説明

画像処理装置、画像形成装置及びプログラム

【課題】感光体の表面に対する露光手段の焦点の位置ずれに起因する画像の再現性の低下を簡易的に抑える。
【解決手段】2値画像データに基づき複数のLEDで感光ドラムの表面を露光するLEDヘッドにより感光ドラムの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて画像を形成する画像形成装置において、LEDヘッドの焦点の位置が正常でないと判定した場合には(S104:YES)、低濃度の画像が濃く表現されるとともに高濃度の画像が薄く表現されるようにしきい値が設定された異常用ディザマトリクスを用いて2値画像データを生成する(S106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体の表面を帯電させた後に露光することで静電潜像を形成し、形成された静電潜像にトナーを付着させて画像を形成する画像形成装置が広く利用されている。こうした画像形成装置において、感光体の表面を露光する手段としては、レーザ光を走査するタイプのものの他に、複数のLEDを備えたタイプのもの(以下「LEDヘッド」という。)が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、画像形成装置の備えるLEDヘッド(LPH)の発光むらを抑制するために、テストパターンを用紙に印刷し、その用紙からテストパターンの濃度を読み取り、読み取った濃度分布に基づきLEDの光量補正を行う構成が示されている。具体的には、光量補正を行う際に、テストパターンの中に形成された2つのマーカのずれに基づきそのテストパターンの傾きを検出して補正することにより、濃度データとLEDとの位置関係を正確にした上で光量補正を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−188665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、LEDヘッドを備える画像形成装置においては、LEDヘッドの組み付け時の位置ずれや組み付け後に生じる位置ずれ、部材精度のばらつきや部材劣化など、種々の要因により、LEDヘッドと感光体との位置関係にずれが生じることが考えられる。こうした位置関係のずれによりLEDから感光体の表面までの光路長が変化すると、LEDの焦点の位置が感光体の表面からずれてしまい、LEDからの光が感光体の表面で収束しなくなる。この結果、静電潜像が適切に形成されなくなり、画像の再現性が低下してしまうという問題があった。
【0006】
こうしたLEDヘッドと感光体との位置関係のずれを解消することができるように、位置関係を微調整するための調整機構を画像形成装置に設けることも考えられるが、専門的な調整作業となることからユーザが容易に行うことはできない。
【0007】
なお、前述した特許文献1には、LEDヘッドが傾いて配設されていることが原因でテストパターンが傾いた状態で用紙に印刷されるという問題にかんがみて、テストパターンの副走査方向の両端にマーカを形成し、これらの主走査方向におけるずれに基づきそのテストパターンの傾きを補正する構成が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の構成は、あくまでもテストパターンを正常に読み取るために傾きを補正するものであって、画像の再現性の低下を解消することはできない。そもそも、LEDヘッドは感光体の回転により相対的に副走査方向へ移動するのであるから、LEDヘッドが傾いていても各LEDの主走査方向における位置は変化せず、副走査方向の両端に形成されたマーカが主走査方向にずれることはないため、この方法ではLEDヘッドの傾きを検出することすらできない。
【0008】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、感光体の表面に対する露光
手段の焦点の位置ずれに起因する画像の再現性の低下を簡易的に抑えることのできる画像処理装置、画像形成装置及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の画像処理装置は、画像形成装置で用いられる2値画像データを生成するための処理を行うものである。具体的には、2値画像データに基づき複数の発光素子で感光体の表面を露光する露光手段により感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させて画像を形成する画像形成装置が対象となる。
【0010】
そして、この画像処理装置は、露光手段の焦点の位置が正常であるか否かを判定する判定手段と、複数種類のディザマトリクスの中から2値画像データの生成に用いるディザマトリクスを選択する選択手段とを備える。具体的には、選択手段は、判定手段により露光手段の焦点の位置が正常でないと判定された場合には、正常であると判定された場合に比べて低濃度の画像が濃く表現されるとともに高濃度の画像が薄く表現されるようにしきい値が設定された異常用ディザマトリクスを選択する。
【0011】
このような画像処理装置によれば、感光体の表面に対する露光手段の焦点の位置ずれに起因する画像の再現性の低下を簡易的に抑えることができる。
すなわち、露光手段の焦点の位置が正常でない(ずれている)状態においては、低濃度の画像の濃度が正常時よりも薄くなり、逆に、高濃度の画像の濃度が正常時よりも濃くなるという濃度特性を本発明の発明者は見出した。
【0012】
具体的には、低濃度の画像は孤立ドットにより表現されるが、露光手段の焦点の位置がずれている状態においては孤立ドットが正しく形成されずにぼけた状態となるため、正常時に比べて濃度が低くなる。逆に、高濃度の画像はドットなし部分が孤立することにより表現されるが、現像剤の飛び散り等の要因によりドットなし部分につぶれが生じるため、正常時に比べて濃度が高くなる。
【0013】
そこで、本発明の画像処理装置では、露光手段の焦点の位置が正常でないと判定した場合には、低濃度の画像が濃く表現されるとともに高濃度の画像が薄く表現されるようにしきい値が設定された異常用ディザマトリクスを用いて2値画像データを生成する。このため、露光手段の焦点の位置がずれている状態における前述した濃度特性を緩和することができる。
【0014】
具体的には、例えば請求項2に記載の画像処理装置では、選択手段は、判定手段により露光手段の焦点の位置が正常であると判定された場合には、最も低いしきい値及び最も高いしきい値のそれぞれが孤立して配置された正常用ディザマトリクスを選択し、正常でないと判定された場合には、最も低いしきい値及び最も高いしきい値のそれぞれが複数並んで配置された異常用ディザマトリクスを選択する。
【0015】
このような画像処理装置によれば、異常用ディザマトリクスを用いて2値画像データを生成することで、その2値画像データにおける低濃度の画像の孤立ドットや高濃度の画像のドットなし部分を正常時よりも大きくすることができる。このため、露光手段の焦点の位置がずれている状態における前述した濃度特性を緩和することができる。
【0016】
ところで、画像形成装置としては、感光体及び露光手段を複数組備え、各組で形成された異なる色の現像剤像を重ね合わせてカラー画像を形成するものも知られている。このような画像形成装置を前提とした場合、本発明の画像処理装置は、例えば請求項3や請求項
4に記載のように構成することができる。
【0017】
すなわち、請求項3に記載の画像処理装置では、判定手段は、組ごとに露光手段の焦点の位置が正常であるか否かを判定し、選択手段は、組ごとに独立してディザマトリクスを選択する。このような画像処理装置によれば、各組に適したディザマトリクスを選択することができる。
【0018】
また、請求項4に記載の画像処理装置では、判定手段は、組ごとに露光手段の焦点の位置が正常であるか否かを判定する。そして、この画像処理装置は、判定手段により露光手段の焦点の位置が正常でないと判定された組が1つでも存在する場合には、正常であると判定された組の露光手段の発光素子の制御量を調整することによりその焦点の位置を擬似的に正常でない状態とする調整手段を備え、選択手段は、すべての組について異常用ディザマトリクスを選択する。
