説明

画像形成装置

【課題】 現像ローラ起動時のトナー洩れの発生を防止する。
【解決手段】 各々タグを搭載した複数の現像器を保持した回転型現像装置において、タグに画像形成履歴情報がない新品の現像器が画像形成装置に装着された際に、画像形成工程前に、その現像器を、現像位置とは異なる、現像ローラの表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、現像ローラを所定時間にわたり、空回転させる。現像器が上向きの状態で現像ローラを空回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等を用いた画像形成装置、特に回転型現像装置を具備した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、需要の多様化の中にあって、例えばオフィス等で使用されるプリンタにより出力される画像のカラー化に対する要望が増加している。そして、これに応えるべく、いくつかの手法によるカラー画像形成装置が提案されているが、その中の一つとして、色ずれのないカラー画像を得ることを目的とした、中間転写体を用いたカラー画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9にその概略構成図を示すが、矢印の方向に所定のプロセススピードをもって回転駆動される感光ドラム101は、まず、その表面が帯電ローラ102によって、一様に帯電される。次に、画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビーム103による走査露光が施され、感光ドラム101上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、回転軸104の周囲に複数の現像器を保持し、この回転軸104の回転により感光ドラム101に対向する現像位置105に各現像器を順次移動させる回転型現像装置106により、現像、可視化される。例えばこの回転型現像装置106には、各々現像ローラを有し、第1色目のトナーとしてイエロートナーが内包された第1の現像器107a、第2色目のトナーとしてマゼンタトナーが内包された第2の現像器107b、第3色目のトナーとしてシアントナーが内包された第3の現像器107c、第4色目のトナーとしてブラックトナーが内包された第4の現像器107dが一体的に保持されており、まず上記静電潜像は、第1色目のトナーとしてイエロートナーが内包された第1の現像器107aにより現像、可視化される。
【0004】
なお、これらのトナーの正規の極性は負極性である。可視化された第1のトナー像は、矢印の方向に回転駆動される中間転写ベルト108と対向する第1の転写位置109において、中間転写ベルト108表面に静電転写(1次転写)される。なお、1次転写が終了した感光ドラム101表面に若干量残存する1次転写残留トナーは、クリーニング装置110により除去される。このクリーニング装置110は、感光ドラム101表面に対し、いわゆるカウンタ方向に当接する弾性部材を有するクリーニングブレード110aから成る。
【0005】
続いて上記工程を3回繰り返すことにより中間転写ベルト108上にトナー像が順次重ねて転写される。即ち、マゼンタトナーにより現像された第2のトナー像、シアントナーにより現像された第3のトナー像、ブラックトナーにより現像された第4のトナー像が順次中間転写ベルト108表面に転写、積層される。
【0006】
その後、中間転写ベルト108表面に対して離間状態にあった2次転写ローラ111が中間転写ベルト108表面に圧接、回転駆動され、第2の転写位置112に所定のタイミングで搬送されてくる転写材P表面に、中間転写ベルト108表面に形成されたトナー像が一括転写(2次転写)され、この転写材Pは定着装置113へと搬送され、永久画像として定着された後、機外へと排出される。
【0007】
各現像器107a、107b、107c、107dは、容器の開口部に配設された回転可能な現像剤担持体としての現像ローラ114、現像ローラ114に当接し、現像ローラ114上のトナー量を規制する現像剤規制部材としての現像ブレード115、現像ローラ114に当接し、現像ローラ114に非磁性1成分トナーを供給する回転可能な供給ローラ116、開口部における現像ローラ114の回転方向下流側で現像ローラ114表面に当接し、容器下部からのトナー洩れを防止する洩れ防止部材117、供給ローラ116近傍にトナーを搬送する撹拌部材118を有したプロセスカートリッジの形態を成しており、これらは、画像形成装置内の回転型現像装置106に対し着脱可能となっている。
【0008】
現像ローラ114は感光ドラム101に当接、回転することにより現像工程を行なう、所謂接触現像方式に適合すべく、少なくとも弾性体を有することが好ましい。また、現像ブレード115は金属薄板のバネ弾性を利用して、現像ローラ114表面に対し軽圧当接される。洩れ防止部材117は、例えばPET等の薄いシートから成り、現像ローラ114表面に対し軽圧当接される。現像ローラ114にはトナーを現像ローラ114から感光ドラム101表面へ転移させるために、不図示の現像バイアス電源により所定の直流バイアスが供給される。
【特許文献1】特開平10−260566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような非磁性1成分トナーを用いた画像形成装置にあっては、未使用状態の現像器を初めて使用し画像形成を行なう場合に、以下のような不具合が生じる場合があった。
【0010】
