説明

画像形成システム

【課題】給紙トレイの引き出し、あるいは装着を禁止することにより動作中のスキャナに与える振動・衝撃の影響を確実に防止でき、且つ印刷ジョブ(画像形成処理)の生産性の低下を改善できる技術を提供すること。
【解決手段】原稿読取部と画像形成部とで異なるジョブが同時に実行されている時に給紙トレイの引き出し、又は装着を禁止すると共に、前記原稿読取部の動作中に用紙検知手段によって用紙の無が検知された場合に操作指示に基づき、又は自動的に前記原稿読取部の動作を停止する制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に異なるジョブの原稿読取処理と印刷(画像形成)処理が同時に実行できる複写機等の画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル複合機では、相互に異なるジョブの原稿読取処理と印刷(画像形成)処理が同時に実行できるために、利用者は動作中の異なるジョブを意識することなく随時自由に所定のジョブを処理できる。一例として、ネットワーク上のPCへ画像を送信するジョブのために原稿読取部で原稿読取処理を実行している時に、別のPCからネットワークを介して依頼された印刷ジョブを画像形成部で同時に処理するような状況が挙げられる。
【0003】
また、高画質の要求もますます高くなっており、走査中の原稿読取部の振動は横帯状の画像ムラ等の画質欠陥を誘発させるため、走査中の原稿読取部に対する振動・衝撃を防止する必要がある。そこで、複合機等の画像形成装置では、給紙トレイの引き出し及び装着の操作に伴う衝撃・振動に起因する原稿走査部のランプ破損等を未然に防止する技術が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、コピー動作中(原稿走査中)に給紙トレイロック機構を作動して全ての給紙トレイの着脱を禁止する技術である。
【0005】
ところが、特許文献1に記載の技術では、相互に異なるジョブの原稿読取処理と印刷(画像形成)処理が同時に実行しているような状況下において、用紙がなくなった場合に給紙トレイロック機構が作動しており、別のジョブである原稿読取処理が終了するまで給紙トレイは引き出せず、印刷処理のジョブは中断することになる。すなわち、用紙がなくなった場合、原稿読取処理のジョブが優先され、印刷処理のジョブの進行が犠牲になるという欠点があった。例えば、急を要さない画像送信ジョブの原稿読取処理が実行中にあり、同時に急を要する他の印刷ジョブが処理中である時に用紙がなくなり印刷処理を中断したような場合に、画像送信ジョブの原稿読取処理が継続されその処理が終了するまで用紙を補給できずために、ユーザーは早く用紙を補給して印刷物を手にしたいにも拘わらず待たされるという問題である。特に、用紙がなくなった時に原稿読取中のジョブが多数の未処理原稿を残している場合には、印刷処理の中断を余儀なくされた急ぎのジョブへの影響は甚大となる。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術は、給紙カセットの引き出し状態を検知すると一連のコピア処理(スキャナ移動の動作)を中断し、給紙カセットの装着状態を検知すると中断中のコピア処理を再開するという技術である。
【0007】
当該技術では、確かに給紙トレイの引き出しロック機構を必要とせず、一定の範囲内でランプ破損等への悪影響を防止することを可能としている。ところが、原稿読取の走査動作中に給紙トレイを引き出すこと自体を禁止するものではないために、ランプの点灯状態中に、あるいは原稿画像データを読取処理中に給紙トレイが引き出された場合には、引き出しに伴う振動、衝撃を受けることになり、ランプ破損等、あるいは読取画像への影響が十分に回避できないという欠点があった。
【特許文献1】特開平5−77938号公報
【特許文献2】特開平5−155445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような状況を考慮してなされたものであり、その目的は、原稿読取部の動作中に給紙トレイの引き出し・装着を禁止し画像欠陥の発生を確実に防止し、印刷処理(画像形成処理)のジョブを優先的に処理できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、下記記載した発明により達成される。