【0019】
このような画像処理装置によれば、露光手段の焦点の位置が正常である組と正常でない組とが混在している場合にも、カラー画像を適切に表現することができる。
すなわち、露光手段の焦点の位置が正常である組と正常でない組とが混在していると、組ごとに形成される現像剤像の表現にばらつきが生じ、これらを重ね合わせたカラー画像が適切に表現されないという問題が生じ得る。
【0020】
この点、請求項4に記載の画像処理装置では、露光手段の焦点の位置が正常でないと判定された組が1つでも存在する場合には、正常であると判定された組の露光手段の焦点の位置を擬似的に正常でない状態とし、すべての組について異常用ディザマトリクスを選択する。したがって、カラー画像を適切に表現することができる。
【0021】
特に、請求項5に記載の画像処理装置では、調整手段は、画像形成装置により形成された複数段階の濃度を表す濃度パッチの濃度の測定結果が、低濃度の濃度パッチが正常時の濃度よりも薄くかつ高濃度の濃度パッチが正常時の濃度よりも濃い濃度特性を有するようになるまで、判定手段により露光手段の焦点の位置が正常であると判定された組の露光手段の発光素子の制御量の調整を繰り返す。
【0022】
このような画像処理装置によれば、発光素子の制御量の調整により、露光手段の焦点の位置が正常でない状態を適切に再現することができる。
なお、本発明の画像処理装置は、例えば請求項6に記載のように、画像形成装置の構成要素とすることができる。すなわち、請求項6に記載の画像形成装置は、2値画像データに基づき複数の発光素子で感光体の表面を露光する露光手段により感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させて画像を形成するものであって、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像処理装置を備える。
【0023】
また、請求項7に記載のプログラムによれば、請求項1に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させることができ、これにより前述した効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態の画像形成装置の概略構成を示す側断面図である。
【図2】実施形態の画像形成装置のトップカバーの開放状態を示す側断面図である。
【図3】内部センサの構成についての説明図である。
【図4】実施形態の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】LEDヘッドと感光ドラムとの位置関係のずれについての説明図である。
【図6】LEDヘッドと感光ドラムとの位置関係のずれが画像に与える影響についての説明図である。
【図7】入力濃度と出力濃度との関係を示すグラフである。
【図8】正常用ディザマトリクスの説明図である。
【図9】異常用ディザマトリクスの説明図である。
【図10】感光ドラムの表面の電圧変化についての説明図である。
【図11】濃度パッチの説明図である。
【図12】第1実施形態のマトリクス選択処理のフローチャートである。
【図13】印刷処理のフローチャートである。
【図14】目視確認用画像の説明図である。
【図15】低濃度部確認画像の拡大図である。
【図16】高濃度部確認画像の拡大図である。
【図17】第2実施形態のマトリクス選択処理のフローチャートである。
【図18】第3実施形態のマトリクス選択処理のフローチャートである。
【図19】位置ずれありの状態のトナーと位置ずれなしの状態のトナーとが混在した状態の画像についての説明図である。
【図20】第4実施形態のマトリクス選択処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
【0026】
[1−1.全体構成]
図1は、第1実施形態の画像形成装置1の概略構成を示す側断面図である。なお、以下の説明においては、図1における左側を前方とし、図1における手前側を右とする。
【0027】
この画像形成装置1は、直接転写タンデム方式のカラープリンタであって、図1に示すように、略箱型の筐体2を備えている。筐体2の前面には、前面カバー3が設けられている。また、筐体2の上面には、画像形成後の被記録媒体としての用紙4が積載される排紙トレイ5Aが形成され、その排紙トレイ5Aが一体に設けられて画像形成装置1を上方から覆うトップカバー5は、画像形成装置1の後方上端を中心に開閉可能に設けられている(図2参照)。このトップカバー5を開放することにより、後述の画像形成ユニット30及びベルトユニット20を筐体2の内部から上方へ引き出すことが可能となる。
【0028】
筐体2の下部には、画像を形成するための用紙4が収容される給紙トレイ7が前方へ引き出し可能に装着されている。給紙トレイ7内には、用紙4を積載して支持し、その用紙4の前端側を持ち上げるように傾動可能な図示省略した圧板が設けられている。また、給紙トレイ7の前端上方位置には、用紙4を搬送する給紙ローラ11が設けられ、その給紙ローラ11による用紙搬送方向下流側には、給紙ローラ11にて搬送される用紙4を1枚ごとに分離する分離ローラ12と分離パッド13とが設けられている。
【0029】
給紙トレイ7の最上位の用紙4は、分離ローラ12によって1枚ごとに分離された後、さらに、紙粉取りローラ14と対向ローラ15とに挟まれて搬送され、一対のレジストローラ16,17の間へ送られる。レジストローラ16,17は、その用紙4を所定のタイミングで、後方のベルトユニット20上へ送り出す。
【0030】
ベルトユニット20は、筐体2に対して着脱可能とされており、前後に離間して配置されたベルト駆動ローラ21、テンションローラ22の間に水平に架設される搬送ベルト2
3(いわゆる転写搬送ベルト)を備えている。搬送ベルト23は、ポリカーボネート等の樹脂材からなる無端状のベルトであり、後側のベルト駆動ローラ21が回転駆動されることにより図1の時計方向に循環移動して、その上面に載せた用紙4を後方へ搬送する。
【0031】
搬送ベルト23の内側には、後述する画像形成ユニット30が有する各感光ドラム31と対向配置される4つの転写ローラ24が前後方向に一定間隔で並んで設けられ、各感光ドラム31と対応する転写ローラ24との間に搬送ベルト23を挟んだ状態となっている。後述のトナー像の転写時には、この転写ローラ24と感光ドラム31との間に転写バイアスが印加され、所定量の転写電流が通電される。
【0032】
画像形成ユニット30は、感光ドラム31の表面を露光する4つのLEDヘッド40と対をなして前からブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応して4つ設けられ、それら画像形成ユニット30、LEDヘッド40は、用紙4の搬送方向に沿って直列に配設されている。LEDヘッド40は、主走査方向(左右方向)に沿って一列に配設された複数のLEDと、LEDからの照射光を感光ドラム31の表面に集光させるレンズ(光学系)とを備える。
【0033】
各画像形成ユニット30は、感光ドラム31、トナー収容室33、現像ローラ35等を備えて構成されている。感光ドラム31は、接地された金属製のドラム本体を備え、その表層を正帯電性の感光層で被覆することにより構成されている。この感光ドラム31の表面は、その回転時、図示省略した帯電ワイヤにより一様に正帯電された後、LEDヘッド40の下端に一列に配設された複数のLEDにより露光されて、用紙4に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0034】
ここで、用紙4に形成すべき画像(印刷用の画像)を表す印刷データは、例えば外部のパーソナルコンピュータなどから送信されてくる。そして、本実施形態の画像形成装置1は、外部から送信されてきた印刷データ(本実施形態ではRGB表色系で表現された256階調の画像データ)を、トナーの色に対応したCMYK表色系の画像データに変換する色変換処理を行う。さらに、色変換処理後の画像データ(256階調のCMYKデータ)を2値化し、CMYK各色の2値画像データを生成する2値化処理を行う。この2値化処理においては、画像データの表す画像の画素ごとに、その画素値である入力レベル(0〜255)とあらかじめ用意されたディザマトリクスのしきい値(1〜255の範囲で設定される値)とを比較し、入力レベルがしきい値以上の場合にその箇所のドットをオンにし、入力レベルがしきい値未満の場合にその箇所のドットをオフにする。こうして生成した各色の2値画像データに基づき、各色に対応するLEDヘッド40により感光ドラム31の表面に2値画像データの表す画像を静電潜像として形成する。
