説明

画像形成装置、プログラム

【課題】一印刷処理中に、用紙混在に起因する画質差が発生しないように、使用するべき用紙を適正に特定する。
【解決手段】用紙モードが画質モードより優先のときは(S120−YES)、指定されている事前印刷用紙を使った事前用紙印刷にする(S152−S191)。画質モードが用紙モードより優先のときは(S120−NO)、事前用紙印刷と代用印刷の内、高画質の方を採用する(S122)。用紙不足のときは処理を保留して設定変更を受け付ける(S160〜S164)。再開指示時に受け付けた新たな設定情報に基づいて、改めて、一印刷処理中に、使用するべき用紙を適正に特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と、画像形成処理用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷分野では、白紙用紙(未印刷用紙)に印刷を行なうことに限らず、文字や罫線や図形などが事前に印刷された用紙(事前印刷用紙や事前印刷・加工用紙やプレプリント用紙などと称される:以下「事前印刷用紙」で記述する)に印刷を行なうこともある(特許文献1,2を参照)。
【0003】
特許文献1の仕組みでは、特殊フォーマットを含む用紙の種類、サイズ、向きなどの印刷用紙情報と印刷用データとをデータベースに記憶し、印刷用紙情報と印刷用データとを組み合わせて印刷装置側に送信するとともに、印刷装置側からは、印刷用データの印刷状況情報と、用紙切れなどの障害と該障害の起きた用紙の種類、サイズなどの印刷用紙情報とを受信して表示するようにしている。
【0004】
特許文献2の仕組みでは、フォーム用紙の容量を検出し、用紙がなくなるまではフォーム用紙を使用して高速に印刷を行ない、フォーム用紙が無くなると普通紙にフォーム用紙と同一のフォームデータを使用してフォームオーバレイ印刷を行なう仕組みが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−263297号公報
【特許文献2】特開2007−286865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一印刷処理中に、使用するべき用紙を適正に特定することのできる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、印刷処理単位ごとに、印刷指示データで指定されている用紙および/または画質に関する情報と、印刷処理に使用する消耗剤の情報に基づいて、印刷処理に使用するべき用紙を判定し、この判定結果に基づいて印刷処理を制御する制御部を備えた画像形成装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明においてさらに、前記制御部は、前記印刷指示データにて要求されている出力結果物の画質である要求画質と、下地画像が印刷済みの事前印刷用紙に印字データに基づく印刷処理を行なう事前用紙印刷時の出力結果物の画質である事前印刷画質と、前記下地画像を示す下地画像データと印字データを合成して未印刷用紙に印刷処理を行なう代用印刷時の出力結果物の画質である代用印刷画質の優劣に基づいて、前記事前用紙印刷と前記代用印刷の何れを採用するかを決定する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明においてさらに、前記制御部は、一印刷処理の必要用紙枚数内では、前記事前用紙印刷と前記代用印刷の何れか一方で印刷を行なうように制御する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明においてさらに、前記制御部は、使用する用紙が、一印刷処理の必要用紙枚数に足りるか否かを判定し、足りないときには、処理を保留し、再開指示を待つ。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明においてさらに、前記制御部は、再開指示を受け付けるときに、用紙および/または画質に関する情報と印刷処理に使用する消耗剤の情報の変更を受け付け、この受け付けた新たな情報に基づいて、印刷処理に使用するべき用紙を判定し、この判定結果に基づいて印刷処理を再開するように制御する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の内の何れか一項に記載の発明においてさらに、前記制御部は、用紙モードと画質モードの組合せに応じて、印刷処理に使用するべき用紙を判定する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の内の何れか一項に記載の発明においてさらに、前記制御部は、前記用紙モードが前記画質モードに優先して指定されているときは、前記印刷指示データで指定されている用紙が、一印刷処理の必要用紙枚数に足りるか否かを判定し、足りるときには、その用紙を使用した印刷処理を行なうように制御する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6の内の何れか一項に記載の発明においてさらに、前記制御部は、前記画質モードが前記用紙モードに優先して指定されているときは、前記事前用紙印刷と前記代用印刷の内、画質が良い方で印刷処理を行なうように制御する。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の発明においてさらに、前記制御部は、前記代用印刷を採用しようとしたときには、一印刷処理の必要用紙枚数に色剤が足りるか否かを判定し、足りないときには、前記事前用紙印刷を採用する。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の発明においてさらに、前記制御部は、下地画像が印刷済みの事前印刷用紙ごとに、前記下地画像を示す下地画像データと印字データを合成して未印刷用紙に印刷処理を行なう代用印刷時の色剤消費量が予め定められている閾値よりも少ないか否かを判定し、色剤消費量が前記閾値より少ない事前印刷用紙について前記代用印刷の対象とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、印刷処理単位ごとに、印刷指示データで指定されている用紙および/または画質に関する情報を取得する工程と、印刷処理単位ごとに、印刷処理に使用する消耗剤の情報を取得する工程と、前記用紙および/または画質に関する情報と前記消耗剤の情報に基づいて、印刷処理に使用するべき用紙を判定する工程と、前記判定の結果に基づいて印刷処理を制御する工程と、をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、一印刷処理中に、使用するべき用紙を適正に特定することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、要求画質と、事前印刷画質および代用印刷画質に基づき、一印刷処理中での印刷方式を特定できる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、一印刷処理内では同一用紙のみが使用されるので、用紙の種類が異なることに起因する画質差を防止できる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、用紙不足のときは処理を保留するので、用紙の種類が異なることに起因する画質差を防止できる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、再開指示時に受け付けた新たな設定情報に基づいて、改めて、一印刷処理中に、使用するべき用紙を適正に特定することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば用紙モードと画質モードの組合せに応じた適正な用紙を選択できる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、用紙モードの方が画質モードよりも優先のときは、指定されている用紙を使用した印刷処理を行なう。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、画質モードの方が用紙モードよりも優先のときは、画質が良い方で印刷処理を行なうことができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、代用印刷で色剤不足のときは事前用紙印刷へ切り替えて処理できる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、色剤消費量が閾値より少ないものを優先して事前用紙印刷にするため、色剤を代用印刷のために過度に消費することがない。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、一印刷処理中に、使用するべき用紙を適正に特定するプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行なう。
【0030】
1.システム概要
2.画像形成装置の制御構成
3.主印刷制御部の詳細
4.印刷処理:第1実施形態(用紙モードと画質モードの組合せ)
5.印刷処理:第2実施形態(第1実施形態+色剤残量判定)
6.印刷処理:第3実施形態(第1実施形態+色剤消費量判定)
