説明

潤滑剤の充填レベルの測定が可能な流体動圧軸受装置

【課題】 潤滑剤の充填レベルを容易に測定でき、潤滑剤が漏出する危険性を減少させた流体動圧軸受装置を提供する。
【解決手段】 シャフト1と、潤滑剤7によりシャフト1を回転させることができる軸受スリーブ20と、軸受スリーブ20の上端面側とそこに隣接する領域の外周面部分を覆い、潤滑剤貯留用間隙部5が形成させるカバーキャップ30を備え、軸受スリーブ20とカバーキャップ30は、シャフト1との間に軸受間隙4を有するように結合され、潤滑剤貯留用間隙部5には、潤滑剤7が少なくとも一部に充填されるように構成された流体動圧軸受装置であって、軸受スリーブ20の外周面部分には、軸受スリーブ20の略軸方向に延伸され潤滑剤貯留用間隙部5中の潤滑剤の充填レベルが測定可能である導油溝21が形成され、その導油溝21は、潤滑剤をその一方の端部から潤滑剤貯留用間隙部5に注入することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハードディスクドライブ装置のディスクを駆動させるスピンドルモータを軸支する流体動圧軸受装置に関し、特に、モータのシャフトと軸受スリーブとの間の軸受間隙に加え、軸受スリーブの上端面側の隣接領域の外周面部分を含んで覆うカバーキャップとの間の潤滑剤貯留用間隙部の少なくとも一部にも潤滑剤が充填される流体動圧軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スピンドルモータに使用される流体動圧軸受装置の場合には、モータを初めて駆動させる前に、その流体動圧軸受装置の軸受間隙に潤滑剤(例えば軸受油)を充填しなければならない。その場合の潤滑剤が充填されるレベルは、流体動圧軸受装置の寿命に影響を与えるため、非常に重要である。従来のカバーキャップに、潤滑剤を充填するために形成されている開口部は、軸受間隙と同様に非常に小さい寸法であり、その大きさはサブミリメートル単位である。
【0003】
そのような従来の流体動圧軸受装置の一形態としては、軸受スリーブの一方の端部である環状の上端面が、その軸側(内周側)から外周面側に向けて軸方向の寸法を減少させる方向に傾斜するように形成され、それが外周面部分にまで連続される環状の削除部が形成されたものが知られている。その軸受スリーブの上端面の傾斜部分及び削除部は、カバーキャップにより覆われている。その構成では、軸受スリーブの外周面部分とカバーキャップの内周面部分の間には、軸受間隙と継続(結合)する間隙である潤滑剤貯留用間隙部が、同心形状で形成される。その潤滑剤貯留用間隙部の一部には潤滑剤が充填される。その潤滑剤は、軸受スリーブとカバーキャップの表面を濡らし、その濡れ性により、潤滑剤貯留用間隙部における外気と潤滑剤の境界面には凹状のメニスカスが形成される。
【0004】
潤滑剤貯留用間隙部は、そこに充填された潤滑剤が気化した場合に、その潤滑剤を補填する分を蓄える潤滑剤備蓄部としての機能も有している。潤滑剤貯留用間隙部の中でも潤滑剤が充填されないで残った空隙部分は、温度の上昇により潤滑剤の体積が増大し、潤滑剤としての軸受油の液面レベルが変化(増加)する時に、その軸受油の液面が増加方向へ変化する分を受け入れる調整用容量部として機能している。また、従来のカバーキャップには、潤滑剤貯留用間隙部と周囲の外気との圧力調整のために、少なくとも1個の通気用開口部が形成される。潤滑剤貯留用間隙部の通気用開口部から液体状の潤滑剤が漏出することを防ぐためには、液体状である潤滑剤に対して、軸受間隙に作用する毛細管現象の力により補助される凝集力が効果的である。このような構成は、例えば、本願と同じ出願人による出願であり、本願の出願時には公開されていない独国(DE)特許出願番号第10352573号に示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、上記した潤滑剤貯留用間隙部に充填された潤滑剤の充填レベルを、簡単に、且つ、正確に測定することは困難、若しくは、不可能であるという問題があった。
