画像形成装置及びこれを用いた画像形成方法
【課題】画像形成装置の個々の機差により生じ得るトナー消費量やトナー補給量のズレを補正してトナー濃度が適正範囲から外れて印字画像の画質が低下することを防ぎ、トナー濃度に関する故障の原因を正確に判断する画像形成装置及びこれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】トナー補給装置26は、制御部10からの指示に基づいて、開口部25を通じて現像容器20へトナーを補給する。トナー落下の有無は、トナーが補給されたときの透磁率センサ24の出力変化量に基づいて検知される。制御部10が、透磁率センサ24の電圧出力レベルを監視し、電圧出力レベルに応じて入力ゲインを調整しトナー濃度を制御する。
【解決手段】トナー補給装置26は、制御部10からの指示に基づいて、開口部25を通じて現像容器20へトナーを補給する。トナー落下の有無は、トナーが補給されたときの透磁率センサ24の出力変化量に基づいて検知される。制御部10が、透磁率センサ24の電圧出力レベルを監視し、電圧出力レベルに応じて入力ゲインを調整しトナー濃度を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置及びこれを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、感光体ドラム上にトナー画像を形成するために使用される現像剤は、2種類に大別される。例えば、1成分トナーを用いる現像剤と、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤である。
【0003】
1成分現像方式ではコンパクト化に適しているものの高速現像には適さないため、高速・長寿命の画像形成装置においては、2成分現像装置が多く採用されている。この2成分現像剤を用いるタイプの現像装置では、2成分現像剤中のキャリア自体は消費されず、現像装置内部に残り減少しない。一方、トナーは現像動作により消費されて減少していく。そこで、2成分現像剤を構成するトナーの減少に起因する画質の不安定化を防ぐために、2成分現像剤のトナー濃度を適正範囲内に保つようにトナーを適宜補給するトナー濃度制御が実施されている。
【0004】
一般に、トナー濃度制御を行う方法として、2種類の制御方法が組み合わされて行われることが多い。1つは、入力された画像の印字率に応じてトナー消費量を算出し、トナーを補給する方法である。もう1つは、静電潜像担持体(感光体ドラム)の表面上に形成した基準トナー像の濃度を検出し、予め定めた所定の濃度値と比較した結果に基づいて、トナーを補給する方法である。
【0005】
上記のトナー濃度制御を実施する一環として、画像形成装置はトナー切れを検知するための手段、例えば、現像装置へ供給されるトナーの落下の有無を検知する透磁率センサを備えている。透磁率センサは、出力電圧レベルが適正範囲を外れると透磁率センサの感度が低下し、落下するトナーの検知精度が低下する。このため、定期的に透磁率センサの入力ゲインを調整して出力電圧レベルを適正範囲に保たなければ、良い精度でトナーの落下を検知することができない。
【0006】
このような問題に対し、透磁率センサの入力されるアナログ電圧検出値のゲインのバラツキを所定の値からどれ位離れているのかを算出し、出力電圧レベルを補正してトナー濃度制御を行う技術が特許文献1において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−72661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のトナー濃度制御において、印字率に応じたトナー補給では、入力画像のピクセルカウント数から算出されたトナー消費量が実際に消費された現像剤の量を正確に表わすことができず、また、算出されたトナー消費量に基づいて供給されるトナー量が正確に補給されたことを確認できない。このため、画像形成装置の個々の機差によりトナー消費量やトナー供給量が算出値よりズレが大きく生じる場合には、トナー濃度が適正範囲から外れて印字画像の画質が劣化するという課題がある。
【0009】
また、上記のトナー濃度制御において、基準トナーの濃度に応じたトナー補給では、画像形成装置の個々の機差に起因するトナー濃度が適正範囲から外れてしまうことをある程度は補正できる。しかし、透磁率センサの入力ゲインは、現像剤のトナー濃度の変化、現像剤の流動性などの物性の変化、及び動作環境における温度や湿度の変化に影響されるため、基準トナーの濃度に応じても、トナー消費量やトナー補給量を正確に補正できず、トナー濃度のズレを十分に算出できないという課題がある。
【0010】
また、トナー濃度が適正範囲から外れた場合、画像形成装置の個々の機差に起因する制御可能な不具合であるのか、画像形成装置の故障に起因するもので制御不可能な不具合であるのかを判定できないため、印字画像の動作の許可及び禁止を適切に行うことができないという課題がある。
【0011】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなれたもので、画像形成装置の個々の機差により生じるトナー消費量やトナー補給量のズレを補正して、トナー濃度が適正範囲から外れて印字画像の画質が低下することを防ぐことができ、トナー濃度に関する故障の原因を正確に判断することができる画像形成装置及びこれを用いた画像形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために本発明に係る画像形成装置の各構成は、次の通りである。
【0013】
本発明の画像形成装置は、トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置であって、前記制御部は、前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御手段とを備え、前記トナー濃度制御手段は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にあること検知した場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し画像の形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備えることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の画像形成装置の制御部は、前記画像の印字率に応じて前記トナーの消費量を算出する算出手段と、画像を形成する際の画像補正処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール手段とを備え、前記トナー濃度制御手段は、前記トナー消費量と前記プロセスコントロールを実行する際の現像バイアス値に基づいて、前記トナー補給量を制御することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の画像形成装置の前記プロセスコントロール手段は、静電潜像担持体上に形成した基準トナー像の濃度が検知され、前記検知された濃度に応じて現像バイアスを印加するプロセスコントロールを実行することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の画像形成装置の前記トナー濃度制御手段は、前記プロセスコントロールが実行される際にも前記入力ゲインを制御することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の画像形成装置の前記トナーセンサは、透磁率センサを用いることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の画像形成方法は、トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置を用いた画像形成方法であって、前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御ステップと、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にある場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御するトナー補給制御ステップを備えることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の画像形成方法は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備え、前記トナーの補給量を制御する前記トナー補給制御ステップは、前記第1の閾値と前記第2の閾値に対応して制御を行うステップを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像形成装置は、トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置であって、前記制御部は、前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御手段とを備え、前記トナー濃度制御手段は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にあること検知した場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御することで、トナーの濃度を常に適正な範囲にあるように制御でき、画像形成装置の機差に起因するトナー濃度の変化にも対応してトナー濃度を制御できるという優れた効果を奏し得る。
【0022】
本発明によれば、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備えることで、機差に起因するトナー濃度の変化や、現像剤の流動性などの物性、動作環境の温度・湿度等による入力ゲインの変動によるトナー濃度の変化を制御することができ、また、制御不可能なトナー濃度に達し、透磁率センサ24の入力ゲインが所定の範囲に遷移した場合、画像形成装置の故障の発生を正確に検知できるという優れた効果を奏し得る。
【0023】
本発明によれば、画像形成装置の制御部は、前記画像の印字率に応じて前記トナーの消費量を算出する算出手段と、画像を形成する際の画像補正処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール手段とを備え、前記トナー濃度制御手段は、前記トナー消費量と前記プロセスコントロールを実行する際の現像バイアス値に基づいて、前記トナー補給量を制御することで、正確にトナー消費量を検知できるという優れた効果を奏し得る。
【0024】
本発明によれば、画像形成装置の前記プロセスコントロール手段は、静電潜像担持体上に形成した基準トナー像の濃度が検知され、前記検知された濃度に応じて現像バイアスを印加するプロセスコントロールを実行することで、正確にトナー消費量を検知できるという優れた効果を奏し得る。
【0025】
本発明によれば、画像形成装置の前記トナー濃度制御手段は、前記プロセスコントロールが実行される際にも前記入力ゲインを制御することで、トナーセンサの電圧出力レベルは定期的に最適出力電圧レベルに調整されるという優れた効果を奏し得る。
【0026】
本発明によれば、画像形成装置を用いた画像形成方法は、トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置を用いた画像形成方法であって、前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御ステップと、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にある場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御するトナー補給制御ステップを備えることで、トナーの濃度を常に適正な範囲にあるように制御でき、画像形成装置の機差に起因するトナー濃度の変化にも対応してトナー濃度を制御できるという優れた効果を奏し得る。
【0027】
本発明によれば、画像形成装置を用いた画像形成方法は、前記2つの第1の閾値及び前記2つの第2の閾値は、現像剤ライフによる補正値、環境変化による補正値、印字率による補正値のいずれか1つ若しくは全てを加えた値が加わりオフセット値を取って該第1の閾値及び第2の閾値を柔軟に設定することで、現像剤ライフ、動作環境及び印字率の変動に対応したトナー補給制御を行うことができ、また、制御不可能なトナー濃度に達し、透磁率センサの入力ゲインが所定の範囲に遷移した場合、画像形成装置の故障の発生を正確に検知できるという優れた効果を奏し得る。
【0028】
