説明

無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびフラットパネルディスプレイの製造方法

【課題】 本発明は、現像後のパターンの耐溶剤性が高く、複数部材の一括形成に適したブラックマトリクスを好適に形成することができる無機粉体含有樹脂組成物、当該無機粉体含有樹脂組成物からなる無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルム、および、ブラックマトリクスを含む複数部材を一括形成するフラットパネルディスプレイの製造方法を提供すること。
【解決手段】 (A)無機粉体として(A−1)黒色顔料および(A−2)ガラス粉体、(B)結着樹脂、(C)光重合性モノマー、並びに(D)光重合開始剤を含有し、かつ(B)結着樹脂が、側鎖にウレタン結合および不飽和二重結合を有する樹脂であることを特徴とする無機粉体含有樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイのブラックマトリクスを形成するために好適な
無機粉体含有樹脂組成物、該組成物からなる無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルム、
および、該転写フィルムを用いたフラットパネルディスプレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平板状の蛍光表示体としてプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともい
う。)、フィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)などのフラ
ットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)が注目されている。PDPは、透
明電極を形成し、近接した2枚のガラス板の間にアルゴンまたはネオンなどの不活性ガス
を封入し、プラズマ放電を起こしてガスを光らせることにより、蛍光体を発光させて情報
を表示するディスプレイである。一方、FEDは、電界印可によって陰極から真空中に電
子を放出させ、その電子を陽極上の蛍光体に照射することにより、蛍光体を発光させて情
報を表示するディスプレイである。
図1は交流型のPDPの断面形状を示す模式図の一例である。同図において、1および
2は対向配置されたガラス基板、3は隔壁であり、ガラス基板1、ガラス基板2および隔
壁3によりセルが区画形成されている。4はガラス基板1に固定された透明電極、5は透
明電極4の抵抗を下げる目的で、当該透明電極4上に形成されたバス電極、6はガラス基
板2に固定されたアドレス電極、7はセル内に保持された蛍光物質、8は透明電極4およ
びバス電極5を被覆するようガラス基板1の表面に形成された誘電体層、9はアドレス電
極6は被覆するようガラス基板2の表面に形成された誘電体層、10は例えば酸化マグネ
シウムよりなる保護膜である。
また、カラー化にあっては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス基板と誘電体
層との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリクスなどを設ける
ことがある。
【0003】
このようなフラットパネルディスプレイの部材である誘電体、隔壁、電極、蛍光体、カ
ラーフィルターおよびブラックスマトリクスの製造方法としては、たとえば、
(1)非感光性の無機粉体含有ペーストを基板上にスクリーン印刷してパターンを形成し
、これを焼成するスクリーン印刷法(たとえば特許文献1参照)や、
(2)感光性の無機粉体含有樹脂層を基板上に形成し、この膜にフォトマスクを介して紫
外線を照射した上で現像することにより基板上にパターンを残存させ、これを焼成するフ
ォトリソグラフィー法(たとえば特許文献2および3参照)
などが知られているが、厚膜パターンの形成工程が簡便であることや、パターン形状に優
れていること等から、特に上記(2)のフォトリソグラフィー法が好適に用いられる。
しかしながら、近年、高性能を維持しながら製造コストの更なる低減が求められており
、特に製造工程の中でも部材毎に高温で焼成して有機成分を消失させる焼成工程がタクト
タイム削減の大きな障壁になっているという問題があった。
上記のようなフォトリソグラフィー法によるフラットパネルディスプレイの部材形成方
法において、このタクトタイムを削減するために、複数部材からなる積層パターンを形成
し、一括して焼成を行うという方法が考えられる。
しかし、このような方法の実施にあたっては、一の部材について形成したパターンの上
に他の部材形成用材料を積層し、パターン形成を行う必要があるため、下地となるパター
ンが新たに積層される材料中に含有される有機溶剤によって崩れてしまうという問題が発
生する。
従って、現像後のパターンには高い耐溶剤性が要求される。

【特許文献1】特開平6−321619号公報
【特許文献2】特開平9−102273号公報
【特許文献3】特開平11−162339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、現像後のパターンの耐溶剤性が高く、複数部材の一括形成に適したブラック
マトリクスを好適に形成することができる無機粉体含有樹脂組成物、当該無機粉体含有樹
脂組成物からなる無機粉体含有樹脂層を有する転写フィルム、および、ブラックマトリク
スを含む複数部材を一括形成するフラットパネルディスプレイの製造方法を提供すること
を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、(A)無機粉体として(A−1)黒色顔料および
(A−2)ガラス粉体、(B)結着樹脂、(C)光重合性モノマー、並びに(D)光重合
開始剤を含有し、かつ(B)結着樹脂が、側鎖にウレタン結合および不飽和二重結合を有
する樹脂であることを特徴とする。
本発明の転写フィルムは、支持フィルム上に、本発明の無機粉体含有樹脂組成物から得
られる無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする。
本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法は、基板上に、前記転写フィルムの無
機粉体含有樹脂層を転写する工程、
該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および
該パターンを焼成処理する工程
を含む方法によりブラックマトリクスを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の無機粉体含有樹脂組成物を用いることにより、現像後の耐溶剤性が高く、複数
部材の一括形成に適したブラックマトリクスを好適に形成することができるとともに、可
撓性および転写性(基板に対する加熱接着性)に優れた無機粉体含有樹脂層を有する転写
フィルムを製造することができる。
本発明の転写フィルムを用いれば、現像後の耐溶剤性が高く、複数部材の一括形成に適
したブラックマトリクスを効率的に形成することができるとともに、無機粉体含有樹脂層
の可撓性に優れることから、該樹脂層の表面に屈曲亀裂(ひび割れ)が生じにくく、柔軟
性に優れ、ロール状に巻き取る操作を容易に行うことができる。また、前記無機粉体含有
樹脂層が好適な粘着性を示すことから、取扱性(ハンドリング性)も良好であり、さらに
該樹脂層の転写性(基板に対する加熱接着性)に優れている。
本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法によれば、複数部材についての焼成工
程回数を削減することができ、フラットパネルディスプレイの製造にあたってタクトタイ
ムの削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る無機粉体含有樹脂組成物、転写フィルムおよびフラットパネルディ
スプレイの製造方法について詳細に説明する。
〔無機粉体含有樹脂組成物〕
本発明の無機粉体含有樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう)は、
(A)無機粉体として、(A−1)有色顔料,および(A−2)ガラス粉体、
(B)結着樹脂、
(C)光重合性モノマー、並びに
(D)光重合開始剤