また、従来の充填レベルの検出は、例えば、潤滑剤が通気用開口部から流出することにより、潤滑剤の充填量が多すぎた(適正な充填レベルを超えて過充填された)ことを検出(認知)していた。そのため、従来は、潤滑剤の充填レベルを一定に保つために、潤滑剤の量を予め正確に測定し、その量を流体動圧軸受装置に充填していた。しかし、例え、予め正確に測定された量の潤滑剤を充填しても、流体動圧軸受装置に極端な荷重負荷がかかった場合には、その軸受領域の通気用開口部から潤滑剤が軸受の外に流出する危険性があるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するために、潤滑剤の充填レベルを容易に測定できる手段を備える流体動圧軸受装置を提供することを目的とする。さらに、潤滑剤が軸受領域内から漏出する危険性を減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明の流体動圧軸受装置は、シャフトと軸受スリーブとを備え、シャフトの軸受面と軸受スリーブの軸受面との間が、相対的に回転可能であるような位置関係で、循環する潤滑剤により支持され、軸受スリーブの一方の端部である上端面側とその端部に隣接する領域の外周面部分を、潤滑剤貯留用間隙部が形成されるように覆うカバーキャップが設けられ、軸受スリーブとカバーキャップは、シャフトとの間に軸受間隙を有するように結合され、潤滑剤貯留用間隙部には、潤滑剤が少なくとも一部に充填されるように構成された流体動圧軸受装置であって、
軸受スリーブの外周面部分には、軸受スリーブの略軸方向に延伸され前記潤滑剤貯留用間隙部中の潤滑剤の充填レベルが測定可能である導油溝が形成され、
その導油溝は、潤滑剤をその一方の端部から前記潤滑剤貯留用間隙部に注入することができる。
また、本発明の流体動圧軸受装置は、ハードディスクドライブ装置のディスクを駆動させるスピンドルモータに備えられる流体動圧軸受装置であり、その導油溝は、潤滑剤貯留用間隙部中の潤滑剤の充填レベルの測定が可能であるように形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の流体動圧軸受装置は、軸受スリーブの外周部に略軸受スリーブの軸方向に延伸されて形成された導油溝の一方の端部が潤滑剤貯留用間隙部にその軸方向で結合されることから、潤滑剤貯留用間隙部における潤滑剤の充填レベルを、視覚によるか、又は光学式か、乃至は、接触式の測定方法により測定することができる。
また、通気用開口部を設ける必要がなく、潤滑剤のメニスカスから導油溝の開口部までの軸方向の距離がカバーキャップに覆われた最大限の距離に維持できることから、潤滑剤貯留用間隙部から潤滑剤が流れ出す危険性を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を、従来技術と比較しながら図面を参照して説明する。
【0010】
図1Aは、上記した独国(DE)特許出願番号第10352573号に示された従来の流体動圧軸受装置を備えるスピンドルモータの片側の縦断面を示す断面図である。図1Bは、本発明の実施形態の流体動圧軸受装置を備えるスピンドルモータの片側の縦断面を示す断面図である。尚、図1A又は図1Bに示されているスピンドルモータは、発明部分以外は略同様に構成されており、同一の部材には同一の符号が付されている。
【0011】
図1B(又は図1A:以下、括弧内の符号は全て図1Aの内容に対応)に示されているスピンドルモータには、ステータコア及び巻線を備えて構成されるステータ11が配置され、静止するベースプレート13を含む。軸受スリーブ20(又は2)は、そのベースプレート13に形成されたくり抜き部に堅固に固定されて収容される。その軸受スリーブ20には、軸方向に円筒状の孔が形成され、その孔には、シャフト1が回転自在に収容される。シャフト1と、軸受スリーブ20(又は2)とは、潤滑剤7が充填される軸受間隙4により、互いに離間される。シャフト1の自由端部は、ハードディスクドライブ装置用の複数の記憶ディスク(図示せず)を搭載及び固定できるロータ14を支持している。そのロータ14の下側端部の内側には、永久磁石12が配置されている。永久磁石12は、作動のための間隙分だけ離間されて配置されるステータ11により印加される交番磁界を受けて、シャフト1の周りでモータを回転させる動作ができるように複数の磁極対を備える。シャフト1と結合されているスラストプレート9は、カウンタープレート10と共に、軸受装置に付加されるスラスト方向の力を受容するスラスト軸受を構成する。
【0012】
図1B(又は図1A)に示された例では、軸受スリーブ20(又は2)の一方の端部である上端面側は円錐形状になるように外周に向けて軸方向寸法が低減された削除部5aが形成されており、そこと結合されるように、その端部の外周面部分には環形状に削除された削除部5bが形成されている。軸受スリーブ20(又は2)の一方の端部(上端面側)と、削除部5a及び5bは、カバーキャップ30(又は3)により覆われている。それにより、軸受スリーブ20(又は2)の外周面と、カバーキャップ30(又は3)の内周面との間に、軸受間隙4と結合されて同心である潤滑剤貯留用間隙部5が形成され、その潤滑剤貯留用間隙部5の一部分となる応分の所定量まで潤滑剤7(軸受油)が充填される。
