説明

球状半導体粒子の製造方法

【課題】所定量の半導体粉末を溶融して球状溶融体を形成し、これを冷却凝固させて半導体粒子を製造する方法において、質量と寸法形状のばらつきが小さく、良質な球状の半導体粒子の効率的な製造を可能とする。
【解決手段】所定質量の半導体粉末を含む小塊体を、熱処理炉41の予備加熱部43で不活性雰囲気中において、粉末の溶融温度近傍でそれが溶融するに至らない範囲の温度にまで予備的に加熱する。それから、溶融部44において不活性ガスに適度に酸素を含ませた雰囲気中で、粉末の溶融温度以上に加熱して、半導体の球状溶融体を形成させる。この溶融体を冷却部45にて冷却し、凝固させてから、外部へ搬出し回収する。小塊体には半導体粉末に有機バインダーを加え、所定形状に成形した成形体を使用するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状光電変換素子などの半導体素子もしくはその前駆体となる球状の半導体粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、球状の半導体素子を、光電変換素子や、ダイオード、水分解による水素発生用の素子などに使用することが検討されている。特に、球状のp型半導体基体の表面に沿ってn型半導体層を形成した光電変換素子が、安価で、高出力を期待できる太陽電池用素子として注目されている。これらの素子を用いる装置の代表的な例として、多数の凹部を有する支持体の各凹部内に球状の太陽電池素子を取り付け、凹部内面を反射鏡として働かせる方式の低集光型球状太陽電池が提案されている(たとえば、特許文献1)。これによれば、光電変換部を薄型化して、高価なシリコンの使用量を低減でき、太陽電池のコスト低下が可能となる。さらに、凹面反射鏡の集光作用により、直接照射光の4〜6倍の光が素子に照射されるので、照射光を光電変換に有効に利用することができる。
【0003】
球状半導体粒子の製造方法の一つに、溶融滴下法が提案されている。これは、坩堝に入れた半導体材料の融液を不活性ガスで加圧して、坩堝底部に設けられたノズル孔から連続的に滴下させ、液滴が冷却塔中を落下する間に凝固させることによって、球状の半導体粒子を製造するという方法である(たとえば、特許文献1、2)。
【0004】
溶融滴下法によれば、直径が約0.3〜2mmの半導体粒子を量産することができる。しかしながら、得られる粒子には、形状や質量にかなり大きなばらつきがある。得られる粒子にばらつきがあると、それを球状半導体素子の母体として用いるには、篩い分けして所定の粒径の粒子を選別し、さらにそれを研磨などの方法により真球状に仕上げなければならない。半導体粒子の形状とその大きさが不揃いであればあるほど、篩い分けにより廃棄される粒子の量、および研磨の際の削り屑が多くなって、著しい材料損失と歩留まり低下とを生じてしまう。
【0005】
このため、工業的に実施するには、設備、製造条件等についてさらに検討し、それらについて最適の条件を見出す必要がある。たとえば坩堝の材質や構造、ノズル孔の寸法形状や半導体融液の加圧力などの融液滴下条件、および、冷却塔中の雰囲気や温度などである。
【0006】
一方、球状半導体粒子の製造プロセスの自動化が容易で、それに要する費用も安価な方法として、粉末溶融法が提案されている(特許文献3、4)。
【0007】
この方法では、多数の透孔が形成されたテンプレートを使用して、その厚さと透孔の径とで決まる容積の半導体粉末を同時に多数秤取して、山状またはパイル状をした形状の多数の小塊体を形成し、これらを互いに離間させた状態で、表面に耐火物層が配置され、あるいは耐火物層が形成された保持用基板上に配列する。それから、それらを熱処理炉で加熱し、少なくとも部分的に溶融させ、粒子化させたのち、冷却して凝固させる。
【0008】
このような粉末溶融法では、加熱溶融すべき対象物が粒径の非常に小さい粉末である。このために、溶融温度まで昇温するまでの過程において酸化されてしまうおそれがきわめて大きく、酸化されると溶融しても球状粒子が得られなかったり、溶融粉末同士が融合しなかったりするというような問題があった。
このような問題を解決し得る方法として、半導体粉末原料の溶融に高エネルギー光学炉を使用し、集束された高強度の光を複数の半導体粉末原料からなる小塊体に照射して溶融させる方法が提案されている(特許文献4)。
【特許文献1】アメリカ特許第4188177号明細書
【特許文献2】特開2000−292265号公報
【特許文献3】アメリカ特許第5431127号明細書
【特許文献4】特許第3754451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の方法によれば、高エネルギー光を半導体粉末の小塊体に焦点合わせをして照射するので、通常の加熱炉に比べてほとんど瞬時とも言えるきわめて短時間に半導体原料粉末を溶融させることができ、半導体粉末の酸化、および溶融体における酸化物の過度な成長を阻止することができる。その一方で、炉内に搬送されてくる小塊体に焦点を合わせるための反射炉の設計や操作に微妙なノウハウが必要となり、そのために、反射炉の製作の困難性および工程の不安定性を解決しなければならない課題を多く残している。