を含有する。本発明の組成物は、さらに(E)有機シラン化合物を含有してもよい。以下
、本発明の組成物の各構成成分について具体的に説明する。
【0008】
<(A)無機粉体>
本発明の組成物に用いられる無機粉体(A)としては、(A−1)有色顔料および(A
−2)ガラス粉体を用いる。
(A−1)有色顔料としては、Mn、Fe、Cr、Ni、Co,Cu,Ti,およびこ
れらの酸化物および複合酸化物、四酸化三コバルト(Co)またはコバルト含有複
合酸化物などが好ましく用いられる。これらの有色顔料は単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
有色顔料として四酸化三コバルトまたはコバルト含有複合酸化物を用いる場合は、その
比表面積は、7.5m/g以上20m/g以下、好ましくは、10m/g以上20
/g以下である。四酸化三コバルトの比表面積が7.5m/g未満であると、光透
過率の低いブラックマトリクスが得られない。また、20m/gを越えると、赤味がか
った色のブラックマトリクスが形成されるなど、良好な黒色を有するブラックマトリック
スを得られない恐れがあるため好ましくない。
なお、本発明で言う比表面積とは、無機粉体含有樹脂組成物に含有される四酸化三コバ
ルトのBET法により求められる比表面積の平均値を言う。
また、四酸化三コバルトの平均粒子径は、通常、0.05〜5.0μm、好ましくは0
.1〜0.5μmである。
【0009】
(A−2)ガラス粉体としては、好ましくは軟化点が400〜500℃のガラス粉体が
用いられる。ガラス粉体の軟化点が400℃未満である場合には、無機粉体含有樹脂層の
焼成工程において、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉体
が溶融してしまうため、形成されるブラックマトリクス中に有機物質の一部が残留するこ
とがあり、得られるフラットパネルディスプレイ内にアウトガスが拡散する結果、蛍光体
の寿命を低下させるおそれがある。一方、ガラス粉体の軟化点が500℃を超える場合に
は、無機粉体含有樹脂層を500℃より高温で焼成する必要があるため、該樹脂層の被転
写体であるガラス基板に歪みなどが発生することがある。
上記ガラス粉体の好適な具体例としては、
(1)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カルシウム系(PbO−B23−SiO2
−CaO 系)、
(2)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(ZnO−B23−SiO2系)、(3)酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(PbO−B23−SiO
2−Al23系)、
(4)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(PbO−ZnO−B23−SiO
2系)、
(5)酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化チタン系(PbO−ZnO−B
23−SiO2−TiO2系)、
(6)酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(Bi23−B23−SiO2系)、
(7)酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素系(ZnO−P25−SiO2系)、
(8)酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化カリウム系(ZnO−B23−K2O系)、(9)酸化リン、酸化ホウ素、酸化アルミニウム系(P25−B23−Al23系)、
(10)酸化亜鉛、酸化リン、酸化チタン系(ZnO−P25−TiO2系)混合物
(11)酸化ビスマス,酸化亜鉛,酸化ホウ素,酸化バリウム,酸化ケイ素系(Bi23
−ZnO−B23−BaO−SiO2系)などを挙げることができる。これらのうち、無
鉛ガラス、すなわち、上記(6)〜(11)等のガラス粉体が、混練後に得られる組成物
の経時安定性の観点から好適に用いられる。
上記ガラス粉体の平均粒子径は0.1〜3.0μmであることが好ましい。
【0010】
(A)無機粉体における、(A−1)有色顔料と(A−2)ガラス粉体との含有割合は
、(A)無機粉体全量に対して、(A−1)有色顔料が、好ましくは5〜30質量%、(
A−2)ガラス粉体が好ましくは70〜95質量%である。(A−1)有色顔料の割合が
上記割合であることにより、当該有色顔料が焼成後も表面に析出することなくガラス粉体
とともに膜内に埋包され、表面平滑性に優れ、反射率が低く遮光性に優れたブラックマト
リクスが得られる。また、(A−2)ガラス粉体の割合が上記割合であることにより、表
面平滑性に優れ、反射率が低く,遮光性に優れたブラックマトリクスが得られ、焼成後の
基板に対する密着性や膜強度が良好となる効果が得られる。特に本発明における無機粉体
含有樹脂組成物においては、ガラスの含有量が高く、焼成後のブラックマトリクスの表面
平滑性が特に向上したことにより,画面に当たって拡散反射する光の量が低下し、低い反
射率が得られたと考えられる。
【0011】
また、本発明の無機粉体含有樹脂組成物には、(A−1)および(A−2)以外の無機
粉体が含まれていてもよい。具体的には、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、酸化ケイ素、酸化セリウムなどの無機酸化物などが挙げられる。その他の無機粉体
の含有量は、好ましくは無機粉体全量の30質量%以下である。
<(B)結着樹脂>
本発明の組成物を構成する結着樹脂(B)は、側鎖に重合性不飽和二重結合を有する重
合体であり、アルカリ可溶性樹脂である。
当該重合体としては、水酸基を有する重合体に、
(B1)(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物
を反応させて得られる重合体が好ましく用いられる。
具体的には、
分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する単量体と、
分子中に少なくとも1個の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体とを
重合して得られる共重合体(以下、「共重合体b」ともいう)に、
2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート
を反応させた共重合体(以下、「特定共重合体」ともいう)が、好ましいものとして挙げ
られる。
【0012】
共重合体aの共重合成分として用いられるカルボキシル基を有する単量体(モノマー(
イ))の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらは単独で若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記のカルボキシル基含有単量体に由来する構成単位を含有する共重合体は、アルカリ
現像液に対して優れた溶解性を有するものとなり、従って、これを樹脂成分として用いた
無機粉体含有樹脂組成物は、アルカリ現像液に対する未溶解物の生成が本質的に少ないも
のとなり、現像処理において基板のパターン形成部以外の個所における地汚れ、膜残りな
どが発生しにくいものである。
【0013】
また、共重合体bの共重合成分として用いられる水酸基を有する単量体(モノマー(ロ
))の具体例としては、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)ア
クリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ
)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;o−ヒドロキシスチ
レン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有
モノマー類
が挙げられる。これらは単独で若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、共重合体bは、上記単量体と共重合可能な共重合性単量体を共重合成分として
用いてもよい。
当該共重合性単量体(モノマー(ハ))の具体例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリ
