説明

画像処理システム、画像処理方法、その記録媒体およびプログラム

【課題】 デジタルカメラの色再現特性を定める色処理パラメータを利用者の好みで自由に設定できる画像処理システム、画像処理方法、その記録媒体およびプログラムを提供する。
【解決手段】 画像処理手段202は、色票3に含まれる対象色(各色パッチの色)の部分の撮像データに対して色処理パラメータを用いてデジタルカメラ1と同様の画像処理を行うことで色データを得る。変更手段204は、得た色データを示す第1のマークと、対象色の色再現の目標色を示す第2のマークとを含む色平面を含み、その第2のマークの位置を利用者が変更可能であるマーク変更画面を表示手段208に表示する。パラメータ最適化手段205は、第2のマークで特定される目標色と、第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように色処理パラメータの最適化を行う。データ入出力手段201は、最適化した色処理パラメータをデジタルカメラ1に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなどの色処理パラメータを制御する画像処理システム、画像処理方法、その記録媒体およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルカメラにおいて、利用者の所望する色再現を実現する様々な手段が考案されている。例えば、デジタルカメラ内部にあらかじめ複数の動作モードに応じた複数の色処理パラメータを保持し、それらの動作モードの中から1つを利用者に選択させて、その選択された動作モードに応じた色処理パラメータを使用して、撮影した画像データの色処理を行うデジタルカメラが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−238222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したデジタルカメラにおいては、あらかじめ用意されている動作モードに応じた色処理パラメータのみしか設定できず、利用者が自由に色処理パラメータを設定して色再現を実現することが出来ないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、デジタルカメラの色再現特性を定める色処理パラメータを利用者の好みで自由に設定できる画像処理システム、画像処理方法、その記録媒体およびプログラムを提供することを目的とする。
また、本発明は、好ましくは、複数種類のデジタルカメラの画像処理に用いる複数種類の色処理パラメータを実装し、利用者が色処理パラメータの設定対象とするデジタルカメラの種類に応じた色処理パラメータを選択して利用することができる画像処理システム、画像処理方法、その記録媒体およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述した課題を解決すべくなされたもので、本発明による画像処理システムにおいては、被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と、撮像装置と通信することで少なくとも撮像データ、画像データおよび第1の色処理パラメータを授受可能な色処理パラメータ編集装置とから構成される画像処理システムであって、色処理パラメータ編集装置は、被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の撮像データに対して第1の色処理パラメータを用いて撮像装置における画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る画像処理手段と、画像処理手段の画像処理により得る色データを色平面上に示す第1のマークと、対象色の撮像装置における色再現の目標となる目標色を色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む色平面を含み、色平面上における第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する変更手段と、変更手段が表示するマーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した第2のマークで特定される目標色と、第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する最適化手段と、最適化手段が最適化した第2の色処理パラメータを撮像装置に送信する送信手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明による画像処理システムの一態様例においては、上記色処理パラメータ編集装置が複数種類の撮像装置と通信可能であり、撮像装置の種類に応じて第1の色処理パラメータの値が異なる場合に、画像処理手段は、撮像装置の種類に応じた第1の色処理パラメータを用いて画像処理を行うことを特徴とする。
これにより、複数種類の撮像装置(デジタルカメラ)の画像処理に用いる複数種類の色処理パラメータを実装し、利用者が色処理パラメータの設定対象とする撮像装置の種類に応じた色処理パラメータを選択して利用することができる。すなわち、一台の色処理パラメータ編集装置で複数種類の撮像装置に対応することができる。
【0008】
また、本発明による画像処理システムの一態様例においては、上記第2のマークが複数ある場合に、上記変更手段は、複数の第2のマークにおける目標色の彩度を利用者が一律に変更可能な手段を更に含むマーク変更画面を表示することを特徴とする。
これにより、利用者が所望する彩度となるよう一律に目標色の彩度を変更して、変更後の目標色に応じて色処理パラメータを最適化して、撮像装置の画像処理に反映させることができる。
【0009】
