説明

炊飯システム

【課題】 調味液とご飯とが全体的に均一に良く馴染み、かつ、ご飯からの水分の放散が十分で、べとつきのないご飯を製造することができる炊飯システムを提供することを課題とする。
【解決手段】 複数の炊飯釜を用いて炊飯釜ごとに炊飯を行う炊飯システムにおいて、撹拌・冷却ラインに第1の調味液添加装置および第2の調味液添加装置を備え、炊飯釜から取り出されたご飯が第1の調味液添加装置の位置にまで到達したときに、炊飯後の当該ご飯に添加すべき調味液の全量のうちの一部を添加し、当該ご飯が第2の調味液添加装置の位置にまで到達したときに、炊飯後の当該ご飯に添加すべき調味液の全量のうちの残部を添加するように、第1の調味液添加装置および第2の調味液添加装置とを制御する制御装置とを備えている炊飯システムを提供することによって上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯システムに関し、詳細には、調味液、特に酢液などの調味液とご飯とが全体的に均一に良く馴染み、かつ、べとつきのないご飯を製造することができる炊飯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファミリーレストランなどのいわゆる外食産業に加えて、コンビニエンスストアや各種弁当店における持ち帰り弁当やおにぎり、持ち帰り寿司などの販売が盛んであり、それに伴い、単に炊飯しただけのご飯ではなく、寿司飯や茶飯、炊き込みご飯用のご飯等、用途に応じて、酢液や各種調味液によって種々に味付けしたご飯の需要が拡大しつつある。
【0003】
このような需要に答えるべく、例えば特許文献1や特許文献2においては、複数の炊飯釜を連続的に搬送しながら炊飯を行う炊飯システムにおいて、炊飯釜に調味液供給部および酢供給部を通過させ、炊飯釜内に、炊き上げるべきご飯の種類に応じて、調味液を添加したり、酢液を添加したりする装置が提案されている。
【0004】
しかしながら、本発明者らが経験したところによれば、これら従来の炊飯システムで、調味液、特に酢液などを添加して寿司飯を製造すると、酢がご飯の全体に均一に行き渡らず、ご飯と酢液との馴染みが悪い上に、ご飯からの水分の放散が十分でなく、べたついた寿司飯となってしまうという問題点があることが判明した。また、これら従来の装置においては、添加される調味液や酢液の種類は限られており、白飯、酢飯、炊き込みご飯等の炊き分けは可能であっても、例えば、持ち帰り寿司の店舗毎に異なる味付けの酢飯を炊き分けるというようなことは不可能であった。
【特許文献1】特開平11−267024号公報
【特許文献2】特開2000−166763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するために為されたもので、調味液とご飯とが全体的に均一に良く馴染み、かつ、ご飯からの水分の放散が十分で、べとつきのないご飯を製造することができる炊飯システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明者らが試行錯誤を繰り返して種々研究を重ねたところ、上記従来の炊飯システムにおいては、酢液などの炊飯後に添加される調味液は、炊き上がって未だ炊飯釜に収容された状態にあるご飯の上にその必要な全量が添加されるため、添加された調味液はご飯と十分に混じり合うよりも前に、その大部分が炊飯釜の底部にまで浸透してしまい、炊飯釜の底部に滞留することになる結果、酢液などの調味液がご飯の全体に行き渡らず、炊飯釜底部に位置するご飯だけが調味液によって濃く味付けされたものとなってしまうという現象が起きることを見出した。また、酢液などの調味液を炊き上がって未だ炊飯釜に収容された状態にあるご飯の上にその全量を添加する場合、ご飯がどうしてもべとついたものとなってしまうのは、酢液などの調味液にはご飯からの水分の放散を妨げる作用があり、炊飯釜に収容されているご飯に酢液などの調味液を大量に添加すると、後続する撹拌・冷却工程において、ご飯から水分の放散が妨げられ、ご飯から水分が十分に抜けきらないことが原因であることも見出した。
【0007】
そこで本発明者らはさらに実験を繰り返した結果、炊飯釜に収容されている炊き上がったご飯の上に酢液などの調味液の全量を添加するのではなく、酢液などの調味液の添加を撹拌・冷却工程で行うようにするとともに、必要な全量を一度に添加するのではなく、少なくとも2回に分けて添加することによって、酢液などの調味液とご飯との馴染みが良く、しかも、水分が十分に放散されて、べとつきのない調味液による味付けご飯を製造することができることを見出して、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、複数の炊飯釜を用いて炊飯釜ごとに炊飯を行う炊飯ラインと、炊き上がったご飯を炊飯釜から取り出すご飯取り出し装置と、炊飯釜から取り出されたご飯を撹拌および/または冷却する撹拌・冷却ラインとを備えた炊飯システムにおいて、撹拌・冷却ラインに第1の調味液添加装置および第2の調味液添加装置を備え、炊飯釜から取り出されたご飯が第1の調味液添加装置の位置にまで到達したときに、炊飯後の当該ご飯に添加すべき調味液の全量のうちの一部を添加し、当該ご飯が第2の調味液添加装置の位置にまで到達したときに、炊飯後の当該ご飯に添加すべき調味液の全量のうちの残部を添加するように、第1の調味液添加装置および第2の調味液添加装置とを制御する制御装置とを備えている炊飯システムを提供することによって、上記の課題を解決するものである。
【0009】
本発明の炊飯システムの好適な一実施態様においては、上記の制御装置は、炊き上げるべきご飯の種類ごとに、少なくとも、炊飯後に添加する調味液の種類と、当該炊飯後に添加する調味液の第1の調味液添加装置で添加する割合および/または第2の調味液添加装置で添加する割合とを記憶する記憶手段を備えており、この記憶されている割合に基づいて、添加される調味液の全量は、第1の調味液添加装置で添加する量と、第2の調味液添加装置で添加する量とに振り分けられることになる。
【0010】
また、本発明の炊飯システムの好適な一実施態様においては、上記の制御装置は、個々の炊飯釜で炊飯されるご飯ごとに、炊飯後に添加する調味液の全量と、記憶されている当該炊飯後に添加する調味液の第1の調味液添加装置で添加する割合および/または第2の調味液添加装置で添加する割合とに基づいて、第1の調味液添加装置および第2の調味液添加装置のそれぞれで添加する調味液の量を演算する演算手段を備えており、この演算結果に基づいて、第1および第2の調味液添加装置は、それぞれ必要な量の調味液を添加することになる。