レート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレー
ト、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)
アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオ
クチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)ア
クリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシ
ル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアル
キル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メ
タ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、
2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート
、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレ
ート類;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキ
シポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレー
トなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート
、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート
、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソ
ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどの脂環式
(メタ)アクリレート類;
ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチ
レン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物など
が挙げられる。これらは、単独で若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる

【0014】
上記アクリル樹脂における各モノマー由来の構成単位の割合は、モノマー(イ)(カル
ボキシル基含有モノマー類)由来の構成単位が、通常、5〜30質量%、好ましくは5〜
20質量%であり、モノマー(ロ)(水酸基含有モノマー類)由来の構成単位が、通常、
30質量%以下、好ましくは5〜20質量%であり、モノマー(ハ)(その他の共重合可
能なモノマー類)由来の構成単位が、通常、95質量%以下、好ましくは40〜90質量
%である。特に、モノマー(イ)としては、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましく用
いられる。また、モノマー(ロ)としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類
が好ましく用いられる。さらに、モノマー(ハ)としては、アルキル(メタ)アクリレー
ト類および脂環式(メタ)アクリレート類が好ましく用いられる。
【0015】
特定共重合体の特に好ましい具体例として、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレートのベースポリマーに2−メタクリロイ
ルオキシエチルエチルイソシアネートまたは2−アクリロイルオキシエチルイソシアネー
トを反応させて得られたものが挙げられる。
【0016】
本発明に用いられる結着樹脂(B)の分子量としては、GPCによるポリスチレン換算
の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」ともいう)で、3,0
00〜300,000、好ましくは10,000〜100,000である。また、樹脂の
分散度(重量平均分子量/数平均分子量)としては、1.0〜5.0、好ましくは1.0
〜3.0である。
特定共重合体の合成に用いられる(B1)イソシアネート基および不飽和二重結合を有
する化合物(以下「特定イソシアネート化合物」ともいう。)の具体例としては、2−メ
タクリロイルオキシエチルエチルイソシアネート,2−アクリロイルオキシエチルイソシ
アネート,1・1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが挙げられ
る。上記共重合体bの共重合成分として用いられる水酸基を有する単量体(モノマー(ロ
))100モル%に対して10モル%〜60モル%,好ましくは20〜55%である。
【0017】
<(C)光重合性モノマー>
本発明の組成物は、光重合性モノマー(C)および光重合開始剤(D)を含有する感光
性組成物である。光重合性モノマーは、露光により重合し、露光部分をアルカリ不溶性ま
たはアルカリ難溶性にする性質を有するものであり、好ましいものとして多官能性(メタ
)アクリレートが挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば、エチレングリコール、プ
ロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ
)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン
、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)
アクリレート類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン
、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3
価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;3価以上の多価アルコールのポ
リアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;1,4−シクロヘキサン
ジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレー
ト類;ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(
メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アク
リレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレート類などを
挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。これらの中では、アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート及びそのポリアルキレングリコール付加物、ペンタエリスト
ールトリアクリレート及びそのポリアルキレングリコール付加物などが特に好ましく用い
られる。また、上記多官能性(メタ)アクリレートの分子量としては、100〜2,00
0であることが好ましい。
【0018】
上記結着樹脂(B)及び光重合性モノマー(C)の総配合量は、無機粉体100質量部
に対して、通常30〜90質量部、好ましくは40〜90質量部の範囲の量で用いられる
。また、光重合性モノマー(C)は、結着樹脂(B)100質量部に対して、20〜15
0質量部、好ましくは50〜100質量部の範囲の量で用いられる。結着樹脂の量が過小
である場合には、無機粉体を確実に結着保持することができないことがあり、一方、過大
である場合には、焼成工程に長い時間を要したり、形成される焼結体が十分な強度や膜厚
を有しないことがある。
【0019】
<(D)光重合開始剤>
本発明で用いる光重合開始剤(D)としては、たとえば、ベンジル、ベンゾイン、ベン
ゾフェノン、カンファーキノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−
