説明

画像形成装置

【課題】濃度ずれを検出するためのパターンであるプロコン用パターンの形成の後に生じる地汚れによる不都合を回避することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】プロコン用パターン(A)の後に、ブレード捲れ防止用パターン(B)を形成する。ブレード捲れ防止用パターンは、転写ベルトクリーニング装置20のクリーニングブレードに対し一定量のトナーを付着させることで、該ブレードと中間転写ベルト18との摩擦の上昇を抑え、該ブレードの捲れを防止することを目的とするので、多少パターンが汚れていてもその目的を達成することができる。ゆえに、プロコン用パターンの形成後に生じる地汚れ(D)が要因となる不都合を回避しつつ、画像形成装置のパフォーマンス性を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、中間転写体上にトナーパターンを形成し、該トナーパターンを読み取ることでフィードバック制御を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の分野においては、作像方式として電子写真方式のが広く用いられている。電子写真方式とは、感光体上に静電潜像を形成し、現像装置により該静電潜像からトナー像を形成し、該トナー像を用紙上に転写することで画像形成処理を行う方式である。
【0003】
また、近年では、タンデム方式と呼ばれる画像形成装置が広く採用されている。タンデム方式とは、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色毎に感光体、現像装置などを含んだ作像ユニットを用紙の進行方向に直列配置し、カラー画像を形成する方式である。
【0004】
このようなタンデム方式を採用した画像形成装置は、現像機切り替え方式を採用している画像形成装置と比較してプリント生産性が高いので、近年の画像形成装置においては主流となっている。
【0005】
しかし、このようなタンデム方式のカラー画像形成装置においては、各作像ユニットが独立しているため、各光走査装置における光走査位置のずれ等に要因により各作像ユニット間で転写位置のずれすなわち色ずれが生じ、画質の著しい低下が発生することがある。また、各作像ユニットにおいて、作像濃度が異なってしまい、画質の著しい低下が発生することがある。
【0006】
それゆえ、タンデム方式の画像形成装置においては、所定の期間毎に色ずれ、濃度ずれを検出し補正を行う必要がある。
【0007】
色ずれの検出は「色合わせ用パターン」というトナーパターン(図4)、濃度ずれの検出は「プロコン用パターン」というのトナーパターン(図3)を用いて行われる。これらのトナーパターンは、各色トナー像パッチ群からなり、中間転写ベルト等の移動体上に形成される。
【0008】
これらのトナーパターンを光学センサで読み込み、演算処理部においてトナーパッチの位置・濃度を演算し、各色間の色ずれ量・濃度ずれ量を検出し、そのずれ量に応じて各色の画像書き込みタイミング調整・濃度調整を行うことで、色ずれの検出・補正を行う。
【0009】
トナーパターンを形成することで補正処理を行う画像形成装置としては、特許文献1の技術が知られている。特許文献1で提案される画像形成装置は、中間転写ベルト等の移動体の全面に色ずれ補正パターンを形成する際に、前記色ずれ補正パターンの各色マークの間隔を検知毎に小さくして補正パターンを形成する。これにより、色ずれ補正を高精度に行うことが可能となっている。
【0010】
また、近年では、中間転写ベルトをクリーニングするためのクリーニング装置のクリーニング性能を維持するために、トナーパターンとしてブレード捲れ防止用パターンを形成する画像形成装置が知られている。
【0011】
ブレード捲れ防止用パターンとは、中間転写ベルトとクリーニング装置のクリーニングブレードとの摩擦力が上がることにより生じるクリーニングブレードの捲れを抑制・防止するためのトナーパターンであり、中間転写ベルトとクリーニングブレードとのエッジ部にトナーを供給する。これにより、トナーが潤滑剤として作用し、クリーニングブレードの捲れの発生が抑制される。
【0012】
このようなブレード捲れ防止用パターンを形成する画像形成装置に関する技術としては、特許文献2の技術が知られている。特許文献2で提案される画像形成装置は、非画像部に付着したトナー濃度を感光体ドラムの両端部、中央部に設置した反射型フォトセンサにより検知し、転写紙サイズに応じてクリーニングブレード捲れ防止用パターンを形成する。これにより、クリーニングブレードエッジ部への供給トナー量を適切な量にすることが可能となり、クリーニング不良・ブレード捲れを防止することが可能となっている。