【0035】
トナー収容室33には、CMYK各色の正帯電性非磁性1成分トナーが現像剤として収容されている。トナー収容室33に収容されたトナーは、現像ローラ35の回転等によって正に摩擦帯電され、一定厚さの薄層として現像ローラ35上に担持される。次いで、現像ローラ35の回転により、現像ローラ35上に担持され正帯電されているトナーが、感光ドラム31に対向して接触するときに、感光ドラム31の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム31の静電潜像は、可視像化され、感光ドラム31の表面には、露光部分にのみトナーが付着したトナー像(トナーにより形成される可視像)が担持される。
【0036】
その後、各感光ドラム31の表面上に担持されたトナー像は、搬送ベルト23によって搬送される用紙4が感光ドラム31と転写ローラ24との間を通る際に、転写電流によって、用紙4に順次転写される。こうして各色のトナー像が重ね合わせて転写されることによりカラー画像が形成された用紙4は、次いで定着器50に搬送される。
【0037】
定着器50は、筐体2内における搬送ベルト23の後方に配置されている。この定着器50は、ハロゲンランプ等の熱源を備えて回転駆動される加熱ローラ51と、加熱ローラ51の下方において、加熱ローラ51を押圧するように対向配置され従動回転される加圧ローラ52とを備えている。この定着器50では、各色のトナー像が転写された用紙4を、加熱ローラ51と加圧ローラ52とによって狭持搬送しながら加熱することにより、トナー像(カラー画像)を用紙4に定着させる。そして、トナー像が定着された用紙4は、定着器50の斜め後上方に配置された搬送ローラ53により更に搬送され、筐体2の上部に設けられた排紙ローラ54により、前述の排紙トレイ5A上に排出される。
【0038】
また、ベルト駆動ローラ21の斜め下方における搬送ベルト23の表面との対向位置には、内部センサ60が設けられている。この内部センサ60は、後に詳述するが、画像形成ユニット30によって濃度パッチP(図3参照)等が搬送ベルト23に形成されたときに、その濃度パッチP等を検出するものである。さらに、ベルト駆動ローラ21とテンションローラ22との間に架設された搬送ベルト23の下面には、その搬送ベルト23の表面に形成された濃度パッチP等を消去する周知のベルトクリーナ99が当接している。
【0039】
また、図2に示すように、トップカバー5はその後端に左右方向(すなわち搬送ベルト23の移動方向とは直交する方向)に配設された軸5Bを中心に回動し、そのトップカバー5の下面には、4つのLEDヘッド40が図示省略した接続リンクを介して揺動可能に接続されている。このため、トップカバー5を開放することにより、図2に示すように各LEDヘッド40を感光ドラム31から離間することができ、トップカバー5を閉じることにより、図1に示すように各LEDヘッド40を感光ドラム31との対向位置に配設することができる。
【0040】
図3(A)に示すように、内部センサ60は、ベルト駆動ローラ21によって折り返された搬送ベルト23の下面に対向して、その搬送ベルト23の左右方向における一方の端部近傍に設けられている。なお、内部センサ60は、図3(B)に示すように、ベルト駆動ローラ21の表面に沿って湾曲した搬送ベルト23に対向配置されてもよい。
【0041】
[1−2.電気的構成]
次に、画像形成装置1の電気的構成について、図4のブロック図を用いて説明する。なお、本発明の特徴部分との関連性の薄い構成については図示及び説明を省略する。
【0042】
同図に示すように、画像形成装置1は、前述したLEDヘッド40及び内部センサ60の他、制御部70、操作部71、表示部72、通信部73及び記憶部74を備える。
制御部70は、画像形成装置1の各部を統括制御するコンピュータであり、CPU、ROM、RAM等を備える。CPUは、ROMに記憶されたプログラムに従い、後述するマトリクス選択処理(図12)や印刷処理(図13)などを実行する。
【0043】
操作部71は、ユーザからの外部操作による指令を入力するための入力装置であり、各種操作ボタンを備える。
表示部72は、各種情報をユーザが視認可能な画像として表示するための出力装置であり、小型の液晶ディスプレイが用いられる。
【0044】
通信部73は、外部装置(本実施形態ではパーソナルコンピュータ80)との間でデータ通信を行うためのインタフェースである。
記憶部74は、記憶データを書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、本実施形態ではフラッシュメモリが用いられている。記憶部74には、後述する正常用ディザマトリクス及び異常用ディザマトリクスが記憶されている。
【0045】
[1−3.処理の概要]
次に、第1実施形態の画像形成装置1で実行される処理の概要について説明する。
画像形成装置1においては、LEDヘッド40の組み付け時の位置ずれや、トップカバー5の開閉などにより生じる位置ずれ、部材精度のばらつき、部材劣化など、種々の要因により、LEDヘッド40と感光ドラム31との位置関係にずれが生じることが考えられる。
【0046】
図5(A),(B)は、LEDヘッド40と感光ドラム31との位置関係にずれが生じていない正常な状態(以下「位置ずれなしの状態」という。)を前方及び上方から見た模式図である。一方、図5(C),(D)は、LEDヘッド40と感光ドラム31との位置関係にずれが生じている状態(以下「位置ずれありの状態」という。)を前方及び上方から見た模式図である。
【0047】
位置ずれありの状態では、LEDヘッド40の下端に配設されたLEDから感光ドラム31の表面までの光路長L1,L2(図5(C))が、位置ずれなしの状態での正常な光路長L0(図5(A))と異なり得る。このように光路長が変化すると、LEDの焦点が感光ドラム31の表面からずれてしまい、LEDからの光が感光ドラム31の表面で収束しないため、静電潜像が適切に形成されなくなってしまう。具体的には、感光ドラム31の表面における電圧の変化が鈍くなり、トナーが正しく付着しなかったり、目標外の箇所に付着してしまったりする。
【0048】
図6(A)〜(D)は、ブラックのトナーのみで印刷された画像の拡大図である。このうち、図6(A)は位置ずれなしの状態での画像の淡部(低濃度の画像)の拡大画像であり、図6(B)は位置ずれありの状態での画像の淡部の拡大画像である。一方、図6(C)は位置ずれなしの状態での画像の暗部(高濃度の画像)の拡大画像であり、図6(D)は位置ずれありの状態での暗部の拡大画像である。
【0049】
これらに示すように、画像の淡部においては、位置ずれなしの状態(図6(A))では明確に形成される孤立ドットが、位置ずれありの状態(図6(B))では正しく形成されずにぼけた状態となる。反対に、画像の暗部においては、位置ずれなしの状態(図6(C))では明確に形成されるドットなし(空白)部分が、位置ずれありの状態(図6(D))ではトナーの飛び散り等の要因によりつぶれが発生する。
【0050】
したがって、図7に示すように、入力濃度(2値画像データに基づく濃度)に対する出力濃度(実際に形成したトナー画像の測定濃度)は、位置ずれありの状態(点線のライン)では位置ずれなしの状態(実線のライン)に比べ、淡部の濃度は下がり暗部の濃度は逆に上がるという濃度特性(以下「位置ずれ特性」という。)となる。
【0051】
そこで、本実施形態の画像形成装置1は、LEDヘッド40の焦点の位置が正常であるか否か(位置ずれなしの状態及び位置ずれありの状態のうちいずれであるか)を、4組のLEDヘッド40及び感光ドラム31のそれぞれについて(CMYKの色ごとに)判定する。そして、その判定結果に基づき、2値画像データの生成に用いるディザマトリクスを2種類のディザマトリクスからCMYKの色ごとに独立して選択する。