まず、未使用状態の現像器は、トナーが内包されているトナー収納部と、現像ローラ、現像ブレード、供給ローラ等の部材が配設されている現像部との間にシール部材が設けられており、ユーザがこのシール部材を除去することにより使用可能な状態となるが、現像ローラの初起動時の回転トルクを低減することを目的として、組み立て時において予め現像ローラ表面に潤滑材としての若干量のトナーをコーティングさせ、現像ローラと現像ブレードとのニップ部にトナーが介在した形態で出荷されることが一般的である。この若干量のトナーは、トナー収納部に内包されているトナーと同色のトナーか、あるいは他色と混色しても視覚的に影響の少ないイエロートナーであることが多い。
【0011】
一方で、良好な画像品位を得るためには、トナーの帯電量は適正な大きさにある必要がある。トナーの帯電量は、現像ローラの回転に伴い、トナーが現像ローラと現像ブレードとのニップ部に搬送され、そこでの摺擦による摩擦帯電により得られるものが主である。しかしながら、未使用状態の現像器を初めて用いて画像形成を行なう場合にあっては、組み立て時に現像ローラ表面に予めコーティングされたトナーの帯電量は、経時により極端に減衰している。そして、このトナーが現像ローラ表面を被覆しているために、特に現像ローラの初起動時において、現像ローラと現像ブレードとのニップ部に向けてトナー収納部から搬送されてくる新たなトナーに対する充分な電荷付与が阻害されてしまい、この充分な電荷量を保持しないトナーが現像ローラと現像ブレードとのニップ部を塊となってすり抜けてしまい、これが現像ローラの回転とともに現像器の下方部、具体的には洩れ防止部材付近の顎部にトナーが堆積してしまう。そしてこの堆積したトナーは、回転型現像装置の回転に伴い顎部から脱落し、現像器自体、更には画像形成装置本体内部を汚染するという不具合があった。
【0012】
この現象は、画像形成装置が設置されている周囲の環境が高温高湿環境下であるといったように、トナーの帯電量が得られにくい状況でより顕著に発生する傾向がある。またこの現象は、その内部にマグネットを内包した現像スリーブと、磁性トナーとを用いた現像方式に比べ、磁力によるトナー搬送力がないために非常に発生し易く、特にその形状が略球形であるトナーを用いた非磁性1成分現像方式においては、より顕著である。
【0013】
例えば、特開平8−305119号公報においては、画像形成を行なうに際し、現像位置とは異なる位置において、画像形成直前に毎回現像ローラを回転させることが開示されているが、この構成では、本来の現像工程時間以外にも、必要以上に多数回現像ローラが回転することになってしまい、現像ローラ自体、またはトナーの劣化が促進されてしまい、現像器の寿命を短命化し好ましくないとともに、現像器が下方を向いた姿勢で現像ローラを回転させるため、上述したトナー洩れを回避することは不可能である。
【0014】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、現像ローラ起動時のトナー洩れの発生を防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以上を鑑み、本発明によれば、
回転可能な像担持体と、少なくとも現像剤、前記像担持体表面に当接、回転可能な現像剤担持体、現像剤規制部材、画像形成履歴を記録、参照するための記憶手段とを有する現像手段を回転軸の周囲に複数保持し、該回転軸の回転により前記像担持体に対向する現像位置に前記現像手段を順次移動させ、該現像手段により前記像担持体表面に形成された静電潜像を順次可視化する回転型現像装置と、前記記憶手段にアクセスする読み書き手段とを具備した画像形成装置において、
該画像形成装置が、前記読み書き手段を介し、回転型現像装置に装着された現像手段に具備された記憶手段に記録された画像形成履歴の有無により、前記現像手段が未使用状態であるか否かを識別し、該現像手段が未使用状態の現像手段であると認識した場合においては、画像形成工程前に、前記回転軸を回転させることにより、前記現像手段を、前記現像位置とは異なる、前記現像剤担持体の表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、前記現像剤担持体を所定時間にわたり空回転させる準備工程を設ける、
または、
回転可能な像担持体と、少なくとも現像剤、前記像担持体表面に当接、回転可能な現像剤担持体、現像剤規制部材、少なくとも収納されている現像剤の色情報と画像形成履歴を記録、参照するための記憶手段とを有する現像手段を回転軸の周囲に複数保持し、該回転軸の回転により前記像担持体に対向する現像位置に前記現像手段を順次移動させ、該現像手段により前記像担持体表面に形成された静電潜像を順次可視化する回転型現像装置と、前記記憶手段にアクセスする読み書き手段とを具備した画像形成装置において、
該画像形成装置が、前記読み書き手段を介し、回転型現像装置に装着された現像手段に具備された記憶手段に記録された画像形成履歴の有無により、前記現像手段が未使用状態であるか否かを識別し、該現像手段が未使用状態の現像手段であると認識した場合においては、画像形成工程前に、前記回転軸を回転させることにより、前記現像手段を、前記現像位置とは異なる、前記現像剤担持体の表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、前記現像剤担持体を所定時間にわたり空回転させる準備工程を設けるとともに、前記記憶手段に記録された収納現像剤色情報に応じて、前記空回転時間を可変とする、
または、
回転可能な像担持体と、少なくとも現像剤、前記像担持体表面に当接、回転可能な現像剤担持体、現像剤規制部材、画像形成履歴を記録、参照するための記憶手段とを有する現像手段を回転軸の周囲に複数保持し、該回転軸の回転により前記像担持体に対向する現像位置に前記現像手段を順次移動させ、該現像手段により前記像担持体表面に形成された静電潜像を順次可視化する回転型現像装置と、前記記憶手段にアクセスする読み書き手段と、周囲の環境状態を検知する環境検知手段とを具備した画像形成装置において、