7.印刷処理:第4実施形態(第2実施形態+第3実施形態)
【0031】
<システム概要>
オンデマンド印刷では、利用者の印刷指示を受けて印刷指示データPJの生成をした後に印刷処理の保留状態としておき、出力指示装置を操作して印刷指示データPJの一覧を表示させて、印刷処理を希望する印刷指示データPJを選択して印刷処理の保留状態を解除し、印刷装置で印刷出力を行なっている。
【0032】
因みに、印刷指示データPJとは、紙媒体などに画像形成すべき内容である画像データと印刷設定(出力条件や印刷条件や印刷属性とも称される)とを含んだ印刷処理用の指示データであり、一般的には、印刷ジョブや出力ジョブと称されているものに対応する。たとえば、文書作成編集装置、印刷制御装置、ページごとに画像を形成する画像形成装置(ページ・プリンタ)の間の画像データの受渡しには、画像形成装置がページ・プリンタであることに対応して、ページ記述言語(PDL:Page Description Language )と称されるプログラム言語を使用する。画像形成装置は、受け取ったPDLデータに基づきページ単位でビットマップ状の画像データ(イメージ、印刷データ)へ変換し、所定の記憶装置に蓄積してから印刷を行なうのが一般的である。また、印刷処理を実行する際には、印刷設定(その内容は後述する)の特定が必要になる。そこで、各ページの画像データ(PDLで記述)に印刷設定を付加して印刷指示データPJを作成する。
【0033】
画像出力処理に関わる出力条件の設定(印刷設定)としては、たとえば、大別すると、基本設定、レイアウト設定、ページ装飾設定、仕上げ設定などの各項目がある。基本設定には、たとえば、印刷枚数、印刷部数、白黒かカラーか、用紙サイズ(A4,A3、B4,B5、レターなど)、用紙種類(普通紙、長辺2/4穴、ハガキ用紙、ラベル紙、ロール紙など)、印刷方向(縦/横)、給紙トレイ(自動、トレイ番号)、印刷品質などの項目が含まれる。レイアウト設定には、たとえば、片面か両面か、変倍(拡大/縮小)の有無と変倍率の設定、割付け印刷(集約印刷)の有無と配置態様の設定などの項目が含まれる。ページ装飾設定中には、たとえば、ページ印刷の有無とその詳細設定、スタンプマークの有無とスタンプマークの設定、ヘッダやフッタの有無とその印刷情報の設定などの項目が含まれる。仕上げ設定には、たとえば、ソート、フィニッシャ(終末装置)、綴じ代、開き方向、製本の設定などの項目が含まれる。フィニッシャは、たとえばパンチの有無と孔数の設定、ステイプル(1つの束にして綴じる処理)の有無と綴じ位置の設定などの項目が含まれる。
【0034】
ここで、帳票印刷では、印刷設定に事前印刷用紙の設定が加わる。たとえば、基幹帳票印刷には、その帳票の使用目的に応じて帳票名称(たとえば「請求書」、「給与明細」など)、明細項目(たとえば「品名、品番コード、単価、数量、合計金額」、「基本給、超過勤務手当、役職手当」など)、および明細項目と明細データ(品名データ、金額データなどの印刷データ)を見易くするために各明細項目欄を囲む罫線などが事前に印刷されたものや、浮き彫り加工などのいわゆるエンボス(クレープ加工)などの加工が施された、いわゆる事前印刷用紙を用いる。事前印刷用紙には、社章・社印や企業ロゴなど、企業にとって重要な資産が含まれていたり、レイアウトや枠組み、カラーの組合せなどのデザイン的なものを含め著作権登録されていたりするものもある。
【0035】
事前印刷用紙は、印刷メーカに大量発注して作成することが多く、コスト的には非常に安価である。企業は、使用する事前印刷用紙をある程度の量、纏めて発注して保管し、在庫管理し、少なくなってきた時点で追加発注する。一般に、事前印刷用紙は、印刷業務を開始する前に、必要な枚数分の発注を行なう。事前印刷用紙の発注ミスや、用紙納品遅れが発生した場合は、印刷業務全体に支障を来たし、顧客の希望する印刷納期を守ることができなくなることも起こり得る。
【0036】
また、企業の印刷業務形態としては、第1に、拠点集中印刷、配送の形態がある。この第1の形態では、ある拠点で集中的に印刷処理を行ない、顧客に印刷結果物を配送する。したがって、その拠点では、全ての顧客に応えるだけの用紙を用意する必要があり、膨大な量の用紙管理が必要となる反面、1箇所での用紙管理業務であれば十分である。
【0037】
一方、第2には、各拠点での分散印刷の形態がある。この第2の形態では、事前印刷用紙を使った印刷処理を行なう場合、拠点別に印刷を行なって顧客に印刷結果物を配送する。何れの拠点で印刷を行なうかは予め決められておらず、処理時点で最適な拠点が選択されるので融通性が高い。その反面、全ての拠点で全ての顧客に応えるだけの用紙を用意する必要があり、そのための用紙管理業務のため、印刷業務のスループットやコストパフォーマンスに影響を与える。
【0038】
一方、用紙不足対策として、白紙用紙(未印刷用)を使用した代用印刷(フォームオーバーレイ印刷)を行なうことが考えられる。代用印刷とは、事前印刷用紙の印刷済みの画像(下地画像)と同一の画像を予め画像データ(下地画像データPGと称する)として登録しておき、事前印刷用紙の代りに白紙用紙に下地画像データPGと印刷データを合成して印刷することを意味する。たとえば、事前印刷用紙への印刷中に、用紙不足が発生した場合や試し印刷時に適用する。本番印刷における代用印刷を代用本番印刷、試し印刷における代用印刷を代用試し印刷と区別して記載することもある。
【0039】
因みに、試し印刷とは、事前印刷用紙を使用した本番印刷に先立ち、たとえば、印字位置ずれの確認などのように体裁を目視で確認するための印刷を意味する。通常の試し印刷では指定された事前印刷用紙に印刷を行なうが、用紙不足解消のため、指定された事前印刷用紙に対応する下地画像データPGと印刷データを合成して白紙用紙に印刷することが考えられ、これが代用試し印刷である。なお、試し印刷時に事前印刷用紙の指定がないときは、本来の試し印刷の機能は担保されないが、白紙用紙に印刷データのみを印刷する(白紙試し印刷と称する)。
【0040】
[印刷システムの全体構成]
図1は、本実施形態の印刷システムの一構成例を示す図である。印刷システム1は、クライント側の基幹データベースシステム3、帳票サーバ5、複数台の画像形成装置7を備えている。各基幹データベースシステム3と帳票サーバ5、および帳票サーバ5と各画像形成装置7は、それぞれ通信網9により接続されている。
【0041】
基幹データベースシステム3は、企業の業務アプリケーションを管理するものであり、図示しないが、たとえば、メインフレーム(主のコンピュータシステム)、管理サーバ、ユーザ端末などを含んで構成される。基幹データベースシステム3は、社員の個人情報の他、取引先の顧客名や取引商品などさまざまな情報をデータベース化して一括管理する。
【0042】
企業の業務アプリケーションにおいては、基幹帳票印刷を行なうことがある。基幹帳票印刷では、企業が基幹業務で利用する経理関連(勘定元帳、月間売上管理表など)、納品書、請求書、伝票、領収書、送り状、DM(ダイレクトメール)宛名、バーコードなどの大量のデータを短時間・高速・大量に処理する。
【0043】
この基幹帳票印刷を帳票サーバ5が集中管理する。帳票サーバ5は、帳票の設計や、分散配置されている各分散拠点の画像形成装置7の集中管理を担当する統合スプールサーバである。帳票サーバ5は、基幹データベースシステム3と連携して、基幹データベースシステム3が管理する企業側のデータベースから情報を取得し、この情報に基づく印刷指示データPJを画像形成装置7に送って、事前印刷用紙上の印刷領域内に印刷させるようプログラミングされたデータベースアプリケーションの印刷機能が備えられている。このデータベースアプリケーションの実行によってデータベースの情報に基づき事前印刷用紙に印刷することが可能となっている。
【0044】
画像形成装置7は、基幹帳票印刷を行ない得るように、高速処理、高品質処理、高信頼性などの特徴を持つものが使用される。画像形成装置7は、管理部10、画像読取部30、画像出力部50、給紙部70、排出部90を備える。
【0045】
第1画像形成装置7_1は、給紙部70と排出部90を組み合わせた給排紙モジュールMJを1台接続した標準機である。第2画像形成装置7_2は、給紙部70と排出部90を組み合わせた給排紙モジュールMJを4台インラインに接続した高機能機である。第3画像形成装置7_3は、給紙部70と排出部90を組み合わせた給排紙モジュールMJを取り外した簡易機である。
【0046】
管理部10は、帳票サーバ5と連携して、画像形成装置7の印刷処理を管理する。たとえば、オペレータは、管理部10を介し、本番印刷や試し印刷を指示する。管理部10は、キャビネット内に、無停電電源装置12や制御プロセッサ14や図示しない記憶媒体(たとえばカートリッジテープ、MOドライブ、CD−ROMドライブ)などの各種機器を収容する。また、キャビネット上に、操作画面を表示する表示装置16(CRTモニタや液晶モニタ)と、キーボードやマウスなどの指示入力装置18が載置されている。制御プロセッサ14には、画像読取部30、画像出力部50、給紙部70、排出部90を制御する主印刷制御部が組み込まれる他、高信頼性機能として不正印刷検知機能が備えられる。
【0047】
画像読取部30は、事前印刷用紙を読み取る機能を持つもので、いわゆるスキャナ装置である。いわゆる複写処理にも適用される。
【0048】
