説明

熱分解処理装置

【課題】外部から加わる熱を投入された有機物処理材料に効率よく伝達でき、また、熱分解ガスや残渣の排出部分における目詰まりが生じ難く、連続処理が可能な熱分解処理装置を提供する。
【解決手段】良熱伝導材による内筒12、この内筒12の外周を、加熱空間16を介して覆う外筒13から成る熱分解炉11を有する。この内筒12内には多数のセラミックボール19が設けられ、内筒12の一端側から投入された有機物処理材料を加熱空間16の熱により加熱し熱分解して熱分解ガスと残渣とを生成する。また、内筒12の他端部を覆う生成物排出部材31にはスリット32が複数形成され、これらスリット32を通して内筒12内で生成された熱分解ガス及び熱分解残渣を排出部筐体33内に排出する。さらに、この筐体33内から熱分解ガス排出装置35により熱分解ガスを外部に排出させ、残渣排出装置36により熱分解残渣を外部に排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスや廃プラスチックなどの有機物処理材料を熱分解炉内で熱分解処理する熱分解処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多量に排出されるごみに対し、所定の処理を施して資源として回収する各種の手法が提案されている。その一例として、バイオマス(木材、汚泥、家畜糞尿、生ごみ等)や廃プラスチック等の有機物処理材料を熱分解処理して、熱分解ガスと熱分解残渣とを生成し、熱分解ガスは凝縮することにより熱分解油として回収し、残渣は所定の処理を施すことにより炭化物などとして回収することが考えられている。この中でも、有機物処理材料として廃プラスチックを用いると、高効率で熱分解油を回収できるので、このような廃プラスチックを油化処理する装置に関して多くの提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−167833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような熱分解処理装置では、投入された有機物処理材料を、低酸素状態を保って効率良く加熱でき、しかも、連続処理できることが好ましい。また、熱分解ガスや熱分解残渣を外部に排出する部分では多くの粉塵や油成分が通過するので目詰まりが生じやすい。
【0004】
本発明の目的は、外部から加わる熱を投入された有機物処理材料に効率よく伝達でき、また、熱分解ガスや残渣の排出部分における目詰まりが生じ難く、連続処理が可能な熱分解処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の熱分解処理装置は、良熱伝導材により円筒状に形成されその軸芯を中心に回転駆動される内筒、及びこの内筒の外周を加熱空間を介して覆い、この加熱空間内に加熱ガスが供給される外筒を有する熱分解炉と、前記内筒の一端側に連結されこの内筒内に有機物処理材料を外気と遮断した状態で投入する材料投入装置と、前記内筒内に設けられた多数のセラミックボールと、前記内筒の他端部を覆うように設置され、前記セラミックボールの外径より小さな幅寸法のスリットが複数形成され、これらスリットを通して内筒内で生成された熱分解ガス及び熱分解残渣を排出させる生成物排出部材と、この生成物排出部材を含む前記内筒の他端部を包囲して外気と遮断する排出部筐体と、この排出部筐体に設けられ、前記熱分解ガスを外部に排出させる熱分解ガス排出装置、及び熱分解残渣を外部に排出させる残渣排出装置とを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明では、生成物排出部材に形成された各スリットには、内筒の回転により前記スリット内を移動して、スリット内の付着物を掻き落とす掻き落とし部材を設けている。
【0007】
また、本発明では、内筒内には、その内部空間を軸線方向に対し複数区間に区分するリング状の区分材を設け、各区間内のセラミックボールの流出を防止するとよい。
【0008】
また、本発明では、熱分解炉の内筒と外筒との間に形成された加熱空間を、それらの軸線方向に対して複数区間に区分し、それらの加熱温度を、材料が投入される一端側に近い区間ほど低く、生成物が排出される他端側に近い区間ほど高く設定してもよい。
【0009】
また、本発明では、区分された各加熱空間の温度を、熱分解炉に投入される有機物処理材料の温度と、熱分解炉から排出された残渣の温度とから、予め設定した関係で決定し制御する加熱温度制御手段を有するとよい。
【0010】