本発明は、このような特殊な光学炉を使用することなく、広く使用されている加熱炉を使用した場合でも、工業的に容易に実施できる方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、所定量の半導体粉末を含む小塊体をまず実質的に不活性な雰囲気中で予備加熱してから、さらに予備加熱時の雰囲気よりも酸素濃度の高い雰囲気中でそれを溶融させることによって、従来の粉末溶融法による半導体粒子の製造方法の利点をそのまま保持して、形状、質量のばらつきの小さな、結晶性のよい球状半導体粒子を得ることができるという知見に基づくものである。
【0011】
すなわち、本発明の球状半導体粒子の製造方法は、所定質量の半導体粉末を含む小塊体を準備する第1の工程、この小塊体を加熱して、小塊体に含まれる半導体粉末を溶融させることにより、球状溶融体を形成する第2の工程、および、球状溶融体を冷却して凝固させる第3の工程を有する。さらに、この第2の工程は、半導体の溶融温度より低い温度で、希ガスまたはそれを主成分とする実質的に不活性な雰囲気中において小塊体を予備的に加熱する第2−1の工程、および、予備的に加熱した小塊体を、半導体粉末の溶融温度以上の温度下で、第2−1工程における不活性な雰囲気よりも高い濃度で酸素を含む雰囲気中で加熱する第2−2の工程を含む。
【0012】
本発明において、小塊体には、半導体粉末を所定質量毎に分取することによって得られる塊体、または、粉体を種々の造粒法で固形化して得られる固形体を使用することができる。これらのうち、固形体には、その作製から加熱溶融までの工程中で粉末粒子が脱落したり、その一部分が崩れたりするおそれがきわめて小さく、質量と寸法形状のばらつきが効果的に縮小された球状の半導体粒子を得ることができるという利点がある。これは、粉末粒子同士の凝集力や、粉末に添加された水または有機バインダーによって粉末粒子相互の結合によって、粉末粒子の脱落、崩れのおそれが低減したことによるものである。
【0013】
上述の方法において、第2−1の工程では小塊体を、それに含まれる半導体粉末が溶融しない程度の高い温度にまで、予備的に加熱し、第2−2の工程で半導体粉末の微粒子が溶融し、互いに融合して球状化するのに十分な温度で加熱する。半導体としてシリコンを使用するときには、第2−1の工程での最高の加熱温度を1350〜1412℃の範囲内として未溶融状態に保持し、第2−2の工程では1413〜1500℃の範囲内の温度として、溶融させることが好ましい。なお、第2−2工程での加熱温度をあまり高めると、熱処理炉が短期間に劣化してしまうことなどから、その上限については必要とする耐熱性、耐久性、さらには加熱に要する費用などの経済性を考慮して決めればよい。工業的に実施するには、1500℃以下とするのが好ましい。
【0014】
さらにまた、上述の方法において、第2−1の工程における不活性な雰囲気では、それに含まれる酸素の濃度を1容量%未満として、半導体粉末が実質的に酸化されることのない不活性度とする。第2−2の工程における雰囲気は不活性ガスまたはそれを主成分とするガス(十分に置換されずに残存した空気などを含む不活性ガス)と酸素との混合ガスとし、雰囲気中における酸素濃度を5〜20容量%の範囲内とするのが好ましい。
【0015】
第2−1の工程では、酸素濃度が高いと、小塊体を構成する半導体粉末粒子が酸化されやすく、その表面に生成する酸化膜が第2−2の工程における溶融半導体の融合を阻害するというおそれが生じる。さらに、半導体の大半がその溶融前に酸化物として消費されてしまい、半導体粒子の生成効率が低下するおそれもある。このようなことから、第2−1の工程での予備的な熱処理を、実質的に不活性ガスからなる雰囲気、または酸素濃度が1容量%未満である、実質的に不活性な雰囲気内で実施するのが好ましい。
【0016】
第2−2の工程においては、小塊体を構成する半導体粉末を溶融、融合させ、その形状を球状に保つ上で、熱処理時の雰囲気を酸化性にして溶融体の表面に酸化被膜をそれに適した程度に形成するのが好ましい。雰囲気中の酸素の濃度が低すぎると、溶融体を球状に保つのに十分な酸化被膜を形成することができず、載置した保持用基板上に広がって、基板表面を濡らすような状態となり、それを凝固させても球状の粒子を得ることができない。また、その酸素濃度が高すぎると、溶融半導体が過度に酸化され、これを凝固させても粒子状の半導体が得られなかったり、得られる粒子が厚い酸化膜で覆われたものとなったりする。この粒子を半導体デバイスに使用する場合には、厚い酸化被膜を研磨などの方法で除去しなければならず、材料損失が増大してしまう。また、所定の特性を備えた球状半導体粒子の収率が著しく低下する。このようなことから、球状の半導体溶融体を効率よく作製するためには、この雰囲気における酸素を5〜20容量%の範囲内の濃度とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明の方法においては、半導体粉末を含む小塊体を半導体溶融温度未満であって、溶融温度近傍の高い温度にまで昇温して予備加熱することで、小塊体の形状の崩れを実質的に生じさせることなく、粉末粒子の表面に吸着されていた気体分子などの、半導体デバイスの特性上、不要な成分のほとんどを脱着させることができる。さらに、この予備的な熱処理を施した小塊体の半導体粉末を、酸化性の雰囲気中で溶融させて、球状の溶融体とし、さらにそれを凝固させることで、質量のばらつきが小さく、寸法形状のそろった高品質の球状半導体粒子を良好な歩留まりで量産することを可能となる。また、原料としての半導体材料の歩留まりも大幅に向上させることができる。さらに、製造の設備や装置の設計、稼動条件の設定、および調整も非常に容易となり、球状半導体粒子を経済的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明において、半導体粉末の小塊体を作るには、透孔を多数個等間隔に形成したテンプレートを使用して半導体粉末を所定量ずつ秤取する方法、造粒により固形体とする方法などを使用することができる。これらの形態の小塊体においては、固形化したものを使用するのが、その取扱いの容易さなどから、より好ましい。