また、本発明による画像処理方法においては、被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と通信することで、少なくとも撮像データ、画像データおよび第1の色処理パラメータを授受可能な色処理パラメータ編集装置を用いた画像処理方法であって、被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の撮像データに対して第1の色処理パラメータを用いて撮像装置における画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る第1のステップと、第1のステップで得た色データを色平面上に示す第1のマークと、対象色の撮像装置における色再現の目標となる目標色を色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む色平面を含み、色平面上における第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する第2のステップと、第2のステップで表示するマーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した第2のマークで特定される目標色と、第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する第3のステップと、第3のステップで最適化した第2の色処理パラメータを撮像装置に送信する第4のステップとを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明による画像処理方法においては、被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と、撮像装置と通信することで少なくとも撮像データ、画像データおよび第1の色処理パラメータを授受可能な色処理パラメータ編集装置とから構成される画像処理システムを用いた画像処理方法であって、色処理パラメータ編集装置において、被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の撮像データに対して第1の色処理パラメータを用いて撮像装置における画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る第1のステップと、第1のステップで得た色データを色平面上に示す第1のマークと、対象色の撮像装置における色再現の目標となる目標色を色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む色平面を含み、色平面上における第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する第2のステップと、第2のステップで表示するマーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した第2のマークで特定される目標色と、第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する第3のステップと、第3のステップで最適化した第2の色処理パラメータを撮像装置に送信する第4のステップとを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明による記録媒体は、被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と通信することで、少なくとも撮像データ、画像データおよび第1の色処理パラメータを撮像装置と授受可能な色処理パラメータ編集装置用のプログラムを記録した記録媒体であって、被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の撮像データに対して第1の色処理パラメータを用いて撮像装置における画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る第1のステップと、第1のステップで得た色データを色平面上に示す第1のマークと、対象色の撮像装置における色再現の目標となる目標色を色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む色平面を含み、色平面上における第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する第2のステップと、第2のステップで表示するマーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した第2のマークで特定される目標色と、第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する第3のステップと、第3のステップで最適化した第2の色処理パラメータを撮像装置に送信する第4のステップとを色処理パラメータ編集装置に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0012】
また、本発明によるプログラムは、被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と通信することで、少なくとも撮像データ、画像データおよび第1の色処理パラメータを撮像装置と授受可能な色処理パラメータ編集装置用のプログラムであって、被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の撮像データに対して第1の色処理パラメータを用いて撮像装置における画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る第1のステップと、第1のステップで得た色データを色平面上に示す第1のマークと、対象色の撮像装置における色再現の目標となる目標色を色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む色平面を含み、色平面上における第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する第2のステップと、第2のステップで表示するマーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した第2のマークで特定される目標色と、第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する第3のステップと、第3のステップで最適化した第2の色処理パラメータを撮像装置に送信する第4のステップとを色処理パラメータ編集装置に実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