また、本発明では、熱分解ガス排出装置は、一端が排出部筐体を貫通してその内部に連通する管体を有し、この管体内に、管体内面への付着物を掻き落とす掻き落とし機構を設けている。
【0011】
また、本発明では、掻き落とし機構は、管体の軸芯を中心として螺旋状に形成された螺旋リング状の掻き落とし体と、この掻き落とし体を、前記軸芯を中心として回転させる回転駆動機構と、前記螺旋リング状掻き落とし体のリング内周と接する掻き取り棒とで構成するとよい。
【0012】
また、本発明では、残渣排出装置に入口側が連結した残渣冷却装置と、この残渣冷却装置の排出側に一端が連結された残渣回収管に2個のバルブを直列に設け、これら2個のバルブを交互に開閉させて、外気の侵入を防止しながら残渣を排出させる残渣回収装置と をさらに備えた構成でもよい。
【0013】
さらに、本発明では、残渣回収装置は、残渣回収管に設けられた2つのバルブのうち、上流側となる一方のバルブの上流側管路に設けられた温度センサーと、この温度センサーの検出温度がある規定値以上になると、前記2つのバルブのうち下流側のバルブを閉じ、上流側のバルブを開き、所定時間後上流側バルブを閉じ、その後下流側バルブを開く一連の動作を実行させる制御機能を有する制御手段とを有する構成でもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、2重円筒構成の熱分解炉を用い、その中に多数のセラミックボールを設けたことにより、投入された有機物処理材料に対する熱伝達が効率的に行われる。また、生成された熱分解ガスや残渣の排出部分には付着物の除去機能を持たせたことにより目詰まりの発生を防止できる。さらに、連続処理により処理効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明による熱分解処理装置の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1は熱分解処理装置の主体となる熱分解炉11の構成を示している。この熱分解炉11は、内筒12及び外筒13からなる2重円筒構造となっている。内筒12は外部に設けられた駆動機構14により、その軸芯を中心として回転駆動される。この内筒12内には、その一端(図示左端)に設けられた、詳細を後述する材料投入装置15により有機物処理材料(以下、廃プラスチックとして説明する)が低酸素状態を保って投入される。
【0017】
ここで、内筒12は熱伝導性に優れた、例えば、ステンレスなどにより造られ、また、外筒13は耐火性及び断熱性に優れたセラミック材などによって造られる。これら内筒12と外筒13との間は加熱用ジャケット16として用いられる。この加熱用ジャケット16内には、図示しない大形バーナによる加熱装置により、高温の加熱ガスが供給される。すなわち、外筒13には熱風入口17及び熱風出口18が形成され、これらは上述した大形バーナと連結して熱風循環路を構成し、加熱ジャケット16内に高温ガスを供給している。
【0018】
ここで、加熱ジャケット16内は、図2で示すように、複数の熱風入口17及び熱風出口18に対応して、複数区間16A,16B,16Cに区分されており、各区分に供給される熱風風量を変えることによりそれらの加熱温度に温度勾配を持たせる。すなわち、熱分解炉11の内筒12と外筒13との間に形成された加熱空間(加熱用ジャケット)16を、それらの軸線方向に対して複数区間16A,16B,16Cに区分し、それらの加熱温度を、材料が投入される図示左端側に近い区間ほど低く、生成物が排出される図示右端側に近い区間ほど高く設定する。
【0019】
内筒12内には、多数のセラミックボール19が設けられている。このセラミックボール19は、投入された廃プラスチックと混合接触し、加熱ジャケット16から内筒12に加えられた熱を廃プラスチックに効率よく伝達して、廃プラスチックの熱分解を促進し、効率化をはかっている。また、この内筒12内は環状の仕切り部材20により、軸方向に沿って複数区画に区分されており、セラミックボール19が軸方向に流出しないように構成している。
【0020】
したがって、熱分解炉11の内筒12に連続投入される廃プラスチックは、内筒12の回転によりセラミックボール19と混合接触し、図示右方に移動しながら加熱ジャケットからの熱により加熱されて熱分解され、熱分解ガスと残渣とを生成する。
【0021】
