説明

画像処理方法、画像処理装置及びプログラム

【課題】適切に情報量を削減できるようにする。
【解決手段】例えば血管線における分岐点又は端点から次の分岐点又は端点までの各特徴点を、グループとし、そのグループごとに、連続する3つの特徴点におけるベクトルの外積の絶対値が外積閾値よりも小さいという条件、及び、該3つの特徴点における余弦が余弦閾値よりも小さいという条件の一方を満たす3つの特徴点のうち、当該条件の他方を満たしかつ最小となる3つの特徴点における真ん中を削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法、画像処理装置及びプログラムに関し、例えばバイオメトリクス認証する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオメトリクス認証対象の1つとして血管がある。一般に、認証装置は、撮像した結果得られる血管の画像を、そのとき撮像した生体を識別するための情報としてメモリに登録する又は当該登録された血管の画像と比較して登録者本人であるか否かを判定するようになされている。
【0003】
ところで、近年、メモリ等に登録する際の情報量を削減する要請があり、この対処策の1つとして、血管の画像を登録するのではなく、当該画像内の血管のうち特徴的な点(位置)のみを登録するといった手法が提案されている(例えば特許文献1)。血管から特徴的な点を抽出する具体的な手法としては、例えばハリスコーナーと呼ばれる手法がある。
【特許文献1】特開平10−295674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる手法では、血管の緩やかなカーブ部分の点についても、コーナとして抽出されるため、特徴的な要素とはならない点が抽出されることが多く、情報削減量としても不十分となることが多い。殊に、血管を撮像するカメラが高画質化すればするほど、この問題は顕在化する。
【0005】
その一方、画像内の血管のうち、あまりに多くの点を削除してしまうと、識別情報としての意義が失われることになりかねない。したがって、識別情報としての意義を失うことなく適切に血管の特徴成分としての点を抽出し得る手法が望まれている。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、適切に情報量を削減し得る画像処理方法、画像処理装置及びプログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明は、入力される画像データの画像に含まれるオブジェクトの輪郭のうち、該輪郭の構成要素として特徴となる特徴点を削除する画像処理方法、画像処理装置又はプログラムであって、輪郭の特徴点として検出された分岐点、端点及び屈曲点のうち、分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの各特徴点を、グループとして割り当てる。このように分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの各特徴点をグループとすることで、輪郭を、決して、分岐することのない線分単位でと処理することが可能となる。
【0008】
そして、そのグループごとに、連続する3つの特徴点におけるベクトルの積が所定の閾値よりも小さいという条件を満たしかつ最小となる3つの特徴点における真ん中を削除する。
【0009】
単に、連続する3つの特徴点で作られる平行四辺形の面積の大小を加味しているので、その3つの特徴点を結ぶ線分の直線性が高いものの真ん中の特徴点を、的確に、削除対象として選択するとすることが可能となり、消去前の輪郭と、消去後の輪郭との形態を近似させながらもその消去後の輪郭が単純となる(滑らかとなる)ように、特徴点を削除することができる。
【0010】
加えて、グループにおける各特徴点のなかで最も直線性を有する部分の特徴点を唯一の削除対象としているので、上記2つの条件を同時にみて、該条件を満たすたびに直ちにその対応する特徴点を削除するといった処理を採用する場合に比して、削除対象の特徴点を、局所的にではなく全体的な観点から選択可能となる分だけ、より一段と的確に、特徴点を削除することができる。
【0011】
また、グループごとに、連続する2つの特徴点を結ぶ線分が所定の線分閾値よりも小さい条件を満たす2つの特徴点を、該2つの特徴点及びその2つの特徴点の一方に連なる特徴点で作られる第1の面積と、該2つの特徴点及びその2つの特徴点の他方に連なる特徴点で作られる第2の面積との比で内分する内分点、又は、該2つの特徴点の一方及びこれに連なる特徴点を結ぶ延長線と、該2つの特徴点の他方及びこれに連なる特徴点を結ぶ延長線との交点のいずれかに置換する。
【0012】
単に、短い線分を構成する2つの特徴点だけに着目せずに、該2つの特徴点に連なる特徴点の位置を加味して新たな特徴点を生成することで、消去前の輪郭と、消去後の輪郭との形態を近似させながらもその消去後の輪郭が単純となる(滑らかとなる)ように、特徴点を削除することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、消去前の輪郭と、消去後の輪郭との形態を近似させながらもその消去後の輪郭が単純となる(滑らかとなる)ように、特徴点を削除することができるようにしたことで、適切に情報量を削減し得る画像処理方法、画像処理装置及びプログラムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面について、本発明を適用した一実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)本実施の形態による認証装置の全体構成
図1において、本実施の形態による認証装置1の全体構成を示す。この認証装置1は、制御部10に対して、操作部11、血管撮像部12、フラッシュメモリ13、外部とデータを授受するインターフェース(以下、これを外部インターフェースと呼ぶ)14及び通知部15をそれぞれバス16を介して接続することにより構成される。
【0016】
制御部10は、認証装置1全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム及び設定情報が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)とを含むマイクロコンピュータでなっている。
【0017】
この制御部10には、登録対象のユーザ(以下、これを登録者と呼ぶ)の血管を登録するモード(以下、これを血管登録モードと呼ぶ)の実行命令COM1又は登録者本人の有無を判定するモード(以下、これを認証モードと呼ぶ)の実行命令COM2が、ユーザ操作に応じて操作部11から与えられる。
【0018】
制御部10は、かかる実行命令COM1、COM2に基づいて実行すべきモードを決定し、この決定結果に対応するプログラムに基づいて、血管撮像部12、フラッシュメモリ13、外部インターフェース14及び通知部15を適宜制御することによって、血管登録モード又は認証モードを実行するようになされている。
【0019】
(1−1)血管登録モード
制御部10は、実行すべきモードとして血管登録モードを決定した場合、動作モードを血管登録モードに遷移し、血管撮像部12を制御する。
【0020】
この場合、血管撮像部12の駆動制御部12aは、この認証装置1における所定位置に近赤外光を照射する1又は2以上の近赤外光光源LSと、撮像カメラCMにおける例えばCCD(Charge Coupled Device)でなる撮像素子IDとを駆動制御する。
【0021】
この近赤外光光源LSから照射される近赤外光は、所定位置に指が配されているとき、その指内方を反射及び散乱するようにして経由し、指の血管を投影する光(以下、これを血管投影光と呼ぶ)として、光学系OPを介して撮像素子IDに入射する。撮像素子IDは、この血管投影光を光電変換し、当該光電変換結果を画像信号S1として駆動制御部12aに出力する。
【0022】
ちなみに、指に照射される近赤外光は、実際には、当該指の表面で反射して撮像素子IDに入射するものもあるため、この撮像素子IDから出力される画像信号S1の画像は、指内方の血管だけではなく、指輪郭や指紋も含まれた状態となる。
【0023】
駆動制御部12aは、この画像の画素値に基づいて、指内方の血管に焦点が合うように光学系OPにおける光学レンズのレンズ位置を調整するとともに、撮像素子IDに入射する入射光量が適応量となるように撮像素子IDに対する露光時間を調整し、当該調整後に撮像素子IDから出力される画像信号S2を制御部10に供給する。
【0024】
制御部10は、この画像信号S2に対して、エッジ処理、平滑化処理、2値化処理及び細線化処理を順次施し、該画像信号S2における画像に含まれる血管を抽出する。そして制御部10は、この血管のうち、該血管の構成要素として特徴となる点(以下、これを特徴点と呼ぶ)を抽出する処理(以下、これを特徴点抽出処理と呼ぶ)を実行し、この結果得られる複数の特徴点を表す情報(以下、これを位置情報と呼ぶ)と、これら特徴点の接続関係を表す情報(以下、これを位相情報と呼ぶ)とを登録データD1としてフラッシュメモリ13に記憶する。
【0025】
このようにしてこの制御部10は、血管登録モードを実行することができるようになされている。
【0026】
(1−2)認証モード
一方、制御部10は、実行すべきモードとして認証モードを決定した場合には、認証モードに遷移し、上述の血管登録モードの場合と同様にして血管撮像部12を制御する。
【0027】
この場合、血管撮像部12は、近赤外光光源LS及び撮像素子IDを駆動制御するとともに、当該撮像素子IDから出力される画像信号S10に基づいて光学系OPにおける光学レンズのレンズ位置及び撮像素子IDの露光時間を調整し、当該調整後に撮像素子IDから出力される画像信号S20を制御部10に供給する。
【0028】
制御部10は、この画像信号S20に対して、上述の血管登録モードと同様のエッジ処理、平滑化処理、2値化処理及び細線化処理を施してこの画像信号S20の画像に含まれる血管を抽出する。
【0029】
また制御部10は、フラッシュメモリ13に登録された登録データD1を読み出し、該登録データD1における位置情報及び位相情報に基づいて血管を復元する。
【0030】
そして制御部10は、この復元した血管と、画像信号S20から抽出した血管とを照合し、当該照合の程度に応じて、このとき指を配したユーザが登録者(正規ユーザ)であるか否かを判定する。
【0031】
ここで、制御部10は、登録者であると判定したときには、外部インターフェース14に接続された動作処理装置(図示せず)に対して所定の動作を行わせる実行命令COM3を生成し、これを外部インターフェース14を介して動作処理装置に転送する。
【0032】
この外部インターフェース14に接続された動作処理装置の実施態様として、例えば閉錠状態にあるドアを採用した場合、制御部10は、開錠動作を行わせる実行命令COM3をドアに転送する。また他の動作処理装置の実施態様例として、複数の動作モードのうち一部の動作モードを制限した状態にあるコンピュータを採用した場合、制御部10は、その制限された動作モードを開放させる実行命令COM3をコンピュータに転送する。
【0033】
なお、実施態様として2つ例を挙げたが、これらに限らず、他の実施態様も適宜選択することができる。また、本実施の形態では、動作処理装置を外部インターフェース14に接続するようにしたが、当該動作処理装置におけるソフトウェア乃至ハードウェアの構成をこの認証装置1に搭載するようにしてもよい。
【0034】
これに対して、制御部10は、登録者ではないと判定したときには、その旨を通知部15の表示部15aを介して表示するとともに、当該通知部15の音声出力部15bを介して音声出力することによって、当該登録者ではないと判定されたことを視覚的及び聴覚的に通知する。
【0035】
このようにしてこの制御部10は、認証モードを実行することができるようになされている。