【特許文献1】特開2004−46001号公報
【特許文献2】特開2005−234358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の補正パターンのうち、濃度ずれを検出するプロコン用パターンは、図4に示すように段階的に濃度を異ならせたパターンであるので、該パターンの形成の際には段階的に現像・帯電のバイアスを変化させる必要がある。
【0014】
このバイアス値は通常印刷時に使用するバイアス値とは異なるので、プロコン用パターンの最後のパッチを形成した後に通常印刷用のバイアス値に戻すことになるが、この際に電子写真方式の特性から『地汚れ』(帯状のトナー汚れ)が生じてしまう。図8に、プロコン用パターン形成の後に生じる地汚れを示す。
【0015】
プロコン用パターンの次に作成するトナーパターンが、例えばフィードバック調整用のパターンである色合わせ用パターンである場合には、この地汚れをクリーニングした後で色合わせ用パターンを形成する必要がある。何故なら、誤って該地汚れを光学センサにおいて検知してしまった場合、この検知に基づいて位置補正を行うので、補正画像において大幅な位置ずれが生じてしまうからである。
【0016】
他方、汚れていても不都合のないトナーパターン形成の場合に、上記のようなクリーニング動作の意味がなく時間の無駄であり、生産性が低下してしまう。
【0017】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、濃度ずれを検出するためのパターンであるプロコン用パターンの形成の後に生じる地汚れによる不都合を回避することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の発明は、電子写真方式による画像形成プロセスにより形成したトナー像を中間転写ベルト上に形成し、該トナー像を転写媒体に転写することで画像を出力する画像形成装置であって、バイアスを変化させることで得る段階的に濃度の異なるパッチからなり、濃度ずれについてのフィードバック調整を行うための濃度検出用トナーパターン、及び、前記中間転写ベルトをクリーニングするクリーニング手段の性能を維持するためのブレード捲れ防止用トナーパターン、を前記中間転写ベルト上に形成するトナーパターン形成部を有し、前記トナーパターン形成部は、前記濃度検出用トナーパターンの形成後に、前記ブレード捲れ防止用パターンを形成することを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記トナーパターン形成部が形成する前記濃度検出用トナーパターンと前記ブレード捲れ防止用パターンとの間隔は、設定により調整可能であることを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記トナーパターン形成部が形成する前記ブレード捲れ防止用パターンの前記中間転写ベルト搬送方向長さは、設定により調整可能であることを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記トナーパターン形成部は、前記濃度検出用トナーパターン及び前記ブレード捲れ防止用パターンの形成後に、他のトナーパターンを形成することを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記トナーパターン形成部は、前記ブレード捲れ防止用パターンと前記他のトナーパターンとを、所定の間隔をもって形成することを特徴とする。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記画像形成装置は、複数色のカラートナー像を前記中間転写ベルト上に重ね合わせることにより単一のフルカラー画像を形成する画像形成装置であり、前記他のトナーパターンは、複数色のカラートナー像の位置あわせを行うためのトナーパターンであることを特徴とする。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記他のトナーパターンは、トナー濃度を調整するためのトナーパターンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の画像形成装置においては、濃度検出用パターンの形成後に、多少の汚れがあってもその目的が達成できるブレード捲れ防止用パターンを形成するので、余計なクリーニング処理を実行する待ち時間がなくなり高いパフォーマンス性を達成できる。また、ブレード捲れ防止用パターンの後に他のトナーパターンを形成しても、該トナーパターンに地汚れがかからなくなるので正確・良好な補正を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の画像形成装置について、実施の形態に即して説明する。