該画像形成装置が、前記読み書き手段を介し、回転型現像装置に装着された現像手段に具備された記憶手段に記録された画像形成履歴の有無により、前記現像手段が未使用状態であるか否かを識別し、該現像手段が未使用状態の現像手段であると認識した場合においては、画像形成工程前に、前記回転軸を回転させることにより、前記現像手段を、前記現像位置とは異なる、前記現像剤担持体の表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、前記現像剤担持体を所定時間にわたり空回転させる準備工程を設けるとともに、前記環境検知手段により得られた環境情報に応じて、前記空回転時間を可変とすることにより、
略球形の非磁性1成分トナーを用いた接触現像方式において、未使用状態の現像手段を初めて使用し画像形成を行なう場合にあっても、現像ローラの回転数を必要最小限にとどめることにより現像器寿命を短命化することなく、トナー洩れに起因する現像手段、画像形成装置本体内部の汚染といった不具合の発生を防止することが可能となり、前記課題を解決できた。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、
回転可能な像担持体と、少なくとも現像剤、前記像担持体表面に当接、回転可能な現像剤担持体、現像剤規制部材、画像形成履歴を記録、参照するための記憶手段とを有する現像手段を回転軸の周囲に複数保持し、該回転軸の回転により前記像担持体に対向する現像位置に前記現像手段を順次移動させ、該現像手段により前記像担持体表面に形成された静電潜像を順次可視化する回転型現像装置と、前記記憶手段にアクセスする読み書き手段とを具備した画像形成装置において、
該画像形成装置が、前記読み書き手段を介し、回転型現像装置に装着された現像手段に具備された記憶手段に記録された画像形成履歴の有無により、前記現像手段が未使用状態であるか否かを識別し、該現像手段が未使用状態の現像手段であると認識した場合においては、画像形成工程前に、前記回転軸を回転させることにより、前記現像手段を、前記現像位置とは異なる、前記現像剤担持体の表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、前記現像剤担持体を所定時間にわたり空回転させる準備工程を設ける、
または、
回転可能な像担持体と、少なくとも現像剤、前記像担持体表面に当接、回転可能な現像剤担持体、現像剤規制部材、少なくとも収納されている現像剤の色情報と画像形成履歴を記録、参照するための記憶手段とを有する現像手段を回転軸の周囲に複数保持し、該回転軸の回転により前記像担持体に対向する現像位置に前記現像手段を順次移動させ、該現像手段により前記像担持体表面に形成された静電潜像を順次可視化する回転型現像装置と、前記記憶手段にアクセスする読み書き手段とを具備した画像形成装置において、
該画像形成装置が、前記読み書き手段を介し、回転型現像装置に装着された現像手段に具備された記憶手段に記録された画像形成履歴の有無により、前記現像手段が未使用状態であるか否かを識別し、該現像手段が未使用状態の現像手段であると認識した場合においては、画像形成工程前に、前記回転軸を回転させることにより、前記現像手段を、前記現像位置とは異なる、前記現像剤担持体の表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、前記現像剤担持体を所定時間にわたり空回転させる準備工程を設けるとともに、前記記憶手段に記録された収納現像剤色情報に応じて、前記空回転時間を可変とする、
または、
回転可能な像担持体と、少なくとも現像剤、前記像担持体表面に当接、回転可能な現像剤担持体、現像剤規制部材、画像形成履歴を記録、参照するための記憶手段とを有する現像手段を回転軸の周囲に複数保持し、該回転軸の回転により前記像担持体に対向する現像位置に前記現像手段を順次移動させ、該現像手段により前記像担持体表面に形成された静電潜像を順次可視化する回転型現像装置と、前記記憶手段にアクセスする読み書き手段と、周囲の環境状態を検知する環境検知手段とを具備した画像形成装置において、
該画像形成装置が、前記読み書き手段を介し、回転型現像装置に装着された現像手段に具備された記憶手段に記録された画像形成履歴の有無により、前記現像手段が未使用状態であるか否かを識別し、該現像手段が未使用状態の現像手段であると認識した場合においては、画像形成工程前に、前記回転軸を回転させることにより、前記現像手段を、前記現像位置とは異なる、前記現像剤担持体の表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、前記現像剤担持体を所定時間にわたり空回転させる準備工程を設けるとともに、前記環境検知手段により得られた環境情報に応じて、前記空回転時間を可変とすることにより、
略球形の非磁性1成分トナーを用いた接触現像方式において、未使用状態の現像手段を初めて使用し画像形成を行なう場合にあっても、現像ローラの回転数を必要最小限にとどめることにより現像器寿命を短命化することなく、トナー洩れに起因する現像手段、画像形成装置本体内部の汚染といった不具合の発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施例を示す。
【実施例】
【0018】
(第1の実施例)
まず、本発明に係るカラー画像形成装置の概略構成図を図1に示す。
【0019】
