現像装置、キャリア、トナー、現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】トナー濃度変動の位相を制御することによってトナー濃度の均一化を行い、トナー濃度の変動やトナー帯電量のばらつきを抑えることができる現像装置を提供する。
【解決手段】本発明の現像装置では、トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点(例えば2つのスクリュ402,403の間の仕切り板404に設けた開口部404a)を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路(経路1、経路2)を通過させることにより該現像剤中のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を有する構成としており、空間的にトナー濃度変動のある現像剤同士を、位相をずらした状態で重ねることにより、トナー濃度の高いところと低いところが平均化され、トナー濃度が均一化される。
【解決手段】本発明の現像装置では、トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点(例えば2つのスクリュ402,403の間の仕切り板404に設けた開口部404a)を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路(経路1、経路2)を通過させることにより該現像剤中のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を有する構成としており、空間的にトナー濃度変動のある現像剤同士を、位相をずらした状態で重ねることにより、トナー濃度の高いところと低いところが平均化され、トナー濃度が均一化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて現像を行なう現像装置と、その現像装置に用いられるキャリア、トナー及び現像剤と、前記現像装置を備えたプロセスカートリッジと、前記現像装置または前記プロセスカートリッジを備え、電子写真方式を利用した画像形成を行う複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。さらに本発明は、前記現像装置または前記プロセスカートリッジを複数備え、カラー作像が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二成分現像剤を用いて現像を行なう2軸搬送タイプの現像装置として、現像剤担持体(現像ローラ(スリーブ))への現像剤供給及び回収用の現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)及び供給回収搬送路と、トナー補給後の搬送攪拌用の現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)及び攪拌搬送路の、2つの現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)及び2つの搬送路で構成され、これらが現像剤担持体の下方に略水平方向に配置されている構成のものが知られている。
【0003】
このような2軸搬送タイプの現像装置においては、現像装置内の現像剤は、トナー補給やトナー消費(現像)によって空間的にトナー濃度変動している。そこで従来は、現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)で現像剤を拡散させることによってそのトナー濃度変動を小さくしてきた。スクリュ等の現像剤搬送部材での拡散能力を上げるには、スクリュの回転数を上げたりフィンを取り付けたりなどスクリュ形状を工夫したりできるが、それにも限界があり、現像剤が現像剤担持体(現像ローラ、スリーブ等)に到達するまでに十分に拡散しきれず、現像剤担持体に汲み上げられた現像剤にもトナー濃度変動が残ってしまっているのが現状である。
【0004】
そこで、2軸搬送タイプの現像装置において、現像剤担持体の軸方向のトナー濃度偏差を小さくするため、2つのスクリュ間に設けた仕切り板(隔壁)に複数個の開口部を設けるとともに、仕切り板に現像剤搬送方向に対し傾斜し開口部に現像剤を案内する案内部材を設けたものが提案されている(特許文献1等参照)。
【0005】
【特許文献1】実公平6−6380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の2軸構成の現像装置は、現像剤搬送部材(例えばスクリュ)上において現像剤の流れに分岐がなかったために、トナー補給や消費によってスクリュ上にできたトナー濃度変動の波形がそのまま維持されてしまっていた。そして、波形を維持したままスクリュの撹拌・搬送によってその波形の振幅のみを小さくしようとしていたため、波形の振幅が無視できるほど小さくなるまでには、現像剤が現像装置内を何周もする必要があった。
【0007】
特許文献1に記載の従来技術では、2軸現像装置のスリーブの軸方向の偏差を縮小することが目的であり、仕切り板に開口部を備えているが、トナー濃度変動の位相の制御は行っていない。つまり、上記の目的を達成するためには、スリーブから遠い方のスクリュからスリーブ側のスクリュへ開口部を通過する剤の流れが必要不可欠なものとなっており、やはり波形の振幅が無視できるほど小さくなるまでには、現像剤が現像装置内を何周もする必要があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、トナー濃度変動の位相を制御することによってトナー濃度の均一化を瞬時に行なうことができ、現像剤担持体に現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができる構成の現像装置と、これを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。また、本発明は、前記現像装置やプロセスカートリッジ、画像形成装置に用いるのに最適なトナー、キャリア及び現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では以下のような技術的手段を採っている。
本発明の第1の手段は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて潜像担持体上の潜像を現像し顕像化する現像装置において、トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路を通過させることにより該現像剤中のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の手段は、第1の手段の現像装置において、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体と平行に配置され互いに異なる方向に現像剤を搬送する2つの現像剤搬送部材と、該2つの現像剤搬送部材の間に配置された仕切り板とを少なくとも有し、前記位相制御機構として、前記仕切り板に、前記1対の現像剤搬送部材の軸方向に亘って両端の現像剤の受け渡し部以外に少なくとも1つの開口部を有することを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第2の手段の現像装置において、前記2つの現像剤搬送部材は、回転軸部に螺旋状の羽部を供え、回転することにより現像剤を軸方向に搬送するスクリュ状の部材であり、前記仕切り板の開口部に面した2つの現像剤搬送部材のどちらか一方、または両方にフィンを取り付けたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の手段は、第2または第3の手段の現像装置において、前記仕切り板の開口部の中心位置xは、現像装置端部の開口部の中心位置より、
(1/8+1/2・n)λ≦x≦(3/8+1/2・n)λ
(λ:現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長、n=0,1,2,・・・)
の範囲での距離にあることを特徴とする。
また、本発明の第5の手段は、第4の手段の現像装置において、前記2つの現像剤搬送部材上での現像剤搬送速度の違いにより前記波長λが異なる場合、該波長λは両現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長λ1、λ2の平均値、
λ=(λ1+λ2)/2
とすることを特徴とする。
【0012】
本発明の第6の手段は、第2〜第5のいずれか1つの手段の現像装置において、前記仕切り板の開口部の開閉が可能であることを特徴とする。
また、本発明の第7の手段は、第6の手段の現像装置において、前記仕切り板の開閉はトナー補給タイミングに応じて制御されること特徴とする。
【0013】
本発明の第8の手段は、第2〜第7のいずれか1つの手段の現像装置において、前記2つの現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材、前記現像剤担持体から離れた方の現像剤搬送部材を第2現像剤搬送部材としたとき、該第2現像剤搬送部材の回転方向が、前記現像剤担持体を左、前記第2現像剤搬送部材を右に配置した状態の側面から見て、時計周りであることを特徴とする。
また、本発明の第9の手段は、第2〜第8のいずれか1つの手段の現像装置において、前記仕切り板の端部からケース側面までの距離が、現像剤搬送部材の外径の2倍以上であることを特徴とする。
【0014】
本発明の第10の手段は、第2〜第9のいずれか1つの手段の現像装置において、前記1対の現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材とすると、前記現像剤担持体の現像剤溜りから前記第1現像剤搬送部材への単位時間当たりの現像剤落下量X[kg/s]と、前記第1現像剤搬送部材上の単位長さ当たりの現像剤重量Y[kg/m]と、前記第1現像剤搬送部材上の現像剤の搬送速度u[m/s]との関係が、
X/u≧1/2・Y
であることを特徴とする。
また、本発明の第11の手段は、第10の手段の現像装置において、前記第1現像剤搬送部材上の単位長さ当たりの現像剤重量が場所によって変化する場合は、単位長さ当たりの現像剤重量の長手方向の平均値を現像剤重量Y[kg/m]とすることを特徴とする。
【0015】
本発明の第12の手段は、第10または第11の手段の現像装置において、前記現像剤担持体の現像剤溜りの現像剤の厚さを規制する現像剤規制部材と、該現像剤規制部材近傍の余剰現像剤を回収する余剰現像剤回収手段を備え、該余剰現像剤回収手段は、回収した現像剤を第1現像剤搬送部材の搬送路に戻し、かつその現像剤の少なくとも一部を、回収した位置より第1現像剤搬送部材の搬送方向上流側に還流させることを特徴とする。
また、本発明の第13の手段は、第12の手段の現像装置において、前記余剰現像剤回収手段で回収した位置から前記第1現像剤搬送部材の搬送方向上流側に現像剤を還流させる際、回収位置から還流させる位置までの距離xと、前記現像剤担持体の現像剤溜りに持ち上げられてから前記第1現像剤搬送部材に現像剤が落ちるまでの平均時間tと、前記第1現像剤搬送部材上の現像剤の搬送速度uの関係が、
λ/4+λ・n≦u・t+x≦3λ/4+λ・n
(λ:第1現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長)
であることを特徴とする。
【0016】
本発明の第14の手段は、第1〜第13のいずれか1つの手段の現像装置おいて、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体への現像剤供給及び回収用の現像剤搬送部材とトナー補給後の搬送攪拌用の現像剤搬送部材の2つの現像剤搬送部材を備え、前記2つの現像剤搬送部材が前記現像剤担持体の下方に水平方向に配置されている構成(所謂2軸搬送タイプ)であることを特徴とする。
【0017】
本発明の第15の手段は、第1〜第13のいずれか1つの手段の現像装置おいて、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体を備え、かつ、前記現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体へ現像剤を供給する供給用現像剤搬送部材と、前記現像剤担持体から現像終了後の現像剤を回収するとともに回収した現像剤を供給用現像剤搬送部材と平行でかつ同方向に搬送する回収用現像剤搬送部材と、前記供給用現像剤搬送部材から前記現像剤担持体に供給されなかった余剰現像剤と前記回収用現像剤搬送部材から運ばれてきた現像剤とを供給用現像剤搬送部材と逆方向に撹拌搬送する攪拌用現像剤搬送部材の3つの現像剤搬送部材を備えた構成(所謂3軸搬送タイプ)であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第16の手段は、第1〜第15のいずれか1つの手段の現像装置において、未使用の予め混合した現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像装置内の現像剤を現像装置外に排出する現像剤排出手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明の第17の手段は、第1〜第15のいずれか1つの手段の現像装置において、未使用のキャリアを供給するキャリア供給部と、未使用のトナーを供給するトナー供給部とから構成される現像剤供給手段を有し、前記キャリアの補給動作と前記トナーの補給動作が独立に制御されることを特徴とする。
【0019】
本発明の第18の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるキャリアであって、体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴とする。
また、本発明の第19の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、体積平均粒径(D4)が3〜8μmで、体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が、1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする。
さらに本発明の第20の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする。
さらにまた、本発明の第21の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3g/cm3以上の微粒子が外添加されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の第22の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられる現像剤であって、第18の手段のキャリアと、第19〜第21のいずれか1つの手段のトナーとを用いたことを特徴とする。
また、本発明の第23の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤として、第22の手段の現像剤を用いたことを特徴とする。
【0021】
本発明の第24の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを一体に備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第25の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置、あるいは第24の手段のプロセスカーリッジを備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明の第26の手段は、第25の手段の画像形成装置において、現像色の異なる複数の現像装置またはプロセスカートリッジを備え、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする。
また、本発明の第27の手段は、第25の手段の画像形成装置において、少なくとも潜像担持体と該潜像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジを複数備え、各画像形成ユニットまたは各プロセスカーリッジで現像色の異なる画像を形成して記録材に直接、または中間転写体を介して転写し、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする。
【0023】
本発明の第28の手段は、第25の手段の画像形成装置において、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第1画像形成ユニット群と、該第1画像形成ユニット群にて形成された第1トナー像が転写され担持される第1中間転写体とからなる第1画像形成ステーション」と、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第2画像形成ユニット群と、該第2画像形成ユニット群にて形成された第2トナー像が転写され担持される第2中間転写体とからなる第2画像形成ステーション」と、を備え、記録材の第1面に転写される第1トナー像は、前記第1画像形成ステーションにより形成され、記録材の第2面に転写される第2トナー像は、第2画像形成ステーションにより形成され、定着前において第1のトナー像と第2のトナー像が同時もしくは順次に記録材に転写される(所謂1パス両面転写方式である)ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、二成分現像剤を用いた現像装置において、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させることにより、現像剤のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させる位相制御機構を現像装置内に取り入れたものであり、位相を制御することによってトナー濃度の均一化を瞬時に行なうことができるため、現像剤担持体(例えばスリーブ)に現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができる。
【0025】
以下、本発明の手段及び効果についてより詳しく説明する。
現像装置内の現像剤は、トナー補給やトナー消費(現像)によって空間的にトナー濃度変動している。今まで、現像剤搬送部材(例えばスクリュ)で現像剤を拡散させることによってそのトナー濃度変動を小さくしてきた。スクリュでの拡散能力を上げるには、スクリュの回転数を上げたりフィンを取り付けたりなどスクリュ形状を工夫したりできるが、それにも限界があり、現像剤が現像剤担持体(例えば現像ローラのスリーブ)に到達するまでに十分に拡散しきれず、スリーブに汲み上げられた現像剤にもトナー濃度変動が残ってしまっているのが現状である。
【0026】
そこで本発明の第1の手段では、トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路を通過させることにより該現像剤中のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を有する構成としており、空間的にトナー濃度変動のある現像剤同士を、位相をずらした状態で重ねることにより、トナー濃度の高いところと低いところが平均化され、トナー濃度が均一化される。この位相をずらして重ねることによって得られるトナーの拡散効果は、スクリュによる撹拌によって得られる効果と比較すると著しく大きい。これにより、スリーブ上に汲み上げられる現像剤のトナー濃度変動は無視できるまで小さくなり、それに伴い帯電もより均一化される。
【0027】
現像装置内の現像剤のトナー濃度変動を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。
そこで本発明の第2の手段では、現像装置は、現像剤を担持して回転し潜像担持体(例えば感光体)と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体(例えば現像ローラのスリーブ)と、該現像剤担持体と平行に配置され互いに異なる方向に現像剤を搬送する2つの現像剤搬送部材(例えばスクリュ)と、該2つの現像剤搬送部材の間に配置された仕切り板とを少なくとも有し、前記位相制御機構として、前記仕切り板に、前記1対の現像剤搬送部材の軸方向に亘って両端の現像剤の受け渡し部以外に少なくとも1つの開口部を有する構成としており、このように仕切り板に開口部を設けることにより、開口部を通った場合と通らない場合とで現像剤の経路の長さに差をつくることができ、その結果、トナー濃度変動の位相をずらすことができる。
【0028】
現像装置内の現像剤のトナー濃度変動を小さくするためには、上記のように、仕切り板に開口部を設け、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。しかし、単に仕切り板に開口部を開けただけでは、開口部を通過する剤の量が少なく、位相をずらすことによって得られる効果が小さくなってしまう可能性がある(2つの経路を通過する剤の量が同等であるときが最も効果的である。)。
【0029】
そこで本発明の第3の手段では、前記2つの現像剤搬送部材は、回転軸部に螺旋状の羽部を供え、回転することにより現像剤を軸方向に搬送するスクリュ状の部材であり、前記仕切り板の開口部に面した2つの現像剤搬送部材(スクリュ)のどちらか一方、または両方にフィンを取り付けた構成としており、開口部に面したスクリュにフィンを取り付けることにより、開口部を通る現像剤の量が増え、2つの経路(開口部を通らない経路、開口部を通る経路)を通る現像剤の重量が同等に近づくため、位相をずらすことによる拡散効果が大きく得られる。
【0030】
現像装置内の現像剤のトナー濃度変動を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。位相はπずらすのが最も効果的である。位相をπずらすためには、分岐後の各経路の差がλ/2+λ・n(λ:スクリュ上のトナー濃度変動の波長、n=0,1,2,・・・)になるように、開口部の位置を決めなければならない。
【0031】
そこで本発明の第4の手段では、前記仕切り板の開口部の中心位置xは、現像装置端部の開口部の中心位置より、
(1/8+1/2・n)λ≦x≦(3/8+1/2・n)λ
(λ:現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長、n=0,1,2,・・・)
の範囲での距離にあることを特徴としており(ただし、前記2つの現像剤搬送部材上での現像剤搬送速度の違いにより前記波長λが異なる場合、該波長λは両現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長λ1、λ2の平均値:λ=(λ1+λ2)/2とする(第5の手段))、このように、開口部を上記の位置に決めることにより、位相θを、
1/2・π≦θ≦3/2・π
ずらすことができ、高い拡散効果が期待される。
【0032】
ところで、上記のように仕切り板に開口部を設けることにより、補給されたトナーが上滑りして開口部を通過し、十分にキャリアと混ざる前に現像剤担持体(例えばスリーブ)に汲み上げられてしまう恐れがある。
そこで本発明の第6の手段では、前記仕切り板の開口部の開閉が可能であることを特徴としており、補給トナーが開口部横を通過するときに開口部を閉めることによって、補給トナーがキャリアと混ざる前にスリーブに汲み上げられることを防止できる。
また、本発明の第7の手段では、上記の構成に加え、前記仕切り板の開閉はトナー補給タイミングに応じて制御されること特徴としており、トナー補給を行なった時間から所定のタイムラグをおいて、補給トナーが開口部横を通過する。通過するときに開口部を閉めることによって、補給トナーがキャリアと混ざる前にスリーブに汲み上げられることを防止できる。ここでタイムラグは、
(トナー補給位置から開口部までの距離[m])/(現像剤の搬送速度[m/s])
で決まる。
【0033】
上記のように、仕切り板に開口部を設けることにより、補給されたトナーが上滑りして開口部を通過し、十分にキャリアと混ざる前に現像剤担持体(例えばスリーブ)に汲み上げられてしまう恐れがある。
そこで本発明の第8の手段では、前記2つの現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体(例えばスリーブ)に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材(例えばスクリュA)、前記現像剤担持体(スリーブ)から離れた方の現像剤搬送部材を第2現像剤搬送部材(例えばスクリュB)としたとき、該第2現像剤搬送部材(スクリュB)の回転方向が、前記スリーブを左、前記スクリュBを右に配置した状態の側面から見て、時計周りであることを特徴としており、このような回転方向にスクリュを回転させると、スクリュBのスリーブ側に現像剤が寄るようになり、補給トナーは現像剤面が低いスリーブと反対側に寄ることになる。そのため、上滑りした補給トナーが開口部を通過する量はほぼ0となる。
【0034】
現像装置内の現像剤のトナー濃度変動を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。
そこで本発明の第9の手段では、前記仕切り板の端部からケース側面までの距離が、現像剤搬送部材(例えばスクリュ)の外径の2倍以上であることを特徴としており、端部の開口を大きくとることによって、仕切り板の途中に開口部をあけなくても、端部の開口の外側をまわる剤と内側をまわる剤とで経路差ができ位相をずらすことが可能になる。
【0035】
現像装置内の現像剤のトナー濃度偏差を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。
ここで、スリーブに現像剤溜りがある場合、このスリーブの現像剤溜りは位相制御機構として働く。これは、スクリュA上をそのまま流れる現像剤と、スリーブに持ち上げられてから現像剤溜りの中を循環し再びスクリュAに戻される現像剤と、2つの経路を作る機能があるためである。しかし、スリーブの現像剤溜りが位相制御機構として効果的に働くためには、スクリュAからスリーブに汲み上げられて再びスクリュAへ戻ってくる経路を通る現像剤がある程度多くないとならない。目安としては、スクリュAの上流から下流に現像剤が流れてくる過程において、元々スクリュAにあった現像剤重量Y(単位長さ当たりの現像剤重量)と比較して、スリーブからスクリュAへ落ちる現像剤重量(単位長さ当たり)X/uが半分程度の量以上必要であると考えられる。
【0036】
そこで本発明の第10の手段では、前記1対の現像剤搬送部材(スクリュ)のうち、スリーブに近い方の現像剤搬送部材をスクリュAとすると、スリーブの現像剤溜りからスクリュAへの単位時間当たりの現像剤落下量X[kg/s]と、スクリュA上の単位長さ当たりの現像剤重量Y[kg/m]と、スクリュA上の現像剤の搬送速度u[m/s]との関係が、
X/u≧1/2・Y
となるようにしており(ただし、前記スクリュA上の単位長さ当たりの現像剤重量が場所によって変化する場合は、単位長さ当たりの現像剤重量の長手方向の平均値を現像剤重量Y[kg/m]とする)、スリーブの現像剤溜りが位相制御機構として効果的に働くようにしている。
【0037】
現像装置内の現像剤のトナー濃度偏差を小さくするためには、上記のとおり、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。位相はπずらすのが最も効果的であり、そのためには経路差をλ/2(λ:スクリュ上トナー濃度変動の波長)に近づけるため経路差を大きくする工夫をしないといけない。
そこで本発明の第12の手段では、前記スリーブの現像剤溜りの現像剤の厚さを規制する現像剤規制部材(例えばドクタ)と、該現像剤規制部材近傍の余剰現像剤を回収する余剰現像剤回収手段を備え、該余剰現像剤回収手段は、回収した現像剤を第1現像剤搬送部材(スクリュA)の搬送路に戻し、かつその現像剤の少なくとも一部を、回収した位置より第1現像剤搬送部材(スクリュA)の搬送方向上流側に還流させることを特徴としており、スリーブの現像剤溜りの現像剤を回収した位置よりスクリュAの搬送方向上流側に還流させることにより、経路差を大きくすることができ、位相をより大きくずらすことができる。
【0038】
現像装置内の現像剤のトナー濃度偏差を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。位相はπずらすのが最も効果的であり、そのためには経路差を調節する工夫をしないといけない。
そこで本発明の第13の手段では、第12の手段の構成に加え、前記余剰現像剤回収手段で回収した位置から前記第1現像剤搬送部材(スクリュA)の搬送方向上流側に現像剤を還流させる際、回収位置から還流させる位置までの距離xと、前記現像剤担持体(スリーブ)の現像剤溜りに持ち上げられてから前記第1現像剤搬送部材(スクリュA)に現像剤が落ちるまでの平均時間tと、前記第1現像剤搬送部材(スクリュA)上の現像剤の搬送速度uの関係が、