以上により、本発明による画像処理システム、画像処理方法、その記録媒体およびプログラムは、被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の撮像データに対して第1の色処理パラメータを用いて撮像装置における画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得て、その色データを色平面上に示す第1のマークと、対象色の撮像装置における色再現の目標となる目標色を色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む色平面を含み、色平面上における第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する。これにより、利用者は、表示されるマーク変更画面において必要に応じて第2のマークの位置(=目標色の色)を好みの位置に変更することができる。次に、利用者が必要に応じて変更した第2のマークで特定される目標色と、第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力して、最適化した第2の色処理パラメータを撮像装置に送信するので、撮像装置において第2の色処理パラメータを利用した画像処理を行うことで、利用者の所望の色再現を実現できる。すなわち、利用者の所望の色再現を実現するために、色再現の目標となる目標色を自由に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態である画像処理システムの概略構成について説明する。尚、本実施形態における画像処理システムは、デジタルカメラなどの画像生成装置およびそのデジタルカメラが生成した画像データを処理する画像処理システムを備える構成である。
図1は、本発明の第1の実施形態である画像処理システムの概略構成を示す図である。図1において、1はデジタルカメラであり、2は、色処理パラメータ編集装置(画像処理システム)であり、3は、色票であり、図2に示すように、色の再現性の判断や分析などを目的に24色の色パッチ3aが配列されている。尚、色票3の詳細については後述する。
【0015】
次に、デジタルカメラ1の構成について説明する。
101は、撮像手段であり、撮影レンズや絞り等の光学系およびCCD(Charge Coupled Device)等の画像センサより構成され、CCDの受光面に結像される被写体の輝度に応じた撮像データ(RAW画像データ)を出力する。また、本実施形態における撮像手段101は、24色の色パッチ3aが配列された色票3を撮像した撮像データを出力する。
【0016】
102は、データ入出力手段であり、撮像手段101が出力する撮像データや、後述する画像処理手段103が出力する画像データや、その画像処理手段103が色に関する処理を行う際に参照する色処理パラメータなどを外部の装置と送受信する。103は、画像処理手段であり、撮像手段101が出力する撮像データを基に、後述する色処理パラメータ保持手段104に格納された色処理パラメータに応じて画像処理を行い、画像データを形成する。
【0017】
104は、色処理パラメータ保持手段であり、データ入出力手段102を介して外部より取得する色処理パラメータを保持する。105は、表示手段であり、撮影中の画像を表示する。例えば、表示手段105は、液晶ディスプレイ等である。以上の構成により、デジタルカメラ1は、撮像手段101で撮像した被写体像の撮像信号を基に画像処理手段103により画像データを生成して、データ入出力手段102経由で外部へ出力する。
【0018】
次に、色処理パラメータ編集装置2の構成について説明する。
201は、データ入出力手段であり、デジタルカメラ1と通信することで撮像データ、画像データ、色処理パラメータおよびターゲットデータなどを送受信する。具体的には、データ入出力手段201は、デジタルカメラ1のデータ入出力手段102を介して通信を行う。ここで、ターゲットデータとは、デジタルカメラ1において、利用者の所望の色再現特性を実現するために、設定する色目標値のことである。尚、ターゲットデータの設定例については後述する。また、データ入出力手段201は、利用者からの入力を受け付ける入力装置としての機能を更に備えていても良い。入力装置とは、例えばキーボードやマウスなどである。
【0019】
202は、画像処理手段であり、後述する平均値算出手段203が出力する撮像データのRGB平均値に対して、後述する色処理パラメータ保持手段206に格納された色処理パラメータより現在選択中のデジタルカメラ1の色処理パラメータを参照し、現在選択中のデジタルカメラ1の内部処理を用いて画像処理を行い、画像データを形成する。すなわち、画像処理手段202は、デジタルカメラ1における撮像データに対する画像処理手段103の画像処理を、色処理パラメータ編集装置2内において再現している。
【0020】
ここで、画像処理手段202の具体的な処理例について図を用いて説明する。図6は、画像処理手段202における画像処理例を示すフロー図である。尚、本実施形態においては、色処理パラメータ編集装置2で対応するデジタルカメラ1の機種は機種A〜Fの6種類であるとする。また、それらの内部処理(画像処理)が同じもので分類すると機種A、Bと、機種C、D、Eと、機種Fに分類されるとする。図6に示すように、ステップS31において、画像処理手段202は、デジタルカメラ1の機種を特定して選択する。デジタルカメラ1の機種が機種Aまたは機種Bの時はステップS32へ、機種Cまたは機種Dまたは機種EのときはステップS33へ、機種FのときはステップS34へ進む。
【0021】
ここで、ステップS32においては、画像処理手段202は、γ変換1+3×3マトリックス+γ変換2の処理をRGB平均処理済みの撮像データに対して行う。また、ステップS33においては、画像処理手段202は、γ変換1+3×9マトリックス+γ変換2の処理をRGB平均処理済みの撮像データに対して行う。また、ステップS34においては、画像処理手段202は、γ変換1+3×20マトリックス+γ変換2の処理をRGB平均処理済みの撮像データに対して行う。尚、γ変換1とは例えば線形的なガンマ変換処理であり、X×YマトリックスとはX行Y列のフィルタを用いたマトリックス演算処理であり、γ変換2とは例えばγカーブに応じたガンマ変換処理である。
【0022】
尚、本実施形態においては、平均値算出手段203が出力する撮像データのRGB平均値に対して画像処理手段202が処理を行ったが、この限りではなく、撮像データを直接処理してもよい。更に、画像処理手段202は、色処理後の画像データをCIE(国際照明委員会)LABで規定される色データに変換して入力データ(後述する変更手段204に入力するデータ)を出力する機能を有する。また、上述した実施形態においては、デジタルカメラ1の機種を色処理パラメータ編集装置2において特定して選択していたが、この限りではなく、GUIなどを利用して利用者に色処理パラメータ編集装置2に接続中のデジタルカメラ1の機種を選択させてもよい。
【0023】
203は、平均値算出手段であり、データ入出力手段201から入力される色票3の撮像データにおいて各パッチ3aのRGB平均値を算出する。本実施形態においては、平均値算出手段203が出力する各パッチ3aのRGB平均値に対して、画像処理手段202が上述した画像処理を行い、更にCIELABで規定される入力データに変換する。
