現像装置
【課題】部品点数を低減させ、機能の集約化を行うことにより、小型化及び低コスト化を図りつつ品質の安定化を行うことができる現像装置を提供する。
【解決手段】トナー18と磁性キャリアとを含む2成分現像剤22を担持して搬送する現像剤担持体15と、現像剤22の量を規制する第1の規制部材17と、現像剤22を収容する現像剤収容部16aと、現像剤担持体15にトナー18を供給するトナー収容部19とを備え、現像剤収容部16aは、第1の規制部材17よりも現像剤22の搬送方向上流側に配設された、現像剤担持体15上の現像剤22のトナー濃度が上昇して該現像剤22の層厚が増加した場合にこの増加分の通過を規制すべく現像剤担持体15との間隙が設定された第2の規制部材23を有することを特徴とする現像装置13。
【解決手段】トナー18と磁性キャリアとを含む2成分現像剤22を担持して搬送する現像剤担持体15と、現像剤22の量を規制する第1の規制部材17と、現像剤22を収容する現像剤収容部16aと、現像剤担持体15にトナー18を供給するトナー収容部19とを備え、現像剤収容部16aは、第1の規制部材17よりも現像剤22の搬送方向上流側に配設された、現像剤担持体15上の現像剤22のトナー濃度が上昇して該現像剤22の層厚が増加した場合にこの増加分の通過を規制すべく現像剤担持体15との間隙が設定された第2の規制部材23を有することを特徴とする現像装置13。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置における2成分現像剤を用いる現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー濃度検知手段を必要とせず、現像剤の動きによってトナーを取り込む現像装置が知られている。しかし、この現像装置では、現像剤の動きが活発な箇所とそうでない箇所、あるいは現像剤の多い箇所と少ない箇所においてトナーの取り込み量が異なり、部分的にトナー濃度が不安定となって画像濃度ムラやかぶりが発生し易い。そこで、トナーホッパー内に2つのトナー供給部材を配設し、各トナー供給部材で形成される経路に現像剤を通過させることにより、装置長手方向における濃度ムラやかぶりを解決する技術が「特許文献1」に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−4282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、「特許文献1」に開示された技術では、トナー供給部材を2つ使用するため、現像ユニットが大型化してしまうと共にコストアップしてしまうという問題点がある。
【0005】
本発明は上記問題点を解決し、部品点数を低減させ、機能の集約化を行うことにより、小型化及び低コスト化を図りつつ品質の安定化を行うことができる現像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、内部に磁界発生手段を有し、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の量を規制する第1の規制部材と、第1の規制部材により掻き落とされた前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部に隣接し、前記現像剤担持体にトナーを供給するトナー収容部とを備え、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化により、該現像剤と前記トナーとの接触状態を変化させて、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー取り込み状態を変化させる現像装置であって、前記現像剤収容部は、第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された第2の規制部材を有し、第2の規制部材は、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が上昇し、該現像剤の層厚が増加した場合に該現像剤の増加分の通過を規制すべく、前記現像剤担持体との間隙が設定されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化に拘らず、前記現像剤収容部内の現像剤が同現像剤収容部内で移動することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が所定のトナー濃度となった際に、第2の規制部材により通過を規制された現像剤が前記現像剤担持体上の現像剤と前記トナーとの接触部に溜まり、該現像剤が前記接触部を塞ぐことにより前記現像剤担持体上の現像剤のトナー取り込み状態を停止させることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1、請求項2または請求項3記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が所定のトナー濃度となった際に、前記現像剤収容部内での前記現像剤の移動速度が1mm/s以上であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のうちの何れか1つに記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が、下式で決定されるキャリア被覆率が100%のときに適正トナー濃度となることを特徴とする。
Tn=(100C√3)/(2π(100−C)・(1+r/R)2・(r/R)・(ρt/ρc))
Tn:キャリア被覆率(%)、C:現像剤のトナー濃度(wt%)、R:キャリア粒径の半径(μm)、r:トナー粒径の半径(μm)、ρt:トナーの真比重◇
(g/cm3)、ρc:キャリアの真比重(g/cm3)
請求項6記載の発明は、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部に隣接し、前記現像剤担持体上にトナーを供給するトナー供給開口部を有するトナー収容部とを具備し、前記トナー供給開口部が、所定の長さを有すると共に前記現像剤担持体と所定の間隙をもってそれぞれ配設された第2の規制部材及びこれと対向する対向面とから構成され、前記現像剤収容部と前記トナー収容部とを連通する現像装置であって、第1の規制部材で層厚を規制された前記現像剤担持体上の現像剤層よりも厚い現像剤層を前記トナー供給開口部に形成すべく、第2の規制部材と前記現像剤担持体との間隙及び前記対向面と前記現像剤担持体との間隙がそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の現像装置において、さらに前記トナー供給開口部に形成される前記現像剤層の層厚が、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変動に応じて変化することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変動に応じて前記トナー供給開口部に前記現像剤層を形成するときの、前記現像剤の移動速度が1mm/s以上であることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項6記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤層の表面と、前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向と反対方向に循環する前記現像剤収容室内の現像剤の表面とで界面部を形成し、該界面部における前記現像剤担持体上の現像剤の搬送力が、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化に応じて変動することを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項2または請求項6記載の現像装置において、さらに第2の規制部材が、前記現像剤担持体の周辺に形成される現像剤の流れを妨げる向きに設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項6記載の現像装置において、さらに前記対向面と前記現像剤担持体との間隙δ1と第2の規制部材と前記現像剤担持体との間隙δ2との関係が、δ2<δ1であることを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、前記現像剤収容部の内壁面から、この内壁面に対向する前記現像剤担持体表面までの最大距離が、前記現像剤担持体の半径よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体表面までの距離が最大である前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を有することを特徴とする。
【0018】
請求項14記載の発明は、トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、前記現像剤担持体表面までの距離が最大となる前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤担持体表面と対向すべく、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を配設し、第2の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔を、第1の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔の2〜6倍としたことを特徴とする。
【0019】
請求項15記載の発明は、トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、前記現像剤担持体表面までの距離が最大となる前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤担持体表面と対向すべく、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を配設し、前記第2の規制部材の先端位置を、前記現像剤担持体の回転中心よりも上方に位置させたことを特徴とする。
【0020】
請求項16記載の発明は、請求項12または請求項13記載の現像装置において、さらに前記磁界発生手段は、前記潜像担持体と対応する位置に配置された第1極と、前記現像剤収容室と対応する位置に配置された第2極とを有し、第1極の磁力が第2極の磁力の1.2倍以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明によれば、第2の規制部材が増加した現像剤の通過を規制し、規制された現像剤がトナーの取り込みを制御することにより、トナー供給を常時一定に自己制御することができるので、簡易な構成でトナー濃度の調整を容易に行うことができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、キャリア被覆率が100%のときに適正トナー濃度とすることにより、キャリア表面を完全にトナーが覆うことにより、キャリアの膜削れを防止することができ、現像剤の寿命を延ばすことができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、トナー供給開口部において、トナー濃度に応じた層厚の現像剤層を形成することができるので、トナーの取り込みを自己制御することができ、小型で低コストの現像装置を提供することができる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、トナー供給開口部に現像剤の層を形成する際の現像剤の循環移動速度を1mm/s以上としたので、トナー取り込み部で常に現像剤の撹拌を行うことができ、トナーの帯電量の低下を防止して異常画像の発生を防止することができる。