λ/4+λ・n≦u・t+x≦3λ/4+λ・n
(λ:スクリュA上のトナー濃度変動の波長)
であることを特徴としており、余剰現像剤を還流させる位置を上記の位置に決めることにより、第4の手段と同様に位相θを1/2・π≦θ≦3/2・πずらすことができ、高い拡散効果が期待される。
【0039】
本発明の第14では、第1〜第13のいずれか1つの手段の現像装置おいて、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体への現像剤供給及び回収用の現像剤搬送部材とトナー補給後の搬送攪拌用の現像剤搬送部材の2つの現像剤搬送部材を備え、前記2つの現像剤搬送部材が前記現像剤担持体の下方に水平方向に配置されている構成(所謂2軸搬送タイプ)であることを特徴としており、2軸搬送タイプの現像装置の仕切り板に位相制御用の開口部をつけることにより、上記効果にプラスして以下の効果を得ることができる。
2軸搬送タイプの現像装置では、現像後の現像剤が供給回収共用のスクリュ(スクリュA)で回収されるため、スクリュの下流にいくに従ってトナー濃度が低下し、スリーブ左右でトナー濃度偏差を生じてしまう。しかし、仕切り板に開口部を開けることにより、トナー濃度の高い現像剤が供給回収共用スクリュに流れることになり、それによりスリーブ左右でのトナー濃度偏差が小さくなる。したがって、トナー像が安定して形成できる。
【0040】
本発明の第15の手段は、第1〜第13のいずれか1つの手段の現像装置おいて、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体を備え、かつ、前記現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体へ現像剤を供給する供給用現像剤搬送部材と、前記現像剤担持体から現像終了後の現像剤を回収するとともに回収した現像剤を供給用現像剤搬送部材と平行でかつ同方向に搬送する回収用現像剤搬送部材と、前記供給用現像剤搬送部材から前記現像剤担持体に供給されなかった余剰現像剤と前記回収用現像剤搬送部材から運ばれてきた現像剤とを供給用現像剤搬送部材と逆方向に撹拌搬送する攪拌用現像剤搬送部材の3つの現像剤搬送部材を備えた構成(所謂3軸搬送タイプ)であることを特徴としており、3軸搬送タイプの現像装置の仕切り板に位相制御用の開口部をつけることにより、上記効果にプラスして以下の効果を得ることができる。
3軸搬送タイプの現像装置では、スリーブに汲み上げられた現像剤は回収スクリュに集められ供給スクリュに戻らないので、供給スクリュ下流にいくに従い、現像剤量が減っていくため、下流部では現像剤が枯渇してしまう恐れがある。枯渇を防ぐには、スクリュ回転数を上げる必要があるが、軸受の寿命を考えるとそれにも限界がある。しかし、仕切り板に開口部を開けることにより、開口部から供給部へ現像剤の移動が可能になり、現像剤の枯渇防止に非常に有利になる。
【0041】
本発明の第16の手段は、第1〜第15のいずれか1つの手段の現像装置において、未使用の予め混合した現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像装置内の現像剤を現像装置外に排出する現像剤排出手段とを備えることを特徴ととしており、劣化した現像剤を排出し未使用の予め混合した現像剤を供給することで、現像装置内の現像剤容量をほぼ一定に保ちながら常に劣化の少ない現像剤で像形成が行える。よって、現像剤の特性変動が少なくなり、長期にわたり安定した画像濃度の得られる現像装置を得ることができる。さらには、予め混合した現像剤を使用することにより現像剤補給に必要な収容容器数を減らすことができ、省スペース化、制御の簡略化を達成することができる。
【0042】
本発明の第17の手段は、第1〜第15のいずれか1つの手段の現像装置において、未使用のキャリアを供給するキャリア供給部と、未使用のトナーを供給するトナー供給部とから構成される現像剤供給手段を有し、前記キャリアの補給動作と前記トナーの補給動作が独立に制御されることを特徴としており、キャリアの補給動作とトナーの補給動作を独立に制御することで、トナーの消費状況に応じた現像剤補給が可能となり、現像装置内のトナー濃度を常に一定に保ちながら劣化の少ない現像剤で像形成が行える。よって、現像剤の特性変動が少なくなり、長期にわたり安定した画像濃度の得られる現像装置を得ることができる。
【0043】
本発明の第18の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるキャリアであって、体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴としており、小粒径なキャリアを用いることで、磁気ブラシの緻密化により現像能力の向上が図れるため、現像に必要な現像剤量(汲み上げ量)を低減することができる。それにより回収部におけるスクリュ回転数低減が図れ、現像剤循環によるストレス低減に寄与する。また、ストレスのかかる現像剤規制部材を通過する現像剤量が少なくなることから、長寿命化に寄与する。さらにはキャリアの低容量化がなされるため、キャリア貯蔵部等の装置の小型化が図れる。さらには現像領域における磁気ブラシがより緻密になるために高画質化や画質の安定性が達成される。なお、キャリアの平均粒径が60μmより大きいと現像剤循環部でオーバーフローする現像剤が多くなり、安定な現像剤循環が行えない。さらには磁気ブラシが粗くなるため満足の行く画質を得ることができない。また、キャリアの平均粒径が20μmより小さいと感光体にキャリアが付着したり、現像装置からキャリアが飛散したりしやすくなるという不具合が発生する。
【0044】
本発明の第19の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、体積平均粒径(D4)が3〜8μmで、体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が、1.00〜1.40の範囲にあることを特徴としており、粒径が小さくかつ粒径分布のシャープなトナーを用いることで、トナー粒子間の間隙が小さくなるため、色再現性を損なうことなくトナーの必要付着量を低減することができる。よって現像における濃度変動を小さくすることができる。また、微小なドット画像の安定再現性が向上し、長期間安定した高画質を得ることができる。なお、平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった不具合が発生しやすい。平均粒径(D4)が8μmを超えると、現像剤の流動性が悪化するとともに、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しく長期間画質を安定に維持することが困難となる。
【0045】
本発明の第20の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴としており、トナーが球形に近いことにより、現像剤の流動性がよくなることで、現像剤循環におけるストレスが小さくなり、長期的に安定した現像剤循環と現像を行うことが可能となる。
【0046】
本発明の第21の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3g/cm3以上の微粒子が外添加されていることを特徴としており、トナーにおける外添剤の埋没が少なく、経時にて現像剤の流動性および帯電特性の変化が小さいため、長期的に安定した現像剤循環と現像を行うことが可能となる。
【0047】
本発明の第22の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられる現像剤であって、第18の手段のキャリアと、第19〜第21のいずれか1つの手段のトナーとを用いたことを特徴としており、第18の手段や、第19〜第21の手段と同様の効果が得られる。
また、本発明の第23の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤として、第22の手段の現像剤を用いたことを特徴としており、第18の手段や、第19〜第21の手段と同様の効果が得られる。
【0048】
本発明の第24の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを一体に備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を備えたことを特徴としており、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高いプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0049】
本発明の第25の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置、あるいは第24の手段のプロセスカーリッジを備えたことを特徴としており、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置、あるいは第24の手段のプロセスカーリッジを用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高い画像形成装置を提供することが可能になる。
【0050】
本発明の第26の手段は、第25の手段の画像形成装置において、現像色の異なる複数の現像装置またはプロセスカートリッジを備え、記録材にカラー画像を形成することを特徴としており、複数の現像装置に第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高く、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る画像形成装置を提供することが可能になる。
【0051】
本発明の第27の手段は、第25の手段の画像形成装置において、少なくとも潜像担持体と該潜像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットまたはプロセスカートリッジを複数備え、各画像形成ユニットまたはプロセスカートリッジで現像色の異なる画像を形成して記録材に直接、または中間転写体を介して転写し、記録材にカラー画像を形成することを特徴としており、各画像形成ユニットまたはプロセスカートリッジの現像装置に第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高く、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る画像形成装置を提供することが可能になる。
【0052】
本発明の第27の手段は、第25の手段の画像形成装置において、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第1画像形成ユニット群と、該第1画像形成ユニット群にて形成された第1トナー像が転写され担持される第1中間転写体とからなる第1画像形成ステーション」と、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第2画像形成ユニット群と、該第2画像形成ユニット群にて形成された第2トナー像が転写され担持される第2中間転写体とからなる第2画像形成ステーション」と、を備え、記録材の第1面に転写される第1トナー像は、前記第1画像形成ステーションにより形成され、記録材の第2面に転写される第2トナー像は、第2画像形成ステーションにより形成され、定着前において第1のトナー像と第2のトナー像が同時もしくは順次に記録材に転写される(所謂1パス両面転写方式である)ことを特徴としており、各画像形成ユニットの現像装置に第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高く、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る画像形成装置を提供することが可能になる。また、本発明の現像装置を1パス両面転写方式の画像形成装置に用いることにより、長期的に濃度安定性に優れたカラー画像を非常に生産性高く得ることが可能となる。それにより表裏での画質差がなく、常に画質の安定したカラー両面画像を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の具体的な構成、動作及び作用効果を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0054】
[位相制御について]
ここでは、図14に示すような2軸搬送タイプの現像装置を例に上げて説明する。トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用い、2つの現像剤搬送部材402,403で間欠的なトナー補給・トナー消費を行なっている現像装置内では、図1に示すようにトナー濃度が2つの現像剤搬送部材(例えばスクリュA,スクリュB)402,403上の長手方向で周期的に変動している。
この変化の波長λは、トナー補給周期T1、トナー消費周期(画像出力周期)T2、スクリュ上の現像剤の搬送速度uによって決まる。
トナー補給によって作られる変動の波長は、
λ1=u・T1
であり、トナー消費によって作られる変動の波長は、
λ2=u・T2
である。
2つの波長の異なる変動があるが、多くの現像装置ではトナー消費によりスクリュ上にできる変動より、トナー補給によってスクリュ上にできる変動の振幅の方が大きいので、
λ≒λ1
と近似できる。
【0055】
図2は図1のループを開いたものである。ループの途中で現像剤を2つに分け、経路1と経路2のように異なった長さを持つ経路を通過させ、再び合流させることにより(これを位相制御機構と呼ぶ)、トナー濃度変動の振幅を減少させることができる。特に経路1と経路2を通過する現像剤重量をきっちり等分し、さらに経路差をλ/2とし、位相をπずらすことにより、理論的には変動の振幅は0になる。
【0056】
[仕切り板の開口部について]
位相制御機構として考えられるものの1つに仕切り板404の開口部が挙げられる。図3のように現像剤が仕切り板404の開口部404aを通過することにより、長さの違う経路ができるため、位相をずらすことができる。仕切り板404に1つの開口部404aを開けることで、実線の矢印と点線の矢印で示すような経路の異なる2つの位相制御機構が作られることになる。
しかし、開口部404aを開けても開口部の位置によっては効果は現れない、もしくは非常に小さい。したがって、図4に示すように、位相をπ+2π×nずらす位置に開口部404aを設けるのが最も適している。そのためには、開口部404aをλ/4+λ/2・nの位置付近に設けるとよい。
【0057】
図5は、スクリュ上に波長λのトナー濃度変動を作り、λ/8、λ/4の位置の仕切り板404に開口部404aを設けてスクリュ上の現像剤を循環させた場合の、スクリュ上のある位置でのトナー濃度変動の時間変化を測定した実験結果である。開口部がλ/4の位置にある場合の方がトナーの拡散効果が高いことが確認できる。
【0058】
ただし、仕切り板404を挟む2つのスクリュ(スリーブ401に近い方の第1現像剤搬送部材402をスクリュA、スリーブ401から遠い方の第2現像剤搬送部材403をスクリュBとする)上で現像剤の搬送速度が異なる場合、それに伴いλも異なってくる。スクリュA上の現像剤の搬送速度をuA、スクリュB上の現像剤の搬送速度をuBとすると、スクリュA上、スクリュB上の波長はそれぞれ、
λA=uA・T2、λB=uB・T2
となる。なお、上記仕切り板の開口部についての記述中でのλは、
λ=(λA+λB)/2
とする。
【0059】
ただし、単に開口部を開けただけだと、開口部を通過する現像剤の量は少ない。そこで図6に示すように、スクリュA402とスクリュB403にフィン410を取り付けることによって現像剤の通過量を増やした方が大きな効果を得られる。そのとき、スクリュA402に取り付けられたフィン410と、スクリュB403に取り付けられたフィン410は平行であるとより大きな効果が得られる。
【0060】
図7は、スクリュ上に波長λのトナー濃度変動を作り、λ/4の位置の仕切り板に開口部を設けてスクリュ上の現像剤を循環させた場合の、スクリュ上のある位置でのトナー濃度変動の時間変化を測定した実験結果である。この実験結果より、開口部がない場合よりあったときの方が、また、開口部だけよりフィンがついているときの方がトナーの拡散効果が高いことが確認できた。
【0061】
[補給トナーの問題]
上記のように仕切り板に開口部を設けることによって、上滑りした補給トナーが直接スクリュAさらにはスリーブへ流れていってしまう恐れがあるが、それに対しては以下の対策が考えられる。
【0062】
1つめは図8に示すように、スクリュB403の回転を現像剤がスリーブ側に寄る方向に決めるということである。すると、補給トナーは上滑りしても、現像剤面の低い側、つまりスリーブ401と反対側に寄ることになり、開口部404aから上滑りトナーがスクリュA側に行くことがなくなる。
【0063】
2つめは、仕切り板404の開口部404aを常に開けるのではなく、図9(b)のような開閉機構411を設けて開口部404aの開閉を制御するというものである。トナー補給開始のタイミングからt1の時間差を設けた後、開口部404aをt2+δの間(t2はトナー補給時間と等しい)閉める。このとき、スクリュの現像剤搬送速度u、トナー補給口から開口部までの現像剤の流れる距離をLとすると、
t1=u・L
で求められる。トナー開閉のタイミングの一例としては図9(a)に示す通りである。また、開口部の開閉機構は、図9(b)に示すように、板状のシャッター部材とバネ及び開閉手段(ソレノイド、カム機構等)等で構成される。
【0064】
[現像剤端部開口部]
仕切り板404の途中に開口部を設けなくても、従来より有る現像装置両端に設けられた開口部の大きさを調節することで位相をずらす効果を得ることができる。
通常、現像装置端部の開口部の大きさは、スクリュ外径の約1〜1.5倍程度に設定されている。これだと、現像剤の経路差はほとんど得られない。
そこで図10に示すように、仕切り板404の一端側の開口部404bの大きさをさらに大きくし、スクリュ外径Lの2倍以上(例えば2.5L)にすることにより、現像剤の経路差を生じさせることができる。このとき、トナー補給場所に近い方の端部開口部404cは補給トナーの上滑りを防ぐために、従来通りの大きさにしている。
【0065】
[スリーブの現像剤溜り]
図11(a)に示すように、スクリュA402からスリーブ401に汲み上げられた現像剤は、全てがドクタ405を通過するのではなく、一部は再びスクリュA402に戻る。従って、スリーブ上の任意の点で、スクリュA402上をそのまま流れる現像剤と、スクリュA402からスリーブ401に汲み上げられて再びスクリュA402に戻される現像剤と、2つの経路を作る機能(位相制御機構)を持っていると考えられる。
【0066】
しかし、スリーブ401の現像剤溜りが位相制御機構として効果的に働くためには、スリーブ401に汲み上げられる経路を通る現像剤重量がある程度多くないとならない。
スクリュAの上流から下流へ流れてくるまでにスリーブの現像剤溜りからスクリュAに落ちる現像剤重量Zは、
Z=X/u
と表される。ここで、Xはスリーブの現像剤溜りからスクリュAへの単位時間当たりの現像剤落下量[kg/s]、uはスクリュAの現像剤搬送速度[m/s]、Lはスリーブ長手方向の画像領域の長さである。この量が、スクリュA上の単位長さ当たりの現像剤重量Y[kg/m]のほぼ半分以上になっていれば位相をずらす効果が現れる。以上のことから、
X/u≧1/2・Y
の式が導かれる。
ただし、スクリュA上の単位長さ当たりの現像剤重量が場所によって変化する場合は、単位長さ当たりの現像剤重量の長手方向の平均値を現像剤重量Y[kg/m]とする。
【0067】
さらに、効果的に位相をずらすためには、経路差を調節する必要がある。図12は現像装置のドクタ近傍の要部斜視図である。
スクリュA402からスリーブ401に供給された現像剤は、現像剤規制部材であるドクタ405により、スリーブ401上で現像に適した一定の厚さになるように規制される。スリーブ401に供給される現像剤はドクタ405で規制される以上の量のため、次第にドクタ405の手前で現像剤が滞留するようになり、一定以上の量となると、余剰現像剤回収部材412上にあふれ出てくる。このあふれ出た現像剤は余剰現像剤回収部材412の壁面412a上に設けられたガイド(整流板)413により、一部はスクリュA402の搬送方向の上流側(矢印414方向)に、一部はそのまま直下のスクリュAに落下するようになっている。
【0068】
図12に示すように、スリーブ401の現像剤溜り部分にガイド423を取り付けることによって、現像剤をスリーブ401から鉛直に落とすのではなく、スクリュA402の上流側にシフトさせつつ落とすことができる。これにより、図13のように、スクリュA上をそのまま流れる現像剤と、スクリュAからスリーブ401に汲み上げられて再びスクリュAに戻される現像剤との2つの経路差が大きくなる(図11と図13の比較)。さらに最も位相をずらす効果を引き出すためには、その2つの経路差をλ/2に調節するよう、ガイドの傾きを設定する必要がある。ここで、スクリュAの現像剤搬送速度をu[m/s]、スリーブに汲み上げられた現像剤がスクリュAに落ちてくるまでのスリーブでの滞在時間をt[s]、ガイドによる上流側へのシフト距離をx[m]として、シフト距離xを調節すると、シフト距離xが、
u・t+x(経路差)=λ/2
となるようにガイドの傾きを設定すればよい。
【0069】
[現像装置の構成例]
以上に説明した本発明の位相制御機構は、図14に示すような2軸搬送タイプの現像装置に好適に適用することができるが、図15や図16を一例とする3軸搬送タイプの現像装置にも適用することができる。
【0070】
図14に示す現像装置400は、不図示の像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体である現像ローラ(スリーブ)401(回転する円筒状のスリーブと、スリーブ内に固定配置された磁石又はマグネットロールから構成されるが、図ではスリーブのみ図示している)と、スリーブ上の現像剤量を規制する現像剤規制部材(ドクタ)405と、現像剤を搬送しながら現像ローラ401に供給し、現像ローラ401からの現像剤を回収する第1の現像剤搬送部材である供給回収用スクリュ402(前述のスクリュA)とを備えている。さらに、供給回収用スクリュ402の下流端まで搬送された現像剤と必要に応じて供給されたトナーとを攪拌しながら供給回収用スクリュ402とは逆方向に搬送する第2の現像剤搬送部材である攪拌搬送用スクリュ403(前述のスクリュB)を備えている。供給回収用スクリュ402と攪拌搬送用スクリュ403とは水平方向に配置され、供給回収用スクリュ402を備える供給回収搬送路406と攪拌搬送用スクリュ403を備える攪拌搬送路407とは仕切り板404で仕切られている。そして、2つの搬送路は仕切り板404の軸方向両端部の開口部で連通しており、攪拌搬送路407と供給回収搬送路406とでは現像剤を逆方向に搬送することにより循環搬送されている。
【0071】
上記のような構成の2軸搬送タイプの現像装置においては、現像後の現像剤が供給回収共用のスクリュ402で回収されるため、スクリュ402の下流にいくに従ってトナー濃度が低下し、現像ローラ401のスリーブ左右でトナー濃度偏差を生じてしまう。そこで図14に示すような構成の2軸搬送タイプの現像装置400に、図1〜図13を参照して説明したような本発明に係る位相制御用の開口や機構等を設けることにより、トナー濃度の変動を抑えることができる。すなわち、位相制御用の開口や機構を設けて、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させることにより、現像剤のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させるという構成を現像装置内に取り入れることにより、トナー濃度の高い現像剤が供給回収共用のスクリュ402に流れることになり、それによりスリーブ左右でのトナー濃度偏差が小さくなる。したがって、現像ローラ401のスリーブに現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、トナー像を安定して形成することができる。
【0072】
次に図15に示す現像装置504は、反時計回りに表面移動しながら潜像担持体である感光体ドラム501の表面の潜像にトナーを供給し現像する現像剤担持体としての現像ローラ(回転する円筒状のスリーブと、スリーブ内に固定配置された磁石又はマグネットロールから構成される)505を有している。また、現像ローラ505に現像剤を供給しながら図15の奥方向に現像剤を搬送する現像剤供給搬送部材としての供給搬送用スクリュ508(前述のスクリュAに相当する)を有している。
現像ローラ505の供給搬送用スクリュ508との対向部から表面移動方向下流側には、現像ローラ505に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としてのドクタ516を備えている。
【0073】
現像ローラ505の感光体ドラム501との対向部である現像部から表面移動方向下流側には、現像部を通過した現像済みの現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給搬送用スクリュ508と同方向に搬送する回収搬送用スクリュ506を備えている。供給搬送用スクリュ508を備えた現像剤供給搬送路である供給搬送路509と回収搬送用スクリュ506を備えた現像剤回収搬送路としての回収搬送路507とは現像ローラ505の下方に並設されている。供給搬送路509と回収搬送路507との2つの搬送路は仕切り部材としての仕切り板534によって仕切られている。
【0074】
現像装置504は、供給搬送路509の回収搬送路507の反対側に並列して、現像剤攪拌搬送路である攪拌搬送路510を設けている。攪拌搬送路510は、現像剤を攪拌しながら供給搬送用スクリュ508とは逆方向である図中手前側に搬送する現像剤攪拌搬送部材としての攪拌搬送用スクリュ511(前述のスクリュBに相当する)を備えている。供給搬送路509と攪拌搬送路510とは仕切り部材としての仕切り板533によって仕切られている。仕切り板533の図中手前側と奥側との両端は開口部となっており、供給搬送路509と攪拌搬送路510とが連通している。供給搬送路509内に供給され現像に用いられず供給搬送路509の搬送方向下流端まで搬送された余剰現像剤と、回収搬送用スクリュ506によって回収搬送路507の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤とは攪拌搬送路510に供給される。攪拌搬送路510は、供給された余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌し、攪拌搬送用スクリュ511の搬送方向下流側であり、供給搬送用スクリュ508の搬送方向上流側に搬送する。
【0075】
仕切り板534には回収搬送用スクリュ506の搬送方向最下流側である図中奥方向の端が開口部となっており、供給搬送路509と回収搬送路507とが連通している。回収搬送用スクリュ506の搬送方向下流端と、供給搬送用スクリュ508の搬送方向下流端と、攪拌搬送用スクリュ511の搬送方向上流端とで3つの搬送経路が連通している。
そして、回収搬送路507の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は供給搬送路509に移送される。また、回収現像剤と供給搬送用スクリュ508で搬送される現像ローラ505に供給されなかった現像剤は、連通している攪拌搬送路510に移送される。
【0076】
攪拌搬送路510では攪拌搬送用スクリュ511によって、回収現像剤、余剰現像剤及び移送部で必要に応じて補給されるトナーを、回収搬送路507及び供給搬送路509の現像剤と逆方向に攪拌搬送する。そして、搬送方向下流側で連通している供給搬送路509の搬送方向上流側に攪拌された現像剤を移送する。なお、攪拌搬送路510の下方には、トナー濃度センサ527が設けられ、センサ出力によりトナー補給制御装置(図示せず)により移送部へのトナー補給を行っている。
【0077】
現像装置504のケーシングは3つの搬送スクリュの軸部で上下に分かれる一体成型された下ケーシング512及び上ケーシング513からなる。仕切り板533は下ケーシング512の一部であり、仕切り板534は、上ケーシング513に保持され、下ケーシング512と勘合する。
【0078】
図15に示すように、現像剤供給部材の最上部である供給搬送用スクリュ508の頂点14が現像ローラ505の回転中心515よりも下方になるように配置されている。図15に示す現像装置504では現像ローラ505の回転中心515とスクリュ頂点514とを結んだ直線と、回転中心515を通る水平な直線との角度θ1を30°に設定している。この角度θ1は供給搬送用スクリュ508の直径にも左右されるが、現像装置504の小型化からレイアウト上10°〜40°が望ましい。