【0019】
本発明の方法は、シリコン、ゲルマニウム、またはガリウム−砒素などからなる球状の半導体粒子の製造に適用することができる。多くの場合には以下の実施形態において述べるような球状のシリコン粒子の製造に適用される。シリコン粉末には、純度の高い半導体グレードのものを使用するのが好ましい。それよりも不純物濃度の高い金属グレードのシリコン粉末であっても使用することはできるが、発電性能に好ましくない影響を及ぼす成分、たとえば鉄、アルミニウム、チタンといった金属不純物の濃度が低い粉末を使用するのが好ましい。また、このような半導体粉末には、通常、不純物をドープしていない粉末が使用される。無論、これに代えて、不純物をあらかじめドープして導電型をp型またはn型としたシリコン粉末、もしくは、p型またはn型不純物を成分そのものまたはその化合物を所定量添加したシリコン粉末を使用してもよい。
【0020】
固形の小塊体(以下、小固形体と称す)は、各種の造粒操作により形成することができる。一般に、粉体そのもの、粉体を液体に分散させた液、または粉体に液体を湿潤させたものなどを加工して、粒体を製造する操作が造粒と呼ばれており、その造粒物が小固形体に該当する。加熱工程において小固形体中の半導体粉末粒子群が溶融して1個の球状溶融体となるので、その前駆体である小固形体は必ずしも球状である必要はなく、粒状、ペレット状、フレーク状、または角片状など任意の形状でよい。
【0021】
造粒方法は、乾式造粒法と湿式造粒法に大別される。乾式造粒法は、一般的に液体のバインダーや水を使わずに材料の凝集力を高めて造粒するもので、その代表的な方法として圧縮造粒法がある。圧縮造粒法には、たとえば、シリンダーの中に所定量の粉末を充填しておき、上下からプレス機のピストンで圧縮する方法や、回転する二つのロール間で粉末を圧縮する方法がある。
【0022】
湿式造粒法は、一般的に、水やバインダーの付着力を利用して造粒するものである。その代表的な方法として、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、および噴霧造粒などの方法がある。転動造粒法では、たとえば、底部のみが回転する有底円筒状容器内で半導体粉末を転動させながら、液状のバインダーの適量を添加することにより、これら材料の混合体の核を形成し、さらにこれを成長させて造粒物を得る。
【0023】
流動層造粒法は、たとえば、下部から熱風を送って容器内の空間に粉体の流動層を形成させ、その上部または周壁部から液状のバインダーを散布して造粒するものである。攪拌造粒法は、たとえば、半導体粉末と液状のバインダーとを2軸のスクリューの回転により混合攪拌しながら造粒する方法である。湿式造粒に含まれる他の方法として、半導体粉末を液状のバインダー中に分散させたスラリーをノズル孔から滴下させ、落下中に粒状になった液滴を固形化する方法もある。たとえば、このスラリーを溶解しない液体中に上記の液滴を落下させて回収し、これを乾燥することにより固形化することができる。
【0024】
小固形体を造粒法で作製する方法として、さらに他の好ましい方法の一例として、出発材料をシート状や細いロープ状に成形し、これを所定サイズに切断するという方法がある。具体的には、まず、半導体粉末、または半導体粉末にバインダーなどの他の構成材料を加えた混合物を準備する。この半導体粉末または混合物を、必要に応じて、適宜の造粒手法によりあらかじめ小粒の造粒物に加工してもよい。次いで、半導体粉末、混合物、または小粒の造粒物を、二つの回転ローラ間での圧縮あるいはプレス機による加圧などにより、所定厚さのシート状もしくは所定断面積のロープ状の成形体に加工する。この成形体を、角型、ペレット型などの所定の寸法形状に切断することにより、所定質量の小固形体とする。
【0025】
湿式造粒における液状のバインダーには、一般的には高分子ポリマーを水や有機溶媒に溶解もしくは分散させた、溶液もしくはエマルジョンが用いる。乾式造粒においては、粉体状の高分子ポリマーをバインダーとして用いることもできる。このようなバインダーにおいて、ポリビニールアルコール、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、パラフィンワックス、カルボキシルメチルセルロース、スターチ、およびグルコースからなる群より選ばれた少なくとも一種の高分子ポリマーを含むものを用いることが好ましい。これらのバインダーは、高分子ポリマーの溶液またはエマルジョン、もしくは高分子ポリマーそのものであってもよい。特に好ましいバインダーは、結着性がよく、高純度のものが入手し易いことなどから、ポリビニールアルコール、ポリエチレングリコールおよびパラフィンワックス群から選ばれた少なくとも一種を含む粉体、溶液もしくはエマルジョンである。
