説明

炉、その操作方法、及び制御方法

本発明は炉10、その操作方法、及びその制御方法に関する。本発明は、廃棄金属の再生回収率を改善することにより、従来の炉に関連した問題を克服した。好ましい実施例では、炉10は内径一定の円筒形本体を備える。炉本体12は基礎部材16a及び16bに枢支されたフレーム15に取り付けられ、炉本体12は、後傾又は前傾、或いは様々な角度(α及びβ)を取るように構成されている。炉10は、炉を加熱するバーナ30、及び開口端14を密封する扉19a、19bを備える。炉本体12の内壁の直径が一定であり、狭いネック部(従来は堰のように働いた)が無いので、溶融金属を注湯するのに最早それほど炉を前傾させる必要が無い。好ましい実施例では、燃焼空気は扉の蝶番部を通ってバーナ30に導かれる。その結果、気密な回転及びエルボ継手を有する空気/燃料供給システムが、炉10に取り付けられ、炉10と共に傾き、動く。人工知能システムが、プロセス変数を監視し、炉10の作動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉、その操作方法、及び制御方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、それに限定されないが、例えば銅、鉛、アルミニウムのような非鉄金属を回収するための炉、そのために炉を操作する方法、及び炉を制御する方法に関する。本発明はアルミニウムの回収に特に良く適する。
【背景技術】
【0003】
アルミニウムなどの金属を回収する炉は公知である。法制上、材料、特に廃棄材料の回収及び再生利用を促す傾向にあるので、そのような炉に対する需要が増加している。新しい鉱石を採掘し、精錬するよりも、廃棄金属を回収するほうが環境的にも利点がある。アルミニウムは、回収(廃棄)アルミニウムを新生アルミニウムと混合するのに特によく適している。
【0004】
本明細書の目的及び本発明の理解のために、炉、並びにその操作及び制御方法を、アルミニウムの回収に関して説明する。但し、材料、作動条件及び作動パラメータを変えることによって、他の非金属材料を回収できるように炉を変更することができることは理解されよう。
【0005】
廃棄アルミニウムを回収するための炉は、アルミニウムを溶解する加熱システムを有する。アルミニウムの回収を補助するために、フラックスを炉に加える。フラックスは、一般にNaCl及びKClで構成され、氷晶石などの他の化学物質を加えてもよい。フラックスや芒硝はプロセスを促進し、公知の技術である。通常200℃〜1000℃の上昇温度で、融解したフラックスは密度がより低いので溶融アルミニウム上に浮遊する。従って、フラックスが炉中に残るように炉を傾け倒していくことによって、回収溶融アルミニウムを注湯することが可能になる。
【0006】
既存の金属回収炉は、支柱に枢支された全体的に円筒形の本体を有し、それにより、所定のほぼ水平な加熱段階の第1の姿勢(その間アルミニウムが溶解する)から、溶融アルミニウムを注湯することができる傾斜した第2の注湯姿勢まで枢動することができる。ある既存の炉は、内側に向かって先細の開口端をもつ本体を有する。開口端で、廃棄アルミニウムがそ炉に投入され、溶融アルミニウムが炉から注湯される。
【0007】
内側に向かって先細の開口端を有する金属回収炉の例が、欧州特許出願EP−A3−1243663(Linde AG)に記載されている。汚染されたアルミニウム・スクラップを溶解するためのプロセスが記載されている。プロセスは、スクラップの溶解で発生した廃ガスの酸素含有量を測定するステップと、その測定値を不純物の熱分解及び/又はアルミニウムの溶解を行っている間の制御パラメータとして用いるステップとを含む。
【0008】
別の形式の炉では、1つ又は複数の炉扉が設けられている。炉扉は炉の開口(注湯)端に設けられている。炉扉が炉加熱部を支持していることもある。炉扉は、円筒形の炉本体から分離した固定点に蝶番式に取り付けられている。従って、円筒形の炉本体が所定の姿勢を取ったときだけ、炉扉を閉じることが可能になる。
【0009】
溶融金属を保持するために、炉は所定の姿勢を取ることができる必要がある。既存の炉がこの姿勢を取る必要があるということは、炉がただ1つの角度でしか作動することができないことを意味する。これは、炉の中に溶融アルミニウムが流動する貯水槽を画成する内向き先細開口端を用いることによってある程度緩和される。溶融アルミニウムを、例えば樋(耐火性容器)の中に注ぎたいとき、フラックスを溶融アルミニウムから分離するのが難しいので、フラックスが溶融材料と共に注湯されることがある。その理由の1つは、既存の炉は、溶融アルミニウムを流れ出させる、又は流れ出ることができる角度まで傾ける必要があるからである。その結果、フラックスと溶融アルミニウムの混合物が流れ出ることがあり、その両者を分離するためにスクレーパがしばしば必要になる。又、先細端部は炉本体の開口寸法をある程度小さくしてしまうので、炉の中に入れることのできる物体の大きさが制限される。
【0010】
扉が閉じられると、溶解プロセスを目視するのは不可能である。扉を不注意に開けると発熱反応を誘発し、過剰酸素による反応でアルミニウムが焼失する結果になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、既存の炉に関連する上記の問題を克服する炉を提供する。
【0012】
本発明の別の目的は、今まで達成されたのよりも高い廃棄金属回収率を有する炉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、閉鎖端及び開口端を有するほぼ直径一定の全体的に円筒形の炉本体と、基礎部材に枢支されたフレームとを備え、前記フレームが炉本体を様々な角度に、前記開口から後傾した姿勢、及び前記開口に向かって前傾した姿勢に、支持し、更に、炉を加熱するためのバーナと、前記開口端を密閉する扉とを備える炉が提供される。