画像出力部50は、印刷処理部52(プリントエンジン)をキャビネット内部に具備するとともに、印刷制御部54をキャビネット上に備える。印刷処理部52は、Y,M、C,Kの4色トナーを使用してレーザ・ゼログラフィ方式により印刷処理を行なう。印刷処理部52は、たとえば、毎分100ページ(@A4サイズ)以上の処理能力を持つ高速処理対応で、また、たとえば600×2400dpi相当の高解像度カラー出力の高品質処理に対応する。
【0049】
印刷制御部54は、画像出力部50の処理停止や再開などを管理する機能が備えられている。印刷制御部54は、画像出力部50(印刷処理部52)の動作状態を表示する表示モニタと連結されている。表示モニタは、タッチパネル式の操作で画像出力部50の機能をコントロールできるようになっている。印刷制御部54には、消耗材の一例である色剤(トナー)の残量を管理する色剤残量管理機構が設けられる(詳細は後述する)。
【0050】
給紙部70は、キャビネット内部に2〜6段の給紙トレイを有し、給紙トレイの自動切替えにより、装置を停止させずに用紙補給が可能な構成になっている。装置を稼動したまま用紙が補給されるため、高速出力の利点を生かした効率的な運用がなされる。給紙部70には、消耗材の一例である用紙の残量を管理する用紙残量管理機構が設けられる(詳細は後述する)。第3画像形成装置7_3では、画像出力部50と給紙部70とサンプル排出部96を組み合わせて印刷処理から排出処理までを行なうようにしている。
【0051】
排出部90は、印刷指示データ別や配布先別に区分する排出ビン94をキャビネット内部に有するとともに、自動検出した不正印刷を排出する不正印刷排出トレイ98をキャビネット上部に有する。用紙の重送や斜め送り印字位置ずれなど、様々な要因に基づく印刷異常が検知されると、その印刷結果物が不正印刷排出トレイ98に排出される。なお、画像出力部50と直接に連結されている給紙部70の上部には定着部93が設けられ、キャビネット上には、サンプル排出部96が設けられている。サンプル排出部96は、印刷中の用紙をサンプル抽出する際の排出トレイや、試し印刷(テストプリント)時や少量出力時の排出トレイとして機能する。
【0052】
<画像形成装置の制御構成>
図1Aは、図1に示した印刷システム1に使用される画像形成装置7の制御構成(特に管理部10の制御プロセッサ14)を説明する図である。
【0053】
制御プロセッサ14は、主印刷制御部110、印刷データ管理部130、下地画像データ管理部150(プレプリントイメージ管理部)、スキャナ制御部170、画像編集部180、入出力制御部190を備える。
【0054】
主印刷制御部110は、画像形成装置7の基本制御を行なう。たとえば、主印刷制御部110は、オペレータから印刷指示(試し印刷、本番印刷)を受け付る、印刷データ管理部130から印刷データを読み込む、印刷データの属性から事前印刷用紙の用紙コードを取得する。また、主印刷制御部110は、下地画像データ管理部150に対して下地画像データPGの取得を依頼する、下地画像データPGと印刷データを合成し印刷処理を画像出力部50に実行させる。
【0055】
印刷データ管理部130は、記憶部132と接続されている。印刷データ管理部130は、たとえば、印刷指示データPJから印刷データを抽出して記憶部132に格納したり、主印刷制御部110から指示に基づき印刷データを記憶部132から読み出して主印刷制御部110に渡す。
【0056】
下地画像データ管理部150は、記憶部152と接続されている。下地画像データ管理部150は、たとえば、主印刷制御部110からの指示に基づきスキャナ制御部170に対して原稿(たとえば事前印刷用紙)の読取りを指示する、入出力制御部190に対する表示メッセージの通知を行なう、入出力制御部190からの応答受信を受け付ける。また、下地画像データ管理部150は、スキャナ制御部170で読み取られた下地画像データPGを記憶部152に保存しつつ下地画像管理テーブルTBL を更新し、主印刷制御部110から指示に基づき用紙コードに対する下地画像データPGを記憶部152から読み出して主印刷制御部110に渡す。
【0057】
スキャナ制御部170は、下地画像データ管理部150で指示されたモードで原稿(たとえば下地画像データPG)を読み取る。本実施形態では、スキャナ制御部170は、画像出力部50が備える最大機能を働かせて、事前印刷用紙に印刷済みの印字・罫線・図形(下地画像)と同程度の品質で読み取る通常品質モードと、その画像品質を低下されて読み取る低品質モードとを切り替える。低品質モードでは、たとえば、低解像度やモノクロ(単一色)での読取りを指示する。「低解像度やモノクロでの読取り」とは、画像読取部30から下地画像データ管理部150に渡される画像データにおいて、解像度が通常よりも低いことやカラーではなくモノクロであることを意味する。
【0058】
低品質モードが指定されると、画像読取部30は、解像度を低下させて読み取る機能、カラーではなくモノクロ(白黒に限らず画像出力部50で使用するトナー色Y,M、C,Kの何れか1色でもよい)で読み取る機能を働かせる。この低品質モードを備えるのは、読み取った下地画像データPGを使用して試し印刷した出力用紙の廃棄処理が不完全のときに、その出力用紙上の社章・社印、または事前印刷用紙自体のデザインなどの下地画像が悪用(盗用)されることを防止するためである。
【0059】
画像編集部180は、事前印刷用紙に印刷済みの下地画像の一部(全部でもよい)を塗り潰す機能や、登録済みや処理中に画像読取部30により事前印刷用紙を読み取って得た下地画像データPGの品質を事前印刷用紙の画像品質よりも低下させる機能(纏めて画像編集機能と称する)を持つ。画像編集部180は、画像を塗り潰す際には、色、濃度、塗潰し領域内のハッチングパターン、透過率の少なくとも1つを調整可能なものとするのがよい。
【0060】
下地画像データPGにおいて、事前印刷用紙の画像品質よりも低下させる機能としては、下地画像の一部(全部でもよい)の解像度を低下させる機能(解像度低下機能)、下地画像の一部(全部でもよい)についてカラーをモノクロ(白黒に限らず画像出力部50で使用するトナー色Y,M、C,Kの何れか1色)に変換する機能(色編集機能)や、下地画像データPGにおける事前印刷用紙に印刷済みの下地画像に対応する部分の一部(全部でもよい)を塗り潰す機能などである。何れも、試し印刷した出力用紙の廃棄処理が不完全のときに、その出力用紙上の社章・社印、または事前印刷用紙自体のデザインなど下地画像が悪用(盗用)されることを防止するための機能である。
【0061】
下地画像の解像度を低下させる機能としては、画素間引きにより全体の解像度を低下させてもよいし、たとえばスモーク画像を重ねる処理(つまり塗潰し編集と色編集の併用)や暈かし処理を適用してもよい。下地画像の一部についての色編集機能としては、たとえば塗潰し処理時に色を黒色以外にする手法を適用するとよい(つまり塗潰し編集と色編集の併用)。
【0062】
入出力制御部190は、表示装置16や指示入力装置18とのインタフェース機能をなす。
【0063】
画像形成装置7は、このような構成を備えることで、次のような処理を行ない得るようになる。たとえば、印刷指示データPJから事前印刷用紙の用紙コードを検知すると、画像読取部30にセットされた事前印刷用紙を読み取ることで下地画像データPGを取得する。この下地画像データPGの取得の際に、低品質モードを適用することで低解像度やモノクロでの読取り処理を実行して低品質画像LPG を取得する、また、通常品質モードを適用することで事前印刷用紙の画像と同程度の同品質画像HPG を取得し、画像編集部180による画像編集機能により低品質画像LPG に変換する。低品質画像LPG にするのは、下地画像データPGの利用価値を低下させるためである。
【0064】
取得した低品質画像LPG や同品質画像HPG は、その後の印刷処理に備えて、下地画像データ管理部150(記憶部152)にて用紙コードと対応付けて記憶・管理する。たとえば、同品質画像HPG を印刷データと合成し白紙用紙に印刷すると、事前印刷用紙を使用した本番印刷の代用として適用し得るようになる。また、低品質画像LPG と印刷データと合成し白紙用紙に印刷すると、事前印刷用紙を消費せずに試し印刷が実現されるとともに、事前印刷用紙の印刷済みの画像部分の利用価値を低下させた状態での試し印刷が実現される。
【0065】
画像読取部30で事前印刷用紙を読み取った下地画像データPGを表示装置16に表示させながら、オペレータは画像編集作業(特に悪用防止領域に対する塗潰し編集)を行なうことで低品質画像LPG にする。塗潰し編集により低品質画像LPG にするのも、下地画像データPGの利用価値を低下させるためである。
【0066】
塗潰し編集時には、塗潰しパターンを、濃度100%の黒ベタではなく、別の色や100%未満の濃度やハッチングパターンや透過率の設定を適用するとよい。これは、印字データ部分が黒ベタの塗潰しパターンと重なると印字位置ずれの確認が困難になってしまうことの対策のためである。
【0067】
<主印刷制御部の詳細>
図1Bは、主印刷制御部110の詳細を説明する図である。主印刷制御部110の周辺には、主印刷制御部110と関連する部分も示している。
【0068】
主印刷制御部110は、指示データ解析部210、消耗材情報取得部220、印刷実行判断部230、保留処理部240、データ合成部250、再処理受付部260を有する。
【0069】
指示データ解析部210は、印刷指示データPJから印刷設定を抽出する印刷設定抽出部212と、色剤消費量算出部216を有する。