1.装置本体から引き出し及び装着が可能である給紙トレイと、前記給紙トレイに収容された用紙の有無を検知する用紙検知手段とを有する給紙部と、用紙に画像を形成する画像形成部と、前記給紙部の上方に設置し、原稿の画像を読み取る原稿読取部と、
を備える画像形成システムにおいて、
前記原稿読取部と前記画像形成部とで異なるジョブが同時に実行されている時に前記給紙トレイの引き出し、又は装着を禁止すると共に、前記原稿読取部の動作中に前記用紙検知手段によって用紙の無しが検知された場合に操作指示に基づき、又は前記原稿読取部の動作を停止する制御部を備えることを特徴とする画像形成システム。
2.前記原稿読取部と前記画像形成部とで異なるジョブが同時に実行されている時に前記用紙検知手段によって用紙の無が検知された場合に前記原稿読取部の動作を停止するように制御する第1の制御モードと、前記用紙検知手段によって用紙の無が検知された場合に前記原稿読取部の動作を継続するように制御する第2の制御モードと、前記用紙検知手段によって用紙の無が検知された場合に操作指示に基づき前記原稿読取部の動作を停止するように制御する第3の制御モードのうち、任意のひとつを選択できる選択手段とを備え、
前記制御部は、前記原稿読取部と前記画像形成部とで異なるジョブが同時に実行されている時に前記用紙検知手段によって用紙の無が検知された場合に、前記選択手段により選択された制御モードに基づき前記原稿読取部の動作を制御することを特徴とする1に記載の画像形成システム。
3.前記制御部は、前記用紙検知手段により用紙の有りが検知された時に停止中の前記原稿読取部の動作を再開する、あるいは停止中の前記原稿読取部の動作及び停止中の前記画像形成部の動作を再開することを特徴とする1又は2に記載の画像形成システム。
4.前記制御部は、前記用紙検知手段により用紙の有りが検知された時に前記操作指示に基づき停止中の前記原稿読取部の動作を再開する、あるいは停止中の前記原稿読取部の動作及び停止中の前記画像形成装置の動作を再開することを特徴とする1乃至3の何れか1に記載の画像形成システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像形成システムによれば、給紙トレイの引き出し、あるいは装着を禁止することにより動作中のスキャナに与える振動・衝撃の影響を確実に防止し、且つ印刷ジョブの生産性の低下を改善することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を基に説明する。
【0012】
図1は、画像形成システムの概念図である。
【0013】
例示する画像形成システムは、画像形成部G、給紙部P1、後処理部F1、原稿読取部Sから構成されている。
【0014】
画像形成部Gは、公知の電子写真技術による高速のカラー画像形成部であり、その上部には大量のトナーを収容したトナーボトルTBが載置されている。
【0015】
給紙部P1は、前記画像形成部に用紙を送る連結可能であり、図の正面に引き出し可能な複数段の給紙トレイを備えている。
【0016】
ユーザが行う用紙の補給作業は、前記給紙トレイを引き出し、画像形成に供する用紙を引き出した給紙トレイに載置して、給紙トレイを元の位置に戻すというものである。
【0017】
給紙装置P1の上部には、公知の原稿読取装置である原稿読取部Sが載置されている。
【0018】
後処理装置F1、F2は、画像形成部Gから出力されたプリントに所定の後処理を施す装置で、本実施例における後処理装置F1は、画像形成部Gから送られたプリントのカールを矯正するデカーラと称されるものである。
【0019】
また、後処理装置F2は、穿孔手段、綴じ手段等を有する製本装置であり、前記後処理装置F1から送られた用紙に指定された処理を施し、上下移動する排紙トレイEXに順次送り出す。
【0020】
図2は、画像形成システムの制御関係を示すブロック図である。
【0021】
画像形成システムを構成する各装置、即ち、画像形成部G、給紙装置P1、後処理装置F1、原稿読取部Sは、それぞれ制御部CG、制御部CP1、制御部CF1、制御部CSを有している。
【0022】