【0052】
具体的には、LEDヘッド40の焦点の位置が正常でないと判定した場合には、正常で
あると判定した場合に選択する正常用ディザマトリクスに比べて低濃度の画像が濃く表現されるとともに高濃度の画像が薄く表現されるようにしきい値が設定された異常用ディザマトリクスを選択する。
【0053】
本実施形態で用いる正常用ディザマトリクスは、図8(A)に示すように24×24のサイズのものであり、「1」〜「255」の各しきい値が1つ以上配置されており、0〜255の各入力レベルに応じた階調(256階調)を複数の網点で表現するものである。
【0054】
この正常用ディザマトリクスでは、少なくとも最も低いしきい値「1」及び最も高いしきい値「255」のそれぞれが孤立して配置されている。すなわち、入力レベル「1」の状態ではしきい値「1」の箇所のみドットをがオンされ、入力レベル「254」の状態ではしきい値「255」の箇所のみドットがオフされるが、このドットやドットなし(空白)部分がドット1個分の大きさで孤立して形成されるようにしきい値が設定されている。
【0055】
具体的には、本実施形態では、図8(B)に示すように入力レベル「15」の状態で形成されるしきい値「1」〜「15」の箇所のドット(網点)と、図8(C)に示すように入力レベル「240」の状態で形成されるしきい値「241」〜「255」の箇所のドットなし部分とが、すべてドット1個分の大きさで孤立して形成されるようにしきい値が設定されている。
【0056】
一方、本実施形態で用いる異常用ディザマトリクスも、図9(A)に示すように24×24のサイズのものであり、「1」〜「255」の各しきい値が1つ以上配置されている点では正常用ディザマトリクス(図8(A))と一致する。しかしながら、異常用ディザマトリクスは、少なくとも最も低いしきい値「1」及び最も高いしきい値「255」のそれぞれが横方向に連続して2つ並んで配置されている点が正常用ディザマトリクスと異なる。
【0057】
具体的には、本実施形態では、図9(B)に示すように入力レベル「16」の状態で形成されるしきい値「1」〜「16」の箇所のドット(網点)と、図9(C)に示すように入力レベル「239」の状態で形成されるしきい値「240」〜「255」の箇所のドットなし部分とが、すべてドット2個分の大きさで形成されるようにしきい値が設定されている。逆にいえば、異常用ディザマトリクスは、正常用ディザマトリクスのようにドットやドットなし部分がドット1個分の大きさで孤立して配置されないようにしきい値が設定されている。
【0058】
図10(A)は、ドット1個分の孤立ドットを配置した場合の感光ドラム31の表面の電圧変化を示すグラフ(縦軸が電圧、横軸が主走査方向の位置)である。横軸に沿った境界線(破線で示す直線)は、トナーが多く付着するか否かの目安としての境界線であり、この境界線を上回っているほどトナーが付着しやすいことを意味する。このグラフに示すように、位置ずれありの状態での電圧変化(点線で示す曲線)は、位置ずれなしの状態での電圧変化(実線で示す曲線)に比べて山が緩やかとなり、境界線を越える部分が小さくなるためトナーが付着しづらい。
【0059】
図10(B)は、位置ずれありの状態で2つのドットを横方向に連続して配置した場合の電圧変化を示すグラフである。このグラフに示すように、1ドット分の電圧変化(点線で示す曲線)が2つ分加算され、二点鎖線で示す電圧変化となり、境界線を越える部分が増えるため、トナーが付着しやすくなる。
【0060】
図10(C)は、ドットなし部分をドット2個分横方向に連続して配置した場合の電圧変化を示すグラフである。このグラフに示すように、位置ずれありの状態での電圧変化(
点線で示す曲線)は、位置ずれなしの状態での電圧変化(実線で示す曲線)に比べて山が緩やかで裾野も広がっているため、空白部分も電圧が変化した状態となり、この部分にトナーが微量ながら付着しやすい(トナーの飛び散りが発生しやすい)。トナーが付着すると、前述のようにつぶれが発生してしまうため、異常用ディザマトリクスは、正常用ディザマトリクスに比べ、暗部の空白がより大きく形成されるようにしきい値が設定されている。
【0061】
ここで、位置ずれなしの状態及び位置ずれありの状態のうちいずれであるかの判定は、濃度パッチPの測定結果が位置ずれ特性を有するか否かにより行う。具体的には、画像形成装置1の電源がオンされたタイミングで、図3(A)に示すように、搬送ベルト23の左右方向における一方の端部に、CMYK各色の複数段階(この例では5段階)の濃度を表すトナー像を濃度パッチPとして形成し、形成した濃度パッチPの濃度を内部センサ60で測定する。
【0062】
なお、判定のタイミングはあくまでも一例であり、これ以外のタイミングであってもよい。特に、本実施形態の画像形成装置1では、前述したようにLEDヘッド40がトップカバー5の下面に揺動可能に接続されており、トップカバー5を開閉することによりLEDヘッド40の位置がずれる可能性があるため、電源がオンされたタイミングに代えて(又はこのタイミングとともに)、トップカバー5が閉じられたタイミングとすることも有効である。また、ユーザによって指示されたタイミングとしてもよい。
【0063】
濃度パッチPは、図11(A)に示すように、CMYK各色のベタ画像を、20%、40%、60%、80%及び100%の5段階の濃度で表したものであり、図11(B)に示す濃度パッチ用のディザマトリクスで2値化されたものである。各濃度についての2値化後のドット配置パターンは図11(C)〜(G)に示すとおりであり、例えば20%濃度の濃度パッチPであれば、図11(C)の「1」の箇所にトナーが付着したパターンを濃度パッチPのサイズ分並べたパターンで構成される。
【0064】
そして、濃度パッチPの測定結果が位置ずれ特性を有する場合に、位置ずれありの状態であると判定する。具体的には、CMYKの色ごとに、5段階の濃度の各測定結果を線形補間して、測定結果に基づく測定濃度ライン(図7に示す点線のライン)を求める。そして、この測定濃度ラインと、位置ずれなしの(正常時の)濃度に基づく正常濃度ライン(図7に示す実線のラインであり、判定基準値としてあらかじめ記憶されている。)との差の積分値に基づき、位置ずれ特性を有するか否かを判定する。
【0065】
例えば、入力濃度50%を境として、入力濃度50%未満の範囲における「正常濃度ライン上の値」から「測定濃度ライン上の値」を差し引いた値の積分値(換言すれば、正常濃度ラインと測定濃度ラインとの間に形成される領域の面積)が第1の判定基準値以上であり、かつ、入力濃度50%以上の範囲における「測定濃度ライン上の値」から「正常濃度ライン上の値」を差し引いた値の積分値(換言すれば、測定濃度ラインと正常濃度ラインとの間に形成される領域の面積)が第2の判定基準値以上であるという条件を満たす場合に、位置ずれ特性を有すると判定する。このように積分値で判定することにより、測定結果に多少のばらつきがある場合にも、全体的な傾向に基づき位置ずれ特性を検出することができる。
【0066】
なお、入力濃度に対する出力濃度の値は、経年変化(時間的な変化や稼働量に伴う変化など)によりずれることがあるが、出力濃度が全体的に上昇する方向に変化することが通常である。したがって、経年変化による出力濃度の変化と、LEDヘッド40の位置ずれによる出力濃度の変化とは、出力濃度のずれ方の特性に基づき区別することができる。
【0067】
[1−4.具体的処理手順]
次に、前述した処理を実現するために制御部70が実行する具体的な処理手順について説明する。
【0068】
まず、画像形成装置1の電源がオンされたことを契機に制御部70が実行するマトリクス選択処理について、図12のフローチャートを用いて説明する。
制御部70は、このマトリクス選択処理を開始すると、まずS101で、濃度パッチP(図11(A))を搬送ベルト23上に形成するための処理を行う。
【0069】
続いて、S102では、S101で搬送ベルト23上に形成した濃度パッチPの濃度を内部センサ60で測定するための処理を行う。
続いて、S103では、CMYK4色のうち未処理の色(後述するS105又はS106の処理を行っていない色であり、2回目以降は後述するS108で指定される。)を1つ選択し、その色についての測定結果を分析する。具体的には、前述したように測定結果を線形補間して積分値を求めるといった演算処理を行う。
