説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】画像形成モードに関わらず、中間転写体上の吐き出しトナーを有効に回収して、吐き出しトナーによる記録シートの汚染を防止する。
【解決手段】互いに異なる所定の色のトナー像を担持する複数の像担持体4と、複数の像担持体4にそれぞれ一次転写領域15を挟んで対向し、一次転写領域15において像担持体4からトナー像が転写される回転可能な中間転写体30と、1色のトナー像のみからなる画像を形成する単色モードと、複数の色のトナー像を重ねてなる画像を形成するマルチカラーモードとの間で画像形成モードを切り替え、単色モードでの画像形成動作に際して中間転写体30の回転駆動を開始するとき、複数の像担持体4を中間転写体30に所定時間接触させ、中間転写体30上のトナーを複数の像担持体4により回収するトナー回収動作を行うように制御する制御部70とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関し、特に、複写機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの機能を複合的に備えた複合機等の画像形成装置、及びこれらの画像形成装置を用いて画像を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラー画像形成装置として、所謂タンデム方式の画像形成装置が提案されている。タンデム方式の画像形成装置は、中間転写体の周囲に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応した4つの感光体が配置された構成となっている。タンデム方式の画像形成装置を用いてフルカラーモードでプリントする際、4つの感光体が中間転写体に接触した状態で画像形成が行われ、各感光体上に形成された各色のトナー像が、中間転写体に順次転写(一次転写)されて、中間転写体上に重ねられる。他方、モノクロモードでプリントする際、ブラックの感光体のみが中間転写体に接触配置され、ブラック以外の3つの感光体は中間転写体から離間した状態で画像形成が行われて、ブラックのトナー像のみが中間転写体に転写(一次転写)される。中間転写体に転写されたトナー像は、中間転写体の回転により、中間転写体と二次転写部材とのニップ部(二次転写領域)に搬送されると、二次転写領域を通る用紙等の記録シートに転写(二次転写)される。二次転写領域において記録シートに転写されずに中間転写体上に残留したトナーは、中間転写体の回転方向において二次転写領域の下流側に設けられたクリーニング装置によって中間転写体の表面から除去される。
【0003】
特許文献1に、中間転写体用のクリーニング装置が開示されている。
【0004】
図9に示すように、特許文献1のクリーニング装置は、中間転写ベルト130に接触して配置されたクリーニングブラシ142と、クリーニングブラシ142の上流側で中間転写ベルト130に接触して配置された帯電ブラシ174と、クリーニングブラシ142に接触して配置された回収ローラ177と、回収ローラ177に接触して設けられたスクレーパ178とを備えている。スクレーパ178には電源184が接続され、帯電ブラシ174は接地されている。電源184をオンにすると、電源184からスクレーパ178に供給される電流が、回収ローラ177、クリーニングブラシ142、および中間転写ベルト130を通って、帯電ブラシ174に流れる。この電流が帯電ブラシ174に流れた状態で、中間転写ベルト130上のトナーが、ベルト130の回転により帯電ブラシ174との接触部を通過するとき、その大部分のトナー粒子の極性が負極性(トナーの正規帯電極性)に揃えられ、負極性に帯電したトナーは、中間転写ベルト130の回転によりさらに下流側へ搬送されて、ベルト130とクリーニングブラシ142との接触部において、電位が高いクリーニングブラシ142へ静電的に吸着され、ベルト130の外周面から除去される。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、中間転写ベルト130と帯電ブラシ174との接触部で負極性に帯電されずにブラシ174のブラシ繊維に静電的に吸着したトナーや、帯電ブラシ174のブラシ繊維に機械的に絡み取られたトナー等が、帯電ブラシ174の内部に蓄積される。帯電ブラシ174の内部に蓄積されたトナーは、次回の画像形成動作時においてベルト130の回転駆動が開始される際、ブラシ174のブラシ繊維がベルト130に引っ張られて振動すること等により、トナーがブラシ174の内部からベルト130の外周面へ吐き出される場合がある。
【0006】
吐き出しトナーは、帯電ブラシ174の内部に蓄積されていたトナーであるため、帯電量が極めて小さいトナー、および正極性(正規の帯電極性と反対の極性)に帯電したトナーを多く含む。一方、中間転写ベルトと感光体とのニップ部(一次転写領域)には、一次転写ローラに印加された転写バイアスにより、負極性に帯電したトナーを感光体からベルトへ移動させる電界が形成されている。そのため、吐き出しトナーが、ベルトの回転により一次転写領域に搬送されると、吐き出しトナーの一部は、負極性に帯電したトナーとは逆に、ベルトから感光体へ移動する。
【0007】
タンデム方式の画像形成装置を用いてフルカラーモードで画像形成を行うとき、4つの感光体が中間転写ベルトに接触して配置されるため、吐き出しトナーは、二次転写領域に到達する前に4つの一次転写領域を通過する。上記の電界が形成された各一次転写領域では、吐き出しトナーの一部が感光体に回収される。したがって、4つの感光体により大部分の吐き出しトナーが回収され、吐き出しトナーが二次転写領域まで搬送されて記録シートに付着することを回避できる。
