質的に不粘着性である。
加熱するにつれてまずシートが軟化して基材表面に従う結果、流動する材料により空気留りが押し出される。加熱サイクルがさらに進んでシート材料がさらに熱くなると、それは粘着性になり十分に表面を濡らして表面に結合する。またいくつかの用途では、シート材料が溶融して流動し、欠陥、表面不完全性を隠し、および/またはギャップを埋める。
【0025】
シートの表面への結合後、シート材料は溶融流動性、すなわち熱可塑性を保ち、再加熱により材料が再流動しても良い。加熱するとシート材料が硬化または架橋して熱硬化し、再加熱時に流動しなくなっても良い。またはシート材料の一部が熱可塑性を保つ一方、シート材料の一部が硬化または架橋、すなわち熱硬化しても良い。
【0026】
本発明の方法は、産業界において多数の用途がある。方法の一つの有用性は、自動車産業にあり、自動車の金属接合部のシール方法にこれを用いることができる。この方法では、まず上述の方法などによりシート材料を調製する。続いてシールすべき接合部の上にシート材料を塗布する。シート材料が硬化前に流動するので、完全なシーリングおよび結合が得られる。シート材料端の調節された流動の結果、表面の美的外観が得られる。次に硬化したシート材料の露出表面は、車体に合わせて塗装されたり、あるいは別な方法で装飾がなされる。
【0027】
本発明の方法の代案としての用途は、車体などの表面への紋章または飾り名板またはデザイン要素の付着である。紋章または飾り名板の例には、自動車製造業者のロゴがある。デザイン要素の例には、形状を得るための複雑な金属箔押の必用なしに、車体の湾曲を引き立て且つ際だたせ、下塗りした金属下部構造に保護を提供する縁飾りがある。このような方法では、シート材料は最初に打抜きなどによって、希望する紋章または飾り名板またはデザイン要素の形状に形作られる。本発明の方法の実施の結果、結合する表面に対して滑らかな移行線を有する美的に好ましい紋章または飾り名板が提供される。
【0028】
本発明の方法のさらに別な用途では、シート材料が最初に接着する基材は、使い捨てライナーなどの一時的な基材である。硬化したシート材料には、感圧性接着剤特性が本質的に欠けているかもしれないので、調節された流動を端に与えるような方法でシート材料を硬化した後に、例えばシート材料それ自体とは別個の接着剤システムの使用によって、硬化したシート材料を恒久的基材に固定(例えば接着)しても良い。このやり方で本発明の方法は、木製ドアなどの表面に成型され硬化したシート材料などを付けるのに使用できる。
【0029】
溶融流動性シート材料は、金属中の見苦しい傷、点溶接、およびルーフの板金が車体の板金に溶接される段差接合部を隠すために、自動車の塗装前にそのルーフ溝内に置くことができる。
【0030】
特定の一実施例では、溶融流動性シート材料を幅がルーフ溝の幅よりもわずかに大きく、長さが溝の長さに等しいストリップに切断する。ルーフ溝は下塗りなし、従来のシーラーで一部シールされた下塗りなし、従来の下塗剤で下塗り済み、または下塗りおよび塗装済みでも良い。典型的には以下で詳しく述べるように、自動車をストリップの付着前に電着塗装で下塗りする。次に溝内でストリップを加熱することでストリップ材料が流動し、ルーフ溝内のあらゆる不完全性および段差接合部を平らにして、滑らかで美的に好ましい外観を溝内に作り出す。同時に溶融流動性ストリップは、ルーフ溝の内側表面に接着して溝内に保護的シールも提供し、雨水、汚れ、雪その他がルーフ溝内に入って錆または腐触を起こすことを防止する。この用途ではストリップの幅がルーフ溝の幅よりもわずかに大きく、ストリップ材料はまた、ルーフ溝の長さに沿って凹面形状を取り、車のルーフから水を運び去る流路を提供する。
【0031】
ストリップ材料は、好ましくは塗料と相溶性であり、塗料およびルーフ溝表面の双方に堅固に結合する一方、塗料のしわ形成またはひび割れなしに塗料を乾燥硬化させる。
【0032】
自動車は、ストリップを所定位置に置いて塗装でき、約170°Cのオーブン硬化サイクルに約20分間かけることができる。保護的な透明塗料もまた、塗布して硬化できる。塗料の種類、および塗料と透明塗料の硬化要件次第で、オーブン硬化時間および温度が変わることが認識されている。典型的なサイクルは、温度が約120乃至200°Cの間で約20乃至40分間の範囲にある。
【0033】
好ましい実施例では、塗料はまた溶融流動性ストリップ材料と化学的に反応して、塗料と溶融流動性ストリップの間の付着性を改善する。ストリップ材料と塗料の反応によって、塗料とストリップとの界面およびその周囲でストリップ材料が熱硬化する一方、界面層以下ではストリップ材料は熱可塑性を保つ。
【0034】
その他の好ましい実施例では、溶融流動性ストリップそれ自体が硬化サイクル中に塗料と反応する熱硬化性材料であり、硬化して熱硬化ストリップを提供する。以下で述べるように、硬化は加熱または照射法により達成できる。
【0035】
代案の実施例では、自動車が塗装された後にルーフ溝内にストリップを置いても良い。次にルーフ溝領域を赤外線ヒーターまたは石英ハロゲンランプなどの従来のヒーターで加熱し、ストリップをそれ以上加工することなく溶融してルーフ溝に結合する。この実施例では、ストリップを顔料と混合し、反対色または補色を提供することもできる。溶融シーリングストリップ材料は、熱可塑性を保っても良く、ストリップの厚さ全体が熱硬化しても良く、またはストリップ表面のみが熱硬化しても良い。
【0036】
溶融流動性シート材料は、好ましくは固体であり、室温で粘着性または非粘着性でも良い。いくつかの実施例では、溶融シーリングシート材料がホットメルト接着剤としても機能する。ホットメルト接着剤材料は、好ましくは約50°Cを超える融点を持つ。ここでの用法では、「ホットメルト接着剤組成物」とは、室温(約21°C)では固体で非粘着性であるが、加熱時には溶融し表面を十分に濡らして接着する組成物を言う。50°C未満の溶融温度を有する接着剤は、熱い気候では保管中に時期尚早に溶融するかもしれず、以下で述べるようにパーツを打抜きプレスで打抜きまたは押抜きすることが必用な用途では、良好に機能しないかもしれない。
【0037】
加熱ダイから材料を押出す、シート材料を適切な溶融温度に加熱して剥離ライナー上にナイフコーティングする、溶融材料をカーテンコーティングする、または材料を溶剤中に拡散し剥離ライナーにコーティングして溶剤を乾燥することを含めた従来のシート形成技術を用いて、シート材料をシートに形成できる。環境的理由から好ましい方法は、溶剤フリーシステムである。
【0038】
溶融流動性シート材料の厚さは、意図するその最終用途次第で変化する。シーリング用途では、流動して窪み、隆起、その他の表面不完全性を平らにし、または接合部間のギャップを満たすに足る材料を提供するのに十分な厚みがあるシートが望ましい。有用な厚さは、約0.05乃至25 mmの範囲にあることが分かっている。保護的シールが望まれる典型的な溶融シーリング用途のためには、厚さは0.10乃至25 mm、好ましくは0.20乃至10 mm、そしてより好ましくは0.34乃至6 mmの範囲にある。
【0039】
溶融流動性シート材料は、ロール形態のシート材料、ロール形態のテープ、すなわち幅の狭い長い材料、または最終用途のために望まれる寸法または形状に切断したシートの重なりの形態で包装できる。溶融流動性シート材料の組成物が粘着性である場合、隣接するシートの間または巻いたロールの間に剥離ライナーを挟み込んでも良い。層の1つが粘着性である2層シート構造体のいくつかでは、別個のライナーを必用とせず非粘着性の層がライナーの役目を果たすこともある。シート材料がシート中に潜伏性光活性触媒を含む場合、シートは使用直前まで化学線不在下で包装され輸送されることが好ましい。
【0040】
また溶融流動性シート材料のための組成物は、ペールアンローダ、カートリッジディスペンサなどを使用して、ホットメルトアプリケータシステムで使用するために包装できる。次に組成物を使用時点で加熱し、溶融状態で基材に塗布できる。この方法では、組成物を塗布するための特殊装置が必用になるかもしれない。
【0041】
溶融流動性材料は、プラスチック、金属、セラミック、ガラス、およびセルロース系材料を含むほとんどの基材に塗布して結合できる。下塗り済み、下塗りなし、または塗装したアルミニウム、冷間圧延鋼、亜鉛メッキ鋼、および磁器化鋼などの金属基材が特に好ましい。
【0042】
溶融流動性シートは、以下で詳しく述べるように様々な目的のためにその他の層を1層以上含むことができる。このような層としては、熱硬化性溶融シーリング層、熱硬化性感圧性接着剤層、感圧性接着剤層、例えば第1の溶融流動性層とは異なるガラス転移温度を有する層などの第2の溶融流動性層、2層の界面で溶融流動性層と架橋できる層、発泡性層、不織布層、または例えば好ましくは塗布および使用温度で寸法が安定した熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルムが挙げられる。追加的な層を溶融流動性層に結合させる様々な方法としては、熱ラミネート、感圧性接着剤による結合、溶融流動性層と第2の層の共押出し、ホットメルトコーティング、第1の層への第2の層の直接的コーティングなど産業界で既知の技術が挙げられる。
【0043】
本発明の実施において有用な溶融流動性シート材料は、メラミンまたはエポキシベース塗料など産業界で使用される典型的な塗料と反応できる官能基を有する熱可塑性ポリマー材料を含む。
【0044】
好ましい熱可塑性ポリマーは、-30°Cを超えるガラス転移温度を有する官能基付与非晶質または半結晶質ポリマー、および-30°C未満のガラス転移温度を有する官能基付与半結晶質ポリマーである。有用なポリマーは、-OH、-NH、-CONH、-COOH、-NH2、-SH、無水物、ウレタン、およびオキシランなどの官能基を有するものである。好ましい官能基は、-OH、-COOH、および-NHである。有用なポリマーの例としては、ポリエステルと、ポリアミドと、-OH基で官能基付与されたものなどの官能基付与(メタ)アクリル酸エチレンと、エチレンアクリル酸と、ポリスルフィドと、ポリビニルブチラールなどのポリアセタールと、エチレン-(メタ)アクリル酸、プロピレン-(メタ)アクリル酸、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル、プロピレン-(メタ)アクリル酸エステルなどの適切な官能基を有するオレフィン族ポリマーと、ポリカプロラクトンと、エポキシポリカプロラクトン組成物と、1993年4月15日提出の原出願米国通し番号08/047,862で述べられたエポキシポリエステルホットメルト組成物と、それらの相溶性混合物とが挙げられる。
【0045】
溶融流動性シート材料のための好ましい材料としては、ポリカプロラクトンと、ヒドロキシルおよびカルボキシル末端を有し室温で非晶質または半結晶質のポリエステルとが挙げられる。より好ましいのは、室温で半結晶質のヒドロキシル末端ポリエステルである。
【0046】
「非晶質」の材料はガラス転移温度を有するが、示差走査熱量計(DSC)による測定で測定できる結晶融点を示さない。以下で述べるように使用される場合、ガラス転移温度は好ましくは、光重合開始剤の分解温度未満であって約120°Cを超えない。「半結晶質」の材料はDSCによる測定で結晶融点を示し、好ましくは最大融点が約200°Cである。
【0047】
またポリマー中の結晶化度は、非晶質状態に加熱されたシートが冷却した際に混濁または不透明化として観察される。ポリエステルポリマーが溶融状態に加熱され、ライナーにナイフコーティングされてシートを形成する際、それは非晶質でありシートは透明でかなりの光透過性を有することが観察される。シート材料中のポリマーが冷却するにつれて、結晶領域が形成し、シートが半透明または不透明状態へ混濁することで結晶化が特徴づけられる。結晶化度の程度は、結晶化度の程度が異なる非晶質ポリマーと半結晶質ポリマーとの相溶性の組み合わせを混合することで、ポリマー中で変化させることができる。塗料が均一で一貫性のある表面に塗布されるよう、塗装前に十分な時間をおき、非晶質状態に加熱した材料を半結晶質状態に戻すことが一般に好ましい。シートの混濁によって、ポリマー中で結晶化がある程度起きたことを知る便利な非破壊測定法が提供される。
【0048】
ポリマーは、一定温度での結晶化速度を増大させるために核剤を含んでも良い。有用な核剤としては、微結晶ろうが挙げられる。適切なろうは、Petrolite Corp.からUnilin 700として販売されるC14を超えるアルコール(CAS #71770-71-5)およびエチレンホモポリマー(CAS #9002-88-4)を含むものである。塗料およびコーティングへの溶融流動性層の付着性を改善するために、ポリエステルにp-トルエンスルホン酸などの塗料触媒ならびにメラミンを添加しても良い。
【0049】
好ましいポリエステルは、室温で固体である。好ましいポリエステル材料の数平均分子量は約7500乃至200,000であり、より好ましくは約10,000乃至50,000であり、最も好ましくは約15,000乃至30,000である。
【0050】
本発明で有用なポリエステル成分は、ジカルボン酸(またはそれらのジエステル相当物)とジオールの反応生成物を含む。二酸(またはジエステル相当物)は、炭素原子4乃至12個を含む飽和脂肪酸(分岐、非分岐、または環中に炭素原子5乃至6個を有する環式材料を含む)および/または炭素原子8乃至15個を含む芳香族酸でも良い。適切な脂肪酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、2-メチルコハク酸、2-メチルペンタン二酸、3-メチルヘキサン二酸などが挙げられる。適切な芳香族酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、4,4'-ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、および4,4'-ジフェニルアミンジカルボン酸などが挙げられる。好ましくは、二酸中の2個のカルボキシ基の間の構造物は、炭素と水素のみを含有し、より好ましくは構造物はフェニレン基である。前述の二酸の混合物を使用しても良い。
【0051】
ジオールは、炭素原子2乃至12個を有する分岐、非分岐および環状脂肪族ジオールを含有する。適切なジオールの例としては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロブタン-1,3-ジ(2'-エタノール)、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、およびネオペンチルグリコールが挙げられる。アルキレン基が炭素原子2乃至9個、好ましくは炭素原子2乃至4個を含有するポリ(オキシアルキレン)グリコールなどの長鎖ジオールを使用しても良い。前述のジオールの混合物を使用しても良い。
【0052】
有用な市販のヒドロキシル末端ポリエステル材料としては、Huls America, Inc.,から入手できるDynapol(S1401、Dynapol(S1402、Dynapol(S1358、Dynapol(S1359、Dynapol(S1227、およびDynapol(S1229などの様々な飽和直鎖半結晶質コポリエステルが挙げられる。Huls America, Inc.,から入手できる有用な飽和直鎖非晶質コポリエステルとしては、Dynapol(S1313およびDynapol(S1430が挙げられる。
【0053】
ポリエステル樹脂を約100乃至150°Cの温度で溶融して溶融材料を形成し、シリコン剥離剤塗布紙などのライナーにナイフコーティングして、前述のポリエステルをシートにキャストできる。ポリエステル材料は、以下で詳しく述べる充填剤をエポキシポリエステル組成物としてさらに含んでも良い。
【0054】
前述のポリエステルから形成したシートは、上述した自動車のルーフ溝成型にあるようなギャップおよび不完全性を有する表面へのシーリングおよび結合のために特に有用である。さらにこれらのポリエステルは、メラミンおよびエポキシ塗料に対して塗料相溶性表面を提供し、少なくとも2つの典型的な塗料硬化サイクル(例えば120°Cで20乃至30分間、および200°Cで20乃至30分間)に耐えることが分かっている。エポキシおよびメラミン塗料と共にコーティングした場合、これらのポリエステルは、溶融流動性シートと塗料との界面で塗料と反応することが分かっている。
【0055】
また溶融流動性シート材料として好ましいものには、エポキシポリカプロラクトン組成物およびエポキシポリエステルホットメルト組成物が挙げられる。ポリカプロラクトンは土壌中で生分解性である。特に好ましいのは、照射に露出して硬化し、付着相手の基材に対して良好な付着性を有する高強度シーリング材料を提供するエポキシポリエステルホットメルト組成物である。エポキシ含有材料は組成物の最終強度と耐熱性に貢献し、他方ポリエステル成分はシート材料を基材に従わせて基材への初期付着性を提供し、光重合開始剤は照射への露出に際し組成物を硬化させる(すなわち共有結合的に架橋させる)。本発明のホットメルト組成物は、またホットメルト組成物に屈曲性および靭性を与えるヒドロキシル含有材料も要すれば含むことができる。エポキシ/ポリエステルシート材料のための好ましいポリエステルは、上述したヒドロキシルおよびカルボキシル末端官能基材料である。特に好ましいのは、ある程度の結晶度を有するヒドロキシル末端ポリエステルである。
【0056】
本発明の組成物中で有用なエポキシ含有材料は、開環反応によって重合可能なオキシラン環、すなわち
を少なくとも1個有するあらゆる有機化合物である。大まかにエポキシドと称されるこのような材料は、モノマーエポキシドおよびポリマーエポキシドの双方を含み、脂肪族、シクロ脂肪族、または芳香族でも良い。これらの材料は一般に、平均して分子当たり少なくとも2個のエポキシ基(好ましくは分子当たり2個を超えるエポキシ基)を有する。分子当たりの「平均」エポキシ基の数は、存在するエポキシ分子の総数で割ったエポキシ含有材料中のエポキシ基の数として定義される。ポリマーエポキシドとしては、末端エポキシ基(例えばポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)を有する直鎖ポリマー、骨格オキシラン単位(例えばポリブタジエンポリエポキシド)を有するポリマー、および懸垂したエポキシ基(例えばメタクリル酸グリシジルポリマーまたはコポリマー)を有するポリマーが挙げられる。エポキシ含有材料の分子量は、58から100,000以上の間で変化する。様々なエポキシ含有材料の混合物もまた、本発明のホットメルト組成物において使用できる。
【0057】
有用なエポキシ含有材料としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-2-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペートで代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキサンオキシド基を含むものが挙げられる。同種の有用なエポキシドのより詳細なリストについては、米国特許番号第3,117,099号を参照されたい。
【0058】
本発明の実施において特に有用なさらに別のエポキシ含有材料としては、式
(式中R'はアルキルまたはアリールであり、nは1乃至6の整数値である)を有するグリシジルエーテルモノマーが挙げられる。例としては、多価フェノールをエピクロルヒドリンなど過剰なクロルヒドリンと反応させて得られる多価フェノールのグリシジルエーテルが挙げられる(例えば2,2-ビス-(2,3-エポキシプロポキシフェノール)プロパンのジグリシジルエーテル)。本発明の実施において使用できるこのタイプのエポキシドのさらに別の例は、米国特許番号第3,018,262号に述べられている。
【0059】
本発明で使用できる市販のエポキシ含有材料は、多数ある。特に容易に入手可できるエポキシドとしては、酸化オクタデシレン、エピクロルヒドリン、酸化スチレン、酸化ビニルシクロヘキサン、グリシドール、グリシジルメタクリレート、(例えばShell Chemical Co.,からEPON 828、EPON 1004、およびEPON 1001Fの商品名の元に、Dow Chemical Co.からDER-332およびDER-334の商品名の下に入手できる)ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、(例えばCiba-GeigyからのARALDITE GY281などの)ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、(例えばUnion Carbide Corp.からのERL 4206などの)二酸化ビニルシクロヘキセン、(例えばUnion Carbide Corp.からのERL-4221などの)3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、(例えばUnion Carbide Corp.からのERL-4234などの)2-(3,4-エポキシシロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、(例えばUnion Carbide Corp.からのERL-4299などの)ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、(例えばUnion Carbide Corp.からの ERL-4269などの)二酸化ジペンテン、(例えばFMC Corp.からのOXIRON 2001などの)エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ官能基を含有するシリコン樹脂、(例えばUnion Carbideから市販される(-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび(-グリシドオキシプロピルトリメトキシシランなどの)エポキシシラン、(例えばDow Chemical Co.から入手できる臭素化ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂であるDER-542などの)難燃性エポキシ樹脂、(例えばCiba-GeigyからのARALDITE RD-2などの)1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、(例えばShell Chemical Co.からのEPONEX 1510などの)水素付加ビスフェノールA-エピクロルヒドリンベースのエポキシ樹脂、および(例えばDow Chemical Co.からのDEN-431およびDEN-438などの)フェノールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0060】
本発明の組成物において有用な光重合開始剤は陽イオン性であり、芳香族ヨードニウム錯塩、芳香族スルホニウム錯塩およびメタロセン塩の3タイプを含む。有用な芳香族ヨードニウム錯塩は、式
を有する(式中、Ar1およびAr2は、フェニル、チエニル、フラニル、およびピラゾリル基からなる群より選択される炭素原子4乃至20個を有する芳香族基である)。Zは、酸素、硫黄、
(式中Rは炭素6乃至20個のフェニルなどのアリールまたは炭素2乃至20個のアセチル、ベンゾイルなどのアシルである)、炭素対炭素結合、または
(式中R1およびR2は、水素、炭素1乃至4個のアルキルラジカル、および炭素2乃至4個のアルケニルラジカルから選択される)からなる群より選択される。mの値は0または1であり、Xはテトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸、ペンタフルオロヒドロキシアンチモン酸塩、ヘキサフルオロ砒酸塩、およびヘキサフルオロアンチモン酸塩から選択されるハロゲン含有錯体陰イオンである。
【0061】
Ar1およびAr2芳香族基は、要すれば1つ以上の縮合ベンゾ環(例えばナフチル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニルなど)を有しても良い。また希望するならば、エポキシドおよびヒドロキシル官能基と実質的に非反応性である1つ以上の非塩基性基で、芳香族基を置換しても良い。
【0062】
有用な芳香族ヨードニウム錯塩については、米国特許番号第4,256,828でより詳しく述べられている。好ましい芳香族ヨードニウム錯塩は、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロリン酸およびジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩である。
【0063】
本発明の組成物で有用な芳香族ヨードニウム錯塩は、スペクトルの紫外線領域のみで感光性である。しかし既知の光分解性有機ハロゲン化合物に対する増感剤によって、これらを近紫外線およびスペクトルの可視域で感光性にできる。増感剤の例としては、芳香族アミンおよび着色芳香族ポリ環式炭化水素が挙げられる。
【0064】
本発明の組成物で使用するのに適切な芳香族スルホニウム錯塩光重合開始剤は、式
(式中R3、R4およびR5は同一でもまたは異なっていても良いが、少なくとも1つの基は芳香族である)で定義される。これらの基は、炭素原子4乃至20個を有する芳香族成分(例えば置換および非置換フェニル、チエニル、およびフラニル)および炭素原子1乃至20個を有するアルキルラジカルから選択される。「アルキル」という用語は、置換アルキルラジカル(例えばハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールなどの置換基)を含む。好ましくは、R3、R4およびR5はそれぞれ芳香族である。Z、mおよびXについては、全て上でヨードニウム錯塩に関して定義した通りである。
【0065】
R3、R4またはR5が芳香族基である場合、要すれば縮合ベンゾ環(例えばナフチル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニルなど)を1つ以上有しても良い。また希望するならばエポキシドおよびヒドロキシル官能基と実質的に非反応性である1つ以上の非塩基性基で、このような芳香族基を置換しても良い。
