説明

画像形成装置

【課題】 特別なセンサーを使用することなく、記録媒体転写装置のセット検知を行うことにより、安価な構成の画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1の像担持体1から直接又は第2の像担持体10を介して、第1の像担持体1で形成されたトナー像を記録媒体へ転写させる記録媒体転写装置30と、トナー像の濃度を変更した画像を形成し、前記濃度変更させたトナー像の濃度を検知するトナー濃度検知装置40と、第2の像担持体10から記録媒体転写装置30が接離可能な機構と、トナー濃度検知装置40への飛散トナーの付着を防止する等の汚れ防止用のシャッター50を有する画像形成装置であって、記録媒体転写装置30が第2の像担持体10からの接離動作に連動して上記シャッター50が動作し、記録媒体転写装置30が接離動作中にトナー濃度検知装置40を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体転写装置のセット検知機構を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1を元に従来技術を説明する。
従来、電子写真方式においては、第2の像担持体10上にトナー濃度制御のために基準パターンを作成し、その反射濃度を検知して、トナー濃度を調製する技術が知られている。この、反射濃度を検知するセンサー40は、トナーで汚れると機能を損なうので、トナー汚れが起こりにくくするよう、現像装置5から離れた位置で、かつ紙転写領域(ローラ11と記録媒体転写装置30で挟まれた領域)の後ろの位置に置くことが多い。
【0003】
このような構成では、基準パターンの反射濃度を検知する際、記録媒体転写装置30を第2の像担持体から離す必要が出てくる。当接したままでは、パターンが記録媒体転写手段30により乱されたり取られたりしてしまうからである。パターンが取れてしまうと、機械はトナー濃度が薄いと認識し、誤って大量のトナーを補給し、マシンの内部が極端に汚れてしまうという不具合を発生する。
【0004】
例えば特許文献1に記載の発明では、基準トナー像を、転写ローラを備える感光体上に通過させる場合において、基準トナー像が感光体と転写ローラとの対向位置に到達する前に転写ローラを感光体から離間させ、基準トナー像が前記対向位置を通過した後に転写ローラを感光体に接触させるように、転写ローラの接離手段を制御している。またさらに、この発明では、トナー濃度検知装置に汚れが付着するのを防止するために、前記トナー濃度検知装置近傍にシャッタを設けており、この開閉を、転写ローラの接離と連動して行う機構が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−234595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図1における記録媒体転写手段、あるいは特許文献1における転写ローラの接離検知に関しては、他の部位との連動するような機構は提案されておらず、これについては特別のセンサーを用いて行われていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、特別なセンサーを使用することなく、記録媒体転写装置のセット検知を行うことにより、安価な構成の画像形成装置を提供する事を課題とする。
さらに、濃度検知装置の異常状態及び記録媒体転写装置のセット不良等による誤動作への対処を行うことにより、安定な動作状況の画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明の画像形成装置は、顕像を形成、担持する第1の像担持体と、前記第1の像担持体から直接又は第2の像担持体を介して、第1の像担持体で形成されたトナー像を記録媒体へ転写させる記録媒体転写装置を有する装置であって、第2の像担持体にはトナー像形成条件の最適化を行うためにトナー像の濃度を変更した画像を形成し、前記濃度変更させたトナー像の濃度を検知するトナー濃度検知装置と、第2の像担持体から記録媒体転写装置が接離可能な機構と、トナー濃度検知装置への飛散トナーの付着を防止する汚れ防止用のシャッター装置を有する画像形成装置であり、前記画像形成装置は、記録媒体転写装置が第2の像担持体からの接離動作に連動して上記シャッター装置が動作し、記録媒体転写装置が接離動作中にトナー濃度検知装置を動作させることを特徴とする。
2.また、本発明の画像形成装置は、1.に記載の発明において、トナー濃度検知装置を複数有することを特徴とする。
3.また、本発明の画像形成装置は、1.又は2.に記載の発明において、記録媒体転写装置の接離動作は複数回行うことを特徴とする。
4.また、本発明の画像形成装置は、1.又は2.に記載の発明において、記録媒体転写装置の接離動作中に検知されたトナー濃度検知装置の出力値に対して画像形成装置の動作を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
