説明

熱圧着装置

【課題】異方導電フィルムが巻かれたリールの付け間違いを十分に防止できる熱圧着装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る熱圧着装置100は、対向配置された一対の回路部材B1,B2の間に設けた異方導電フィルム1を介し、回路部材B1,B2がそれぞれ有する回路電極E1,E2同士を電気的に接続するためのものであって、巻芯5a及びこれに巻き重ねされた異方導電フィルム1を有するタグ付きリール5が装着されるリール保持手段(回転軸10b)と、リール保持手段にリールを装着する際、タグ2に記録されたリール5の固有情報を読み取る読取り手段(リーダ12)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向配置された一対の回路部材の間に設けた異方導電フィルムを介し、当該一対の回路部材がそれぞれ有する回路電極同士を電気的に接続して回路接続体を製造する熱圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などのフラットパネルディスプレイは、様々な用途に適用されている。LCDは、例えば、ノートパソコン、モニタ及びテレビ向けの大型パネル、並びに、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)及びゲーム等のモバイル機器向けの中・小型パネルに使用されている。
【0003】
LCDは、回路基板上にICチップ等の電子部品を実装する工程及び/又は回路基板同士を電気的に接続する工程を経て製造される。多数の電極を有する被接続部材同士を電気的に接続するための接続材料として、異方導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)が使用される。異方導電フィルムは、被接続部材同士を接続する際、相対する電極同士の導通状態を保ち、隣接する電極同士の絶縁を保つように電気的接続と機械的固着を行うものである。異方導電フィルムは、熱硬化性樹脂を含有する接着剤成分と、必要により配合される導電性粒子とを含有する接着剤組成物からなり、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)などの基材上にフィルム状に形成される。
【0004】
異方導電フィルムを用いたドライバICの実装法として、以下のような方法が知られている。例えば、ドライバICをTCP(Tape Carrier Package)化又はCOF(Chip on Film)化した後、該部材をLCDパネルやプリント基板(PWB:Printed Wiring Board)に異方導電フィルムを介して電気的に接続する方法である。また、中・小型LCDを製造する場合にあっては、異方導電フィルムによってLCDパネルにベアドライバICを直接実装するCOG(Chip on Glass)方式が知られている。下記特許文献1には、絶縁性樹脂中に硬化剤と導電性粒子を分散してなる異方導電膜が記載されている。下記特許文献2には、異方導電フィルムを介して被接続部材同士を接続するための熱圧着装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−260450号公報
【特許文献2】特開平11−103153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、使用する異方導電フィルムは、実装法又は被接続部材の種類によって異なるため、数多くの種類の異方導電フィルムが存在する。LCDパネルの製造においては、OLB(Outer Lead Bonding)用、PWB用又はCOG用などの異方導電フィルムを適宜使用する。また、接続すべき回路電極の高さに適した厚さを有する異方導電フィルムを選択するなど、被接続部材に見合う異方導電フィルムを選択して使用する。異方導電フィルムは、厚さの他に、幅、長さ及び接着剤組成物の組成によって分類される。
【0006】
このように多種の異方導電フィルムが存在するため、その管理には一般にバーコードなどのラベルが使用される。例えば、異方導電フィルムが巻かれたリールの側板にバーコードを付し、これに異方導電フィルムの固有情報を記録しておくことによって管理がなされている。
【0007】