【0036】
(2)第1の特徴点抽出処理の具体的な処理内容
次に、登録モード時に実行される制御部10の特徴点抽出処理として、この実施の形態では2つの具体的な処理内容を挙げる。まず、第1の特徴点抽出処理の具体的な処理内容を説明する。
【0037】
第1の特徴点抽出処理は、機能的には、図2に示すように、特徴点検出部21、屈曲点削除部22、端点削除部23及び特徴点補正部24の各部にそれぞれ分けることができる。以下、これら特徴点検出部21、屈曲点削除部22、端点削除部23及び特徴点補正部24をそれぞれ詳細に説明する。
【0038】
(2−1)特徴点の検出
この特徴点検出部21には、撮像素子IDから出力される画像信号S2(図1)に対するエッジ処理、平滑化処理、2値化処理及び細線化処理の処理結果が、画像データとして入力される。この画像データの画像に含まれる血管は、2値化処理により、黒画素又はこれとは逆の白画素とされ、その幅(太さ)は、細線化処理により、「1」とされる。
【0039】
この血管幅が「1」とは、血管幅が1画素ということ、つまり、画像データにおける線幅を1画素とされた結果、血管の血行方向に対して直交する方向のパラメータ(画素数)を最小単位に固定して「線」として表現されたものである。
【0040】
この1画素幅でなる血管(以下、これを血管線と呼ぶ)上における特徴点の検出処理を、以下、段階に分けて説明する。ただし、この実施の形態では、血管の画素を黒画素として説明する。
【0041】
(2−1−1)第1段階
特徴点検出部21は、第1段階として、血管線を構成する画素(黒画素)から、血管線における特徴の根幹ともいうべき分岐点及び端点を検出する。
【0042】
具体的には、特徴点検出部21は、入力される画像(画像データ)を構成する各画素のうち、背景画素(白画素)以外の画素(黒画素)を所定の順序で着目画素とし、該着目画素の周囲の画素(上下左右方向における4画素及び斜め方向における4画素の計8画素)に存在する黒画素数を調べる。
【0043】
ここで、血管線における端点、分岐点及び孤立点と、その周囲の画素に存在する黒画素の出現パターンを図3に示す。この図3からも明らかなように、血管が1画素幅として表現されている場合、その血管(即ち血管線)における端点、分岐点及び孤立点と、その周囲の黒画素の「数」との関係は一義的となり、また、分岐パターンとしては、必ず、3分岐又は4分岐のいずれかとなる。
【0044】
特徴点検出部21は、例えば図4に示すように、着目画素の周囲に1つの黒画素が存在する場合(図4(A))、その着目画素を血管線の端点として検出する。一方、特徴点検出部21は、着目画素の周囲に3つの黒画素が存在する場合(図4(B))、又は4つの画素が存在する場合(図示せず)、その着目画素を分岐点として検出する。他方、特徴点検出部21は、着目画素の周囲に黒画素が存在しない場合(図4(C))、その着目画素を孤立点として検出する。
【0045】
そして特徴点検出部21は、検出した端点、分岐点及び孤立点のうち、血管線の構成要素とはならない孤立点を削除する。
【0046】
このようにして特徴点検出部21は、第1段階では、着目画素とした黒画素の周囲に存在する黒画素数に応じて、血管線の端点及び分岐点を検出するようになされている。
【0047】
(2−1−2)第2段階
次に、特徴点検出部21は、第2段階として、第1段階で検出した端点及び分岐点を基準に、血管線を構成する画素(黒画素)から屈曲点を検出する。
【0048】
例えば図5に示す場合、特徴点検出部21は、分岐点DP1を始点とし、該始点とした分岐点DP1の次に出現する他の特徴点(端点EP1、端点EP2、分岐点DP2)を終点として、始点から終点までの血管線(以下、これを部分血管線と呼ぶ)を追跡する。同様に、特徴点検出部21は、分岐点DP2を始点とし、該始点とした分岐点DP2の次に出現する他の特徴点(端点EP3、端点EP4)を終点として、部分血管線を追跡する。
【0049】
この図5の例では、分岐点DP1、DP2を始点としたが、端点を始点とするようにしてもよい。ちなみに、この図5からも明らかなように、端点は、必ず、始点又は終点のいずれか一方にしかなり得ないものであるが、分岐点は、必ず、始点及び終点の一方又は双方が重複する。
【0050】
ここで、具体的な追跡手法を図6に示す。この図6において、特徴点検出部21は、始点から、現着目画素(網状ハッチングで表される画素)の周囲に存在する黒画素のうち以前に着目画素とした黒画素(横ハッチングで表される画素)を除く黒画素を、次の着目画素として、当該現着目画素の周囲に存在する黒画素が終点となるまで、連続する黒画素を順次追跡していく。
【0051】
この連続する黒画素(部分血管線)は、分岐点又は端点から次の分岐点又は端点までの血管線であることから、決して、分岐が存在しないものとなる。したがって、着目画素は、必ず、直線上の点又は屈曲点となる。ちなみに、図7において、直線上の点及び屈曲点の周囲における黒画素の出現パターンを示す。
【0052】
特徴点検出部21は、例えば図8に示すように、始点及び終点(斜め格子状のハッチングで表される画素)の間の追跡過程において、現着目画素以前の黒画素の直線性が、次に着目画素とされる黒画素から損なわれる場合には、該現着目画素を屈曲点(格子状のハッチングで表される画素)として検出する。
【0053】
やがて、終点に到達すると、特徴点検出部21は、この部分血管線における始点から屈曲点を経て終点までの各特徴点を、グループとして割り当てる。
【0054】
このようにして特徴点検出部21は、第2段階では、血管線を、分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの部分血管線ごとに追跡し、当該追跡方向が変化する位置を屈曲点として検出するとともに、これら部分血管線における始点から屈曲点を経て終点までの各特徴点をグループとして割り当てるようになされている。
【0055】
この実施の形態の場合、図7に示したように、直線上の点と、屈曲点の周囲における出現パターンが一義的となることを考慮し、この特徴点検出部21には、着目画素の周囲における画素に対する追跡順序パターンが、現着目画素と、その1つ前に着目画素であった画素(以下、これを直前着目画素と呼ぶ)との位置関係に応じて設定されている。
【0056】
具体的には、図9に示すように、現着目画素(網状ハッチングで表される画素)に対して水平方向、垂直方向及び斜め方向に直前着目画素(横ハッチングで表される画素)が位置する場合の追跡順序パターンがそれぞれ設定されている。現着目画素に対して直前着目画素が水平方向又は垂直方向に位置する場合(図9(A)、(図9(B))、1画素幅の血管線では、次に黒画素が出現する位置は、図7からも分かるように、直前着目画素に対向する画素Po1と、その画素Po1に隣接する画素Po2、Po3となる。したがってこの場合の追跡順序パターンは、当該画素Po1を1番目とし、その画素Po1に隣接する画素Po2、Po3を2番目及び3番目とされる。
【0057】
一方、現着目画素に対して直前着目画素が斜め方向に位置する場合(図9(C))、1画素幅の血管線では、次に黒画素が出現する位置は、図7からも明らかなように、直前着目画素に対向する画素Po1及びその画素に隣接する画素Po2、Po3に加えて、その画素Po2、Po3に隣接する画素Po4、Po5となる。したがって、この場合の追跡順序パターンは、当該画素Po1を1番目とし、その画素Po1に隣接する画素Po2、Po3を2番目及び3番目とし、その画素Po2、Po3に隣接する画素Po4、Po5を4番目及び5番目とされる。
【0058】
これら追跡順序パターンのうち、例えば図10に示すように、現着目画素に対して直前着目画素が斜め方向に位置する場合、特徴点検出部21は、対応する追跡順序パターンを選択し、この追跡順序パターンの順序で、現着目画素の周囲における一部から黒画素を追跡する。
【0059】
このように特徴点検出部21は、現着目画素の周囲における一部の画素を、その現着目画素と、直前着目画素との位置関係に応じた順序で追跡することによって、該現着目画素の周囲における全ての画素を一律に追跡する場合に比して、より高速に屈曲点を検出することができるようになされている。
【0060】
(2−2)屈曲点の削除
屈曲点削除部22は、特徴点検出部21によってグループとして割り当てられた、部分血管線における始点から屈曲点を経て終点までの各特徴点(以下、これを部分血管構成点列と呼ぶ)を、処理単位として、必要に応じて屈曲点を削除する。
【0061】
この部分血管構成点列は、例えば図5における血管線を例とした場合、図11に示すように、部分血管線BSL1における始点(分岐点)GPf1及び終点(端点)GPE1と、該始点及び終点間の屈曲点(図示せず)、部分血管線BSL2における始点(分岐点)GPf2及び終点(端点)GPE2と、該始点及び終点間の屈曲点(図示せず)、部分血管線BSL3における始点(分岐点)GPf3及び終点(分岐点)GPE3と、該始点及び終点間の屈曲点(図示せず)、部分血管線BSL4における始点(分岐点)GPf4及び終点(端点)GPE4と、該始点及び終点間の屈曲点(図示せず)、部分血管線BSL5における始点(分岐点)GPf5及び終点(端点)GPE5と、該始点及び終点間の屈曲点(図示せず)となり、これら部分血管構成点列における屈曲点が、必要に応じて削除されることになる。ちなみに、この図11における分岐点GPf1、GPf2及びGPf3、GPf4及びGPf5は、位置(座標)情報としては同一であるが、グループが異なるため、便宜上、分離して示している。
【0062】
これら部分血管構成点列における屈曲点の削除処理の内容は同一であるので、該内容を、ある1つの部分血管構成点列を処理対象とした場合に限って、段階ごとに説明する。
【0063】
(2−2−1)第1段階
まず、屈曲点削除部22は、第1段階として、部分血管構成点列における始点及び終点のいずれか一方又は双方が分岐点となる場合、その分岐点の近傍に屈曲点があればこれを削除する。
【0064】
具体的には、屈曲点削除部22は、例えば図12に示すように、部分血管線BSLXを構成する部分血管構成点列の始点が分岐点DPXである場合、その分岐点DPXの周囲の画素(上下左右方向における4画素及び斜め方向における4画素の計8画素)に存在する屈曲点BPXを削除する。
【0065】
したがって、屈曲点削除部22は、数多く出現し易い傾向にあるが特徴的な構成要素としての存在意義の乏しい屈曲点を、削除対象として選択することになる。この結果、屈曲点削除部22は、例えば図13に示すように、消去前の部分血管線(図13(A))に対して、消去後の部分血管線(図13(B))の形態が近似しながらもその消去後の部分血管線が単純となる(滑らかとなる)ように、屈曲点を削除することができる。
【0066】
ちなみに、図12の例では、分岐点DPXの近傍として、分岐点DPXの周囲としたが、これに代えて、分岐点DPXから所定の距離範囲としてもよい。このようにしても、図12の例の場合と同様の結果を得ることができる。
【0067】
このようにして屈曲点削除部22は、第1段階では、分岐点に対して、「近傍」に存在する屈曲点を削除することによって、データ量の削減を図るようになされている。
【0068】
なお、屈曲点削除部22は、この第1段階の削除処理を実行することなく第2段階以降の削除処理を実行する場合に比して、該第2段階以降で、より的確に屈曲点を削除することができることになる。このことは本出願人による実験結果で明らかとなっている。その理由の1つとして、分岐点の近傍における屈曲点の存在によって、本来特徴的な構成要素となるべき他の屈曲点を潜在化させてしまうということが考えられる。
【0069】
(2−2−2)第2段階
次に、屈曲点削除部22は、第2段階として、部分血管構成点列のうち、連続する3つの特徴点で作られる線分が直線に近い場合、該3つの特徴点の真ん中を削除する。この直線に近いか否かを判定する条件として、連続する3つの特徴点で作られる余弦と、これら特徴点で作られる平行四辺形の面積とが採用される。ちなみに、連続する3つの特徴点の両端は分岐点又は端点となることはあるが、真ん中の特徴点は、必ず、屈曲点となる。
