説明

状態情報管理システム、方法、および状態情報管理サーバ

【課題】災害発生時等に真に安否を確認する必要のある人を迅速かつ正確に特定する。
【解決手段】無線端末20により、緊急情報の受信に応じて、当該無線端末の存在位置を示す位置情報と当該無線端末IDとを含む位置応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信し、状態情報管理サーバ10により、無線端末20からの位置応答メッセージを受信して当該無線端末20の位置情報を抽出し蓄積部13へ登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理技術に関し、特に無線通信を用いて災害時や緊急時に必要となる各種情報を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国や自治体、企業等において、自然災害や人災、NBC災害(N:放射性物質、B:生物剤、C:有害化学物質が関係する災害)等による人的被害や物的被害に迅速に対応し、限られた資源を集中的にかけることで、結果的に被害をできる限り軽減する減災という観点にたった危機管理体制の構築が望まれている。
災害発生時の人的被害を最小限に抑えるため、警戒期や初動期における自治体等による災害情報や避難行動指示情報等の配信や住民の安否確認等の対策、さらには企業のBCM(事業継続マネージメント:Business Continuity Management)による家族も含めた安否確認等の対策等が重要視されている。また、災害発生直後にライフラインやインフラストラクチャ、企業の事業継続に必要な設備等の障害の発生状況を迅速に把握し、必要な対策を施すことが物的被害の抑制に重要である。
【0003】
この際、例えば地震災害においては、地震発生と震度とを予測した緊急地震速報が配信されているが、緊急地震速報の配信から地震が到達するまでの時間が短いため、緊急地震速報が配信された後、迅速に地震発生地域にいる人々の安否確認を行い、無事な人に対して適切な行動指示をするとともに、傷害を受けた人に対して適切な救済策をとることが、人的被害を最小限に抑えるために重要である。
また、例えば、津波のように予報が配信されてから津波が到達するまでにある程度時間がある災害においては、津波による被害の発生が予測される地域にいる人々に対して、まず避難行動を促す避難行動指示を伝達し、避難後に、安否確認を得ることが、人的被害を最小限に抑えるために重要である。
【0004】
同様に、災害発生地域に存在するライフラインやインフラストラクチャ設備、装置、システム等、あるいは、企業が事業継続を実現するための設備、装置、システム等についても、災害発生時に直ちにそれらの障害発生の有無等を確認し、速やかに必要な対策等をとることが、被災者等の避難、救助活動、ライフラインやインフラストラクチャの復旧活動、企業の事業継続活動等において重要である。
さらに、共助の観点から、要援護者の避難等に対して市民が連携して避難支援活動を行うことが大切であると言われており、災害発生地域に存在する要援護者を迅速に把握し、的確に援護者に支援活動を要請する必要がある。
【0005】
このような安否確認や避難行動指示、支援行動指示等の情報流通を迅速に行うため、国や自治体等の防災システム、企業のBCMシステム等では、携帯電話のメール配信機能を活用し、個人に直接かつ迅速に安否確認や災害発生予測情報の配信等を行う緊急システム等が構築されている。また、各種設備、装置、システム等の障害発生の有無等を迅速に把握するため、カメラや各種センサ等をネットワークで接続し、遠隔で監視する監視システム等が構築されている。
【0006】
一方、キャリア等が提供するサービスとして、ブロードキャストサービスがある(例えば、非特許文献1など参照)。このサービスは、特定無線エリアに限定して、そのエリア内に存在する不特定多数の無線端末に任意の情報を一斉同報するサービスである。このようなサービスを活用して、災害等が発生する地域に限定して緊急情報を配信することにより、災害発生エリアに存在する利用者に対してのみ、災害発生を素早く報知することができる。
【0007】
【非特許文献1】ARIB STD-T63-23.041 V4.4.0 Technical realization of Cell Broadcast Service (CBS)(Release4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、携帯電話のメール配信機能を用いた従来の安否確認システム、避難行動指示や災害情報等の情報配信システムは、例えば地震等の災害が発生した場合、地震が発生した地域にいる人だけでなく、地震発生エリア以外の人にも安否確認を要求したり、避難行動指示等の情報を配信したりしており、また、あらかじめシステムに登録しなければ利用することができなかった。
このため、安否確認や避難行動指示等の情報の配信が真に必要な人だけでなく、安否確認をする必要のない人や、避難行動指示等の情報の配信が必要ない人に対してもなされ、必要な人への迅速かつ適切な災害対策を実施することが困難であった。また、無線端末を所有していても、情報配信を登録していなければ、たとえ災害発生地域にいたとしても、情報が配信されることはなかった。
【0009】
さらに、災害発生地域以外にいる人とシステムとの間で多量のメッセージ交換が行われるため、メッセージ伝達の遅延やネットワークの輻輳を招き、災害発生時に真に必要な緊急通信の確保が困難となる場合があった。
設備、装置、システム等の監視においても、例えば、災害発生地域以外の設備、装置、システム等の監視システム等からも、管理センタ等にモニタ情報が配信され、真に監視が必要な災害発生地域に存在する設備、装置、システム等だけに集中して障害の発生の有無等を的確に把握することが困難であった。
同様に、要援護者への支援要請等においても、災害発生地域以外にいて援護の必要のない要援護者を担当する援護者にも支援要請等の情報が配信され、迅速で的確な要援護者への支援活動を実施することが困難であった。
【0010】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、災害発生地域に存在する無線端末の利用者を特定し、災害発生直後に直ちに特定した利用者の安否確認を得るとともに、避難行動指示等の情報を特定した利用者に配信する状態情報管理システムを提供することにある。また、災害発生地域に存在する無線端末と連携して動作する設備、装置、システム等を特定し、災害発生直後に直ちに特定した設備、装置、システム等の障害発生の有無等の状態情報を把握する状態情報管理システムを提供することにある。さらに、災害発生地域に存在する無線端末を使用している要援護者を特定し、的確にこの要援護者を担当している援護者に支援を要請するとともに、この援護者の支援活動実施の可否に関する援護者の状態を把握する状態情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明にかかる状態情報管理システムは、緊急時に無線局から当該無線局の無線エリア内へ一斉同報される緊急情報を受信する複数の無線端末と、これら無線端末との間で各種メッセージをやり取りすることにより緊急時における各種状態情報を取得して管理する状態情報管理サーバとを含む状態情報管理システムであって、無線端末は、緊急情報の受信に応じて、当該無線端末の存在位置を示す位置情報と当該無線端末IDとを含む位置応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信し、状態情報管理サーバは、無線端末からの位置応答メッセージを受信して当該無線端末の位置情報を抽出し蓄積部へ登録する。
【0012】
この際、無線端末で、位置応答メッセージを送信した後、操作入力に応じて当該無線端末の利用者の状態を示す状態情報と、記憶部に予め保存されている利用者情報とを含む状態応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信し、状態情報管理サーバで、無線端末からの状態応答メッセージを受信して当該利用者の状態情報と利用者情報とを抽出し蓄積部へ登録するようにしてもよい。
【0013】
また、状態情報管理サーバで、無線端末からの位置応答メッセージの受信に応じて、当該無線端末の利用者に対する行動指示を含む行動指示メッセージを当該無線端末へ送信し、無線端末で、状態情報管理サーバからの行動指示メッセージの受信に応じて、当該行動指示メッセージに対応した所定の対応動作を行うようにしてもよい。
【0014】
また、無線端末で、緊急情報の受信に応じて、当該無線端末と接続されている連携装置の緊急対応動作を起動し、当該緊急対応処理に関する連携装置からの処理結果の通知に応じて、当該処理結果を含む状態応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信し、状態情報管理サーバで、無線端末からの状態応答メッセージを受信して当該状態情報を抽出し蓄積部へ登録するようにしてもよい。
【0015】
また、無線端末と予め関連付けられて、状態情報管理サーバからの行動指示メッセージの受信に応じて、当該端末の利用者の状態を示す状態情報と、記憶部に予め保存されている利用者情報とを含む状態応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信する関連端末をさらに備え、状態情報管理サーバで、無線端末からの状態応答メッセージの受信に応じて、当該無線端末と予め関連付けられている関連端末へ当該関連端末の利用者への行動指示を含む行動指示メッセージを送信し、行動指示メッセージに応じて関連端末から送信された状態応答メッセージに含まれている当該関連端末の利用者の状態情報と利用者情報とを抽出し蓄積部へ登録するようにしてもよい。