【0066】
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩などのトリアリール置換塩が好ましい。有用なスルホニウム錯塩については、米国特許番号第4,256,828号でより詳細に述べられている。
【0067】
本発明で有用な芳香族スルホニウム錯塩は、本質的にスペクトルの紫外線領域のみで感光性である。しかし米国特許番号第4,256,828号で述べられたような選択された一群の増感剤によって、これを近紫外線およびスペクトルの可視域で感光性にできる。
【0068】
有用なメタロセン塩は、式
を有する。
(式中MpはCr、Mo、W、Mn、Re、Fe、およびCoから選択される金属を表し、L1は、置換および非置換のh3-アリル、h5-シクロペンタジエニル、h7-シクロヘプタトリエニルと、h6-ベンゼンおよび置換h6-ベンゼン化合物、およびMpの価電子殻に3乃至8個のp-電子をそれぞれ寄与できる2乃至4個の縮合環を有する化合物から選択されるh6-芳香族化合物とから選択される同一のまたは異なる配位子でp-電子に寄与する1または2個の配位子を表し、
L2は、一酸化炭素またはニトロソニウムから選択される同一のまたは異なる配位子であり、偶数個の(-電子を寄与する皆無または1乃至3個の配位子を表すが、但し、L1およびL2がMpに寄与する総電子電荷に金属Mpのイオン電荷を加えると、錯体は正味残留正電荷qを有し、qは、1または2の値を有する整数値で、錯体陽イオンの残留電荷であり、Yは、AsF6-、SbF6-およびSbF5OH-から選択されるハロゲン含有錯体陰イオンであり、rは、1または2の値を有する整数値で、錯体陽イオンの電荷qを中和するのに必用な錯体陰イオン数である。)
【0069】
有用なメタロセン塩については、米国特許番号第5,089,536号(Palazzottoら)でより詳しく述べられている。有用な塩の例としては、Cp(キシレン)Fe+SbF6-とも表示される((5-シクロペンタジエニル)((6-キシレン)Fe+SbF6-が挙げられる。メタロセン触媒の有用な量の範囲はエポキシ樹脂の約0.05乃至20重量部であり、好ましくは約0.07乃至約10部、より好ましくは約0.09乃至約3部である。メタロセン塩は、第三アルコールのシュウ酸エステルなどの反応促進剤と共に使用しても良い。
【0070】
有用な市販の光重合開始剤としては、芳香族スルホニウム錯塩であるFX-512(3M社)、芳香族スルホニウム錯塩(Union Carbide Corp.)、芳香族スルホニウム錯塩であるUVI-6974(Union Carbide Corp.)、およびメタロセン錯塩であるIRGACURE(261(Ciba-Geigy)が挙げられる。
【0071】
本発明のホットメルト組成物は、要すればヒドロキシル含有材料をさらに含んでも良い。ヒドロキシル含有材料は、ヒドロキシル官能価が少なくとも1、好ましくは少なくとも2、そして最も好ましくは約3であるいかなる液体または固体有機材料でも良い。ヒドロキシル含有有機材料は、アミノおよびメルカプト成分などその他の「活性水素」含有基を含んではならない。またヒドロキシル含有有機材料は、約100°C未満の温度で、または硬化中における化学線または電子ビーム照射への露出に際し、材料が分解したり揮発性成分を放出したりしないように熱やまたは光分解に対して不安定な基を本質的に含まない。
【0072】
好ましくは有機材料は、一次または二次脂肪族水酸基(すなわち水酸基が非芳香族炭素原子に直接結合する)を2つ以上有する。水酸基は末端に位置しても良く、あるいはポリマーまたはコポリマーから懸垂しても良い。ヒドロキシル含有材料の数平均当量は、好ましくは約31乃至2250、より好ましくは約80乃至1000、そして最も好ましくは約80乃至350である。
【0073】
ヒドロキシル官能価が1である適切な有機材料の代表例としては、アルカノール、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル、およびアルキレングリコールのモノアルキルエーテルが挙げられる。
【0074】
有用なモノマーポリヒドロキシ有機材料の代表例としては、(例えば1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,18-ジヒドロキシオクタデカン、および3-クロル-1,2-プロパンジオールなどの)アルキレングリコール、(例えばグリセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、およびソルビトールなどの)ポリヒドロキシアルカン、およびN,N-ビス(ヒドロキシエチル)ベンズアミドや、2-ブタン-1,4-ジオールや、ひまし油などのその他のポリヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0075】
有用なポリマーヒドロキシル含有材料の代表例としては、(例えばジオールに対する当量が31乃至2250でありトリオールに対する当量が80乃至350である、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレングリコールおよびトリオールなどの)ポリオキシアルキレン多価アルコール、異なる分子量のポリテトラメチレンオキシドグリコール、ヒドロキシル末端ポリエステル、およびヒドロキシル末端ポリラクトンが挙げられる。
【0076】
市販の有用なヒドロキシル含有材料としては、POLYMEG 650、1000および2000などのポリテトラメチレンオキシドグリコールのPOLYMEGシリーズ(QO Chemicals, Inc.から入手可)と、TERATHANE 650、1000および2000などのポリテトラメチレンオキシドグリコールのTERATHANEシリーズ(E.I. duPont de Nemours and Companyから入手可)と、BASF Corp.からのポリテトラメチレンオキシドグリコールであるPOLYTHFと、BUTVAR B-72A、B-73、B-76、B-90およびB-98などのポリビニルアセタール樹脂のBUTVARシリーズ(Monsanto Chemical Companyから入手可)と、TONE 0200、0210、0230、0240、および0260などのポリカプロラクトン多価アルコールのTONEシリーズ(Union Carbideから入手可)と、DESMOPHEN 2000、2500、2501、2001KS、2502、2505、1700、1800、および2504などの飽和ポリエステル多価アルコールのDESMOPHENシリーズ(Miles Inc.から入手可)と、S-107、S-109、S-1011およびS-1014などの飽和ポリエステル多価アルコールのRUCOFLEXシリーズ(Ruco Corp.から入手可)と、Dow Chemical CompanyからのVORANOL 234-630(トリメチロールプロパン)と、Dow Chemical CompanyからのVORANOL 230-238(グリセロールポリプロピレンオキシド付加物)と、SYNFAC 8009、773240、8024、8027、8026、および8031などのポリオキシアルキル化ビスフェノールAのSYNFACシリーズ(Milliken Chemicalから入手可)と、ARCOL 425、1025、2025、42、112、168、および240などのポリオキシプロピレン多価アルコールのARCOLシリーズ(Arco Chemical Co.から入手可)が挙げられる。
【0077】
本発明の組成物中で使用されるヒドロキシル含有有機材料の量は、エポキシ含有材料とポリエステル成分の双方に対するヒドロキシル含有材料の相溶性、ヒドロキシル含有材料の当量および官能価、および最終硬化組成物で希望される物理特性などの要素次第で広範囲にわたり変化する。
【0078】
オプションのヒドロキシル含有材料は、本発明のホットメルト組成物の屈曲性を調整する上で特に有用である。ヒドロキシル含有材料の当量が増加するにつれ、ホットメルト組成物の屈曲性は相応して増加するが、結果的に結合力の損失があるかもしれない。同様に当量の減少は、結果として生じる結合力の増大と共に屈曲性の損失をもたらすかもしれない。このようにしてヒドロキシル含有材料の当量は、これらの2つの特性のバランスがとれるように選択され、適切なバランスは特定の用途に左右される。
【0079】
軟質の溶融シーリング組成物は、より低温、すなわち約0°C未満でのシーリング機能のための軟質シートを形成する上で有用である。ヒドロキシル含有材料を使用して溶融シーリング組成物の屈曲性を調整する場合、グリコールについて約31乃至2250の当量、トリオールについて約80乃至350の当量を有するポリオキシエチレングリコールおよびトリオールが特に好ましい。もっと好ましいのは、グリコールについて約31乃至2250の当量、トリオールについて約80乃至350の当量を有するポリオキシプロピレングリコールおよびトリオールである。
【0080】
本発明の溶融流動性組成物は、総計100部当たり0.01乃至95部のエポキシ含有材料と、相応するように99.99乃至5部のポリエステル成分を含む。より好ましくは本発明の溶融流動性組成物は、0.1乃至80部のエポキシ含有材料と、相応するように99.9乃至20部のポリエステル成分を含む。最も好ましくは本発明の溶融流動性組成物は、0.5乃至60部のエポキシ含有材料と、相応するように99.5乃至40部のポリエステル成分を含む。ポリエステル成分に比べてエポキシ含有材料の量を増大させると、一般に最終強度と耐熱性はより高いが、屈曲性および粘度がより低い溶融流動性組成物が得られる。ポリエステル成分の量を増大させると、一般に最終強度と耐熱性はより低く、粘度がより高いが、屈曲性および生強度蓄積はより高い溶融流動性組成物が得られる。このようにしてこれらの2成分の相対量は、最終組成物に求められる特性次第で均衡が図られる。
【0081】
光重合開始剤を使用する場合、エポキシ含有材料とポリエステル成分を合わせた重量を基準にして約0.01乃至4%の範囲の量で含有される。光重合開始剤の量を増大させると、硬化速度が加速される。また光重合開始剤の量を増大させると、エネルギー露出要求量が低下する。光重合開始剤の量は、組成物が硬化すべき速度、放射源の強度、および組成物の厚さによって決まる。
【0082】
用途によっては、最初に溶融流動性組成物をシートの表面だけを放射線硬化し、その後シート全体を熱硬化することが有用である。例えば化学線硬化性エポキシポリエステルシート材料を化学線に露出してシート材料の表面を硬化し、次に図1bに示すようにシート材料がルーフ溝に沿って凹面表面を形成するよう前述のルーフ溝内に置く。次にストリップを、溝内で表面へのストリップの結合に十分な温度に加熱して、シートの厚さ全体を硬化させる。結果として、視覚的および機能的理由のための滑らかな表面を提供する一助となる被膜を持った表面が、シート材料上に得られる。
【0083】
ポリエーテル多価アルコールを含有する溶融流動性組成物は、基材への恒久的結合形成前に溶融流動性シートを表面に沿わせて、空気留りと置き換えるのに有用かもしれない。
さらに要すれば、組成物の重量または経費を減少させ、粘度を調節して付加的な強化を提供するために、(エポキシ含有材料、ポリエステル成分、光重合開始剤およびオプションのヒドロキシル含有材料を基準にして)組成物総容積の50%までを、シリカ、ガラス、粘土、滑石、顔料、着色剤、ガラスビーズまたは泡、ガラスまたはセラミック繊維、酸化防止剤などの様々な充填剤、補助剤、添加剤などで提供することもできる。硬化過程において用いられる照射を吸収できる充填剤類は、硬化過程に悪影響を及ぼさない量で使用すべきである。
【0084】
前述のポリエステルおよびエポキシポリエステル材料を含む溶融流動性組成物は、光重合開始剤を使用する場合、好ましくは化学線に対して非透過性である適切な容器中で、成分が完全に溶融混合するまで撹拌して能率的に混合できるように、成分を液化するのに十分であるが材料の熱分解を生じない高温で、様々な成分を混合して調製される。成分は同時に、または逐次的に添加できるが、最初にエポキシ含有材料とポリエステル成分を混合し、続いてヒドロキシル含有材料、次に光重合開始剤を添加することが好ましい。溶融流動性組成物は溶融相において相溶性でなければならず、すなわち成分間に視覚的に明瞭な相分離があってはならない。
【0085】
エポキシポリエステル組成物でできた溶融流動性シートは、粘着性または不粘着性でも良い。液体および固体エポキシ含有材料の混合物は、粘着性シートを提供する上で有用である。
【0086】
光重合開始剤を含有する溶融流動性シート材料は使用に際し、基材へのシート材料の塗布前、塗布中または塗布後に放射源に露出させて、エポキシ含有材料を硬化するための触媒を活性化できる。化学線(すなわち紫外線または可視スペクトル領域の波長を有する照射)を放出するあらゆる放射源へのシート材料の露出に際して、触媒の活性化が起きる。適切な放射源としては、水銀、キセノン、炭素アーク、タングステンフィラメントランプ、石英ハロゲンランプ、蛍光灯、日光、その他が挙げられる。露出時間は、触媒を活性化するのに十分でなくてはならず、関与する反応物の量とタイプの双方、放射源、放射源からの距離、およびシートの厚さ次第で、約1秒未満から20分以上の間で変化する。
【0087】
完全硬化を達成するのに必用な時間は、シート材料をオーブンの中などで加熱して硬化することで短縮できる。硬化時間および温度は、ポリエステル成分のガラス転移温度、光重合開始剤の濃度、照射露出条件などにより変化する。典型的な硬化サイクル条件は、約50乃至200°Cの温度範囲で5乃至30分間の範囲にある。シート材料を硬化するのに1つ以上の加熱サイクルを使用することもできる。
【0088】
組成物は、電子ビーム照射への露出によっても硬化できる。必要な線量は、一般に1メガラド未満から100メガラド以上である。光重合開始剤の量が増大するにつれ、特定の光露出または放射における硬化速度は増加する傾向がある。硬化速度は、照射強度または電子線量の増加に伴っても増加する。
【0089】
様々な目的のためにその他の層を溶融流動性シートに含めることもできる。第2の溶融流動性層を第1の溶融流動性シートの1主要表面に接着して、表面の形態的および美的特性を改善することもできる。
【0090】
第2の層を溶融流動性シート材料に含めて、テープの屋外耐候性を改善することもできる。
【0091】
膨脹剤、起泡剤、発泡性ポリマー微小球などの熱膨脹剤を溶融流動性テープの第2の層に含めて、表面に凸面形状を与えることもできる。
【0092】
織布または不織布ウェブまたはスクリムを溶融流動性シート材料に含めることもできる。ウェブは、接着剤を用いてまたは熱ラミネート技術によって溶融流動性層にラミネートでき、2つの溶融流動性層の間に挿入できる。不織布ウェブの添加は、溶融流動性層の流動を調節する上で有用であることが分かっている。織布または不織布ウェブは、より良い取扱適性のためにシート材料に強度を与えるためにも使用できる。
【0093】
溶融流動性シート材料の一部として含めることができるその他の材料は、熱可塑性フィルムである。好ましくはフィルムは、溶融流動性シート材料の基材への塗布において、例えばシート材料の流動および/または熱硬化を引き起こすのに必要な温度にシート材料を加熱する際に、または塗布後に例えば低温、日光、その他に露出して生じるかもしれない温度で寸法が安定している。有用なフィルムとしては、ポリウレタンフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。フィルムは塗装のための滑らかな表面を提供するために、または溶融流動性シートが表面に結合した後の完成表面として使用できる。
【0094】
熱硬化フィルムもまた使用できる。熱硬化フィルムの例としては、上述の架橋したエポキシポリエステル材料から作られるフィルム、架橋したエポキシフィルムなどが挙げられる。
【0095】
好ましいフィルムとしては、上述のエポキシポリエステル材料から作られるフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムを含めたポリエステルフィルム、超高分子量ポリエチレンフィルム、微孔性超高分子量ポリエチレンフィルム、超高分子量ポリプロピレンフィルム、超高分子量微孔性ポリプロピレンフィルム、およびポリイミドフィルムが挙げられる。超高分子量ポリオレフィンの非常に長い鎖は、加熱に際して熱可塑性材料に典型的な溶融液体流動を示さずに軟化するので、いくつかの実施例では超高分子量ポリオレフィンフィルムが好ましい。
【0096】
有用な超高分子量ポリエチレンフィルムの固有粘度は、少なくともグラム当たり約18デシリットル(dL/g)であり、固有粘度の典型的な範囲は約18乃至39 dL/gであり、好ましい範囲は18乃至32 dL/gである。有用な超高分子量ポリプロピレンフィルムの固有粘度は、少なくとも6 dL/gである。固有粘度の典型的な範囲は6乃至約18 dL/gであり、好ましい範囲は6乃至16 dL/gである。
【0097】
熱硬化および熱可塑性フィルムの両者とも、露出する温度で寸法が安定していなくてはならない。寸法が安定していると言うことは、フィルムが使用温度、特に約120乃至200℃で20乃至40分間の溶融シーリング層の熱硬化サイクルの間に十分な完全性を有し、溶融および流動しないことを意味する。またフィルムは、溶融シーリング温度に加熱し、続いて冷却した時にしわを作らない。またフィルムは十分な完全性を有し、溶融シーリング層内の空気留りがフィルムを透過して膨張し、欠陥を生じるのを防止する。溶融シーリング層にラミネートされ、溶融シーリング層を表面に結合するのに必用な温度に加熱された後に、フィルムの下降ウェブおよび横行ウェブ収縮は、好ましくは約5%未満であり、より好ましくは約3%未満であり、最も好ましくは約2%未満である。高度に好ましい実施例では、フィルムの下降ウェブ方向の収縮は1%未満であり、横行ウェブ方向の収縮は0.5%未満である。
【0098】
用途によっては、フィルムが特定量の収縮をして、下にある溶融シーリング材料の流動の調節を助けることが望ましい場合もある。
【0099】
フィルムに添加剤を含めて、塗料付着性や熱安定性などの様々な特性を改善したり、またはフィルムにそれらの特性を与えることもできる。これらの目的のために有用な材料としては、シリカ、滑石、沸石、カオリナイト、雲母、アルミナシリカゲル、ガラスなどのシリカ含有充填剤と、炭素質材料と、無機金属酸化物と、硫化物と、硫酸塩と、炭酸塩とが挙げられる。例としては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、ジルコニア、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウムが挙げられる。好ましい充填剤はシリカおよび粘土であり、好ましいシリカ含有充填剤は沈降シリカ、シリカゲルおよびヒュームドシリカである。充填剤は、フィルムの総重量を基準にして約5乃至90重量%使用できる。
【0100】
好ましい実施例では、フィルムはフィルム総重量の50乃至90重量%のシリカ含有充填剤と、フィルム全体にわたりフィルムの35乃至80容量%を占める連続孔の網目状組織とを有する微孔性超高分子量微孔性ポリオレフィンフィルムである。
【0101】
有用な市販のフィルムとしては、PPG IndustriesからTeslin(の商品名の下に販売される微孔性フィルム、およびICI AmericasからMelinex(商品名の下に販売されるポリエステルフィルムが挙げられる。
【0102】
適切な微孔性フィルムについては、米国特許番号第4,861,644号(Youngら)および4,439,256号(Shipman)でも述べられている。
【0103】
寸法安定フィルムは、単独でまたは組み合わせて使用できる。例えば適切な構造体は、寸法安定フィルムとして厚さ0.003インチのポリエステルフィルムを含み、ポリエステルフィルムにラミネートされた熱硬化エポキシポリエステル材料の厚さ0.0005インチのフィルムを有する。ポリエステルのようにより高温で良好な寸法安定性を有するフィルムを、同一温度で寸法安定性のより低いフィルムにラミネートすることもできる。このような構造体の例は、厚さ0.003インチのポリエチレンテレフタレートフィルムにラミネートされた厚さ0.001インチのエチレンビニルアルコールフィルムである。組み合わせフィルムは、例えばホットメルト接着剤またはラミネート接着剤などの接着剤でフィルムを共に接着ラミネートする、フィルムを同時押出し成形する、より安定したフィルム上にフィルムを押出しコーティングし、要すればコーティングを硬化させるなどの従来の方法によって形成できる。
【0104】
フィルムの熱安定性を改善するための従来の方法によってフィルムを改善して、熱安定化できる。通常はこのような処理には、最大使用温度を超える温度でストレスを与えることなくフィルムを加熱することが含まれる。
【0105】
寸法安定フィルムは、溶融シーリング層および塗料または下塗剤の一方または両方に対するフィルム付着性を改善するために加工できる。このような加工としては、コロナ処理、火炎処理、化学的下塗、化学的グラフトなどが挙げられる。加工は、ポリオレフィンフィルムに対して特に有用である。
【0106】
好ましい実施例では、自動車産業で使用されるような標準塗料や下塗剤を容易に受容する表面を提供する第2のフィルムに、寸法安定フィルムを付着させる。このようなフィルムの実施例としては、エチレンビニルアルコールや上述のエポキシポリエステルで作られたフィルムが挙げられる。
【0107】
異なる溶融流動特性を有する2つ以上の溶融流動性層を共にラミネートして、溶融流動性シート材料を形成することもできる。例えば加熱時に上層が流動して下層を封入するように、上層の流動特性が下層よりも大きくなるように配合する一方、取扱適性を向上させるために下層がより高い強度を持つように配合することもできる。
【0108】
その他の実施例では、溶融流動層の加熱前に溶融流動性シートを表面上に配置できるように、感圧性接着剤(PSA)層を溶融流動性層に付着することもできる。溶融流動層は、わずかに流動してPSAの周囲を流動せずに溶融流動性シートに丸みのある稜線を提供するか、あるいは十分に流動してPSAの露出端がなくなるようにPSAを封入するかのどちらかである。
【0109】
有用なPSAとしては、ホットメルトコーティングまたは溶剤コーティングできるスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーなどのブロックコポリマーPSAと、アクリロニトリルPSAと、アルコール成分中の炭素原子約4乃至12個と、オプションの共重合性強化モノマーとを有する非第三アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルを溶剤重合、エマルジョン重合、および照射重合など既知の技術を用いて重合したコポリマーのようなアクリル酸PSAと、天然ゴムPSAと、シリコンPSAと、酢酸ビニルPSAとが挙げられる。PSAをシート上に直接コーティングしPSAを硬化させる、または溶剤を蒸発させる、PSA転写テープをシートにラミネートする、ホットメルトPSAを溶融流動性層と共に共押出しするなどの既知の技術によって、PSAは溶融流動性シートに結合できる。
【0110】
好ましい実施例では、PSAはアクリル酸コポリマーである。コポリマーで使用するのに有用なエステルとしては、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0111】
共重合性強化モノマーを使用する場合、それはアクリルまたはメタクリルエステルから調製されたホモポリマーのガラス転移温度より高いホモポリマーガラス転移温度を有するモノマーである。有用な強化モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸イソボルニル、N-ビニルピロリドン、アクリロニトリル、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピペリジン、およびN,N-ジメチルアクリルアミド、およびイタコン酸が挙げられる。
【0112】
強化モノマーを使用する場合、アクリルまたはメタクリルエステルは一般に約50乃至100重量部存在し、強化コモノマーは相応して約50乃至0重量部存在する。
【0113】
上述の感圧性接着剤は、酢酸エチルなどの有機溶剤中でアゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤を混合して、モノマーを希望する割合で添加し、次に80oC程度の高温で重合が完結するまで加熱して既知の方法で調製できる。また接着剤は、UV重合およびE-ビーム重合によって当技術分野では既知の方法で調製できる。また感圧性接着剤は、多数の供給業者から接着剤転写テープとして市販されている。このようなテープとしては、Minnesota Mining and Manufacturing Co.から全て市販される製品番号465、467、および468が挙げられる。
【0114】
別の実施例では、溶融流動性シート材料は、室温で粘着性且つ感圧性であり、加熱後に熱硬化接着剤に硬化する熱硬化性PSAの層を含むことができる。このタイプの溶融流動性シート材料は、熱硬化性PSA側の第1の表面に結合するシートに、2表面をより低温で、すなわち室温前後で共に結合し、次に溶融流動性側の第2の表面により高温で、すなわち溶融流動性層の溶融温度前後で結合するのに有用である。基材をより高い温度に加熱すると、PSAは硬化して、非常に高い結合強度を有する熱硬化接着剤を形成する。この用途では、溶融流動性材料が結合から流れ出さないように、より高い温度で流動性が最小の溶融流動性層を選択できる。
【0115】
この実施例のための好ましい溶融流動性層としては、前述のポリエステルおよび官能基付与オレフィン族ポリマーが挙げられる。
【0116】
適切な熱硬化性PSAとしては、熱硬化性成分および感圧性接着剤成分が挙げられる。熱硬化性成分は、一般にPSA成分の100重量部を基準にして、約25乃至150重量部存在する。