【0011】
さらに、本発明の炊飯システムの好適な一実施態様においては、第1および第2の調味液添加装置は、複数本の調味液供給管であって、それぞれ異なる調味液源に接続される一方端と、それぞれ調味液供給開閉弁を介していずれも第1容器に開口する他方端とを有する複数本の調味液供給管と;複数本の調味液供給管の上記他方端から供給される調味液を受け入れる入口開口と、第2容器に開口する出口開口とを有し、出口開口には第1出口開閉弁が設けられている第1容器と;第1容器の出口開口から供給される調味液を受け入れる入口開口と、受け入れた調味液を調味液添加管に送出する出口開口とを有し、出口開口には第2出口開閉弁が設けられている第2容器と;第2容器の出口開口から送出された調味液を受け入れて対象物に添加する調味液添加管と;調味液供給管から第1容器に供給される調味液の量が設定された量に達したことを検知する調味液供給量検知手段と;調味液供給開閉弁、第1出口開閉弁、および第2出口開閉弁の開閉を制御する制御装置とを備えており、制御装置が、第1出口開閉弁が閉の状態で、複数の調味液供給開閉弁のうちの少なくとも1つを開とし、第1容器に供給される調味液の量が設定された量に達したことが調味液供給量検知手段によって検知されると開状態にあった調味液供給開閉弁を閉とし、次に、第1出口開閉弁を開として、第1容器に供給された設定された量の調味液を第2容器に移動させ、調味液の添加時に、第2出口開閉弁を開として、第2容器に移動した調味液を調味液添加管へと送出するように各開閉弁の開閉を制御するプログラムを備えている。第1および第2の調味液添加装置として、上記のような調味液添加装置を用いる場合には、個々の炊飯釜で炊き上げられるご飯ごとに、多種類の調味液の中から指定された種類の調味液を自在に選択して添加することができるので、顧客の指定する細かな仕様に対応した多品種の調味液による味付けご飯を製造することが可能となる。
【0012】
本発明の好ましい一実施態様において、撹拌・冷却ラインは、炊飯釜から取り出されたご飯を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトの搬送経路に沿って設けられた1または複数の撹拌手段と、同じく搬送ベルトの搬送経路に沿って設けられた1または複数の冷却手段とを備えており、第1の調味液添加装置と第2の調味液添加装置との間に、少なくとも一組の撹拌手段と冷却手段とが位置している。また、冷却手段は、搬送ベルトの上方に設けられ下方に向かって冷却用の気体を送風する冷却ファンであり、その送風口が周期的に揺動するスイング式の冷却ファンである。このような構成とすることにより、調味液とご飯の混合はより十分に行われ、ご飯からの水分の放散も一層速やかに行われることになる。
【0013】
本発明の好ましい実施態様において、調味液は酢液であり、本発明の炊飯システムによれば、酢の種類、配合、味付け等が異なる多種類の酢液の中から、炊飯釜ごとに、指定された酢液を選択して、指定された量だけ散布することが可能であり、例えば、寿司屋ごとに異なる味付けの寿司飯を製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の炊飯システムによれば、酢液を始めとする調味液とご飯とが全体的に均一に混じり合い、互いに良く馴染んでいる上に、水分の放散が十分に行われてべとつきのない調味液添加ご飯を製造することができるという優れた利点が得られる。また、第1および第2の調味液添加装置として、上述したような調味液添加装置を用いる場合には、酢液を始めとする複数種類の調味液の中から、炊飯釜ごとに指定された調味液を選択して、指定された量だけ添加することができるので、需要者の注文に応じて、製造されるご飯の味付けをそれぞれに細かく異ならせることができるという優れた利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明が図示のものに限られないことは勿論である。
【0016】
図1は、本発明の炊飯システムの一例の全体構成を示す概念図である。図1において、1は本発明の炊飯システムであり、2は炊飯釜、3は炊飯釜2の搬送装置である。4は炊飯釜2に炊飯する米を供給する炊飯米計量供給装置、5は洗米と炊飯水の供給とを行う自動洗米機、6は水浸漬ラインであり、7は、水浸漬を終えた米を炊飯釜2ごとに炊飯する炊飯ライン、8は炊き上がったご飯を蒸らす蒸らしラインである。9は、炊飯釜2から蓋10を取り外す蓋取り装置、11は炊飯釜2を反転する炊飯釜反転装置であり、炊き上がったご飯を炊飯釜から取り出す、ご飯取り出し装置として機能する。12は搬送ベルト、13はご飯であり、図1においては、炊飯釜2が炊飯釜反転装置11によって反転されることによって搬送ベルト12上に取り出された状態が示されている。14a、14b、14cは、搬送ベルト12上でご飯13を撹拌してほぐすための撹拌装置、15a、15bは搬送ベルト12の上方に配置された冷却手段、16a、16bは、それぞれ第1および第2の調味液添加装置である。
【0017】
17は制御装置であり、制御装置17は、炊飯システム全体を制御するシステム制御装置18と、第1および第2の調味液添加装置16a、16bをそれぞれ制御する第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bとを有している。20はシステム制御装置18の入出力装置であり、入出力装置20は、第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bの入出力装置を兼ねていても良い。また、システム制御装置18は、第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bを兼ねていても良い。
【0018】
本発明の炊飯システム1において、搬送装置3や、炊飯米計量供給装置4、自動洗米機5、水浸漬ライン6、炊飯ライン7、蒸らしライン8、更には、蓋取り装置9、炊飯釜反転装置11などは、汎用されているもので良く、それぞれの所期の機能を有しているものである限りどのようなものを用いても良い。同様に、ご飯13を搬送する搬送ベルト12も、ご飯13を搬送することができる限りどのような搬送ベルトを用いても良く、通常は、搬送面がメッシュ状のメッシュベルトが用いられる。
【0019】