各制御部は、規模は異なるが、CPU、メモリ、演算素子、入出力インターフェイス、通信用インターフェイス、駆動回路等を有するコンピュータシステムであり、各種制御は、メモリに格納されている所定のプログラムを実行することにより行われる。
【0023】
なお、上述した制御部CG、制御部CP1、制御部CF1、制御部CSは、通信手段TRにより結ばれており、相互の情報交換ができるように構成されている。
【0024】
図3は、画像形成部Gの概念図である。
【0025】
画像形成部Gは、複数の感光体31Y、31M、31Cを一つの中間転写体41に対面させて縦列に配列し、フルカラーの画像を形成するタンデム型カラー画像形成装置と称されるものである。
【0026】
例示した画像形成部Gは、露光部2Y、2M、2C、2K、一次画像形成部3Y、3M、3C、3K、中間転写部4、定着部5、反転排紙部6、再給紙部7、給紙部8、制御部CG等から構成されている。
【0027】
出力する画像に関わる情報は通信ネットワークTTで接続されている情報処理機器PCから原稿読取部Sから送られ、一旦、制御部CGに格納された前記情報には、ユーザにより設定されている条件により適宜な画像処理が施されて、出力画像データが生成される。
【0028】
露光部2Y、2M、2C、2Kは、レーザ光源、ポリゴンミラー、複数のレンズ等から構成され、レーザビームを生成する。
【0029】
前記露光部2Y、2M、2C、2Kは、制御手段Cから送られる前記出力画像データを基に出力される出力信号に対応して、一次画像形成部3Y、3M、3C、3Kの構成要素である感光体31Y、31M、31C、31Kの表面をレーザビームにより走査露光する露光部である。
【0030】
前記レーザビームの走査露光により、感光体31Y、31M、31C、31Kには潜像が形成される。
【0031】
感光体31Yの周辺には、主帯電部32Y、現像部33Y、第1転写ローラ34Y、クリーニング部35Yが配置されている。感光体31M、31C、31Kについても同様である。これらの構成は、電子写真方式のカラー画像形成部に採用されている公知の技術からなる。
【0032】
感光体31Y、31M、31C、31K上の潜像は、対応する現像部33Y、33M、33C、33Kにより現像されて、各感光体上にはトナー画像が形成される。
【0033】
感光体31Y、31M、31C、31K上に形成された前記トナー画像は中間転写手段4の第1転写ローラ34Y、34M、34C、34Kにより、中間転写体である中間転写ベルト41上の所定位置に逐次転写される。
【0034】
トナー画像の転写を終えた各感光体31Y、M、C、Kの表面は、対応するクリーニング部35Y、M、C、Kによって残留トナーが除去される。
【0035】
一方、前記中間転写ベルト41上に転写された前記トナー画像は、複数段の給紙トレイTG1、TG2、TG3を有する給紙部8から給紙され、給紙ローラ81によって給紙のタイミングが取られて給送されてきた転写材である用紙Pに、第2転写ローラ42によって転写される。
【0036】
トナー画像の用紙Pへの転写を終えた中間転写ベルト41はベルトクリーニング部43により、表面が清掃され、次の画像転写に供される。
【0037】
一方、トナー画像を担持した用紙Pは、定着部5に送られ、加圧加熱されることによって、トナー画像が用紙Pへ定着される。
【0038】
定着部5による定着処理を終えた用紙Pは排紙反転部6により搬送され、後処理装置F1に向けて送り出される。
【0039】
用紙Pを表裏反転して送り出す場合には、排紙ガイド62にて、一旦、用紙Pを下方に導き、排紙反転ローラ63に用紙Pの後端を挟持させた後、これを逆転をさせ、排紙ガイド62により排紙ローラ64に導く。
【0040】
なお、用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合には、表面の画像定着を終えた用紙Pを排紙ガイド62により下方にある再給紙部7に搬送し、再給紙反転ローラ71により後端を挟持させた後、逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送路72に送り出し、裏面への画像形成に供する。
【0041】
図4は、給紙部P1の概念図である。
【0042】