【0016】
また、無線端末で、対応処理として、行動指示メッセージの受信を報知するとともに当該行動指示メッセージを表示するようにしてもよい。
【0017】
また、緊急対応処理として、連携装置に関する状態を判定してその状態判定結果を処理結果として出力する状態判定処理を含み、無線端末で、連携装置からの処理結果として通知された連携装置に関する状態判定結果を含む状態応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信するようにしてもよい。
【0018】
また、無線端末で、緊急情報を解析してその緊急情報内容を抽出し、位置応答メッセージに加えて状態情報管理サーバへ送信し、状態情報管理サーバで、無線端末からの位置応答メッセージを受信して当該無線端末の位置情報と緊急情報内容とを抽出し蓄積部へ登録するようにしてもよい。
【0019】
また、状態情報管理サーバで、位置応答メッセージの受信から所定時間内に当該無線端末から状態応答メッセージを受信できない場合、状態情報の送信を促す督促指示メッセージを当該無線端末へ送信し、無線端末は、状態情報管理サーバからの督促指示メッセージの受信に応じて、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知するようにしてもよい。
【0020】
また、状態情報管理サーバで、行動指示メッセージの送信から所定時間内に当該無線端末から状態応答メッセージを受信できない場合、状態情報の送信を促す督促指示メッセージを当該無線端末へ送信し、無線端末は、状態情報管理サーバからの督促指示メッセージの受信に応じて、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知するようにしてもよい。
【0021】
また、無線端末で、緊急情報の受信から所定時間内に当該無線端末から状態応答メッセージを送信していない場合、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知するようにしてもよい。
【0022】
また、関連端末で、状態情報管理サーバからの行動指示メッセージの受信に応じて、当該行動指示メッセージに対応した所定の対応動作を行うようにしてもよい。
【0023】
また、関連端末で、対応動作として、行動指示メッセージの受信を報知するとともに当該行動指示メッセージを表示するようにしてもよい。
【0024】
また、関連端末で、当該関連端末の存在位置を示す位置情報を状態応答メッセージに加えて状態情報管理サーバへ送信し、状態情報管理サーバで、関連端末からの状態応答メッセージを受信して当該関連端末の状態情報と位置情報を抽出し蓄積部へ登録するようにしてもよい。
【0025】
また、関連端末で、行動指示メッセージの受信から所定時間内に当該関連端末から状態応答メッセージを送信していない場合、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知するようにしてもよい。
【0026】
また、状態情報管理サーバで、行動指示メッセージの送信から所定時間内に当該関連端末から状態応答メッセージを受信できない場合、状態情報の送信を促す督促指示メッセージを送信し、関連端末で、状態情報管理サーバからの督促指示メッセージの受信に応じて、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知するようにしてもよい。
【0027】
また、本発明にかかる状態情報管理方法は、無線端末が、緊急時に無線局から当該無線局の無線エリア内へ一斉同報される緊急情報の受信に応じて、当該無線端末の存在位置を示す位置情報を含む位置応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信するステップと、状態情報管理サーバが、無線端末からの位置応答メッセージを受信して当該無線端末の位置情報を抽出し蓄積部へ登録するステップとを備えている。
【0028】
また、本発明にかかる状態情報管理サーバは、緊急時に無線局から当該無線局の無線エリア内へ一斉同報される緊急情報を受信する複数の無線端末と、これら無線端末との間で各種メッセージをやり取りすることにより緊急時における各種状態情報を取得して管理する状態情報管理サーバとを含む状態情報管理システムで用いられる状態情報管理サーバであって、緊急情報の受信に応じて無線端末から送信された、当該無線端末の存在位置を示す位置情報を含む位置応答メッセージを受信し、当該無線端末の位置情報を抽出して蓄積部へ登録する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、災害発生時等に真に安否を確認する必要のある人を迅速かつ正確に特定することができる。また、迅速かつ正確にその人の安否を特定することができる。また、真に避難行動等の行動指示を伝達することが必要な人を特定し、効率よく、かつ迅速に行動指示等を伝達し、避難後に安否を確認することが可能となる。また、災害発生時に、災害発生地域に存在する設備、装置、システム等の障害発生状況等の状態を、迅速かつ正確に把握することが可能となる。さらに、災害発生地域にいる要援護者を特定し、この要援護者を担当する援護者に支援を要請するとともに、この援護者による支援の可否の状態を把握することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる状態情報管理システムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる状態情報管理システムの基本構成を示すブロック図である。図2は、図1の状態情報管理サーバの構成を示すブロック図である。図3は、図1の無線端末の構成を示すブロック図である。
【0031】
本実施の形態にかかる状態情報管理システムは、基本構成として、状態情報管理サーバ10、無線局30、および無線端末20を含んでおり、状態情報管理サーバ10と無線局30とが通信ネットワーク50を介して接続されており、無線局30と無線端末20とが無線回線を介して接続されている。また、通信ネットワーク50には、緊急情報送出局51を介して緊急情報を提供する緊急情報提供装置52と接続されている。
【0032】
状態情報管理サーバ10は、コンピュータを搭載する一般的なサーバ装置からなり、各無線端末20について、少なくともその存在位置を示す位置情報を管理する機能を有している。図2に示すように、状態情報管理サーバ10には、主な機能部として、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)11、状態情報管理部12、および蓄積部13が設けられている。
【0033】
通信I/F部11は、専用の通信回路からなり、通信ネットワーク50を介して無線局30などの各種通信装置との間でデータ通信を行う機能を有している。
状態情報管理部12は、CPUとプログラムとが協働して実現する演算処理部からなり、通信I/F部11を介して無線端末20からの位置応答メッセージを受信する機能と、この位置応答メッセージから当該無線端末20の位置情報を抽出して蓄積部13へ登録する機能とを有している。
蓄積部13は、ハードディスクなどの記憶装置からなり、上記プログラムや演算処理部で使用する各種処理情報を記憶する機能と、状態情報管理部12で抽出した位置情報を無線端末ごとに蓄積する機能を有している。
【0034】
無線端末20は、携帯電話や固定無線端末など、コンピュータを搭載する一般的な無線情報端末からなり、無線局30を介して通信ネットワーク50と接続して各種データ通信を行う機能を有している。図3に示すように、無線端末20には、無線インターフェース部(以下、無線I/F部という)21、緊急情報受信部22、応答処理部23、および記憶部24が設けられている。
【0035】
無線I/F部21は、専用の通信回路からなり、無線回線を介して無線局30と接続することにより、状態情報管理サーバ10や緊急情報送出局51などの各種通信装置とデータ通信を行う機能を有している。
緊急情報受信部22は、CPUとプログラムとが協働して実現する演算処理部からなり、緊急時に緊急情報提供装置52から緊急情報送出局51を介して送信され、接続している無線局30から一斉同報された緊急情報を受信する機能を有している。
【0036】
応答処理部23は、CPUとプログラムとが協働して実現する演算処理部からなり、接続している無線局30に関する固有の情報を当該無線端末20の位置情報として記憶部24へ保存する機能と、緊急情報受信部22での緊急情報の受信に応じて、当該無線端末20の存在位置を示す位置情報を記憶部24から読み出し、少なくともこの位置情報を含む位置応答メッセージを無線I/F部21から状態情報管理サーバ10へ送信する機能とを有している。
記憶部24は、メモリなどの記憶装置からなり、上記プログラムや演算処理部で使用する各種処理情報を記憶する機能と、当該無線端末20の位置情報を記憶する機能と、予め設定された無線端末IDや利用者情報などを記憶する機能とを有している。
【0037】
図1の例では、無線端末T1、T2、T3(20)は、無線局A(30)がカバーする無線エリアであるエリアA内に存在し、無線端末T4、T5、T6(20)は、無線局B(30)がカバーする無線エリアであるエリアB内に存在している。これら無線端末20や無線局30の数はあくまでも一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
また、緊急情報提供装置52は、例えば、気象情報等を提供する気象庁、避難行動指示等を提供する自治体、あるは、緊急情報提供サービスを行う事業者等の装置に該当する。