現像ローラ505のスリーブへの現像剤の供給は、現像ローラ505内に設けられた磁石又はマグネットロールの磁極が現像剤中の磁性キャリアを引き付けることによって行われる。上述のように、スクリュ頂点514が現像ローラ505の回転中心515よりも下方となるように配置することにより、現像剤の自重が現像ローラ505への現像剤の供給量に影響せず、磁力の大きさが現像剤の供給量に寄与する。これにより、供給搬送路509で搬送される現像剤の上部から確実に供給されるため、供給搬送用スクリュ508の搬送方向で供給搬送路509内の現像剤の嵩が均一でなくても、現像ローラ505に適正な量の現像剤を供給することができる。
【0079】
上記のような構成の3軸搬送タイプの現像装置504においては、現像ローラ505のスリーブに汲み上げられた現像剤は回収搬送用スクリュ506に集められ、供給搬送用スクリュ508には直接戻されないので、供給搬送用スクリュの下流にいくに従い、現像剤量が減っていくため、下流部では現像剤が枯渇してしまう恐れがある。枯渇を防ぐには、スクリュ回転数を上げる必要があるが、軸受の寿命を考えるとそれにも限界がある。そこで図15に示すような構成の3軸搬送タイプの現像装置に、図1〜図13を参照して説明したような本発明に係る位相制御用の開口や機構を設けることにより、トナー濃度の変動を抑え、かつ現像剤の枯渇防止に非常に有利になる。すなわち、位相制御用の開口や機構を設けて、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させて、攪拌搬送路510から供給搬送用スクリュ508に現像剤を供給することにより、スリーブ左右でのトナー濃度偏差や現像剤量の偏差を小さくすることができる。したがって、現像ローラ605のスリーブに現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、また、下流部での現像剤の枯渇も防止することができ、トナー像を安定して形成することができる。
【0080】
次に図16に示す現像装置604は現像ローラ(回転する円筒状のスリーブと、スリーブ内に固定配置された磁石又はマグネットロールから構成される)605と供給搬送用スクリュ608(前述のスクリュAに相当する)と、現像ローラ605上で現像箇所を通過し、回収された回収現像剤を供給搬送用スクリュ608と同方向に搬送する回収搬送用スクリュ606とを備えている。さらに、供給搬送用スクリュ608の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、回収搬送用スクリュ606の最下流部まで搬送された回収現像剤とを攪拌しながら供給搬送用スクリュ608とは逆方向に搬送する攪拌搬送用スクリュ611(前述のスクリュBに相当する)を備えている。
【0081】
供給搬送用スクリュ608は攪拌搬送用スクリュ611の上方に配置されており、供給搬送用スクリュ608を備える供給搬送路609と攪拌搬送用スクリュ611を備える攪拌搬送路610とは仕切り部材である第1仕切り板633で仕切られている。そして、2つの搬送路は第1仕切り板633の軸方向両端部の開口部で連通しており、現像に用いられず供給搬送路609の下流端まで搬送された余剰現像剤は、供給搬送路609の下流端側の開口部で落下して攪拌搬送路610に供給される。また、回収搬送用スクリュ606を備える回収搬送路607は攪拌搬送路610の水平方向に並べて設けており、回収搬送路607と攪拌搬送路610とは仕切り部材である第2仕切り板634で仕切られている。そして、この2つの搬送路は回収搬送用スクリュ606の下流端側で第2仕切り板634に設けられた開口部で連通している。回収搬送路607の下流端まで搬送された回収現像剤は水平方向に移送され、攪拌搬送路610に供給される。
攪拌搬送路610に供給された余剰現像剤と回収現像剤とは攪拌搬送路610で攪拌され、下流端で攪拌搬送用スクリュ611の搬送力によって押し込まれて、盛り上がることで開口部から供給搬送路609に供給がなされる。
【0082】
上記のような構成の3軸搬送タイプの現像装置においても、現像ローラ605のスリーブに汲み上げられた現像剤は回収搬送用スクリュ606に集められ、供給搬送用スクリュ608には直接戻されないので、供給搬送用スクリュの下流にいくに従い、現像剤量が減っていくため、下流部では現像剤が枯渇してしまう恐れがある。枯渇を防ぐには、スクリュ回転数を上げる必要があるが、軸受の寿命を考えるとそれにも限界がある。そこで図16に示すような構成の3軸搬送タイプの現像装置に、図1〜図13を参照して説明したような本発明に係る位相制御用の開口や機構を設けることにより、トナー濃度の変動を抑え、かつ現像剤の枯渇防止に非常に有利になる。すなわち、位相制御用の開口や機構を設けて、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させて、攪拌搬送路610から供給搬送用スクリュ608に現像剤を供給することにより、スリーブ左右でのトナー濃度偏差や現像剤量の偏差を小さくすることができる。したがって、現像ローラ605のスリーブに現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、また、下流部での現像剤の枯渇も防止することができ、トナー像を安定して形成することができる。
【0083】
[画像形成装置全体の構成の詳細説明]
次に本発明に係る画像形成装置の構成例を詳細に説明する。図17は本発明が適用される画像形成装置全体の内部構成を示した概略中央断面図である。
図17に示す画像形成装置本体100の内部において、記録体搬送路43Aを境にして、上下に画像形成ステーションが設けられており、上部の第1画像形成ステーションには、矢印方向に無端移動する第1中間転写体である第1像担持ベルト21を備えた第1像担持体ユニット20を、下部の第2画像形成ステーションには、矢印方向に無端移動する第2中間転写体である第2像担持ベルト31を備えた第2像担持体ユニット30が配備されている。第1像担持ベルト21の上部張架面には、第1画像形成ユニット群(4個の第1画像形成ユニット80Y、80C、80M、80K)が、第2像担持ベルト31の傾斜した張架面には、第2画像形成ユニット群(4個の第2画像形成ユニット81Y、81C、81M、81K)が配備されている。これら第1、第2画像形成ユニットの番号に添えたY、C、M、Kは、扱うトナーの色と対応させているもので、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタ、Kはブラックを意味している。第1、第2画像形成ユニットに備えられ、第1像担持ベルト21と第2像担持ベルト31と共に回転する各感光体(潜像担持体)1に対しても同じ意味あいでY、C、M、Kを添えている。なお感光体1Yから1Kは同間隔で配置され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第1、第2像担持ベルト21、31との張架部の一部と接触する。
【0084】
4個ずつの第1画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kと第2画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kの構成は同じであり、図18は一つの画像形成ユニットの構成例を示している。図18において、画像形成装置100の動作時に、不図示の駆動源により、矢印方向に回転するよう回転可能に支持された円筒状の感光体1の周囲に、静電写真プロセスに従い帯電装置3であるスコロトロンチャージャ、露光装置4、現像装置5、クリーニング装置2、光除電装置Q等の作像部材や電位センサS1、画像センサS2が配設されている。
【0085】
潜像担持体である感光体1は、例えば直径30〜120mm程度のアルミニウム円筒表面に光導電性物質である有機感光層(OPC)を形成したものである。また、アモルファスシリコン(a−Si)層を形成した感光体も採用可能である。また、円筒状の他に、ベルト状の感光体も採用できる。
帯電装置3としては、非接触式のチャージャの他に、感光体1の表面に接触させるタイプの例えば帯電ローラや帯電ブラシ等も採用できる。
クリーニング装置2は、クリーニングブラシ2a、クリーニングブレード2b、回収部材2cを備え、感光体1の表面に残留するトナー等の異物を除去、回収する。
【0086】
露光装置4は、各色毎の画像データ対応の光を、帯電手段で一様に帯電済みの各感光体1の表面に走査し、静電潜像を形成する。図示例の露光装置4は、発光素子としてLED(発光ダイオード)アレイを用い、結像素子アレイと組み合わせたライン状の露光装置であるが、レーザ光源とポリゴンミラー、走査結像光学系等を用い、形成すべき画像データに応じて変調したレーザビーム光を感光体に照射するレーザスキャン方式の露光装置も採用できる。
【0087】
本実施例の現像装置5は、トナーとキャリヤからなる二成分現像剤を採用している現像方式である。負荷電の感光体1に対し露光により各感光体1の表面に形成された色毎の静電潜像は、感光体1の帯電極性と同極性(マイナス極性)の所定の色のトナーで現像され顕像となる、いわゆる反転現像が行なわれる。
現像装置5の構成は、図示の例では、現像剤担持体である現像ローラ(図ではスリーブのみを図示してある)5aと、現像剤規制部材であるドクタ5bと、現像剤供給搬送部材としての供給搬送用スクリュ5c(前述のスクリュAに相当する)と、現像剤攪拌搬送部材としての攪拌搬送用スクリュ5d(前述のスクリュBに相当する)と、回収搬送用スクリュ5eと、仕切り板5f、5gを備えた3軸搬送タイプの構成であるが、これに限るものではない。すなわち、現像装置の詳細説明については前述したとおりであり、例えば図14に示すような2軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したものや、図15、図16に示すような3軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したもの等を用いることができる。
【0088】
複数のローラ23,24,25,26(2個),27,28,29により支持されて矢印方向に走行する、第1中間転写体としての第1像担持ベルト21が、第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける各感光体1Y,1C,1M,1Kの下部に設けられている。この第1像担持ベルト21は無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。また、第1像担持ベルト21の内周部には各感光体1Y,1C,1M,1Kに対向させて1次転写ローラ22が設けられている。
【0089】
第1像担持ベルト21の外周部には、ローラ23に対向する位置にクリーニング装置20Aが設けられている。このクリーニング装置20Aは、第1像担持ベルト21の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。
上記の第1像担持ベルト21に関連する部材は、第1像担持体ユニット20として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱が可能となっている。
【0090】
複数のローラ33,34,35,36(2個),37,38により支持されて矢印方向に走行する、第2中間転写体としての第2像担持ベルト31が、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kにおける各感光体1Y,1C,1M,1Kに接触して設けられている。この第2像担持ベルト31は無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。第2像担持ベルト31の内周部には各感光体1Y,1C,1M,1Kに対向させて1次転写ローラ32が設けられている。
【0091】
第2像担持ベルト31の外周部には、ローラ33に対向する位置にクリーニング装置30Aが設けられている。このクリーニング装置30Aは、第2像担持ベルト31の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。
上記の第2像担持ベルト31に関連する部材は、第2像担持体ユニット30として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱が可能となっている。
【0092】
さらに上記第1像担持ベルト21の外周で、支持ローラ28の近傍には、第1の2次転写ローラ46が設けてある。第1像担持ベルト21と2次転写ローラ46の間に記録材(以下用紙P)を通過させながら、第1の2次転写ローラ46にバイアスを印加することで第1像担持ベルト21が担持するトナーによる画像が用紙Pに転写される。
【0093】
上記第2像担持ベルト31の外周で、支持ローラ34の近傍には、第2の2次転写手段である転写チャージャ47が設けてある。転写チャージャ47は公知のタイプで、タングステンや金の細い線を放電電極とし、ケーシングで保持し、放電電極に不図示の電源から転写電流が印加される。像担持ベルト31と転写チャージャ47の間に用紙Pを通過させながら、転写電流を印加することで第2像担持ベルト31が担持するトナーによる画像が用紙Pに転写される。上記転写ローラ46と転写チャージャ47に印加される転写電流の極性は、ともにトナーの極性と逆のプラス極性である。
【0094】
画像形成装置100の右側には各種サイズの用紙を供給可能に収納した給紙装置40が配備されており、この給紙装置40内には、大容量の給紙トレイ40aと複数の給紙カセット40b〜40dが装着されている。そして、給紙トレイ40aと複数の給紙カセット40b〜40dのうちの選択された1つから給紙・分離手段41A〜41Dにより確実に一枚の用紙Pだけが給紙され、複数の搬送ローラ対42Bにより記録材搬送経路43Bや記録材搬送路43Aに送られる。
【0095】
記録材搬送路43Aの延長上には、前記第2の画像形成ステーションを通過した用紙を、記録材の搬送方向下流に備えた定着装置60における定着ニップまで、平面状態を保って搬送させるための、記録材移送手段50を備えている。記録材移送手段50は、矢印方向に無端移動する搬送ベルト51を支持するローラ52,53,54,55,56を有し、搬送ベルト51の外側には、ローラ55に対向させてクリーニング装置50A,ローラ56に対向させて記録材Pを吸着させるための吸着用チャージャ57、ローラ54に対向させて除電・分離チャージャ58を備えている。
【0096】
未定着のトナー画像と接触しながら記録材Pとともに移動する搬送ベルト51は、前記吸着用チャージャ57により、トナーの極性と同極性のマイナス帯電が施される。搬送ベルト51として、金属ベルト、ポリイミドベルト、ポリアミドベルトなどが採用できる。表面にトナーとの離型性を与えるとともに、帯電可能の抵抗値を備える。このベルト搬送51の走行速度は、定着装置60における記録材の走行速度と合わせてある。
【0097】
記録材搬送手段50の用紙搬送方向下流側には、加熱手段を有する定着装置60が設けられている。この定着装置60としては、ローラ内部にヒータを備えるタイプのローラ定着装置、加熱されるベルトを走行させるベルト定着装置、また、加熱の方式に電磁誘導加熱を採用した定着装置などが採用できる。用紙両面の画像の色合い、光沢度を同じにするため、定着ローラ、定着ベルトの材質、硬度、表面性などを上下同等にしてある。また、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、用紙の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。定着の終了した用紙を冷却し、不安定なトナーの状態を早期に安定させるため、冷却機能を有した冷却ローラ対70を定着後の搬送路に備えている。この冷却ローラ対70としては、放熱部を有するヒートパイプ構造のローラが採用できる。冷却された用紙は、排紙ローラ対71により、画像形成装置100の左側に設けた排紙スタック部75に排紙、スタックさせる。この排紙スタック部は、大量の用紙をスタック可能にするため、不図示のエレベータ機構により、スタックレベルに応じて、受け部材が上下する機構を採用している。なお、排紙スタック部75を通過させ、別の後処理装置に向けて用紙を搬送させることもできる。別の後処理装置としては、穴あけ、断裁、折、綴じなど製本のための装置である。
【0098】
未使用のキャリアを含む現像剤が収納された各色のカートリッジ86Y,86C,86M、86Kが、着脱可能に収納空間85に収納されている。そして、不図示の現像剤搬送手段により、各画像形成ユニットの現像装置に必要に応じて現像剤を供給するようになっている。本実施例の構成は、上下に配された4個ずつの画像形成ユニット80Y〜80K、81Y〜81Kに対し、各色のカートリッジ86Y,86C,86M、86Kは共通にしているが、別々にすることもできる。また、消耗の多いブラックトナー用のカートリッジ86Kを、特に大容量としておくことも可能である。この収納空間85は、画像形成装置上面で操作方向から見て奥側にあって、画像形成装置上面の手前側は平面部分が確保されているため、作業台として利用することができる。
【0099】
以下に図17に示す画像形成装置の動作を説明する。
[片面記録の動作]
上記の構成において、記録材(用紙)Pの片面にフルカラー画像を形成する片面記録時の動作について説明する。
片面記録の方法は基本的に2種類あって選択が可能となっている。2種類のうちの一つは、第1の像担持ベルト21に担持させた画像を用紙Pの片面に直接転写する方法であり、別の方法は、第2の像担持ベルト31に担持させた画像を用紙の片面に直接転写する方法である。本実施例では画像形成装置100の構成から、第1の像担持ベルト21に担持させた画像を用紙Pの片面に直接転写する場合には、画像が用紙のP上面に形成され、第2の像担持ベルト31に担持させた画像を用紙Pの片面に直接転写する場合には、画像が用紙Pの下面に形成される。また、記録するべきデータが複数の頁になるケースでは、排紙スタック部75上で頁が揃うように作像順序を制御するのが好都合である。そこで、ここでは最後の頁の画像データから順に記録して頁順を揃わせるよう、第1の像担持ベルト21に画像を担持させた後、用紙Pに転写させる方法について説明する。
【0100】
画像形成装置100を稼動させると、第1の像担持ベルト21と第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける感光体1Y,1C,1M,1Kが回動する。同時に第2の像担持ベルト31が回動するが、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kにおける感光体1Y,1C,1M,1Kは第2の像担持ベルト31と離間されるとともに不回転状態にされる。まず、イエローの画像形成ユニット80Yによる画像形成から開始される。帯電装置3により感光体1Yが一様に帯電され、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置4の作動により、LEDから出射されたイエロー用の画像データ対応の光が、帯電された感光体1Yの表面に照射されて静電潜像が形成される。
【0101】
静電潜像は現像装置5の現像ローラ5aによりイエロートナーで現像され、可視像となり、1次転写ローラ22の転写作用により感光体1Yと同期して移動する第1像担持ベルト21上に静電的に1次転写される。このような潜像形成、現像、1次転写動作がシアン、マゼンタ、ブラックの各画像形成ユニット80C,80M,80Kの感光体1C,1M,1K側でもタイミングをとって順次同様に行われる。
この結果、第1像担持ベルト21上には、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色トナー画像が、順次重なり合ったフルカラートナー画像として担持され、第1像担持ベルト21とともに矢印の方向に移動される。
【0102】
上記の画像形成動作と同時に給紙装置40のなかの給紙トレイ40aあるいは給紙カセット40b〜40dから、記録に使われる用紙Pがその供給のための給紙・分離手段41A〜41Dの一つにより繰り出され、搬送ローラ対42B,42Cにより記録材搬送路43Cに搬送される。用紙Pの先端がレジストローラ対45に咥えられない前に、ジョガー44は、用紙Pの搬送方向に対し両方の横方向から、用紙Pの両辺を押すように作動し、用紙横方向の位置整合が図られる。レジストローラ対45は静止しており、用紙Pの先端はレジストローラ対45のニップに入り込んだ状態で静止するが、第1像担持ベルト21上の画像との位置が正規なものとなるよう、タイミングをとってレジストローラ対45が回転し、用紙Pを転写領域に搬送する。
【0103】
第1像担持ベルト21上のこのフルカラートナー画像は、第1像担持ベルト21と同期して搬送される用紙Pの上面に、二次転写ローラ46による転写作用を受けて転写される。二次転写ローラ46に与えられるバイアスは、トナーの帯電極性と逆のプラス極性である。
【0104】
その後、第1像担持ベルト21の表面が、ベルトクリーニング装置20Aによりクリーニングされる。また、1次転写を終了した第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける感光体1Y,1C,1M,1Kの表面に残留するトナー等の異物はクリーニング装置2のクリーニングブラシ2aとクリーニングブレード2bにより、各感光体の表面から除去される。各感光体の表面は除電装置Qによる残留電位の除電作用が行なわれて次の作像・転写工程に備える。除去されたトナー等の異物は、回収手段2cにより、回収部87に送られる。なお、センサS1、S2は、感光体表面の露光後の表面電位と、現像工程後の感光体表面に付着しているトナーの濃度が適切なものであるかを検知し、適宜作像条件の設定、制御のために不図示の制御手段に情報を出力する。
【0105】
第1像担持ベルト21に重ねられて担持されていたトナー画像が二次転写された用紙Pは、搬送装置50の搬送ベルト51により定着装置60に向け移送される。用紙Pを確実に搬送ベルト51とともに移送できるよう、あらかじめ移送ベルト51の表面を、用紙の吸着用チャージャ57により帯電する。用紙Pが搬送ベルト51から分離され、確実に定着装置60に送られるよう、除電・分離チャージャ58が作動する。
【0106】
用紙P上に重ねられていた各色のトナーが定着装置60の熱による定着作用を受け、溶融、混色されて完全にカラー画像となる。片面記録の場合、用紙Pの片面(上面)だけにトナー像を有しているので、両面にトナー像を有している両面記録時に比べ、定着に要する熱エネルギーは少なくて済む。したがって、不図示の制御手段が画像に応じて定着装置の使用する電力を最適に制御する。定着されたトナー像も用紙上で完全に固着するまでは、搬送路のガイド部材等に擦られ、画像が欠落したり、乱れたりする。この不具合を防止するため、冷却手段である冷却ローラ対70が作動し、トナーと用紙Pを冷却する。その後、排紙ローラ71により排紙スタック部75に、画像面が上向きとなって排紙される。排紙スタック部75では若い頁の記録物が順次上に重ねられるようにスタックされるよう、作像順序がプログラムされているので、頁順が揃う。また、排紙スタック部75は、排紙される用紙の増加に従って下降するようになっているので、用紙は整然と確実にスタックでき、頁順が乱れることがない。また、記録済みの用紙を排紙スタック部75に直接スタックする代わりに、穴あけ加工処理を実施するとか、ソータ、コレータや綴じ装置や折り装置などの後処理装置に搬送することもできる。
【0107】
なお、用紙Pの片面に画像を形成させる他の方法(下面側に記録)では、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kで画像を形成して第2像担持ベルト31に重ねて1次転写する工程を行ない、第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける画像の形成を行なわないようにするのと、頁揃えのために若い頁の画像データから順に像形成をさせる点が異なるが、基本的には上記の片面記録の工程と同じなので、詳細な説明は省略する。
【0108】
[両面記録時の動作]
次に用紙Pの両面に画像を形成する両面記録時の動作について説明する。画像形成装置に開始信号が入力されると、上記、片面記録の動作で説明した第1の画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kで順次形成する各色ごとの画像を第1像担持ベルト21に順次1次転写させ、第1の画像として担持させる工程とほぼ平行して、第2の画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kで順次形成する各色ごとの画像を第2像担持ベルト31に順次1次転写させ、第2の画像として担持させる工程が行なわれる。第1、第2の画像形成ステーションの配置は、図17に示す構成なので、上記第1の画像と第2の画像が、用紙Pの搬送方向先端で位置的に合致するためには、第1の画像の形成開始より遅れて第2の画像の形成が開始される。また、用紙Pはレジストローラ対45で静止と再送が行なわれるので、その時間も見込んで給紙され、ジョガー44で整合される。レジストローラ対45は、タイミングをとって用紙Pを第1の2次転写手段である転写ローラ46と第1像担持ベルト21で構成された第1転写ステーションに搬送する。転写ローラ46にプラス極性の転写電流が印加され、第1像担持ベルト21から用紙Pの片面(図では上面)に画像が転写される。
【0109】
このようにして片面に画像を有した用紙Pは、転写ローラ46の搬送作用により、引き続き第2の二次転写手段たる転写チャージャ47のある第2転写ステーションに送られる。そしてチャージャにプラス極性の転写電流が印加されることにより、第2像担持ベルト31に予め担持されているフルカラーの第2の画像が、一括して用紙Pの下面に転写される。
【0110】
このようにして両面にフルカラートナー像が転写された用紙Pは、搬送装置50の搬送ベルト51により定着装置60へと移送される。このとき、吸着用チャージャ57により、搬送ベルト51の表面はトナーの極性と同じマイナス極性で帯電されており、用紙下面の未定着のトナーが搬送ベルト51に移らないようにしている。除電・分離チャージャ58には、交流が印加され、用紙Pは搬送ベルト51から分離され、定着装置60へと移送される。そして、定着装置60の熱による定着処理を受け、用紙Pの両面のトナー画像が溶融、混合される。用紙Pは引き続いて冷却ローラ対70を通過し、排紙ローラ71により排紙スタック部75上に排紙される。
【0111】
複数の頁の用紙に両面記録する場合、若い頁の画像が下面となって排紙スタック部75にスタックされるように作像順序を制御すると、そこから取り出し、上下面を逆にしたとき記録物は上から順に1頁、その裏に2頁、2枚目が3頁、その裏が4頁となり頁順が揃う。このような作像順序の制御や、定着装置に入力する電力を片面記録時より増やすなどの制御は、制御手段(不図示)により実行される。
【0112】
以上の片面記録動作、両面記録動作に関して、フルカラー記録を実行させる例で説明したが、図17に示す画像形成装置では、ブラックトナーだけによるモノクロ記録や、二色、三色等の多色記録も可能である。
【0113】
[画像形成装置の別の構成説明]
次に本発明に係る画像形成装置の別の構成例を図19に示す。
この画像形成装置は、前述の図17に対して通常の片面のみを一度に作像するカラー方式である、いわゆるタンデム構成の画像形成装置である。概略構成を以下に示す。
図19のカラー画像形成装置は、いわゆるタンデム方式といわれ、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色毎のプロセスカートリッジ10Y,10C,10M,10Kが中間転写体である中間転写ベルト12に沿って直列に配置された構成になっている。各色毎のプロセスカートリッジ10Y〜10Kは同じ構成であり、潜像担持体である感光体1Y〜1Kを中心に帯電装置3、現像装置5、クリーニング装置2等から構成される。また、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kの感光体1Y〜1Kに対し、露光装置4、中間転写装置11が配置されており、その他に、図示しない給紙装置と用紙搬送部、レジストローラ15、紙転写装置16、搬送装置17、定着装置18などを備えている。
【0114】
帯電装置3としては、例えば接触式の帯電ローラや帯電ブラシが用いられるが、この他、非接触式のチャージャを用いることもできる。
クリーニング装置2は、クリーニングブレードやクリーニングブラシ等を備え、感光体1の表面に残留するトナー等の異物を除去、回収する。
露光装置4は、各色毎の画像データ対応の光を、帯電手段で一様に帯電済みの各感光体1の表面に走査し、静電潜像を形成する。図示例の露光装置4は、4つのレーザ光源、ポリゴンミラー、4系統の走査結像光学系等を用い、形成すべき画像データに応じて変調したレーザビーム光を各感光体に照射するレーザスキャン方式の露光装置であるが、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子アレイからなる露光装置を採用することもできる。
【0115】
本実施例においては、上述の感光体1、帯電装置3、現像装置5及びクリーニング装置2等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジ10Y〜10Kを画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。