オン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルア
ミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルア
セトフェノン、2−メチル−〔4'−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1
−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)
−ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサ
イド、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−
イル]−エタン−1−オンオキシム−O−アセタートなどのカルボニル化合物;アゾイソ
ブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;
2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプタンジスルフィドなどの有機硫黄化合物;ベ
ンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロ
パーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有
機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2'−クロロフェニル)−
1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(ト
リクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2'−ビス(
2−クロロフェニル)4,5,4',5'−テトラフェニル1,2'−ビイミダゾールな
どのイミダゾール二量体などが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組
み合わせて用いてもよい。これらの中では、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエ
タン−1−オン、2−メチル−〔4'−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−
1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル
)−ブタン−1−オン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6
−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイドなどが特に好ましく用いられ
る。
【0020】
上記光重合開始剤(D)は、上記光重合性モノマー(C)100質量部に対して、通常
0.1〜50.0質量部、好ましくは1.0〜30.0質量部の範囲の量で用いられる。
【0021】
<(E)有機シラン化合物>
本発明の組成物は、上記無機粉体(A)、特にガラス粉体の分散性の向上および形成す
る転写フィルムの可塑化の向上を目的として、有機シラン化合物を含有してもよい。この
ような有機シラン化合物としては、下記一般式(1)で表される飽和アルキルアルコキシ
シラン化合物および一般式(2)で表わされるシランカップリング剤が挙げられる。
【0022】
【化1】

【0023】
(式(1)中、pは3〜20、好ましくは4〜16の整数、mは1〜3の整数、nは1
〜3の整数、aは1〜3の整数である。)
【0024】
【化2】

【0025】
(式(2)中、Rはメチレン基または炭素数2〜100のアルキレン基を表し、Yはビ
ニル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基またはアミノ基
を表し、Xは加水分解性基を表し、rは0から3の整数、nは1〜3の整数である。)
【0026】
上記一般式(1)において、pの値が3未満の飽和アルキルアルコキシシランを用いる
場合は、得られる無機粉体含有樹脂層において十分な可撓性が発現されない場合がある。
一方、上記pの値が20を超える飽和アルキルアルコキシシランは分解温度が高いため、
無機粉体含有樹脂層の焼成工程において、有機物質が完全に分解除去されない段階でガラ
ス粉体が溶融してしまい、形成されるブラックマトリクス中に有機物質の一部が残留して
しまう場合がある。
【0027】
上記一般式(1)で表される飽和アルキルアルコキシシランとして用いられるシラン類
の具体例を以下に示す。
飽和アルキルジメチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=1)として、たとえば
、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシ
ルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−イコサンジ
メチルメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジエチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=2)として、たとえば
、n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシ
ルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジ
エチルメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジプロピルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=3)として、たとえ
ば、n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−
ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシランなどが
挙げられる。
【0028】
飽和アルキルジメチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=1)として、たとえば
、n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシ
ルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジ
メチルエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジエチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=2)として、たとえば
、n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシ
ルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジ
エチルエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジプロピルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=3)として、たとえ
ば、n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−
ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシランなどが
挙げられる。
飽和アルキルジメチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=1)として、たとえ
ば、n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n
−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−
イコサンジメチルプロポキシシランなどが挙げられる。
【0029】
飽和アルキルジエチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=2)として、たとえ
ば、n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n