【0038】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作について説明する。ここでは、緊急情報提供装置AからエリアAに限定して緊急情報が一斉同報され、無線端末T1がこの緊急情報を受信する場合を例にとって説明する。なお、無線局30における一斉同報については、セルブロードキャストサービス(例えば、非特許文献1など参照)等の公知技術を利用すればよい。
【0039】
緊急情報提供装置A(52)から、緊急情報送出局51および無線局A(30)を介して、エリアAに限定して特定緊急情報が一斉同報された場合、当該エリアA内に存在する無線端末T1(20)は、無線I/F部21を介して緊急情報受信部22で特定緊急情報を受信する。
無線端末T1の応答処理部23は、記憶部24から当該無線端末T1の位置情報と無線端末IDを読み出して、これら位置情報と無線端末IDとを含む位置応答メッセージを、無線I/F部21から状態情報管理サーバ10へ自動で送信する。
【0040】
一方、状態情報管理サーバ10は、状態情報管理部12により、通信I/F部11を介して無線端末T1から位置応答メッセージを受信し、この位置応答メッセージから無線端末T1を特定する無線端末IDおよび無線端末T1の存在する位置を示す位置情報等を抽出し、蓄積部13に登録する。
【0041】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、緊急情報が任意のエリアで一斉同報された場合、これに応じて当該エリア内に存在する各無線端末20から位置応答メッセージが自動送信されて状態情報管理サーバ10で収集され、各無線端末20の位置情報が当該無線端末IDごとに、直ちに状態情報管理サーバ10へ登録される。
【0042】
したがって、状態情報管理サーバ10のユーザインターフェース部(図示せず)や通信I/F部11を介して接続された外部装置(図示せず)からの指示に応じて、状態情報管理部12で蓄積部13を検索することにより、緊急情報が一斉同報された直後であっても、任意のエリアに存在する無線端末20を特定することができる。このため、存在確認が最も必要となる災害発生地域、すなわち緊急情報が一斉同報されたエリアに存在する不特定多数の無線端末を迅速かつ確実に把握することが可能となる。
【0043】
また、災害発生地域外のエリアに存在する無線端末を状態情報管理サーバ10の管理対象から自動的に除外することができる。このため、状態情報管理サーバ10とのデータ通信を行う無線端末数を最小限に抑制することができ、災害発生時に発生しやすいネットワークの輻輳を抑制することが可能となる。
【0044】
また、本実施の形態では、無線端末20の存在する場所を特定する位置情報としては、無線端末20が存在する無線局30のエリア情報や衛星等による測位データ等を利用すればよい。
例えば、無線端末20が携帯電話の場合、無線端末が通信を行っている無線局を特定する無線局ID等の情報から、無線局がカバーする地域、あるいは、大まかな緯度経度等を特定することが可能である。また、3局以上の無線局の情報を基にすると、より限定された位置情報を特定することができる。
例えば、無線端末20がIEEE802.11で規定される無線LAN端末の場合、無線端末をカバーするアクセスポイントの識別子であるSSID等が無線局IDとして利用でき、アクセスポイントがカバーするエリアを割り出し、無線LAN端末が存在する地域を特定することが可能である。
【0045】
また、無線端末が位置情報を取得する機能を有していない場合、状態情報管理サーバが、無線端末と通信を行っている基地局や通信を管理するサーバ等と連携することにより、無線端末と通信を行っている無線局ID等を抽出し、この無線局がカバーするエリアを位置情報として利用することができる。
また、無線端末がGPS等の衛星による測位機能を有している場合、この無線端末の存在する位置を特定する情報として、衛星による測位データを用いることが可能である。衛星による測位データを用いる場合、無線局IDによる位置情報に比べ、より地域を限定することができ、正確できめ細かい安否確認等の処理が可能となる。
【0046】
また、無線端末を特定する無線端末IDとしては、無線端末固有のIDだけでなく、例えば携帯電話の電話番号、メールアドレス等の通信用ID、無線端末の所有者の氏名、所有者を特定するコードなどの所有者を特定するID等を用いてもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、無線端末20により、受信した緊急情報を応答処理部23で解析してその緊急情報内容を抽出し、位置応答メッセージに加えて状態情報管理サーバ10へ送信してもよい。これに応じて、状態情報管理サーバ10の状態情報管理部12により、無線端末20からの位置応答メッセージを受信して、当該無線端末20の位置情報と緊急情報内容とを抽出し蓄積部13へ登録すればよい。
これにより、任意の無線端末が存在するエリアでどのような緊急事態が発生したかを詳細に把握できる。
【0048】
また、無線端末20の応答処理部23により、緊急情報の内容に対応した処理プログラムを選択して、無線端末20の演算処理部で起動してもよく、緊急情報の内容に対応した対応動作を実行することが可能となる。
また、状態情報管理サーバ10の状態情報管理部12により、緊急情報の内容に対応した処理プログラムを選択して、状態情報管理サーバ10の演算処理部で起動してもよく、緊急情報の内容に対応した対応動作を実行することが可能となる。
【0049】
例えば、無線端末20や状態情報管理サーバ10が、当該緊急情報が緊急地震速報であると判定した場合、緊急地震速報に対応した処理プログラムを選択し、例えば地震対策に関連する対応動作を実行できる。また、緊急情報が津波情報であると判定した場合、津波情報に対応した処理プログラムを選択し、例えば津波対策に関連する対応動作を実行できる。
【0050】
[第2の実施の形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる状態情報管理システムについて説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態にかかる状態情報管理システムの要部を示すブロック図であり、前述の図2および図3と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0051】
第1の実施の形態では、緊急事態が発生した際、その発生エリアに存在する無線端末20から当該無線端末20の存在する位置を示す位置情報を、状態情報管理サーバ10で収集する場合を例として説明した。本実施の形態では、位置応答メッセージを送信した無線端末20から、当該利用者の状態を示す状態情報を、状態情報管理サーバ10で収集する場合について説明する。
【0052】
図4に示すように、本実施の形態にかかる無線端末20には、応答処理部23の処理部として、位置応答部23Aと状態応答部23Bとが設けられている。
位置応答部23Aは、緊急情報の受信に応じて、当該無線端末の存在位置を示す位置情報と当該無線端末IDとを含む位置応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信する機能を有している。
状態応答部23Bは、位置応答メッセージを送信した後、操作入力に応じて当該無線端末の利用者の状態を示す状態情報と、記憶部24に予め保存されている利用者情報とを含む状態応答メッセージを状態情報管理サーバ10へ送信する機能とを有している。
【0053】
また、本実施の形態にかかる無線端末20には、ユーザI/F部25は、無線端末20を操作するための各種キーや、緊急情報、行動指示メッセージ、状態情報の入力画面、アラート画面などの各種情報を画面表示する画面表示部、さらには音声を入出力する音声処理部などから構成されている。
【0054】
また、本実施の形態にかかる状態情報管理サーバ10には、状態情報管理部12の処理部として、位置登録部12Aと状態登録部12Bとが設けられている。
位置登録部12Aは、無線端末20からの位置応答メッセージを受信して当該無線端末20の位置情報と無線端末IDを抽出し蓄積部13へ登録する機能を有している。
状態登録部12Bは、無線端末20からの状態応答メッセージを受信して当該無線端末20の利用者の状態情報と利用者情報を抽出し蓄積部13へ登録する機能を有している。
なお、本実施の形態にかかる状態情報管理システム、状態情報管理サーバ10、および無線端末20における他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0055】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作について説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。
ここでは、発災後に直ちに安否確認が必要とされる一例として、緊急地震速報がキャリア等のセルブロードキャストサービスによって配信され、緊急地震速報を受信した人が直ちに安否確認を行う場合を例にとって説明する。緊急地震速報の場合、予測が公表されてから地震が発生するまでの時間が短いため、緊急地震速報発出後に直ちに無線端末の利用者の安否を確認することが要求される。
【0056】
緊急情報提供装置52から、緊急情報送出局51および無線局30を介して、特定のエリアに限定して緊急地震速報が一斉同報された場合(ステップ100)、当該エリア内に存在する無線端末20は、無線I/F部21を介して緊急情報受信部22で緊急地震速報を受信する。
無線端末20の位置応答部23Aは、記憶部24から当該無線端末20の位置情報と無線端末IDを読み出して(ステップ101)、これら位置情報と無線端末IDを含む位置応答メッセージを、無線I/F部21から状態情報管理サーバ10へ自動で送信し(ステップ102)、利用者により安否情報の入力操作待ちとなる(ステップ103)。