図1において、1は第1の像担持体としての感光ドラムであり、OPC等の感光材料がアルミニウム等のシリンダ状の基体の外周面に形成されており、その外径は50mmである。上記感光ドラム1は、矢印の方向に120mm/secの周速度をもって回転駆動され、まず、その表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって、暗部電位VDとして約−700vに一様に帯電される。この帯電ローラ2には、直流電圧に、交流電圧を重畳した振動電圧が印加されている。次に第1の画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビーム3による走査露光が施され、明部電位VLとして約−150vの第1の静電潜像が形成される。このように形成された静電潜像は、回転軸4の周囲に複数の現像器を保持し、この回転軸4の回転により感光ドラム1に対向する現像位置5に各現像器を順次させる回転型現像装置6により、現像・可視化される。この回転型現像装置6は、第1色目のトナーとしてイエロートナーが内包された第1の現像器7a、第2色目のトナーとしてマゼンタトナーが内包された第2の現像器7b、第3色目のトナーとしてシアントナーが内包された第3の現像器7c、第4色目のトナーとしてブラックトナーが内包された第4の現像器7dが着脱可能な構成となっており、所定の切り替え時間をもって、これら各現像器7a、7b、7c、7dを感光ドラム1に対向した現像位置5へ回転移動させることで順次切り替え可能な不図示の移動手段が設けられている。
【0020】
現像器は、容器の開口部に配設された回転可能な現像剤担持体としての現像ローラ8、現像ローラ8にトナーを供給するための回転可能な供給ローラ9、現像剤規制部材としての現像ブレード10、開口部における現像ローラ8の回転方向下流側で現像ローラ8表面に当接し、容器下部からのトナー洩れを防止する洩れ防止シート11、供給ローラ9近傍にトナーを搬送する回転可能な撹拌部材12、とから成り、画像形成履歴を記録、参照可能なフラッシュメモリ等の記憶媒体(不図示)をも有している。この記憶媒体に対しては、画像形成装置に具備された読み書き手段(不図示)によりアクセス可能となる。
【0021】
そして、不図示の移動手段により感光ドラム1と対向する現像位置5に順次回転移動された各現像器は、不図示のモータにより矢印の方向に現像ローラ8が回転駆動されるとともに、クラッチ等から成る不図示の接離機構により感光ドラム1方向へと加圧移動させられることにより、現像ローラ8が感光ドラム1表面に回転、当接する。現像ローラ8の回転周速は、感光ドラム1の回転周速と同等か、それよりも速いことが一般的である。このように現像ローラ8は感光ドラム1表面に当接して現像工程を行なうため、芯金の外周面にゴム等の弾性層を有する形態のものが用いられることが好ましく、この現像ローラ8に対しては、不図示の高圧電源により、所定の直流バイアスが印加され、感光ドラム1上の被露光部電位とこのバイアスとの電位差により現像ローラ8上のトナーが感光ドラム1上の被露光部に転移することにより、現像工程が行なわれる。現像ブレード10は、金属薄板から成り、薄板のバネ弾性を利用して、現像ローラ8表面に軽圧当接され、現像ローラ8の回転に伴い、この現像ローラ8と現像ブレード10とのニップ部に搬送されてくるトナーを摺擦、摩擦帯電させることにより電荷を付与させるとともに、層厚規制される。金属薄板の材質としては、ステンレス鋼、リン青銅等が使用可能であるが、本実施例においては、厚さ0.1mmのリン青銅薄板を用いた。
【0022】
なお、上記イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーの正規の帯電極性はマイナスである。そしてまず、上記第1の静電潜像は、第1色目のトナーとしてイエロートナーが内包された第1の現像器7aにより現像、可視化される。
【0023】
可視化された感光ドラム1上のイエロートナー像は、矢印の方向に回転駆動される中間転写体としての中間転写ベルト13と対向する第1の転写部位14aにおいて、不図示の高圧電源により1次転写ローラ15に対してトナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧(1次転写バイアス)が印加され、中間転写ベルト13表面に静電転写(1次転写)される。上記中間転写ベルト13は、懸架ローラ16a、16b、16cにより支持されるとともに、上記感光ドラム1に対して、1次転写ローラ15により所定の押圧力をもって圧接されつつ、感光ドラム1の周速度と略等速の周速度をもって矢印の方向に回転駆動される。
【0024】
なお、1次転写が終了した感光ドラム1表面に若干量残存する1次転写残留トナーは、クリーニング装置17により除去される。このクリーニング装置17は、板金等から成る支持部材の先端部に、ウレタンゴム等から成る弾性部材を有するクリーニングブレード17aを具備しており、上記弾性部材の先端部を上記感光ドラム1表面に対して、いわゆるカウンタ方向で所定の押圧力をもって当接させることにより、上記1次転写残留トナーを上記感光ドラム1表面から除去する。
【0025】
更に、上記工程を3回繰り返し、その都度、マゼンタトナーにより現像されたマゼンタトナー像、シアントナーにより現像されたシアントナー像、ブラックトナーにより現像されたブラックトナー像が順次中間転写ベルト13表面に転写、積層される。
【0026】
その後、中間転写ベルト13表面に対して離間状態にあった2次転写ローラ18が、所定の押圧力をもって中間転写ベルト13を介して懸架ローラ16cに圧接、回転駆動される。上記2次転写ローラ18に対しては、不図示の高圧電源により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧(2次転写バイアス)が印加されることにより、第2の転写部位14bにレジローラ19により所定のタイミングをはかり搬送されてくる転写材P表面に、中間転写ベルト13表面に積層形成されたトナー像が一括転写(2次転写)され、この転写材Pは、定着装置20へと搬送され、永久画像として定着された後、機外へと排出される。
【0027】
なお、2次転写が終了した中間転写ベルト13表面に若干量残存する2次転写残留トナーは、所定のタイミングをもって中間転写ベルト13表面に当接するクリーニング装置21により除去される。
【0028】
次に、本実施例で用いたトナーについて説明する。