したがって、上記解決する手段によって、本発明の画像形成装置は、特別なセンサーを使用することなく、記録媒体転写装置のセット状態を検知することができるため、製造の低コスト化を実現することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した画像形成装置の一例であり、回転可能に支持され、 矢印方向に回転する第1の像担持体(感光体)1の外周部には、クリーニング装置2、帯電装置3、現像装置5が配備されている。
第1の像担持体(感光体)1は4個(a,b,c,d)あるが、それぞれ周囲に設けられる画像形成用の部品構成は同じであり、現像装置5が扱う色材(トナー)の色が異なるものである。また、本発明における第1の像担持体1は、直径が30から100mm程度のアルミニウム円筒表面に、光導電性物質である有機半導体の層を設けたものであり、その一部が第2の像担持体(中間転写ベルト)10に接している。なお、第1の像担持体1は、ベルト状のものも採用可能である。
第2の像担持体10は矢印方向に移動可能に、回転するローラ11、12、間に支持、張架されていて、裏側(ループの内側)には、第1の転写手段20が第1の像担持体1の近傍に配備されている。また、第2の像担持体10なるベルトループの外側には、第2の像担持体10用クリーニング装置25が配備されており、これにより、第2の像担持体10より転写した後にその表面に残留する不要のトナーを拭い去ることができる。なお、本発明における第2の像担持体(中間転写体)10は、基体の厚みが50μm乃至600μmの樹脂フィルムあるいはゴムを基体にしたベルトで、第1の像担持体1からトナーを転写可能とする抵抗値を備える。
【0011】
一方、図1に示す画像形成装置の右方には、記録媒体転写装置30が配備されており、記録媒体転写装置30は第2の像担持体10より離間可能な構成となっている。これにより離間動作は、記録媒体転写装置30の支点31を中心に、図中(イ)の方向への回転運動となる。
また、第2の担持体10と記録媒体転写装置30の接触位置から下流側にはトナー濃度検知装置40が配置されており、これにより、ジョブ終了時やジョブ開始前等の転写紙非通紙時に複数の画像濃度の異なるトナー像を検知して、画像作像条件の最適化が図られる。
【0012】
ところで、トナー濃度検知装置40の検知面(図中下面)にトナー等の汚れが付着すると、検知精度が劣化して画像濃度への悪影響を及ぼしてしまうという問題点がある。
本発明では、この問題点を解決するために、トナー濃度検知装置40の汚れ付着防止のために必要以外はシャッター50を設けて、飛散トナー等の汚れが付着するのを防止している。
トナー濃度調整を行うために濃度検知パターンが第2の像担持体10へ転写された際には、記録媒体転写装置30は離間して、トナー濃度調整パターンに触れることを防止している。そして、記録媒体転写装置30が離間動作を行うと、シャッター50はバネ60の張力により図中(ハ)の方向へ移動し、シャッターの窓部よりトナー濃度検知装置40の検知面が第2の像担持体10に転写されたトナー濃度検知パターンを検知することが可能となっており、また記録媒体転写装置30が第2の像担持体10と接触動作を行った際にはシャッター50が連動して動作し、トナー濃度検知装置40の検知面はシャッター50により保護される構成となっている。
【0013】
図2は、本発明におけるトナー濃度検知装置40からの、出力値の変化を示した一例であり、さらに詳しくは、シャッター50がトナー濃度検知装置40の検知面を閉状態から開状態へ、さらに閉状態へ移行した際の、出力値の変化の様子を示したものである。シャッター50が閉状態であると出力値は0(v)でありシャッター50が開状態へ移行すると出力値は5(v)へと変化する。さらにシャッター50が閉状態へと移行すると再び出力値が0(v)と変化する。
【0014】
本発明は、先に述べた、トナー濃度検知装置40での出力値がシャッター50の閉状態と開状態とで異なるという現象を利用したものである。即ち、記録媒体転写装置30の接離動作に連動してトナー濃度検知装置40のシャッター50が動作する機構において、記録媒体転写装置30の接離動作中にトナー濃度検知装置40を動作させることで、トナー濃度検知装置40の出力値から、記録媒体転写装置が画像形成装置へセットされているかの判断をし、特別のセンサーを使用することなく低コストで記録媒体転写装置のセット状態を検知することができるものである。
【0015】
図3は、本発明における記録媒体転写装置30のセット検知フローを示した図である。記録媒体転写装置30のホームポジション(フロー図中は接触状態がホームポジション)が確定後に、記録媒体転写装置30のセットフラグをS=0として濃度検知装置40を動作させる。濃度検知装置40の出力値を確認し、出力値が5(v)であれば記録媒体転写装置30のセット異常を検出し、出力値が0(v)であれば記録媒体転写装置30の離間動作がスタートする。その後、濃度検知装置40の出力値をモニターし、記録媒体転写装置30の離間動作が終了した時点にて濃度検知装置40からの出力値が5(v)に達していれば正常動作にて完了するが、出力値が0(v)であった際にはセット異常を検出する。