【特許文献1】特開2004−310060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、タンデム方式の画像形成装置を用いてモノクロモードで画像形成を行う際、中間転写ベルトには1つの感光体(ブラックに対応する感光体)のみが接触しているため、吐き出しトナーは、二次転写領域に到達する前に1つの一次転写領域しか通過しない。そのため、吐き出しトナーの多くは、ベルトにより二次転写領域に搬送され、二次転写時に記録シートに付着して、記録シートが汚れてしまう恐れがある。
【0009】
そこで、本発明は、画像形成モードに関わらず、中間転写体上の吐き出しトナーを有効に回収して、吐き出しトナーによる記録シートの汚染を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
互いに異なる所定の色のトナー像を担持する複数の像担持体と、
該複数の像担持体にそれぞれ一次転写領域を挟んで対向し、該一次転写領域において上記像担持体から上記トナー像が転写される回転可能な中間転写体と、
1色のトナー像のみからなる画像を形成する単色モードと、複数の色のトナー像を重ねてなる画像を形成するマルチカラーモードとの間で画像形成モードを切り替え、上記単色モードでの画像形成動作に際して上記中間転写体の回転駆動を開始するとき、複数の上記像担持体を上記中間転写体に所定時間接触させ、上記中間転写体上のトナーを上記複数の像担持体により回収するトナー回収動作を行うように制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
なお、この明細書中において、「画像形成動作」とは、像担持体または中間転写体へトナー像を形成する動作のみを指すのではなく、プリント時に行われる一連の動作を指すものであり、トナー像の形成動作の前後に行われる前処理シーケンスや後処理シーケンス等を含むものとする。
【0012】
本発明に係る画像形成方法は、
互いに異なる所定の色のトナー像を担持する複数の像担持体と、該複数の像担持体にそれぞれ一次転写領域を挟んで対向する回転可能な中間転写体とを備えた画像形成装置を用いて、1色のトナー像のみからなる画像を形成する単色モードと、複数の色のトナー像を重ねてなる画像を形成するマルチカラーモードとの間で切り替えて画像を形成する画像形成方法であって、
上記単色モードでの画像形成に際して上記中間転写体の回転駆動を開始するとき、上記中間転写体上のトナーを複数の上記像担持体で回収するトナー回収動作を行い、
該トナー回収動作は、
2つ以上の上記像担持体を上記中間転写体に所定時間接触させる工程と、
上記2つ以上の上記像担持体と上記中間転写体との間に形成された複数の一次転写領域に、上記中間転写体上のトナーを上記中間転写体から上記像担持体へ静電的に移動させる電界を形成する工程と、
上記2つ以上の上記像担持体のうち、作像が行われる像担持体以外の像担持体を、上記中間転写体から離間させる工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、単色モードでの画像形成動作に際して中間転写体の回転駆動を開始するとき、複数の像担持体が中間転写体に所定時間接触するように配置されるため、中間転写体の回転駆動の開始に伴ってクリーニング装置の帯電部材等から吐き出された中間転写体上の吐き出しトナーは、中間転写体と像担持体との間の一次転写領域を複数回通過する。したがって、中間転写体上の吐き出しトナーを、複数の一次転写領域において像担持体により有効に回収でき、吐き出しトナーが二次転写領域において用紙等の記録シートに付着することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下に説明する画像形成装置及び現像装置では、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0015】
[1.画像形成装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置2の概略構成を示す。画像形成装置2は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの機能を複合的に備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置である。現在、電子写真方式の画像形成装置として種々の形態のものが提案されているが、図示する画像形成装置は所謂タンデム方式のカラー画像形成装置である。
【0016】
画像形成装置2は、原稿画像を読み取るための画像読み取り部20と、読み取った画像をプリントするためのプリント部22を有する。
【0017】
画像読み取り部20は、公知の機構により原稿画像を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に色分解して読み取るとともに、赤(R)、緑(G)、青(B)の画像データを作成するように構成されている。なお、図において、符号24は、プリントに関する各種情報を表示するための表示部であり、符号25は、プリントの開始操作を行ったりプリントに関する各種設定操作を行ったりするためのパネル操作部である。
【0018】
プリント部22は、無端状の中間転写ベルト30(請求項の中間転写体に相当する。)を有する。中間転写ベルト30には、表面の電気抵抗が1×106Ω/□以上1×1013Ω/□以下である素材が好適に用いられ、ベルト30に用いられる具体的な素材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。また、中間転写ベルト30としては、厚みが例えば50μm以上150μm以下であるものが好適に用いられる。
【0019】
中間転写ベルト30は複数のローラ32,33,34に巻回されている。図面の右側のローラ32は、図示しないモータに駆動連結された駆動ローラであり、モータの駆動に基づいて該モータに連結された駆動ローラ32が回転し、ベルト30とこれに接する他のローラ33,34が図中反時計回り方向に回転するようにしてある。