熱硬化性PSAのためのコーティング可能な組成物は、以下の様々な方法で形成できる。溶剤ベースのPSA、熱硬化性樹脂、および熱硬化性硬化剤を共に混合する。ニトリル-ブタジエンゴムなどの感圧性エラストマーを溶剤中で溶解し、熱硬化性樹脂および硬化剤と混合する。前述のアクリル酸コポリマーを製造するためのモノマーなどのPSAの製造に有用なモノマーまたはプレポリマーを熱硬化性樹脂および硬化剤と混合し、混合物を光重合する。
【0117】
PSA成分のために有用な材料としては、PSAについて上述したものが挙げられる。好ましい材料としては、アクリロニトリルおよびアクリレートが挙げられ、特に好ましいのはアクリレートである。
【0118】
熱硬化成分は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、およびフェノール樹脂などの熱硬化樹脂である。好ましい熱硬化樹脂は、エポキシおよびウレタンであり、エポキシが最も好ましい。有用なエポキシ樹脂については上述した。エポキシがPSA成分と混合できる限りは、エポキシ樹脂は固体、液体またはそれらの混合物でも良い。好ましいエポキシとしては、フェノールエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、水素付加エポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールエポキシ樹脂、ノバラックエポキシ、およびそれらの混合物が挙げられ、最も好ましいエポキシとしては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0119】
好ましい実施例では、熱硬化性PSAは、(i)上述したようなアクリル酸またはメタクリル酸エステルのプレポリマーシロップ(すなわち部分的に重合して、通常は約100乃至10,000センチポアズの粘稠なシロップになった)またはモノマーシロップ、(ii)要すれば上述したような強化コモノマー、(iii)エポキシ樹脂、(iv)光重合開始剤、および(v)エポキシのための熱活性化硬化剤を有する組成物の光重合反応生成物である。接着剤は、米国特許番号第5,086,088号にある手順に従って調製できる。
【0120】
プレポリマーシロップまたはモノマーシロップを重合するのに有用な光重合開始剤は、例えば紫外線によって活性化する従来のフリーラジカル重合開始剤のいずれでも良い。適切な光重合開始剤の例は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Ciba-Geigy Corporationから入手できるIrgacure(651)である。光重合開始剤は、モノマーを重合するのに十分な量使用され、典型的にはプレポリマーシロップまたはモノマーシロップ100部当たり約0.01乃至5重量部使用される。
【0121】
熱活性化硬化剤は、加熱時にエポキシ樹脂を硬化させるために組成物に添加される。硬化剤はいかなるタイプでも良いが、好ましくはジシアンジアミドおよびポリアミン塩などのアミンタイプの硬化剤である。適切な商業的硬化剤は、Omicure(tm)の商標の下にOmicron Chemicalから、Ajicure(の商標の下にAjinomoto Chemicalから入手できる。硬化剤はエポキシ樹脂を硬化するのに十分な量使用され、典型的にはエポキシ樹脂100部当たり0.1乃至20重量部、そして好ましくは0.5乃至10重量部使用される。
【0122】
組成物が曝される熱は、硬化剤を完全に活性化してエポキシ樹脂を硬化するには不十分かもしれないので、促進剤を接着剤組成物にさらに追加することは有用である。促進剤は、より低温および/またはより短い露出時間で接着剤が硬化できるようにする。本発明の実施例では、イミダゾールおよび尿素誘導体が特に好ましく、有用な化合物としては、2,4-ジアミノ-6-(2'-メチルイミダゾール)-エチル-s-トリアジンイソシアヌレート、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、ヘキサキス(イミジゾール)ニッケルフタレート、およびトルエンビス-ジメチル尿素が挙げられる。促進剤は、エポキシ樹脂100重量当たり20重量部まで使用しても良い。
【0123】
熱硬化性PSAを有する溶融流動性シートの製造においては、前述の溶剤ベースの組成物を好ましくはシリコン塗布剥離ライナーである軟質のウェブに希望する接着剤の厚さにコーティングし、接着剤を熱硬化温度未満に加熱して溶剤を除去する。次に接着剤を、将来の使用のために溶融流動性シートにラミネートする。代案としては、組成物を溶融流動性シート上に直接コーティングして、ホットメルト活性化温度未満の温度で乾燥することもできる。
【0124】
代案の実施例では、シロップ組成物をシリコン剥離ライナー上にコーティングし、不活性雰囲気、すなわち窒素雰囲気などの本質的に酸素フリーの雰囲気中で光重合して、組成物を紫外線で照射して、上述の熱硬化性PSA成分を有する光重合したシロップ組成物が調製される。十分な不活性雰囲気は、コーティングを本質的にUV照射透過性である第2のポリマーフィルムでカバーして、フィルムを通して照射することで達成される。次に接着剤を溶融流動性層にラミネートする。代案としては、上部または下部剥離ライナーどちらかの代わりに溶融流動性層のシートを使用することもできる。
【0125】
さらに取り扱いの目的のために、不織布または強化スクリムを層の間に挿入、または熱硬化PSA層内に抱埋して付加的な強度を提供しても良い。
【0126】
熱硬化性PSAを有する前述の溶融流動性シートは、自動車組み立てにおけるワッシャー結合に対して特に有用である。ワッシャーは、例えば打抜きまたは押抜きプレスでワッシャーの大きさと形状に切断した1片の熱硬化性PSAに、ワッシャーをラミネートして調製される。次に溶融流動性側をより高い温度での結合に利用できるように露出して、切断した熱硬化性PSAを手動でまたは自動化機械によってワッシャーにラミネートする。代案としては、ワッシャー製造に適切な金属シートに熱硬化性PSAを結合する。シートの溶融流動性層は、室温で不粘着性である。次に希望する寸法のワッシャーを金属シートから打ち抜く。
【0127】
使用の際には、ワッシャーはドアを位置合わせして自動車のフレームに取り付ける際に、ボルトをドアヒンジに締め付けるために使用される。次に自動車を塗装し、オーブン硬化サイクルに通して乾燥し塗料を硬化させる。シートの溶融流動性側もオーブン中で十分に溶融して、フレームの金属表面に強固に結合する。次に内装品の装着のためにドアを除去し、ドアはワッシャーの位置が示す整列位置に再装着できる。このワッシャー結合方法により、組み立てにおけるワッシャーの自動分配が可能になり、既知のワッシャー結合方法に関連したライナーおよび接着剤汚染問題が排除される。
【0128】
ワッシャー結合用途では、溶融流動性シートの厚さは好ましくは約10乃至250 (mであり、最も好ましくは25乃至100 (mである。厚さが約 250 (mを超える場合、熱硬化操作中に溶融流動性材料がワッシャーから漏出するかもしれず、それがワッシャーと自動車のフレームの間の結合強度に影響することもある。熱硬化感圧性接着剤層の厚さは、約10乃至300 (m、好ましくは約30乃至200 (mの範囲にあるべきである。
【0129】
試験法
重なり剪断強度
2.54 cm x 1.27 cmの大きさの溶融流動性テープのストリップを用いて、2枚の2.5 cm x 5 cmのPPG ED-11パネル(Advance Coating Technologies, Inc.,から入手できる電着下塗り鋼、ここではED-11パネルとも称する)を2.54 cm x 1.27 cm重ね合わせて結合した。サンプルを加熱して、特定例に示した温度で2枚のパネルを共に結合し、次に少なくとも16時間室温で冷却した。パネルをInstron(tm) 引張り試験機で、1分当たり5 cmのクロスヘッド速度を用いて試験した。接着剤破損時の力をメガパスカル(MPa)で記録した。
【0130】
ワッシャー結合に対する接着剤剪断強度
接着剤剪断強度は、JISK6850に従って測定した。厚さ1.6 mmの鋼パネル2枚を基材として使用した。パネルの間に接着剤を置き、次に圧力500 g/cm2で60分間、温度140°Cで硬化した。次に試験前にパネルを室温に冷却した。引張り試験機を使用して50 mm/分間のジョー分離速度で、接着剤剪断強度を測定した。
好ましい接着剤は、50 kgf/cm2を超える剪断強度を有する。
【0131】
押抜き性能
圧力操作押抜きプレスを使用して30 kgf/cm2の圧力で、結合材料をワッシャーの孔に対応するように丸く押抜いた。結合材料当たりのサンプル数は5個だった。以下の判定基準の下でサンプルを評価した。
良好:押抜き不良なし。感圧性熱硬化接着剤は、ホットメルトフィルムから漏出しない。横断面は良好に見える。
押抜きが比較的困難:1個または2個のサンプルが不完全に押抜かれた。熱硬化接着剤は、ホットメルトフィルムからわずかに漏出した。
【0132】
接着剤の漏出
接着剤剪断強度の測定に使用したサンプルを用いて、鋼パネルからの感圧性熱硬化接着剤またはホットメルトフィルムの漏出について視覚的に検査した。判定基準を以下に示す。
漏出なし:Ok
わずかな漏出量:良好
大きな漏出量:不良
【0133】
発明の特定の実施例を次の限定を意図しない実施例で説明する。部は特に断りのない限り重量部を表す。
【0134】
実施例1-2
実施例1では、100部のヒドロキシ官能基半結晶質ポリエステル樹脂(Huls Americaから入手できるDynapol(1402)を約110°Cに加熱して溶融混合物を形成し、溶融流動性シートを調製した。溶融混合物を(127°Cに加熱した)ナイフバーコーター上でシリコン塗布クラフト紙にコーティングして、厚さ1.0 mmのシートを形成した。室温に冷却されたシートは、約2時間後に不透明になり結晶化が起きたことが示唆された。
【0135】
実施例2では、10部のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(Shell Chemical Companyから入手できるEPON(828)を89部のDYNAPOL(S1402および1部のトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(described in米国特許第4,321,951号の5欄48行から7欄48行に述べられている)と混合し、約110°Cで約1時間混合して溶融流動性シートを調製した。結果として得られた混合物を(127°Cに加熱した)ナイフバーコーター上でシリコン塗布クラフト紙にコーティングして、厚さ1.0 mmのシートを形成した。シートを室温に冷却した。
【0136】
実施例1および2の試験
より大きなアルマイトパネル(以下ステップパネルと称する)に交差させた2.5 cm幅のアルマイトストリップに、約 2.5 cm x 7.6 cmの大きさの実施例1および2のサンプルテープを交差させて置き、177°Cのオーブンで30分間加熱した。双方のテープは流れ出し、カド丸で滑らかな移行を有する美的に好ましい滑らかな表面をアルミニウムストリップとパネルの間に提供した。またテープは、パネル上のストリップの原寸法を超えて流れ出し、パネルに頑強に接着した。
【0137】
次に各実施例を1.9 cm幅で約25.4長さのストリップに切断し、1.9 cmの内側幅を有するU字型溝内に置いた。各U字型溝は、2片の冷間圧延鋼を90°の角度に曲げ、U字型内にステップダウン接合部が形成するように断片を共に点溶接して形成した。ストリップが付着したU字型溝を約15°の角度に傾けて、177°Cのオーブンで30分間加熱し室温に冷却した。双方のストリップは流れ出して接合部を効果的にシールし、表面に段差接合部を見せずに滑らかな表面を溝に与えた。
【0138】
双方のストリップの下端にU字型溝の上で印を付け、次に双方のU字型溝を120°Cのオーブンに15°の角度で30分間入れて、次に冷却した。引き続く加熱による流動は、実施例1で約3.2 mmであり実施例2で約25.4 mmだった。
【0139】
各実施例1および実施例2のさらに別のサンプルを上述したようなステップパネルの上で試験し、177°Cで30分間加熱した。全部で4つのサンプル(前もって加熱サイクルに露出させた2つのオリジナルサンプル、および引き続く加熱サイクルに露出させていない2つの新しいサンプル)を白色水性下塗り剤(PPG Industriesから入手できるHWB90934)で塗装し、121°Cで5分間加熱した。二液型透明塗料(どちらもPPG Industriesから入手できるCNCT2AHパートAおよびCNCT2BEパートB)を製造業者の取扱説明書に従って混合し、4枚のパネルにスプレー塗装した。次にパネルを140°Cで30分間加熱してから冷却した。溶融流動性ストリップ上の塗料仕上げの光沢、色および(その鏡様の品質の指標である)イメージの明瞭さは、周囲の金属表面と同一であった。溶融流動性ストリップと金属表面の間の塗料の移行は滑らかで、分割線または塗料端分離の徴は見られなかった。
【0140】
塗装前に一度加熱してテープを溶融流動化したサンプルを、120°Cのオーブンに30分間入れた。冷却後、パネルおよび表面のどちらにも付加的な流動は観察されず滑らかで美的な好ましさが保たれた。実施例2の溶融流動性ストリップの付いたパネルは、オーブン温度で表面にわずかにしわができたが、室温に冷却するとしわは消えた。
【0141】
前述の実施例および試験は、シールされ美的に好ましく塗装可能な表面を金属表面に与える本発明の好ましい実施例を例証する。
【0142】
実施例3
実施例1の溶融流動性層を2.5 cm x 7.6 cmの大きさのストリップに切断し、ED-11パネル上にのせて177°Cのオーブンで30分間加熱した。次にパネルを冷却して、上述した白色下塗りおよび透明塗料で塗装し、121°Cのオーブンに30分間入れて塗料を硬化させた。溶融流動性テープは、パネル上に丸みのある稜線を有する盛上りを作った。引き続きパネルを177°Cのオーブンに水平に入れて30分間にわたり加熱したが、塗料表面または盛上りの歪みにも影響はなかった。次にパネルを177°Cのオーブンに30分間、水平から75°の角度で入れた。パネルが加熱するにつれ、盛上りは涙滴形状になり、残りの塗料表面はそのままであった。パネルを75°の角度で室温に冷却すると、盛上りは元の形状に戻った。
【0143】
塗料層を貫いて溶融流動性層に達するピンホールが開いている以外は同一のパネルを75°の角度で再加熱した。加熱すると、下にある溶融流動性層は依然として熱可塑性であり、ピンホールからにじみ出た。
【0144】
前述の実施例は、塗料と溶融流動性シート材料の間の反応境界面の形成を例証する。
【0145】
実施例4
約2.5 cm x 7.6 cmの大きさの実施例1の溶融流動性シートのストリップをシリコン剥離剤塗布ポリエステルフィルムの上にのせ、テープが透明になり非晶質になったことが示されるまで177℃のオーブンに入れた。ストリップをオーブンから取りだして、室温(21乃至23°C)に冷却した。依然として透明なストリップは、十分な粘着性を有し、室温でED-11に接着した。次にパネルを120°Cで10分間加熱してストリップをパネルに接着し、次に177°Cで30分間再加熱した。次にサンプルを塗装し、140°Cのオーブンで30分間硬化した。
【0146】
この実施例は、本発明の実施例を基材に恒久的に結合する前に、一時的に基材上に置く方法を例証する。
【0147】
実施例5
実施例1の溶融流動性シート材料をアクリル酸PSA転写テープ(Minnesota Mining & Manufacturing Co.から入手できる467接着剤転写テープ)にラミネートした。2.5 cm x 7.6 cmの大きさのストリップをアルマイトパネルにラミネートし、2.54 cmx 1.27 cmのストリップを上述したED-11重なり剪断パネルにラミネートした。サンプルを177°Cのオーブンに15分間入れ、不透明になるまで室温で冷却した(約90分間)。
【0148】
アルマイトパネル上のサンプルは良好に接着し、溶融流動性シートはPSAを封入した。重なり剪断サンプルを試験すると、平均重なり剪断強度は平方インチ当たり253.8 ポンドであった。破損は、PSAと溶融流動性シートの間に密着していることが観察された。
【0149】
上の例は、加熱して表面をシールするまでシートを所定位置に保持するのに、溶融流動性シート上のPSA層が有用であることを例証する。
【0150】
実施例6-10
結晶化度の異なる2種のヒドロキシ官能基ポリエステルを混合し、実施例1に述べたようにコーティングしてシートを形成した。結晶化速度の指標として、シートが不透明に戻るのにかかる時間を測定した。使用したポリエステル材料は、結晶度の低いポリエステル樹脂であるDynapol(1402、および結晶化度のより高いポリエステル樹脂であるDynapol(1359であった。各樹脂の量は表1に示した。表1に示した詳細からは、結晶化速度が変化することが示される。
【0151】
【表1】
【0152】
実施例11-18およびC1-C3
流動および塗料付着性について、様々な熱可塑性材料を評価した。材料は厚さ1乃至3 mmのシートで提供された。実施例11は厚さ1 mmのシートを調製したこと以外は実施例1と同様にして調製し、実施例12は厚さが1 mmであること以外は実施例2と同様にして調製した。剥離剤塗布ポリエステルライナーの間に材料のペレットを置き、材料が厚さ約0.08乃至0.15 mmのシートに融合するまでアイロンで加熱して、残りのシートを調製した。複数のシートを共に折り畳んで、より厚い約1乃至3 mmの大きさのシートを形成した。
【0153】
サンプルを(上述した)177°Cのステップパネル上に20分間のせて、流動特性を記録した。
【0154】
次にサンプルを白色水性下塗り剤(PPG Industriesより入手できるHWB90934)で塗装し、140°Cで5分間加熱した。二液型透明塗料(どちらもPPG Industriesから入手できるCNCT2AHパートAおよびCNCT2BEパートB)を製造業者の取扱説明書に従って混合し、4枚のパネルにスプレー塗装した。次にパネルを140°Cで30分間加熱してから一晩冷却した。次にパネルを140°Cで20分間再加熱した。
【0155】
材料は次のように試験した。(1)加熱後塗装前の流動について(OKは材料が流動するが粘着性を保つことを示し、Lは材料が液化したことを示す。)(2)塗装後、塗料硬化後、および再加熱後の塗装品質(OKは表面の外観が良好なことを示し、破損は塗料がひび割れしたりまたは硬化しないことを示す。)(3)再加熱後(OKは外観に変化が生じないことを示し、縁は塗料がシートの外縁でひび割れしたことを示す。破損は塗料がひび割れしてポリマーがひび割れから流れ出したことを示す。)(4)ASTM D3359-90に従って試験した溶融流動性シートに依然として付着する塗料の百分率として表されるクロスハッチ付着性について(100%が望ましい。破損は試験実施前にサンプルが破損したことを示す)。詳しい試験結果は表2に示した。
【0156】
【表2】
A - Sherex Co.から入手できるTS-1502
B - BUTVAR(B79 - Monsanto Co.から入手できるポリビニルブチラール
C - Surlyn(1605 - DuPont Co.から入手できるエチレンアクリル酸フィルム
D - Primacor(3440 - Dow Chemical Co.から入手できるエチレンアクリル酸
E - Elvax(260 - DuPont Co.から入手できるエチレン酢酸ビニル
F - SCX 8008 - J.C. Johnson Co.から入手できるアクリル多価アルコール
G - Union Carbideから入手できるCarbowax(8000
H - Union Carbideから入手できるCarbowax(20M
I - Aldrich Chemicalから入手できるTMP(トリメチロールプロパン)
*加熱時塗料表面にしわがあったが冷却時表面は滑らかになった
**塗料フィルムは脆かった
【0157】
実施例19-21
実施例19は、厚さが約 2 mmであること以外は実施例1と同様にして作成した溶融流動性シートである。実施例20は、実施例1と同様にして調製した2枚のシートを2枚のシート間のナイロン不織布と共に使用して、厚さ1.27 mmに調製した。不織布(Fiberweb N.A.から入手できるCEREX()は、平方ヤード当たり0.3オンスであり、2枚のシリコン塗布ポリエステル剥離ライナーの間の第1のシートに加熱したアイロンでラミネートした。次に第2のシートを同様にしてラミネートした。シートはラミネート加工中に透明になった。実施例21は、ポリエステル不織布材料(平方ヤード当たり0.5オンスのReemayから入手できるReemay 2250)を使用したこと以外は、実施例20と同様にして調製した。
【0158】
実施例19-21を2.54 cm x 20.3 cmのストリップに切断し、ED-11下塗り済み金属パネルを曲げて形成した曲面金属表面上に、水平から約30°で始まる角度に縦方向に置いて試験した。曲がったパネルを177°Cのオーブンに10分間入れた。冷却後、実施例19は、パネルの側面に顕著な流れ落ちがあることが観察された。実施例20にはわずかな流動があったが、ナイロンの収縮のために約8%収縮した。実施例21にもわずかな流動があったが、収縮はなかった。
【0159】
前述の実施例は、溶融流動性シートを流動調節するための不織布スクリムの使用方法を例証する。
【0160】
実施例22および23
実施例2と同様にして、厚さ0.076 mmのシートを調製した。実施例22のシートをUV照射(低線量ブラックライト)に5分間露出した。次に各実施例のシートを切断し、重ねて厚さ0.72 mmのシートを作った。次にシートを2.54 cm x 7.62 cmのストリップに切断し、2枚の重なり合う金属パネル上に垂らしかけ、次に177°Cで30分間加熱した。図5aおよび5bは、加熱前(図5a)および加熱後(図5b)のパネルおよびシートを表す。パネルを冷却すると、双方の実施例は、継目をシールするのに十分な流動性を示した。照射しなかったサンプルである実施例23は、重なり合うパネル中の段差の上により滑らかなプロフィールを有し、パネル中の段差は実施例22でより目立った。次にパネルをBASFからの黒色下塗り剤でコーティングして硬化し、二液型透明塗料で重ね塗りして硬化した。双方のサンプルは良好に塗装され、クロスハッチ付着性は100%であった。
【0161】
上の実施例は、表面順応性がシート材料の照射によりどのように変化するかを例証する。
【0162】
実施例24
シクロ脂肪族エポキシ(Union Carbideより入手できるERL-4221)10部と、低結晶度の飽和直鎖コポリエステル(DYNAPOL(S1402)89部と、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩1部とを混合して組成物を調製し、2 mm厚さにコーティングしたこと以外は実施例2と同様にして、架橋性溶融流動性シートを調製した。厚さが2 mmだったこと以外は実施例1と同様にして、第2の溶融流動性シートを調製した。2枚のシートをシリコン剥離剤塗布ポリエステルライナーの間でそれぞれの上に置いて、177°Cで10分間加熱して厚さ4 mmのシートを形成した。幅約2.54 cmにストリップを切断し、架橋性シートを上にして幅1.25 cm深さ約1.9 cmのルーフ溝原型内に置いた。ストリップを置いた原型を177°Cのオーブンに20分間入れた。冷却後、ストリップは原型の縦方向に沿って、美的に好ましい凹面表面を保持した。下層は溶融して原型の接合部内に流れ込み、テープの側面は溝の側面に頑強に結合して溝を効果的にシールした。空気留りがいくつか見られたが、これらはテープの厚さと関連があるかもしれない。
【0163】
実施例25
E.I.T.(バージニア州スターリングのElectronics Instrumentation & Technology, Inc.,)からのUvirad放射計(型番号VR365CH3)を用いて、実施例24の厚さ2 mmの架橋性溶融流動性シートをUVブラックライトに20秒間露出して、総エネルギー160 mJ/cm2(平方センチメートル当たりミリジュール)で表面を光分解した。実施例24のようにストリップを切断し、光分解側を内側にして縦方向に折り目を付け、次に実施例24に述べたように原型ルーフ溝内に光分解側を上にして置いた。次に原型を77°Cで20分間加熱した。より薄いストリップは、ストリップとルーフ溝原型の側面との間により滑らかな移行線を提供する一方で、原型の側面に頑強な結合を提供した。ストリップと原型との間に空気留りがいくつか観察されたが、泡はストリップの美的に好ましい表面特性には影響しなかった。
【0164】
実施例26-34
表3に示すように組成物と材料を変えたこと以外は、実施例2に述べたようにして溶融流動性シートを調製した。実施例26-31は厚さ2 mm、そして実施例32-34は厚さ1 mmだった。実施例は全て良好な流動特性を示し、塗料付着性は全サンプルについて100%であった。
【0165】
【表3】
PET - Dynapol(S1402)
エポキシ1 - ビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルオリゴマー(Shell Chemical Co.から入手できるEpon(1001)
エポキシ2 - Epon(1002)
エポキシ3 - ビスフェノール-Aのジグリシジル エーテル(Shell Chemical Co.から入手できるEpon(828)
触媒1 - トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩
触媒2 - 米国特許番号第5,089,536号に述べられている
(eta6-キシレン(混合イソマー))(eta5 シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアニモネート
【0166】
実施例35
実施例1と同様にして厚さ0.254 mmの溶融流動性シートを調製した。次のようにして第2の層を調製した。
【0167】