給紙部P1は、用紙Pが載置される3段の給紙トレイT1、T2、T3を備えている。これらの給紙トレイT1、T2、T3は、それぞれの給紙トレイの両側に設けられたスライドレールL1、L2、L3によって、図の手前方向に引き出すことができる。
【0043】
なお、このような複数段の給紙トレイを備える給紙部は、公知のものであり、給紙トレイの段数及び各給紙トレイの用紙収容量は、設計時に決定されるものである。
【0044】
給紙部P1には、ガイド部材、搬送ベルト、ローラ等を有する5つの搬送路R1、R2、R3、R4、R5がある。
【0045】
搬送路R1は、給紙トレイT1から送り出された用紙Pを搬送路R5まで搬送する搬送路であり、同様に、搬送路R2は、給紙トレイT2から送り出された用紙Pを、搬送路R3は、給紙トレイT3から送り出された用紙Pを搬送路R5まで搬送する搬送路である。
【0046】
搬送路R4は、図中矢印aの方向から送られてきた用紙Pを、搬送路R5まで送る搬送路である。
【0047】
搬送路R5は、各搬送路R1、R2、R3、R4から送られてきた用紙Pを矢印bの方向に送り出す搬送路であり、本実施例の場合は、用紙Pを画像形成部Gに送り出す搬送路である。
【0048】
なお、図に示すように、本実施例の各給紙部が備える3段の給紙トレイのうち、最下段に位置する給紙トレイT3は、上段に位置する給紙トレイT1、T2と比較して用紙Pの収容量が大きい。
【0049】
また、給紙トレイT3から送り出された用紙Pは、他の給紙トレイT1、T2から送り出された用紙Pよりも直線的に搬送される。
【0050】
これらの特徴は、最下段の給紙トレイT3を有効に使用することが、システムの稼働率向上と信頼性確保の為に有効であることを意味している。
【0051】
図5は、トレイ引き出し禁止手段50を説明する図である。
【0052】
上述したように、給紙トレイT1、T2、T3は、トレイの両側に設けられたスライドレールL1、L2、L3に導かれて移動する。
【0053】
トレイ引き出し禁止手段50とは、各給紙トレイの引き出しを禁止、又は引き出しを可能にする手段であり、各給紙トレイに対応して設けられる。
【0054】
各給紙トレイに設けられるトレイ引き出し禁止手段50は、同じ構成であることから、給紙トレイT1の場合を例に挙げて説明する。
【0055】
給紙トレイT1は、図5の矢印cの方向に引き出されて、用紙Pが載置される。用紙Pが載置された給紙トレイT1は、矢印dの方向に押し込まれ、ストッパー51にて規制される位置にて停止する。
【0056】
トレイ引き出し禁止手段50は、レバー52、バネ53、ソレノイド54等から構成される。
【0057】
レバー52は、支点56を中心に回転可能であり、規制部材57により規制される位置まで、バネ53に抗しソレノイド54の駆動力によって付勢されている。
【0058】
前記レバー52は、給紙トレイT1の底部に固定されている板55と噛み合うことにより、給紙トレイT1の矢印cの方向の移動を禁止する。
【0059】
移動が禁止されている給紙トレイT1は、ソレノイド54の駆動がOFFされると、バネ53によってf方向に回転し、レバー52と板55との噛み合いが解除されることにより移動が可能となる。
【0060】
以上説明したように、給紙トレイの引き出し禁止は、ソレノイド54を駆動することにより行われる。
【0061】
トレイ装着禁止手段500とは、各給紙トレイの装着を禁止、又は装着を可能にする手段であり、各給紙トレイに対応して設けられる。
【0062】
各給紙トレイに設けられるトレイ装着禁止手段500は、同じ構成であることから、給紙トレイT1の場合を例に挙げて説明する。
【0063】
給紙トレイT1は、図5の矢印cの方向に引き出されて、用紙Pが載置される。用紙Pが載置された給紙トレイT1は、矢印dの方向に押し込まれるが、給紙トレイT1の凸部508がストッパー501にて規制され、装置外の前面位置にて停止する。
【0064】
トレイ装着禁止手段500は、レバー502、バネ503、ソレノイド504等から構成される。
【0065】
レバー502は、支点506を中心に回転可能であり、規制部材507により規制される位置まで、バネ503に抗しソレノイド504の駆動力によって付勢されている。
【0066】
前記レバー502は、給紙トレイT1の底部に固定されている板505と噛み合うことにより、給紙トレイT1の矢印d方向の移動を禁止する。