【0024】
204は、変更手段であり、画像処理手段202から入力される入力データと、ターゲットデータをCIELABで規定される色空間のa*b*平面上にプロットした図4に示すターゲットデータ変更画面を後述する表示手段208に表示する。このターゲットデータ変更画面は、GUI(Graphical User Interface)であり、利用者が必要に応じてターゲットデータ変更画面上で好みの色になるようにターゲットデータの値を調整することが出来る。また、変更手段204は、利用者がターゲットデータ変更画面においてターゲットデータを変更した場合は、これをターゲットデータに反映する。
【0025】
図4は、変更手段204が表示手段208に表示するターゲットデータ変更画面の表示例を示す図である。図4に示すように、a*b*平面上の○印(丸マーク)は、各色パッチ3aの入力データを示し、△印(三角マーク)は、ターゲットデータを示すものである。これにより、ある色パッチ3aにおける入力データとターゲットデータのズレを確認することができる。例えば、ある色パッチ3aの入力データ2041に対してターゲットデータ2042が図4に示すように異なる位置に表示されている場合に、これに対して、利用者は、GUIを利用してポインタ2043により、ターゲットデータ2041の位置を変更することができる。このように、ターゲットデータの位置をポインタ2043で変更することが出来るようなGUIを変更手段204が提供することで、利用者は、ターゲットデータ変更画面上で視覚的にターゲットデータのLAB値の変更を行うことができる。尚、ポインタ2043は、例えばデータ入出力手段201が備えるマウスの動きに応じて移動する矢印である。
【0026】
尚、本実施形態においては、CIELABで規定された色空間のa*b*平面に入力データとターゲットデータをマッピングしているが、この限りではなく、CIELABで規定された空間の、L*a*平面、L*b*平面のいずれかにマッピングしたものを表示してもよいし、他の種類の色空間にマッピングしてもよい。
【0027】
205は、パラメータ最適化手段であり、後述する色処理パラメータ保持手段206に格納されている色処理パラメータを例えばDLS(減衰最小二乗)法などを用いて各色パッチ3aにおける上述した入力データと変更後の(利用者が所望の)ターゲットデータの色差が最小となるよう最適化する。206は、色処理パラメータ保持手段であり、機種を選択可能なすべての種類のデジタルカメラ(図1に示すデジタルカメラ1を含む)の色処理パラメータを機種別に保持する。
【0028】
207は、入力データ、ターゲットデータ保持手段であり、デジタルカメラ1の機種別に各色パッチ3aに対して算出した入力データ、および利用者が設定したターゲットデータを保持する。208は、表示手段であり、データ入出力手段201から読み込んだ撮像データに対して画像処理手段202が色処理した後の画像データなどを表示する。尚、表示手段208は、例えば、CRTや液晶ディスプレイなどの表示装置であり、好ましくは、カラーマネジメントシステムに対応するなどにより、適正に色を再現できる表示装置がよい。
【0029】
また、デジタルカメラ1は、上述した画像データを記録する不揮発性メモリおよび該不揮発性メモリに対して撮像データや画像データなどを書き込み/読み出し/消去する手段を更に具備してもよい。この場合は、デジタルカメラ1より不揮発性メモリは着脱可能な構成であってもよく、更に、上述した色処理パラメータ編集装置2が上記不揮発性メモリより撮像データや画像データなどを読み出せる構成であれば、該不揮発性メモリを介して撮像データや画像データのやり取りを行ってもよい。また、データ入出力手段102が、外部の装置と送受信する際に利用する通信経路は、専用線または公衆網などの有線通信網であっても無線通信網であってもよい。
【0030】
次に、図1に示したデジタルカメラ1の動作について説明する。まずデジタルカメラ1を利用して撮影する際に、利用者は不図示の電源スイッチをオンする。これにより、起動したデジタルカメラ1の撮像手段101が撮像データを出力し、この撮像データに対して画像処理手段103が、色処理パラメータ保持手段104に格納される色処理パラメータを使用して画像処理を行うことで表示用画像を生成し、表示手段105に表示する。この撮像データから表示用画像を生成する処理は、例えば1/30秒単位で行われる。
【0031】
次に、利用者は表示手段105に表示される画像を見て、被写体の構図を決め、不図示のシャッターボタンを押すことで、撮影を行う。シャッターボタンが押されると、画像処理手段103は、撮像データに対して色処理パラメータ保持手段104に格納された色処理パラメータを使用して、画像の色や明るさの調整処理等を行い、画像データを出力する。次に、データ入出力手段102は、シャッターボタンが押されたタイミングで出力される撮像データまたは画像データを外部の装置へ出力する。
【0032】
尚、色処理パラメータ保持手段104に、撮像手段101が出力する撮像データをそのままデータ入出力手段102に出力するようなパラメータを設定すれば、撮像手段101が出力する撮像データそのもの(RAW画像データ)をデータ入出力手段102は取得することが出来る。また、上述したように、デジタルカメラ1の機種別に、例えばデジタルフィルタの演算が3×3のマトリックス、3×9のマトリックス、3×20のマトリックスを使用するなど、内部の画像処理が異なる。すなわち、デジタルカメラ1の機種に応じて色処理パラメータが異なる。
【0033】
<色票3>
次に、図1に示した色票3の構成例について説明する。図2は、図1に示した色票3の構成例を示す図である。図2に示すように色票3は、例えばグレタグマクベス社のColorCheckerなど、全ての色相を網羅し、グレーの階調も有する色パッチ3aにより構成されている。尚、図2に示すように、本実施形態の色票3は24色の色パッチ3aより構成されているが、この限りではなく、種々の色相や階調の組み合わせに応じた数の色パッチ3aが配列された構成でよい。
【0034】
<色処理パラメータ編集装置2>
次に、図1に示した色処理パラメータ編集装置2の動作について説明する。図3は、図1に示した色処理パラメータ編集装置2の動作を示すフロー図である。図3に示すように、まず、ステップS1において、画像入出力手段201は、デジタルカメラ1よりデータ入出力手段102を介して撮像データを読み込む。尚、本実施形態においては、色票3の撮像データが読み込まれる。次に、ステップS2において、平均値算出手段203は、画像入出力手段201が読み込んだ撮像データの各色パッチ3aのRGB平均値を求める。