【0013】
その潤滑剤7は、軸受スリーブ20(又は2)とカバーキャップ30(又は3)の表面を濡らし、それにより、外気と潤滑剤7の境界面には、凹状のメニスカス8が形成される。潤滑剤貯留用間隙部5は、そこに充填された潤滑剤7が気化した場合に、その潤滑剤7を補填する分を蓄える潤滑剤備蓄部としての機能も有し、その潤滑剤貯留用間隙部5に充填される潤滑剤7は、気化してしまう潤滑剤7を補うリザーブとしての役割を果たしている。
潤滑剤貯留用間隙部5の中でも潤滑剤7が充填されないで残った空隙部分は、温度の上昇により潤滑剤7の体積が増大し、潤滑剤7である軸受油の液面レベルが変化(増加)した時に、その軸受油の液面が増加方向へ変化する分を受け入れる調整用容量部として機能する。
【0014】
潤滑剤貯留用間隙部5の一方の削除部5aは、好ましくは、軸受スリーブ20の上端面側部に形成された円錐形状の空隙であり、他方の削除部5bは、軸受スリーブ20の外周面が環状に削除されて形成された環状の削除部分である。削除部5a及び削除部5bは、軸受スリーブ20の下側に向かって拡大するように形成される。これとは別に、流体動圧軸受装置内の潤滑剤7の循環性を向上させるために、潤滑剤貯留用間隙部5(の一方の削除部5a)からスラスト軸受部に向けて軸受スリーブ20(又は2)の上下面を貫通させて延伸される孔16(いわゆる「循環導油路用の内孔」)を設けるようにしても良い。
【0015】
図1Aに示された従来のカバーキャップ3には、少なくとも1つの通気用開口部6が形成されており、その通気用開口部6により、潤滑剤貯留用間隙部5と外部の大気との圧力バランスがとられていた。しかし、通気用開口部6からは、潤滑剤貯留用間隙部5における潤滑剤7の充填レベル及び軸受装置に加えられる衝撃と振動のレベルによっては、潤滑剤7が漏出してしまう場合があった。そのため、図1Aに示した従来のスピンドルモータの潤滑剤貯留用間隙部5中の潤滑剤7の充填状態によっては、測定することが不可能な場合があった。
【0016】
図2は、図1Bに示されている軸受装置のカバーキャップ30及びロータ14を外した状態の上面図である。図1Bの片側縦断面図と、図2とに示されたように、本実施形態の特徴としては、軸受スリーブ20の外周面上に、その軸受スリーブ20の略長さ方向、すなわち、回転軸15と略平行な方向に延伸される導油溝21が形成されていることである。この導油溝21の一方の端は、潤滑剤貯留用間隙部5に結合されている。導油溝21は、好ましくは、横断面がV字型の形状であって、その導油溝21は、潤滑剤貯留用間隙部5から、対向する軸受スリーブ20の端部にまで延伸されて形成される。
【0017】
本実施形態のように導油溝21を設けて、カバーキャップ30には通気孔を削除したことにより、潤滑剤7の充填レベルを、公知の視覚的な距離測定手段、又は、光学的な距離測定手段、或いは、接触式の距離測定手段によって測定することが可能になる。特に、本実施形態の導油溝21を設けることは、メニスカスの位置−すなわち、潤滑剤7の充填レベル−を測定することに貢献している。さらに、上記とは別に、導油溝21は、従来の通気用開口部の代用の通気手段として機能するので、カバーキャップ30には、図1Aに示した従来のスピンドルモータのように通気用開口部6を追加する必要は無い。その通気用開口部6を追加する必要が無いことから、潤滑剤7が潤滑剤貯留用間隙部5から漏出する危険性も減少させることができる。それは、本実施形態では、潤滑剤7のメニスカスから、導油溝21に形成される開口部(カバーキャップ30の下端部)までの、軸方向の距離が可能な限り最大限になるためである。
【0018】
本実施形態では、軸受スリーブ20の外周部に、略軸受スリーブ20の軸方向に延びる導油溝21が形成されている。その導油溝21の一方の端部は上記潤滑剤貯留用間隙部5にその軸方向で結合されることから、潤滑剤貯留用間隙部5における潤滑剤7の充填レベルが測定できる。
【0019】