【0067】
移動が禁止されている給紙トレイT1は、ソレノイド504が駆動されると、レバー502が矢印g方向に回転し、レバー502と板505との噛み合いが解除されることにより移動が可能となる。
【0068】
以上説明したように、給紙トレイの装着禁止は、ソレノイド504を駆動することにより行われる。
【0069】
用紙検知手段PS1、PS2、PS3は、装置内へ装着された給紙トレイに用紙があるか否か検知する手段であり、各給紙トレイT1、T2、T3に対してそれぞれに設置されている。
【0070】
詳細は図示していないが、用紙検知手段PS1、PS2、PS3は、用紙上面に付勢するアクティエータと、アクティエータを回転可能に支持する支持軸と、支持軸の一端に固定しアクティエータと一体に回転するシャッターと、シャッターによる光路の遮断・非遮断となるフォトセンサーとで構成される、周知の機構が使われている。
【0071】
トレイ装着検出手段TS1、TS2、TS3は、給紙トレイが装置内の正規位置に装着されているか否かを検出する手段であり、各給紙トレイT1、T2、T3に対してそれぞれ設置されている。ここでは用紙検知手段のフォトセンサーの出力電圧のレベルに基づいて検出する手段が使用されおり、用紙検知手段が兼用されている。
【0072】
図6は、原稿読取部Sの概念図である。
【0073】
原稿読取部Sは、読取部1と自動原稿送り部ADFから構成される。
【0074】
自動原稿送り部ADFの原稿載置台101に載置された原稿Dは、一枚ずつに分離され原稿搬送路に送り出され、搬送ドラム102により搬送される。
【0075】
搬送中の原稿Dの画像は原稿画像読み取り位置RPにて読取部1により読み取りがなされる。読み取りが終了した原稿Dは第1搬送ガイドG1、および原稿排出ローラ105により原稿排紙台107に排出される。
【0076】
原稿Dの裏面を読み取る場合には、表面の読み取りが終了した原稿Dを反転ローラ106に導き、反転ローラ106を反転させて、前記原稿Dの後端が先端となるようにして、再度搬送ドラムに送り出す。
【0077】
表裏反転されて送り出された原稿Dの裏面は、表面と同様に画像読取り位置RPにて読取部1により、読み取りがなされ、原稿排紙台107に排出される。
【0078】
読取部1は、画像読取り位置RPにて原稿の画像をランプLにて照射し、その反射光を第1ミラーユニット11、第2ミラーユニット12、レンズ13によって導き、撮像素子CCDの受光面に結像させる。
【0079】
撮像素子CCDにより光電変換された画像信号は、制御部CSにてA/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理がなされ、制御部CSのメモリに画像データとして格納される。
【0080】
前記メモリに一端格納された前記画像データは、通信手段TRを介して画像形成部Gの制御部CGに送られる。
【0081】
本発明の画像形成システムでは、原稿読取部Sと画像形成部Gとで異なるジョブが同時に実行できる。異なるジョブとは、原稿読取部Sではコピーのための原稿読取処理、ネットワーク上の情報処理端末(PC等)への画像送信のための原稿読取処理が相当し、画像形成部Gではコピーのための画像形成(印刷)処理、ネットワーク上の情報処理端末(PC等)から依頼される印刷、製本等の画像形成(印刷)処理が相当する。
【0082】
異なるジョブをJOB1とJOB2とする。JOB1が原稿読取部Sで処理されていて同時にJOB2が画像形成部Gで処理されているときに、給紙部P1の複数の給紙トレイT1、T2、T3のうち画像形成部側へ用紙Pを給紙している給紙トレイT1の用紙がなくなった。
【0083】
つまり、用紙検知手段PS1がT1の用紙無を検知した。図7は、このような状況において、動作中の原稿読取部の動作を制御するために画像形成部Gの制御部CGによって実行される制御フローチャートである。
【0084】
本実施の形態の説明は、原稿読取部Sは、第1の給紙部P1の上に搭載されており、また、制御は各装置の制御手段が個別に行う場合を前提にしているが、これらの前提条件は、システム設計時に適宜に変更できるものである。
【0085】