撹拌手段14a、14b、14cとしても、炊き上がったご飯を撹拌してほぐすことができるものであればどのようなものを用いても良いが、例えば同じ特許出願人が特開2003−144067号公報で開示したような、回転軸とその回転軸から放射状に突出した複数の撹拌羽根を有する撹拌羽根車を多段に、好ましくは3段に並べたものを用いるのが望ましい。すなわち、撹拌手段14a、14b、および14cは、それぞれ撹拌羽根車を3段に並べたものから構成され、その第1段目の撹拌羽根車はご飯13を搬送ベルト12の移動方向に沿って送り出す正方向に回転し、第2段目の撹拌羽根車はその逆方向に回転し、さらに第3段目の撹拌羽根車を第1段目と同じく正方向に回転して、ご飯13を撹拌し、ほぐしながら、搬送ベルト12の搬送方向に送り出す機能を有している。このような撹拌手段を用いると、ご飯の撹拌とほぐしとを十分に行うことができるので有利である。
【0020】
冷却手段15a、15bとしても、ご飯を冷却してその温度を低下させるとともに、ご飯から内部に含まれている水分を蒸気として放散させることができるものであれば、どのような冷却手段を用いても良いが、例えば、冷却手段15a、15bとして、送風能力を備えた冷却ファンを用い、その冷却ファンを搬送ベルト12の上方に配置して、ご飯13の上方から冷却用の気体、例えば空気をご飯13に吹き付けるようにすると、ご飯13からの水分の逃散を効率良く行うことができるので有利である。特に、冷却ファンとして、その送風の吹き出し口が、周期的に揺動するスイング式の冷却ファンを用いる場合には、冷却気体がご飯13に当たる角度が周期的に変化するので、冷却効果が高まり、ご飯13からの水分の逃散がより効率的に行われるという利点が得られる。
【0021】
冷却手段15a、15bは、それぞれ、撹拌手段14b、14cの直上に配置して、撹拌手段14b、14cと組み合わせて用いるのが好ましい。撹拌手段14b又は14cによる撹拌とほぐしを行いながら、上方から冷却ファンによって冷却用の気体をご飯13に送風することにより、ご飯13の内部からも水分の逃散がより一層促進され、べとつきの少ないご飯とすることができる。なお、図示の例では、搬送ベルト12の最も上流側に位置する撹拌手段14aの上方には冷却手段が設けられていないけれども、必要があれば、この撹拌手段14aの上方にも冷却手段を設けても良い。これらの撹拌手段14a、14b、14cと冷却手段15a、15bとによって、撹拌・冷却ラインが構成されることになる。
【0022】
本発明の炊飯システム1においては、上記の撹拌・冷却ラインに第1の調味液添加装置16aと第2の調味液添加装置16bとが配置される。図示の例においては、第1の調味液添加装置16aの搬送ベルト12の搬送方向に関して上流側には、撹拌手段14aだけが設けられ、第1の調味液添加装置16aと第2の調味液添加装置16bとの間には、撹拌手段14bと冷却手段15aとが、また、第2の調味液添加装置16bの搬送ベルト12の搬送方向に関して下流側には、撹拌手段14cと冷却手段15bとが配置されているけれども、撹拌手段と冷却手段の配置は図示のものに限られない。適宜の位置に、撹拌手段および/または冷却手段を増設することは随意である。ただし、第1および第2の調味液添加装置16a、16bによって調味液の添加を受けたご飯13を添加された調味液となじませ、また、ご飯13から水分を十分に放散させるためには、第1と第2の調味液添加装置16aと16bとの間、および、第2の調味液添加装置16bよりも搬送ベルト12の搬送方向に関して下流側に、少なくとも1つの撹拌手段と冷却手段とが設けられているのが望ましい。また、調味液がご飯13と馴染み易くするためには、第1の調味液添加装置16aよりも上流側にも、少なくとも1つの撹拌手段を配置するのが望ましい。
【0023】
第1および第2の調味液添加装置16a、16bとしては、調味液を設定された量だけご飯13に添加することができるものであれば、どのような構造、機構による調味液添加装置を用いても良いことは勿論である。しかしながら、例えば、調味液の種類が異なる複数品種のご飯を1つの炊飯システムで連続的に製造したり、或いは、顧客ごとに味付けや配合の異なる多種類の寿司飯を1つの炊飯システムで連続して製造するには、多種類の調味液を自在に選択して、設定された量だけ、効率良く添加することができる調味液添加装置を用いるのが望ましい。そのような調味液添加装置としては、例えば、図2に示すようなものが挙げられる。
【0024】
図2は、第1および第2の調味液添加装置16a、16bの詳細を示す図である。図2において、111、111、111・・・111は調味液源としての調味液タンクであり、調味液タンク111、111、111・・・111には、それぞれ異なる調味液が収容されている。例えば、調味液が酢液の場合、調味液タンク111、111、111・・・111にはには、それぞれ異なる配合、異なる味付けの酢液が収容されていることになる。112、112、112・・・112は、それぞれ調味液タンク111、111、111・・・111に接続された調味液供給管であり、調味液供給管112、112、112・・・112の他方端は、調味液供給開閉弁V、V、V・・・Vを介して、第1容器113に開口している。
【0025】
調味液供給開閉弁V、V、V・・・Vとしては、調味液の供給、停止を制御できるものであれば、どのような形式、構造の弁を用いても良く、後述するとおり、第1容器113に設定された量の調味液を供給するためには、単に開閉動作だけではなく、開度の調節が可能なものを用いるのが望ましい。調味液供給開閉弁V、V、V・・・Vとして、弁の開度の調節が可能なものを用いる場合には、調味液の供給開始時には、弁の開度を最大とし、調味液を勢い良く第1容器113内に供給する一方で、供給量が設定量に接近したときには、弁の開度を小さくして、単位時間あたりの供給量を小さくして、正確に設定された量だけを第1容器113内に供給することがより容易となるという利点が得られる。
【0026】
図示の例においては、第1容器113は、上部に蓋のないロート状の容器であり、調味液供給管112、112、112・・・112の先端から出た調味液は、そのまま第1容器113内に供給されるようになっているが、第1容器113の上部に蓋を設け、その蓋に開けた穴に調味液供給管112、112、112・・・112の先端を接続するようにしても良い。また、図示の例においては、調味液タンク111、111、111・・・111および調味液供給管112、112、112・・・112にはポンプは設けられていないけれども、必要があれば、調味液タンク111、111、111・・・111のそれぞれ、または、調味液供給管112、112、112・・・112のそれぞれにポンプを取り付け、調味液の供給を強制的に行うようにしても良い。