【0025】
請求項12記載の発明によれば、現像剤収容室が現像剤の循環に十分なスペースを有するので、トナー濃度センサーを用いることなく、現像剤収容室内のトナー濃度を一定範囲内に維持することができる。
【0026】
請求項13記載の発明によれば、トナーの取り込み部に存在する現像剤を、第2の規制部材が現像剤担持体の軸方向において均一化させるので、トナーを均一に取り込むことにより画像ムラを防止することができる。
【0027】
請求項14記載の発明によれば、トナーの取り込み部に存在する現像剤を、第2の規制部材が現像剤担持体の軸方向において均一化させつつ、適量を現像剤収容室内に取り込むので、トナーを均一に取り込むことにより画像ムラを防止すると共に、適正なトナー濃度とすることができる。
【0028】
請求項15記載の発明によれば、第2の規制部材の先端位置を現像剤担持体の中心位置よりも上方に設けることにより、現像剤の自重による、取り込み部での現像剤の動きの制限を緩和し、磁力で保持できる現像剤の量によりトナー濃度をコントロールすることができる。
【0029】
請求項16記載の発明によれば、現像剤収容室内での現像剤の動きを活発化させつつ、キャリア付着しないように第1極の磁力を高くすることにより、現像剤担持体の軸方向においてムラのない良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態を採用した画像形成装置の現像装置要部の概略構成図である。
潜像担持体である感光体ドラム1の側方に配設された現像装置13は、支持ケース14、現像剤担持体としての現像スリーブ15、現像剤収容部材16、現像剤規制部材としての第1ドクターブレード17等から主に構成されている。
【0031】
感光体ドラム1側に開口を有する支持ケース14は、内部にトナー18を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー19を形成している。トナーホッパー19の感光体ドラム1側寄りには、トナー18と磁性粒子であるキャリアとからなる現像剤22を収容する現像剤収容部16aを形成する現像剤収容部材16が、支持ケース14と一体的に設けられている。また、現像剤収容部材16の下方に位置する支持ケース14には、対向面14bを有する突出部14aが形成されており、現像剤収容部材16の下部と対向面14bとの間の空間によって、トナー18を供給するためのトナー供給開口部20が形成されている。
【0032】
トナーホッパー19の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ21が配設されている。トナーアジテータ21は、トナーホッパー19内のトナー18をトナー供給開口部20に向けて撹拌しながら送り出す。また、トナーホッパー19の、感光体ドラム1と対向する側には、トナーホッパー19内のトナー18の量が少なくなったときにこれを検知するトナーエンド検知手段14cが配設されている。
【0033】
感光体ドラム1とトナーホッパー19との間の空間には、現像スリーブ15が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ15は、その内部に、現像装置13に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有している。
【0034】
現像剤収容部材16の、支持ケース14に取り付けられた側と対向する側には、第1ドクターブレード17が一体的に取り付けられている。第1ドクターブレード17は、その先端と現像スリーブ15の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
【0035】
現像剤収容部材16の、トナー供給開口部20の近傍に位置する部位には、規制部材としての第2ドクターブレード23が配設されている。第2ドクターブレード23は、その自由端が現像スリーブ15の外周面に対して一定の隙間を保つべく、現像スリーブ15の表面に形成される現像剤22の層の流れを妨げる方向、すなわち、自由端を現像スリーブ15の中心に向けて、基端を現像剤収容部材16に一体的に取り付けられている。
【0036】
現像剤収容部16aは、現像スリーブ15の磁力が及ぶ範囲で、現像剤22を循環移動させるに十分な空間を有するように構成されている。
【0037】
なお、対向面14bは、トナーホッパー19側から現像スリーブ15側に向けて下向きに傾斜するよう、所定の長さにわたって形成されている。これにより、振動、現像スリーブ15の内部に設けられた図示しない磁石の磁力分布のむら、現像剤22中の部分的なトナー濃度の上昇等が発生した際に、第2ドクターブレード23と現像スリーブ15の周面との間から現像剤収容部16a内のキャリアが落下しても、落下したキャリアは対向面14bで受けられて現像スリーブ15側に移動し、磁力で現像スリーブ15に磁着されて再び現像剤収容部16a内に供給される。これにより現像剤収容部16a内のキャリア量の減少を防止することができ、画像形成時における、現像スリーブ15の軸方向での画像濃度むらの発生を防止することができる。対向面14bの傾斜角度αとしては5゜程度が、また、所定の長さlとしては、好ましくは2〜20mm、さらに好ましくは3〜10mm程度が望ましい。
【0038】
上記構成により、トナーホッパー19の内部からトナーアジテータ21によって送り出されたトナー18は、トナー供給開口部20を通って現像スリーブ15に担持された現像剤22に供給され、現像剤収容部16aへ運ばれる。そして、現像剤収容部16a内の現像剤22は、現像スリーブ15に担持されて感光体ドラム1の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー18のみが感光体ドラム1上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。
【0039】
ここで、上記トナー像形成時における現像剤22の挙動を説明する。
現像装置13に磁性キャリア22aのみからなるスタート剤をセットすると、図2に示すように、磁性キャリア22aは現像スリーブ15の表面に磁着されるものと現像剤収容部16a内に収容されるものとに分かれる。現像剤収容部16a内に収容された磁性キャリア22aは、現像スリーブ15の矢印a方向への回転に伴い、現像スリーブ15内からの磁力によって矢印b方向へ、1mm/s以上の移動速度で循環移動する。そして、現像スリーブ15の表面に磁着された磁性キャリア22aの表面と現像剤収容部16a内で移動する磁性キャリア22aの表面との境界部において界面Xが形成される。
【0040】
次に、トナーホッパー19にトナー18がセットされると、トナー供給開口部20より現像スリーブ15に担持された磁性キャリア22aにトナー18が供給される。従って、現像スリーブ15は、トナー18と磁性キャリア22aとの混合物である現像剤22を担持することとなる。
【0041】
現像剤収容部16a内では、収容されている現像剤22の存在により、現像スリーブ15によって搬送される現像剤22に対して、その搬送を停止させようとする力が働いている。そして、現像スリーブ15に担持された現像剤22の表面に存在するトナー18が界面Xへ搬送されると、界面X近傍における現像剤22間の摩擦力が低下して界面X近傍の現像剤22の搬送力が低下し、これにより界面X近傍での現像剤22の搬送量が減少する。
【0042】
一方、合流点Yより現像スリーブ15の回転方向上流側の現像剤22には、上述の現像剤収容部16a内のような、現像スリーブ15によって搬送される現像剤22に対して、その搬送を停止させるような力は作用しないので、合流点Yへ搬送されてきた現像剤22と界面Xを搬送される現像剤22との搬送量のバランスが崩れて現像剤22の玉突状態が発生し、合流点Yの位置が上昇して界面Xを含む現像剤22の層厚が増加する。また、第1ドクターブレード17を通過した現像剤22の層厚も徐々に増加し、この増加した現像剤22が第2ドクターブレード23によって掻き落とされる。
【0043】
そして、第1ドクターブレード17を通過した現像剤22が所定のトナー濃度に達すると、図4に示すように、第2ドクターブレード23に掻き落とされて層状となった増加分の現像剤22がトナー供給開口部20を塞ぎ、この状態でトナー18の取り込みが終了する。このとき、現像剤収容部16a内ではトナー濃度が高くなることにより現像剤22の嵩が大きくなり、これにより現像剤収容部16a内の空間が狭くなることによって、現像剤22が図の矢印b方向に循環移動する移動速度も低下する。
【0044】
このトナー供給開口部20を塞ぐように形成された現像剤22の層において、第2ドクターブレード23に掻き落とされた現像剤22は、図4に矢印cで示すように、速度1mm/s以上の移動速度で移動して対向面14bで受けられるが、対向面14bが現像スリーブ15側に向けて角度αで下方に傾斜し、かつ、所定長さlを有しているため、現像剤22の層の移動による、トナーホッパー19への現像剤22の落下を防止することができ、現像剤22の量を常に一定に保つことができるので、トナー供給を常時一定に自己制御することが可能となる。
【0045】
このときの所定のトナー濃度としては、数々の実験、研究等の結果、下式1で示される、磁性キャリア22aの粒径等を考慮したキャリア被覆率の計算式を用い、キャリア被覆率が100%となるトナー濃度を上限トナー濃度としたときに、地汚れやベタ部の白抜け等のない良好な画像が得られることが判明した。
被覆率(Tn)=(n個のトナーが占有する面積の和/キャリアの表面積)×100…(式1)
ここで、トナー1個が占有する面積は2(√3)r2、キャリア1個の表面積は4π(R+r)2であるので、キャリア被覆率(Tn)は下式2のように表される。◇
【0046】
【数1】
【0047】
また、トナー濃度の値(wt%)はトナーの重さ/(トナーの重さ+キャリアの重さ)×100で表される。ここでは普遍性を持たせるため、図5(a),(b)に示すように、キャリア及びトナーをそれぞれ球形とみなし、キャリア表面をトナーが隙間なく最密状態の斜方配置で覆ったときのトナー濃度を考え、すなわち、キャリア1個の表面をn個のトナーが1層の状態で完全に覆った状態を被覆率100%とする。このときの1個のキャリア表面を隙間なく覆うトナー数を限界トナー数とする。このキャリア被覆率の計算には、従来、平面的近似と球面的近似とが提案されているが、本実施例では、実用的なトナー及びキャリアの半径比の実用的な範囲において、平面的近似によって計算する。
【0048】
この平面的近似による計算は、図5(a)に示すように、トナー18及び磁性キャリア22aの半径をそれぞれr,Rとし、図5(b)に示すように、半径(r+R)の球の表面を1個の実質的占有面積である平行四辺形DEFGの面積で除して限界トナー数Nを求めると、Nは下式3で示される。なお、この近似方法では、磁性キャリア22aの表面がトナー18からみて平面とみなせる条件;R》rが必要である。
【0049】
【数2】
【0050】
また、現像剤22のトナー濃度C(wt%)をキャリア表面上のトナー数nを用いて表すと、キャリア1個の重さ;4πR3 ρc /3、トナー1個の重さ;4πr3 ρt/3であるので、下式4のようになる。ここで、rはトナー粒径の半径(μm)、Rはキャリア粒径の半径(μm)、ρtはトナーの真比重(g/cm3 )、ρc はキャリアの真比重(g/cm3 )である。
【0051】
【数3】
【0052】
上記式2及び式4からnを消去して整理すると、下式5を得る。
【0053】
【数4】
【0054】
