説明

生体認証装置およびコンテンツのネットワーク配信サービスシステム

【課題】 指紋などの生体認証では、そのパターン自体をコピーされると、本人を偽装できてしまっていた。
【解決手段】 CPU42は認証用のプログラムやデータをROM43から読み出し、指紋検出スリット41から出力される画像データをRAM44に記録した後、画像変換や所定のルールに従った特徴点抽出などを行い、個人を特定する情報を通信インターフェイス45を介して送信し、認証結果を受信するが、通常の指の直線状の移動に加え、ノック回数を記憶したり、斜め読み取りしつつその回転画像を生成した上で特徴点を抽出するというようにして、指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作を加えて個人認証を実現している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証装置およびコンテンツのネットワーク配信サービスシステムに関し、特に、システムの利用者の身元または権限の照合のための手段を含むものに関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証に関して、以下の技術が知られている。
特許文献1には、コンテンツのネットワーク配信をより安全に行う技術が開示されている。より具体的には、その請求項1と、段落0049〜0051に、「ユーザ端末側にて指紋センサを用いて利用者の生体情報を取得し、暗号化された指紋データをサーバへ送信する。」とあり、段落0081には、「家庭内で複数の家族で利用する場合の利用制限に用いることもできる。」とあり、段落0139には、「指紋の他に掌紋、顔、虹彩、網膜血管パターン、掌形、筆跡、声紋などが利用できる。」とある。
【0003】
すなわち、指紋センサを用いて利用者の生体情報を取得し、ペアレンタル制限などに利用している。
特許文献2には、生体認証を外部の事業者に依らず、コンテンツ配信に利用する技術が開示されている。より具体的には、段落0020に、「端末機器にて指紋・静脈・虹彩などの生体情報を取得し、ユーザ情報とともに管理する。」とあり、生体情報を取得し、ユーザ情報として利用している。
特許文献3には、家庭内で不適切なユーザによる機器の使用を防止する技術が開示されている。より具体的には、その請求項1と、段落0016〜0018と、図2に、「機器の電源投入時点にて生体認証を行い、個人認証によりコンテンツ利用のランク判定を行う。」とあり、段落0020に、生体情報として、指紋や静脈のパターンを挙げている。すなわち、指紋や静脈のパターンで生体認証を行っている。
【0004】
特許文献4には、広い範囲の静脈像を撮像可能にする技術が開示されている。より具体的には、段落0002や、背景技術として、ネットワーク社会における個人認証の重要性を挙げている。また、段落0013にて、生体認証を行う際、指紋と静脈層の両方の画像に基づいて認証している。
特許文献5には、二次元のイメージセンサにより指紋と血管像を同時に得る技術が開示されている。より具体的には、生体認証装置において、指紋用と血管画像用の照明を用いて、両方の画像を同時に得ている。
【0005】
あるいは、このような生体認証を行っていない従来のIPTVなどの基本構成には、MarineBBか、セキュリティカードで行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−312284号公報
【特許文献2】特開2006−072709号公報
【特許文献3】特開2007−305263号公報
【特許文献4】特開2009−165630号公報
【特許文献5】特開2007−299085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
指紋などの生体認証では、そのパターン自体をコピーされると、本人を偽装できてしまうという課題があった。
一方、生体認証を行っていない場合は、家庭内の個人識別まで簡便に行うことはできなかった。この結果、暴力シーン、成人向けコンテンツに対応したペアレンタル制御は不十分であった。
本発明は、コンテンツのネットワーク配信サービスとしてのIPTVの基本構成などにおいて、コンテンツセキュリティゲートウェイ設定を簡便で、確実なものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ユーザーの指紋を検出して個人認証を行う指紋認証手段を有し、コンテンツのネットワーク配信サービスに使用する生体認証装置であって、指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作を可能として、当該動作に対応する個人認証が可能な第二認証対応手段を具備する構成としてある。