また、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kに用いる現像装置5の構成及び詳細説明については前述したとおりであり、例えば図14に示すような2軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したものや、図15、図16に示すような3軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したもの等を用いることができる。
【0116】
中間転写装置11は、複数のローラ13a,13b,13cに張架されて図中の矢印方向に回転する中間転写ベルト12と、1次転写手段である1次転写ローラ14と、図示しないベルトクリーニング装置等で構成され、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kの感光体1Y〜1Kに形成された各色のトナー画像が順次重ねて1次転写される。そして中間転写ベルト12上に転写されたトナー画像は、紙転写装置16で記録材(用紙)Pに二次転写される。転写後の用紙Pは搬送装置17で定着装置18に搬送され、トナー画像が用紙Pに定着される。
なお、図19に示す画像形成装置の作像動作は、前述の図17に示した画像形成装置において、裏面(第二面)の作像を行なわない片面記録動作と同様であるので、ここでは動作の詳細な説明は省略する。
【0117】
[現像剤の特性について]
本発明の現像装置に用いる二成分現像剤のキャリア(磁性キャリア)については、体積平均粒径が20〜60μmが好ましい。平均粒径が60μm以下の小粒径のキャリアを用いることで、現像能力を低下させることなく、汲み上げ量を低減することができ、現像装置内で循環する現像剤量を低減することができる。特にストレスのかかる現像剤規制部材(ドクタ等)を通過する現像剤量が少なくなることから、長寿命化に寄与する。また、キャリアの低容量化がなされるため、キャリア貯蔵部等の装置の小型化が図れる。さらには現像領域における磁気ブラシがより緻密になるために高画質化や画質の安定性が達成される。なお、キャリアの平均粒径が60μmより大きいと現像剤循環部でオーバーフローが起きやすくなり、安定な現像剤の循環が行えない。また、キャリアの平均粒径が20μmより小さいと感光体にキャリアが付着したり、現像装置からキャリアが飛散しやすくなるという不具合が発生する。
キャリアの平均粒径測定については、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7[μm]以上、125[μm]以下のレンジ設定で行うことができる。
【0118】
[トナー特性について]
本発明の現像装置に用いる二成分現像剤のトナー特性のうち、トナーの粒径について、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。粒径が小さくかつ粒径分布のシャープなトナーを用いることで、トナー粒子間の間隙が小さくなるため、色再現性を損なうことなくトナーの必要付着量を低減することができる。よって現像における濃度変動を小さくすることができる。また、600dpi以上の微小なドット画像の安定再現性が向上し、長期間安定した高画質を得ることができる。一方、体積平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。体積平均粒径(D4)が8μmを超えると、画像のパイルハイトが大きくなり、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、同時に体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましく、1.00〜1.30の範囲にあればより好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。
このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0119】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0120】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0121】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0122】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図20、図21は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記の式(1)で表される。これはトナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
この形状係数SF−1の値が100の場合、トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0123】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記の式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
この形状係数SF−2の値が100の場合、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0124】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナー間の接触状態が点接触となるためにトナー同士の吸着力は弱まり、したがって流動性が高くなる。ゆえに現像剤の循環性が向上するため、ストレスが小さくなり、長期的に安定した一方向循環を行うことが可能となる。また、トナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなり高画質化に寄与する。一方、形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、流動性が悪化し、現像剤の循環性が悪いために好ましくない。また転写率が低下するため好ましくない。
【0125】
本発明のトナーは、トナーの粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3mg/cm3以上の微粒子(以下、単に微粒子という)を付着させたものである。なお、通常の流動性向上剤にはシリカ等がよく用いられるが、例えば、このシリカの平均一次粒径は通常10〜30nm、嵩密度が0.1〜0.2mg/cm3である。
【0126】
本発明において、トナーの表面に適切な特性の微粒子が存在することで、トナー粒子と対象体との間に適度な空隙が形成される。また、微粒子は、トナー粒子、感光体、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。また、現像剤の流動性が高まるためストレスの低減効果があり、長寿命化にも寄与する。さらに、コロの役割を果たすため、感光体を摩耗または損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体との高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。これらの特性は、トナー粒子の受けるシェアを低減させる作用を示すので、高速定着(低エネルギー定着)のためトナーに含有されている低レオロジー成分によるトナー自身のフィルミングの低減効果を発揮する。しかも、微粒子として、平均一次粒径が50〜500μmの範囲のものを用いると、十分にその優れたクリーニング性能を活かすことができる上、極めて小粒径であるため、トナーの粉体流動性を低下させることがない。さらに、詳細は明らかでないが、表面処理された微粒子はトナーに外部添加されても、仮にキャリアを汚染した場合においても現像剤劣化の度合が少ない。よって経時的にトナーの流動性および帯電性の変化が少ないため、長期的に現像剤の循環を安定に行うことができる。また、画質の安定性も高くなる。
【0127】
微粒子の平均一次粒径(以下、平均粒径という)は、50〜500nmのものが用いられ、特に100〜400nmのものが好ましい。50nm未満であると、微粒子がトナー表面の凹凸の凹部分に埋没してコロの役割を低下する場合が生じる。一方、500μmよりも大きいと、微粒子がブレードと感光体表面の間に位置した場合、トナー自身の接触面積と同レベルのオーダーとなり、クリーニングされるべきトナー粒子を通過させる、即ちクリーニング不良を発生させやすくなる。
また、嵩密度が0.3mg/cm3未満では、流動性向上への寄与はあるものの、トナー及び微粒子の飛散性および付着性が高くなるために、トナーのコロとしての効果や、クリーニング部で蓄積して、トナーのクリーニング不良を防止するいわゆるダム効果といった働きが低下してしまう。
【0128】
本発明の微粒子において、無機化合物としては、SiO2、TiO2、Al2O3、MgO、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4、SrTiO3等を例示することができ、好ましくは、SiO2、TiO2、Al2O3があげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。
【0129】
また,有機化合物の微粒子としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0130】
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0131】
なお、微粒子の嵩密度は下記の方法により測定した。100mlのメスシリンダーを用いて、微粒子を徐々に加え100mlにした。その際、振動は与えなかった。このメスシリンダーの微粒子を入れる前後の重量差により嵩密度を測定した。
嵩密度(g/cm3)=微粒子量(g/100ml)÷100
【0132】
本発明の微粒子を、トナー表面に外添加し付着させる方法としては、トナー母体粒子と微粒子を各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と微粒子を界面活性剤などで均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法などがある。
【0133】
[現像剤供給手段について]
次に、未使用の現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像装置内の劣化した現像剤を現像装置外に排出する現像剤排出手段とを備える現像装置の構成例を図22に示す。
まず、現像剤供給手段の一例について図22(a)を用いて説明する。
現像剤供給手段は、内部に未使用のトナーが収納されているトナー収納容器702を備えたトナー供給手段701とトナー補給制御手段703と、内部に未使用のキャリアが収納されているキャリア収納容器705を備えたキャリア供給手段704とキャリア補給制御手段706と、現像剤供給搬送路707とからなる。トナー収納容器702とキャリア収納容器705は搬送路の途中で合流し、現像剤として搬送され現像装置(例えば図15に示した構成の現像装置)504の現像剤供給口524につながっている。トナーの補給量はトナー補給手段701で、キャリア補給量はキャリア補給手段704でそれぞれ制御される。
【0134】
トナー補給手段701とキャリア補給手段704は、例えば回転体に穴が取り付けられており、回転体の回転によりシャッターが開閉されて、その回転数によりトナーもしくはキャリア補給量が制御されるようにすればよい。
現像装置504の攪拌搬送路510の下方には、トナー濃度センサー527が設けられており、このセンサー出力により現像剤の補給制御が行われる。補給量の制御は、トナーは画像によるトナー消費量に応じて行い、キャリアはキャリアの劣化度に応じてキャリアを補給する。また、キャリアの補給を行った場合には、現像剤排出手段(図示しないオーガ、スクリュ、コイル等)で劣化した現像剤を装置外の排出部に排出する。
【0135】
この方式によればトナーカートリッジの設置場所の制約が少ないため、画像形成装置内部のスペース配分に対し有利である。また、トナーが適時補給できるため、現像装置に大きなトナー貯留スペースを設けなくて済み、現像装置の小型化が図れる。
【0136】
次に現像剤供給手段を図22(b)の供給手段とする場合について説明する。
現像剤供給手段710は、内部に未使用の現像剤(トナーとキャリアが予め混合されている状態の現像剤)が収容されている現像剤収容容器711と、現像剤補給手段712、および現像剤供給搬送路713からなり、現像装置(例えば図15に示した構成の現像装置)504の現像剤供給口524につながっている。ここで未使用の現像剤は現像剤中のトナーの重量比(トナー濃度)で15wt%前後のトナーが混合されているものである。なお、このトナー濃度の値は限定するものではなく、現像装置や収納容器の容量や設定寿命等に合わせて適宜設定されるものである。現像剤補給量は補給手段で制御される。現像剤補給手段712は、例えば一軸偏心スクリューポンプ(通称:モーノポンプ)を使用することができる。現像装置504の攪拌搬送路の下方には、トナー濃度センサー527が設けられており、このセンサー出力により現像剤の補給制御が行われる。また、現像剤の補給が行われた場合には、現像剤排出手段(図示しないオーガ、スクリュ、コイル、スクリューポンプ等)で装置内の使用済現像剤を装置外の排出部に排出する。
【0137】
この方式によればトナーカートリッジの設置場所の制約が少ないため、画像形成装置内部のスペース配分に対し有利である。また、現像剤が適時補給できるため、現像装置に大きな現像剤貯留スペースを設けなくて済み、現像装置の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明に係る現像装置のトナー濃度変動と位相制御の説明図である。
【図2】本発明に係る現像装置の位相制御方法の説明図である。
【図3】本発明に係る現像装置における仕切り板の開口部と、その開口部を用いた位相制御の説明図である。
【図4】図3に示す仕切り板の開口部の位置を変えたときの、開口部の位置による位相制御の効果の違いの説明図である。
【図5】スクリュ上に波長λのトナー濃度変動を作り、λ/8、λ/4の位置の仕切り板に開口部を設けてスクリュ上の現像剤を循環させた場合の、スクリュ上のある位置でのトナー濃度変動の時間変化を測定した実験結果を示すグラフである。
【図6】本発明に係る現像装置の2つの現像剤搬送部材(スクリュ)にフィンを取り付けたときの、取り付け位置の説明図である。
【図7】スクリュ上に波長λのトナー濃度変動を作り、λ/4の位置の仕切り板に開口部を設けてスクリュ上の現像剤を循環させた場合の、スクリュ上のある位置でのトナー濃度変動の時間変化を測定した実験結果を示すグラフである。
【図8】本発明に係る現像装置の第2現像剤搬送部材(スクリュB)の回転方向の説明図である。
【図9】本発明に係る現像装置の仕切り板の開口部に設けた開閉機構と、開閉タイミングの説明図である。
【図10】本発明に係る現像装置において、仕切り板の一端側の開口部を大きくして位相制御を行なう場合の説明図である。
【図11】本発明に係る現像装置において、スリーブ上の現像剤溜りを利用して位相制御を行ない場合の説明図である。
【図12】本発明に係る現像装置のドクタ近傍の要部斜視図である。
【図13】本発明に係る現像装置において、スクリュA上をそのまま流れる現像剤と、スクリュAからスリーブに汲み上げられて再びスクリュAに戻される現像剤との2つの経路差を利用して位相制御を行なう方法の説明図である。
【図14】本発明が適用される2軸搬送タイプの現像装置の一例を示す概略断面図である。
【図15】本発明が適用される3軸搬送タイプの現像装置の一例を示す概略断面図である。
【図16】本発明が適用される3軸搬送タイプの現像装置の別の例を示す概略断面図である。
【図17】本発明が適用される画像形成装置の一実施例を示す図であって、画像形成装置全体の内部構成を示した概略中央断面図である。
【図18】図17に示す画像形成装置に用いられる画像形成ユニットの構成例を示す概略構成図である。
【図19】本発明が適用される画像形成装置の別の実施例を示す図であって、画像形成装置の内部構成を示した概略中央断面図である。
【図20】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図21】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図22】本発明に係る現像装置の現像剤供給手段の構成説明図である。
【符号の説明】
【0139】
1(1Y,1C,1M,1K)、501、601:感光体(潜像担持体)
2:クリーニング装置
3:帯電装置
4:露光装置
5、400、504、604:現像装置
5a、401、505、605:現像剤担持体(現像ローラまたはスリーブ)
10Y,10C,10M,10K:プロセスカートリッジ
11:中間転写装置
12:中間転写ベルト(中間転写体)
16:紙転写装置(2次転写手段)
17:搬送装置
18:定着装置
20:第1像担持体ユニット
21:第1像担持ベルト(第1中間転写体)
22、32:1次転写ローラ(1次転写手段)
40:給紙装置
46:2次転写ローラ(2次転写手段)
47:転写チャージャ(2次転写手段)
50:記録材搬送装置(記録材搬送手段)
60:定着装置
80Y,80C,80M,80K:第1画像形成ユニット
81Y,81C,81M,81K:第2画像形成ユニット
402:供給回収用スクリュ(スクリュA(第1の現像剤搬送部材))
403:攪拌搬送用スクリュ(スクリュB(第2の現像剤搬送部材))
404:仕切り板
405:ドクタ(現像剤規制部材)
404a:開口部
410:フィン
411:開閉機構
701:トナー供給手段
702:トナー収納容器
703:トナー補給制御手段
704:キャリア供給手段
705:キャリア収納容器
706:キャリア補給制御手段
707:現像剤供給搬送路
710:現像剤供給手段
711:現像剤収容容器
712:現像剤補給手段
713:現像剤供給搬送路
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて現像を行なう現像装置と、その現像装置に用いられるキャリア、トナー及び現像剤と、前記現像装置を備えたプロセスカートリッジと、前記現像装置または前記プロセスカートリッジを備え、電子写真方式を利用した画像形成を行う複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。さらに本発明は、前記現像装置または前記プロセスカートリッジを複数備え、カラー作像が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二成分現像剤を用いて現像を行なう2軸搬送タイプの現像装置として、現像剤担持体(現像ローラ(スリーブ))への現像剤供給及び回収用の現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)及び供給回収搬送路と、トナー補給後の搬送攪拌用の現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)及び攪拌搬送路の、2つの現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)及び2つの搬送路で構成され、これらが現像剤担持体の下方に略水平方向に配置されている構成のものが知られている。
【0003】
このような2軸搬送タイプの現像装置においては、現像装置内の現像剤は、トナー補給やトナー消費(現像)によって空間的にトナー濃度変動している。そこで従来は、現像剤搬送部材(スクリュ、オーガ等)で現像剤を拡散させることによってそのトナー濃度変動を小さくしてきた。スクリュ等の現像剤搬送部材での拡散能力を上げるには、スクリュの回転数を上げたりフィンを取り付けたりなどスクリュ形状を工夫したりできるが、それにも限界があり、現像剤が現像剤担持体(現像ローラ、スリーブ等)に到達するまでに十分に拡散しきれず、現像剤担持体に汲み上げられた現像剤にもトナー濃度変動が残ってしまっているのが現状である。
【0004】
そこで、2軸搬送タイプの現像装置において、現像剤担持体の軸方向のトナー濃度偏差を小さくするため、2つのスクリュ間に設けた仕切り板(隔壁)に複数個の開口部を設けるとともに、仕切り板に現像剤搬送方向に対し傾斜し開口部に現像剤を案内する案内部材を設けたものが提案されている(特許文献1等参照)。
【0005】
【特許文献1】実公平6−6380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の2軸構成の現像装置は、現像剤搬送部材(例えばスクリュ)上において現像剤の流れに分岐がなかったために、トナー補給や消費によってスクリュ上にできたトナー濃度変動の波形がそのまま維持されてしまっていた。そして、波形を維持したままスクリュの撹拌・搬送によってその波形の振幅のみを小さくしようとしていたため、波形の振幅が無視できるほど小さくなるまでには、現像剤が現像装置内を何周もする必要があった。
【0007】
特許文献1に記載の従来技術では、2軸現像装置のスリーブの軸方向の偏差を縮小することが目的であり、仕切り板に開口部を備えているが、トナー濃度変動の位相の制御は行っていない。つまり、上記の目的を達成するためには、スリーブから遠い方のスクリュからスリーブ側のスクリュへ開口部を通過する剤の流れが必要不可欠なものとなっており、やはり波形の振幅が無視できるほど小さくなるまでには、現像剤が現像装置内を何周もする必要があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、トナー濃度変動の位相を制御することによってトナー濃度の均一化を瞬時に行なうことができ、現像剤担持体に現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができる構成の現像装置と、これを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。また、本発明は、前記現像装置やプロセスカートリッジ、画像形成装置に用いるのに最適なトナー、キャリア及び現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では以下のような技術的手段を採っている。
本発明の第1の手段は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて潜像担持体上の潜像を現像し顕像化する現像装置において、トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路を通過させることにより該現像剤中のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の手段は、第1の手段の現像装置において、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体と平行に配置され互いに異なる方向に現像剤を搬送する2つの現像剤搬送部材と、該2つの現像剤搬送部材の間に配置された仕切り板とを少なくとも有し、前記位相制御機構として、前記仕切り板に、前記1対の現像剤搬送部材の軸方向に亘って両端の現像剤の受け渡し部以外に少なくとも1つの開口部を有することを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第2の手段の現像装置において、前記2つの現像剤搬送部材は、回転軸部に螺旋状の羽部を供え、回転することにより現像剤を軸方向に搬送するスクリュ状の部材であり、前記仕切り板の開口部に面した2つの現像剤搬送部材のどちらか一方、または両方にフィンを取り付けたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の手段は、第2または第3の手段の現像装置において、前記仕切り板の開口部の中心位置xは、現像装置端部の開口部の中心位置より、
(1/8+1/2・n)λ≦x≦(3/8+1/2・n)λ
(λ:現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長、n=0,1,2,・・・)
の範囲での距離にあることを特徴とする。
また、本発明の第5の手段は、第4の手段の現像装置において、前記2つの現像剤搬送部材上での現像剤搬送速度の違いにより前記波長λが異なる場合、該波長λは両現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長λ1、λ2の平均値、
λ=(λ1+λ2)/2
とすることを特徴とする。
【0012】
本発明の第6の手段は、第2〜第5のいずれか1つの手段の現像装置において、前記仕切り板の開口部の開閉が可能であることを特徴とする。
また、本発明の第7の手段は、第6の手段の現像装置において、前記仕切り板の開閉はトナー補給タイミングに応じて制御されること特徴とする。
【0013】
本発明の第8の手段は、第2〜第7のいずれか1つの手段の現像装置において、前記2つの現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材、前記現像剤担持体から離れた方の現像剤搬送部材を第2現像剤搬送部材としたとき、該第2現像剤搬送部材の回転方向が、前記現像剤担持体を左、前記第2現像剤搬送部材を右に配置した状態の側面から見て、時計周りであることを特徴とする。
また、本発明の第9の手段は、第2〜第8のいずれか1つの手段の現像装置において、前記仕切り板の端部からケース側面までの距離が、現像剤搬送部材の外径の2倍以上であることを特徴とする。
【0014】
本発明の第10の手段は、第2〜第9のいずれか1つの手段の現像装置において、前記1対の現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材とすると、前記現像剤担持体の現像剤溜りから前記第1現像剤搬送部材への単位時間当たりの現像剤落下量X[kg/s]と、前記第1現像剤搬送部材上の単位長さ当たりの現像剤重量Y[kg/m]と、前記第1現像剤搬送部材上の現像剤の搬送速度u[m/s]との関係が、
X/u≧1/2・Y
であることを特徴とする。
また、本発明の第11の手段は、第10の手段の現像装置において、前記第1現像剤搬送部材上の単位長さ当たりの現像剤重量が場所によって変化する場合は、単位長さ当たりの現像剤重量の長手方向の平均値を現像剤重量Y[kg/m]とすることを特徴とする。
【0015】
本発明の第12の手段は、第10または第11の手段の現像装置において、前記現像剤担持体の現像剤溜りの現像剤の厚さを規制する現像剤規制部材と、該現像剤規制部材近傍の余剰現像剤を回収する余剰現像剤回収手段を備え、該余剰現像剤回収手段は、回収した現像剤を第1現像剤搬送部材の搬送路に戻し、かつその現像剤の少なくとも一部を、回収した位置より第1現像剤搬送部材の搬送方向上流側に還流させることを特徴とする。
また、本発明の第13の手段は、第12の手段の現像装置において、前記余剰現像剤回収手段で回収した位置から前記第1現像剤搬送部材の搬送方向上流側に現像剤を還流させる際、回収位置から還流させる位置までの距離xと、前記現像剤担持体の現像剤溜りに持ち上げられてから前記第1現像剤搬送部材に現像剤が落ちるまでの平均時間tと、前記第1現像剤搬送部材上の現像剤の搬送速度uの関係が、
λ/4+λ・n≦u・t+x≦3λ/4+λ・n
(λ:第1現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長)
であることを特徴とする。
【0016】
本発明の第14の手段は、第1〜第13のいずれか1つの手段の現像装置おいて、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体への現像剤供給及び回収用の現像剤搬送部材とトナー補給後の搬送攪拌用の現像剤搬送部材の2つの現像剤搬送部材を備え、前記2つの現像剤搬送部材が前記現像剤担持体の下方に水平方向に配置されている構成(所謂2軸搬送タイプ)であることを特徴とする。
【0017】
本発明の第15の手段は、第1〜第13のいずれか1つの手段の現像装置おいて、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体を備え、かつ、前記現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体へ現像剤を供給する供給用現像剤搬送部材と、前記現像剤担持体から現像終了後の現像剤を回収するとともに回収した現像剤を供給用現像剤搬送部材と平行でかつ同方向に搬送する回収用現像剤搬送部材と、前記供給用現像剤搬送部材から前記現像剤担持体に供給されなかった余剰現像剤と前記回収用現像剤搬送部材から運ばれてきた現像剤とを供給用現像剤搬送部材と逆方向に撹拌搬送する攪拌用現像剤搬送部材の3つの現像剤搬送部材を備えた構成(所謂3軸搬送タイプ)であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第16の手段は、第1〜第15のいずれか1つの手段の現像装置において、未使用の予め混合した現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像装置内の現像剤を現像装置外に排出する現像剤排出手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明の第17の手段は、第1〜第15のいずれか1つの手段の現像装置において、未使用のキャリアを供給するキャリア供給部と、未使用のトナーを供給するトナー供給部とから構成される現像剤供給手段を有し、前記キャリアの補給動作と前記トナーの補給動作が独立に制御されることを特徴とする。