図6(a)は、キャリア被覆率が100%のときのトナー濃度におけるトナー18の付着状態をスケッチした図である。同図に示すように、キャリア被覆率100%のときには、磁性キャリア22aの粒子表面にトナー18が隙間なく1層で付着している。一方、図6(b)は、キャリア被覆率が169%のときのトナー濃度におけるトナー18の付着状態をスケッチしたものである。同図に示すように、キャリア被覆率169%のときには、磁性キャリア22aの粒子表面をトナー18が幾重にも重なって覆っている。このようにキャリア被覆率が100%を超えると、キャリア22aの表面をトナー18が完全に覆ってしまうことが確認された。
【0055】
ところで、キャリア被覆率が100%を超えた状態で現像剤収容部16aに入った現像剤22は、互いに摩擦を繰り返すこととなる。トナー18は磁性キャリア22aとの摩擦によって帯電するが、キャリア被覆率が100%を超える場合にはキャリア表面が露出しないため、既に磁性キャリア22aを覆っているトナー18をさらにトナー18が覆うこととなる。従って、トナー18同士が擦れ合うことによって、正に帯電するトナーと負に帯電するトナーとが発生し、帯電状態が不均一となってしまう。ここで、例えば、キャリア22aとトナー18との摩擦によってトナー18が負に帯電されたとすると、トナー18同士の摩擦によって正に帯電されたトナー18は静電潜像への付着が正常に行われなくなり、地汚れ等の不具合を生じてしまう。
【0056】
このように、式5に示す式を用いてキャリア被覆率が100%を超えないようなトナー濃度を上限トナー濃度として決定し、この上限トナー濃度を実現できるキャリア量の現像剤を現像剤収容部16aにセットすることで、地汚れ等の不具合を発生させることなく、良好なトナー像を得ることができる。
【0057】
現像領域でトナー18が消費されると、界面X上のトナー濃度が減少することにより、界面Xでのトナー搬送力が増加する。この搬送力の増加に伴い、厚くなった現像剤22の層を引き戻そうとする力が作用して、現像剤22の状態が図4に示す状態から図3に示す状態へと変化する。図3に示す状態となると、トナー18の取り込みが再び開始され、これが所定のトナー濃度となるまで行われる。
【0058】
上述のように、現像剤収容部16aが、現像スリーブ15の磁力が及ぶ範囲で現像剤22を移動させるに十分な空間を有することにより、現像剤収容部16a内の現像剤22がトナー濃度の如何に拘らず1mm/s以上の速度で常時循環が可能であり、第1ドクターブレード17あるいは現像領域を通過した現像剤22と現像剤収容部16a内の現像剤22との入れ替えが徐々に行われ、現像剤収容部16a内にセットした現像剤22を全て使用することができる。これにより、現像剤22にかかるストレスを分散させることができ、磁性キャリアの膜削れの防止、あるいはトナースペント化の進行を遅らせることができる。すなわち現像剤22の寿命を延ばすことができるため、小型でありながら画像形成枚数の多い高速域までもカバーすることが可能な現像装置を実現することができる。
【0059】
第1の実施例において、図7に示すように、突出部14aと現像スリーブ15との間隙δ1を第2ドクターブレード23の先端と現像スリーブ15との間隙δ2以上と構成することにより、現像スリーブ15の表面上に形成された現像剤22の層を薄層化した状態でトナー18の供給を制御することができるため、画像面積の多い画像を形成した場合にも消費されたトナー18を迅速に現像剤22に供給することができ、何枚も連続で画像形成を行うことができる。
【0060】
第1の実施形態の変形例として、図8に示すように、現像剤収容部材16に代えて現像剤収容部材24を用いてもよい。この現像剤収容部材24は、第1ドクターブレード17と対向する側の側壁24bが現像スリーブ15側に傾いて設けられている。この現像剤収容部材24を用いることにより、第2ドクターブレード23を設けることなく側壁24bで現像剤22の層圧を規制することができる。なお、現像剤収容部材24内の現像剤収容部24aは、現像スリーブ15の磁力が及ぶ範囲で、現像剤22を循環移動させるに十分な空間を有するように構成されている。
【0061】
図9は、本発明の第2の実施形態を採用した画像形成装置の現像装置要部の概略構成図である。
感光体ドラム1の側方に配設された現像装置2は、支持ケース3、現像剤担持体としての現像スリーブ4、現像剤収容部材5、規制部材としての第1ドクターブレード6等から主に構成されている。
【0062】
感光体ドラム1側に開口を有する支持ケース3は、内部にトナー7を収容するトナーホッパー8を形成している。トナーホッパー8の感光体ドラム1側寄りには、トナー7と磁性粒子であるキャリアとからなる現像剤11を収容する現像剤収容部5aを形成する現像剤収容部材5が、支持ケース3と一体的に設けられている。また、現像剤収容部材5の下方には、部材3aが支持ケース3と一体的に設けられており、現像剤収容部材5の下部と部材3aの上部との空間によって、トナー7を供給するためのトナー供給開口部9が形成されている。
【0063】
トナーホッパー8の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ10が配設されている。トナーアジテータ10は、トナーホッパー8の内部のトナー7をトナー供給開口部9に向けて撹拌しながら送り出す。
【0064】
感光体ドラム1とトナーホッパー8との間の空間には、現像スリーブ4が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ4は、その内部に、現像装置2に対して相対位置不変に配設された、P1極、P2極、P3極、P4極の4極の磁石を有している。P1極は感光体ドラム1の外周面に、P2極、P3極は支持ケース3と現像スリーブ4との間の現像剤通路に、また、P4極は現像剤収容部5aにそれぞれ対応する位置に配設されている。
【0065】
現像剤収容部材5の、支持ケース3に取り付けられた側と対向する側には、第1ドクターブレード6が一体的に取り付けられている。第1ドクターブレード6は、その先端と現像スリーブ4の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。また、現像剤収容部材5の、トナー供給開口部9の近傍に位置する部位には、規制部材としての第2ドクターブレード12が配設されている。第2ドクターブレード12は、その自由端が現像スリーブ4の外周面に対して一定の隙間を保つべく、基端を現像剤収容部材5に一体的に取り付けられている。
【0066】
上記構成により、トナーホッパー8の内部からトナーアジテータ10によって送り出されたトナー7は、トナー供給開口部9を通って現像スリーブ4に担持された現像剤11に供給され、現像剤収容部5a内へ運ばれる。そして、現像剤収容部5a内の現像剤11は、現像スリーブ4に担持されて感光体ドラム1の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー7のみが感光体ドラム1上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。
【0067】
上記動作中、現像剤収容部5a内における現像剤11は、図10に示す矢印の方向に回転しており、第2ドクターブレード12の先端と現像スリーブ4の外周面との間からトナー7を現像剤収容部5a内に取り込んでいるが、現像剤収容部5a内の現像剤11の抗力(重力、嵩の増加)の影響により、トナー7の取り込みが左右される。そこで、現像剤収容部5aの内壁面5bから現像スリーブ4の外周面までの最大距離Sを変化させ、そのときのトナー濃度を測定した結果、最大距離Sを現像スリーブ4の半径r1よりも小さくすると、狙いのトナー濃度に達する前に現像剤収容部5a内の現像剤11の嵩及び重力が増加し、抗力が増加するためにトナーの取り込み時間が少なくなり、狙いのトナー濃度に達する前に上限トナー濃度となってしまうため、最適領域のトナー濃度で使用できないことが判明した。
【0068】
また、収容スペースを狭くした分、現像剤収容部5a内にセットする現像剤11の量を少なくすると、P4極の磁力を弱めないと現像剤11が動かなくなり、現像剤11が動くまでP4極の磁力を弱めると、製造上、P1極の磁力もそれに付随して弱くなってしまい、キャリアが感光体ドラム1に付着してしまう等の問題が発生し、たとえP1極の磁力を維持できたとしても、第1ドクターブレード6を通過する現像剤11の量が不安定となり、現像スリーブ軸方向でのムラのある画像となってしまうということが判明した。
【0069】
また、現像剤収容部5a内へのトナー7の取り込み量は、図11に示すように、第2ドクターブレード12の先端と現像スリーブ4の外周面との間の隙間によって左右される。そこで、この隙間を変化させ、そのときのトナー濃度を測定した結果、この隙間を第1ドクターブレード6の先端と現像スリーブ4の外周面との間の隙間DGの2倍以下とすると、第2ドクターブレード12に塞き止められてかなりの量の現像剤11が溢れ出し、トナー7も現像剤収容部5a内へ入りにくくなってトナー濃度が低下してしまうということが判明した。
【0070】
また、第2ドクターブレード12の先端と現像スリーブ4の外周面との間の隙間を隙間DGの6倍以上とすると、現像剤収容部5a内へ取り込まれたときに現像スリーブ軸方向に現像剤11の量ムラが発生し、部分的にトナー7を取り込み易い箇所と取り込みにくい箇所ができてしまい、画像ムラが発生してしまうということが判明した。
【0071】
さらに、現像剤収容部5a内へのトナー7の取り込み量は、図12に示すように、第2ドクターブレード12の高さ方向の突き出し位置X1によっても左右される。この突き出し位置X1が現像スリーブ4の中心Oよりも下方に位置すると、トナー7の取り込み位置が下方寄りとなり、重力の影響によりトナー7を取り込みにくくなってしまう。
【0072】
現像剤収容部5a内での現像剤11の動きは、図13に示すように、現像スリーブ4内の磁石の磁力によっても左右される。そこで、P2極、P3極、P4極の磁力を一定とし、P1極の磁力を変化させて実験を行った結果、P1極の磁力をP4極の磁力の1.2倍以上(例えばP4極の磁力が60.0ミリテスラであれば、P1極の磁力は72.0ミリテスラ以上)とすることにより、現像剤収容部5a内での現像剤11の動きが活発化し、第1ドクターブレード6を通過する現像剤11の量が安定化することが判明した。
【0073】
図14は、本発明に用いられる現像剤11のキャリア量とトナー7の上限濃度との関係を示している。現像剤収容部5a内にセットされるキャリアの量が多いほど現像剤収容部5a内にトナー7を取り込む時間が減少してトナー濃度が低くなり、キャリアの量が少ないほどトナー濃度は高くなる。また、隙間DGを広げると、上限トナー濃度を高く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施例を採用した画像形成装置の現像装置要部の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施例における現像剤の挙動を説明する部分側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における現像剤の挙動を説明する部分側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における現像剤の挙動を説明する部分側断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるキャリア被覆率を説明する模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における(a)キャリア被覆率100%時のキャリアへのトナーの付着状態を示す図、(b)キャリア被覆率169%時のキャリアへのトナーの付着状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の変形例を説明する部分側断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の他の変形例を説明する部分側断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を採用した画像形成装置の現像装置要部の概略構成図である。