【0020】
駆動ローラ32としては、外径が例えば12mm以上30mm以下のものが好適に用いられ、これにより、装置の小型化を図ることができる。駆動ローラ32の少なくとも表面は、ゴムまたはウレタン等の摩擦係数が大きい素材で構成されており、これにより、中間転写ベルト30との摩擦力が高められ、駆動力を中間転写ベルト30へ良好に伝達できる。
【0021】
また、駆動ローラ32と中間転写ベルト30との摩擦力を十分に確保するため、中間転写ベルト30は、複数のローラ32,33,34により所定の張力が与えられている。中間転写ベルト30に与える張力の大きさは、例えば15N以上50N以下とすることが好ましい。
【0022】
図中右側に配置されている駆動ローラ32に支持されているベルト部分の外側には、ベルト30と共に記録シート36を挟圧する二次転写ローラ40(請求項の二次転写部材に相当する。)が設けてある。二次転写ローラ40は、ベルト30の外周面に接触した位置と、ベルト30の外周面から離間した位置との間で切り替え可能に配置されている。二次転写ローラ40がベルト30外周面に接触した状態において、その接触部(ニップ部)は二次転写領域41を形成する。二次転写ローラ40としては、例えばイオン導電性ローラが用いられるが、電子導電性ローラを用いることもできる。二次転写ローラ40には、二次転写バイアス印加装置としての電源68が接続されている。電源68がオンにされると、二次転写ローラ40には、正規の帯電極性と反対の極性、具体的には例えば正極性の二次転写バイアスが印加される。
【0023】
図中左側に配置されているローラ34に支持されているベルト部分の外側には、中間転写ベルト用のクリーニング装置64が設けられている。クリーニング装置64の構成については後述する。
【0024】
図中左側のローラ34から図中右側のローラ32に移動するベルト部分の下には、図中左側から右側に向かって順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像剤をそれぞれ用いて対応する色のトナー像を作成する4つの作像部3(3Y,3M,3C,3K)が、中間転写ベルト30に沿って配置されている。
【0025】
各作像部3は、静電潜像担持体として円筒状の感光体4を有する。感光体4の周囲には、その回転方向(図中時計回り方向)に沿って順に、帯電器8、露光装置10、現像装置18、一次転写ローラ(請求項の一次転写部材に相当する。)14、および感光体クリーニング部材16が配置されている。
【0026】
一次転写ローラ14は無端状中間転写ベルト30の内側に配置されている。一次転写ローラ14は、感光体4の配置の切り替えにより、中間転写ベルト30を介して感光体4に圧接された状態と、感光体4から離間した状態との間で切り替え可能とされている。一次転写ローラ14が、ベルト30を介して感光体4に圧接された状態において、ベルト30と感光体4とのニップ部には一次転写領域15が形成される。感光体4の配置は、4つの感光体4が個別に上下移動することにより切り替わる。具体的に、各感光体4の上下移動は、図示しないモータにより図示しないカム機構が駆動され、このカム機構の動作により感光体4を含む作像プロセスユニットが上下移動することにより行われる。なお、感光体4とベルト30の圧接状態と離間状態とを切り替える構成は、上記構成に限られず、例えば、感光体4を、ベルト30から離間した位置に固定し、一次転写ローラ14を上下移動させることで、ベルト30を感光体4に圧接させた状態と、ベルト30を感光体4から離間させた状態との間で切り替え可能としてもよい。図2に示すように、一次転写ローラ14には、一次転写バイアス印加装置としての電源64が接続されている。電源64をオンにすると、トナーの正規帯電極性と反対の極性(請求項の第1の極性に相当する。)、具体的には、例えば正極性の一次転写バイアスが一次転写ローラ14に印加される。
【0027】
図1に戻って、プリント部22の上部には、プリントに関する各種動作を制御する制御部70が設けられている。
【0028】
制御部70は、ブラックのトナー像のみからなる画像を形成するモノクロモード(請求項の単色モードに相当する。)と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を重ねてなる画像を形成するフルカラーモード(請求項のマルチカラーモードに相当する。)との間の切り替え制御を行う。
【0029】
なお、本発明において、制御部70による画像形成モードの切り替えの構成は、1色のトナー像のみからなる画像を形成する単色モードと、複数の色のトナー像を重ねてなる画像を形成するマルチカラーモードとの間で切り替える構成であれば、上記の構成に限られない。すなわち、本発明では、単色モードを、ブラック以外の1色のトナー像により画像を形成する構成としてもよく、マルチカラーモードを、上記4色のうちいずれかの2色または3色のトナー像により画像を形成する構成としてもよい。
【0030】
プリント部22の下部には、給紙装置として給紙カセット44が着脱可能に配置されている。給紙カセット44内に積載収容された用紙等の記録シート36は、給紙カセット44の近傍に配置された給紙ローラ52の回転によって最上部のものから1枚ずつ搬送路50に送り出される。
【0031】
給紙ローラ52の近傍には、所定のタイミングで記録シート36を二次転写領域41へ送り出すためのレジストローラ54が設けられている。レジストローラ54の近傍には、記録シート36の先端を検出するための検出センサ55が設けられている。
【0032】
搬送路50は、給紙カセット44から、レジストローラ対54のニップ部、二次転写領域41、定着ローラ対56のニップ部、および排紙ローラ対60のニップ部を通って、プリント部22の上部に設けられた排紙部61まで延びている。
【0033】
フルカラーモードにおける画像形成動作の一例について説明する。