【0070】
続いて、S104では、濃度パッチPの測定結果が位置ずれ特性を有するか否かを判定する。
そして、S104で、位置ずれ特性を有しないと判定した場合には、S105へ移行し、2値化処理(後述するS203)に使用するディザマトリクス(以下「使用ディザマトリクス」という。)を正常用ディザマトリクスに設定する。その後、S107へ移行する。
【0071】
一方、S104で、位置ずれ特性を有すると判定した場合には、S106へ移行し、使用ディザマトリクスを異常用ディザマトリクスに設定する。その後、S107へ移行する。
【0072】
S107では、CMYK4色すべてについて処理を終了したか否かを判定する。
そして、S107で、4色すべてについて処理を終了していない(未処理の色が存在する)と判定した場合には、S108へ移行し、処理対象の色を次の色(未処理の色のうちの1つ)に変更する。その後、S103へ戻る。
【0073】
一方、S107で、4色すべてについて処理を終了したと判定した場合には、本マトリクス選択処理を終了する。
次に、印刷データ(256階調のRGBデータ)の表す画像の印刷指令を受けたことを契機に制御部70が実行する印刷処理について、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0074】
制御部70は、この印刷処理を開始すると、まずS201で、印刷データの表す画像を構成する画素単位のデータである画素データ(RGB値)の中から、未処理の画素データを1画素分取得する。
【0075】
続いて、S202では、使用カラープロファイルを用いて色変換処理を実行することにより、画素データを256階調のCMYK値に変換する。
続いて、S203では、設定されている使用ディザマトリクス(前述したS105又はS106の処理で設定されたディザマトリクス)を使用して2値化処理を実行する。
【0076】
続いて、S204では、印刷データの表す画像を構成するすべての画素について処理を終了したか否かを判定する。
そして、S204で、すべての画素について処理を終了していない(未処理の画素が存在する)と判定した場合には、S201へ戻る。
【0077】
一方、S204で、すべての画素について処理を終了したと判定した場合には、S205へ移行し、2値化処理によって生成された2値画像データに基づき印刷処理を実行する。その後、本印刷処理を終了する。
【0078】
[1−5.効果]
以上説明したように、第1実施形態の画像形成装置1では、LEDヘッド40の焦点の位置が正常でないと判定した場合には、低濃度の画像が濃く表現されるとともに高濃度の画像が薄く表現されるようにしきい値が設定された異常用ディザマトリクスを用いて2値画像データを生成する(S106,S203)。異常用ディザマトリクスを用いて生成した2値画像データは、低濃度の画像の孤立ドットや高濃度の画像のドットなし部分が正常時よりも大きくなるため、位置ずれ特性を緩和することができる。この結果、LEDヘッド40の焦点の位置ずれに起因する画像の再現性の低下を簡易的に抑えることができる。
【0079】
また、第1実施形態で用いる異常用ディザマトリクスは、正常用ディザマトリクスと同様、「1」〜「255」の各しきい値が1つ以上配置されている(しきい値が連続している)ため、0〜255の各入力レベルに応じた階調(256階調)を表現することができる。したがって、印刷データの階調性を損なうことなく画像の再現性の低下を抑えることができる。
【0080】
また、第1実施形態の画像形成装置1では、LEDヘッド40の焦点の位置が正常であるか否かを色ごとに判定し、色ごとに独立して使用ディザマトリクスを選択するようにしているため(S103〜S108)、色ごとに適したディザマトリクスを選択することができる。
【0081】
特に、第1実施形態の画像形成装置1では、当該画像形成装置1の電源がオンされたことを契機にマトリクス選択処理が実行されるため、位置ずれありの状態となっているにもかかわらず正常用ディザマトリクスが長期間使用され続けることを防ぐことができる。
【0082】
[1−6.特許請求の範囲との対応]
なお、第1実施形態では、感光ドラム31が感光体に相当し、LEDヘッド40が露光手段(LEDが発光素子)に相当する。また、S103〜S108の処理を実行する制御部70が画像処理装置に相当し、特に、S103,S104の処理を実行する制御部70が判定手段、S105,S106の処理を実行する制御部70が選択手段にそれぞれ相当する。
【0083】
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
[2−1.全体構成]
第2実施形態の画像形成装置1は、制御部70の実行するマトリクス選択処理の内容が第1実施形態の画像形成装置1と相違する。その他、基本的な構成は第1実施形態と共通
しているため、共通部分については同一の符号を流用するとともに説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0084】
[2−2.処理の概要]
第2実施形態の画像形成装置1で実行される処理の概要について説明する。
第2実施形態の画像形成装置1は、位置ずれなしの状態及び位置ずれありの状態のうちいずれであるかを判定する判定方法が第1実施形態の画像形成装置1と相違する。すなわち、第1実施形態の画像形成装置1では、位置ずれなしの状態及び位置ずれありの状態のうちいずれであるかの判定を、濃度パッチPの測定結果が位置ずれ特性を有するか否かにより行うようにしている。
【0085】
これに対し、第2実施形態の画像形成装置1では、位置ずれなしの状態及び位置ずれありの状態のうちいずれであるかをユーザに判定させる。具体的には、位置ずれ特性をユーザに視認させるための目視確認用画像100(図14)を用紙4に印刷し、この目視確認用画像100に基づきユーザから入力される指示(判定結果)に従い、位置ずれあり/なしの状態を判定する。
【0086】
目視確認用画像100は、図14に示すように、低濃度画像の印刷状態を目視で確認するためのCMYK各色の低濃度部確認画像110C,110M,110Y,110Kと、高濃度画像の印刷状態を目視で確認するためのCMYK各色の高濃度部確認画像120C,120M,120Y,120Kとからなる。なお、4つの低濃度部確認画像110C,110M,110Y,110Kは、すべて同一の画像であり、色のみが異なる。高濃度部確認画像120C,120M,120Y,120Kも同様である。
【0087】
図15は、低濃度部確認画像110Kの拡大図である。なお、ここではブラックの低濃度部確認画像110Kを例示するが、他の色も同様である。
低濃度部確認画像110Kには、正方形の枠113の中に4個の目視用ドット112が配置された確認マーク111が、縦横にそれぞれ4個ずつ(計16個)配置されており、各確認マーク111における目視用ドット112の大きさは、その確認マーク111の配置位置に応じて異なっている。
【0088】
具体的には、最も左の列(「×1」の列)に配置されている確認マーク111における目視用ドット112の横幅はドット1個分であり、列が右にずれるごとにその横幅がドット1個分ずつ増加し、最も右の列(「×4」の列)ではその横幅がドット4個分となる。また同様に、最も上の列(「×1」の列)に配置されている確認マーク111における目視用ドット112の縦幅はドット1個分であり、列が下にずれるごとにその縦幅がドット1個分ずつ増加し、最も下の列(「×4」の列)ではその縦幅がドット4個分となる。つまり、目視用ドット112の大きさが縦横それぞれドット1個分のものから縦横それぞれドット4個分のものまで16パターンの確認マーク111が配置されている。
【0089】
なお、各確認マーク111における正方形の枠113には、その4辺の各中央位置にスリット114が形成されており、このスリット114の幅(縦幅又は横幅)は目視用ドット112の縦幅又は横幅に対応している。
【0090】
一方、図16は、高濃度部確認画像120Kの拡大図である。高濃度部確認画像120Kは、低濃度部確認画像110Kを単に反転させたものであるため、具体的な説明は省略する。
【0091】