−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−
イコサンジエチルプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルジプロピルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=3)として、たと
えば、n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン
、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシ
ランなどが挙げられる。
飽和アルキルメチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=1)として、たとえば
、n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシ
ルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメ
チルジメトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルエチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=2)として、たとえば
、n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシ
ルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエ
チルジメトキシシランなどが挙げられている。
【0030】
飽和アルキルプロピルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=3)として、たとえ
ば、n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−
ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシランなどが
挙げられる。
飽和アルキルメチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=1)として、たとえば
、n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシ
ルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメ
チルジエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルエチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=2)として、たとえば
、n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシ
ルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエ
チルジエトキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルプロピルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=3)として、たとえ
ば、n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−
ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシランなどが
挙げられる。
飽和アルキルメチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=1)として、たとえ
ば、n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n
−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−
イコサンメチルジプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルエチルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=2)として、たとえ
ば、n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n
−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−
イコサンエチルジプロポキシシランなどが挙げられる。
飽和アルキルプロピルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=3)として、たと
えば、n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン
、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシ
ランなどが挙げられる。
【0031】
飽和アルキルトリメトキシシラン類(a=3,m=1)として、たとえば、n−プロピ
ルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン
、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシランなどが挙げら
れる。
飽和アルキルトリエトキシシラン類(a=3,m=2)として、たとえば、n−プロピ
ルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン
、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシランなどが挙げら
れる。
飽和アルキルトリプロポキシシラン類(a=3,m=3)として、たとえば、n−プロ
ピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキ
シシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシラン
などが挙げられる。
【0032】
上記一般式(2)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロ
ルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキ
シシラン等のビニル基含有シラン化合物;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−
(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエト
キシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミ
ノ基含有シラン化合物;
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(
メタ)アクリロキシ基含有シラン化合物;
3−グリシドキシプロピルトリメエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等の
エポキシ基含有シラン化合物;
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン等のメルカプト基含有シラン化合物等が挙げられる。
【0033】
上記有機シラン化合物は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい
。上記シラン類の中では、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラ
ン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘ
キサデシルジメチルメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエ
トキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラ
ン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−
デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、ビニルトリクロ
ルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキ
シシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが特に好ましい。
【0034】
上記有機シラン化合物は、無機粉体全量100質量部に対して、通常10質量部以下、
好ましくは0.001〜5質量部の量で用いられる。有機シラン化合物の量が過大である
場合には、無機粉体含有樹脂組成物を保存する際に粘度が経時的に上昇する場合がある。
【0035】
<その他の成分>
本発明の組成物は、転写フィルムに良好な柔軟性を与えるために、上記結着樹脂(B)
の補助剤として可塑性剤を含有していてもよい。可塑剤を含有する組成物から形成される
無機粉体含有樹脂層は、十分な柔軟性を有するものとなることから、該樹脂層を有する転
写フィルムは、折り曲げても該樹脂層の表面に微小な亀裂(ひび割れ)が発生することが
なく、また、ロール状に容易に巻き取ることができる。
上記可塑性剤としては、たとえば、ポリプロピレングリコール、前述した(メタ)アク
リレート化合物などの共重合性単量体、後述する溶剤などの他、ジブチルアジペート、ジ
イソブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルア
ゼレート、ジブチルセバケート、ジブチルジグリコールアジペート、プロピレングリコー
ルモノラウレート、プロピレングリコールモノオレートなどが挙げられる。これらの中で
沸点が150℃以上のものが好ましい。このような可塑剤は1種単独で用いても、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の組成物は、任意成分として、分散剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーシ
ョン防止剤、レベリング剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、
連鎖移動剤などの各種添加剤を含有してもよい。なお、上記分散剤としては、ステアリン
酸、オレイン酸等の有機脂肪酸が好ましく用いられる。
【0036】
<溶剤>
本発明の組成物は、通常、溶剤を含有する。このような溶剤としては、無機粉体との親
和性、結着樹脂の溶解性が良好で、無機粉体含有樹脂組成物に適度な粘性を付与すること
ができるとともに、乾燥処理することにより容易に蒸発除去できるものであることが好ま
しい。
また、特に好ましい溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が60〜200℃で
あるケトン類、アルコール類およびエステル類(以下、これらを「特定溶剤」という。)
を挙げることができる。
【0037】
上記特定溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチ
ルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンア
ルコールなどのアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;
酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;
乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エス
テル類などを挙げることができる。これらの中では、メチルブチルケトン、シクロヘキサ
ノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネートなどが好
ましい。これらの特定溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0038】
また、上記特定溶剤以外の使用可能な溶剤としては、たとえば、テレビン油、エチルセ
ロソルブ、メチルセロソルブ、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチル
カルビトール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどを挙げることができる

上記溶剤は組成物の粘度を好適な範囲に維持する観点から、無機粉体(A)100質量
部に対して5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部の範囲で用いられる。また、全
溶剤に対する特定溶剤の割合は、50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
【0039】
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、上記無機粉体(A)、結着樹脂(B)、特定分散
剤(C)、溶剤および必要に応じて用いられるその他の成分を、ロール混練機、ミキサー
、ホモミキサー、サンドミルなどの混練・分散機を用いて混練することにより調製するこ
とができる。
なお、本発明の組成物の粘度は0.1〜10Pa・sであることが好ましい。
【0040】
〔転写フィルム〕
本発明の転写フィルムは、支持フィルム上に、本発明の組成物から得られる無機粉体含
有樹脂層、すなわち、
(A)無機粉体として、(A−1)黒色顔料および(A−2)ガラス粉体、
(B)結着樹脂、
(C)光重合性モノマー、並びに
(D)光重合開始剤
を含有する無機粉体含有樹脂層を有し、必要に応じて該樹脂層の表面上にカバーフィルム
を有していてもよい。
以下、転写フィルムの各構成要素について具体的に説明する。
【0041】
<支持フィルム>
本発明の転写フィルムは、無機粉体含有樹脂層を支持する支持フィルムを有する。この
支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムで
あることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレ
ードコーターなどによって支持フィルムの表面に無機粉体含有樹脂組成物を塗布すること
ができ、得られる転写フィルムをロール状に巻回した状態で保存または供給することがで
きる。
支持フィルムを形成する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアル
コール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロー
スなどを挙げることができる。
支持フィルムの厚みは、たとえば20〜100μmである。また、支持フィルムの表面
には離型処理が施されていることが好ましく、これにより、ガラス基板への転写工程にお
いて、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
【0042】
<カバーフィルム>
本発明の転写フィルムにおいては、無機粉体含有樹脂層の表面を保護するために該樹脂
層の表面上にカバーフィルムが設けられていてもよい。このカバーフィルムは、可撓性を
有する樹脂フィルムであることが好ましく、これにより、得られる転写フィルムをロール
状に巻回した状態で保存または供給することができる。
カバーフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ
エチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどを挙げることができる。
【0043】
<無機粉体含有樹脂層>
無機粉体含有樹脂層は、本発明の組成物を支持フィルム上に塗布し、得られる塗布膜を
乾燥して溶剤の全部または一部を除去することにより形成される。
本発明の組成物を支持フィルム上に塗布する方法としては、膜厚の均一性が高く、かつ
膜厚が大きい(たとえば10μm以上)塗膜を高い効率で形成することができる方法であ
ることが好ましく、具体的には、ロールコーターによる塗布方法、ブレードコーターによ
る塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗布方法などが
挙げられる。無機粉体含有樹脂層の膜厚は、通常、1〜20μmである。
塗膜の乾燥条件としては、たとえば、50〜150℃で0.5〜30分間程度であり、