前述した材料投入装置15は、図1で示すように、外皮部材となる筒体25を有し、この筒体25内にスクリューフィーダ26を設けている。このスクリューフィーダ26は、2本のスクリューを互いに噛み合うように平行配置したもので、外部に設けられた駆動装置27により回転駆動される。この材料投入装置15の一端(図示右端)側は熱分解炉11を貫通して内筒12内部に突出している。また、この材料投入装置15は、その他端(図示左端)側に材料入口28が設けられており、図4で示すように、材料ホッパー29と連結し、材料ホッパー29から廃プラスチックの供給を受け、これを熱分解炉11の内筒12内に投入する。そして、これ以外の熱分解炉11外の部分は、外気に対して気密に構成されている。
【0022】
ここで、投入される廃プラスチックとしては、造粒処理されたものが好ましい。すなわち、造粒処理により廃プラスチックの嵩密度を高めることにより熱分解処理効率を高めることができる。
【0023】
前記内筒12の図示右端部には、その端面を覆うように生成物排出部材31が設置されている。この生成物排出部材31は板状を成し、その板面には、図3及び図5で示すように、複数のスリット32が複数形成されている。このスリット32の幅寸法は前記セラミックボール19の外径より小さく設定し、このスリット32からセラミックボール19が排出されないように構成している。これらスリット32は、内筒12内で生成された熱分解ガス及び熱分解残渣の排出に用いられる。なお、図5中、31aは残渣掻き集め部材で、内筒12の回転に伴い、内筒12内の残渣を、スリット32に向けて掻き集めるものである。
【0024】
熱分解炉11の図示右端部には、生成物排出部材31で覆われた内筒12の他端部を包囲して外気と遮断する排出部筐体33が設けられる。この排出部筐体33の上部には、熱分解ガスを外部に排出させる熱分解ガス排出装置35が設けられ、また、下部には、熱分解残渣を外部に排出させる残渣排出装置36が設けられている。
【0025】
熱分解ガス排出装置35は、内筒12内で発生し、スリット32を通って排出部筐体33内に入った熱分解ガスを外部に導出して、図示しないガスエジェクタに供給する。そして、このガスエジェクタにより熱分解ガスは凝縮され、回収油となって図示しない貯留タンクに送られる。また、排出部筐体33の下部に設けられた残渣排出装置36は、内筒12内で発生し、スリット32を通って排出部筐体33内に入った粉末状の残渣を外部に排出させる。
【0026】
このように構成された熱分解炉11は、図4で示すように、架台38上に設置されている。この架台38の下部には、残渣冷却装置39及び冷却された残渣を回収する残渣回収装置40が設けられる。残渣冷却装置39は、図示左斜め上方に向って配置されたスクリュウコンベア状のもので、その図示右下端が残渣取入れ部となる。この残渣取入れ部は、上部に位置する残渣排出装置36と排出管41により連結しており、その中間部に設けたバルブ42を介して、残渣排出装置36から排出された高温の残渣を取り入れる。残渣冷却装置39はこの高温残渣を、図示斜め左上方に搬送する過程で冷却する。残渣回収装置40は、残渣冷却装置39の搬送終端部である図示左上端に連結した残渣回収管43を有する。この残渣回収管43には、直列に配置された2つのバルブ44,45が設けられており、これら2つのバルブ44,45を交互に開閉させることにより、外気の侵入を防止しながら冷却された残渣を回収容器46に回収させることができる。
【0027】
ここで、残渣回収装置40は、残渣回収管43に設けられた2つのバルブ44,45のうち、上流側となる一方のバルブ44の上流側管路に温度センサー47を設けている。この温度センサー47の測定値は制御手段48に入力される。この制御手段48は、以下に説明する制御機能を有する。すなわち、温度センサー47の検出温度がある規定値以上になると、2つのバルブ44,45のうち下流側のバルブ45を閉じ、上流側のバルブ44を開き、所定時間後、上流側バルブ44を閉じ、その後、下流側バルブ45を開く。このように、2つのバルブ44,45を交互に開閉させることにより、上流側への外気の侵入を防止しながら冷却された残渣を回収容器46に回収させる。
【0028】
前記生成物排出部材31に複数形成されたスリット32には、図5で示すように、掻き落とし部材48を設ける。この掻き落とし部材48としては、例えば、図示のように鎖状のものを用いる。そして、この掻き落とし部材48は、内筒12の回転に伴い、自重によってスリット32内を移動し、スリット32内の付着物を掻き落とす。このスリット32は、前述のように内筒12内で生成された熱分解ガスや粉末状の残渣が通るものであり、スリット32内には多くの塵埃成分などが付着する。しかし、上述のようにスリット32内に書き落とし部材48を設け、これを内筒12の回転に伴い自重によってスリット32内を移動させることにより、スリット32内の付着物は掻き落とされ、目詰まりを確実に防止できる。