しかし、リールに付されたバーコードに作業者がリーダをかざし、異方導電フィルムの固有情報を確認するのでは、本来使用すべき異方導電フィルムと異なる種類のものを熱圧着装置に装着してしまうというミスが生じるおそれがある。このようなミスが看過され、そのまま実装作業を行なった場合、接続信頼性が不十分な回路接続体が製造されるという問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、異方導電フィルムが巻かれたリールの付け間違いを十分に防止できる熱圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱圧着装置は、対向配置された一対の回路部材の間に設けた異方導電フィルムを介し、一対の回路部材がそれぞれ有する回路電極同士を電気的に接続するためのものであって、巻芯及びこれに巻き重ねられた異方導電フィルムを有するタグ付きリールが装着されるリール保持手段と、リール保持手段にリールを装着する際、タグに記録された当該リールの固有情報を読み取る読取り手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る熱圧着装置のリール保持手段に対し、リールの固有情報、すなわち、巻かれている異方導電フィルムの用途、厚さ、幅、組成又は固有番号等が記録されたタグが付されたリールを装着する。この際、熱圧着装置が備える読取り手段によって上記固有情報が自動的に読み取られる。この固有情報に基づいて異方導電フィルムの種類の識別や履歴管理が行われる。このように、本発明の熱圧着装置によれば、装着したタグ付きリールに巻かれた異方導電フィルムが今後の実装作業に適したものであるか否かを作業直前に確認できる。このため、仮に本来使用すべきでないリールを装着した場合であっても、作業を開始する前に適したリールに付け替えることができる。
【0011】
本発明に係る熱圧着装置は、リール保持手段に装着すべきリールの固有情報が記録されるデータ格納部と、データ格納部に予め記録された固有情報と読取り手段によって読み取られた固有情報とを照合し、これらの固有情報が一致するか否かを判定する判定部と、判定部によって上記固有情報が一致すると判定された場合には当該熱圧着装置を作動可能とし、一致しないと判定された場合には当該熱圧着装置を作動不能とする制御部とを更に備えることが好ましい。
【0012】
上記構成の熱圧着装置によれば、今後の実装作業で使用すべき異方導電フィルムに関する固有情報をデータ格納部に記録することができる。データ格納部に予め記録された固有情報と読取り手段によって読み取られた固有情報とを判定部が照合し、リールの付け間違いの有無を判定することができる。仮にリールの付け間違いが生じていると判定された場合には、制御部によって熱圧着装置が作動不能となる。これにより、本来使用すべきでない異方導電フィルムがそのまま実装作業に使用されてしまうことを一層確実に防止できる。
【0013】
本発明に係る熱圧着装置は、判定部による判定結果を作業者に視覚的又は音声的に知らせる伝達手段を更に備えることが好ましい。判定結果が伝達手段によって視覚的又は音声的に提示されることにより、リールの付け間違いの有無を作業者が容易に認識できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱圧着装置に装着したタグ付きリールに巻かれた異方導電フィルムが今後の実装作業に適したものであるか否かを作業直前に確認できるため、仮に本来使用すべきでないリールを装着した場合であっても、作業を開始する前に適したリールに付け替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
<第1実施形態>
図1を参照しながら、第1実施形態に係る熱圧着装置について説明する。同図に示す熱圧着装置100は、対向配置された一対の被接続部材S1,S2がそれぞれ有する回路電極E1,E2を異方導電フィルム1によって電気的に接続して回路接続体を製造するためのものである。熱圧着装置100は、フィルム巻出し機構10A、フィルム巻取り機構20、熱圧着機構30及びアラーム機構(伝達手段)40を備える。
【0017】
フィルム巻出し機構10Aは、本体部10aとこれに対して回転自在に設けられた回転軸(リール保持手段)10bとを備える。回転軸10bには、図1に示すように、側板にタグ2が付されたリール5が装着される。フィルム巻出し機構10Aの本体部10aは、リール5の側板5bと対向する位置に設けられたリーダ(読取り手段)12を備える。また、フィルム巻出し機構10Aは、フィルム巻出し機構10Aに装着すべきリールの固有情報が予め記録されるデータ格納部13と、熱圧着装置100の各機構を統括して制御する演算処理部14とを有する。
【0018】