【0057】
一方、状態情報管理サーバ10は、位置登録部12Aにより、通信I/F部11を介して無線端末20から位置応答メッセージを受信して解析し(ステップ104)、この位置応答メッセージから無線端末20を特定する無線端末IDおよび無線端末20の存在する位置を示す位置情報等を抽出して蓄積部13に登録し(ステップ105)、後続の状態応答メッセージの受信待ちとなる(ステップ106)。
【0058】
続いて、緊急地震速報の受信に気付いた利用者が、無線端末20のユーザI/F部25として設けられている各種キーを操作して、自己の安否状態を入力した場合(ステップ110)、状態応答部23Bは、ユーザI/F部25から安否情報を取得する(ステップ111)。そして、その後の送信操作に応じて(ステップ112)、この安否情報からなる状態情報と記憶部24から読み出した利用者情報とを含む状態応答メッセージを、無線I/F部21から状態情報管理サーバ10へ送信する(ステップ113)。この際、無線端末20を複数の利用者で共用している場合、記憶部24に予め保存されている利用者情報から、操作に応じて選択された任意の利用者情報を状態応答メッセージで送信すればよい。なお、状態応答メッセージを送信する際、利用者を特定する氏名などをテキスト文で入力したものを利用者情報として用いてもよい。
【0059】
状態情報管理サーバ10は、状態登録部12Bにより、通信I/F部11を介して無線端末20から状態応答メッセージを受信して解析し(ステップ114)、この状態応答メッセージから利用者の状態を示す状態情報として安否情報を抽出するとともに、当該利用者を特定する利用者情報等を抽出し、当該無線端末IDと関連付けて蓄積部13に登録する(ステップ115)。
【0060】
ここで、図6を参照して、状態情報管理サーバでの状態情報の登録例について説明する。図6は、状態情報管理サーバの状態情報管理テーブルの構成例である。
状態情報管理サーバ10の状態情報管理部12は、蓄積部13内に図6のような状態情報管理テーブルを構成して、各無線端末20から通知された位置情報や状態情報を管理している。図6の例では、無線局30のエリアごとに当該エリアに存在する無線端末の無線端末IDが登録されており、無線端末IDごとに、当該無線端末の利用者IDと安否情報とが登録されている。この例からは、エリアAに存在する無線端末は、T1、T2、T3であり、また、エリアBに存在する無線端末は、T4、T5、T6であることを特定することができる。
【0061】
また、エリアAに存在する人は、無線端末の利用者P1、P2であり、エリアBに存在する人は、無線端末の利用者P4、P5であることを特定することができる。また、無線端末の利用者P1、P2、P4は無事であるが、無線端末の利用者P5は負傷していることを特定することができる。一方、無線端末T3、T4からは、状態応答メッセージが受信されていないため、利用者IDと安否情報は不明となっている。
【0062】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、緊急情報が任意のエリアで一斉同報された場合、これに応じて当該エリア内に存在する各無線端末20から状態情報管理サーバ10に対して位置応答メッセージが自動送信されて、各無線端末20の位置情報が当該無線端末IDごとに、直ちに状態情報管理サーバ10へ登録され、位置応答メッセージ送信後の利用者操作に応じて、各無線端末20から状態情報管理サーバ10に対して状態応答メッセージが送信されて、各無線端末20の利用者の安否を示す状態情報が当該無線端末IDごとに、状態情報管理サーバ10へ登録される。
【0063】
これにより、災害発生地域に存在する無線端末20を確認できるのに加えて、当該無線端末20の利用者が無事なのか負傷しているのかなどの利用者の安否を迅速に特定することができる。したがって、無事な人に対して取るべき行動の指示や、負傷した人の救済活動の開始等の初動期に必要な災害対策を、迅速かつ的確にとることが可能となる。
また、災害発生地域外のエリアに存在する無線端末を状態情報管理サーバ10の管理対象から自動的に除外することができる。このため、状態情報管理サーバ10とのデータ通信を行う無線端末数を最小限に抑制することができ、災害発生時に発生しやすいネットワークの輻輳を抑制することが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態では、無線端末20が位置応答メッセージを送信後に、利用者の操作を待機する場合について説明したが、無線端末20の状態応答部23Bにより、緊急情報の受信に応じてタイマーを起動し、緊急情報の受信から所定時間内に、安否情報入力や送信のための利用者操作が検出されない場合、安否情報の入力および送信を促す内容を当該利用者に報知するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施の形態において、状態情報管理サーバ10の状態登録部12Bにより、位置応答メッセージの受信に応じてタイマーを起動し、位置応答メッセージの受信から所定時間内に当該無線端末から状態応答メッセージを受信できない場合、状態情報の送信を促す督促指示メッセージを当該無線端末20へ送信し、無線端末20の状態応答部23Bにより、状態情報管理サーバ10からの督促指示メッセージの受信に応じて、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知するようにしてもよい。
【0066】
無線端末20における当該利用者への報知動作としては、無線端末20に予め具備されている一般的なアラート機能であるディスプレイやランプの点滅、きょう体の振動、音信号の発生等のいずれか1つ、あるいは、複数を組み合わせた動作を実施すればよい。また、回転灯等の外部システムのアラート機能の起動、あるいは上記動作と組み合わせて、実施してもよい。
【0067】
また、本実施の形態では、前述した図6のような状態情報管理テーブルの構成例について説明したが、他の構成例でもよい。図7は、状態情報管理サーバの状態情報管理テーブルの他の構成例である。
ここでは、無線端末20からの位置応答メッセージに、無線端末20の存在する位置を特定するGPSデータ、緊急情報の内容、無線端末20が当該位置応答メッセージを送信した時刻等の情報がさらに含まれており、状態応答メッセージに無線端末20が状態応答メッセージを送信した時刻等の情報がさらに含まれているものとする。
【0068】
図7の例では、位置応答メッセージから抽出したデータとして、無線端末IDごとに、当該無線端末が存在するエリアとして無線局30のエリア情報、当該無線端末のGPS機能で測位したGPSデータ、当該無線端末で緊急情報から抽出した緊急情報内容、当該無線端末で記録した緊急情報の受信時刻、および当該無線端末で記録した当該位置応答メッセージの送信時刻がそれぞれ対応付けられて登録されている。
【0069】
この例からは、緊急情報が配信されたエリアに存在している無線端末はT1、T2、T3、T4であること、無線端末T1、T3、T4はエリアAに存在しており、かつそれぞれGPSデータGPS1、GPS3、GPS4の位置に存在していること、無線端末T2はエリアBに存在しており、かつGPSデータGPS2の位置に存在していることを特定することができる。
【0070】
また、無線端末20から位置応答メッセージにより緊急情報内容が通知された場合、無線端末T1とT3が受信した緊急情報は緊急地震速報A1であり、無線端末T2が受信した緊急情報は緊急地震速報B1であり、さらに、無線端末T4が受信した緊急清報は緊急地震速報A2であることを特定することができる。また、無線端末20ごとに、各無線端末が位置応答メッセージを送信した時刻と、この無線端末20からの位置応答メッセージを状態情報管理サーバ10が受信した時刻とを特定することができる。
【0071】
また、図7の例では、状態応答メッセージから抽出したデータとして、無線端末IDごとに、当該無線端末の利用者ID、当該利用者の安否情報、状態情報管理サーバで記録された当該位置応答メッセージの受信時刻、および当該無線端末で記録した当該状態応答メッセージの送信時刻がそれぞれ対応付けられて登録されている。
【0072】
この例からは、エリアAに存在する人は、無線端末の利用者P1、P3であり、エリアBに存在する人は、無線端末の利用者P2であることを特定することができる。また、無線端末の利用者P1、P2は無事であるが、無線端末の利用者P3は負傷していることを特定することができる。一方、無線端末T4からは、状態応答メッセージが受信されていないため、利用者IDと安否確認情報は不明となっている。さらに、無線端末ごとに、各無線端末が位置応答メッセージを送信した時刻と、当該無線端末からの位置応答メッセージを状態情報管理サーバが受信した時刻とを特定することができる。
【0073】
このように、図7の構成例によれば、災害発生後直ちに、不特定多数の災害発生地域にいる人に限定し、個人毎のGPS測位データによる精度の高い位置と、配信された緊急情報とを特定し、かつ安否確認を得ることができ、初動期等の災害対策を迅速かつ的確にとることが可熊となる。また、無線端末が自動で位置応答メッセージを送信した時刻と、無線端末の利用者が状態応答メッセージを送信した時刻とを正確に把握できる。
【0074】
[第3の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる状態情報管理システムについて説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態にかかる状態情報管理システムの要部を示すブロック図であり、前述の図4と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0075】