乾燥後における溶剤の残存割合(無機粉体含有樹脂層中の含有率)は、通常、2質量%以
内である。
【0044】
〔フラットパネルディスプレイの製造方法〕
本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法としては、
(1)基板上に、本発明の転写フィルムの無機粉体含有樹脂層を転写する工程、(2)該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
(3)該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および
(4)該パターンを焼成処理する工程
を含む方法(以下「製造方法I」ともいう。)または、
(1)基板上に、本発明の転写フィルムの無機粉体含有樹脂層を転写する工程、(2)該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
(3)該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、
(4')該パターン上にさらに少なくとも1層の部材パターンを形成することによってブ
ラックストライプ(マトリクス)を含む複数レイヤーからなる積層パターンを形成する工
程、
(5)該積層パターンを一括して焼成処理する工程
を含む方法(以下「製造方法II」ともいう。)によりブラックマトリクスを形成するこ
とを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
【0045】
(1)無機粉体含有樹脂層の転写工程
無機粉体含有樹脂層の転写工程の一例を示せば以下のとおりである。
転写フィルムのカバーフィルムを剥離した後、ガラス基板の表面に、無機粉体含有樹脂
層の表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラ
などにより熱圧着する。これにより、ガラス基板の表面に無機粉体含有樹脂層が転写され
て密着した状態となる。転写条件としては、たとえば、加熱ローラの表面温度が80〜1
40℃、加熱ローラによるローラ圧が0.090〜0.50MPa、加熱ローラの移動速
度が0.1〜10.0m/分である。また、ガラス基板は予熱されていてもよく、予熱温
度としては、たとえば40〜100℃とすることができる。
【0046】
(2)無機粉体含有樹脂層の露光工程
この工程においては、無機粉体含有樹脂層の表面に、露光用マスクを介して、紫外線な
どの放射線を選択的に照射(露光)して、レジストパターンの潜像を形成する。
露光の際に用いられる紫外線照射装置としては、特に限定されず、フォトリソグラフィ
ー法で一般的に使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際
に使用されている露光装置などが挙げられる。
なお、無機粉体含有樹脂層上に被覆されている支持フィルムは剥離しない状態で露光工
程を行い、露光後に剥離することが好ましい。
【0047】
(3)無機粉体含有樹脂層の現像工程
この工程においては、露光された無機粉体含有樹脂層を現像処理することにより、レジ
ストパターン(潜像)を顕在化させる。
現像処理条件としては、無機粉体含有樹脂層の構成成分の種類などに応じて、現像液の
種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(たとえば、浸漬法、揺動法、シャワ
ー法、スプレー法、パドル法)、現像装置などを適宜選択することができる。
この現像工程により、無機粉体含有樹脂パターン(露光用マスクに対応するパターン)
が形成される。
【0048】
(4)無機粉体含有樹脂パターンの焼成工程
この工程においては、無機粉体含有樹脂パターンを焼成処理してブラックマトリクスを
形成する。これにより、樹脂層残留部中の有機物質が焼失してブラックマトリクスが形成
される。
焼成処理の温度としては、有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常4
00〜600℃である。また、焼成時間は、通常10〜90分間である。
(4')積層パターンの形成工程
製造方法IIにおいては、上記(3)の工程により形成されたパターンをポストベーク
処理した後に、該パターン上にさらに少なくとも1層の部材パターンを形成して、積層パ
ターンを形成する。
ポストベーク処理の条件としては、180℃〜210℃、5〜20分間が挙げられ,好
ましくは200℃,10〜15分間である。
また、積層パターンの形成方法の例としては、ペースト塗布法、インクジェット法また
はメッキ法を例として挙げることができる。
(5)積層パターンの焼成工程
製造方法IIにおいては、上記(4')の工程により形成された積層パターンを焼成す
ることにより、複数部材を一括して形成する。
焼成処理の温度としては上記(4)(製造方法I)と同様である。
【実施例】
【0049】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を示す。
<実施例1>
(1)無機粉体含有樹脂組成物の調製:
(A)無機粉体として、(A−1)比表面積11.2m/g、平均粒径0.3μmの
四酸化三コバルト(Co)20部、(A−2)平均粒径0.6μmのBi23−Z
nO−B23−BaO−SiO2系ガラスフリット(不定形、軟化点450℃)90部、
(B)結着樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート=60/20/20(質量%)共重合体(Mw=30000)に2−メタク
リロイルオキシエチルイソシアネートを2−ヒドロキシエチルメタクリレートのモル数に
対して25モル%を付加させた共重合体 18部、(C)光重合性モノマーとしてトリメ
チロールプロパンPO変性トリアクリレート6部、トリプロピレングリコールジアクリレ
ート6部(D)光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モル
フォリノフェニル)−ブタン−1−オン2部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル
エタン−1−オン 1部(E)有機シラン化合物として3−メタクリロキシプロピルメト
キシシラン0.2部、その他溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル125
部をビーズミルで混練りした後、ステンレスメッシュ(500メッシュ、25μm径)で
フィルタリングすることにより、無機粉体含有樹脂組成物(I)を調整した。
【0050】
(2)転写フィルムの作製:
上記(1)で調製した無機粉体含有樹脂組成物(I)を、予め離型処理した膜厚38μ
mのPETフィルムよりなる支持フィルム上にブレードコーターを用いて塗布し、塗膜を
100℃で2分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ6μmの無機粉体含有樹脂層を支持フィル
ム上に形成した、本発明の転写フィルムを作製した。
(3)転写フィルムの転写工程:
上記(2)で作製した転写フィルムを用い、ガラス基板の表面に、無機粉体含有樹脂層
の表面が当接されるよう当該転写フィルムを重ね合わせ加熱ローラで熱圧着した。ここで
、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を80℃、ロール圧を0.25MPa、加熱
ローラの移動速度を0.5m/分とした。これにより、ガラス基板の表面に転写フィルム
が転写されて密着した状態となった。
【0051】
(4)無機粉体含有樹脂層の露光工程・現像工程・ポストベーク工程:
ガラス基板上に形成された無機粉体含有樹脂層に対して、露光用マスク(5cm×5c
m)を介して、支持フィルム上より超高圧水銀灯により、i線(波長365nmの紫外線
)を照射し、無機粉体含有樹脂層にパターンの潜像を形成した。ここに、照射量は200
mJ/cmとした。露光後、支持フィルムを剥離除去し、次いで、液温30℃の0.3
質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液とするシャワー法により現像処理を30秒間行い、
続いて、超純水を用いて水洗を行った。
これにより、紫外線が照射されていない部分の無機粉体含有樹脂を除去し、無機粉体含
有樹脂パターンを形成した。