【0014】
炉の円筒内壁の直径がほぼ一定である結果、溶融金属を注湯するために最早それほど過度な角度に炉を傾ける必要はない。更に、注湯された後は、最早残留部分がリップやネックによって炉内に閉じ込められることが無いので、可成高い割合の溶融金属を得ることができる。
【0015】
理想的には、扉は、炉を支持するフレームに蝶番結合され、炉の傾斜する(起き上がり、倒れる)のに同調して変位することが可能である。これによる利点は、扉を常に炉口に極めて近接した状態に保てることである。これにより2重の有益な効果がある。第1に、炉に酸素が入る(雰囲気を汚染する可能性がある)危険性が減り、第2に、炉が作動中閉鎖状態に保たれるので、熱損失が低減する。従って、アルミニウムを溶解するのにより少ないエネルギーしか必要としないので、効率が増加する。従って、本発明を適用することによって、費用対効果の優れた(より収益性の高い)アルミニウム回収プロセスが提供されることは明らかである。
【0016】
好ましくは、扉、又は各扉は、溶解プロセスを目視し、且つ/又は溶融材料を注湯することができるように、1つ又は複数の検査ハッチを有する。検査ハッチの面積は扉自体より小さいので、炉内部を検査するとき逃げるエネルギーが小さくなる。
【0017】
有利には、扉、又は各扉は、フレームの両側に蝶番結合された半分ずつの2つの部分を有する。例示的実施例では、蝶番部は空気/燃料供給一体化ダクトとして働き、炉扉を閉鎖して、加熱を制御された雰囲気中で行うことを可能にする。
【0018】
好ましくは、加熱部はガス・バーナであり、以下に説明するように扉に取り付けられている。特に好ましい実施例では、燃焼空気は炉扉蝶番部を通ってバーナに導かれる。空気及び燃料ガス供給システム(空気及びガス・トレイン)は、炉に取り付けられ、又、炉と共に傾き、動くことが可能である。これは、気密の回転継手を用いたエルボ及び/又は流体回転継手を使用して達成される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、閉鎖端及び開口端を有するほぼ一定直径の全体的に円筒形の炉本体と、基礎部材に枢支されたフレームとを備える炉が設けられ、前記フレームが炉本体を様々な角度に、前記開口から後傾した姿勢、及び前記開口に向かって前傾した姿勢に支持し、更に、蝶番で回転することによって開閉する扉と、炉を加熱するバーナとが設けられ、空気及び/又はガスが、蝶番部によって支持され、又はそれを通るマニホルドによってバーナに供給される。
【0020】
これは、気密の回転継手を用いたエルボ及び/又は流体回転継手を使用して達成される。その結果、空気及び燃料ガス供給システム(空気及びガス・トレイン)は炉と共に傾き動くことが可能になる。
【0021】
バーナは理想的には、それから発射されるガス噴流が処理する装填材料にぶつからないような角度及び方式で、1つの扉に取り付けられている。これによる利点は、熱が装填物に直接加わらないことである。従って、既存の炉とは異なって、回収される溶融金属が酸化される危険性が減る。この当然の結果として、歩留まりが更に改善される。
【0022】
バーナは、高速タイプのバーナが都合がよいが、他のタイプのバーナを用いることもできる。通常、バーナの定格発熱量は、炉のサイズ及び処理量によって決定されるが、普通は1200kW以上である。
【0023】
1つ又は複数の扉にバーナを取り付ける角度は、耐火材及び処理する材料に最適な熱伝達を確実に行うような角度であり、理想的には噴流を炉本体内部の突き当たりの壁に向ける角度である。
【0024】
好ましくは、炉は排出口を有する。空気噴流又はエア・カーテンが、炉内部の圧力を制御するために排出口を横切って形成される。空気噴流又はエア・カーテンは、外部大気に対して内部雰囲気の圧力が釣り合うようにする。この機構は更に、エア・カーテンが効果的に炉を密閉することによって内部雰囲気中の酸素を減らし、その結果酸化を減少させるので、エネルギー効率及び回収効率が向上する。更に、密閉効果があるので、例えば対流損失の結果生じるような炉から失われるエネルギーが低減する。このように、炉扉排出部のエア・カーテンは、炉の圧力と炉の状態を制御する援けとなる。エア・カーテンは、好ましくは、炉の大きさと用途に適するように規模を決められ配置される。
【0025】
ファジー論理ニューラル・ネットワーク制御システムのような人工知能制御システムで、重要なプロセス変数を制御し、又、プロセス副変数を以下に説明する。
【0026】
好都合には、1つ又は複数のセンサが、耐火ライナ及び溶融材料の温度を検知するために設けられている。
【0027】
炉扉中の温度センサは、耐火材及び処理されている材料の温度を測定するために、耐火ライナ及び/又は処理材料に向けられる。炉の外部表皮温度、及び炉の外側表面全体の熱分布を知ることにより、加熱機構をより良く制御することが可能になる。
【0028】
互いの位置関係が分かっている複数のセンサによって、炉の達成温度を平均化することができ、且つ炉の温度の過渡変化に関する情報も得ることができる。
【0029】
円周リングは、駆動システムに連結されている歯付き歯車を、好都合に支持している。駆動システムは駆動モータを備えることができ、又は、チェーン駆動であり、炉の外表面の周りに配設されたスプロケット又は歯車歯に係合するようになされている。チェーン駆動体を理想的に用いるには、円周リング上の、即ち腹帯周りのスプロケット歯の数をチェーンのピッチ数の半分にする。これによって抵抗及びチェーンの磨耗が減り、従ってモータの必要馬力が小さくてすむ。更に、チェーン及びスプロケットの寿命が延びる。