潤滑剤7の充填レベルは、公知の視覚的な距離測定手段、又は、光学的な距離測定手段、或いは、接触式の距離測定手段によって測定できる。視覚的な測定手段とは、例えば、CCD等の撮像手段(カメラ)と画像解析手段とによりホログラム式や共焦点式のように視覚的な対象物の画像等から距離を測定する距離センサであり、光学的な測定手段とは、例えば、赤色光/赤外光のLED/レーザ発生装置と受光装置により対象物の反射光をドップラー効果等から光学的に距離を測定する距離センサであり、接触式の測定手段とは、例えば、一般的な目盛が刻まれたゲージ等により距離を測定できる距離センサである。公知の距離測定手段としては、他に、超音波レーダーのような超音波のドップラー効果を利用する手段、あるいは、近接センサのような静電容量の検出値を利用する手段等であっても良い。この測定では、導油溝21が潤滑剤貯留用間隙部5に軸受スリーブ20の軸方向で結合されることが、メニスカスの位置(即ち、潤滑剤7の充填レベル)を測定することに貢献する。
【0020】
導油溝21は、従来の通気用開口部(図1Aの符号6)の機能も有しているので、カバーキャップ30に更なる通気用開口部を設ける必要はない。又、更なる通気用開口部を設ける必要がないことから、潤滑剤7によって形成されるメニスカスから、導油溝21の開口部までの軸方向の距離を、カバーキャップ30に覆われた最大限の距離に維持することができる。この構成により、潤滑剤貯留用間隙部5から潤滑剤7が流れ出す危険性を一段と減少させることができる。
【0021】
導油溝21は、横断面がV字型形状であることが好ましい。これは、軸受スリーブ20の外周面には、横断面がV字型形状の導油溝21を設けることが容易であることと、潤滑剤7が導油溝21から漏れることを、導油溝21を横断面がV字型形状にした場合には、潤滑剤7の粘着特性により防ぐことができるためである。
【0022】
本実施形態では、導油溝21は、軸受スリーブ20の潤滑剤貯留用間隙部5の側の端部から、対向する端部にまで延伸されて形成されることが好ましい。このように導油溝21を形成することにより、潤滑剤7の充填レベルの測定手段を、潤滑剤貯留用間隙部5まで容易に到達させることができる。
【0023】
潤滑剤貯留用間隙部5それ自体を基本的に構成するのは、軸受スリーブ20とカバーキャップ30との間の間隙であるが、その間隙をさらに拡大させているのが、カバーキャップ30に覆われた軸受スリーブ20の一方の端部である上端面側の削除部5aと、その端部に隣接する領域の外周面部分に形成された環状の削除部5bである。そして、導油溝21の一方の端部(上側の端部)が、軸受スリーブ20に形成された環状の削除部5bに結合されている。
【0024】
従って、本実施形態の流体動圧軸受装置は、ハードディスクドライブ装置のディスクを駆動させるスピンドルモータに備えられる流体動圧軸受装置であり、シャフト1と、該シャフト1に対向して配置されて、シャフト1の軸受面との間を循環する潤滑剤7によりシャフト1を支持することで、シャフト1を回転させることができる軸受スリーブ20と、軸受スリーブ20の一方の端部である上端面側とその端部に隣接する領域の外周面部分を、潤滑剤貯留用間隙部5が形成されるように覆うカバーキャップ30とを備え、軸受スリーブ20とカバーキャップ30は、シャフト1との間に軸受間隙4を有するように結合され、潤滑剤貯留用間隙部5には、潤滑剤7が少なくとも一部に充填されるように構成された流体動圧軸受装置であって、軸受スリーブ20の外周面部分には、軸受スリーブ20の略軸方向に延伸され潤滑剤貯留用間隙部5中の潤滑剤の充填レベルが測定可能である導油溝21が形成され、該導油溝21は、潤滑剤7をその一方の端部から潤滑剤貯留用間隙部5に注入することができる。
【0025】
本実施形態の導油溝21は、好ましくは、その横断面形状がV字型で、軸受スリーブ20の外周面部分における潤滑剤貯留用間隙部5側の端部から、反対側の端部まで延伸されて形成され、潤滑剤貯留用間隙部5中の潤滑剤7の充填レベルの測定が可能であるように形成され、導油溝21の一方の上端面側は、軸受スリーブ20の外周面部分に形成された環状の削除部5bに結合される。
【0026】
本実施形態の潤滑剤貯留用間隙部5は、一方の上端面側は、軸受スリーブ20とカバーキャップ30の軸方向の間隔により形成され、他方の外周面部分側は、軸受スリーブ20の外周面部分に形成された環状の削除部5bにより形成される。また、軸受スリーブ20には、潤滑剤7を循環させるための内孔として孔16が形成される。
【0027】