【0035】
次に、ステップS3において、画像処理手段202は、現在選択中のデジタルカメラ1に応じてあらかじめ色処理パラメータ保持手段206に設定されている色処理パラメータを使用して、平均値算出手段203が算出したRGB平均値に対して現在選択中のデジタルカメラ1に応じた色処理を行う。更に、画像処理手段202は、色処理後のRGBデータ(以下、色処理後データとする)をIEC(International Electrotechnical Commission)61966−2−1で規定されるsRGBと仮定し、白色点をD65としてCIELAB形式の変更手段204への入力データを算出する。尚、画像処理手段202における色処理の動作の詳細については、図6を用いて後述する。
【0036】
次に、ステップS4において、色処理パラメータ編集装置2にデジタルカメラ1で色票3を撮影した際の各色パッチ3aにおけるターゲットデータを入力する。ここで、ターゲットデータは、先に算出した入力データと同じにしても良いし、例えば色票3の各色パッチ3a自体をグレタグマクベス社の小型分光光度計であるSpectroLinoなどで測色して得たCIELAB形式の色データをターゲットデータとしても良い。尚、本実施形態のターゲットデータのデータ形式は、上述した入力データと同様のCIELAB形式の色データである。
【0037】
次に、ステップS5において、変更手段204は、画像処理手段202が算出した入力データと、ステップS4で入力されたターゲットデータを図4のようにターゲットデータ変更画面として表示手段208に表示する。次に、ステップS6において、変更手段204は、必要に応じてターゲットデータを利用者が編集する操作を受け付けて、編集後のターゲットデータの位置で定まるLAB値を新たなターゲットデータとする。このとき、利用者は、好みによってたとえば肌色を示すターゲットデータの赤味を強めたり、空の青色を示すターゲットデータの青味を強めたりすることが出来る。
【0038】
次に、ステップS7において、パラメータ最適化手段205は、入力データと編集後のターゲットデータの色差に応じた色処理パラメータの最適化処理を行う。具体的には、パラメータ最適化手段205は、図7の左半分に示す処理を行う。図7は、図3に示したステップS7における色処理パラメータの最適化処理例を示す図である。図7に示すように、ステップ71において、パラメータ最適化手段205は、各色パッチデータ(各色パッチ3aのRGB平均値)に対して最適化後の色処理パラメータを用いて画像処理手段202と同様の色処理を行い色処理後データ(Ri、Gi、Bi)を算出する。ここで、iは各色パッチ3aの識別番号(ID)であり、本実施形態では色パッチ3aは24枚なので、i=0〜23である。次に、ステップ72において、パラメータ最適化手段205は、色処理後データ(Ri、Gi、Bi)をCIELAB変換したデータ(L*i、a*i、b*i)を算出する。次に、ステップS73において、パラメータ最適化手段205は、各色パッチ3aの色処理後データ(L*i、a*i、b*i)に対応する各ターゲットデータ(L*Ti、a*Ti、b*Ti)との色差Eiを評価関数Eiとして、全ての色パッチ3a(i枚)における評価関数Eiの値を加算して全体の評価関数Eの値を以下の式1により算出する。
【数1】



【0039】
次に、パラメータ最適化手段205は、DLS法などを用いて各色パッチ3aの色処理後データ(L*i、a*i、b*i)と対応するターゲットデータ(L*Ti、a*Ti、b*Ti)との色差Eiが全体として最小になるように色処理パラメータを最適化する。すなわち、パラメータ最適化手段205は、式1で求まる評価関数Eの値が最小になる色処理パラメータを求めることで、色処理パラメータの最適化を行う。
【0040】
また、パラメータ最適化手段205が利用する評価関数は、上述した数式1で求める評価関数Eに限らず、各色パッチ3aに重みを個別に設定して求める評価関数Eであっても良い。そのときの重み値をwiとすると、パラメータ最適化手段205は、評価関数Eの値を以下の式2により算出する。
【数2】



式2に示すように、重み値wiを各Eiに乗算している以外は式1と同様である。
【0041】
次に、ステップS8において、パラメータ最適化手段205は、各色パッチ3aのID=i別の評価関数Ei及びその合計である評価関数Eの値を図5に示すような一覧で表示手段208に表示する。尚、図5については詳細を後述する。更に、パラメータ最適化手段205が最適化した色処理パラメータを用いて画像処理手段202は、撮像データに対して画像処理を行う。これにより、色処理パラメータ編集装置2は、画像処理後の画像(色票3の画像)を表示手段208に表示する。
【0042】
以上により利用者は、各色パッチ3aにおいて最適化後の色処理パラメータを利用して色処理した場合の入力データとターゲットデータの色差を図5に示す一覧画面50により確認することができ、更に、画像の表示により各色パッチ3aが所望の色で再現されているかを確認することができる。ここで、図5は、各色パッチ3aにおいて最適化後の色処理パラメータを利用して色処理した場合の入力データとターゲットデータと、それらの色差の一覧表示例を示す図である。図5に示すように、一覧画面50において、各色パッチ3aのターゲットデータ、最適化後の色処理パラメータで各色パッチデータを処理して得た入力データ(以下、最適化後入力データとする)、重み値wi、評価関数Ei、色相角をID順に一覧で表示し、最後に評価関数Eの値を表示している。このように、一覧画面50を表示手段208に表示することで、利用者はターゲットデータに応じた色処理パラメータとなるよう十分な最適化がなされたか否かを判断することが容易となる。
【0043】
次に、ステップS9において、利用者がステップS8で表示手段208に表示された一覧画面50および色票3の画像を確認することで、最適化を終了するか否かを判断して色処理パラメータ編集装置2へ最適化の継続または終了を指示することにより、色処理パラメータ編集装置2は、指示に応じた最適化の継続または終了を判断する。ここで、利用者の指示が最適化の継続である場合(ステップS9の継続)には、色処理パラメータ編集装置2は、ステップS6へ戻り、再び利用者にターゲットデータの編集を促す画面に遷移する。また、利用者の指示が最適化を終了である場合(ステップS9の終了)には、色処理パラメータ編集装置2は、ステップS10に進む。尚、利用者からの指示は例えばデータ入出力手段201から入力される。
【0044】