【0027】
111は、洗浄用の水を入れた洗浄水タンクであり、112は洗浄水供給管、Vは洗浄水供給管112に設けられた洗浄水供給開閉弁であり、洗浄水供給管112は洗浄水供給開閉弁Vを介して、その先端が第1容器113の上部に開口している。調味液供給管112、112、112・・・112と同様に、第1容器113の上部に蓋を設ける場合には、その蓋に開けた穴に洗浄水供給管112の先端を接続するようにしても良い。洗浄水タンク111または洗浄水供給管112にポンプを取り付け、洗浄水の供給を強制的に行うようにしても良いことは勿論である。Wは、第1容器113の重量を計測する重量計である。
【0028】
114は第1容器113の出口開口であり、出口開口114には第1出口開閉弁V−Iが設けられている。第1容器113の出口開口114は、第2容器115の上部に開口している。図示の例においては、第2容器115は、上部に蓋のないロート状の容器であり、第1容器113の出口開口114を出た調味液は、第2容器115内に供給されることになる。第1容器113と同様に、第2容器115の上部にも蓋を設け、その蓋に開けた穴に第1容器113の出口開口114を接続するようにしても良い。
【0029】
116は第2容器115の出口開口であり、出口開口115には第2出口開閉弁V−IIが設けられている。Pはポンプであり、図示の例では、ポンプPは、第2出口開閉弁V−IIと出口開口116までの間の管路に設けられているけれども、出口開口116よりも下流側の管路に設けるようにしても良く、調味液を自重だけで対象物に添加することができる場合には、ポンプPは設けなくても良い。ポンプPとしては調味液を送出することができる限り、どのような機構のポンプを用いても良いが、調味液として、例えば、酢液などの腐食性の液体を用いる場合には、耐食性のあるエアポンプを用いるのが望ましい。エアポンプは空送りをしても不都合がないという点からも好ましい。
【0030】
117は調味液添加管であり、118は調味液添加管の先端部に取り付けられた散布用ノズル、V−IIIは、出口開口116と調味液添加管117との間に設けられた第3出口開閉弁である。調味液を調味液添加管117の先端部から直接に対象物に添加しても良い場合には、散布用ノズル118は設けなくても良いが、調味液が酢液の場合には、炊き上がったご飯の上に散布する必要があるので、散布用ノズル118は必要である。第3出口開閉弁V−IIIは不要であれば、設けなくても良い。
【0031】
119は、散布用ノズル118から散布される調味液が、周囲に飛び散ることを防止するための飛散防止傘であり、散布用ノズル118からの調味液の散布形状に応じて、下方にいくほど広がる円錐状または角錐状の形状を有している。
【0032】
19a、19bは第1および第2の調味液添加制御装置であり、第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bと、調味液供給開閉弁V、V、V・・・V、洗浄水供給開閉弁V、重量計W、第1出口開閉弁V−I、第2出口開閉弁V−II、第3出口開閉弁V−III、およびポンプPとは有線若しくは無線の信号線によって結ばれており、第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bは、これら開閉弁の開閉動作を制御したり、重量計からの計測信号を受けたり、また、ポンプPの動作を制御したりすることができるように構成されている。
【0033】
次に、図3に基づいて、図2に示した第1および第2の調味液添加装置16a、16bにおける第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bの制御動作を説明する。なお、第2の調味液添加制御装置19bの制御動作は第1の調味液添加制御装置19aと同じであるので、以下、第1の調味液添加制御装置19aについてのみ説明をする。
【0034】
第1の調味液添加装置16aの動作開始時には、各種の開閉弁等は図3の時刻t0で示した状態にある。すなわち、調味液供給開閉弁V、V、V・・・Vはいずれも「閉」の状態にあり、第1ないし第3出口開閉弁V−I〜V−IIIも「閉」の状態、ポンプPは停止状態にある。この状態で、第1の調味液添加制御装置19aは、例えば時刻t1に、調味液供給開閉弁V、V、V・・・Vのうちのいずれかである調味液供給開閉弁Vxを「開」とし、第1容器113内に調味液Xの供給を開始する。このときに「開」とされる調味液供給開閉弁Vxが、第1番に添加されるべき調味液Xが収容された調味液タンク111xに対応する調味液供給開閉弁Vxであることはいうまでもない。2種類以上の調味液を混合して使用する場合には、それらの調味液が収容された調味液タンクに対応する2種類以上の調味液供給開閉弁を「開」とすれば良い。
【0035】
第1容器113内に供給された調味液の量は、第1容器113に取り付けられた重量計Wによって第1容器113の重量を計測することによって知ることができる。第1の調味液添加制御装置19aには、図示しない記憶装置が備えられており、その記憶装置には、第1番目に、第1の調味液添加装置16aによって添加すべき調味液Xの添加量が記憶されている。第1の調味液添加制御装置19aは、重量計Wからの重量の計測信号を受け、調味液Xが供給されることによって増加した第1容器113の重量と、予め設定ないしは指定された調味液Xの添加量とを比較し、両者が一致したときに、図3の2段目に示すように、検知信号を出す。計測された第1容器113の重量と、予め計測しておいた第1容器113の空の時の重量と設定された調味液Xの添加量との合計値とを比較し、両者が一致したときに、検知信号を出すようにしても良い。第1容器113の空の時の重量なども、第1の調味液添加制御装置19aに備えられている図示しない記憶装置に適宜記憶させておくことができる。検知信号が例えば時刻t2で出されると、第1の調味液添加制御装置19bは直ちに調味液供給開閉弁Vxを「閉」とし、調味液Xの第1容器113への供給を停止させる。
【0036】
設定された量の調味液Xが第1容器113に供給されたとの判断は、上述のように、第1容器113の重量を計測し、その重量(若しくはその増加分)が設定された値と一致したときに、設定された量の調味液Xが第1容器113に供給されたと判断する代わりに、調味液供給開閉弁Vxが「開」となっている時間を計測し、予め求めておいた調味液供給開閉弁Vxの「開」時間と調味液供給管112xからの調味液Xの供給量との関係に基づいて、調味液供給開閉弁Vxが「開」となっている時間が設定された時間と一致したときに、設定された量の調味液Xが第1容器113に供給されたと判断し、検知信号を出すようにしても良い。これは、調味液タンク111、111、111・・・111のいずれに収容された調味液についても同様である。