このように本実施形態の流体動圧軸受装置は、軸受スリーブの外周部に略軸受スリーブの軸方向に延伸されて形成された導油溝の一方の端部が潤滑剤貯留用間隙部にその軸方向で結合されることから、潤滑剤貯留用間隙部における潤滑剤の充填レベルを、視覚によるか、又は光学式か、乃至は、接触式の測定方法により測定することができる。また、通気用開口部を設ける必要がなく、潤滑剤のメニスカスから導油溝の開口部までの軸方向の距離がカバーキャップに覆われた最大限の距離に維持できることから、潤滑剤貯留用間隙部から潤滑剤が流れ出す危険性を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】従来の流体動圧軸受装置を備えるスピンドルモータの片側の縦断面を示す断面図である。
【図1B】本発明の実施形態の流体動圧軸受装置を備えるスピンドルモータの片側の縦断面を示す断面図である。
【図2】図1Bに示されている軸受装置のカバーキャップ及びロータを外した状態の上面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 シャフト、
2 軸受スリーブ、
3 カバーキャップ、
4 軸受間隙、
5 潤滑剤貯留用間隙部、
6 通気用開口部、
7 潤滑剤(軸受油)、
8 メニスカス、
9 スラストプレート、
10 カウンタープレート、
11 ステータ、
12 永久磁石、
13 ベースプレート、
14 ロータ、
15 回転軸、
16 孔、
20 軸受スリーブ、
21 導油溝、
30 カバーキャップ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと軸受スリーブとを備え、
シャフトの軸受面と軸受スリーブの軸受面との間が、相対的に回転可能であるような位置関係で、循環する潤滑剤により支持され、
前記軸受スリーブの一方の端部である上端面側とその端部に隣接する領域の外周面部分を、潤滑剤貯留用間隙部が形成されるように覆うカバーキャップが設けられ、
前記軸受スリーブと前記カバーキャップは、前記シャフトとの間に軸受間隙を有するように結合され、
前記潤滑剤貯留用間隙部には、潤滑剤が少なくとも一部に充填されるように構成された流体動圧軸受装置であって、
前記軸受スリーブの外周面部分には、前記軸受スリーブの略軸方向に延伸され前記潤滑剤貯留用間隙部中の潤滑剤の充填レベルが測定可能である導油溝が形成される
ことを特徴とする流体動圧軸受装置。
【請求項2】
前記導油溝は、その横断面形状がV字型に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項3】
前記導油溝は、前記軸受スリーブの外周面部分における前記潤滑剤貯留用間隙部側の端部から、反対側の端部まで延伸されて形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項4】
前記潤滑剤貯留用間隙部は、一方の上端面側は、前記軸受スリーブと前記カバーキャップの軸方向の間隔により形成され、他方の外周面部分側は、前記軸受スリーブの外周面部分に形成された環状の削除部により形成される
ことを特徴とする前記請求項1〜3の何れか1項に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項5】
前記導油溝の一方の上端面側は、前記軸受スリーブの外周面部分に形成された環状の削除部に結合される
ことを特徴とする請求項4に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項6】
前記軸受スリーブには、潤滑剤を循環させるための内孔が形成される
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項7】
前記導油溝は、潤滑剤をその一方の端部から前記潤滑剤貯留用間隙部に注入することができる
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の流体動圧軸受装置。
【請求項8】
前記流体動圧軸受装置は、ハードディスクドライブ装置のディスクを駆動させるスピンドルモータに備えられる流体動圧軸受装置である
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の流体動圧軸受装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−46650(P2006−46650A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208456(P2005−208456)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】