その後,無機粉体樹脂パターンを形成した基板を200℃のオーブンで15分間ポスト
ベークさせた。
(5)電極積層工程
ポストベークした無機粉体樹脂パターンを形成した基板上に,スクリーン印刷にて電極
層を形成した。
(6)焼成工程:
無機粉体含有樹脂パターンが形成されたガラス基板を520℃の温度雰囲気下で30分
間焼成処理した。これにより、ガラス基板の表面に厚み2.4μmのブラックマトリクス
および電極積層体が形成された。
【0052】
(7)ブラックマトリクスの耐溶剤性評価:
ブラックマトリクスを形成した基板上に電極を印刷法によって形成した後,電極が積層
された基板を100℃・10分間オーブンで乾燥した後,取り出し,光学顕微鏡でブラッ
クマトリクスのパターンを観察し,パターンが崩れていないか,もしくはパターン表面に
しわが発生していないか目視にて確認する。
パターン崩れ もしくは しわ発生 :×
パターン崩れ・しわ発生なし :○
(8)ブラックマトリクスの透過率評価:
得られた5cm×5cm形状のブラックマトリクスを用いて、分光光度計((株)島津
製作所製UV−2450PC、(株)島津製作所製マルチパーパス大形試料室ユニットM
PC−2200付属、以下同じ)を用いて、波長550nmでの透過率を測定したところ
、1.50%であり、優れた遮光性を示した。
(9)ブラックマトリクスの反射率評価:
得られた5cm×5cm形状のブラックマトリクスを用いて、分光光度計を用いて、波
長550nmでの反射率を測定したところ、0.45%であり、優れた低反射性を示した

【0053】
<実施例2>
(B)結着樹脂として2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートのモル数に対して50モル%を付加させた以外は実施例1同様にし
て、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製、ブラックマトリクス形成およ
び評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。

<比較例1>
(B)結着樹脂をベンジルメタクリレート/メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート=60/20/20(質量%)共重合体(Mw=32000)18部とした以
外は、実施例1同様にして、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製、ブラ
ックマトリクス形成および評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。

<比較例2>
(B)結着樹脂として2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートのモル数に対して5モル%を付加させた以外は実施例1同様にして
、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製、ブラックマトリクス形成および
評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。

<比較例3>
(B)結着樹脂として2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートのモル数に対して75モル%を付加させた以外は実施例1同様にし
て、無機粉体含有樹脂組成物の調製、転写フィルムの作製、ブラックマトリクス形成およ
び評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
【0054】
【表1】

表中、
特定イソシアネート化合物:2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
光重合性モノマーA:トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート
光重合性モノマーB:トリプロピレングリコールジアクリレート
光重合開始剤A:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル
)−ブタン−1−オン
光重合開始剤B:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン
を表す。また、数字は重量部を表す。ただし、特定イソシアネート化合物付加量の欄の数
字は樹脂中の水酸基含有モノマーに対して付加した特定イソシアネート化合物の割合(mo
l%)を表す。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ガラス基板
2 ガラス基板
3 隔壁
4 透明電極
5 バス電極
6 アドレス電極
7 蛍光物質
8 誘電体層
9 誘電体層
10 保護層
11 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)無機粉体として(A−1)黒色顔料および(A−2)ガラス粉体、(B)結着樹脂、(C)光重合性モノマー、並びに(D)光重合開始剤を含有し、
かつ
(B)結着樹脂が、側鎖に不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする無機粉体含有樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)結着樹脂が、(イ)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10〜30質量%、(ロ)水酸基含有モノマー由来の構成単位を10〜30質量%、
(ハ)アルキル(メタ)アクリレート;アルコキシ(メタ)アクリレート;フェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;脂環式(メタ)アクリレート類;ビニル基含有ラジカル重合性化合物の群から選ばれる少なくとも1つのモノマー由来の構造単位を40〜80質量%含有する樹脂に対して、
(B1)(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物を、
樹脂中に存在する水酸基の総モル数に対して10mol%〜75mol%の割合で付加して得られることを特徴とする請求項1に記載の無機粉体含有樹脂組成物。
【請求項3】
(A)無機粉体中に(A−2)ガラス粉体が占める割合が70〜95質量%であることを特徴とする、請求項1記載の無機粉体含有樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A−2)ガラス粉体として、軟化点が400〜500℃の無鉛ガラス粉体を含有する、請求項1記載の無機粉体含有樹脂組成物。
【請求項5】
(E)有機シラン化合物をさらに含有する、請求項1〜4いずれかに記載の無機粉体含有樹脂組成物。
【請求項6】
支持フィルム上に、請求項1〜5いずれかに記載の無機粉体含有樹脂組成物から得られる無機粉体含有樹脂層を有することを特徴とする、転写フィルム。
【請求項7】
基板上に、請求項6に記載の転写フィルムの無機粉体含有樹脂層を転写する工程、
該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および
該パターンを焼成処理する工程
を含む方法により
ブラックストライプ(マトリクス)を形成することを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項8】
基板上に、請求項6に記載の転写フィルムの無機粉体含有樹脂層を転写する工程、
該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、
該パターンをポストベーク処理する工程、
該パターン上にさらに部材パターンを形成することによってブラックストライプ(マトリクス)を含む複数レイヤーからなる積層パターンを形成する工程、
該積層パターンを一括して焼成処理する工程
を含むことを特徴とするフラットパネルディスプレイの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−77069(P2008−77069A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212872(P2007−212872)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】