【0029】
なお掻き落とし部材48として鎖状のものを例示したが、これに限定されるものではなく、例えばワイヤ状のものでもよい。ただし、ある程度の自重を要するため、重量が不足する場合はワイヤに錘を取り付けてもよい。この他、掻き落とし部材48としては、図6で示すように、両端に係合頭部を有する棒状のものを用いてもよい。この場合、係合頭部は運転中の脱落を防止するため、溶接などで棒体に固着しておく。
【0030】
また、前記熱分解ガス排出装置35は、図3で示すように、一端が排出部筐体33を貫通してその内部に連通する管体50を有する。この管体50内には、管体内面への付着物を掻き落とす掻き落とし機構51を設けている。掻き落とし機構51は、管体50の軸芯を中心として、図7で示すように、螺旋状に形成された螺旋リング状の掻き落とし体52を有する。この掻き落とし体52は、外部に設けられた回転駆動機構53により、前記軸芯を中心として回転駆動される。また、螺旋リング状掻き落とし体52に対しては、そのリング内周に接する掻き取り棒54を設けている。
【0031】
この熱分解ガス排出装置35は熱分解ガスを排出させるものであるが、熱分解ガス中には多くの塵埃成分が含まれているので、この塵埃成分が管体50の内面に付着する。そこで螺旋リング状の掻き落とし体52を回転させることにより、管体50の内面の付着物が掻き落とされる。また、掻き落とし体52自体にも付着物が付着するので、その螺旋リング内周に接する掻き取り棒54によって付着物を掻き落とす。このように掻き落とされた付着物は、掻き落とし体52が螺旋状であることから、その回転により筐体33の内側に送り込まれ、筐体33下部の残渣排出装置36から残渣と共に排出される。
【0032】
上記構成において、図示しない造粒工程で造粒処理された廃プラスチックは、材料ホッパー29から材料投入装置15に供給され、材料投入装置15によって外気と遮断された状態で、低酸素状態を保って熱分解炉11の内筒12内に投入される。
【0033】
熱分解炉11内に投入された廃プラスチックは、内筒12の回転により、内筒12内のセラミックボール19と混合接触する。このため、加熱ジャケット16からの熱が効率よく伝達され、図示右方へ移動しながら熱分解され熱分解ガスと残渣を生成する。
【0034】
このとき、加熱ジャケット16の各区間16A,16B,16Cは、それらの加熱温度を材料が投入される側の区間16Aほど低く、生成物が排出される側の区間16Cほど高くなるように温度勾配をつけたので、廃プラスチックの熱分解を良好に行うことができる。この場合、熱分解炉11に投入される廃プラスチックの温度と、熱分解炉11から排出された残渣の温度とを測定し、これらの値から、各区間16A,16B,16Cの加熱温度を、予め設定した関係で決定し、制御するようにしてもよい。
【0035】
このようにして内筒12内で生成された熱分解ガス及び残渣は、生成物排出部材31に形成されたスリット32を通って筐体33内に入る。そして、熱分解ガスは、ガス排出装置35により外部に排出され、図示しないガスエジェクタにより凝縮され、回収油となって図示しないタンクに貯留される。また、粉末状の残渣は残渣排出装置36により外部に排出され、冷却後回収される。
【0036】
このとき、スリット32では、掻き落とし部材48により付着物が掻き落とされるので目詰まりを防止できる。また、熱分解ガス排出装置35においても掻き落とし機構51が動作することにより付着物が掻き落とされるので目詰まりを防止できる。これらの結果、高効率の熱分解処理を連続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による熱分解処理装置の一実施の形態を示す一部は段斜視図である。
【図2】同上一実施の形態における熱分解炉の断面図である。
【図3】図2の右側断面図で、熱分解ガス排出装置及び残渣排出装置部分を示している。
【図4】同上一実施の形態の外観正面図である。
【図5】同上一実施の形態における生成物排出部材の正面図で、スリットと掻き落とし部材との関係を示している。
【図6】同上一実施の形態における生成物排出部材のスリットに設けられる掻き落とし部材の他の例を示す部分断面図である。
【図7】同上一実施の形態における螺旋状掻き落とし体と掻き落とし棒との関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
11 熱分解炉
12 内筒
13 外筒
15 材料供給装置
16 加熱空間(加熱ジャケット)
19 セラミックボール
20 環状の仕切り部材