図2は、タグ付きリール5の一例を示す斜視図である。リール5は、異方導電フィルム1が巻き重ねられた筒状の巻芯5aと、巻芯5aの軸方向の両端面にそれぞれ設けられ、中心部に貫通孔を有する円形の側板5bと、一方の側板5bに付されたタグ2とを備える。なお、異方導電フィルム1は、テープ形状の基材1aとその一方面上に設けられた接着剤層1bとを有する。接着剤層1bは、接着剤成分のみからなるものであってもよいが、接着剤成分中に分散した導電性粒子を含有することが好ましい。接着剤成分としては、熱や光によって硬化性を示す材料が広く適用できる。接続後の耐熱性や耐湿性に優れていることから、架橋性材料を接着剤成分として使用することが好ましい。なかでもエポキシ樹脂を主成分として含有するエポキシ系接着剤は、比較的短時間で熱硬化するため接続作業性がよく、分子構造上接着性に優れている等の特徴から好ましい。導電性粒子としては、例えばAu、Ag、Pt、Ni、Cu、W、Sb、Sn、はんだ等の金属又はカーボンの粒子を使用できる。あるいは、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核を上記の金属やカーボンで被覆した被覆粒子を使用してもよい。
【0019】
タグ2は、リール5の固有情報を記録するためのものである。タグ2としては、例えば、非接触ICタグであるラベル型のRFID(Radio Frequency Identification)タグ又はミューチップ(登録商標)などを使用できる。タグ2に記録される固有情報としては、異方導電フィルム1の厚さ、幅、長さ、品種、生産日時などが挙げられる。最も簡易的には、固有情報として異方導電フィルム1の固有番号をタグ2に記録してもよい。なお、本実施形態においては、図2に示すように、側板5bの表面にタグ2が付されたリール5を例示したが、リーダ12が読み取ることが可能な位置であればタグ2が他の位置に付されたリールを使用してもよい。
【0020】
リーダ12は、タグ2に記録されているリール5の固有情報を読み取るためのものである。リーダ12には、上記固有情報を読み取るためのリーダアンテナなどが組み込まれている。
【0021】
データ格納部13は、実装作業で使用するリールに関する固有情報、すなわち、回転軸10bに次に装着すべきリールの固有情報を予め記録しておくためのものである。ここでいう固有情報とは、被接続部材S1,S2の熱圧着に適した異方導電フィルムの厚さ、幅、長さ、品種又は固有番号などである。データ格納部13として、例えば、不揮発性メモリやRAMなどの半導体記憶素子を使用できる。
【0022】
演算処理部14は、熱圧着装置100の各機構を統括して制御するためのものであり、いわゆるマイクロコンピュータを使用できる。図1に示すように、演算処理部14は、フィルム巻取り機構20、熱圧着機構30及びアラーム機構40とケーブル45を介して接続されている。なお、ケーブル45の代わりに、各機構を無線操作によって連動させてもよい。
【0023】
演算処理部14は、判定部14a及び制御部14bを有する。判定部14aは、データ格納部13に記録された次に使用すべきリールの固有情報と、リーダ12によって読み取られたリール5の固有情報とを照合し、これらの固有情報が一致するか否かを判定するためのものである。判定部14aによって上記固有情報が一致すると判定された場合、制御部14bは熱圧着装置100を作動可能とし、一致しないと判定された場合、熱圧着装置100を作動不能とする。なお、制御部14bは、熱圧着機構30における加熱温度や圧着時間の制御、加熱加圧ヘッド31の昇降速度の調節、被接続部材S1,S2の位置の検出、リール5から異方導電フィルム1を繰り出して巻取り側のリール8へ搬送する動作、カッター34の制御などを制御する機能も有する。
【0024】
フィルム巻取り機構20は、本体部20aとこれに対して回転自在に設けられた回転軸20bとを備える。回転軸20bには、図1に示すように、異方導電フィルム1の基材1aを巻き取るためのリール8が装着される。リール8は、巻芯8aとその両端にそれぞれ設けられた2枚の側板8bとからなる。巻芯8aには異方導電フィルム1の始端部が固定され、巻芯8aが回転することによって、巻出し側のリール5から異方導電フィルム1が引き出されるようになっている。
【0025】
熱圧着機構30は、加熱加圧ヘッド31、加熱加圧ヘッド31を上下させて加圧を行うエアシリンダ32、被接続部材S1の各辺を加熱加圧ヘッド31に対応する位置に変位させるワークテーブル33及びカッター34等を備える。ワークテーブル33は、加熱加圧ヘッド31に対して移動可能に設けられており、被接続部材S1を載置するためのものである。加熱加圧ヘッド31は、図1に示すように、被接続部材S2を保持できるようになっている。熱圧着機構30において、異方導電フィルム1はローラ(図示せず)等によって保持され、被接続部材S1,S2の間の所定の位置に配置される。
【0026】
なお、被接続部材S1は、回路部材B1と、回路部材B1の主面上に形成された回路電極E1とを備える。被接続部材S1の具体例としては、金属配線を有するフレキシブルテープ、フレキシブルプリント配線板、インジウム錫酸化物(ITO)が蒸着されたガラス基板などの配線基板が挙げられる。被接続部材S2は、回路部材B2と、回路部材B2の主面上に形成された回路電極E2とを備える。被接続部材S2の具体例としては、半導体チップ(ICチップ)、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品などが挙げられる。これらの部材は、多数の回路電極を備えているものが一般的である。