【0029】
本発明に係るトナーは、例えば懸濁重合法により製造され、その粒径は約5〜7μmの実質的球形であり、低軟化物質(ワックス成分)を内包した、非磁性1成分微粒径重合トナーである。透過電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断層面観察において、ワックス成分が結着樹脂と相溶しない状態で、実質的に球状及び/又は紡錘形で島状に分散されていることが好ましい。ワックス成分を上記の如く分散させ、トナー中に内包化させることによりトナーの劣化や画像形成装置への汚染等を防止することができるので、良好な帯電性が維持され、ドット再現に優れたトナー画像を長期にわたって形成し得ることが可能となる。また、加熱時にはワックス成分が効率よく作用するため、低温定着性と耐オフセット性を満足なものとする。
【0030】
本発明においてトナー粒子の断層面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を充分分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させることにより得られた効果物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し、透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナー粒子の断層形態を観察する。本発明においては、用いるワックス成分と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため、四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。
【0031】
本発明に係るワックス成分は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に40〜130℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが用いられる。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現する。最大吸熱ピークが40℃未満であると、ワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化すると共に、グロスが高くなりすぎる。一方、最大吸熱ピークが130℃を越えると定着温度が高くなると共に、定着画像表面を適度に平滑化させることが困難となるため、特にカラートナーに用いた場合には混色性低下の点から好ましくない。更に、水系媒体中で造粒、重合を行ない重合方法により直接トナーを得る場合、最大吸熱ピーク温度が高いと、主に造粒中にワックス成分が析出する等の問題を生じ、好ましくない。
【0032】
ワックス成分の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行なう。測定には、例えば、パーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、1回昇温−降温させることにより前履歴をとった後、昇温速度10℃/minで測定を行なう。上記ワックス成分としては、具体的にはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピッシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステルワックス、及びこれらの誘導体、またはこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。
【0033】
本発明に係るトナーは、画像解析装置で測定した形状係数SF1の値が100〜160であり、形状係数SF2の値が100〜140であることが好ましく、形状係数SF1の値が100〜140であり、形状係数SF2の値が100〜120であれば更に好ましい。また、上記の条件を満たし、かつ(SF2)/(SF1)の値を1.0以下とすることにより、トナーの諸特性のみならず、画像解析装置とのマッチングがきわめて良好なものとなる。
【0034】
本発明に用いられる形状係数を示すSF1、SF2とは、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い倍率500倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行ない下式より算出し得られた値を形状係数SF1,SF2と定義した。
【0035】
SF1={(MXLNG)/AREA}×(π/4)×100
SF2={(PERI)/AREA}×(1/4π)×100
AREA:トナー投影面積、MXLNG:絶対最大長、PERI:周長
【0036】
トナーの形状係数SF1は図2に示すように、トナー粒子の丸さの度合を示し、球形から徐々に不定形となる。SF2は図3に示すように、トナー粒子の凹凸度合を示し、トナー表面の凹凸が顕著となる。
【0037】
形状係数SF1が160を越える場合には、転がり抵抗が低くなるためトルクが増大したり、摩擦が大きくなるため、摩擦熱が大きくなり熱劣化を起こしやすい。
【0038】
トナー像の転写効率を高めるためには、形状係数SF2は、100〜140であり、(SF2)/(SF1)の値が1.0以下であるのが好ましい。形状係数SF2が140より大きく、(SF2)/(SF1)の値が1.0を超える場合、トナー粒子の表面が滑らかではなく、多数の凹凸をトナー粒子が有しており、感光ドラムから転写紙等への転写効率が低下する傾向にある。
【0039】