【0037】
続いて、第1の調味液添加制御装置19aは、例えば時刻t3に、それまで「閉」状態にあった第1出口開閉弁V−Iを「開」とし、第1容器113内に貯留されていた調味液Xを第2容器115内へと移動させる。このとき、第2容器115の第2出口開閉弁V−IIは「閉」状態にある。第1容器113から第2容器115への調味液Xの移動が終了すると、第1の調味液添加制御装置19aは第1出口開閉弁V−Iを「閉」とする。図3の三段目の時刻t4がこれに相当する。第1容器113から第2容器115への調味液Xの移動が終了したことの判断は、重量計Wからの重量計測信号が調味液Xの供給前の値に戻ったことを検知して行っても良いし、第1容器113から第2容器115への調味液の移動は、重力によって比較的速やかに行われるので、予め余裕をみて時間を設定しておき、その時間が経過したことをもって、移動の終了と判断するようにしても良い。或いは、液面計などの液量検知手段を第1容器113に設けて、第1容器113の内部が空になったことを直接に検知して、移動終了と判断するようにしても良い。
【0038】
第1容器113から第2容器115への調味液Xの移動が終了すると、第1の調味液添加装置16aは、いつでも調味液Xを対象物に添加することができる状態にあることになる。調味液Xの対象物への添加は、第2出口開閉弁V−IIおよび第3出口開閉弁V−IIIを共に「開」とし、ポンプPを作動させることによって行われる。図3においては、第2出口開閉弁V−IIおよび第3出口開閉弁V−IIIの「開」と、ポンプPの作動とは、いずれも同時刻t6に行われているけれども、これら3者の「開」若しくは動作開始の時刻は必ずしも同じである必要はない。例えば、第2出口開閉弁V−IIを「開」とし、ポンプPを作動させて、管路内の圧力が高まった時点で、第3出口開閉弁V−IIIを「開」として、調味液Xの添加または散布を開始するようにしても良い。
【0039】
調味液添加管117または散布用ノズル118からの調味液Xの添加または散布が終了すると、第1の調味液添加制御装置19aは、第2出口開閉弁V−IIおよび第3出口開閉弁V−IIIを「閉」とし、ポンプPの動作を停止させる。図3における時刻t7がこれに相当する。このときも、第2出口開閉弁V−IIおよび第3出口開閉弁V−IIIの「閉」と、ポンプPの動作停止とは、必ずしも同時である必要はない。例えば、第2出口開閉弁V−IIを「閉」とした状態で、ポンプPをしばらく作動させて、管路内の調味液Xを全て送出し、管路内に調味液Xが残存しないようすることもできる。
【0040】
調味液添加管117または散布用ノズル118からの調味液の添加または散布が終了したとの判断は、調味液添加管117または散布用ノズル118の先端若しくは先端近傍に流量計を取り付け、調味液添加管117または散布用ノズル118から調味液の流出がなくなった時点をもって、添加または散布終了と判断するようにしても良いし、予め、第2容器115内に貯留できる最大量の調味液を調味液添加管117または散布用ノズル118から添加または散布するのに要する時間を計測しておき、その時間若しくはその時間に少し余裕をもたせた時間が経過したことをもって、添加または散布終了と判断するようにしても良い。添加または散布終了の判断を時間で行う場合には、第1容器113で計量された調味液の設定量に応じて、添加または散布終了の判断の時間を変化させるようにしても良い。
【0041】
第1容器113から第2容器115への調味液Xの移動が終了すると、第1出口開閉弁V−Iは「閉」の状態にあるので、例えば時刻t5に、調味液供給開閉弁V、V、V・・・Vのうちのいずれかである調味液供給開閉弁Vyを「開」とし、第1容器113内に2番目に添加または散布すべき調味液Yの供給を開始することができる。第1容器113内への調味液Yの供給の開始は、第2容器115内に貯留されている調味液Xが調味液添加管117または散布用ノズル118から添加または散布されているときと時間的に一部若しくは全部が重なっていても構わない。このように図2に示した第1の調味液添加装置16a、ひいては第2の調味液添加装置16bにおいては、調味液の添加または散布と、次に添加または散布すべき調味液の計量とを同時に併行して行うことができるので、炊飯能力の高い炊飯システムに用いても、次々と比較的短い時間間隔で搬送されてくる炊飯釜内に、必要な調味液を添加または散布することが可能になるという利点が得られる。
【0042】
第1容器113内に供給された調味液Yの量が設定された量に達すると、検知信号が出され、第1の調味液添加制御装置19aは、調味液供給開閉弁Vyを「閉」にする。図3における時刻t8がこれに相当する。続いて、第2容器115内が空で、第2出口開閉弁V−IIが「閉」であるならば、例えば時刻t9に第1出口開閉弁V−Iが「開」とされ、第1容器113から第2容器115への調味液Yの移動が開始される。以降は、調味液Xにおける場合と同様である。
【0043】
第1の調味液添加装置16aの管路系を洗浄するには、洗浄水供給開閉弁Vを「開」として、第1容器113、第2容器115、調味液添加管117、さらには散布用ノズル118内に洗浄水を流せば良い。このような管路の洗浄は、適宜の時期に行うことができる。洗浄水としては、単なる水であっても良いし、適宜の洗剤等を含む水であっても良く、洗浄水が洗剤等を含む場合には、別途、濯ぎ用の水を収容した濯ぎ水タンクを設けても良い。
【0044】