31 生成物排出部材
32 スリット
33 排出部筐体
35 熱分解ガス排出装置
36 残渣排出装置
39 残渣冷却装置
40 残渣回収装置
43 残渣回収管
44,45 バルブ
47 温度センサー
48 制御手段
50 管体
51 掻き落とし機構
52 螺旋状掻き落とし体
53 掻き落とし棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
良熱伝導材により円筒状に形成されその軸芯を中心に回転駆動される内筒、及びこの内筒の外周を加熱空間を介して覆い、この加熱空間内に加熱ガスが供給される外筒を有する熱分解炉と、
前記内筒の一端側に連結されこの内筒内に有機物処理材料を外気と遮断した状態で投入する材料投入装置と、
前記内筒内に設けられた多数のセラミックボールと、
前記内筒の他端部を覆うように設置され、前記セラミックボールの外径より小さな幅寸法のスリットが複数形成され、これらスリットを通して内筒内で生成された熱分解ガス及び熱分解残渣を排出させる生成物排出部材と、
この生成物排出部材を含む前記内筒の他端部を包囲して外気と遮断する排出部筐体と、
この排出部筐体に設けられ、前記熱分解ガスを外部に排出させる熱分解ガス排出装置、及び熱分解残渣を外部に排出させる残渣排出装置と、
を備えたことを特徴とする熱分解処理装置。
【請求項2】
生成物排出部材に形成された各スリットには、内筒の回転により前記スリット内を移動して、スリット内の付着物を掻き落とす掻き落とし部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の熱分解処理装置。
【請求項3】
内筒内には、その内部空間を軸線方向に対し複数区間に区分するリング状の区分材を設け、各区間内のセラミックボールの流出を防止するように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱分解処理装置。
【請求項4】
熱分解炉の内筒と外筒との間に形成された加熱空間を、それらの軸線方向に対して複数区間に区分し、それらの加熱温度を、材料が投入される一端側に近い区間ほど低く、生成物が排出される他端側に近い区間ほど高く設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の熱分解処理装置。
【請求項5】
区分された各加熱空間の温度を、熱分解炉に投入される有機物処理材料の温度と、熱分解炉から排出された残渣の温度とから、予め設定した関係で決定し制御する加熱温度制御手段を有することを特徴とする請求項4に記載の熱分解処理装置
【請求項6】
熱分解ガス排出装置は、一端が排出部筐体を貫通してその内部に連通する管体を有し、この管体内に、管体内面への付着物を掻き落とす掻き落とし機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の熱分解処理装置。
【請求項7】
掻き落とし機構は、管体の軸芯を中心として螺旋状に形成された螺旋リング状の掻き落とし体と、この掻き落とし体を、前記軸芯を中心として回転させる回転駆動機構と、前記螺旋リング状掻き落とし体のリング内周と接する掻き取り棒とで構成されることを特徴とする請求項6に記載の熱分解処理装置。
【請求項8】
残渣排出装置に入口側が連結した残渣冷却装置と、
この残渣冷却装置の排出側に一端が連結された残渣回収管に2個のバルブを直列に設け、これら2個のバルブを交互に開閉させて、外気の侵入を防止しながら残渣を排出させる残渣回収装置と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の熱分解処理装置。
【請求項9】
残渣回収装置は、
残渣回収管に設けられた2つのバルブのうち、上流側となる一方のバルブの上流側管路に設けられた温度センサーと、
この温度センサーの検出温度がある規定値以上になると、前記2つのバルブのうち下流側のバルブを閉じ、上流側のバルブを開き、所定時間後上流側バルブを閉じ、その後下流側バルブを開く一連の動作を実行させる制御機能を有する制御手段と
を備えていることを特徴とする請求項8に記載の熱分解処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−332220(P2007−332220A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163887(P2006−163887)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】