【0026】
上述の小塊体に含まれる半導体粉末を溶融させて、球状溶融体を作製し、さらにそれを冷却凝固させるには、連続熱処理炉を使用し、内部を所定の雰囲気に保持し、かつ内部温度を希望するプロファイルに設定して、コンベアで連続的に搬送しながら加熱処理をするのが実際的である。具体的には、まず、希ガスまたはそれを主成分とする実質的に不活性な雰囲気中において、半導体粉末の溶融温度未満の、未溶融状態を維持し得る範囲でもっとも高い温度にまで、小塊体を予備的に加熱し、次に、この不活性雰囲気よりも酸素濃度を高めた酸化性の雰囲気中において、溶融温度以上の温度で加熱して、球状の半導体溶融体を作製する。
【0027】
無論、このような連続処理炉でなく、バッチ処理で球状半導体粒子を作製することもできる。たとえば、共通の熱処理炉を使用し、半導体粉末全体が溶融しない範囲の温度の不活性雰囲気中で予備的な熱処理を行い、その後、さらに炉内雰囲気に酸素を加えるとともに、加熱温度を高めて溶融させ、その後自然冷却などの方法で凝固させてもよい。
【0028】
予備的な熱処理での実質的に不活性な雰囲気を形成するためのガスの主成分としては、希ガスたとえばアルゴンガスあるいはヘリウムガスを使用することが好ましい。さらに、その次の溶融体作製のステップでは、溶融体の表面に酸化被膜が形成し、過度の酸化を生じさせない濃度の酸素を不活性ガスに含ませた酸化性の混合ガスを使用する。酸素濃度としては、半導体粉末が溶融する際に過度な酸化が生じることがなく、その球体化を促進し得る厚さの酸化被膜が形成される5〜20容量%の範囲内とすることが好ましい。
【0029】
原料として使用する半導体粉末は、平均粒径が10〜100μmの微細粒子からなる粉末であることが好ましい。この粒径範囲内の半導体粉末を使用すると、質量のばらつきが小さい小塊体を容易に作製することができ、かつ、半導体粉末を短時間にすべて溶融させることが可能となる。
【0030】
次に、本発明の方法によってシリコンの球状粒子を製造する場合の代表的な実施形態について説明する。
【0031】
(1)第1の工程について
本工程では、半導体粉末を含む所定質量の小塊体を多数個作製する。小塊体は、例えば前記のテンプレートを用いて所定質量毎に分割された半導体粉末を、山状またはパイル状などに集合させた半導体粉末粒子の単なる集合体、ならびに、半導体粉末単独、または半導体粉末とバインダーなどとからなる小固形体のいずれかに分類される。本実施の形態では、半導体粉末と有機バインダーとからなる、後者に属する小固形体を作製する場合について、具体的に説明する。
【0032】
本工程では、原料として、半導体グレードの高純度シリコン粉末を使用することが好ましい。無論、金属グレードの原料であっても使用可能であるが、光電変換効率に悪影響を及ぼす金属不純物の濃度の低いものを使用することが推奨される。また、通常は不純物がドープされていないシリコン粉末を使用する。必要に応じて、硼素または燐などの不純物をドープしたシリコン粉末を使用してもよい。ここでは、半導体グレードの非ドープシリコン粉末を使用し、この粉末と有機バインダーとからなる造粒物を作り、さらにこの造粒物を必要に応じて乾燥させて、球状シリコン粒子の前駆体としての小固形体とする。
【0033】
まず、図1に示す転動造粒装置を使用して造粒物を作る。この装置は、円筒状の外枠11と、この外枠11内に、その内壁との間にエアスリット12を隔てて配置された、直径約40cmの皿状の底板13と、底板13の裏面側中央部に取り付けられた支持棒14とを備える。支持棒14はモータ(図示せず)により回転駆動され、底板13が回転する。また、この底板13と外枠11とからなる容器の内部には、装置使用時には、エアスリット12から空気が送り込まれる。
【0034】
この底板13上に約3000gのシリコン粉末15を投入する。次いで、100〜300rpmの速度で底板13を回転させて、底板13の外周部分と外枠11の内壁との間においてシリコン粉末15を転動させる。このシリコン粉末15に向けて、約750ccの液状のバインダー16を30〜60分間にわたり均等な速度でスプレーガン17により噴霧する。バインダー16の噴霧が終了した後も、15〜30分間にわたり底板13を回転させてもよい。これにより、シリコン粉末15とバインダー16とが均一に混合され、転動しながら粒子化されて、造粒物が製造される。
【0035】
この間、外枠11と底板13とで構成される容器内にエアスリット12から空気を吹き込む。これによって、シリコン粉末15もしくはバインダー16の一部がこのエアスリット12から落下するのを防止するとともに、シリコン粉末15の転動を助長することができる。
【0036】
得られた造粒物について、所定の質量範囲にあるものと、その範囲外のものとに、篩い分けする。これには一般に使用されている篩い分け装置を使用することができる。篩い分けした所定の質量範囲外の小さな造粒体については、図1の装置を用いて、さらに上述の手順で成長させ、大粒径化させることによって、所定質量範囲の小固形体を作製することもできる。
【0037】