【図10】本発明の第2の実施形態を説明する現像装置要部の部分側断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態を説明する現像装置要部の部分側断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態を説明する現像装置要部の部分側断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態を説明する現像装置要部の部分側断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に用いられる現像剤のキャリア量とトナー上限濃度との関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0075】
1 潜像担持体(感光体ドラム)
2,13 現像装置
4,15 現像剤担持体(現像スリーブ)
5a,16a,24a 現像剤収容部
5b 内壁面
6,17 第1の規制部材(第1ドクターブレード)
7,18 トナー
8,19 トナー収容部(トナーホッパー)
9,20 トナー供給開口部
10,21 トナー供給手段(トナーアジテータ)
11,22 現像剤
12,23 第2の規制部材(第2ドクターブレード)
22a 磁性キャリア
r1 現像剤担持体の半径
S 最大距離
X 界面部(界面)
X1 第2の規制部材の先端位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置における2成分現像剤を用いる現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー濃度検知手段を必要とせず、現像剤の動きによってトナーを取り込む現像装置が知られている。しかし、この現像装置では、現像剤の動きが活発な箇所とそうでない箇所、あるいは現像剤の多い箇所と少ない箇所においてトナーの取り込み量が異なり、部分的にトナー濃度が不安定となって画像濃度ムラやかぶりが発生し易い。そこで、トナーホッパー内に2つのトナー供給部材を配設し、各トナー供給部材で形成される経路に現像剤を通過させることにより、装置長手方向における濃度ムラやかぶりを解決する技術が「特許文献1」に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−4282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、「特許文献1」に開示された技術では、トナー供給部材を2つ使用するため、現像ユニットが大型化してしまうと共にコストアップしてしまうという問題点がある。
【0005】
本発明は上記問題点を解決し、部品点数を低減させ、機能の集約化を行うことにより、小型化及び低コスト化を図りつつ品質の安定化を行うことができる現像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、内部に磁界発生手段を有し、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の量を規制する第1の規制部材と、第1の規制部材により掻き落とされた前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部に隣接し、前記現像剤担持体にトナーを供給するトナー収容部とを備え、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化により、該現像剤と前記トナーとの接触状態を変化させて、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー取り込み状態を変化させる現像装置であって、前記現像剤収容部は、第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された第2の規制部材を有し、第2の規制部材は、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が上昇し、該現像剤の層厚が増加した場合に該現像剤の増加分の通過を規制すべく、前記現像剤担持体との間隙が設定されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化に拘らず、前記現像剤収容部内の現像剤が同現像剤収容部内で移動することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が所定のトナー濃度となった際に、第2の規制部材により通過を規制された現像剤が前記現像剤担持体上の現像剤と前記トナーとの接触部に溜まり、該現像剤が前記接触部を塞ぐことにより前記現像剤担持体上の現像剤のトナー取り込み状態を停止させることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1、請求項2または請求項3記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が所定のトナー濃度となった際に、前記現像剤収容部内での前記現像剤の移動速度が1mm/s以上であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のうちの何れか1つに記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が、下式で決定されるキャリア被覆率が100%のときに適正トナー濃度となることを特徴とする。
Tn=(100C√3)/(2π(100−C)・(1+r/R)2・(r/R)・(ρt/ρc))
Tn:キャリア被覆率(%)、C:現像剤のトナー濃度(wt%)、R:キャリア粒径の半径(μm)、r:トナー粒径の半径(μm)、ρt:トナーの真比重◇
(g/cm3)、ρc:キャリアの真比重(g/cm3)
請求項6記載の発明は、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部に隣接し、前記現像剤担持体上にトナーを供給するトナー供給開口部を有するトナー収容部とを具備し、前記トナー供給開口部が、所定の長さを有すると共に前記現像剤担持体と所定の間隙をもってそれぞれ配設された第2の規制部材及びこれと対向する対向面とから構成され、前記現像剤収容部と前記トナー収容部とを連通する現像装置であって、第1の規制部材で層厚を規制された前記現像剤担持体上の現像剤層よりも厚い現像剤層を前記トナー供給開口部に形成すべく、第2の規制部材と前記現像剤担持体との間隙及び前記対向面と前記現像剤担持体との間隙がそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の現像装置において、さらに前記トナー供給開口部に形成される前記現像剤層の層厚が、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変動に応じて変化することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変動に応じて前記トナー供給開口部に前記現像剤層を形成するときの、前記現像剤の移動速度が1mm/s以上であることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項6記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体上の現像剤層の表面と、前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向と反対方向に循環する前記現像剤収容室内の現像剤の表面とで界面部を形成し、該界面部における前記現像剤担持体上の現像剤の搬送力が、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化に応じて変動することを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項2または請求項6記載の現像装置において、さらに第2の規制部材が、前記現像剤担持体の周辺に形成される現像剤の流れを妨げる向きに設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項6記載の現像装置において、さらに前記対向面と前記現像剤担持体との間隙δ1と第2の規制部材と前記現像剤担持体との間隙δ2との関係が、δ2<δ1であることを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、前記現像剤収容部の内壁面から、この内壁面に対向する前記現像剤担持体表面までの最大距離が、前記現像剤担持体の半径よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【0017】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の現像装置において、さらに前記現像剤担持体表面までの距離が最大である前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を有することを特徴とする。
【0018】
請求項14記載の発明は、トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、前記現像剤担持体表面までの距離が最大となる前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤担持体表面と対向すべく、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を配設し、第2の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔を、第1の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔の2〜6倍としたことを特徴とする。
【0019】
請求項15記載の発明は、トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、前記現像剤担持体表面までの距離が最大となる前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤担持体表面と対向すべく、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を配設し、前記第2の規制部材の先端位置を、前記現像剤担持体の回転中心よりも上方に位置させたことを特徴とする。
【0020】