【0030】
円周リング(その上に炉が回転する)と炉の外面との間の嵌合を確実に緊密に行うために、複数の緊縛楔が理想的に使用されている。これら楔は、理想的には、ねじ付き部材を用いて取り付けられており、ねじ付き部材は、ねじを締めると楔にリングを締め上げさせ、表面に取り付けられたラグ及びリングを同心に固く確実に把持する。これは、炉が作動している間中炉のサイクル変化によって生じる温度膨張差に対して必要である。
【0031】
理想的には、駆動モータは、炉を様々な回転速度で回転させることができる。炉を回転させることによって、処理される材料が攪拌され、耐火材を通して熱が材料に伝達される。理想的には、攪拌は、選択された所定の作動角度及び速度によって炉を回転且つ逆回転させる(これは交流(AC)モータを迅速に作動させることによって実現される)ことによって達成される。
【0032】
電気モータは上記のように、歯車やラック・ピニオンのような固定連動機構、又は理想的にはチェーン駆動体のいずれかによって、炉に結合される。電気モータ、モータ制御部、及び連動機構の組合わせを、以下、炉回転システムと称する。炉回転システムは、制動目的のために動的制動システムを用いて有利に制御される。動的制動システムの一部として、インバータがモータを制動目的で制御するために使用され、直流(DC)が制御可能に印加される。
【0033】
動的制動システムは、炉の負荷特性を検知する1つ又は複数のセンサから得た信号に基づくフィードバック・ループの下で、直流(DC)を印加するステップを伴う。そのような炉の負荷特性には、必要トルク及び回転の円滑さが含まれる。炉を迅速に減速するために、制御部は、インバータの構成に基づくDC値、及び諸パラメータを取得し、モータを減速させ、且つ/又はモータを特定の向きに保つためのDCのレベル及び印加速度を制御するのに用いるフィードバック信号を出力する。それによって、炉及びその内容物は所定の位置に保持される。溶融金属はフラックスより密度が高いので、金属は炉の下方の領域に沈んで、そこから容易に注湯することができ、又は、そこから逆回転することによって廃棄材料とフラックスの最適な混合(強い攪拌)を実現することができる。
【0034】
炉の内壁が平行で、炉の開口を覆う炉扉を有する円筒形であるので、溶融物の注湯はより小さい傾き角度(傾斜角)で実現できる。これを行いたいときは、好ましくは2本の油圧ラム又はジャッキを伸ばすことによって炉を傾ける。
【0035】
本発明の更に別の態様によれば、フラックスと、金属を回収するために溶解する材料との混合物で炉を充填するステップと、金属が溶解するまで混合物を加熱するステップと、溶融金属が塊りになるのを促進するために混合物を攪拌するステップと、溶融金属を注湯するために炉の一端を傾けるステップとを含む、炉を作動させる方法を提供する。
【0036】
炉を作動させる方法は、持ち上げた端を元に戻し、金属を回収するために溶解する新しい材料を投入し、塊りになるのを促進するように混合物を攪拌し、回収された金属を注湯するために炉の一端を持ち上げることを行いながら、繰り返すことができる。
【0037】
前傾角度は、好ましくは20°未満で、より好ましくは15°未満で、最も好ましくは10°未満である。
【0038】
別の発明によれば、少なくとも以下の条件、即ち温度、装填物の質量、装填物の粘性、その粘性に達する時間、炉の雰囲気の酸素含有量、エネルギー付加速度、及び累積付加エネルギーを制御することによって制御可能に炉を加熱するステップを含む、炉を制御する方法が提供される。
【0039】
1つ又は複数の炉扉には、処理されている材料の状態を最低限のエネルギー散逸で点検するために、プロセス中に開けることができる検査扉又はハッチが設けられている。但し、上記の変数の監視は、複数のセンサ、及びSCADA(監視、制御、及びデータ取得;Supervisory Control And Data Acquisition)システムのような遠隔データ取得システムによって理想的に達成される。理想的には、SCADAシステムが炉制御装置に組み込まれ、全ての炉のデータ及び制御入出力を収集し解析する。
【0040】
SCADAシステムを用いることによって、プロセスのオンライン診断及び遠隔操作支援が可能になる。本発明のこの態様によって、オンライン監視及び電子アーカイブが改善される。多重コア配線ネットワークよりもむしろ専用現場通信データ・バス配線システム、例えばProfi−Bus(商標)が理想的に用いられている。構内遠隔制御機器は、それに限定はされないが例えば炉の表皮温度、耐火材温度、燃料ガス流量及び圧力、空気流量及び圧力などの、炉プロセス制御システムに取り入れるプロセス変数を測定するために理想的に配置されたプロセス・センサの信号を受信しエンコードする。
【0041】
好ましくは、フレームの角度は、様々な角度に、開口端から離れた後傾位置及び開口端に向かった前傾位置に、回転するように本体を支持する油圧ラムによって変化させる。油圧ラムは、理想的には水−グリコール耐熱型である。
【0042】
好ましくは、フレームは、枢動軸の心が炉本体の開口端にある注湯縁に合うように、基礎部材に枢支されている。
【0043】
好ましくは、炉は、廃棄アルミニウムから再生回収を行うようになされている。
【0044】
上記のすべては、より高い金属再生歩留まり、より少ないエネルギー消費量、より少ないフラックス使用量、及びより短いサイクル時間に寄与する。
【0045】
炉の燃焼システムは、数種類の燃料、ナチュラル・ガス、プロパン、重油燃料、軽油燃料、オキシ燃料などで作動することができる。
【0046】
次に、本発明の実施例を添付図面に関連して説明する。
【実施例】
【0047】