次に、ステップS10において、データ入出力手段201が、最適化された色処理パラメータをデジタルカメラ1のデータ入出力手段201へ出力する。これにより、デジタルカメラ1において、色処理パラメータがアップロードされる。以上に示すように、色処理パラメータ編集装置2は、利用者が所望するターゲットデータに応じて色処理パラメータを最適化して、デジタルカメラ1の処理に反映させることができる。すなわち、デジタルカメラ1の色再現特性を定める色処理パラメータを利用者の好みで自由に設定することができる。
【0045】
尚、上述した実施形態では、ステップS4において色処理パラメータ編集装置2にターゲットデータを入力したが、この限りではなく、ステップS5の前であれば任意のタイミングで色処理パラメータ編集装置2のターゲットデータの入力処理を行ってよい。
【0046】
<第2の実施形態>
次に、上述した変更手段204が、ターゲットデータ編集画面上でターゲットデータの彩度を一律に変更可能な環境を利用者に提供する機能を更に備える第2の実施形態の画像処理システムについて説明する。尚、第2の実施形態における画像処理システムの概略構成は、図1に示した第1の実施形態における画像処理システムと同様であり、デジタルカメラ1および色処理パラメータ編集装置2から構成される。また、デジタルカメラ1内の構成および色処理パラメータ編集装置2内の構成も同様であるが、変更手段204の機能が上述した点で異なる。これにより、図3のステップS6において、利用者がターゲットデータの彩度を編集可能となる点も第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なるターゲットデータの彩度に関する処理について説明する。
【0047】
変更手段204は、定数kの値を変更する手段をターゲットデータ編集画面内に表示する。利用者は、この定数kの値を変更することで、ターゲットデータの彩度を一律に変更することができる。以下、定数kと彩度Siの関係について説明する。あるターゲットデータ(L*Ti、a*Ti、b*Ti)においてその彩度Siは、以下の式3により求まる。
【数3】



【0048】
そこで、変更手段204は、定数kを用いて式4によりターゲットデータ(L*Ti、a*Ti、b*Ti)の彩度Siを一律に変更する。
【数4】



すなわち、変更手段204において、定数kが設定されると、ターゲットデータの値は、(L*Ti、ka*Ti、kb*Ti)に変更される。図8は、彩度の変更前と変更後のターゲットデータの色空間のa*b*平面上における移動例を示す図である。図8に示す移動例では、定数kの値が約1.4の場合の、ターゲットデータの色空間のa*b*平面上における移動例を示している。尚、上述した定数kの値1.4は一例であり、利用者の好みに応じて任意の定数kを設定することができる。
【0049】
以上に示したように、第2の実施形態における色処理パラメータ編集装置2は、利用者が所望する彩度となるよう一律にターゲットデータの彩度を変更して、変更後のターゲットデータに応じて色処理パラメータを最適化して、デジタルカメラ1の処理に反映させることができる。すなわち、デジタルカメラ1の色再現特性を定める色処理パラメータを、利用者の好みの彩度であってバランスの取れた彩度となるよう設定することができる。これにより、デジタルカメラ1の彩度表現を一律的に変化させることができる。
【0050】
<他の実施形態>
上述した第1の実施形態および第2の実施形態においては、デジタルカメラ1と色処理パラメータ編集装置2とから構成され、デジタルカメラ1と色処理パラメータ編集装置2、ケーブルなどを用いて直接接続することでデータのやり取りを行っていたが、この限りではなく、デジタルカメラ1および色処理パラメータ編集装置2に着脱可能で不揮発性メモリである記録媒体を用いて、デジタルカメラ1と色処理パラメータ編集装置2の間におけるデータのやり取りを行っても良い。
【0051】
また、上述した実施形態においては、評価関数Eとして式1または式2であらわされる式を使用していたが、この限りではなく、例えば、下記の式5で表されるΔE94を評価関
数Eiとして使用しても良い。
【数5】



【0052】
また、上述した実施形態においては、カメラ機種をA〜Fの6機種として、機種に応じた画像処理手段202での処理を3種類としたが、この限りではなく、カメラ機種は任意の数の機種でも良い。また、機種に応じた画像処理手段202の処理の種類も上述した3種類に限られるものではなく、例えばγ変換1+3×30マトリックス+ガンマ変換2のような処理や、3DLUT(Dimension Look Up Table)による高精度色変換処理などを加えても良い。
【0053】
また前述した実施形態のうち、色処理パラメータ編集装置2の機能を実現する様に各種のデバイスを動作させる様に該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに、上述した実施形態の各機能を実現するためのソフトウエアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)がメモリに格納されたプログラムに従って各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
【0054】
また、上述した実施形態では、色処理パラメータ編集装置2の機能を実現する為のプログラムをメモリに読み込んでCPUが実行することによりその機能を実現させるものであったが、この限りではなく、各処理の全部または一部の機能を専用のハードウェアにより実現してもよい。
また、上述したメモリは、光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記録媒体、RAM以外の揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせによるコンピュータ読み取り、書き込み可能な記録媒体より構成されてもよい。
【0055】
また、色処理パラメータ編集装置2において各種処理を行う機能を実現する為のプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各処理を行っても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0056】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0057】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現する為のものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0058】