ステップS101で、原稿読取部Sが動作中か否かを認識する。動作中と判定された場合(YESの場合)にステップS102へ移行し、給紙トレイの引き出し、又は装着を禁止する(ソレノイド54、あるいはソレノイド504を駆動する)。禁止中であれば禁止を継続する。または給紙トレイの引き出し、又は装着を禁止する。すなわち、ソレノイド54とソレノイド504の両方を駆動する。
【0086】
引き出し及び装着の両方を禁止すると以下のような事態のときに生じる画像不良も防止できる。用紙を補給するために給紙トレイが引き出されている時に原稿読取部Sで急ぎのジョブを同時に実行してしまったときに、給紙トレイを装着し、その振動で読取画像に不具合が発生し、送り先で画像を出力した時点にその画像不良に気づくというような事態である。給紙トレイの引き出し及び装着の両方を禁止すると、上記のような事態を未然に防止できる。
【0087】
給紙部に給紙トレイ引き出し禁止手段のみ備える構成では、トレイ引き出し中には原稿読取部の動作自体を禁止するように制御することにより、上記のような事態を未然に防止することができる。ただし、給紙トレイの引き出し中には原稿読取ジョブができないということになる。
【0088】
フローチャートに戻るが、ステップS101で動作中でないと判定された場合(NOの場合)にはステップS103へ移行し、給紙トレイの引き出し及び装着の禁止を解除する(駆動中のソレノイド54及びソレノイド504の駆動をOFFする)。
【0089】
次にステップS102からステップS104へ移行し、用紙検知手段によって用紙の有無を判定する。用紙の有の場合にはステップS110へ移行し、動作中の原稿読取部の動作を継続する。従って、動作中の原稿読取部に特に指示を発信する必要はない。
【0090】
用紙の無の場合に、ステップS105へ移行し、第1の制御モードが選択されている否かを判定する。
【0091】
ステップ105でYESと判定されると、ステップ109へ移行し、原稿読取部の動作を停止させる指示を原稿読取部Sへ出力する。
【0092】
ここでは3つの制御モードを備えている構成であるが、第1の制御モードしか備えない構成でも構わない。第1の制御モードは、原稿読取部と画像形成部が異なるジョブを同時に処理しているときに給紙部で用紙がなくなった場合に原稿読取部の動作を停止するモードである。このモードにより原稿読取部Sの動作を自動的に停止することが可能となり、原稿読取ジョブに対し画像形成ジョブを優先的に進められる利点がある。
【0093】
ステップ105でNOと判定されると、ステップS106へ移行し、第2の制御モードが選択されているか否かを判定する。
【0094】
次にステップ106でYESと判定されると、ステップS110へ移行し、動作中の原稿読取部の動作を継続する。
【0095】
第2の制御モードは、原稿読取部と画像形成部が異なるジョブを同時に処理しているときに給紙部で用紙がなくなった場合に原稿読取部の動作を継続するモードである。
【0096】
このモードにより、原稿読取ジョブが優先的に進められ、原稿読取ジョブが終了するまで、画像形成ジョブのための用紙の補給が待機され、結果的に画像形成ジョブが中断することになる。読取処理ジョブの使用頻度の高いユーザーはこのモードを予め選択しておくことになる。
【0097】
ステップ106でNOと判定されると、ステップS107へ移行し、第3の制御モードが選択されているか否かを判定する。
【0098】
ステップ107でYESと判定されると、ステップS108へ移行し、操作部に図Xのようなスキャナ動作を停止するか否かを問う旨のメッセージを表示し、ユーザーの指示を待つ。
【0099】
ここでは3つの制御モードを備えている構成であるが、第3の制御モードしか備えない構成でも構わない。第3の制御モードは、原稿読取部と画像形成部が異なるジョブを同時に処理しているときに給紙部で用紙がなくなった場合に図示していない操作部に指示画面を表示し操作部からの指示に基づき原稿読取部の動作を停止するモードである。操作部は画像形成システムのどの装置、またはネットワーク上のPC等であっても構わない。
【0100】
このモードによりユーザーは実際に様々な原稿読取ジョブと画像形成ジョブとが同時に動作中である状況下で、用紙がなくなり画像形成の動作が停止した際に適宜に優先処理するジョブを設定できる。例えば、印刷ジョブを急ぐ時には原稿読取ジョブを停止し、逆に、原稿読取ジョブを急ぐ時には原稿読取ジョブを継続することが自由に選択できる。