更には、本発明で使用するトナー粒子としては、トナー粒子表面が外添剤で被覆された物を用い、トナーが所望の帯電量が付与されるようにすることが好ましい。その意味で、トナー表面の外添剤被覆率が、5〜99%、更には10〜99%であることが好ましい。トナー表面の外添剤被覆率は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Lusex3)に導入する。得られる画像情報は、トナー粒子表面部分と外添剤部分との明度が異なるため、2値化して、外添剤部分の面積SGとトナー粒子部分の面積(外添剤部分の面積も含む)STに分けてもとめ、下記式により算出する。
【0040】
外添剤被覆率(%)=(SG/ST)×100
【0041】
本発明に使用される外添剤としては、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。外添剤としては、たとえば、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)、カーボンブラック、シリカなどが用いられる。
【0042】
本発明においては、トナー粒子中(100重量部)に補助粒子を外添した。外添した補助粒子は負極性外添剤としてシリカを1重量部、正極性外添剤として酸化チタン0.1重量部を加えた。特に、正極性外添剤を加えた場合には、トナーの流動性の調節、トナーへの帯電性付与が可能である。
【0043】
これら外添剤は、トナー粒子100重量部に対し、0.01〜10重量部が用いられ、好ましくは、0.05〜5重量部が用いられる。これら外添剤は、単独で用いても、又、複数併用しても良い。各々疎水化処理を行ったものが、より好ましい。外添剤の添加量が0.01重量部未満の場合には、1成分系現像剤の流動性が悪化し、転写及び現像の効率が低下してしまい、画像の濃度ムラや画像部周辺にトナーが飛び散ってしまう、所謂飛び散りが発生する。一方、外添剤の量が10重量部を越える場合には、過多な外添剤が感光ドラムや現像ローラに付着してトナーへの帯電性を悪化させたり、画像を乱したりする。
【0044】
ここで、本発明に係る画像形成装置の動作、特に画像形成工程前の準備工程の動作に関し、図4、図5を参照しつつ説明する。
【0045】
まず、画像形成装置に現像器が装着され、画像形成装置の現像器装着蓋(不図示)が閉じられると、画像形成装置の読み書き手段により、各現像器の記憶媒体に記録された画像形成履歴情報が順次読み取られる。そして、画像形成履歴情報がない現像器が存在した場合には、それを未使用状態の現像器であると認識し、回転型現像装置が矢印の方向に回転し、その現像器が、感光ドラムと対向する現像位置とは異なる、現像ローラの表面露出部が上方を向く準備回転位置22に移動され、現像ローラが不図示のモータにより同じく不図示のギアを介し、15秒間にわたり、現像ローラが回転駆動させられる。
【0046】
この準備回転位置22としては、現像ローラの表面露出部が上方を向く位置であることが好ましく、更には、現像ローラと現像ブレードとのニップ部23における現像ローラの回転方向が、鉛直方向下方から上方に向かい、かつ現像ローラと洩れ防止シートとのニップ部24における現像ローラの回転方向が、鉛直方向上方から下方に向かうような関係となる位置であることが好ましい。これにより、重力の作用により、現像ローラと現像ブレードとのニップ部をすり抜ける、充分な電荷量を保持しないトナー塊量を少量にとどめられるとともに、すり抜けたトナー塊が現像ローラの回転により回転方向下流側に搬送された場合にあっても、現像ローラによる搬送力と重力の作用により、このトナー塊が現像ローラと洩れ防止シートとのニップ部を徐々に通過し容器内部に回収されるため、洩れ防止シート近傍の顎部にトナー塊が堆積することはなく、その後、回転型現像装置が回転しても、トナーが機内を汚染することはない。
【0047】
なお、未使用状態の現像器が複数個存在する場合には、それら全ての現像器に対し、同様の動作を行なう。そしてこの一連の動作が終了すると、回転型現像装置は所定のホームポジションまで回転して停止し、不図示のパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像形成指令を待つ。
【0048】
これにより、未使用状態の現像器を初めて使用し画像形成を行なう場合にあっても、画像形成工程前の現像ローラ回転時におけるトナー洩れに起因する現像器、画像形成装置本体内部の汚染といった不具合の発生を防止することが可能となるとともに、画像形成時においては、充分な電荷を保持したトナーを供給することが可能となり、良好な画像が得られることとなる。
【0049】
(第2の実施例)
以下に、本実施例に係る他の実施例を示すが、前記実施例に述べた部材と同一の部材については同一の番号を付し説明を省略する。
【0050】
本実施例においては、画像形成装置に未使用状態の現像器が装着された際の、画像形成工程前の準備工程に行なわれる現像ローラの空回転時間を、現像器に収納されているトナーの色に応じて可変とすることを特徴とする。この目的とするところは、現像器に収納されているトナーの帯電性は、トナーを形成する結着樹脂、着色剤等の材料により異なり、また、各色トナーの帯電量を良好な画像品位を得るための適正な大きさに揃えるためには、各色トナーの外添剤の種類、量が異なり、結果として各色トナーの流動性に差異が生じるために、各々のトナーに最適な、現像ローラの空回転時間を設定することにある。
【0051】
ここで、本発明に係る画像形成装置の動作、特に画像形成工程前の準備工程の動作に関し、図6を参照しつつ説明する。
【0052】
まず、画像形成装置に現像器が装着され、画像形成装置の現像器装着蓋(不図示)が閉じられると、画像形成装置の読み書き手段により、各現像器の記憶媒体に記録された収納現像剤色情報と画像形成履歴情報が順次読み取られる。そして、画像形成履歴情報がない現像器が存在した場合には、それを未使用状態の現像器であると認識し、回転型現像装置が矢印の方向に回転し、その現像器が、感光ドラムと対向する現像位置とは異なる、現像ローラの表面露出部が上方を向く位置に移動され、現像ローラが不図示のモータにより不図示のギアを介し、予め色毎に設定された所定時間にわたり、現像ローラが回転駆動させられる。
