説明

画像形成装置用ブレード

【課題】交換時期を確認できるように工夫が成された弾性部材を備える画像形成装置用ブレードを提供する。
【解決手段】長尺形状のプレート2上に、被接触体に当接される弾性部材3がプレート2の長手方向LDに沿って配置してある画像形成装置用ブレード1において、前記プレート2上に、異種の材料を少なくとも2層3−1、3−2に積層して、前記弾性部材3が形成してある。例えば、異種の材料は互いに色が異なる材料とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられるブレードに関し、特に、薄肉のプレートの片面上に弾性部材を配設してなる画像形成装置用ブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式または静電記録方式を採用した画像形成装置においては、現像ブレード、クリーニングブレード、転写ブレード等の種々のブレードが用いられている。
【0003】
具体的には、感光ドラム上に形成した静電潜像に対して現像ローラを介してトナーを付着させて静電潜像を可視化した後、可視化した像(トナー像)を感光ドラムから紙等の記録媒体に転写して画像を形成する従来の画像形成装置において、現像ブレードは、現像ローラの表面に供給されたトナーを均一な厚さに規制すると共に該トナーを摩擦帯電させるために用いられている。また、クリーニングブレードは、トナー像を紙等の記録媒体に転写した後に感光ドラム上に残存した余分なトナーを掻き取るために用いられている。更に、転写ブレードは、感光ドラム上のトナー像を紙等の記録媒体に転写するために用いられている。
【0004】
ここで、従来、現像ブレード、クリーニングブレード、転写ブレード等の画像形成装置用ブレードとしては、長尺形状の金属製薄肉プレートの片面上にゴム等の弾性部材をプレートの長手方向に沿って配設したものが用いられている(例えば、特許文献1参照)。なお、プレート上に配設される弾性部材は、ブレードの用途等に応じて所望の性能を発揮し得る形状および硬さに調製されている。
【0005】
そして、従来の画像形成装置では、上述した画像形成装置用ブレードの弾性部材が現像ローラ、感光ドラム、記録媒体などに接触することで、トナーの厚さ規制および摩擦帯電、余分なトナーの掻き取り、並びに、トナー像の転写などが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−216275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記従来の画像形成装置では、画像形成装置用ブレードの弾性部材と現像ローラ等の被接触体とが接触した状態で被接触体を駆動するため、画像形成装置用ブレードの弾性部材が経時的に摩耗することは避けられない。
【0008】
そして、上記画像形成装置では、画像形成装置用ブレードの弾性部材の摩耗が許容限界を超えて進行すると、画像形成装置用ブレードが所期の性能を発揮し得なくなる。即ち、画像形成装置用ブレードの弾性部材が許容限界を超えて摩耗すると、画像形成装置用ブレードのトナーに対する摩擦帯電付与機能やトナーの掻き取り機能などが低下して、そのブレードを採用している画像形成装置が十分な性能を発揮し得なくなる。そのため、画像形成装置用ブレードは、弾性部材が許容限界を超えて摩耗する前に交換する必要がある。
【0009】
そこで、画像形成装置用ブレードの交換時期を把握する手法を確立することが求められていた。また、このような画像形成装置用ブレードの交換時期を把握する手法の確立は、弾性部材の許容限界を超えた摩耗が発生し易い場合、例えば、画像形成装置用ブレードを長期に亘って使用する場合や、使用済の画像形成装置用ブレードの摩耗した弾性部材を新しい弾性部材に張り替えることで金属製薄肉プレートをリサイクルして使用する場合等において特に求められていた。
【0010】
しかしながら、画像形成装置用ブレードの交換時期を把握する有効な手法は未だに確立されていなかった。そこで、本発明は、交換時期を確認できるように工夫が成された弾性部材を備える画像形成装置用ブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、長尺形状のプレート上に、被接触体に当接される弾性部材がプレートの長手方向に沿って配置してある画像形成装置用ブレードにおいて、前記プレート上に、異種の材料を少なくとも2層積層して、前記弾性部材が形成してあることを特徴とする画像形成装置用ブレードによって達成できる。
【0012】
そして、前記異種の材料は互いに色が異なる材料とすることができる。
また、前記異種の材料は互いに硬さが異なる材料とすることができる。
また、前記異種の材料は互いに帯電列が異なる材料とすることができる。