諸図面全体、特に図1〜3を参照すると、炉1が示されている。炉10は、側壁が平行な結果、外径及び内径がほぼ一定な全体的に円筒形の炉本体12を有する。炉本体12は、閉鎖端13及び開口端14を有する。本体12は、鋼鉄から形成してもよく、公知のように耐火ライナ又は煉瓦で裏打ちしてもよい。耐火ライナ又は煉瓦の例としては、STEIN 60 P(商標)及びNETTLE DX(商標)がある。
【0048】
フレーム15が、炉本体12を矢印Aで示すごとく時計方向及び反時計方向に回転させるように支持するために設けられている。本体12を回転させるために、フレーム15は、本体12がその上に載る支持輪と、本体12上の歯付き輪22を駆動するモータ20を備えることができる。トルクは、チェーン24によってモータ20から歯付き輪へ伝達される。
【0049】
フレーム15は、枢動軸「Z−Z」を提供する、基礎に固定された脚16A及び16Bの形の基礎支持部材に枢支される。フレーム角度は、フレーム15が、水平に対し様々な角度(α)に、開口(炉口)から離れるように後傾した姿勢及び(β)開口に向かって前傾した姿勢に、本体12を回転させて支持することができるように、脚16a、16bに対して変えることができる。フレームの傾斜角度は、油圧ラム16c、16dによって変えられる。油圧ラム16c及び16dは、水−グリコール耐熱型のものが理想的である。
【0050】
炉本体12は、開口端14の最も低い位置に注湯縁17を有し、枢動軸「Z−Z」は、炉本体12の開口端14位置で、注湯縁17に心が合っている。
【0051】
図6a、6b、及び6cに示すように、フレーム15は一方の端に、開口端14を閉じるための扉18が蝶番結合された扉支持構造15aを有する。扉18は、扉支持構造15Aの両側に蝶番結合された扉19a及び19bを有する。両扉は、炉に装填し、又は融解金属を注ぎ出すことができるように開口端14から離れるように回転することができ、又、開口端14を閉じるために開口端14に向かって回転することができる。実際には、扉が開口端を閉じたとき、扉と開口端14との間に隙間がある。
【0052】
バーナ30が扉19bに設けられている。バーナ30には、燃料(ナチュラル・ガスなど)及び空気を供給管又はダクト31を通して供給することができ、ガスはガス回転継手32を介して供給され、空気は空気回転継手33を介して供給される。供給管31、ガス回転継手32、及び空気回転継手33は、纏めて燃料供給システム35と称される。燃焼ガスのバーナ30からの到達距離は、4mの長さ、又は長い炉では6mの長さにまでもなり得る。回転継手32及び33によって、ガス供給システムは直交する2平面内で効果的に動くことができるので、バーナ30を作動させながら両(又は各)扉を回転させて開けること、並びに炉を油圧ラム16c及び16d上で傾けることができる。
【0053】
扉19a及び19bはそれぞれ、溶解プロセスを目視し、且つ/又は、それを通して溶融金属を注湯することができる検査ハッチ34a及び34bを有する。これは、上記で説明したような公知の炉を凌ぐ利点である。
【0054】
温度センサ(図示せず)が、耐火ライナ及び溶融金属の温度を検知するために設けられている。センサは炉本体12の外側に取り付けられている。センサが炉10の内部を「見る」ことを可能にする開口が、扉に理想的に設けられている。損傷防止のために温度センサが低温環境で作動できるように、空気流冷却被い(図示せず)が任意選択的に設けられる。空気流冷却被いは、センサ及び他の機器を塵埃及び煙から守り、視界を明瞭に維持するための吹払い部としても働く。
【0055】
エア・カーテン45a及び45bが各扉19a及び19bに対して設けられる。エア・カーテン45a及び45bは内部環境圧力の細かい釣合いを可能にする。従って、炉の内部雰囲気と外部(大気)圧力との間の圧力差は、排気口80を横切るエア・カーテンを釣り合わせることによって、正確に制御することができる。
【0056】
炉10は、一方又は両方の扉に排気口80を有し、炉の圧力を制御するために空気噴流50が形成される。炉10内雰囲気の酸素割合は理想的には0%で、これは変数の1つとして、燃料に対する空気流量の比を減少させることによって制御される。酸素の割合をこのレベル又はその周辺に保つことによって、アルミニウムが塑性を示すようになったとき酸化する危険性が低下し、その結果歩留まりが改善される。
【0057】
炉10は、廃棄アルミニウムを回収するために理想的に適用され、従って、アルミニウム回収プロセスを強化するために、NaCl及びKCl、或いは場合によっては氷晶石のような少量の他の化学物質を添加して用いられる。
【0058】
使用中は、炉10の本体12は、開口から離れるように後傾させられて、閉鎖端が開口端より低くなっている。この姿勢は、炉が後傾している、又は後ろに傾斜していると云われる。扉19a及び19bは、開口端14から回転して離れることができて、炉本体12が充填できるようになる。開口が広ければこの工程が容易になる。次いで、扉19a及び19bは開口端4に向かって回転することができて、開口端14を閉じる。次に、充填された本体12中の金属を溶解するために、バーナ30を作動させる。
【0059】
本体12が後傾しているので溶融金属は開口端から流れ出てこない。従って、炉は、公知の炉のように、小さな先細端部を備える必要はなく、充填が容易で、大きな物体を充填でき、最重要には溶融金属をより容易且つ完全に注湯できるようになる。扉19a及び19bはフレーム15に蝶番結合されているので、炉本体の傾斜(α又はβ)がいかなる角度であろうとも扉を閉めることができる。後に、扉19a及び19bは、溶融金属を注ぎ出すことができるように、開口端14から離れるように回転することができる。
【0060】
