説明

画像形成装置

【課題】個々のユーザが設定した最適な見易さのレポートまたはリストを印刷出力することができる画像形成装置を提供すること目的とする。
【解決手段】ユーザを認証するユーザ認証手段を備えた画像形成装置であって、前記ユーザ認証手段により認証されたユーザのおのおのに、レポートまたはリストを印刷出力する際の印刷形態を登録し、前記レポートまたはリストを印刷出力する際には、前記登録された印刷形態に従った印刷動作を行うようにしたものである。また、前記印刷形態は、標準印刷状態に対する画像拡大率である。また、前記印刷形態は、おのおののユーザに該当する印刷要素を印刷する際の印刷文字修飾である。また、前記印刷形態は、おのおののユーザに該当する通信履歴の結果が特定内容であるときに、当該通信履歴を印刷する際の印刷文字修飾である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザを認証するユーザ認証手段を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サービスやソフトウェア等が、どの程度広汎な人に利用可能なのか、特に高齢者、障害者等のハンディを持つ人にとっての使い安さを示すアクセシビリティが注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、健常者か非健常者を切り替えるスイッチがあり、この切り替えによりモードを変えることができ、非健常者のモードには、記憶されている設定(全盲モード、弱視モード、色盲モード、難聴モード、動作緩慢モード、車イスモード)に基づいた操作機能を操作パネルに適用させる構成が開示されている。
【特許文献1】特開2003−335033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来技術では、デジタル複合機をはじめとする画像形成装置において暗証番号、指紋等を用いる個人認証を用いて、認証結果に応じて自動的に、設定(弱視モード、色盲モード゛等の障害者用モード)に従い、操作表示部において画面の明るさや、文字の大きさ、表示色の変更等を行っているが、各種のレポートまたはリストの印刷出力結果に対しては、個人認証の設定に従い、自動的に個々のユーザへの見易さを向上する変更は行われていない問題があった。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、個々のユーザが設定した最適な見易さのレポートまたはリストを印刷出力することができる画像形成装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザを認証するユーザ認証手段を備えた画像形成装置であって、前記ユーザ認証手段により認証されたユーザのおのおのに、レポートまたはリストを印刷出力する際の印刷形態を登録し、前記レポートまたはリストを印刷出力する際には、前記登録された印刷形態に従った印刷動作を行うようにしたものである。
【0007】
また、前記印刷形態は、標準印刷状態に対する画像拡大率である。
【0008】
また、前記印刷形態は、おのおののユーザに該当する印刷要素を印刷する際の印刷文字修飾である。
【0009】
また、前記印刷形態は、おのおののユーザに該当する通信履歴の結果が特定内容であるときに、当該通信履歴を印刷する際の印刷文字修飾である。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本発明によれば、ユーザが登録した印刷形態に従って、レポートまたはリストを印刷出力するので、ユーザが所望する見やすい印刷物を得ることができるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施例にかかるネットワーク対応複合機の構成の一例を示している。このネットワーク対応複合機は、ユーザを認識する個人認証機能、ローカルエリアネットワークに接続して電子メールや各種プロトコルによる通信を行うネットワーク通信機能、公衆網に接続してグループ3ファクシミリ通信を行うファクシミリ通信機能、カラー原稿を複写するカラー複写機能、カラー原稿画像を読み取るスキャナ機能などを備えている。
【0013】
同図において、システム制御部1は、このネットワーク対応複合機の各部の制御処理、、カラー複写制御処理、通信アプリケーション制御処理、および、ファクシミリ伝送制御手順処理などの各種制御処理を行うものであり、システムメモリ2は、システム制御部1が実行する制御処理プログラム、および、処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、システム制御部1のワークエリアを構成するものであり、パラメータメモリ3は、このネットワーク対応複合機に固有な各種の情報を記憶するためのものであり、時計回路4は、現在時刻情報を出力するものである。