また、前記異種の材料は互いに導電性が異なる材料とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本願発明による画像形成装置用ブレードでは、異種の材料を少なくとも2層積層することにより弾性部材が形成してあるので、継続的な使用によって上層部分の磨耗が進行すると下層部分が現れることになる。このような弾性部材の状態変化(形状変化)もしくは画像の変化に基づいて、画像形成装置用ブレードの交換時期を適切に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る現像ブレードを画像形成装置に取付けたときの様子を示している模式図である。
【図2】本実施形態に係る現像ブレードの外観を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる一実施形態を、図を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、現像ブレードを例にとって説明するが、画像形成装置用ブレードはこれに限るものではない。図1は、本実施形態に係る現像ブレードを画像形成装置に取付けたときの様子を示している模式図である。すなわち、本発明の画像形成装置用ブレードは、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において現像ブレード、クリーニングブレード、転写ブレード等として用いることができる。本発明の画像形成装置用ブレードは、長尺形状のプレートと、該プレートの長手方向に沿って配設され、被接触体に当接される弾性部材と、該弾性部材に埋設され、弾性部材の摩耗に伴って露出して弾性部材の摩耗状態の指標となるインジケータ部材とを備えることを特徴とする。また、本発明の画像形成装置用ブレードの弾性部材が当接する被接触体はブレードの用途によって異なり、例えば、本発明の画像形成装置用ブレードを現像ブレードとして使用する場合には被接触体は現像ローラであり、クリーニングブレードとして使用する場合には被接触体は感光ドラムであり、転写ブレードとして使用する場合には被接触体は紙等の記録媒体である。また、以下では、本発明の画像形成装置用ブレードの一例を現像ブレードとして用いた場合について説明するが、本発明の画像形成装置用ブレードは、クリーニングブレードや転写ブレード等として用いた場合にも同様の効果を得ることができる。
【0016】
図1で、画像形成装置100はハウンジング101の内部に現像剤(トナー)102を収容し、この現像剤102を攪拌機103で攪拌しながら、現像剤供給ローラ104を介して、現像ローラ105の表面に供給している。ここで、現像ブレード1は回転する現像ローラ105の周面に押圧される姿勢で配置されている。現像ブレード1によって、現像ローラ105の表面に供給された現像剤102が均一な薄層に規制されると共に摩擦帯電される。このようにして、所定の層厚に規制され、かつ、摩擦帯電された現像剤102は、現像ローラ105の回転に伴って、対向配置されている感光ドラム106の現像領域へと搬送される。これにより、感光ドラム106の表面に現像剤102を付着させることで静電潜像を顕像化させている。
以上のように画像形成装置100で使用される現像ブレード1は、弾性部材3が被接触体(図示の場合は現像ローラ105)に押圧されるので、経時により磨耗することは避けられない。その磨耗状態を確実に確認できれば現像ブレードの交換時期を適切に判断できるので、無駄なく現像ブレードを使用することができ、またメンテナンス作業なども迅速、確実に行えるようになる。
【0017】
本発明に係る現像ブレード1は、上記のような要請に基づくもので、継続的な使用によって磨耗の状態を確認できるように工夫が成された弾性部材を有する新規な現像ブレード(画像形成装置用ブレード)である。より具体的には、異種の材料を少なくとも2層に積層しておくことで、継続的な使用によって上層部分の磨耗が進行すると下層部分が現れる。このような弾性部材の状態変化(形状変化)に基づいて、画像形成装置用ブレードの交換時期を適切に判断できるように設計してある現像ブレードである。以下、更に、図を参照して本発明に係る現像ブレード1を説明する。
【0018】
図2は現像ブレード1の外観を示した斜視図である。
現像ブレード1は、薄肉で長尺形状なプレートとしての金属プレート2と、その片面2a上に配置された弾性部材としてのゴム部材3を備えている。ゴム部材3は長尺形状の金属プレート2上で、その長手方向LDに沿って配置されている。金属プレート2の幅方向WDにおけるゴム部材3の位置は、この現像ブレード1を画像形成装置にセットしたときに被接触体に当接する位置に応じて定められる。例えば、図2で示すように長手方向LDで一方の端縁2EDから中央側へ若干、オフセットした位置にゴム部材3を配置することができる。