【0027】
アラーム機構40は、判定部14aが出力する結果を作業者に知らせるためのものである。判定結果を提示する方法として、白色、黄色、緑色、青色などの発光又は点滅による視覚的方法、ブザー音などの音声的方法、振動などの機械的方法、CRT(Cathode Ray Tube)などによって表示する方法が挙げられる。
【0028】
熱圧着装置100の動作について説明する。まず、フィルム巻出し機構10Aのデータ格納部13に、被接続部材S1,S2の熱圧着に適した異方導電フィルムに関する固有情報を予め記録する。その後、タグ2が付されたリール5を回転軸10bに装着する。すると、フィルム巻出し機構10Aのリーダ12がタグ2に記録されたリール5の固有情報を電磁的に読み取る。次いで、リーダ12から判定部14aに問い合わせ信号が送られ、判定部14aがデータ格納部13に記録された固有情報と、タグ2に記録されたリール5の固有情報とを照合する。判定部14aにおいては、熱圧着装置100で使用すべき異方導電フィルム1の必要項目についての照合が行なわれる。
【0029】
リール5に巻かれた異方導電フィルム1の固有情報の必要項目がすべて一致する場合、制御部14bが熱圧着装置100の作動を許可する信号を各機構へ送る。これにより、熱圧着装置100は作動可能となり、熱圧着作業を開始することができる。一方、固有情報の必要項目が一つでも一致しない場合、熱圧着装置100の作動を許可しない信号が制御部14bから各機構へと送られる。これにより、熱圧着装置100は作動不可能となる。
【0030】
すなわち、フィルム巻出し機構10Aに装着したリールが適正なものであれば、被接続部材S1,S2の熱圧着作業がそのまま進行する。これに対し、フィルム巻出し機構10Aに装着したリールが不適正なものであれば、作業者が別のリールに付け替える。なお、演算処理部14の制御部14bは、判定部14aによる判定結果に対応する信号をアラーム機構40へ送信する。これにより、アラーム機構40は、視覚的方法、ブザー音などの音声的方法、振動などの機械的方法により照合結果を提示する。アラーム機構40によって判定結果が視覚的又は音声的に提示されることにより、作業者はリールの付け間違いの有無を容易且つ早期に認識することができる。
【0031】
上記の通り、熱圧着装置100によれば、リール5をフィルム巻出し機構10Aの回転軸10bに装着する際、リーダ12によってタグ2に記録された情報を読み取ることができる。このことにより、リールの種類の識別や履歴管理を自動的に行うことができ、リールの付け間違いを十分に防止できる。また、仮にリールの付け間違いが生じた場合であっても、制御部14bによって熱圧着装置100が作動しないように制御されるため、被接続部材S1,S2の熱圧着に見合わない異方導電フィルムがそのまま使用されてしまうことを十分に防止することができる。
【0032】
<第2実施形態>
図3を参照しながら、第2実施形態に係る熱圧着装置について説明する。本実施形態に係る熱圧着装置200は、以下の点において上記第1実施形態に係る熱圧着装置100と相違する。すなわち、熱圧着装置100はフィルム巻出し機構10Aがデータ格納部13を備えたものであるのに対し、熱圧着装置200はデータ格納部がサーバ50上に設けられている点である。
【0033】
図3に示すように、熱圧着装置200は、フィルム巻出し機構10B、フィルム巻取り機構20、熱圧着機構30、サーバ50及び停止制御装置60を備える。サーバ50は、サーバ用データ格納部53及びサーバ用演算処理部54を有する。停止制御装置60は、サーバ50を介して熱圧着装置200を制御するためのものである。
【0034】
熱圧着装置200の動作について説明する。まず、サーバ用データ格納部53に、被接続部材S1,S2の熱圧着に適した異方導電フィルムに関する固有情報を予め記録する。その後、タグ2が付されたリール5を回転軸10bに装着する。すると、フィルム巻出し機構10Bのリーダ12がタグ2に記録されたリール5の固有情報を電磁的に読み取る。次いで、フィルム巻出し機構10Bの演算処理部15を介してリーダ12からの問い合わせ信号がサーバ用演算処理部54に送られる。サーバ用演算処理部54は、サーバ用データ格納部53に予め記録された固有情報と、タグ2に記録されたリール5の固有情報とを照合する。
【0035】
サーバ用演算処理部54は、固有情報が一致するか否かを判定する機能を有し、異方導電フィルム1の固有情報の必要項目がすべて一致する場合、熱圧着装置200の作動を許可する信号を演算処理部15へ送る。これにより、熱圧着装置200は作動可能となり、熱圧着作業を開始することができる。一方、固有情報の必要項目が一つでも一致しない場合、熱圧着装置200の作動を許可しない信号がサーバ用演算処理部54から演算処理部15へと送られる。これにより、熱圧着装置200は作動不可能となる。