【0016】
また、トナー濃度検知装置40を複数用い、図3のフローチャートの構成を、その各トナー濃度検知装置40で行うこともできる。これにより、トナー濃度検知装置40の一つが故障しても、他のトナー濃度検知装置40にて代用可能とすることができる。
【0017】
またさらに、記録媒体転写装置30の接離動作を複数回行い、同時にトナー濃度検知装置40での検知も同じ回数だけセット検知を行うことで、記録媒体転写装置30の誤動作や、トナー濃度検知装置40の誤動作等による誤検知を防止することができる。動作不良の一例としては、例えば記録媒体転写装置30のセット性が不十分であった場合などに、ホームポジション状態(接触状態)から離間状態への動作は行うが離間から接触状態への動作が出来ない場合などが挙げられる。
【0018】
図4は、本発明における記録媒体転写装置30のセット検知フローを示した図であり、さらに詳しくは、本願第4の発明に関する一例を示した図である。フローの流れは図3にて示した流れと同様であるが、濃度検知装置40が3個搭載されたフローであるため出力値もV1、V2、V3と3つを検出し、セットフラグも同様にS1、S2、S3と3つにて構成されている。ホームポジション検知後、濃度検知装置40の出力値を検出するが、各濃度検知装置4の出力値が0(v)であれば正常値となり、5(v)であればセット異常となる。さらには1つ、ないし2つの濃度検知装置40が5(v)であった場合は濃度検知装置40が異常であることから濃度検知装置異常となる。同様に記録媒体転写装置30を離間させていった場合でも各濃度検知装置40からの出力値が5(v)であれば正常値となり、0(v)であった場合はセット異常となる。また、1つ、ないし2つの濃度検知装置40が0(v)であった場合は濃度検知装置40が異常であることから濃度検知装置異常となる。
【0019】
従って、図4に示すように、複数のトナー濃度検知装置を用いることにより、「正常動作」、「記録媒体転写装置のセット不良」、「トナー濃度検知装置の出力以上」等の判断を、記録媒体転写装置の接離動作によるトナー濃度検知装置の出力値の違いにより判断を行うことができ、これにより、記録媒体転写装置のセット検知と共に、トナー濃度検知装置の異常検出を可能とする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の一例である。
【図2】本発明におけるトナー濃度検知装置40からの、出力値の変化を示した一例である。
【図3】本発明における記録媒体転写装置30のセット検知フローを示した図である。
【図4】本発明における記録媒体転写装置30のセット検知フローを示した図である。
【符号の説明】
【0021】
1 第1の像担持体
2 クリーニング装置
3 帯電装置、
5 現像装置
10 第2の像担持体
11,12 ローラ
20 第1の転写手段
25 クリーニング装置、
28 レジストローラ
30 記録媒体転写装置
40 トナー濃度検知装置
50 シャッター
51 クリーニング部材
60 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕像を形成、担持する第1の像担持体と、
前記第1の像担持体から直接又は第2の像担持体を介して、第1の像担持体で形成されたトナー像を記録媒体へ転写させる記録媒体転写装置を有する装置であって、
第2の像担持体にはトナー像形成条件の最適化を行うためにトナー像の濃度を変更した画像を形成し、前記濃度変更させたトナー像の濃度を検知するトナー濃度検知装置と、
第2の像担持体から記録媒体転写装置が接離可能な機構と、
トナー濃度検知装置への飛散トナーの付着を防止する汚れ防止用のシャッター装置を有する画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
記録媒体転写装置が第2の像担持体からの接離動作に連動して上記シャッター装置が動作し、記録媒体転写装置が接離動作中にトナー濃度検知装置を動作させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
トナー濃度検知装置を複数有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
記録媒体転写装置の接離動作は複数回行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において
前記画像形成装置は、
記録媒体転写装置の接離動作中に検知されたトナー濃度検知装置の出力値に対して画像形成装置の動作を変更する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−3399(P2006−3399A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176862(P2004−176862)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】