アクリル酸ブチルとN-ビニルカプロラクタムの50/50混合物を混ぜ合わせ、溶液を形成した。アクリル酸ブチル75部、アクリル酸ブチル/N-ビニルカプロラクタム溶液75部、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマー(Rohm and Haas, Co.より入手できるAcryloid(B-60)50部、およびビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルオリゴマー(Epon(1001)110部をエポキシおよびコポリマーが溶液になるまでローラーミル上のジャー中で混合して、溶融流動性組成物(アクリレート57.7%およびエポキシ42.3%)を調製した。この溶液に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Ciba-Geigyより入手できるIrgacure(651)0.15部、酸化防止剤(Ciba-Geigyより入手できるIrganox(1010)0.15部、四臭化炭素1.0部、ジシアンジアミド(SKW Chemicalより入手できるDYHARD(100)3.86部、ヘキサキス(イミジゾール)ニッケルフタレート1.38部、ガラス泡(Minnesota Mining and Manufacturing Co.より入手できるC15-250ガラス泡)2部、およびシリカ(Cabot Corp.より入手できるCab-o-sil(M-5)7部を添加した。組成物を高剪断ミキサーで混合して、ローラーミル上で約24時間混合した。次に組成物をガス抜きし、シリコンコーティング済みのポリエステルライナーに約2.0乃至0.05 mmの厚さにナイフコーティングした。次にコーティングした組成物を300 nmと400 nmの間に90%の発光を有し、最大発光が351 nmである紫外線源に露出した。ウェブ上の光強度は1.88 mW/cm2(平方センチメートル当たりミリワット)および1.29 mW/cm2であった。使用した全エネルギーは、653.8ミリジュールだった。結果として得られた溶融流動性テープは、室温(約21°C)で本質的に不粘着性だった。
【0168】
各シートからポリエステルライナーの1枚を剥がし、第1および第2の溶融流動性シートを約65.6°Cに設定したアイロンで共にラミネートして、溶融流動性複合シートを形成した。
【0169】
複合シートのストリップを表面に浅い窪みがある金属パネル上にシートの第1の層を金属表面に向けてのせ、177°Cで30分間加熱して次に室温に冷却した。実施例38は窪みからの表面欠陥を示さなかった。比較として、上述した第2の層のみを有するシートを同じようにして試験した。第2のシートの表面には、窪みの上を覆うシートの中心に目に見えるへこみがあった。
【0170】
実施例36
約250°Cに設定したフラットTダイ上で、アクリル酸含有量9%のエチレンアクリル酸(Dow Chemical Co.より入手できるPRIMACOR 3440)の厚さ0.076 mmの層を押出して、溶融流動性シートを調製した。
【0171】
アクリル酸ブチルとN-ビニルカプロラクタムの50/50混合物を約50°Cに加熱して、溶液を形成した。アクリル酸ブチル120部、アクリル酸ブチル/N-ビニルカプロラクタム溶液80部、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマー (Rohm and Haas, Co.より入手できるAcryloid(B-60)50部、およびビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルオリゴマー(Shell Chemical Co.より入手できるEpon(1001)200部をエポキシおよびコポリマーが溶液になるまでローラーミル上のジャー中で混合して、溶融流動性組成物(アクリレート50%およびエポキシ50%)を調製した。この溶液に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Sartomerより入手できるKB-1)0.2部、酸化防止剤(Ciba-Geigyより入手できるIrganox(1010)0.2部、四臭化炭素0.8部、ジシアンジアミド(SKW Chemicalより入手できるDYHARD(100)7.0部、ヘキサキス(イミジゾール)ニッケルフタレート3.0部、ガラス泡(Minnesota Mining and Manufacturing Co.より入手できるC15-250ガラス泡)4部、およびシリカ(Cabot Corp.より入手できるCab-o-sil(M-5)14部を添加して、混合物を形成した。混合物を実施例38の手順に従って混ぜ合わせ、塗布して硬化し、溶融流動性テープを形成した。
【0172】
上述したようにアイロンでホットメルト接着剤層を熱硬化性溶融流動性テープにラミネートして、接着剤複合材を調製した。
【0173】
実施例37
アクリル酸ブチル76部、N-ビニルピロリドン24部、およびIrgacure(651光重合開始剤(Ciba Geigyから入手できる2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)0.04部を混合し、絶え間ない窒素パージ下で紫外線(UV)源で光重合して、粘度が約2000 cpsのシロップを形成し、感圧性接着剤組成物を調製した。絶え間なく混ぜ合わせながら、以下の材料をアクリレートシロップ100部に添加して約2時間混合した。IrgacureTM651を0.1部、ビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルオリゴマー(Shell Chemical Co.より入手できるEpikoteTM1001)を40部、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(Shell Chemical Co.より入手できるELA 128)を50部、ジシアンジアミド(Omicron Chemical Co.より入手できるCG1200)を3.5部、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾイル-(1')]-エチル-S-トリアジンイソシアヌレート付加物(Shikoku Chemical Co., Ltd.より入手できる2MA-OK)を6.0部、ヒュームドシリカ(DeGussaより入手できるAerosilTM972)を5.0部、およびヘキサンジオールジアクリレートを0.03部。次に混合物をガス抜きし、厚さ約0.05 mmの透明シリコン塗布ポリエステル剥離ライナーの上にのせたポリアミド不織布(FiberwebからのN.A.CEREX)上に、平方ヤード当たり0.3オンスの厚さにナイフコーティングした。コーティングした複合材の上に同様の剥離ライナーをのせ、全エネルギー使用量が500 mJ/cm2になるようにした平均強度約1.1 mW/cm2の紫外線ランプによりウェブの上下で、コーティングした混合物を光重合した。使用したランプは、300 nmと400 nmの間に90%の発光を有し、最大発光が351 nmであった。結果として得られた熱硬化感圧性接着剤テープ(TPSA)層の厚さは、約0.3 mmだった。
【0174】
Tダイを使用して約250°Cで、アクリル酸含有量6.5%のエチレンアクリル酸(Dow Chemical Co.より入手できるPRIMACOR 3440)を厚さ0.076 mmの層に押出して、ホットメルト接着剤層(HMA)を調製した。層の厚さは50 (mだった。
【0175】
感圧性接着剤テープからライナーの1枚を剥がし、ホットメルト接着剤層をラミネートして接着剤テープ複合材を調製した。接着剤剪断強度、押抜き性能および漏出について複合材を試験した。試験結果は表4に示した。
【0176】
実施例38
アクリロニトリルゴム(Nippon Zeon Co., Ltd.から入手できるNippol 1001)150 gをメチルエチルケトン400 gに溶解して熱硬化感圧性接着剤を調製した。次に以下の材料を溶液に添加して24時間混合し、均質な混合物を得た。Epikote(tm) 828を100 g、Epikote(1001を100 g、ジシアンジアミドを20 g、Amicure PN(Ajinomoto Co., Inc.から入手できるエポキシ硬化剤)を235 g、およびシリカ粉末(Nippon Aerosil Co., Ltd.から入手できるAerosil(A-200)を20 g。次に混合物をシリコン塗布ポリエステルライナーにナイフコーティングし、70℃で15分間乾燥した。結果として得られた熱硬化性感圧性接着剤層の厚さは100 (mだった。
【0177】
実施例37に述べたようにして調製した50 (mのホットメルト接着剤層に熱硬化性感圧性接着剤層をラミネートして、接着剤複合材を調製した。試験結果は表4に示した。
【0178】
実施例39-42
実施例38に述べたようにして、表4に示したように各層の厚さが異なる接着剤複合材を調製した。試験結果もまた示した。
【0179】
【表4】
【0180】
実施例43-46
表5に示したように、実施例37の熱硬化感圧性接着剤を様々なホットメルト接着剤層にラミネートした。熱硬化感圧性接着剤層の厚さは100 (mだった。表5に示すホットメルト接着剤樹脂を押出して、ホットメルト接着剤層を調製した。試験結果は表6に示す。
【0181】
【表5】
【0182】
【表6】
【0183】
実施例47
ヒドロキシ官能基半結晶質ポリエステル樹脂(Huls Americaより入手できるDynapol(S1359)88.9重量部と、微結晶ろう(Petrolite Corp.より入手できるUnilin(700)1部とを混合して、第1の照射硬化性エポキシポリエステル組成物を調製した。エポキシ樹脂(Epon(828)10部と、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩1部とを有する液体混合物をポンプでバレルのほぼ中央に押出し機に汲み上げて、ポリエステル樹脂混合物と混合した。押出し機のバレルの同一領域に25インチHg未満の真空をかけて、混合物から空気を除去した。押出し機の温度は65乃至110℃の範囲であり、供給口の温度は約25℃であった。フラットダイの温度は82℃に保った。押出し物を厚さ0.00291インチの未加工ポリエステルフィルム上にコーティングし、コーティングしたフィルムを冷却後ロールに巻き取った。押出し物の厚さは、0.0005乃至0.0007インチの範囲であった。
【0184】
次に分当たり30フィートのライン速度でエネルギー出力0.201 J/cm2を有する、中程度圧力UVランプ1個のついた紫外線(UV)処理装置(イリノイ州プレーンフィールドのAetek Internationalが供給するモデルQC250244ANIR)に、ポリエステルフィルム上のコーティングを露出した。結果として得られたポリエステルフィルム上のコーティングを熱硬化したところ、ポリエステルフィルムに対して優れた付着性を有した。
【0185】
次に乾燥組成が77.9部のDynapol(S1359、および1部の微結晶ろう(Unilin(700)であり、液体混合物がエポキシ樹脂(Epon(828)20部、多価アルコール(Dow Chemical Co.から入手できるVoranol(230-238多価アルコール)1部、およびCp(キシレン)Fe+SbF6-0.1部を含むこと以外は、第1のエポキシポリエステル組成物と同様にして調製した第2のエポキシポリエステル組成物で、ポリエステルフィルムのもう一方の表面をコーティングした。第2のエポキシポリエステル組成物をポリエステルフィルム上に0.040インチの厚さにコーティングして、シート材料を形成した。
【0186】
実施例48
実施例47の第2のエポキシポリエステル組成物を厚さ0.007インチの充填材入り超高分子量ポリオレフィンフィルム(PPG Industries, Inc.から入手できるTeslin(sp 700)上に0.040インチの厚さにコーティングして、シート材料を形成した。
【0187】
2.5インチ幅で10インチ長さのシート材料のストリップをアルマイトパネルにあてがって、177℃で15分間加熱した。冷却後の横行ウェブ収縮は0%、下降ウェブ収縮は約1.5%と測定された。
【0188】
実施例49
酢酸エチルを用いて固体含量30%に希釈したポリエステル/イソシアネートラミネート接着剤(Mortonから入手できるAdcote 76T3A/触媒F)を用いて、厚さ0.00265インチのポリエステルフィルム(ペンシルベニア州ウエストチェスターのICI Filmsから入手できるMelinex 054下塗りポリエステルフィルム2.65ミル)を44モル%のエチレンを有する0.025 mm厚さのエチレンビニルアルコールフィルム(EVALからのE-25)にラミネートして、フィルム層を調製した。グラビアコーターを使用して平方メートル当たり約32 gの乾燥コーティング重量で、エチレンビニルアルコールフィルムに接着剤を塗布した。接着剤を約63℃で乾燥させて溶剤を揮発させた。次にポリエステルフィルムをコロナ処理し、ニップローラーを用いてエチレンビニルアルコールフィルムの接着剤塗布側に約93℃で熱ラミネートした。
【0189】
次に実施例47に述べたように、フィルムラミネートのポリエステル側を第2のエポキシポリエステル組成物の厚さ0.040インチの層でコーティングした。
【0190】
発明の精神または範囲を逸脱することなく、本発明の方法と製品に様々な変更と変化が可能なことは、当業者には明らかである。従って本発明は、付随する請求項とそれらの相当物の範囲にあるならば、本発明の変更と変化をカバーすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1a】自動車ルーフ溝に位置する本発明に従ったシート材料の加熱前を示す横断面図である。
【図1b】図1aに示すシート材料の加熱後を示す横断面図である。
【図2】本発明に従った二層シート材料の横断面図である。
【図3a】本発明に従ったさらに別の二層シート材料の横断面図である。
【図3b】自動車ルーフ溝に位置する図3aのシート材料の加熱前を示す横断面図である。
【図3c】自動車ルーフ溝に位置する図3aのシート材料の加熱後を示す横断面図である。
【図4a】接着した本発明のシート材料を有するワッシャーの上面図である。
【図4b】図4aの線4bに沿った横断面図である。
【図4c】ドアヒンジをドアフレームに接続するために挿入されたボルトを有する図4aの実施例を示す断面図である。
【図5a】実施例22および23で参照されている。
【図5b】実施例22および23で参照されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融流動性シート材料を使用して表面に保護的および美的特性を提供するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界には、表面に保護的および/または美的特性を提供することが望ましく、場合によっては必要な多数の用途がある。このような用途としては、車体への塗装可能シーラーの使用が挙げられる。歴史的には、構造物中の空隙を満たし、汚れ、水分、およびその他の物質を排除するためのシーラーとして、多様な材料が使われてきた。
【0003】
シーラーは、用途の要求に応じ液体または固体として提供される。米国特許番号第4,900,771号(Geraceら)が述べるように、自動車産業では金属の継目をシールするため数十年間にわたりペースト様プラスチゾルが使用されている。これらの材料は、加熱時に可塑剤中で膨潤するPVC(ポリ塩化ビニル)粒子を有することで機能し、固体材料に融着する。可塑剤のレベルが高いので、塗料はPVCベースのシーラーには概して接着不良を起こす。さらにPVCシーラーはリサイクルできず、焼却するとHClを放出する。この理由のために、これらはヨーロッパでは使用されていない。
【0004】
ホットメルトシーラントおよび接着剤は、一般に加熱により迅速に溶融し、次に冷却により堅固な結合を形成する固体熱可塑性材料である。典型的な種類のホットメルト接着剤組成物はポリオレフィンを用いるが、当技術分野ではポリオレフィンは塗装が困難であり、鋼およびアルミニウムなどの無孔性金属表面に対する付着性が不良であることが知られている。
【0005】
使用に際して作業者は、液体シーラーのビードをコーキングを塗布するように接合部継目に塗布し、材料を刷毛で撫でつけたり均したりして比較的均一なフィルムにしなくてはならない。液体シーラーの塗布には熟練を要し、結果的に継目がシール不良を起こすことが多い。液体シーラーは見かけが不均一であるので、目に見える箇所での用途には使用できない。
【0006】
最近、ロープまたはテープなど、取扱適性が迅速な装着に役立ち、材料塗布後の巧妙な処理の必用性をなくする、よりユーザーフレンドリーなシーラーシステムに向かう傾向がある。PVCベースのシーラント材料のテープおよびロープは、ニッチマーケットでの用途を見出し始めた。その他の材料もまた、ストリップまたはテープとして提供されている。
【0007】
米国特許番号第3,659,896号(Smithら)では、車体にフロントガラスを接着してシーリングするための液体ポリスルフィドポリマーベースの半硬化した硬化性ポリマーシーリングストリップ組成物について述べている。シーリングストリップは、ガラスおよび金属の双方に対して付着性を有するので、フロントガラスは即座に室温でシールされ、周囲条件で水分に曝されることでシーラント材料の硬化が進む。
【0008】
米国特許番号第4,490,424号(Gerace)では、テープがプラスチック樹脂の被覆に入ったホットメルト接着剤のコアを含むホットメルト接着剤およびシーラントテープについて述べている。プラスチック樹脂は、液体および固体のどちらの状態にあるホットメルト接着剤コアとも相溶性である。
【0009】
産業界では、目に見える用途および目に見えない用途に使用でき、ストリップまたはテープとして扱えるユーザーフレンドリーで塗装可能な溶融性シーラント材料が求められている。
【0010】
熱硬化性感圧性接着剤は既知であり、自動車および家庭電化製品の組み立てを含めた多数の産業で実用性がある。このような接着剤については、米国特許番号第5,086,088号(Kitanoら)で述べられている。これらの接着剤は感圧性、すなわち結合温度で粘着性であり、概して接着剤層が剥離ライナー上に提供される感圧性接着剤転写テープの形態で使用される。転写テープには、接着剤層強化のために不織布ウェブをさらに含めることができる。使用の際、転写テープは、一方の表面をもう一方の表面に周囲温度で結合する。次に表面は、接着剤が熱硬化状態に硬化するのに十分な温度に加熱される。
【0011】
用途によっては、非粘着性の表面を持ち、使用温度で接着状態に活性化できる熱硬化性感圧性接着剤テープを有することが望ましいこともある。
【0012】
このような用途の一つは、塗装前に車体にヒンジをボルト締めして、一時的にドアを車体に取り付ける自動車組立ラインのいくつかに見られる。車体中の長穴上にドアヒンジを並べてドアを自動車の上に配置し、次に1つ以上のワッシャーおよび対応するボルトでヒンジを車体に固定する。ドアは車体の塗装後に、内装品が装着できるようにヒンジから取り外される。ドアを再装着する際に、時間をかけて再度位置合わせすることなく正確に並ぶように、ヒンジ上の所定位置にワッシャーが固定されることが望ましい。
【0013】
日本国公開特許公報第64-67417号では、粘着性の熱硬化接着剤フィルムによってドアヒンジに固定されるワッシャーについて述べている。ワッシャーは、ヒンジをドアに結合するのに使用するボルトのための位置合せ部材の役目を果たす。フィルムは両側が粘着性であり、組立工場に見出されるほこりや油などで汚染されがちである。汚染した表面は、確実に適切な結合を得るためにきれいにしなくてはならない。またフィルムは、非常に薄い傾向があって取り扱いが難しく、フィルムがワッシャーおよびボルト止め表面に結合できるようにライナーを剥離することは、労働集約的操作になり組立ラインの自動化を妨げる。
【0014】
取り扱いをよりたやすくするために、支持材として不織布に熱硬化性接着剤をしみ込ませて接着剤の剛性を増大することも知られているが、これは経費を増大させるし、接着剤フィルムの上述のその他の欠点も回避できない。
【0015】
日本国公開特許公報第53-42280号では、熱融合材料で覆われた熱硬化材料のシートを有する複合シートについて述べている。熱融合材料は、作業者が熱硬化接着剤との直接的皮膚接触を避けられるように、熱硬化樹脂シートを覆うことを意図している。熱硬化材料および熱融合材料は相互に非反応性且つ相溶性であり、融合温度の最大差が50°Cである特徴を持つ。熱融合材料は硬化する前に溶融し、熱硬化材料と混合する。
【0016】
日本国公開特許公報JP H4-189885号は、アクリル酸コポリマーおよびエポキシ樹脂から製造される熱硬化性感圧性接着剤について述べている。接着剤組成物は、接着剤シートの強度を増大するためにプレプレグとして作用する不織布材料の片側または両側にコーティングできる。
【0017】
室温(約21°C)で本質的に不粘着性である熱硬化性感圧性接着剤テープを、テープの少なくとも一方の主要表面に有することが望ましいが、両方の主要表面をその他の基材との結合に適合させることもできる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の要約
本発明は、熱硬化性感圧性接着剤の層と、室温で本質的に不粘着性であるホットメルト接着剤の層とを含む接着剤複合材を提供する。ホットメルト接着剤の熱活性化温度は、約50°Cから熱硬化性接着剤を硬化させるために使用する温度の間であることが好ましい。
【0019】
また本発明は、周囲温度でワッシャーに結合する、ワッシャーに結合するためのそして加熱サイクル後にワッシャーを表面にさらに結合するための接着剤複合材と、複合材によって結合したワッシャーとを提供する。
【0020】
また本発明は、複合材をワッシャーに結合するための方法を提供する。
【0021】
さらに本発明は、ホットメルトシーリングテープおよびテープの使用法を提供する。
【0022】
本発明のさらに別の特性および利点については以下の説明で述べるが、一部は説明によって明らかにされ、あるいは発明の実施例から分かるであろう。本発明の目的とその他の利点は、この文書に記載する説明と請求項で特に指摘される方法と条項から理解され納得されるであろう。
【0023】
前述の概略的説明および次の詳細な説明の双方は、例示的且つ説明的であり、発明の請求範囲のさらなる説明を意図するものであると理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
発明の詳細な説明
本発明は、基材に保護的および/または美的に好ましい特性を提供するための溶融流動性シート材料の使用を含む。一般に本発明の方法は、溶融流動性シート材料を基材の上に置いてシート材料を加熱し、シート材料が基材に結合するようにそれを十分に軟化させることを含む。室温で基材の上に置いた時、溶融流動性シートは本質的に不粘着性である。
加熱するにつれてまずシートが軟化して基材表面に従う結果、流動する材料により空気留りが押し出される。加熱サイクルがさらに進んでシート材料がさらに熱くなると、それは粘着性になり十分に表面を濡らして表面に結合する。またいくつかの用途では、シート材料が溶融して流動し、欠陥、表面不完全性を隠し、および/またはギャップを埋める。
【0025】
シートの表面への結合後、シート材料は溶融流動性、すなわち熱可塑性を保ち、再加熱により材料が再流動しても良い。加熱するとシート材料が硬化または架橋して熱硬化し、再加熱時に流動しなくなっても良い。またはシート材料の一部が熱可塑性を保つ一方、シート材料の一部が硬化または架橋、すなわち熱硬化しても良い。
【0026】
本発明の方法は、産業界において多数の用途がある。方法の一つの有用性は、自動車産業にあり、自動車の金属接合部のシール方法にこれを用いることができる。この方法では、まず上述の方法などによりシート材料を調製する。続いてシールすべき接合部の上にシート材料を塗布する。シート材料が硬化前に流動するので、完全なシーリングおよび結合が得られる。シート材料端の調節された流動の結果、表面の美的外観が得られる。次に硬化したシート材料の露出表面は、車体に合わせて塗装されたり、あるいは別な方法で装飾がなされる。
【0027】
本発明の方法の代案としての用途は、車体などの表面への紋章または飾り名板またはデザイン要素の付着である。紋章または飾り名板の例には、自動車製造業者のロゴがある。デザイン要素の例には、形状を得るための複雑な金属箔押の必用なしに、車体の湾曲を引き立て且つ際だたせ、下塗りした金属下部構造に保護を提供する縁飾りがある。このような方法では、シート材料は最初に打抜きなどによって、希望する紋章または飾り名板またはデザイン要素の形状に形作られる。本発明の方法の実施の結果、結合する表面に対して滑らかな移行線を有する美的に好ましい紋章または飾り名板が提供される。
【0028】
本発明の方法のさらに別な用途では、シート材料が最初に接着する基材は、使い捨てライナーなどの一時的な基材である。硬化したシート材料には、感圧性接着剤特性が本質的に欠けているかもしれないので、調節された流動を端に与えるような方法でシート材料を硬化した後に、例えばシート材料それ自体とは別個の接着剤システムの使用によって、硬化したシート材料を恒久的基材に固定(例えば接着)しても良い。このやり方で本発明の方法は、木製ドアなどの表面に成型され硬化したシート材料などを付けるのに使用できる。
【0029】
溶融流動性シート材料は、金属中の見苦しい傷、点溶接、およびルーフの板金が車体の板金に溶接される段差接合部を隠すために、自動車の塗装前にそのルーフ溝内に置くことができる。
【0030】
特定の一実施例では、溶融流動性シート材料を幅がルーフ溝の幅よりもわずかに大きく、長さが溝の長さに等しいストリップに切断する。ルーフ溝は下塗りなし、従来のシーラーで一部シールされた下塗りなし、従来の下塗剤で下塗り済み、または下塗りおよび塗装済みでも良い。典型的には以下で詳しく述べるように、自動車をストリップの付着前に電着塗装で下塗りする。次に溝内でストリップを加熱することでストリップ材料が流動し、ルーフ溝内のあらゆる不完全性および段差接合部を平らにして、滑らかで美的に好ましい外観を溝内に作り出す。同時に溶融流動性ストリップは、ルーフ溝の内側表面に接着して溝内に保護的シールも提供し、雨水、汚れ、雪その他がルーフ溝内に入って錆または腐触を起こすことを防止する。この用途ではストリップの幅がルーフ溝の幅よりもわずかに大きく、ストリップ材料はまた、ルーフ溝の長さに沿って凹面形状を取り、車のルーフから水を運び去る流路を提供する。