また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体およびプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態である画像処理システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示した色票3の構成例を示す図である。
【図3】図1に示した色処理パラメータ編集装置2の動作を示すフロー図である。
【図4】変更手段204が表示手段208に表示するターゲットデータ変更画面の表示例を示す図である。
【図5】各色パッチ3aにおいて最適化後の色処理パラメータを利用して色処理した場合の入力データとターゲットデータと、それらの色差の一覧表示例を示す図である。
【図6】画像処理手段202における画像処理例を示すフロー図である。
【図7】図3に示したステップS7における色処理パラメータの最適化処理例を示す図である。
【図8】彩度の変更前と変更後のターゲットデータの色空間のa*b*平面上における移動例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 デジタルカメラ
2 色処理パラメータ編集装置
3 色票
3a 色パッチ
101 撮像手段
102 データ入出力手段
103 画像処理手段
104 色処理パラメータ保持手段
105 表示手段
201 画像処理手段
202 画像処理手段
203 平均値算出手段
204 変更手段
205 パラメータ最適化手段
206 色処理パラメータ保持手段
207 入力データ、ターゲットデータ保持手段
208 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と、前記撮像装置と通信することで少なくとも前記撮像データ、前記画像データおよび前記第1の色処理パラメータを授受可能な色処理パラメータ編集装置とから構成される画像処理システムであって、
前記色処理パラメータ編集装置は、
前記被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の前記撮像データに対して前記第1の色処理パラメータを用いて前記撮像装置における前記画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る画像処理手段と、
前記画像処理手段の前記画像処理により得る前記色データを色平面上に示す第1のマークと、前記対象色の前記撮像装置における色再現の目標となる目標色を前記色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む前記色平面を含み、前記色平面上における前記第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する変更手段と、
前記変更手段が表示する前記マーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した前記第2のマークで特定される目標色と、前記第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように前記第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する最適化手段と、
前記最適化手段が最適化した前記第2の色処理パラメータを前記撮像装置に送信する送信手段と
を具備することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記色処理パラメータ編集装置が複数種類の前記撮像装置と通信可能であり、前記撮像装置の種類に応じて前記第1の色処理パラメータの値が異なる場合に、前記画像処理手段は、前記前記撮像装置の種類に応じた第1の色処理パラメータを用いて画像処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記第2のマークが複数ある場合に、前記変更手段は、複数の前記第2のマークにおける前記目標色の彩度を利用者が一律に変更可能な手段を更に含む前記マーク変更画面を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記色平面は、CIELABで規定されるa*b*平面であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記被写体は複数の色パッチを含む色票であり、前記対象色は前記色パッチの色である場合に、前記対象色の部分の前記撮像データにおける各色成分の平均値を算出する平均値算出手段を更に具備し、
前記変更手段は、前記第1のマークとする前記色データとして前記平均値算出手段が算出した各色パッチの前記平均値を前記画象処理手段により処理して得る各色パッチの色データを用い、前記第2のマークとする前記目標色として前記各色パッチについて目標とする再現色を用いて、
前記最適化手段は、前記マーク変更画面において利用者が必要に応じて変更後の前記第2のマークで特定される目標色と、前記第1のマークで特定される色との色差を前記色パッチ毎に求め、前記色パッチ毎に求めた色差の合計が小さくなるように前記第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力すること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記被写体は複数の色パッチを含む色票であり、前記対象色は前記色パッチの色である場合に、前記目標色は前記色パッチを測色して得る測色データであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記変更手段は、前記マーク変更画面の前記色平面において前記第2のマークの位置を前記第1のマークの位置と重ねて表示することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と通信することで、少なくとも前記撮像データ、前記画像データおよび前記第1の色処理パラメータを授受可能な色処理パラメータ編集装置を用いた画像処理方法であって、
前記被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の前記撮像データに対して前記第1の色処理パラメータを用いて前記撮像装置における前記画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る第1のステップと、