【0019】
本発明の第18の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるキャリアであって、体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴とする。
また、本発明の第19の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、体積平均粒径(D4)が3〜8μmで、体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が、1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする。
さらに本発明の第20の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする。
さらにまた、本発明の第21の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3g/cm3以上の微粒子が外添加されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の第22の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられる現像剤であって、第18の手段のキャリアと、第19〜第21のいずれか1つの手段のトナーとを用いたことを特徴とする。
また、本発明の第23の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤として、第22の手段の現像剤を用いたことを特徴とする。
【0021】
本発明の第24の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを一体に備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第25の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置、あるいは第24の手段のプロセスカーリッジを備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明の第26の手段は、第25の手段の画像形成装置において、現像色の異なる複数の現像装置またはプロセスカートリッジを備え、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする。
また、本発明の第27の手段は、第25の手段の画像形成装置において、少なくとも潜像担持体と該潜像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジを複数備え、各画像形成ユニットまたは各プロセスカーリッジで現像色の異なる画像を形成して記録材に直接、または中間転写体を介して転写し、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする。
【0023】
本発明の第28の手段は、第25の手段の画像形成装置において、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第1画像形成ユニット群と、該第1画像形成ユニット群にて形成された第1トナー像が転写され担持される第1中間転写体とからなる第1画像形成ステーション」と、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第2画像形成ユニット群と、該第2画像形成ユニット群にて形成された第2トナー像が転写され担持される第2中間転写体とからなる第2画像形成ステーション」と、を備え、記録材の第1面に転写される第1トナー像は、前記第1画像形成ステーションにより形成され、記録材の第2面に転写される第2トナー像は、第2画像形成ステーションにより形成され、定着前において第1のトナー像と第2のトナー像が同時もしくは順次に記録材に転写される(所謂1パス両面転写方式である)ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、二成分現像剤を用いた現像装置において、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させることにより、現像剤のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させる位相制御機構を現像装置内に取り入れたものであり、位相を制御することによってトナー濃度の均一化を瞬時に行なうことができるため、現像剤担持体(例えばスリーブ)に現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができる。
【0025】
以下、本発明の手段及び効果についてより詳しく説明する。
現像装置内の現像剤は、トナー補給やトナー消費(現像)によって空間的にトナー濃度変動している。今まで、現像剤搬送部材(例えばスクリュ)で現像剤を拡散させることによってそのトナー濃度変動を小さくしてきた。スクリュでの拡散能力を上げるには、スクリュの回転数を上げたりフィンを取り付けたりなどスクリュ形状を工夫したりできるが、それにも限界があり、現像剤が現像剤担持体(例えば現像ローラのスリーブ)に到達するまでに十分に拡散しきれず、スリーブに汲み上げられた現像剤にもトナー濃度変動が残ってしまっているのが現状である。
【0026】
そこで本発明の第1の手段では、トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路を通過させることにより該現像剤中のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を有する構成としており、空間的にトナー濃度変動のある現像剤同士を、位相をずらした状態で重ねることにより、トナー濃度の高いところと低いところが平均化され、トナー濃度が均一化される。この位相をずらして重ねることによって得られるトナーの拡散効果は、スクリュによる撹拌によって得られる効果と比較すると著しく大きい。これにより、スリーブ上に汲み上げられる現像剤のトナー濃度変動は無視できるまで小さくなり、それに伴い帯電もより均一化される。
【0027】
現像装置内の現像剤のトナー濃度変動を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。
そこで本発明の第2の手段では、現像装置は、現像剤を担持して回転し潜像担持体(例えば感光体)と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体(例えば現像ローラのスリーブ)と、該現像剤担持体と平行に配置され互いに異なる方向に現像剤を搬送する2つの現像剤搬送部材(例えばスクリュ)と、該2つの現像剤搬送部材の間に配置された仕切り板とを少なくとも有し、前記位相制御機構として、前記仕切り板に、前記1対の現像剤搬送部材の軸方向に亘って両端の現像剤の受け渡し部以外に少なくとも1つの開口部を有する構成としており、このように仕切り板に開口部を設けることにより、開口部を通った場合と通らない場合とで現像剤の経路の長さに差をつくることができ、その結果、トナー濃度変動の位相をずらすことができる。
【0028】
現像装置内の現像剤のトナー濃度変動を小さくするためには、上記のように、仕切り板に開口部を設け、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。しかし、単に仕切り板に開口部を開けただけでは、開口部を通過する剤の量が少なく、位相をずらすことによって得られる効果が小さくなってしまう可能性がある(2つの経路を通過する剤の量が同等であるときが最も効果的である。)。
【0029】
そこで本発明の第3の手段では、前記2つの現像剤搬送部材は、回転軸部に螺旋状の羽部を供え、回転することにより現像剤を軸方向に搬送するスクリュ状の部材であり、前記仕切り板の開口部に面した2つの現像剤搬送部材(スクリュ)のどちらか一方、または両方にフィンを取り付けた構成としており、開口部に面したスクリュにフィンを取り付けることにより、開口部を通る現像剤の量が増え、2つの経路(開口部を通らない経路、開口部を通る経路)を通る現像剤の重量が同等に近づくため、位相をずらすことによる拡散効果が大きく得られる。
【0030】
現像装置内の現像剤のトナー濃度変動を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。位相はπずらすのが最も効果的である。位相をπずらすためには、分岐後の各経路の差がλ/2+λ・n(λ:スクリュ上のトナー濃度変動の波長、n=0,1,2,・・・)になるように、開口部の位置を決めなければならない。
【0031】
そこで本発明の第4の手段では、前記仕切り板の開口部の中心位置xは、現像装置端部の開口部の中心位置より、
(1/8+1/2・n)λ≦x≦(3/8+1/2・n)λ
(λ:現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長、n=0,1,2,・・・)
の範囲での距離にあることを特徴としており(ただし、前記2つの現像剤搬送部材上での現像剤搬送速度の違いにより前記波長λが異なる場合、該波長λは両現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長λ1、λ2の平均値:λ=(λ1+λ2)/2とする(第5の手段))、このように、開口部を上記の位置に決めることにより、位相θを、
1/2・π≦θ≦3/2・π
ずらすことができ、高い拡散効果が期待される。
【0032】
ところで、上記のように仕切り板に開口部を設けることにより、補給されたトナーが上滑りして開口部を通過し、十分にキャリアと混ざる前に現像剤担持体(例えばスリーブ)に汲み上げられてしまう恐れがある。
そこで本発明の第6の手段では、前記仕切り板の開口部の開閉が可能であることを特徴としており、補給トナーが開口部横を通過するときに開口部を閉めることによって、補給トナーがキャリアと混ざる前にスリーブに汲み上げられることを防止できる。
また、本発明の第7の手段では、上記の構成に加え、前記仕切り板の開閉はトナー補給タイミングに応じて制御されること特徴としており、トナー補給を行なった時間から所定のタイムラグをおいて、補給トナーが開口部横を通過する。通過するときに開口部を閉めることによって、補給トナーがキャリアと混ざる前にスリーブに汲み上げられることを防止できる。ここでタイムラグは、
(トナー補給位置から開口部までの距離[m])/(現像剤の搬送速度[m/s])
で決まる。
【0033】
上記のように、仕切り板に開口部を設けることにより、補給されたトナーが上滑りして開口部を通過し、十分にキャリアと混ざる前に現像剤担持体(例えばスリーブ)に汲み上げられてしまう恐れがある。
そこで本発明の第8の手段では、前記2つの現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体(例えばスリーブ)に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材(例えばスクリュA)、前記現像剤担持体(スリーブ)から離れた方の現像剤搬送部材を第2現像剤搬送部材(例えばスクリュB)としたとき、該第2現像剤搬送部材(スクリュB)の回転方向が、前記スリーブを左、前記スクリュBを右に配置した状態の側面から見て、時計周りであることを特徴としており、このような回転方向にスクリュを回転させると、スクリュBのスリーブ側に現像剤が寄るようになり、補給トナーは現像剤面が低いスリーブと反対側に寄ることになる。そのため、上滑りした補給トナーが開口部を通過する量はほぼ0となる。
【0034】
現像装置内の現像剤のトナー濃度変動を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。
そこで本発明の第9の手段では、前記仕切り板の端部からケース側面までの距離が、現像剤搬送部材(例えばスクリュ)の外径の2倍以上であることを特徴としており、端部の開口を大きくとることによって、仕切り板の途中に開口部をあけなくても、端部の開口の外側をまわる剤と内側をまわる剤とで経路差ができ位相をずらすことが可能になる。
【0035】
現像装置内の現像剤のトナー濃度偏差を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。
ここで、スリーブに現像剤溜りがある場合、このスリーブの現像剤溜りは位相制御機構として働く。これは、スクリュA上をそのまま流れる現像剤と、スリーブに持ち上げられてから現像剤溜りの中を循環し再びスクリュAに戻される現像剤と、2つの経路を作る機能があるためである。しかし、スリーブの現像剤溜りが位相制御機構として効果的に働くためには、スクリュAからスリーブに汲み上げられて再びスクリュAへ戻ってくる経路を通る現像剤がある程度多くないとならない。目安としては、スクリュAの上流から下流に現像剤が流れてくる過程において、元々スクリュAにあった現像剤重量Y(単位長さ当たりの現像剤重量)と比較して、スリーブからスクリュAへ落ちる現像剤重量(単位長さ当たり)X/uが半分程度の量以上必要であると考えられる。
【0036】
そこで本発明の第10の手段では、前記1対の現像剤搬送部材(スクリュ)のうち、スリーブに近い方の現像剤搬送部材をスクリュAとすると、スリーブの現像剤溜りからスクリュAへの単位時間当たりの現像剤落下量X[kg/s]と、スクリュA上の単位長さ当たりの現像剤重量Y[kg/m]と、スクリュA上の現像剤の搬送速度u[m/s]との関係が、
X/u≧1/2・Y
となるようにしており(ただし、前記スクリュA上の単位長さ当たりの現像剤重量が場所によって変化する場合は、単位長さ当たりの現像剤重量の長手方向の平均値を現像剤重量Y[kg/m]とする)、スリーブの現像剤溜りが位相制御機構として効果的に働くようにしている。
【0037】
現像装置内の現像剤のトナー濃度偏差を小さくするためには、上記のとおり、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。位相はπずらすのが最も効果的であり、そのためには経路差をλ/2(λ:スクリュ上トナー濃度変動の波長)に近づけるため経路差を大きくする工夫をしないといけない。
そこで本発明の第12の手段では、前記スリーブの現像剤溜りの現像剤の厚さを規制する現像剤規制部材(例えばドクタ)と、該現像剤規制部材近傍の余剰現像剤を回収する余剰現像剤回収手段を備え、該余剰現像剤回収手段は、回収した現像剤を第1現像剤搬送部材(スクリュA)の搬送路に戻し、かつその現像剤の少なくとも一部を、回収した位置より第1現像剤搬送部材(スクリュA)の搬送方向上流側に還流させることを特徴としており、スリーブの現像剤溜りの現像剤を回収した位置よりスクリュAの搬送方向上流側に還流させることにより、経路差を大きくすることができ、位相をより大きくずらすことができる。
【0038】
現像装置内の現像剤のトナー濃度偏差を小さくするためには、上記のように、現像剤の流れを分岐させ、位相をずらしたのち再び重ねる必要がある。位相はπずらすのが最も効果的であり、そのためには経路差を調節する工夫をしないといけない。
そこで本発明の第13の手段では、第12の手段の構成に加え、前記余剰現像剤回収手段で回収した位置から前記第1現像剤搬送部材(スクリュA)の搬送方向上流側に現像剤を還流させる際、回収位置から還流させる位置までの距離xと、前記現像剤担持体(スリーブ)の現像剤溜りに持ち上げられてから前記第1現像剤搬送部材(スクリュA)に現像剤が落ちるまでの平均時間tと、前記第1現像剤搬送部材(スクリュA)上の現像剤の搬送速度uの関係が、
λ/4+λ・n≦u・t+x≦3λ/4+λ・n
(λ:スクリュA上のトナー濃度変動の波長)
であることを特徴としており、余剰現像剤を還流させる位置を上記の位置に決めることにより、第4の手段と同様に位相θを1/2・π≦θ≦3/2・πずらすことができ、高い拡散効果が期待される。
【0039】
本発明の第14では、第1〜第13のいずれか1つの手段の現像装置おいて、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体への現像剤供給及び回収用の現像剤搬送部材とトナー補給後の搬送攪拌用の現像剤搬送部材の2つの現像剤搬送部材を備え、前記2つの現像剤搬送部材が前記現像剤担持体の下方に水平方向に配置されている構成(所謂2軸搬送タイプ)であることを特徴としており、2軸搬送タイプの現像装置の仕切り板に位相制御用の開口部をつけることにより、上記効果にプラスして以下の効果を得ることができる。
2軸搬送タイプの現像装置では、現像後の現像剤が供給回収共用のスクリュ(スクリュA)で回収されるため、スクリュの下流にいくに従ってトナー濃度が低下し、スリーブ左右でトナー濃度偏差を生じてしまう。しかし、仕切り板に開口部を開けることにより、トナー濃度の高い現像剤が供給回収共用スクリュに流れることになり、それによりスリーブ左右でのトナー濃度偏差が小さくなる。したがって、トナー像が安定して形成できる。
【0040】
本発明の第15の手段は、第1〜第13のいずれか1つの手段の現像装置おいて、前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体を備え、かつ、前記現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体へ現像剤を供給する供給用現像剤搬送部材と、前記現像剤担持体から現像終了後の現像剤を回収するとともに回収した現像剤を供給用現像剤搬送部材と平行でかつ同方向に搬送する回収用現像剤搬送部材と、前記供給用現像剤搬送部材から前記現像剤担持体に供給されなかった余剰現像剤と前記回収用現像剤搬送部材から運ばれてきた現像剤とを供給用現像剤搬送部材と逆方向に撹拌搬送する攪拌用現像剤搬送部材の3つの現像剤搬送部材を備えた構成(所謂3軸搬送タイプ)であることを特徴としており、3軸搬送タイプの現像装置の仕切り板に位相制御用の開口部をつけることにより、上記効果にプラスして以下の効果を得ることができる。
3軸搬送タイプの現像装置では、スリーブに汲み上げられた現像剤は回収スクリュに集められ供給スクリュに戻らないので、供給スクリュ下流にいくに従い、現像剤量が減っていくため、下流部では現像剤が枯渇してしまう恐れがある。枯渇を防ぐには、スクリュ回転数を上げる必要があるが、軸受の寿命を考えるとそれにも限界がある。しかし、仕切り板に開口部を開けることにより、開口部から供給部へ現像剤の移動が可能になり、現像剤の枯渇防止に非常に有利になる。
【0041】
本発明の第16の手段は、第1〜第15のいずれか1つの手段の現像装置において、未使用の予め混合した現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像装置内の現像剤を現像装置外に排出する現像剤排出手段とを備えることを特徴ととしており、劣化した現像剤を排出し未使用の予め混合した現像剤を供給することで、現像装置内の現像剤容量をほぼ一定に保ちながら常に劣化の少ない現像剤で像形成が行える。よって、現像剤の特性変動が少なくなり、長期にわたり安定した画像濃度の得られる現像装置を得ることができる。さらには、予め混合した現像剤を使用することにより現像剤補給に必要な収容容器数を減らすことができ、省スペース化、制御の簡略化を達成することができる。
【0042】
本発明の第17の手段は、第1〜第15のいずれか1つの手段の現像装置において、未使用のキャリアを供給するキャリア供給部と、未使用のトナーを供給するトナー供給部とから構成される現像剤供給手段を有し、前記キャリアの補給動作と前記トナーの補給動作が独立に制御されることを特徴としており、キャリアの補給動作とトナーの補給動作を独立に制御することで、トナーの消費状況に応じた現像剤補給が可能となり、現像装置内のトナー濃度を常に一定に保ちながら劣化の少ない現像剤で像形成が行える。よって、現像剤の特性変動が少なくなり、長期にわたり安定した画像濃度の得られる現像装置を得ることができる。
【0043】
本発明の第18の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるキャリアであって、体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴としており、小粒径なキャリアを用いることで、磁気ブラシの緻密化により現像能力の向上が図れるため、現像に必要な現像剤量(汲み上げ量)を低減することができる。それにより回収部におけるスクリュ回転数低減が図れ、現像剤循環によるストレス低減に寄与する。また、ストレスのかかる現像剤規制部材を通過する現像剤量が少なくなることから、長寿命化に寄与する。さらにはキャリアの低容量化がなされるため、キャリア貯蔵部等の装置の小型化が図れる。さらには現像領域における磁気ブラシがより緻密になるために高画質化や画質の安定性が達成される。なお、キャリアの平均粒径が60μmより大きいと現像剤循環部でオーバーフローする現像剤が多くなり、安定な現像剤循環が行えない。さらには磁気ブラシが粗くなるため満足の行く画質を得ることができない。また、キャリアの平均粒径が20μmより小さいと感光体にキャリアが付着したり、現像装置からキャリアが飛散したりしやすくなるという不具合が発生する。
【0044】
本発明の第19の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、体積平均粒径(D4)が3〜8μmで、体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)が、1.00〜1.40の範囲にあることを特徴としており、粒径が小さくかつ粒径分布のシャープなトナーを用いることで、トナー粒子間の間隙が小さくなるため、色再現性を損なうことなくトナーの必要付着量を低減することができる。よって現像における濃度変動を小さくすることができる。また、微小なドット画像の安定再現性が向上し、長期間安定した高画質を得ることができる。なお、平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった不具合が発生しやすい。平均粒径(D4)が8μmを超えると、現像剤の流動性が悪化するとともに、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しく長期間画質を安定に維持することが困難となる。
【0045】
本発明の第20の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴としており、トナーが球形に近いことにより、現像剤の流動性がよくなることで、現像剤循環におけるストレスが小さくなり、長期的に安定した現像剤循環と現像を行うことが可能となる。
【0046】
本発明の第21の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられるトナーであって、トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3g/cm3以上の微粒子が外添加されていることを特徴としており、トナーにおける外添剤の埋没が少なく、経時にて現像剤の流動性および帯電特性の変化が小さいため、長期的に安定した現像剤循環と現像を行うことが可能となる。
【0047】
本発明の第22の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置に用いられる現像剤であって、第18の手段のキャリアと、第19〜第21のいずれか1つの手段のトナーとを用いたことを特徴としており、第18の手段や、第19〜第21の手段と同様の効果が得られる。
また、本発明の第23の手段は、第1〜第17のいずれか1つの手段の現像装置において、前記現像剤として、第22の手段の現像剤を用いたことを特徴としており、第18の手段や、第19〜第21の手段と同様の効果が得られる。
【0048】
本発明の第24の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを一体に備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を備えたことを特徴としており、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高いプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0049】
本発明の第25の手段は、少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置、あるいは第24の手段のプロセスカーリッジを備えたことを特徴としており、第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置、あるいは第24の手段のプロセスカーリッジを用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高い画像形成装置を提供することが可能になる。
【0050】
本発明の第26の手段は、第25の手段の画像形成装置において、現像色の異なる複数の現像装置またはプロセスカートリッジを備え、記録材にカラー画像を形成することを特徴としており、複数の現像装置に第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高く、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る画像形成装置を提供することが可能になる。
【0051】
本発明の第27の手段は、第25の手段の画像形成装置において、少なくとも潜像担持体と該潜像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットまたはプロセスカートリッジを複数備え、各画像形成ユニットまたはプロセスカートリッジで現像色の異なる画像を形成して記録材に直接、または中間転写体を介して転写し、記録材にカラー画像を形成することを特徴としており、各画像形成ユニットまたはプロセスカートリッジの現像装置に第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高く、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る画像形成装置を提供することが可能になる。
【0052】
本発明の第27の手段は、第25の手段の画像形成装置において、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第1画像形成ユニット群と、該第1画像形成ユニット群にて形成された第1トナー像が転写され担持される第1中間転写体とからなる第1画像形成ステーション」と、「少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第2画像形成ユニット群と、該第2画像形成ユニット群にて形成された第2トナー像が転写され担持される第2中間転写体とからなる第2画像形成ステーション」と、を備え、記録材の第1面に転写される第1トナー像は、前記第1画像形成ステーションにより形成され、記録材の第2面に転写される第2トナー像は、第2画像形成ステーションにより形成され、定着前において第1のトナー像と第2のトナー像が同時もしくは順次に記録材に転写される(所謂1パス両面転写方式である)ことを特徴としており、各画像形成ユニットの現像装置に第1〜第17、第23のいずれか1つの手段の現像装置を用いることで、長期間にわたって常に安定したトナー付着量を得ることができるので、画像濃度の安定性が高く、色再現性やカラーバランスの優れた高画質カラー画像を得ることの出来る画像形成装置を提供することが可能になる。また、本発明の現像装置を1パス両面転写方式の画像形成装置に用いることにより、長期的に濃度安定性に優れたカラー画像を非常に生産性高く得ることが可能となる。それにより表裏での画質差がなく、常に画質の安定したカラー両面画像を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の具体的な構成、動作及び作用効果を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0054】
[位相制御について]
ここでは、図14に示すような2軸搬送タイプの現像装置を例に上げて説明する。トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用い、2つの現像剤搬送部材402,403で間欠的なトナー補給・トナー消費を行なっている現像装置内では、図1に示すようにトナー濃度が2つの現像剤搬送部材(例えばスクリュA,スクリュB)402,403上の長手方向で周期的に変動している。
