説明

熱安定性のカチオン光硬化性組成物

開示されているものは、改善された保存寿命安定性を持つカチオン光硬化性組成物である。熱安定性組成物は、少なくとも1種のカチオン重合性化合物、例えばエポキシ化合物と、少なくとも1種のオニウム塩光開始剤と、有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む。また開示されているものは、少なくとも1種のオニウム塩光開始剤と、有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む、カチオン性光開始剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性光開始剤を含む熱安定性の光硬化性組成物に関する。
【0002】
対応する開始剤化合物を含むカチオン硬化性組成物は当該技術において知られている。光開始剤としてスルホニウム塩が、例えば、WO03/008404及びWO03/072567に記載されており、一方、例えば、WO98/02493及びUS6306555が、ヨードニウム塩光開始剤化合物を開示している。
【0003】
カチオン系又はカチオン性光開始剤を含む光硬化性組成物は、不十分な保存安定性を有するという問題があることが知られている。特に、ヨードニウム塩カチオン性光開始剤を含有するエポキシ樹脂は、保存寿命安定性(暗所保存性)が劣っていることを示す。従来、ルイス塩基がこれらの系の保存寿命を向上させるために使用されるが、このアプローチは、光硬化反応を抑制する。
アミンを含む安定化されたカチオン性光開始剤系が、例えばWO99/35188において提案されており、一方、GB2198736は、ラジカル重合性配合物における安定剤としてニトロキシル化合物を開示している。
【0004】
カチオン性光開始剤を含む光硬化性組成物の保存寿命安定性を改善する戦略が望まれる。
【0005】
驚くべきことに、所定の有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤が、光硬化性カチオン系の優れた保存寿命安定性をもたらすことが見出された。
【0006】
したがって、開示されているものは、
少なくとも1種のカチオン重合性化合物と、
少なくとも1種のオニウム塩光開始剤と、
有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と
を含む、改善された保存寿命安定性を持つカチオン光硬化性組成物である。
【0007】
本発明のカチオン重合性化合物は、アルキル−若しくはアリール−含有カチオン又はプロトンを使用してカチオン的に重合できるものである。典型的な例は、環状エーテル、例えばエポキシド、並びにビニルエーテル及びヒドロキシル含有化合物である。
【0008】
本発明のカチオン重合性化合物は、例えば、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエーテル、オキセタン化合物、ビニルエーテル、酸架橋性メラミン樹脂、酸架橋性ヒドロキシメチレン化合物及び酸架橋性アルコキシメチレン化合物である。
【0009】
例えば、本発明のカチオン重合性化合物は、米国特許第6,306,555号及び同第6,235,807号に開示されているものであり、これらの米国特許の開示を本明細書中に援用する。
【0010】
芳香族、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂のような全ての慣用のエポキシド類を使用することができる。これらは、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのエポキシ基を分子中に有する化合物である。典型的な例は、脂肪族又は脂環式ジオール又はポリオールのグリシジルエーテル及びβ−メチルグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン若しくは1,4−ジメチルロールシクロヘキサンの、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンのグリシジルエーテル及びβ−メチルグリシジルエーテル;ジ−及びポリフェノール、典型的には、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパン、ノボラック、又は1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのグリシジルエーテルである。例示は、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルグリシジルエーテル、o−イクレシル(icresyl)グリシジルエーテル、ポリテトラヒドロフラングリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12/15アルキルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルである。他の例は、N−グリシジル化合物、典型的には、エチレン尿素、1,3−プロピレン尿素若しくは5−ジメチルヒダントインのグリシジル化合物、又は4,4′−メチレン−5,5′−テトラメチルジヒダントインのグリシジル化合物、又は例えばトリグリシジルイソシアヌレートである。
【0011】
他の技術的に重要なグリシジル化合物は、カルボン酸の、好ましくはジ−及びポリカルボン酸のグリシジルエステルである。典型的な例は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、テトラ−及びヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸又はトリメリト酸の、或いは二量体化脂肪酸のグリシジルエステルである。
【0012】
グリシジル化合物ではないポリエポキシドの例示は、ビニルシクロヘキサン及びジシクロペンタジエンのエポキシド、3−(3′,4′−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸の3′,4′−エポキシシクロヘキシルメチルエステルのエポキシド、ブタジエンジエポキシド又はイソプレンジエポキシド、エポキシド化リノール酸誘導体又はエポキシド化ポリブタジエンである。
【0013】
他の適切なエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA及びビスフェノールFのエポキシ樹脂、例えばAraldit(登録商標)GY 250 (A)、Araldit(登録商標)GY 282 (F)、Araldit(登録商標)GY 285 (F) (Ciba Specialty Chemicalsより供給)である。
【0014】
更なる適切なカチオン重合性成分が、とりわけ、米国特許第4,299,938号及び同第4,339,567号においても見出され、これらの米国特許の開示を本明細書中に援用する。
【0015】
脂肪族エポキシドの群のうち、10、12、14及び16個の炭素原子からなる非分岐鎖を有する一官能価α−オレフィンエポキシドが特に適している。
【0016】
現在、多数の異なるエポキシ樹脂が市販されているので、結合剤の特性を大幅に変えることが可能である。変更についての別の可能性は、異なるエポキシ樹脂の混合物を使用することかつまた柔軟剤及び反応性希釈剤の添加にある。
【0017】
それらの適用を容易にするために、エポキシ樹脂は、例えば適用が噴霧により実施される場合、溶媒で希釈されてもよい。しかし、好ましくは、エポキシ樹脂は溶媒のない状態で使用される。室温で粘性から固体である樹脂は、高温で塗布することができる。
【0018】
芳香族、脂肪族又は脂環式ビニルエーテルのような全ての慣用のビニルエーテルを使用することができる。これらは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのビニルエーテル基を分子中に有する化合物である。本発明に従って適切なビニルエーテルの典型的な例は、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、プロピレンカルボネートのプロペニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、プルリオール−E−200−ジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフラン−290−ジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、メチル(4−シクロヘキシルメチレンオキシエテン)グルタレート及び(4−ブチルオキシエテン)イソフタレートである。
【0019】
ヒドロキシル含有化合物の例示は、ポリカプロラクトン又はポリエステルアジペートポリオール、グリコール及びポリエーテルポリオールのようなポリエステルポリオール類、ヒマシ油、ヒドロキシ官能価ビニル及びアクリル樹脂、セルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル類、及びフェノキシ樹脂である。
【0020】
追加的なカチオン硬化性配合物は、とりわけ、米国特許出願19830464571(EP119425)で見出すことができ、この開示を本明細書中に援用する。
【0021】
例えば、本発明のカチオン重合性化合物は、脂環式エポキシド又はビスフェノールAに基づくエポキシドである。例えば、カチオン重合性化合物は、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールSのジグリシジルエーテルである。
【0022】
用語「少なくとも」は、1個又は1個より多く、例えば、1又は2又は3個、好ましくは1又は2個を定義することを意味する。
用語「場合により置換されている」は、言及される基が非置換であるか、又は置換されているかのいずれかであることを意味する。
本明細書及び続く特許請求の範囲の記載の全体を通して、文脈から必要とされない限り、語「含む」又はその変形、例えば「含み」若しくは「含んでいる」は、記述される整数又は工程又は工程若しくは整数の群を包含することを意味するが、他のいずれかの整数又は工程又は工程若しくは整数の群を除外することを意味しないことが理解されるものと思う。
【0023】
オニウム塩光開始剤は、例えば、米国特許第6,306,555号及び同第6,235,807号に開示されているヨードニウム塩化合物であり、これらの米国特許の開示を、本明細書中に援用する。
【0024】
例えば、ヨードニウム塩光開始剤は、式(I):
【0025】
【化21】

【0026】
〔式中、
1及びR2は、互いに独立して、フェニル(これは非置換であるか、又はC1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、−NO2、−Cl、−Br、−CN、−COOR3、−SR3若しくは下記式:
【0027】
【化22】

【0028】
で置換されている)であるか;或いは
1及びR2は、一緒になって、下記式:
【0029】
【化23】

【0030】
の基であり;
nは、0〜6の数であり;
3は、水素又はC1〜C12アルキルであり;
4は、C1〜C18アルキル又はフェニルであり;
5及びR6は−CNであるか、又はR5は−NO2であり、R6はフェニルであり;
7及びR8は、互いに独立して、C1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、−NO2、−Cl、−Br、−CN、−COOR3又は−SR3であり;そして
-は、(BF4、(SbF6、(PF6、(B(C65))4、C1〜C20アルキルスルホネート、C2〜C20ハロアルキルスルホネート、非置換C6〜C10アリールスルホネート、ショウノウ−スルホネート、C1〜C20−ペルフルオロアルキルスルホニルメチド、C1〜C20−ペルフルオロアルキルスルホニルイミド、及びハロゲン、−NO2、C1〜C12アルキル、C1〜C12ハロ−アルキル、C1〜C12アルコキシ又はCOOR1で置換されているC6〜C10アリールスルホネートからなる群より選択されるアニオンである〕
で示されるものである。
【0031】
本発明で特許請求されている組成物におけるオニウム塩として、特に、(BF4、(SbF6、(PF6、(B(C65))4、C1〜C20アルキルスルホネート、C2〜C20ハロアルキルスルホネート、非置換C6〜C10アリールスルホネート、ショウノウ−スルホネート、C1〜C20−ペルフルオロアルキルスルホニルメチド、C1〜C20−ペルフルオロアルキルスルホニルイミド、及びハロゲン、−NO2、C1〜C12アルキル、C1〜C12ハロ−アルキル、C1〜C12アルコキシ又はCOOR1で置換されているC6〜C10アリールスルホネートからなる群より選択されるアニオンを有するヨードニウム塩が使用される。
【0032】
アルキルスルホネートはRSO3-であり、ここでRは、上記で記載された直鎖状又は分岐鎖状のアルキルである。その例には、メチルスルホネート、エチルスルホネート、プロピルスルホネート、ペンチルスルホネート及びへキシルスルホネートが含まれる。
【0033】
ハロアルキルスルホネートはRSO3-であり、ここでRは、ハロ置換C2〜C20−アルキル、C2〜C10−、C2〜C8−又はC4〜C8−アルキルである。その例には、C25SO3-、C49SO3-及びC817SO3-が含まれる。
【0034】
非置換C6〜C10アリースルホネートは、RSO3-であり、ここでRは、C6〜C10アリール、例えばフェニル又はナフチルである。
【0035】
アルキル置換アリールスルホネートは、例えば、トルエンスルホネート、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホネート、2,4,6−トリス(イソプロピル)ベンゼンスルホネート、4−tert−ブチルベンゼンスルホネート及び4−ドデシルベンゼンスルホネートである。
【0036】
ハロ置換アリールスルホネートは、例えば、4−クロロベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、2,4,6−トリフルオロベンゼンスルホネート及びペンタフルオロベンゼンスルホネートである。
【0037】
ショウノウスルホネートは、下記式:
【0038】
【化24】