かかる構成において、コンテンツのネットワーク配信サービスに使用する生体認証装置は、指紋認証手段を有し、ユーザーの指紋を検出して個人認証を行うことができる。これに加え、第二認証対応手段は、指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作を可能として、当該動作に対応する個人認証を行なう。
すなわち、読み取り時に本人だけが覚えている指の動作(アクション)が追加され、指紋のパターンをコピーするだけでは認証が成立しない。故に、偽装は困難になる。
【0009】
指の動作の一例として、上記第二認証対応手段は、指紋走査時にユーザが指先をノックする動作で認証を行う構成としてある。
より具体的には、指紋走査時に個別に入力されるノックの回数と、予め記憶されているノックの回数とを比較し、一致するか否かで認証する構成とする。
【0010】
例えば、指紋走査開始前にユーザーは3回ノックしてから指紋走査する。この回数は秘密としておく。そして、毎回、同じ回数だけノックしてから指紋走査する。映画のシーンなどで、指紋のコピーを読み取らせて本人を偽装することがある。しかし、ノックの回数を第二認証対応手段として認証に利用するので、単にコピーしただけでは本人を偽装できなくなる。
【0011】
ノック回数という本人だけが覚えている指の動作以外に、指を斜め、ジグザグに移動させるというアクションが可能である。
このため、上記第二認証対応手段は、指紋の走査はスリット状の固定したラインセンサで実行し、ユーザーは指紋の登録時に上記ラインセンサに対して直交して移動させる際、同ラインセンサの幅方向に沿って指を横移動させる斜め読み取りを行なって登録し、認証時には登録時と同様にラインセンサの幅方向に沿って横移動させる斜め読み取りを行わせ、登録時の指紋に基づく個人情報と、認証時の指紋に基づく個人情報とを比較して認証を行う構成としても良い。
【0012】
これを実行するにあたり、上記斜め読み取り時の角度のずれとして所定範囲の許容度を有する構成としても良い。
また、その際、角度のずれを許容するにあたり、認証時の指紋走査の画像を画像変換し、所定のずれの角度範囲で斜めに画像をゆがめ、変換後の指紋画像に基づく個人情報で認証を行う構成としても良い。
そして、このような許容度として、上記ずれの角度は±10%としてもよい。
通常、スリット状のラインセンサを有する指紋走査では、指を真っ直ぐに移動させる。しかし、これを敢えて斜めやジグザグに移動させることで、指紋画像を一定のルールでゆがめることになる。この動作も本人の秘密としておく。認証する際には、常に同じように斜めやジグザグに移動させるが、この動きは本人しか知らないので、指紋画像をコピーしたとしても、この動作を知らない限りは正しく認証用の指紋走査を行えない。
この他、生体認証には、上記指紋認証に加えて静紋認証も行なう構成としても良い。
指紋認証と静紋認証とは全く別の観点での生体認証であるが、指紋走査と静紋撮影は同じ指を対象としているので、一度に認証できるという利便性に加え、認証制度の向上につながる。
【0013】
以上のような生体認証装置を利用するコンテンツのネットワーク配信サービスシステムの具体例として、以下のような適用が可能である。すなわち、コンテンツの配給側と、コンテンツの受給側と、両者間の通信ネットワークとからなり、上記受給側は、上記通信ネットワークを介して上記配給側のコンテンツサーバに接続して、同コンテンツサーバからのコンテンツの受信と、同コンテンツサーバからの受信のための接続の承認と、ペアレンタル制限としての受信制限のための個人認証に対応し、上記配給側は、コンテンツサーバを備えてコンテンツを配給するとともに、承認されたユーザーへのコンテンツの配給の許可と、ペアレンタル制限としての個人認証に応じた配信の制限に対応するコンテンツのネットワーク配信サービスシステムであって、ユーザーの指紋走査をスリット状の固定したラインセンサで検出して個人認証を行う指紋認証手段を有するとともに、指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作を可能として、当該動作に対応する個人認証が可能な第二認証対応手段を具備しており、同第二認証対応手段は、ユーザーは指紋の登録時に上記ラインセンサに対して直交して移動させる際、同ラインセンサの幅方向に沿って指を横移動させる斜め読み取りを行なって登録しておくとともに、認証時には登録時と同様にラインセンサの幅方向に沿って横移動させる斜め読み取りを行わせ、登録時の指紋に基づく個人情報と、認証時の指紋に基づく個人情報とを比較して認証を行ない、かつ、斜め読み取り時の角度のずれとして±10%程度の許容度を有し、また、上記指紋認証に加えて、静紋認証も行って生体認証を行う構成とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、指紋による認証にあたり、指紋の読み取り時に本人だけが覚えているアクションが追加されているので、パターンをコピーするだけでは認証が成立せず、偽装が困難になる。