【0053】
なお、未使用状態の現像器が複数個存在する場合には、それら全ての現像器に対し、同様の動作を行なう。そしてこの一連の動作が終了すると、回転型現像装置は所定のホームポジションまで回転して停止し、不図示のパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像形成指令を待つ。
【0054】
これにより、未使用状態の現像器を初めて使用し画像形成を行なう場合にあっても、画像形成工程前の現像ローラ回転時におけるトナー洩れに起因する現像器、画像形成装置本体内部の汚染といった不具合の発生を防止することが可能となるとともに、画像形成時においては、充分な電荷を保持したトナーを供給することが可能となり、良好な画像が得られることとなる。
【0055】
なお、本実施例において述べた各色トナー毎の現像ローラ空回転時間は一例であり、これに限定されるものではない。
【0056】
(第3の実施例)
以下に、本実施例に係る他の実施例を示すが、前記実施例に述べた部材と同一の部材については同一の番号を付し説明を省略する。
【0057】
本実施例においては、画像形成装置に未使用状態の現像器が装着された際の、画像形成工程前の準備工程に行なわれる現像ローラの空回転時間を、画像形成装置が設置されている周囲の環境状態を自動的に検知し、この環境情報に応じて可変とすることを特徴とする。この目的とするところは、画像形成装置が設置されている周囲の環境状態によって、トナーに対する電荷付与性に差異があるために、高温高湿環境下のように、均一な電荷付与が比較的困難な場合には、現像ローラの空回転時間を長く設定することにより充分な電荷付与を行ない、また、低温低湿環境下のように、均一な電荷付与が比較的容易な場合には、現像ローラの空回転時間を短く設定することにより、トナーに対し、過度なストレスを及ぼさないように制御することにある。
【0058】
まず、この環境自動検知手段について説明すると、本実施例における画像形成装置にあっては、帯電手段として帯電ローラが具備されているが、一般的にこれを構成する材料は、周囲の環境状態に応じてその抵抗値が変化するという特徴を有しており、低温低湿環境下においては、常温常湿環境下に比べ帯電ローラの抵抗値が上昇する傾向にあり、逆に高温高湿環境下においては、常温常湿環境下に比べ帯電ローラの抵抗値が下降する傾向にあるため、この帯電ローラの抵抗値を検知することにより、画像形成装置が設置されている周囲の環境状態を認識することが可能となる。
【0059】
そこで、本実施例に係る画像形成装置を用い、帯電ローラが回転する感光ドラムの非画像形成領域に当接している際に、この帯電ローラに対して−20μAに定電流制御された直流バイアスを印加した場合に発生する電圧の環境依存性に関する実験結果を図7に示す。これによれば、常温常湿環境下における発生電圧が−1.7kvであるのに対し、低温低湿環境下においては帯電ローラの抵抗値が比較的高いために、この時に発生する電圧は−2.0kvと高く、逆に高温高湿環境下においては、帯電ローラの抵抗値が比較的低いために、この時に発生する電圧は−1.2kvと低くなる。よって、帯電ローラの抵抗値のバラツキをも考慮し、上記発生電圧が、予め設定された値よりも高いか低いかを検知することにより、画像形成装置が設置されている周囲の環境状態を識別することが可能となる。
【0060】
そこで、本実施例においては、周囲の環境状態が低温低湿環境であると判断する出力電圧の下限値を−1.8kv、周囲の環境状態が高温高湿環境であると判断する出力電圧の上限値を−1.3kvに設定した。
【0061】
ここで、本発明に係る画像形成装置の動作、特に画像形成工程前の準備工程の動作に関し、図8を参照しつつ説明する。
【0062】
まず、画像形成装置に現像器が装着され、画像形成装置の現像器装着蓋(不図示)が閉じられると、画像形成装置の読み書き手段により、各現像器の記憶媒体に記録された画像形成履歴情報が順次読み取られる。そして、画像形成履歴情報がない現像器が存在した場合には、それを未使用状態の現像器であると認識するとともに、上述したような、画像形成装置に具備された帯電ローラを利用することにより得られた周囲の環境情報とに応じて、画像形成工程前に現像ローラを空回転させるべき時間が決定される。そして例えば高温高湿環境であると検知された場合にあっては、回転型現像装置が矢印の方向に回転し、上記現像器が感光ドラムと対向する現像位置とは異なる、現像ローラの表面露出部が上方を向く位置に移動され、現像ローラが不図示のモータにより同じく不図示ギアを介し、20秒間にわたり、現像ローラが空回転駆動させられる。
【0063】
なお、未使用状態の現像器が複数個存在する場合には、それら全ての現像器に対し、同様の動作を行なう。そしてこの一連の動作が終了すると、回転型現像装置は所定のホームポジションまで回転して停止し、不図示のパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像形成指令を待つ。
【0064】
これにより、未使用状態の現像器を初めて使用し画像形成を行なう場合にあっても、画像形成工程前の現像ローラ回転時におけるトナー洩れに起因する現像器、画像形成装置本体内部の汚染といった不具合の発生を防止することが可能となるとともに、画像形成時においては、充分な電荷を保持したトナーを供給することが可能となり、良好な画像が得られることとなる。
【0065】
なお、本実施例においては、画像形成装置が設置されている周囲の環境を自動検知する手段として、画像形成装置に具備されている帯電ローラを利用したが、これに限定されるものではない。
【0066】