【0101】
ステップ108でユーザーによって原稿読取部の動作停止が許可された場合には、ステップS109へ移行し、原稿読取部の動作を停止させる指示を原稿読取部Sへ出力する。
【0102】
ステップ108でユーザーによって原稿読取部の動作停止が許可されなかった、あるいは所定時間経過しても指示がない場合には、ステップS110へ移行し、動作中の原稿読取部の動作を継続する。
【0103】
ステップ107へ戻るが、ここでNOと判定されるとステップS110へ移行し、動作中の原稿読取部の動作を継続する。
【0104】
図7のフローチャートでは画像形成システムに3つの制御モードが備わっている例で説明しましたが、第1の制御モードのみ、あるいは第3の制御モードのみを備える構成でもよい。そして上記の3つの制御モードのうちから2つの制御モードを組み合わせて備えるように構成でもよい。制御モードはユーザーによって操作部等から予め選択でき、選択された制御モードを画像形成部内の図示していない記憶装置に記憶するような選択手段を備えている。
【0105】
ここからは、用紙が装填された結果、停止中の原稿読取ジョブを再開させるフローチャートについて説明する。
【0106】
画像形成部Gの制御部CGからの原稿読取部動作停止の指示に基づき原稿読取部側でスキャナ動作(ジョブ)を停止すると、ステップS101でNOと判定すると、ステップ103へ移行し、給紙トレイの引き出し及び装着の禁止を解除する。すなわち、駆動中のソレノイド54及びソレノイド64の駆動をOFFする。
【0107】
ユーザーは操作部の表示に基づき用紙のなくなった給紙トレイT1を引き出すことが可能になり、その給紙トレイを引き出す。用紙を装填した後にその給紙トレイを給紙部に装填する。ユーザー作業の結果、用紙検知手段PS1は用紙無から用紙有の信号を出力する。
【0108】
フローチャート上では、ステップ103からステップS111へ移行する。ステップS111では、用紙無の給紙トレイT1に用紙が装填された否かを判定している。用紙検知手段PS1が用紙無から用紙有に切り替わった否かを判定している。
【0109】
ステップS111でYESに判定されると、ステップS115へ移行する。ここでは、原稿読取部の再開する手動再開モードと自動的再開する自動再開モードを備えており、ユーザーは予めどちらかを選択し、その選択を登録しておくことができるようになっている。ステップS115では、上記の両再開モードからどちらの再開モードが設定されているかを判定している。
【0110】
手動モードの設定が判定されると(YESの場合)、ステップS116へ移行し、操作部にスキャナ動作を再開するか否かを問う旨のメッセージを表示し、ユーザーの指示を待つ。
【0111】
ユーザーの指示が再開であると判定すると(YESの場合)、ステップ112に移行し、原稿読取部Sへ停止中の原稿読取ジョブ(動作)を再開する指令を送信する。
【0112】
ユーザーの指示がない、またはユーザー指示が非再開である場合(NOの場合)には、ステップS113へ移行する。
【0113】
また、ステップ115でNOの場合にもステップS113へ移行する。
【0114】
ステップ115では再開の対象が原稿読取ジョブ以外に画像形成ジョブにまで含めるか否かを判定する。再開の対象は、ユーザーによって予め設定され、登録されている。
【0115】
YESの場合には停止中の画像形成ジョブを再開する。
【0116】
上述で、画像形成システムで説明しているが、画像形成部Gと給紙部P1が一体になった装置本体の上部に原稿読取部を搭載する構成の画像形成装置、あるいは画像形成部G及び給紙部P1、原稿読取部が装置本体に一体的に組み込まれた画像形成装置も本発明の範囲である。図8の画像形成装置Gの給紙トレイTG1、TG2、TG3に対して図5のように給紙トレイ引き出し禁止手段50と給紙トレイ装着禁止手段500がそれぞれ設定される。また、用紙検知手段のPS1、PS2、PS3が各給紙トレイに対して設置される。
【0117】
以上説明したように、本発明による画像形成システム及び画像形成装置は、原稿読取部の動作中に給紙トレイの引き出し又は装着を禁止する共に、給紙部で用紙がなくなった場合に原稿読取部の動作を停止している。