前記第1のステップで得た前記色データを色平面上に示す第1のマークと、前記対象色の前記撮像装置における色再現の目標となる目標色を前記色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む前記色平面を含み、前記色平面上における前記第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する第2のステップと、
前記第2のステップで表示する前記マーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した前記第2のマークで特定される目標色と、前記第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように前記第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する第3のステップと、
前記第3のステップで最適化した前記第2の色処理パラメータを前記撮像装置に送信する第4のステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と、前記撮像装置と通信することで少なくとも前記撮像データ、前記画像データおよび前記第1の色処理パラメータを授受可能な色処理パラメータ編集装置とから構成される画像処理システムを用いた画像処理方法であって、
前記色処理パラメータ編集装置において、
前記被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の前記撮像データに対して前記第1の色処理パラメータを用いて前記撮像装置における前記画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る第1のステップと、
前記第1のステップで得た前記色データを色平面上に示す第1のマークと、前記対象色の前記撮像装置における色再現の目標となる目標色を前記色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む前記色平面を含み、前記色平面上における前記第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する第2のステップと、
前記第2のステップで表示する前記マーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した前記第2のマークで特定される目標色と、前記第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように前記第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する第3のステップと、
前記第3のステップで最適化した前記第2の色処理パラメータを前記撮像装置に送信する第4のステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と通信することで、少なくとも前記撮像データ、前記画像データおよび前記第1の色処理パラメータを前記撮像装置と授受可能な色処理パラメータ編集装置用のプログラムを記録した記録媒体であって、
前記被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の前記撮像データに対して前記第1の色処理パラメータを用いて前記撮像装置における前記画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る第1のステップと、
前記第1のステップで得た前記色データを色平面上に示す第1のマークと、前記対象色の前記撮像装置における色再現の目標となる目標色を前記色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む前記色平面を含み、前記色平面上における前記第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する第2のステップと、
前記第2のステップで表示する前記マーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した前記第2のマークで特定される目標色と、前記第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように前記第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する第3のステップと、
前記第3のステップで最適化した前記第2の色処理パラメータを前記撮像装置に送信する第4のステップと
を前記色処理パラメータ編集装置に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
被写体を撮像して得る撮像データに対して第1の色処理パラメータに応じた画像処理により画像データを出力する撮像装置と通信することで、少なくとも前記撮像データ、前記画像データおよび前記第1の色処理パラメータを前記撮像装置と授受可能な色処理パラメータ編集装置用のプログラムであって、
前記被写体に含まれる調整対象となる対象色の部分の前記撮像データに対して前記第1の色処理パラメータを用いて前記撮像装置における前記画像処理と同様の画像処理を行うことで色データを得る第1のステップと、
前記第1のステップで得た前記色データを色平面上に示す第1のマークと、前記対象色の前記撮像装置における色再現の目標となる目標色を前記色平面上に示すための第2のマークとを少なくとも一組以上含む前記色平面を含み、前記色平面上における前記第2のマークの位置を利用者が必要に応じて変更可能であるマーク変更画面を表示する第2のステップと、
前記第2のステップで表示する前記マーク変更画面において利用者が必要に応じて変更した前記第2のマークで特定される目標色と、前記第1のマークで特定される色との色差が小さくなるように前記第1の色処理パラメータの最適化を行い第2の色処理パラメータを出力する第3のステップと、
前記第3のステップで最適化した前記第2の色処理パラメータを前記撮像装置に送信する第4のステップと
を前記色処理パラメータ編集装置に実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2005−101828(P2005−101828A)
【公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−331845(P2003−331845)
【出願日】平成15年9月24日(2003.9.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】