請求項16記載の発明は、請求項12または請求項13記載の現像装置において、さらに前記磁界発生手段は、前記潜像担持体と対応する位置に配置された第1極と、前記現像剤収容室と対応する位置に配置された第2極とを有し、第1極の磁力が第2極の磁力の1.2倍以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明によれば、第2の規制部材が増加した現像剤の通過を規制し、規制された現像剤がトナーの取り込みを制御することにより、トナー供給を常時一定に自己制御することができるので、簡易な構成でトナー濃度の調整を容易に行うことができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、キャリア被覆率が100%のときに適正トナー濃度とすることにより、キャリア表面を完全にトナーが覆うことにより、キャリアの膜削れを防止することができ、現像剤の寿命を延ばすことができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、トナー供給開口部において、トナー濃度に応じた層厚の現像剤層を形成することができるので、トナーの取り込みを自己制御することができ、小型で低コストの現像装置を提供することができる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、トナー供給開口部に現像剤の層を形成する際の現像剤の循環移動速度を1mm/s以上としたので、トナー取り込み部で常に現像剤の撹拌を行うことができ、トナーの帯電量の低下を防止して異常画像の発生を防止することができる。
【0025】
請求項12記載の発明によれば、現像剤収容室が現像剤の循環に十分なスペースを有するので、トナー濃度センサーを用いることなく、現像剤収容室内のトナー濃度を一定範囲内に維持することができる。
【0026】
請求項13記載の発明によれば、トナーの取り込み部に存在する現像剤を、第2の規制部材が現像剤担持体の軸方向において均一化させるので、トナーを均一に取り込むことにより画像ムラを防止することができる。
【0027】
請求項14記載の発明によれば、トナーの取り込み部に存在する現像剤を、第2の規制部材が現像剤担持体の軸方向において均一化させつつ、適量を現像剤収容室内に取り込むので、トナーを均一に取り込むことにより画像ムラを防止すると共に、適正なトナー濃度とすることができる。
【0028】
請求項15記載の発明によれば、第2の規制部材の先端位置を現像剤担持体の中心位置よりも上方に設けることにより、現像剤の自重による、取り込み部での現像剤の動きの制限を緩和し、磁力で保持できる現像剤の量によりトナー濃度をコントロールすることができる。
【0029】
請求項16記載の発明によれば、現像剤収容室内での現像剤の動きを活発化させつつ、キャリア付着しないように第1極の磁力を高くすることにより、現像剤担持体の軸方向においてムラのない良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態を採用した画像形成装置の現像装置要部の概略構成図である。
潜像担持体である感光体ドラム1の側方に配設された現像装置13は、支持ケース14、現像剤担持体としての現像スリーブ15、現像剤収容部材16、現像剤規制部材としての第1ドクターブレード17等から主に構成されている。
【0031】
感光体ドラム1側に開口を有する支持ケース14は、内部にトナー18を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー19を形成している。トナーホッパー19の感光体ドラム1側寄りには、トナー18と磁性粒子であるキャリアとからなる現像剤22を収容する現像剤収容部16aを形成する現像剤収容部材16が、支持ケース14と一体的に設けられている。また、現像剤収容部材16の下方に位置する支持ケース14には、対向面14bを有する突出部14aが形成されており、現像剤収容部材16の下部と対向面14bとの間の空間によって、トナー18を供給するためのトナー供給開口部20が形成されている。
【0032】
トナーホッパー19の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ21が配設されている。トナーアジテータ21は、トナーホッパー19内のトナー18をトナー供給開口部20に向けて撹拌しながら送り出す。また、トナーホッパー19の、感光体ドラム1と対向する側には、トナーホッパー19内のトナー18の量が少なくなったときにこれを検知するトナーエンド検知手段14cが配設されている。
【0033】
感光体ドラム1とトナーホッパー19との間の空間には、現像スリーブ15が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ15は、その内部に、現像装置13に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有している。
【0034】
現像剤収容部材16の、支持ケース14に取り付けられた側と対向する側には、第1ドクターブレード17が一体的に取り付けられている。第1ドクターブレード17は、その先端と現像スリーブ15の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
【0035】
現像剤収容部材16の、トナー供給開口部20の近傍に位置する部位には、規制部材としての第2ドクターブレード23が配設されている。第2ドクターブレード23は、その自由端が現像スリーブ15の外周面に対して一定の隙間を保つべく、現像スリーブ15の表面に形成される現像剤22の層の流れを妨げる方向、すなわち、自由端を現像スリーブ15の中心に向けて、基端を現像剤収容部材16に一体的に取り付けられている。
【0036】
現像剤収容部16aは、現像スリーブ15の磁力が及ぶ範囲で、現像剤22を循環移動させるに十分な空間を有するように構成されている。
【0037】
なお、対向面14bは、トナーホッパー19側から現像スリーブ15側に向けて下向きに傾斜するよう、所定の長さにわたって形成されている。これにより、振動、現像スリーブ15の内部に設けられた図示しない磁石の磁力分布のむら、現像剤22中の部分的なトナー濃度の上昇等が発生した際に、第2ドクターブレード23と現像スリーブ15の周面との間から現像剤収容部16a内のキャリアが落下しても、落下したキャリアは対向面14bで受けられて現像スリーブ15側に移動し、磁力で現像スリーブ15に磁着されて再び現像剤収容部16a内に供給される。これにより現像剤収容部16a内のキャリア量の減少を防止することができ、画像形成時における、現像スリーブ15の軸方向での画像濃度むらの発生を防止することができる。対向面14bの傾斜角度αとしては5゜程度が、また、所定の長さlとしては、好ましくは2〜20mm、さらに好ましくは3〜10mm程度が望ましい。
【0038】
上記構成により、トナーホッパー19の内部からトナーアジテータ21によって送り出されたトナー18は、トナー供給開口部20を通って現像スリーブ15に担持された現像剤22に供給され、現像剤収容部16aへ運ばれる。そして、現像剤収容部16a内の現像剤22は、現像スリーブ15に担持されて感光体ドラム1の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー18のみが感光体ドラム1上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。
【0039】
ここで、上記トナー像形成時における現像剤22の挙動を説明する。
現像装置13に磁性キャリア22aのみからなるスタート剤をセットすると、図2に示すように、磁性キャリア22aは現像スリーブ15の表面に磁着されるものと現像剤収容部16a内に収容されるものとに分かれる。現像剤収容部16a内に収容された磁性キャリア22aは、現像スリーブ15の矢印a方向への回転に伴い、現像スリーブ15内からの磁力によって矢印b方向へ、1mm/s以上の移動速度で循環移動する。そして、現像スリーブ15の表面に磁着された磁性キャリア22aの表面と現像剤収容部16a内で移動する磁性キャリア22aの表面との境界部において界面Xが形成される。
【0040】
次に、トナーホッパー19にトナー18がセットされると、トナー供給開口部20より現像スリーブ15に担持された磁性キャリア22aにトナー18が供給される。従って、現像スリーブ15は、トナー18と磁性キャリア22aとの混合物である現像剤22を担持することとなる。
【0041】
現像剤収容部16a内では、収容されている現像剤22の存在により、現像スリーブ15によって搬送される現像剤22に対して、その搬送を停止させようとする力が働いている。そして、現像スリーブ15に担持された現像剤22の表面に存在するトナー18が界面Xへ搬送されると、界面X近傍における現像剤22間の摩擦力が低下して界面X近傍の現像剤22の搬送力が低下し、これにより界面X近傍での現像剤22の搬送量が減少する。
【0042】
一方、合流点Yより現像スリーブ15の回転方向上流側の現像剤22には、上述の現像剤収容部16a内のような、現像スリーブ15によって搬送される現像剤22に対して、その搬送を停止させるような力は作用しないので、合流点Yへ搬送されてきた現像剤22と界面Xを搬送される現像剤22との搬送量のバランスが崩れて現像剤22の玉突状態が発生し、合流点Yの位置が上昇して界面Xを含む現像剤22の層厚が増加する。また、第1ドクターブレード17を通過した現像剤22の層厚も徐々に増加し、この増加した現像剤22が第2ドクターブレード23によって掻き落とされる。
【0043】
そして、第1ドクターブレード17を通過した現像剤22が所定のトナー濃度に達すると、図4に示すように、第2ドクターブレード23に掻き落とされて層状となった増加分の現像剤22がトナー供給開口部20を塞ぎ、この状態でトナー18の取り込みが終了する。このとき、現像剤収容部16a内ではトナー濃度が高くなることにより現像剤22の嵩が大きくなり、これにより現像剤収容部16a内の空間が狭くなることによって、現像剤22が図の矢印b方向に循環移動する移動速度も低下する。
【0044】
このトナー供給開口部20を塞ぐように形成された現像剤22の層において、第2ドクターブレード23に掻き落とされた現像剤22は、図4に矢印cで示すように、速度1mm/s以上の移動速度で移動して対向面14bで受けられるが、対向面14bが現像スリーブ15側に向けて角度αで下方に傾斜し、かつ、所定長さlを有しているため、現像剤22の層の移動による、トナーホッパー19への現像剤22の落下を防止することができ、現像剤22の量を常に一定に保つことができるので、トナー供給を常時一定に自己制御することが可能となる。
【0045】
このときの所定のトナー濃度としては、数々の実験、研究等の結果、下式1で示される、磁性キャリア22aの粒径等を考慮したキャリア被覆率の計算式を用い、キャリア被覆率が100%となるトナー濃度を上限トナー濃度としたときに、地汚れやベタ部の白抜け等のない良好な画像が得られることが判明した。
被覆率(Tn)=(n個のトナーが占有する面積の和/キャリアの表面積)×100…(式1)
ここで、トナー1個が占有する面積は2(√3)r2、キャリア1個の表面積は4π(R+r)2であるので、キャリア被覆率(Tn)は下式2のように表される。◇
【0046】
【数1】
【0047】
また、トナー濃度の値(wt%)はトナーの重さ/(トナーの重さ+キャリアの重さ)×100で表される。ここでは普遍性を持たせるため、図5(a),(b)に示すように、キャリア及びトナーをそれぞれ球形とみなし、キャリア表面をトナーが隙間なく最密状態の斜方配置で覆ったときのトナー濃度を考え、すなわち、キャリア1個の表面をn個のトナーが1層の状態で完全に覆った状態を被覆率100%とする。このときの1個のキャリア表面を隙間なく覆うトナー数を限界トナー数とする。このキャリア被覆率の計算には、従来、平面的近似と球面的近似とが提案されているが、本実施例では、実用的なトナー及びキャリアの半径比の実用的な範囲において、平面的近似によって計算する。
【0048】
この平面的近似による計算は、図5(a)に示すように、トナー18及び磁性キャリア22aの半径をそれぞれr,Rとし、図5(b)に示すように、半径(r+R)の球の表面を1個の実質的占有面積である平行四辺形DEFGの面積で除して限界トナー数Nを求めると、Nは下式3で示される。なお、この近似方法では、磁性キャリア22aの表面がトナー18からみて平面とみなせる条件;R》rが必要である。
【0049】