【0034】
先ず、画像読み取り部20において得られた赤(R)、緑(G)、青(B)の画像データが、制御部70において所定のデータ処理を受けて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像データに変換される。
【0035】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像データは、制御部70内の画像メモリ72に格納され、位置ずれ補正のための所定の画像補正を受けた後、露光装置10に設けられた図示しない光源を発光させるための駆動信号に変換される。
【0036】
プリント部22では、先ず、各作像部3において、所定の周速度で回転駆動されている感光体4の外周面が帯電器8により帯電される。次に、帯電された感光体4の外周面には、制御部70から出力された駆動信号を受けた露光装置10から光が投射され、静電潜像が形成される。続いて、静電潜像は、現像装置18から供給される現像剤のトナーにより顕在化される。このようにして感光体4上に形成された各色のトナー像は、感光体4の回転により一次転写領域に達すると、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、感光体4から中間転写ベルト30上へ転写(一次転写)されて重ねられる。
【0037】
中間転写ベルト30に転写されることなく感光体4上に残留している未転写トナーは、感光体4とクリーニング部材16との接触部に達すると、クリーニング部材16で掻き取られ、感光体4の外周面から除去される。
【0038】
重ね合わされた4色のトナー像は、中間転写ベルト30によって二次転写領域41に搬送される。
【0039】
一方、給紙カセット44に収容された記録シート36は、給紙ローラ52の回転により搬送路50に送り出され、レジストローラ対54のニップ部に搬送される。レジストローラ対54のニップ部に搬送された記録シート36は、トナー像が中間転写ベルト30によって二次転写領域41に搬送されるタイミングに合わせて、二次転写領域41に搬送される。
【0040】
記録シート36が二次転写領域41に搬送されると、トナー像が、中間転写ベルト30から記録シート36に転写(二次転写)される。二次転写を終えた記録シート36は、二次転写領域41のさらに下流側の定着ローラ対56のニップ部に搬送され、定着ローラ56によってトナー像が定着された後、排紙ローラ60によって排紙部61に送り出される。
【0041】
二次転写領域41で記録シート36に転写されることなく中間転写ベルト30の外周面に残留した未転写トナーは、クリーニング装置64により中間転写ベルト30から除去される。
【0042】
[2.クリーニング装置]
次に、クリーニング装置64の構成を説明する。なお、ここでは、トナーの正規帯電極性が負極性である場合について説明する。
【0043】
図3に示すように、クリーニング装置64は、二次転写領域41を通過後に中間転写ベルト30の外周面に残留したトナーを正規の帯電極性、すなわち負極性(請求項の第2の極性に相当する。)に帯電させる帯電ブラシ(請求項の帯電部材に相当する。)74と、帯電ブラシ74により負極性に帯電されたトナーを中間転写ベルト30の外周面から掻き取るクリーニングブラシ(請求項のクリーニング部材に相当する。)42と、クリーニングブラシ42に掻き取られたトナーを回収する回収ローラ77と、回収ローラ77に回収されたトナーを掻き取るスクレーパ78とを備えている。なお、クリーニング装置64を構成するこれらの部材74,42,77,78は、図示しないハウジングに収容されている。
【0044】
帯電ブラシ74は、中間転写ベルト30の回転方向において二次転写領域41よりも下流側のベルト30部分、具体的には、ローラ33とローラ34に張架されたベルト30部分に帯電領域80を挟んで対向して設けられている。
【0045】
帯電ブラシ74は、例えばプレート状の基部75と、基部75に固定された複数のブラシ繊維からなる繊維部76とを有する。基部75は、導電性を有する素材からなり、基部75の具体的な素材としては、例えば金属が用いられる。帯電ブラシ74のブラシ繊維の先端は、ベルト30の外周面に接触して配置されている。帯電ブラシ74のブラシ繊維には、導電性を有する素材が用いられ、電気抵抗が1×1013Ω以下である素材が好適に用いられる。帯電ブラシ74のブラシ繊維の具体的な素材としては、例えば、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
クリーニングブラシ42は、ベルト30の回転方向において帯電領域80よりも下流側で且つ一次転写領域15よりも上流側のベルト30部分、具体的にはローラ34に巻回されたベルト30部分に、クリーニング領域62を挟んで対向して設けられている。
【0047】
クリーニングブラシ42は、ベルト30の回転方向において、帯電ブラシ74の下流側に配置されている。クリーニングブラシ42は、ブラシ42とベルト30との接触部において両者の表面部分が互いに反対方向に移動するように回転する回転ブラシである。すなわち、クリーニングブラシ42は、ベルト30に対して所謂カウンタ方向(図中反時計回り方向)に回転可能となっている。クリーニングブラシ42とベルト30との接触部は、ベルト30上の未転写トナーを回収するクリーニング領域62を形成している。クリーニングブラシ42は、円筒状または円柱状の基部44と、基部44の外周面から径方向の外側へ伸びる複数のブラシ繊維からなる繊維部46とを備えている。基部44の素材としては、例えば鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属が用いられる。クリーニングブラシ42のブラシ繊維には、導電性を有する素材が用いられ、電気抵抗が1×1013Ω以下である素材が好適に用いられる。ブラシ42のブラシ繊維の具体的な素材としては、例えば、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