そして、指紋認証なのでIPTVネットワークを含めたコンテンツのネットワーク配信サービスシステムにおいて、コンテンツセキュリティゲートウェイ設定が容易となる。そして、簡便であるため、家庭内でのパレンタル制御も容易となる結果、商取引も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】IPTVネットワークの概略システム図である。
【図2】ペアレンタル制限としてのペアレンタルコントロール画面を示す図である。
【図3】指紋認証のためのハードウェアブロック図である。
【図4】ノック回数に対応した第二認証対応手段を実現するフローチャートである。
【図5】斜め読み取りに対応した第二認証対応手段を実現するフローチャートである。
【図6】斜め読み取り時の角度ずれの対策として画像変換を示す図である。
【図7】画像変換の他の例を示す図である。
【図8】指紋認証に加えて静紋認証する場合のハードウェアブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の生体認証装置が利用されるIPTVネットワークの概略システム図である。IPTVはコンテンツをネットワークを介して配信するネットワーク配信サービスの一種であり、このサービスを提供するシステムをネットワーク配信サービスシステムと呼んでいる。
【0017】
このIPTVネットワークでは、コンテンツの配給側と、コンテンツの受給側と、両者間の通信ネットワークとからなる。
配給側10は、コンテンツ自体をオープンインターネット11を介して配給し、コンテンツの視聴制限などはコアネットワーク12を介する通信で実現する。すなわち、配給側のコンテンツサーバ13はオープンインターネット11に接続されているが、同コンテンツサーバ13からの受信のための接続の承認と、承認されたユーザーへのコンテンツの配給の許可のためのIPTVサービス15へは、サービスプラットフォーム14とコアネットワーク12を介して接続できるようになっている。
【0018】
受給側20は、オープンインターネット11およびコアネットワーク12に対してアクセス用のアクセスネットワーク21を介して接続され、当該アクセスネットワーク21に対して接続するためのWANゲートウェイ22を有している。
また、コンテンツサーバ13からの受信のための接続の承認はID管理制御部23が管理し、IPTVサービス15と接続し、IDやパスワードによって承認を得る。また、コンテンツサーバ13からのコンテンツの受信はIPメディアサービスゲートウェイ24やアプリケーションゲートウェイ25を介して行う。
【0019】
コンテンツの配信にあたり、ペアレンタル制限を利用可能であり、ユーザーを特定するために各ユーザー毎に個人認証部26が利用される。個人認証部26は生体認証によってユーザーを特定することで、IPTVサービス15と連携して様々なペアレンタル制限を提供するようになっている。すなわち、個人認証部26は、ペアレンタル制限としての受信制限のための個人認証に対応し、IPTVサービス15は、ペアレンタル制限としての個人認証に応じた配信の制限に対応する。
【0020】
図2はペアレンタルコントロール画面を示す図である。
ペアレンタル制限は、コンテンツに含まれる内容によって、予め視聴を不可能にする、あるいは視聴中に映像や音声の出力を制限する機能であり、予めペアレンタルコントロール画面で制限すべきコンテンツの内容を設定する。この図の例では、コンテンツとしてのムービーと、コンテンツとしてのテレビ番組に制限を加えることができる。コンテンツには、ムービーであれば、G,PG,PG−13,Rのレートが設定されており、テレビ番組であれば、TV−Y,TV−Y7,TV−G,TV−PG,TV−14,TV−MAのレートが設定されている。このペアレンタルコントロール画面を設定できるユーザーか否かを個人認証部26で認証することになる。
【0021】
図3は生体認証としての指紋認証に使用されるハードウェア構成を示すブロック図である。