【数2】
【0050】
また、現像剤22のトナー濃度C(wt%)をキャリア表面上のトナー数nを用いて表すと、キャリア1個の重さ;4πR3 ρc /3、トナー1個の重さ;4πr3 ρt/3であるので、下式4のようになる。ここで、rはトナー粒径の半径(μm)、Rはキャリア粒径の半径(μm)、ρtはトナーの真比重(g/cm3 )、ρc はキャリアの真比重(g/cm3 )である。
【0051】
【数3】
【0052】
上記式2及び式4からnを消去して整理すると、下式5を得る。
【0053】
【数4】
【0054】
図6(a)は、キャリア被覆率が100%のときのトナー濃度におけるトナー18の付着状態をスケッチした図である。同図に示すように、キャリア被覆率100%のときには、磁性キャリア22aの粒子表面にトナー18が隙間なく1層で付着している。一方、図6(b)は、キャリア被覆率が169%のときのトナー濃度におけるトナー18の付着状態をスケッチしたものである。同図に示すように、キャリア被覆率169%のときには、磁性キャリア22aの粒子表面をトナー18が幾重にも重なって覆っている。このようにキャリア被覆率が100%を超えると、キャリア22aの表面をトナー18が完全に覆ってしまうことが確認された。
【0055】
ところで、キャリア被覆率が100%を超えた状態で現像剤収容部16aに入った現像剤22は、互いに摩擦を繰り返すこととなる。トナー18は磁性キャリア22aとの摩擦によって帯電するが、キャリア被覆率が100%を超える場合にはキャリア表面が露出しないため、既に磁性キャリア22aを覆っているトナー18をさらにトナー18が覆うこととなる。従って、トナー18同士が擦れ合うことによって、正に帯電するトナーと負に帯電するトナーとが発生し、帯電状態が不均一となってしまう。ここで、例えば、キャリア22aとトナー18との摩擦によってトナー18が負に帯電されたとすると、トナー18同士の摩擦によって正に帯電されたトナー18は静電潜像への付着が正常に行われなくなり、地汚れ等の不具合を生じてしまう。
【0056】
このように、式5に示す式を用いてキャリア被覆率が100%を超えないようなトナー濃度を上限トナー濃度として決定し、この上限トナー濃度を実現できるキャリア量の現像剤を現像剤収容部16aにセットすることで、地汚れ等の不具合を発生させることなく、良好なトナー像を得ることができる。
【0057】
現像領域でトナー18が消費されると、界面X上のトナー濃度が減少することにより、界面Xでのトナー搬送力が増加する。この搬送力の増加に伴い、厚くなった現像剤22の層を引き戻そうとする力が作用して、現像剤22の状態が図4に示す状態から図3に示す状態へと変化する。図3に示す状態となると、トナー18の取り込みが再び開始され、これが所定のトナー濃度となるまで行われる。
【0058】
上述のように、現像剤収容部16aが、現像スリーブ15の磁力が及ぶ範囲で現像剤22を移動させるに十分な空間を有することにより、現像剤収容部16a内の現像剤22がトナー濃度の如何に拘らず1mm/s以上の速度で常時循環が可能であり、第1ドクターブレード17あるいは現像領域を通過した現像剤22と現像剤収容部16a内の現像剤22との入れ替えが徐々に行われ、現像剤収容部16a内にセットした現像剤22を全て使用することができる。これにより、現像剤22にかかるストレスを分散させることができ、磁性キャリアの膜削れの防止、あるいはトナースペント化の進行を遅らせることができる。すなわち現像剤22の寿命を延ばすことができるため、小型でありながら画像形成枚数の多い高速域までもカバーすることが可能な現像装置を実現することができる。
【0059】
第1の実施例において、図7に示すように、突出部14aと現像スリーブ15との間隙δ1を第2ドクターブレード23の先端と現像スリーブ15との間隙δ2以上と構成することにより、現像スリーブ15の表面上に形成された現像剤22の層を薄層化した状態でトナー18の供給を制御することができるため、画像面積の多い画像を形成した場合にも消費されたトナー18を迅速に現像剤22に供給することができ、何枚も連続で画像形成を行うことができる。
【0060】
第1の実施形態の変形例として、図8に示すように、現像剤収容部材16に代えて現像剤収容部材24を用いてもよい。この現像剤収容部材24は、第1ドクターブレード17と対向する側の側壁24bが現像スリーブ15側に傾いて設けられている。この現像剤収容部材24を用いることにより、第2ドクターブレード23を設けることなく側壁24bで現像剤22の層圧を規制することができる。なお、現像剤収容部材24内の現像剤収容部24aは、現像スリーブ15の磁力が及ぶ範囲で、現像剤22を循環移動させるに十分な空間を有するように構成されている。
【0061】
図9は、本発明の第2の実施形態を採用した画像形成装置の現像装置要部の概略構成図である。
感光体ドラム1の側方に配設された現像装置2は、支持ケース3、現像剤担持体としての現像スリーブ4、現像剤収容部材5、規制部材としての第1ドクターブレード6等から主に構成されている。
【0062】
感光体ドラム1側に開口を有する支持ケース3は、内部にトナー7を収容するトナーホッパー8を形成している。トナーホッパー8の感光体ドラム1側寄りには、トナー7と磁性粒子であるキャリアとからなる現像剤11を収容する現像剤収容部5aを形成する現像剤収容部材5が、支持ケース3と一体的に設けられている。また、現像剤収容部材5の下方には、部材3aが支持ケース3と一体的に設けられており、現像剤収容部材5の下部と部材3aの上部との空間によって、トナー7を供給するためのトナー供給開口部9が形成されている。
【0063】
トナーホッパー8の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ10が配設されている。トナーアジテータ10は、トナーホッパー8の内部のトナー7をトナー供給開口部9に向けて撹拌しながら送り出す。
【0064】
感光体ドラム1とトナーホッパー8との間の空間には、現像スリーブ4が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ4は、その内部に、現像装置2に対して相対位置不変に配設された、P1極、P2極、P3極、P4極の4極の磁石を有している。P1極は感光体ドラム1の外周面に、P2極、P3極は支持ケース3と現像スリーブ4との間の現像剤通路に、また、P4極は現像剤収容部5aにそれぞれ対応する位置に配設されている。
【0065】
現像剤収容部材5の、支持ケース3に取り付けられた側と対向する側には、第1ドクターブレード6が一体的に取り付けられている。第1ドクターブレード6は、その先端と現像スリーブ4の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。また、現像剤収容部材5の、トナー供給開口部9の近傍に位置する部位には、規制部材としての第2ドクターブレード12が配設されている。第2ドクターブレード12は、その自由端が現像スリーブ4の外周面に対して一定の隙間を保つべく、基端を現像剤収容部材5に一体的に取り付けられている。
【0066】
上記構成により、トナーホッパー8の内部からトナーアジテータ10によって送り出されたトナー7は、トナー供給開口部9を通って現像スリーブ4に担持された現像剤11に供給され、現像剤収容部5a内へ運ばれる。そして、現像剤収容部5a内の現像剤11は、現像スリーブ4に担持されて感光体ドラム1の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー7のみが感光体ドラム1上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。
【0067】
上記動作中、現像剤収容部5a内における現像剤11は、図10に示す矢印の方向に回転しており、第2ドクターブレード12の先端と現像スリーブ4の外周面との間からトナー7を現像剤収容部5a内に取り込んでいるが、現像剤収容部5a内の現像剤11の抗力(重力、嵩の増加)の影響により、トナー7の取り込みが左右される。そこで、現像剤収容部5aの内壁面5bから現像スリーブ4の外周面までの最大距離Sを変化させ、そのときのトナー濃度を測定した結果、最大距離Sを現像スリーブ4の半径r1よりも小さくすると、狙いのトナー濃度に達する前に現像剤収容部5a内の現像剤11の嵩及び重力が増加し、抗力が増加するためにトナーの取り込み時間が少なくなり、狙いのトナー濃度に達する前に上限トナー濃度となってしまうため、最適領域のトナー濃度で使用できないことが判明した。
【0068】
また、収容スペースを狭くした分、現像剤収容部5a内にセットする現像剤11の量を少なくすると、P4極の磁力を弱めないと現像剤11が動かなくなり、現像剤11が動くまでP4極の磁力を弱めると、製造上、P1極の磁力もそれに付随して弱くなってしまい、キャリアが感光体ドラム1に付着してしまう等の問題が発生し、たとえP1極の磁力を維持できたとしても、第1ドクターブレード6を通過する現像剤11の量が不安定となり、現像スリーブ軸方向でのムラのある画像となってしまうということが判明した。
【0069】
また、現像剤収容部5a内へのトナー7の取り込み量は、図11に示すように、第2ドクターブレード12の先端と現像スリーブ4の外周面との間の隙間によって左右される。そこで、この隙間を変化させ、そのときのトナー濃度を測定した結果、この隙間を第1ドクターブレード6の先端と現像スリーブ4の外周面との間の隙間DGの2倍以下とすると、第2ドクターブレード12に塞き止められてかなりの量の現像剤11が溢れ出し、トナー7も現像剤収容部5a内へ入りにくくなってトナー濃度が低下してしまうということが判明した。
【0070】
また、第2ドクターブレード12の先端と現像スリーブ4の外周面との間の隙間を隙間DGの6倍以上とすると、現像剤収容部5a内へ取り込まれたときに現像スリーブ軸方向に現像剤11の量ムラが発生し、部分的にトナー7を取り込み易い箇所と取り込みにくい箇所ができてしまい、画像ムラが発生してしまうということが判明した。
【0071】
さらに、現像剤収容部5a内へのトナー7の取り込み量は、図12に示すように、第2ドクターブレード12の高さ方向の突き出し位置X1によっても左右される。この突き出し位置X1が現像スリーブ4の中心Oよりも下方に位置すると、トナー7の取り込み位置が下方寄りとなり、重力の影響によりトナー7を取り込みにくくなってしまう。
【0072】
現像剤収容部5a内での現像剤11の動きは、図13に示すように、現像スリーブ4内の磁石の磁力によっても左右される。そこで、P2極、P3極、P4極の磁力を一定とし、P1極の磁力を変化させて実験を行った結果、P1極の磁力をP4極の磁力の1.2倍以上(例えばP4極の磁力が60.0ミリテスラであれば、P1極の磁力は72.0ミリテスラ以上)とすることにより、現像剤収容部5a内での現像剤11の動きが活発化し、第1ドクターブレード6を通過する現像剤11の量が安定化することが判明した。
【0073】