回収ローラ77は、クリーニングブラシ42に接触して配置されている。回収ローラ77は、ローラ77とブラシ42との接触部において両者の表面部分が同方向に移動するように回転可能とされている。すなわち、回収ローラ77は、ブラシ42に対して所謂ウィズ方向(図中時計回り方向)に回転可能となっている。回収ローラ77としては、導電性を有する素材が用いられ、具体的には、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属が用いられる。
【0049】
スクレーパ78は、回収ローラ77の軸方向と平行な方向に伸びる帯板状の部材であり、スクレーパ78の短手方向の一端が回収ローラ77の表面に接触するように配置されている。スクレーパ78の素材は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼等の金属が用いられる。
【0050】
帯電ブラシ74はアース接続され、回収ローラ77には、制御回路82を介して電源84が接続されている。実施形態において、電源84から流れる電流は制御回路82により定電流制御される。電源84から流れる定電流の大きさは、例えば5μA〜40μAに制御される。
【0051】
電源84をオンにすると、二次転写バイアスと同極性、すなわち正極性の定電流が、電源84から回収ローラ77を介してクリーニングブラシ42に流れ、さらにクリーニングブラシ42から中間転写ベルト30の表面を通って帯電ブラシ74へ流れる。このような定電流が流れることにより、クリーニングブラシ42とベルト30との間に、ベルト30上の負極性のトナーをクリーニングブラシ42へ移動させる電界が形成され、帯電ブラシ74とベルト30との間に、ベルト30上の正極性のトナーを除電して大部分のトナーを負極性に揃える電界が形成される。
【0052】
なお、クリーニングブラシ42とベルト30との間、および帯電ブラシ74とベルト30との間に、それぞれ上記の電界を形成するための構成は上記の構成に限定されない。例えば、スクレーパ78が導電性素材から構成された場合、電源84は、スクレーパ78に接続してもよい。また、電源84から流れる電流の制御としては、定電流制御に限らず、定電圧制御を行ってもよい。さらに、帯電ブラシ74に、電源84とは別の電源を接続して、この電源により帯電ブラシ74に負極性のバイアスを印加してもよい。
【0053】
このように構成されたクリーニング装置64を用いて、中間転写ベルト30の外周面から未転写トナーを除去する動作の具体例について説明する。
【0054】
現像、一次転写および二次転写の一連の動作の際、二次転写領域41でベルト30から記録シート36へ転写されず、ベルト30上に残された未転写トナーは、ベルト30の回転により、二次転写領域41よりも下流側へ搬送される。ここで、トナーの正規帯電極性は負極性であるが、ベルト30から記録シート36へ静電的に転移しなかった未転写トナーは、図3に示すように、帯電量が小さい粒子や、正極性に帯電した粒子を多く含み、未転写トナーは、粒子ごとに様々な電荷を帯びている。
【0055】
ベルト30上の未転写トナーが、ベルト30の回転により、帯電ブラシ74との接触部に搬送されると、電源84から供給される定電流が上記のように流れる帯電ブラシ74により、未転写トナーの大部分の粒子は負極性に帯電され、ベルト30の移動方向のさらに下流側へ搬送される。
【0056】
ベルト30と帯電ブラシ74との接触部において、未転写トナーの大部分の粒子が負極性に揃えられるが、帯電量が小さいトナー粒子や、正極性の電荷を帯びたトナー粒子も存在する。正極性の電荷を帯びたトナー粒子の多くは、帯電ブラシ74のブラシ繊維に静電的に吸着し、帯電量が小さいトナー粒子の一部は、帯電ブラシ74のブラシ繊維に機械的に絡め取られる。このように帯電ブラシ74の帯電ブラシに吸着するか、または機械的に絡め取られたトナーは、帯電ブラシ74の内部に蓄積されてしまう。
【0057】
帯電ブラシ74により負極性に帯電され、ベルト30の回転により、ベルト30とクリーニングブラシ42との接触部に搬送された未転写トナーは、電源84から供給される定電流が上記のように流れるブラシ42のブラシ繊維に静電的に吸着し、これによりブラシ42に回収されて、ベルト30の外周面から除去される。
【0058】
クリーニングブラシ42に回収されたトナーは、ブラシ42の回転により、ブラシ42と回収ローラ77との接触部に搬送されると、ブラシ42よりも電位が高い回収ローラ77の表面に静電的に吸着し、これにより回収ローラ77に回収される。
【0059】
回収ローラ77に回収されたトナーは、ローラ77の回転により、ローラ77とスクレーパ78との接触部に搬送されると、スクレーパ78により機械的に掻き取られる。
【0060】
上記の動作によりクリーニング装置64を用いて未転写トナーの除去を行うと、上述のように、帯電ブラシ78の内部にトナーが蓄積されていく。帯電ブラシ74の内部に多量のトナーが蓄積された状態で次の画像形成動作が開始されると、中間転写ベルト30の回転駆動の開始に伴い、帯電ブラシ74のブラシ繊維の先端がベルト30の移動方向に引っ張られて、帯電ブラシ74が振動し、これにより、帯電ブラシ74の内部からベルト30の表面へトナーが吐き出されてしまう。帯電ブラシ74の内部に蓄積されたトナーは、帯電量が小さいか又は正極性に帯電している粒子が多い。そのため、帯電ブラシ74の内部からベルト30の表面へ吐き出されたトナー(吐き出しトナー)は、ベルト30の回転により、ベルト30とクリーニングブラシ42との接触部に搬送されたとき、ブラシ42のブラシ繊維に静電的に吸着されないため、ベルト30の外周面から除去されにくい。そのため、大部分の吐き出しトナーは、クリーニング領域62を通過後もベルト30の外周面に残される。