すなわち、外枠11と底板13とからなる容器内に小造粒物を供給し、底板13を回転させて、それを転動させる。転動中の小造粒物へ向けて、バインダー16を噴霧しながら、シリコン粉末供給装置(図示せず)のノズル18から追加のシリコン粉末19を散布する。所定量散布した後も底板13を引き続いて所定の時間、回転させる。
【0038】
このような操作によって、小造粒物の表面に新たなシリコン粉末粒子が主にバインダーによって結着して、大きな造粒物となる。これを篩い分けして、所定の質量範囲内の造粒物を小固形体として使用する。シリコン粉末19の追加の散布量については、小造粒物の粒径分布などに応じて実験的に容易に決めることができる。必要に応じて、上述の大粒径化操作を繰り返すことによって、さらに原料のシリコン粉末を有効に活用することができる。
【0039】
有機バインダーには、先に述べた種々のバインダーを用いることができる。それらのうち、ポリビニールアルコールおよびポリエチレングリコールのいずれかの水溶液が実際に使用する上で好ましい。このバインダーを使用することによって、質量の均一性とシリコン粉末同士の結着性とが良好な、ほぼ球状をなす小固形体が得られる。バインダーの配合比については、水100質量部に対してポリビニールアルコールまたはポリエチレングリコールを5〜15質量部の範囲内とするのが好ましい。さらに、シリコン粉末とバインダーとの混合質量比については、シリコン粉末100質量部に対してバインダーの固形分を2〜3質量部の範囲内とするのが好ましい。
【0040】
造粒によって得られる小固形体の質量は、シリコン粉末の投入量および粒度、バインダーの組成および添加量、ならびに、造粒装置の運転条件などによって適宜調整することができる。この場合、平均粒径が10〜100μmの範囲にある微細粒子からなるシリコン粉末を用いたときに、比較的均一な質量の小固形体が得られる。また、半導体素子のうち、球状光電変換素子あるいはその前駆体としてのシリコン球状粒子は、直径が通常0.5〜2.0mmの範囲内にあり、それらの質量が約0.15〜9.8mgの範囲内にある。このような素子を製造する場合には、小固形体の質量を約0.16〜10mgとする。この例では、直径約1.0mmの太陽電池用シリコン粒子を製造するために、約1.26mgの小固形体を作製した。
【0041】
小固形体の強度を高め、あるいはその取扱いを容易にするために、必要に応じて、小固形体に含まれるバインダー中の水分を乾燥により除去することが好ましい。これにより、次の熱処理工程への移行段階、および次工程での加熱処理中における、小固形体からのシリコン粉末の粒子の脱落が一層抑止されて、質量のばらつきが小さく、粉末同士の連結などに支障を生じるおそれの小さな、シリコンの球状粒子が得られる。
【0042】
なお、シリコン粉末からなる造粒物を作製する場合には、転動する粉末に対して高純度の水を噴霧し、それによる結着力を利用することで、所定質量の小固形体を得ることもできる。
【0043】
(2)第2の工程について
本工程では、上述の第1の工程で作製された小固形体を、シリコンを溶融させない温度下で予備的に加熱した後、シリコンの融点以上の温度で加熱して、小固形体内のシリコン粉末を溶融させ凝集させることによって、球状溶融体を形成する。このとき、小固形体に含まれていた有機バインダーは、本工程の加熱処理によって、分解し、気化し、または燃焼するなどして小固形体中から実質的に除去されるとともに、各小固形体は、それぞれにおけるシリコン粉末が溶融して一体化し、小球体状のシリコン溶融体となる。
【0044】
まず、図2および図3に示すように、ほぼ球状をなす多数の小固形体21を、耐熱性の保持用基板22上に溶融時に互いに融合することがないよう配置して、これを熱処理炉内で加熱する。この熱処理において、バインダー成分が除去されるとともに、小固形体21に含まれるシリコン粉末が溶融してシリコンの球状溶融体が形成される。なお、図3は図2の一点鎖線III−IIIに沿った断面図である。
【0045】
小固形体21の保持用基板22には、シリコンとの反応性が低く、耐熱性の高い基板、たとえば、石英ガラス基板や、アルミナまたは炭化珪素などの板状基体を窒化珪素で被覆した基板などを使用することができる。この例では、基板22として、厚さ0.5mm、幅300mm、長さ300mmの石英ガラス基板を使用した。
【0046】
基板22の一方の主面側には、開口の直径が約0.5mmの多数の凹部23が等間隔に形成され、配置されている。この基板22上に、第1の工程で作製した質量が約1.26mgで、ほぼ球状の小固形体21群を載せ、基板22に振動を加えることで、小固形体21を図3に示すように凹部23それぞれにおいて1個ずつ保持させる。
【0047】
小固形体21の熱処理には、図4に示す熱処理炉41を使用する。この熱処理炉41に炉内壁が耐熱性、耐蝕性のよいセラミックス焼成炉を使用することができる。その内部を所定の雰囲気に保持し、所定の温度プロファイルになるよう設定した状態で、連続的に小固形体21群を載せた基板22を搬入し、それぞれの小固形体21に含まれるシリコン粉末を溶融、融合させて小球体状の溶融体を作り、それらを冷却、凝固させて小球体状のシリコン粒子として搬出する。
【0048】