【0039】
である。
【0040】
ペルフルオロアルキルスルホニルメチドは、下記式:
【0041】
【化25】

【0042】
であり、ペルフルオロアルキルスルホニルイミドは、下記式:
【0043】
【化26】

【0044】
であり、式中、Ra、Rb及びRcは、互いに独立して、C1〜C20ペルフルオロアルキル(これは、非置換であるか、又はN(Rd)(Re)で置換されている)であるか、又はRa、Rb及びRcは、CF3で置換されているフェニルであるか:或いはRa及びRbは、一緒になって、C1〜C6−ペルフルオロアルキレン(これは、−O−で場合により中断されている)であり;Rd及びReは、互いに独立して、C1〜C12アルキルであるか、又はRd及びReは、一緒になって、C1〜C6−ペルフルオロアルキレン(これは、O又はN(C1〜C12−アルキル)で場合により中断されている)である。ペルフルオロアルキルはアルキルであり、これはフルオロで完全に置換されており、すなわち水素原子がフルオロで置換されている。同じことがペルフルオロアルキレンに適用される。そのようなアニオンの例は、(C25SO22-、(C49SO22-、(C817SO23-、(CF3SO23-、(CF3SO22-、(C49SO23-、(CF3SO22(C49SO2)C-、(CF3SO2)(C49SO2)N-、〔(3,5−ビス(CF3)(C63)SO22-、下記式:
【0045】
【化27】

【0046】
65SO2-(SO2CF32、C65SO2-SO2CF3である。
【0047】
そのようなアニオンは、当業者に既知である。アニオン並びにその調製は、例えば米国特許第5,554,664号に記載されており、これを本明細書中に援用する。
【0048】
置換フェニルは、フェニル環において、1〜5回、例えば1、2又は3回、特に1又は2回、好ましくは1回置換されている。
【0049】
1及びR2が同一である化合物も興味深い。
【0050】
他の興味深いヨードニウム化合物は、R1及びR2が、互いに独立して、フェニル(これは非置換であるか、又はC1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、−NO2、−Cl、−Br、−CN、−COOR3若しくは−SR3で置換されている)であるものである。
【0051】
例えば、本発明のヨードニウム化合物は、R1及びR2が、C1〜C24アルキル−又はC1〜C24アルコキシ−置換フェニルであるものである。
【0052】
アニオンは、例えば、SbF6-又はPF6-又は(B(C65))4-アニオンである。
【0053】
ヨードニウム塩化合物の例示は、
ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−ヘキシルフェニル)フェニル−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−sec−ブチルフェニル)−(4′−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−イソ−プロピルフェニル)−(4′−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;[4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;[4−(2−ヒドロキシドデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;ビス(4−(混合C8−C14アルキル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ビフェニレンヨードニウムテトラフルオロボレート;ビフェニレンヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビフェニレンヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート
である。
【0054】
ヨードニウム光開始剤の他の例示は、
4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロ−ホスフェート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムペンタフルオロエチルスルホネート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムトレシレート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムノナフレート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムトシラート;4−イソブチルフェニル−4′−メチル−フェニルヨードニウム4−メトキシフェニルスルホネート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウム4−クロロフェニルスルホネート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウム4−フルオロフェニルスルホネート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウム2,4,6−トリメチルフェニルスルホネート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウム2,4,6−(トリ−イソプロピル)−フェニルスルホネート;4−イソブチルフェニル−4′−メチル−フェニルヨードニウム4−ドデシルフェニルスルホネート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムカンファー−10−スルホネート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)−ボラート;4−イソプロピルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)−ボラート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムペンタフルオロエチルスルホネート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムペンタフルオロエチルスルホネート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチル−フェニルヨードニウムノナフレート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチルフェニルヨードニウム4−トリフルオロ−メチルフェニルスルホネート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムトシラート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムカンファー−10−スルホネート;4−シクロヘキシル−4′−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;4−シクロヘキシル−4′−メチルフェニルヨードニウムペンタ−フルオロエチルスルホネート;4−シクロヘキシル−4′−メチルフェニルヨードニウムカンファー−10−スルホネート;4−シクロヘキシル−4′−メチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタ−フルオロフェニル)ボラート;4−シクロヘキシル−4′−メチル−フェニルヨードニウムトシラート;4−tert−ブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;4−tert−ブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムペンタフルオロエチルスルホネート;4−tert−ブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムカンファー−10−スルホネート;4−tert−ブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート;4−tert−ブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウム4−クロロ−フェニルスルホネート;4−tert−ブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウム4−フルオロフェニルスルホネート;4−tert−ブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウム4−メトキシフェニルスルホネート;4−tert−ブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムノナフルオロブチルスルホネート;4−シクロヘキシル−4′−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;4−(2−メチルブタ−2−イル)フェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムノナフルオロブチルスルホネート;4−イソブチル−フェニル−2′−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;4−イソブチルフェニル−4′−エチルフェニル−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;及び4−(分岐ドデシル)−4−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート
である。
【0055】
ヨードニウム光開始剤化合物の調製は、当業者に既知であり、文献に記載されている。この化合物は、とりわけ、米国特許第5,468,902号、同第4,399,071号、同第4,329,300号及び同第4,151,175号に見出すことができ、これらの米国特許の開示を本明細書中に援用する。
【0056】
本発明の文脈に適切なオニウム塩光開始剤は、更に例えば、WO03/008404又はWO03/072567に開示されているスルホニウム塩化合物であり、これらの開示を本明細書中に援用する。
【0057】
例は、式(III)又は(IV):
【0058】
【化28】

【0059】
〔式中、
100、R101及びR102は、互いに独立して、非置換フェニルであるか、又は−S−フェニル若しくは下記式:
【0060】
【化29】

【0061】
で置換されているフェニルであり;
103は、直接結合、S、O、CH2、(CH22、CO又はNR109であり;
104、R105、R106及びR107は、互いに独立して、H、C1〜C20アルキル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニル、CN、OH、ハロゲン、C1〜C6アルキルチオ、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C7アルキル、ナフチル−C1〜C3アルキル、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニル−C1〜C7アルキルオキシ、ナフチル−C1〜C3アルキルオキシ、フェニル−C2〜C6アルケニル、ナフチル−C2〜C4アルケニル、S−フェニル、(CO)R109、O(CO)R109、(CO)OR109、SO2109、OSO2109であり;
108は、C1〜C20アルキル、C1〜C20ヒドロキシアルキル、下記式:
【0062】
【化30】

【0063】
であり;
109は、H、C1〜C12アルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;
110は、直接結合、S、O又はCH2であり;
111、R112、R113及びR114は、互いに独立して、R104で与えられた意味のうちの1つを有するか;又はR111及びR113は、一緒になって、それらが結合しているベンゼン環と共に縮合環系を形成し;
115は、下記式:
【0064】
【化31】

【0065】
であり、そして
Aは、アニオン、特に、PF6、SbF6、AsF6、BF4、(C654B、Cl、Br、HSO4、CF3−SO3、F−SO3、下記式:
【0066】
【化32】

【0067】
CH3−SO3、ClO4、PO4、NO3、SO4、CH3−SO4、下記式:
【0068】
【化33】

【0069】
である〕で示される化合物である。
【0070】
特定のスルホニウム塩は、例えば、(登録商標)Cyracure UVI-6990、(登録商標)Cyracure UVI-6974(Union Carbide)、(登録商標)Degacure KI 85(Degussa)、SP-55、SP-150、SP-170(Asahi Denka)、GE UVE 1014(General Electric)、SarCat(登録商標)KI-85(=トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート; Sartomer)、SarCat(登録商標)CD 1010(=混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート; Sartomer); SarCat(登録商標)CD 1011(=混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート; Sartomer)の商標で入手できる。
【0071】
本発明の組成物において、オニウム塩光開始剤は、組成物の重量に基づき約0.05重量%〜約15重量%で存在する。例えば、オニウム塩光開始剤は、組成物の重量に基づき、約0.1重量%〜約10重量%又は約0.5重量%〜約5重量%で存在する。例えば、本発明のオニウム塩化合物は、組成物の重量に基づき、約0.1重量%〜約5重量%、又は約0.1重量%〜約15重量%、又は約0.5重量%〜約10重量%、又は約0.5重量%〜約15重量%で存在する。
【0072】
本発明に従う組成物は、1種以上の異なるオニウム塩の混合物、例えば、1種以上の異なるヨードニウム塩の混合物、1種以上の異なるスルホニウム塩の混合物又は1種以上の異なるヨードニウム及びスルホニウム塩の混合物を含んでもよい。
【0073】
本発明の有機リン安定剤は、例えば、米国特許第6,444,733号で開示されており、この開示を本明細書中に援用する。有機リン安定剤は既知であり、多くは市販されている。例えば、本発明の有機リン安定剤は、式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)又は(7):
【0074】
【化34】

【0075】
〔式中、指数は整数であり、
n′は、2、3又は4であり;pは、1又は2であり、qは、2又は3であり;rは、4〜12であり;yは、1、2又は3であり;そしてzは、1〜6であり;
1は、nが2の場合、C2〜C18アルキレン;酸素、硫黄若しくは−NR54−で中断されているC2〜C12アルキレン;下記式:
【0076】
【化35】