指紋の走査はスリット状の開口にラインセンサを露出せしめて配設した指紋検出スリット41を使用して実行する。ラインセンサは固定されており、ユーザーが自分の指をラインセンサと直交方向に移動させて指紋のパターンを読み込ませる。CPU42は認証用のプログラムやデータをROM43から読み出し、指紋検出スリット41から出力される画像データをRAM44に記録した後、画像変換や所定のルールに従った特徴点抽出などを行い、個人を特定する情報を通信インターフェイス45を介して送信し、認証結果を受信する。なお、このハードウェア構成は指紋認証手段に相当する。
【0022】
以下、指紋走査で個人認証を行う二つのパターンについてそれぞれ説明する。
図4は、個人認証に使用する認証指紋走査(1)のプログラムに対応したフローチャートである。この個人認証では、指紋走査のパターンの一致に加え、指紋走査に先立って行う指先をノックする動作のノック回数も認証に利用している。すなわち、指紋走査前にユーザーは複数回、指紋検出スリット41をノックする。このノック回数は、指紋の登録の際、予めIPTVサービス15で登録しておくものであり、暗証番号と同様に秘密にすべきものである。従って、指紋認証の際には、指紋検出スリット41の周りもカバーで覆い、ユーザーが何回ノックしているかを外部からは見えないようにすることが好ましい。
【0023】
まず、ステップ51では、CPU42は指紋検出スリット41からの出力画像データに基づいてユーザーによるノックの操作を入力し、ステップ52では、ノックの回数を一時的にRAM44に記憶させる。続いて、ステップ53では、ユーザーによる指紋走査の結果を指紋画像として指紋検出スリット41から受け取る。ステップ54では、指紋画像を対象として指紋の特徴点を抽出する。必要な数の特徴点を抽出できればステップ55にて先ほど一時的に記憶したノック回数と抽出できた特徴点の情報を認証先、ここではIPTVサービス15に対して通信インターフェイス45を介して送信する。なお、必要な数の特徴点を抽出できるまでステップ53の指紋走査とステップ54の特徴点抽出を行なう。
【0024】
ステップ56では、CPU42は通信インターフェイス45を介して認証結果を受信し、ステップ57では認証結果を反映する。具体的には、今、指紋走査を行ったユーザーがIPTVサービス15で予め登録しておいたペアレンタル制限を設定できる人間であれば、ペアレンタルコントロール画面を開こうとする操作に応じて、開いて設定を可能とさせる。しかしながら、子供などがいたずらで行ったような場合は、ペアレンタル制限を設定できる人間ではないので、ペアレンタルコントロール画面を開こうとしても、開けないようにする。従って、親が設定したペアレンタル制限を子供が勝手に変更することができなくなる。
【0025】
また、別の観点では、視聴に際してユーザーが個人認証すると、そのユーザーに対応するものとして設定されたペアレンタル制限が適用されるという利用も可能である。例えば、成人のユーザーについてはペアレンタル制限を全くかけない状態として設定しておき、子供のユーザーについてはペアレンタル制限をかける状態として設定しておく。視聴にあたって、指紋検出スリット41で個人認証をし、子供が視聴するのであれば子供用にペアレンタル制限がかかった状態でIPTVを視聴でき、親が視聴するのであればペアレンタル制限が解除されてIPTVを視聴できる。
このように、指紋走査時に個別に入力されるノックの回数と、予め記憶されているノックの回数とを比較し、一致するか否かで認証している。従って、指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作、ここでは、指紋走査時に個別に入力されるノックの回数の入力を可能として、当該動作に対応する個人認証を可能とした第二認証対応手段を実現している。
【0026】
次に、指紋走査で個人認証を行う二つ目のパターンについて説明する。
図5は、個人認証に使用する認証指紋走査(2)のプログラムに対応したフローチャートである。この個人認証では、指紋走査のパターンの一致に際して、指紋走査を故意に斜めに行わせて認証に利用している。すなわち、ユーザーは指紋の登録時に上記ラインセンサに対して直交して移動させる際、同ラインセンサの幅方向に沿って指を横移動させる斜め読み取りを行なって登録しておくとともに、認証時には登録時と同様にラインセンサの幅方向に沿って横移動させる斜め読み取りを行わせる。
【0027】
指をどの程度横に移動させるかは、暗証番号のように個人の秘密とすべきものであり、指紋認証の際には、指紋検出スリット41の周りもカバーで覆っておき、外部からは見えないようにすることが好ましい。
ステップ61では、指紋走査を行い、ユーザーは登録時と同様にラインセンサの幅方向に沿って横移動させる斜め読み取りを行わせる。横移動自体はユーザーの操作であるが、動かし方にむらが生じることが予想されるので、ステップ62では得られた指紋画像を回転させる画像変換を行う。