【0014】
カラースキャナ5は、所定の解像度でカラー原稿画像を読み取るためのものであり、カラープロッタ6は、所定の解像度でカラー画像を記録出力するためのものであり、操作表示部7は、このネットワーク対応複合機を操作するためのもので、各種の操作キー、および、各種の表示器からなる。
【0015】
符号化復号化部8は、カラー画像データを符号化圧縮するとともに、符号化圧縮されている画情報を元のカラー画像データへ復号化するためのものであり、画像蓄積装置9は、符号化圧縮された状態の画情報を多数記憶するためのものである。
【0016】
グループ3ファクシミリモデム10は、グループ3ファクシミリのモデム機能を実現するためのものであり、伝送手順信号をやりとりするための低速モデム機能(V.21モデム)、および、おもに画情報をやりとりするための高速モデム機能(V.17モデム、V.34モデム、V.29モデム、V.27terモデムなど)を備えている。
【0017】
網制御装置11は、このネットワーク対応複合機をアナログ公衆回線網PSTNに接続するためのものであり、自動発着信機能を備えている。
【0018】
ローカルエリアネットワークインターフェース回路12は、このネットワーク対応複合機をローカルエリアネットワークに接続するためのものであり、ローカルエリアネットワーク伝送制御部13は、ローカルエリアネットワークを介して、他のデータ端末装置との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理を実行するためのものである。
【0019】
また、個人認証部14は、ユーザを個人認証するためのものであり、例えば、暗証番号の入力や、指紋認証など身体的特徴を利用して個人認証を行うバイオメトリクス認証などの種々の方法が適用される。なおバイオメトリクス認証とは、人間一人一人に固有の特徴、つまり「その人物であると認識するに十分な身体的特徴を使って認証を行う仕組み」のことをいう。
【0020】
これらの、システム制御部1、システムメモリ2、パラメータメモリ3、時計回路4、スキャナ5、プロッタ6、操作表示部7、符号化復号化部8、画像蓄積装置9、グループ3ファクシミリモデム10、網制御装置11、ローカルエリアネットワーク伝送制御部13、および、個人認証部14は、内部バス15に接続されており、これらの各要素間でのデータのやりとりは、主としてこの内部バス15を介して行われている。
【0021】
また、網制御装置11とグループ3ファクシミリモデム10との間のデータのやりとりは、直接行なわれている。
【0022】
このネットワーク対応複合機は、おのおののユーザを管理するために、図2(a)に示すようなユーザ設定情報を記憶している。このユーザ設定情報は、おのおののユーザについて作成されて、例えば、パラメータメモリ3に保存される。
【0023】
このユーザ設定情報は、それぞれのユーザの名前などを保持する「基本情報」、レポートまたはリストを印刷する際のレイアウトを保持した「レイアウト情報」、書式情報、および、通信管理レポートにおける「詳細情報」からなる。また、基本情報は、同図(b)に示すように、それぞれのユーザを識別するための個人認証ID(例えば、「XXX001」、「XXX02」など)、および、名前(例えば、氏名やニックネームなど)からなる。
【0024】
また、レイアウト情報は、同図(c)に示すように、レポートまたはリストを印刷する際の拡大率(例えば、「100%」、「120%」など)を記憶するための「拡大タイプ」、および、印刷する際のページ関連の設定情報(例えば、「複数ページで印刷」、「通常印刷」、「最適用紙で印刷」など)を記憶した「印刷タイプ」からなる。すなわち、例えば、プリンタドライバの設定画面で印刷ページについて設定可能な項目などが含まれる。
【0025】
また、書式情報は、同図(d)に示すように、印刷する文字の色を表す「設定色(例えば、「黒」、「赤」、「青」など)」、印刷する文字をイタリック体にするか否かの設定をあらわす「イタリック」、印刷する文字にアンダーラインを付加するか否かの設定をあらわす「アンダーライン」が含まれる。ここで、「イタリック(斜体)」の項目の値は、例えば、「反映する(イタリック体を使う旨を表す)」、または、「反映しない(イタリック体を使わない旨を表す)」のいずれかの値を取る。また、「アンダーライン」の項目の値は、例えば、「反映する(アンダーラインを付加する旨を表す)」、または、「反映しない(アンダーラインを付加しない旨を表す)」のいずれかの値を取る。
【0026】