【0061】
クリーニング領域62を通過後にベルト30上に残留した吐き出しトナーは、ベルト30に接触して配置された感光体4により回収される。
【0062】
フルカラーモードでプリントする際、図7に示すように、ベルト30には4つの感光体4が接触して配置されるため、吐き出しトナーは、二次転写領域41に搬送されるまでに一次転写領域15を4回通過する。各一次転写領域15では、負極性(正規の帯電極性)に帯電したトナーを感光体4からベルト30へ移動させる電界が形成されている。そのため、正極性(正規の帯電極性と反対の極性)に帯電した粒子を多く含む吐き出しトナーの一部は、各一次転写領域15でベルト30から感光体4へ移動する。このようにして、4つの一次転写領域15のそれぞれにおいて、吐き出しトナーの一部が感光体4により回収されるため、4つの感光体4により大部分の吐き出しトナーが回収される。
【0063】
一方、モノクロモードでプリントする際、後述の吐き出しトナー回収動作を行わないと仮定すると、図8に示すように、ベルト30にはブラックの感光体4Kのみが接触して配置され、イエロー、マゼンタ、シアンの感光体4Y,4M,4Cはベルト30から離間した状態となる。そのため、吐き出しトナーの一部は、感光体4Kにより回収されるが、吐き出しトナーの多くが、ベルト30上に残されたまま二次転写領域41に搬送され、二次転写領域41において記録シート36または二次転写ローラ40へ転移して、記録シート36の汚れの原因となる恐れがある。
【0064】
[3.吐き出しトナー回収動作]
このような不具合を防止するため、本発明では、制御部70の制御により、モノクロモードでの画像形成動作に際して中間転写ベルト30の回転駆動を開始するとき、中間転写ベルト30上の吐き出しトナーを複数の感光体4により回収する吐き出しトナー回収動作(請求項のトナー回収動作に相当する。)が行われる。
【0065】
具体的に、吐き出しトナー回収動作は、複数の感光体4を中間転写ベルト30の外周面に所定時間接触させる動作であり、実施形態において、中間転写ベルト30と感光体4との接触は、中間転写ベルト30の回転駆動が開始された後で且つ感光体4Kへの作像開始前に開始される。ただし、本発明において、中間転写ベルト30と感光体4との接触は、中間転写ベルト30の回転駆動が開始される前、または中間転写ベルト30の回転駆動の開始と同時に開始してもよい。
【0066】
実施形態では、吐き出しトナー回収動作の際、図2に示すように、中間転写ベルト30の外周面に、ブラックの感光体4Kと、イエローの感光体4Yが所定時間接触するように制御される。感光体4Y,4Kがベルト30に接触されると、この接触状態が維持される間、一次転写ローラ14Y,14Kに、トナーの正規帯電極性と反対の極性、すなわち正極性の一次転写バイアスが印加される。これにより、一次転写領域15Y,15Kに、正極性に帯電した吐き出しトナーをベルト30から感光体4Y,4Kへ移動させる電界が形成される。吐き出しトナー回収動作時の一次転写バイアスの大きさは、例えば、現像時の一次転写バイアスと同じ大きさに設定されるが、現像時と異なる大きさに設定することもできる。具体的に、吐き出しトナー回収動作時の一次転写バイアスは、例えば、100V〜3000Vに設定される。なお、ベルト30から感光体4への吐き出しトナーの移動は、上記一次転写バイアスが印加されていれば感光体4が帯電されていなくても実現できるが、吐き出しトナーの回収を積極的に行うために、感光体4を作像時のように帯電した状態で吐き出しトナーの回収を行うようにしてもよい。この場合、本実施形態では反転画像を用いているため、感光体4の帯電極性が負極性となり、正極性に帯電した吐き出しトナーを回収し易くなる。
【0067】
このように吐き出しトナー回収動作を構成することで、ベルト30上の吐き出しトナーが、ベルト30の回転により一次転写領域15Yに搬送されると、一次転写領域15Yに形成された上述の電界により、吐き出しトナーの一部がベルト30から感光体4Yへ移動する。一次転写領域15Yを通過後にベルト30上に残された吐き出しトナーは、ベルト30の回転により一次転写領域15Kに搬送されると、残りの吐き出しトナーの大部分が、一次転写領域15Kに上述のように形成された電界により、ベルト30から感光体4Kへ移動する。
【0068】
このように、モノクロモードでプリントする際も、フルカラーモードでプリントする際と同様、ベルト30上の吐き出しトナーの大部分が複数の感光体4で回収されるため、吐き出しトナーによる記録シート36の汚れを防止できる。
【0069】
次に、吐き出しトナー回収動作に関して、プリント指示がなされ、中間転写ベルト30の回転駆動が開始された後に行われる各処理の流れの具体例を、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0070】
図4に示すように、中間転写ベルト30の回転駆動が開始されると、先ず、ステップ1において、画像形成モードがモノクロモードであるか否かが判断される。ステップ1において、モノクロモードであると判断されると、ステップ2に進み、フルカラーモードであると判断されると、処理が終了し、プリント指示された画像の作像が開始される。
【0071】
ステップ2では、イエローの感光体4Yとブラックの感光体4Kが、ベルト30の回転駆動開始後の所定のタイミングでベルト30に圧接され、ステップ3に進む。イエローの感光体4Yとブラックの感光体4Kのベルト30への圧接は、ベルト30の回転駆動開始に伴って帯電ブラシ74からベルト30上へ吐き出された吐き出しトナーが一次転写領域※を通過する前のタイミングであれば、同時または別々のタイミングのいずれで行ってもよい。感光体4Y,4Kは、ベルト30に圧接されると、図中時計回り方向に回転駆動される。
【0072】