【0028】
図6はこの画像変換の様子を示している。走査画像は全体的に指の根元側が左に流れるように斜め読み取りされている。この斜めの動かし方が、登録時と寸分違わず一致することを期待するのは難しいので、所定範囲の許容度を与えるべく、同図に示すように時計回りに+10%(9゜)だけ回転させた画像と、反時計回りに−10%(9゜)だけ回転させた画像とを画像変換で得る。なお、この画像変換のプログラムもROM43に記憶されているものとする。
このように、認証時の指紋走査の画像を画像変換し、所定のずれの角度範囲で斜めに画像をゆがめ、変換後の指紋画像に基づく個人情報で認証を行うようにすれば、斜め読み取り時の角度のずれを許容することができるようになる。
【0029】
なお、一方向へのみ移動させる斜め読み取りに加え、途中で移動方向を変えるジグザグ読み取りも可能である。図7ではジグザグ読み取りした指紋画像の例を示しており、この場合も移動のさせ方にはむらがあると考えられるので、図6に示すような回転画像を用意することは有効である。さらに、このようなむらに対応すべく、長さ方向に10%伸長したり、10%短縮した画像変換を行うようにしても良い。このようにすることで、ジグザグ読み取りを含む斜め読み取り時に生じるむらを人工的に補正した画像を得ることができ、認証時の誤検出を減らすことができる。
【0030】
ステップ63では、得られた複数の画像毎にCPU42が指紋の特徴点を抽出し、ステップ64では、通信インターフェイス45を介して特徴点をIPTVサービス15へと送信する。
IPTVサービス15の側では、一つの指紋走査結果に対する特徴点の抽出結果として、複数の結果を受信し、予め登録されているユーザーのものと比較する。ここでは、いずれか一つの結果でも、指紋の特徴点が必要な数以上一致すれば認証は成功したと判断する。敢えて、平均化する必要はない。
認証結果はステップ65にて受信され、CPU42はステップ66にて同認証結果を先ほどと同様にして反映させる。
【0031】
この例でも、通常であれば指を真っ直ぐに移動させるだけの動作に加え、指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作である横移動を可能として、当該動作に対応する個人認証が可能な第二認証対応手段を実現している。むろん、指紋のパターンだけをコピーできたとしても、このユーザーの個別の指の動作が秘密である以上、認証は成立せず、偽装も行えない。
なお、斜め読み取り時の角度のずれとして±10%程度の許容度を設定しているが、実験結果に応じてこの値を変更したり、角度を違えて生成する回転画像の数を増やすということも可能である。
【0032】
上述した個人認証では、指紋だけを利用しているが、図8に示すように、指紋認証に加えて静紋認証を組み合わせることも可能である。同図には、指紋走査ユニット71に加え、静紋撮影ユニット72を備え、CPUやROMやRAMなどからなる認証回路73と、通信インターフェイス74を備えている。
指紋走査も、静紋撮影も、利用するのは指先であり、指紋走査と同時に静紋撮影ができる。このため、上述したように指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作を加えつつ、さらに静紋認証も並行して行うことで、極めて高精度な個人認証を行える。
【0033】
このように、CPU42は認証用のプログラムやデータをROM43から読み出し、指紋検出スリット41から出力される画像データをRAM44に記録した後、画像変換や所定のルールに従った特徴点抽出などを行い、個人を特定する情報を通信インターフェイス45を介して送信し、認証結果を受信するが、通常の指の直線状の移動に加え、ノック回数を記憶したり、斜め読み取りしつつその回転画像を生成した上で特徴点を抽出するというようにして、指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作を加えて個人認証を実現している。
【0034】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0035】