この変化の波長λは、トナー補給周期T1、トナー消費周期(画像出力周期)T2、スクリュ上の現像剤の搬送速度uによって決まる。
トナー補給によって作られる変動の波長は、
λ1=u・T1
であり、トナー消費によって作られる変動の波長は、
λ2=u・T2
である。
2つの波長の異なる変動があるが、多くの現像装置ではトナー消費によりスクリュ上にできる変動より、トナー補給によってスクリュ上にできる変動の振幅の方が大きいので、
λ≒λ1
と近似できる。
【0055】
図2は図1のループを開いたものである。ループの途中で現像剤を2つに分け、経路1と経路2のように異なった長さを持つ経路を通過させ、再び合流させることにより(これを位相制御機構と呼ぶ)、トナー濃度変動の振幅を減少させることができる。特に経路1と経路2を通過する現像剤重量をきっちり等分し、さらに経路差をλ/2とし、位相をπずらすことにより、理論的には変動の振幅は0になる。
【0056】
[仕切り板の開口部について]
位相制御機構として考えられるものの1つに仕切り板404の開口部が挙げられる。図3のように現像剤が仕切り板404の開口部404aを通過することにより、長さの違う経路ができるため、位相をずらすことができる。仕切り板404に1つの開口部404aを開けることで、実線の矢印と点線の矢印で示すような経路の異なる2つの位相制御機構が作られることになる。
しかし、開口部404aを開けても開口部の位置によっては効果は現れない、もしくは非常に小さい。したがって、図4に示すように、位相をπ+2π×nずらす位置に開口部404aを設けるのが最も適している。そのためには、開口部404aをλ/4+λ/2・nの位置付近に設けるとよい。
【0057】
図5は、スクリュ上に波長λのトナー濃度変動を作り、λ/8、λ/4の位置の仕切り板404に開口部404aを設けてスクリュ上の現像剤を循環させた場合の、スクリュ上のある位置でのトナー濃度変動の時間変化を測定した実験結果である。開口部がλ/4の位置にある場合の方がトナーの拡散効果が高いことが確認できる。
【0058】
ただし、仕切り板404を挟む2つのスクリュ(スリーブ401に近い方の第1現像剤搬送部材402をスクリュA、スリーブ401から遠い方の第2現像剤搬送部材403をスクリュBとする)上で現像剤の搬送速度が異なる場合、それに伴いλも異なってくる。スクリュA上の現像剤の搬送速度をuA、スクリュB上の現像剤の搬送速度をuBとすると、スクリュA上、スクリュB上の波長はそれぞれ、
λA=uA・T2、λB=uB・T2
となる。なお、上記仕切り板の開口部についての記述中でのλは、
λ=(λA+λB)/2
とする。
【0059】
ただし、単に開口部を開けただけだと、開口部を通過する現像剤の量は少ない。そこで図6に示すように、スクリュA402とスクリュB403にフィン410を取り付けることによって現像剤の通過量を増やした方が大きな効果を得られる。そのとき、スクリュA402に取り付けられたフィン410と、スクリュB403に取り付けられたフィン410は平行であるとより大きな効果が得られる。
【0060】
図7は、スクリュ上に波長λのトナー濃度変動を作り、λ/4の位置の仕切り板に開口部を設けてスクリュ上の現像剤を循環させた場合の、スクリュ上のある位置でのトナー濃度変動の時間変化を測定した実験結果である。この実験結果より、開口部がない場合よりあったときの方が、また、開口部だけよりフィンがついているときの方がトナーの拡散効果が高いことが確認できた。
【0061】
[補給トナーの問題]
上記のように仕切り板に開口部を設けることによって、上滑りした補給トナーが直接スクリュAさらにはスリーブへ流れていってしまう恐れがあるが、それに対しては以下の対策が考えられる。
【0062】
1つめは図8に示すように、スクリュB403の回転を現像剤がスリーブ側に寄る方向に決めるということである。すると、補給トナーは上滑りしても、現像剤面の低い側、つまりスリーブ401と反対側に寄ることになり、開口部404aから上滑りトナーがスクリュA側に行くことがなくなる。
【0063】
2つめは、仕切り板404の開口部404aを常に開けるのではなく、図9(b)のような開閉機構411を設けて開口部404aの開閉を制御するというものである。トナー補給開始のタイミングからt1の時間差を設けた後、開口部404aをt2+δの間(t2はトナー補給時間と等しい)閉める。このとき、スクリュの現像剤搬送速度u、トナー補給口から開口部までの現像剤の流れる距離をLとすると、
t1=u・L
で求められる。トナー開閉のタイミングの一例としては図9(a)に示す通りである。また、開口部の開閉機構は、図9(b)に示すように、板状のシャッター部材とバネ及び開閉手段(ソレノイド、カム機構等)等で構成される。
【0064】
[現像剤端部開口部]
仕切り板404の途中に開口部を設けなくても、従来より有る現像装置両端に設けられた開口部の大きさを調節することで位相をずらす効果を得ることができる。
通常、現像装置端部の開口部の大きさは、スクリュ外径の約1〜1.5倍程度に設定されている。これだと、現像剤の経路差はほとんど得られない。
そこで図10に示すように、仕切り板404の一端側の開口部404bの大きさをさらに大きくし、スクリュ外径Lの2倍以上(例えば2.5L)にすることにより、現像剤の経路差を生じさせることができる。このとき、トナー補給場所に近い方の端部開口部404cは補給トナーの上滑りを防ぐために、従来通りの大きさにしている。
【0065】
[スリーブの現像剤溜り]
図11(a)に示すように、スクリュA402からスリーブ401に汲み上げられた現像剤は、全てがドクタ405を通過するのではなく、一部は再びスクリュA402に戻る。従って、スリーブ上の任意の点で、スクリュA402上をそのまま流れる現像剤と、スクリュA402からスリーブ401に汲み上げられて再びスクリュA402に戻される現像剤と、2つの経路を作る機能(位相制御機構)を持っていると考えられる。
【0066】
しかし、スリーブ401の現像剤溜りが位相制御機構として効果的に働くためには、スリーブ401に汲み上げられる経路を通る現像剤重量がある程度多くないとならない。
スクリュAの上流から下流へ流れてくるまでにスリーブの現像剤溜りからスクリュAに落ちる現像剤重量Zは、
Z=X/u
と表される。ここで、Xはスリーブの現像剤溜りからスクリュAへの単位時間当たりの現像剤落下量[kg/s]、uはスクリュAの現像剤搬送速度[m/s]、Lはスリーブ長手方向の画像領域の長さである。この量が、スクリュA上の単位長さ当たりの現像剤重量Y[kg/m]のほぼ半分以上になっていれば位相をずらす効果が現れる。以上のことから、
X/u≧1/2・Y
の式が導かれる。
ただし、スクリュA上の単位長さ当たりの現像剤重量が場所によって変化する場合は、単位長さ当たりの現像剤重量の長手方向の平均値を現像剤重量Y[kg/m]とする。
【0067】
さらに、効果的に位相をずらすためには、経路差を調節する必要がある。図12は現像装置のドクタ近傍の要部斜視図である。
スクリュA402からスリーブ401に供給された現像剤は、現像剤規制部材であるドクタ405により、スリーブ401上で現像に適した一定の厚さになるように規制される。スリーブ401に供給される現像剤はドクタ405で規制される以上の量のため、次第にドクタ405の手前で現像剤が滞留するようになり、一定以上の量となると、余剰現像剤回収部材412上にあふれ出てくる。このあふれ出た現像剤は余剰現像剤回収部材412の壁面412a上に設けられたガイド(整流板)413により、一部はスクリュA402の搬送方向の上流側(矢印414方向)に、一部はそのまま直下のスクリュAに落下するようになっている。
【0068】
図12に示すように、スリーブ401の現像剤溜り部分にガイド423を取り付けることによって、現像剤をスリーブ401から鉛直に落とすのではなく、スクリュA402の上流側にシフトさせつつ落とすことができる。これにより、図13のように、スクリュA上をそのまま流れる現像剤と、スクリュAからスリーブ401に汲み上げられて再びスクリュAに戻される現像剤との2つの経路差が大きくなる(図11と図13の比較)。さらに最も位相をずらす効果を引き出すためには、その2つの経路差をλ/2に調節するよう、ガイドの傾きを設定する必要がある。ここで、スクリュAの現像剤搬送速度をu[m/s]、スリーブに汲み上げられた現像剤がスクリュAに落ちてくるまでのスリーブでの滞在時間をt[s]、ガイドによる上流側へのシフト距離をx[m]として、シフト距離xを調節すると、シフト距離xが、
u・t+x(経路差)=λ/2
となるようにガイドの傾きを設定すればよい。
【0069】
[現像装置の構成例]
以上に説明した本発明の位相制御機構は、図14に示すような2軸搬送タイプの現像装置に好適に適用することができるが、図15や図16を一例とする3軸搬送タイプの現像装置にも適用することができる。
【0070】
図14に示す現像装置400は、不図示の像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体である現像ローラ(スリーブ)401(回転する円筒状のスリーブと、スリーブ内に固定配置された磁石又はマグネットロールから構成されるが、図ではスリーブのみ図示している)と、スリーブ上の現像剤量を規制する現像剤規制部材(ドクタ)405と、現像剤を搬送しながら現像ローラ401に供給し、現像ローラ401からの現像剤を回収する第1の現像剤搬送部材である供給回収用スクリュ402(前述のスクリュA)とを備えている。さらに、供給回収用スクリュ402の下流端まで搬送された現像剤と必要に応じて供給されたトナーとを攪拌しながら供給回収用スクリュ402とは逆方向に搬送する第2の現像剤搬送部材である攪拌搬送用スクリュ403(前述のスクリュB)を備えている。供給回収用スクリュ402と攪拌搬送用スクリュ403とは水平方向に配置され、供給回収用スクリュ402を備える供給回収搬送路406と攪拌搬送用スクリュ403を備える攪拌搬送路407とは仕切り板404で仕切られている。そして、2つの搬送路は仕切り板404の軸方向両端部の開口部で連通しており、攪拌搬送路407と供給回収搬送路406とでは現像剤を逆方向に搬送することにより循環搬送されている。
【0071】
上記のような構成の2軸搬送タイプの現像装置においては、現像後の現像剤が供給回収共用のスクリュ402で回収されるため、スクリュ402の下流にいくに従ってトナー濃度が低下し、現像ローラ401のスリーブ左右でトナー濃度偏差を生じてしまう。そこで図14に示すような構成の2軸搬送タイプの現像装置400に、図1〜図13を参照して説明したような本発明に係る位相制御用の開口や機構等を設けることにより、トナー濃度の変動を抑えることができる。すなわち、位相制御用の開口や機構を設けて、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させることにより、現像剤のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させるという構成を現像装置内に取り入れることにより、トナー濃度の高い現像剤が供給回収共用のスクリュ402に流れることになり、それによりスリーブ左右でのトナー濃度偏差が小さくなる。したがって、現像ローラ401のスリーブに現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、トナー像を安定して形成することができる。
【0072】
次に図15に示す現像装置504は、反時計回りに表面移動しながら潜像担持体である感光体ドラム501の表面の潜像にトナーを供給し現像する現像剤担持体としての現像ローラ(回転する円筒状のスリーブと、スリーブ内に固定配置された磁石又はマグネットロールから構成される)505を有している。また、現像ローラ505に現像剤を供給しながら図15の奥方向に現像剤を搬送する現像剤供給搬送部材としての供給搬送用スクリュ508(前述のスクリュAに相当する)を有している。
現像ローラ505の供給搬送用スクリュ508との対向部から表面移動方向下流側には、現像ローラ505に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としてのドクタ516を備えている。
【0073】
現像ローラ505の感光体ドラム501との対向部である現像部から表面移動方向下流側には、現像部を通過した現像済みの現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給搬送用スクリュ508と同方向に搬送する回収搬送用スクリュ506を備えている。供給搬送用スクリュ508を備えた現像剤供給搬送路である供給搬送路509と回収搬送用スクリュ506を備えた現像剤回収搬送路としての回収搬送路507とは現像ローラ505の下方に並設されている。供給搬送路509と回収搬送路507との2つの搬送路は仕切り部材としての仕切り板534によって仕切られている。
【0074】
現像装置504は、供給搬送路509の回収搬送路507の反対側に並列して、現像剤攪拌搬送路である攪拌搬送路510を設けている。攪拌搬送路510は、現像剤を攪拌しながら供給搬送用スクリュ508とは逆方向である図中手前側に搬送する現像剤攪拌搬送部材としての攪拌搬送用スクリュ511(前述のスクリュBに相当する)を備えている。供給搬送路509と攪拌搬送路510とは仕切り部材としての仕切り板533によって仕切られている。仕切り板533の図中手前側と奥側との両端は開口部となっており、供給搬送路509と攪拌搬送路510とが連通している。供給搬送路509内に供給され現像に用いられず供給搬送路509の搬送方向下流端まで搬送された余剰現像剤と、回収搬送用スクリュ506によって回収搬送路507の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤とは攪拌搬送路510に供給される。攪拌搬送路510は、供給された余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌し、攪拌搬送用スクリュ511の搬送方向下流側であり、供給搬送用スクリュ508の搬送方向上流側に搬送する。
【0075】
仕切り板534には回収搬送用スクリュ506の搬送方向最下流側である図中奥方向の端が開口部となっており、供給搬送路509と回収搬送路507とが連通している。回収搬送用スクリュ506の搬送方向下流端と、供給搬送用スクリュ508の搬送方向下流端と、攪拌搬送用スクリュ511の搬送方向上流端とで3つの搬送経路が連通している。
そして、回収搬送路507の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は供給搬送路509に移送される。また、回収現像剤と供給搬送用スクリュ508で搬送される現像ローラ505に供給されなかった現像剤は、連通している攪拌搬送路510に移送される。
【0076】
攪拌搬送路510では攪拌搬送用スクリュ511によって、回収現像剤、余剰現像剤及び移送部で必要に応じて補給されるトナーを、回収搬送路507及び供給搬送路509の現像剤と逆方向に攪拌搬送する。そして、搬送方向下流側で連通している供給搬送路509の搬送方向上流側に攪拌された現像剤を移送する。なお、攪拌搬送路510の下方には、トナー濃度センサ527が設けられ、センサ出力によりトナー補給制御装置(図示せず)により移送部へのトナー補給を行っている。
【0077】
現像装置504のケーシングは3つの搬送スクリュの軸部で上下に分かれる一体成型された下ケーシング512及び上ケーシング513からなる。仕切り板533は下ケーシング512の一部であり、仕切り板534は、上ケーシング513に保持され、下ケーシング512と勘合する。
【0078】
図15に示すように、現像剤供給部材の最上部である供給搬送用スクリュ508の頂点14が現像ローラ505の回転中心515よりも下方になるように配置されている。図15に示す現像装置504では現像ローラ505の回転中心515とスクリュ頂点514とを結んだ直線と、回転中心515を通る水平な直線との角度θ1を30°に設定している。この角度θ1は供給搬送用スクリュ508の直径にも左右されるが、現像装置504の小型化からレイアウト上10°〜40°が望ましい。
現像ローラ505のスリーブへの現像剤の供給は、現像ローラ505内に設けられた磁石又はマグネットロールの磁極が現像剤中の磁性キャリアを引き付けることによって行われる。上述のように、スクリュ頂点514が現像ローラ505の回転中心515よりも下方となるように配置することにより、現像剤の自重が現像ローラ505への現像剤の供給量に影響せず、磁力の大きさが現像剤の供給量に寄与する。これにより、供給搬送路509で搬送される現像剤の上部から確実に供給されるため、供給搬送用スクリュ508の搬送方向で供給搬送路509内の現像剤の嵩が均一でなくても、現像ローラ505に適正な量の現像剤を供給することができる。
【0079】
上記のような構成の3軸搬送タイプの現像装置504においては、現像ローラ505のスリーブに汲み上げられた現像剤は回収搬送用スクリュ506に集められ、供給搬送用スクリュ508には直接戻されないので、供給搬送用スクリュの下流にいくに従い、現像剤量が減っていくため、下流部では現像剤が枯渇してしまう恐れがある。枯渇を防ぐには、スクリュ回転数を上げる必要があるが、軸受の寿命を考えるとそれにも限界がある。そこで図15に示すような構成の3軸搬送タイプの現像装置に、図1〜図13を参照して説明したような本発明に係る位相制御用の開口や機構を設けることにより、トナー濃度の変動を抑え、かつ現像剤の枯渇防止に非常に有利になる。すなわち、位相制御用の開口や機構を設けて、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させて、攪拌搬送路510から供給搬送用スクリュ508に現像剤を供給することにより、スリーブ左右でのトナー濃度偏差や現像剤量の偏差を小さくすることができる。したがって、現像ローラ605のスリーブに現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、また、下流部での現像剤の枯渇も防止することができ、トナー像を安定して形成することができる。
【0080】
次に図16に示す現像装置604は現像ローラ(回転する円筒状のスリーブと、スリーブ内に固定配置された磁石又はマグネットロールから構成される)605と供給搬送用スクリュ608(前述のスクリュAに相当する)と、現像ローラ605上で現像箇所を通過し、回収された回収現像剤を供給搬送用スクリュ608と同方向に搬送する回収搬送用スクリュ606とを備えている。さらに、供給搬送用スクリュ608の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、回収搬送用スクリュ606の最下流部まで搬送された回収現像剤とを攪拌しながら供給搬送用スクリュ608とは逆方向に搬送する攪拌搬送用スクリュ611(前述のスクリュBに相当する)を備えている。
【0081】
供給搬送用スクリュ608は攪拌搬送用スクリュ611の上方に配置されており、供給搬送用スクリュ608を備える供給搬送路609と攪拌搬送用スクリュ611を備える攪拌搬送路610とは仕切り部材である第1仕切り板633で仕切られている。そして、2つの搬送路は第1仕切り板633の軸方向両端部の開口部で連通しており、現像に用いられず供給搬送路609の下流端まで搬送された余剰現像剤は、供給搬送路609の下流端側の開口部で落下して攪拌搬送路610に供給される。また、回収搬送用スクリュ606を備える回収搬送路607は攪拌搬送路610の水平方向に並べて設けており、回収搬送路607と攪拌搬送路610とは仕切り部材である第2仕切り板634で仕切られている。そして、この2つの搬送路は回収搬送用スクリュ606の下流端側で第2仕切り板634に設けられた開口部で連通している。回収搬送路607の下流端まで搬送された回収現像剤は水平方向に移送され、攪拌搬送路610に供給される。
攪拌搬送路610に供給された余剰現像剤と回収現像剤とは攪拌搬送路610で攪拌され、下流端で攪拌搬送用スクリュ611の搬送力によって押し込まれて、盛り上がることで開口部から供給搬送路609に供給がなされる。
【0082】
上記のような構成の3軸搬送タイプの現像装置においても、現像ローラ605のスリーブに汲み上げられた現像剤は回収搬送用スクリュ606に集められ、供給搬送用スクリュ608には直接戻されないので、供給搬送用スクリュの下流にいくに従い、現像剤量が減っていくため、下流部では現像剤が枯渇してしまう恐れがある。枯渇を防ぐには、スクリュ回転数を上げる必要があるが、軸受の寿命を考えるとそれにも限界がある。そこで図16に示すような構成の3軸搬送タイプの現像装置に、図1〜図13を参照して説明したような本発明に係る位相制御用の開口や機構を設けることにより、トナー濃度の変動を抑え、かつ現像剤の枯渇防止に非常に有利になる。すなわち、位相制御用の開口や機構を設けて、意図的に現像剤の流れに分岐点をつくり、分岐させた各々の現像剤で異なる経路を通過させて、攪拌搬送路610から供給搬送用スクリュ608に現像剤を供給することにより、スリーブ左右でのトナー濃度偏差や現像剤量の偏差を小さくすることができる。したがって、現像ローラ605のスリーブに現像剤が汲み上げられる前にトナー濃度の変動、さらにはトナー帯電量のばらつきを十分に抑えることができ、また、下流部での現像剤の枯渇も防止することができ、トナー像を安定して形成することができる。
【0083】
[画像形成装置全体の構成の詳細説明]
次に本発明に係る画像形成装置の構成例を詳細に説明する。図17は本発明が適用される画像形成装置全体の内部構成を示した概略中央断面図である。
図17に示す画像形成装置本体100の内部において、記録体搬送路43Aを境にして、上下に画像形成ステーションが設けられており、上部の第1画像形成ステーションには、矢印方向に無端移動する第1中間転写体である第1像担持ベルト21を備えた第1像担持体ユニット20を、下部の第2画像形成ステーションには、矢印方向に無端移動する第2中間転写体である第2像担持ベルト31を備えた第2像担持体ユニット30が配備されている。第1像担持ベルト21の上部張架面には、第1画像形成ユニット群(4個の第1画像形成ユニット80Y、80C、80M、80K)が、第2像担持ベルト31の傾斜した張架面には、第2画像形成ユニット群(4個の第2画像形成ユニット81Y、81C、81M、81K)が配備されている。これら第1、第2画像形成ユニットの番号に添えたY、C、M、Kは、扱うトナーの色と対応させているもので、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタ、Kはブラックを意味している。第1、第2画像形成ユニットに備えられ、第1像担持ベルト21と第2像担持ベルト31と共に回転する各感光体(潜像担持体)1に対しても同じ意味あいでY、C、M、Kを添えている。なお感光体1Yから1Kは同間隔で配置され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第1、第2像担持ベルト21、31との張架部の一部と接触する。
【0084】
4個ずつの第1画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kと第2画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kの構成は同じであり、図18は一つの画像形成ユニットの構成例を示している。図18において、画像形成装置100の動作時に、不図示の駆動源により、矢印方向に回転するよう回転可能に支持された円筒状の感光体1の周囲に、静電写真プロセスに従い帯電装置3であるスコロトロンチャージャ、露光装置4、現像装置5、クリーニング装置2、光除電装置Q等の作像部材や電位センサS1、画像センサS2が配設されている。
【0085】
潜像担持体である感光体1は、例えば直径30〜120mm程度のアルミニウム円筒表面に光導電性物質である有機感光層(OPC)を形成したものである。また、アモルファスシリコン(a−Si)層を形成した感光体も採用可能である。また、円筒状の他に、ベルト状の感光体も採用できる。
帯電装置3としては、非接触式のチャージャの他に、感光体1の表面に接触させるタイプの例えば帯電ローラや帯電ブラシ等も採用できる。
クリーニング装置2は、クリーニングブラシ2a、クリーニングブレード2b、回収部材2cを備え、感光体1の表面に残留するトナー等の異物を除去、回収する。
【0086】
露光装置4は、各色毎の画像データ対応の光を、帯電手段で一様に帯電済みの各感光体1の表面に走査し、静電潜像を形成する。図示例の露光装置4は、発光素子としてLED(発光ダイオード)アレイを用い、結像素子アレイと組み合わせたライン状の露光装置であるが、レーザ光源とポリゴンミラー、走査結像光学系等を用い、形成すべき画像データに応じて変調したレーザビーム光を感光体に照射するレーザスキャン方式の露光装置も採用できる。
【0087】
本実施例の現像装置5は、トナーとキャリヤからなる二成分現像剤を採用している現像方式である。負荷電の感光体1に対し露光により各感光体1の表面に形成された色毎の静電潜像は、感光体1の帯電極性と同極性(マイナス極性)の所定の色のトナーで現像され顕像となる、いわゆる反転現像が行なわれる。
現像装置5の構成は、図示の例では、現像剤担持体である現像ローラ(図ではスリーブのみを図示してある)5aと、現像剤規制部材であるドクタ5bと、現像剤供給搬送部材としての供給搬送用スクリュ5c(前述のスクリュAに相当する)と、現像剤攪拌搬送部材としての攪拌搬送用スクリュ5d(前述のスクリュBに相当する)と、回収搬送用スクリュ5eと、仕切り板5f、5gを備えた3軸搬送タイプの構成であるが、これに限るものではない。すなわち、現像装置の詳細説明については前述したとおりであり、例えば図14に示すような2軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したものや、図15、図16に示すような3軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したもの等を用いることができる。
【0088】
複数のローラ23,24,25,26(2個),27,28,29により支持されて矢印方向に走行する、第1中間転写体としての第1像担持ベルト21が、第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける各感光体1Y,1C,1M,1Kの下部に設けられている。この第1像担持ベルト21は無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。また、第1像担持ベルト21の内周部には各感光体1Y,1C,1M,1Kに対向させて1次転写ローラ22が設けられている。
【0089】
第1像担持ベルト21の外周部には、ローラ23に対向する位置にクリーニング装置20Aが設けられている。このクリーニング装置20Aは、第1像担持ベルト21の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。
上記の第1像担持ベルト21に関連する部材は、第1像担持体ユニット20として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱が可能となっている。
【0090】
複数のローラ33,34,35,36(2個),37,38により支持されて矢印方向に走行する、第2中間転写体としての第2像担持ベルト31が、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kにおける各感光体1Y,1C,1M,1Kに接触して設けられている。この第2像担持ベルト31は無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。第2像担持ベルト31の内周部には各感光体1Y,1C,1M,1Kに対向させて1次転写ローラ32が設けられている。
【0091】
第2像担持ベルト31の外周部には、ローラ33に対向する位置にクリーニング装置30Aが設けられている。このクリーニング装置30Aは、第2像担持ベルト31の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。
上記の第2像担持ベルト31に関連する部材は、第2像担持体ユニット30として一体的に構成してあり、画像形成装置100に対し着脱が可能となっている。
【0092】
さらに上記第1像担持ベルト21の外周で、支持ローラ28の近傍には、第1の2次転写ローラ46が設けてある。第1像担持ベルト21と2次転写ローラ46の間に記録材(以下用紙P)を通過させながら、第1の2次転写ローラ46にバイアスを印加することで第1像担持ベルト21が担持するトナーによる画像が用紙Pに転写される。
【0093】
上記第2像担持ベルト31の外周で、支持ローラ34の近傍には、第2の2次転写手段である転写チャージャ47が設けてある。転写チャージャ47は公知のタイプで、タングステンや金の細い線を放電電極とし、ケーシングで保持し、放電電極に不図示の電源から転写電流が印加される。像担持ベルト31と転写チャージャ47の間に用紙Pを通過させながら、転写電流を印加することで第2像担持ベルト31が担持するトナーによる画像が用紙Pに転写される。上記転写ローラ46と転写チャージャ47に印加される転写電流の極性は、ともにトナーの極性と逆のプラス極性である。