このような16パターンの確認マーク111に基づき、低濃度画像における孤立ドットの形成状態及び高濃度画像におけるドットなし(空白)部分の形成状態を目視によって比較的正確に判定することが可能となる。例えば、孤立ドット及びドットなし部分がどの大きさまで目視できるかをユーザに判定させ、孤立ドット及びドットなし部分が共に2ドット×2ドットの大きさで確認できなければ位置ずれ状態であると判定させるといったことが可能となる。
【0092】
[2−3.具体的処理手順]
次に、第1実施形態のマトリクス選択処理(図12)に代えて制御部70が実行するマトリクス選択処理について、図17のフローチャートを用いて説明する。このマトリクス選択処理は、ユーザ指定による任意のタイミングで(例えば、表示部72に表示されたメニューから目視確認用画像の印刷を選択する操作が行われたことを契機に)実行される。
【0093】
制御部70は、このマトリクス選択処理を開始すると、まずS301で、目視確認用画像100を用紙4に印刷する処理を行う。
続いて、S302では、目視確認用画像100の判定結果の入力(操作部71での入力操作)をユーザに促す判定結果入力画面を表示部72に表示させる。具体的には、CMYKの色ごとに目視による判定結果(「ずれあり」又は「ずれなし」)を順に入力させるようになっており、未入力の色(後述するS304又はS305の処理を行っていない色であり、2回目以降は後述するS307で指定される。)を1つ選択し、その色についての判定結果の入力を促す。
【0094】
続いて、S303では、S302で表示部72に表示させた判定結果入力画面に対しユーザから入力された判定結果が「ずれあり」であるか否かを判定する。
そして、S303で、判定結果が「ずれあり」でないと判定した場合には、S304へ移行し、使用ディザマトリクスを正常用ディザマトリクスに設定する。その後、S306へ移行する。
【0095】
一方、S303で、判定結果が「ずれあり」であると判定した場合には、S305へ移行し、使用ディザマトリクスを異常用ディザマトリクスに設定する。その後、S306へ移行する。
【0096】
S306では、CMYK4色すべてについて判定結果を入力したか否かを判定する。
そして、S306で、4色すべてについて判定結果を入力していない(未入力の色が存在する)と判定した場合には、S307へ移行し、入力する色を次の色(未入力の色のうちの1つ)に変更する。その後、S302へ戻る。
【0097】
一方、S306で、4色すべてについて判定結果を入力したと判定した場合には、本マトリクス選択処理を終了する。
[2−4.効果]
以上説明した第2実施形態の画像形成装置1によれば、第1実施形態の画像形成装置1と同様の効果が得られる。特に、第2実施形態の画像形成装置1では、位置ずれあり/なしの状態をユーザに判定させるようにしているため、位置ずれ特性が他の要因により偶然生じたような場合にも、誤判定を防止することが可能となる。
【0098】
[2−5.特許請求の範囲との対応]
なお、第2実施形態では、S302〜S307の処理を実行する制御部70が画像処理装置に相当し、特に、S302,S303の処理を実行する制御部70が判定手段、S304,S305の処理を実行する制御部70が選択手段にそれぞれ相当する。
【0099】
[3.第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
[3−1.全体構成]
第3実施形態の画像形成装置1は、制御部70の実行するマトリクス選択処理の内容が第1実施形態の画像形成装置1と相違する。その他、基本的な構成は第1実施形態と共通しているため、共通部分については同一の符号を流用するとともに説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0100】
[3−2.処理の概要]
第3実施形態の画像形成装置1で実行される処理の概要について説明する。
第3実施形態の画像形成装置1は、位置ずれなしの状態及び位置ずれありの状態のうちいずれであるかを判定する判定方法が第1実施形態の画像形成装置1と相違する。すなわち、第1実施形態の画像形成装置1では、位置ずれなしの状態及び位置ずれありの状態のうちいずれであるかの判定を、濃度パッチPの測定結果が位置ずれ特性を有するか否かにより行うようにしている。
【0101】
これに対し、第3実施形態の画像形成装置1では、濃度パッチPの測定結果が位置ずれ特性を有する場合に、目視確認用画像100を用紙4に印刷し、この目視確認用画像100をユーザに視認させた上で判定結果を入力させる。つまり、第1実施形態の判定方法と第2実施形態の判定方法とを組み合わせた判定方法を採用している。
【0102】
[3−3.具体的処理手順]
次に、第1実施形態のマトリクス選択処理(図12)に代えて制御部70が実行するマトリクス選択処理について、図18のフローチャートを用いて説明する。このマトリクス選択処理は、第1実施形態と同様、画像形成装置1の電源がオンされたことを契機に実行される。
【0103】
制御部70は、このマトリクス選択処理を開始すると、まずS401で、濃度パッチP(図11(A))を搬送ベルト23上に形成するための処理を行う。
続いて、S402では、S401で搬送ベルト23上に形成した濃度パッチPの濃度を内部センサ60で測定するための処理を行う。
【0104】
続いて、S403では、CMYK各色についての測定結果を分析する。具体的には、前述したように測定結果を線形補間して積分値を求めるといった演算処理を行う。
続いて、S404では、CMYK各色の濃度パッチPの測定結果の中に、位置ずれ特性を有する色が存在するか否かを判定する。
【0105】
そして、S404で、位置ずれ特性を有する色が1色も存在しないと判定した場合には、S412へ移行し、CMYK4色すべてについて、使用ディザマトリクスを正常用ディザマトリクスに設定する。その後、本マトリクス選択処理を終了する。
【0106】
一方、S404で、位置ずれ特性を有する色が1色でも存在すると判定した場合には、
S405へ移行する。以降の処理(S405〜S411)は、第2実施形態のマトリクス選択処理(S301〜S307)と同一であるため説明を省略する。
【0107】
[3−4.効果]
以上説明した第3実施形態の画像形成装置1によれば、第1実施形態の画像形成装置1と同様の効果が得られる。特に、第3実施形態の画像形成装置1では、当該画像形成装置1の電源がオンされたことを契機にマトリクス選択処理が実行されるため、位置ずれありの状態となっているにもかかわらず正常用ディザマトリクスが長期間使用され続けることを防ぐことができる。しかも、位置ずれあり/なしの状態を確認的にユーザに判定させるようにしているため、位置ずれ特性が他の要因により偶然生じたような場合にも、誤判定を防止することが可能となる。
【0108】
[3−5.特許請求の範囲との対応]
なお、第3実施形態では、S403〜S411の処理を実行する制御部70が画像処理装置に相当し、特に、S403〜S407の処理を実行する制御部70が判定手段、S408,S409の処理を実行する制御部70が選択手段にそれぞれ相当する。
【0109】
[4.第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
[4−1.全体構成]
第4実施形態の画像形成装置1は、制御部70の実行するマトリクス選択処理の内容が第1実施形態の画像形成装置1と相違する。その他、基本的な構成は第1実施形態と共通しているため、共通部分については同一の符号を流用するとともに説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0110】
[4−2.処理の概要]
第4実施形態の画像形成装置1で実行される処理の概要について説明する。
第4実施形態の画像形成装置1は、使用ディザマトリクスの選択方法が第1実施形態の画像形成装置1と相違する。すなわち、第1実施形態の画像形成装置1では、LEDヘッド40の焦点の位置が正常であるか否かを色ごとに判定し、色ごとに独立して使用ディザマトリクスを選択するようにしている。
【0111】