本実施の形態では、災害発生までにある程度の時間があり、まず、災害の発生が予測される地域に存在する不特定多数の人に行動指示を行い、一定時間経過後にその人の安否を特定することが要求される場合について説明する。また、以下では、本実施の形態を前述した第2の実施の形態に適用した場合を例として説明するが、本発明にかかる他の実施の形態に適用することも可能である。
【0076】
図8に示すように、本実施の形態にかかる状態情報管理サーバ10には、第2の実施の形態と比較して、状態情報管理部12の処理部として行動指示部12Cが追加されている。
行動指示部12Cは、無線端末20からの状態応答メッセージの受信に応じて、当該無線端末20の利用者に対する行動指示を含む行動指示メッセージを、通信I/F部11から当該無線端末20へ送信する機能を有している。
【0077】
また、本実施の形態にかかる無線端末20には、第2の実施の形態と比較して、応答処理部23の処理部として指示処理部23Cが追加されている。
指示処理部23Cは、状態情報管理サーバ10からの行動指示メッセージの受信に応じて、当該行動指示メッセージに対応した所定の対応動作を行う機能を有している。
なお、本実施の形態にかかる状態情報管理システム、状態情報管理サーバ10、および無線端末20における他の構成については、第2の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0078】
[第3の実施の形態の動作]
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作について説明する。図9は、本発明の第3の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。
ここでは、災害発生までにある程度の時間がある一例として、津波情報がキャリア等のセルブロードキャストサービスによって配信され、続いて津波情報を受信した人に行動指示情報が配信され、その後行動指示情報が配信された人の安否確認を行う場合を例にとって説明する。津波情報の場合、予測が公表されてから津波が発生するまでの間にある程度の時間があるため、まず避難を促した後、端末の利用者の安否を確認することが可能である。
【0079】
緊急情報提供装置52から、緊急情報送出局51および無線局30を介して、特定のエリアに限定して特定緊急情報が一斉同報された場合(ステップ200)、当該エリア内に存在する無線端末20は、無線I/F部21を介して緊急情報受信部22で特定緊急情報を受信する。
無線端末20の位置応答部23Aは、記憶部24から当該無線端末20の位置情報と無線端末IDを読み出して(ステップ201)、これら位置情報と無線端末IDを含む位置応答メッセージを、無線I/F部21から状態情報管理サーバ10へ自動で送信し(ステップ202)、状態情報管理サーバ10からの行動指示メッセージの受信待ちとなる(ステップ203)。
【0080】
一方、状態情報管理サーバ10は、位置登録部12Aにより、通信I/F部11を介して無線端末20から位置応答メッセージを受信して解析し(ステップ204)、この位置応答メッセージから無線端末20を特定する無線端末IDおよび無線端末20の存在する位置を示す位置情報等を抽出して蓄積部13に登録する(ステップ205)。
【0081】
次に、状態情報管理サーバ10は、行動指示部12Cにより、位置応答メッセージを受信した無線端末20に対して、避難行動指示や避難場所、避難経路情報等、当該無線端末20の利用者に対する行動指示を含む行動指示メッセージを、通信I/F部11から送信し(ステップ210)、後続の状態応答メッセージの受信待ちとなる(ステップ211)。
【0082】
無線端末20の指示処理部23Cは、無線I/F部21を介して状態情報管理サーバ10からの行動指示メッセージを受信し、当該行動指示メッセージに対応した所定の対応動作として、例えば行動指示メッセージを受信したことを無線端末の利用者に気付かせるためのアラート動作を行うとともに(ステップ212)、受信した行動指示メッセージの表示を行い(ステップ213)。利用者により安否情報の入力操作待ちとなる(ステップ214)。
【0083】
続いて、行動指示メッセージの受信に気付いた利用者が、行動指示メッセージにより指示された行動をとった後、安全な場所で、無線端末20のユーザI/F部25として設けられている各種キーを操作して、自己の安否状態を入力した場合(ステップ220)、状態応答部23Bは、ユーザI/F部25から安否情報を取得する(ステップ221)。そして、その後の送信操作に応じて(ステップ222)、この安否情報からなる状態情報と記憶部24から読み出した利用者情報とを含む状態応答メッセージを、無線I/F部21から状態情報管理サーバ10へ送信する(ステップ223)。
【0084】
状態情報管理サーバ10は、状態登録部12Bにより、通信I/F部11を介して無線端末20から状態応答メッセージを受信して解析し(ステップ224)、この状態応答メッセージから利用者の状態を示す状態情報として安否情報を抽出するとともに、当該利用者を特定する利用者情報等を抽出し、当該無線端末IDと関連付けて蓄積部13に登録する(ステップ225)。
【0085】
したがって、本実施の形態による無線端末利用者の安否情報管理は、前述の図6や図7で示した状態情報管理テーブルの構成例と同様であり、基本的には、無線端末IDごとに、存在エリア、利用者ID、利用者の安否情報を一元的に管理している。これにより、災害発生前に災害発生予測地域にいる無線端末を特定でき、所定時間後に無線端末の利用者と利用者の安否情報を特定することができる。なお、無線端末20から位置応答メッセージにより緊急情報内容が通知された場合、図7における緊急清報の内容の欄には、緊急地震速報に代わって津波情報が登録される。
【0086】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、津波予測情報配信時等の、災害の発生が予測される地域にいる人に最初に避難行動指示等を行い、避難後に安否確認をとる必要のある災害に対して、不特定多数の災害発生地域にいる人だけを事前に迅速に把握して行動指示を行うことができる。したがって、避難後の安否確認により、無事な人に対して取るべき行動の指示や、負傷者の救済活動の開始等の初動期等に必要な災害対策を、迅速かつ的確にとることが可能となる。また、状態情報管理サーバからの行動指示メッセージを受信した無線端末の利用者は、行動指示メッセージを見ることにより緊急情報に対応した適切な行動をとることができる。
【0087】
また、津波情報が配信される無線端末は、個々の無線局がカバーするエリアに存在する無線端末に限定できるため、無線端末に送信する避難を促す情報として、そのエリアに特定した津波発生時の避難場所や避難経路等の情報を含めることができ、適切かつ迅速な避難を促すことが可能である。また、無線端末がGPS等の衛星を利用した位置検出機能を具備している場合、ピンポイントで無線端末の存在位置を把握することが可能なため、ピンポイントのエリアに限定した避難場所や避難経路等の避難情報を、ピンポイントのエリアに限定した無線端末の利用者に配信することが可能である。
【0088】
また、本実施の形態では、状態情報管理サーバ10からの行動指示メッセージを受信した無線端末20における、当該行動指示メッセージに対応した対応処理として、行動指示メッセージを受信したことを無線端末の利用者に気付かせるためのアラート処理と、受信した行動指示メッセージの表示画面への表示を行う場合を例として説明したが、例えば、当該無線端末20と連携して動作するアラートシステムを起動してもよい。また、同様に、当該無線端末20と連携して動作する他のシステムを起動して、任意の災害対応処理を行うようにしてもよい。
【0089】
また、本実施の形態では、状態情報管理サーバ10により、行動指示メッセージ送信後に無線端末20の利用者から状態応答メッセージの受信を待機する場合について説明したが、状態情報管理サーバ10の行動指示部12Cにより、行動指示メッセージ送信に応じてタイマーを起動し、この送信から所定時間が経過しても状態応答メッセージが送信されてこない場合、当該無線端末宛てに安否確認処理を促す行動指示メッセージを再送信し、無線端末20の指示処理部23Cにより、この行動指示メッセージの受信に応じて、利用者に安否確認処理の行動指示メッセージを受信したことを気付かせるためのアラート動作を行ってもよい。
【0090】
[第4の実施の形態]
次に、図10を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる状態情報管理システムについて説明する。図10は、本発明の第4の実施の形態にかかる状態情報管理システムの要部を示すブロック図であり、前述の図4と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0091】
本実施の形態では、無線端末20が、任意の設備、装置、システム等における緊急時の処理機能と連携して動作する場合について説明する。また、以下では、本実施の形態を前述した第2の実施の形態に適用した場合を例として説明するが、本発明にかかる他の実施の形態に適用することも可能である。
【0092】
図10に示すように、本実施の形態にかかる無線端末20には、第2の実施の形態と比較して、応答処理部23の処理部として処理起動部23Dが追加されている。
処理起動部23Dは、緊急情報受信部22での緊急情報の受信に応じて、当該無線端末20と接続されている連携装置の緊急対応動作を起動する機能を有している。
また、状態応答部23Bは、当該緊急対応処理に関する連携装置からの処理結果の通知に応じて、当該処理結果を含む状態応答メッセージを、無線I/F部21から状態情報管理サーバ10へ送信する機能をさらに有している。