【0094】
画像形成装置100の右側には各種サイズの用紙を供給可能に収納した給紙装置40が配備されており、この給紙装置40内には、大容量の給紙トレイ40aと複数の給紙カセット40b〜40dが装着されている。そして、給紙トレイ40aと複数の給紙カセット40b〜40dのうちの選択された1つから給紙・分離手段41A〜41Dにより確実に一枚の用紙Pだけが給紙され、複数の搬送ローラ対42Bにより記録材搬送経路43Bや記録材搬送路43Aに送られる。
【0095】
記録材搬送路43Aの延長上には、前記第2の画像形成ステーションを通過した用紙を、記録材の搬送方向下流に備えた定着装置60における定着ニップまで、平面状態を保って搬送させるための、記録材移送手段50を備えている。記録材移送手段50は、矢印方向に無端移動する搬送ベルト51を支持するローラ52,53,54,55,56を有し、搬送ベルト51の外側には、ローラ55に対向させてクリーニング装置50A,ローラ56に対向させて記録材Pを吸着させるための吸着用チャージャ57、ローラ54に対向させて除電・分離チャージャ58を備えている。
【0096】
未定着のトナー画像と接触しながら記録材Pとともに移動する搬送ベルト51は、前記吸着用チャージャ57により、トナーの極性と同極性のマイナス帯電が施される。搬送ベルト51として、金属ベルト、ポリイミドベルト、ポリアミドベルトなどが採用できる。表面にトナーとの離型性を与えるとともに、帯電可能の抵抗値を備える。このベルト搬送51の走行速度は、定着装置60における記録材の走行速度と合わせてある。
【0097】
記録材搬送手段50の用紙搬送方向下流側には、加熱手段を有する定着装置60が設けられている。この定着装置60としては、ローラ内部にヒータを備えるタイプのローラ定着装置、加熱されるベルトを走行させるベルト定着装置、また、加熱の方式に電磁誘導加熱を採用した定着装置などが採用できる。用紙両面の画像の色合い、光沢度を同じにするため、定着ローラ、定着ベルトの材質、硬度、表面性などを上下同等にしてある。また、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、用紙の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。定着の終了した用紙を冷却し、不安定なトナーの状態を早期に安定させるため、冷却機能を有した冷却ローラ対70を定着後の搬送路に備えている。この冷却ローラ対70としては、放熱部を有するヒートパイプ構造のローラが採用できる。冷却された用紙は、排紙ローラ対71により、画像形成装置100の左側に設けた排紙スタック部75に排紙、スタックさせる。この排紙スタック部は、大量の用紙をスタック可能にするため、不図示のエレベータ機構により、スタックレベルに応じて、受け部材が上下する機構を採用している。なお、排紙スタック部75を通過させ、別の後処理装置に向けて用紙を搬送させることもできる。別の後処理装置としては、穴あけ、断裁、折、綴じなど製本のための装置である。
【0098】
未使用のキャリアを含む現像剤が収納された各色のカートリッジ86Y,86C,86M、86Kが、着脱可能に収納空間85に収納されている。そして、不図示の現像剤搬送手段により、各画像形成ユニットの現像装置に必要に応じて現像剤を供給するようになっている。本実施例の構成は、上下に配された4個ずつの画像形成ユニット80Y〜80K、81Y〜81Kに対し、各色のカートリッジ86Y,86C,86M、86Kは共通にしているが、別々にすることもできる。また、消耗の多いブラックトナー用のカートリッジ86Kを、特に大容量としておくことも可能である。この収納空間85は、画像形成装置上面で操作方向から見て奥側にあって、画像形成装置上面の手前側は平面部分が確保されているため、作業台として利用することができる。
【0099】
以下に図17に示す画像形成装置の動作を説明する。
[片面記録の動作]
上記の構成において、記録材(用紙)Pの片面にフルカラー画像を形成する片面記録時の動作について説明する。
片面記録の方法は基本的に2種類あって選択が可能となっている。2種類のうちの一つは、第1の像担持ベルト21に担持させた画像を用紙Pの片面に直接転写する方法であり、別の方法は、第2の像担持ベルト31に担持させた画像を用紙の片面に直接転写する方法である。本実施例では画像形成装置100の構成から、第1の像担持ベルト21に担持させた画像を用紙Pの片面に直接転写する場合には、画像が用紙のP上面に形成され、第2の像担持ベルト31に担持させた画像を用紙Pの片面に直接転写する場合には、画像が用紙Pの下面に形成される。また、記録するべきデータが複数の頁になるケースでは、排紙スタック部75上で頁が揃うように作像順序を制御するのが好都合である。そこで、ここでは最後の頁の画像データから順に記録して頁順を揃わせるよう、第1の像担持ベルト21に画像を担持させた後、用紙Pに転写させる方法について説明する。
【0100】
画像形成装置100を稼動させると、第1の像担持ベルト21と第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける感光体1Y,1C,1M,1Kが回動する。同時に第2の像担持ベルト31が回動するが、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kにおける感光体1Y,1C,1M,1Kは第2の像担持ベルト31と離間されるとともに不回転状態にされる。まず、イエローの画像形成ユニット80Yによる画像形成から開始される。帯電装置3により感光体1Yが一様に帯電され、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置4の作動により、LEDから出射されたイエロー用の画像データ対応の光が、帯電された感光体1Yの表面に照射されて静電潜像が形成される。
【0101】
静電潜像は現像装置5の現像ローラ5aによりイエロートナーで現像され、可視像となり、1次転写ローラ22の転写作用により感光体1Yと同期して移動する第1像担持ベルト21上に静電的に1次転写される。このような潜像形成、現像、1次転写動作がシアン、マゼンタ、ブラックの各画像形成ユニット80C,80M,80Kの感光体1C,1M,1K側でもタイミングをとって順次同様に行われる。
この結果、第1像担持ベルト21上には、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色トナー画像が、順次重なり合ったフルカラートナー画像として担持され、第1像担持ベルト21とともに矢印の方向に移動される。
【0102】
上記の画像形成動作と同時に給紙装置40のなかの給紙トレイ40aあるいは給紙カセット40b〜40dから、記録に使われる用紙Pがその供給のための給紙・分離手段41A〜41Dの一つにより繰り出され、搬送ローラ対42B,42Cにより記録材搬送路43Cに搬送される。用紙Pの先端がレジストローラ対45に咥えられない前に、ジョガー44は、用紙Pの搬送方向に対し両方の横方向から、用紙Pの両辺を押すように作動し、用紙横方向の位置整合が図られる。レジストローラ対45は静止しており、用紙Pの先端はレジストローラ対45のニップに入り込んだ状態で静止するが、第1像担持ベルト21上の画像との位置が正規なものとなるよう、タイミングをとってレジストローラ対45が回転し、用紙Pを転写領域に搬送する。
【0103】
第1像担持ベルト21上のこのフルカラートナー画像は、第1像担持ベルト21と同期して搬送される用紙Pの上面に、二次転写ローラ46による転写作用を受けて転写される。二次転写ローラ46に与えられるバイアスは、トナーの帯電極性と逆のプラス極性である。
【0104】
その後、第1像担持ベルト21の表面が、ベルトクリーニング装置20Aによりクリーニングされる。また、1次転写を終了した第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける感光体1Y,1C,1M,1Kの表面に残留するトナー等の異物はクリーニング装置2のクリーニングブラシ2aとクリーニングブレード2bにより、各感光体の表面から除去される。各感光体の表面は除電装置Qによる残留電位の除電作用が行なわれて次の作像・転写工程に備える。除去されたトナー等の異物は、回収手段2cにより、回収部87に送られる。なお、センサS1、S2は、感光体表面の露光後の表面電位と、現像工程後の感光体表面に付着しているトナーの濃度が適切なものであるかを検知し、適宜作像条件の設定、制御のために不図示の制御手段に情報を出力する。
【0105】
第1像担持ベルト21に重ねられて担持されていたトナー画像が二次転写された用紙Pは、搬送装置50の搬送ベルト51により定着装置60に向け移送される。用紙Pを確実に搬送ベルト51とともに移送できるよう、あらかじめ移送ベルト51の表面を、用紙の吸着用チャージャ57により帯電する。用紙Pが搬送ベルト51から分離され、確実に定着装置60に送られるよう、除電・分離チャージャ58が作動する。
【0106】
用紙P上に重ねられていた各色のトナーが定着装置60の熱による定着作用を受け、溶融、混色されて完全にカラー画像となる。片面記録の場合、用紙Pの片面(上面)だけにトナー像を有しているので、両面にトナー像を有している両面記録時に比べ、定着に要する熱エネルギーは少なくて済む。したがって、不図示の制御手段が画像に応じて定着装置の使用する電力を最適に制御する。定着されたトナー像も用紙上で完全に固着するまでは、搬送路のガイド部材等に擦られ、画像が欠落したり、乱れたりする。この不具合を防止するため、冷却手段である冷却ローラ対70が作動し、トナーと用紙Pを冷却する。その後、排紙ローラ71により排紙スタック部75に、画像面が上向きとなって排紙される。排紙スタック部75では若い頁の記録物が順次上に重ねられるようにスタックされるよう、作像順序がプログラムされているので、頁順が揃う。また、排紙スタック部75は、排紙される用紙の増加に従って下降するようになっているので、用紙は整然と確実にスタックでき、頁順が乱れることがない。また、記録済みの用紙を排紙スタック部75に直接スタックする代わりに、穴あけ加工処理を実施するとか、ソータ、コレータや綴じ装置や折り装置などの後処理装置に搬送することもできる。
【0107】
なお、用紙Pの片面に画像を形成させる他の方法(下面側に記録)では、第2の画像形成ユニット81Y〜81Kで画像を形成して第2像担持ベルト31に重ねて1次転写する工程を行ない、第1の画像形成ユニット80Y〜80Kにおける画像の形成を行なわないようにするのと、頁揃えのために若い頁の画像データから順に像形成をさせる点が異なるが、基本的には上記の片面記録の工程と同じなので、詳細な説明は省略する。
【0108】
[両面記録時の動作]
次に用紙Pの両面に画像を形成する両面記録時の動作について説明する。画像形成装置に開始信号が入力されると、上記、片面記録の動作で説明した第1の画像形成ユニット80Y、80C、80M、80Kで順次形成する各色ごとの画像を第1像担持ベルト21に順次1次転写させ、第1の画像として担持させる工程とほぼ平行して、第2の画像形成ユニット81Y、81C、81M、81Kで順次形成する各色ごとの画像を第2像担持ベルト31に順次1次転写させ、第2の画像として担持させる工程が行なわれる。第1、第2の画像形成ステーションの配置は、図17に示す構成なので、上記第1の画像と第2の画像が、用紙Pの搬送方向先端で位置的に合致するためには、第1の画像の形成開始より遅れて第2の画像の形成が開始される。また、用紙Pはレジストローラ対45で静止と再送が行なわれるので、その時間も見込んで給紙され、ジョガー44で整合される。レジストローラ対45は、タイミングをとって用紙Pを第1の2次転写手段である転写ローラ46と第1像担持ベルト21で構成された第1転写ステーションに搬送する。転写ローラ46にプラス極性の転写電流が印加され、第1像担持ベルト21から用紙Pの片面(図では上面)に画像が転写される。
【0109】
このようにして片面に画像を有した用紙Pは、転写ローラ46の搬送作用により、引き続き第2の二次転写手段たる転写チャージャ47のある第2転写ステーションに送られる。そしてチャージャにプラス極性の転写電流が印加されることにより、第2像担持ベルト31に予め担持されているフルカラーの第2の画像が、一括して用紙Pの下面に転写される。
【0110】
このようにして両面にフルカラートナー像が転写された用紙Pは、搬送装置50の搬送ベルト51により定着装置60へと移送される。このとき、吸着用チャージャ57により、搬送ベルト51の表面はトナーの極性と同じマイナス極性で帯電されており、用紙下面の未定着のトナーが搬送ベルト51に移らないようにしている。除電・分離チャージャ58には、交流が印加され、用紙Pは搬送ベルト51から分離され、定着装置60へと移送される。そして、定着装置60の熱による定着処理を受け、用紙Pの両面のトナー画像が溶融、混合される。用紙Pは引き続いて冷却ローラ対70を通過し、排紙ローラ71により排紙スタック部75上に排紙される。
【0111】
複数の頁の用紙に両面記録する場合、若い頁の画像が下面となって排紙スタック部75にスタックされるように作像順序を制御すると、そこから取り出し、上下面を逆にしたとき記録物は上から順に1頁、その裏に2頁、2枚目が3頁、その裏が4頁となり頁順が揃う。このような作像順序の制御や、定着装置に入力する電力を片面記録時より増やすなどの制御は、制御手段(不図示)により実行される。
【0112】
以上の片面記録動作、両面記録動作に関して、フルカラー記録を実行させる例で説明したが、図17に示す画像形成装置では、ブラックトナーだけによるモノクロ記録や、二色、三色等の多色記録も可能である。
【0113】
[画像形成装置の別の構成説明]
次に本発明に係る画像形成装置の別の構成例を図19に示す。
この画像形成装置は、前述の図17に対して通常の片面のみを一度に作像するカラー方式である、いわゆるタンデム構成の画像形成装置である。概略構成を以下に示す。
図19のカラー画像形成装置は、いわゆるタンデム方式といわれ、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色毎のプロセスカートリッジ10Y,10C,10M,10Kが中間転写体である中間転写ベルト12に沿って直列に配置された構成になっている。各色毎のプロセスカートリッジ10Y〜10Kは同じ構成であり、潜像担持体である感光体1Y〜1Kを中心に帯電装置3、現像装置5、クリーニング装置2等から構成される。また、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kの感光体1Y〜1Kに対し、露光装置4、中間転写装置11が配置されており、その他に、図示しない給紙装置と用紙搬送部、レジストローラ15、紙転写装置16、搬送装置17、定着装置18などを備えている。
【0114】
帯電装置3としては、例えば接触式の帯電ローラや帯電ブラシが用いられるが、この他、非接触式のチャージャを用いることもできる。
クリーニング装置2は、クリーニングブレードやクリーニングブラシ等を備え、感光体1の表面に残留するトナー等の異物を除去、回収する。
露光装置4は、各色毎の画像データ対応の光を、帯電手段で一様に帯電済みの各感光体1の表面に走査し、静電潜像を形成する。図示例の露光装置4は、4つのレーザ光源、ポリゴンミラー、4系統の走査結像光学系等を用い、形成すべき画像データに応じて変調したレーザビーム光を各感光体に照射するレーザスキャン方式の露光装置であるが、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子アレイからなる露光装置を採用することもできる。
【0115】
本実施例においては、上述の感光体1、帯電装置3、現像装置5及びクリーニング装置2等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジ10Y〜10Kを画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。
また、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kに用いる現像装置5の構成及び詳細説明については前述したとおりであり、例えば図14に示すような2軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したものや、図15、図16に示すような3軸搬送タイプの現像装置に前述の位相制御機構を適用したもの等を用いることができる。
【0116】
中間転写装置11は、複数のローラ13a,13b,13cに張架されて図中の矢印方向に回転する中間転写ベルト12と、1次転写手段である1次転写ローラ14と、図示しないベルトクリーニング装置等で構成され、各プロセスカートリッジ10Y〜10Kの感光体1Y〜1Kに形成された各色のトナー画像が順次重ねて1次転写される。そして中間転写ベルト12上に転写されたトナー画像は、紙転写装置16で記録材(用紙)Pに二次転写される。転写後の用紙Pは搬送装置17で定着装置18に搬送され、トナー画像が用紙Pに定着される。
なお、図19に示す画像形成装置の作像動作は、前述の図17に示した画像形成装置において、裏面(第二面)の作像を行なわない片面記録動作と同様であるので、ここでは動作の詳細な説明は省略する。
【0117】
[現像剤の特性について]
本発明の現像装置に用いる二成分現像剤のキャリア(磁性キャリア)については、体積平均粒径が20〜60μmが好ましい。平均粒径が60μm以下の小粒径のキャリアを用いることで、現像能力を低下させることなく、汲み上げ量を低減することができ、現像装置内で循環する現像剤量を低減することができる。特にストレスのかかる現像剤規制部材(ドクタ等)を通過する現像剤量が少なくなることから、長寿命化に寄与する。また、キャリアの低容量化がなされるため、キャリア貯蔵部等の装置の小型化が図れる。さらには現像領域における磁気ブラシがより緻密になるために高画質化や画質の安定性が達成される。なお、キャリアの平均粒径が60μmより大きいと現像剤循環部でオーバーフローが起きやすくなり、安定な現像剤の循環が行えない。また、キャリアの平均粒径が20μmより小さいと感光体にキャリアが付着したり、現像装置からキャリアが飛散しやすくなるという不具合が発生する。
キャリアの平均粒径測定については、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7[μm]以上、125[μm]以下のレンジ設定で行うことができる。
【0118】
[トナー特性について]
本発明の現像装置に用いる二成分現像剤のトナー特性のうち、トナーの粒径について、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。粒径が小さくかつ粒径分布のシャープなトナーを用いることで、トナー粒子間の間隙が小さくなるため、色再現性を損なうことなくトナーの必要付着量を低減することができる。よって現像における濃度変動を小さくすることができる。また、600dpi以上の微小なドット画像の安定再現性が向上し、長期間安定した高画質を得ることができる。一方、体積平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。体積平均粒径(D4)が8μmを超えると、画像のパイルハイトが大きくなり、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。また、同時に体積平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましく、1.00〜1.30の範囲にあればより好ましい。(D4/D1)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。
このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
【0119】
次に、トナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0120】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0121】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0122】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図20、図21は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記の式(1)で表される。これはトナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
この形状係数SF−1の値が100の場合、トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0123】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記の式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
この形状係数SF−2の値が100の場合、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0124】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナー間の接触状態が点接触となるためにトナー同士の吸着力は弱まり、したがって流動性が高くなる。ゆえに現像剤の循環性が向上するため、ストレスが小さくなり、長期的に安定した一方向循環を行うことが可能となる。また、トナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなり高画質化に寄与する。一方、形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、流動性が悪化し、現像剤の循環性が悪いために好ましくない。また転写率が低下するため好ましくない。
【0125】
本発明のトナーは、トナーの粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3mg/cm3以上の微粒子(以下、単に微粒子という)を付着させたものである。なお、通常の流動性向上剤にはシリカ等がよく用いられるが、例えば、このシリカの平均一次粒径は通常10〜30nm、嵩密度が0.1〜0.2mg/cm3である。
【0126】
本発明において、トナーの表面に適切な特性の微粒子が存在することで、トナー粒子と対象体との間に適度な空隙が形成される。また、微粒子は、トナー粒子、感光体、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。また、現像剤の流動性が高まるためストレスの低減効果があり、長寿命化にも寄与する。さらに、コロの役割を果たすため、感光体を摩耗または損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体との高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。これらの特性は、トナー粒子の受けるシェアを低減させる作用を示すので、高速定着(低エネルギー定着)のためトナーに含有されている低レオロジー成分によるトナー自身のフィルミングの低減効果を発揮する。しかも、微粒子として、平均一次粒径が50〜500μmの範囲のものを用いると、十分にその優れたクリーニング性能を活かすことができる上、極めて小粒径であるため、トナーの粉体流動性を低下させることがない。さらに、詳細は明らかでないが、表面処理された微粒子はトナーに外部添加されても、仮にキャリアを汚染した場合においても現像剤劣化の度合が少ない。よって経時的にトナーの流動性および帯電性の変化が少ないため、長期的に現像剤の循環を安定に行うことができる。また、画質の安定性も高くなる。
【0127】
微粒子の平均一次粒径(以下、平均粒径という)は、50〜500nmのものが用いられ、特に100〜400nmのものが好ましい。50nm未満であると、微粒子がトナー表面の凹凸の凹部分に埋没してコロの役割を低下する場合が生じる。一方、500μmよりも大きいと、微粒子がブレードと感光体表面の間に位置した場合、トナー自身の接触面積と同レベルのオーダーとなり、クリーニングされるべきトナー粒子を通過させる、即ちクリーニング不良を発生させやすくなる。
また、嵩密度が0.3mg/cm3未満では、流動性向上への寄与はあるものの、トナー及び微粒子の飛散性および付着性が高くなるために、トナーのコロとしての効果や、クリーニング部で蓄積して、トナーのクリーニング不良を防止するいわゆるダム効果といった働きが低下してしまう。
【0128】
本発明の微粒子において、無機化合物としては、SiO2、TiO2、Al2O3、MgO、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4、SrTiO3等を例示することができ、好ましくは、SiO2、TiO2、Al2O3があげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。
【0129】
また,有機化合物の微粒子としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0130】
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0131】
なお、微粒子の嵩密度は下記の方法により測定した。100mlのメスシリンダーを用いて、微粒子を徐々に加え100mlにした。その際、振動は与えなかった。このメスシリンダーの微粒子を入れる前後の重量差により嵩密度を測定した。
嵩密度(g/cm3)=微粒子量(g/100ml)÷100
【0132】
本発明の微粒子を、トナー表面に外添加し付着させる方法としては、トナー母体粒子と微粒子を各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と微粒子を界面活性剤などで均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法などがある。
【0133】
[現像剤供給手段について]
次に、未使用の現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像装置内の劣化した現像剤を現像装置外に排出する現像剤排出手段とを備える現像装置の構成例を図22に示す。
まず、現像剤供給手段の一例について図22(a)を用いて説明する。
現像剤供給手段は、内部に未使用のトナーが収納されているトナー収納容器702を備えたトナー供給手段701とトナー補給制御手段703と、内部に未使用のキャリアが収納されているキャリア収納容器705を備えたキャリア供給手段704とキャリア補給制御手段706と、現像剤供給搬送路707とからなる。トナー収納容器702とキャリア収納容器705は搬送路の途中で合流し、現像剤として搬送され現像装置(例えば図15に示した構成の現像装置)504の現像剤供給口524につながっている。トナーの補給量はトナー補給手段701で、キャリア補給量はキャリア補給手段704でそれぞれ制御される。
【0134】
トナー補給手段701とキャリア補給手段704は、例えば回転体に穴が取り付けられており、回転体の回転によりシャッターが開閉されて、その回転数によりトナーもしくはキャリア補給量が制御されるようにすればよい。
現像装置504の攪拌搬送路510の下方には、トナー濃度センサー527が設けられており、このセンサー出力により現像剤の補給制御が行われる。補給量の制御は、トナーは画像によるトナー消費量に応じて行い、キャリアはキャリアの劣化度に応じてキャリアを補給する。また、キャリアの補給を行った場合には、現像剤排出手段(図示しないオーガ、スクリュ、コイル等)で劣化した現像剤を装置外の排出部に排出する。
【0135】
この方式によればトナーカートリッジの設置場所の制約が少ないため、画像形成装置内部のスペース配分に対し有利である。また、トナーが適時補給できるため、現像装置に大きなトナー貯留スペースを設けなくて済み、現像装置の小型化が図れる。
【0136】
次に現像剤供給手段を図22(b)の供給手段とする場合について説明する。
現像剤供給手段710は、内部に未使用の現像剤(トナーとキャリアが予め混合されている状態の現像剤)が収容されている現像剤収容容器711と、現像剤補給手段712、および現像剤供給搬送路713からなり、現像装置(例えば図15に示した構成の現像装置)504の現像剤供給口524につながっている。ここで未使用の現像剤は現像剤中のトナーの重量比(トナー濃度)で15wt%前後のトナーが混合されているものである。なお、このトナー濃度の値は限定するものではなく、現像装置や収納容器の容量や設定寿命等に合わせて適宜設定されるものである。現像剤補給量は補給手段で制御される。現像剤補給手段712は、例えば一軸偏心スクリューポンプ(通称:モーノポンプ)を使用することができる。現像装置504の攪拌搬送路の下方には、トナー濃度センサー527が設けられており、このセンサー出力により現像剤の補給制御が行われる。また、現像剤の補給が行われた場合には、現像剤排出手段(図示しないオーガ、スクリュ、コイル、スクリューポンプ等)で装置内の使用済現像剤を装置外の排出部に排出する。