また、温湿度センサ等の周知の検知手段を画像形成装置内に設置することにより、環境情報を得るように構成することも可能であることは、言うまでもない。
【0067】
更には、本実施例に加え、前記第2の実施例に述べたように、現像ローラの空回転時間を、現像器内に収納されているトナーの色に応じて可変とすることと組合せることにより決定するよう構成しても良いことも、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】カラー画像形成装置の概略構成図
【図2】形状係数SF1を説明する図
【図3】形状係数SF2を説明する図
【図4】第1の実施例を示す図
【図5】第1の実施例を示す他の図
【図6】第2の実施例を示す図
【図7】環境検知に関する実験結果を示す図
【図8】第3の実施例を示す図
【図9】従来例を示す図
【符号の説明】
【0069】
1 感光ドラム
5 現像位置
6 回転型現像装置
7 現像器
8 現像ローラ
10 現像ブレード
11 洩れ防止シート
22 準備回転位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な像担持体と、少なくとも現像剤、前記像担持体表面に当接、回転可能な現像剤担持体、現像剤規制部材、画像形成履歴を記録、参照するための記憶手段とを有する現像手段を回転軸の周囲に複数保持し、該回転軸の回転により前記像担持体に対向する現像位置に前記現像手段を順次移動させ、該現像手段により前記像担持体表面に形成された静電潜像を順次可視化する回転型現像装置と、前記記憶手段にアクセスする読み書き手段とを具備した画像形成装置において、
該画像形成装置が、前記読み書き手段を介し、回転型現像装置に装着された現像手段に具備された記憶手段に記録された画像形成履歴の有無により、前記現像手段が未使用状態であるか否かを識別し、該現像手段が未使用状態の現像手段であると認識した場合においては、画像形成工程前に、前記回転軸を回転させることにより、前記現像手段を、前記現像位置とは異なる、前記現像剤担持体の表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、該位置において前記現像剤担持体を所定時間にわたり空回転させる準備工程を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
回転可能な像担持体と、少なくとも現像剤、前記像担持体表面に当接、回転可能な現像剤担持体、現像剤規制部材、少なくとも収納されている現像剤の色情報と画像形成履歴を記録、参照するための記憶手段とを有する現像手段を回転軸の周囲に複数保持し、該回転軸の回転により前記像担持体に対向する現像位置に前記現像手段を順次移動させ、該現像手段により前記像担持体表面に形成された静電潜像を順次可視化する回転型現像装置と、前記記憶手段にアクセスする読み書き手段とを具備した画像形成装置において、
該画像形成装置が、前記読み書き手段を介し、回転型現像装置に装着された現像手段に具備された記憶手段に記録された画像形成履歴の有無により、前記現像手段が未使用状態であるか否かを識別し、該現像手段が未使用状態の現像手段であると認識した場合においては、画像形成工程前に、前記回転軸を回転させることにより、前記現像手段を、前記現像位置とは異なる、前記現像剤担持体の表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、該位置において前記現像剤担持体を所定時間にわたり空回転させる準備工程を設けるとともに、前記記憶手段に記録された収納現像剤色情報に応じて、前記空回転時間を可変とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
回転可能な像担持体と、少なくとも現像剤、前記像担持体表面に当接、回転可能な現像剤担持体、現像剤規制部材、画像形成履歴を記録、参照するための記憶手段とを有する現像手段を回転軸の周囲に複数保持し、該回転軸の回転により前記像担持体に対向する現像位置に前記現像手段を順次移動させ、該現像手段により前記像担持体表面に形成された静電潜像を順次可視化する回転型現像装置と、前記記憶手段にアクセスする読み書き手段と、周囲の環境状態を検知する環境検知手段とを具備した画像形成装置において、
該画像形成装置が、前記読み書き手段を介し、回転型現像装置に装着された現像手段に具備された記憶手段に記録された画像形成履歴の有無により、前記現像手段が未使用状態であるか否かを識別し、該現像手段が未使用状態の現像手段であると認識した場合においては、画像形成工程前に、前記回転軸を回転させることにより、前記現像手段を、前記現像位置とは異なる、前記現像剤担持体の表面露出部が上方を向く位置に移動させるとともに、該位置において前記現像剤担持体を所定時間にわたり空回転させる準備工程を設けるとともに、前記環境検知手段により得られた環境情報に応じて、前記空回転時間を可変とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記現像手段は、画像形成装置内の回転型現像装置に対し着脱可能なプロセスカートリッジであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤は、非磁性1成分トナーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤は、形状係数SF1が100〜160、形状係数SF2が100〜140であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−106184(P2006−106184A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290232(P2004−290232)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】