【0093】
本実施の形態では、無線端末20と接続されている連携装置が、地震等の災害発生時における任意の設備、装置、システム等の障害発生の有無等の状態を判定する状態判定システム60である場合を例として説明する。
なお、本実施の形態にかかる状態情報管理システム、状態情報管理サーバ10、および無線端末20における他の構成については、第2の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0094】
[第4の実施の形態の動作]
次に、図11を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作について説明する。図11は、本発明の第4の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。
ここでは、発災後に直ちに安否確認が必要とされる一例として、緊急地震速報がキャリア等のセルブロードキャストサービスによって配信され、緊急地震速報を受信した人が直ちに安否確認を行う場合を例にとって説明する。
【0095】
緊急情報提供装置52から、緊急情報送出局51および無線局30を介して、特定のエリアに限定して緊急地震速報が一斉同報された場合(ステップ300)、当該エリア内に存在する無線端末20は、無線I/F部21を介して緊急情報受信部22で緊急地震速報を受信する。
【0096】
無線端末20の位置応答部23Aは、記憶部24から当該無線端末20の位置情報と無線端末IDを読み出して(ステップ301)、これら位置情報と無線端末IDを含む位置応答メッセージを、無線I/F部21から状態情報管理サーバ10へ自動で送信する(ステップ302)。
状態情報管理サーバ10は、位置登録部12Aにより、通信I/F部11を介して無線端末20から位置応答メッセージを受信して解析し(ステップ303)、この位置応答メッセージから無線端末20を特定する無線端末IDおよび無線端末20の存在する位置を示す位置情報等を抽出して蓄積部13に登録し(ステップ304)、後続の状態応答メッセージの受信待ちとなる(ステップ305)。
【0097】
一方、無線端末20の処理起動部23Dは、緊急地震速報の受信に応じて、状態判定システム60の緊急対応動作を起動させ(ステップ310)、状態判定システム60からの判定結果の受信待ちとなる(ステップ311)。
状態判定システム60は、処理起動部23Dからの起動指示に応じて、状態判定処理部61により所定の緊急対応動を起動し(ステップ312)、予め判定対象として設定されている設備、装置、システム等について、地震による障害発生の有無等の状態を判定する状態判定処理を実行する(ステップ313)。
【0098】
状態判定システム60の状態判定処理部61は、状態判定処理の終了に応じて、その判定結果を無線端末20に送信する(ステップ320)。
無線端末20の状態応答部23Bは、状態判定システム60から連携装置の処理結果として判定結果を取得し(ステップ321)、この判定結果から、状態判定システム60が判定した設備、装置、システム等における障害発生の有無等に関する状態情報と、これら判定対象を特定する判定対象IDとを抽出し、これら状態情報と判定対象IDとを含む状態応答メッセージを自動で状態情報管理サーバ10に送信する(ステップ322)。
【0099】
状態情報管理サーバ10は、状態登録部12Bにより、通信I/F部11を介して無線端末20から状態応答メッセージを受信して解析し(ステップ323)、この状態応答メッセージから、判定対象となる設備、装置、システム等の状態を示す状態情報を抽出するとともに、当該判定対象を特定する判定対象ID等を抽出し、これら連携装置の処理結果を当該無線端末IDと関連付けて蓄積部13に登録する(ステップ324)。
【0100】
したがって、本実施の形態による状態情報管理は、前述の図6や図7で示した状態情報管理テーブルの構成例と同様であり、基本的には、無線端末IDごとに、存在エリア、判定システムが判定した設備、装置、システム等を特定する判定対象ID、判定対象物ごとの障害発生の有無等を示す状態情報を一元的に管理している。これにより、災害発生前に災害発生予測地域にいる無線端末を特定でき、これら無線端末に関連付けられている判定対象について、障害発生の有無等を示す状態情報を特定することができる。なお、無線端末20から位置応答メッセージにより緊急情報内容が通知された場合、図7における緊急清報の内容の欄には、緊急地震速報が登録される。
【0101】
[第4の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、緊急情報が発出された直後に災害発生が予測される地域に存在している各種設備、装置、システム等を特定することができ、それらの設備、装置、システム等に限定して、災害発生後の状態を迅速に把握することができる。
したがって、災害発生により損壊等が生じたシステムを、迅速かつ正確に把握することが可能であり、災害発生時に設備、装置、システム等に対する効率的で適切な修理等の対応を取ることができる。なお、本実施の形態では、緊急情報が緊急地震速報である場合について説明したが、緊急情報が津波情報や洪水情報等であっても同様の効果が得られる。
【0102】
また、本実施の形態では、緊急時の処理機能として、任意の設備、装置、システム等の状態を判定する状態判定システムを用いて説明したが、例えば、緊急時にシステム等を停止する緊急停止システム等の緊急制御システムと連携してもよい。このとき、状態情報管理サーバ10は、緊急時のシステムが起動した結果として、正常動作、動作異常の発生等の状態情報を管理する。
【0103】
[第5の実施の形態]
次に、図12を参照して、本発明の第5の実施の形態にかかる状態情報管理システムについて説明する。図12は、本発明の第5の実施の形態にかかる状態情報管理システムの要部を示すブロック図であり、前述の図4および図8と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0104】
本実施の形態では、災害の発生が予測される地域にいる人々に災害情報が配信されると、当該災害発生エリアに存在する無線端末20と予め関連付けられている第三者の関連端末40に対して、状態情報管理サーバ10から行動指示を行い、第三者の状態を特定する場合について説明する。本実施の形態の具体的な適用例としては、災害の発生が予測される地域に避難等の支援が必要な要援護者がおり、要援護者に災害情報が一斉配信されると、第三者である援護者に避難支援を要請し、これに応じて援護者から要援護者に対する避難支援の可否などの状態情報を収集するケースが考えられる。
また、以下では、本実施の形態を前述した第1の実施の形態に適用した場合を例として説明するが、本発明にかかる他の実施の形態に適用することも可能である。
【0105】
関連端末40は、携帯電話や固定端末など、コンピュータを搭載する一般的な情報通信端末からなり、無線局30あるいは通信ネットワーク50と接続して各種データ通信を行う機能を有している。以下では、関連端末40が形態電話などの無線端末からなり、通信ネットワーク50に接続されている場合を例として説明する。なお、関連端末40としては通信ネットワーク50に接続されている固定端末であってもよい。
【0106】
この関連端末40には、主な機能部として、通信I/F部41、応答処理部42、記憶部43、およびユーザI/F部44が設けられている。
通信I/F部41は、専用の通信回路からなり、無線回線を介して無線局30と接続することにより、状態情報管理サーバ10などの各種通信装置との間でデータ通信を行う機能を有している。
【0107】
応答処理部42は、CPUとプログラムとが協働して実現する演算処理部からなり、主な処理部として、指示処理部42Aと状態応答部42Bとを有している。
指示処理部42Aは、状態情報管理サーバ10からの行動指示メッセージの受信に応じて、当該行動指示メッセージに対応した所定の対応動作を行う機能を有している。
状態応答部42Bは、行動指示メッセージを受信した後、操作入力に応じて当該関連端末の利用者の状態を示す状態情報と、記憶部43に予め保存されている利用者情報とを含む状態応答メッセージを状態情報管理サーバ10へ送信する機能とを有している。
【0108】
記憶部43は、メモリなどの記憶装置からなり、上記プログラムや演算処理部で使用する各種処理情報を記憶する機能と、予め設定された当該関連端末40の端末IDや利用者情報などを記憶する機能とを有している。
ユーザI/F部44は、関連端末40を操作するための各種キーや、行動指示メッセージ、状態情報の入力画面、アラート画面などの各種情報を画面表示する画面表示部、さらには音声を入出力する音声処理部などから構成されている。
【0109】
また、本実施の形態にかかる無線端末20には、前述した図3の無線端末20のうち、応答処理部23の処理部として位置応答部23Aが設けられている。
位置応答部23Aは、緊急情報の受信に応じて、当該無線端末の存在位置を示す位置情報と当該無線端末IDとを含む位置応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信する機能を有している。
【0110】
また、本実施の形態にかかる状態情報管理サーバ10には、前述した図2の状態情報管理サーバ10のうち、状態情報管理部12の処理部として、位置登録部12A、状態登録部12B、および行動指示部12Cが設けられている。
位置登録部12Aは、無線端末20からの位置応答メッセージを受信して当該無線端末20の位置情報を抽出し蓄積部13へ登録する機能を有している。