本発明によれば、画像形成装置を用いた画像形成方法は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備え、前記トナーの補給量を制御する前記トナー補給制御ステップは、前記第1の閾値と前記第2の閾値に対応して制御を行うステップを備えることで、機差に起因するトナー濃度の変化や、現像剤の流動性などの物性、動作環境の温度・湿度等による入力ゲインの変動によるトナー濃度の変化を制御することができ、また、制御不可能なトナー濃度に達し、透磁率センサ24の入力ゲインが所定の範囲に遷移した場合、画像形成装置の故障の発生を正確に検知できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る現像装置の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る透磁率センサの出力電圧レベルと透磁率との関係を表わした図表の一例である。
【図5】本実施形態に係る透磁率センサによるトナーの落下の有無を判定するための前半の処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る透磁率センサによるトナーの落下の有無を判定するための後半の処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る透磁率センサの入力ゲインの調整する処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る透磁率センサの入力ゲインと現像剤のトナー濃度との関係を表わした図表の一例である。
【図9】本実施形態に係る透磁率センサの入力ゲインとエリア毎の補給係数を表すテーブルの一例である。
【図10】本実施形態に係る動作温湿度環境率に対する動作環境補正値の関係を示す表図である。
【図11】本実施形態に係る現像剤ライフ率に対する現像剤ライフ補正値の関係を示す表図である。
【図12】本実施形態に係る印字率に対する印字率補正値の関係を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本実施形態に係る画像形成装置100を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す概略図である。
【0031】
画像形成装置100は、図1に示すように、通信ネットワークを介して外部から送信された画像データや外部記憶装置(図示せず)から入力された画像データに基づいて記録部材(用紙)に対して多色および単色の画像を形成する。
【0032】
画像形成装置100は、露光ユニット1、現像装置2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、4d)、帯電器5(5a、5b、5c、5d)、中間転写ベルトユニット6、レジストローラ7、転写ローラ8、定着ユニット9、給紙トレイ14、制御部10用紙搬送路S及び排紙トレイ13を備える。
【0033】
画像形成装置100において、画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像装置2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、4d)及び帯電器5(5a、5b、5c、5d)は、各色に応じた4種類の静電潜像を形成するように、それぞれ4個設けられている。そして、それぞれaがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに設定され、4つの画像ステーションが構成されている。尚、本実施形態では、4色を用いたカラー画像の形成を行っているが、6色を用いるなど複数色のカラー画像形成及びモノクロの画像形成にも適用できる。
【0034】
露光ユニット1は、レーザ光源においてレーザダイオードを使用するレーザスキャニングユニット(LSU)である。露光ユニット1は、入力された画像データに応じて、帯電器5によって均一に帯電された感光体ドラム3の外周面を露光することによって、感光体ドラム3の外周面に上記入力画像データに応じた静電潜像を形成するものである。尚、レーザダイオードの代わりにEL(Electro Luminescence)又はLED(Light Emitting Diode)等の発光素子をアレイ状に並べた書込ヘッドを用いる構成であっても良い。
【0035】
現像装置2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像をブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)のトナーにより顕像化する。現像装置2の詳細は後述する。
【0036】
クリーナユニット4は、クリーニングブレード(図示せず)を備え、該クリーニングブレードを感光体ドラム3の外周面に沿って当接(または摺接)するように配置し、現像及び静電潜像の転写後における感光体ドラム3の表面上に残留したトナーを除去及び回収する。
【0037】
感光体ドラム3は、外周面の一部が中間転写ベルト60の表面に接触するように配置されるとともに、ドラムの外周面に沿って電界発生部としての帯電器5、現像装置2、及びクリーナユニット4が近接配置されている。
【0038】
帯電器5は、感光体ドラム3の外周面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。尚、本実施形態では帯電器5としてチャージ型帯電器を用いているが、チャージ型帯電器の代わりにローラ型帯電器、ブラシ型帯電器等を用いてもよい。
【0039】
中間転写ベルトユニット6は、感光体ドラム3の上方に配置され、中間転写ベルト60、中間転写ベルト駆動ローラ61、中間転写ベルト従動ローラ62及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備える。また、中間転写ベルト駆動ローラ61、中間転写ベルト従動ローラ62、中間転写ベルトテンション機構63及び中間転写ローラ64によって、中間転写ベルト60が張架され、図1の矢印B方向に回転駆動させられる。
【0040】
中間転写ベルト60は、それぞれの感光体ドラム3に当接するように設けられている。感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト60に順次重ねて転写することで中間転写ベルト60上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。また、中間転写ベルト60は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されたベルト部材である。中間転写ベルト60の材質は、主にポリイミド、ポリカーボネイト、サーモプラスティック・エラストマー・アロイ等が用いられている。
【0041】
中間転写ローラ64によって感光体ドラム3上に形成されたトナー像は中間転写ベルトに転写される。中間転写ローラ64は、中間転写ベルトユニット6の中間転写ベルトテンション機構63の中間転写ローラ取付部(図示せず)に回転可能に支持されており、感光体ドラム3上に形成したトナー像を、中間転写ベルト60上に転写するために転写バイアスを与える。
【0042】
中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(ステンレス等)軸をベースとし、その表面は、例えばEthylene Propylene Diene Methylene Linkage(EPDM)や発泡ウレタン等の導電性の弾性材により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト60に対して均一に高電圧を印加することができる。尚、本実施形態では、転写電極としてローラ形状のものを使用しているが、それ以外にブラシなども用いることができる。
【0043】
このように、感光体ドラム3上で顕像化された各色相の静電潜像は中間転写ベルト60で積層され、入力された画像データに対応して画像が形成される。積層されたトナー像は、中間転写ベルト60の回転によって、転写ローラ8が配置されている位置に搬送される。転写ローラ8は、トナー像を記録部材(用紙)に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。また、中間転写ベルト60と転写ローラ8とは所定のニップ圧で圧接される。転写ローラ8がニップ圧を定常的に得るために、転写ローラ8もしくは中間転写ベルト駆動ローラ61の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ又は発泡性樹脂ローラ)が用いられる。
【0044】
また、感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト60に付着したトナー、若しくは、転写ローラ8によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト60上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト60に当接するクリーニング部材としてクリーニングブレード(図示せず)が備えられており、クリーニングブレードが当接する中間転写ベルト60は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ62で支持されている。
【0045】
給紙トレイ14は、画像形成に使用する記録媒体(用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、露光ユニット1の下側に設けられている。また、画像形成装置100の上部に設けられている排紙トレイ13は、印字済みの用紙をフェイスダウンで載置するためのトレイである。
【0046】
また、画像形成装置100には、給紙トレイ14の用紙を転写ローラ8や定着ユニット9を経由させて排紙トレイ13に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ14から排紙トレイ13までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11(11a、11b)、レジストローラ7、転写ローラ8、定着ユニット9のヒートローラ9a及び加圧ローラ9b及び搬送ローラ12(12a〜12i)が配置されている。
【0047】
搬送ローラ12は、記録媒体(用紙)の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ11aは、給紙トレイ14の端部に備えられ、給紙トレイ14から、用紙を1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0048】
レジストローラ7は、用紙搬送路Sを搬送されている用紙をいったん保持するローラである。制御部10は、レジストローラ7を再回転させることによって、用紙搬送路Sにより搬送された用紙を一旦所定位置に停止させて次の搬送タイミングを計る。用紙の先端の位置と感光体ドラム3の外周に形成されている画像の先端の位置とが合致するように用紙を、転写ローラ8を有する転写部に搬送する。
【0049】
定着ユニット9は、ヒートローラ9a及び加圧ローラ9bを備えており、ヒートローラ9a及び加圧ローラ9bは、用紙を挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ9aは、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御手段によって所定の定着温度となるように設定される。ヒートローラ9aは、加圧ローラ9bと共に用紙を熱圧着することにより、用紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、用紙に対して熱定着させる。
【0050】
尚、多色トナー像の定着後の用紙は、搬送ローラ12b及び12cによって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ13上に排出されるような構成をとる。
【0051】
次に、図2に示すように、感光体ドラム3の表面(外周面)上に形成された静電潜像に対してトナーを供給して静電潜像を顕像化する現像装置2の詳細を説明する。
【0052】
現像装置2は、静電潜像担持体の一例である感光体ドラム3に形成された静電潜像を、トナーにより顕像化する。現像装置2は、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤AGを収容する現像容器20と、現像容器20内にある2成分現像剤AGを感光体ドラム3に供給するために感光体ドラム3に対向して接近して配置された現像ローラ21と、現像容器20内の2成分現像剤AGを攪拌しながら現像ローラ21へ向けて搬送する2本の搬送スクリュー22a,22bと、現像ローラ21への現像剤量を規制するドクターブレード23とを有している。
【0053】
現像容器20の上部には、現像容器20内にトナーを補給するために開閉する開口部25が形成されている。開口部25の上部には、新たなトナーを供給するトナー補給装置26が配置されている。