熱処理炉41は、搬入部42、予備加熱部43、溶融部44、凝固部45、および搬出部46からなり、これらを貫通するよう搬送用のローラーコンベア47が配置されている。搬入部42および搬出部46のそれぞれには、シャッター48、49およびシャッター50、51が設けられている。これらを開閉することによって、予備加熱部43、溶融部44および凝固部45の内部雰囲気を所定の状態に維持しながら、保持用基板22を搬入部42から熱処理炉41内に搬入し、搬出部46から搬出することによって、基板22上に載置した小固形体に所定の熱処理を施すことができる。
【0049】
予備加熱部43と溶融部44との間には、保持用基板22が通過し得る大きさの開口を有する隔壁体52が配置されていて、後述するような炉内雰囲気の排気とあいまって、予備加熱部43内を実質的に不活性な雰囲気に維持できるよう、溶融部44から酸化性の雰囲気が混入することが阻止される。さらに、予備加熱部43と溶融部44の内部には複数のヒータ53が設置されている。一般に実施されているように、炉内の各部分の白金温度センサなどで検出し、炉内の温度分布が所定のプロファイルになるよう、各ヒータ53への供給電流が制御される。このような電熱によるヒータによる熱処理炉に代えて、マイクロ波による熱処理炉を使用してもよい。
【0050】
熱処理炉41の搬入部42および予備加熱部43のそれぞれには、不活性ガス供給部54から不活性ガスを供給するためのガス供給管55が接続されている。また、溶融部44、凝固部45および搬出部46には、低酸化性ガス供給部56から不活性ガスと酸素とを混合した低酸化性ガスを供給するための供給管57が接続されている。そして、搬入部42に接続されたガス供給管55の枝管にはバルブ58が、また、搬出部46に接続されたガス供給管57の枝管にはバルブ59がそれぞれ設けられている。これらバルブ58、59の開閉操作が、シャッター48、49およびシャッター50、51の開閉に連動して行われる。搬入部42のシャッター48、49間の部分、凝固部45の搬送方向終端部側、および搬出部46のシャッター50、51間の部分にはそれぞれ排気管60、61、62がそれぞれ接続されている。
【0051】
不活性ガスにはたとえばアルゴンまたはヘリウムを使用する。なお、コスト的には、不活性ガスとしてアルゴンを使用するのが有利である。不活性ガス供給部54から供給する不活性ガスとしては、高純度であることが好ましい。無論、工業用の不活性ガスであっても、酸素濃度が1容量%を超えなければ、実質的に不活性な雰囲気を実現できることから、使用可能である。低酸化性ガス供給部56から供給する混合ガスとしては、酸素濃度を5〜20容量%の範囲内とすることが好ましい。この範囲内に酸素濃度を維持することによって、小塊体を構成するシリコン粉末を一つの溶融球状体に容易に転化させるができ、また、シリコンを過度に酸化してその収率を著しく低下させるおそれがなく、半導体デバイス用の母体を低コストで生産することができる。
【0052】
上述の構成の装置を使用して、球状のシリコン粒子を作製する方法について説明する。
まず、バルブ58、59を閉じ、内側のシャッター49、50を閉じた状態で、不活性ガス供給部54から供給管55を通して、搬入部42の一部分および予備加熱部43に不活性ガスを供給する。これによって、炉内主要部の空気が隔壁体52の開口部から溶融部44、凝固部45を通して排気管61から排出され、熱処理炉41内が不活性ガスに置換される。そして、低酸化性ガス供給部56から供給管57を通して、溶融部44、凝固部45および搬出部46の一部分に低酸化性ガスを供給し、それらの内部の雰囲気を低酸化性ガスに置換する。このとき、予備加熱部43から隔壁体52の開口部を通して溶融部44に不活性ガスが流入し続けるので、隔壁体52によって、予備加熱部43側の不活性ガス中に、溶融部44側の低酸化性ガスが混入することが阻止される。
【0053】
熱処理炉41の内部雰囲気の置換が完了したところで、搬入部42のシャッター48を開いて、小固形体を載置した基板22をローラーコンベア47で搬入部42のシャッター48、49間に搬入する。搬入されたところでシャッター48を閉じ、バルブ58を開いて、不活性ガスを導入する。これによって内部の空気が排気管60から排出される。不活性ガスに置換されたところで、シャッター49を開いて、基板22を予備加熱部43側へ移送する。最初の基板22が移送されたところで、シャッター49を閉じる、そして、バルブ58を閉じて不活性ガスの供給を止め、シャッター48を開いて、次の基板22の搬入を行う。この基板22が搬入されたところで、上述と同じ手順で搬入部42内の雰囲気を空気から不活性ガスに置換する。置換終了後、基板22を予備加熱部43側へ移送する。以降、同じ手順で、熱処理炉41内へ小固形体を載置した基板22を熱処理炉41内に順次搬入する。
【0054】
熱処理炉41の予備加熱部43内の温度は、搬入部42側から隔壁体52近傍へ向けて高くなるプロファイルに設定されており、その最高温度が1350〜1412℃の範囲内に保持されている。この予備加熱部43において、小固形体が予備加熱部43内を移送されながら熱せられ、それに含まれているバインダーが分解しまたは気化して、シリコンを主体とする小固形体となる。そして、隔壁体52を通過して溶融部44内に入ると、内部が酸化性を帯びた雰囲気となり、約1450℃まで加熱されて、バインダーの残渣成分が酸化されて実質的に消失する。そして、小固形体のシリコン粉末が溶融し、小球体状の溶融体が形成される。この加熱は、小固形体中のシリコン粉末が全量溶融し、一つの溶融体に転化するのに十分な時間行う。これにより表面に酸化被膜が薄く形成され、溶融体の球体化が促進される。