【0077】
の基又はフェニレンであり;
1は、nが3の場合、式:−Cr2r-1−の基であり;
1は、nが4の場合、下記式:
【0078】
【化36】

【0079】
であり;
2は、nが2の場合のA1で定義されたとおりであり;
Bは、直接結合、−CH2−、−CHR54−、−CR5154−、硫黄、C5〜C7シクロアルキリデン又はシクロヘキシリデン(これは、1〜4個のC1〜C4アルキル基により3、4及び/又は5位で置換されている)であり;
1は、pが1の場合、C1〜C4アルキルであり、pが2の場合、−CH2OCH2−であり;
2は、pが1の場合、C1〜C4アルキルであり;
Eは、yが1の場合、C1〜C18アルキル、−OR51又はハロゲンであり;
Eは、yが2の場合、−O−A2−O−であり;
Eは、yが3の場合、式:R54C(CH2O−)3又はN(CH2CH2O−)3の基であり;
Qは、少なくともz価のアルコール又はフェノールの基であり、この基は、酸素原子を介してリン原子に結合しており;
51、R52及びR53は、互いに独立して、C1〜C18アルキル(これは非置換であるか、又はハロゲン、−COOR54、−CN若しくは−CONR5454で置換されている)であるか;酸素、硫黄又は−NR54−で中断されているC2〜C18アルキルであるか;C7〜C9フェニルアルキルであるか;C5〜C12シクロアルキル、フェニル又はナフチルであるか;ハロゲンで、合計1〜18個の炭素原子を有するアルキル基若しくはアルコキシ基の1〜3個で、若しくはC7〜C9フェニルアルキルで置換されているナフチル又はフェニルであるか;又は下記式:
【0080】
【化37】

【0081】
(式中、mは、3〜6の範囲の整数である)の基であり;
54は、水素、C1〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキル又はC7〜C9フェニルアルキルであり、
55及びR56は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル又はC5〜C6シクロアルキルであり、
57及びR58は、qが2の場合、互いに独立して、C1〜C4アルキルであるか、又は一緒になって2,3−デヒドロペンタメチレン基であり、そして
57及びR58は、qが3の場合、メチルであり;
64は、水素、C1〜C9アルキル又はシクロヘキシルであり、
65は、水素又はメチルであり、基R64及びR65の2個以上が存在する場合、これらの基は、同一であり又は異なっており、
X及びYは、それぞれ、直接結合又は酸素であり;
Zは、直接結合、メチレン、−C(R662−又は硫黄であり;そして、
66は、C1〜C8アルキルである〕
により示されるものである。
【0082】
有機リン安定剤は、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト(D)、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト(E)、ビス−イソデシルオキシ−ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレン−ジホスホナイト(H)、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン(C)、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチル−ジベンゾ〔d、g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン(A)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト又はビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト(G)である。
有機リン安定剤は、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリル(ノニルフェニル)ホスファイト、下記式:
【0083】
【化38】




である。
【0084】
有機リン安定剤は、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト(G)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト(D)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレン−ジホスホナイト(H)、2,2′,2″−ニトロ〔トリエチルトリス(3,3′5,5′−テトラ−tert−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル)ホスファイト〕(B)、化合物(J)、化合物(K)又は化合物(L)である。
【0085】
ヒンダードニトロキシル安定剤又はヒンダードニトロキシドは、当該技術において良く知られており、例えば、米国特許第6,337,426号、同第5,254,760号に開示されており、これらの米国特許の関連する開示を本明細書中に援用する。
【0086】
例えば本発明のヒンダードニトロキシル安定剤は、式(II):
【0087】
【化39】

【0088】
〔式中、G1及びG2は、独立して、炭素原子1〜4個のアルキルであるか、又は一緒になってペンタメチレンであり;そして
1及びZ2は、それぞれメチルであるか、又はZ1及びZ2は一緒になって、結合部分(これは、ヘテロ原子又はカルボニル基を含有しても、しなくてもよく、追加的に、ヒドロキシ、シアノヒドリン、アミノ、アルコキシ、アミド、ケタール、カルボキシ、ヒダントイン、カルバメート又はウレタン基で置換されていてもよい)を形成する〕
により示されるものである。
【0089】
例えば、本発明のヒンダードニトロキシル安定剤は、式(IIa)又は(IIb):
【0090】
【化40】

【0091】
〔式中、
90は、水素又はメチルであり、
1は、1〜4であり、
1が1の場合、
91は、水素、C1〜C18アルキル、1個以上の酸素原子で場合により中断されている前記アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C10アリール、C7〜C18アラルキル、グリシジル、脂肪族、脂環式若しくは芳香族カルボン酸の、又はカルバミン酸の一価アシル基、例えば、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸の、5〜12個の炭素原子を有する脂環式カルボン酸の、又は7〜15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル基、又は下記式:
【0092】
【化41】

【0093】
(式中、x1は、0又は1である)か、下記式:
【0094】
【化42】

【0095】
(式中、y1は2〜4である)であり;
1が2の場合、R91は、C1〜C12アルキレン、C4〜C12アルケニレン、キシレン、脂肪族、脂環式、アルアリファチック若しくは芳香族ジカルボン酸の、又はジカルバミン酸の二価アシル基、例えば、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸の、8〜14個の炭素原子を有する脂環式若しくは芳香族ジカルボン酸の、又は8〜14個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式若しくは芳香族ジカルバミン酸のアシル基であるか;或いはR91は、下記式:
【0096】
【化43】

【0097】
(式中、
51及びD52は、独立して、水素、8個までの炭素原子を含有するアルキル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル基を含むアリール若しくはアラルキル基であり;
53は、水素であるか、又は18個までの炭素原子を含有するアルキル若しくはアルケニル基であり、そして
1は、0〜20である)
により示され、
1が3の場合、R91は、脂肪族、不飽和脂肪族、脂環式又は芳香族トリカルボン酸の三価アシル基であり;
1が4の場合、R91は、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタ−2−エンテトラカルボン酸、並びに1,2,3,5−及び1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸を含む、飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族テトラカルボン酸の三価アシル基であり;
1は、1、2又は3であり;
92は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C9アラルキル、C2〜C18アルカノイル、C3〜C5アルケノイル又はベンゾイルであり;
1が1の場合、R93は、水素、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C2〜C8アルケニル(非置換であるか、又はシアノ、カルボニル若しくはカルバミド基で置換されている)、アリール、アラルキル、又はグリシジル、式:−CH2−CH(OH)−Zaの、又は式:−CO−Za若しくは−CONH−Zaの基(ここで、Zaは、水素、メチル又はフェニルである);又は下記式:
【0098】
【化44】

【0099】
(式中、h1は、0又は1である)
の基であり;
92及びR93は、pが1の場合、一緒になって、炭素原子4〜6個のアルキレン又は2−オキソ−ポリアルキレン、脂肪族又は芳香族の1,2−若しくは1,3−ジカルボン酸の環状アシル基であることができ;
1が2の場合、R93は、直接結合であるか、又はC1〜C12アルキレン、C6〜C12アリーレン、キシリレン、−CH2CH(OH)−CH2−基、若しくは基−CH2−CH(OH)−CH2−O−X−O−CH2−CH(OH)−CH2−(ここでXは、C2〜C10アルキレン、C6〜C15アリーレン又はC6〜C12シクロアルキレンである)であるか;或いはR92が、アルカノイル、アルケノイル又はベンゾイルでない場合、R93は、脂肪族、脂環式若しくは芳香族のジカルボン酸又はジカルバミン酸の二価アシル基であることもできるか、又は基−CO−であることができるか;或いはR93は、下記式:
【0100】
【化45】