【0054】
トナー補給装置26は、トナーTを収容するトナー収容容器26aと、トナー収容容器26a内に収容されたトナーTを攪拌するトナー攪拌部材26bと、トナー収容容器26a内のトナーを攪拌しながら供給するトナー補給ローラ26cとを備える。トナー補給装置26は、図3に示すように、制御部10からの指示に基づいて、開口部25を通じて現像装置2へトナーTを補給する。
【0055】
また、現像容器20の底面における、開口部25の下部には、透磁率センサ24が設けられている。透磁率センサ24は、2成分現像剤AGにおけるトナーとキャリアの濃度(混合比)および残量を検出する。トナー濃度が高い時は、磁性を帯びるキャリアに付着するトナー量が多く、現像剤の単位体積中の磁性体量が減少するため、透磁率センサ24は低い電圧レベルを検出する。したがって、透磁率センサ24は、これらの検出電圧レベル(入力ゲイン)を、予め記憶部28に記憶された閾値電圧と比較してトナー濃度に関する情報(出力電圧レベル)を出力する。また、トナー落下の有無は、トナーが補給されたときの透磁率センサ24の出力変化量に基づいて検知される。
【0056】
透磁率センサ24の出力電圧レベルと透磁率との関係を説明する。透磁率センサ24によるトナー落下の有無の検知において、透磁率センサ24の出力電圧レベルは、図4に示すように、出力可能な電圧レベルの中央値(Vo)であるときに、透磁率センサ24の検知感度が最も高くなる。また、出力電圧レベルがVo±Vαの範囲で、検知感度は適正であるとする。以下、Voを最適出力電圧レベルと称す。
【0057】
制御部10は、透磁率センサ24の出力電圧レベルを監視し、所定の透磁率における出力電圧レベルがVo±Vαの範囲を外れた場合に、透磁率センサ24の入力ゲインを調整して出力電圧レベルがVo±Vαの範囲に保つように制御する。
【0058】
透磁率センサ24の入力ゲインG1に対する出力電圧レベルは、図4に示すように、透磁率AにおいてVo±Vαの範囲を外れて、Vo+Vβとなっている(図4の点C1)。制御部10は、入力ゲインG1からG2に調整して、透磁率Aにおける出力電圧レベルをVoに下げ(点C2)、透磁率センサ24の検知感度が良い状態に保つことができる。
【0059】
このように、制御部10は、透磁率センサ24の電圧出力レベルの変化量に基づきトナーの落下の有無を検知することができる。また、透磁率センサ24の電圧出力レベルは、トナー濃度、現像剤の流動性、及び周辺の温度及び湿度によって変化するが、制御部10が、透磁率センサ24の電圧出力レベルを監視し、電圧出力レベルに応じて入力ゲインを調整することで、透磁率センサ24の検知感度を良好に保つことができ、トナー濃度を適正範囲に遷移させることができ、安定したトナー濃度による画像形成を行うことができる。
【0060】
次に、本実施形態に係る制御部10を説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置100のブロック図である。
【0061】
画像形成装置100は、装置の動作を制御するための制御部10を備える。制御部10は、例えば、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータが実行する処理の手順を示した制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、作業用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)と、算出した累積トナー補給時間を一時的に記憶するEEPROM(Electronically Erasable Programmable ROM)不揮発性メモリ、透磁率センサ24やスイッチ(図示せず)からの信号を入力する回路であって入力バッファやA/D変換回路を含む入力回路と、モータやソレノイドまたはランプなどを駆動するドライバを含む出力回路等とから構成される。尚、これらの記憶する手段を総称して記憶部28と称す。
【0062】
更に、制御部10は、図3に示すように、プロセスコントロール部36及びトナー濃度コントロール部30を備えている。以下に、制御部10の各構成要素及び動作について説明する。
【0063】
画像形成装置100において、時間と共に感光体ドラムや現像剤の経時的な変化に影響されずに一定のトナー濃度や画像出力を得るため、様々な処理の条件を調整して動作が行われている。この調整をプロセスコントロールと称する。具体的に述べると、帯電電位、露光量、トナー濃度の補正量、現像バイアス値、転写電圧値及び定着温度等の調整を行うことである。
【0064】
プロセスコントロール部36は、プロセスコントロールにおける現像バイアスの制御パラメータ値(プロセスコントロール設定値)を補正する。また、プロセスコントロール部36は、所定の中間調のトナーパッチ(ベタ画像)を感光体ドラム3あるいは中間転写ベルト6上等に形成し、そのトナーパッチからの反射光量を光学センサ(図示せず)の読み取り装置で読み取り、中間調ガンマ補正処理を行う。
【0065】
具体的には、中間調ガンマ補正処理において、光学センサのキャリブレーションを行ってトナーパッチ(ベタ画像)を作成する際の帯電電位、光量及び現像バイアス(プロセスコントロール設定値39)を設定することにより、トナーパッチの形成条件の補正を行う。そして、所定の中間調のトナーパッチを感光体ドラム3あるいは中間転写ベルト6上等に形成する。そして、トナーパッチからの反射光量を光学センサで読み取り、読み取ったトナーパッチの光学センサの出力値と、記憶部28に記憶された目標値となる基準値とを比較して、印字画像の濃度における補正量を算出する。算出された補正量に従って、画像の表示の際の明るさ又は色のガンマ補正のために使用され得る変換テーブル(中間調ガンマ補正テーブル)を修正する。これにより、一定の中間調ガンマ特性が得ることができ、印字画像の濃度を安定化できる。尚、変換テーブル(中間調ガンマ補正テーブル)は予め記憶部28に記録されている。
【0066】
次に、制御部10のトナー濃度コントロール部30について説明する。トナー濃度コントロール部30は、図3に示すように、印字率検知手段31、トナー消費量算出手段32、トナー補給時間算出手段33及び累積トナー補給時間記憶手段34を備える。
【0067】
印字率検知手段31は、入力した原稿画像の印字濃度情報、印字画素面積又はベタ率(1ページの原稿における黒色の画素の全画素に対する割合)のいずれかの原稿画像の情報に基づいて、原稿画像の印字率情報、すなわち原稿画像の全画素に対する印字画素(トナーにより形成されるドット)の割合を演算する。すなわち、印字率検知手段31は、ドット(画素)をカウントして画像の全画素に対する割合を求める。
【0068】
トナー消費量算出手段32は、印字率検知手段31から原稿画像の印字率情報を得て、印字動作により消費される第1のトナー消費量を算出する。
【0069】
トナー補給時間算出手段33は、原稿画像ごとにトナー消費量算出手段32からトナー消費量情報を得て、これに相当する第1のトナー補給時間を算出する。同時に、プロセスコントロール部36によって補正された、プロセスコントロールにおける現像バイアスの制御パラメータ値(プロセスコントロール設定値39)を参照し、プロセスコントロール設定値39に応じて第2のトナー消費量を算出する。
【0070】
トナー補給時間算出手段33は、第2のトナー消費量に対応する第2のトナー補給時間を算出する。第2のトナー補給時間については、負の値も設定され得る。すなわち、プロセスコントロール設定値39に応じてトナー濃度を下げる補正を行う場合に負の値が設定される。続いて、上記第1及び第2のトナー補給時間の算出結果を合算し、総トナー補給時間を算出する。
【0071】
累積トナー補給時間記憶手段34は、入力された原稿画像ごとにトナー補給時間算出手段33から得た総トナー補給時間を積算して積算値(トナー補給時間積算値)を記憶する。この積算値が一定時間M秒(Mは予め定めた任意の数字)を超えた場合に、トナー補給装置26にM秒間のトナー補給要求を行うとともに、積算値からM秒を減算する。さらにトナー濃度コントロール部30は、積算値(トナー補給時間積算値)が算出されると、トナー濃度を調整するためトナーの補給を指示するトナー制御リクエストを制御部10に送信する。
【0072】
そして、制御部10は、トナー濃度コントロール部30からのトナー制御リクエストを受信すると、トナー補給時間積算値に対応して供給するトナー量を算出して、トナー濃度を制御することができる。
【0073】
次に、透磁率センサ24を用いてトナー切れを判定する処理を説明する。図5及び6は、透磁率センサ24によるトナーの落下の有無を検知し、トナー切れを判定する処理を示すフローチャートである。
【0074】
制御部10が、トナー濃度コントロール部30からトナーの補給を指示するトナー補給リクエストを受信した場合(ステップ100)、制御部10は、算出したトナー量を補給するようにトナー補給装置26にトナー補給命令を送る(ステップ110)。同時に、透磁率センサ24の出力電圧レベルのサンプリング(検知)を開始する(ステップ120)。
【0075】
開口部25を通してトナー補給装置26から算出されたトナー量が補給された場合(ステップ130)、所定のN秒間(Nは任意の数字)が経過するまでトナー補給装置26はトナー供給禁止状態に入り、新たなトナーの補給は禁止される(ステップ140)。これは、透磁率センサ24がトナーの落下の有無を判定するために必要な時間(N秒間)を確保するために行われる。前述のN秒間が経過するまでにトナー補給命令を受信した場合は、該命令を一時的に記憶部28にラッチ(保留)し、N秒間が経過するまで待機する。N秒間経過後(ステップ150)ラッチされたトナー補給命令がない場合(ステップ160、Y)、出力電圧レベルのサンプリングを終了する(ステップ170)。ラッチされたトナー補給命令がある場合には(ステップ160、N)トナー補給命令に基づき再度トナーを補給する(ステップ130)。
【0076】
制御部10は、トナーの供給が開始されてN秒間が経過するまでの間(つまり、出力電圧レベルのサンプリング期間)、透磁率センサ24の出力電圧レベルのサンプリング(検知)を続け、出力電圧レベルの変化を監視する。そして、制御部10は、サンプリング期間の最大及び最小の出力電圧レベルを算出する(ステップ180)。
【0077】
制御部10は、サンプリング期間の出力電圧レベルの変化量に基づきトナーの落下に有無を判定する(ステップ190)。トナーの落下がないと判定した場合(ステップ190、N)、トナー切れと判定して画像形成動作を停止させる(ステップ200)。トナーの落下が在ると判定した場合(ステップ190、Y)、スタートに戻り制御部10からのトナー補給命令に基づきトナー補給の動作を繰り返す。
【0078】
トナーの落下が実際に検知された場合、サンプリング期間に現像剤の透磁率は大きく変化するため、透磁率センサ24の出力電圧レベルの変化量は大きくなる。一方、トナーの落下が検知されない場合、現像剤の透磁率はほとんど変化しないため、透磁率センサ24の出力電圧レベルの変化量は小さい。このように、制御部10は、透磁率センサ24の出力電圧レベルの変化量に基づき、トナーの落下の有無(トナー切れの発生)を判定できる。
【0079】
次に、制御部10による透磁率センサ24の入力ゲインの調整について説明する。
【0080】
上記で説明したように、透磁率センサ24の検知感度を良好な状態に保つため、制御部10は透磁率センサ24の電圧出力レベルを監視し、電圧出力レベルに応じて入力ゲインの調整を行う。図7は、制御部10による透磁率センサ24の入力ゲインの調整の処理を示すフローチャートである。
【0081】
制御部10は、透磁率センサ24の電圧出力レベルが適正範囲を外れた場合(ステップ300、印字画像の動作を停止及びトナー補給を禁止する(ステップ310)。
【0082】
次に、制御部10は、透磁率センサ24の電圧出力レベルをサンプリングし(ステップ320)、検知した電圧出力レベルに基づき透磁率センサ24の入力ゲインを調整する(ステップ330)。
【0083】
透磁率センサ24の入力ゲインが調整された後、調整された入力ゲインに対する出力電圧レベルを再度サンプリングする(ステップ340)。制御部10は、再度検出された出力電圧レベルと最適出力電圧レベルVoとを比較し、最適出力電圧レベルVoと等しくなれば(ステップ350、Y)、印字画像の動作の開始及びトナー補給を許可する(ステップ360)。
【0084】
再度検出された出力電圧レベルと最適出力電圧レベルVoとを比較し、最適出力電圧レベルVoと等しくない場合(ステップ350、N)、再度、透磁率センサ24の入力ゲインを調整し、出力電圧レベルが最適出力電圧レベルVoと等しくなるまで調整を繰り返す。
【0085】
また、透磁率センサ24の電圧出力レベルが適正範囲Vo±Vαを外れた場合にのみ入力ゲインの調整を行うことに限定せず、本実施形態では、プロセスコントロールを実施する際には、サンプリングした電圧出力レベルの値に関わらず、透磁率センサ24の入力ゲインの調整を行う。
【0086】