【0070】
ここで、仮に、連続する3つの特徴点で作られる余弦だけを条件とした場合、例えば図14に示すように、その真ん中の特徴点GPと、両端の特徴点GPE−1、GPE−2とで作られる平行四辺形(ハッチングで表される領域)の面積が小さいときには(図14(A))、真ん中の特徴点GPを削除しても、その削除に起因して、削除前の血管線に対する削除後の血管線がかけ離れた態様になるということはない。
【0071】
しかし、その真ん中の特徴点GPと、両端の特徴点GPE−1、GPE−2とで作られる平行四辺形の面積が大きいときには(図14(B))、真ん中の特徴点GPを削除すると、その削除に起因して、削除前の血管線に対する削除後の血管線の態様がかけ離れたものとなってしまう。
【0072】
このように、単に、連続する3つの特徴点で作られる余弦の大小だけを条件とせずに、該3つの特徴点で作られる平行四辺形の面積の大小をも条件として加味すると、消去前の部分血管線と、消去後の部分血管線との形態を近似させながらもその消去後の部分血管線が滑らかにさせ得る屈曲点を、削除対象として、的確に選択することが可能となる。
【0073】
具体的に、この第2段階における屈曲点の削除処理は、部分血管構成点列における始点から、図15のフローチャートに示す手順で実行される。すなわち屈曲点削除部22は、連続する3つの特徴点を、現着目対象として選択する(ステップSP1)。
【0074】
そして屈曲点削除部22は、例えば図16に示すように、現着目対象とした3つの特徴点(以下、これを現着目連続3点と呼ぶ)GPi−1、GP、GPi+1(i=2、3、……、m(mは整数))のうち、一端の特徴点GPi−1及び真ん中の特徴点GP間のベクトルB1と、真ん中の特徴点GP及び他端の特徴点GPi+1間のベクトルB2の外積の絶対値を求め(ステップSP2)、その絶対値が所定の閾値(以下、これを外積閾値と呼ぶ)よりも小さいか否かを判定する(ステップSP3)。
【0075】
ここで、外積閾値以上となる場合、このことは 現着目連続3点GPi−1、GP、GPi+1で作られる平行四辺形の面積が大きいということを意味している。この場合、屈曲点削除部22は、部分血管構成点列の始点側から終点側に、現着目対象を1点分だけシフトさせ(ステップSP4)、次に現着目対象とすべき連続する3つの特徴点を選択可能であるか否かを判定する(ステップSP5)。
【0076】
一方、屈曲点削除部22は、外積閾値よりも小さい場合、つまり現着目連続3点GPi−1、GP、GPi+1で作られる平行四辺形の面積が小さい場合、該現着目連続3点GPi−1、GP、GPi+1の余弦θを求め(ステップSP6)、その余弦θと真ん中の特徴点GPとを対応付けて一時的に記憶する(ステップSP7)。この後、屈曲点削除部22は、部分血管構成点列の始点側から終点側に、現着目対象を1点分だけシフトさせ(ステップSP4)、次に現着目対象とすべき連続する3つの特徴点を選択可能であるか否かを判定する(ステップSP5)。
【0077】
このように屈曲点削除部22は、部分血管構成点列について、連続する3つの特徴点を、部分血管構成点列の始点から1点ずつシフトさせながら終点まで順次着目対象として選択し、そのとき選択した現着目連続3点GPi−1、GP、GPi+1におけるベクトルB1、B2の外積の絶対値が外積閾値よりも小さい場合には、その現着目連続3点GPi−1、GP、GPi+1(図16)における余弦θと、その真ん中の特徴点GP(図16)とを対応付けて一時的に記憶していく(ステップSP1〜ステップSP7)。
【0078】
やがて、次の連続する3つの特徴点を選択可能でなくなると、屈曲点削除部22は、いままで一時的に記憶しておいた余弦のうち、最小の余弦が所定の閾値(以下、これを余弦閾値と呼ぶ)よりも小さいか否かを判定する(ステップSP8)。
【0079】
ここで、余弦閾値よりも小さい場合、このことは、連続する3つの特徴点で作られる線の直線性が高いことを意味する。この場合、屈曲点削除部22は、その最小の余弦に対応付けられた3つの特徴点の真ん中を削除した後(ステップSP9)、再び、部分血管構成点列における始点から、部分血管構成点列のなかに余弦閾値よりも小さい余弦を形成する3つの特徴点がなくなるまで、上述の処理を繰り返す。
【0080】
一方、屈曲点削除部22は、余弦閾値よりも大きい場合、つまり部分血管構成点列のなかに余弦閾値よりも小さい余弦を形成する3つの特徴点がなくなった場合には、この第2段階の削除処理を終了する。
【0081】
屈曲点削除部22は、このような手順により、第2段階における屈曲点の削除処理を実行するようになされている。
【0082】
ちなみに、この図16における削除処理では、その手順として、部分血管構成点列において連続する3つの特徴点のなかで、ベクトルB1、B2(図16)の外積の絶対値が外積閾値よりも小さいものを選択しておき、当該選択した3つの特徴点における余弦θ(図16)のうち最も小さい余弦θが余弦閾値よりも小さい場合に、その最小の余弦θに対応する3つの特徴点における真ん中を削除したが、これに代えて、該3つの特徴点における余弦が余弦閾値よりも小さいものを選択しておき、当該選択した3つの特徴点ベクトルの外積の絶対値のうち最も小さい絶対値が外積閾値よりも小さい場合に、その最小の絶対値に対応する3つの特徴点における真ん中を削除するようにしてもよい。
【0083】
このことは、現着目連続3点GPi−1、GP、GPi+1(図16)におけるベクトルB1、B2(図16)の外積の絶対値が外積閾値よりも小さいという条件、又は、該現着目連続3点GPi−1、GP、GPi+1における余弦θ(図16)が余弦閾値よりも小さいという条件を、削除対象の候補となる3つの特徴点を選択する条件としてもよいし、選択候補のなかから削除対象とすべき3つの特徴点を決定する条件としてもよいということを意味するものである。
【0084】
いずれにしても、屈曲点削除部22は、連続する3つの特徴点で作られる余弦と、該3つの特徴点で作られる平行四辺形の面積とを条件とするので、図14でも述べたように、部分血管構成点列において連続する3つの特徴点のなかで、的確に、最も直線性の高い3つの特徴点GPE−1−GP−GPE−2の真ん中の特徴点GPを、削除対象として選択することになる。
【0085】
この結果、屈曲点削除部22は、消去前の部分血管線に対して、消去後の部分血管線の形態が近似しながらもその消去後の部分血管線が単純となる(滑らかとなる)ように、屈曲点を削除することができる。
【0086】
このようにして屈曲点削除部22は、第2段階では、部分血管構成点列のなかで連続する3つの特徴点におけるベクトルの外積の絶対値が外積閾値よりも小さいという条件、及び、該3つの特徴点における余弦が余弦閾値よりも小さいという条件のうちの一方を満たす3つの特徴点のうち、当該条件の他方を満たしかつ最小となる3つの特徴点における真ん中を削除することによって、データ量の削減を図るようになされている。
【0087】
なお、屈曲点削除部22は、部分血管構成点列における全体のなかで最も直線性を有する部分の屈曲点を唯一の削除対象として削除する処理を、繰り返し実行しているので、「部分血管構成点列のなかで連続する3つの特徴点におけるベクトルの外積の絶対値が外積閾値よりも小さいという条件と、該3つの特徴点で作られる内角が規定値よりも小さいという条件とを同時にみて、該条件を満たすたびに直ちにその対応する屈曲点を削除する」といった処理を採用する場合に比して、部分血管構成点列における削除対象の屈曲点を、局所的にではなく全体的な観点から選択可能となる分だけ、より一段と的確に、屈曲点を削除することができるようになされている。
【0088】
(2−2−3)第3段階
次に、屈曲点削除部22は、第3段階として、部分血管構成点列のうち、連続する2つの特徴点を結ぶ線分が規定値よりも短い場合、例えば図17に示すように、該短い線分を構成する特徴点GPX−1、GPX−2に連なる特徴点GPY−1、GPY−2を含む4つの特徴点を結ぶ血管線GPY−1−GPX−1−GPX−2−GPY−2の形態(図17(A))に応じて、その短い線分を構成する特徴点GPX−1、GPX−2を、新たな1つの特徴点GPN−1、GPN−2(図17(B))に置換する。ちなみに、連続する4つの特徴点の両端は分岐点又は端点となることはあるが、置換対象となる2つの特徴点GPX−1、GPX−2は、必ず、屈曲点となる。
【0089】
ここで、この図17の例にも挙げているように、連続する4つの特徴点を結ぶ血管線GPY−1−GPX−1−GPX−2−GPY−2の形態は、おおよそ「Z」状又は「U」状のいずれかとなる。「Z」状の形態をとる場合、屈曲点削除部22は、短い線分を構成する特徴点GPX−1、GPX−2及びこれの一方に連なる特徴点GPY−1で作られる平行四辺形の面積A1と、該特徴点GPX−1、GPX−2及びこれの他方に連なる特徴点GPY−2で作られる平行四辺形の面積A2の比で内分する点を、新たな1つの特徴点GPN−1として、当該3つの特徴点を結ぶ血管線GPY−1−GPN−1−GPY−2の形態を「I」状とする。
【0090】
一方、「U」状の形態をとる場合、屈曲点削除部22は、短い線分を構成する特徴点GPX−1、GPX−2と、これに連なる対応する特徴点GPY−1、GPY−2とを結ぶ線分GPY−1−GPX−1、GPY−2−GPX−2の延長線の交点を、新たな1つの特徴点GPN−2として、当該3つの特徴点を結ぶ血管線GPY−1−GPN−2−GPY−2の形態を「V」状とする。
【0091】
この図17からも明らかなように、短い線分を構成する2つの特徴点GPX−1、GPX−2だけに着目せずに、該2つの特徴点GPX−1、GPX−2に連なる特徴点GPY−1、GPY−2の位置を加味して新たな特徴点GPN−1、GPN−2を生成することで、消去前の部分血管線と、消去後の部分血管線との形態を近似させながらもその消去後の部分血管線が単純に(滑らかに)させ得る屈曲点を、削除対象として、的確に選択することが可能となる。
【0092】
この第3段階における屈曲点の削除処理は、部分血管構成点列における2番目から、図18のフローチャートに示す手順で実行される。すなわち屈曲点削除部22は、連続する2つの特徴点を、現着目対象として選択する(ステップSP11)。
【0093】
そして屈曲点削除部22は、現着目対象の2つの特徴点の他端が、部分血管構成点列の終点に到達していない場合には(ステップSP12)、このとき選択した2つの特徴点間の線分が所定の閾値(以下、これを第1の線分閾値と呼ぶ)よりも小さいか否かを判定し(ステップSP13)、該第1の線分閾値以上となるときには、部分血管構成点列の始点側から終点側に、現着目対象を1点分だけシフトさせる(ステップSP14)。
【0094】
このようにして屈曲点削除部22は、第1の線分閾値よりも小さい条件を満たす2つの特徴点を選択するまで、連続する2の特徴点を、部分血管構成点列の始点から1点ずつシフトさせながら終点まで順次選択していく(ステップSP11〜ステップSP14)。
【0095】
一方、2つの特徴点間の線分が第1の線分閾値よりも小さい場合、屈曲点削除部22は、例えば図19に示すように、現着目対象の特徴点GP(j=2、3、……、n(nは整数))、GPj+1間のベクトルB10と、特徴点GP及びその特徴点GPに対して一端側に連なる特徴点GPj−1間のベクトルB11の外積を求める。また、屈曲点削除部22は、現着目対象の2つの特徴点GP、GPj+1間のベクトルB10と、特徴点GPj+1及びその特徴点GPj+1に対して他端側に連なる特徴点GPj+2間のベクトルB12の外積を求める(ステップSP15)。そして屈曲点削除部22は、ベクトルB10、B11の外積と、ベクトルB11、B12の外積とにおける正負の符号が一致するか否かを判定する(ステップSP16)。
【0096】
ここで、正負の符号が一致しない場合、このことは、この図19の例に示すように、現着目対象の2つの特徴点GP、GPj+1と、これと前後に連なる特徴点GPj−1、GPj+2とを結ぶ線分GPj−1−GP−GPj+1−GPj+2の形態が「Z」状であることを意味する。