ステップ3では、一次転写ローラ14Y,14Kにトナーの正規帯電極性と反対の極性、すなわち正極性の一次転写バイアスが印加される。これにより、一次転写領域15Y,15Kに、正極性に帯電した吐き出しトナーがベルト30から感光体4Y,4Kへ移動する電界が形成されるため、吐き出しトナーの大部分が、上記の電界が形成された2つの一次転写領域15Y,15Kを通過することで、感光体4Y,4Kに回収される。
【0073】
次のステップ4では、ブラックの感光体4Kへの作像が開始されて、ステップ5に進む。なお、ステップ4の処理は、次に述べるステップ5の処理の後に行ってもよい。
【0074】
ステップ5では、イエローの感光体4Yがベルト30から離間し、処理が終了する。感光体4Yがベルト30から離間するまで、感光体4Yとベルト30との接触状態は所定時間維持される。感光体4Yとベルト30との接触時間は、感光体4Yがベルト30に圧接されてから吐き出しトナーが一次転写領域15を完全に通過するまでに要する時間に設定され、具体的には、例えば1秒〜5秒に設定される。イエローの感光体4Yがベルト30から離間するとき、ブラックの感光体4Kは、ベルト30との接触状態が維持される。
【0075】
以上の処理が終了すると、ブラックの感光体4Kで引き続き作像が行われ、プリント指示された画像が、現像、一次転写、二次転写および定着といった一連の画像形成動作により記録シート36にプリントされる。ブラックの画像形成は、イエローおよびブラックの感光体4Y,4Kのベルト30への圧接後すぐに開始されるため、プリント指令が出てから1枚目のプリントが完了するまでの時間が増大することなく、吐き出しトナーの回収を行うことができる。吐き出しトナーの回収に際して、ブラックの感光体4Kと共にベルト30に圧接させる感光体4は、イエローの感光体4Yに限られないが、イエローの感光体4Yはブラックの感光体4Kから最も離れているため、イエローの感光体4Yをベルト30に圧接させる上記構成により、ブラックの画像形成時に他の感光体4M,4Cの離隔による影響が最も生じ難くなる。
【0076】
図5は、本発明のその他の実施形態を示す。図5に示す実施形態では、ベルト30の回転方向においてクリーニングブラシ42の下流側で且つイエローの一次転写領域15Yの上流側のベルト30部分の近傍に、吐き出しトナーのトナー量を検知する吐き出しトナー量センサ(請求項の吐き出しトナー量検知手段に相当する。)90が配置されている。吐き出しトナー量センサ90としては、例えば反射型センサ、変位センサ、表面電位センサ等が用いられる。
【0077】
なお、吐き出しトナー量センサ90の配置は、上記の構成に限られず、ベルト30の回転方向において帯電ブラシ74の下流側で且つ一次転写領域15Yの上流側のベルト30部分の近傍であればよい。
【0078】
図5に示す実施形態に係る吐き出しトナー回収動作に関して、プリント指示がなされ、中間転写ベルト30の回転駆動が開始された後に行われる各処理の流れの具体例を、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0079】
図6に示すように、中間転写ベルト30の回転駆動が開始されると、先ず、ステップ11において、画像形成モードがモノクロモードであるか否かが判断される。ステップ11において、モノクロモードであると判断されると、ステップ12に進み、フルカラーモードであると判断されると、処理が終了し、プリント指示された画像の作像が開始される。
【0080】
ステップ12では、吐き出しトナー量センサ※により検知されたトナー量が所定量以上であるか否かが判断される。ステップ12において、トナー量が所定量以上であると判断されると、ステップ13に進み、トナー量が所定量未満であると判断されると、処理が終了し、プリント指示された画像の作像が開始される。
【0081】
ステップ13では、イエローの感光体4Yとブラックの感光体4Kが、ベルト30の回転駆動開始後の所定のタイミングでベルト30に圧接され、ステップ14に進む。イエローの感光体4Yとブラックの感光体4Kのベルト30への圧接は、ベルト30の回転駆動開始に伴って帯電ブラシ74からベルト30上へ吐き出された吐き出しトナーが一次転写領域※を通過する前のタイミングであれば、同時または別々のタイミングのいずれで行ってもよい。感光体4Y,4Kは、ベルト30に圧接されると、図中時計回り方向に回転駆動される。
【0082】
ステップ14では、一次転写ローラ14Y,14Kにトナーの正規帯電極性と反対の極性、すなわち正極性の一次転写バイアスが印加される。これにより、一次転写領域15Y,15Kに、正極性に帯電した吐き出しトナーがベルト30から感光体4Y,4Kへ移動する電界が形成されるため、吐き出しトナーは、上記の電界が形成された2つの一次転写領域15Y,15Kを通過することで、その大部分が感光体4Y,4Kに回収される。
【0083】
次のステップ15では、ブラックの感光体4Kへの作像が開始されて、ステップ16に進む。なお、ステップ15の処理は、次に述べるステップ16の処理の後に行ってもよい。
【0084】
ステップ16では、イエローの感光体4Yがベルト30から離間し、処理が終了する。感光体4Yがベルト30から離間するまで、感光体4Yとベルト30との接触状態は所定時間維持される。感光体4Yとベルト30との接触時間は、上記の実施形態と同様に設定される。イエローの感光体4Yがベルト30から離間するとき、ブラックの感光体4Kは、ベルト30との接触状態が維持される。
【0085】
以上の処理が終了すると、ブラックの感光体4Kで引き続き作像が行われ、プリント指示された画像が、現像、一次転写、二次転写および定着といった一連の画像形成動作により記録シート36にプリントされる。
【0086】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0087】