【0031】
ストリップ材料は、好ましくは塗料と相溶性であり、塗料およびルーフ溝表面の双方に堅固に結合する一方、塗料のしわ形成またはひび割れなしに塗料を乾燥硬化させる。
【0032】
自動車は、ストリップを所定位置に置いて塗装でき、約170°Cのオーブン硬化サイクルに約20分間かけることができる。保護的な透明塗料もまた、塗布して硬化できる。塗料の種類、および塗料と透明塗料の硬化要件次第で、オーブン硬化時間および温度が変わることが認識されている。典型的なサイクルは、温度が約120乃至200°Cの間で約20乃至40分間の範囲にある。
【0033】
好ましい実施例では、塗料はまた溶融流動性ストリップ材料と化学的に反応して、塗料と溶融流動性ストリップの間の付着性を改善する。ストリップ材料と塗料の反応によって、塗料とストリップとの界面およびその周囲でストリップ材料が熱硬化する一方、界面層以下ではストリップ材料は熱可塑性を保つ。
【0034】
その他の好ましい実施例では、溶融流動性ストリップそれ自体が硬化サイクル中に塗料と反応する熱硬化性材料であり、硬化して熱硬化ストリップを提供する。以下で述べるように、硬化は加熱または照射法により達成できる。
【0035】
代案の実施例では、自動車が塗装された後にルーフ溝内にストリップを置いても良い。次にルーフ溝領域を赤外線ヒーターまたは石英ハロゲンランプなどの従来のヒーターで加熱し、ストリップをそれ以上加工することなく溶融してルーフ溝に結合する。この実施例では、ストリップを顔料と混合し、反対色または補色を提供することもできる。溶融シーリングストリップ材料は、熱可塑性を保っても良く、ストリップの厚さ全体が熱硬化しても良く、またはストリップ表面のみが熱硬化しても良い。
【0036】
溶融流動性シート材料は、好ましくは固体であり、室温で粘着性または非粘着性でも良い。いくつかの実施例では、溶融シーリングシート材料がホットメルト接着剤としても機能する。ホットメルト接着剤材料は、好ましくは約50°Cを超える融点を持つ。ここでの用法では、「ホットメルト接着剤組成物」とは、室温(約21°C)では固体で非粘着性であるが、加熱時には溶融し表面を十分に濡らして接着する組成物を言う。50°C未満の溶融温度を有する接着剤は、熱い気候では保管中に時期尚早に溶融するかもしれず、以下で述べるようにパーツを打抜きプレスで打抜きまたは押抜きすることが必用な用途では、良好に機能しないかもしれない。
【0037】
加熱ダイから材料を押出す、シート材料を適切な溶融温度に加熱して剥離ライナー上にナイフコーティングする、溶融材料をカーテンコーティングする、または材料を溶剤中に拡散し剥離ライナーにコーティングして溶剤を乾燥することを含めた従来のシート形成技術を用いて、シート材料をシートに形成できる。環境的理由から好ましい方法は、溶剤フリーシステムである。
【0038】
溶融流動性シート材料の厚さは、意図するその最終用途次第で変化する。シーリング用途では、流動して窪み、隆起、その他の表面不完全性を平らにし、または接合部間のギャップを満たすに足る材料を提供するのに十分な厚みがあるシートが望ましい。有用な厚さは、約0.05乃至25 mmの範囲にあることが分かっている。保護的シールが望まれる典型的な溶融シーリング用途のためには、厚さは0.10乃至25 mm、好ましくは0.20乃至10 mm、そしてより好ましくは0.34乃至6 mmの範囲にある。
【0039】
溶融流動性シート材料は、ロール形態のシート材料、ロール形態のテープ、すなわち幅の狭い長い材料、または最終用途のために望まれる寸法または形状に切断したシートの重なりの形態で包装できる。溶融流動性シート材料の組成物が粘着性である場合、隣接するシートの間または巻いたロールの間に剥離ライナーを挟み込んでも良い。層の1つが粘着性である2層シート構造体のいくつかでは、別個のライナーを必用とせず非粘着性の層がライナーの役目を果たすこともある。シート材料がシート中に潜伏性光活性触媒を含む場合、シートは使用直前まで化学線不在下で包装され輸送されることが好ましい。
【0040】
また溶融流動性シート材料のための組成物は、ペールアンローダ、カートリッジディスペンサなどを使用して、ホットメルトアプリケータシステムで使用するために包装できる。次に組成物を使用時点で加熱し、溶融状態で基材に塗布できる。この方法では、組成物を塗布するための特殊装置が必用になるかもしれない。
【0041】
溶融流動性材料は、プラスチック、金属、セラミック、ガラス、およびセルロース系材料を含むほとんどの基材に塗布して結合できる。下塗り済み、下塗りなし、または塗装したアルミニウム、冷間圧延鋼、亜鉛メッキ鋼、および磁器化鋼などの金属基材が特に好ましい。
【0042】
溶融流動性シートは、以下で詳しく述べるように様々な目的のためにその他の層を1層以上含むことができる。このような層としては、熱硬化性溶融シーリング層、熱硬化性感圧性接着剤層、感圧性接着剤層、例えば第1の溶融流動性層とは異なるガラス転移温度を有する層などの第2の溶融流動性層、2層の界面で溶融流動性層と架橋できる層、発泡性層、不織布層、または例えば好ましくは塗布および使用温度で寸法が安定した熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルムが挙げられる。追加的な層を溶融流動性層に結合させる様々な方法としては、熱ラミネート、感圧性接着剤による結合、溶融流動性層と第2の層の共押出し、ホットメルトコーティング、第1の層への第2の層の直接的コーティングなど産業界で既知の技術が挙げられる。
【0043】
本発明の実施において有用な溶融流動性シート材料は、メラミンまたはエポキシベース塗料など産業界で使用される典型的な塗料と反応できる官能基を有する熱可塑性ポリマー材料を含む。
【0044】
好ましい熱可塑性ポリマーは、-30°Cを超えるガラス転移温度を有する官能基付与非晶質または半結晶質ポリマー、および-30°C未満のガラス転移温度を有する官能基付与半結晶質ポリマーである。有用なポリマーは、-OH、-NH、-CONH、-COOH、-NH2、-SH、無水物、ウレタン、およびオキシランなどの官能基を有するものである。好ましい官能基は、-OH、-COOH、および-NHである。有用なポリマーの例としては、ポリエステルと、ポリアミドと、-OH基で官能基付与されたものなどの官能基付与(メタ)アクリル酸エチレンと、エチレンアクリル酸と、ポリスルフィドと、ポリビニルブチラールなどのポリアセタールと、エチレン-(メタ)アクリル酸、プロピレン-(メタ)アクリル酸、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル、プロピレン-(メタ)アクリル酸エステルなどの適切な官能基を有するオレフィン族ポリマーと、ポリカプロラクトンと、エポキシポリカプロラクトン組成物と、1993年4月15日提出の原出願米国通し番号08/047,862で述べられたエポキシポリエステルホットメルト組成物と、それらの相溶性混合物とが挙げられる。
【0045】
溶融流動性シート材料のための好ましい材料としては、ポリカプロラクトンと、ヒドロキシルおよびカルボキシル末端を有し室温で非晶質または半結晶質のポリエステルとが挙げられる。より好ましいのは、室温で半結晶質のヒドロキシル末端ポリエステルである。
【0046】
「非晶質」の材料はガラス転移温度を有するが、示差走査熱量計(DSC)による測定で測定できる結晶融点を示さない。以下で述べるように使用される場合、ガラス転移温度は好ましくは、光重合開始剤の分解温度未満であって約120°Cを超えない。「半結晶質」の材料はDSCによる測定で結晶融点を示し、好ましくは最大融点が約200°Cである。
【0047】
またポリマー中の結晶化度は、非晶質状態に加熱されたシートが冷却した際に混濁または不透明化として観察される。ポリエステルポリマーが溶融状態に加熱され、ライナーにナイフコーティングされてシートを形成する際、それは非晶質でありシートは透明でかなりの光透過性を有することが観察される。シート材料中のポリマーが冷却するにつれて、結晶領域が形成し、シートが半透明または不透明状態へ混濁することで結晶化が特徴づけられる。結晶化度の程度は、結晶化度の程度が異なる非晶質ポリマーと半結晶質ポリマーとの相溶性の組み合わせを混合することで、ポリマー中で変化させることができる。塗料が均一で一貫性のある表面に塗布されるよう、塗装前に十分な時間をおき、非晶質状態に加熱した材料を半結晶質状態に戻すことが一般に好ましい。シートの混濁によって、ポリマー中で結晶化がある程度起きたことを知る便利な非破壊測定法が提供される。
【0048】
ポリマーは、一定温度での結晶化速度を増大させるために核剤を含んでも良い。有用な核剤としては、微結晶ろうが挙げられる。適切なろうは、Petrolite Corp.からUnilin 700として販売されるC14を超えるアルコール(CAS #71770-71-5)およびエチレンホモポリマー(CAS #9002-88-4)を含むものである。塗料およびコーティングへの溶融流動性層の付着性を改善するために、ポリエステルにp-トルエンスルホン酸などの塗料触媒ならびにメラミンを添加しても良い。
【0049】
好ましいポリエステルは、室温で固体である。好ましいポリエステル材料の数平均分子量は約7500乃至200,000であり、より好ましくは約10,000乃至50,000であり、最も好ましくは約15,000乃至30,000である。
【0050】
本発明で有用なポリエステル成分は、ジカルボン酸(またはそれらのジエステル相当物)とジオールの反応生成物を含む。二酸(またはジエステル相当物)は、炭素原子4乃至12個を含む飽和脂肪酸(分岐、非分岐、または環中に炭素原子5乃至6個を有する環式材料を含む)および/または炭素原子8乃至15個を含む芳香族酸でも良い。適切な脂肪酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、2-メチルコハク酸、2-メチルペンタン二酸、3-メチルヘキサン二酸などが挙げられる。適切な芳香族酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、4,4'-ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、および4,4'-ジフェニルアミンジカルボン酸などが挙げられる。好ましくは、二酸中の2個のカルボキシ基の間の構造物は、炭素と水素のみを含有し、より好ましくは構造物はフェニレン基である。前述の二酸の混合物を使用しても良い。
【0051】
ジオールは、炭素原子2乃至12個を有する分岐、非分岐および環状脂肪族ジオールを含有する。適切なジオールの例としては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロブタン-1,3-ジ(2'-エタノール)、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、およびネオペンチルグリコールが挙げられる。アルキレン基が炭素原子2乃至9個、好ましくは炭素原子2乃至4個を含有するポリ(オキシアルキレン)グリコールなどの長鎖ジオールを使用しても良い。前述のジオールの混合物を使用しても良い。
【0052】
有用な市販のヒドロキシル末端ポリエステル材料としては、Huls America, Inc.,から入手できるDynapol(S1401、Dynapol(S1402、Dynapol(S1358、Dynapol(S1359、Dynapol(S1227、およびDynapol(S1229などの様々な飽和直鎖半結晶質コポリエステルが挙げられる。Huls America, Inc.,から入手できる有用な飽和直鎖非晶質コポリエステルとしては、Dynapol(S1313およびDynapol(S1430が挙げられる。
【0053】
ポリエステル樹脂を約100乃至150°Cの温度で溶融して溶融材料を形成し、シリコン剥離剤塗布紙などのライナーにナイフコーティングして、前述のポリエステルをシートにキャストできる。ポリエステル材料は、以下で詳しく述べる充填剤をエポキシポリエステル組成物としてさらに含んでも良い。
【0054】
前述のポリエステルから形成したシートは、上述した自動車のルーフ溝成型にあるようなギャップおよび不完全性を有する表面へのシーリングおよび結合のために特に有用である。さらにこれらのポリエステルは、メラミンおよびエポキシ塗料に対して塗料相溶性表面を提供し、少なくとも2つの典型的な塗料硬化サイクル(例えば120°Cで20乃至30分間、および200°Cで20乃至30分間)に耐えることが分かっている。エポキシおよびメラミン塗料と共にコーティングした場合、これらのポリエステルは、溶融流動性シートと塗料との界面で塗料と反応することが分かっている。
【0055】
また溶融流動性シート材料として好ましいものには、エポキシポリカプロラクトン組成物およびエポキシポリエステルホットメルト組成物が挙げられる。ポリカプロラクトンは土壌中で生分解性である。特に好ましいのは、照射に露出して硬化し、付着相手の基材に対して良好な付着性を有する高強度シーリング材料を提供するエポキシポリエステルホットメルト組成物である。エポキシ含有材料は組成物の最終強度と耐熱性に貢献し、他方ポリエステル成分はシート材料を基材に従わせて基材への初期付着性を提供し、光重合開始剤は照射への露出に際し組成物を硬化させる(すなわち共有結合的に架橋させる)。本発明のホットメルト組成物は、またホットメルト組成物に屈曲性および靭性を与えるヒドロキシル含有材料も要すれば含むことができる。エポキシ/ポリエステルシート材料のための好ましいポリエステルは、上述したヒドロキシルおよびカルボキシル末端官能基材料である。特に好ましいのは、ある程度の結晶度を有するヒドロキシル末端ポリエステルである。
【0056】
本発明の組成物中で有用なエポキシ含有材料は、開環反応によって重合可能なオキシラン環、すなわち
を少なくとも1個有するあらゆる有機化合物である。大まかにエポキシドと称されるこのような材料は、モノマーエポキシドおよびポリマーエポキシドの双方を含み、脂肪族、シクロ脂肪族、または芳香族でも良い。これらの材料は一般に、平均して分子当たり少なくとも2個のエポキシ基(好ましくは分子当たり2個を超えるエポキシ基)を有する。分子当たりの「平均」エポキシ基の数は、存在するエポキシ分子の総数で割ったエポキシ含有材料中のエポキシ基の数として定義される。ポリマーエポキシドとしては、末端エポキシ基(例えばポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)を有する直鎖ポリマー、骨格オキシラン単位(例えばポリブタジエンポリエポキシド)を有するポリマー、および懸垂したエポキシ基(例えばメタクリル酸グリシジルポリマーまたはコポリマー)を有するポリマーが挙げられる。エポキシ含有材料の分子量は、58から100,000以上の間で変化する。様々なエポキシ含有材料の混合物もまた、本発明のホットメルト組成物において使用できる。
【0057】
有用なエポキシ含有材料としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-2-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペートで代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキサンオキシド基を含むものが挙げられる。同種の有用なエポキシドのより詳細なリストについては、米国特許番号第3,117,099号を参照されたい。
【0058】
本発明の実施において特に有用なさらに別のエポキシ含有材料としては、式
(式中R'はアルキルまたはアリールであり、nは1乃至6の整数値である)を有するグリシジルエーテルモノマーが挙げられる。例としては、多価フェノールをエピクロルヒドリンなど過剰なクロルヒドリンと反応させて得られる多価フェノールのグリシジルエーテルが挙げられる(例えば2,2-ビス-(2,3-エポキシプロポキシフェノール)プロパンのジグリシジルエーテル)。本発明の実施において使用できるこのタイプのエポキシドのさらに別の例は、米国特許番号第3,018,262号に述べられている。
【0059】
本発明で使用できる市販のエポキシ含有材料は、多数ある。特に容易に入手可できるエポキシドとしては、酸化オクタデシレン、エピクロルヒドリン、酸化スチレン、酸化ビニルシクロヘキサン、グリシドール、グリシジルメタクリレート、(例えばShell Chemical Co.,からEPON 828、EPON 1004、およびEPON 1001Fの商品名の元に、Dow Chemical Co.からDER-332およびDER-334の商品名の下に入手できる)ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、(例えばCiba-GeigyからのARALDITE GY281などの)ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、(例えばUnion Carbide Corp.からのERL 4206などの)二酸化ビニルシクロヘキセン、(例えばUnion Carbide Corp.からのERL-4221などの)3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、(例えばUnion Carbide Corp.からのERL-4234などの)2-(3,4-エポキシシロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、(例えばUnion Carbide Corp.からのERL-4299などの)ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、(例えばUnion Carbide Corp.からの ERL-4269などの)二酸化ジペンテン、(例えばFMC Corp.からのOXIRON 2001などの)エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ官能基を含有するシリコン樹脂、(例えばUnion Carbideから市販される(-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび(-グリシドオキシプロピルトリメトキシシランなどの)エポキシシラン、(例えばDow Chemical Co.から入手できる臭素化ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂であるDER-542などの)難燃性エポキシ樹脂、(例えばCiba-GeigyからのARALDITE RD-2などの)1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、(例えばShell Chemical Co.からのEPONEX 1510などの)水素付加ビスフェノールA-エピクロルヒドリンベースのエポキシ樹脂、および(例えばDow Chemical Co.からのDEN-431およびDEN-438などの)フェノールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0060】
本発明の組成物において有用な光重合開始剤は陽イオン性であり、芳香族ヨードニウム錯塩、芳香族スルホニウム錯塩およびメタロセン塩の3タイプを含む。有用な芳香族ヨードニウム錯塩は、式
を有する(式中、Ar1およびAr2は、フェニル、チエニル、フラニル、およびピラゾリル基からなる群より選択される炭素原子4乃至20個を有する芳香族基である)。Zは、酸素、硫黄、
(式中Rは炭素6乃至20個のフェニルなどのアリールまたは炭素2乃至20個のアセチル、ベンゾイルなどのアシルである)、炭素対炭素結合、または
(式中R1およびR2は、水素、炭素1乃至4個のアルキルラジカル、および炭素2乃至4個のアルケニルラジカルから選択される)からなる群より選択される。mの値は0または1であり、Xはテトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸、ペンタフルオロヒドロキシアンチモン酸塩、ヘキサフルオロ砒酸塩、およびヘキサフルオロアンチモン酸塩から選択されるハロゲン含有錯体陰イオンである。
【0061】
Ar1およびAr2芳香族基は、要すれば1つ以上の縮合ベンゾ環(例えばナフチル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニルなど)を有しても良い。また希望するならば、エポキシドおよびヒドロキシル官能基と実質的に非反応性である1つ以上の非塩基性基で、芳香族基を置換しても良い。
【0062】
有用な芳香族ヨードニウム錯塩については、米国特許番号第4,256,828でより詳しく述べられている。好ましい芳香族ヨードニウム錯塩は、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロリン酸およびジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩である。
【0063】
本発明の組成物で有用な芳香族ヨードニウム錯塩は、スペクトルの紫外線領域のみで感光性である。しかし既知の光分解性有機ハロゲン化合物に対する増感剤によって、これらを近紫外線およびスペクトルの可視域で感光性にできる。増感剤の例としては、芳香族アミンおよび着色芳香族ポリ環式炭化水素が挙げられる。
【0064】
本発明の組成物で使用するのに適切な芳香族スルホニウム錯塩光重合開始剤は、式
(式中R3、R4およびR5は同一でもまたは異なっていても良いが、少なくとも1つの基は芳香族である)で定義される。これらの基は、炭素原子4乃至20個を有する芳香族成分(例えば置換および非置換フェニル、チエニル、およびフラニル)および炭素原子1乃至20個を有するアルキルラジカルから選択される。「アルキル」という用語は、置換アルキルラジカル(例えばハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールなどの置換基)を含む。好ましくは、R3、R4およびR5はそれぞれ芳香族である。Z、mおよびXについては、全て上でヨードニウム錯塩に関して定義した通りである。
【0065】
R3、R4またはR5が芳香族基である場合、要すれば縮合ベンゾ環(例えばナフチル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニルなど)を1つ以上有しても良い。また希望するならばエポキシドおよびヒドロキシル官能基と実質的に非反応性である1つ以上の非塩基性基で、このような芳香族基を置換しても良い。
【0066】
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩などのトリアリール置換塩が好ましい。有用なスルホニウム錯塩については、米国特許番号第4,256,828号でより詳細に述べられている。
【0067】
本発明で有用な芳香族スルホニウム錯塩は、本質的にスペクトルの紫外線領域のみで感光性である。しかし米国特許番号第4,256,828号で述べられたような選択された一群の増感剤によって、これを近紫外線およびスペクトルの可視域で感光性にできる。
【0068】
有用なメタロセン塩は、式
を有する。
(式中MpはCr、Mo、W、Mn、Re、Fe、およびCoから選択される金属を表し、L1は、置換および非置換のh3-アリル、h5-シクロペンタジエニル、h7-シクロヘプタトリエニルと、h6-ベンゼンおよび置換h6-ベンゼン化合物、およびMpの価電子殻に3乃至8個のp-電子をそれぞれ寄与できる2乃至4個の縮合環を有する化合物から選択されるh6-芳香族化合物とから選択される同一のまたは異なる配位子でp-電子に寄与する1または2個の配位子を表し、
L2は、一酸化炭素またはニトロソニウムから選択される同一のまたは異なる配位子であり、偶数個の(-電子を寄与する皆無または1乃至3個の配位子を表すが、但し、L1およびL2がMpに寄与する総電子電荷に金属Mpのイオン電荷を加えると、錯体は正味残留正電荷qを有し、qは、1または2の値を有する整数値で、錯体陽イオンの残留電荷であり、Yは、AsF6-、SbF6-およびSbF5OH-から選択されるハロゲン含有錯体陰イオンであり、rは、1または2の値を有する整数値で、錯体陽イオンの電荷qを中和するのに必用な錯体陰イオン数である。)
【0069】
有用なメタロセン塩については、米国特許番号第5,089,536号(Palazzottoら)でより詳しく述べられている。有用な塩の例としては、Cp(キシレン)Fe+SbF6-とも表示される((5-シクロペンタジエニル)((6-キシレン)Fe+SbF6-が挙げられる。メタロセン触媒の有用な量の範囲はエポキシ樹脂の約0.05乃至20重量部であり、好ましくは約0.07乃至約10部、より好ましくは約0.09乃至約3部である。メタロセン塩は、第三アルコールのシュウ酸エステルなどの反応促進剤と共に使用しても良い。
【0070】
有用な市販の光重合開始剤としては、芳香族スルホニウム錯塩であるFX-512(3M社)、芳香族スルホニウム錯塩(Union Carbide Corp.)、芳香族スルホニウム錯塩であるUVI-6974(Union Carbide Corp.)、およびメタロセン錯塩であるIRGACURE(261(Ciba-Geigy)が挙げられる。
【0071】
本発明のホットメルト組成物は、要すればヒドロキシル含有材料をさらに含んでも良い。ヒドロキシル含有材料は、ヒドロキシル官能価が少なくとも1、好ましくは少なくとも2、そして最も好ましくは約3であるいかなる液体または固体有機材料でも良い。ヒドロキシル含有有機材料は、アミノおよびメルカプト成分などその他の「活性水素」含有基を含んではならない。またヒドロキシル含有有機材料は、約100°C未満の温度で、または硬化中における化学線または電子ビーム照射への露出に際し、材料が分解したり揮発性成分を放出したりしないように熱やまたは光分解に対して不安定な基を本質的に含まない。