【0097】
この場合、屈曲点削除部22は、ベクトルB10及びB11の外積の絶対値(すなわち特徴点GPj−1、GP、GPj+1で作られる平行四辺形の面積Ta)を「PD1」とし、ベクトルB10及びB12の外積の絶対値(すなわち特徴点GP、GPj+1、GPj+2で作られる平行四辺形の面積Tb)を「PD2」とすると、次式
【0098】
【数1】

【0099】
にしたがって、面積Ta:Tbで内分する内分点GPを求める(ステップSP17)。そして屈曲点削除部22は、この内分点GPを生成するとともに、現着目対象の2つの特徴点GP、GPj+1を削除した後(ステップSP18)、部分血管構成点列の始点側から終点側に、現着目対象を1点分だけシフトさせ(ステップSP14)、上述の処理を繰り返す。
【0100】
これに対して、正負の符号が一致する場合、このことは、例えば図20に示すように、現着目対象の2つの特徴点GP、GPj+1と、これと前後に連なる特徴点GPj−1、GPj+2とを結ぶ線分GPj−1−GP−GPj+1−GPj+2の形態が「U」状であることを意味する。
【0101】
この場合、屈曲点削除部22は、ベクトルB10及びB12の外積を「PD3」とし、ベクトルB11及びB12の外積を「PD4」とすると、
次式
【0102】
【数2】

【0103】
にしたがって、ベクトルB11及びB12の延長線上の交点GPINを求める(ステップSP19)。そして屈曲点削除部22は、この交点GPINを生成するとともに、現着目対象の2つの特徴点GP、GPj+1を削除した後(ステップSP18)、部分血管構成点列の始点側から終点側に、現着目対象を1点分だけシフトさせ(ステップSP14)、上述の処理を繰り返す。
【0104】
屈曲点削除部22は、このような手順により、第3段階における屈曲点の削除処理を実行するようになされている。
【0105】
屈曲点削除部22は、図17でも述べたように、連続する2つの特徴点GPX−1、GPX−2の前後に連なる特徴点GPY−1、GPY−2の位置を加味するので、的確に、削除対象とすべき2つの特徴点GPX−1、GPX−2を、新たな1つの特徴点GPN−1、GPN−2に置換することができることになる。
【0106】
この結果、屈曲点削除部22は、消去前の部分血管線に対して、消去後の部分血管線の形態が近似しながらもその消去後の部分血管線が単純となる(滑らかとなる)ように、屈曲点を削除することができる。
【0107】
このようにして屈曲点削除部22は、第3段階では、部分血管構成点列のなかで連続する2つの特徴点を結ぶ線分GPX−1−GPX−2が第1の線分閾値よりも小さい条件を満たす2つの特徴点GPX−1、GPX−2を、その2つの特徴点及びその2つの特徴点の一方に連なる特徴点で作られる面積Taと、該2つの特徴点及びその2つの特徴点の他方に連なる特徴点で作られる面積Tbとの比で内分する点GPに、又は、その2つの特徴点の一方及びこれに連なる特徴点を結ぶ延長線と、該2つの特徴点の他方及びこれに連なる特徴点を結ぶ延長線との交点GPINに置換することによって、データ量の削減を図るようになされている。
【0108】
なお、屈曲点削除部22は、置換対象の点(GP又はGPIN)の切り換えを、連続する2つの特徴点及びその2つの特徴点の一方に連なる特徴点との外積と、該2つの特徴点及びその2つの特徴点の他方に連なる特徴点との外積とにおける正負の符号の異同とする、つまり、連続する2つの特徴点GPX−1、GPX−2の前後に連なる特徴点GPY−1、GPY−2との連結態様を加味することで、的確に、置換することができる。
【0109】
(2−2−4)第4段階
最後に、屈曲点削除部22は、第4段階として、部分血管構成点列について、連続する3つの特徴点で作られる平行四辺形の面積が規定値よりも小さくなる場合、その真ん中の特徴点を削除する。ちなみに、連続する3つの特徴点の両端は分岐点又は端点となることはあるが、真ん中の特徴点は、必ず、屈曲点となる。
【0110】
ここで、第2段階では、連続する3つの特徴点で作られる平行四辺形の余弦の大小も加味して直線性を重視していたのに対し、この第4段階では、直線性を重視することなく、平行四辺形の面積が規定値よりも小さいときには屈曲点を削除する。
【0111】
これは、第2及び第3段階における削除処理では、部分血管構成点列の細部にわたらず大きく捉えて削除するので、当該削除処理の終了時点では、部分血管構成点列のなかで連続する3つの特徴点で作られる平行四辺形の面積が規定値よりも小さくなるという部分は、おおよそ、屈曲点同士が大きく離間せずに密に分布するものに限定されるため、この部分の屈曲点を削除対象としても、削除前の血管線に対する削除後の血管線の態様がかけ離れたものとなるということはないからである。
【0112】
具体的に、この第4段階における屈曲点の削除処理は、部分血管構成点列における始点から、図21のフローチャートに示す手順で実行される。すなわち屈曲点削除部22は、連続する3つの特徴点を、現着目対象として選択する(ステップSP21)。
【0113】
そして屈曲点削除部22は、例えば図22に示すように、現着目連続(現着目対象とした3つの特徴点)GPk−1、GP、GPk+1(k=2、3、……、s(sは整数))のうち、一端の特徴点GPk−1及び真ん中の特徴点GP間のベクトルB1と、真ん中の特徴点GP及び他端の特徴点GPk+1間のベクトルB2の外積の絶対値を求め(ステップSP22)、この外積の絶対値と、現着目連続3点GPk−1、GP、GPk+1(位置情報)とを対応付けて一時的に記憶する(ステップSP23)。
【0114】
この後、屈曲点削除部22は、部分血管構成点列の始点側から終点側に、現着目対象を1点分だけシフトさせ(ステップSP24)、次に現着目対象とすべき連続する3つの特徴点を選択可能であるか否かを判定する(ステップSP25)。
【0115】
このように屈曲点削除部22は、部分血管構成点列について、連続する3つの特徴点を、部分血管構成点列の始点から1点ずつシフトさせながら終点まで順次着目対象を選択し、そのとき選択した現着目連続3点GPk−1、GP、GPk+1(図22)で作られる平行四辺形の面積(ベクトルB1、B2の外積の絶対値)を、そのとき選択した現着目連続3点GPk−1、GP、GPk+1(図16)と対応付けて一時的に記憶していく(ステップSP21〜ステップSP25)。
【0116】
やがて、次の連続する3つの特徴点を選択可能でなくなると、屈曲点削除部22は、いままで一時的に記憶しておいた外積の絶対値のうち、最小の外積の絶対値が所定の閾値(以下、これを第2の外積閾値と呼ぶ)よりも小さいか否かを判定する(ステップSP26)。
【0117】
ここで、第2の外積閾値よりも小さい場合、屈曲点削除部22は、その最小の外積の絶対値に対応付けられた3つの特徴点GPk−1、GP、GPk+1(図22)における真ん中の特徴点GPを削除した後(ステップSP27)、再び、部分血管構成点列における始点から、部分血管構成点列のなかに余弦閾値よりも小さい余弦を形成する3つの特徴点がなくなるまで、上述の処理を繰り返す。
【0118】
一方、屈曲点削除部22は、第2の外積閾値よりも大きい場合、つまり部分血管構成点列のなかに第2の外積閾値よりも小さい面積を作る3つの特徴点がなくなった場合には、この第4段階の削除処理を終了する。
【0119】
屈曲点削除部22は、このような手順により、第4段階における屈曲点の削除処理を実行するようになされている。
【0120】
したがって、屈曲点削除部22は、部分血管構成点列のうち、屈曲点同士が大きく離間せずに密に分布している部分を、削除対象とすることになる。この結果、屈曲点削除部22は、消去前の部分血管線に対して、消去後の部分血管線の形態が近似しながらもその消去後の部分血管線が単純となる(滑らかとなる)ように、屈曲点を削除対象として選択することができることになる。
【0121】
このようにして屈曲点削除部22は、第4段階では、部分血管構成点列のなかで連続する3つの特徴点で作られる平行四辺形の面積のうち、最小となる面積が規定値よりも小さい3つの特徴点における真ん中の特徴点を削除することによって、データ量の削減を図るようになされている。
【0122】
なお、屈曲点削除部22は、第2段階と同様に、部分血管構成点列における全体のなかで最も小さい面積を作る部分の屈曲点を唯一の削除対象として削除する処理を、繰り返し実行しているので、「部分血管線において連続する3つの特徴点で作られる平行四辺形の面積が規定値よりも小さいという条件を満たすたびにその都度その3つの特徴点の真ん中を削除する」といった処理を採用する場合に比して、部分血管構成点列における削除対象の屈曲点を、局所的にではなく全体的な観点から選択可能となる分だけ、より一段と的確に、屈曲点を削除することができるようになされている。
【0123】
(2−3)端点の削除
端点削除部23は、各部分血管線における部分血管構成点列の始点又は終点を、必要に応じて削除する。この部分血管構成点列の始点又は終点の削除処理を、以下、段階に分けて説明する。
【0124】
(2−3−1)第1段階
端点削除部23は、第1段階として、部分血管構成点列における始点及び終点のいずれか一方又は双方が端点となる場合、例えば図23(A)に示すように、その端点DPxと、該端点DPxに連なる屈曲点Pxとの距離が所定の閾値よりも短ければ、その端点DPxを削除する。
【0125】
したがって、端点削除部23は、特徴的な構成要素としての存在意義の乏しい端点を、削除対象とすることになる。この結果、端点削除部23は、例えば図23(B)に示すように、消去前の血管線(図23(A))に対して、消去後の血管線の形態が近似しながらもその消去後の部分血管線が単純となる(滑らかとなる)ように、端点を削除することができる。
【0126】
このようにして端点削除部23は、第1段階では、端点のうち、それに連なる屈曲点との間の距離が短い端点を削除することによって、データ量の削減を図るようになされている。ちなみに、削除対象を端点としたが、その端点に連なる屈曲点としてもよい。このようにしても削除対象を端点とする場合と同様の効果を得ることができる。
【0127】
(2−3−2)第2段階
次に、端点削除部23は、第2段階として、血管線上の分岐点のうち、該分岐点から伸びる3つ又は4つの部分血管線の交差角度が180度に近い1対の部分血管線がある場合、その1対の部分血管線における部分血管構成点列を、1つの部分血管構成点列として、元の部分血管構成点列の端点となる始点又は終点の1つを削除する。ちなみに、分岐点から伸びる部分血管線は、1画素幅でなる血管(血管線)では、図3でも述べたように、必ず、3つ又は4つとなる。
【0128】
具体的に、例えば図24(A)に示すように、分岐点GP(GPA1、GPB1、GPC1)から3つの部分血管線PBL、PBL、PBLが伸びている場合、端点削除部23は、これら部分血管線PBL、PBL、PBLのうち、1対の部分血管線同士の交差角度θA−B、θA−C、θB−Cの余弦(cos(θA−B)、cos(θA−C)、cos(θB−C))を求める。
【0129】
ここで、最も小さい余弦cos(θA−B)が第2の余弦閾値よりも小さいとき、このことは、部分血管線の交差角度が180度に近いことを意味する。このとき端点削除部23は、その最小の余弦cos(θA−B)に対応する1対の部分血管線の部分血管構成点列GPA1、GPA2、……、GPA−end及びGPB1、GPB2、……、GPB−endの両端うち、重複しないほうの点GPA−end、GPB−endを始点又は端点として、その始点及び端点間の特徴点を1つのグループとして割り当てしなおす。
【0130】
この結果、1対の部分血管線PBL、PBLは連結され、例えば図24(B)に示すように、該連結された部分血管線PBLABの部分血管構成点列GPAB−first、……、GPAB10、GPAB11、GPAB12、……、GPAB−endの個数は、連結前の1対の部分血管線の部分血管構成点列と比べると、該1対の部分血管線の部分血管構成点列それぞれの始点となっていた2つの分岐点GPA1、GPB1が1つの中間点GPAB11として置換されたことで、1点減ることになる。なお、部分血管線PBLABは、1対の部分血管線PBL、PBLを単に連結したものであるので、連結前後における血管線の形態には変化が生じることはない。