【0070】
印刷設定抽出部212は、たとえば、一般的な印刷設定(印刷ページ数や部数など)の他、本実施形態では、用紙モードなのか、画質モードなのか、用紙不足のとき事前用紙印刷から代用印刷への切替えや、代用印刷から事前用紙印刷への切替えを許可するのか否かなどの情報も抽出する。
【0071】
色剤消費量算出部216は、出力用紙サイズや画像の濃淡に基づいて色剤消費量を算出する。このとき、色剤消費量算出部216は、印刷データの色空間である入力色空間(たとえば赤R,青B,緑G)の画像データに基づいて色剤消費量を算出するのではなく、印刷処理部52が使用する出力色の色空間である出力色空間(たとえばC,M,Y,K)の画像データに基づいて色剤消費量を算出するのがよい。たとえば、色剤消費量算出部216は、出力色空間(CMYK)で示された印刷出力用データに基づき、画像ピクセル数だけでなく、個々の画像ピクセルの階調をも参照して、色剤の使用量を算出する。
【0072】
2値(たとえば0,255)で印刷する場合には、出力色空間で表された印刷出力用データに基づき印字される画像のドット数(画像ピクセル数)を計数して画像密度を求めることで、ほぼ正確な色剤消費量が求められる。多値(たとえば0〜255)で印刷する場合には、画像密度を参照しただけでは不十分であり、印刷出力用データを用いるとともに、その印刷出力用データの画像ピクセル数だけでなく、個々の画像ピクセルの階調をも参照して、色剤の使用量を求める。
【0073】
消耗材情報取得部220は、画像出力部50から色剤の残量情報を取得し、また、給紙部70から用紙の残量情報を取得する。たとえば、印刷制御部54には、色剤残量管理部360が設けられている。
【0074】
色剤残量管理部360は、印刷処理部52が使用する各出力色(たとえばC,M,Y,K)の色剤の残量(たとえばトナー残量やインク残量)を管理する。この色剤残量管理部360は、印刷処理部52が使用するたとえばC,M,Y,Kの色剤の残量を検出する。また、色剤残量管理部360は、前回印刷処理後の色剤残量を記憶しておき、印刷処理部52における出力処理の出力枚数を計数する。色剤残量検出部362は、一連の処理が終了するごとに各印刷処理における色剤消費量を特定し、その結果を順に色剤カートリッジ(貯留槽)中の色剤の(既知の)元の量から減算することで、各出力色について色剤残量を算出する。
【0075】
給紙部70には、用紙の残量を用紙種別ごとに管理する用紙残量管理部380と、用紙(特に事前印刷用紙)の品質を用紙種別ごとに管理する用紙品質管理部382が設けられている。
【0076】
用紙残量管理部380は、給紙トレイに具備された図示しない用紙高さセンサと紙厚との関係から残枚数を特定する。
【0077】
用紙品質管理部382は、用紙の入手時期や、用紙管理状態や、給紙トレイへの収容時期など、事前印刷用紙の品質(事前印刷画質)を間接的に特定できるような情報を管理する。
【0078】
印刷実行判断部230は、指示データ解析部210が取得した印刷処理に関する情報(重要度、必要用紙枚数、色剤消費量)と、消耗材情報取得部220が取得した消耗剤の情報(色剤残量、用紙残量)に基づいて、印刷処理に使用する用紙、つまり印刷方式(本例では、事前用紙印刷と代用印刷処理の何れか)を判定する。そして、印刷実行判断部230は、判定結果に基づいて、画像出力部50への印刷指示や保留・再開などを制御する。
【0079】
保留処理部240は、印刷実行判断部230から保留指示を受けると、その時点の各情報を記憶装置に保持して印刷処理を保留にする。また、印刷実行判断部230から再処理指示を受けると、記憶装置に保存しておいた保留中の情報を読み出して印刷実行判断部230に渡す。
【0080】
データ合成部250は、代用印刷時に、印刷データ管理部130から渡された印刷データと下地画像データ管理部150から渡された下地画像データPGを合成して印刷出力データを生成し画像出力部50に渡す。
【0081】
再処理受付部260は、印刷処理が保留になったときに、オペレータからの設定変更や再印刷指示を受け付ける。このとき、再処理受付部260は、処理を保留したときの状況を入出力制御部190を介して表示装置16に表示するとよい。
【0082】
<管理テーブル>
図2は、下地画像データ管理部150が管理する下地画像管理テーブルTBL の一例を説明する図である。通常、事前印刷用紙を特定する用紙コードは、システム内で一意となるよう印刷指示データPJを作成する側で管理される。用紙コードがシステム内で一意であれば、用紙コードを事前印刷画像ファイル名としてもよい。また、用紙コードがシステム内で一意でない場合は、ランダムで割り振られる画像ファイル名と対応付けて管理する。この場合、どの画像ファイルを使用するかは、その都度、表示装置16に画像を縮小画像(サムネール画像)で表示して選択させてもよい。
【0083】
本実施形態の下地画像データ管理部150は、1つの事前印刷用紙に対応する用紙コードごとに、事前印刷画像ファイル名が対応付けられ、各画像ファイルに設定される属性(プロパティ)から抽出した画像の仕様を管理するようになっている。
【0084】
これにより、本実施形態では、事前印刷用紙を使った本番印刷を行なう通常本番印刷、下地画像データPGを使って白紙用紙に本番印刷(事前印刷用紙を使った本番印刷との区別のため代用印刷と称する)を行なう代用本番印刷、白紙用紙を使った印刷データのみ(罫線や社章などの画像はなし)での試し印刷を行なう白紙試し印刷、事前印刷用紙を使った試し印刷を行なう通常試し印刷、下地画像データPGを使って白紙用紙に試し印刷を行なう代用試し印刷に対応するようになっている。
【0085】
<印刷処理:基本>
図3〜図3Aは、本実施形態の画像形成装置7における印刷処理の基本を説明する図である。ここで、図3は、基本的な印刷処理手順を示すフローチャートである。図3Aは、基本的な印刷処理を説明する概念図である。
【0086】
主印刷制御部110は、印刷指示があるまで(印刷指示データPJを受け取るまで)待機している(S100)。主印刷制御部110は、印刷指示があると(S100−YES)、印刷データ管理部130に記憶部132への印刷指示データPJの保存を指示し、また印刷指示データPJを解読して印刷モードが本番モードであるのか試しモード(テストモード)であるのかを判定する(S102)。本番モードのときは(S102−本番)、印刷実行判断部230は、印刷データ管理部130に印刷データの取得を依頼し、印刷データを画像出力部50に渡して、出力処理を指示する(S104)。
【0087】
このとき、印刷実行判断部230は、消耗材情報取得部220を介して取得した残用紙枚数との関係で、事前印刷用紙が足りるか否かを判定する(S152)。足りるときは(S152−YES)、印刷実行判断部230は、事前印刷用紙を使用した通常の帳票印刷処理(通常本番印刷処理)を実行するように画像出力部50に指示する(S191,S198)。事前印刷用紙が不足のときは(S152−NO)、印刷実行判断部230は、さらに白紙用紙が足りるか否かを判定する(S156)。
【0088】
不足のときは、印刷実行判断部230は、処理を中止または保留し、その旨をオペレータに通知する(S156−NO、S160)。足りるときは(S156−YES)、印刷実行判断部230は、下地画像データPGの取得を下地画像データ管理部150に依頼し(S170)、下地画像データPGを画像出力部50に渡して、事前印刷用紙の下地画像と対応する下地画像データPGを使った帳票印刷処理(代用本番印刷処理)を実行するように画像出力部50に指示する(S192,S198)。
【0089】
試しモードのときは(S102−試し)、主印刷制御部110は、印刷データ管理部130に印刷データの取得を依頼し(S110)、受け取った印刷データの属性(アトリビュート)を走査し、事前印刷用紙の用紙コードが指定されているかどうかを確認する(S112)。事前印刷用紙の用紙コードが指定されていなければ(S112−NO)、印刷実行判断部230は、印刷データを画像出力部50に渡して、白紙用紙を使用した試し印刷処理(白紙試し印刷処理)を実行するように画像出力部50に指示する(S193,S198)。このとき、用紙不足のときは、処理を中止または保留し、その旨をオペレータに通知する。
【0090】
事前印刷用紙の用紙コードが指定されていると(S112−YES)、主印刷制御部110は、受け取った印刷データの属性を走査し、事前印刷用紙を使用した試し印刷(通常試し印刷)であるのか、下地画像データPGを使用した試し印刷(代用試し印刷)であるのかを確認する(S116)。
【0091】
通常試し印刷が指示されていると、印刷実行判断部230は印刷データを画像出力部50に渡して、事前印刷用紙を使用した試し印刷処理(通常試し印刷処理)を実行するように画像出力部50に指示する(S194,S198)。このとき、用紙不足のときは、処理を中止または保留し、その旨をオペレータに通知する。
【0092】
代用試し印刷が指示されていると(S116−NO)、印刷実行判断部230は、下地画像データPGの取得を下地画像データ管理部150に依頼し(S170)、下地画像データPGを画像出力部50に渡して、事前印刷用紙の下地画像と対応する下地画像データPGを使った帳票印刷処理(代用試し印刷処理)を実行するように画像出力部50に指示する(S195,S198)。このとき、用紙不足のときは、処理を中止または保留し、その旨をオペレータに通知する。
【0093】