【0101】
(式中、T8及びT9は、独立して、水素、炭素原子1〜18個のアルキルであるか、或いはT8及びT9は、一緒になって、炭素原子4〜6個のアルキレンであるか又は3−オキサペンタメチレンであり、例えばT8及びT9は、一緒になって3−オキサペンタメチレンである)であり;そして
1が3の場合、R93は、2,4,6−トリアジニルである〕
により示されるものである。
【0102】
典型的なニトロキシル安定剤には、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、4−ヒドロキシ−1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−エトキシ−1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−プロポキシ−1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アセトアミド−1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアセテート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル2−エチルヘキサノエート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルステアレート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルベンゾエート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル4−t−ブチル−ベンゾエート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジペート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルマロネート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)フタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イソフタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)テレフタレート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサヒドロテレフタレート、N,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパミド、N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カプロラクタム、N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ドデシルスクシンイミド、2,4,6−トリス−〔N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)〕−s−トリアジン、4,4′−エチレンビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−3−オン)、2−オキシル−1,1,3,3、−テトラメチル−2−イソベンゾアゾール、1−オキシル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン及びN,N−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ニトロキシドが含まれる。
【0103】
ニトロキシル安定剤は、例えば、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、4−ヒドロキシ−1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−エトキシ−1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−プロポキシ−1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アセトアミド−1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン及び1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンである。
【0104】
特定の実施態様は、ニトロキシル安定剤は、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート又は4−ヒドロキシ−1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンである場合である。
【0105】
アルケニレンは、不飽和アルキレンである。アルケニルは、アルキルの不飽和型である。
【0106】
アルカノイルは、分岐鎖状又は非分岐鎖状の基であり、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、イコサノイル(icosanoyl)又はドコサノイルである。アルケノイルは、不飽和アルカノイルである。
【0107】
アリーレンは、例えば、フェニレン又はナフチレンであり、それぞれ非置換であるか、又はC1〜C4アルキルで置換されており、例えば、1,2−、1,3−若しくは1,4−フェニレン、又は1,2−、1,3−、1,4−、1,6−、1,7−、2,6−、若しくは2,7−ナフチレンである。例えば、1,4−フェニレンである。
【0108】
シクロアルキレンは、例えば、1〜3個、特に1又は2個の分岐鎖状又は非分岐鎖状のC1〜C4アルキル基で置換されており、例えば、シクロペンチレン、メチルシクロペンチレン、ジメチルシクロペンチレン、シクロヘキシレン、メチルシクロヘキシレン、ジメチルシクロヘキシレン、トリメチルシクロヘキシレン、tert−ブチルシクロヘキシレン、シクロヘプチレン又はシクロオクチレンである。好ましいものは、シクロヘキシレン及びtert−ブチルシクロヘキシレンである。
【0109】
アルキルは、直鎖状又は分岐鎖状であり、典型的には、C1〜C12アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C6アルキル又はC1〜C4アルキルである。典型的な例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル又はイコシル(icosyl)である。
【0110】
アルコキシは、直鎖状又は分岐鎖状の基であり、典型的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ又はイコシルオキシ(icosyloxy)であり、特にメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、オクチルオキシであり、好ましくはメトキシ及びオクチルオキシである。
【0111】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、特に塩素又はフッ素であり、好ましくはフッ素である。
【0112】
ハロアルキルは、モノ−又はポリ−ハロ置換アルキルである。アルキル部分は、複数の同一のハロゲン原子で、あるいは代わりに異なるハロゲン原子で置換され得る。
1〜C20アルキルが、モノ−又はポリ−ハロ置換されている場合には、例えば、1〜3個、又は1若しくは2個のハロゲン置換基がアルキル部分に存在する。
【0113】
アルキレンは、直鎖状又は分岐鎖状である。典型的な例は、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、sec−ブチレン、イソブチレン、tert−ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、2,4,4−トリメチルペンチレン、2−エチルヘキシレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン又はイコシレン(icosylene)である。
【0114】
シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロオクチルであり、特にシクロペンチル又はシクロヘキシルであり、好ましくはシクロヘキシルである。
【0115】
フェニルアルキルは、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル又は2−フェニルエチルである。例えば、ベンジル及びα,α−ジメチルベンジルである。
【0116】
シクロアルキリデンは、例えば、1〜3個、例えば1又は2個の分岐鎖状又は非分岐鎖状のC1〜C4アルキル基で置換されており、例えば、シクロペンチリデン、メチルシクロペンチリデン、ジメチルシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、メチルシクロヘキシリデン、ジメチルシクロヘキシリデン、トリメチルシクロヘキシリデン、tert−ブチルシクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン又はシクロオクチリデンである。例えば、シクロヘキシリデン及びtert−ブチルシクロヘキシリデンである。
【0117】
有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される化合物を任意の組み合わせで使用してもよく;又は同様に所定の化合物を単独で使用してもよい。
【0118】
本発明に従う安定剤は、非常に低いレベルで有効である。安定剤は、保存安定性と光硬化反応の最適なバランスについて選ばれる。安定剤の有効な低いレベルにおいて、光硬化反応は抑制されない。例えば、本発明の安定剤は、オニウム塩光開始剤の重量に基づき約50重量ppm〜約3重量pphで存在する。例えば、本発明の安定剤は、オニウム塩光開始剤の重量に基づき、約100重量ppm〜約2重量pph、約200重量ppm〜約2重量pph、約250重量ppm〜約1重量pph、又は約750重量ppm〜約1重量pphで存在する。
【0119】
本発明の安定剤は、配合されたカチオン光硬化性組成物に保存寿命安定性をもたらすために使用することができるか、又は同様にオニウム塩光開始剤に直接添加し、それによって、続いて配合される硬化性組成物に保存寿命安定性をもたらすことができる。
【0120】
したがって、本発明の別の主題は、
少なくとも1種のオニウム塩光開始剤と、
有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と
を含むカチオン性光開始剤組成物である。
【0121】
増感剤が本発明の組成物に存在してもよく、例えば、芳香族炭化水素類の化合物、典型的にはアントラセン及びその誘導体、ミヒラーケトンのような、キサントン、ベンゾフェノン及びそれらの誘導体の群の化合物、マンニッヒ塩基又はビス(p−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)アセトンである。チオキサントン及びその誘導体、典型的にはイソプロピルチオキサントン或はアクリジン、トリアリールメタン、例えばマラカイトグリーン、インドリン、チアジン、例えばメチレンブルー、オキサジン、フェナジン、典型的にはサフラニン、又はローダミンのような染料が適切である。芳香族カルボニル化合物、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン、アントラキノン及び3−アシルクマリン誘導体、また、3−(アロイルメチレン)チアゾリン、並びにエオシン、ローダニン及びエリトロシン染料が特に適している。
好ましい増感剤は、アントラセン、キサントン、ベンゾフェノン及びチオキサントンからなる群より選択されるもの、特にイソプロピルチオキサントンである。
【0122】
適切な増感剤の典型的な例は、
2,4−ジエチルチオキサントン、下記式:
【0123】
【化46】