【0131】
これに対して、最も小さい余弦cos(θA−B)が第2の余弦閾値よりも大きいとき、端点削除部23は、グループの再割り当てをせずに、未処理対象の分岐点があれば、処理対象を次の分岐点にうつし、未処理対象の分岐点がなければ、この処理を終了する。
【0132】
一方、例えば図25(A)に示すように、分岐点GP(GPA1、GPB1、GPC1、GPD1)から4つの部分血管線PBL、PBL、PBL、PBLが伸びている場合、端点削除部23は、これら部分血管線PBL、PBL、PBL、PBLのうち、1対の部分血管線同士の交差角度θA−B、θA−C、θA−D、θB−C、θB−D、θC−Dの余弦(cos(θA−B)、cos(θA−C)、cos(θA−D)、cos(θB−C) 、cos(θB−D)、cos(θC−D))を求める。
【0133】
ここで、最も小さい余弦cos(θB−D)が第2の余弦閾値よりも小さいとき、このことは、部分血管線の交差角度が180度に近いことを意味する。このとき端点削除部23は、その最小の余弦cos(θB−D)に対応する1対の部分血管線の部分血管構成点列GPB1、GPB2、……、GPB−end及びGPD1、GPD2、……、GPD−endの両端うち、重複しないほうの点GPB−end、GPD−endを始点又は端点として、その始点及び端点間の特徴点を1つのグループとして割り当てしなおす。
【0134】
この結果、1対の部分血管線PBL、PBLは連結され、例えば図25(B)に示すように、該連結された部分血管線PBLBDの部分血管構成点列GPBD−first、……、GPBD10、GPBD11、GPBD12、……、GPBD−endの個数は、連結前の1対の部分血管線の部分血管構成点列と比べると、該1対の部分血管線の部分血管構成点列それぞれの始点となっていた2つの分岐点GPB1、GPD1が1つの中間点GPBD11として置換されたことで、1点減ることになる。なお、部分血管線PBLBDは、1対の部分血管線PBL、PBLを単に連結したものであるので、連結前後における血管線の形態には変化が生じることはない。
【0135】
この4分岐の場合、1対の部分血管線PBL、PBLを連結しても、未連結の部分血管線PBL、PBLが残るが、端点削除部23は、残りの部分血管線PBL、PBL同士の交差角度θA−Cの余弦(cos(θA−C))が第2の余弦閾値よりも小さいときには、例えば図25(C)に示すように、これら部分血管線PBL、PBLそれぞれの部分血管構成点列を、部分血管線PBL、PBLの部分血管構成点列と同様に、1つの部分血管構成点列GPAC−first、……、GPAC10、GPAC11、GPAC12、……、GPAC−endとし、元の部分血管構成点列の端点となる始点GPA1、GPC1の1つを削除するようになされている。
【0136】
これに対して、最も小さい余弦cos(θA−B)が第2の余弦閾値よりも大きいとき、端点削除部23は、グループの再割り当てをせずに、未処理対象の分岐点があれば、処理対象を次の分岐点にうつし、未処理対象の分岐点がなければ、この処理を終了する。
【0137】
ちなみに、図24及び図25において一部重なっている点は、位置(座標)情報としては同一であるが、グループが異なるため、便宜上、分離して示している。
【0138】
このようにして端点削除部23は、第2段階では、血管線上の分岐点のうち、該分岐点から伸びる部分血管線の交差角度の余弦が第2の余弦閾値よりも小さい条件を満たす1対の部分血管線における部分血管構成点列を、1つの部分血管構成点列とすることによって、元の部分血管構成点列の端点となる始点又は終点の1つを削除し、データ量の削減を図るようになされている。
【0139】
(2−4)特徴点の補正
特徴点補正部24は、上述の各種削除処理結果として残された特徴点の位置を、当該特長点間を結ぶ線分が本来の血管線(以下、これをオリジナル血管線と呼ぶ)に最も近似するように、適宜変更する。
【0140】
この残された特徴点を結ぶ直線は、認証時に復元され得る血管線となる。ここで、上述の各種削除処理では、消去前の部分血管線に対して、消去後の部分血管線の形態が近似しながらもその消去後の部分血管線が単純となる(滑らかとなる)ように、特徴点を削除したことから、残った特徴点間を結ぶ直線(以下、これを復元対象血管線と呼ぶ)は、オリジナル血管線における特徴的な形状パターンと大幅に相違することはない。
【0141】
ただし、例えば図26に示すように、復元対象血管線の画素(図中、丸で示す)と、オリジナル血管線の画素(図中、四角で示す)との位置が微妙にずれていることがある。このずれは、単に地図の縮小又は拡大等に用いる場合にはことさら問題となることはないが、生体認証等に用いる場合には問題になりかねない。
【0142】
そこで、この実施の形態では、オリジナル血管線に対する復元対象血管線の近似が万全となるようにするため、この特徴点の補正処理が採用されている。
【0143】
具体的には、特徴点補正部24は、例えば図27に示すように、残された特徴点のうち、互いに連なる特徴点間を結ぶ線分のなかで最長となる線分を構成する2つの特徴点PX1、PX2を、現変更対象とし、その一方の特徴点PX1及びその周囲の点(上下左右方向における4画素及び斜め方向における4画素の計8画素)Pad1の計9つの位置と、他方の特徴点PX2及びその周囲の点Pad2の計9つの位置とを、変更候補位置として選択する。
【0144】
そして特徴点補正部24は、変更候補位置から、互いの変更候補位置を結ぶ81パターンの線分SEGのなかで、オリジナル血管線における画素を通過する数が最大となる線分に対応する位置を、例えばブラッセンハム(Bresenham)のアルゴリズムを用いて、探索する。
【0145】
特徴点補正部24は、この探索結果として、オリジナル血管線における画素を通過する数が最大となる線分に対応する位置を検出すると、該位置に、現変更対象の2つの特徴点PX1、PX2を移動する。この結果、図28に示すように、変更前の図26と対比しても明らかなように、変更後の特徴点PX11、PX12を結ぶ線分は、変更前の特徴点PX1、PX2を結ぶ線分よりも、対応するオリジナル血管線の画素に近似することとなる。
【0146】
次いで、特徴点補正部24は、図29に示すように、変更後の特徴点PX11、PX12に連なる特徴点PX21、PX22を、現変更対象とし、その特徴点PX21、PX22及びその周囲の点Pad11、Pad12の計9つの位置を、変更候補位置として、それぞれ選択する。
【0147】
そして特徴点補正部24は、変更候補位置から、変更後の特徴点PX11、PX12及び変更候補位置を結ぶ9パターンの線分SEG11、SEG12のなかで、オリジナル血管線における画素を通過する数が最大となる線分に対応する位置を、それぞれ探索する。
【0148】
特徴点補正部24は、この探索結果として、オリジナル血管線における画素を通過する数が最大となる線分に対応する位置を検出すると、該位置に、現変更対象の特徴点PX21、PX22をそれぞれ移動する。この結果、図30に示すように、変更前の図26と対比しても明らかなように、変更後の特徴点PX31、PX32を結ぶ線分は、変更前の特徴点PX21、PX22を結ぶ線分よりも、対応するオリジナル血管線の画素に近似することとなる。ちなみに、この図30の例では、変更後の特徴点PX31は変更前の特徴点PX21の位置と同位置(への移動)となる。
【0149】
また特徴点補正部24は、変更後の特徴点PX31、PX32が端点でない場合、血管線の末端となるまで、次に連なる特徴点を現変更対象として順次選択し、現変更対象の特徴点及びその近傍の位置のうち、該現変更対象の1つ前に現変更対象であった特徴点と結ぶ線分のなかでオリジナル血管線における画素を通過する数が最大となる線分に対応する位置に、現変更対象の特徴点を移動するようになされている。
【0150】
ちなみに、この図27乃至図30の例では、変更候補位置として、現変更対象の特徴点とその周囲の点としたが、これに代えて、現変更対象の特徴点とその特徴点から所定の距離範囲としてもよい。要は、現変更対象の特徴点とその近傍の点を変更候補位置とすることができる。このようにしても、図27乃至図30の例の場合と同様の結果を得ることができる。
【0151】
このようにして特徴点補正部24は、血管線上における特徴点を、最長の線分を構成する1対の特徴点から血管線の末端となるまで、現変更対象として順次選択し、当該現変更対象として選択した特徴点を、その特徴点及びその近傍の位置のうち、オリジナル血管線における画素を通過する数が最大となる線分に対応する位置に、移動することによって、オリジナル血管線に対してより一段と復元対象血管線を近似させ得るようになされている。
【0152】
制御部10は、以上のようにして特徴点抽出処理を実行し、この処理結果として得られた各部分血管構成点列(部分血管線における始点から屈曲点を経て終点までの各特徴点)を、登録データD1(図1)としてフラッシュメモリ13(図1)に記憶する。
【0153】
ここで、この特徴点抽出処理の評価結果を図31に示す。この図31では、特徴点抽出処理前における3サンプルの血管線(この図では白色部分)と、当該特徴点抽出処理により抽出された特徴点に基づいて復元した血管線(この図では白色部分)とを示すものである。この図31からも明らかなように、特徴点抽出処理によって適切に特徴点が抽出されたことが示唆されている。また、この特徴点抽出処理前の血管線における特徴点のデータはおよそ1[KBit]であったのに対し、特徴点抽出処理後の血管線における特徴点のデータはおよそ256[Bit]であった。
【0154】
この実験結果からも明らかなように、制御部10は、上述の特徴点抽出処理により適切に情報量を削減することができる。
【0155】
なお、制御部10は、認証時には、登録データD1の各部分血管構成点列(部分血管線における始点から屈曲点を経て終点までの各特徴点)ごとに、該部分血管構成点列の始点から隣接する屈曲点を順次経て終点まで順次連結し、血管線を復元するようになされている。
【0156】
(2−5)まとめ
以上のように第1の特徴点抽出処理として、制御部10は、輪郭の特徴点として検出された分岐点、端点及び屈曲点のうち、グループとして割り当てられた分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの特徴点(部分血管構成点列)ごとに、消去前の血管線と、消去後の血管線との形態を近似させながらもその消去後の血管線が単純となる(滑らかとなる)ように、大局的に捉える削除態様から徐々に局所的に捉える削除態様に切り換えて、屈曲点を、削除する(第2段階から第4段階の削除処理)。
【0157】
これにより制御部10は、識別情報としての意義を失うことなく適切にデータ量の削減を図ることができる。
【0158】
また制御部10は、削除処理の前処理(第1段階の削除処理)として、分岐点の近傍に存在する屈曲点を削除しておくことによって、第2段階以降の削除処理で、本来特徴的な構成要素となるべき他の屈曲点を選択できなくなるといった事態を未然に回避し、より適切に、血管の特徴成分としての点を抽出することを可能とする。
【0159】
さらに制御部10は、端点のうち、それに連なる屈曲点との間の距離が短い端点を削除するとともに、血管線上の分岐点のうち、該分岐点から伸びる3つ又は4つの部分血管線の交差角度が180度に近い1対の部分血管線がある場合、その1対の部分血管線における部分血管構成点列を、1つの部分血管構成点列として、元の部分血管構成点列の端点となる始点又は終点の1つを削除する。
【0160】
これにより制御部10は、消去前後の血管線の形態を変化させることなく特徴点を削除することができるので、識別情報としての意義を失うことなく適切にデータ量の削減を図ることができる。