下地画像データPGの取得処理(S170)においては、下地画像データ管理部150は、下地画像管理テーブルTBL を検索し(S172)、指示された用紙コードのエントリが存在するかどうかを確認する(S174)。エントリが存在する場合は(S174−YES)、下地画像データ管理部150は、そのエントリ内に記述された下地画像データPGを記憶部152から読み込んで主印刷制御部110に渡す(S176)。
【0094】
エントリが存在しない場合は(S174−NO)、主印刷制御部110は、入出力制御部190を介して、たとえば「用紙コード:xxxxxに対する事前印刷用紙をスキャナにセットして下さい」というメッセージを表示し、オペレータの応答待ちとなる(S182)。オペレータは、このメッセージが表示された場合は、用紙コードに対する事前印刷用紙を画像読取部30にセットし、指示入力装置18(キーボードやマウス)を操作して、スキャン開始を指示する。
【0095】
下地画像データ管理部150は、オペレータからのスキャン開始指示を、入出力制御部190を介して受け取ると(S182−YES)、スキャナ制御部170に対して、読取り処理を依頼する(S184)。スキャナ制御部170は、下地画像データ管理部150からの依頼に基づき、画像読取部30にセットされた事前印刷用紙を読み込み、画像データとしてメモリに展開し、下地画像データ管理部150に渡す。
【0096】
下地画像データ管理部150は、下地画像データPGを受け取ると、下地画像の登録処理を行ない(S186)、さらに下地画像データPGを主印刷制御部110に渡す。下地画像の登録処理では、下地画像データPGを画像ファイルとして記憶部152に保存し、また、用紙コードと画像ファイル名を下地画像管理テーブルTBL に追加する。
【0097】
主印刷制御部110は、渡された下地画像データPGと印刷データ管理部130から渡された印刷データを合成して、合成済みの印刷データを画像出力部50に送り、下地画像データPGを使った帳票印刷処理(代用本番印刷処理や代用試し印刷処理)の実行を画像出力部50に指示する(S192,S195)。
【0098】
図3Aに示すように、通常本番印刷と通常試し印刷は何れも、事前印刷用紙を使用した帳票印刷であり、印刷結果物(の画質)も同じである。通常本番印刷の印刷結果物は排出ビン94に排出され、通常試し印刷の印刷結果物はサンプル排出部96に排出される。
【0099】
また、代用本番印刷と代用試し印刷は何れも、下地画像データPGと印刷データを合成して白紙用紙に印刷する帳票印刷であり、印刷結果物(の画質)も同じである。代用本番印刷の印刷結果物は排出ビン94に排出され、代用試し印刷の印刷結果物はサンプル排出部96に排出される。
【0100】
白紙試し印刷は、印刷データを白紙用紙に印刷する帳票印刷であり、その印刷結果物はサンプル排出部96に排出される。
【0101】
<印刷処理:第1実施形態>
図4〜図4Dは、本実施形態の画像形成装置7における第1実施形態の印刷処理を説明する図である。ここで、図4は、第1実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。図4A〜図4Dは、第1実施形態の印刷処理を説明する概念図である。
【0102】
代用印刷を行なう場合、印刷結果物の画像品質や消耗材(白紙用紙や色剤(トナー))に関わる新たな問題が発生する。そこで、本実施形態では、代用印刷を行なうか否かに関して、次の点について考慮する。
【0103】
1)事前用紙印刷と代用印刷では画質が異なり、両者を混在させると、各出力結果物間に画質差が発生する点。
2)過度に代用印刷がなされると、白紙用紙不足となり、事前印刷用紙が不足したときの本来の代用印刷機能が果たされなくなる点。
3)代用印刷では、下地画像を印刷する分の色剤が必要で、過度に代用印刷がなされると、色剤不足となり、事前印刷用紙が不足したときの本来の代用印刷機能が果たされなくなる点。
4)事前用紙印刷中に新旧用紙が混在すると褪色を起因として、それぞれの出力結果物間に画質差が発生する点。
【0104】
これらの対処方法を簡潔に言えば、処理単位ごとに、印刷指示データPJで指定されている用紙や画質に関する情報と、消耗剤の情報(消費量や残量)に基づいて、印刷処理に使用するべき用紙を判定し、つまり事前用紙印刷と代用印刷の何れを採用するのが好ましいかを判定し、その判定結果に基づいて、印刷業務を遂行する。以下、具体的に説明する。
【0105】
本実施形態においては、後述する他の実施形態も含めて、印刷指示データPJごとに、使用するべき用紙を判断し、印刷業務に全般における最適化を実現する。このとき、印刷指示データPJにて要求されている出力結果物の画質である要求画質に着目し、この要求画質と、事前印刷用紙を使った印刷処理(事前用紙印刷)時の出力結果物の画質(事前印刷画質)と代用印刷時の出力結果物の画質(代用印刷画質)の優劣とに基づいて、事前用紙印刷と代用印刷の何れを採用するかを決定する。
【0106】
要求画質として、後述する他の実施形態も含めて、先ず、一印刷処理の必要用紙枚数(総ページ数×部数)内で画質差が無いようにする第1判断基準を必ず満たすようにする。基本的には、必要用紙枚数について、事前用紙印刷と代用印刷を混在させると画質差の発生を避けることが困難であるので、一印刷処理では同一の用紙のみを使用することを前提とする。
【0107】
また、同一の用紙であっても、新旧の用紙を混在させると、古い用紙での褪色を起因として画質差が発生する場合があるので、使用する用紙そのものの褪色具合いも判断基準にするとよい。実際に各用紙の色味を判断してもよいが、より簡単な方法としては、使用する用紙が同じような時期に入手したものであるのか否かを判断基準にしてもよい。
【0108】
第1判断基準を満たせないときは、その旨をオペレータに通知し、それ以降の処理の指示を待つようにする。たとえば、事前印刷用紙が不足したからと言って、自動的に代用印刷に切り替えて処理してしまうことはしない。オペレータからの指示で代用印刷への切替えが許可されたときには代用印刷を行なってもよい。この場合、事前用紙印刷の途中で代用印刷に切り替ることに起因する画質差の発生は避けられない。
【0109】
さらに、第1実施形態は、用紙モードであるのかや画質モードであるのかを第2判断基準とし、何れであるかや、それらの組合せに応じて、使用するべき用紙を決定して印刷処理を行なう。たとえば、用紙モードの場合は、印刷指示データPJで指定されている用紙を使用することを前提とし、用紙の過不足を確認した上で、第1判断基準を満たすように印刷処理を行なう。また、画質モードの場合には、事前印刷画質と代用印刷画質の内の優れている方を採用することを前提とし、用紙の過不足を確認した上で、第1判断基準を満たすように印刷処理を行なう。用紙の過不足の判断時にはジャムなどの異常事態に備え、用紙枚数判断にレンジを設けるとよい。たとえば、印刷する印刷用紙の枚数が該当処理全体分を印刷する必要枚数に満たない場合は、処理を保留し、オペレータから再印刷指示を仰ぐ。
【0110】
図4のフローチャートに基づき、具体的に説明する。ここでは、用紙モードに関する判定処理を最初に行ない、用紙変更が許可されるモードの場合には、さらに画質モードに関する判定処理を行なう例で説明する。印刷指示データPJには、印刷属性として、一般的な印刷設定の他に、事前印刷用紙を必ず使用しなければならないのか否かの情報や、高画質の印刷結果物を希望するのか否かの情報を含むものとする。
【0111】
本番モードに入ると、主印刷制御部110では、先ず、指示データ解析部210は印刷指示データPJを解析し、印刷設定抽出部212は処理の重要度を抽出する(S106)。たとえば、印刷設定抽出部212は、事前印刷用紙を必ず使用しなければならいのか否かの情報を抽出する。また、指示データ解析部210は、印刷設定抽出部212が抽出した印刷設定(印刷ページ数と印刷部数)に基づき、印刷処理の必要用紙枚数を計算する。また色剤消費量算出部216は、印刷データを解析して印刷処理に必要なトナー消費量を色剤別に計算する。
【0112】
この後、印刷実行判断部230は、「印刷指示データPJで指定されている事前印刷用紙を使用する必要があるか否か」を確認する(S120)。事前印刷用紙の使用が必須の場合は(S120−YES)、印刷データ管理部130は、用紙モードに対応した帳票印刷処理を行なうように制御する。具体的には、印刷データ管理部130は、消耗材情報取得部220を介して取得した残用紙枚数と印刷設定抽出部212が計算した必要用紙枚数に基づいて事前印刷用紙が足りるか否かを判定し(S152)、足りるときは(S152−YES)、事前印刷用紙を使用した通常の帳票印刷処理(通常本番印刷処理)を実行するように画像出力部50に指示する(S191,S198)。事前印刷用紙が不足のときは(S152−NO)、印刷実行判断部230は、保留処理部240に処理の保留処理を指示し、その旨をオペレータに通知する(S160)。
【0113】
事前印刷用紙の使用が必須でない場合は(S120−NO)、印刷実行判断部230は、画質モードに対応した帳票印刷処理を行なうように制御する。具体的には、印刷データ管理部130は、事前印刷画質と代用印刷画質の内の優れている方を採用する。たとえば、印刷実行判断部230は、用紙品質管理部382により特定されている事前用紙印刷の品質に基づいて事前印刷画質を特定し、また画像出力部50の出力処理性能に基づいて代用印刷画質を特定し、事前印刷画質と代用印刷画質の優劣を判定する(S122)。