【0124】
のイソプロピルチオキサントン混合物、下記式:
【0125】
【化47】

【0126】
の混合物、である。
【0127】
例えば、アルキル−及びアリール−アミン供与体化合物のような電子供与化合物を組成物において使用することも可能である。そのような化合物は、例えば、4−ジ−メチルアミノ安息香酸、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、3−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾイン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンゾニトリル及び1,2,4−トリメトキシベンゼンである。そのような供与体化合物は、好ましくは、配合物に基づき0.01〜5%の濃度、特に0.05〜0.50%の濃度で使用される。
【0128】
適切な光増感剤の更なる例は、
チオキサントン:チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−チオキサントン、4−ブトキシ−カルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシ−チオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシ−カルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)−チオキサントン、2−メチル−6−ジ−メトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)−チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、N−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、1,3−ジメチル−2−ヒドロキシ−9H−チオキサンテン−9−オン−2−エチルヘキシルエーテル、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
ベンゾフェノン:ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、4,4′−ジメチルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ジメチル−アミノベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)−ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルベンゼンメタンアミニウムクロリド;
3−アシルクマリン:3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(プロポキシ)クマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3′−カルボニル−ビス[5,7−ジ−(プロポキシ)クマリン]、3,3′−カルボニル−ビス(7−メトキシクマリン)、3,3′−カルボニル−ビス(7−ジエチル−アミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシ−クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)−クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ−[f]−クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン;
3−(アロイルメチレン)−チアゾリン:3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−ベンゾ−チアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;及び他のカルボニル化合物:アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、2−アセチル−ナフタレン、2−ナフトアルデヒド、9,10−アントラキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)−インダン−1−オン又は3−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−1−インダン−5−イル−プロペノンのようなα−(パラ−ジメチル−アミノベンジリデン)ケトン、2−ベンゾイル−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−プロペン−ニトリル、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド
である。
【0129】
更なる適切な増感剤は、例えば、米国特許第6,025,406号に開示されており、この開示を本明細書中に援用する。
【0130】
増感剤は、硬化性配合物の重量に基づき、硬化される配合物に約0.05〜約10重量%、例えば約0.1〜5重量%、好ましくは約0.1〜2重量%の量で存在する。
【0131】
本発明に従う組成物は、追加的に、例えばカチオン性光開始剤、光酸形成剤(photo acid formers)のような更なる光開始剤を、組成物の重量に基づき、0.01〜15重量%、例えば、0.1〜5重量%の量で含むことができる。
【0132】
カチオン性光開始剤及び酸形成剤(acid-formers)の例は、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩、スルホニウム塩、フェロセニウム塩、例えば、(η6−イソプロピルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)−鉄−IIヘキサフルオロホスフェート(登録商標)Irgacure 261、ニトロベンジルスルホネート、アルキル−及びアリール−N−スルホニルオキシイミド、及び更なる既知のアルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、1,2−ジスルホン、オキシムスルホネート、ベンゾイントシレート、トシルスルホニルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、及び更なる既知のβ−ケトスルホン、β−スルホニルスルホン、ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチル−フェニル−スルホニル)−ジアゾメタン、ベンゾイル−トシル−ジアゾメタン、イミノスルホネート、及びイミドスルホネート、及びトリクロロメチル−s−トリアジン、及び他のハロアルキル−基−含有化合物、並びに更なる化合物である。
【0133】
更なる追加の添加剤が本発明の硬化性組成物に存在してもよい。そのような追加の添加剤は、当該技術に慣用及び当業者に一般に既知の量で組成物に添加される。そのような添加剤の典型的な例は、UV吸収剤のような光安定剤であり、典型的には、ヒドロキシフェニルベンズトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、シュウ酸アミド又はヒドロキシフェニル−s−トリアジン型のものある。これらの化合物は、立体障害アミン(HALS)を添加するか又はしないで、単独又は混合物で使用してよい。
【0134】
他の慣用の添加剤には、熱抑制剤、蛍光増白剤、充填剤及び顔料、並びに白色及び着色顔料、染料、耐電防止剤、定着剤、湿潤剤、流動性助剤、潤滑剤、ロウ、接着防止剤、分散剤、乳化剤、酸化防止剤、充填剤、例えば、タルク、石膏、ケイ酸、ルチル、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化鉄、反応促進剤、増粘剤、マット剤、消泡剤、並びに例えばラッカー及び被覆技術で慣用の他の補助剤が含まれる。
【0135】
本発明の組成物は、染料及び/又は白色若しくは着色顔料を含んでもよい。意図される用途に応じて、無機と有機の両方の顔料を使用することが可能である。そのような添加剤は当業者にとって既知であり、それらの幾つかの例としては、例えば、ルチル又はアナターゼ型の二酸化チタン顔料、カーボンブラック、亜鉛華のような酸化亜鉛、酸化鉄黄、酸化鉄赤のような酸化鉄、クロムイエロー、クロムグリーン、ニッケルチタンイエロー、ウルトラマリーンブルー、コバルトブルー、ビスマスバナデート、カドミウムイエロー及びカドミウムレッドである。有機顔料の例は、モノ−又はビスアゾ顔料、及びそれらの金属錯体、フロタロシアニン顔料、多環式顔料、例えば、ペリレン、アントラキノン、チオインディゴ、キナクリドン及びトリフェニルメタン顔料、並びにジケト−ピロロ−ピロール、イソインドリノン、例えば、テトラクロロ−イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、ベンズイミダゾロン及びキノフタロン顔料である。
【0136】
顔料は、個別に又は混合物で配合物に使用することができる。意図される用途に応じて、顔料は当該技術で慣用の量、例えば、全体重量に基づき、約1〜約60重量%又は約10〜約30重量%の量で配合物に添加される。
【0137】
配合物は、また、例えば、広範囲の種類の有機染料を含むことができる。それらの例には、アゾ染料、メチン染料、アントラキノン染料及び金属錯体染料が含まれる。慣用の濃度は、例えば、全体重量に基づき、約0.1〜約20%、特に約1〜約5%である。
【0138】
添加される、顔料、潜顔料若しくは染料、又はそのような顔料及び染料の異なる着色前駆体は、照射の結果としてオニウム塩から形成された酸の存在下で色変化を受けるように選択されることができる。色変化によって、そのような組成物は、照射されて、例えばUV放射線、電子ビーム、X線などのための照射量指示器として使用できることを示す。
【0139】
添加剤の選択は、該当の使用分野及びその分野で求められる特性に依存されることになる。上記記載の添加剤は、当該技術で慣用であり、したがって当該技術で慣用の量で使用される。
【0140】
本発明の硬化性組成物は、また、熱硬化性成分を含んでもよい。
【0141】
本発明の硬化性組成物は、また、エチレン性不飽和モノマー、オリゴマー又はポリマーのようなフリーラジカル重合性成分を含んでもよい。適切な物質は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含有し、付加重合を受けることができる。
【0142】
フリーラジカル重合性成分が本発明の組成物に添加される場合、1つ以上の適切なフリーラジカル光開始剤、例えばベンゾフェノン及びその誘導体、アセトフェノン及びその誘導体、又はモノ−若しくはビス−アシルホスフィンオキシドを添加することが有利になり得る。
【0143】
フリーラジカル硬化性化合物及びフリーラジカル光開始剤は、例えば、米国特許第6,306,555号に開示されており、これを本明細書中に援用する。
【0144】
本発明に従う組成物は、数多くの用途で使用することができ、例えば、カチオン放射線硬化性印刷用インクにおいて、顔料着色されていても、いなくてもよいカチオン放射線硬化性コーティングコンパウンドにおいて、ガラス繊維強化及び炭素繊維強化複合材料、並びにプリント回路基板の内層及び外層を含む、カチオン放射線硬化性接着剤、コーティング及び成型品において使用することができる。
【0145】
本発明に従う組成物には、また、例えばデジタル多用途ディスク(DVD)の製造における接着結合(DVD結合)に使用され、例えばWO99/66506、WO99/63017、JP11241055A2平成、JP11181391A2平成、WO98/31765に記載されているような接着剤、かつまた、フレキシブル包装用放射線硬化性積層接着剤(例えば、US5328940を参照すること)、光学接着剤(例えば、ドイツ国特許出願DD225985)及び感圧接着剤(例えば、米国特許第4,988,741号及びEP115870)が含まれる。
【0146】
本発明に従う組成物は、紙、ガラス、金属、ケイ素、ポリカーボネート、アクリレートポリマー及び他のポリマー基材に良好な接着を有し、硬化の間に僅かな収縮しか示さない、硬質コーティング、接着結合又は光重合性寸法安定性三次元成型品(例えば、高速プロトタイプ用)についての必要性がある場合に、有利に使用される。
【0147】
この本発明の硬化性組成物は、例えば、木材若しくは金属用の、コーティング材料、印刷用着色剤、クリアコート配合物、白色エナメル、又は例えば紙、木材、金属又はプラスチック用の塗料用に使用される。
【0148】
本発明に従う組成物は、多様な目的のために使用することができ、例えば、スクリーン印刷用インク、フレキソ印刷用インク又はオフセット印刷用インクのような印刷用インクとして、例えば木材又は金属用の、クリアラッカーとして、着色表面コーティング組成物として、白色表面コーティング組成物として、粉末コーティング組成物として、とりわけ紙、木材、金属又はプラスチック用の塗料として、構造及び道路のマーキング用の、写真再生プロセス用の、ホログラフ記録材料用の、画像記録プロセス用の又は有機溶媒により若しくは水性アルカリ媒体を使用して現像される印刷板製造用の、スクリーン印刷用マスクの製造における日光硬化性塗料として、歯科充填コンパウンドとして、放射線硬化性接着剤として、圧感接着剤として、接着防止用コーティングとして、積層用樹脂として、フォトレジスト、例えば液体及び乾燥膜のガルバノ(galvano)レジスト、エッチレジスト又はパーマネントレジストとして、光構造性誘電体として、及び電子回路用のはんだマスクとして、いずれのタイプのスクリーンのカラーフィルター製造における又はプラズマディスプレー及びエレクトロルミネセンスディスプレーの製造における構造の製造用の、光スイッチ、光格子(干渉グリッド)の製造用の、例えば電気絶縁コンパウンドとして電子部品のコーティング又は密閉におけるレジストとして、又は光ファイバー用の、コイル被覆用のコーティングとして、UV放射線、X線及び電子ビーム用の、並びに例えば立体リソグラフのため及び複合材料、例えばガラス又は炭素又はグラファイト繊維で強化されている複合材料のための三次元物品の製造における指示器系として使用することができる。組成物は、また、光学レンズ、例えば、コンタクトレンズ又はフレネルレンズの製造のため、また、医療装置、補助具又は移植組織の製造において適切である。
【0149】
本発明の光硬化性組成物は、例えば、全種類の基材、例えば木材、織物、紙、セラミック、ガラス、大理石、特に膜の形態のポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン又はセルロースアセテートのようなプラスチック、及びコーティングが適用されるか、又は画像が像様式暴露により適用されるか、又は構造レジスト層が適用されるAl、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg又はCo及びGaAs、Si又はSiO2のような金属のためのコーティング材料として適している。
【0150】
基材のコーティングは、基材に液体組成物、溶液又は懸濁液を適用することにより実施することができる。溶媒及び濃度の選択は、主に組成物の性質及びコーティング方法により支配される。溶媒は不活性であるべきであり、すなわち成分とどのような化学反応も始めるべきではなく、コーティング操作後に乾燥する際に再び除去することができるべきである。適切な溶媒の例は、ケトン、エーテル及びエステルであり、例えば、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルアミルケトン、N−メチルピロリドン、ガンマ−ブチロラクタム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチルエステル、酢酸n−ブチルエステル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルエステル、プロピレンカルボネート及び3−エトキシ−プロピオン酸エチルエステルである。基材のコーティングの後に、溶媒は一般に乾燥により除去される。
【0151】
配合物は、既知のコーティング方法、例えば、スピンコーティング、浸清、ナイフコーティング、流し塗り、刷毛塗り、又は吹付け、特に静電吹付け及びリバースロールコーティングにより、及び電気泳動塗装により基材に均一に適用される。感光層を仮の軟質支持体に適用し、次に積層により層を移転して最終基材、例えば、銅積層プリント回路基板を被覆することも可能である。
【0152】
適用量(層厚)及び使用される基材の性質(層基材)は、所望の適用分野により依存する。層厚は、一般に約0.1〜約100μm、例えば約0.1μm〜約50μmまで、例えば約4μm〜約15μmの範囲である。
【0153】
本発明の組成物の別の適用分野は、典型的には金属シート、及び管、缶又は瓶の蓋を塗布する金属コーティングである。この場合、適切な基材は、特に、アルミニウム又はブリキ板のような金属である。
【0154】
本発明の組成物の硬化プロセスにおいて、紫外線(UV)照射は、一般に200nm〜600nmの範囲の波長を有する光により実施される。適切な放射線には、例えば日光又は人工光源からの光が含まれる。使用される光源には、多種多様な範囲の数多くのタイプが含まれる。適切な光源は、点光源、並びに反射灯の配列(ランプカーペット)である。典型的な例は、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、(中圧、高圧及び低圧)水銀灯、所望であれば金属ハロゲン化物でドープされているもの(金属ハロゲンランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマーランプ、超化学線蛍光管、蛍光灯、アルゴン白熱灯、閃光電球、写真用投光ランプ、電子ビーム及びX線である。ランプと照射される基材との間隔は、最終使用要件及びランプのタイプ又はランプの強度に応じて変更することができ、例えば約2cm〜約150cmである。レーザー光源、例えばエキシマーレーザーも適している。可視範囲のレーザーを使用することも可能である。
【0155】
本発明に従う放射線感受性組成物は、例えば、極めて高度な感光性を有し、アルカリ性の水性媒体中で膨張することなく現像できるネガティブレジストとして使用される。それらは、液体及び乾燥膜のガルバノレジスト、エッチレジストのような電子部品用のフォトレジストとして、はんだレジストとして、あらゆるタイプのスクリーン用のカラーフィルタの製造における、又はプラズマディスプレー及びエレクトロルミネセンスディスプレーの製造における構造体を形成するために、印刷版、例えばオフセット印刷版の製造における、活版印刷用、平版印刷用、凹版印刷用、フレキソ印刷用又はスクリーン印刷用版木の版木の製造における、例えば点字テキストの製造用のレリーフコピーの製造における、スタンプの製造のための、成形体のエッチングに使用される又は集積スイッチング回路の製造におけるマイクロレジストとして使用されるレジストとして適している。組成物は、また、材料を封入するための光構造性誘電体として、又はコンピュータチップ、プリント回路及び他の電気又は電子部品の製造における絶縁被覆として使用することができる。可能な層支持体、及び被覆基材の加工条件は、それらに応じて変更される。
【0156】