また、通信管理レポートにおける詳細情報としては、同図(e)に示すように、通信管理レポートにおける当該ユーザの履歴について書式情報を反映するか否かを記憶する「個人該当履歴」、通信管理レポートにおける通信結果がエラーの項目について書式情報を反映するか否かを記憶する「結果がエラー」、通信管理レポートにおける結果が電源断の項目について書式情報を反映するか否かを記憶する「結果が電源断」が含まれる。ここで、これらの「個人該当履歴」、「結果がエラー」、「結果が電源断」の各項目の値としては、「書式情報を反映する(書式情報を適用して印刷する旨を表す)」、または、「書式情報を反映しない(書式情報を適用せずに標準の書式で印刷する旨を表す)」のいずれかの値を取る。
【0027】
また、このネットワーク対応複合機は、ファクシミリ通信や電子メールの送受信動作を実行すると、それぞれの送受信動作について、図2(f)に示したような通信ログ情報を作成して、例えば、システムメモリ2またはパラメータメモリ3に保存する。
【0028】
この通信ログ情報は、通信した日付を表す「日付」、通信した時刻をあらわす「時刻」、ユーザを識別するための「個人認証ID」、通信相手の識別情報を表す「相手先」、通信した際の動作モードをあらわす「交信モード」、通信に要した時間を表す「通信時間」、通信した原稿枚数をあらわす「枚数」、通信結果を表す「結果」、および、通信した文書ファイルをあらわす「文書番号」が含まれる。
【0029】
ここで、「交信モード」の値としては、ファクシミリ通信の場合は、送信/受信/蓄積送信の区別、線密度の区別(小さい文字/普通文字)が含まれ、また、電子メールの場合は、送信/受信の区別などが含まれる。
【0030】
また、「結果」の値としては、正常終了をあらわす「OK」、通信エラーとそのエラー種別をあらわす「エラー1/エラー2/エラー3/エラー4/エラー5」、電源断による通信エラーが発生したことをあらわす「電源断」などが含まれる。なお、例えば、「エラー1」は「通信中断」を、「エラー2」は「話し中」を、「エラー3」は「応答なし」を、「エラー4」は「相手先ファクシミリでない」を、「エラー5」は「メールサイズオーバ」をそれぞれあらわす。
【0031】
さて、このような通信ログ情報に基づいて記録出力される通信管理レポートの一例を図3に示す。この場合は、「通信管理レポートにおける詳細情報」の「結果がエラー」の値が「書式情報を反映する」になっていて、さらに、「書式情報」の「設定色」の値が「赤」、かつ、「アンダーライン」の値が「反映する」、かつ、「イタリック」の値が「反映しない」になっている場合であり、囲みSS1で示した部分が該当の印刷部分である。
【0032】
また、通信管理レポートの他の例を図4に示す。この場合は、「通信管理レポートにおける詳細情報」の「個人該当履歴」の値が「書式情報を反映する」になっていて、さらに、「書式情報」の「設定色」の値が「青」、かつ、「イタリック」の値が「反映する」、かつ、「アンダーライン」の値が「反映しない」になっている場合であり、囲みSS2,SS3で示した部分が該当の印刷部分である。
【0033】
なお、図4,5で図示しているのは「送信」のパートのみであるが、下に同様な「受信」のパートを続けることができる。
【0034】
図5は、ユーザが手動でネットワーク対応複合機を利用し、レポート/リストを印刷する際のフローチャートである。この場合、ユーザは、個人認証成功後に、出力したいレポート/リストを選択する。
【0035】
まず、個人認証が成功した際の個人を特定するユーザ識別情報として、個人認証IDを取得し、取得したこの個人認証IDを用いて、記憶しているユーザ設定情報から、該当する個人認証IDを検索し、該当するユーザのユーザ設定情報を取得する(処理101)。
【0036】
次いで、取得済みのユーザ設定情報に従い、特定の項目に、特定の書式に変更し、画像を拡大する等の画像形成を行う(処理102)。
【0037】
そして、取得済みのユーザ設定情報に従い、印刷用紙を画像形成された画像に対して最適な用紙を選択し、印刷出力する(処理103)。
【0038】
図6は、ユーザが画像を送信後に自動で出力されるレポート/リストを印刷される際のフローチャートである。なお、自動出力のトリガーとしては、画像を送信したが、何らかの障害により相手先へ画像を送信できなかった時、または、送信後の結果に限らず、自動で出力させる設定にされている時がある。
【0039】
まず、記録している通信ログ情報から、トリガーとなったレポート/リストについて、どのユーザが画像を送信したのかを個人認証IDにより検索し、送信者を特定する(処理201)。
【0040】
次に、送信者の個人認証IDを用いて、記憶しているユーザ設定情報から、該当する個人認証IDを検索し、該当する送信者のユーザ設定情報を取得する(処理202)。
【0041】
次いで、取得済みのユーザ設定情報に従い、特定の項目に、特定の書式に変更し、画像を拡大する等の画像形成を行う(処理203)。
【0042】
そして、取得済みのユーザ設定情報に従い、印刷用紙を画像形成された画像に対して最適な用紙を選択し、印刷出力する(処理204)。
【0043】