【0114】
事前印刷画質の方が代用印刷画質よりも優れている場合には(S122−事前)、印刷実行判断部230は、消耗材情報取得部220を介して取得した残用紙枚数と印刷設定抽出部212が計算した必要用紙枚数に基づいて事前印刷用紙が足りるか否かを判定する(S124)。足りるときは(S124−YES)、印刷実行判断部230は、事前印刷用紙を使用した通常の帳票印刷処理(通常本番印刷処理)を実行するように画像出力部50に指示する(S191,S198)。
【0115】
事前印刷用紙が不足のときは(S124−NO)、印刷実行判断部230は、画質モードにおいても「用紙不足のときは別用紙での印刷」が許可されているか否かに応じて処理を切り替える。たとえば、「用紙不足のときは別用紙での印刷」が許可されていれば、印刷実行判断部230は、事前用紙印刷から代用印刷へ切り替える(S124−NO1)。また、「用紙不足のときは別用紙での印刷」が許可されていなければ、印刷実行判断部230は、保留処理部240に処理の保留処理を指示し、その旨をオペレータに通知する(S124−NO2,S160)。
【0116】
代用印刷画質の方が事前印刷画質よりも優れている場合や(S122−代用)、事前印刷用紙が不足のときは(S124−NO1)、印刷実行判断部230は、消耗材情報取得部220を介して取得した残用紙枚数と印刷設定抽出部212が計算した必要用紙枚数に基づいて白紙用紙が足りるか否かを判定する(S156)。足りるときは(S156−YES)、印刷実行判断部230は、下地画像データPGの取得を下地画像データ管理部150に依頼し(S170)、下地画像データPGを画像出力部50に渡して代用試し印刷処理を実行するように画像出力部50に指示する(S195,S198)。
【0117】
白紙用紙が不足のときは(S156−NO)、印刷実行判断部230は、画質モードにおいても「用紙不足のときは別用紙での印刷」が許可されているか否かに応じて処理を切り替える。たとえば、代用印刷画質の方が優る場合において白紙用紙不足のときに「用紙不足のときは別用紙での印刷」が許可されていれば(S122−代用,S156−NO1)、印刷実行判断部230は、代用印刷から事前用紙印刷へ切り替える。そして、印刷実行判断部230は、ステップS152へ移行して事前印刷用紙の過不足を確認し、用紙が足りれば通常本番印刷の実行を指示し(S191)、用紙不足であれば、保留処理部240に処理の保留処理を指示し、その旨をオペレータに通知する(S160)。
【0118】
また、代用印刷画質の方が優る場合において白紙用紙不足のときに「用紙不足のときは別用紙での印刷」が許可されていなければ(S122−代用,S156−NO2)、印刷実行判断部230は、保留処理部240に処理の保留処理を指示し、その旨をオペレータに通知する(S160)。また、事前印刷画質の方が優る場合において事前印刷用紙不足のため代用印刷に切り替えていたときに白紙用紙不足のときは(S122−事前,S124−NO,S156−NO2)、印刷実行判断部230は、保留処理部240に処理の保留処理を指示し、その旨をオペレータに通知する(S160)。
【0119】
保留処理に移行すると、保留処理部240は、再処理受付部260を介したオペレータからの再印刷指示を待つ(S162)。再処理受付部260は、処理を保留したときの状況(本例では事前印刷用紙や白紙用紙の不足状況)を入出力制御部190を介して表示装置16に表示し、オペレータからの指示を仰ぐ。
【0120】
オペレータは、帳票印刷を完結させたければ、実施できるように印刷属性を変更するとよい。たとえば、「事前印刷用紙の使用が必須」と設定していたときに「保留」となるのは事前印刷用紙が不足の場合であり(S152−NO)、「事前印刷用紙の使用が必須でない」に印刷属性を変更するとよい。この場合、白紙用紙が足りれば、ステップS122,S156の系統で代用印刷での対応がなされる。
【0121】
また、画質モードにおいて「用紙不足のときは別用紙での印刷を許可しない」と設定していたときに「保留」となるのは、事前印刷画質が優る場合において事前印刷用紙が不足の場合と(S122−事前,S124−NO2)、代用印刷画質が優る場合において白紙用紙が不足の場合(S122−代用,S156−NO2)である。この場合、「用紙不足のときは別用紙での印刷を許可する」に設定を変更すると、他方の用紙が足りれば、事前用紙印刷から代用印刷へと印刷モードが切り替えられて印刷処理がなされる(S124−NO1)、または、代用印刷から事前用紙印刷へと印刷モードが切り替えられて印刷処理がなされる(S156−NO1)。
【0122】
第1実施形態の印刷処理によれば、次のような処理がなされる。たとえば、図4Aに示すように、第1実施形態を適用しない場合(第1比較例)には、事前印刷用紙を使用した印刷処理中に、事前印刷用紙が不足した際には、白紙用紙を使用した代用印刷を行なうことを考える。この場合、事前用紙印刷と代用印刷では、印字結果に差異(画質差)があり、印字品質を意識する重要処理に対し、意図しない印刷(事前用紙印刷と代用印刷が混在)を行なってしまう危険性がある。また、印字品質を意識しない処理が先行して印刷される場合、重要な後続処理を印刷する際には事前印刷用紙が不足していまい、印刷業務全体において、印刷物の最適化は担保されない。
【0123】
これに対して、図4Bに示すように、第1実施形態を適用すると、重要度の高い印刷データDに対しては「事前印刷用紙の使用が必須」と設定することで、優先して事前用紙印刷を行なうため、事前印刷用紙の残容量を考慮した処理計画を策定する手間が省ける(運用改善)。また、処理単位に同一の用紙のみを使用した印刷処理が担保されるため、印字品質は一括管理される(品質改善)。すなわち、画像出力部50における印刷処理中に、事前用紙印刷から代用印刷へ、または、代用印刷から事前用紙印刷へと印刷処理が切り替ることはない。一印刷処理の必要用紙枚数内で画質差が無いようにする第1判断基準は必ず満たされ、事前用紙印刷と代用印刷を混在させることに起因する画質差の発生が避けられる。
【0124】
また、図4Cに示すように、同一の用紙であっても、新旧の用紙を混在させると、褪色を起因とする画質差が発生することがある。第1実施形態を適用しない場合(第2比較例)には、重要な印刷データに、品質の悪い事前用紙を使用した印刷処理を行なう可能性がある。
【0125】
これに対して、図4Dに示すように、第1実施形態を適用すると、重要度の高い印刷データに対しては「事前印刷用紙の使用が必須でない」と設定することで、画質の優劣に応じた印刷処理を行なうため、重要な印刷処理に対し、品質の悪い事前印刷用紙の使用は回避される(品質改善)。
【0126】
また、最近の高性能の画像形成装置では、印字品質が向上しているものもあり、事前印刷用紙よりも印字品質の高い代用印刷を行なうことも考えられる。第1実施形態を適用すると、重要度の高い印刷データBに対しては「事前印刷用紙の使用が必須でない」と設定することで、画質の優劣に応じた印刷処理がなされる。その結果、事前印刷画質よりも代用印刷画質の方が印字品質が高いときには(S122−代用)、自動的に事前用紙印刷から代用印刷に切り替えられることで、事前用紙印刷よりも印字品質が高い印刷結果物が得られる。
【0127】
因みに、新旧用紙の混在による画質差を防止すると言う点では、本質的には、重要な印刷処理の場合には、代用印刷画質と事前印刷画質の何れが高画質であるか否かは不問で、強制的に代用印刷にしてしまえばよい。しかしながら、これでは、代用印刷の方が古い事前印刷用紙での事前印刷画質よりも低品質である場合に、代用印刷にしてしまうと、低画質の印刷結果物になってしまい好ましくない。
【0128】
このため、本実施形態では、代用印刷画質と事前印刷画質の相対的な画質を判断基準に代用印刷と事前用紙印刷の何れにするかを切り分けるようにしている。したがって、代用印刷の方が古い事前印刷用紙での事前印刷画質よりも低品質である場合には、事前用紙印刷が採用され、新旧用紙が混在した印刷結果物が出力される。この場合でも、3者(新旧での事前用紙印刷と代用印刷)の相対的な比較では、重要な印刷データを、品質の悪い状態で出力することはない。
【0129】
<印刷処理:第2実施形態>
図5は、本実施形態の画像形成装置7における第2実施形態の印刷処理を説明する図である。ここで、図5は、第2実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。
【0130】
第2実施形態は、第1実施形態を基本として、さらに、消耗材の一例である色剤(トナー)の「残量」に応じた印刷処理を行なうものである。特に、代用印刷を選択したときに、トナー残量を確認した上で、第1判断基準を満たすように印刷処理を行なう。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0131】
代用印刷を選択したとき(S122−代用やS124−NO1)、印刷実行判断部230は、色剤消費量算出部216により算出した色剤消費量とトナー残量消耗材情報取得部220を介して取得しているトナー残量情報に基づいて、色剤が足りるか否かを判定する(S128)。印刷実行判断部230は、色剤が足りるときは白紙用紙の過不足に応じて処理を切り替える(S128−YES,S156)。色剤が不足のときは(S128−NO)、印刷実行判断部230は、画質モードにおいても「色剤不足のときは事前印刷用紙での印刷」が許可されているか否かに応じて処理を切り替える。たとえば、「色剤不足のときは事前印刷用紙での印刷」が許可されていれば、印刷実行判断部230は、代用印刷から事前用紙印刷へ切り替える(S128−NO1)。また、「色剤不足のときは事前印刷用紙での印刷」が許可されていなければ、印刷実行判断部230は、保留処理部240に処理の保留処理を指示し、その旨をオペレータに通知する(S128−NO2,S160)。