ただし、図2で示しているゴム部材3について、その外観形状や金属プレート2上における配置位置は単なる一例示である。図示のゴム部材3の横断面形状は半円形状であるが、これに限らず低い台形形状や半円形状の裾野部分が広がった形状など、適宜に種々の形状を設計し、採用することができる。ゴム部材3の配置位置についても、図示のようにオフセットさせずに端縁2EDに一致するように配置してもよいし、更にはゴム部材3の一部が端縁2EDから外側へ突出するように配置してもよい。
【0019】
そして、上記金属プレート2は、例えばステンレス鋼(SUS)やリン青銅などで形成することができる。金属プレート2の具体的な形状は採用される画像形成装置により適宜に設計されるが、大よその形状は長方形状であって、例えば長手方向LDにおける寸法は200〜300mm程度、幅方向WDにおける寸法は10〜20mm程度、そして厚さは0.08〜0.15mm程度である。
【0020】
従来の画像形成装置用ブレードの場合は金属プレートのゴム部材を1つの材料により形成するのが一般的であるが、本願発明に係る現像ブレード1の場合には弾性部材が異種の材料を交互に少なくとも2層に積層して形成してある。ゴム部材3を形成するためのベース材料として、例えば2液硬化性ポリウレタン、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ミラブルシリコーン、液状シリコーンゴムなどの熱硬化性のゴム材や、熱可塑性のウレタンやスチレンを好適に採用することができる。
【0021】
異種の材料を少なくとも積層して形成するゴム部材3の具体的な形態には、複数の好適構造があるので、以下これについて順に説明する。なお、ここでは発明の理解を容易とするため図2で示すように、上層部分3−1と下層部分3−2との2層構成によりゴム部材3を形成した場合を説明するが、ゴム部材3は3層以上で形成してもよい。このように3層以上で形成した場合、隣接する層との間で、色、硬さ、帯電性および導電性の特性が互いに異なるようにして積層する。
【0022】
(第1の形態例)
第1の形態例は互いに色が異なる材料を積層してゴム部材3を形成する場合である。すなわち、図2で上層部分3−1と下層部分3−2とが互いに異なる色の積層体になる。この第1の形態例の場合、ベース材料は前述したゴム材から選択すればよい。例えば、生産性に優れているという点から液状シリコーンゴムを採用でき、適宜の色材を添加して色付きのゴム材とすることができる。
ゴム部材3を互いに色が異なる材料で形成した場合、状態変化は例えば上層部分3−1の白から下層部分の黒3−2、或いは上層部分3−1から下層部分の赤3−2などの色の変化となる。よって、この場合にはゴム部材3の磨耗による形状変化を視覚で確認できる。よって、例えば下層の黒色や赤色が出現したときに、現像ブレード1の交換時期が来たとの確認を容易に行うことができる。
【0023】
(第2の形態例)
第2の形態例は、互いに硬さが異なる材料を積層してゴム部材3を形成する場合である。すなわち、図2で上層部分3−1と下層部分3−2とが互いに異なる硬さの積層体とされる。
このようなゴム部材3を備える現像ブレード1を適用した画像形成装置では、ゴム部材3の磨耗が進行して形状が変化すると出力される印刷物の印字状態の変化として確認できる。例えば相対的に硬さが軟性である上層部分3−1から、相対的に硬さが硬性である下層部分3−2への変化で、ゴム部材3が当接している現像ローラ上の現像剤に変化をもたらす。すなわち、被接触体が現像ローラなどであれば出力される印刷物の印字状態(形成画像の状態)の変化となって表れるので、このような印刷が出現したときに現像ブレードの交換時期が来たとの確認ができる。
【0024】
なお、この第2の形態例の場合、前述したゴム材から硬化後に異なる硬さを呈するものを選択し、積層構造とすれば簡単に製造できる。上記のように下層部分3−2側を相対的に硬度が高い材料、そして上層部分3−1側を相対的に硬度が低い材料とする場合、例えば上層部分3−1については液状シリコーン、そして下層部分3−2については2液硬化性ポリウレタンとする場合や、一層目と二層目を同一液状シリコーンとする場合でも充填材の量を一層目と2層目で変えることにより硬度を変えることができる。この場合、充填材量を少量にすれば低硬度、高充填にすれば高硬度とすることができる。
【0025】
(第3の形態例)
第3の形態例は、互いに帯電列が異なる材料を積層してゴム部材3を形成する場合である。すなわち、図2で上層部分3−1と下層部分3−2とが帯電列が異なる材料の積層体とされる。
このようなゴム部材3を備える現像ブレード1を適用した画像形成装置では、ゴム部材3の磨耗が進行して形状が変化すると出力される印刷物の印字状態の変化として確認できる。例えば相対的に帯電列を正側に設定してある上層部分3−1から、相対的に帯電列を負側に設定してある下層部分3−2への変化で、ゴム部材3が当接している現像ローラ上の現像剤に変化をもたらす。すなわち、被接触体が現像ローラなどであれば出力される印刷物の印字状態(形成画像の状態)の変化となって表れるので、このような印刷が出現したときに現像ブレードの交換時期が来たとの確認ができる。