【0055】
予備加熱部43および溶融部44における気化成分は、排気口61から不活性ガスなどとともに炉外へ排出される。
【0056】
(3)第3の工程について
本工程では、上述の第2の工程において形成された溶融体を冷却して凝固させることによって、半導体粒子を製造する。
【0057】
溶融部44で得られたシリコン溶融体が、凝固部45内を搬送される過程で、シリコンの溶融温度から凝固温度まで徐々に冷却される。ここでシリコン溶融体を急冷すると、凝固した外殻部内に溶融状態のシリコンが閉じ込められる。冷却が進むにつれて内部のシリコンが凝固する。凝固することで内部のシリコンの体積が増大するので、シリコン粒子にストレスが発生する。このストレスにより、粒子の外殻が破れて突起部が形成されたり、クラックが生じたりする場合がある。これらのことから、生産性を損なわない範囲で、冷却速度が適度なものとなるように、望ましくは、溶融体が単結晶化するように、凝固部45内の温度プロファイルとローラーコンベアによる搬送速度との関係を設定しておく。
【0058】
シリコン粒子が載置された基板22が搬出部46のシャッター50近傍の位置に達すると、シャッター51が閉じられ、バルブ59が開かれて、混合ガス供給部56から搬出部46のシャッター50、51間の部分に混合ガスが供給される。内部の空気が排気口62から排出され、内部が混合ガスに置換されてから、シャッター50が開き、基板22がシャッター50、51間に移送される。この移送が完了したところで、シャッター50が閉じられ、熱処理炉41内に外気が混入することを阻止する。ついでシャッター51が開いて搬出部46から基板22が取り出され、それに載置されていた直径約1mmの球状の半導体粒子が収集される。以降、上述の手順を繰り返して、半導体粒子を連続的に外部に搬出する。
【0059】
導電型がp型またはn型のシリコン粒子を得るには、真性のシリコン粒子にp型またはn型の不純物を拡散させるか、または、適量のp型またはn型の不純物原料を添加したシリコン粉末を出発材料に使用し、同じ手順で小塊体を作製し、予備加熱処理の後、溶融、凝固させればよい。
【0060】
本発明により得られる半導体粒子は、ダイオード、または光センサーや太陽電池などに用いられる球体状の半導体素子の母体に使用することができる。その代表例として、上述の方法で得られた直径約1.0mmのシリコン粒子を加工して製造される代表的な球状光電変換素子、およびこれを用いた光電変換装置(低集光型球状太陽電池)について、以下に述べる。
【0061】
p型半導体粒子を作製する場合は、まず、エッチングにより表面を清浄化した導電型が真性の小球体状のシリコン粒子を、ホウ素化合物水溶液に浸漬し、そのまま乾燥させるかまたは水溶液から取り出して乾燥させる。これによって、シリコン粒子の表面にホウ素化合物層が形成される。次いで、このシリコン粒子を、微量の酸素を含む不活性ガス雰囲気中で、シリコンの融点よりやや高い温度で加熱して再溶融させた後に、徐冷する。これにより、ホウ素がドープされて導電型がp型化したシリコン粒子が得られる。そしてまた、その単結晶化も進み、さらに粒子の真球度合が高められるという効果が得られる。次いで、必要に応じて、小球体状の半導体粒子を研磨するなどしてその真球度を高めるとともに、その球径を約0.9mmに揃える。
【0062】
このp型シリコン粒子にたとえばリンを拡散させて、表面に沿ってn型拡散層を形成することによって、pn接合を備えた小球体をなす光電変換素子が得られる。この拡散層は、たとえば、p型シリコン粒子にPOCl3の溶液のミストを吹き付けて、均一に付着させてから、約900℃の温度で熱処理することにより形成される。次に、必要に応じて、さらにその表面に、たとえば、フッ素またはアンチモンをドープして導電性を付与した厚さ50〜100nmのSnO2膜を反射防止膜として形成する。
【0063】
この光電変換素子を用いた光電変換装置について説明する。図5は光電変換装置を構成する発電ユニット101の正面図であり、図6はその発電部102の要部の縦断面図である。
【0064】
直径約0.9mmの球体状の光電変換素子(以下、素子という)103が、アルミニウム製の支持板104に設けられた約1800個の凹部105のそれぞれに1個ずつ固定されて、発電部102が形成される。凹部105の内面に照射された光を素子103へ向けて反射させることにより、素子103の光電変換効率が高められる。凹部105の底部に設けられた開口部から素子103の一部分が支持板104の裏面側に突出している。その突出部分上のn型拡散層106がエッチングなどで選択的に除去され、素子103のp型基体部107の表面が露出している。その露出部には電極層108が形成されている。
【0065】
支持板104の裏面には電気絶縁層110が接着され、電極層108に対向する部位の電気絶縁層110には透孔が設けられている。電気絶縁層110の裏側にはアルミニウム製の導電板109が接着され、電気絶縁層110の透孔に対向する部位の導電板109には透孔が設けられており、これら透孔によって連通孔が形成されている。支持板104における凹部105の底部開口部の周縁端部と、素子103のn型拡散層106とは、導電性接着剤からなる接続部111によって電気的に接続されている。素子103のp型基体部107直下に位置する電極層108の部分と導電板109とは、電気絶縁層110と導電板109との連通孔を満たすよりやや多量の導電性ペースト113が充填されて、電気的に接続されている。