【0132】
保留処理に移行すると、保留処理部240は、再処理受付部260を介したオペレータからの再印刷指示を待つ(S162)。再処理受付部260は、処理を保留したときの状況(本例では事前印刷用紙や白紙用紙や色剤の不足状況)を入出力制御部190を介して表示装置16に表示し、オペレータからの指示を仰ぐ。
【0133】
オペレータは、帳票印刷を完結させたければ、実施できるように印刷属性を変更するとよい。色剤の不足で直ちに「保留」となるのは、画質モードにおいて「色剤不足のときは事前印刷用紙での印刷」が許可されていない場合である(S128−NO2)。よって、「色剤不足のときは事前印刷用紙での印刷」を許可するように印刷属性を変更するとよい。この場合、事前用紙印刷が足りれば、ステップS152の系統で事前用紙印刷での対応がなされる。
【0134】
<印刷処理:第3実施形態>
図6〜図6Bは、本実施形態の画像形成装置7における第3実施形態の印刷処理を説明する図である。ここで、図6は、第3実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。図6Aおよび図6Bは、第3実施形態の印刷処理を説明する概念図である。
【0135】
第3実施形態は、第1実施形態を基本として、さらに、消耗材の一例である色剤(トナー)の「消費量」に応じた印刷処理を行なうものである。特に、代用印刷を選択したときに、トナーの消費量を確認した上で、第1判断基準を満たすように印刷処理を行なう。一見すると、第2実施形態と似通ってはいるが、代用印刷の対象とする事前用紙印刷の種別を、トナー消費量を基準に切り分ける点で異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0136】
代用印刷を選択したとき(S122−代用やS124−NO1)、印刷実行判断部230は、色剤消費量算出部216により算出した色剤消費量に基づいて、代用印刷の対象となるか否かを判定する(S126)。印刷実行判断部230は、色剤消費量が予め設定されている閾値以下であれば(「未満」を判定基準としてもよい)、代用印刷の対象と判断し、白紙用紙の過不足に応じて処理を切り替える(S126−YES,S156)。
【0137】
色剤消費量が予め設定されている閾値を超えるときには(「以上」を判定基準としてもよい)(S126−NO)、印刷実行判断部230は、画質モードにおいても「色剤消費量が多いときは事前印刷用紙での印刷」が許可されているか否かに応じて処理を切り替える。
【0138】
たとえば、「色剤消費量が多いときは事前印刷用紙での印刷」が許可されていれば、印刷実行判断部230は、代用印刷から事前用紙印刷へ切り替える(S126−NO1)。また、「色剤消費量が多いときは事前印刷用紙での印刷」が許可されていなければ、印刷実行判断部230は、保留処理部240に処理の保留処理を指示し、その旨をオペレータに通知する(S126−NO2,S160)。
【0139】
保留処理に移行すると、保留処理部240は、再処理受付部260を介したオペレータからの再印刷指示を待つ(S162)。再処理受付部260は、処理を保留したときの状況(本例では事前印刷用紙や白紙用紙や色剤消費量の状況)を入出力制御部190を介して表示装置16に表示し、オペレータからの指示を仰ぐ。
【0140】
オペレータは、帳票印刷を完結させたければ、実施できるように印刷属性を変更するとよい。色剤消費量の関係で直ちに「保留」となるのは、画質モードにおいて「色剤消費量が多いときは事前印刷用紙での印刷」が許可されていない場合である(S126−NO2)。よって、「色剤消費量が多いときは事前印刷用紙での印刷」を許可するように印刷属性を変更するとよい。この場合、事前用紙印刷が足りれば、ステップS152の系統で事前用紙印刷での対応がなされる。
【0141】
また、ステップS126での判定基準の閾値を、色剤消費量算出部216が算出した色剤消費量よりも大きくなるように変更してもよい。この場合、白紙印刷が足りれば、ステップS156の系統で代用印刷での対応がなされる。
【0142】
第3実施形態の印刷処理によれば、次のような処理がなされる。代用印刷では、印刷指示データPJで示されている印刷データの他に、下地画像データPG分の印刷も必要になるので、事前用紙印刷よりも多様なトナーを消費する。このため、たとえば、図6Aに示すように、第3実施形態を適用しない場合には、事前印刷用紙Cが不足した時点で代用印刷用のトナーが不足している場合、意図する運用改善を生み出すことができなくなる。また、代用印刷用のトナーが不足した時点で、代替印刷用の画像形成装置に印刷を試みることが考えられるが、その切替え処理が煩雑となりスループットが低下する。
【0143】
これに対して、図6Bに示すように、第3実施形態を適用すると、色剤消費量が閾値よりも少ない事前印刷用紙A,Bについてのみ代用印刷を許可し、色剤消費量が閾値よりも多い事前印刷用紙Cには代用印刷を許可しないので、つまり、色剤消費量の少ない事前印刷用紙を優先して代用印刷の対象とするため、色剤(プリンターリソース)を代用印刷用に無駄に消費することはない(運用改善)。
【0144】
なお、第3実施形態では、第1実施形態との組合せで、事前印刷用紙ごとの色剤消費量に基づいて事前用紙印刷にするか代用印刷にするかを切り分ける例を示したが、第1実施形態との組合せは必須ではない。
【0145】
<印刷処理:第4実施形態>
図7Aは、本実施形態の画像形成装置7における第4実施形態の印刷処理を説明する図である。ここで、図7は、第4実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。
【0146】
第4実施形態は、第2実施形態と第3実施形態を組み合わせたものである。代用印刷を選択したときに、トナーの消費量を確認するとともにトナー残量も確認した上で、第1判断基準を満たすように印刷処理を行なう。以下、第2・第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0147】
印刷実行判断部230は、色剤消費量が予め設定されている閾値以下であれば(「未満」を判定基準としてもよい)(S126−YES)、さらに、色剤消費量算出部216により算出した色剤消費量とトナー残量消耗材情報取得部220を介して取得しているトナー残量情報に基づいて色剤が足りるか否かを判定する(S128)。以下、第2実施形態と同様である。
【0148】
<電子計算機による構成>
図8は、画像形成装置7の制御構成の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築される画像形成装置7の制御構成のより現実的なハードウェア構成を示している。
【0149】
すなわち、本実施形態において、印刷処理に関わる制御処理を行なう画像形成装置7の制御構成の仕組みは、ハードウェア処理回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づき電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現される。よって、本実施形態に係る仕組みを、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体が発明として抽出される。ソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などが容易に変更されることとなる。
【0150】
前述の一連の帳票印刷処理はハードウェアまたはソフトウェアの単独に限らずその両者の複合構成によっても実現され得る。ソフトウェアによる処理を実行する場合、処理手順を示したプログラムを、ハードウェアに組み込まれたコンピュータ内の記憶媒体に組み込んで(インストールして)実行させたり、各種処理が実行可能な汎用の電子計算機にプログラムを組み込んで実行させる。
【0151】
帳票印刷処理機能をコンピュータに実行させるプログラムは、CD−ROMなどの記録媒体を通じて配布される。あるいは、このプログラムは、CD−ROMではなくFDに格納されてもよい。また、MOドライブを設け、MOに前記プログラムを格納してもよく、またフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリカードなど、その他の記録媒体にプログラムを格納してもよい。さらに、ソフトウェアを構成するプログラムは、記録媒体を介して提供されることに限らず、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。たとえば、他のサーバなどからインターネットなどのネットワークを経由してプログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりしてもよい。さらに、自動複製印刷指示データAPJ を生成するオンデマンド印刷処理を行なう機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。