【0027】
<画像形成装置>
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0028】
図1に示す画像形成装置10は、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色毎のトナー像をそれぞれ形成し、これを重ね合わせることでフルカラーの画像を形成するタンデム型の画像形成装置であり、原稿台11と、読み取り装置12と、光走査装置13と、感光体ドラム14(YMCK)と、帯電ローラ15(YMCK)と、現像装置16(YMCK)と、ドラムクリーニング装置17(YMCK)と、中間転写ベルト18と、光学センサ19と、転写ベルトクリーニング装置20と、転写ローラ21と、定着装置22と、給紙ローラ23と、給紙トレイ24と、排紙ローラ25と、排紙トレイ26と、を有して構成される。
【0029】
原稿台11は、印刷を予定する原稿、すなわち読み取りの対象となる原稿を載せるための台である。原稿台11の下面はコンタクトガラスから形成される。
【0030】
読み取り装置12は、原稿台11に載せられた原稿を読み取る装置であり、原稿に対しコンタクトレンズ越しにレーザ光を照射し、該原稿からの反射光を受光することで原稿内容を読み取る。
【0031】
光走査装置13は、読み取り装置12で読み取った原稿内容に基づいて、書き込み用のレーザ光を各色に対応する感光体ドラム14に照射する。
【0032】
感光体ドラム14(YMCK)は、YMCK各色毎に設けられたドラム形状の像担持体である。各感光体ドラム14は、同一径であり、中間転写ベルト18に等間隔で圧接されている。
【0033】
なお、この感光体ドラム14の周囲近傍には、ドラム回転方向に沿って、帯電装置15、現像装置16、中間転写ベルト18、ドラムクリーニング装置17、除電装置(不図示)が配設されている。また、光走査装置13からの書き込み用のレーザ光は、帯電装置15と現像装置16の間において感光体ドラム14上に照射される。
【0034】
帯電装置15(YMCK)は、各色感光体ドラム14毎に非接触に配設されたローラ形状の装置であり、感光体ドラム14の表面を帯電させる。帯電装置15により帯電された感光体ドラム14表面に光走査装置13から書き込み用のレーザ光が照射されると、感光体ドラム14上に各色に対応した静電潜像が形成される。
【0035】
現像装置16(YMCK)は、各感光体ドラム14に現像ローラを接触させて配設された装置であり、各色対応の感光体ドラム14に対応した色のトナー(現像剤)を保持する。作像時には、感光体ドラム14にトナーを供給し、感光体ドラム14に形成された静電潜像を現像する。静電潜像は、トナーで現像されることによりトナー像となる。
【0036】
ドラムクリーニング装置17(YMCK)は、各感光体ドラム14にブレード(クリーニングブレード)を接触させて配設された装置であり、中間転写ベルト18へのトナー像の転写後に感光体ドラム14上に残留している残留トナー・紙片等を除去・回収し、感光体ドラム14の表面をクリーニングする。
【0037】
また、ドラムクリーニング装置17と帯電装置15の間には不図示の除電装置が設けられている。除電装置は、感光体ドラム14の表面を除電する。
【0038】
中間転写ベルト18は、各感光体ドラム14の表面に形成された各色トナー像を順次重ね合わせて転写するための無端ベルトである。各色トナー像が順次重ね合わせられることで中間転写ベルト14上にはフルカラー画像が形成される。
【0039】
光学センサ19は、中間転写ベルト18に非接触に配設された装置であり、画像形成装置10のメンテナンス用のテストパターンとして形成されるトナーパターンの検出を行う。具体的には、『プロコン用パターン』『色合わせ用パターン』などのことである。これらのトナーパターンについては、後で詳述する。
【0040】
転写ベルトクリーニング装置20は、中間転写ベルト18にブレード(クリーニングブレード)を接触させて配設された装置であり、給紙される記録紙へのトナー像の転写後に中間転写ベルト18上に残留している残留トナー、あるいは、トナーパターンを除去・回収し、中間転写ベルト18の表面をクリーニングする。
【0041】
転写ローラ21は、中間転写ベルト18上に形成されたカラー画像を、給紙トレイ24から搬送される記録紙上に転写する。定着装置22は、記録紙上に転写されたカラー画像を記録紙に熱定着させる。
【0042】