【0161】
さらに制御部10は、かかる特徴点削除処理後の処理として、該特徴点削除処理後に残った特徴点を結ぶ線分が、オリジナル血管線の画素を最も多く通るように、当該特徴点の位置を補正する。これにより制御部10は、識別情報としての意義を、より一段と実効あるものとすることができるようになされている。
【0162】
一方、制御部10は、輪郭における特徴点の検出手法として、入力される撮像画像を2値画像とし、該2値画像における血管の輪郭幅を1画素とし、この後、その輪郭幅が1画素でなる血管線から端点及び分岐点を検出するとともに、分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの部分血管線ごとに、つまり分岐しない線分単位で、屈曲点を検出する。
【0163】
これにより制御部10は、点を検出する上で余分な要素を排除することができるので、その分だけ、複雑な計算手法を用いることなく、的確に、特徴点を検出することができ、この結果、識別情報としての意義を失うことなく適切にデータ量の削減を図ることができる。
【0164】
(3)第2の実施の形態による特徴点抽出処理の具体的な処理内容
次に、第2の特徴点抽出処理の具体的な処理内容を説明する。この第2の特徴点抽出処理は、機能的には、図2との対応部分に同一符号を付した図32に示すように、特徴点検出部21、屈曲点削除部122及び端点削除部123によって構成される。
【0165】
この第2の特徴点抽出処理は、削除対象の特徴点とその特徴点に連なる特徴点との関係に基づいて屈曲点を削除する屈曲点削除部22(図2)に代えて、2つの特徴点を結ぶ線分と、その一方の特徴点から他方の特徴点までのオリジナル血管線との関係に基づいて屈曲点を削除する屈曲点削除部122を採用する点で、第1の特徴点抽出処理とは相違する。
【0166】
また、この屈曲点削除部122は、2つの特徴点を結ぶ線分と、これら特徴点間のオリジナル血管線との関係に着目している点で、第1の特徴点抽出処理における特徴点補正部24の一部に相当することから、特徴点補正部24が第2の特徴点抽出処理から除かれている。
【0167】
さらに、この第2の特徴点抽出処理は、第1段階及び第2段階の端点削除処理を実行する端点削除部23(図2)に代えて、当該第2段階の端点削除処理だけを実行する端点削除部123を採用する点で、第1の特徴点抽出処理とは相違する。
【0168】
以下、かかる屈曲点削除部122及び端点削除部123を詳細に説明する。
【0169】
(3−1)屈曲点の削除
屈曲点削除部122は、特徴点検出部21によってグループとして割り当てられた、部分血管線における始点から屈曲点を経て終点までの各特徴点(即ち部分血管構成点列)を処理単位として、必要に応じて屈曲点を削除する。
【0170】
これら部分血管構成点列に対する削除処理の内容は同一であるので、該内容を、ある1つの部分血管構成点列を処理対象とした場合に限って図33を例に用いて説明する。この図33において、正方形はオリジナル血管線を構成する画素(以下、これをオリジナル血管画素と呼ぶ)を表し、当該オリジナル血管画素のうち端点及び屈曲点には破線を付している。
【0171】
屈曲点削除部122は、部分血管線における始点から屈曲点を経て終点までの各特徴点のうち、基準として選択した特徴点(以下、これを基準点と呼ぶ)GPbsから削除候補点GPcd(GPcd1〜GPcd3)までのオリジナル血管画素に対する、当該基準点GPbs及び削除候補点GPcdを結ぶ線分SG(SG〜SG)の通過割合が、所定の閾値(以下、これを通過割合閾値と呼ぶ)よりも小さくなるまで、当該削除候補点GPcdを順次末端側にずらしながら順次求めていく。
【0172】
この図33では、線分SGは、基準点GPbsから対応する削除候補点GPcd1までのオリジナル血管画素(2画素)の全てを通過し、線分SGは、基準点GPbsから対応する削除候補点GPcd2までのオリジナル血管画素(7画素)の4画素通過し、線分SGは、基準点GPbsから対応する削除候補点GPcd3までのオリジナル血管画素(9画素)の2画素通過している。ちなみに、オリジナル血管画素に対する線分の通過割合とは、実際には、基準点GPbsから削除候補点GPcdまでのオリジナル血管画素の画素数に対する、当該基準点GPbs及び削除候補点GPcdを結ぶ線分を構成する画素のうちオリジナル血管画素に重なる画素の画素数の割合を意味するものである。
【0173】
オリジナル血管画素に対する線分SGの通過割合が通過割合閾値よりも小さいとした場合、屈曲点削除部122は、そのとき削除候補点GPcd3として選択した特徴点よりも1つ前に削除候補点GPcd2として選択した特徴点と、基準点GPbsとの間の特徴点GPcd1を削除する。そうすると、残した特徴点GPcd2から基準点GPbsまでの線分SG2はオリジナル血管線と近似させながらも、特徴点GPcd1を削除できることになる。
【0174】
ここで、かかる通過割合閾値を小さく設定すると、基準点と、削除候補点とを結ぶ線分が、当該基準点から削除候補点までのオリジナル血管画素と近似しないにもかかわらず、特徴点GPcdを削除するといったことが生じ、これに対して通過割合閾値を大きく設定すると、特徴点GPcdを削除することができないといったことが生じ得る。
【0175】
そこで、この実施の形態では、屈曲点削除部122は、線分長に応じて閾値を切り換えるようになっている。具体的には、基準点をGP(J=1、2、……、M(Mは整数))とし、その基準点からα番目の削除候補点をGPj+αとすると、基準点GP及び削除候補点GPj+αを結ぶ線分GP−GPj+αについてオリジナル血管画素に対する通過割合を求める場合、その直前に通過割合を求めた線分(以下、これを直前線分と呼ぶ)GPJ+(α−1)−GPj+αが所定の閾値(以下、これを線分閾値と呼ぶ)以上であるときには、第1の通過割合閾値を設定し、これに対して線分長が線分閾値未満であるときには、第1の通過割合閾値よりも大きい第2の通過割合閾値を設定する。
【0176】
このようにすることで、消去前の部分血管線と、消去後の部分血管線との形態を近似させながらもその消去後の部分血管線を滑らかにさせ得る屈曲点を、削除対象として、的確に選択することが可能となる。
【0177】
具体的に、この屈曲点の削除処理は、部分血管構成点列における始点から、図34のフローチャートに示す手順で実行される。すなわち屈曲点削除部122は、部分血管構成点列の始点を基準点として選択するとともに、該基準点から1番目の特徴点を、削除候補点として選択する(ステップSP31)。
【0178】
そして屈曲点削除部122は、この屈曲点の削除処理を開始してから初めて通過割合を求める場合であるか、又は、現時点の選択対象である基準点GP及び削除候補点GPj+αを結ぶ線分GP−GPj+αの直前線分GPJ+(α−1)−GPj+αが線分閾値未満であるかを判定する(ステップSP32)。
【0179】
この屈曲点の削除処理を開始してから初めて通過割合を求める場合又は直前線分GPJ+(α−1)−GPj+αが線分閾値未満である場合、屈曲点削除部122は、通過割合閾値として第1の通過割合閾値を設定した後(ステップSP33)、現時点の選択対象である基準点GP及び削除候補点GPj+αを結ぶ線分GP−GPj+αについてオリジナル血管画素に対する通過割合を求め(ステップSP34)、この通過割合が第1の通過割合閾値以上であるか否かを判定する(ステップSP35)。
【0180】
これに対して、この屈曲点の削除処理を開始してから通過割合を求める回数が2回目以降であり、かつ、直前線分GPJ+(α−1)−GPj+αが線分閾値以上となる場合、屈曲点削除部122は、通過割合閾値として第2の通過割合閾値を設定した後(ステップSP36)、現時点の選択対象である基準点GP及び削除候補点GPj+αを結ぶ線分GP−GPj+αについてオリジナル血管画素に対する通過割合を求め(ステップSP34)、この通過割合が第2の通過割合閾値以上であるか否かを判定する(ステップSP35)。
【0181】
ここで、通過割合が通過割合閾値以上となる場合、このことは、現時点の選択対象である基準点GP及び削除候補点GPj+αを結ぶ線分GP−GPj+αが、当該基準点GPから削除候補点GPj+αまでのオリジナル血管線に近似又は同一であることを意味する。
【0182】
この場合、屈曲点削除部122は、現時点の選択対象である削除候補点GPj+αが部分血管構成点列の終点であるか否かを判定し(ステップSP37)、終点でないときには、当該削除候補点GPj+αとして選択している特徴点に対して終点側にある特徴点を、新たな削除候補点GPj+αとして選択した後(ステップSP38)、上述した処理に戻る(ステップSP32)。
【0183】
一方、通過割合が通過割合閾値未満となる場合、このことは、現時点の選択対象である基準点GP及び削除候補点GPj+αを結ぶ線分GP−GPj+αが、当該基準点GPから削除候補点GPj+αまでのオリジナル血管線とはかけ離れていることを意味する。
【0184】
この場合、屈曲点削除部122は、現時点よりも1つ前に削除候補点GPj+αとして選択していた特徴点と、現時点で基準点GPとして選択している特徴点との間における1又は2以上の特徴点をすべて削除する(ステップSP39)。
【0185】
そして屈曲点削除部122は、現時点の選択対象である削除候補点GPj+αが部分血管構成点列の終点であるか否かを判定し(ステップSP40)、終点でないときには、現時点の選択対象である削除候補点GPj+αを基準点GPとして選択するとともに、その基準点GPに対して終点側にある特徴点を、新たな削除候補点GPj+αとして選択した後(ステップSP41)、上述の処理に戻る(ステップSP32)。
【0186】
他方、屈曲点削除部122は、現時点の選択対象である削除候補点GPj+αが部分血管構成点列の終点であると判定した場合には(ステップSP37(Y)又はステップSP40(Y))、現時点で削除候補点GPj+αとして選択している特徴点と、現時点で基準点GPとして選択している特徴点との間における1又は2以上の特徴点をすべて削除した後(ステップSP42)、この屈曲点の削除処理を終了する。
【0187】
屈曲点削除部122は、このような手順により、屈曲点の削除処理を実行するようになされている。なお、この削除処理前と削除処理後を図35に示す。この図35では、削除処理における線分閾値を5[mm]とし、第1の通過割合閾値を0.5(50[%])とし、第2の通過割合閾値を0.7(70[%])とした場合を示している。また、図35において、正方形はオリジナル血管画素を表し、丸は線分を構成する画素を表し、オリジナル血管画素のうち端点及び屈曲点には破線を付している。
【0188】
この図35からも明らかなように、消去前の部分血管線と、消去後の部分血管線との形態を近似させながらもその消去後の部分血管線を滑らかにさせ得る屈曲点が、的確に残されていることが分かる。
【0189】
(3−2)端点の削除
端点削除部123は、端点削除部23(図2)における第2段階の端点削除処理と同じであり、血管線上の分岐点のうち、該分岐点から伸びる3つ又は4つの部分血管線の交差角度が180度に近い1対の部分血管線がある場合、その1対の部分血管線における部分血管構成点列を、1つの部分血管構成点列として、元の部分血管構成点列の端点となる始点又は終点の1つを削除する。
【0190】
具体的には、図24及び図25を用いて上述したように、血管線上の分岐点のうち、該分岐点から伸びる部分血管線の交差角度の余弦が第2の余弦閾値よりも小さい条件を満たす1対の部分血管線における部分血管構成点列を、1つの部分血管構成点列とすることによって、元の部分血管構成点列の端点となる始点又は終点の1つを削除するようになされている。
【0191】
制御部10は、以上のようにして第2の特徴点抽出処理を実行し、この処理結果として得られた各部分血管構成点列(部分血管線における始点から屈曲点を経て終点までの各特徴点)を、登録データD1(図1)としてフラッシュメモリ13(図1)に記憶する。
【0192】