【0137】
この方式によればトナーカートリッジの設置場所の制約が少ないため、画像形成装置内部のスペース配分に対し有利である。また、現像剤が適時補給できるため、現像装置に大きな現像剤貯留スペースを設けなくて済み、現像装置の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明に係る現像装置のトナー濃度変動と位相制御の説明図である。
【図2】本発明に係る現像装置の位相制御方法の説明図である。
【図3】本発明に係る現像装置における仕切り板の開口部と、その開口部を用いた位相制御の説明図である。
【図4】図3に示す仕切り板の開口部の位置を変えたときの、開口部の位置による位相制御の効果の違いの説明図である。
【図5】スクリュ上に波長λのトナー濃度変動を作り、λ/8、λ/4の位置の仕切り板に開口部を設けてスクリュ上の現像剤を循環させた場合の、スクリュ上のある位置でのトナー濃度変動の時間変化を測定した実験結果を示すグラフである。
【図6】本発明に係る現像装置の2つの現像剤搬送部材(スクリュ)にフィンを取り付けたときの、取り付け位置の説明図である。
【図7】スクリュ上に波長λのトナー濃度変動を作り、λ/4の位置の仕切り板に開口部を設けてスクリュ上の現像剤を循環させた場合の、スクリュ上のある位置でのトナー濃度変動の時間変化を測定した実験結果を示すグラフである。
【図8】本発明に係る現像装置の第2現像剤搬送部材(スクリュB)の回転方向の説明図である。
【図9】本発明に係る現像装置の仕切り板の開口部に設けた開閉機構と、開閉タイミングの説明図である。
【図10】本発明に係る現像装置において、仕切り板の一端側の開口部を大きくして位相制御を行なう場合の説明図である。
【図11】本発明に係る現像装置において、スリーブ上の現像剤溜りを利用して位相制御を行ない場合の説明図である。
【図12】本発明に係る現像装置のドクタ近傍の要部斜視図である。
【図13】本発明に係る現像装置において、スクリュA上をそのまま流れる現像剤と、スクリュAからスリーブに汲み上げられて再びスクリュAに戻される現像剤との2つの経路差を利用して位相制御を行なう方法の説明図である。
【図14】本発明が適用される2軸搬送タイプの現像装置の一例を示す概略断面図である。
【図15】本発明が適用される3軸搬送タイプの現像装置の一例を示す概略断面図である。
【図16】本発明が適用される3軸搬送タイプの現像装置の別の例を示す概略断面図である。
【図17】本発明が適用される画像形成装置の一実施例を示す図であって、画像形成装置全体の内部構成を示した概略中央断面図である。
【図18】図17に示す画像形成装置に用いられる画像形成ユニットの構成例を示す概略構成図である。
【図19】本発明が適用される画像形成装置の別の実施例を示す図であって、画像形成装置の内部構成を示した概略中央断面図である。
【図20】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図21】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図22】本発明に係る現像装置の現像剤供給手段の構成説明図である。
【符号の説明】
【0139】
1(1Y,1C,1M,1K)、501、601:感光体(潜像担持体)
2:クリーニング装置
3:帯電装置
4:露光装置
5、400、504、604:現像装置
5a、401、505、605:現像剤担持体(現像ローラまたはスリーブ)
10Y,10C,10M,10K:プロセスカートリッジ
11:中間転写装置
12:中間転写ベルト(中間転写体)
16:紙転写装置(2次転写手段)
17:搬送装置
18:定着装置
20:第1像担持体ユニット
21:第1像担持ベルト(第1中間転写体)
22、32:1次転写ローラ(1次転写手段)
40:給紙装置
46:2次転写ローラ(2次転写手段)
47:転写チャージャ(2次転写手段)
50:記録材搬送装置(記録材搬送手段)
60:定着装置
80Y,80C,80M,80K:第1画像形成ユニット
81Y,81C,81M,81K:第2画像形成ユニット
402:供給回収用スクリュ(スクリュA(第1の現像剤搬送部材))
403:攪拌搬送用スクリュ(スクリュB(第2の現像剤搬送部材))
404:仕切り板
405:ドクタ(現像剤規制部材)
404a:開口部
410:フィン
411:開閉機構
701:トナー供給手段
702:トナー収納容器
703:トナー補給制御手段
704:キャリア供給手段
705:キャリア収納容器
706:キャリア補給制御手段
707:現像剤供給搬送路
710:現像剤供給手段
711:現像剤収容容器
712:現像剤補給手段
713:現像剤供給搬送路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて潜像担持体上の潜像を現像し顕像化する現像装置において、
トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路を通過させることにより該現像剤中のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体と平行に配置され互いに異なる方向に現像剤を搬送する2つの現像剤搬送部材と、該2つの現像剤搬送部材の間に配置された仕切り板とを少なくとも有し、前記位相制御機構として、前記仕切り板に、前記1対の現像剤搬送部材の軸方向に亘って両端の現像剤の受け渡し部以外に少なくとも1つの開口部を有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像装置において、
前記2つの現像剤搬送部材は、回転軸部に螺旋状の羽部を供え、回転することにより現像剤を軸方向に搬送するスクリュ状の部材であり、前記仕切り板の開口部に面した2つの現像剤搬送部材のどちらか一方、または両方にフィンを取り付けたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の現像装置において、
前記仕切り板の開口部の中心位置xは、現像装置端部の開口部の中心位置より、
(1/8+1/2・n)λ≦x≦(3/8+1/2・n)λ
(λ:現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長、n=0,1,2,・・・)
の範囲での距離にあることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4記載の現像装置において、
前記2つの現像剤搬送部材上での現像剤搬送速度の違いにより前記波長λが異なる場合、該波長λは両現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長λ1、λ2の平均値、
λ=(λ1+λ2)/2
とすることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記仕切り板の開口部の開閉が可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6記載の現像装置において、
前記仕切り板の開閉はトナー補給タイミングに応じて制御されること特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記2つの現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材、前記現像剤担持体から離れた方の現像剤搬送部材を第2現像剤搬送部材としたとき、該第2現像剤搬送部材の回転方向が、前記現像剤担持体を左、前記第2現像剤搬送部材を右に配置した状態の側面から見て、時計周りであることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記仕切り板の端部からケース側面までの距離が、現像剤搬送部材の外径の2倍以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記1対の現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材とすると、前記現像剤担持体の現像剤溜りから前記第1現像剤搬送部材への単位時間当たりの現像剤落下量X[kg/s]と、前記第1現像剤搬送部材上の単位長さ当たりの現像剤重量Y[kg/m]と、前記第1現像剤搬送部材上の現像剤の搬送速度u[m/s]との関係が、
X/u≧1/2・Y
であることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項10記載の現像装置において、
前記第1現像剤搬送部材上の単位長さ当たりの現像剤重量が場所によって変化する場合は、単位長さ当たりの現像剤重量の長手方向の平均値を現像剤重量Y[kg/m]とすることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項10または11記載の現像装置において、
前記現像剤担持体の現像剤溜りの現像剤の厚さを規制する現像剤規制部材と、該現像剤規制部材近傍の余剰現像剤を回収する余剰現像剤回収手段を備え、該余剰現像剤回収手段は、回収した現像剤を第1現像剤搬送部材の搬送路に戻し、かつその現像剤の少なくとも一部を、回収した位置より第1現像剤搬送部材の搬送方向上流側に還流させることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項12記載の現像装置において、
前記余剰現像剤回収手段で回収した位置から前記第1現像剤搬送部材の搬送方向上流側に現像剤を還流させる際、回収位置から還流させる位置までの距離xと、前記現像剤担持体の現像剤溜りに持ち上げられてから前記第1現像剤搬送部材に現像剤が落ちるまでの平均時間tと、前記第1現像剤搬送部材上の現像剤の搬送速度uの関係が、
λ/4+λ・n≦u・t+x≦3λ/4+λ・n
(λ:第1現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長)
であることを特徴とする現像装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の現像装置おいて、
前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体への現像剤供給及び回収用の現像剤搬送部材とトナー補給後の搬送攪拌用の現像剤搬送部材の2つの現像剤搬送部材を備え、
前記2つの現像剤搬送部材が前記現像剤担持体の下方に水平方向に配置されている構成であることを特徴とする現像装置。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の現像装置おいて、
前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体を備え、かつ、前記現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体へ現像剤を供給する供給用現像剤搬送部材と、前記現像剤担持体から現像終了後の現像剤を回収するとともに回収した現像剤を供給用現像剤搬送部材と平行でかつ同方向に搬送する回収用現像剤搬送部材と、前記供給用現像剤搬送部材から前記現像剤担持体に供給されなかった余剰現像剤と前記回収用現像剤搬送部材から運ばれてきた現像剤とを供給用現像剤搬送部材と逆方向に撹拌搬送する攪拌用現像剤搬送部材の3つの現像剤搬送部材を備えた構成であることを特徴とする現像装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の現像装置において、
未使用の予め混合した現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像装置内の現像剤を現像装置外に排出する現像剤排出手段とを備えることを特徴とする現像装置。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の現像装置において、
未使用のキャリアを供給するキャリア供給部と、未使用のトナーを供給するトナー供給部とから構成される現像剤供給手段を有し、前記キャリアの補給動作と前記トナーの補給動作が独立に制御されることを特徴とする現像装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるキャリアであって、
体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴とするキャリア。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるトナーであって、
体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径と個数平均粒径との比が、1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とするトナー。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるトナーであって、
形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とするトナー。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるトナーであって、
トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3g/cm3以上の微粒子が外添加されていることを特徴とするトナー。
【請求項22】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられる現像剤であって、
請求項18記載のキャリアと、請求項19〜21のいずれか1項に記載のトナーとを用いたことを特徴とする現像剤。
【請求項23】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記現像剤として、請求項22に記載の現像剤を用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項24】
少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを一体に備えたプロセスカートリッジにおいて、
前記現像装置として、請求項1〜17、23のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項25】
少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、
請求項1〜17、23のいずれか1項に記載の現像装置、あるいは請求項24に記載のプロセスカーリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項26】
請求項25記載の画像形成装置において、
現像色の異なる複数の現像装置またはプロセスカートリッジを備え、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項27】
請求項25記載の画像形成装置において、
少なくとも潜像担持体と該潜像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジを複数備え、各画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジで現像色の異なる画像を形成して記録材に直接、または中間転写体を介して転写し、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項28】
請求項25記載の画像形成装置において、
少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第1画像形成ユニット群と、該第1画像形成ユニット群にて形成された第1トナー像が転写され担持される第1中間転写体とからなる第1画像形成ステーションと、
少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第2画像形成ユニット群と、該第2画像形成ユニット群にて形成された第2トナー像が転写され担持される第2中間転写体とからなる第2画像形成ステーションと、を備え、
記録材の第1面に転写される第1トナー像は、前記第1画像形成ステーションにより形成され、記録材の第2面に転写される第2トナー像は、第2画像形成ステーションにより形成され、定着前において第1のトナー像と第2のトナー像が同時もしくは順次に記録材に転写されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて潜像担持体上の潜像を現像し顕像化する現像装置において、
トナー補給や現像によるトナー消費により空間的にトナー濃度変動している現像装置内の現像剤の流れに対し、所定の地点で分岐点を作り、該分岐点で分岐させた各々の現像剤を異なる経路を通過させることにより該現像剤中のトナー濃度変動の位相をずらした後、位相のずれた現像剤同士を再び合流させて位相制御を行なう位相制御機構を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体と平行に配置され互いに異なる方向に現像剤を搬送する2つの現像剤搬送部材と、該2つの現像剤搬送部材の間に配置された仕切り板とを少なくとも有し、前記位相制御機構として、前記仕切り板に、前記1対の現像剤搬送部材の軸方向に亘って両端の現像剤の受け渡し部以外に少なくとも1つの開口部を有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像装置において、
前記2つの現像剤搬送部材は、回転軸部に螺旋状の羽部を供え、回転することにより現像剤を軸方向に搬送するスクリュ状の部材であり、前記仕切り板の開口部に面した2つの現像剤搬送部材のどちらか一方、または両方にフィンを取り付けたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の現像装置において、
前記仕切り板の開口部の中心位置xは、現像装置端部の開口部の中心位置より、
(1/8+1/2・n)λ≦x≦(3/8+1/2・n)λ
(λ:現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長、n=0,1,2,・・・)
の範囲での距離にあることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4記載の現像装置において、
前記2つの現像剤搬送部材上での現像剤搬送速度の違いにより前記波長λが異なる場合、該波長λは両現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長λ1、λ2の平均値、
λ=(λ1+λ2)/2
とすることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記仕切り板の開口部の開閉が可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6記載の現像装置において、
前記仕切り板の開閉はトナー補給タイミングに応じて制御されること特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記2つの現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材、前記現像剤担持体から離れた方の現像剤搬送部材を第2現像剤搬送部材としたとき、該第2現像剤搬送部材の回転方向が、前記現像剤担持体を左、前記第2現像剤搬送部材を右に配置した状態の側面から見て、時計周りであることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記仕切り板の端部からケース側面までの距離が、現像剤搬送部材の外径の2倍以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記1対の現像剤搬送部材のうち、前記現像剤担持体に近い方の現像剤搬送部材を第1現像剤搬送部材とすると、前記現像剤担持体の現像剤溜りから前記第1現像剤搬送部材への単位時間当たりの現像剤落下量X[kg/s]と、前記第1現像剤搬送部材上の単位長さ当たりの現像剤重量Y[kg/m]と、前記第1現像剤搬送部材上の現像剤の搬送速度u[m/s]との関係が、
X/u≧1/2・Y
であることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項10記載の現像装置において、
前記第1現像剤搬送部材上の単位長さ当たりの現像剤重量が場所によって変化する場合は、単位長さ当たりの現像剤重量の長手方向の平均値を現像剤重量Y[kg/m]とすることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項10または11記載の現像装置において、
前記現像剤担持体の現像剤溜りの現像剤の厚さを規制する現像剤規制部材と、該現像剤規制部材近傍の余剰現像剤を回収する余剰現像剤回収手段を備え、該余剰現像剤回収手段は、回収した現像剤を第1現像剤搬送部材の搬送路に戻し、かつその現像剤の少なくとも一部を、回収した位置より第1現像剤搬送部材の搬送方向上流側に還流させることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項12記載の現像装置において、
前記余剰現像剤回収手段で回収した位置から前記第1現像剤搬送部材の搬送方向上流側に現像剤を還流させる際、回収位置から還流させる位置までの距離xと、前記現像剤担持体の現像剤溜りに持ち上げられてから前記第1現像剤搬送部材に現像剤が落ちるまでの平均時間tと、前記第1現像剤搬送部材上の現像剤の搬送速度uの関係が、
λ/4+λ・n≦u・t+x≦3λ/4+λ・n
(λ:第1現像剤搬送部材上のトナー濃度変動の波長)
であることを特徴とする現像装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の現像装置おいて、
前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体への現像剤供給及び回収用の現像剤搬送部材とトナー補給後の搬送攪拌用の現像剤搬送部材の2つの現像剤搬送部材を備え、
前記2つの現像剤搬送部材が前記現像剤担持体の下方に水平方向に配置されている構成であることを特徴とする現像装置。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の現像装置おいて、
前記現像剤を担持して回転し前記潜像担持体と対向する位置で該潜像担持体上の潜像に現像剤のトナーを供給して現像する現像剤担持体を備え、かつ、前記現像剤担持体と平行に配置され、該現像剤担持体へ現像剤を供給する供給用現像剤搬送部材と、前記現像剤担持体から現像終了後の現像剤を回収するとともに回収した現像剤を供給用現像剤搬送部材と平行でかつ同方向に搬送する回収用現像剤搬送部材と、前記供給用現像剤搬送部材から前記現像剤担持体に供給されなかった余剰現像剤と前記回収用現像剤搬送部材から運ばれてきた現像剤とを供給用現像剤搬送部材と逆方向に撹拌搬送する攪拌用現像剤搬送部材の3つの現像剤搬送部材を備えた構成であることを特徴とする現像装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の現像装置において、
未使用の予め混合した現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像装置内の現像剤を現像装置外に排出する現像剤排出手段とを備えることを特徴とする現像装置。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の現像装置において、
未使用のキャリアを供給するキャリア供給部と、未使用のトナーを供給するトナー供給部とから構成される現像剤供給手段を有し、前記キャリアの補給動作と前記トナーの補給動作が独立に制御されることを特徴とする現像装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるキャリアであって、
体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴とするキャリア。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるトナーであって、
体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径と個数平均粒径との比が、1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とするトナー。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるトナーであって、
形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とするトナー。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられるトナーであって、
トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmで、嵩密度が0.3g/cm3以上の微粒子が外添加されていることを特徴とするトナー。
【請求項22】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置に用いられる現像剤であって、
請求項18記載のキャリアと、請求項19〜21のいずれか1項に記載のトナーとを用いたことを特徴とする現像剤。
【請求項23】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の現像装置において、
前記現像剤として、請求項22に記載の現像剤を用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項24】
少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを一体に備えたプロセスカートリッジにおいて、
前記現像装置として、請求項1〜17、23のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項25】
少なくとも、表面に静電潜像が形成される潜像担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて前記潜像担持体上の静電潜像を現像し顕像化する現像装置とを備えた画像形成装置において、
請求項1〜17、23のいずれか1項に記載の現像装置、あるいは請求項24に記載のプロセスカーリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項26】
請求項25記載の画像形成装置において、
現像色の異なる複数の現像装置またはプロセスカートリッジを備え、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項27】
請求項25記載の画像形成装置において、
少なくとも潜像担持体と該潜像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジを複数備え、各画像形成ユニットまたはプロセスカーリッジで現像色の異なる画像を形成して記録材に直接、または中間転写体を介して転写し、記録材にカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項28】
請求項25記載の画像形成装置において、
少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第1画像形成ユニット群と、該第1画像形成ユニット群にて形成された第1トナー像が転写され担持される第1中間転写体とからなる第1画像形成ステーションと、
少なくとも像担持体と該像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成ユニットを複数並設した第2画像形成ユニット群と、該第2画像形成ユニット群にて形成された第2トナー像が転写され担持される第2中間転写体とからなる第2画像形成ステーションと、を備え、
記録材の第1面に転写される第1トナー像は、前記第1画像形成ステーションにより形成され、記録材の第2面に転写される第2トナー像は、第2画像形成ステーションにより形成され、定着前において第1のトナー像と第2のトナー像が同時もしくは順次に記録材に転写されることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図12】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−316130(P2007−316130A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142692(P2006−142692)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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