状態登録部12Bは、関連端末40からの状態応答メッセージを受信して当該関連端末40の利用者の状態情報を抽出し蓄積部13へ登録する機能を有している。
【0111】
行動指示部12Cは、無線端末20からの状態応答メッセージの受信に応じて、当該無線端末20と予め関連付けられている関連端末40の利用者に対する行動指示を含む行動指示メッセージを、通信I/F部11から当該関連端末40へ送信する機能を有している。
なお、本実施の形態にかかる状態情報管理システム、状態情報管理サーバ10、および無線端末20における他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0112】
[第5の実施の形態の動作]
次に、図13を参照して、本発明の第5の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作について説明する。図13は、本発明の第5の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。
ここでは、災害の発生が予測される地域に避難等の支援が必要な要援護者がおり、要援護者に災害情報が一斉配信されると、第三者である援護者に避難支援を要請する例を用いて説明する。
【0113】
緊急情報提供装置52から、緊急情報送出局51および無線局30を介して、特定のエリアに限定して特定緊急情報が一斉同報された場合(ステップ400)、当該エリア内に存在する無線端末20は、無線I/F部21を介して緊急情報受信部22で特定緊急情報を受信する。
無線端末20の位置応答部23Aは、記憶部24から当該無線端末20の位置情報と無線端末IDを読み出して(ステップ401)、これら位置情報と無線端末IDを含む位置応答メッセージを、無線I/F部21から状態情報管理サーバ10へ自動で送信する(ステップ402)。
【0114】
一方、状態情報管理サーバ10は、位置登録部12Aにより、通信I/F部11を介して無線端末20から位置応答メッセージを受信して解析し(ステップ403)、この位置応答メッセージから無線端末20を特定する無線端末IDおよび無線端末20の存在する位置を示す位置情報等を抽出して蓄積部13に登録する(ステップ404)。
【0115】
続いて、行動指示部12Cは、位置応答メッセージを受信した当該無線端末20の無線端末IDに基づいて蓄積部13を検索することにより、当該無線端末20と予め関連付けられている関連端末40を特定する(ステップ410)。
ここでは、要援護者である無線端末20の利用者を特定する利用者ID、この利用者を支援する1人あるいは複数の援護者の端末を特定する端末ID、援護者である端末の利用者を特定する利用者ID等が、無線端末20の無線端末IDに対応付けて、蓄積部13の状態情報管理テーブルにあらかじめ登録されており、無線端末20の無線端末IDから、要援護者である無線端末20の利用者を特定する利用者ID、要援護者を支援する複数の援護者を特定する関連端末40の利用者ID、および援護者が使用する関連端末40を特定する端末ID等を抽出することが可能な構成となっている。
【0116】
行動指示部12Cは、このようにして、例えば無線端末20の無線端末ID、要援護者である無線端末20の利用者ID、避難支援要請、避難場所、避難経路等の情報を取得し、これら情報を含む行動指示メッセージを、通信I/F部11から関連端末40へ送信し(ステップ411)、後続の状態応答メッセージの受信待ちとなる(ステップ412)。
【0117】
関連端末40の指示処理部42Aは、通信I/F部41を介して状態情報管理サーバ10からの行動指示メッセージを受信し、当該行動指示メッセージに対応した所定の対応動作として、例えば行動指示メッセージを受信したことを無線端末の利用者に気付かせるためのアラート動作を行うとともに(ステップ413)、受信した行動指示メッセージの表示を行い(ステップ414)。利用者により安否情報の入力操作待ちとなる(ステップ415)。
【0118】
その後、行動指示メッセージの受信に気付いた利用者が、行動指示メッセージの内容を確認し、関連端末40のユーザI/F部44として設けられている各種キーを操作して、避難支援の可否等からなる自己の状態を入力した場合(ステップ420)、状態応答部42Bは、ユーザI/F部25から安否情報を取得する(ステップ421)。そして、その後の送信操作に応じて(ステップ422)、この状態情報と記憶部43から読み出した利用者情報とを含む状態応答メッセージを、通信I/F部41から状態情報管理サーバ10へ送信する(ステップ423)。
【0119】
状態情報管理サーバ10は、状態登録部12Bにより、通信I/F部11を介して関連端末40から状態応答メッセージを受信して解析し(ステップ424)、この状態応答メッセージから利用者の状態を示す状態情報として、援護者の支援の可否を示す応答確認情報を抽出するとともに、援護者が使用する関連端末40を特定する端末ID、援護者を特定する利用者IDなどの当該援護者を特定する利用者情報等を抽出し、当該無線端末IDと関連付けて蓄積部13に登録する(ステップ425)。
【0120】
[第5の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態によれば、緊急情報配信時に、災害発生が予測される地域に存在する要援護者を、迅速かつ確実に把握することが可能である。また、援護者に対して、当該援護者が担当している要援護者が、援護の必要な状態にあることを迅速に伝達することができ、的確な避難支援要請を行うことができる。さらに、要請を受けた援護者の援護支援の可否を迅速に把握することができる。
また、複数の援護者がいる場合、状態情報管理サーバの状態情報管理テーブルにより、要援護者と援護支援が可能な援護者を一元的に把握でき、適切な援護活動が可能である。
【0121】
また、本実施の形態において、援護者が使用している関連端末40の存在位置を示す位置情報を状態応答メッセージに加えて状態情報管理サーバ10へ送信し、状態情報管理サーバ10は、関連端末40からの状態応答メッセージを受信して当該関連端末40の状態情報と位置情報を抽出し蓄積部13へ登録するようにしてもよい。
【0122】
例えば、関連端末40がGPS等の衛星による測位機能を有している場合、例えば要援護者が自宅から離れていたとしても、関連端末40に関するGPSデータ等の位置情報をも行動指示メッセージBに含めて援護者の無線端末20に送信することにより、迅速に要援護者の位置を把握でき、的確な避難支援等を行うことが可能である。
同様に、要援護者が使用している無線端末20がGPS等の衛星による測位機能を有している場合、状態情報管理サーバ10の状態情報管理テーブルにより、要援護者の位置情報、および援護支援が可能な援護者とその位置情報とを一元的に把握でき、要援護者に最も近くにいる、援護活動が可能な援護者を即座に把握でき、迅速かつ的確な援護活動が可能である。
【0123】
また、本実施の形態において、関連端末40の状態応答部42Bで、行動指示メッセージの受信に応じてタイマーを起動し、行動指示メッセージの受信から所定時間内に当該関連端末から状態応答メッセージを送信していない場合、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知するようにしてもよい。
【0124】
また、本実施の形態において、状態情報管理サーバ10の状態登録部12Bにより、行動指示メッセージに応じてタイマーを起動し、行動指示メッセージの送信から所定時間内に当該関連端末40から状態応答メッセージを受信できない場合、状態情報の送信を促す督促指示メッセージを送信し、関連端末40の状態応答部42Bにより、状態情報管理サーバ10からの督促指示メッセージの受信に応じて、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる状態情報管理システムの基本構成を示すブロック図である。
【図2】図1の状態情報管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】図1の無線端末の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる状態情報管理システムの要部を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】状態情報管理サーバの状態情報管理テーブルの構成例である。
【図7】状態情報管理サーバの状態情報管理テーブルの他の構成例である。
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかる状態情報管理システムの要部を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態にかかる状態情報管理システムの要部を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態にかかる状態情報管理システムの要部を示すブロック図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態にかかる状態情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0126】
1…状態情報管理システム、10…状態情報管理サーバ、11…通信I/F部、12…状態情報管理部、12A…位置登録部、12B…状態登録部、12C…行動指示部、13…蓄積部、20…無線端末、21…無線I/F部、22…緊急情報受信部、23…応答処理部、23A…位置応答部、23B…状態応答部、23C…指示処理部、23D…処理起動部、24…記憶部、25…ユーザI/F部、30…無線局、40…関連端末、41…通信I/F部、42…応答処理部、42A…指示処理部、42B…状態応答部、43…記憶部、44…ユーザI/F部、50…通信ネットワーク、51…緊急情報送出局、52…緊急情報提供装置、60…状態判定システム、61…状態判定処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急時に無線局から当該無線局の無線エリア内へ一斉同報される緊急情報を受信する複数の無線端末と、これら無線端末との間で各種メッセージをやり取りすることにより緊急時における各種状態情報を取得して管理する状態情報管理サーバとを含む状態情報管理システムであって、