ここで、この第2の特徴点抽出処理の評価結果を図36に示す。この図36では、第2の特徴点抽出処理前における3サンプルの血管線(この図では白色部分)と、第1の特徴点抽出処理又は第2の特徴点抽出処理により抽出された特徴点に基づいて復元した血管線(この図では白色部分)とを示すものである。
【0193】
この図36からも明らかなように、特徴点抽出処理によって適切に特徴点が抽出されたことが示唆されている。また、この特徴点抽出処理前の血管線における特徴点のデータはおよそ1[KBit]であったのに対し、第1の特徴点抽出処理及び第2の特徴点抽出処理後の血管線における特徴点のデータはおよそ256[Bit]であった。
【0194】
さらに、この第2の特徴点抽出処理の時間は、第1の特徴点抽出処理に比べると、192サンプルに対して、およそ1.48倍早かった。これは、削除対象として望ましい屈曲点であるか否かを判定するための処理として、第1の特徴点抽出処理は、部分血管構成点列をより大きく捉えてから細部に至るように複数段階を経て屈曲点を削除し、その後に残った特徴点の位置を、オリジナル血管線に近似するように適宜補正するものであるのに対し、第2の特徴点抽出処理は、オリジナル血管線に近似する線分を構成する特徴点以外の特徴点を削除するものであり、第2の特徴点抽出処理のほうが、複数段階を経て特徴点を削除することなく、かつ、その削除態様が第1の特徴点抽出処理の補正に相当する処理を含んでいるからである。
【0195】
なお、この第2の特徴点抽出処理は、第1の特徴点抽出処理に比べると、少々、消去前後の血管線の形態を変化しているが、識別情報としての意義を失うことなく適切にデータ量の削減を図るという点では問題はない。
【0196】
この実験結果からも明らかなように、制御部10は、上述の第2の特徴点抽出処理により第1の特徴点抽出処理に比して高速で適切に情報量を削減することができる。
【0197】
(3−3)まとめ
以上のように第2の特徴点抽出処理として、制御部10は、輪郭の特徴点として検出された分岐点、端点及び屈曲点のうち、グループとして割り当てられた分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの特徴点(部分血管構成点列)ごとに、基準点GP及び削除候補点GPj+αを結ぶ線分GP−GPj+αのオリジナル血管画素に対する通過割合を、通過割合閾値よりも小さくなるまで、当該削除候補点GPj+αを順次終点側にシフトさせながら順次求める。
【0198】
そして屈曲点削除部122は、通過割合閾値よりも小さくなったときには、現時点よりも1つ前に削除候補点GPj+αとして選択していた特徴点と、現時点の基準点GPとして選択している特徴点(始点)との間における1又は2以上の特徴点をすべて削除する。また屈曲点削除部122は、現時点の選択対象である削除候補点GPj+αを基準点GPとして選択し、その基準点GPに対して終点側にある特徴点を、通過割合閾値よりも小さくなるまで、削除候補点GPj+αとして順次シフトさせていく。
【0199】
すなわち、屈曲点削除部122は、部分血管構成点列ごとに、少なくとも3以上の特徴点を含む輪郭の一部における両端を結んだ場合に、その輪郭の一部に対する、当該両端を結んだ直線のうち輪郭の一部と重なる部分の割合が、所定の閾値以上という条件を満たしかつ該閾値に最も近い割合となる輪郭の一部における両端に挟まれる特徴点を削除するようになされている。
【0200】
これにより制御部10は、第1の特徴点抽出処理に比してその処理内容が簡易(複数段階を経て屈曲点を削除するのではなく、かつ、その削除態様が第1の特徴点抽出処理の補正に相当する処理を含んでいるから)である分だけ高速に、識別情報としての意義を失わせることなくデータ量の削減を図ることができる。
【0201】
また、制御部10は、かかる通過割合閾値を、直前線分GPJ+(α−1)−GPj+αの線分長に応じて、第1の通過割合閾値又は第1の通過割合閾値よりも大きい第2の通過割合閾値に切り換える。
【0202】
これにより制御部10は、消去前の部分血管線と、消去後の部分血管線との形態を近似させながらもその消去後の部分血管線を滑らかにさせ得る屈曲点だけを、的確にのこすことができるため、より一段と、識別情報としての意義を失わせることなくデータ量の削減を図ることができる。
【0203】
(4)他の実施の形態
上述の実施の形態においては、入力される画像データの画像に含まれるオブジェクトとして、血管を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば指紋、口紋又は神経等の生体識別対象を適用するようにしてもよく、また、例えば地図や、写真等の絵柄を適用するようにしてもよい。このことは、上述した制御部10の処理は、バイオメトリクス認証での画像処理のみならず、その他の画像処理での前処理、中間処理、後処理に利用するなどといったように、種々の画像処理に幅広く適用することができるということである。
【0204】
また上述の実施の形態では、入力される多値画像を2値画像とし、該2値画像に含まれるオブジェクト(血管)の輪郭の輪郭幅を1画素とした後に、屈曲点削除処理等を実行するようにしたが、1画素以外の輪郭幅でなるオブジェクト輪郭を含む2値画像又は多値画像について、屈曲点削除処理等を実行するようにしてもよい。このようにしても上述の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0205】
なお、上述の第1の特徴点抽出処理又は第2の特徴点抽出処理のいずれを採用するかは、この画像処理を適用する実施態様やオブジェクトの種類等に応じて、適宜選択することができ、また、第1の特徴点抽出処理における屈曲点削除処理、端点削除処理及び特徴点補正処理、又は、第2の特徴点抽出処理における屈曲点削除処理及び端点削除処理は、この画像処理を適用する実施態様やオブジェクトの種類等に応じて、適宜取捨選択することができる。
【0206】
さらに上述の実施の形態においては、特徴点の検出処理として、特徴点検出部21について述べた内容の処理を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばハリスコーナーと呼ばれる特徴点検出処理や、既知の特徴点検出処理に代替するようにしてもよい。このようにしても上述の実施の形態の一部については同様の効果を得ることができる。
【0207】
さらに上述の実施の形態においては、2次元(xy座標系)で表される血管線(以下、これを2次元血管線と呼ぶ)の特徴点を、第1の特徴点抽出処理又は第2の特徴点抽出処理により抽出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ボクセル等、3次元(xyz座標系)で表される血管線(以下、これを3次元血管線と呼ぶ)を、第1の特徴点抽出処理又は第2の特徴点抽出処理により抽出することもできる。
【0208】
ただし、3次元血管線は、立体像であるため、該3次元血管線における端点、分岐点及び屈曲点を検出するための探索範囲の設定を、変更する必要がある。
【0209】
すなわち、2次元血管線に対する探索範囲は、端点及び分岐点を検出する場合(図4)、該血管線の屈曲点を検出する場合(図6、図9)ともに、着目画素を中心としてxy方向に周囲(以下、これを2次元周囲と呼ぶ)の8画素として設定した。これに対し、3次元血管線に対する探索範囲SARは、図37に示すように、着目画素ATPを中心としてxyz方向に周囲(以下、これを3次元周囲と呼ぶ)の26画素として設定する。
【0210】
ちなみに、3次元血管線における特徴点を検出する場合、2次元血管線における特徴点を検出する特徴点検出部21と同様に、第1段階では、例えば図38に示すように、着目画素ATPを中心とする探索範囲SARに1つの画素が存在する場合(図38(A))、その着目画素ATPが端点として検出される。一方、探索範囲SARに3つの画素が存在する場合(図38(B))又は4つの画素が存在する場合(図示せず)、その着目画素ATPが分岐点として検出される。他方、探索範囲SARに画素が存在しない場合(図38(C))、その着目画素ATPが孤立点として検出される。
【0211】
また、第2段階では、第1段階で検出した端点及び分岐点を始点又は終点として、該始点から終点までの血管線(部分血管線)における屈曲点が検出される。具体的には、例えば図39に示すように、始点から、現着目画素(網状ハッチングで表される画素)の3次元周囲(探索範囲SAR)に存在する血管画素のうち以前に着目画素とした血管画素(横ハッチングで表される画素)を除く血管画素(格子状ハッチングで表される画素)を、次の着目画素として、当該現着目画素の3次元周囲(探索範囲SAR)に存在する血管画素が終点となるまで、連続する着目画素が順次追跡され、この追跡過程において、現着目画素以前の着目画素の直線性が、次に着目画素とされる着目画素から損なわれる場合、該現着目画素が屈曲点として検出される。
【0212】
このように、着目画素ATPを中心としてxyz方向に周囲(以下、これを3次元周囲と呼ぶ)の26画素として探索範囲SARを設定すれば、3次元血管線を、第1の特徴点抽出処理又は第2の特徴点抽出処理により抽出することができる。
【0213】
なお、2次元血管線における屈曲点を検出する場合、直線上の点と、屈曲点の周囲における出現パターンが一義的となることを考慮し、着目画素の周囲における画素に対する追跡順序パターンが、現着目画素と、直前着目画素との位置関係に応じて設定されていた。
【0214】
3次元血管線における屈曲点を検出する場合にも、直線上の点と、屈曲点の周囲における出現パターンが一義的となるので、現着目画素と、直前着目画素との位置関係に応じて設定されるが、血管線が立体像であることに起因して、現着目画素と、直前着目画素との位置関係が、xy方向(図9)だけでなく、z方向も加わることで、追跡順序パターンの数が増えるので留意を要する。
【0215】
具体的な追跡順序パターンは、その数が多いので省略するが、直前着目画素に対する現着目画素の位置ベクトルのz成分が「0」意外となる場合、つまり直前着目画素と、現着目画素とにz方向への位置変動がある場合には、図40(A)に示すように、探索範囲SARを、z軸と直行する方向に3等分される領域SAR、SAR、SARを組として設定される。
【0216】
一方、直前着目画素と、現着目画素とにz方向への位置変動がない場合には、図40(B)に示すように、探索範囲SARを、z軸と平行な方向に3等分される領域SAR、SAR、SARを組として追跡順序パターンが設定される。
【0217】
これら追跡順序パターンのデータ量が比較的大きくなるため、該追跡順序パターンを保持しておくことに代えて、直前着目画素と、現着目画素とにおけるz方向への位置変動がある場合には、探索範囲SARをz軸と直行する方向に3等分される領域のうち、直前着目画素と、現着目画素とを含む領域を除く領域SAR又はSARを1番目の探索領域とし、当該位置変動がない場合には、探索範囲SARをz軸と平行に3等分される領域のうち、現着目画素を含む領域SARを1番目の探索領域として、探索するようにしてもよい。
【0218】
このように、直前着目画素と、現着目画素とにおけるz方向への位置変動の有無に応じて、探索範囲SARを区割りするパターンを切り換え、該切り換えたパターンにより区割りされる各領域SAR、SAR、SAR又はSAR、SAR、SARのうち、直前着目画素と、現着目画素との位置関係に応じて最初に探索する領域を決定すれば、追跡順序パターンのデータ量を削減しつつ、該現着目画素の周3次元囲における全ての画素を一律に追跡する場合に比して、より高速に屈曲点を検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明は、画像処理分野、特に画像内における線を構成する点を抽出する場合に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】本実施の形態による認証装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1の特徴点抽出処理の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】端点、分岐点及び孤立点の周囲における黒画素の出現パターンを示す略線図である。