例えば、上述の実施形態では、吐き出しトナー回収動作の際、ブラックの感光体4Kとイエローの感光体4Yをベルト30に接触させる構成について説明したが、本発明は、ベルト30に複数の感光体4を接触させる構成であれば、上述の実施形態に限定されない。ただし、作像を行う色(上記実施形態ではブラック)に対応する感光体4と、その他の1つ以上の感光体4とをベルト30に接触させることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】中間転写ベルトおよびその周辺部の部材を示す図である。
【図3】図2の要部を示す拡大図である。
【図4】吐き出しトナー回収動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】その他の実施形態に係る中間転写ベルトおよびその周辺部の部材を示す図である。
【図6】図5に示す実施形態に係る吐き出しトナー回収動作の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】フルカラーモードでプリントする際の中間転写ベルト周辺の状態を示す図である。
【図8】モノクロモードでプリントする際の中間転写ベルト周辺の状態を示す図である。
【図9】中間転写ベルト用のクリーニング装置の従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
2:画像形成装置、4:感光体、14:一次転写ローラ、15:一次転写領域、30:中間転写ベルト、36:記録シート、40:二次転写ローラ、41:二次転写領域、42:クリーニングブラシ、62:クリーニング領域、64:電源、68:電源、70:制御部、74:帯電ブラシ、80:帯電領域、82:制御回路、84:電源、90:吐き出しトナー量センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる所定の色のトナー像を担持する複数の像担持体と、
該複数の像担持体にそれぞれ一次転写領域を挟んで対向し、該一次転写領域において上記像担持体から上記トナー像が転写される回転可能な中間転写体と、
1色のトナー像のみからなる画像を形成する単色モードと、複数の色のトナー像を重ねてなる画像を形成するマルチカラーモードとの間で画像形成モードを切り替え、上記単色モードでの画像形成動作に際して上記中間転写体の回転駆動を開始するとき、複数の上記像担持体を上記中間転写体に所定時間接触させ、上記中間転写体上のトナーを上記複数の像担持体により回収するトナー回収動作を行うように制御する制御部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記像担持体と共に上記中間転写体を挟圧するように、上記像担持体毎に対応して設けられた複数の一次転写部材と、
該一次転写部材に第1の極性の一次転写バイアスを印加する一次転写バイアス印加装置と、
上記中間転写体の回転方向において上記一次転写領域よりも下流側の上記中間転写体部分に、二次転写領域を挟んで対向して設けられた二次転写部材と、
上記回転方向において上記二次転写領域よりも下流側の上記中間転写体部分に帯電領域を挟んで対向して設けられ、上記二次転写領域を通過後に上記中間転写体上に残留したトナーを上記第1の極性と異なる第2の極性に帯電させる帯電部材と、
上記回転方向において上記帯電領域よりも下流側で且つ上記一次転写領域よりも上流側の上記中間転写体部分にクリーニング領域を挟んで対向して設けられ、上記帯電領域において上記第2の極性に帯電したトナーを上記中間転写体の表面から除去するクリーニング部材とを備え、
上記制御部は、上記トナー回収動作の際、上記一次転写バイアス印加装置により上記一次転写部材に上記第1の極性の一次転写バイアスを印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記中間転写体の回転駆動の開始に伴って上記帯電部材から上記中間転写体へ吐き出されるトナー量を検知する吐き出しトナー量検知手段を備え、
上記制御部は、上記吐き出しトナー量検知手段により検知された上記トナー量が所定量以上であるとき、上記のトナー回収動作を行うことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
互いに異なる所定の色のトナー像を担持する複数の像担持体と、該複数の像担持体にそれぞれ一次転写領域を挟んで対向する回転可能な中間転写体とを備えた画像形成装置を用いて、1色のトナー像のみからなる画像を形成する単色モードと、複数の色のトナー像を重ねてなる画像を形成するマルチカラーモードとの間で切り替えて画像を形成する画像形成方法であって、
上記単色モードでの画像形成に際して上記中間転写体の回転駆動を開始するとき、上記中間転写体上のトナーを複数の上記像担持体で回収するトナー回収動作を行い、
該トナー回収動作は、
2つ以上の上記像担持体を上記中間転写体に所定時間接触させる工程と、
上記2つ以上の上記像担持体と上記中間転写体との間に形成された複数の一次転写領域に、上記中間転写体上のトナーを上記中間転写体から上記像担持体へ静電的に移動させる電界を形成する工程と、
上記2つ以上の上記像担持体のうち、作像が行われる像担持体以外の像担持体を、上記中間転写体から離間させる工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
上記中間転写体の回転駆動の開始に伴って上記中間転写体に接触する部材から上記中間転写体へ吐き出されるトナー量を検知し、
検知した上記トナー量が所定量以上であるとき、上記トナー回収動作を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−281689(P2008−281689A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124564(P2007−124564)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】