給紙ローラ23は、記録紙を給紙する。給紙トレイ24は、記録紙を記録紙サイズ毎に格納する。排紙ローラ25は、カラー画像の熱定着された記録紙を画像形成装置10の機外に排紙する。排紙トレイ26は、排紙された記録紙を載せるためのトレイである。
【0043】
なお、感光体ドラム14は、すべて同一の方向に回転する。また、中間転写ベルト18は、感光体ドラム14の回転方向とは逆の方向で移動し、転写ローラ21は中間転写ベルト18とは逆の方向(感光体ドラム14と同一の回転方向)で回転する。図1では、感光体ドラム14および転写ローラ21は反時計回りに回転し、中間転写ベルト18は時計回りに回転する。
【0044】
<システム構成>
次に、図2を参照して、本実施形態の画像形成装置のシステム構成について説明する。
【0045】
画像形成装置は、中央制御部30と、書き込み制御部40と、操作入力受付部50と、を有して構成される。
【0046】
中央制御部30は、画像形成装置10の全体的な制御を行う部であり、CPU31と、ROM32と、RAM33と、不揮発RAM34と、IO制御部35と、を有して構成される。
【0047】
CPU(Central Processing Unit)31は、ROM32に記憶されているプログラムをRAMに展開し、該展開されたプログラムに従って、データ処理や演算処理などの各種処理を実行する。
【0048】
ROM(Read Only Memory)は、不揮発性メモリであり、CPU31が各種演算や制御を行うための各種プログラム、データ、パラメータ等を格納する。
【0049】
RAM(Random Access Memory)は、プログラムやデータの書き込みを自在に行うことのできるメモリであり、CPUが各種の処理を実行する上で必要なワーキングエリアを提供する。
【0050】
不揮発RAM34は、制御、タイミングなどの調整値や登録した複写モード設定などを格納するメモリである。不揮発性のメモリゆえ、画像形成装置10の電源を落としても、その設定値は保持される。
【0051】
IO制御部25は、画像形成装置10に設けられている各センサ51からの入力に基づいて、負荷52を制御する。
【0052】
書き込み制御部40は、主走査カウンタ41と、副走査カウンタ42と、を有して構成され、主走査カウンタ41及び副走査カウンタ42の出力するカウント値に基づいて、読み込みデータ(読み取り装置12で読み込んだ原稿内容)に対応した静電潜像を形成するように、光走査装置13の書き込み動作の制御を行う。また、CPU31から指示されたトナーパターンに対応した静電潜像を形成するように、光走査装置13の書き込み動作の制御を行う。
【0053】
なお、主走査カウンタ41は、主走査方向の同期信号でクリアされ、画素クロックに同期してカウントし該カウント値を出力する。副走査カウンタ42は、CPU31による出力指示によりクリアされ、主走査方向の同期信号に同期してカウントし該カウント値を出力する。
【0054】
操作入力受付部50は、外部からの操作入力の受け付ける。
【0055】
<トナーパターン>
次に、図3〜図6を参照して、本実施形態の画像形成装置10においてメンテナンス用のテストパターンとして形成されるトナーパターンについて説明する。なお、トナーパターンには、『プロコン用パターン』『色合わせ用パターン』のような光学センサ19で検出して形成画像の精度をフィードバック調整するためのパターン、『トナー濃度調整用パターン』および『ブレード捲れ防止用パターン』がある。
【0056】
まず、図3を参照して、プロコン用パターンについて説明する。プロコン用パターンは、画像濃度を調整するために用いるパターンである。図に3に示すように、中間転写ベルト18搬送方向に沿って、濃度を段階的に異ならせた(段階的に濃度を上げた)矩形のパッチが形成されている。
【0057】
なお、イエロ・マゼンタ・シアン・ブラックの各色のパッチが重なることがないように列を異ならせて形成される。
【0058】
このプロコン用のパターンは、主走査カウンタ41及び副走査カウンタ42に基づいて、主走査開始位置〜主走査終了位置/副走査開始位置〜副走査終了位置を設定することで得ることができる。
【0059】
次に、図4を参照して、色合わせ用パターンについて説明する。色合わせ用パターンは、各色静電潜像・トナー像の位置ずれを補正するためのパターンである。図4に示すように、中間転写ベルト18搬送方向に沿って、主走査方向(ベルト幅方向)に平行なパッチ群と、主走査方向に対して45度の角度を有するパッチ群と、が交互に形成されている。
【0060】
なお、各パッチ群には、イエロ(Y)パッチ、マゼンタ(M)パッチ、シアン(C)パッチ、ブラック(K)パッチの各色で構成される。また、各パッチ群は、端部と中央部に形成される。