第1および第2の調味液添加装置16a、16bを上述のように動作させるプログラムは、第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bに備えられた記憶装置に記憶されている。第1および第2の調味液添加装置16a、16bのそれぞれから添加または散布すべき調味液の種類と量、順序等についての情報は、図示しない入力装置を介して第1の調味液添加制御装置19aまたは第2の調味液添加制御装置19bに直接入力することも可能ではあるけれども、後述する炊飯システムのシステム制御装置18から、有線または無線の通信回線を介して、第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bに入力するようにするのが好ましい。入力されたこれらの情報は、第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bに備えられている記憶装置に記憶されることになる。なお、第1および第2の調味液添加装置16a、16bに対して、1つの調味液添加制御装置を設けるようにしても良く、その場合には、単一の調味液添加制御装置から、弁の開閉やポンプの動作などについての制御信号が、第1および第2の調味液添加装置16a、16bを構成する各種の弁及びポンプに送られることとなる。また、第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bは、後述する炊飯システムのシステム制御装置18と一体化しても良い。
【0045】
以下、図1に戻って、本発明の炊飯システム1の動作を説明する。まず、システム制御装置18に備えられた記憶装置には、製造するご飯の種類ごとに、少なくとも炊飯後に添加する調味液の種類と、炊飯する米の単位重量当たりの添加量と、第1および/または第2の調味液添加装置16a、16bで添加する割合とが記憶されている。例えば、コードA1で指定される種類のご飯には、コードB1で指定される調味液を、米の単位重量当たりC1の量だけ添加し、その第1および第2の調味液添加装置における添加の割合は、第1の調味液添加装置16aによって例えば全添加量の60%、第2の調味液添加装置16bによって例えば全添加量の40%を添加するといった情報が記憶装置に記憶されている。これらの情報は、オペレータが入出力装置20を介してシステム制御装置18に直接入力することによってシステム制御装置18の記憶装置に記憶させることができる。勿論、随時変更することも可能である。なお、第1の調味液添加装置における添加割合と、第2の調味液添加装置における添加割合には特段の制限はなく、オペレータが、製造するご飯の種類に応じて、適宜の値に設定すれば良い。
【0046】
以上のような状態で、例えば、コードA1のご飯を炊飯前の米重量で30kg炊飯するという要請があった場合、オペレータが入出力装置20を介するなどして、「コードA1、30kg」という命令をシステム制御装置18に入力すると、システム制御装置18は、当該システムで使用している炊飯釜の炊飯能力についての情報を当該システム制御装置18に備えられている記憶装置から読み出し、それが例えば「1釜当たり7kg」であった場合、この値と炊飯する米の重量30kgとから、30kg=4×7kg+2kgと計算されるので、No.1からNo.4までの4つの炊飯釜2には、7kgずつの米を計量して供給し、No.5の炊飯釜2には2kgの米を計量して供給するように、炊飯米計量供給装置4に指令を出す。このとき、No.5の炊飯釜2の炊飯量が米2kgでは少な過ぎて炊飯に不都合をきたす恐れがある場合には、システム制御装置18は、No.4とNo.5の炊飯釜2に、7kgと2kgを足して2で割り、4.5kgずつの米を供給するように炊飯米計量供給装置4に指令するようにしても良い。
【0047】
必要であれば、システム制御装置18は、炊き上げるコードA1のご飯に対応した水浸漬条件や炊飯条件、蒸らし条件などを、備えられた記憶装置から適宜読み出して、水浸漬ライン6、或いは炊飯ライン7、更には蒸らしライン8の動作を制御するようにしても良い。
【0048】
システム制御装置18は、更に、上記記憶装置から、コードA1のご飯に対して、炊飯後に添加する調味液の種類はコードB1であることを読み出し、この情報を第1の調味液添加制御装置19aおよび第2の調味液添加制御装置19bに送るとともに、記憶されている炊飯米単位重量当たりの添加量C1と、コードA1のご飯を炊き上げるNo.1〜No.5の炊飯釜のそれぞれに収容されている米の重量とに基づいて、個々の炊飯釜2に添加する調味液B1の量を計算する。例えば、コードA1のご飯の場合、米1kgに対し調味液の添加量がC1であれば、各7kgずつの米を炊飯するNo.1〜No.4の炊飯釜2に関しては、添加する調味液の量は、7kg×(C1/kg)=7C1であり、2kgの米を炊飯するNo.5の炊飯釜2に関しては、2kg×(C1/kg)=2C1となる。
【0049】
システム制御装置18は、更に、この計算された調味液の添加量と、記憶装置に記憶されている第1および/または第2の調味液添加装置での添加割合に基づいて、第1および第2の調味液添加装置で添加する調味液B1の量を演算する。例えば、上述の例では、第1の調味液添加装置16aによって添加する割合は全添加量の60%で、第2の調味液添加装置16bによって添加する割合は全添加量の40%と記憶されているので、システム制御装置18は、No.1〜No.4の炊飯釜2に関しては、7C1という全添加量に60%を掛け、7C1×0.6=4.2C1という量を第1の調味液添加装置16aで添加する量として第1の調味液添加制御装置19aに送信し、また、7C1という全添加量に40%を掛け、7C1×0.4=2.8C1という量を第2の調味液添加装置16bで添加する量として第2の調味液添加制御装置19bに送信する。
【0050】
同様に、No.5の炊飯釜2に関しては、システム制御装置18は、2C1という全添加量に60%を掛け、2C1×0.6=1.2C1という量を第1の調味液添加装置16aで添加する量として第1の調味液添加制御装置19aに送信し、2C1という全添加量に40%を掛け、2C1×0.4=0.8C1という量を第2の調味液添加装置16bで添加する量として第2の調味液添加制御装置19bに送信する。
【0051】
このように、第1および第2の調味液添加装置16a、16bで添加する調味液の添加割合は、一方の添加割合が分かれば、他方の添加割合は1から引き算をすることによって容易に求められるので、システム制御装置18に備えられた記憶装置には、第1および第2の調味液添加装置16a、16bのうち、どちらか一方での添加割合だけを記憶するようにして、他方での添加割合は計算で求めるようにしても良い。また、上記の例では、第1および第2の調味液添加装置16a、16bのいずれに関しても、調味液の添加量は全添加量にそれぞれの添加割合を掛けることによって求めたけれども、第1および第2の調味液添加装置16a、16bでの調味液の添加量に関しては、全添加量といずれか一方での添加量がわかれば、他方での添加量は容易に計算できるので、いずれか一方における添加量だけを全添加量に添加割合を掛けることによって求め、他方における添加量は、全添加量から先に求められた一方における添加量を引き算することによって求めるようにしても良い。