アルミニウムのような金属を再生利用するには、様々な多くの変数がある。これらには、フラックスのタイプ及びその割合、加熱(継続時間及び温度の両方)、溶解損失、充填方法、処理材料のタイプ及び重量、消費フラックス及び残留酸素の状態、炉本体の回転速度及び回転方向と傾斜角度が含まれる。炉の操作及び制御に用いることができる他の変数としては、圧縮空気の流量、環境温度、供給燃料の発熱量及び燃料供給量がある。
【0061】
上記の変数、及び例えば他の金属を回収するときに用い得る他の変数は、プロセッサ(パーソナル・コンピュータのマイクロ・プロセッサのような)が組み込まれ、やはり本発明の炉の一部分を形成する炉管理システムによって理想的に制御される。
【0062】
駆動モータ20に掛かる衝撃荷重は、駆動モータ20の制御器(図示せず)からの電流フィードバック情報を用いて監視することができる。固形のインゴット、廃棄及びスクラップ金属片を有する炉10を回転させるためにモータ20を駆動するときの電流フィードバック特性は、スパイク状の傾向がある。材料が溶解し、溶解材料が1つの塊りになると、炉10の回転特性は可成滑らかになり、モータ20の過渡負荷は減少し、事実上消滅して定常状態になる。この情報に関するデータは、他の変数と共に、何時アルミニウムを注湯するのが最適か決定するのに使用することができる。
【0063】
以前は、操作変数の設定は、全プロセス・サイクルを通して、熟練の炉操作者によって決定され、個々の操作者が、各変数の設定又は設定範囲に対して自分自身の好みを持っていた。従って、プロセス・サイクル中の変数の設定に一貫性が欠け、それに対応する金属回収率の変動を伴った。
【0064】
変数の制御及び監視は、最高の潜在回収率の達成に向かって直接寄与する。多くのエンジニアリング・システムと同様に、回収プロセス中に、全ての変数を同時に最適化することが常に可能な訳ではない。例えば、アルミニウムが可塑化又は溶解した段階で熱を加え過ぎると、その酸素との親和力のためにアルミニウムを酸化させやすくする。これは、回収率を大きく下げる。プロセス・サイクルのある段階では、回収率を最大にするためにバーナ30中の酸素量が理想的に減らされる。しかし、これはしばしば燃料費を嵩ませる。従って、変数は、プロセス中の全体を通して注意深く連続的に監視する必要がある。
【0065】
熟練操作者が達成する回収率は、様々に変動する。変数を監視し、変数の範囲の最適化に人工知能を用いることによって、変数の設定を常に確実に最適化する本発明の態様は、操作の非一貫性を取り除き、歩留まりを改善する。
【0066】
以下に、アルミニウム再利用のために監視されるプロセス変数の幾つかを列挙する。
1.フラックスのタイプ、及び塩化ナトリウム(NaCl)と塩化カリウム(KCl)に関するフラックスの混合割合。処理される金属製造物のタイプによるフラックスの割合、例えば押しつぶされた飲料容器は例えば中身が詰まった大きなエンジンのブロックより多くのフラックスを必要とする。湯垢の処理は、いわゆる通常のアルミニウム・スクラップより一般に多くのフラックスを必要とする。
2.新しいフラックスを何時、どのような割合で導入するかを制御する必要があるのと同じように、フラックスの温度を制御する必要がある。フラックスを何時使い尽くすかも理想的に決定される。
3.異なるタイプの製造物を処理するのに必要な熱量も重要な変数である。様々なタイプの製造物に必要な温度を例えば参照表に蓄積し、様々なタイプの製造物の加熱に必要な時間を計算するのに用いることができる。
4.様々な合金に対する排気ガス温度を監視して、プロセス進展の指標を設けることができる。
5.溶解損失(プロセス中に失われたアルミニウムの量)は、プロセスの回収歩留まりの指標を提供する。処理される合金のタイプによる様々な溶解損失についての従来の知識が、回収効率を向上するために用いることができる。
6.様々な合金についての温度の効果、即ち様々な合金が必要とする時間及び温度の効果。
7.処理材料を充填する方法が、高密度及び低密度製造物を充填することによる特性、並びにその効果によって異なる。最高の回収結果を得るための、充填製造物の重量割合。
8.消費フラックス及び残留酸素の状態、並びに消費フラックス中に含まれているアルミニウムの量。消費フラックスの状態、残留酸素、及びフラックスに含まれているアルミニウムの量は、プロセス変数であり、そのプロセス変数は又他のプロセス変数の影響を受ける。従って、状態監視及び制御システムへの情報のフィードバックは利点がある。
9.炉の回転速度及び傾斜角度。炉は、様々な製造物に回転速度を対応させる。プロセス中の炉の回転方向(時計回り又は反時計回り)。炉処理中に横になる角度は、通常0°と20°との間である。
【0067】
図7a、b、及びcを参照すると、上記の変数の少なくとも一部が、以下に列挙する他のものと共に、アルミニウムの回収率及び歩留まりにとって重要であると認められる。それら変数(特に重要度に順序は無い)は、耐火材温度、サイクル時間、回収率、金属温度、フラックス、熱入力、回転速度、材料のタイプ及び合金、充填方法、並びに炉の傾斜角度である。上記の各主変数には関連する副変数がある。例えば主変数の耐火性は、以下の副変数、即ち耐火材温度、総熱入力及び熱入力継続時間に依存する。炉の表皮温度は、耐火材温度、時間経過による耐火材温度と炉表皮温度の関係、金属を注湯する時の耐火材温度の変化、金属を充填する時の耐火材温度の変化、及びフラックスを溶解する時の耐火材の温度に依存する。
【0068】
基本的に、10個以上の主変数及び幾つかの副変数があり得、最高の潜在回収率を達成するのに寄与する主変数は副変数に依存する。処理することのできる多数の異なるタイプの合金があり、その全てが個々に、回収率を最適化するためのパラメータを必要とする。プロセス中、常に各変数を最適化することは不可能であり、例えば、アルミニウムが可塑化又は溶解段階にある時に熱を加え過ぎると、その酸素との親和性のためにアルミニウムを焼失させ、従って回収率が大きく低下し、このことが、プロセス・サイクル時間に影響を与える。回収率を最大化するためにプロセス・サイクルのある段階ではバーナ中の酸素量を減らさねばならないが、燃料費は嵩み、サイクル時間は長くなる。