本発明に従う組成物は、また、画像記録又は画像複製(コピー、複写)用の単層又は多層材料の製造に使用され、これは、単色又は多色であってよい。それらに含まれるものは、情報のホログラフ記憶用、例えばホログラフ画像又は3次元ホログラフデータ記憶用の材料である。そのような材料は、色検査系で使用することもできる。その技術において、マイクロカプセルを含む配合物を使用することも可能であり、画像を生成するために、暴露工程の後で熱工程を実施することができる。そのような系及び技術、並びにそれらの使用は、例えば米国特許第5,376,459号に記載されている。
【0157】
情報の写真記録には、例えば、ポリエステル、セルロースアセテート又はプラスチック被覆紙のフィルムが使用され、オフセット印刷用版木には、特別に処理したアルミニウムが使用され;プリント回路の製造には、銅被覆積層体が使用され;集積スイッチング回路の製造には、シリコンウエハーが使用される。写真用材料及びオフセット印刷用版木の層厚は、一般に0.5μm〜10μmであり、プリント回路では、1.0μm〜約100μmである。
【0158】
本発明は、また、表面コーティング組成物、印刷用インク、印刷版、歯科用コンパウンド、立体リソグラフ用樹脂、接着剤、接着防止コーティング、カラーフィルタ、レジスト材料又は画像記録材料の製造における本発明の組成物の使用に関する。
【0159】
本発明は、また、少なくとも一面が本発明に従う組成物で被覆されている被覆基材、及び本発明に従う組成物が基材に適用され、次に像様式に暴露される、レリーフ像の生成の方法に関する。
【0160】
表現「像様式暴露」には、予め決められたパターンを含むマスク、例えば、透明陽画、金属マスク、クロムマスクを通した透明な支持体上への照射、被覆基材の表面上を例えばコンピュータ制御で画像を生成するように動くレーザービームを用いる曝露、及びコンピュータ制御の電子ビームによる照射が含まれる。画像は、また、例えばホログラフ用途では、2個のビーム又は画像を干渉させることにより生成することができる。例えば、A. Bertsch; J.Y. Jezequel; J.C. Andre in Journal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry 1997, 107 pp. 275-281 及び K. -P. Nicolay in Offset Printing 1997, 6, pp. 34-37で記載されているように、画素を1個ずつ作動させてデジタル画像を生成できる液晶マスクを使用することも可能である。
【0161】
既に述べたように、本発明の組成物は、フォトレジストに使用することができる。レジスト系は、本発明の成分を含む配合物の像様式暴露、続く現像工程により得ることができる。用語「フォトレジスト」は、下記に詳細に記載されている化学的に増強されたレジストに限定されることはなく、酸の放射−化学生成により反応が開始され、現像工程において、暴露と非暴露領域で溶解度の差をもたらす全てのレジスト材料が含まれる。例えば、また含まれるものは、例えば、米国特許第5,998,092号及びSPIE, Vol. 3999, pp. 569-578 (2000)に記載されている水性媒体で加工できるレジスト、並びに例えばSPIE, Vol. 3999, pp. 62-73 (2000)で記載されているピナコール転位に基づくレジストである。
【0162】
したがって、本発明は、また、少なくとも1種のオニウム塩光開始剤と、有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の安定化有効量とを含むフォトレジスト組成物に関する。
【0163】
化学的に増強されたフォトレジストは、放射線感受性成分が触媒量の酸をもたらし、立ち代わってそれがレジストの少なくとも1つの酸感受性成分の化学反応に触媒作用を及ぼすレジスト配合物であると理解されるべきである。これは、レジストの照射と非照射部分に溶解度の差をもたらす。そのプロセスの触媒特性の結果として、1個の酸分子が、二次反応により捕捉又は破壊されない限り、反応性ポリマーマトリックスを通して拡散して、1つの反応部位から次の反応部位へと多数の部位で反応を開始することができる。したがって、低い酸濃度でさえも、レジストの照射と非照射部分に溶解度の大きな差を得るのに十分である。したがって、一般に少量の潜酸化合物を加えるだけで十分である。しかし照射されるまで、潜酸供与体は化学的及び熱的に安定であることが必要である。また、マイクロエレクトロニクス加工プロセスにおけるレジストの使用に悪影響を与える粒子の形成を防ぐため、液体レジスト配合物及び固体レジストフィルム中で潜触媒が容易に可溶性である必要がある。
【0164】
潜酸供与体(オニウム塩光開始剤)の化学的及び熱的安定性は、化学的に増強されたフォトレジストにおけるその使用にとって必須であることが、上記の概説から明らかであると思う。
【0165】
酸触媒反応の作用によりもたらされる、レジストの暴露及び非暴露領域における溶解度の差は、レジストにおける他の成分により依存する。本発明に従う組成物が、照射の後、及び場合により熱後処理の後に現像液への組成物の溶解度を増大させる成分を含む場合、それはポジティブレジストである。
【0166】
したがって、本発明は、また、ポジティブフォトレジストに関する。
【0167】
しかし、本発明の成分が、照射の後、及び場合により熱後処理の後に現像液への溶解度を低下する場合、これはネガティブフォトレジストである。
【0168】
したがって、本発明は、また、ネガティブフォトレジストにも関する。
【0169】
化学的に増強されたフォトレジストの概要は、例えば、H. Ito, IBM Journal of Research and Development, Vol. 41, No. 1/2, page 69 (1997); H. Ito, SPIE Vol. 3678, page 2 (1999)に見出すことができ;ネガティブレジストについては、J.M. Shaw et al. IBM Journal of Research and Development, Vol. 41, No. 1/2, page 81 (1997)に見出すことができる。化学的に増強されたポジティブレジスト系は、例えば、E. Reichmanis, F. M. Houlihan, O. Nalamasu, T. X. Neenan, Chem. Mater. 1991, 3, 394;又はC. G. Willson, "Introduction to Microlithography, 2nd. Ed."; L. S. Thompson, C. G. Willson, M. J. Bowden, Eds., Amer. Chem. Soc., Washington DC, 1994, p. 139に記載されている。
【0170】
ポジティブレジスト配合物におけるオニウム塩化合物の割合は、有利には、フォトレジストの固形分に基づき約0.01〜約20重量%である。
【0171】
ポリマーから保護基を除去する理論に基づいた化学的に増強された系におけるオニウム塩の使用によって、通常ポジティブレジストがもたらされる。ポジティブレジストは、多くの用途において、特にそれらの解像度が一層良好であるため、ネガティブレジストよりも好まれる。しかし、ポジティブレジストの良好な解像度の利点をネガティブレジストの特性と組み合わせるため、ポジティブレジストの機構を使用してネガティブ像を作り出すことも興味深い。これは、例えば、EP361906に記載のいわゆる画像反転工程(image-reversal step)を導入ことにより実施される。そのために、像様式暴露の後のレジスト材料は、例えば、現像の前に、例えば気体塩基で処理され、形成された酸は像様式に中和される。次に、レジスト全体が暴露され、熱処理に付され、ネガティブ像が慣用の様式で現像される。
【0172】
ネガティブレジストを形成する酸感受性成分は、一般に、酸により触媒作用を受ける(例えば、本発明に従う安定剤の存在下でオニウム塩化合物の暴露により酸が形成される)場合に、それら自体より、及び/又は組成物中の1種以上の更なる成分により架橋反応を受けることができる化合物である。その種類の化合物は、例えば、アクリレート、ポリエステル、アルキド、メラミン、尿素、エポキシ及びフェノール樹脂又はそれらの混合物のような既知の酸硬化性樹脂である。アミノ樹脂、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂が特に適している。この種の酸硬化性樹脂は、一般に既知であり、例えば、"Ulmann's Encyclopaedie der technischen Chemie", Edition 4, Vol. 15 (1978), pp. 613-628で記載されている。架橋成分は、ネガティブレジスト配合物の固形分に基づき、約2〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の濃度で有利に存在すべきである。
【0173】
ネガティブレジストにおけるオニウム塩化合物の濃度は、有利には、組成物の全固形分に基づき、約0.1〜約30重量%、特に約20重量%まで、好ましくは約1〜約15重量%である。
【0174】
本発明に従う組成物は、通常、基材への適用の前に適切な溶媒に溶解される。そのような溶媒の例には、二塩化エチレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エトキシエタノール、ジエチルグリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノ−エチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン及びテトラヒドロフランが含まれる。そのような溶媒は、個々に、又は組み合わされて使用できる。それらの好ましい例は、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート及び酪酸エチルのようなエステルである。
【0175】
界面活性剤を溶媒に加えてもよい。適切な界面活性剤の例は、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアセチルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル;ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビトール/脂肪酸エステル、例えばソルビトールモノラウレート、ソルビトールモノパルミテート、ソルビトールモノステアレート、ソルビトールモノオレエート、ソルビトールトリオレエート;フルオロケミカル界面活性剤、例えば、F-top EF301、EF303及びEF352(New Akita Chemical Company, Japan)、Megafac F171及びF17.3(Dainippon Ink & Chemicals, Inc,. Japan)、Fluorad FC430及びFC431(Sumitomo #M Ltd., Japan)、Asahi Guard AG710及びSurflon S-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105及びSC106 (Asahi Grass Col, Ltd., Japan);オルガノシロキサンポリマーKP341 (Shin-Etsu Chemical Co., Ltd., Japan); 並びにアクリル又はメタクリル(コ)ポリマーPoly-flow Now.75及びNO.95 (Kyoeisha Chemical Co., Ltd., Japan)である。組成物における界面活性剤の割合は、一般に、組成物中の固形分の100重量部当たり、約2重量部以下、例えば、0.1重量部以下である。界面活性剤は、個々に、又は組み合わされて使用してもよい。
【0176】
本発明に従う組成物の溶液は、上記で既に記載された一般に既知の方法によって基材に均一に適用される。適切な層厚も上記で既に示されている。
【0177】
コーティングの後、溶媒は、通常、加熱により除去され、フォトレジストの層が基材上に残る。乾燥温度は、レジスト配合物の構成成分が分解又は反応できる温度よりも低くなければならないことは当然である。乾燥温度は、通常、約60〜約160℃の範囲内で変化する。
【0178】
被覆基材の暴露は、上記で既に記載されている。
暴露の後、及び必要であれば熱処理の後、組成物の暴露部位(ポジティブレジストの場合)又は組成物の非暴露部位(ネガティブレジストの場合)は、一般に当業者に既知の様式で現像液を使用して除去される。
【0179】
触媒反応を促進するため、したがってレジストコーティングの暴露と非暴露領域で溶解度の十分な差の発生を確実にするため、コーティングは、好ましくは現像の前に加熱される。暴露の間に加熱を実施することも可能である。一般に約60〜約160℃の温度が使用される。加熱の最適な期間は、使用される加熱方法に依存し、簡単な実験によって当業者により決めることができる。通常、加熱プレートが使用される場合、数秒から数分、例えば約10〜約300秒の範囲であり、空気循環炉が使用される場合、例えば約1〜約30分の範囲である。
【0180】
次に現像が実施され、現像液に可溶性のコーティング部分が除去される。必要であれば、現像工程は、試料を穏やかに動かすこと、現像液浴中でコーティングに注意深くブラシをかけること、又は吹き付け現像装置で現像することによって促進できる。当該技術で慣用のアルカリ性の水性現像液をそのために使用することができる。それらの例には、水酸化ナトリウム、カリウム、対応する炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩及びメタケイ酸塩、アンモニウム化合物、又はエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、アルカノールアミンのようなアミン類、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、第四級水酸化アンモニウム、例えば、テトラメチル−水酸化アンモニウム又はテトラエチル水酸化アンモニウムのような金属無含有塩基が含まれる。現像液は、0.5Nまでの規定度であるが、一般に、使用前に適切な様式で希釈される。例えば約0.1〜約0.3の規定度を有する溶媒が極めて適している。現像液の選択は、光硬化性コーティングの性質、特に架橋剤又は得られる光分解生成物の性質に依存することになる。現像水溶液は、また、必要であれば少量の湿潤剤及び/又は有機溶媒を含んでもよい。現像液に添加されてもよい典型的な有機溶媒の例には、シクロヘキサノン、2−エトキシエタノール、トルエン、アセトン、イソプロパノール及びそのような溶媒の2種以上の混合物が含まれる。典型的な水性/有機現像液系は、Butylcellosolve(登録商標)/水に基づく系である。
【0181】
本発明は、また、
(1)基材に上記記載の組成物を適用すること;
(2)組成物を約60℃〜約160℃の温度に加熱すること;
(3)約150nm〜約1500nmの波長の光で像様式暴露を実施すること;
(4)場合により、組成物を約60℃〜約160℃の温度に加熱すること;
(5)続いて、溶媒又はアルカリ性の水性現像液で現像すること
によるフォトレジストの製造方法に関する。
【0182】
フォトレジスト組成物は、全てのタイプの基材に、当業者に既知の全ての照射技術を用いて使用することができる。例えば、ケイ素、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン化インジウムのような半導体基板、また、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、シロキサンのような酸化物又は窒化物層で覆われた基材、並びに金属基板及びアルミニウム、銅、タングステンなどのような金属による金属被覆基材が使用できる。基材を、ポリマー材料、例えばポリマー材料でできている有機反射防止コーティング、絶縁層及び誘電コーティングにより被覆することもできる。
【0183】
フォトレジスト層を、直接書き込み、すなわち、ステップアンドリピートモード若しくはスキャンモードによるレーザー光線又は投射リソグラフィー、又はマスクを通した密着プリントのような全ての慣用の技術により照射することができる。
【0184】
投射リソグラフィーの場合、干渉性、部分的な干渉性又は非干渉性放射のような数多くの光学的条件を選択できる。これには、非軸照射技術、例えば、レンズの中心を除く、レンズの所定の領域のみに放射線を通過させる環状照明及び四極照射が含まれる。
【0185】
パターンを生成するために使用されるマスクには、硬質マスク又は軟性マスクが使用できる。マスクは、透明、半透明及び不透明のパターンを含むことができる。パターンの寸法は、投射光学の解像限度又はそれより小さく、マスクを通過した後の放射線の空中像、強度及び位相変調を変更するために所定の様式でマスク上に配置されたパターンを含むこともできる。これには、位相シフトマスク及びハーフトーン位相シフトマスクが含まれる。
【0186】
フォトレジスト組成物上に画像を形成するプロセスは、あらゆる所望の幾何学様式及び形状、例えば、密集及び分離線、接触孔、溝、切込み、点などのパターンを発生させるために使用することができる。
【0187】
好ましいものは、像様式暴露が約190〜約450nm、例えば約190〜約260nmの範囲の波長の単色又は多色放射線により実施される方法である。
【0188】
本発明は、また、カチオン若しくは酸触媒重合性又は架橋性の化合物の重合又は架橋における光潜酸供与体としての安定剤の存在下での本発明のオニウム塩化合物の使用、又は酸の作用により現像液中への溶解度を増大させる化合物の溶解度を増大させるための使用に関し、また、電磁放射線の作用下でのカチオン性若しくは酸触媒重合性又は架橋性の化合物の重合又は架橋の方法に関し、この方法では、安定剤の存在下でのオニウム塩化合物が光潜酸供与体として使用される。
【0189】
酸を放出するUV放射は、一般に約157〜約600nmの波長の光で実施される。適切な放射線は、例えば、日光、又は人工光源からの光に存在する。多数の多様なタイプの光源を使用してよい。点光源及び平面放熱器(ランプカーペット)も適している。それらの例には以下が含まれる:カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、中圧、高圧及び低圧水銀灯、適切であれば金属ハロゲン化物でドープされているもの(金属ハロゲンランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマーランプ、超化学線蛍光管、蛍光灯、アルゴン白熱灯、フラッシュランプ、写真用投光ランプ、電子ビーム及びX線。
レーザー光源、例えばエシキマーレーザーも適している。可視領域のレーザーを使用することもできる。
ランプと、曝露される基材との間隔は、意図される使用及びランプのタイプ及び強度に従って変化することができ、例えば、約2cm〜約150cmであってもよい。
【0190】
したがって、また開示されているものは、カチオン重合性組成物を硬化する方法であって、
少なくとも1種のカチオン重合性化合物と
少なくとも1種のオニウム塩光開始剤と、
有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と
を含む組成物を、
基材に適用すること、そして
組成物を紫外線に適切な時間暴露すること
を含む方法である。
【実施例】
【0191】
下記の実施例は本発明を説明する。
下記の化合物が実施例で使用される。特に指示されない限り、全ての部及び%は重量による。
【0192】
カチオン硬化性樹脂:
【化48】