【0052】
引き続き、コードA2のご飯を20kg炊き上げるという指令が来た場合にも同様であり、システム制御装置18は、予め記憶されているコードA2のご飯に添加する調味液の種類はB2であるという情報と、このコードA2のご飯に関しては炊飯米kg当たりの調味液の添加量はC2であるという情報と、さらには、第1の調味液添加装置16aでは全添加量の例えば30%を添加し、第2の調味液添加装置16bでは全添加量の例えば70%を添加するという情報に基づいて、炊飯米で20kgのコードA2のご飯を炊き上げるに必要な3つの炊飯釜、すなわち、20kg=2×7kg+6kgであるので、No.6〜No.8の3つの炊飯釜2が必要となるが、これら3つのNo.6〜No.8の炊飯釜2に関して、その第1および第2の調味液添加装置16a、16bでの添加量を計算によって求め、この情報と、添加すべき調味液の種類はB2であるという情報とを、第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bに送信することになる。
【0053】
以上のようにして、システム制御装置18から、順次搬送されてくる炊飯釜ごとに、添加すべき調味液の種類と、その添加量との情報を受け取った第1および第2の調味液添加制御装置19a、19bは、その受け取った情報に基づいて、それぞれ第1および第2の調味液添加装置16a、16bを制御して、指定された調味液を指定された量だけ、搬送ベルト12上に取り出されたご飯13に添加することになる。
【0054】
搬送装置3によって順次搬送されてくる炊飯釜2がどの種類のご飯を何kg炊き上げる炊飯釜であるかの認識は、炊飯釜2が搬送されてくる順序に基づいて行っても良いし、炊飯釜2の蓋10などに識別のためのタグを取り付けておき、炊飯釜2に米が供給された後、最初に蓋10が装着されるときに、タグに記録されている識別情報と、その蓋10が装着された炊飯釜で炊き上げるご飯の種類と量との対応関係を記憶し、以降の工程では、蓋10に取り付けられたタグに記憶されている識別情報に基づいて、その蓋10が装着された炊飯釜2で炊き上げるご飯をの種類とその量を認識するようにしても良い。
【0055】
また、第1および第2の調味液添加装置16a、16bから調味液を添加するタイミングは、炊飯釜反転装置11によって炊飯釜2が反転され、収容されていたご飯13が搬送ベルト12に落下する時点を、例えば、光電変換器などによって検知し、その時点から、搬送ベルト12の搬送速度と第1および第2の調味液添加装置16a、16bの位置とに基づいて、予め求めておいた所定の時間が経過した時点を、ご飯13が第1または第2の調味液添加装置16a、16bの直下に到達する時点であるとして、調味液の添加を開始するようにすることができる。或いは、撹拌手段14aおよび14bの入り口部または出口部にご飯13の通過を検知する検知手段を設けておき、その検知手段からの検知信号が得られてから所定時間経過後を、ご飯13が第1または第2の調味液添加装置16a、16bの直下に到達する時点であるとして、調味液の添加を開始するようにしても良い。さらには、第1および第2の調味液添加装置16a、16bの直下にご飯13の到達を検知する手段を設けておき、ご飯13の到達を直接に検知して、調味液の添加を開始するようにしても良い。なお、撹拌手段14b、14cの入り口部にご飯の通過を検知する検知手段を設ける場合には、その検知手段からの検知信号に基づいて直上に位置する冷却手段15a、15bの運転を開始させ、また、撹拌手段14b、14cの出口部にご飯の通過を検知する検知手段を設ける場合には、その検知手段からの検知信号に基づいて直上に位置する冷却手段15a、15bの運転を停止させることができる。
【0056】
本発明の炊飯システム1は、以上のようにして、撹拌・冷却ラインに配置された第1および第2の調味液添加装置16a、16bによって、炊飯後に添加する調味液の全添加量を分割してご飯13に添加するようにしている。このため、調味液の全量を炊飯釜2内に収容されているご飯の上に添加する従来の場合のように、調味液が一時的に過剰となり炊飯釜2の底部に滞留して、炊飯釜底部に位置するご飯だけが調味液によって濃く味付けされてしまうというような不都合は避けることができる。
【0057】
また、本発明の炊飯システム1においては、必要な調味液の全量を第1および第2の調味液添加装置16a、16bに分割して添加しているので、調味液を徐々にご飯13に馴染ませ、混合することができるので、調味液とご飯13との混合を無理なく行うことができる。しかも、第1の調味液添加装置16aと第2の調味液添加装置16bとの間に、撹拌手段14bと冷却手段15aとを介在させる場合には、調味液の添加後に、撹拌手段14bによってご飯13を十分に撹拌しつつ、上方からの送風によってご飯13を冷却することができるので、ご飯と調味液との混合を十分に行うことができるだけでなく、ご飯13からの水分を蒸気として効率良く外部に放散させることができるものである。
【0058】
本発明者らの知見によれば、酢液などの調味液は、一般に、水分がご飯から蒸気として外部に逃げるのを妨げる傾向があるので、調味液の全量を一度にご飯13に添加すると、たとえ、撹拌手段によって撹拌しつつ冷却手段で送風をしても、ご飯13からの水分の蒸気としての放散は十分には行われないところ、本発明の炊飯システム1においては、第1の調味液添加装置16aと第2の調味液添加装置16bとによって、調味液は分割して添加されるので、ご飯13からの水分の放散はさほど妨げられず、水分が十分に抜けた、べとつきがなく食感の良い調味液添加ご飯を製造することが可能である。
【0059】
以上の例では、撹拌・冷却ラインには第1および第2の調味液添加装置16a、16bという2つの調味液添加装置が設けられているけれども、さらに第3の調味液添加装置16cを撹拌・冷却ラインに配置しても良い。その場合には、炊飯後に添加する調味液の全量が3つに分割されて添加されることになるのはいうまでもない。また、炊飯前に添加する調味液を添加する装置を炊飯ライン7よりも搬送装置3の搬送方向上流側に配置しても良いし、他に、必要な具材を添加する装置を適宜の場所に配置するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明の炊飯システムによれば、ご飯と調味液とがよく馴染んだ均一な調味液添加ご飯を製造することができる。また、調味液添加装置として、多種類の調味液の中から指定された調味液を選択して、指定された量だけ添加することができるものを使用する場合には、顧客の注文に応じて、仕様の異なる多品種のご飯を効率良く製造することができる。以上のような本発明の有用性は、例えば、調味液として酢液を用いる場合に顕著であり、ご飯と酢とが良く馴染んだべとづきのない、しかも食感に優れた寿司飯を効率良く製造することができるとともに、用いる酢の種類、酢の濃度、味付け等が異なる多種類の酢液を使い分けることによって、顧客ごとに或いは寿司の種類ごとに異なる酢飯を製造し、提供することが可能である。このように、ご飯と調味液とが均一によく馴染んだご飯を効率良く炊き上げる技術は従来存在せず、本発明の産業上の利用可能性には実に多大のものがある。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の炊飯システムの一例を示す概念図である。