【図4】端点、分岐点及び孤立点の検出の説明に供する略線図である。
【図5】端点及び分岐点を基準とする屈曲点の検出の説明に供する略線図である。
【図6】黒画素の追跡略線の説明に供する略線図である。
【図7】直線上の点及び屈曲点の周囲における黒画素の出現パターンを示す略線図である。
【図8】屈曲点の検出の説明に供する略線図である。
【図9】追跡時における画素の探索順序パターンを示す略線図である。
【図10】黒画素の探索の説明に供する略線図である。
【図11】屈曲点削除の処理単位の説明に供する略線図である。
【図12】分岐点近傍における屈曲点の削除の説明に供する略線図である。
【図13】屈曲点の削除前と削除後の説明に供する略線図である。
【図14】屈曲点の削除による血管線の影響の説明に供する略線図である。
【図15】第2段階における屈曲点の削除処理手順を示すフローチャートである。
【図16】外積及び余弦に基づく屈曲点の削除の説明に供する略線図である。
【図17】屈曲点の置換の説明に供する略線図である。
【図18】第3段階における屈曲点の削除処理手順を示すフローチャートである。
【図19】Z状血管線における屈曲点の削除の説明に供する略線図である。
【図20】U状血管線における屈曲点の削除の説明に供する略線図である。
【図21】第4段階における屈曲点の削除処理手順を示すフローチャートである。
【図22】外積に基づく屈曲点の削除の説明に供する略線図である。
【図23】端点の削除の説明に供する略線図である。
【図24】部分血管線の連結(3分岐)の説明に供する略線図である。
【図25】部分血管線の連結(4分岐)の説明に供する略線図である。
【図26】オリジナル血管線の画素と、復元対象血管線の画素との関係を示す略線図である。
【図27】オリジナル血管線に最近似する第1次変更位置の探索の説明に供する略線図である。
【図28】第1次変更結果を示す略線図である。
【図29】オリジナル血管線に最近似する第2次変更位置の探索の説明に供する略線図である。
【図30】第2次変更結果を示す略線図である。
【図31】特徴点抽出処理前後の血管画像(1)を示す略線図である。
【図32】第2の特徴点抽出処理の機能的構成を示すブロック図である。
【図33】オリジナル血管画素に対する線分の通過割合の判定の説明に供する略線図である。
【図34】削除処理手順を示すフローチャートである。
【図35】屈曲点の削除前と削除後を示す略線図である。
【図36】特徴点抽出処理前後の血管画像(2)を示す略線図である。
【図37】着目画素を中心とする3次元上の探索範囲の説明に供する略線図である。
【図38】3次元血管線における端点、分岐点、孤立点の検出の説明に供する略線図である。
【図39】3次元血管線の追跡の説明に供する略線図である。
【図40】探索範囲における区割パターンの切り換えの説明に供する略線図である。
【符号の説明】
【0221】
1……認証装置、10……制御部、12……血管撮像部、13……フラッシュメモリ、21……特徴点検出部、22、122……屈曲点削除部、23……端点削除部、24……特徴点補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像データの画像に含まれるオブジェクトの輪郭のうち、該輪郭の構成要素として特徴となる特徴点を削除する画像処理方法であって、
上記輪郭の上記特徴点として検出された分岐点、端点及び屈曲点のうち、分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの各特徴点を、グループとして割り当てる第1のステップと、
上記グループごとに、連続する3つの特徴点におけるベクトルの積が所定の閾値よりも小さいという条件を満たしかつ最小となる3つの特徴点における真ん中を削除する第2のステップと
を具えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
上記第2のステップでは、
上記3つの特徴点における真ん中を削除する前に、上記分岐点の近傍に存在する特徴点を削除する前処理ステップ
を具えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
上記第2のステップでは、
連続する3つの特徴点におけるベクトルの外積の絶対値が所定の外積閾値よりも小さいという条件、及び、該3つの特徴点における余弦が所定の余弦閾値よりも小さいという条件の一方を満たしかつ最小となる3つの特徴点における真ん中を削除する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項4】
上記グループごとに、連続する2つの特徴点を結ぶ線分が所定の線分閾値よりも小さい条件を満たす2つの特徴点を、該2つの特徴点及びその2つの特徴点の一方に連なる特徴点で作られる第1の面積と、該2つの特徴点及びその2つの特徴点の他方に連なる特徴点で作られる第2の面積との比で内分する内分点、又は、該2つの特徴点の一方及びこれに連なる特徴点を結ぶ延長線と、該2つの特徴点の他方及びこれに連なる特徴点を結ぶ延長線との交点のいずれかに置換するステップ
を具えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項5】
上記置換ステップでは、
上記2つの特徴点及びその2つの特徴点の一方に連なる特徴点との外積と、該2つの特徴点及びその2つの特徴点の他方に連なる特徴点との外積とにおける正負の符号が異なる場合には、該2つの特徴点を上記内分点に置換し、上記正負の符号が同じ場合には、該2つの特徴点を上記交点に置換する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
上記グループごとに、連続する3つの特徴点におけるベクトルの外積の絶対値のうち、最小となる外積の絶対値が所定の第2の外積閾値よりも小さい3つの特徴点における真ん中を削除するステップ
を具えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項7】
上記端点のうち、その端点に連なる特徴点との間の距離が所定の距離閾値よりも小さい場合には、当該端点又はその端点に連なる特徴点のいずれか一方を削除するステップ
を具えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項8】
上記特徴点を削除した後に、上記分岐点から、次の分岐点又は端点までの輪郭線分のうち、該輪郭線分の交差角度の余弦が所定の第2の余弦閾値よりも小さい条件を満たす1対の輪郭線分に対応する上記グループを、1組のグループとして割り当てるステップ
を具えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項9】
上記特徴点を削除した後に、残りの特徴点を、上記輪郭の上記特徴点のうち最長の輪郭線分を構成する2つの特徴点から上記輪郭の末端となるまで、位置変更対象として順次選択し、
上記位置変更対象として選択した特徴点を、該特徴点及びその近傍の位置のうち、1つ前に位置変更対象として変更された特徴点と結ぶ直線のなかで、上記輪郭を構成する画素を最も多く通る直線に対応する位置に、変更するステップ
を具えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項10】
入力される画像データの画像に含まれるオブジェクトのうち、該オブジェクトの輪郭の構成要素として特徴となる特徴点を検出する画像処理方法であって、
上記画像を2値画像とし、該2値画像における上記オブジェクトの輪郭幅を1画素とする第1のステップと、
輪郭幅を1画素とされた輪郭から端点及び分岐点を検出する第2のステップと、
上記輪郭における分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの輪郭線分ごとに、該輪郭における屈曲点を検出する第3のステップと
を具えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
上記第2のステップでは、
上記輪郭線を構成する各輪郭画素それぞれを着目対象として選択し、
上記着目対象として選択された輪郭画素の周囲に存在する輪郭画素数に応じて、当該着目対象の輪郭画素における上記端点又は上記分岐点の有無を検出する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
上記第3のステップでは、
上記輪郭線分ごとに、着目対象の周囲に存在する輪郭画素のうち直前に着目対象であった輪郭画素以外の輪郭画素を、次の着目対象として順次追跡し、
上記直前に着目対象であった輪郭画素と上記着目対象の輪郭画素との直線性が、上記次の着目対象とする輪郭画素から損なわれるとき、そのとき着目対象の輪郭画素を屈曲点として検出する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項13】
上記第3のステップでは、
上記次の着目対象とする輪郭画素を追跡する場合、上記着目対象の周囲の一部を探索対象とし、該一部の探索順序を、上記直前に着目対象であった輪郭画素と上記着目対象の輪郭画素との位置に応じて切り換える
ことを特徴とする請求項12に記載の画像処理方法。
【請求項14】
入力される画像データの画像に含まれるオブジェクトの輪郭のうち、該輪郭の構成要素として特徴となる特徴点を削除する画像処理装置であって、
上記輪郭の上記特徴点として検出された分岐点、端点及び屈曲点のうち、分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの各特徴点を、グループとして割り当てる第1の手段と、
上記グループごとに、連続する3つの特徴点におけるベクトルの積が所定の閾値よりも小さいという条件を満たしかつ最小となる3つの特徴点における真ん中を削除する第2の手段と
を具えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
記憶手段に記憶された画像データに対して、当該画像に含まれるオブジェクトの輪郭のうち、該輪郭の構成要素として特徴となる特徴点を削除する画像処理手段に対して、
上記輪郭の上記特徴点として検出された分岐点、端点及び屈曲点のうち、分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの各特徴点を、グループとして割り当てること、
上記グループごとに、連続する3つの特徴点におけるベクトルの積が所定の閾値よりも小さいという条件を満たしかつ最小となる3つの特徴点における真ん中を削除すること
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
入力される画像データの画像に含まれるオブジェクトの輪郭のうち、該輪郭の構成要素として特徴となる特徴点を削除する画像処理方法であって、
上記輪郭の上記特徴点として検出された分岐点、端点及び屈曲点のうち、分岐点又は端点から、次の分岐点又は端点までの各特徴点を、グループとして割り当てる第1のステップと、
上記グループごとに、2つの特徴点を結んだ場合にその結んだ線と、上記輪郭とが基準よりも近似することを条件として、当該グループに属する特徴点を抽出する第2のステップと
を具えることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate


【公開番号】特開2008−52701(P2008−52701A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46089(P2007−46089)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】