図14は、本発明に用いられる現像剤11のキャリア量とトナー7の上限濃度との関係を示している。現像剤収容部5a内にセットされるキャリアの量が多いほど現像剤収容部5a内にトナー7を取り込む時間が減少してトナー濃度が低くなり、キャリアの量が少ないほどトナー濃度は高くなる。また、隙間DGを広げると、上限トナー濃度を高く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施例を採用した画像形成装置の現像装置要部の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施例における現像剤の挙動を説明する部分側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における現像剤の挙動を説明する部分側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における現像剤の挙動を説明する部分側断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるキャリア被覆率を説明する模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における(a)キャリア被覆率100%時のキャリアへのトナーの付着状態を示す図、(b)キャリア被覆率169%時のキャリアへのトナーの付着状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の変形例を説明する部分側断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の他の変形例を説明する部分側断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を採用した画像形成装置の現像装置要部の概略構成図である。
【図10】本発明の第2の実施形態を説明する現像装置要部の部分側断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態を説明する現像装置要部の部分側断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態を説明する現像装置要部の部分側断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態を説明する現像装置要部の部分側断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に用いられる現像剤のキャリア量とトナー上限濃度との関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0075】
1 潜像担持体(感光体ドラム)
2,13 現像装置
4,15 現像剤担持体(現像スリーブ)
5a,16a,24a 現像剤収容部
5b 内壁面
6,17 第1の規制部材(第1ドクターブレード)
7,18 トナー
8,19 トナー収容部(トナーホッパー)
9,20 トナー供給開口部
10,21 トナー供給手段(トナーアジテータ)
11,22 現像剤
12,23 第2の規制部材(第2ドクターブレード)
22a 磁性キャリア
r1 現像剤担持体の半径
S 最大距離
X 界面部(界面)
X1 第2の規制部材の先端位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に磁界発生手段を有し、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の量を規制する第1の規制部材と、
第1の規制部材により掻き落とされた前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部に隣接し、前記現像剤担持体にトナーを供給するトナー収容部とを備え、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化により、該現像剤と前記トナーとの接触状態を変化させて、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー取り込み状態を変化させる現像装置であって、
前記現像剤収容部は、第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された第2の規制部材を有し、
第2の規制部材は、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が上昇し、該現像剤の層厚が増加した場合に該現像剤の増加分の通過を規制すべく、前記現像剤担持体との間隙が設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化に拘らず、前記現像剤収容部内の現像剤が同現像剤収容部内で移動することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が所定のトナー濃度となった際に、第2の規制部材により通過を規制された現像剤が前記現像剤担持体上の現像剤と前記トナーとの接触部に溜まり、該現像剤が前記接触部を塞ぐことにより前記現像剤担持体上の現像剤のトナー取り込み状態を停止させることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が所定のトナー濃度となった際に、前記現像剤収容部内での前記現像剤の移動速度が1mm/s以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が、下式で決定されるキャリア被覆率が100%のときに適正トナー濃度となることを特徴とする現像装置。
Tn=(100C√3)/(2π(100−C)・(1+r/R)2・(r/R)・(ρt/ρc))
Tn:キャリア被覆率(%) C:現像剤のトナー濃度(wt%)
R:キャリア粒径の半径(μm) r:トナー粒径の半径(μm)
ρt:トナーの真比重(g/cm3) ρc:キャリアの真比重(g/cm3)
【請求項6】
トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部に隣接し、前記現像剤担持体上にトナーを供給するトナー供給開口部を有するトナー収容部とを具備し、
前記トナー供給開口部が、所定の長さを有すると共に前記現像剤担持体と所定の間隙をもってそれぞれ配設された第2の規制部材及びこれと対向する対向面とから構成され、前記現像剤収容部と前記トナー収容部とを連通する現像装置であって、
第1の規制部材で層厚を規制された前記現像剤担持体上の現像剤層よりも厚い現像剤層を前記トナー供給開口部に形成すべく、第2の規制部材と前記現像剤担持体との間隙及び前記対向面と前記現像剤担持体との間隙がそれぞれ設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6記載の現像装置において、
前記トナー供給開口部に形成される前記現像剤層の層厚が、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変動に応じて変化することを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変動に応じて前記トナー供給開口部に前記現像剤層を形成するときの、前記現像剤の移動速度が1mm/s以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項6記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤層の表面と、前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向と反対方向に循環する前記現像剤収容室内の現像剤の表面とで界面部を形成し、該界面部における前記現像剤担持体上の現像剤の搬送力が、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化に応じて変動することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項2または請求項6記載の現像装置において、
第2の規制部材が、前記現像剤担持体の周辺に形成される現像剤の流れを妨げる向きに設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項6記載の現像装置において、
前記対向面と前記現像剤担持体との間隙δ1と第2の規制部材と前記現像剤担持体との間隙δ2との関係が、δ2<δ1であることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、
潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、
前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、
前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、
前記現像剤収容部の内壁面から、この内壁面に対向する前記現像剤担持体表面までの最大距離が、前記現像剤担持体の半径よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項12記載の現像装置において、
前記現像剤担持体表面までの距離が最大である前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を有することを特徴とする現像装置。
【請求項14】
トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、
潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、
前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、
前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、
前記現像剤担持体表面までの距離が最大となる前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤担持体表面と対向すべく、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を配設し、
第2の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔を、第1の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔の2〜6倍としたことを特徴とする現像装置。
【請求項15】
トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、
潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、
前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、
前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、
前記現像剤担持体表面までの距離が最大となる前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤担持体表面と対向すべく、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を配設し、
前記第2の規制部材の先端位置を、前記現像剤担持体の回転中心よりも上方に位置させたことを特徴とする現像装置。
【請求項16】
請求項12または請求項13記載の現像装置において、
前記磁界発生手段は、前記潜像担持体と対応する位置に配置された第1極と、前記現像剤収容室と対応する位置に配置された第2極とを有し、第1極の磁力が第2極の磁力の1.2倍以上であることを特徴とする現像装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に磁界発生手段を有し、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された第2の規制部材と、
第1の規制部材と第2の規制部材との間に位置する現像剤収容部と、
第2の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に前記現像剤担持体にトナーを供給する開口部を有するトナー収容部とを有し、