【0026】
この第3の形態例の場合、帯電列の異なる材料を用いることで、現像剤との摩擦状態が変化して現像剤の帯電状態が異なる。これにより、印字状態に変化が表れ、弾性体の摩耗状態を確認できるようになる。材料の帯電列を変化させる方法としては、シリコンやウレタン等の帯電列の異なる材料を用いてもよいし、同じウレタン系でもテフロン粒子の添加有無によって帯電列を変化させてもよい。
【0027】
(第4の形態例)
第4の形態例は、上記第3の形態例と関連して電気的特性に係るものであるが、互いに導電性が異なる材料を積層してゴム部材3を形成する場合である。すなわち、図2で上層部分3−1と下層部分3−2とで導電性が異なるように設定した積層体とされている。
このようなゴム部材3を備える現像ブレード1を適用した画像形成装置では、ゴム部材3の磨耗が進行して形状が変化すると出力される印刷物の印字状態の変化として確認できる。例えば導電性が相対的に高く設定してある材料で形成してある上層部分3−1から、導電性が相対的に低く設定してある材料で形成してある下層部分3−2への変化で、ゴム部材3が当接している現像ローラ上の現像剤に変化をもたらす。すなわち、被接触体が現像ローラなどであれば出力される印刷物の印字状態(形成画像の状態)の変化となって表れるので、このような印刷が出現したときに現像ブレードの交換時期が来たとの確認ができる。
【0028】
なお、この第4の形態例の場合、ベース材料は前述したゴム材から選択すればよく、例えばシリコーンにカーボンブラックやイオン導電剤を添加することによって、導線性を変化させることができる。必要により、導電性材料と非導電性材料とを積層してゴム部材3を形成してもよい。
【0029】
以上で説明した現像ブレードは、金型を用いたインサート射出成形やトランスファー成形などを用いて製造することができる。例えば、金型内に金属プレートをセットして、液状シリコーンを注入することにより、金属プレート上に長手方向に沿って液状シリコーンを流し込み、これを硬化させてゴム部材とすることで、前述した現像ブレードを製造できる。
ここで第1の形態例の色が異なるゴム部材を形成する場合、予め液状シリコーンに所定色(赤、黒、青など)を呈する色材を混合して、下層部分用の液状シリコーン、上層部分用の液状シリコーンを順に流し込んで積層を形成すればよい。
そして、前述した第2、第3、第4の形態例のように硬さ、電気特性などの物理特性が互いに異なるゴム部材を形成する場合も、予めそれぞれの材料を準備して、順に積層を形成すればよい。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。上記では一実施例として現像ブレードについて説明したが、クリーニングブレード、転写ブレードなどの他の種々の画像形成装置用ブレードにも、同様に適用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 現像ブレード(画像形成装置用ブレード)
2 金属プレート(プレート)
3 ゴム部材(弾性部材)
3−1 上層部分
3−2 下層部分
100 画像形成装置
105 現像ローラ
LD プレートの長手方向
WD プレートの幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺形状のプレート上に、被接触体に当接される弾性部材がプレートの長手方向に沿って配置してある画像形成装置用ブレードにおいて、
前記プレート上に、異種の材料を少なくとも2層積層して、前記弾性部材が形成してある、ことを特徴とする画像形成装置用ブレード。
【請求項2】
前記異種の材料は互いに色が異なる材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用ブレード。
【請求項3】
前記異種の材料は互いに硬さが異なる材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用ブレード。
【請求項4】
前記異種の材料は互いに帯電列が異なる材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用ブレード。
【請求項5】
前記異種の材料は互いに導電性が異なる材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用ブレード。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−173656(P2012−173656A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37723(P2011−37723)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】