【0069】
従って、変数は、プロセス中の全体を通して可能な時に最適化する必要がある。以前は、操作変数の設定は、全プロセス・サイクルを通して、熟練の炉操作者によって決定され、個々の操作者が、各変数の設定に対して自分自身の好みを持っていた。従って、プロセス・サイクル中の変数の設定に一貫性が欠けていた。その結果、金属回収率が変動した。
【0070】
本発明の制御態様では、主変数に含まれる副変数を明らかにし、プロセス全体に対する主変数及び副変数の影響を予測(例えばアルゴリズム又は参照表を用いて)する。別法として、又はマイクロ・プロセッサに加えて、人工知能(例えばニューラル・ネットワークやファジー論理法則の形で)が、炉の操作を監視し制御するために理想的に用いられる。
【0071】
次に、特に図7b及び7cによって、制御する変数の例を、例示的な目的のみに説明する。特定の変数は炉の表皮温度である。センサ100、102、及び104が、炉本体12の表面の3個の独立した位置の温度を検知する。これらの位置の温度に関する情報が、直接に、又は耐ノイズ・バスのいずれかによってSCADA119に伝達される。これらの変数及び他の変数に関するデータがマイクロ・プロセッサ120に伝達される。マイクロ・プロセッサ120は、適切なソフトウェアの制御の下に、参照表140又はメンバーシップ関数データの記憶装置130から情報を取り出す。メンバーシップ関数データは、システムの特性に関する知識から導出されるか、又は内挿により、例えば図7bに示すようなタイプのグラフ情報から得ることができる。これはデジタル的に行うことができる。図7aに示すタイプのファジー論理ネットワークを用いて、この特定の例では、マイクロ・プロセッサ120は、炉10の内部温度を変えるために必要になり得る空気流量又はガス(燃料)流量の変化又は調整量を計算する。
【0072】
マイクロ・プロセッサ120で生成された制御信号が、空気ポンプ150及びガス供給部160へそれぞれラインL1及びL2を介して伝達される。このようにして、この特定な例では、検知した炉の表皮温度T1、T2、及びT3を制御システム200に用いて、バーナ30を介してより多くのエネルギーを導入させることによって、炉の内部温度(従って、炉の内容物の温度)を上昇させることができる。
【0073】
図7bは、入力変数から出力変数へのファジー理論の推論の流れを明らかにするシステム構造のグラフ表示である。入力インターフェースでは、アナログ入力信号を「ファジー」信号に変換する処理を行う。「ファジー」推論は、言語学的制御ルールを内容とするいわゆるルール表に則って行われる。これは、特定の固有のシステムによって変わる。このルール表の出力は、言語学的変数として知られている。
【0074】
出力段階で、「ファジー」変数は、ポンプ150、モータ20、又はガス供給ライン166上のバルブ165などのハードウェアの特定の部品を駆動するように制御システムを設定する目標変数として用いることができるアナログ変数に変換される。
【0075】
表1は図7a及び7bと共に、入力インターフェース、ルール表、出力インターフェースを含む「ファジー」システムがどのように導かれるかを示す。図7aの結合線はデータの流れを線図的に表す。表中に、グラフ(図7b)の定義点が特定の項目に対して示されている。
【0076】
図7cは、ファジー論理プロセスから得られる情報及び制御信号を用いてどのように炉が制御されるかを、変数1つだけ(燃料制御)の例によって示す。システム200によって同時に多数の変数及び副変数が制御されており、又、温度制御は例示的に示されているだけであることは理解されよう。
【0077】
本発明は、上記に詳細に説明したものと異なる形態をとることができる。例えば、本発明の範囲から逸脱することのない変更例は、当業者にとって明らかであろう。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】炉本体、支持フレーム、及び駆動システムを示す、炉(扉を取り外した)の好ましい実施例の斜視図である。
【図2】後傾角度(α)位置にある炉を示す側面図である。
【図3】注湯するために前傾角度(β)で起こされた位置にある、図1に示した炉の側面図である。
【図4】炉を取り巻く鋼製「輪金」に押し付けられている典型的には18個の緊縛楔のうちの1個の断面を示す、図5の線X−Xに沿った部分断面図である。
【図5】炉を取り巻く鋼製「輪金」に押し付けられている緊縛楔のうちの1つの、図4の矢視Yによる平面図である。
【図6A】炉扉の前面図である。
【図6B】炉扉の側面図である。
【図6C】炉扉の側面図である。
【図6D】回転する空気及びガス入口マニホルドを示す、炉扉(開及び閉両位置)の概略上面図である。
【図7a】ある実施例に関する「ファジー」論理推論流れプロセス、及び(非限定的に)人工知能システムにおける基本的な決定ステップを示す、システム構造の図である。
【図7b】例として、ある変数のメンバーシップ関数、及び(非限定的に)人工知能システムにおける幾つかの基本的な決定ステップを示すグラフである。
【図7c】人工知能システムからガス及び空気の炉への供給部へのフィードバック制御を示し、又、どのようにして炉の温度を上昇/低下させるかを示す流れ線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖端(13)及び開口端(14)を有する全体的に円筒形の炉本体(12)と、
基礎部材(16a、16b)に枢支されたフレーム(15)と