【0072】
好ましくは有機材料は、一次または二次脂肪族水酸基(すなわち水酸基が非芳香族炭素原子に直接結合する)を2つ以上有する。水酸基は末端に位置しても良く、あるいはポリマーまたはコポリマーから懸垂しても良い。ヒドロキシル含有材料の数平均当量は、好ましくは約31乃至2250、より好ましくは約80乃至1000、そして最も好ましくは約80乃至350である。
【0073】
ヒドロキシル官能価が1である適切な有機材料の代表例としては、アルカノール、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル、およびアルキレングリコールのモノアルキルエーテルが挙げられる。
【0074】
有用なモノマーポリヒドロキシ有機材料の代表例としては、(例えば1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,18-ジヒドロキシオクタデカン、および3-クロル-1,2-プロパンジオールなどの)アルキレングリコール、(例えばグリセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、およびソルビトールなどの)ポリヒドロキシアルカン、およびN,N-ビス(ヒドロキシエチル)ベンズアミドや、2-ブタン-1,4-ジオールや、ひまし油などのその他のポリヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0075】
有用なポリマーヒドロキシル含有材料の代表例としては、(例えばジオールに対する当量が31乃至2250でありトリオールに対する当量が80乃至350である、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレングリコールおよびトリオールなどの)ポリオキシアルキレン多価アルコール、異なる分子量のポリテトラメチレンオキシドグリコール、ヒドロキシル末端ポリエステル、およびヒドロキシル末端ポリラクトンが挙げられる。
【0076】
市販の有用なヒドロキシル含有材料としては、POLYMEG 650、1000および2000などのポリテトラメチレンオキシドグリコールのPOLYMEGシリーズ(QO Chemicals, Inc.から入手可)と、TERATHANE 650、1000および2000などのポリテトラメチレンオキシドグリコールのTERATHANEシリーズ(E.I. duPont de Nemours and Companyから入手可)と、BASF Corp.からのポリテトラメチレンオキシドグリコールであるPOLYTHFと、BUTVAR B-72A、B-73、B-76、B-90およびB-98などのポリビニルアセタール樹脂のBUTVARシリーズ(Monsanto Chemical Companyから入手可)と、TONE 0200、0210、0230、0240、および0260などのポリカプロラクトン多価アルコールのTONEシリーズ(Union Carbideから入手可)と、DESMOPHEN 2000、2500、2501、2001KS、2502、2505、1700、1800、および2504などの飽和ポリエステル多価アルコールのDESMOPHENシリーズ(Miles Inc.から入手可)と、S-107、S-109、S-1011およびS-1014などの飽和ポリエステル多価アルコールのRUCOFLEXシリーズ(Ruco Corp.から入手可)と、Dow Chemical CompanyからのVORANOL 234-630(トリメチロールプロパン)と、Dow Chemical CompanyからのVORANOL 230-238(グリセロールポリプロピレンオキシド付加物)と、SYNFAC 8009、773240、8024、8027、8026、および8031などのポリオキシアルキル化ビスフェノールAのSYNFACシリーズ(Milliken Chemicalから入手可)と、ARCOL 425、1025、2025、42、112、168、および240などのポリオキシプロピレン多価アルコールのARCOLシリーズ(Arco Chemical Co.から入手可)が挙げられる。
【0077】
本発明の組成物中で使用されるヒドロキシル含有有機材料の量は、エポキシ含有材料とポリエステル成分の双方に対するヒドロキシル含有材料の相溶性、ヒドロキシル含有材料の当量および官能価、および最終硬化組成物で希望される物理特性などの要素次第で広範囲にわたり変化する。
【0078】
オプションのヒドロキシル含有材料は、本発明のホットメルト組成物の屈曲性を調整する上で特に有用である。ヒドロキシル含有材料の当量が増加するにつれ、ホットメルト組成物の屈曲性は相応して増加するが、結果的に結合力の損失があるかもしれない。同様に当量の減少は、結果として生じる結合力の増大と共に屈曲性の損失をもたらすかもしれない。このようにしてヒドロキシル含有材料の当量は、これらの2つの特性のバランスがとれるように選択され、適切なバランスは特定の用途に左右される。
【0079】
軟質の溶融シーリング組成物は、より低温、すなわち約0°C未満でのシーリング機能のための軟質シートを形成する上で有用である。ヒドロキシル含有材料を使用して溶融シーリング組成物の屈曲性を調整する場合、グリコールについて約31乃至2250の当量、トリオールについて約80乃至350の当量を有するポリオキシエチレングリコールおよびトリオールが特に好ましい。もっと好ましいのは、グリコールについて約31乃至2250の当量、トリオールについて約80乃至350の当量を有するポリオキシプロピレングリコールおよびトリオールである。
【0080】
本発明の溶融流動性組成物は、総計100部当たり0.01乃至95部のエポキシ含有材料と、相応するように99.99乃至5部のポリエステル成分を含む。より好ましくは本発明の溶融流動性組成物は、0.1乃至80部のエポキシ含有材料と、相応するように99.9乃至20部のポリエステル成分を含む。最も好ましくは本発明の溶融流動性組成物は、0.5乃至60部のエポキシ含有材料と、相応するように99.5乃至40部のポリエステル成分を含む。ポリエステル成分に比べてエポキシ含有材料の量を増大させると、一般に最終強度と耐熱性はより高いが、屈曲性および粘度がより低い溶融流動性組成物が得られる。ポリエステル成分の量を増大させると、一般に最終強度と耐熱性はより低く、粘度がより高いが、屈曲性および生強度蓄積はより高い溶融流動性組成物が得られる。このようにしてこれらの2成分の相対量は、最終組成物に求められる特性次第で均衡が図られる。
【0081】
光重合開始剤を使用する場合、エポキシ含有材料とポリエステル成分を合わせた重量を基準にして約0.01乃至4%の範囲の量で含有される。光重合開始剤の量を増大させると、硬化速度が加速される。また光重合開始剤の量を増大させると、エネルギー露出要求量が低下する。光重合開始剤の量は、組成物が硬化すべき速度、放射源の強度、および組成物の厚さによって決まる。
【0082】
用途によっては、最初に溶融流動性組成物をシートの表面だけを放射線硬化し、その後シート全体を熱硬化することが有用である。例えば化学線硬化性エポキシポリエステルシート材料を化学線に露出してシート材料の表面を硬化し、次に図1bに示すようにシート材料がルーフ溝に沿って凹面表面を形成するよう前述のルーフ溝内に置く。次にストリップを、溝内で表面へのストリップの結合に十分な温度に加熱して、シートの厚さ全体を硬化させる。結果として、視覚的および機能的理由のための滑らかな表面を提供する一助となる被膜を持った表面が、シート材料上に得られる。
【0083】
ポリエーテル多価アルコールを含有する溶融流動性組成物は、基材への恒久的結合形成前に溶融流動性シートを表面に沿わせて、空気留りと置き換えるのに有用かもしれない。
さらに要すれば、組成物の重量または経費を減少させ、粘度を調節して付加的な強化を提供するために、(エポキシ含有材料、ポリエステル成分、光重合開始剤およびオプションのヒドロキシル含有材料を基準にして)組成物総容積の50%までを、シリカ、ガラス、粘土、滑石、顔料、着色剤、ガラスビーズまたは泡、ガラスまたはセラミック繊維、酸化防止剤などの様々な充填剤、補助剤、添加剤などで提供することもできる。硬化過程において用いられる照射を吸収できる充填剤類は、硬化過程に悪影響を及ぼさない量で使用すべきである。
【0084】
前述のポリエステルおよびエポキシポリエステル材料を含む溶融流動性組成物は、光重合開始剤を使用する場合、好ましくは化学線に対して非透過性である適切な容器中で、成分が完全に溶融混合するまで撹拌して能率的に混合できるように、成分を液化するのに十分であるが材料の熱分解を生じない高温で、様々な成分を混合して調製される。成分は同時に、または逐次的に添加できるが、最初にエポキシ含有材料とポリエステル成分を混合し、続いてヒドロキシル含有材料、次に光重合開始剤を添加することが好ましい。溶融流動性組成物は溶融相において相溶性でなければならず、すなわち成分間に視覚的に明瞭な相分離があってはならない。
【0085】
エポキシポリエステル組成物でできた溶融流動性シートは、粘着性または不粘着性でも良い。液体および固体エポキシ含有材料の混合物は、粘着性シートを提供する上で有用である。
【0086】
光重合開始剤を含有する溶融流動性シート材料は使用に際し、基材へのシート材料の塗布前、塗布中または塗布後に放射源に露出させて、エポキシ含有材料を硬化するための触媒を活性化できる。化学線(すなわち紫外線または可視スペクトル領域の波長を有する照射)を放出するあらゆる放射源へのシート材料の露出に際して、触媒の活性化が起きる。適切な放射源としては、水銀、キセノン、炭素アーク、タングステンフィラメントランプ、石英ハロゲンランプ、蛍光灯、日光、その他が挙げられる。露出時間は、触媒を活性化するのに十分でなくてはならず、関与する反応物の量とタイプの双方、放射源、放射源からの距離、およびシートの厚さ次第で、約1秒未満から20分以上の間で変化する。
【0087】
完全硬化を達成するのに必用な時間は、シート材料をオーブンの中などで加熱して硬化することで短縮できる。硬化時間および温度は、ポリエステル成分のガラス転移温度、光重合開始剤の濃度、照射露出条件などにより変化する。典型的な硬化サイクル条件は、約50乃至200°Cの温度範囲で5乃至30分間の範囲にある。シート材料を硬化するのに1つ以上の加熱サイクルを使用することもできる。
【0088】
組成物は、電子ビーム照射への露出によっても硬化できる。必要な線量は、一般に1メガラド未満から100メガラド以上である。光重合開始剤の量が増大するにつれ、特定の光露出または放射における硬化速度は増加する傾向がある。硬化速度は、照射強度または電子線量の増加に伴っても増加する。
【0089】
様々な目的のためにその他の層を溶融流動性シートに含めることもできる。第2の溶融流動性層を第1の溶融流動性シートの1主要表面に接着して、表面の形態的および美的特性を改善することもできる。
【0090】
第2の層を溶融流動性シート材料に含めて、テープの屋外耐候性を改善することもできる。
【0091】
膨脹剤、起泡剤、発泡性ポリマー微小球などの熱膨脹剤を溶融流動性テープの第2の層に含めて、表面に凸面形状を与えることもできる。
【0092】
織布または不織布ウェブまたはスクリムを溶融流動性シート材料に含めることもできる。ウェブは、接着剤を用いてまたは熱ラミネート技術によって溶融流動性層にラミネートでき、2つの溶融流動性層の間に挿入できる。不織布ウェブの添加は、溶融流動性層の流動を調節する上で有用であることが分かっている。織布または不織布ウェブは、より良い取扱適性のためにシート材料に強度を与えるためにも使用できる。
【0093】
溶融流動性シート材料の一部として含めることができるその他の材料は、熱可塑性フィルムである。好ましくはフィルムは、溶融流動性シート材料の基材への塗布において、例えばシート材料の流動および/または熱硬化を引き起こすのに必要な温度にシート材料を加熱する際に、または塗布後に例えば低温、日光、その他に露出して生じるかもしれない温度で寸法が安定している。有用なフィルムとしては、ポリウレタンフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。フィルムは塗装のための滑らかな表面を提供するために、または溶融流動性シートが表面に結合した後の完成表面として使用できる。
【0094】
熱硬化フィルムもまた使用できる。熱硬化フィルムの例としては、上述の架橋したエポキシポリエステル材料から作られるフィルム、架橋したエポキシフィルムなどが挙げられる。
【0095】
好ましいフィルムとしては、上述のエポキシポリエステル材料から作られるフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムを含めたポリエステルフィルム、超高分子量ポリエチレンフィルム、微孔性超高分子量ポリエチレンフィルム、超高分子量ポリプロピレンフィルム、超高分子量微孔性ポリプロピレンフィルム、およびポリイミドフィルムが挙げられる。超高分子量ポリオレフィンの非常に長い鎖は、加熱に際して熱可塑性材料に典型的な溶融液体流動を示さずに軟化するので、いくつかの実施例では超高分子量ポリオレフィンフィルムが好ましい。
【0096】
有用な超高分子量ポリエチレンフィルムの固有粘度は、少なくともグラム当たり約18デシリットル(dL/g)であり、固有粘度の典型的な範囲は約18乃至39 dL/gであり、好ましい範囲は18乃至32 dL/gである。有用な超高分子量ポリプロピレンフィルムの固有粘度は、少なくとも6 dL/gである。固有粘度の典型的な範囲は6乃至約18 dL/gであり、好ましい範囲は6乃至16 dL/gである。
【0097】
熱硬化および熱可塑性フィルムの両者とも、露出する温度で寸法が安定していなくてはならない。寸法が安定していると言うことは、フィルムが使用温度、特に約120乃至200℃で20乃至40分間の溶融シーリング層の熱硬化サイクルの間に十分な完全性を有し、溶融および流動しないことを意味する。またフィルムは、溶融シーリング温度に加熱し、続いて冷却した時にしわを作らない。またフィルムは十分な完全性を有し、溶融シーリング層内の空気留りがフィルムを透過して膨張し、欠陥を生じるのを防止する。溶融シーリング層にラミネートされ、溶融シーリング層を表面に結合するのに必用な温度に加熱された後に、フィルムの下降ウェブおよび横行ウェブ収縮は、好ましくは約5%未満であり、より好ましくは約3%未満であり、最も好ましくは約2%未満である。高度に好ましい実施例では、フィルムの下降ウェブ方向の収縮は1%未満であり、横行ウェブ方向の収縮は0.5%未満である。
【0098】
用途によっては、フィルムが特定量の収縮をして、下にある溶融シーリング材料の流動の調節を助けることが望ましい場合もある。
【0099】
フィルムに添加剤を含めて、塗料付着性や熱安定性などの様々な特性を改善したり、またはフィルムにそれらの特性を与えることもできる。これらの目的のために有用な材料としては、シリカ、滑石、沸石、カオリナイト、雲母、アルミナシリカゲル、ガラスなどのシリカ含有充填剤と、炭素質材料と、無機金属酸化物と、硫化物と、硫酸塩と、炭酸塩とが挙げられる。例としては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、ジルコニア、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウムが挙げられる。好ましい充填剤はシリカおよび粘土であり、好ましいシリカ含有充填剤は沈降シリカ、シリカゲルおよびヒュームドシリカである。充填剤は、フィルムの総重量を基準にして約5乃至90重量%使用できる。
【0100】
好ましい実施例では、フィルムはフィルム総重量の50乃至90重量%のシリカ含有充填剤と、フィルム全体にわたりフィルムの35乃至80容量%を占める連続孔の網目状組織とを有する微孔性超高分子量微孔性ポリオレフィンフィルムである。
【0101】
有用な市販のフィルムとしては、PPG IndustriesからTeslin(の商品名の下に販売される微孔性フィルム、およびICI AmericasからMelinex(商品名の下に販売されるポリエステルフィルムが挙げられる。
【0102】
適切な微孔性フィルムについては、米国特許番号第4,861,644号(Youngら)および4,439,256号(Shipman)でも述べられている。
【0103】
寸法安定フィルムは、単独でまたは組み合わせて使用できる。例えば適切な構造体は、寸法安定フィルムとして厚さ0.003インチのポリエステルフィルムを含み、ポリエステルフィルムにラミネートされた熱硬化エポキシポリエステル材料の厚さ0.0005インチのフィルムを有する。ポリエステルのようにより高温で良好な寸法安定性を有するフィルムを、同一温度で寸法安定性のより低いフィルムにラミネートすることもできる。このような構造体の例は、厚さ0.003インチのポリエチレンテレフタレートフィルムにラミネートされた厚さ0.001インチのエチレンビニルアルコールフィルムである。組み合わせフィルムは、例えばホットメルト接着剤またはラミネート接着剤などの接着剤でフィルムを共に接着ラミネートする、フィルムを同時押出し成形する、より安定したフィルム上にフィルムを押出しコーティングし、要すればコーティングを硬化させるなどの従来の方法によって形成できる。
【0104】
フィルムの熱安定性を改善するための従来の方法によってフィルムを改善して、熱安定化できる。通常はこのような処理には、最大使用温度を超える温度でストレスを与えることなくフィルムを加熱することが含まれる。
【0105】
寸法安定フィルムは、溶融シーリング層および塗料または下塗剤の一方または両方に対するフィルム付着性を改善するために加工できる。このような加工としては、コロナ処理、火炎処理、化学的下塗、化学的グラフトなどが挙げられる。加工は、ポリオレフィンフィルムに対して特に有用である。
【0106】
好ましい実施例では、自動車産業で使用されるような標準塗料や下塗剤を容易に受容する表面を提供する第2のフィルムに、寸法安定フィルムを付着させる。このようなフィルムの実施例としては、エチレンビニルアルコールや上述のエポキシポリエステルで作られたフィルムが挙げられる。
【0107】
異なる溶融流動特性を有する2つ以上の溶融流動性層を共にラミネートして、溶融流動性シート材料を形成することもできる。例えば加熱時に上層が流動して下層を封入するように、上層の流動特性が下層よりも大きくなるように配合する一方、取扱適性を向上させるために下層がより高い強度を持つように配合することもできる。
【0108】
その他の実施例では、溶融流動層の加熱前に溶融流動性シートを表面上に配置できるように、感圧性接着剤(PSA)層を溶融流動性層に付着することもできる。溶融流動層は、わずかに流動してPSAの周囲を流動せずに溶融流動性シートに丸みのある稜線を提供するか、あるいは十分に流動してPSAの露出端がなくなるようにPSAを封入するかのどちらかである。
【0109】
有用なPSAとしては、ホットメルトコーティングまたは溶剤コーティングできるスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーなどのブロックコポリマーPSAと、アクリロニトリルPSAと、アルコール成分中の炭素原子約4乃至12個と、オプションの共重合性強化モノマーとを有する非第三アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルを溶剤重合、エマルジョン重合、および照射重合など既知の技術を用いて重合したコポリマーのようなアクリル酸PSAと、天然ゴムPSAと、シリコンPSAと、酢酸ビニルPSAとが挙げられる。PSAをシート上に直接コーティングしPSAを硬化させる、または溶剤を蒸発させる、PSA転写テープをシートにラミネートする、ホットメルトPSAを溶融流動性層と共に共押出しするなどの既知の技術によって、PSAは溶融流動性シートに結合できる。
【0110】
好ましい実施例では、PSAはアクリル酸コポリマーである。コポリマーで使用するのに有用なエステルとしては、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0111】
共重合性強化モノマーを使用する場合、それはアクリルまたはメタクリルエステルから調製されたホモポリマーのガラス転移温度より高いホモポリマーガラス転移温度を有するモノマーである。有用な強化モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸イソボルニル、N-ビニルピロリドン、アクリロニトリル、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピペリジン、およびN,N-ジメチルアクリルアミド、およびイタコン酸が挙げられる。
【0112】
強化モノマーを使用する場合、アクリルまたはメタクリルエステルは一般に約50乃至100重量部存在し、強化コモノマーは相応して約50乃至0重量部存在する。
【0113】
上述の感圧性接着剤は、酢酸エチルなどの有機溶剤中でアゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤を混合して、モノマーを希望する割合で添加し、次に80oC程度の高温で重合が完結するまで加熱して既知の方法で調製できる。また接着剤は、UV重合およびE-ビーム重合によって当技術分野では既知の方法で調製できる。また感圧性接着剤は、多数の供給業者から接着剤転写テープとして市販されている。このようなテープとしては、Minnesota Mining and Manufacturing Co.から全て市販される製品番号465、467、および468が挙げられる。
【0114】
別の実施例では、溶融流動性シート材料は、室温で粘着性且つ感圧性であり、加熱後に熱硬化接着剤に硬化する熱硬化性PSAの層を含むことができる。このタイプの溶融流動性シート材料は、熱硬化性PSA側の第1の表面に結合するシートに、2表面をより低温で、すなわち室温前後で共に結合し、次に溶融流動性側の第2の表面により高温で、すなわち溶融流動性層の溶融温度前後で結合するのに有用である。基材をより高い温度に加熱すると、PSAは硬化して、非常に高い結合強度を有する熱硬化接着剤を形成する。この用途では、溶融流動性材料が結合から流れ出さないように、より高い温度で流動性が最小の溶融流動性層を選択できる。
【0115】
この実施例のための好ましい溶融流動性層としては、前述のポリエステルおよび官能基付与オレフィン族ポリマーが挙げられる。
【0116】
適切な熱硬化性PSAとしては、熱硬化性成分および感圧性接着剤成分が挙げられる。熱硬化性成分は、一般にPSA成分の100重量部を基準にして、約25乃至150重量部存在する。
熱硬化性PSAのためのコーティング可能な組成物は、以下の様々な方法で形成できる。溶剤ベースのPSA、熱硬化性樹脂、および熱硬化性硬化剤を共に混合する。ニトリル-ブタジエンゴムなどの感圧性エラストマーを溶剤中で溶解し、熱硬化性樹脂および硬化剤と混合する。前述のアクリル酸コポリマーを製造するためのモノマーなどのPSAの製造に有用なモノマーまたはプレポリマーを熱硬化性樹脂および硬化剤と混合し、混合物を光重合する。
【0117】
PSA成分のために有用な材料としては、PSAについて上述したものが挙げられる。好ましい材料としては、アクリロニトリルおよびアクリレートが挙げられ、特に好ましいのはアクリレートである。
【0118】
熱硬化成分は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、およびフェノール樹脂などの熱硬化樹脂である。好ましい熱硬化樹脂は、エポキシおよびウレタンであり、エポキシが最も好ましい。有用なエポキシ樹脂については上述した。エポキシがPSA成分と混合できる限りは、エポキシ樹脂は固体、液体またはそれらの混合物でも良い。好ましいエポキシとしては、フェノールエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、水素付加エポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールエポキシ樹脂、ノバラックエポキシ、およびそれらの混合物が挙げられ、最も好ましいエポキシとしては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0119】
好ましい実施例では、熱硬化性PSAは、(i)上述したようなアクリル酸またはメタクリル酸エステルのプレポリマーシロップ(すなわち部分的に重合して、通常は約100乃至10,000センチポアズの粘稠なシロップになった)またはモノマーシロップ、(ii)要すれば上述したような強化コモノマー、(iii)エポキシ樹脂、(iv)光重合開始剤、および(v)エポキシのための熱活性化硬化剤を有する組成物の光重合反応生成物である。接着剤は、米国特許番号第5,086,088号にある手順に従って調製できる。
【0120】
プレポリマーシロップまたはモノマーシロップを重合するのに有用な光重合開始剤は、例えば紫外線によって活性化する従来のフリーラジカル重合開始剤のいずれでも良い。適切な光重合開始剤の例は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Ciba-Geigy Corporationから入手できるIrgacure(651)である。光重合開始剤は、モノマーを重合するのに十分な量使用され、典型的にはプレポリマーシロップまたはモノマーシロップ100部当たり約0.01乃至5重量部使用される。
【0121】
熱活性化硬化剤は、加熱時にエポキシ樹脂を硬化させるために組成物に添加される。硬化剤はいかなるタイプでも良いが、好ましくはジシアンジアミドおよびポリアミン塩などのアミンタイプの硬化剤である。適切な商業的硬化剤は、Omicure(tm)の商標の下にOmicron Chemicalから、Ajicure(の商標の下にAjinomoto Chemicalから入手できる。硬化剤はエポキシ樹脂を硬化するのに十分な量使用され、典型的にはエポキシ樹脂100部当たり0.1乃至20重量部、そして好ましくは0.5乃至10重量部使用される。