プロセスコントロールを実施する際に透磁率センサ24の入力ゲインの調整を行うことで、透磁率センサ24の電圧出力レベルは定期的に最適出力電圧レベルVoに調整されるため、印字画像の動作中に透磁率センサ24の電圧出力レベルが適正範囲Vo±Vαを外れる頻度が下がり、画像形成の効率が低下することを抑えることができる。
【0087】
次に、画像形成装置100の故障を検知する方法及び個々の画像形成装置に機差に起因するトナー濃度変化を制御する方法について説明する。
【0088】
一般に、画像形成装置において、トナー濃度変化は一様ではなく、トナー消費量とトナー落下量に起因するトナー濃度変化は機種により異なり個体差(機差)が存在する。各々の画像形成装置に内在する機差により、実際のトナー濃度は、算出された値から徐々に外れ、適正範囲から逸脱することもあり得る。また、トナー濃度の逸脱が原因となり画像形成装置が故障することもある。
【0089】
このような画像形成装置の機差に起因するトナー濃度の適正範囲からの逸脱を制御するために、機差に起因するトナー消費量とトナー落下量を定期的に制御部10のトナー濃度コントロール部30にフィードバックし、トナー濃度が適正範囲に位置するように制御する。
【0090】
また、トナー濃度の逸脱が進み、トナー濃度が適正範囲に位置するように制御することが困難な濃度に達した場合、制御部10は、印字画像の動作を停止させ、修理を促すメッセージを図示しない操作表示部に表示させる。
【0091】
以下に、制御部10のトナー濃度コントロール部30が、トナー消費量とトナー落下量に起因するトナー濃度を判断する際の目安となる閾値(トナー濃度を制御する際の閾値)と、透磁率センサ24の入力ゲインとの関係について、図8を参照して説明する。
【0092】
図8は、現像剤のトナー濃度と透磁率センサ24の入力ゲインとの関係を示した表図である。図8に示すように、本実施形態に係る画像形成装置における記録媒体(用紙)に対する画像形成動作を、温度25℃、湿度50%の標準的な環境条件下で、透磁率センサ24の入力ゲインは、入力ゲイン曲線(Con2)で示される。
【0093】
また、図8に示すように、トナー濃度は3つの範疇に分類する。トナー濃度T1は、トナー濃度値TEL未満及びTEL以上の範囲で定義され、印字画像の劣化や感光体ドラム3へのキャリア飛び等の問題が生じ得る濃度である。トナー濃度T2は、トナー濃度値TEL以上及びTEL未満の範囲で定義され、適正なトナー濃度とする。さらに、トナー濃度T3は、トナー濃度値TL以上及びTH未満の範囲で定義され、適正なトナー濃度の範囲にあって、トナー濃度の変動に対するマージンを考慮した理想的なトナー濃度とする。
【0094】
また、透磁率センサ24の入力ゲイン及び電圧出力レベルは、トナー濃度以外にも、現像剤の流動性などの物性、動作環境の温度・湿度等に影響する。従って、前述したトナー濃度コントロール部30によって調整された入力ゲインも同様に、これらの要因に影響される。
【0095】
また、上記の実験環境の温度及び湿度を変化させて、透磁率センサ24の入力ゲインを測定した際に、透磁率センサ24の入力ゲインの上限界値は、図8に示すように、入力ゲイン曲線(Con1)で表わされ、下限界値は、入力ゲイン曲線(Con3)で表わされる。
【0096】
トナー濃度コントロール部30がトナー消費量とトナー落下量に起因するトナー濃度を判断する際の目安となる、透磁率センサ24の入力ゲインの閾値(トナー濃度を制御する際の閾値)は、図8に示すように、入力ゲイン値GL、GEL、GH、GEHで表される。
【0097】
入力ゲイン値GLは、理想的なトナー濃度の下限値TLに対応する入力ゲイン曲線(Con1)上の値として表される。入力ゲイン値GHは、理想的なトナー濃度の上限値THに対応する入力ゲイン曲線(Con3)上の値として表される。入力ゲイン値GL以上入力ゲイン値GH以下の範囲をエリアA1と称す。
【0098】
入力ゲイン値GELは、適正なトナー濃度の下限値TELに対応する入力ゲイン曲(Con2)上の値として表される。入力ゲイン値GEHは、適正なトナー濃度の上限値TEHに対応する入力ゲイン曲線(Con3)上の値として表される。入力ゲイン値GELから入力ゲイン値GL未満の範囲と、入力ゲイン値GHから入力ゲイン値GEH未満の範囲を、それぞれエリアA2、A3と称す。また、入力ゲイン値GEL未満の範囲をエリアA4とし、入力ゲイン値GEHより大きい入力ゲイン値の範囲をエリアA5と称す。尚、このように5つのエリアを設けたが、さらに詳細な条件を設定しエリアの分類を行っても良い。
【0099】
制御部10のトナー濃度コントロール部30は、エリアA1ではフィードバック制御を行わず、印字画像の動作を許可する。エリアA2及び3では、フィードバック制御をしてトナー濃度の調整を行い、印字画像の動作を許可する。エリアA4及び5では、印字画像の動作を禁止し、印字画像の動作を停止させる。
【0100】
また、トナー濃度コントロール部30によるフィードバック制御において、第1及び第2のトナー補給時間を算出する際に、エリアA2において負の値も設定された場合、又は、エリアA3において第1及び第2のトナー補給時間を算出する際に正の値も設定された場合に、累積トナー補給時間記憶手段34は、算出されたトナー補給時間を無効とみなしトナー補給時間を記憶することを禁止するとしても良い。
【0101】
また、トナー濃度コントロール部30によるフィードバック制御において、第1及び第2のトナー補給時間を算出する際に、入力ゲインのエリアに応じて予め定められた補正係数を掛け合わせてトナー濃度を調整するとしても良い。本実施形態に係る透磁率センサの入力ゲインのエリアごとの補給係数67は、図9に示すように、実験結果に基づき各エリア66に応じて定められている。
【0102】
次に、動作環境補正値、現像剤ライフ補正値及び印字率補正値に基づく第1及び第2の閾値のオフセットについて説明する。
【0103】
図10に示すように、動作環境補正値は、画像形成装置における温度・湿度等の動作環境の変動に基づきトナー濃度レベルを変える目的で加える補正値である。例えば、高温高湿環境ではトナー帯電量が低下するためトナー濃度を下げてトナー帯電量を確保したり、逆に、低温低湿環境ではトナー帯電量が上がるためトナー濃度を上げてトナー帯電量を抑えたりして現像性を確保するための補正値をいう。
【0104】
図11に示すように、現像剤ライフ補正値は、現像剤の使用による劣化による変動に基づき算出された補正値である。現像剤ライフの増加にともない、現像剤のトナー帯電量が低下する傾向がある。
【0105】
図12に示すように、印字率補正値は、入力された原稿画像の1ページ当たりの印字率による変動に基づき算出された補正値である。
【0106】
上述した実施例において、トナーセンサの入力ゲインに応じて所定範囲にあるか否かの判定の基準となる第1及び第2の閾値は、2つの入力ゲイン値(GL、GH)と2つの入力ゲイン値(GEL、GEH)としている。さらに、動作環境の温度・湿度の変化、現像剤ライフ及び印字率を考慮して、第1及び第2の閾値を柔軟に設定する。
【0107】
トナーセンサの入力ゲインに対応してフィードバック制御を行いトナーの補給を行うか否かの基準となる2つの入力ゲイン値(GL、GH)と、画像形成装置100が故障状態に在ることを判定し画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの入力ゲイン値(GEL、GEH)は、現像剤ライフの変化に基づく現像剤ライフ補正値、動作環境の変化に基づく動作環境補正値、印字率の変化に基づく印字率補正値のいずれか1つ若しくは全てを加えた値によってオフセット値を取ることで、上述した変動要因が考慮された閾値として設定される。
【0108】
以下に具体的な例を示す。図8では、第1の閾値(第1の下閾値)=入力ゲイン値GLとしたが、第1の閾値(第1の下閾値)=入力ゲイン値GL+動作環境補正値+現像剤ライフ補正値+印字率補正値としても良い。また、図8では第1の閾値(第1の上閾値)=入力ゲイン値GHとしたが、第1の閾値(第1の上閾値)=入力ゲイン値GH+動作環境補正値+現像剤ライフ補正値+印字率補正値としても良い。また、図8では第2の閾値(第2の下閾値)=入力ゲイン値GELとしたが、第2の閾値(第2の下閾値)=入力ゲイン値GEL+動作環境補正値+現像剤ライフ補正値+印字率補正値としても良い。また、図8では第2の閾値(第2の上閾値)=入力ゲイン値GEHとしたが、第2の閾値(第2の上閾値)=入力ゲイン値GEH+動作環境補正値+現像剤ライフ補正値+印字率補正値としても良い。尚、補正値として3種類の変動要因を考慮し、オフセットを行って新たな閾値として設定したが、どれか1つ又は2つを合算しても良い。
【0109】
従って、現像剤ライフによる現像剤ライフ補正値、環境変化による動作環境補正値、印字率による印字率補正値のいずれか1つ若しくは全てを加えた値が加わりオフセット値を取って第1の閾値及び第2の閾値を柔軟に設定することで、現像剤ライフ、動作環境及び印字率の変動に対応したトナー補給制御を行うことができる。
【0110】
また、トナー濃度コントロール部30は、透磁率センサ24の入力ゲインがエリアA1の範囲に遷移するようにフィードバック制御することで、機差に起因するトナー濃度の変化や、現像剤の流動性などの物性、動作環境の温度・湿度等による入力ゲインの変動によるトナー濃度の変化を制御することができる。また、制御不可能なトナー濃度に達し、透磁率センサ24の入力ゲインがエリアA4又はA5に遷移した場合、制御部10は画像形成装置の故障の発生を正確に検知できる。また、トナー濃度が適正範囲から外れた場合、画像形成装置の個々の機差に起因するものであり制御可能な不具合であるのか、画像形成装置の故障に起因するもので制御不可能なものであるのかを判定できる。
【符号の説明】
【0111】
2 現像装置
10 制御部
26 トナー補給装置
28 記憶部
30 トナー濃度コントロール部
31 印字率検知部
32 トナー消費量算出部
33 トナー補給維持間算出部
34 累積トナー補給時間記憶部
35 プロセスコントロール部
100 画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置及びこれを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、感光体ドラム上にトナー画像を形成するために使用される現像剤は、2種類に大別される。例えば、1成分トナーを用いる現像剤と、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤である。
【0003】
1成分現像方式ではコンパクト化に適しているものの高速現像には適さないため、高速・長寿命の画像形成装置においては、2成分現像装置が多く採用されている。この2成分現像剤を用いるタイプの現像装置では、2成分現像剤中のキャリア自体は消費されず、現像装置内部に残り減少しない。一方、トナーは現像動作により消費されて減少していく。そこで、2成分現像剤を構成するトナーの減少に起因する画質の不安定化を防ぐために、2成分現像剤のトナー濃度を適正範囲内に保つようにトナーを適宜補給するトナー濃度制御が実施されている。
【0004】
一般に、トナー濃度制御を行う方法として、2種類の制御方法が組み合わされて行われることが多い。1つは、入力された画像の印字率に応じてトナー消費量を算出し、トナーを補給する方法である。もう1つは、静電潜像担持体(感光体ドラム)の表面上に形成した基準トナー像の濃度を検出し、予め定めた所定の濃度値と比較した結果に基づいて、トナーを補給する方法である。
【0005】
上記のトナー濃度制御を実施する一環として、画像形成装置はトナー切れを検知するための手段、例えば、現像装置へ供給されるトナーの落下の有無を検知する透磁率センサを備えている。透磁率センサは、出力電圧レベルが適正範囲を外れると透磁率センサの感度が低下し、落下するトナーの検知精度が低下する。このため、定期的に透磁率センサの入力ゲインを調整して出力電圧レベルを適正範囲に保たなければ、良い精度でトナーの落下を検知することができない。
【0006】
このような問題に対し、透磁率センサの入力されるアナログ電圧検出値のゲインのバラツキを所定の値からどれ位離れているのかを算出し、出力電圧レベルを補正してトナー濃度制御を行う技術が特許文献1において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−72661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のトナー濃度制御において、印字率に応じたトナー補給では、入力画像のピクセルカウント数から算出されたトナー消費量が実際に消費された現像剤の量を正確に表わすことができず、また、算出されたトナー消費量に基づいて供給されるトナー量が正確に補給されたことを確認できない。このため、画像形成装置の個々の機差によりトナー消費量やトナー供給量が算出値よりズレが大きく生じる場合には、トナー濃度が適正範囲から外れて印字画像の画質が劣化するという課題がある。