【0066】
支持板104の一端は発電ユニット101の一方の端子115を構成し、これに対向する端部の裏側から突出させた導電板109の一端が他方の端子114を構成している。
【0067】
この発電ユニットの出力は約1Wであるが、複数の発電ユニットを電気溶接などして、任意の数のユニットを直列または並列に電気的に接続することによって、希望する電圧の電力を出力する光電変換装置を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明により製造された半導体粒子は、特に、住宅などの建築物の自家発電用などの光電変換装置に用いる球状光電変換素子の母体として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態における、小固形体を製造する転動造粒装置の要部の見取り図である。
【図2】本発明の実施形態における、小固形体を配列し、保持するための基板の要部の正面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施形態において使用する熱処理炉の一例の断面図である。
【図5】本発明により製造した球状のシリコン粒子を母体とした光電変換素子を用いた光電変換装置の発電ユニットの正面図である。
【図6】図6に示した発電ユニットの要部の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
11 円筒状の外枠
12 エアスリット
13 皿状の底板
14 回転自在な支持棒
15 シリコン粉末
16 液状のバインダー
17 スプレーガン
18 シリコン粉末供給のためのノズル
19 シリコン粉末
21 小固形体
22 耐熱性の保持用基板
23 凹部
41 熱処理炉
42 搬入部
43 予備加熱部
44 溶融部
45 凝固部
46 搬出部
47 ローラーコンベア
48、49 シャッター
50、51 シャッター
52 隔壁体
53 ヒータ
54 不活性ガス供給部
55 ガス供給管
56 低酸化性ガス供給部
57 供給管
58、59 バルブ
60、61、62 排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定質量の半導体粉末を含む小塊体を準備する第1の工程、
前記小塊体を加熱して、前記小塊体に含まれる半導体粉末を溶融させて球状溶融体を形成する第2の工程、および、
前記球状溶融体を冷却して凝固させる第3の工程、
を含む球状半導体粒子の製造方法であって、
前記第2の工程が、
前記半導体粉末の溶融温度より低い温度下で、不活性ガスまたはそれを主成分とする実質的に不活性な雰囲気中において前記小塊体を予備的に加熱する第2−1の工程、および、
予備的に加熱した前記小塊体を、前記半導体粉末の溶融温度以上の温度下で、前記第2−1工程における不活性な雰囲気よりも高い濃度の酸素を含む雰囲気中で加熱する第2−2の工程、
を有する球状半導体粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第1の工程において、さらに複数の前記小塊体を溶融時に互いに接触しない距離に離間させて配置する工程を含む請求項1記載の球状半導体粒子の製造方法。
【請求項3】
前記第2−1の工程における前記小塊体の予備的な加熱の最高温度が1350〜1412℃の範囲内から選ばれ、前記第2−2の工程における加熱温度が1413〜1500℃の範囲内から選ばれる請求項1に記載の球状半導体粒子の製造方法。
【請求項4】
前記第2−1の工程における雰囲気中の酸素の濃度が1容量%未満であり、前記第2−2工程における雰囲気中の酸素の濃度が5〜20容量%の範囲から選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載の球状半導体粒子の製造方法。
【請求項5】
前記第2−2の工程において、前記小塊体における前記半導体粉末を溶融させ、融合させて、球状の溶融体とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の球状半導体粒子の製造方法。
【請求項6】
前記小塊体が造粒操作により得られた固形体である請求項1〜5のいずれかに記載の球状半導体粒子の製造方法。
【請求項7】
前記小塊体が、さらに、バインダーを含む固形体である請求項1〜6のいずれかに記載の球状半導体粒子の製造方法。
【請求項8】
前記小塊体に含まれる半導体粉末がシリコン粉末である請求項1〜7のいずれかに記載の球状半導体粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−126428(P2010−126428A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306423(P2008−306423)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(502139910)株式会社クリーンベンチャー21 (33)
【Fターム(参考)】