【0061】
この色合わせ用のパターンのうち、ベルト幅方向に平行なパッチ群については、主走査カウンタ41及び副走査カウンタ42に基づいて、主走査開始位置〜主走査終了位置/副走査開始位置〜副走査終了位置を設定することで得ることができる。また、主走査方向に対して45度の角度を有するパッチ群については、主走査カウンタ41と副走査カウンタ42の下位の特定数ビット値の一致する点を設定することで得ることができる。
【0062】
次に、図5を参照して、トナー濃度調整用パターンについて説明する。トナー濃度調整用パターンは、特定色のトナーについての濃度を調整するためのパターンである。図5に示すように、中間転写ベルト18のベルト幅ぎりぎりの矩形ベタ画像が形成される。このパターンにより該トナーを消費することで濃度を調整する。
【0063】
なお、該パターンのベルト搬送方向の長さについては、濃度調整の度合い、すなわち、消費したいトナー量に応じて変動する。また、濃度調整の必要性の有無およびその調整量については、各色現像装置16に設けられたトナー量センサからの検出信号に基づいて判断される。
【0064】
このトナー濃度調整用パターンは、主走査カウンタ41及び副走査カウンタ42に基づいて、主走査開始位置〜主走査終了位置/副走査開始位置〜副走査終了位置を設定することで得ることができる。
【0065】
次に、図6を参照して、ブレード捲れ防止用パターンについて説明する。ブレード捲れ防止用パターンは、転写ベルトクリーニング装置20のクリーニングブレードに対して一定量のトナーを付着させることによって、トナーを潤滑剤として該ブレードと中間転写ベルト18の摩擦の上昇を軽減し該ブレードの捲れを防止するためのパターンである。
【0066】
図6に示すように、中間転写ベルト18上にベルト幅ぎりぎりの矩形のベタ画像が形成される。なお、ブレード捲れ防止用パターンは、各色トナーをベルト搬送方向に連続させて形成される。
【0067】
なお、該パターンのベルト搬送方向の長さについては、転写ベルトクリーニング装置20のクリーニングブレードの維持、すなわち捲れ防止を達成できる程度に応じて変動する。
【0068】
このトナー濃度調整用パターンは、主走査カウンタ41及び副走査カウンタ42に基づいて、主走査開始位置〜主走査終了位置/副走査開始位置〜副走査終了位置を設定することで得ることができる。
【0069】
なお、上記のトナーパターンの作成、すなわち、主走査・副走査の開始/終了位置、作成する色の指定およびパターン出力開始の指示は、CPU31において任意に変更可能であるので、主走査・副走査の幅、開始位置(タイミング)、各パターンの作成順は任意に設定することが可能となっている。
【0070】
<トナーパターンの形成方式>
次に、本実施形態の画像形成装置10におけるトナーパターンの形成方式について説明する。本実施形態の画像形成装置10においては、プロコン用パターンの後に、ブレード捲れ防止用パターンを形成する。
【0071】
以下、図7を参照して、具体的に説明する。図7において、Aはプロコン用パターンを、Bは、ブレード捲れ防止用パターンを、Cは色合わせ用パターンを示す。また、Dは、プロコン用パターン形成後に生じる、制御不能な汚れである『地汚れ』を示す。
【0072】
ブレード捲れ防止用パターンは、転写ベルトクリーニング装置20のクリーニングブレードに対し一定量のトナーを付着させることで、該ブレードと中間転写ベルト18との摩擦の上昇を抑え、該ブレードの捲れを防止することを目的とするので、多少パターンが汚れていてもその目的を達成することができる。
【0073】
そこで、CPU31は、地汚れが発生するプロコン用パターンの後に、ブレード捲れ防止用パターンを形成するように、書き込み制御部40を制御する。このように制御することにより、余計なクリーニング処理を実行する待ち時間がなくなるので、画像形成装置のパフォーマンス性を向上させることが可能となる。
【0074】
なお、ブレード捲れ防止用パターンの形成位置については、地汚れの付近に形成するようにする。地汚れの位置の検出については、一度プロコン用パターンのみを形成し、これに付随して生じる地汚れを光学センサ19で検出することで行う。
【0075】
プロコン用パターンとブレード捲れ防止用パターンとの間隔は、調整することが可能となっている。具体的には、CPU31によって、プロコン用パターンの副走査終了位置を基準に、ブレード捲れ防止用パターンの副走査開始位置を調整することにより行う。これにより、地汚れの位置が不定な場合にも、これに応じてブレード捲れ防止用パターンを的確な位置に形成することが可能となる。
【0076】