を備え、
前記フレーム(15)が、様々な角度に、開口端(14)から後傾した姿勢(α)、及び開口端(14)に向かって前傾した角度(β)に、本体(12)を回転させるように支持し、
更に、
炉を加熱するためのバーナ(30)と、
炉(10)の開口端(14)を閉じるように配置され、蝶番結合された扉(19)と
を備える、炉(10)。
【請求項2】
前記扉、又は各扉(19a、19b)が前記フレーム(15)に蝶番結合され、炉(10)を起こし、倒すのに同調して前傾し、後傾することが可能な、請求項1に記載の炉(10)。
【請求項3】
手段(16c、16d)が、前記炉本体(12)が前記炉の開口端(14)から離れる姿勢に後傾し、又、前記炉の開口端(14)に向かう姿勢に前傾するように前記炉(10)を起こし、倒すために設けられている、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項4】
炉(10)を起こしたり倒したりする前記手段(16c、16d)が、油圧ラムを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項5】
前記炉(10)が前傾する角度(β)が20°より小さい、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項6】
前記炉(10)が前傾する角度(β)が15°より小さい、請求項5に記載の炉(10)。
【請求項7】
前記炉(10)が前傾する角度(β)が10°より小さい、請求項5又は6に記載の炉(10)。
【請求項8】
前記扉、又は各扉(19a、19b)が、溶融材料をそれを通して注湯することができる少なくとも1つの検査ハッチ(34a、34b)を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項9】
前記炉(10)に取り付けられた燃料供給システム(35)を有し、前記燃料供給システム(35)が炉(10)と共に起きたり倒れたりするように適合されている、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項10】
前記バーナ(30)へ空気及び燃料が通っていく空気及び燃料供給ダクト(31、32)が、前記扉(19a、19b)の蝶番(70、72)によって形成され、又はその中に支持されている、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項11】
前記空気及び燃料供給ダクト(31、32)が、燃料供給システム(35)と流体連通し、前記燃料供給システムが、気密の回転継手を用いたエルボ、及び/又は回転流体継手(32、33)を有する、請求項10に記載の炉(10)。
【請求項12】
バーナ(30)が、作動時に熱を炉本体(12)中に送り込むために、扉(19)に取り付けられた、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項13】
バーナ(30)の火炎が、作動時に、処理する装填材料にぶつからないように、バーナ(30)が炉(10)の回転軸に対して角度をもつ、請求項12に記載の炉(10)。
【請求項14】
耐火ライナ及び溶融材料の温度を検知するための1つ又は複数の温度センサ有する、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項15】
エア・カーテンを炉(10)の開口端(14)に生成する手段を有し、前記エア・カーテンが、作動時に、前記炉内部の雰囲気を外部(大気)の雰囲気に対して変化させることができる、請求項に記載の炉(10)。
【請求項16】
前記炉(10)が排気口(80)を有し、内部雰囲気の圧力の釣合いを取ることを可能にする炉内部の圧力制御を行うために、排気口(80)を横切って空気噴流が形成される、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項17】
前記炉(10)を可変回転速度で回転するように駆動モータ(20)が構成されている、請求項に記載の炉(10)。
【請求項18】
炉駆動システム(20、22、24)が、電気モータ(20)と、モータ制御部と、モータ(20)から炉本体(12)にトルクを伝達するための連動機構(24)とを備える、請求項に記載の炉(10)。
【請求項19】
前記電気モータ(20)が、歯車列、ラック・ピニオンなどの固定連動機構、又はチェーン駆動部(24)によって前記炉を駆動する、請求項に記載の炉(10)。
【請求項20】
前記炉回転システム(20、22、24)が、制御部、インバータ、及びモータ(20)によって動的制動システムとして働く、請求項に記載の炉(10)。
【請求項21】
チェーン(24)によってモータ(20)に連結された、歯車歯を支持する円周リング(22)を備え、チェーン(24)がスプロケット又は歯車歯に係合するようになされた、請求項20に記載の炉(10)。
【請求項22】
歯車歯の数がチェーンのピッチの数の半分である、請求項21に記載の炉(10)。
【請求項23】
可変の緊縛楔(68)が、円周リング(22)と炉本体(12)の外面との間に緊密な嵌合を確実に行わせる、前記請求項21又は22のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項24】
前記緊縛楔(68)がねじ付き部材を用いて取り付けられ、ねじ付き部材(68)は、ねじを締めると前記楔に前記リング(22)を締め上げさせ、表面に取り付けられたラグ(66)及び前記リング(22)を同心に固く確実に把持する、請求項23に記載の炉(10)。
【請求項25】