これに対し、第4実施形態の画像形成装置1では、LEDヘッド40の焦点の位置が正常であるか否かを色ごとに判定し、正常でないと判定された色が1つでも存在する場合には、正常であると判定された色のLEDヘッド40を擬似的に正常でない状態とする。その上で、すべての色について異常用ディザマトリクスを選択する。
【0112】
このようにしているのは、次の理由による。すなわち、位置ずれありの状態において専用のディザマトリクス(異常用ディザマトリクス)を使用するという手法は、CMYK4色すべてのLEDヘッド40が位置ずれありの状態である場合や、単色で印刷する場合などにおいて特に効果を発揮する。しかしながら、4つのLEDヘッド40に位置ずれありの状態のものと位置ずれなしの状態のものとが混在していると、色ごとに形成されるトナー像の表現にばらつきが生じるため、これらを重ね合わせたカラー画像が適切に表現されないという問題が生じ得る。
【0113】
具体的には、位置ずれありの状態の色に異常用ディザマトリクスを使用した場合、トナーは付着するようになるものの、図10(B)に示すように、位置ずれなしの状態においてドット1個分の孤立ドットを配置した場合の電圧変化(図10(A))に比べて全体的
に山が広がった状態となるため、トナーがその山全体にちらばって定着することとなる。
【0114】
これに対し、位置ずれなしの状態の色ではトナーが狭い範囲に集中して定着するため、位置ずれありの状態の色のトナーが散らばって定着しているところに、位置ずれなしの状態の色のトナーがドットを明確に形成して定着することとなる。
【0115】
図19(A)は、位置ずれありの状態のマゼンタのトナーと位置ずれなしの状態のブラックのトナーとが重なった状態を示す拡大画像である。この図に示すように、位置ずれなしの状態の色(この例ではブラック)のドットが目立つ結果となり、ユーザが模様として認識してしまうことが考えられる。
【0116】
そこで、第4実施形態の画像形成装置1では、位置ずれなしの状態の色のLEDヘッド40の光量、点灯時間、バイアスといった電圧変化を左右するパラメータを調整することで、位置ずれありの状態の電圧変化と同じような電圧変化になるようにする。その上で、位置ずれなしの状態の色についても異常用ディザマトリクスを用いるようにする。
【0117】
[4−3.具体的処理手順]
次に、第1実施形態のマトリクス選択処理(図12)に代えて制御部70が実行するマトリクス選択処理について、図20のフローチャートを用いて説明する。このマトリクス選択処理は、第1実施形態と同様、画像形成装置1の電源がオンされたことを契機に実行される。
【0118】
制御部70は、このマトリクス選択処理を開始すると、まずS501で、濃度パッチP(図11(A))を搬送ベルト23上に形成するための処理を行う。
続いて、S502では、S501で搬送ベルト23上に形成した濃度パッチPの濃度を内部センサ60で測定するための処理を行う。
【0119】
続いて、S503では、CMYK各色についての測定結果を分析する。具体的には、前述したように測定結果を線形補間して積分値を求めるといった演算処理を行う。
続いて、S504では、CMYK各色の濃度パッチPの測定結果の中に、位置ずれ特性を有する色が存在するか否かを判定する。
【0120】
そして、S504で、位置ずれ特性を有する色が1色も存在しないと判定した場合には、S505へ移行し、CMYK4色すべてについて、使用ディザマトリクスを正常用ディザマトリクスに設定する。その後、本マトリクス選択処理を終了する。
【0121】
一方、S504で、位置ずれ特性を有する色が1色でも存在すると判定した場合には、S506へ移行し、以降の処理(S507〜S511)で処理対象となる色(処理カラー)をブラックに設定する。
【0122】
続いて、S507では、処理カラーの測定結果が位置ずれ特性を有するか否かを判定する。
そして、S507で、処理カラーの測定結果が位置ずれ特性を有しないと判定した場合には、S508へ移行し、その処理カラーのLEDヘッド40の電圧変化に関するパラメータ(光量、点灯時間、バイアス等)をあらかじめ決められた一定量変更する。具体的には、例えば、LEDに印加する電圧を低下させたり、点灯時間(デューティ比)を低下させたりするといった手法が挙げられる。なお、電圧やデューティ比を低下させるにより、
位置ずれなしの状態の電圧変化を位置ずれありの状態の電圧変化に擬似的に近づけることは可能であるが、これとは逆に、位置ずれありの状態の電圧変化を位置ずれなしの状態の電圧変化に近づけること(ぼやけた状態のドットやドットなし部分をシャープにすること)は困難である。
【0123】
続いて、S509では、処理カラーの濃度パッチPを搬送ベルト23上に形成するための処理を行う。
続いて、S510では、S509で搬送ベルト23上に形成した濃度パッチPの濃度を内部センサ60で測定するための処理を行う。
【0124】
続いて、S511では、処理カラーの測定結果が位置ずれ特性を有するか否かを判定する。
そして、S511で、処理カラーの測定結果が位置ずれ特性を有しないと判定した場合にはS508へ戻り、処理カラーの測定結果が位置ずれ特性を有しないと判定した場合にはS512へ移行する。つまり、処理カラーの測定結果が位置ずれ特性を有するようになるまで、LEDヘッド40の電圧変化に関するパラメータを調整するようにしている。
【0125】
一方、S507で、処理カラーの測定結果が位置ずれ特性を有すると判定した場合には、そのままS512へ移行する。
S512では、CMYK4色すべてについて処理を終了したか否かを判定する。
【0126】
そして、S512で、4色すべてについて処理を終了していない(未処理の色が存在する)と判定した場合には、S513へ移行し、処理カラーを次の色(未処理の色のうちの1つ)に変更する。その後、S508へ戻る。
【0127】
一方、S512で、4色すべてについて処理を終了したと判定した場合には、S514へ移行し、CMYK4色すべてについて、使用ディザマトリクスを異常用ディザマトリクスに設定する。その後、本マトリクス選択処理を終了する。
【0128】
[4−4.効果]
以上説明した第4実施形態の画像形成装置1によれば、第1実施形態の画像形成装置1と同様の効果が得られる。
【0129】
特に、第4実施形態の画像形成装置1では、4つのLEDヘッド40の中に焦点の位置が正常でないと判定されたものが1つでも存在する場合には、正常であると判定されたものを擬似的に正常でない状態とした上で、すべての色について異常用ディザマトリクスを選択する。このため、4つのLEDヘッド40の中に焦点の位置が正常であるものと正常でないものとが混在している場合にも、カラー画像を適切に表現することができる。
【0130】
図19(B)は、位置ずれありの状態のマゼンタのトナーと、位置ずれなしの状態であるが擬似的に位置ずれありの状態に近づけた状態のブラックのトナーとが重なった状態を示す拡大画像である。この図に示すように、ブラックもマゼンタのようにトナーが散らばって付着し、ぼんやりとドットが形成されるようになるため、図19(A)に示す状態に比べ、ブラックのドットが目立ちにくくなっている。
【0131】
加えて、第4実施形態の画像形成装置1では、濃度パッチPの測定結果が位置ずれ特性を有するようになるまで、正常であると判定されたLEDヘッド40の制御量の調整を繰
り返すようにしているため、LEDヘッド40の焦点の位置が正常でない状態を適切に再現することができる。
【0132】
[4−5.特許請求の範囲との対応]
なお、第4実施形態では、S503〜S514の処理を実行する制御部70が画像処理装置に相当し、特に、S503,S504,S507の処理を実行する制御部70が判定手段、S505,S514の処理を実行する制御部70が選択手段にそれぞれ相当する。
【0133】
[5.他の形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0134】
例えば、上記各実施形態では、ドットやドットなし部分が連続して2つ並んで形成される異常用ディザマトリクスを例示したが、これに限定されるものではなく、正常用ディザマトリクスに比べて低濃度の画像が濃く表現されるとともに高濃度の画像が薄く表現されるようにしきい値が設定されたものであればよい。
【0135】