また、ブレード捲れ防止用パターンの中間転写ベルト搬送方向の長さについては、転写ベルトクリーニング装置20のクリーニングブレードの維持、すなわち捲れ防止を達成できる程度に応じて調整する。これにより、適切なトナー量を転写ベルトクリーニング装置20のクリーニングブレードに対して与えることが可能となる。
【0077】
また、CPU31は、ブレード捲れ防止用のパターンの後に、他のトナーパターンを形成するように書き込み制御部40を制御する。例えば、図7に示すような色合わせ用パターンである。このように制御することにより、色合わせ用パターンに地汚れがかからなくなるので正確な位置合わせ補正を行うことが可能となる。
【0078】
なお、ブレード捲れ防止用パターンと色合わせ用パターンの間は、所定の間隔を保つように調整する。すなわち、ブレード捲れ防止用パターンがベルト搬送方向に長くなった(短くなった)場合に、その長くなった(短くなった)分だけ色合わせ用パターンの形成を遅らせる(早める)。このように制御することにより、色合わせ用パターンとブレード捲れ防止用パターンとが重ならなくなり、精度の良いトナーパターン形成が可能となる。また、無駄のないトナーパターン形成が可能となる。
【0079】
なお、ブレード捲れ防止用パターンと色合わせ用パターンとの間隔を所定の値に保つ制御は、ブレード捲れ防止用パターンの副走査終了位置と色合わせ用パターンの副走査開始位置との間隔を所定に保つことにより達成することができる。
【0080】
もちろん、ブレード捲れ防止用パターンの後に形成するのは、色合わせ用パターンではなく、トナー濃度調整用パターン(図5参照)であっても良い。
【0081】
<作像動作>
本実施形態の画像形成装置10における作像動作(画像形成動作)について説明する。
【0082】
原稿台11に読み取り対象(コピー対象)となる原稿が置かれ、コピー開始のスイッチが押下されたことを操作入力受付部50において検知すると、CPU31は、読み取り装置12に原稿の読み取り処理を実行させる。読み取り処理は、読み取り装置12に、原稿台11に置かれた原稿にレーザ光を照射させ、該原稿からの反射光を受光させて原稿内容を読み取らせることで行う。
【0083】
次に、CPU31は、読み取った原稿内容(画像データ)に基づいて書き込み制御部40を制御する。書き込み制御部40は、該画像データに基づいて光走査装置13を制御し、各色感光体ドラム14に書き込み用のレーザ光を照射する。
【0084】
該レーザ光が帯電装置15により帯電した感光体ドラム14上に照射されると、感光体ドラム14上に各色毎に対応した静電潜像が形成される。
【0085】
感光体ドラム14上に形成された静電潜像は、感光体ドラム14に対応して配設されている現像装置により現像されトナー像となる。該トナー像は、中間転写ベルト18上に順次重ねて転写され、これにより中間転写ベルト18上にフルカラー画像が形成される。
【0086】
中間転写ベルト18上に形成されたフルカラー画像は、転写ローラ21により記録紙上に転写され、定着装置22により該記録紙上に熱定着される。熱定着後、カラー画像が熱定着された記録紙すなわち印刷物は排紙ローラ25により画像形成装置10の機外の排紙トレイ26に排紙される。
【0087】
なお、中間転写ベルト18へのトナー像転写後に感光体ドラム14上に付着している残留トナー等は、ドラムクリーニング装置17により除去・回収される。また記録紙へのトナー像の転写後に中間転写ベルト18上に残留している残留トナー等は、転写ベルトクリーニング装置20により除去・回収される。
【0088】
<調整動作>
次に、本実施形態の画像形成装置10における調整動作について説明する。なお、ここでいう調整動作とは、上述のトナーパターンを形成することで行う調整処理のことである。
【0089】
まず、CPU31は、適切なタイミングにおいて、所定のトナーパターンを形成するように書き込み制御部40を制御する。書き込み制御部40は、該トナーパターンの出力指示に基づいて光走査装置13を制御し、各色感光体ドラム14に書き込み用のレーザ光を照射する。
【0090】
該レーザ光が帯電装置15により帯電した感光体ドラム14上に照射されると、感光体ドラム14上に各色毎に対応した静電潜像が形成される。
【0091】
感光体ドラム14上に形成された静電潜像は、感光体ドラム14に対応して配設されている現像装置により現像されトナー像となる。該トナー像は、中間転写ベルト18上に順次重ねて転写され、これにより中間転写ベルト18上にフルカラーのトナーパターンが形成される。
【0092】
中間転写ベルト18上に形成されたトナーパターンのうち、『プロコン用パターン』『色合わせ用パターン』については、途中に設けられている光学センサ19により検出される。検出結果はCPU31に送られフィードバックされる。