【0193】
光開始剤:
【化49】

【0194】
有機リン安定剤:
【化50】

【0195】
ヒンダードニトロキシル安定剤:
【化51】

【0196】
実施例1
光硬化性組成物を、樹脂R2:R3:R1の25:25:50重量混合物及びカチオン性光開始剤PI1 2.7重量pphにより調製した。新たな組成物は16cpsの粘度を示した。室温で6か月後、非安定化配合物は46cpsの粘度を示した。室温で6か月後、ニトロキシル安定剤NO1 0.025pphで安定化された配合物は、23cpsの粘度を有した。
【0197】
実施例2
光硬化性組成物を樹脂R2:R3の3:1重量比で調製した。試料をオーブンでの安定性について80℃で試験した。試料は、光開始剤PI1を2.7重量pph含有した。安定剤なしでは、試料は12〜14日でゲル化した。ニトロキシル安定剤NO1 0.25重量pphを添加すると、試料は35日目までゲル化しなかった。有機リン安定剤OP2又はOP3のいずれかを1重量ppm添加すると、試料は、約27日目にゲル化した。有機リン安定剤OP1 1重量pphによって、試料は39日目までゲル化しなかった。
【0198】
実施例3
光硬化性組成物を樹脂R2:R3の3:1重量比で調製した。試料をオーブンでの安定性について80℃で試験した。試料は、光開始剤PI2 1重量pph及び増感剤イソプロピルチオキサントン0.5重量pphを含有した。更なる添加剤を含有する配合剤の保存寿命安定性を下記に示す。
【0199】
【表1】

【0200】
室温に外挿すると、最も安定した配合物の保存寿命は2年を超えると推測される。ヒンダードニトロキシルクラスと有機リンクラスとの安定剤の組み合わせは、安定した配合物をもたらす相乗効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のカチオン重合性化合物と
少なくとも1種のオニウム塩光開始剤と、
有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と
を含む、改善された保存寿命安定性を持つカチオン光硬化性組成物。
【請求項2】
オニウム塩光開始剤が、式(I):
【化1】


〔式中、
1及びR2は、互いに独立して、非置換であるか、又はC1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、−NO2、−Cl、−Br、−CN、−COOR3、−SR3若しくは下記式:
【化2】


で置換されているフェニルであるか;或いは
1及びR2は、一緒になって、下記式:
【化3】


の基であり;
nは、0〜6の数であり;
3は、水素又はC1〜C12アルキルであり;
4は、C1〜C18アルキル又はフェニルであり;
5及びR6は−CNであるか、又はR5は−NO2であり、R6はフェニルであり;
7及びR8は、互いに独立して、C1〜C24アルキル、C1〜C24アルコキシ、−NO2、−Cl、−Br、−CN、−COOR3又は−SR3であり;そして
-は、(BF4、(SbF6、(PF6、(B(C65))4、C1〜C20アルキルスルホネート、C2〜C20ハロアルキルスルホネート、非置換C6〜C10アリールスルホネート、ショウノウ−スルホネート、C1〜C20−ペルフルオロアルキルスルホニルメチド、C1〜C20−ペルフルオロアルキルスルホニルイミド、及びハロゲン、−NO2、C1〜C12アルキル、C1〜C12ハロ−アルキル、C1〜C12アルコキシ又はCOOR1で置換されているC6〜C10アリールスルホネートからなる群より選択されるアニオンである〕
により示されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
オニウム塩光開始剤において、
1及びR2が、C1〜C24アルキル−又はC1〜C24アルコキシ−置換フェニルであり、そして、
-が、SbF6-、PF6-及び(B(C65))4-アニオンからなる群より選択される、
請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
オニウム塩光開始剤が、
ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
(4−sec−ブチルフェニル)−(4′−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
(4−イソ−プロピルフェニル)−(4′−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
[4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
[4−(2−ヒドロキシドデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;
ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;
(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;
ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;
(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;
ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;
ビス(4−(混合C8−C14アルキル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;
(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;
(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;
(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;
ビフェニレンヨードニウムテトラフルオロボレート;
ビフェニレンヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;及び
ビフェニレンヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート
からなる群より選択されるヨードニウム塩化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
オニウム塩光開始剤が、式(III)又は(IV):
【化4】