炉扉(19a、19b)の温度、耐火ライナの温度、及び処理されている材料の温度を測定し、それら温度を示す出力信号を生成する温度センサが配置された、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項26】
以下のプロセス変数、即ち炉表皮温度、耐火材温度、燃料ガス流量及び空気流量、炉雰囲気中の酸素比率、並びに炉の内部圧力に関する信号を受信し、エンコードし、伝達する手段(75)を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の炉(10)。
【請求項27】
閉鎖端(13)及び開口端(14)を有する直径がほぼ一定の全体的に円筒形の炉本体(12)と、
基礎部材に枢支されたフレーム(15)と
を備え、
前記フレーム(15)が、様々な角度に、前記開口端から後傾した姿勢、及び前記開口端に向かって前傾した角度に、本体を回転させるように支持し、
少なくとも1つの蝶番上で揺動することによって開閉する扉と、
炉を加熱するためのバーナと
が有り、
前記少なくとも1つの蝶番によって支持された、又はそれを通るマニホルドによって前記バーナ(30)に空気及び/又はガスが供給される、炉(10)。
【請求項28】
フラックスと、金属をそれから回収するために溶解する材料との混合装填物を炉(10)に装填するステップと、
前記混合物を前記金属が溶解するまで加熱するステップと、
金属が塊りになるのを促進するために混合物を攪拌するステップと、
回収された金属を注湯するために炉(10)の一方の端を持ち上げるステップと、
炉を倒すステップと、
塊りになるのを促進するために混合物を攪拌し、回収された金属を注湯するために炉本体(12)の一方の端を持ち上げるプロセスを繰り返すステップと
を含む、炉(10)を作動させる方法。
【請求項29】
炉(10)を回転及び逆回転させることによって、炉(10)中の材料を攪拌するステップを更に含む、請求項28に記載の炉(10)を作動させる方法。
【請求項30】
炉(10)を傾けることによって、炉(10)中の材料を攪拌するステップを更に含む、請求項28又は29に記載の炉を作動させる方法。
【請求項31】
処理されている材料を激しく攪拌して材料中への熱の伝達を促進するために、
炉(10)を可変回転数で回転させるステップと、
炉(10)を角度(α、β)を変化させて傾斜させるステップと
を含む、炉(10)を作動させる方法。
【請求項32】
複数の制御変数を取り出すステップと、
炉(10)を傾斜させることによって炉中の材料を攪拌するステップと
を含む、炉(10)を作動させる方法。
【請求項33】
炉を密封し、炉の雰囲気の釣合いを取ることによって、炉の雰囲気を制御された状態に保つステップを更に含む、請求項28から32までのいずれか一項に記載の炉を操作する方法。
【請求項34】
炉扉(19a及び19b)を閉じることによって炉(10)を密封するステップと、
扉(19a及び19b)を閉じたまま炉(10)を回転させ傾斜させるステップと
を含む、請求項28から32までのいずれか一項に記載の炉(10)を作動させる方法。
【請求項35】
少なくとも以下のもの、即ち温度、装填物の質量、装填物の粘性、その粘性に達する時間、炉の雰囲気の酸素含有量、エネルギー付加速度、及び累積付加エネルギーから制御信号を得ることによって、炉を加熱するステップを更に含む、炉を制御する方法。
【請求項36】
副変数に関する変数を識別するステップと、
主変数及び副変数の変化が炉の作動に与える影響を予測するステップと
を含む、炉を制御する方法。
【請求項37】
アルゴリズム又は参照表を用いて予測が行われる、請求項36に記載の炉を制御する方法。
【請求項38】
1つ又は複数のフィードバック信号を取得し、予測作動状態と実際の作動状態の比較を行い、変数の変化に影響を与える修正信号を導き出す、請求項36又は37に記載の炉を制御する方法。
【請求項39】
炉の作動を監視し、制御するためにマイクロ・プロセッサを使用する、請求項36から38までのいずれか一項に記載の炉を制御する方法。
【請求項40】
炉の作動を監視し、制御するために人工知能を使用する、請求項36から38までのいずれか一項に記載の炉を制御する方法。
【請求項41】
炉の作動を監視し、制御するためにニューラル・ネットワークを使用する、請求項40に記載の炉を制御する方法。
【請求項42】
炉の作動を監視し、制御するためにファジー論理方式を使用する、請求項40に記載の炉を制御する方法。
【請求項43】
プロセスのオンライン診断を行うステップと、
遠隔操作支援を行うステップと、
オンライン監視及びアーカイビングを行うステップと
を含む、炉を制御する方法。
【請求項44】
遠隔操作、データ取得、及びオンライン監視がSCADAによって達成される、請求項43に記載の炉を制御する方法。
【請求項45】
実質的に本明細書で諸図面に関して説明した炉。
【請求項46】
実質的に本明細書で諸図面に関して説明した炉を作動させる方法。
【請求項47】
実質的に本明細書で諸図面に関して説明した炉を制御する方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−516399(P2007−516399A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502331(P2006−502331)
【出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000781
【国際公開番号】WO2004/076924
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(505320920)プラチナム コントロールス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】