【0118】
その結果、原稿読取ジョブに対し画像形成ジョブを優先的に進めることが可能となり印刷ジョブの生産性の低下を防止できる。
【0119】
また、本発明による画像形成システムは、原稿読取部の動作中に給紙トレイの引き出し又は装着を禁止する共に、給紙部で用紙がなくなった場合に操作部からの指示に基づき原稿読取部の動作を停止している。
【0120】
その結果、ユーザーは実際に様々な原稿読取ジョブと画像形成ジョブとが同時に動作中である状況下で、用紙がなくなり画像形成が中断した際に適宜に優先的に処理するジョブを設定でき、生産性と緊急性等の整合を図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】画像形成システムの概念図である。
【図2】画像形成システムの制御関係を示すブロック図である。
【図3】画像形成部の概念図である。
【図4】給紙装置の概念図である。
【図5】給紙トレイの引き出し禁止手段、着脱禁止手段を説明する図である。
【図6】スキャナの概念図である。
【図7】給紙トレイの引き出し禁止制御のフローチャートである。
【図8】画像形成部と給紙部と原稿読取部が一体になった画像形成部の概念図である。
【符号の説明】
【0122】
CG 制御部(画像形成部)
CP1 制御部(給紙部)
CS 制御部(原稿読取部)
G 画像形成部
S 原稿読取部
P 用紙
P1 給紙部
T1、T2、T3 給紙トレイ
50 トレイ引き出し禁止手段
500 トレイ装着禁止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体から引き出し及び装着が可能である給紙トレイと、前記給紙トレイに収容された用紙の有無を検知する用紙検知手段とを有する給紙部と、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記給紙部の上方に設置し、原稿の画像を読み取る原稿読取部と、
を備える画像形成システムにおいて、
前記原稿読取部と前記画像形成部とで異なるジョブが同時に実行されている時に前記給紙トレイの引き出し、又は装着を禁止すると共に、前記原稿読取部の動作中に前記用紙検知手段によって用紙の無しが検知された場合に操作指示に基づき、又は前記原稿読取部の動作を停止する制御部を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記原稿読取部と前記画像形成部とで異なるジョブが同時に実行されている時に前記用紙検知手段によって用紙の無が検知された場合に前記原稿読取部の動作を停止するように制御する第1の制御モードと、前記用紙検知手段によって用紙の無が検知された場合に前記原稿読取部の動作を継続するように制御する第2の制御モードと、前記用紙検知手段によって用紙の無が検知された場合に操作指示に基づき前記原稿読取部の動作を停止するように制御する第3の制御モードのうち、任意のひとつを選択できる選択手段とを備え、
前記制御部は、前記原稿読取部と前記画像形成部とで異なるジョブが同時に実行されている時に前記用紙検知手段によって用紙の無が検知された場合に、前記選択手段により選択された制御モードに基づき前記原稿読取部の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記用紙検知手段により用紙の有りが検知された時に停止中の前記原稿読取部の動作を再開する、あるいは停止中の前記原稿読取部の動作及び停止中の前記画像形成部の動作を再開することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記用紙検知手段により用紙の有りが検知された時に前記操作指示に基づき停止中の前記原稿読取部の動作を再開する、あるいは停止中の前記原稿読取部の動作及び停止中の前記画像形成装置の動作を再開することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−175495(P2009−175495A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14671(P2008−14671)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】