第2の規制部材は前記開口部と前記現像剤収容部とを仕切ると共に、第2の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔を第1の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔の2〜6倍としたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記磁界発生手段は、前記現像剤担持体と対向配置された潜像担持体と対応する位置に配置された第1極と、前記現像剤収容部と対応する位置に配置された第2極とを有し、第1極の磁力が第2極の磁力の1.2倍以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項1】
内部に磁界発生手段を有し、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の量を規制する第1の規制部材と、
第1の規制部材により掻き落とされた前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部に隣接し、前記現像剤担持体にトナーを供給するトナー収容部とを備え、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化により、該現像剤と前記トナーとの接触状態を変化させて、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー取り込み状態を変化させる現像装置であって、
前記現像剤収容部は、第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された第2の規制部材を有し、
第2の規制部材は、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が上昇し、該現像剤の層厚が増加した場合に該現像剤の増加分の通過を規制すべく、前記現像剤担持体との間隙が設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化に拘らず、前記現像剤収容部内の現像剤が同現像剤収容部内で移動することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が所定のトナー濃度となった際に、第2の規制部材により通過を規制された現像剤が前記現像剤担持体上の現像剤と前記トナーとの接触部に溜まり、該現像剤が前記接触部を塞ぐことにより前記現像剤担持体上の現像剤のトナー取り込み状態を停止させることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が所定のトナー濃度となった際に、前記現像剤収容部内での前記現像剤の移動速度が1mm/s以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度が、下式で決定されるキャリア被覆率が100%のときに適正トナー濃度となることを特徴とする現像装置。
Tn=(100C√3)/(2π(100−C)・(1+r/R)2・(r/R)・(ρt/ρc))
Tn:キャリア被覆率(%) C:現像剤のトナー濃度(wt%)
R:キャリア粒径の半径(μm) r:トナー粒径の半径(μm)
ρt:トナーの真比重(g/cm3) ρc:キャリアの真比重(g/cm3)
【請求項6】
トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部に隣接し、前記現像剤担持体上にトナーを供給するトナー供給開口部を有するトナー収容部とを具備し、
前記トナー供給開口部が、所定の長さを有すると共に前記現像剤担持体と所定の間隙をもってそれぞれ配設された第2の規制部材及びこれと対向する対向面とから構成され、前記現像剤収容部と前記トナー収容部とを連通する現像装置であって、
第1の規制部材で層厚を規制された前記現像剤担持体上の現像剤層よりも厚い現像剤層を前記トナー供給開口部に形成すべく、第2の規制部材と前記現像剤担持体との間隙及び前記対向面と前記現像剤担持体との間隙がそれぞれ設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6記載の現像装置において、
前記トナー供給開口部に形成される前記現像剤層の層厚が、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変動に応じて変化することを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変動に応じて前記トナー供給開口部に前記現像剤層を形成するときの、前記現像剤の移動速度が1mm/s以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項6記載の現像装置において、
前記現像剤担持体上の現像剤層の表面と、前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向と反対方向に循環する前記現像剤収容室内の現像剤の表面とで界面部を形成し、該界面部における前記現像剤担持体上の現像剤の搬送力が、前記現像剤担持体上の現像剤のトナー濃度の変化に応じて変動することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項2または請求項6記載の現像装置において、
第2の規制部材が、前記現像剤担持体の周辺に形成される現像剤の流れを妨げる向きに設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項6記載の現像装置において、
前記対向面と前記現像剤担持体との間隙δ1と第2の規制部材と前記現像剤担持体との間隙δ2との関係が、δ2<δ1であることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、
潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、
前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、
前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、
前記現像剤収容部の内壁面から、この内壁面に対向する前記現像剤担持体表面までの最大距離が、前記現像剤担持体の半径よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項12記載の現像装置において、
前記現像剤担持体表面までの距離が最大である前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を有することを特徴とする現像装置。
【請求項14】
トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、
潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、
前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、
前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、
前記現像剤担持体表面までの距離が最大となる前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤担持体表面と対向すべく、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を配設し、
第2の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔を、第1の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔の2〜6倍としたことを特徴とする現像装置。
【請求項15】
トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を貯留する現像剤収容部と、
潜像担持体と対向配置され、内部に磁界発生手段を備えた回動自在の現像剤担持体と、
前記現像剤担持体上に担持された前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
内部に回動自在のトナー供給手段を有するトナー収容部とを具備し、
前記現像剤収容部内における前記現像剤の移動により、前記現像剤と接触すべく前記トナー収容部内に貯留されたトナーを前記現像剤収容部内に取り込む現像装置において、
前記現像剤担持体表面までの距離が最大となる前記現像剤収容部の内壁面の部位よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側の位置に、前記現像剤担持体表面と対向すべく、前記現像剤収容部内に入り込む前記トナーの量を規制する第2の規制部材を配設し、
前記第2の規制部材の先端位置を、前記現像剤担持体の回転中心よりも上方に位置させたことを特徴とする現像装置。
【請求項16】
請求項12または請求項13記載の現像装置において、
前記磁界発生手段は、前記潜像担持体と対応する位置に配置された第1極と、前記現像剤収容室と対応する位置に配置された第2極とを有し、第1極の磁力が第2極の磁力の1.2倍以上であることを特徴とする現像装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に磁界発生手段を有し、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持されて搬送される前記現像剤の層厚を規制する第1の規制部材と、
第1の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に配設された第2の規制部材と、
第1の規制部材と第2の規制部材との間に位置する現像剤収容部と、
第2の規制部材よりも前記現像剤担持体上の現像剤の搬送方向上流側に前記現像剤担持体にトナーを供給する開口部を有するトナー収容部とを有し、
第2の規制部材は前記開口部と前記現像剤収容部とを仕切ると共に、第2の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔を第1の規制部材と前記現像剤担持体表面との間隔の2〜6倍としたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記磁界発生手段は、前記現像剤担持体と対向配置された潜像担持体と対応する位置に配置された第1極と、前記現像剤収容部と対応する位置に配置された第2極とを有し、第1極の磁力が第2極の磁力の1.2倍以上であることを特徴とする現像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−309261(P2006−309261A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175711(P2006−175711)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【分割の表示】特願平8−279527の分割
【原出願日】平成8年10月22日(1996.10.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【分割の表示】特願平8−279527の分割
【原出願日】平成8年10月22日(1996.10.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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