【0009】
また、上記のトナー濃度制御において、基準トナーの濃度に応じたトナー補給では、画像形成装置の個々の機差に起因するトナー濃度が適正範囲から外れてしまうことをある程度は補正できる。しかし、透磁率センサの入力ゲインは、現像剤のトナー濃度の変化、現像剤の流動性などの物性の変化、及び動作環境における温度や湿度の変化に影響されるため、基準トナーの濃度に応じても、トナー消費量やトナー補給量を正確に補正できず、トナー濃度のズレを十分に算出できないという課題がある。
【0010】
また、トナー濃度が適正範囲から外れた場合、画像形成装置の個々の機差に起因する制御可能な不具合であるのか、画像形成装置の故障に起因するもので制御不可能な不具合であるのかを判定できないため、印字画像の動作の許可及び禁止を適切に行うことができないという課題がある。
【0011】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなれたもので、画像形成装置の個々の機差により生じるトナー消費量やトナー補給量のズレを補正して、トナー濃度が適正範囲から外れて印字画像の画質が低下することを防ぐことができ、トナー濃度に関する故障の原因を正確に判断することができる画像形成装置及びこれを用いた画像形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために本発明に係る画像形成装置の各構成は、次の通りである。
【0013】
本発明の画像形成装置は、トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置であって、前記制御部は、前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御手段とを備え、前記トナー濃度制御手段は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にあること検知した場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し画像の形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備えることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の画像形成装置の制御部は、前記画像の印字率に応じて前記トナーの消費量を算出する算出手段と、画像を形成する際の画像補正処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール手段とを備え、前記トナー濃度制御手段は、前記トナー消費量と前記プロセスコントロールを実行する際の現像バイアス値に基づいて、前記トナー補給量を制御することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の画像形成装置の前記プロセスコントロール手段は、静電潜像担持体上に形成した基準トナー像の濃度が検知され、前記検知された濃度に応じて現像バイアスを印加するプロセスコントロールを実行することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の画像形成装置の前記トナー濃度制御手段は、前記プロセスコントロールが実行される際にも前記入力ゲインを制御することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の画像形成装置の前記トナーセンサは、透磁率センサを用いることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の画像形成方法は、トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置を用いた画像形成方法であって、前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御ステップと、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にある場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御するトナー補給制御ステップを備えることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の画像形成方法は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備え、前記トナーの補給量を制御する前記トナー補給制御ステップは、前記第1の閾値と前記第2の閾値に対応して制御を行うステップを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像形成装置は、トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置であって、前記制御部は、前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御手段とを備え、前記トナー濃度制御手段は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にあること検知した場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御することで、トナーの濃度を常に適正な範囲にあるように制御でき、画像形成装置の機差に起因するトナー濃度の変化にも対応してトナー濃度を制御できるという優れた効果を奏し得る。
【0022】
本発明によれば、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備えることで、機差に起因するトナー濃度の変化や、現像剤の流動性などの物性、動作環境の温度・湿度等による入力ゲインの変動によるトナー濃度の変化を制御することができ、また、制御不可能なトナー濃度に達し、透磁率センサ24の入力ゲインが所定の範囲に遷移した場合、画像形成装置の故障の発生を正確に検知できるという優れた効果を奏し得る。
【0023】
本発明によれば、画像形成装置の制御部は、前記画像の印字率に応じて前記トナーの消費量を算出する算出手段と、画像を形成する際の画像補正処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール手段とを備え、前記トナー濃度制御手段は、前記トナー消費量と前記プロセスコントロールを実行する際の現像バイアス値に基づいて、前記トナー補給量を制御することで、正確にトナー消費量を検知できるという優れた効果を奏し得る。
【0024】
本発明によれば、画像形成装置の前記プロセスコントロール手段は、静電潜像担持体上に形成した基準トナー像の濃度が検知され、前記検知された濃度に応じて現像バイアスを印加するプロセスコントロールを実行することで、正確にトナー消費量を検知できるという優れた効果を奏し得る。
【0025】
本発明によれば、画像形成装置の前記トナー濃度制御手段は、前記プロセスコントロールが実行される際にも前記入力ゲインを制御することで、トナーセンサの電圧出力レベルは定期的に最適出力電圧レベルに調整されるという優れた効果を奏し得る。
【0026】
本発明によれば、画像形成装置を用いた画像形成方法は、トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置を用いた画像形成方法であって、前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御ステップと、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にある場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御するトナー補給制御ステップを備えることで、トナーの濃度を常に適正な範囲にあるように制御でき、画像形成装置の機差に起因するトナー濃度の変化にも対応してトナー濃度を制御できるという優れた効果を奏し得る。
【0027】
本発明によれば、画像形成装置を用いた画像形成方法は、前記2つの第1の閾値及び前記2つの第2の閾値は、現像剤ライフによる補正値、環境変化による補正値、印字率による補正値のいずれか1つ若しくは全てを加えた値が加わりオフセット値を取って該第1の閾値及び第2の閾値を柔軟に設定することで、現像剤ライフ、動作環境及び印字率の変動に対応したトナー補給制御を行うことができ、また、制御不可能なトナー濃度に達し、透磁率センサの入力ゲインが所定の範囲に遷移した場合、画像形成装置の故障の発生を正確に検知できるという優れた効果を奏し得る。
【0028】
本発明によれば、画像形成装置を用いた画像形成方法は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備え、前記トナーの補給量を制御する前記トナー補給制御ステップは、前記第1の閾値と前記第2の閾値に対応して制御を行うステップを備えることで、機差に起因するトナー濃度の変化や、現像剤の流動性などの物性、動作環境の温度・湿度等による入力ゲインの変動によるトナー濃度の変化を制御することができ、また、制御不可能なトナー濃度に達し、透磁率センサ24の入力ゲインが所定の範囲に遷移した場合、画像形成装置の故障の発生を正確に検知できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る現像装置の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る透磁率センサの出力電圧レベルと透磁率との関係を表わした図表の一例である。
【図5】本実施形態に係る透磁率センサによるトナーの落下の有無を判定するための前半の処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る透磁率センサによるトナーの落下の有無を判定するための後半の処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る透磁率センサの入力ゲインの調整する処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る透磁率センサの入力ゲインと現像剤のトナー濃度との関係を表わした図表の一例である。
【図9】本実施形態に係る透磁率センサの入力ゲインとエリア毎の補給係数を表すテーブルの一例である。
【図10】本実施形態に係る動作温湿度環境率に対する動作環境補正値の関係を示す表図である。
【図11】本実施形態に係る現像剤ライフ率に対する現像剤ライフ補正値の関係を示す表図である。
【図12】本実施形態に係る印字率に対する印字率補正値の関係を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本実施形態に係る画像形成装置100を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す概略図である。
【0031】
画像形成装置100は、図1に示すように、通信ネットワークを介して外部から送信された画像データや外部記憶装置(図示せず)から入力された画像データに基づいて記録部材(用紙)に対して多色および単色の画像を形成する。
【0032】
画像形成装置100は、露光ユニット1、現像装置2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、4d)、帯電器5(5a、5b、5c、5d)、中間転写ベルトユニット6、レジストローラ7、転写ローラ8、定着ユニット9、給紙トレイ14、制御部10用紙搬送路S及び排紙トレイ13を備える。
【0033】
画像形成装置100において、画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像装置2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、4d)及び帯電器5(5a、5b、5c、5d)は、各色に応じた4種類の静電潜像を形成するように、それぞれ4個設けられている。そして、それぞれaがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに設定され、4つの画像ステーションが構成されている。尚、本実施形態では、4色を用いたカラー画像の形成を行っているが、6色を用いるなど複数色のカラー画像形成及びモノクロの画像形成にも適用できる。
【0034】
露光ユニット1は、レーザ光源においてレーザダイオードを使用するレーザスキャニングユニット(LSU)である。露光ユニット1は、入力された画像データに応じて、帯電器5によって均一に帯電された感光体ドラム3の外周面を露光することによって、感光体ドラム3の外周面に上記入力画像データに応じた静電潜像を形成するものである。尚、レーザダイオードの代わりにEL(Electro Luminescence)又はLED(Light Emitting Diode)等の発光素子をアレイ状に並べた書込ヘッドを用いる構成であっても良い。