【0122】
組成物が曝される熱は、硬化剤を完全に活性化してエポキシ樹脂を硬化するには不十分かもしれないので、促進剤を接着剤組成物にさらに追加することは有用である。促進剤は、より低温および/またはより短い露出時間で接着剤が硬化できるようにする。本発明の実施例では、イミダゾールおよび尿素誘導体が特に好ましく、有用な化合物としては、2,4-ジアミノ-6-(2'-メチルイミダゾール)-エチル-s-トリアジンイソシアヌレート、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、ヘキサキス(イミジゾール)ニッケルフタレート、およびトルエンビス-ジメチル尿素が挙げられる。促進剤は、エポキシ樹脂100重量当たり20重量部まで使用しても良い。
【0123】
熱硬化性PSAを有する溶融流動性シートの製造においては、前述の溶剤ベースの組成物を好ましくはシリコン塗布剥離ライナーである軟質のウェブに希望する接着剤の厚さにコーティングし、接着剤を熱硬化温度未満に加熱して溶剤を除去する。次に接着剤を、将来の使用のために溶融流動性シートにラミネートする。代案としては、組成物を溶融流動性シート上に直接コーティングして、ホットメルト活性化温度未満の温度で乾燥することもできる。
【0124】
代案の実施例では、シロップ組成物をシリコン剥離ライナー上にコーティングし、不活性雰囲気、すなわち窒素雰囲気などの本質的に酸素フリーの雰囲気中で光重合して、組成物を紫外線で照射して、上述の熱硬化性PSA成分を有する光重合したシロップ組成物が調製される。十分な不活性雰囲気は、コーティングを本質的にUV照射透過性である第2のポリマーフィルムでカバーして、フィルムを通して照射することで達成される。次に接着剤を溶融流動性層にラミネートする。代案としては、上部または下部剥離ライナーどちらかの代わりに溶融流動性層のシートを使用することもできる。
【0125】
さらに取り扱いの目的のために、不織布または強化スクリムを層の間に挿入、または熱硬化PSA層内に抱埋して付加的な強度を提供しても良い。
【0126】
熱硬化性PSAを有する前述の溶融流動性シートは、自動車組み立てにおけるワッシャー結合に対して特に有用である。ワッシャーは、例えば打抜きまたは押抜きプレスでワッシャーの大きさと形状に切断した1片の熱硬化性PSAに、ワッシャーをラミネートして調製される。次に溶融流動性側をより高い温度での結合に利用できるように露出して、切断した熱硬化性PSAを手動でまたは自動化機械によってワッシャーにラミネートする。代案としては、ワッシャー製造に適切な金属シートに熱硬化性PSAを結合する。シートの溶融流動性層は、室温で不粘着性である。次に希望する寸法のワッシャーを金属シートから打ち抜く。
【0127】
使用の際には、ワッシャーはドアを位置合わせして自動車のフレームに取り付ける際に、ボルトをドアヒンジに締め付けるために使用される。次に自動車を塗装し、オーブン硬化サイクルに通して乾燥し塗料を硬化させる。シートの溶融流動性側もオーブン中で十分に溶融して、フレームの金属表面に強固に結合する。次に内装品の装着のためにドアを除去し、ドアはワッシャーの位置が示す整列位置に再装着できる。このワッシャー結合方法により、組み立てにおけるワッシャーの自動分配が可能になり、既知のワッシャー結合方法に関連したライナーおよび接着剤汚染問題が排除される。
【0128】
ワッシャー結合用途では、溶融流動性シートの厚さは好ましくは約10乃至250 (mであり、最も好ましくは25乃至100 (mである。厚さが約 250 (mを超える場合、熱硬化操作中に溶融流動性材料がワッシャーから漏出するかもしれず、それがワッシャーと自動車のフレームの間の結合強度に影響することもある。熱硬化感圧性接着剤層の厚さは、約10乃至300 (m、好ましくは約30乃至200 (mの範囲にあるべきである。
【0129】
試験法
重なり剪断強度
2.54 cm x 1.27 cmの大きさの溶融流動性テープのストリップを用いて、2枚の2.5 cm x 5 cmのPPG ED-11パネル(Advance Coating Technologies, Inc.,から入手できる電着下塗り鋼、ここではED-11パネルとも称する)を2.54 cm x 1.27 cm重ね合わせて結合した。サンプルを加熱して、特定例に示した温度で2枚のパネルを共に結合し、次に少なくとも16時間室温で冷却した。パネルをInstron(tm) 引張り試験機で、1分当たり5 cmのクロスヘッド速度を用いて試験した。接着剤破損時の力をメガパスカル(MPa)で記録した。
【0130】
ワッシャー結合に対する接着剤剪断強度
接着剤剪断強度は、JISK6850に従って測定した。厚さ1.6 mmの鋼パネル2枚を基材として使用した。パネルの間に接着剤を置き、次に圧力500 g/cm2で60分間、温度140°Cで硬化した。次に試験前にパネルを室温に冷却した。引張り試験機を使用して50 mm/分間のジョー分離速度で、接着剤剪断強度を測定した。
好ましい接着剤は、50 kgf/cm2を超える剪断強度を有する。
【0131】
押抜き性能
圧力操作押抜きプレスを使用して30 kgf/cm2の圧力で、結合材料をワッシャーの孔に対応するように丸く押抜いた。結合材料当たりのサンプル数は5個だった。以下の判定基準の下でサンプルを評価した。
良好:押抜き不良なし。感圧性熱硬化接着剤は、ホットメルトフィルムから漏出しない。横断面は良好に見える。
押抜きが比較的困難:1個または2個のサンプルが不完全に押抜かれた。熱硬化接着剤は、ホットメルトフィルムからわずかに漏出した。
【0132】
接着剤の漏出
接着剤剪断強度の測定に使用したサンプルを用いて、鋼パネルからの感圧性熱硬化接着剤またはホットメルトフィルムの漏出について視覚的に検査した。判定基準を以下に示す。
漏出なし:Ok
わずかな漏出量:良好
大きな漏出量:不良
【0133】
発明の特定の実施例を次の限定を意図しない実施例で説明する。部は特に断りのない限り重量部を表す。
【0134】
実施例1-2
実施例1では、100部のヒドロキシ官能基半結晶質ポリエステル樹脂(Huls Americaから入手できるDynapol(1402)を約110°Cに加熱して溶融混合物を形成し、溶融流動性シートを調製した。溶融混合物を(127°Cに加熱した)ナイフバーコーター上でシリコン塗布クラフト紙にコーティングして、厚さ1.0 mmのシートを形成した。室温に冷却されたシートは、約2時間後に不透明になり結晶化が起きたことが示唆された。
【0135】
実施例2では、10部のビスフェノールAのジグリシジルエーテル(Shell Chemical Companyから入手できるEPON(828)を89部のDYNAPOL(S1402および1部のトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(described in米国特許第4,321,951号の5欄48行から7欄48行に述べられている)と混合し、約110°Cで約1時間混合して溶融流動性シートを調製した。結果として得られた混合物を(127°Cに加熱した)ナイフバーコーター上でシリコン塗布クラフト紙にコーティングして、厚さ1.0 mmのシートを形成した。シートを室温に冷却した。
【0136】
実施例1および2の試験
より大きなアルマイトパネル(以下ステップパネルと称する)に交差させた2.5 cm幅のアルマイトストリップに、約 2.5 cm x 7.6 cmの大きさの実施例1および2のサンプルテープを交差させて置き、177°Cのオーブンで30分間加熱した。双方のテープは流れ出し、カド丸で滑らかな移行を有する美的に好ましい滑らかな表面をアルミニウムストリップとパネルの間に提供した。またテープは、パネル上のストリップの原寸法を超えて流れ出し、パネルに頑強に接着した。
【0137】
次に各実施例を1.9 cm幅で約25.4長さのストリップに切断し、1.9 cmの内側幅を有するU字型溝内に置いた。各U字型溝は、2片の冷間圧延鋼を90°の角度に曲げ、U字型内にステップダウン接合部が形成するように断片を共に点溶接して形成した。ストリップが付着したU字型溝を約15°の角度に傾けて、177°Cのオーブンで30分間加熱し室温に冷却した。双方のストリップは流れ出して接合部を効果的にシールし、表面に段差接合部を見せずに滑らかな表面を溝に与えた。
【0138】
双方のストリップの下端にU字型溝の上で印を付け、次に双方のU字型溝を120°Cのオーブンに15°の角度で30分間入れて、次に冷却した。引き続く加熱による流動は、実施例1で約3.2 mmであり実施例2で約25.4 mmだった。
【0139】
各実施例1および実施例2のさらに別のサンプルを上述したようなステップパネルの上で試験し、177°Cで30分間加熱した。全部で4つのサンプル(前もって加熱サイクルに露出させた2つのオリジナルサンプル、および引き続く加熱サイクルに露出させていない2つの新しいサンプル)を白色水性下塗り剤(PPG Industriesから入手できるHWB90934)で塗装し、121°Cで5分間加熱した。二液型透明塗料(どちらもPPG Industriesから入手できるCNCT2AHパートAおよびCNCT2BEパートB)を製造業者の取扱説明書に従って混合し、4枚のパネルにスプレー塗装した。次にパネルを140°Cで30分間加熱してから冷却した。溶融流動性ストリップ上の塗料仕上げの光沢、色および(その鏡様の品質の指標である)イメージの明瞭さは、周囲の金属表面と同一であった。溶融流動性ストリップと金属表面の間の塗料の移行は滑らかで、分割線または塗料端分離の徴は見られなかった。
【0140】
塗装前に一度加熱してテープを溶融流動化したサンプルを、120°Cのオーブンに30分間入れた。冷却後、パネルおよび表面のどちらにも付加的な流動は観察されず滑らかで美的な好ましさが保たれた。実施例2の溶融流動性ストリップの付いたパネルは、オーブン温度で表面にわずかにしわができたが、室温に冷却するとしわは消えた。
【0141】
前述の実施例および試験は、シールされ美的に好ましく塗装可能な表面を金属表面に与える本発明の好ましい実施例を例証する。
【0142】
実施例3
実施例1の溶融流動性層を2.5 cm x 7.6 cmの大きさのストリップに切断し、ED-11パネル上にのせて177°Cのオーブンで30分間加熱した。次にパネルを冷却して、上述した白色下塗りおよび透明塗料で塗装し、121°Cのオーブンに30分間入れて塗料を硬化させた。溶融流動性テープは、パネル上に丸みのある稜線を有する盛上りを作った。引き続きパネルを177°Cのオーブンに水平に入れて30分間にわたり加熱したが、塗料表面または盛上りの歪みにも影響はなかった。次にパネルを177°Cのオーブンに30分間、水平から75°の角度で入れた。パネルが加熱するにつれ、盛上りは涙滴形状になり、残りの塗料表面はそのままであった。パネルを75°の角度で室温に冷却すると、盛上りは元の形状に戻った。
【0143】
塗料層を貫いて溶融流動性層に達するピンホールが開いている以外は同一のパネルを75°の角度で再加熱した。加熱すると、下にある溶融流動性層は依然として熱可塑性であり、ピンホールからにじみ出た。
【0144】
前述の実施例は、塗料と溶融流動性シート材料の間の反応境界面の形成を例証する。
【0145】
実施例4
約2.5 cm x 7.6 cmの大きさの実施例1の溶融流動性シートのストリップをシリコン剥離剤塗布ポリエステルフィルムの上にのせ、テープが透明になり非晶質になったことが示されるまで177℃のオーブンに入れた。ストリップをオーブンから取りだして、室温(21乃至23°C)に冷却した。依然として透明なストリップは、十分な粘着性を有し、室温でED-11に接着した。次にパネルを120°Cで10分間加熱してストリップをパネルに接着し、次に177°Cで30分間再加熱した。次にサンプルを塗装し、140°Cのオーブンで30分間硬化した。
【0146】
この実施例は、本発明の実施例を基材に恒久的に結合する前に、一時的に基材上に置く方法を例証する。
【0147】
実施例5
実施例1の溶融流動性シート材料をアクリル酸PSA転写テープ(Minnesota Mining & Manufacturing Co.から入手できる467接着剤転写テープ)にラミネートした。2.5 cm x 7.6 cmの大きさのストリップをアルマイトパネルにラミネートし、2.54 cmx 1.27 cmのストリップを上述したED-11重なり剪断パネルにラミネートした。サンプルを177°Cのオーブンに15分間入れ、不透明になるまで室温で冷却した(約90分間)。
【0148】
アルマイトパネル上のサンプルは良好に接着し、溶融流動性シートはPSAを封入した。重なり剪断サンプルを試験すると、平均重なり剪断強度は平方インチ当たり253.8 ポンドであった。破損は、PSAと溶融流動性シートの間に密着していることが観察された。
【0149】
上の例は、加熱して表面をシールするまでシートを所定位置に保持するのに、溶融流動性シート上のPSA層が有用であることを例証する。
【0150】
実施例6-10
結晶化度の異なる2種のヒドロキシ官能基ポリエステルを混合し、実施例1に述べたようにコーティングしてシートを形成した。結晶化速度の指標として、シートが不透明に戻るのにかかる時間を測定した。使用したポリエステル材料は、結晶度の低いポリエステル樹脂であるDynapol(1402、および結晶化度のより高いポリエステル樹脂であるDynapol(1359であった。各樹脂の量は表1に示した。表1に示した詳細からは、結晶化速度が変化することが示される。
【0151】
【表1】
【0152】
実施例11-18およびC1-C3
流動および塗料付着性について、様々な熱可塑性材料を評価した。材料は厚さ1乃至3 mmのシートで提供された。実施例11は厚さ1 mmのシートを調製したこと以外は実施例1と同様にして調製し、実施例12は厚さが1 mmであること以外は実施例2と同様にして調製した。剥離剤塗布ポリエステルライナーの間に材料のペレットを置き、材料が厚さ約0.08乃至0.15 mmのシートに融合するまでアイロンで加熱して、残りのシートを調製した。複数のシートを共に折り畳んで、より厚い約1乃至3 mmの大きさのシートを形成した。
【0153】
サンプルを(上述した)177°Cのステップパネル上に20分間のせて、流動特性を記録した。
【0154】
次にサンプルを白色水性下塗り剤(PPG Industriesより入手できるHWB90934)で塗装し、140°Cで5分間加熱した。二液型透明塗料(どちらもPPG Industriesから入手できるCNCT2AHパートAおよびCNCT2BEパートB)を製造業者の取扱説明書に従って混合し、4枚のパネルにスプレー塗装した。次にパネルを140°Cで30分間加熱してから一晩冷却した。次にパネルを140°Cで20分間再加熱した。
【0155】
材料は次のように試験した。(1)加熱後塗装前の流動について(OKは材料が流動するが粘着性を保つことを示し、Lは材料が液化したことを示す。)(2)塗装後、塗料硬化後、および再加熱後の塗装品質(OKは表面の外観が良好なことを示し、破損は塗料がひび割れしたりまたは硬化しないことを示す。)(3)再加熱後(OKは外観に変化が生じないことを示し、縁は塗料がシートの外縁でひび割れしたことを示す。破損は塗料がひび割れしてポリマーがひび割れから流れ出したことを示す。)(4)ASTM D3359-90に従って試験した溶融流動性シートに依然として付着する塗料の百分率として表されるクロスハッチ付着性について(100%が望ましい。破損は試験実施前にサンプルが破損したことを示す)。詳しい試験結果は表2に示した。
【0156】
【表2】
A - Sherex Co.から入手できるTS-1502
B - BUTVAR(B79 - Monsanto Co.から入手できるポリビニルブチラール
C - Surlyn(1605 - DuPont Co.から入手できるエチレンアクリル酸フィルム
D - Primacor(3440 - Dow Chemical Co.から入手できるエチレンアクリル酸
E - Elvax(260 - DuPont Co.から入手できるエチレン酢酸ビニル
F - SCX 8008 - J.C. Johnson Co.から入手できるアクリル多価アルコール
G - Union Carbideから入手できるCarbowax(8000
H - Union Carbideから入手できるCarbowax(20M
I - Aldrich Chemicalから入手できるTMP(トリメチロールプロパン)
*加熱時塗料表面にしわがあったが冷却時表面は滑らかになった
**塗料フィルムは脆かった
【0157】
実施例19-21
実施例19は、厚さが約 2 mmであること以外は実施例1と同様にして作成した溶融流動性シートである。実施例20は、実施例1と同様にして調製した2枚のシートを2枚のシート間のナイロン不織布と共に使用して、厚さ1.27 mmに調製した。不織布(Fiberweb N.A.から入手できるCEREX()は、平方ヤード当たり0.3オンスであり、2枚のシリコン塗布ポリエステル剥離ライナーの間の第1のシートに加熱したアイロンでラミネートした。次に第2のシートを同様にしてラミネートした。シートはラミネート加工中に透明になった。実施例21は、ポリエステル不織布材料(平方ヤード当たり0.5オンスのReemayから入手できるReemay 2250)を使用したこと以外は、実施例20と同様にして調製した。
【0158】
実施例19-21を2.54 cm x 20.3 cmのストリップに切断し、ED-11下塗り済み金属パネルを曲げて形成した曲面金属表面上に、水平から約30°で始まる角度に縦方向に置いて試験した。曲がったパネルを177°Cのオーブンに10分間入れた。冷却後、実施例19は、パネルの側面に顕著な流れ落ちがあることが観察された。実施例20にはわずかな流動があったが、ナイロンの収縮のために約8%収縮した。実施例21にもわずかな流動があったが、収縮はなかった。
【0159】
前述の実施例は、溶融流動性シートを流動調節するための不織布スクリムの使用方法を例証する。
【0160】
実施例22および23
実施例2と同様にして、厚さ0.076 mmのシートを調製した。実施例22のシートをUV照射(低線量ブラックライト)に5分間露出した。次に各実施例のシートを切断し、重ねて厚さ0.72 mmのシートを作った。次にシートを2.54 cm x 7.62 cmのストリップに切断し、2枚の重なり合う金属パネル上に垂らしかけ、次に177°Cで30分間加熱した。図5aおよび5bは、加熱前(図5a)および加熱後(図5b)のパネルおよびシートを表す。パネルを冷却すると、双方の実施例は、継目をシールするのに十分な流動性を示した。照射しなかったサンプルである実施例23は、重なり合うパネル中の段差の上により滑らかなプロフィールを有し、パネル中の段差は実施例22でより目立った。次にパネルをBASFからの黒色下塗り剤でコーティングして硬化し、二液型透明塗料で重ね塗りして硬化した。双方のサンプルは良好に塗装され、クロスハッチ付着性は100%であった。
【0161】
上の実施例は、表面順応性がシート材料の照射によりどのように変化するかを例証する。
【0162】
実施例24
シクロ脂肪族エポキシ(Union Carbideより入手できるERL-4221)10部と、低結晶度の飽和直鎖コポリエステル(DYNAPOL(S1402)89部と、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩1部とを混合して組成物を調製し、2 mm厚さにコーティングしたこと以外は実施例2と同様にして、架橋性溶融流動性シートを調製した。厚さが2 mmだったこと以外は実施例1と同様にして、第2の溶融流動性シートを調製した。2枚のシートをシリコン剥離剤塗布ポリエステルライナーの間でそれぞれの上に置いて、177°Cで10分間加熱して厚さ4 mmのシートを形成した。幅約2.54 cmにストリップを切断し、架橋性シートを上にして幅1.25 cm深さ約1.9 cmのルーフ溝原型内に置いた。ストリップを置いた原型を177°Cのオーブンに20分間入れた。冷却後、ストリップは原型の縦方向に沿って、美的に好ましい凹面表面を保持した。下層は溶融して原型の接合部内に流れ込み、テープの側面は溝の側面に頑強に結合して溝を効果的にシールした。空気留りがいくつか見られたが、これらはテープの厚さと関連があるかもしれない。
【0163】
実施例25
E.I.T.(バージニア州スターリングのElectronics Instrumentation & Technology, Inc.,)からのUvirad放射計(型番号VR365CH3)を用いて、実施例24の厚さ2 mmの架橋性溶融流動性シートをUVブラックライトに20秒間露出して、総エネルギー160 mJ/cm2(平方センチメートル当たりミリジュール)で表面を光分解した。実施例24のようにストリップを切断し、光分解側を内側にして縦方向に折り目を付け、次に実施例24に述べたように原型ルーフ溝内に光分解側を上にして置いた。次に原型を77°Cで20分間加熱した。より薄いストリップは、ストリップとルーフ溝原型の側面との間により滑らかな移行線を提供する一方で、原型の側面に頑強な結合を提供した。ストリップと原型との間に空気留りがいくつか観察されたが、泡はストリップの美的に好ましい表面特性には影響しなかった。
【0164】
実施例26-34
表3に示すように組成物と材料を変えたこと以外は、実施例2に述べたようにして溶融流動性シートを調製した。実施例26-31は厚さ2 mm、そして実施例32-34は厚さ1 mmだった。実施例は全て良好な流動特性を示し、塗料付着性は全サンプルについて100%であった。
【0165】
【表3】
PET - Dynapol(S1402)
エポキシ1 - ビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルオリゴマー(Shell Chemical Co.から入手できるEpon(1001)
エポキシ2 - Epon(1002)
エポキシ3 - ビスフェノール-Aのジグリシジル エーテル(Shell Chemical Co.から入手できるEpon(828)
触媒1 - トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩
触媒2 - 米国特許番号第5,089,536号に述べられている
(eta6-キシレン(混合イソマー))(eta5 シクロペンタジエニル)鉄(1+)ヘキサフルオロアニモネート
【0166】
実施例35
実施例1と同様にして厚さ0.254 mmの溶融流動性シートを調製した。次のようにして第2の層を調製した。
【0167】
アクリル酸ブチルとN-ビニルカプロラクタムの50/50混合物を混ぜ合わせ、溶液を形成した。アクリル酸ブチル75部、アクリル酸ブチル/N-ビニルカプロラクタム溶液75部、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマー(Rohm and Haas, Co.より入手できるAcryloid(B-60)50部、およびビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルオリゴマー(Epon(1001)110部をエポキシおよびコポリマーが溶液になるまでローラーミル上のジャー中で混合して、溶融流動性組成物(アクリレート57.7%およびエポキシ42.3%)を調製した。この溶液に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Ciba-Geigyより入手できるIrgacure(651)0.15部、酸化防止剤(Ciba-Geigyより入手できるIrganox(1010)0.15部、四臭化炭素1.0部、ジシアンジアミド(SKW Chemicalより入手できるDYHARD(100)3.86部、ヘキサキス(イミジゾール)ニッケルフタレート1.38部、ガラス泡(Minnesota Mining and Manufacturing Co.より入手できるC15-250ガラス泡)2部、およびシリカ(Cabot Corp.より入手できるCab-o-sil(M-5)7部を添加した。組成物を高剪断ミキサーで混合して、ローラーミル上で約24時間混合した。次に組成物をガス抜きし、シリコンコーティング済みのポリエステルライナーに約2.0乃至0.05 mmの厚さにナイフコーティングした。次にコーティングした組成物を300 nmと400 nmの間に90%の発光を有し、最大発光が351 nmである紫外線源に露出した。ウェブ上の光強度は1.88 mW/cm2(平方センチメートル当たりミリワット)および1.29 mW/cm2であった。使用した全エネルギーは、653.8ミリジュールだった。結果として得られた溶融流動性テープは、室温(約21°C)で本質的に不粘着性だった。
【0168】
各シートからポリエステルライナーの1枚を剥がし、第1および第2の溶融流動性シートを約65.6°Cに設定したアイロンで共にラミネートして、溶融流動性複合シートを形成した。
【0169】
複合シートのストリップを表面に浅い窪みがある金属パネル上にシートの第1の層を金属表面に向けてのせ、177°Cで30分間加熱して次に室温に冷却した。実施例38は窪みからの表面欠陥を示さなかった。比較として、上述した第2の層のみを有するシートを同じようにして試験した。第2のシートの表面には、窪みの上を覆うシートの中心に目に見えるへこみがあった。
【0170】
実施例36
約250°Cに設定したフラットTダイ上で、アクリル酸含有量9%のエチレンアクリル酸(Dow Chemical Co.より入手できるPRIMACOR 3440)の厚さ0.076 mmの層を押出して、溶融流動性シートを調製した。
【0171】