【0036】
すなわち、フィルム巻出し機構10Bに装着したリールが適正なものであれば、被接続部材S1,S2の熱圧着作業がそのまま進行する。これに対し、フィルム巻出し機構10Bに装着したリールが不適正なものであれば、作業者が別のリールに付け替える。すると、再度、フィルム巻出し機構10Bのリーダ12からの問い合わせ信号が、演算処理部15を介してサーバ用演算処理部54へ送られる。サーバ用演算処理部54が適正なリールであると判定すると、サーバ用演算処理部54から停止制御装置60へ解除要請信号が送られる。その後、停止制御装置60からサーバ用演算処理部54へ解除命令信号が送られ、熱圧着装置200を稼動できるようになる。
【0037】
熱圧着装置200によれば、第1実施形態に係る熱圧着装置100で得られる効果に加え、以下のような効果が奏される。すなわち、サーバ用データ格納部53にリール(異方導電フィルム)の固有情報を記録するため、フィルム巻出し機構10Bを小型化できる。また、熱圧着装置を複数使用する場合であっても、共通のサーバ50上でリールに関する情報を一元的に管理できる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、特に好ましい形態として、フィルム巻出し機構の本体部10aにリーダ12を配設する場合を例示したが、リーダが熱圧着機構30等と連動したものであれば、他の構成であってもよい。例えば、リーダ12を本体部10aに配設せず、本体部10aから独立したものとしてもよい。リールを回転軸10bに装着する際、リールに付されたタグにリーダをかざし、このリールが適正なものであるか否かをリーダが直接判定し、不適正と判定された場合に熱圧着装置が作動不能となるようにすればよい。この場合、上記第2実施形態と同様、サーバ上でリールのデータ管理を行ってもよく、リーダにデータ格納部を設け、そこでデータ管理を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の熱圧着装置の第1実施形態を示す模式図である。
【図2】タグ付きリールの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の熱圧着装置の第2実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0040】
1…異方導電フィルム、2…タグ、5…リール、5a…巻芯、5b…側板、10A,10B…フィルム巻出し機構、10b…回転軸(リール保持手段)、12…リーダ(読取り手段)、13…データ格納部、14,15…演算処理部、14a…判定部、14b…制御部、20…フィルム巻取り機構、30…熱圧着機構、40…アラーム機構、50…サーバ、53…サーバ用データ格納部、54…サーバ用演算処理部、60…停止制御装置、100,200…熱圧着装置、B1,B2…回路部材、E1,E2…回路電極、E2…回路電極、S1,S2…被接続部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対の回路部材の間に設けた異方導電フィルムを介し、前記一対の回路部材がそれぞれ有する回路電極同士を電気的に接続する熱圧着装置であって、
巻芯及びこれに巻き重ねられた異方導電フィルムを有するタグ付きリールが装着されるリール保持手段と、
前記リール保持手段に前記リールを装着する際、前記タグに記録された当該リールの固有情報を読み取る読取り手段と、
を備える熱圧着装置。
【請求項2】
前記リール保持手段に装着すべきリールの固有情報が記録されるデータ格納部と、
前記データ格納部に予め記録された固有情報と前記読取部によって読み取られた固有情報とを照合し、これらの固有情報が一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記固有情報が一致すると判定された場合には当該熱圧着装置を作動可能とし、一致しないと判定された場合には当該熱圧着装置を作動不能とする制御部と、
を更に備える、請求項1に記載の熱圧着装置。
【請求項3】
前記判定部による判定結果を作業者に視覚的又は音声的に知らせる伝達手段を更に備える、請求項2に記載の熱圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−278059(P2009−278059A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260705(P2008−260705)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】