【0035】
現像装置2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像をブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)のトナーにより顕像化する。現像装置2の詳細は後述する。
【0036】
クリーナユニット4は、クリーニングブレード(図示せず)を備え、該クリーニングブレードを感光体ドラム3の外周面に沿って当接(または摺接)するように配置し、現像及び静電潜像の転写後における感光体ドラム3の表面上に残留したトナーを除去及び回収する。
【0037】
感光体ドラム3は、外周面の一部が中間転写ベルト60の表面に接触するように配置されるとともに、ドラムの外周面に沿って電界発生部としての帯電器5、現像装置2、及びクリーナユニット4が近接配置されている。
【0038】
帯電器5は、感光体ドラム3の外周面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。尚、本実施形態では帯電器5としてチャージ型帯電器を用いているが、チャージ型帯電器の代わりにローラ型帯電器、ブラシ型帯電器等を用いてもよい。
【0039】
中間転写ベルトユニット6は、感光体ドラム3の上方に配置され、中間転写ベルト60、中間転写ベルト駆動ローラ61、中間転写ベルト従動ローラ62及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備える。また、中間転写ベルト駆動ローラ61、中間転写ベルト従動ローラ62、中間転写ベルトテンション機構63及び中間転写ローラ64によって、中間転写ベルト60が張架され、図1の矢印B方向に回転駆動させられる。
【0040】
中間転写ベルト60は、それぞれの感光体ドラム3に当接するように設けられている。感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト60に順次重ねて転写することで中間転写ベルト60上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。また、中間転写ベルト60は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されたベルト部材である。中間転写ベルト60の材質は、主にポリイミド、ポリカーボネイト、サーモプラスティック・エラストマー・アロイ等が用いられている。
【0041】
中間転写ローラ64によって感光体ドラム3上に形成されたトナー像は中間転写ベルトに転写される。中間転写ローラ64は、中間転写ベルトユニット6の中間転写ベルトテンション機構63の中間転写ローラ取付部(図示せず)に回転可能に支持されており、感光体ドラム3上に形成したトナー像を、中間転写ベルト60上に転写するために転写バイアスを与える。
【0042】
中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(ステンレス等)軸をベースとし、その表面は、例えばEthylene Propylene Diene Methylene Linkage(EPDM)や発泡ウレタン等の導電性の弾性材により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト60に対して均一に高電圧を印加することができる。尚、本実施形態では、転写電極としてローラ形状のものを使用しているが、それ以外にブラシなども用いることができる。
【0043】
このように、感光体ドラム3上で顕像化された各色相の静電潜像は中間転写ベルト60で積層され、入力された画像データに対応して画像が形成される。積層されたトナー像は、中間転写ベルト60の回転によって、転写ローラ8が配置されている位置に搬送される。転写ローラ8は、トナー像を記録部材(用紙)に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。また、中間転写ベルト60と転写ローラ8とは所定のニップ圧で圧接される。転写ローラ8がニップ圧を定常的に得るために、転写ローラ8もしくは中間転写ベルト駆動ローラ61の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ又は発泡性樹脂ローラ)が用いられる。
【0044】
また、感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト60に付着したトナー、若しくは、転写ローラ8によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト60上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト60に当接するクリーニング部材としてクリーニングブレード(図示せず)が備えられており、クリーニングブレードが当接する中間転写ベルト60は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ62で支持されている。
【0045】
給紙トレイ14は、画像形成に使用する記録媒体(用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、露光ユニット1の下側に設けられている。また、画像形成装置100の上部に設けられている排紙トレイ13は、印字済みの用紙をフェイスダウンで載置するためのトレイである。
【0046】
また、画像形成装置100には、給紙トレイ14の用紙を転写ローラ8や定着ユニット9を経由させて排紙トレイ13に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ14から排紙トレイ13までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11(11a、11b)、レジストローラ7、転写ローラ8、定着ユニット9のヒートローラ9a及び加圧ローラ9b及び搬送ローラ12(12a〜12i)が配置されている。
【0047】
搬送ローラ12は、記録媒体(用紙)の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ11aは、給紙トレイ14の端部に備えられ、給紙トレイ14から、用紙を1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0048】
レジストローラ7は、用紙搬送路Sを搬送されている用紙をいったん保持するローラである。制御部10は、レジストローラ7を再回転させることによって、用紙搬送路Sにより搬送された用紙を一旦所定位置に停止させて次の搬送タイミングを計る。用紙の先端の位置と感光体ドラム3の外周に形成されている画像の先端の位置とが合致するように用紙を、転写ローラ8を有する転写部に搬送する。
【0049】
定着ユニット9は、ヒートローラ9a及び加圧ローラ9bを備えており、ヒートローラ9a及び加圧ローラ9bは、用紙を挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ9aは、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御手段によって所定の定着温度となるように設定される。ヒートローラ9aは、加圧ローラ9bと共に用紙を熱圧着することにより、用紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、用紙に対して熱定着させる。
【0050】
尚、多色トナー像の定着後の用紙は、搬送ローラ12b及び12cによって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ13上に排出されるような構成をとる。
【0051】
次に、図2に示すように、感光体ドラム3の表面(外周面)上に形成された静電潜像に対してトナーを供給して静電潜像を顕像化する現像装置2の詳細を説明する。
【0052】
現像装置2は、静電潜像担持体の一例である感光体ドラム3に形成された静電潜像を、トナーにより顕像化する。現像装置2は、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤AGを収容する現像容器20と、現像容器20内にある2成分現像剤AGを感光体ドラム3に供給するために感光体ドラム3に対向して接近して配置された現像ローラ21と、現像容器20内の2成分現像剤AGを攪拌しながら現像ローラ21へ向けて搬送する2本の搬送スクリュー22a,22bと、現像ローラ21への現像剤量を規制するドクターブレード23とを有している。
【0053】
現像容器20の上部には、現像容器20内にトナーを補給するために開閉する開口部25が形成されている。開口部25の上部には、新たなトナーを供給するトナー補給装置26が配置されている。
【0054】
トナー補給装置26は、トナーTを収容するトナー収容容器26aと、トナー収容容器26a内に収容されたトナーTを攪拌するトナー攪拌部材26bと、トナー収容容器26a内のトナーを攪拌しながら供給するトナー補給ローラ26cとを備える。トナー補給装置26は、図3に示すように、制御部10からの指示に基づいて、開口部25を通じて現像装置2へトナーTを補給する。
【0055】
また、現像容器20の底面における、開口部25の下部には、透磁率センサ24が設けられている。透磁率センサ24は、2成分現像剤AGにおけるトナーとキャリアの濃度(混合比)および残量を検出する。トナー濃度が高い時は、磁性を帯びるキャリアに付着するトナー量が多く、現像剤の単位体積中の磁性体量が減少するため、透磁率センサ24は低い電圧レベルを検出する。したがって、透磁率センサ24は、これらの検出電圧レベル(入力ゲイン)を、予め記憶部28に記憶された閾値電圧と比較してトナー濃度に関する情報(出力電圧レベル)を出力する。また、トナー落下の有無は、トナーが補給されたときの透磁率センサ24の出力変化量に基づいて検知される。
【0056】
透磁率センサ24の出力電圧レベルと透磁率との関係を説明する。透磁率センサ24によるトナー落下の有無の検知において、透磁率センサ24の出力電圧レベルは、図4に示すように、出力可能な電圧レベルの中央値(Vo)であるときに、透磁率センサ24の検知感度が最も高くなる。また、出力電圧レベルがVo±Vαの範囲で、検知感度は適正であるとする。以下、Voを最適出力電圧レベルと称す。
【0057】
制御部10は、透磁率センサ24の出力電圧レベルを監視し、所定の透磁率における出力電圧レベルがVo±Vαの範囲を外れた場合に、透磁率センサ24の入力ゲインを調整して出力電圧レベルがVo±Vαの範囲に保つように制御する。
【0058】
透磁率センサ24の入力ゲインG1に対する出力電圧レベルは、図4に示すように、透磁率AにおいてVo±Vαの範囲を外れて、Vo+Vβとなっている(図4の点C1)。制御部10は、入力ゲインG1からG2に調整して、透磁率Aにおける出力電圧レベルをVoに下げ(点C2)、透磁率センサ24の検知感度が良い状態に保つことができる。
【0059】
このように、制御部10は、透磁率センサ24の電圧出力レベルの変化量に基づきトナーの落下の有無を検知することができる。また、透磁率センサ24の電圧出力レベルは、トナー濃度、現像剤の流動性、及び周辺の温度及び湿度によって変化するが、制御部10が、透磁率センサ24の電圧出力レベルを監視し、電圧出力レベルに応じて入力ゲインを調整することで、透磁率センサ24の検知感度を良好に保つことができ、トナー濃度を適正範囲に遷移させることができ、安定したトナー濃度による画像形成を行うことができる。
【0060】
次に、本実施形態に係る制御部10を説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置100のブロック図である。
【0061】
画像形成装置100は、装置の動作を制御するための制御部10を備える。制御部10は、例えば、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータが実行する処理の手順を示した制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、作業用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)と、算出した累積トナー補給時間を一時的に記憶するEEPROM(Electronically Erasable Programmable ROM)不揮発性メモリ、透磁率センサ24やスイッチ(図示せず)からの信号を入力する回路であって入力バッファやA/D変換回路を含む入力回路と、モータやソレノイドまたはランプなどを駆動するドライバを含む出力回路等とから構成される。尚、これらの記憶する手段を総称して記憶部28と称す。
【0062】
更に、制御部10は、図3に示すように、プロセスコントロール部36及びトナー濃度コントロール部30を備えている。以下に、制御部10の各構成要素及び動作について説明する。