〔式中、
100、R101及びR102は、互いに独立して、非置換フェニルであるか、又は−S−フェニル若しくは下記式:
【化5】


で置換されているフェニルであり;
103は、直接結合、S、O、CH2、(CH22、CO又はNR109であり;
104、R105、R106及びR107は、互いに独立して、H、C1〜C20アルキル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニル、CN、OH、ハロゲン、C1〜C6アルキルチオ、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C7アルキル、ナフチル−C1〜C3アルキル、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニル−C1〜C7アルキルオキシ、ナフチル−C1〜C3アルキルオキシ、フェニル−C2〜C6アルケニル、ナフチル−C2〜C4アルケニル、S−フェニル、(CO)R109、O(CO)R109、(CO)OR109、SO2109、OSO2109であり;
108は、C1〜C20アルキル、C1〜C20ヒドロキシアルキル、下記式:
【化6】


であり;
109は、H、C1〜C12アルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;
110は、直接結合、S、O又はCH2であり;
111、R112、R113及びR114は、互いに独立して、R104で与えられた意味のうちの1つを有するか;又はR111及びR113は、一緒になって、それらが結合しているベンゼン環と共に縮合環系を形成し;
115は、下記式:
【化7】


であり、そして
Aは、アニオン、特に、PF6、SbF6、AsF6、BF4、(C654B、Cl、Br、HSO4、CF3−SO3、F−SO3、下記式:
【化8】


CH3−SO3、ClO4、PO4、NO3、SO4、CH3−SO4、下記式:
【化9】


である〕
により示されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
オニウム塩光開始剤が、組成物の重量に基づき0.05重量%〜15重量%、好ましくは0.5重量%〜約10重量%存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
有機リン安定剤が、式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)又は(7):
【化10】


〔式中、
1は、nが2の場合、C2〜C18アルキレン;酸素、硫黄若しくは−NR54−で中断されているC2〜C12アルキレン;下記式:
【化11】


の基又はフェニレンであり;
1は、nが3の場合、式:−Cr2r-1−の基であり;
1は、nが4の場合、下記式:
【化12】


であり;
2は、nが2の場合のA1で定義されたとおりであり;
Bは、直接結合、−CH2−、−CHR54−、−CR5154−、硫黄、C5〜C7シクロアルキリデン又は1〜4個のC1〜C4アルキル基により3、4及び/又は5位で置換されているシクロヘキシリデンであり;
1は、pが1の場合、C1〜C4アルキルであり、pが2の場合、−CH2OCH2−であり;
2は、pが1の場合、C1〜C4アルキルであり;
Eは、yが1の場合、C1〜C18アルキル、−OR51又はハロゲンであり;
Eは、yが2の場合、−O−A2−O−であり;
Eは、yが3の場合、式:R54C(CH2O−)3又はN(CH2CH2O−)3の基であり;
Qは、少なくともz価のアルコール又はフェノールの基であり、この基は、酸素原子を介してリン原子に結合しており;
51、R52及びR53は、互いに独立して、非置換であるか、又はハロゲン、−COOR54、−CN若しくは−CONR5454で置換されているC1〜C18アルキルであるか;酸素、硫黄又は−NR54−で中断されているC2〜C18アルキルであるか;C7〜C9フェニルアルキルであるか;C5〜C12シクロアルキル、フェニル又はナフチルであるか;ハロゲンで、合計1〜18個の炭素原子を有するアルキル基若しくはアルコキシ基の1〜3個で、若しくはC7〜C9フェニルアルキルで置換されているナフチル又はフェニルであるか;又は下記式:
【化13】


(式中、mは、3〜6の範囲の整数である)の基であり;
54は、水素、C1〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキル又はC7〜C9フェニルアルキルであり、
55及びR56は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル又はC5〜C6シクロアルキルであり、
57及びR58は、qが2の場合、互いに独立して、C1〜C4アルキルであるか、又は一緒になって2,3−デヒドロペンタメチレン基であり、そして
57及びR58は、qが3の場合、メチルであり;
64は、水素、C1〜C9アルキル又はシクロヘキシルであり、
65は、水素又はメチルであり、基R64及びR65の2個以上が存在する場合、これらの基は、同一であり又は異なっており、
X及びYは、それぞれ、直接結合又は酸素であり;
Zは、直接結合、メチレン、−C(R662−又は硫黄であり;そして、
66は、C1〜C8アルキルである〕
により示されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ヒンダードニトロキシル安定剤が、式(II):
【化14】


(式中、G1及びG2は、独立して、炭素原子1〜4個のアルキルであるか、又は一緒になってペンタメチレンであり;そして
1及びZ2は、それぞれメチルであるか、又はZ1及びZ2は一緒になって、ヘテロ原子又はカルボニル基を含有しても、しなくてもよくかつ追加的に、ヒドロキシ、シアノヒドリン、アミノ、アルコキシ、アミド、ケタール、カルボキシ、ヒダントイン、カルバメート又はウレタン基で置換されていてもよい結合部分を形成する)
により示されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ヒンダードニトロキシル安定剤が、式(IIa)又は(IIb):
【化15】


〔式中、
90は、水素又はメチルであり、
1は、1〜4であり、
1が1の場合、
91は、水素、C1〜C18アルキル、1個以上の酸素原子で場合により中断されている前記アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C10アリール、C7〜C18アラルキル、グリシジル、脂肪族、脂環式若しくは芳香族カルボン酸の、又はカルバミン酸の一価アシル基、例えば、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸の、5〜12個の炭素原子を有する脂環式カルボン酸の、又は7〜15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル基、又は下記式:
【化16】


(式中、x1は、0又は1である)か、下記式:
【化17】


(式中、y1は2〜4である)であり;
1が2の場合、R91は、C1〜C12アルキレン、C4〜C12アルケニレン、キシリレン、脂肪族、脂環式、アルアリファチック(araliphatic)若しくは芳香族ジカルボン酸の、又はジカルバミン酸の二価アシル基、例えば、2〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸の、8〜14個の炭素原子を有する脂環式若しくは芳香族ジカルボン酸の、又は8〜14個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式若しくは芳香族ジカルバミン酸のアシル基であるか;或いはR91は、下記式:
【化18】


(式中、
51及びD52は、独立して、水素、8個までの炭素原子を含有するアルキル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル基を含むアリール若しくはアラルキル基であり;
53は、水素であるか、又は18個までの炭素原子を含有するアルキル若しくはアルケニル基であり、そして
1は、0〜20である)
により示され;
1が3の場合、R91は、脂肪族、不飽和脂肪族、脂環式又は芳香族トリカルボン酸の三価アシル基であり;
1が4の場合、R91は、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタ−2−エンテトラカルボン酸、並びに1,2,3,5−及び1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸を含む、飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族テトラカルボン酸の三価アシル基であり;
1は、1、2又は3であり;
92は、水素、C1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C9アラルキル、C2〜C18アルカノイル、C3〜C5アルケノイル又はベンゾイルであり;
1が1の場合、R93は、水素、非置換であるか、又はシアノ、カルボニル若しくはカルバミド基で置換されているC1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C2〜C8アルケニル、アリール、アラルキル、又はグリシジル、式:−CH2−CH(OH)−Zaの、又は式:−CO−Za若しくは−CONH−Zaの基(ここで、Zaは、水素、メチル又はフェニルである);又は下記式:
【化19】


(式中、h1は、0又は1である)
の基であり;
92及びR93は、pが1の場合、一緒になって、炭素原子4〜6個のアルキレン又は2−オキソ−ポリアルキレン、脂肪族又は芳香族の1,2−若しくは1,3−ジカルボン酸の環状アシル基であることができ;
1が2の場合、R93は、直接結合であるか、又はC1〜C12アルキレン、C6〜C12アリーレン、キシリレン、−CH2CH(OH)−CH2−基、若しくは基−CH2−CH(OH)−CH2−O−X−O−CH2−CH(OH)−CH2−(ここでXは、C2〜C10アルキレン、C6〜C15アリーレン又はC6〜C12シクロアルキレンである)であるか;或いはR92が、アルカノイル、アルケノイル又はベンゾイルでない場合、R93は、脂肪族、脂環式若しくは芳香族のジカルボン酸又はジカルバミン酸の二価アシル基であることもできるか、又は基−CO−であることができるか;或いはR93は、下記式:
【化20】


(式中、T8及びT9は、独立して、水素、炭素原子1〜18個のアルキルであるか、或いはT8及びT9は、一緒になって、炭素原子4〜6個のアルキレンであるか又は3−オキサペンタメチレンであり、例えばT8及びT9は、一緒になって3−オキサペンタメチレンである)であり;そして
1が3の場合、R93は、2,4,6−トリアジニルである〕
により示されるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
安定剤が、合計で、オニウム塩光開始剤の重量に基づき、50重量ppm〜3重量pph、好ましくは100重量ppm〜2重量pphで存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
カチオン重合性組成物を硬化する方法であって、
少なくとも1種のカチオン重合性化合物と、
少なくとも1種のオニウム塩光開始剤と、
有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と
を含む組成物を、
基材に適用すること、そして
組成物を紫外線に適切な時間暴露すること
を含む方法。
【請求項12】
表面コーティング組成物、粉末コーティング組成物、印刷用インク、印刷版、歯科用配合物、立体リソグラフ用樹脂、接着剤、接着防止コーティング、カラーフィルタ、レジスト材料又は画像記録材料の調製のための、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種のオニウム塩光開始剤と、
有機リン安定剤及びヒンダードニトロキシル安定剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と
を含む、カチオン性光開始剤組成物。

【公表番号】特表2007−523974(P2007−523974A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550160(P2006−550160)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050157
【国際公開番号】WO2005/070989
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】