また、上記各実施形態では、異常用ディザマトリクスとして一種類のディザマトリクスのみを用いる構成を例示したが、これに限定されるものではなく、異常用ディザマトリクスを複数種類用意して使い分けるようにしてもよい。例えば、上記各実施形態で例示した異常用ディザマトリクスは、ドットやドットなし部分が2ドット×1ドットの大きさで配置されるようにしきい値が設定されたものであるが、これ以外に、例えば2ドット×2ドット、3ドット×3ドットなど、ドットやドットなし部分の配置される大きさが異なる複数種類の異常用ディザマトリクスを用意する。このようにすれば、位置ずれ特性の程度に応じてより適切なディザマトリクスを選択するといったことが可能となる。
【0136】
さらに、上記各実施形態では、位置ずれあり/なしの判定方法として、濃度パッチPの濃度の測定結果が位置ずれ特性を有するか否かを判定する方法や、ユーザに判定させる方法を例示したが、判定方法はこれらに限定されるものではなく、種々の判定方法を利用することができる。
【0137】
一方、上記各実施形態では、搬送ベルト23に濃度パッチPを形成する構成の画像形成装置1を例示したが、これに限定されるものではなく、中間転写ベルトに形成する構成であってもよく、また、用紙4等の被記録媒体に形成する構成であってもよい。
【0138】
また、上記各実施形態では、複数のLEDヘッド40を用いてカラー画像を形成する画像形成装置1を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば1つのLEDヘッドのみを用いて画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【0139】
さらに、上記各実施形態では、本発明の発光素子としてLEDを例示したが、これに限定されるものではなく、同様の機能を有するものであれば適用することができる。
加えて、上記各実施形態では、本発明の画像処理装置を画像形成装置1の構成要素とした場合について例示したが、これに限定されるものではなく、画像形成装置とは別体のものとしてもよい。例えば、画像形成装置に対応するプリンタドライバがインストールされたパーソナルコンピュータを、本発明の画像処理装置として機能させることも可能である。具体的には、印刷データに基づく2値画像データの生成をパーソナルコンピュータ側で行い、生成した2値画像データをパーソナルコンピュータから画像形成装置へ送信する構成であれば、前述したマトリクス選択処理と同様の処理をパーソナルコンピュータで実行することが可能となる。
【符号の説明】
【0140】
1…画像形成装置、2…筐体、4…用紙、5…トップカバー、23…搬送ベルト、24…転写ローラ、30…画像形成ユニット、31…感光ドラム、33…トナー収容室、35…現像ローラ、40…LEDヘッド、50…定着器、60…内部センサ、70…制御部、71…操作部、72…表示部、73…通信部、74…記憶部、80…パーソナルコンピュータ、99…ベルトクリーナ、100…目視確認用画像、110C,110M,110Y,110K…低濃度部確認画像、111…確認マーク、112…目視用ドット、113…枠、114…スリット、120C,120M,120Y,120K…高濃度部確認画像、P…濃度パッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2値画像データに基づき複数の発光素子で感光体の表面を露光する露光手段により前記感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させて画像を形成する画像形成装置で用いられる前記2値画像データを生成するための処理を行う画像処理装置であって、
前記露光手段の焦点の位置が正常であるか否かを判定する判定手段と、
複数種類のディザマトリクスの中から前記2値画像データの生成に用いるディザマトリクスを選択する選択手段と、
を備え、
前記選択手段は、前記判定手段により前記露光手段の焦点の位置が正常でないと判定された場合には、正常であると判定された場合に比べて低濃度の画像が濃く表現されるとともに高濃度の画像が薄く表現されるようにしきい値が設定された異常用ディザマトリクスを選択すること
を特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記判定手段により前記露光手段の焦点の位置が正常であると判定された場合には、最も低いしきい値及び最も高いしきい値のそれぞれが孤立して配置された正常用ディザマトリクスを選択し、正常でないと判定された場合には、最も低いしきい値及び最も高いしきい値のそれぞれが複数並んで配置された異常用ディザマトリクスを選択すること
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記感光体及び前記露光手段を複数組備え、各組で形成された異なる色の現像剤像を重ね合わせてカラー画像を形成するものであり、
前記判定手段は、前記組ごとに前記露光手段の焦点の位置が正常であるか否かを判定し、
前記選択手段は、前記組ごとに独立してディザマトリクスを選択すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記感光体及び前記露光手段を複数組備え、各組で形成された異なる色の現像剤像を重ね合わせてカラー画像を形成するものであり、
前記判定手段は、前記組ごとに前記露光手段の焦点の位置が正常であるか否かを判定し、
前記判定手段により前記露光手段の焦点の位置が正常でないと判定された組が1つでも存在する場合には、正常であると判定された組の露光手段の発光素子の制御量を調整することによりその焦点の位置を擬似的に正常でない状態とする調整手段を備え、
前記選択手段は、すべての組について前記異常用ディザマトリクスを選択すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記画像形成装置により形成された複数段階の濃度を表す濃度パッチの濃度の測定結果が、低濃度の濃度パッチが正常時の濃度よりも薄くかつ高濃度の濃度パッチが正常時の濃度よりも濃い濃度特性を有するようになるまで、前記判定手段により前記露光手段の焦点の位置が正常であると判定された組の露光手段の発光素子の制御量の調整を繰り返すこと
を特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
2値画像データに基づき複数の発光素子で感光体の表面を露光する露光手段により前記感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させて画像を形成する画像形成装置であって、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像処理装置を備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
2値画像データに基づき複数の発光素子で感光体の表面を露光する露光手段により前記感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させて画像を形成する画像形成装置で用いられる前記2値画像データを生成するための処理を行う画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記露光手段の焦点の位置が正常であるか否かを判定する判定手段と、
複数種類のディザマトリクスの中から前記2値画像データの生成に用いるディザマトリクスを選択する選択手段と、
としてコンピュータを機能させ、
前記選択手段は、前記判定手段により前記露光手段の焦点の位置が正常でないと判定された場合には、正常であると判定された場合に比べて低濃度の画像が濃く表現されるとともに高濃度の画像が薄く表現されるようにしきい値が設定された異常用ディザマトリクスを選択すること
を特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−234684(P2010−234684A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85989(P2009−85989)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】