10…配給側、11…オープンインターネット、12…コアネットワーク、13…コンテンツサーバ、14…サービスプラットフォーム、15…IPTVサービス、20…受給側、21…アクセスネットワーク、22…WANゲートウェイ、23…ID管理制御部、24…IPメディアサービスゲートウェイ、25…アプリケーションゲートウェイ、26…個人認証部、41…指紋検出スリット、42…CPU、43…ROM、44…RAM、45…通信インターフェイス、71…指紋走査ユニット、72…静紋撮影ユニット、73…認証回路、74…通信インターフェイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの指紋を検出して個人認証を行う指紋認証手段を有し、コンテンツのネットワーク配信サービスに使用する生体認証装置であって、
指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作を可能として、当該動作に対応する個人認証が可能な第二認証対応手段を具備することを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
上記第二認証対応手段は、指紋走査時にユーザが指先をノックする動作で認証を行うことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
指紋走査時に個別に入力されるノックの回数と、予め記憶されているノックの回数とを比較し、一致するか否かで認証することを特徴とする請求項2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
上記第二認証対応手段は、
指紋の走査はスリット状の固定したラインセンサで実行し、
ユーザーは指紋の登録時に上記ラインセンサに対して直交して移動させる際、同ラインセンサの幅方向に沿って指を横移動させる斜め読み取りを行なって登録し、
また、認証時には登録時と同様にラインセンサの幅方向に沿って横移動させる斜め読み取りを行わせ、登録時の指紋に基づく個人情報と、認証時の指紋に基づく個人情報とを比較して認証を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の生体認証装置。
【請求項5】
上記斜め読み取り時の角度のずれとして所定範囲の許容度を有することを特徴とする請求項4に記載の生体認証装置。
【請求項6】
角度のずれを許容するにあたり、認証時の指紋走査の画像を画像変換し、所定のずれの角度範囲で斜めに画像をゆがめ、変換後の指紋画像に基づく個人情報で認証を行うことを特徴とする請求項5に記載の生体認証装置。
【請求項7】
上記ずれの角度は±10%とすることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の生体認証装置。
【請求項8】
上記指紋認証に加えて静紋認証も行って生体認証を行うことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の生体認証装置。
【請求項9】
コンテンツの配給側と、コンテンツの受給側と、両者間の通信ネットワークとからなり、
上記受給側は、上記通信ネットワークを介して上記配給側のコンテンツサーバに接続して、同コンテンツサーバからのコンテンツの受信と、同コンテンツサーバからの受信のための接続の承認と、ペアレンタル制限としての受信制限のための個人認証に対応し、
上記配給側は、コンテンツサーバを備えてコンテンツを配給するとともに、承認されたユーザーへのコンテンツの配給の許可と、ペアレンタル制限としての個人認証に応じた配信の制限に対応するコンテンツのネットワーク配信サービスシステムであって、
ユーザーの指紋走査をスリット状の固定したラインセンサで検出して個人認証を行う指紋認証手段を有するとともに、指紋走査時におけるユーザーの個別の指の動作を可能として、当該動作に対応する個人認証が可能な第二認証対応手段を具備しており、
同第二認証対応手段は、
ユーザーは指紋の登録時に上記ラインセンサに対して直交して移動させる際、同ラインセンサの幅方向に沿って指を横移動させる斜め読み取りを行なって登録しておくとともに、
認証時には登録時と同様にラインセンサの幅方向に沿って横移動させる斜め読み取りを行わせ、登録時の指紋に基づく個人情報と、認証時の指紋に基づく個人情報とを比較して認証を行ない、かつ、斜め読み取り時の角度のずれとして±10%程度の許容度を有し、
また、上記指紋認証に加えて、静紋認証も行って生体認証を行うことを特徴とするコンテンツのネットワーク配信サービスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−108048(P2011−108048A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263349(P2009−263349)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】