アクリル酸ブチルとN-ビニルカプロラクタムの50/50混合物を約50°Cに加熱して、溶液を形成した。アクリル酸ブチル120部、アクリル酸ブチル/N-ビニルカプロラクタム溶液80部、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマー (Rohm and Haas, Co.より入手できるAcryloid(B-60)50部、およびビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルオリゴマー(Shell Chemical Co.より入手できるEpon(1001)200部をエポキシおよびコポリマーが溶液になるまでローラーミル上のジャー中で混合して、溶融流動性組成物(アクリレート50%およびエポキシ50%)を調製した。この溶液に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Sartomerより入手できるKB-1)0.2部、酸化防止剤(Ciba-Geigyより入手できるIrganox(1010)0.2部、四臭化炭素0.8部、ジシアンジアミド(SKW Chemicalより入手できるDYHARD(100)7.0部、ヘキサキス(イミジゾール)ニッケルフタレート3.0部、ガラス泡(Minnesota Mining and Manufacturing Co.より入手できるC15-250ガラス泡)4部、およびシリカ(Cabot Corp.より入手できるCab-o-sil(M-5)14部を添加して、混合物を形成した。混合物を実施例38の手順に従って混ぜ合わせ、塗布して硬化し、溶融流動性テープを形成した。
【0172】
上述したようにアイロンでホットメルト接着剤層を熱硬化性溶融流動性テープにラミネートして、接着剤複合材を調製した。
【0173】
実施例37
アクリル酸ブチル76部、N-ビニルピロリドン24部、およびIrgacure(651光重合開始剤(Ciba Geigyから入手できる2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)0.04部を混合し、絶え間ない窒素パージ下で紫外線(UV)源で光重合して、粘度が約2000 cpsのシロップを形成し、感圧性接着剤組成物を調製した。絶え間なく混ぜ合わせながら、以下の材料をアクリレートシロップ100部に添加して約2時間混合した。IrgacureTM651を0.1部、ビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルオリゴマー(Shell Chemical Co.より入手できるEpikoteTM1001)を40部、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(Shell Chemical Co.より入手できるELA 128)を50部、ジシアンジアミド(Omicron Chemical Co.より入手できるCG1200)を3.5部、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾイル-(1')]-エチル-S-トリアジンイソシアヌレート付加物(Shikoku Chemical Co., Ltd.より入手できる2MA-OK)を6.0部、ヒュームドシリカ(DeGussaより入手できるAerosilTM972)を5.0部、およびヘキサンジオールジアクリレートを0.03部。次に混合物をガス抜きし、厚さ約0.05 mmの透明シリコン塗布ポリエステル剥離ライナーの上にのせたポリアミド不織布(FiberwebからのN.A.CEREX)上に、平方ヤード当たり0.3オンスの厚さにナイフコーティングした。コーティングした複合材の上に同様の剥離ライナーをのせ、全エネルギー使用量が500 mJ/cm2になるようにした平均強度約1.1 mW/cm2の紫外線ランプによりウェブの上下で、コーティングした混合物を光重合した。使用したランプは、300 nmと400 nmの間に90%の発光を有し、最大発光が351 nmであった。結果として得られた熱硬化感圧性接着剤テープ(TPSA)層の厚さは、約0.3 mmだった。
【0174】
Tダイを使用して約250°Cで、アクリル酸含有量6.5%のエチレンアクリル酸(Dow Chemical Co.より入手できるPRIMACOR 3440)を厚さ0.076 mmの層に押出して、ホットメルト接着剤層(HMA)を調製した。層の厚さは50 (mだった。
【0175】
感圧性接着剤テープからライナーの1枚を剥がし、ホットメルト接着剤層をラミネートして接着剤テープ複合材を調製した。接着剤剪断強度、押抜き性能および漏出について複合材を試験した。試験結果は表4に示した。
【0176】
実施例38
アクリロニトリルゴム(Nippon Zeon Co., Ltd.から入手できるNippol 1001)150 gをメチルエチルケトン400 gに溶解して熱硬化感圧性接着剤を調製した。次に以下の材料を溶液に添加して24時間混合し、均質な混合物を得た。Epikote(tm) 828を100 g、Epikote(1001を100 g、ジシアンジアミドを20 g、Amicure PN(Ajinomoto Co., Inc.から入手できるエポキシ硬化剤)を235 g、およびシリカ粉末(Nippon Aerosil Co., Ltd.から入手できるAerosil(A-200)を20 g。次に混合物をシリコン塗布ポリエステルライナーにナイフコーティングし、70℃で15分間乾燥した。結果として得られた熱硬化性感圧性接着剤層の厚さは100 (mだった。
【0177】
実施例37に述べたようにして調製した50 (mのホットメルト接着剤層に熱硬化性感圧性接着剤層をラミネートして、接着剤複合材を調製した。試験結果は表4に示した。
【0178】
実施例39-42
実施例38に述べたようにして、表4に示したように各層の厚さが異なる接着剤複合材を調製した。試験結果もまた示した。
【0179】
【表4】
【0180】
実施例43-46
表5に示したように、実施例37の熱硬化感圧性接着剤を様々なホットメルト接着剤層にラミネートした。熱硬化感圧性接着剤層の厚さは100 (mだった。表5に示すホットメルト接着剤樹脂を押出して、ホットメルト接着剤層を調製した。試験結果は表6に示す。
【0181】
【表5】
【0182】
【表6】
【0183】
実施例47
ヒドロキシ官能基半結晶質ポリエステル樹脂(Huls Americaより入手できるDynapol(S1359)88.9重量部と、微結晶ろう(Petrolite Corp.より入手できるUnilin(700)1部とを混合して、第1の照射硬化性エポキシポリエステル組成物を調製した。エポキシ樹脂(Epon(828)10部と、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩1部とを有する液体混合物をポンプでバレルのほぼ中央に押出し機に汲み上げて、ポリエステル樹脂混合物と混合した。押出し機のバレルの同一領域に25インチHg未満の真空をかけて、混合物から空気を除去した。押出し機の温度は65乃至110℃の範囲であり、供給口の温度は約25℃であった。フラットダイの温度は82℃に保った。押出し物を厚さ0.00291インチの未加工ポリエステルフィルム上にコーティングし、コーティングしたフィルムを冷却後ロールに巻き取った。押出し物の厚さは、0.0005乃至0.0007インチの範囲であった。
【0184】
次に分当たり30フィートのライン速度でエネルギー出力0.201 J/cm2を有する、中程度圧力UVランプ1個のついた紫外線(UV)処理装置(イリノイ州プレーンフィールドのAetek Internationalが供給するモデルQC250244ANIR)に、ポリエステルフィルム上のコーティングを露出した。結果として得られたポリエステルフィルム上のコーティングを熱硬化したところ、ポリエステルフィルムに対して優れた付着性を有した。
【0185】
次に乾燥組成が77.9部のDynapol(S1359、および1部の微結晶ろう(Unilin(700)であり、液体混合物がエポキシ樹脂(Epon(828)20部、多価アルコール(Dow Chemical Co.から入手できるVoranol(230-238多価アルコール)1部、およびCp(キシレン)Fe+SbF6-0.1部を含むこと以外は、第1のエポキシポリエステル組成物と同様にして調製した第2のエポキシポリエステル組成物で、ポリエステルフィルムのもう一方の表面をコーティングした。第2のエポキシポリエステル組成物をポリエステルフィルム上に0.040インチの厚さにコーティングして、シート材料を形成した。
【0186】
実施例48
実施例47の第2のエポキシポリエステル組成物を厚さ0.007インチの充填材入り超高分子量ポリオレフィンフィルム(PPG Industries, Inc.から入手できるTeslin(sp 700)上に0.040インチの厚さにコーティングして、シート材料を形成した。
【0187】
2.5インチ幅で10インチ長さのシート材料のストリップをアルマイトパネルにあてがって、177℃で15分間加熱した。冷却後の横行ウェブ収縮は0%、下降ウェブ収縮は約1.5%と測定された。
【0188】
実施例49
酢酸エチルを用いて固体含量30%に希釈したポリエステル/イソシアネートラミネート接着剤(Mortonから入手できるAdcote 76T3A/触媒F)を用いて、厚さ0.00265インチのポリエステルフィルム(ペンシルベニア州ウエストチェスターのICI Filmsから入手できるMelinex 054下塗りポリエステルフィルム2.65ミル)を44モル%のエチレンを有する0.025 mm厚さのエチレンビニルアルコールフィルム(EVALからのE-25)にラミネートして、フィルム層を調製した。グラビアコーターを使用して平方メートル当たり約32 gの乾燥コーティング重量で、エチレンビニルアルコールフィルムに接着剤を塗布した。接着剤を約63℃で乾燥させて溶剤を揮発させた。次にポリエステルフィルムをコロナ処理し、ニップローラーを用いてエチレンビニルアルコールフィルムの接着剤塗布側に約93℃で熱ラミネートした。
【0189】
次に実施例47に述べたように、フィルムラミネートのポリエステル側を第2のエポキシポリエステル組成物の厚さ0.040インチの層でコーティングした。
【0190】
発明の精神または範囲を逸脱することなく、本発明の方法と製品に様々な変更と変化が可能なことは、当業者には明らかである。従って本発明は、付随する請求項とそれらの相当物の範囲にあるならば、本発明の変更と変化をカバーすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1a】自動車ルーフ溝に位置する本発明に従ったシート材料の加熱前を示す横断面図である。
【図1b】図1aに示すシート材料の加熱後を示す横断面図である。
【図2】本発明に従った二層シート材料の横断面図である。
【図3a】本発明に従ったさらに別の二層シート材料の横断面図である。
【図3b】自動車ルーフ溝に位置する図3aのシート材料の加熱前を示す横断面図である。
【図3c】自動車ルーフ溝に位置する図3aのシート材料の加熱後を示す横断面図である。
【図4a】接着した本発明のシート材料を有するワッシャーの上面図である。
【図4b】図4aの線4bに沿った横断面図である。
【図4c】ドアヒンジをドアフレームに接続するために挿入されたボルトを有する図4aの実施例を示す断面図である。
【図5a】実施例22および23で参照されている。
【図5b】実施例22および23で参照されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)上部表面を有する寸法安定性フィルム、および下部表面を有し溶融流動性組成物を含む下部溶融流動性層、を有するシート材料において、
該シート材料が乗物体の接合部をシールするのに好適な形状であり、該溶融流動性層が0.05mm〜25mmの厚さを有するように形成され、該寸法安定性フィルムが、溶融流動性組成物の溶融シーリング温度に加熱され、続いて冷却された時に、溶融および流動しないほど、またはしわを作らないほど十分に寸法安定性を有している、シート材料を提供する工程、
(b)溶融流動性層の下部表面を乗物体の段差接合部形成部分に接触させる工程、
(c)シート材料を、溶融流動性組成物が流動して段差接合部中の表面不完全性を平坦にするか隙間を埋め、並びに接着して段差接合部に結合を形成するのに十分な溶融シーリング温度に加熱する工程、及び
(d)シート材料および段差接合部を冷却させる工程、
を包含し、該溶融流動性層は流動して段差接合部をシールするのに十分な材料を提供できるだけの厚さであり、該シート材料は段差接合部に接着したままであり、シート材料によって段差接合部に形態的または保護的特徴が付与される、乗物体の段差接合部に形態的または保護的特徴を付与する方法。
【請求項2】
前記溶融流動性組成物が、(i)エポキシ、及び(ii)ポリエステル、ポリアミド、−OH基を有する官能基付与エチレン(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスルフィド、ポリアセタール、エチレン(メタ)アクリル酸コポリマー、プロピレン(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、及びポリカプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、を含有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記溶融流動性層が0.10mm〜25mmの厚さを有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記寸法安定性フィルムが、ポリウレタンフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、架橋エポキシフィルム、架橋エポキシポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、超高分子量ポリエチレンフィルム、微孔性超高分子量ポリエチレンフィルム、超高分子量ポリプロピレンフィルム、又は超高分子量微孔性ポリプロピレンフィルムである請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記溶融流動性層が0.20mm〜10mmの厚さを有する請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記提供されるシート材料がストリップの形状であり、前記接触させる工程が、溶融流動性組成物の下部表面を、段差接合部を有する自動車のルーフ溝の内側表面に接触させる工程であり、前記加熱する工程が、ルーフ溝内でストリップを加熱することにより、溶融流動性組成物がルーフ溝内の不完全性および接合部の上を流動して、美的に好ましい外観を溝内に作り出し、ストリップがルーフ溝の内側表面に接着し、ルーフ溝内に保護的シールを提供して、雨水、汚れ、雪その他がルーフ溝内に入って錆または腐蝕を起こすことを防止する工程である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
シート材料を冷却後、シート材料を塗装する工程を更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)上部表面を有する寸法安定性フィルム、および(b)下部表面を有し溶融流動性組成物を含み0.05mm〜25mmの厚さを有する下部溶融流動性層を有するシート材料で成る、乗物体の接合部に形態的または保護的特徴を与えるために乗物体の接合部への配置に適合させた物品であって、
該シート材料が乗物体内の接合部をシールするのに好適な形状に形成され、シート材料が溶融流動性組成物を流動させ、乗物体の接合部に接着するのに十分な溶融シーリング温度に加熱し、続いて冷却した時に、該フィルムが溶融および流動しないほど、またはしわを作らないほど十分に寸法安定性を有し、該溶融流動性層は流動して段差接合部をシールするのに十分な材料を提供できるだけの厚さであり、該シート材料が接合部に接着したままで結合し、かつシート材料によって接合部に形態的または保護的特徴が付与される、物品。
【請求項9】
前記溶融流動性組成物が、(i)エポキシ、及び(ii)ポリエステル、ポリアミド、−OH基を有する官能基付与エチレン(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスルフィド、ポリアセタール、エチレン(メタ)アクリル酸コポリマー、プロピレン(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、及びポリカプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、を含有する請求項8記載の物品。
【請求項10】
前記溶融流動性層が0.10mm〜25mmの厚さを有する請求項8記載の物品。
【請求項11】
前記寸法安定性フィルムが、ポリウレタンフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、架橋エポキシフィルム、架橋エポキシポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、超高分子量ポリエチレンフィルム、微孔性超高分子量ポリエチレンフィルム、超高分子量ポリプロピレンフィルム、又は超高分子量微孔性ポリプロピレンフィルムである請求項8記載の物品。
【請求項12】
前記溶融流動性層が0.20mm〜10mmの厚さを有する請求項8記載の物品。
【請求項13】
前記シート材料が、溶融流動性組成物の下部表面を、段差接合部を有する自動車ルーフ溝の内側表面に接触させるのに必要な大きさにしたストリップの形状であり、該溶融流動性組成物の下部表面を自動車ルーフ溝の内側表面に接触させ、シート材料を溶融シーリング温度に加熱した時に、該溶融流動性組成物がルーフ溝内の接合部における不完全性の上を流動してストリップがルーフ溝の内側表面に接着しルーフ溝内に保護的シールを提供して、雨水、汚れ、雪その他がルーフ溝内に入って錆または腐蝕を起こすことを防止して、美的に好ましい外観を溝内に作り出す、請求項8〜12のいずれかに記載の物品。
【請求項14】
前記溶融流動性層が0.34mm〜6mmの厚さを有する請求項8〜12のいずれかに記載の物品。
【請求項15】
前記寸法安定性フィルムが、加熱する工程の間の下降ウェブ収縮および横行ウェブ収縮5%未満を有する請求項8〜12のいずれかに記載の物品
【請求項1】
(a)上部表面を有する寸法安定性フィルム、および下部表面を有し溶融流動性組成物を含む下部溶融流動性層、を有するシート材料において、
該シート材料が乗物体の接合部をシールするのに好適な形状であり、該溶融流動性層が0.05mm〜25mmの厚さを有するように形成され、該寸法安定性フィルムが、溶融流動性組成物の溶融シーリング温度に加熱され、続いて冷却された時に、溶融および流動しないほど、またはしわを作らないほど十分に寸法安定性を有している、シート材料を提供する工程、
(b)溶融流動性層の下部表面を乗物体の段差接合部形成部分に接触させる工程、
(c)シート材料を、溶融流動性組成物が流動して段差接合部中の表面不完全性を平坦にするか隙間を埋め、並びに接着して段差接合部に結合を形成するのに十分な溶融シーリング温度に加熱する工程、及び
(d)シート材料および段差接合部を冷却させる工程、
を包含し、該溶融流動性層は流動して段差接合部をシールするのに十分な材料を提供できるだけの厚さであり、該シート材料は段差接合部に接着したままであり、シート材料によって段差接合部に形態的または保護的特徴が付与される、乗物体の段差接合部に形態的または保護的特徴を付与する方法。
【請求項2】
前記溶融流動性組成物が、(i)エポキシ、及び(ii)ポリエステル、ポリアミド、−OH基を有する官能基付与エチレン(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスルフィド、ポリアセタール、エチレン(メタ)アクリル酸コポリマー、プロピレン(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、及びポリカプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、を含有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記溶融流動性層が0.10mm〜25mmの厚さを有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記寸法安定性フィルムが、ポリウレタンフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、架橋エポキシフィルム、架橋エポキシポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、超高分子量ポリエチレンフィルム、微孔性超高分子量ポリエチレンフィルム、超高分子量ポリプロピレンフィルム、又は超高分子量微孔性ポリプロピレンフィルムである請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記溶融流動性層が0.20mm〜10mmの厚さを有する請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記提供されるシート材料がストリップの形状であり、前記接触させる工程が、溶融流動性組成物の下部表面を、段差接合部を有する自動車のルーフ溝の内側表面に接触させる工程であり、前記加熱する工程が、ルーフ溝内でストリップを加熱することにより、溶融流動性組成物がルーフ溝内の不完全性および接合部の上を流動して、美的に好ましい外観を溝内に作り出し、ストリップがルーフ溝の内側表面に接着し、ルーフ溝内に保護的シールを提供して、雨水、汚れ、雪その他がルーフ溝内に入って錆または腐蝕を起こすことを防止する工程である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
シート材料を冷却後、シート材料を塗装する工程を更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)上部表面を有する寸法安定性フィルム、および(b)下部表面を有し溶融流動性組成物を含み0.05mm〜25mmの厚さを有する下部溶融流動性層を有するシート材料で成る、乗物体の接合部に形態的または保護的特徴を与えるために乗物体の接合部への配置に適合させた物品であって、
該シート材料が乗物体内の接合部をシールするのに好適な形状に形成され、シート材料が溶融流動性組成物を流動させ、乗物体の接合部に接着するのに十分な溶融シーリング温度に加熱し、続いて冷却した時に、該フィルムが溶融および流動しないほど、またはしわを作らないほど十分に寸法安定性を有し、該溶融流動性層は流動して段差接合部をシールするのに十分な材料を提供できるだけの厚さであり、該シート材料が接合部に接着したままで結合し、かつシート材料によって接合部に形態的または保護的特徴が付与される、物品。
【請求項9】
前記溶融流動性組成物が、(i)エポキシ、及び(ii)ポリエステル、ポリアミド、−OH基を有する官能基付与エチレン(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスルフィド、ポリアセタール、エチレン(メタ)アクリル酸コポリマー、プロピレン(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、及びポリカプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、を含有する請求項8記載の物品。
【請求項10】
前記溶融流動性層が0.10mm〜25mmの厚さを有する請求項8記載の物品。
【請求項11】
前記寸法安定性フィルムが、ポリウレタンフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、架橋エポキシフィルム、架橋エポキシポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、超高分子量ポリエチレンフィルム、微孔性超高分子量ポリエチレンフィルム、超高分子量ポリプロピレンフィルム、又は超高分子量微孔性ポリプロピレンフィルムである請求項8記載の物品。
【請求項12】
前記溶融流動性層が0.20mm〜10mmの厚さを有する請求項8記載の物品。
【請求項13】
前記シート材料が、溶融流動性組成物の下部表面を、段差接合部を有する自動車ルーフ溝の内側表面に接触させるのに必要な大きさにしたストリップの形状であり、該溶融流動性組成物の下部表面を自動車ルーフ溝の内側表面に接触させ、シート材料を溶融シーリング温度に加熱した時に、該溶融流動性組成物がルーフ溝内の接合部における不完全性の上を流動してストリップがルーフ溝の内側表面に接着しルーフ溝内に保護的シールを提供して、雨水、汚れ、雪その他がルーフ溝内に入って錆または腐蝕を起こすことを防止して、美的に好ましい外観を溝内に作り出す、請求項8〜12のいずれかに記載の物品。
【請求項14】
前記溶融流動性層が0.34mm〜6mmの厚さを有する請求項8〜12のいずれかに記載の物品。
【請求項15】
前記寸法安定性フィルムが、加熱する工程の間の下降ウェブ収縮および横行ウェブ収縮5%未満を有する請求項8〜12のいずれかに記載の物品
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【公開番号】特開2007−254752(P2007−254752A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112802(P2007−112802)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【分割の表示】特願平8−531119の分割
【原出願日】平成8年4月11日(1996.4.11)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【分割の表示】特願平8−531119の分割
【原出願日】平成8年4月11日(1996.4.11)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】
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