【0063】
画像形成装置100において、時間と共に感光体ドラムや現像剤の経時的な変化に影響されずに一定のトナー濃度や画像出力を得るため、様々な処理の条件を調整して動作が行われている。この調整をプロセスコントロールと称する。具体的に述べると、帯電電位、露光量、トナー濃度の補正量、現像バイアス値、転写電圧値及び定着温度等の調整を行うことである。
【0064】
プロセスコントロール部36は、プロセスコントロールにおける現像バイアスの制御パラメータ値(プロセスコントロール設定値)を補正する。また、プロセスコントロール部36は、所定の中間調のトナーパッチ(ベタ画像)を感光体ドラム3あるいは中間転写ベルト6上等に形成し、そのトナーパッチからの反射光量を光学センサ(図示せず)の読み取り装置で読み取り、中間調ガンマ補正処理を行う。
【0065】
具体的には、中間調ガンマ補正処理において、光学センサのキャリブレーションを行ってトナーパッチ(ベタ画像)を作成する際の帯電電位、光量及び現像バイアス(プロセスコントロール設定値39)を設定することにより、トナーパッチの形成条件の補正を行う。そして、所定の中間調のトナーパッチを感光体ドラム3あるいは中間転写ベルト6上等に形成する。そして、トナーパッチからの反射光量を光学センサで読み取り、読み取ったトナーパッチの光学センサの出力値と、記憶部28に記憶された目標値となる基準値とを比較して、印字画像の濃度における補正量を算出する。算出された補正量に従って、画像の表示の際の明るさ又は色のガンマ補正のために使用され得る変換テーブル(中間調ガンマ補正テーブル)を修正する。これにより、一定の中間調ガンマ特性が得ることができ、印字画像の濃度を安定化できる。尚、変換テーブル(中間調ガンマ補正テーブル)は予め記憶部28に記録されている。
【0066】
次に、制御部10のトナー濃度コントロール部30について説明する。トナー濃度コントロール部30は、図3に示すように、印字率検知手段31、トナー消費量算出手段32、トナー補給時間算出手段33及び累積トナー補給時間記憶手段34を備える。
【0067】
印字率検知手段31は、入力した原稿画像の印字濃度情報、印字画素面積又はベタ率(1ページの原稿における黒色の画素の全画素に対する割合)のいずれかの原稿画像の情報に基づいて、原稿画像の印字率情報、すなわち原稿画像の全画素に対する印字画素(トナーにより形成されるドット)の割合を演算する。すなわち、印字率検知手段31は、ドット(画素)をカウントして画像の全画素に対する割合を求める。
【0068】
トナー消費量算出手段32は、印字率検知手段31から原稿画像の印字率情報を得て、印字動作により消費される第1のトナー消費量を算出する。
【0069】
トナー補給時間算出手段33は、原稿画像ごとにトナー消費量算出手段32からトナー消費量情報を得て、これに相当する第1のトナー補給時間を算出する。同時に、プロセスコントロール部36によって補正された、プロセスコントロールにおける現像バイアスの制御パラメータ値(プロセスコントロール設定値39)を参照し、プロセスコントロール設定値39に応じて第2のトナー消費量を算出する。
【0070】
トナー補給時間算出手段33は、第2のトナー消費量に対応する第2のトナー補給時間を算出する。第2のトナー補給時間については、負の値も設定され得る。すなわち、プロセスコントロール設定値39に応じてトナー濃度を下げる補正を行う場合に負の値が設定される。続いて、上記第1及び第2のトナー補給時間の算出結果を合算し、総トナー補給時間を算出する。
【0071】
累積トナー補給時間記憶手段34は、入力された原稿画像ごとにトナー補給時間算出手段33から得た総トナー補給時間を積算して積算値(トナー補給時間積算値)を記憶する。この積算値が一定時間M秒(Mは予め定めた任意の数字)を超えた場合に、トナー補給装置26にM秒間のトナー補給要求を行うとともに、積算値からM秒を減算する。さらにトナー濃度コントロール部30は、積算値(トナー補給時間積算値)が算出されると、トナー濃度を調整するためトナーの補給を指示するトナー制御リクエストを制御部10に送信する。
【0072】
そして、制御部10は、トナー濃度コントロール部30からのトナー制御リクエストを受信すると、トナー補給時間積算値に対応して供給するトナー量を算出して、トナー濃度を制御することができる。
【0073】
次に、透磁率センサ24を用いてトナー切れを判定する処理を説明する。図5及び6は、透磁率センサ24によるトナーの落下の有無を検知し、トナー切れを判定する処理を示すフローチャートである。
【0074】
制御部10が、トナー濃度コントロール部30からトナーの補給を指示するトナー補給リクエストを受信した場合(ステップ100)、制御部10は、算出したトナー量を補給するようにトナー補給装置26にトナー補給命令を送る(ステップ110)。同時に、透磁率センサ24の出力電圧レベルのサンプリング(検知)を開始する(ステップ120)。
【0075】
開口部25を通してトナー補給装置26から算出されたトナー量が補給された場合(ステップ130)、所定のN秒間(Nは任意の数字)が経過するまでトナー補給装置26はトナー供給禁止状態に入り、新たなトナーの補給は禁止される(ステップ140)。これは、透磁率センサ24がトナーの落下の有無を判定するために必要な時間(N秒間)を確保するために行われる。前述のN秒間が経過するまでにトナー補給命令を受信した場合は、該命令を一時的に記憶部28にラッチ(保留)し、N秒間が経過するまで待機する。N秒間経過後(ステップ150)ラッチされたトナー補給命令がない場合(ステップ160、Y)、出力電圧レベルのサンプリングを終了する(ステップ170)。ラッチされたトナー補給命令がある場合には(ステップ160、N)トナー補給命令に基づき再度トナーを補給する(ステップ130)。
【0076】
制御部10は、トナーの供給が開始されてN秒間が経過するまでの間(つまり、出力電圧レベルのサンプリング期間)、透磁率センサ24の出力電圧レベルのサンプリング(検知)を続け、出力電圧レベルの変化を監視する。そして、制御部10は、サンプリング期間の最大及び最小の出力電圧レベルを算出する(ステップ180)。
【0077】
制御部10は、サンプリング期間の出力電圧レベルの変化量に基づきトナーの落下に有無を判定する(ステップ190)。トナーの落下がないと判定した場合(ステップ190、N)、トナー切れと判定して画像形成動作を停止させる(ステップ200)。トナーの落下が在ると判定した場合(ステップ190、Y)、スタートに戻り制御部10からのトナー補給命令に基づきトナー補給の動作を繰り返す。
【0078】
トナーの落下が実際に検知された場合、サンプリング期間に現像剤の透磁率は大きく変化するため、透磁率センサ24の出力電圧レベルの変化量は大きくなる。一方、トナーの落下が検知されない場合、現像剤の透磁率はほとんど変化しないため、透磁率センサ24の出力電圧レベルの変化量は小さい。このように、制御部10は、透磁率センサ24の出力電圧レベルの変化量に基づき、トナーの落下の有無(トナー切れの発生)を判定できる。
【0079】
次に、制御部10による透磁率センサ24の入力ゲインの調整について説明する。
【0080】
上記で説明したように、透磁率センサ24の検知感度を良好な状態に保つため、制御部10は透磁率センサ24の電圧出力レベルを監視し、電圧出力レベルに応じて入力ゲインの調整を行う。図7は、制御部10による透磁率センサ24の入力ゲインの調整の処理を示すフローチャートである。
【0081】
制御部10は、透磁率センサ24の電圧出力レベルが適正範囲を外れた場合(ステップ300、印字画像の動作を停止及びトナー補給を禁止する(ステップ310)。
【0082】
次に、制御部10は、透磁率センサ24の電圧出力レベルをサンプリングし(ステップ320)、検知した電圧出力レベルに基づき透磁率センサ24の入力ゲインを調整する(ステップ330)。
【0083】
透磁率センサ24の入力ゲインが調整された後、調整された入力ゲインに対する出力電圧レベルを再度サンプリングする(ステップ340)。制御部10は、再度検出された出力電圧レベルと最適出力電圧レベルVoとを比較し、最適出力電圧レベルVoと等しくなれば(ステップ350、Y)、印字画像の動作の開始及びトナー補給を許可する(ステップ360)。
【0084】
再度検出された出力電圧レベルと最適出力電圧レベルVoとを比較し、最適出力電圧レベルVoと等しくない場合(ステップ350、N)、再度、透磁率センサ24の入力ゲインを調整し、出力電圧レベルが最適出力電圧レベルVoと等しくなるまで調整を繰り返す。
【0085】
また、透磁率センサ24の電圧出力レベルが適正範囲Vo±Vαを外れた場合にのみ入力ゲインの調整を行うことに限定せず、本実施形態では、プロセスコントロールを実施する際には、サンプリングした電圧出力レベルの値に関わらず、透磁率センサ24の入力ゲインの調整を行う。
【0086】
プロセスコントロールを実施する際に透磁率センサ24の入力ゲインの調整を行うことで、透磁率センサ24の電圧出力レベルは定期的に最適出力電圧レベルVoに調整されるため、印字画像の動作中に透磁率センサ24の電圧出力レベルが適正範囲Vo±Vαを外れる頻度が下がり、画像形成の効率が低下することを抑えることができる。
【0087】
次に、画像形成装置100の故障を検知する方法及び個々の画像形成装置に機差に起因するトナー濃度変化を制御する方法について説明する。
【0088】
一般に、画像形成装置において、トナー濃度変化は一様ではなく、トナー消費量とトナー落下量に起因するトナー濃度変化は機種により異なり個体差(機差)が存在する。各々の画像形成装置に内在する機差により、実際のトナー濃度は、算出された値から徐々に外れ、適正範囲から逸脱することもあり得る。また、トナー濃度の逸脱が原因となり画像形成装置が故障することもある。
【0089】
このような画像形成装置の機差に起因するトナー濃度の適正範囲からの逸脱を制御するために、機差に起因するトナー消費量とトナー落下量を定期的に制御部10のトナー濃度コントロール部30にフィードバックし、トナー濃度が適正範囲に位置するように制御する。
【0090】
また、トナー濃度の逸脱が進み、トナー濃度が適正範囲に位置するように制御することが困難な濃度に達した場合、制御部10は、印字画像の動作を停止させ、修理を促すメッセージを図示しない操作表示部に表示させる。
【0091】
以下に、制御部10のトナー濃度コントロール部30が、トナー消費量とトナー落下量に起因するトナー濃度を判断する際の目安となる閾値(トナー濃度を制御する際の閾値)と、透磁率センサ24の入力ゲインとの関係について、図8を参照して説明する。
【0092】
図8は、現像剤のトナー濃度と透磁率センサ24の入力ゲインとの関係を示した表図である。図8に示すように、本実施形態に係る画像形成装置における記録媒体(用紙)に対する画像形成動作を、温度25℃、湿度50%の標準的な環境条件下で、透磁率センサ24の入力ゲインは、入力ゲイン曲線(Con2)で示される。
【0093】
また、図8に示すように、トナー濃度は3つの範疇に分類する。トナー濃度T1は、トナー濃度値TEL未満及びTEL以上の範囲で定義され、印字画像の劣化や感光体ドラム3へのキャリア飛び等の問題が生じ得る濃度である。トナー濃度T2は、トナー濃度値TEL以上及びTEL未満の範囲で定義され、適正なトナー濃度とする。さらに、トナー濃度T3は、トナー濃度値TL以上及びTH未満の範囲で定義され、適正なトナー濃度の範囲にあって、トナー濃度の変動に対するマージンを考慮した理想的なトナー濃度とする。
【0094】
また、透磁率センサ24の入力ゲイン及び電圧出力レベルは、トナー濃度以外にも、現像剤の流動性などの物性、動作環境の温度・湿度等に影響する。従って、前述したトナー濃度コントロール部30によって調整された入力ゲインも同様に、これらの要因に影響される。
【0095】
また、上記の実験環境の温度及び湿度を変化させて、透磁率センサ24の入力ゲインを測定した際に、透磁率センサ24の入力ゲインの上限界値は、図8に示すように、入力ゲイン曲線(Con1)で表わされ、下限界値は、入力ゲイン曲線(Con3)で表わされる。
【0096】
トナー濃度コントロール部30がトナー消費量とトナー落下量に起因するトナー濃度を判断する際の目安となる、透磁率センサ24の入力ゲインの閾値(トナー濃度を制御する際の閾値)は、図8に示すように、入力ゲイン値GL、GEL、GH、GEHで表される。
【0097】
入力ゲイン値GLは、理想的なトナー濃度の下限値TLに対応する入力ゲイン曲線(Con1)上の値として表される。入力ゲイン値GHは、理想的なトナー濃度の上限値THに対応する入力ゲイン曲線(Con3)上の値として表される。入力ゲイン値GL以上入力ゲイン値GH以下の範囲をエリアA1と称す。
【0098】