前記無線端末は、前記緊急情報の受信に応じて、当該無線端末の存在位置を示す位置情報と当該無線端末IDとを含む位置応答メッセージを前記状態情報管理サーバへ送信し、
前記状態情報管理サーバは、前記無線端末からの位置応答メッセージを受信して当該無線端末の位置情報を抽出し蓄積部へ登録する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の状態情報管理システムにおいて、
前記無線端末は、前記位置応答メッセージを送信した後、操作入力に応じて当該無線端末の利用者の状態を示す状態情報と、記憶部に予め保存されている利用者情報とを含む状態応答メッセージを前記状態情報管理サーバへ送信し、
前記状態情報管理サーバは、前記無線端末からの状態応答メッセージを受信して当該利用者の状態情報と利用者情報とを抽出し前記蓄積部へ登録する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の状態情報管理システムにおいて、
前記状態情報管理サーバは、前記無線端末からの位置応答メッセージの受信に応じて、当該無線端末の利用者に対する行動指示を含む行動指示メッセージを当該無線端末へ送信し、
前記無線端末は、前記状態情報管理サーバからの行動指示メッセージの受信に応じて、当該行動指示メッセージに対応した所定の対応動作を行う
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の状態情報管理システムにおいて、
前記無線端末は、前記緊急情報の受信に応じて、当該無線端末と接続されている連携装置の緊急対応動作を起動し、当該緊急対応処理に関する前記連携装置からの処理結果の通知に応じて、当該処理結果を含む状態応答メッセージを前記状態情報管理サーバへ送信し、
前記状態情報管理サーバは、前記無線端末からの状態応答メッセージを受信して当該状態情報を抽出し前記蓄積部へ登録する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の状態情報管理システムにおいて、
前記無線端末と予め関連付けられて、前記状態情報管理サーバからの行動指示メッセージの受信に応じて、当該端末の利用者の状態を示す状態情報と、記憶部に予め保存されている利用者情報とを含む状態応答メッセージを前記状態情報管理サーバへ送信する関連端末をさらに備え、
前記状態情報管理サーバは、
前記無線端末からの状態応答メッセージの受信に応じて、当該無線端末と予め関連付けられている関連端末へ当該関連端末の利用者への行動指示を含む行動指示メッセージを送信し、
前記行動指示メッセージに応じて前記関連端末から送信された状態応答メッセージに含まれている当該関連端末の利用者の状態情報と利用者情報とを抽出し前記蓄積部へ登録する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項6】
請求項3に記載の状態情報管理システムにおいて、
前記無線端末は、前記対応処理として、前記行動指示メッセージの受信を報知するとともに当該行動指示メッセージを表示することを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項7】
請求項4に記載の状態情報管理システムにおいて、
前記緊急対応処理は、前記連携装置に関する状態を判定してその状態判定結果を前記処理結果として出力する状態判定処理を含み、
前記無線端末は、前記連携装置からの処理結果として通知された前記連携装置に関する状態判定結果を含む状態応答メッセージを前記状態情報管理サーバへ送信する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の状態情報管理システムにおいて、
前記無線端末は、前記緊急情報を解析してその緊急情報内容を抽出し、前記位置応答メッセージに加えて前記状態情報管理サーバへ送信し、
前記状態情報管理サーバは、前記無線端末からの位置応答メッセージを受信して当該無線端末の位置情報と緊急情報内容とを抽出し蓄積部へ登録する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項9】
請求項1、2、3、6、8、9のいずれか1つに記載の状態情報管理システムにおいて、
前記状態情報管理サーバは、前記位置応答メッセージの受信から所定時間内に当該無線端末から状態応答メッセージを受信できない場合、状態情報の送信を促す督促指示メッセージを当該無線端末へ送信し、
前記無線端末は、前記状態情報管理サーバからの督促指示メッセージの受信に応じて、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項10】
請求項3または請求項6に記載の状態情報管理システムにおいて、
前記状態情報管理サーバは、前記行動指示メッセージの送信から所定時間内に当該無線端末から状態応答メッセージを受信できない場合、状態情報の送信を促す督促指示メッセージを当該無線端末へ送信し、
前記無線端末は、前記状態情報管理サーバからの督促指示メッセージの受信に応じて、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項11】
請求項1、2、3、6、8、9、10のいずれか1つに記載の状態情報管理システムにおいて、
前記無線端末は、前記緊急情報の受信から所定時間内に当該無線端末から状態応答メッセージを送信していない場合、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知することを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項12】
請求項5に記載の状態情報管理システムにおいて、
前記関連端末は、前記状態情報管理サーバからの行動指示メッセージの受信に応じて、当該行動指示メッセージに対応した所定の対応動作を行うことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の状態情報管理システムにおいて、
前記関連端末は、前記対応動作として、前記行動指示メッセージの受信を報知するとともに当該行動指示メッセージを表示することを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項14】
請求項5、12、13のいずれか1つに記載の状態情報管理システムにおいて、
前記関連端末は、当該関連端末の存在位置を示す位置情報を前記状態応答メッセージに加えて前記状態情報管理サーバへ送信し、
前記状態情報管理サーバは、前記関連端末からの状態応答メッセージを受信して当該関連端末の状態情報と位置情報を抽出し蓄積部へ登録する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項15】
請求項5、12、13、14のいずれか1つに記載の状態情報管理システムにおいて、
前記関連端末は、前記行動指示メッセージの受信から所定時間内に当該関連端末から状態応答メッセージを送信していない場合、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知することを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項16】
請求項5、12、13、14、15のいずれか1つに記載の状態情報管理システムにおいて、
前記状態情報管理サーバは、前記行動指示メッセージの送信から所定時間内に当該関連端末から状態応答メッセージを受信できない場合、状態情報の送信を促す督促指示メッセージを送信し、
前記関連端末は、前記状態情報管理サーバからの督促指示メッセージの受信に応じて、状態情報の送信を促す内容を当該利用者に報知する
ことを特徴とする状態情報管理システム。
【請求項17】
無線端末が、緊急時に無線局から当該無線局の無線エリア内へ一斉同報される緊急情報の受信に応じて、当該無線端末の存在位置を示す位置情報を含む位置応答メッセージを状態情報管理サーバへ送信するステップと、
状態情報管理サーバが、前記無線端末からの位置応答メッセージを受信して当該無線端末の位置情報を抽出し蓄積部へ登録するステップと
を備えること特徴とする状態情報管理方法。
【請求項18】
緊急時に無線局から当該無線局の無線エリア内へ一斉同報される緊急情報を受信する複数の無線端末と、これら無線端末との間で各種メッセージをやり取りすることにより緊急時における各種状態情報を取得して管理する状態情報管理サーバとを含む状態情報管理システムで用いられる状態情報管理サーバであって、
前記緊急情報の受信に応じて前記無線端末から送信された、当該無線端末の存在位置を示す位置情報を含む位置応答メッセージを受信し、当該無線端末の位置情報を抽出して蓄積部へ登録する
ことを特徴とする状態情報管理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−230203(P2009−230203A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71521(P2008−71521)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】