【0152】
たとえば、コンピュータシステム900は、CPU(Central Processing Unit )やマイクロプロセッサ(microprocessor)で構成された中央制御部910と、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)、あるいは随時読出し・書込みが可能なメモリであるRAM(Random Access Memory)などを具備する記憶部912と、操作部914と、図示を割愛したその他の周辺部材を有している。
【0153】
中央制御部910は、コンピュータが行なう演算と制御の機能を超小型の集積回路に集約させたCPUを代表例とする電子計算機の中枢をなすものと同様のものである。ROMには帳票印刷処理機能用の制御プログラムなどが格納される。記憶部612のROMがその機能を備えるものとしてもよい。操作部914は、利用者による操作を受け付けるためのユーザインタフェースである。
【0154】
なお、コンピュータシステム900の制御系としては、メモリカードなどの図示を割愛した外部記録媒体を挿脱可能に構成し、またインターネットなどの通信網との接続が可能に構成するとよい。このためには、制御系は、中央制御部910や記憶部912の他に、可搬型の記録媒体の情報を読み込むメモリ読出部920や外部との通信インタフェース手段としての通信I/F922を備えるようにするとよい。メモリ読出部920を備えることで外部記録媒体からプログラムのインストールや更新ができる。通信I/F922を備えることで、通信網を介しプログラムのインストールや更新ができる。基本的な帳票印刷処理の仕組みは前記実施形態と同様である。
【0155】
なお、ここでは、画像形成装置7の制御構成をコンピュータにてソフトウェア上で実現する構成例で説明しているが、本実施形態の帳票印刷処理を実現するための画像形成装置7の制御構成の各部(機能ブロックを含む)の具体的手段は、ハードウェア、ソフトウェア、通信手段、これらの組み合わせ、その他の手段を用いることができ、このこと自体は当業者において自明である。また、機能ブロック同士が複合して1つの機能ブロックに集約されてもよい。また、コンピュータにプログラム処理を実行させるソフトウェアは、組合せの態様に応じて分散してインストールされる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本実施形態の印刷システムの一構成例を示す図である。
【図1A】図1に示した印刷システムに使用される画像形成装置の制御構成を説明する図である。
【図1B】主印刷制御部110の詳細を説明する図である。
【図2】下地画像データ管理部が管理する下地画像管理テーブルの一例を説明する図である。
【図3】基本的な印刷処理手順を示すフローチャートである。
【図3A】基本的な印刷処理を説明する概念図である。
【図4】第1実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。
【図4A】第1実施形態の印刷処理を説明する概念図(第1比較例)である。
【図4B】第1実施形態の印刷処理を説明する概念図(その1)である。
【図4C】第1実施形態の印刷処理を説明する概念図(第2比較例)である。
【図4D】第1実施形態の印刷処理を説明する概念図(その2)である。
【図5】第2実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第3実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。
【図6A】第3実施形態の印刷処理を説明する概念図(比較例)である。
【図6B】第3実施形態の印刷処理を説明する概念図である。
【図7】第4実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。
【図8】画像形成装置の制御機構を、電子計算機を利用して構成するときの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0157】
1…印刷システム、10…管理部、110…主印刷制御部、12…無停電電源装置、130…印刷データ管理部、132…記憶部、14…制御プロセッサ、150…下地画像データ管理部、152…記憶部、16…表示装置、170…スキャナ制御部、18…指示入力装置、180…画像編集部、190…入出力制御部、210…指示データ解析部、212…印刷設定抽出部、216…色剤消費量算出部、220…消耗材情報取得部、230…印刷実行判断部、240…保留処理部、250…データ合成部、260…再処理受付部、3…基幹データベースシステム、30…画像読取部、360…色剤残量管理部、380…用紙残量管理部、382…用紙品質管理部、5…帳票サーバ、50…画像出力部、52…印刷処理部、54…印刷制御部、56…サンプル排出部、7…画像形成装置、70…給紙部、9…通信網、90…排出部、92…定着部、94…排出ビン、96…サンプル排出部、98…不正印刷排出トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷処理単位ごとに、印刷指示データで指定されている用紙および/または画質に関する情報と、印刷処理に使用する消耗剤の情報に基づいて、印刷処理に使用するべき用紙を判定し、この判定結果に基づいて印刷処理を制御する制御部
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記印刷指示データにて要求されている出力結果物の画質である要求画質と、下地画像が印刷済みの事前印刷用紙に印字データに基づく印刷処理を行なう事前用紙印刷時の出力結果物の画質である事前印刷画質と、前記下地画像を示す下地画像データと印字データを合成して未印刷用紙に印刷処理を行なう代用印刷時の出力結果物の画質である代用印刷画質の優劣に基づいて、前記事前用紙印刷と前記代用印刷の何れを採用するかを決定する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、一印刷処理の必要用紙枚数内では、前記事前用紙印刷と前記代用印刷の何れか一方で印刷を行なうように制御する
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、使用する用紙が、一印刷処理の必要用紙枚数に足りるか否かを判定し、足りないときには、処理を保留し、再開指示を待つ
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、再開指示を受け付けるときに、用紙および/または画質に関する情報と印刷処理に使用する消耗剤の情報の変更を受け付け、この受け付けた新たな情報に基づいて、印刷処理に使用するべき用紙を判定し、この判定結果に基づいて印刷処理を再開するように制御する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、用紙モードと画質モードの組合せに応じて、印刷処理に使用するべき用紙を判定する
請求項1〜5の内の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記用紙モードが前記画質モードに優先して指定されているときは、前記印刷指示データで指定されている用紙が、一印刷処理の必要用紙枚数に足りるか否かを判定し、足りるときには、その用紙を使用した印刷処理を行なうように制御する
請求項1〜6の内の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記画質モードが前記用紙モードに優先して指定されているときは、前記事前用紙印刷と前記代用印刷の内、画質が良い方で印刷処理を行なうように制御する
請求項1〜6の内の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記代用印刷を採用しようとしたときには、一印刷処理の必要用紙枚数に色剤が足りるか否かを判定し、足りないときには、前記事前用紙印刷を採用する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、下地画像が印刷済みの事前印刷用紙ごとに、前記下地画像を示す下地画像データと印字データを合成して未印刷用紙に印刷処理を行なう代用印刷時の色剤消費量が予め定められている閾値よりも少ないか否かを判定し、色剤消費量が前記閾値より少ない事前印刷用紙について前記代用印刷の対象とする
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
印刷処理単位ごとに、印刷指示データで指定されている用紙および/または画質に関する情報を取得する工程と、
印刷処理単位ごとに、印刷処理に使用する消耗剤の情報を取得する工程と、
前記用紙および/または画質に関する情報と前記消耗剤の情報に基づいて、印刷処理に使用するべき用紙を判定する工程と、
前記判定の結果に基づいて印刷処理を制御する工程と、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−64372(P2010−64372A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232995(P2008−232995)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】