【図2】本発明の炊飯システムに用いる調味液添加装置の一例を示す概念図である。
【図3】調味液添加装置の動作の一例の時間的順序を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 炊飯システム
2 炊飯釜
3 搬送装置
4 炊飯米計量供給装置
5 自動洗米機
6 浸漬ライン
7 炊飯ライン
8 蒸らしライン
9 蓋取り装置
10 蓋
11 炊飯釜反転装置
12 搬送ベルト
13 ご飯
14a、14b、14c 撹拌手段
15a、15b 冷却手段
16a 第1の調味液添加装置
16b 第2の調味液添加装置
17 制御装置
19a 第1の調味液添加制御装置
19b 第2の調味液添加制御装置
20 入出力装置
111〜111 調味液タンク
111 洗浄水タンク
112〜112 調味液供給管
113 第1容器
114、116 出口開口
115 第2容器
117 調味液添加管
118 散布用ノズル
119 飛散防止傘
119a 突出部
119b 鍔部
〜V 調味液供給開閉弁
洗浄水供給開閉弁
V−I 第1出口開閉弁
V−II 第2出口開閉弁
V−III 第3出口開閉弁
W 重量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の炊飯釜を用いて炊飯釜ごとに炊飯を行う炊飯ラインと、炊き上がったご飯を炊飯釜から取り出すご飯取り出し装置と、炊飯釜から取り出されたご飯を撹拌および/または冷却する撹拌・冷却ラインとを備えた炊飯システムにおいて、撹拌・冷却ラインに第1の調味液添加装置および第2の調味液添加装置を備え、炊飯釜から取り出されたご飯が第1の調味液添加装置の位置にまで到達したときに、炊飯後の当該ご飯に添加すべき調味液の全量のうちの一部を添加し、当該ご飯が第2の調味液添加装置の位置にまで到達したときに、炊飯後の当該ご飯に添加すべき調味液の全量のうちの残部を添加するように、第1の調味液添加装置および第2の調味液添加装置とを制御する制御装置とを備えている炊飯システム。
【請求項2】
制御装置が、炊き上げるべきご飯の種類ごとに、少なくとも、炊飯後に添加する調味液の種類と、当該炊飯後に添加する調味液の第1の調味液添加装置で添加する割合および/または第2の調味液添加装置で添加する割合とを記憶する記憶手段を備えている請求項1記載の炊飯システム。
【請求項3】
制御装置が、個々の炊飯釜で炊飯されるご飯ごとに、炊飯後に添加する調味液の全量と、記憶されている当該炊飯後に添加する調味液の第1の調味液添加装置で添加する割合および/または第2の調味液添加装置で添加する割合とに基づいて、第1の調味液添加装置および第2の調味液添加装置のそれぞれで添加する調味液の量を演算する演算手段を備えている請求項2記載の炊飯システム。
【請求項4】
第1の調味液添加装置および第2の調味液添加装置が、複数本の調味液供給管であって、それぞれ異なる調味液源に接続される一方端と、それぞれ調味液供給開閉弁を介していずれも第1容器に開口する他方端とを有する複数本の調味液供給管と;複数本の調味液供給管の上記他方端から供給される調味液を受け入れる入口開口と、第2容器に開口する出口開口とを有し、出口開口には第1出口開閉弁が設けられている第1容器と;第1容器の出口開口から供給される調味液を受け入れる入口開口と、受け入れた調味液を調味液添加管に送出する出口開口とを有し、出口開口には第2出口開閉弁が設けられている第2容器と;第2容器の出口開口から送出された調味液を受け入れて対象物に添加する調味液添加管と;調味液供給管から第1容器に供給される調味液の量が設定された量に達したことを検知する調味液供給量検知手段と;調味液供給開閉弁、第1出口開閉弁、および第2出口開閉弁の開閉を制御する制御装置とを備えており、制御装置が、第1出口開閉弁が閉の状態で、複数の調味液供給開閉弁のうちの少なくとも1つを開とし、第1容器に供給される調味液の量が設定された量に達したことが調味液供給量検知手段によって検知されると開状態にあった調味液供給開閉弁を閉とし、次に、第1出口開閉弁を開として、第1容器に供給された設定された量の調味液を第2容器に移動させ、調味液の添加時に、第2出口開閉弁を開として、第2容器に移動した調味液を調味液添加管へと送出するように各開閉弁の開閉を制御するプログラムを備えている調味液添加装置である、請求項1〜3のいずれかに記載の炊飯システム。
【請求項5】
撹拌・冷却ラインが、炊飯釜から取り出されたご飯を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトの搬送経路に沿って設けられた1又は複数の撹拌手段と、同じく搬送ベルトの搬送経路に沿って設けられた1又は複数の冷却手段とを備えており、第1の調味液添加装置と第2の調味液添加装置との間に、少なくとも一組の撹拌手段と冷却手段とが位置している請求項1〜4のいずれかに記載の炊飯システム。
【請求項6】
冷却手段が搬送ベルトの上方に設けられ下方に向かって冷却用の気体を送風する冷却ファンであり、その送風口が周期的に揺動するスイング式の冷却ファンである請求項5記載の炊飯システム。
【請求項7】
調味液が酢液である請求項1〜6のいずれかに記載の炊飯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−161116(P2008−161116A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354244(P2006−354244)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(599103122)精宏機械株式会社 (26)
【Fターム(参考)】