【0093】
光学センサ19を通過後、トナーパターンは、転写ベルトクリーニング装置20のクリーニングブレードにより除去・回収される。
【0094】
なお、上記のトナーパターンを形成することで行う調整処理は、画像形成装置10の電源を立ち上げたときや一定数の通紙毎に行う。あるいは、記録紙上への画像形成処理のインターバルにおいて行う。
【0095】
<付記事項>
上述の実施形態は本発明の好適な実施形態の一例を示すものにすぎず、本発明の実施の形態を限定する趣旨のものではない。よって、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施を行うことが可能である。
【0096】
例えば、上記実施形態においては、タンデム型の画像形成装置に特化して説明をしているが、タンデム型の画像形成装置に限らず、例えば、作像ユニット(感光体・現像装置など)が1つしかない1ドラム方式の画像形成装置においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】画像形成装置のシステム構成を示す図である。
【図3】プロコン用パターンを説明するための図である。
【図4】色合わせ用パターンを説明するための図である。
【図5】トナー濃度調整用パターンを説明するための図である。
【図6】ブレード捲れ防止用パターンを説明するための図である。
【図7】本実施形態のトナーパターンの形成方式を説明するための図である。
【図8】従来の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0098】
10 画像形成装置
18 中間転写ベルト
19 光学センサ
20 転写ベルトクリーニング装置
31 CPU
40 書き込み制御部
41 主走査カウンタ
42 副走査カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式による画像形成プロセスにより形成したトナー像を中間転写ベルト上に形成し、該トナー像を転写媒体に転写することで画像を出力する画像形成装置であって、
バイアスを変化させることで得る段階的に濃度の異なるパッチからなり、濃度ずれについてのフィードバック調整を行うための濃度検出用トナーパターン、及び、前記中間転写ベルトをクリーニングするクリーニング手段の性能を維持するためのブレード捲れ防止用トナーパターン、を前記中間転写ベルト上に形成するトナーパターン形成部を有し、
前記トナーパターン形成部は、前記濃度検出用トナーパターンの形成後に、前記ブレード捲れ防止用パターンを形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーパターン形成部が形成する前記濃度検出用トナーパターンと前記ブレード捲れ防止用パターンとの間隔は、設定により調整可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナーパターン形成部が形成する前記ブレード捲れ防止用パターンの前記中間転写ベルト搬送方向長さは、設定により調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナーパターン形成部は、前記濃度検出用トナーパターン及び前記ブレード捲れ防止用パターンの形成後に、他のトナーパターンを形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナーパターン形成部は、前記ブレード捲れ防止用パターンと前記他のトナーパターンとを、所定の間隔をもって形成することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、複数色のカラートナー像を前記中間転写ベルト上に重ね合わせることにより単一のフルカラー画像を形成する画像形成装置であり、
前記他のトナーパターンは、複数色のカラートナー像の位置あわせを行うためのトナーパターンであることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記他のトナーパターンは、トナー濃度を調整するためのトナーパターンであることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−140185(P2007−140185A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334412(P2005−334412)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】