このようにして、本実施例では、個人認証手段(個人認証部14)を伴うことで使用者に応じて、自動的に使用者の設定に従い画像を拡大する画像形成するので、操作の負担を軽減することができ、個々が最適と思う見易さにレポート/リストを印刷するので理解性を向上をすることができる。
【0044】
また、個人認証手段と伴うことで使用者に応じて、自動的に使用者の設定に従い画像形成した結果、画像が1ページに収まらないままで印刷してしまい理解性が下がってしまうことを防ぐことために、設定に従い自動で複数ページのレイアウトに変更するので、操作の負担を軽減することができ、個々が最適と思う見易さでレポート/リストを印刷するので理解性を向上をすることができる。
【0045】
また、個人認証手段と伴うことで使用者に応じて、自動的に使用者の設定に従い画像形成した結果、画像が1ページに収まらないままで印刷してしまい理解性が下がってしまうことを防ぐことために、設定に従い自動で最適な印刷用紙に変更するので、操作の負担を軽減することができ、個々が最適と思う見易さでレポート/リストを印刷するので理解性を向上をすることができる。
【0046】
また、個人認証手段を伴うことで使用者に応じて、自動的に使用者の設定に従い特定の項目に対して、書式を変更する画像形成を行うので、操作の負担を軽減することができ、個々が最適と思う見易さでレポート/リストを印刷するので、理解性を向上をすることができる。
【0047】
また、レポート/リストの記載内容に対して、特定の項目を特定の書式に変更できるので、個々が最適と思う見易さでレポート/リストを印刷するので、理解性を向上をすることができる。
【0048】
また、送信履歴を記載するレポート/リストにおいて、個人認証したユーザの送信履歴に対して書式の変更ができるので、個人認証したユーザの送信履歴が視覚的にわかりやすく、理解性を向上をすることができる。
【0049】
また、個々のユーザが最適と思う書式の設定ができるで、理解性を向上をすることができる。
【0050】
また、ユーザが画像を送信後に自動で出力されるレポート/リストにおいて、ユーザが画像形成装置を使用した後、画像形成装置から離れていた場所にいても、送信したユーザを特定し、送信したユーザの設定情報に従って画像加工手段を行うので、操作の負担を軽減することができ、個々が最適と思う見易さでレポート/リストを印刷するので理解性を向上をすることができる。
【0051】
なお、上述した実施例では、ネットワーク対応複合機に本発明を適用した場合について説明したが、それ以外の通信機能を備えた画像形成装置についても、本発明を同様にして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例にかかるネットワーク対応複合機の構成の一例を示したブロック図。
【図2】ユーザ設定情報や通信ログ情報の一例を示した概略図。
【図3】通信管理レポートの一例を示した概略図。
【図4】通信管理レポートの他の例を示した概略図。
【図5】ユーザが手動でネットワーク対応複合機を利用し、レポート/リストを印刷する際の動作を例示したフローチャート。
【図6】ユーザが画像を送信後に自動で出力されるレポート/リストを印刷される際の動作を例示したフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
1 システム制御部
2 システムメモリ
3 パラメータメモリ
14 個人認証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを認証するユーザ認証手段を備えた画像形成装置であって、
前記ユーザ認証手段により認証されたユーザのおのおのに、レポートまたはリストを印刷出力する際の印刷形態を登録し、
前記レポートまたはリストを印刷出力する際には、前記登録された印刷形態に従った印刷動作を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷形態は、標準印刷状態に対する画像拡大率であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷形態は、おのおののユーザに該当する印刷要素を印刷する際の印刷文字修飾であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷形態は、おのおののユーザに該当する通信履歴の結果が特定内容であるときに、当該通信履歴を印刷する際の印刷文字修飾であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−141480(P2008−141480A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325689(P2006−325689)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】