入力ゲイン値GELは、適正なトナー濃度の下限値TELに対応する入力ゲイン曲(Con2)上の値として表される。入力ゲイン値GEHは、適正なトナー濃度の上限値TEHに対応する入力ゲイン曲線(Con3)上の値として表される。入力ゲイン値GELから入力ゲイン値GL未満の範囲と、入力ゲイン値GHから入力ゲイン値GEH未満の範囲を、それぞれエリアA2、A3と称す。また、入力ゲイン値GEL未満の範囲をエリアA4とし、入力ゲイン値GEHより大きい入力ゲイン値の範囲をエリアA5と称す。尚、このように5つのエリアを設けたが、さらに詳細な条件を設定しエリアの分類を行っても良い。
【0099】
制御部10のトナー濃度コントロール部30は、エリアA1ではフィードバック制御を行わず、印字画像の動作を許可する。エリアA2及び3では、フィードバック制御をしてトナー濃度の調整を行い、印字画像の動作を許可する。エリアA4及び5では、印字画像の動作を禁止し、印字画像の動作を停止させる。
【0100】
また、トナー濃度コントロール部30によるフィードバック制御において、第1及び第2のトナー補給時間を算出する際に、エリアA2において負の値も設定された場合、又は、エリアA3において第1及び第2のトナー補給時間を算出する際に正の値も設定された場合に、累積トナー補給時間記憶手段34は、算出されたトナー補給時間を無効とみなしトナー補給時間を記憶することを禁止するとしても良い。
【0101】
また、トナー濃度コントロール部30によるフィードバック制御において、第1及び第2のトナー補給時間を算出する際に、入力ゲインのエリアに応じて予め定められた補正係数を掛け合わせてトナー濃度を調整するとしても良い。本実施形態に係る透磁率センサの入力ゲインのエリアごとの補給係数67は、図9に示すように、実験結果に基づき各エリア66に応じて定められている。
【0102】
次に、動作環境補正値、現像剤ライフ補正値及び印字率補正値に基づく第1及び第2の閾値のオフセットについて説明する。
【0103】
図10に示すように、動作環境補正値は、画像形成装置における温度・湿度等の動作環境の変動に基づきトナー濃度レベルを変える目的で加える補正値である。例えば、高温高湿環境ではトナー帯電量が低下するためトナー濃度を下げてトナー帯電量を確保したり、逆に、低温低湿環境ではトナー帯電量が上がるためトナー濃度を上げてトナー帯電量を抑えたりして現像性を確保するための補正値をいう。
【0104】
図11に示すように、現像剤ライフ補正値は、現像剤の使用による劣化による変動に基づき算出された補正値である。現像剤ライフの増加にともない、現像剤のトナー帯電量が低下する傾向がある。
【0105】
図12に示すように、印字率補正値は、入力された原稿画像の1ページ当たりの印字率による変動に基づき算出された補正値である。
【0106】
上述した実施例において、トナーセンサの入力ゲインに応じて所定範囲にあるか否かの判定の基準となる第1及び第2の閾値は、2つの入力ゲイン値(GL、GH)と2つの入力ゲイン値(GEL、GEH)としている。さらに、動作環境の温度・湿度の変化、現像剤ライフ及び印字率を考慮して、第1及び第2の閾値を柔軟に設定する。
【0107】
トナーセンサの入力ゲインに対応してフィードバック制御を行いトナーの補給を行うか否かの基準となる2つの入力ゲイン値(GL、GH)と、画像形成装置100が故障状態に在ることを判定し画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの入力ゲイン値(GEL、GEH)は、現像剤ライフの変化に基づく現像剤ライフ補正値、動作環境の変化に基づく動作環境補正値、印字率の変化に基づく印字率補正値のいずれか1つ若しくは全てを加えた値によってオフセット値を取ることで、上述した変動要因が考慮された閾値として設定される。
【0108】
以下に具体的な例を示す。図8では、第1の閾値(第1の下閾値)=入力ゲイン値GLとしたが、第1の閾値(第1の下閾値)=入力ゲイン値GL+動作環境補正値+現像剤ライフ補正値+印字率補正値としても良い。また、図8では第1の閾値(第1の上閾値)=入力ゲイン値GHとしたが、第1の閾値(第1の上閾値)=入力ゲイン値GH+動作環境補正値+現像剤ライフ補正値+印字率補正値としても良い。また、図8では第2の閾値(第2の下閾値)=入力ゲイン値GELとしたが、第2の閾値(第2の下閾値)=入力ゲイン値GEL+動作環境補正値+現像剤ライフ補正値+印字率補正値としても良い。また、図8では第2の閾値(第2の上閾値)=入力ゲイン値GEHとしたが、第2の閾値(第2の上閾値)=入力ゲイン値GEH+動作環境補正値+現像剤ライフ補正値+印字率補正値としても良い。尚、補正値として3種類の変動要因を考慮し、オフセットを行って新たな閾値として設定したが、どれか1つ又は2つを合算しても良い。
【0109】
従って、現像剤ライフによる現像剤ライフ補正値、環境変化による動作環境補正値、印字率による印字率補正値のいずれか1つ若しくは全てを加えた値が加わりオフセット値を取って第1の閾値及び第2の閾値を柔軟に設定することで、現像剤ライフ、動作環境及び印字率の変動に対応したトナー補給制御を行うことができる。
【0110】
また、トナー濃度コントロール部30は、透磁率センサ24の入力ゲインがエリアA1の範囲に遷移するようにフィードバック制御することで、機差に起因するトナー濃度の変化や、現像剤の流動性などの物性、動作環境の温度・湿度等による入力ゲインの変動によるトナー濃度の変化を制御することができる。また、制御不可能なトナー濃度に達し、透磁率センサ24の入力ゲインがエリアA4又はA5に遷移した場合、制御部10は画像形成装置の故障の発生を正確に検知できる。また、トナー濃度が適正範囲から外れた場合、画像形成装置の個々の機差に起因するものであり制御可能な不具合であるのか、画像形成装置の故障に起因するもので制御不可能なものであるのかを判定できる。
【符号の説明】
【0111】
2 現像装置
10 制御部
26 トナー補給装置
28 記憶部
30 トナー濃度コントロール部
31 印字率検知部
32 トナー消費量算出部
33 トナー補給維持間算出部
34 累積トナー補給時間記憶部
35 プロセスコントロール部
100 画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像部へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御手段と、
を備え、
前記トナー濃度制御手段は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にあることを検知した場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記画像の印字率に応じて前記トナーの消費量を算出する算出手段と、
画像を形成する際の画像補正処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール手段と、
を備え、
前記トナー濃度制御手段は、前記トナー消費量と前記プロセスコントロールを実行する際の現像バイアス値に基づいて、前記トナー補給量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセスコントロール手段は、静電潜像担持体上に形成した基準トナー像の濃度が検知され、前記検知された濃度に応じて現像バイアスを印加するプロセスコントロールを実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー濃度制御手段は、前記プロセスコントロールが実行される際にも前記入力ゲインを制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーセンサは、透磁率センサを用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載に画像形成装置。
【請求項7】
トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置に用いられる画像形成方法であって、
前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御ステップと、
前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にある場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御するトナー補給制御ステップとを備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値と、
を備え、
前記トナーの補給量を制御する前記トナー補給制御ステップは、前記第1の閾値と前記第2の閾値に対応して制御を行うステップを備えることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記2つの第1の閾値及び前記2つの第2の閾値は、現像剤ライフによる補正値、環境変化による補正値、印字率による補正値のいずれか1つ若しくは全てを加えた値が加わりオフセット値を取ることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項1】
トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像部へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御手段と、
を備え、
前記トナー濃度制御手段は、前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にあることを検知した場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記画像の印字率に応じて前記トナーの消費量を算出する算出手段と、
画像を形成する際の画像補正処理であるプロセスコントロールを実行するプロセスコントロール手段と、
を備え、
前記トナー濃度制御手段は、前記トナー消費量と前記プロセスコントロールを実行する際の現像バイアス値に基づいて、前記トナー補給量を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセスコントロール手段は、静電潜像担持体上に形成した基準トナー像の濃度が検知され、前記検知された濃度に応じて現像バイアスを印加するプロセスコントロールを実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー濃度制御手段は、前記プロセスコントロールが実行される際にも前記入力ゲインを制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーセンサは、透磁率センサを用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載に画像形成装置。
【請求項7】
トナーおよびキャリアを収容するトナー収容部と、前記トナーおよびキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う現像部と、前記トナー収容部から前記現像装置へ前記トナーを補給するトナー補給部と、前記現像部に補給される前記トナーの落下の有無を検知するトナーセンサと、画像形成動作を制御する制御部とを備える画像形成装置に用いられる画像形成方法であって、
前記2成分現像剤の濃度を所定の範囲の濃度になるよう制御するトナー濃度制御ステップと、
前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲外にある場合、所定の範囲内になるよう前記トナーセンサの入力ゲインを調整して前記トナーの補給量を制御するトナー補給制御ステップとを備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記トナーセンサの入力ゲインが所定の範囲は、前記トナーセンサの入力ゲインに対応しフィードバック制御を行い前記トナーの補給を行うか否かの基準となる2つの第1の閾値と、前記画像形成装置が故障状態に在ることを判定し前記画像形成動作を禁止するか否かの基準となる2つの第2の閾値と、
を備え、
前記トナーの補給量を制御する前記トナー補給制御ステップは、前記第1の閾値と前記第2の閾値に対応して制御を行うステップを備えることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記2つの第1の閾値及び前記2つの第2の閾値は、現像剤ライフによる補正値、環境変化による補正値、印字率による補正値のいずれか1つ若しくは全てを加えた値が加わりオフセット値を取ることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−232390(P2011−232390A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99927(P2010−99927)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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